説明

複合機

【課題】紙に印刷された出力文書を持ち出しされ、QRコード(登録商標)(BMID)が削除された状態で流通された場合でも情報漏洩の経路検索を行い漏洩の経過を明らかにすることができる複合機を提供する。
【解決手段】複合機は、キーワードのインデックスを記憶させたインデックスデータベース手段208と、文書毎に割り当てられるBMIDを記憶管理するBMIDデータベース手段206と、画像データを記憶管理するイメージデータベース207と、システム内の機器の操作履歴を記憶管理する来歴管理サーバ手段205とに接続され、文書のキーワードを読取るためのOCR手段と、読取ったキーワード検索するキーワード検索手段と、検索したキーワードと検索された文書のBMIDを関連付けるリンク手段とで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書の情報漏洩の経路を検索する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、BMLinks(Business Machine Linkage Service)IM(Information Marking)対応のMFP(Multifunction Printer)で、一般の紙文書コピー時や電子文書の印刷時に出力される紙文書に対し、ユーザの設定に応じて、誰が・いつ・どこの機械で印刷したかなどのジョブの特定情報(トレース情報)をQRコード化し、印刷文書にマーキングしている。このQRコードに固有のID(BMID)を入れ、原稿の使用状態Copy,Sendなどの操作履歴を来歴管理サーバで記憶管理し、所定のIDの追跡が可能となる技術が考えられている。
【0003】
特許文献1は、コンテンツの漏洩が発生した場合、その漏洩の経路を明らかにするものである。来歴システムは、クライアント、他の装置、及び来歴管理サーバを含む。クライアントは、ファイルなどのコンテンツの内容の更新を含む操作ログを送信する。他の装置は、コンテンツの内容の更新に係らない操作ログを送信する。来歴サーバは、クライアント及び他の装置からの操作ログを受信し、コンテンツ及びコンテンツへの操作の指定に応答して、指定されたコンテンツ及びコンテンツへの操作に係る操作履歴を、受信した操作ログからトレースし、表示したコンテンツ及びコンテンツへの操作のトレース結果を連結して表示するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−160698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、情報漏洩や不正利用などのセキュリティ対策が企業活動における大きな課題として注目されている。現状においては、電子化資源(ネットワーク、PC、その他)への不正アクセス、情報漏洩対策が広く行われている。
【0006】
一方、情報漏洩の第一の要因として、紙に印刷された出力文書の持ち出しがある。 また、持ち出した文書から部分的に情報を抜き出して、別の文書へ引用される場合やWeb上での公開されることがある。
【0007】
このような機密情報の漏洩を防止するために、情報データへのアクセス履歴を管理する来歴管理ログがある。来歴管理ログからBMIDをトレースすることで漏洩経路を特定することは考えられているが、QRコード(BMID)が削除された場合は、漏洩経路を検索する手段が無かった。このため情報漏洩の漏洩元を検索することができないため漏洩防止対策が行えないことが問題となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
文書毎に割り当てられるBMIDを記憶管理するBMIDデータベース手段206と、
画像データを記憶管理するイメージデータベース207と、
本システム内の機器の操作履歴を記憶管理する来歴管理サーバ手段205と、
検索キーワードのインデックスを記憶するインデックスデータベース手段208と、
文書のキーワードを読取るためのOCR手段20と、
読取ったキーワードを検索するキーワード検索手段S4と、
検索したキーワードと検索された文書のBMIDを関連付けるリンク手段S5から
構成され、情報漏洩された文書からQRコードを削除された場合の情報漏洩の経路を検索することを特徴とする複合機。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、紙に印刷された出力文書を持ち出しされ、QRコード(BMIDが削除された状態で流通された場合でも情報漏洩の経路検索を行い漏洩の経過を明らかにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例におけるMFPの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例におけるネットワークの構成を示すブロック図である。
【図3】文書漏洩の一例を示す説明図である。
【図4】本発明のフローチャートである。
【図5】QRコードの機能の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0012】
図2は、本発明のシステムの構成を示した図である。システム101は、文書印刷、複写及びスキャン等を行う複合機202、203、204と、前記複合機202、203、204は、情報漏洩を検索する機能を持っている。クライアント(PC)201と、BMIDを記憶管理するBMIDデータベース206と、画像を記憶管理するImageデータベース207と、情報漏洩された文書からキーワードの検索を行う際のキーワードを記憶させたキーワードのインデックス データベース208と、本システム101に接続された前記複合機202、203、204とクライアント201等の操作履歴を記憶管理する来歴管理サーバ205で構成される。また、前記機器はネットワーク209に接続されており、ネットワーク209を介してデータの授受を行う。また、前記ネットワーク209に接続される機器は、BMLinks認証機で、ネットワーク上でのオフィス機器間の接続性・データ交換性を向上させるJBMIA標準のインターフェース仕様ある。前記ネットワークに接続される機器は、一例であってBMLinks認証機であれば機器の種類は問わないものとする。
【0013】
BMLinkS の機能は、BMLinkS対応オフィス機器(複合機・プリンタ・スキャナ等)と、BMLinkS共通ソフトウェア(統合プリントドライバ・ストレージサービス・ドキュメントビューア等)として提供される。
【0014】
図1は、本システムに接続される複合機202、203、204の構成図である。
【0015】
複合機202、203、204は、文書印刷、複写及びスキャン、FAX送受、ファイル伝送などの機能の他に、情報漏洩された文書の漏洩経路を検索する機能を備えている。
【0016】
システム制御部1は、システム全体の制御と主要機能を制御する。制御部10は、システム制御用LSIやCPU、IO、ネットワーク制御部から構成され、メモリ部11に含まれるROM20に記憶されているプログラムで装置電体を制御する。ROM16は、フラッシュメモリであり、システムを制御するためのブートプログラムとメインプログラムが圧縮されて記憶されている。メモリ部11のRAM17は、DRAMやSRAMで構成され、各種データを格納するものである。前記メモリ部11のDRAMは、プログラム実行エリアでもある。前記ROM16に圧縮されて格納されているメインプログラムを装置起動時に前記メモリ部11のRAM17上に展開して実行する。また、不揮発性メモリ18は、装置の電源が遮断された状態にあっても画像など保存しておくべきデータを格納するものである。たとえば、通信先の名称やダイヤル情報、または通信結果記録等を記憶するものである。
【0017】
記録部13は、記録画像処理および画像をプリントするLBPプリンタである。制御部10の制御によってRAM17または不揮発性メモリ18に格納されている記録データやHDD(ハードディスクドライブ)19に格納されている画像データを取り出し、記録部13へ送りハードコピーとして印刷出力するものである。読取部12は、原稿をスキャンして読取りデータの取り込みと画像処理を行う。制御部10の制御によって、不示図のCCDやCMOSラインイメージセンサを用いて読み取ったデータを画像処理し、前記HDD19やRAM17、不揮発性メモリ18に格納するものである。また、画像データから文字として読み出すOCR20機能も備えている。前記OCR20は、情報漏洩された紙文書から特定のキーワードを検索し、漏洩元を割り出すときに使用するものである。操作部15は、各種動作モードのオペレーションを行うもので、入力用のスイッチと表示器から構成されている。通信部14は、ファクシミリ通信制御に必要なMODEMや半導体DAAで構成されている。
【0018】
図3において文書漏洩の一例を説明する。図1のシステム101のネットワーク209に接続された複合機202で受信した文書を印刷すると、正常なら文書例1.301で示すようにQRコード302が添付される。まれに前記QRコード302を削除された状態の紙文書が漏洩されることがある。この印刷された文書301からQRコードを削除304したものが文書例2.303である。また、印刷された文書から一部を抜き取った例を示したものが文書例3.305である。点線で囲まれた部分306が抜き取った文書の一部である。例えば、前記文書例2.303をコピーしても新規文書としてBMIDが発行されQRコードが添付される。この時点で漏洩元の文書とのリンクが断たれるので、従来のBMIDを使用した情報経路の検索ができなくなる。一方、文書例.305も同様であり、文書の一部を抜き取り他の文書に引用されたり、Webで公開される場合も想定される。
【0019】
図5でQRコードの機能の一例 401を示す。本機能一覧は、一例であって機能内容は変更される可能性がある。本QRコードは、複数のオフィス機器間で共通に動作するジョブロック、トレース機能を実現するために、フォーマット、デバイスシステム、マーキング・解析における標準仕様を定義したものである。
【0020】
以下がQRコードに埋め込まれた機能である。
【0021】
フィールド1は、BMLinks 情報マーキング識別子でデータがBMLinksで定義された構造化を識別するものである。
【0022】
フィールド2は、フォーマットバージョンで、データフォーマットのバージョンとリビジョン番号を示したものである。
【0023】
フィールド3は、動作レベルで、トレースのみ、ロックのみ、トレース&ロックから選択するものである。
【0024】
フィールド4は、トレース世代情報の二世代分のトレース情報を示す識別する情報を示す。
【0025】
フィールド5は、ベンダー情報1で、トレース情報を生成した機器のベンダを表す。1世代目のトレース情報。
【0026】
フィールド6は、シリアル番号1で、情報マーキングを行った機器を識別可能なシリアル番号を表す。1世代目のトレース情報。
【0027】
フィールド7は、タイムスタンプ1で、印刷ジョブが開始された時点でタイムスタンプを格納する。1世代目のトレース情報。
【0028】
フィールド8は、ユーザ情報1で、トレース情報を生成した機器のベンダを表す。1世代目のトレース情報。
【0029】
フィールド9は、ベンダ情報2で、トレース情報を生成した機器のベンダを表す。2世代目のトレース情報。
【0030】
フィールド10は、シリアル番号2で、情報マーキングを行った機器を識別可能なシリアル番号を表す。2世代目のトレース情報。
【0031】
フィールド11は、タイムスタンプ2で、印刷ジョブが開始された時点でタイムスタンプを格納する。2世代目のトレース情報。
【0032】
フィールド12は、ユーザ情報2で、機器を操作しているユーザの表示名である。2世代目のトレース情報。
【0033】
フィールド13は、拡張用データ領域でBMIDはここに設定される。
【0034】
次にフローチャート図4を用いて、情報経路の検索方法について説明する。S1で情報管理者、或いは情報元、関係者が情報漏洩された紙文書あるいは、Webで公開されている文書を発見した場合を想定する。発見した文書にQRコードが記録されていれば、BMIDから漏洩経路を検索する事は可能である。しかし、QRコードが故意に削除されている場合は、漏洩経路を検索する術がない。よって、以下に示すように漏洩文書から特定のキーワードを読み出し、そのキーワードで前記システム101に接続されたImageDB207の画像データを全て検索することで漏洩元を探し出す。
【0035】
次に、システム101に接続された、複合機202のOCR機能20を使用するか判断するS2。Yes 前記OCR機能20を使用するならS3へ進む。前記複合機202の前記OCR機能20を用いてキーワードを読取る(S3)。キーワードは膨大な情報量が予想されるため、あらかじめキーワードのインデックスDB 208に関連のキーワードのインデックスを記憶させておく。前記キーワードのインデックスDB 208から文書のキーワードを抽出する。漏洩文書がWebなどで公開されている場合は、その文書を印刷し、前記OCR20に掛けてもよい。S2でNo前記 OCR機能20を使用しないならキーワードをメモしておき操作部15のキーボードから入力してもよい(S31)。
【0036】
次に、S4でS3或いは、S4で抽出したキーワードの検索を行う。前記ImageDB207を検索し、関係する文書をピックアップする。ピックアップされた文書のBMIDと検索したキーワードを関連付けする(S5)。
【0037】
次に関連付けされたBMIDを列挙し管理者へ通知する。或るは、BMIDが特定出来たら来歴管理サーバ205の操作ログから漏洩経路を特定する(S6)。
【符号の説明】
【0038】
101 システム
201 クライアントPC
202 複合機
203 複合機
204 複合機
205 来歴サーバー
206 BMID DB
207 Image DB
208 キーワードのインデックスDB
401 QRコードのデータフォーマットの一例
20 OCR


【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書のキーワードを読取るためのOCR手段20と、
読取ったキーワード検索するキーワード検索手段S4と
キーワードのインデックスを記憶させたインデックスデータベース手段208と
検索したキーワードと検索された文書のBMIDを関連付けるリンク手段S5と
文書毎に割り当てられるBMIDを記憶管理するBMIDデータベース手段206と、
画像データを記憶管理するイメージデータベース207と、
本システム内の機器の操作履歴を記憶管理する来歴管理サーバ手段205から
構成され、情報漏洩された文書からQRコードを削除された場合の情報漏洩の経路を検索することを特徴とする複合機。
【請求項2】
前記キーワードは、前記OCR手段20で読み取れない場合は、ユーザがキーワード入力することができることを特徴とする請求項1に記載の複合機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−37644(P2013−37644A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175508(P2011−175508)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】