複合荷電粒子ビーム装置及び試料加工観察方法
【課題】TEM薄片観察の能力を向上させ、かつその構成において効率よく試料の配置と姿勢を制御することを図ること。
【解決手段】FIB鏡筒1のビーム照射軸と、SEM鏡筒2のビーム照射軸と、回転可能な台の第一の回転軸が、試料観察位置でそれぞれが互いに略直交に交わり、回転可能な台が第一の回転軸を中心に回転可能な支持部を有し、支持部が試料5を試料観察位置に配置可能な並進機構と接続する。
【解決手段】FIB鏡筒1のビーム照射軸と、SEM鏡筒2のビーム照射軸と、回転可能な台の第一の回転軸が、試料観察位置でそれぞれが互いに略直交に交わり、回転可能な台が第一の回転軸を中心に回転可能な支持部を有し、支持部が試料5を試料観察位置に配置可能な並進機構と接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の荷電粒子ビーム装置を統合した、複合荷電粒子ビーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
透過電子顕微鏡(TEM)による観察で有用な知見を得るためには、観察対象の試料を数十ナノメートル程度の非常に薄い薄片(TEM薄片)に加工することが必要である。これらの薄片を作製するために、様々な方法が用いられているが、集束イオンビーム(FIB)装置を使用する方法は一般的に広く用いられている方法である。TEM薄片は、電子線がある程度以上透過できるほど薄い部分があることが絶対条件であるが、できるだけ広い範囲にわたり均一に薄いことが望ましい。このため、FIB装置でTEM薄片を作製する場合には、薄片の裏面と表面を平行に加工できることが要求される。また、均質な物質をTEM観察する場合だけではなく、欠陥や異物あるいは局所的な特定の構造などを観察したい場合は、観察対象を薄片内部に残しながら、数十ナノメートルの薄片を作製する必要がある。
【0003】
これらの課題に対し、走査電子顕微鏡(SEM)とFIBを組み合わせることで、加工対象の薄片の観察を容易ならしめ、さらに試料薄片を傾斜させることで、平行度の高い薄片を加工可能にするような例が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、開示されている例では、試料および試料を設置し移動させるためのステージ機構を配置するための空間を確保する必要から、90度より小さいはさみ角でSEMとFIBを配置し試料表面より上部にSEMとFIBが配置される構成としている。このような配置の場合、試料の大きさや配置の自由度が確保される反面、図13に示すようにSEMと試料との距離(作動距離)が一定以上縮めることができなくなっている。一般に高性能SEM鏡筒は、作動距離が短いほど分解能をはじめとする特性が向上し、より精細な観察が可能となる。高度なTEM試料作製のためには観察能力の向上は必須であり、そのためにSEMの作動距離を小さくする方法が求められている。また、特許文献1には試料を傾斜することにより平行度の高い薄片を作製することが開示されているが、実際の装置構成において効率よく正確に試料を傾斜させるための具体的な機構については開示がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−76437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような状況を背景とし、SEMとの作動距離を縮めることでTEM薄片観察の能力を向上させ、かつその構成において効率よく試料の配置と姿勢を制御することが可能な試料保持機構を併せ持つ装置を提案することで、高度なTEM薄片作成技術に資することが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明に係る複合荷電粒子ビーム装置は、集束イオンビーム装置と、走査電子顕微鏡と、回転可能な台とを備えた複合荷電粒子ビーム装置において、集束イオンビーム装置のビーム照射軸と走査電子顕微鏡のビーム照射軸はそれぞれが互いに略直角に交わり、回転可能な台は、集束イオンビーム装置のビーム照射軸と走査電子顕微鏡のビーム照射軸と試料観察位置でそれぞれが互いに略直角に交わる回転軸を有する支持部を備え、支持部は、試料を試料観察位置に配置可能な並進機構と接続する。
【0008】
また、本発明に係る複合荷電粒子ビーム装置は、並進機構が略直交する三つの駆動軸を有し、駆動軸の一つは、支持部の回転により集束イオンビーム装置のビーム照射軸と略平行になる方向に配置されている。
【0009】
また、本発明に係る複合荷電粒子ビーム装置は、並進機構が回転可能な台の第一の回転軸に対し略垂直な回転軸を有する試料回転機構を備えている。
また、本発明に係る複合荷電粒子ビーム装置は、試料回転機構に接続され、走査電子顕微鏡のビーム照射軸に対し略垂直に試料の表面を傾斜可能な傾斜台を有する。
【0010】
また、本発明に係る複合荷電粒子ビーム装置は、試料回転機構に接続され、集束イオンビーム装置のビーム照射軸に対し略垂直に試料の表面を傾斜可能な傾斜台を有する。
また、本発明に係る複合荷電粒子ビーム装置は、回転機構に接続され、集束イオンビーム装置のビーム照射軸と、走査電子顕微鏡のビーム照射軸のそれぞれに対し略垂直に試料の表面を傾斜可能な傾斜台を有する。
【0011】
また、本発明に係る複合荷電粒子ビーム装置は、傾斜台に固定された試料の表面を回転機構により回転させ、集束イオンビーム装置のビーム照射軸と、走査電子顕微鏡のビーム照射軸のそれぞれに対し略垂直に試料の表面を傾斜可能である。
また、本発明に係る複合荷電粒子ビーム装置は、走査電子顕微鏡から試料に電子ビームを照射し、透過した電子を検出可能な透過電子検出器を有する。
【0012】
本発明に係る試料加工観察方法は、走査電子顕微鏡のビーム照射軸に対し試料の表面を略垂直に配置し、表面を走査電子顕微鏡観察する工程と、走査電子顕微鏡のビーム照射軸と互いに略垂直に交差する集束イオンビーム装置のビーム照射軸に対し表面が略垂直になるように試料を回転する工程と、表面に集束イオンビームを照射し、表面を加工する工程と、からなる。
【0013】
また、本発明に係る試料加工観察方法は、表面の加工により断面を形成し、さらに、集束イオンビーム装置のビーム照射軸に対し断面が略垂直になるように試料を回転する工程と、断面に集束イオンビームを照射し、断面を観察する工程と、からなる。
【0014】
また、本発明に係る試料加工観察方法は、集束イオンビーム装置のビーム照射軸に対し試料の表面を略垂直に配置し、集束イオンビームで試料に断面を形成する工程と、集束イオンビーム装置のビーム照射軸に対し断面が略垂直になるように試料を回転する工程と、断面に集束イオンビームを照射し、断面に対し略垂直な断面を形成する工程と、からなる。
【0015】
また、本発明に係る試料加工観察方法は、集束イオンビームを試料に照射し、観察面を形成する工程と、走査電子顕微鏡のビーム照射軸に対し観察面が略垂直になるように観察面を回転させる工程と、観察面に走査電子顕微鏡から電子ビームを照射し、観察面を透過する透過電子を観察する工程と、からなる。
【0016】
また、本発明に係る複合荷電粒子ビーム装置は、集束イオンビーム装置と、走査電子顕微鏡と、回転可能な台とを備えた複合荷電粒子ビーム装置において、回転可能な台は、集束イオンビーム装置のビーム照射軸と走査電子顕微鏡のビーム照射軸のそれぞれに対し、試料観察位置で略直角に交わる回転軸を有する支持部を備え、支持部は、試料を試料観察位置に配置可能な並進機構と接続し、並進機構は、回転可能な台の回転軸に対し略垂直な回転軸を有する試料回転機構を備え、試料回転機構は、走査電子顕微鏡のビーム照射軸に対し略垂直に試料の表面を傾斜可能な傾斜台と接続されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によればSEMの作動距離を小さくした状態で、高精細な観察を行いながら、試料の傾斜を制御してFIB加工をすることができるので精度よくTEM薄片を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る実施形態1の装置構成を示す図である。
【図2】本発明に係る実施形態1の装置構成を示す図である。
【図3】本発明に係る実施形態2,3の装置構成を示す図である。
【図4】本発明に係る実施形態の試料加工を示す図である。
【図5】本発明に係る実施形態の装置構成を示す図である。
【図6】本発明に係る実施形態4の装置構成を示す図である。
【図7】本発明に係る実施形態4の装置構成を示す図である。
【図8】本発明に係る実施形態4の装置構成を示す図である。
【図9】本発明に係る実施形態4の試料加工を示す図である。
【図10】本発明に係る実施形態4の試料加工を示す図である。
【図11】本発明に係る実施形態4の試料加工を示す図である。
【図12】本発明に係る実施形態5の装置構成を示す図である。
【図13】従来開示されている形態を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を用いて本発明に係る実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明は例示であり、本発明の構成は以下の説明に限定されない。
【0020】
<実施形態1>
本発明の第一の実施形態を図面に基づいて説明する。図1、図2は本発明に係る実施形態の複合荷電粒子ビーム装置に関する図である。SEM鏡筒2を鉛直方向に設置する。SEM鏡筒2より電子ビーム4を試料室20内に配置した試料5に向け出射し、試料5の表面を走査し、発生する二次電子を二次電子検出器21で検出し、各位置での2次電子信号量を輝度信号として像形成部22で試料表面の観察像を得る。ここで、SEM鏡筒2内部にレンズ内検出器を有しており、二次電子や反射電子を検出することができる。
【0021】
FIB鏡筒1を水平方向に設置する。これによりSEM鏡筒2のビーム照射軸とFIB鏡筒1のビーム照射軸は略直交する配置となる。FIB鏡筒1からは集束イオンビーム3が試料5に向けて出射され試料5の表面、すなわちSEM鏡筒2に正対する面をイオンビームエッチッング加工により取り除くことで、試料5の厚みを次第に薄くしていくことができる。
【0022】
従来の方法による配置を表す図13と本発明に係る実施形態の配置を表す図5とを比較すれば明らかなように、本発明に係る実施形態の配置ではSEM鏡筒2の作動距離10を大幅に小さくすることができる。このように作動距離10を短くできると、作動距離10が長い場合に比べて、SEMの分解能やレンズ内検出器の検出効率が向上し、高精細な観察像を得ることができる。
【0023】
集束イオンビーム3で試料5の表面を削っていく場合、加工により生成される面は一般的には図4(a)に示したようにテーパー形状となり集束イオンビーム3と厳密には平行にはならない。そこで、テーパー形状になることを避けるために、図4(b)に示すように試料5をテーパー角度相当量だけ傾けて加工する必要がある。そのため、装置には試料5を図4(b)に示された状態に傾ける機構が必要である。
【0024】
以下に傾斜のための機構の詳細を説明する。まず、基本的な構成として、傾斜のための第一の回転軸6がFIB鏡筒1のビーム照射軸とSEM鏡筒2のビーム照射軸の交点を通り、かつFIB鏡筒1とSEM鏡筒2の両者に直交するように配置する。
【0025】
試料ステージの構成として、例えば第一の回転軸6を、ステージ全体の回転モーメントが最小になるような位置に選ぶことも考えられる。しかし、SEM鏡筒2に対する試料5の作動距離10を最小にした状態では、試料5とSEM鏡筒2の接触の可能性があるので、傾斜に伴う試料5の移動の軌跡が最小化されるように設計されることが望ましい。
【0026】
そのため、前述のように、第一の回転軸6がFIB鏡筒1のビーム照射軸とSEM鏡筒2のビーム照射軸の交点を通り、かつFIB鏡筒1とSEM鏡筒2の両者に直交するように配置する。この配置を採用するため、第一の回転軸6はFIB鏡筒1とSEM鏡筒2に対して機械的に固定された状態となる。
【0027】
このような試料ステージに実際の試料5を乗せる時には、試料5の大きさのちがいや取付け時の誤差などもあり、正確に試料5の加工・観察対象箇所を第一の回転軸6上に配置するためには何らかの位置調整機構が必要となる。この位置調整機構として、略直交する三軸の並進動作が可能な移動機構7を設置する。略直交する三軸のうち、一つの軸は、第一の回転軸6と略平行になるように配置する。このように配置すると、残りの二つの軸は、第一の回転軸6が適当な角度の時に、それぞれFIB鏡筒1およびSEM鏡筒2とそれぞれ略平行な状態となる。
【0028】
ここで説明した移動機構7を用いて、試料5を第一の回転軸6上に配置するためには、第一の回転軸6と一体となって動作する回転台9に、想定する試料5の大きさと、移動機構7自身の大きさを考慮した分の一定距離だけ離れた位置に移動機構7を固定するための支持部8を設ける必要がある。以上が、試料5の面をテーパー形状にならないように加工するための傾斜機構の詳細の説明である。
【0029】
以上説明したような構成の装置において、試料5を移動機構7上に設置されたホルダに設置する。第一の回転軸6が、移動機構7の略直交する三軸が、第一の回転軸6、FIB鏡筒1、およびSEM鏡筒2に対して、それぞれ略平行となるような回転角度にした状態で、試料5の表面がFIB鏡筒1に概ね平行になるように設置する。この状態で、FIB鏡筒1とSEM鏡筒2の両方を用いて試料5を観察し、双方の観察像で試料5の加工観察対象箇所が画面中心に来るように移動機構7を動作することで、試料5が第一の回転軸6上に配置される。
【0030】
試料の配置後、第一の回転軸6を適当な角度動作させて、試料5を傾ける。この時の傾ける角度は、試料5の材質、使用する集束イオンビーム3のビーム電流値等により異なるが、多くの場合数度以内の角度である。試料5の傾斜が完了したら、FIB鏡筒1で試料5が次第に薄くなるように加工していく。加工中はSEM鏡筒2を用いて適宜観察し、所望の構造が試料表面に露出する直前に加工を停止する。ここまでの工程を、試料5を裏返して繰り返し、薄片化を終了する。これにより、均一な厚みを持ちながら観察対象の微細な構造を正しく内包する高度な薄片試料の作製を行うことができる。
【0031】
<実施形態2>
本発明の第二の実施形態を、図3を用いて説明する。実施形態1との差異は、移動機構7と試料5の間に、試料回転機構12を備えることである。この試料回転機構12が備える第二の回転軸11は、移動機構7の略直交する三軸のうちFIB鏡筒1と略平行になることが可能な1つの並進軸と略平行に配置する。
【0032】
この試料回転機構12を備えることで、集束イオンビーム3に垂直な面内での回転方向の姿勢を調整できる。また、試料5の裏面を加工する際に、第2の回転軸11を180度回転させることで、試料5を簡単に裏返すことが可能となる。また、電子ビーム4及び集束イオンビーム3の照射位置で試料5を回転することができるので、観察位置を見失うことなく試料5の姿勢を調整することができる。
【0033】
また、試料5の大きさによっては、回転に際してSEM鏡筒2と干渉する場合もあるので、その場合は、移動機構7を用いて第2の回転軸11をSEM鏡筒2から遠ざけた後、試料5を裏返し、再び移動機構7を用いて試料5を元の位置に戻すことでSEM鏡筒2と干渉することなく試料5を裏返すことができる。
【0034】
<実施形態3>
本発明の第三の実施形態を、図3を用いて説明する。回転台9の支持部8が、試料5を挟んでFIB鏡筒1の反対側にある状態で、試料5の表面とFIB鏡筒1が概ね平行となるようにすることで、通常の操作において、SEM鏡筒2から見て試料5の裏面側に空間を残すことができる。この空間に、透過電子検出器13を配置することで、SEM鏡筒2の観察像として2次電子像だけでなく透過電子像も得ることができるようになる。透過電子像は試料内部の情報や試料5の厚さに関する情報も含むため、観察対象を的確に内包した所望の厚さのTEM薄片を作製するのに適した像を得ることができる。
【0035】
以上の実施形態の説明の通り、本発明による構成の装置を用いることで、高度なTEM薄片の加工工程を、効率よく行うことができる。
【0036】
<実施形態4>
本発明の第四の実施形態を、図6から図11を用いて説明する。図6に示すように、試料回転機構12に接続された傾斜台31に試料5を設置する。傾斜台31は傾斜台31に連接する傾斜機構32により、傾斜台31の試料5を設置した面を電子ビーム4、及び集束イオンビーム3に対し略垂直になるように傾斜することができる。
【0037】
図7(a)は、回転台9により第二の回転軸11を電子ビーム4に対し45度の角度で交差するように設置し、傾斜台31により試料5の表面を電子ビーム4に対し略垂直になるように傾斜した状態の図である。すなわち、傾斜台31は試料回転機構12に対し45度の傾斜角になるように傾斜している。この状態では、試料5の表面に対して電子ビーム4を略垂直に照射することができるので、表面の高分解能SEM観察を行うことができる。また、表面に対し略平行に集束イオンビーム3を照射し、表面を正確に取り除くエッチング加工を行うことができる。
【0038】
次に回転台9及び傾斜台31を駆動せず、そのままの状態で試料回転機構12により試料5及び傾斜台31を180度回転する。これにより、図7(b)に示すように、試料5の表面を電子ビーム4に対し略平行に、かつ、集束イオンビーム3に対し略垂直に配置することができる。
【0039】
この状態では、試料5の表面に対して集束イオンビーム3を略垂直に照射することができるので、エッチング加工により表面に略垂直な断面を形成することができる。また、形成した断面に対し略垂直に電子ビーム4を照射し、断面の高分解能SEM観察を行うことができる。
【0040】
また、試料回転機構12による回転で試料5の姿勢を調整することができるので、回転中の試料5に電子ビーム4、及び集束イオンビーム3を照射し観察することができる。これにより試料5の観察位置を見失うことなく、試料5の姿勢を調整することができる。特に、電子ビーム4、及び集束イオンビーム3に対して、試料5の表面を正確に略垂直または略平行になるように、容易に調整することができる。
【0041】
次に、傾斜台31の傾斜動作について、図8を用いて説明する。傾斜台31を傾斜させるためには、図8(a)に示すように、試料室20内に傾斜用ロッド33を導入する。傾斜用ロッド33を、傾斜機構32に接続し、回転することで、傾斜機構32を駆動し傾斜台31を傾斜させる。図8(b)は、試料5の表面が電子ビーム4及び集束イオンビーム3に対し45度の角度で交わる状態の図である。この状態で傾斜用ロッド33を回転させる。これにより、図8(c)に示すように、試料5の表面に対し、電子ビーム4が略垂直に、集束イオンビーム3が略平行に交わるように試料5の姿勢を変更することができる。
【0042】
また、図8(d)に示すように、傾斜台31を図8(b)と図8(c)の間の状態にすることもできる。すわなち、試料5の表面を、電子ビーム4に対し、約45度から約90度の角度になるように調整することができる。ここで、傾斜台31の調整を試料室20内で実施する例を説明したが、傾斜台31を試料室20の外に出し、傾斜台31を傾斜させることも可能である。
【0043】
次に、試料回転機構12と傾斜台31を用いた試料加工観察方法について説明する。図9(a)は、回転台9により第二の回転軸11を電子ビーム4に対し45度の角度で交差するように設置し、傾斜台31により試料5の表面を電子ビーム4に対し略垂直になるように傾斜した状態の図である。この状態で、集束イオンビーム3を試料5の表面に対し略平行な方向から照射し、試料5の表面の一部をエッチング加工し、加工溝5aを形成する。この加工により加工溝5aの側壁に断面5bが形成される。
【0044】
次に、試料回転機構12を180度回転し、図9(b)に示すように、集束イオンビーム3を断面5bに対し略垂直に照射できるように試料5を配置にする。そして、集束イオンビーム3を断面5bの一部に照射し、加工溝5cを形成する。これにより、断面5bから連続し、かつ、断面5bに対し、略垂直な断面5dを形成することができる。これにより、試料5内部の所望位置の断面を高精度に形成することができる。
【0045】
ところで、凹凸がある表面に集束イオンビームを照射し断面を形成すると断面に凹凸ができてしまうことが知られている。断面5dは集束イオンビーム3で形成した断面5b側から集束イオンビーム3を照射し形成するので、表面の凹凸の影響を受けることなく平坦な断面になる。従って、凹凸のない断面で所望の観察対象を高精度に観察することができる。
【0046】
次に、試料回転機構12と傾斜台31を用いたTEM試料作製方法について説明する。図10(a)は回転台9により第二の回転軸11を電子ビーム4に対し45度の角度で交差するように設置し、傾斜台31により試料5の表面を電子ビーム4に対し略垂直になるように傾斜した状態の図である。この状態で電子ビーム4を試料5の表面に照射し、高分解能SEM観察を行いTEM観察対象の位置を確認する。
【0047】
そして、試料回転機構12を180度回転し、図10(b)に示すように、集束イオンビーム3を断面5bに対し略垂直に照射できるように試料5を配置にする。そして、集束イオンビーム3を照射し薄片部5fを残すように加工溝5eを形成する。
【0048】
そして、傾斜機構32により傾斜台31を傾斜させ、薄片部5fの試料5との接続部部分に集束イオンビーム3を照射し、薄片部5fを試料5から切り離す。これにより、集束イオンビーム3で薄片部5fを観察しながら、集束イオンビーム3に対する姿勢を調整し、加工することができるので、微細なTEM観察対象であっても、見失うことなく高精度に加工することができる。
【0049】
ところで、回転台9により第二の回転軸11を電子ビーム4に対し45度の角度で交差するように試料回転機構12を設置した例について説明したが、試料回転機構12と傾斜台31の設定角度はこれに限定されるものではない。その他の例について図11を用いて説明する。
【0050】
図11(a)は回転台9により第二の回転軸11を電子ビーム4に対し60度の角度、すなわち、集束イオンビーム3に対し30度の角度で交差するように設置し、傾斜台31により試料5の表面を集束イオンビーム3に対し略垂直になるように傾斜した状態の図である。傾斜台31は試料回転機構12に対し30度の角度で傾斜している。この状態で集束イオンビーム3を照射し薄片部5fを残すように加工溝5eを形成する。
【0051】
そして、試料回転機構12を180度回転させる。図11(b)に示すように、第二の回転軸11は電子ビーム4に対し60度の角度であり、傾斜台31に設置された試料5の表面の法線方向は集束イオンビーム3に対して60度の角度をなしている。ここで、薄片部5fの試料5との接続部部分に集束イオンビーム3を照射し、薄片部5fを試料5から切り離す。これにより試料回転機構12を180度回転させることで薄片部5fを切り出すことができる。つまり、回転台9を回転することなく薄片部5fの切り出し加工ができるので、試料移動に伴う位置ずれが小さくし精度良く加工することができる。
【0052】
<実施形態5>
本発明の第五の実施形態を、図12を用いて説明する。
SEM鏡筒2を鉛直方向に設置する。FIB鏡筒1をSEM鏡筒2に対し60度の角度に設置する。そして、試料回転機構12に傾斜台31を接続する。このような構成の装置を用いることで、観察面に対し略垂直に電子ビームを照射することができるので、SEMやSTEM観察の能力を向上させ、かつ、試料の配置と姿勢を効率よく制御することができる。
【0053】
図12(a)は、回転台9により第二の回転軸11を電子ビーム4に対し30度の角度で交差するように設置し、傾斜台31により試料5の観察面を集束イオンビーム3に対し略平行になるように傾斜した状態の図である。すなわち、傾斜台31は試料回転機構12に対し120度の傾斜角になるように傾斜している。この状態では、集束イオンビーム3を照射し、観察面の表層を取り除くようにエッチング加工をすることができる。
【0054】
次に回転台9及び傾斜台31を駆動せず、そのままの状態で試料回転機構12により試料5及び傾斜台31を180度回転する。これにより、図12(b)に示すように、試料5の観察面を電子ビーム4に対し略垂直に配置することができる。この状態では、観察面に対し略垂直に電子ビーム4を照射し、観察面の高分解能SEM観察や透過電子を透過電子検出器13で検出することで高分解能STEM観察を行うことができる。このように試料回転機構12を回転させるだけで試料5を観察面の加工用の配置から観察面の観察用の配置に変更することができる。
【0055】
上記のような構成の装置を用いることで、観察面に対し略垂直に電子ビームを照射し、SEMやSTEM観察の能力を向上させ、かつ、試料の配置と姿勢を効率よく制御することができる。
【符号の説明】
【0056】
1…FIB鏡筒
2…SEM鏡筒
3…集束イオンビーム
4…電子ビーム
5…試料
6…第一の回転軸
7…移動機構
8…支持部
9…回転台
10…作動距離
11…第二の回転軸
12…試料回転機構
13…透過電子検出器
20…試料室
21…二次電子検出器
22…像形成部
31…傾斜台
32…傾斜機構
33…傾斜用ロッド
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の荷電粒子ビーム装置を統合した、複合荷電粒子ビーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
透過電子顕微鏡(TEM)による観察で有用な知見を得るためには、観察対象の試料を数十ナノメートル程度の非常に薄い薄片(TEM薄片)に加工することが必要である。これらの薄片を作製するために、様々な方法が用いられているが、集束イオンビーム(FIB)装置を使用する方法は一般的に広く用いられている方法である。TEM薄片は、電子線がある程度以上透過できるほど薄い部分があることが絶対条件であるが、できるだけ広い範囲にわたり均一に薄いことが望ましい。このため、FIB装置でTEM薄片を作製する場合には、薄片の裏面と表面を平行に加工できることが要求される。また、均質な物質をTEM観察する場合だけではなく、欠陥や異物あるいは局所的な特定の構造などを観察したい場合は、観察対象を薄片内部に残しながら、数十ナノメートルの薄片を作製する必要がある。
【0003】
これらの課題に対し、走査電子顕微鏡(SEM)とFIBを組み合わせることで、加工対象の薄片の観察を容易ならしめ、さらに試料薄片を傾斜させることで、平行度の高い薄片を加工可能にするような例が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、開示されている例では、試料および試料を設置し移動させるためのステージ機構を配置するための空間を確保する必要から、90度より小さいはさみ角でSEMとFIBを配置し試料表面より上部にSEMとFIBが配置される構成としている。このような配置の場合、試料の大きさや配置の自由度が確保される反面、図13に示すようにSEMと試料との距離(作動距離)が一定以上縮めることができなくなっている。一般に高性能SEM鏡筒は、作動距離が短いほど分解能をはじめとする特性が向上し、より精細な観察が可能となる。高度なTEM試料作製のためには観察能力の向上は必須であり、そのためにSEMの作動距離を小さくする方法が求められている。また、特許文献1には試料を傾斜することにより平行度の高い薄片を作製することが開示されているが、実際の装置構成において効率よく正確に試料を傾斜させるための具体的な機構については開示がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−76437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような状況を背景とし、SEMとの作動距離を縮めることでTEM薄片観察の能力を向上させ、かつその構成において効率よく試料の配置と姿勢を制御することが可能な試料保持機構を併せ持つ装置を提案することで、高度なTEM薄片作成技術に資することが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明に係る複合荷電粒子ビーム装置は、集束イオンビーム装置と、走査電子顕微鏡と、回転可能な台とを備えた複合荷電粒子ビーム装置において、集束イオンビーム装置のビーム照射軸と走査電子顕微鏡のビーム照射軸はそれぞれが互いに略直角に交わり、回転可能な台は、集束イオンビーム装置のビーム照射軸と走査電子顕微鏡のビーム照射軸と試料観察位置でそれぞれが互いに略直角に交わる回転軸を有する支持部を備え、支持部は、試料を試料観察位置に配置可能な並進機構と接続する。
【0008】
また、本発明に係る複合荷電粒子ビーム装置は、並進機構が略直交する三つの駆動軸を有し、駆動軸の一つは、支持部の回転により集束イオンビーム装置のビーム照射軸と略平行になる方向に配置されている。
【0009】
また、本発明に係る複合荷電粒子ビーム装置は、並進機構が回転可能な台の第一の回転軸に対し略垂直な回転軸を有する試料回転機構を備えている。
また、本発明に係る複合荷電粒子ビーム装置は、試料回転機構に接続され、走査電子顕微鏡のビーム照射軸に対し略垂直に試料の表面を傾斜可能な傾斜台を有する。
【0010】
また、本発明に係る複合荷電粒子ビーム装置は、試料回転機構に接続され、集束イオンビーム装置のビーム照射軸に対し略垂直に試料の表面を傾斜可能な傾斜台を有する。
また、本発明に係る複合荷電粒子ビーム装置は、回転機構に接続され、集束イオンビーム装置のビーム照射軸と、走査電子顕微鏡のビーム照射軸のそれぞれに対し略垂直に試料の表面を傾斜可能な傾斜台を有する。
【0011】
また、本発明に係る複合荷電粒子ビーム装置は、傾斜台に固定された試料の表面を回転機構により回転させ、集束イオンビーム装置のビーム照射軸と、走査電子顕微鏡のビーム照射軸のそれぞれに対し略垂直に試料の表面を傾斜可能である。
また、本発明に係る複合荷電粒子ビーム装置は、走査電子顕微鏡から試料に電子ビームを照射し、透過した電子を検出可能な透過電子検出器を有する。
【0012】
本発明に係る試料加工観察方法は、走査電子顕微鏡のビーム照射軸に対し試料の表面を略垂直に配置し、表面を走査電子顕微鏡観察する工程と、走査電子顕微鏡のビーム照射軸と互いに略垂直に交差する集束イオンビーム装置のビーム照射軸に対し表面が略垂直になるように試料を回転する工程と、表面に集束イオンビームを照射し、表面を加工する工程と、からなる。
【0013】
また、本発明に係る試料加工観察方法は、表面の加工により断面を形成し、さらに、集束イオンビーム装置のビーム照射軸に対し断面が略垂直になるように試料を回転する工程と、断面に集束イオンビームを照射し、断面を観察する工程と、からなる。
【0014】
また、本発明に係る試料加工観察方法は、集束イオンビーム装置のビーム照射軸に対し試料の表面を略垂直に配置し、集束イオンビームで試料に断面を形成する工程と、集束イオンビーム装置のビーム照射軸に対し断面が略垂直になるように試料を回転する工程と、断面に集束イオンビームを照射し、断面に対し略垂直な断面を形成する工程と、からなる。
【0015】
また、本発明に係る試料加工観察方法は、集束イオンビームを試料に照射し、観察面を形成する工程と、走査電子顕微鏡のビーム照射軸に対し観察面が略垂直になるように観察面を回転させる工程と、観察面に走査電子顕微鏡から電子ビームを照射し、観察面を透過する透過電子を観察する工程と、からなる。
【0016】
また、本発明に係る複合荷電粒子ビーム装置は、集束イオンビーム装置と、走査電子顕微鏡と、回転可能な台とを備えた複合荷電粒子ビーム装置において、回転可能な台は、集束イオンビーム装置のビーム照射軸と走査電子顕微鏡のビーム照射軸のそれぞれに対し、試料観察位置で略直角に交わる回転軸を有する支持部を備え、支持部は、試料を試料観察位置に配置可能な並進機構と接続し、並進機構は、回転可能な台の回転軸に対し略垂直な回転軸を有する試料回転機構を備え、試料回転機構は、走査電子顕微鏡のビーム照射軸に対し略垂直に試料の表面を傾斜可能な傾斜台と接続されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によればSEMの作動距離を小さくした状態で、高精細な観察を行いながら、試料の傾斜を制御してFIB加工をすることができるので精度よくTEM薄片を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る実施形態1の装置構成を示す図である。
【図2】本発明に係る実施形態1の装置構成を示す図である。
【図3】本発明に係る実施形態2,3の装置構成を示す図である。
【図4】本発明に係る実施形態の試料加工を示す図である。
【図5】本発明に係る実施形態の装置構成を示す図である。
【図6】本発明に係る実施形態4の装置構成を示す図である。
【図7】本発明に係る実施形態4の装置構成を示す図である。
【図8】本発明に係る実施形態4の装置構成を示す図である。
【図9】本発明に係る実施形態4の試料加工を示す図である。
【図10】本発明に係る実施形態4の試料加工を示す図である。
【図11】本発明に係る実施形態4の試料加工を示す図である。
【図12】本発明に係る実施形態5の装置構成を示す図である。
【図13】従来開示されている形態を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を用いて本発明に係る実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明は例示であり、本発明の構成は以下の説明に限定されない。
【0020】
<実施形態1>
本発明の第一の実施形態を図面に基づいて説明する。図1、図2は本発明に係る実施形態の複合荷電粒子ビーム装置に関する図である。SEM鏡筒2を鉛直方向に設置する。SEM鏡筒2より電子ビーム4を試料室20内に配置した試料5に向け出射し、試料5の表面を走査し、発生する二次電子を二次電子検出器21で検出し、各位置での2次電子信号量を輝度信号として像形成部22で試料表面の観察像を得る。ここで、SEM鏡筒2内部にレンズ内検出器を有しており、二次電子や反射電子を検出することができる。
【0021】
FIB鏡筒1を水平方向に設置する。これによりSEM鏡筒2のビーム照射軸とFIB鏡筒1のビーム照射軸は略直交する配置となる。FIB鏡筒1からは集束イオンビーム3が試料5に向けて出射され試料5の表面、すなわちSEM鏡筒2に正対する面をイオンビームエッチッング加工により取り除くことで、試料5の厚みを次第に薄くしていくことができる。
【0022】
従来の方法による配置を表す図13と本発明に係る実施形態の配置を表す図5とを比較すれば明らかなように、本発明に係る実施形態の配置ではSEM鏡筒2の作動距離10を大幅に小さくすることができる。このように作動距離10を短くできると、作動距離10が長い場合に比べて、SEMの分解能やレンズ内検出器の検出効率が向上し、高精細な観察像を得ることができる。
【0023】
集束イオンビーム3で試料5の表面を削っていく場合、加工により生成される面は一般的には図4(a)に示したようにテーパー形状となり集束イオンビーム3と厳密には平行にはならない。そこで、テーパー形状になることを避けるために、図4(b)に示すように試料5をテーパー角度相当量だけ傾けて加工する必要がある。そのため、装置には試料5を図4(b)に示された状態に傾ける機構が必要である。
【0024】
以下に傾斜のための機構の詳細を説明する。まず、基本的な構成として、傾斜のための第一の回転軸6がFIB鏡筒1のビーム照射軸とSEM鏡筒2のビーム照射軸の交点を通り、かつFIB鏡筒1とSEM鏡筒2の両者に直交するように配置する。
【0025】
試料ステージの構成として、例えば第一の回転軸6を、ステージ全体の回転モーメントが最小になるような位置に選ぶことも考えられる。しかし、SEM鏡筒2に対する試料5の作動距離10を最小にした状態では、試料5とSEM鏡筒2の接触の可能性があるので、傾斜に伴う試料5の移動の軌跡が最小化されるように設計されることが望ましい。
【0026】
そのため、前述のように、第一の回転軸6がFIB鏡筒1のビーム照射軸とSEM鏡筒2のビーム照射軸の交点を通り、かつFIB鏡筒1とSEM鏡筒2の両者に直交するように配置する。この配置を採用するため、第一の回転軸6はFIB鏡筒1とSEM鏡筒2に対して機械的に固定された状態となる。
【0027】
このような試料ステージに実際の試料5を乗せる時には、試料5の大きさのちがいや取付け時の誤差などもあり、正確に試料5の加工・観察対象箇所を第一の回転軸6上に配置するためには何らかの位置調整機構が必要となる。この位置調整機構として、略直交する三軸の並進動作が可能な移動機構7を設置する。略直交する三軸のうち、一つの軸は、第一の回転軸6と略平行になるように配置する。このように配置すると、残りの二つの軸は、第一の回転軸6が適当な角度の時に、それぞれFIB鏡筒1およびSEM鏡筒2とそれぞれ略平行な状態となる。
【0028】
ここで説明した移動機構7を用いて、試料5を第一の回転軸6上に配置するためには、第一の回転軸6と一体となって動作する回転台9に、想定する試料5の大きさと、移動機構7自身の大きさを考慮した分の一定距離だけ離れた位置に移動機構7を固定するための支持部8を設ける必要がある。以上が、試料5の面をテーパー形状にならないように加工するための傾斜機構の詳細の説明である。
【0029】
以上説明したような構成の装置において、試料5を移動機構7上に設置されたホルダに設置する。第一の回転軸6が、移動機構7の略直交する三軸が、第一の回転軸6、FIB鏡筒1、およびSEM鏡筒2に対して、それぞれ略平行となるような回転角度にした状態で、試料5の表面がFIB鏡筒1に概ね平行になるように設置する。この状態で、FIB鏡筒1とSEM鏡筒2の両方を用いて試料5を観察し、双方の観察像で試料5の加工観察対象箇所が画面中心に来るように移動機構7を動作することで、試料5が第一の回転軸6上に配置される。
【0030】
試料の配置後、第一の回転軸6を適当な角度動作させて、試料5を傾ける。この時の傾ける角度は、試料5の材質、使用する集束イオンビーム3のビーム電流値等により異なるが、多くの場合数度以内の角度である。試料5の傾斜が完了したら、FIB鏡筒1で試料5が次第に薄くなるように加工していく。加工中はSEM鏡筒2を用いて適宜観察し、所望の構造が試料表面に露出する直前に加工を停止する。ここまでの工程を、試料5を裏返して繰り返し、薄片化を終了する。これにより、均一な厚みを持ちながら観察対象の微細な構造を正しく内包する高度な薄片試料の作製を行うことができる。
【0031】
<実施形態2>
本発明の第二の実施形態を、図3を用いて説明する。実施形態1との差異は、移動機構7と試料5の間に、試料回転機構12を備えることである。この試料回転機構12が備える第二の回転軸11は、移動機構7の略直交する三軸のうちFIB鏡筒1と略平行になることが可能な1つの並進軸と略平行に配置する。
【0032】
この試料回転機構12を備えることで、集束イオンビーム3に垂直な面内での回転方向の姿勢を調整できる。また、試料5の裏面を加工する際に、第2の回転軸11を180度回転させることで、試料5を簡単に裏返すことが可能となる。また、電子ビーム4及び集束イオンビーム3の照射位置で試料5を回転することができるので、観察位置を見失うことなく試料5の姿勢を調整することができる。
【0033】
また、試料5の大きさによっては、回転に際してSEM鏡筒2と干渉する場合もあるので、その場合は、移動機構7を用いて第2の回転軸11をSEM鏡筒2から遠ざけた後、試料5を裏返し、再び移動機構7を用いて試料5を元の位置に戻すことでSEM鏡筒2と干渉することなく試料5を裏返すことができる。
【0034】
<実施形態3>
本発明の第三の実施形態を、図3を用いて説明する。回転台9の支持部8が、試料5を挟んでFIB鏡筒1の反対側にある状態で、試料5の表面とFIB鏡筒1が概ね平行となるようにすることで、通常の操作において、SEM鏡筒2から見て試料5の裏面側に空間を残すことができる。この空間に、透過電子検出器13を配置することで、SEM鏡筒2の観察像として2次電子像だけでなく透過電子像も得ることができるようになる。透過電子像は試料内部の情報や試料5の厚さに関する情報も含むため、観察対象を的確に内包した所望の厚さのTEM薄片を作製するのに適した像を得ることができる。
【0035】
以上の実施形態の説明の通り、本発明による構成の装置を用いることで、高度なTEM薄片の加工工程を、効率よく行うことができる。
【0036】
<実施形態4>
本発明の第四の実施形態を、図6から図11を用いて説明する。図6に示すように、試料回転機構12に接続された傾斜台31に試料5を設置する。傾斜台31は傾斜台31に連接する傾斜機構32により、傾斜台31の試料5を設置した面を電子ビーム4、及び集束イオンビーム3に対し略垂直になるように傾斜することができる。
【0037】
図7(a)は、回転台9により第二の回転軸11を電子ビーム4に対し45度の角度で交差するように設置し、傾斜台31により試料5の表面を電子ビーム4に対し略垂直になるように傾斜した状態の図である。すなわち、傾斜台31は試料回転機構12に対し45度の傾斜角になるように傾斜している。この状態では、試料5の表面に対して電子ビーム4を略垂直に照射することができるので、表面の高分解能SEM観察を行うことができる。また、表面に対し略平行に集束イオンビーム3を照射し、表面を正確に取り除くエッチング加工を行うことができる。
【0038】
次に回転台9及び傾斜台31を駆動せず、そのままの状態で試料回転機構12により試料5及び傾斜台31を180度回転する。これにより、図7(b)に示すように、試料5の表面を電子ビーム4に対し略平行に、かつ、集束イオンビーム3に対し略垂直に配置することができる。
【0039】
この状態では、試料5の表面に対して集束イオンビーム3を略垂直に照射することができるので、エッチング加工により表面に略垂直な断面を形成することができる。また、形成した断面に対し略垂直に電子ビーム4を照射し、断面の高分解能SEM観察を行うことができる。
【0040】
また、試料回転機構12による回転で試料5の姿勢を調整することができるので、回転中の試料5に電子ビーム4、及び集束イオンビーム3を照射し観察することができる。これにより試料5の観察位置を見失うことなく、試料5の姿勢を調整することができる。特に、電子ビーム4、及び集束イオンビーム3に対して、試料5の表面を正確に略垂直または略平行になるように、容易に調整することができる。
【0041】
次に、傾斜台31の傾斜動作について、図8を用いて説明する。傾斜台31を傾斜させるためには、図8(a)に示すように、試料室20内に傾斜用ロッド33を導入する。傾斜用ロッド33を、傾斜機構32に接続し、回転することで、傾斜機構32を駆動し傾斜台31を傾斜させる。図8(b)は、試料5の表面が電子ビーム4及び集束イオンビーム3に対し45度の角度で交わる状態の図である。この状態で傾斜用ロッド33を回転させる。これにより、図8(c)に示すように、試料5の表面に対し、電子ビーム4が略垂直に、集束イオンビーム3が略平行に交わるように試料5の姿勢を変更することができる。
【0042】
また、図8(d)に示すように、傾斜台31を図8(b)と図8(c)の間の状態にすることもできる。すわなち、試料5の表面を、電子ビーム4に対し、約45度から約90度の角度になるように調整することができる。ここで、傾斜台31の調整を試料室20内で実施する例を説明したが、傾斜台31を試料室20の外に出し、傾斜台31を傾斜させることも可能である。
【0043】
次に、試料回転機構12と傾斜台31を用いた試料加工観察方法について説明する。図9(a)は、回転台9により第二の回転軸11を電子ビーム4に対し45度の角度で交差するように設置し、傾斜台31により試料5の表面を電子ビーム4に対し略垂直になるように傾斜した状態の図である。この状態で、集束イオンビーム3を試料5の表面に対し略平行な方向から照射し、試料5の表面の一部をエッチング加工し、加工溝5aを形成する。この加工により加工溝5aの側壁に断面5bが形成される。
【0044】
次に、試料回転機構12を180度回転し、図9(b)に示すように、集束イオンビーム3を断面5bに対し略垂直に照射できるように試料5を配置にする。そして、集束イオンビーム3を断面5bの一部に照射し、加工溝5cを形成する。これにより、断面5bから連続し、かつ、断面5bに対し、略垂直な断面5dを形成することができる。これにより、試料5内部の所望位置の断面を高精度に形成することができる。
【0045】
ところで、凹凸がある表面に集束イオンビームを照射し断面を形成すると断面に凹凸ができてしまうことが知られている。断面5dは集束イオンビーム3で形成した断面5b側から集束イオンビーム3を照射し形成するので、表面の凹凸の影響を受けることなく平坦な断面になる。従って、凹凸のない断面で所望の観察対象を高精度に観察することができる。
【0046】
次に、試料回転機構12と傾斜台31を用いたTEM試料作製方法について説明する。図10(a)は回転台9により第二の回転軸11を電子ビーム4に対し45度の角度で交差するように設置し、傾斜台31により試料5の表面を電子ビーム4に対し略垂直になるように傾斜した状態の図である。この状態で電子ビーム4を試料5の表面に照射し、高分解能SEM観察を行いTEM観察対象の位置を確認する。
【0047】
そして、試料回転機構12を180度回転し、図10(b)に示すように、集束イオンビーム3を断面5bに対し略垂直に照射できるように試料5を配置にする。そして、集束イオンビーム3を照射し薄片部5fを残すように加工溝5eを形成する。
【0048】
そして、傾斜機構32により傾斜台31を傾斜させ、薄片部5fの試料5との接続部部分に集束イオンビーム3を照射し、薄片部5fを試料5から切り離す。これにより、集束イオンビーム3で薄片部5fを観察しながら、集束イオンビーム3に対する姿勢を調整し、加工することができるので、微細なTEM観察対象であっても、見失うことなく高精度に加工することができる。
【0049】
ところで、回転台9により第二の回転軸11を電子ビーム4に対し45度の角度で交差するように試料回転機構12を設置した例について説明したが、試料回転機構12と傾斜台31の設定角度はこれに限定されるものではない。その他の例について図11を用いて説明する。
【0050】
図11(a)は回転台9により第二の回転軸11を電子ビーム4に対し60度の角度、すなわち、集束イオンビーム3に対し30度の角度で交差するように設置し、傾斜台31により試料5の表面を集束イオンビーム3に対し略垂直になるように傾斜した状態の図である。傾斜台31は試料回転機構12に対し30度の角度で傾斜している。この状態で集束イオンビーム3を照射し薄片部5fを残すように加工溝5eを形成する。
【0051】
そして、試料回転機構12を180度回転させる。図11(b)に示すように、第二の回転軸11は電子ビーム4に対し60度の角度であり、傾斜台31に設置された試料5の表面の法線方向は集束イオンビーム3に対して60度の角度をなしている。ここで、薄片部5fの試料5との接続部部分に集束イオンビーム3を照射し、薄片部5fを試料5から切り離す。これにより試料回転機構12を180度回転させることで薄片部5fを切り出すことができる。つまり、回転台9を回転することなく薄片部5fの切り出し加工ができるので、試料移動に伴う位置ずれが小さくし精度良く加工することができる。
【0052】
<実施形態5>
本発明の第五の実施形態を、図12を用いて説明する。
SEM鏡筒2を鉛直方向に設置する。FIB鏡筒1をSEM鏡筒2に対し60度の角度に設置する。そして、試料回転機構12に傾斜台31を接続する。このような構成の装置を用いることで、観察面に対し略垂直に電子ビームを照射することができるので、SEMやSTEM観察の能力を向上させ、かつ、試料の配置と姿勢を効率よく制御することができる。
【0053】
図12(a)は、回転台9により第二の回転軸11を電子ビーム4に対し30度の角度で交差するように設置し、傾斜台31により試料5の観察面を集束イオンビーム3に対し略平行になるように傾斜した状態の図である。すなわち、傾斜台31は試料回転機構12に対し120度の傾斜角になるように傾斜している。この状態では、集束イオンビーム3を照射し、観察面の表層を取り除くようにエッチング加工をすることができる。
【0054】
次に回転台9及び傾斜台31を駆動せず、そのままの状態で試料回転機構12により試料5及び傾斜台31を180度回転する。これにより、図12(b)に示すように、試料5の観察面を電子ビーム4に対し略垂直に配置することができる。この状態では、観察面に対し略垂直に電子ビーム4を照射し、観察面の高分解能SEM観察や透過電子を透過電子検出器13で検出することで高分解能STEM観察を行うことができる。このように試料回転機構12を回転させるだけで試料5を観察面の加工用の配置から観察面の観察用の配置に変更することができる。
【0055】
上記のような構成の装置を用いることで、観察面に対し略垂直に電子ビームを照射し、SEMやSTEM観察の能力を向上させ、かつ、試料の配置と姿勢を効率よく制御することができる。
【符号の説明】
【0056】
1…FIB鏡筒
2…SEM鏡筒
3…集束イオンビーム
4…電子ビーム
5…試料
6…第一の回転軸
7…移動機構
8…支持部
9…回転台
10…作動距離
11…第二の回転軸
12…試料回転機構
13…透過電子検出器
20…試料室
21…二次電子検出器
22…像形成部
31…傾斜台
32…傾斜機構
33…傾斜用ロッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集束イオンビーム装置と、走査電子顕微鏡と、回転可能な台とを備えた複合荷電粒子ビーム装置において、
前記集束イオンビーム装置のビーム照射軸と前記走査電子顕微鏡のビーム照射軸はそれぞれが互いに略直角に交わり、
前記回転可能な台は、前記集束イオンビーム装置のビーム照射軸と前記走査電子顕微鏡のビーム照射軸と試料観察位置でそれぞれが互いに略直角に交わる回転軸を有する支持部を備え、
前記支持部は、試料を前記試料観察位置に配置可能な並進機構と接続する複合荷電粒子ビーム装置。
【請求項2】
前記並進機構は、略直交する三つの駆動軸を有し、
前記駆動軸の一つは、前記支持部の回転により前記集束イオンビーム装置のビーム照射軸と略平行になる方向に配置された請求項1に記載の複合荷電粒子ビーム装置。
【請求項3】
前記並進機構は、前記回転可能な台の前記回転軸に対し略垂直な回転軸を有する試料回転機構を備えた請求項2に記載の複合荷電粒子ビーム装置。
【請求項4】
前記試料回転機構に接続され、前記走査電子顕微鏡のビーム照射軸に対し略垂直に前記試料の表面を傾斜可能な傾斜台を有する請求項3に記載の複合荷電粒子ビーム装置。
【請求項5】
前記試料回転機構に接続され、前記集束イオンビーム装置のビーム照射軸に対し略垂直に前記試料の表面を傾斜可能な傾斜台を有する請求項3に記載の複合荷電粒子ビーム装置。
【請求項6】
前記試料回転機構に接続され、前記集束イオンビーム装置のビーム照射軸と、前記走査電子顕微鏡のビーム照射軸のそれぞれに対し略垂直に前記試料の表面を傾斜可能な傾斜台を有する請求項3に記載の複合荷電粒子ビーム装置。
【請求項7】
前記傾斜台に固定された前記試料の表面を前記試料回転機構により回転させ、前記集束イオンビーム装置のビーム照射軸と、前記走査電子顕微鏡のビーム照射軸のそれぞれに対し略垂直に前記試料の表面を傾斜可能な請求項6に記載の複合荷電粒子ビーム装置。
【請求項8】
前記傾斜台は、装置内部で傾斜可能な傾斜機構を有する請求項4から7のいずれか一つに記載の複合荷電粒子ビーム装置。
【請求項9】
前記走査電子顕微鏡から前記試料に電子ビームを照射し、透過した電子を検出可能な透過電子検出器を有する請求項1から8のいずれか一つに記載の複合荷電粒子ビーム装置。
【請求項10】
走査電子顕微鏡のビーム照射軸に対し試料の表面を略垂直に配置し、前記表面を走査電子顕微鏡観察する工程と、
前記走査電子顕微鏡のビーム照射軸と互いに略垂直に交差する集束イオンビーム装置のビーム照射軸に対し前記表面が略垂直になるように前記試料を回転する工程と、
前記表面に集束イオンビームを照射し、前記表面を加工する工程と、からなる試料加工観察方法。
【請求項11】
前記表面の加工により断面を形成し、さらに、
前記集束イオンビーム装置のビーム照射軸に対し前記断面が略垂直になるように前記試料を回転する工程と、
前記断面に前記集束イオンビームを照射し、前記断面を観察する工程と、からなる請求項10に記載の試料加工観察方法。
【請求項12】
集束イオンビーム装置のビーム照射軸に対し試料の表面を略垂直に配置し、集束イオンビームで前記試料に断面を形成する工程と、
前記集束イオンビーム装置のビーム照射軸に対し前記断面が略垂直になるように前記試料を回転する工程と、
前記断面に前記集束イオンビームを照射し、前記断面に対し略垂直な断面を形成する工程と、からなる試料加工観察方法。
【請求項13】
集束イオンビームを試料に照射し、観察面を形成する工程と、
走査電子顕微鏡のビーム照射軸に対し前記観察面が略垂直になるように前記観察面を回転させる工程と、
前記観察面に前記走査電子顕微鏡から電子ビームを照射し、前記観察面を透過する透過電子を観察する工程と、からなる試料加工観察方法。
【請求項14】
集束イオンビーム装置と、走査電子顕微鏡と、回転可能な台とを備えた複合荷電粒子ビーム装置において、
前記回転可能な台は、前記集束イオンビーム装置のビーム照射軸と前記走査電子顕微鏡のビーム照射軸のそれぞれに対し、試料観察位置で略直角に交わる回転軸を有する支持部を備え、
前記支持部は、試料を前記試料観察位置に配置可能な並進機構と接続し、
前記並進機構は、前記回転可能な台の前記回転軸に対し略垂直な回転軸を有する試料回転機構を備え、
前記試料回転機構は、前記走査電子顕微鏡のビーム照射軸に対し略垂直に前記試料の表面を傾斜可能な傾斜台と接続された複合荷電粒子ビーム装置。
【請求項1】
集束イオンビーム装置と、走査電子顕微鏡と、回転可能な台とを備えた複合荷電粒子ビーム装置において、
前記集束イオンビーム装置のビーム照射軸と前記走査電子顕微鏡のビーム照射軸はそれぞれが互いに略直角に交わり、
前記回転可能な台は、前記集束イオンビーム装置のビーム照射軸と前記走査電子顕微鏡のビーム照射軸と試料観察位置でそれぞれが互いに略直角に交わる回転軸を有する支持部を備え、
前記支持部は、試料を前記試料観察位置に配置可能な並進機構と接続する複合荷電粒子ビーム装置。
【請求項2】
前記並進機構は、略直交する三つの駆動軸を有し、
前記駆動軸の一つは、前記支持部の回転により前記集束イオンビーム装置のビーム照射軸と略平行になる方向に配置された請求項1に記載の複合荷電粒子ビーム装置。
【請求項3】
前記並進機構は、前記回転可能な台の前記回転軸に対し略垂直な回転軸を有する試料回転機構を備えた請求項2に記載の複合荷電粒子ビーム装置。
【請求項4】
前記試料回転機構に接続され、前記走査電子顕微鏡のビーム照射軸に対し略垂直に前記試料の表面を傾斜可能な傾斜台を有する請求項3に記載の複合荷電粒子ビーム装置。
【請求項5】
前記試料回転機構に接続され、前記集束イオンビーム装置のビーム照射軸に対し略垂直に前記試料の表面を傾斜可能な傾斜台を有する請求項3に記載の複合荷電粒子ビーム装置。
【請求項6】
前記試料回転機構に接続され、前記集束イオンビーム装置のビーム照射軸と、前記走査電子顕微鏡のビーム照射軸のそれぞれに対し略垂直に前記試料の表面を傾斜可能な傾斜台を有する請求項3に記載の複合荷電粒子ビーム装置。
【請求項7】
前記傾斜台に固定された前記試料の表面を前記試料回転機構により回転させ、前記集束イオンビーム装置のビーム照射軸と、前記走査電子顕微鏡のビーム照射軸のそれぞれに対し略垂直に前記試料の表面を傾斜可能な請求項6に記載の複合荷電粒子ビーム装置。
【請求項8】
前記傾斜台は、装置内部で傾斜可能な傾斜機構を有する請求項4から7のいずれか一つに記載の複合荷電粒子ビーム装置。
【請求項9】
前記走査電子顕微鏡から前記試料に電子ビームを照射し、透過した電子を検出可能な透過電子検出器を有する請求項1から8のいずれか一つに記載の複合荷電粒子ビーム装置。
【請求項10】
走査電子顕微鏡のビーム照射軸に対し試料の表面を略垂直に配置し、前記表面を走査電子顕微鏡観察する工程と、
前記走査電子顕微鏡のビーム照射軸と互いに略垂直に交差する集束イオンビーム装置のビーム照射軸に対し前記表面が略垂直になるように前記試料を回転する工程と、
前記表面に集束イオンビームを照射し、前記表面を加工する工程と、からなる試料加工観察方法。
【請求項11】
前記表面の加工により断面を形成し、さらに、
前記集束イオンビーム装置のビーム照射軸に対し前記断面が略垂直になるように前記試料を回転する工程と、
前記断面に前記集束イオンビームを照射し、前記断面を観察する工程と、からなる請求項10に記載の試料加工観察方法。
【請求項12】
集束イオンビーム装置のビーム照射軸に対し試料の表面を略垂直に配置し、集束イオンビームで前記試料に断面を形成する工程と、
前記集束イオンビーム装置のビーム照射軸に対し前記断面が略垂直になるように前記試料を回転する工程と、
前記断面に前記集束イオンビームを照射し、前記断面に対し略垂直な断面を形成する工程と、からなる試料加工観察方法。
【請求項13】
集束イオンビームを試料に照射し、観察面を形成する工程と、
走査電子顕微鏡のビーム照射軸に対し前記観察面が略垂直になるように前記観察面を回転させる工程と、
前記観察面に前記走査電子顕微鏡から電子ビームを照射し、前記観察面を透過する透過電子を観察する工程と、からなる試料加工観察方法。
【請求項14】
集束イオンビーム装置と、走査電子顕微鏡と、回転可能な台とを備えた複合荷電粒子ビーム装置において、
前記回転可能な台は、前記集束イオンビーム装置のビーム照射軸と前記走査電子顕微鏡のビーム照射軸のそれぞれに対し、試料観察位置で略直角に交わる回転軸を有する支持部を備え、
前記支持部は、試料を前記試料観察位置に配置可能な並進機構と接続し、
前記並進機構は、前記回転可能な台の前記回転軸に対し略垂直な回転軸を有する試料回転機構を備え、
前記試料回転機構は、前記走査電子顕微鏡のビーム照射軸に対し略垂直に前記試料の表面を傾斜可能な傾斜台と接続された複合荷電粒子ビーム装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−216465(P2011−216465A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8183(P2011−8183)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(503460323)エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社 (330)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(503460323)エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社 (330)
【Fターム(参考)】
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