説明

複合補体カスケードインヒビター

本発明は、複合補体カスケードインヒビターおよび複合補体カスケードインヒビターを用いて患者を処置する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンス
本願は、2003年7月3日に出願された米国仮出願第60/484,854号および2004年5月14日に出願された米国仮出願第60/571,374号の利益を請求し、これらの開示は、それらの全部が引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は新規化合物および患者におけるある種の疾患を処置することにおけるそれらの使用に関する。さらに特に、本発明は複合(conjugated)補体カスケードインヒビターに関する。
【背景技術】
【0003】
補体カスケードは、望ましい免疫応答におけるその役割を包含する、よく研究された目的および効果を有する。しかしながら、補体カスケードの望ましくない開始は、炎症および組織損傷を特徴とするある種のよく知られている疾患に関与している。従って、遺伝性血管浮腫、敗血症性ショック、心肺バイパスにおけるポストポンプ症候群、発作性夜間血色素尿症、臓器拒絶反応、創傷、脳損傷、喘息、橋本甲状腺炎、全身性エリテマトーデスの糸球体腎炎および皮膚病変、他の糸球体腎炎、水疱性類天疱瘡、疱疹状皮膚炎、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、重症筋無力症、インシュリン抵抗性、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少性紫斑病、関節リウマチ、多発性硬化症、神経障害ギラン・バレー症候群、ミラー・フィッシャー症候群およびアルツハイマー病を包含する、そのような疾患を処置するために用いることができる補体カスケードインヒビターが開発されている。例えば、特許文献1および特許文献2を参照。
【0004】
補体カスケードの望ましくない開始は、同様に細胞移植および移植片と関連する合併症に関与している。細胞移植および移植片は、心不全、糖尿病、卒中、パーキンソン病、アルツハイマー病、認知症、肝疾患、腎臓病、熱傷および創傷のような疾患を処置するために望ましいことが知られている。しかしながら、この処置は、細胞移植および移植片の免疫原性の性質のために実際には有効でないことが多く、補体カスケードの活性化にそして最終的には拒絶につながる。従って、補体カスケードインヒビターは、拒絶を改善するために望ましい。
【0005】
しかしながら、患者を処置するために用いる化合物に改善された薬物動態学的特性を与えることはいつも望ましい。タンパク質薬剤へのポリエチレングリコール(PEG)の共有結合は、インビボ循環時間、水溶性を増加するためにそしてこれらの薬剤の抗原性を減少するために用いられている。例えば、特許文献3を参照。その生物学的標的と相互作用する活性残基を妨げることなしに、例えばインシュリンおよびヘモグロビンのような巨大タンパク質にいくつかのポリマー分子を連結することは可能である。ポリマーへの低分子タンパク質およびペプチドの連結後に活性を維持することは、これらの生体活性物質は生物学的活性と関連しない結合部位をほとんど有さないことが多いので、より困難である。非ペプチド性小分子薬剤へのポリマー連結は、主としてプロドラッグ戦略に限られている。例えば、特許文献4、特許文献5および特許文献6を参照。これらの方法において、小分子はエステルのような代謝的に不安定な共有結合部分によって非抗原性ポリマーに連結される。薬剤は、小分子が細胞中に細胞膜を越えて運ばれることを可能にするためにエステルの酵素加水分解により非抗原性ポリマーから遊離されなければならない。
【0006】
補体カスケードインヒビターは細胞表面上の受容体と結合するので、それらは細胞膜を横断する必要はない。従って、代謝的に不安定な共有結合を用いる小分子プロドラッグ方法は、不必要に制限する。しかしながら、タンパク質薬剤および小分子プロドラッグの場合におけるように、細胞膜を横断しない小分子補体カスケードインヒビターの薬物動態学的特性を調節するための技術を有することは、それにもかかわらず同等に重要である。従って、小分子補体カスケードインヒビターの薬物動態学的特性を調節するための手段の満たされていない必要性がある。
【0007】
本発明はこれらならびに他の重要な目的に関する。
【特許文献1】米国特許第6,492,403号明細書
【特許文献2】米国特許第6,515,002号明細書
【特許文献3】米国特許第5,711,944号明細書
【特許文献4】米国特許第5,614,549号明細書
【特許文献5】米国特許第5,622,986号明細書
【特許文献6】米国特許第6,127,355号明細書
【発明の開示】
【0008】
[発明の要約]
本発明は、一つには、複合補体カスケードインヒビターを含んでなる化合物に関する。該化合物は補体カスケードの成分における受容体に都合よく結合することができ、そしてそれにより補体カスケードを阻害するかもしくはカスケードから形成されるタンパク質(例えばC3aおよびC5a)の効果を阻害することができる。
【0009】
一つの態様として、本発明は複合補体インヒビターを含んでなる、患者を処置するための薬剤を提供する。
【0010】
別の態様として、本発明は、複合補体インヒビターを患者に投与することを含んでなる、補体カスケードの活性化を抑制するために患者を処置する方法を提供する。
【0011】
本発明のこれらおよび他の態様は、本記述および請求項からいっそう明らかになる。
[実施態様の詳細な記述]
本発明は、一つには、複合補体カスケードインヒビターを含んでなる化合物に関する。該化合物は補体カスケードの成分における受容体に都合よく結合することができ、そしてそれにより補体カスケードを阻害するかもしくはカスケードから形成されるタンパク質(例えばC3aおよびC5a)の効果を阻害することができる。
【0012】
「コンジュゲートした」は、本開示において用いる場合、ポリマー部分が該用語の直後の部分に共有結合されていることを意味すると理解される。従って、本開示の目的のために、複合補体カスケードインヒビターは、共有結合したポリマー部分を有する補体カスケードインヒビターである。ポリマーは、以下に定義するように、ポリアルキレンオキシド、デキストラン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、炭水化物に基づくポリマー、および「活性化」ポリマーよりなる群から選択することができる。
【0013】
補体カスケードインヒビターは、補体カスケードを阻害する任意の化合物であることができる。そのような化合物の例には、米国特許第6,492,403号および第6,515,002号、ならびに2003年5月28日に出願された米国第60/383,130号および第10/445,817号(クライアントリファレンス1420001下)に開示されるものが包含され、これらの開示は、それらの全部が引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0014】
本発明の一つの態様として、式(I):
(D−L)−P
(I)
[式中:
Dは補体カスケードインヒビターである化合物から各出現ごとに独立して選択され;
Lは各出現ごとに独立して選択される場合による(各出現ごとに)連結基であり;
nは1、2、3、4、5もしくは6であり;そして
PはDの薬物動態学的特性を高める化合物である]
の化合物が提供される。
【0015】
好ましい態様として、Dは、生理的条件下で実質的に非加水分解性である結合によりPに連結される(場合によるLを介してを包含する)。
【0016】
好ましい態様として、nは1である。
【0017】
別の好ましい態様として、nは2である。
【0018】
別の好ましい態様として、nは4である。
【0019】
式(I)は全ての可能な組み合わせ、例えば、(D)−P、D−L−D−L−PおよびD−L−P−L−Dを包含する(D−L)−P、ならびに(D)−P−(D−L)を含むと理解される。
補体カスケードインヒビター
C1sサブコンポーネント、C1rサブコンポーネント、C1qサブコンポーネント、C5a受容体、C3、D因子、B因子、C3a受容体およびMASP−2に結合する化合物が包含されるがこれらに限定されるものではない、多数の小分子補体カスケードインヒビターは当該技術分野において既知であり、そして本発明のコンジュゲートした化合物の成分として用いることができる。適当な補体カスケードインヒビターには、例えば、米国特許第6,492,403号および第6,515,002号、ならびに2003年5月28日に出願された米国第60/383,130号および第10/445,817号(クライアントリファレンス1420001下)に開示される化合物のような、C1sサブコンポーネントに結合する化合物が包含され、これらの開示はそれらの全部が引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0020】
適当な補体カスケードインヒビターにはまた、例えば、米国特許第5,652,237号に開示される化合物(この開示は、その全部が引用することにより本明細書に組み込まれる)およびWO 00/61608に開示されるもののような、C1rサブコンポーネントに結合する化合物も包含される。
【0021】
適当な補体カスケードインヒビターにはまた、例えば、WO 02/14265に開示される化合物のような、C5a受容体に結合する化合物も包含され、この開示はその全部が引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0022】
Dは補体カスケードを阻害する任意の化合物であることができると理解されるように、前述の例は本開示の範囲を限定するものではない。DをLに、もしくは直接Pに結合するための適当な地点は、特定の結合機序に関して立体相互作用を考慮すること、異なるそれぞれの結合点を用いていくつかのD−L−PもしくはD−P化合物を製造すること、および例えばP.Giclas,Therapeutic Interventions in the Complement System,pp225−236.編者 Lambris J.D.;Holers M.V.のような既知の方法を用いて生物学的活性に関してそれらの化合物をスクリーニングすることにより決定することができる。一般に、Dは、相補的な基と結合を形成するのに適当な基、例えば、アミノ、カルボキシ、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、オレフィン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、アミノアルキル、カルボキシアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキルおよびメルカプトアルキルを有するか、もしくはそれで置換されることができる。
【0023】
一つの態様として、DはC5a受容体アンタゴニストである。
【0024】
一つの態様として、DはC1rサブコンポーネントに結合する化合物である。
【0025】
一つの態様として、DはC1qサブコンポーネントに結合する化合物である。
【0026】
好ましい態様として、DはMASP−2サブコンポーネントに結合する化合物である。
【0027】
好ましい態様として、DはC1sサブコンポーネントに結合する化合物である。
【0028】
好ましい態様として、DはC1sサブコンポーネントおよびMASP−2サブコンポーネントの両方に結合する化合物である。
【0029】
好ましい態様として、Dは非ペプチドである。
【0030】
好ましい態様として、Dは約100分子量単位(molecular weight unit)〜約2000分子量単位(ならびにその中の範囲および特定の分子量の全ての組み合わせおよびサブコンビネーション)、好ましくは約400分子量単位〜約1200分子量単位、あるいはまた約400分子量単位〜約2000分子量単位の範囲の分子量を有する小分子である。
【0031】
一つの態様として、Dは非芳香族化合物である。
【0032】
一つの態様として、Dは芳香族化合物である。
【0033】
一つの態様として、Dは芳香族グアニジンである。
【0034】
好ましい態様として、Dは芳香族および/もしくは複素芳香族アミジンである。
【0035】
好ましい態様として、Dは式(II):
【0036】
【化1】

【0037】
[式中:
、RおよびRはH、C1〜4アルキル、アミノ、C1〜4アルコキシもしくはヒドロキシから独立して選択され;
Uはチオフェニル−R、ベンジレン、フェニレン、NHもしくは結合であり;
はSO、NHもしくは結合であり;
Zはアリーレン、ヘテロアリーレン、アラルキレン、シクロアルキレン、シクロヘテロエンであり;
WはC(=O)−O、HC(CH)−NH−C(=O)、O、NH、S、CH、C(=O)もしくは結合であり;
Tはアリーレン、ヘテロアリーレン、アラルキレン、シクロアルキレン、シクロヘテロエン、C1〜4アルキル、O、S、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルケニルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ハロ、アミノもしくはニトロであり;
Xはアミノ、カルボキシ、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、オレフィン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、アミノアルキル、カルボキシアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、メルカプトアルキル、またはLもしくはPへの結合であり;
Vはメチル、エチルもしくはClであり;そして
はH、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、アミジニル、アミノメチル、NH、尿素もしくはグアニジニルである]
の化合物である。
【0038】
D、LおよびPは、それらの元の「親」化合物と(D−L)−P化合物の一部としてのそれらの個々の同一物との間でわずかに異なる式を有することが理解される。しかしながら、当業者は2つの式を区別することを必要と考えず、例えば、D−NH−C(=O)−L結合(「連結」化合物)は、当然のことながら、HOOC−L親と組み合わせたD−NH親の結果である。同様に、NH−CH−NH親リンカーは、化合物の一部である場合にHN−CH−NHであることは容易に理解される。従って、特定されない限り、本明細書は、便宜上、親および連結形態を同義的に用いる。
【0039】
一つの態様として、Dは:
【0040】
【化2】

【0041】
[ここで:
はH、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、アミジニル、アミノメチル、NH、尿素もしくはグアニジニルであり、そして
Xは、DがLもしくはPに連結される場合にNHもしくはC(=O)である]
である。
【0042】
一つの態様として、Dは:
【0043】
【化3】

【0044】
[ここで:
XはDがLもしくはPに連結される場合にNHもしくはC(=O)であり;
はC1〜4アルキル、O、S、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルケニルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ハロ、アミノもしくはニトロであり;そして
Vはメチルもしくはエチルである]
である。
【0045】
一つの態様として、Dは:
【0046】
【化4】

【0047】
[ここで:
XはDがLもしくはPに連結される場合にNHもしくはC(=O)であり;
はC1〜4アルキル、O、S、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルケニルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ハロ、アミノ、フェニル、ピラゾリルもしくはニトロであり;そして
Vはメチルもしくはエチルである]
である。
場合による連結基
存在する場合、LはDをPに、これらの部分の間に空間を与えながら、連結するように働く化合物であることができる。本明細書は、例えば、リンカーの末端(terminal end)が開示される説明において、「リンカー」の一部の略語として「スペーサー」という用語を使用し、一群のリンカーはNH(もしくは他の末端)−スペーサー−SH(もしくは他の末端)と表されることができると理解される。
【0048】
Lは各出現ごとに任意であり、そして各出現ごとに独立して選択される。従って、例えば、nが3である場合に、本発明の複合補体インヒビターは、連結基なしほどしかもしくは3個の異なる連結基ほどもを有することができる。
【0049】
好ましい態様として、Lは群:
【0050】
【化5】

【0051】
【化6】

【0052】
【化7】

【0053】
【化8】

【0054】
[ここで、AAはアミノ酸であり、そしてmは1〜12である]、
【0055】
【化9】

【0056】
[ここで、AAはアミノ酸であり、そしてmは1〜12である]、および
【0057】
【化10】

【0058】
から選択される。
薬物動態学的修飾因子
一つの態様として、薬物動態学的修飾因子(式(I)におけるP)は、ポリアルキレンオキシド(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドおよびポリ(エチレン−プロピレン)オキシドを包含する)、デキストラン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、炭水化物に基づくポリマー、および「活性化」ポリマーよりなる群から選択されるポリマーであることができる。
【0059】
好ましい態様として、薬物動態学的修飾因子は、約750式量単位(formula weight unit)〜約60,000式量単位(ならびにその中の範囲および特定の分子量の全ての組み合わせおよびサブコンビネーション)、好ましくは約20,000分子量単位〜約40,000分子量単位の分子量を有するモノメチル末端ポリエチレングリコールである。
【0060】
また、好ましい態様として、薬物動態学的修飾因子は、式(III):
【0061】
【化11】

【0062】
[式中:
MはCH、HC=CH−C(=O)、O=CH−CH、HN−CH−CH、Cl−HN−C(=O)−CH、O=C=N−CHCH、HS−CHCH、HC=CH−S(=O)−CHCH
【0063】
【化12】

【0064】
であり;
jは約17〜約1400(ならびにその中の範囲および特定の数の全ての組み合わせおよびサブコンビネーション)であり;そして
AはO−CH−CH(=O)、O−C(=O)−CH=CH、O−CH−CH−NH、NH、O−CH−C(=O)−NH−NHCl、SH、N=C=O、S(=O)−CH=CH
【0065】
【化13】

【0066】
である]
の活性化ポリマーである。
【0067】
本発明の代わりの態様として、式(IV):
D−L−Pn’
(IV)
[式中:
Dは補体カスケードインヒビターである化合物から各出現ごとに独立して選択され;
Lは各出現ごとに独立して選択される場合による(各出現ごとに)連結基であり;
nは1もしくは2であり;
n’は1、2、3もしくは4であり;そして
PはDの薬物動態学的特性を高める化合物から各出現ごとに独立して選択される]
の化合物が提供される。
【0068】
式(IV)は全ての可能な組み合わせ、例えば、(D)−Pn’、例えばD−L(−P)−P、P−D−P、D−L−P−L−P、D−L−P−L−D、P−D−L−D−L−PおよびD−L−P−P−L−Dを包含する(D−L)−Pn’、ならびに(D)−Pn’−(D−L)を含むと理解される。
【0069】
代わりの態様として、Dは式(V):
【0070】
【化14】

【0071】
[式中:
、RおよびRはH、C1〜4アルキル、アミノ、C1〜4アルコキシもしくはヒドロキシから独立して選択され;
Uはチオフェニル−R、ベンジレン、フェニレン、NHもしくは結合であり;
はSO、NHもしくは結合であり;
Zはアリーレン、ヘテロアリーレン、アラルキレン、シクロアルキレン、シクロヘテロエンであり;
WはC(=O)−O、HC(CH)−NH−C(=O)、O、NH、S、CH、C(=O)もしくは結合であり;
Tはアリーレン、ヘテロアリーレン、アラルキレン、シクロアルキレン、シクロヘテロエン、C1〜4アルキル、O、S、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルケニルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ハロ、アミノもしくはニトロであり;
Xはアミノ、カルボキシ、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、オレフィン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、アミノアルキル、カルボキシアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、メルカプトアルキル、またはLもしくはPへの結合であり;
存在する場合、Yはアミノ、カルボキシ、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、オレフィン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、アミノアルキル、カルボキシアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、メルカプトアルキル、尿素、グアニジニル、またはLもしくはPへの結合であり;そして
Vはメチル、エチルもしくはClである]
の化合物である。
【0072】
好ましい態様として、Dは群:
【0073】
【化15】

【0074】
【化16】

【0075】
[ここで:
XはDがLもしくはPに連結される場合にNHもしくはC(=O)であり、
存在する場合、YはDがLもしくはPに連結される場合にNH、C(=O)、尿素もしくはグアニジニルであり、
Vはメチルもしくはエチルであり、そして
はH、C1〜4アルキル、OH、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルケニルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ハロ、アミノ、フェニル、ピラゾリルもしくはニトロである]
から選択される。
場合による連結基
存在する場合、LはDをPに、これらの部分の間に空間を与えながら、連結するように働く化合物であることができ、そして実質的に上記のとおりである。
薬物動態学的修飾因子
本態様として、薬物動態学的修飾因子は実質的に上記のとおりである。
【0076】
n=1およびn’=2の式(IV)の化合物の一例は:
【0077】
【化17】

【0078】
[ここで:
Dは式(V)の化合物であり、そして
jは約17〜約1400(ならびにその中の範囲および特定の数の全ての組み合わせおよびサブコンビネーション)である]
である。
賦形剤
一つの態様として、賦形剤は、製薬学的組成物における活性化合物の賦形剤として用いられる化合物の既知の群から選択される。賦形剤は、典型的に、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co.,Easton,PA,1980)(この開示は、その全部が本明細書に引用することにより本明細書に組み込まれる)に記述されているように、選択される投与経路および標準的な製薬学的慣習に基づいて選択される。
【0079】
代わりの態様として、活性化合物はリン酸緩衝食塩水に溶解される。
使用の方法
別の態様として、本発明は、複合補体インヒビターを患者に投与することを含んでなる、補体カスケードの活性化を抑制するために患者を処置する方法を提供する。
【0080】
該化合物は補体カスケードの成分における受容体に都合よく結合することができ、そしてそれにより補体カスケードを阻害するかもしくはカスケードから形成されるタンパク質(例えばC3aおよびC5a)の効果を阻害することができる。補体カスケードを抑制する必要性は、補体カスケードの活性化が有害な影響を有して起こるある種の疾患の結果、もしくは補体カスケードの活性化の結果が望ましくないある種の臨床処置(移植、移植片など)においてであることができる。本明細書は、前述の想定および補体カスケードが抑制されるべきであると当業者が認識する任意の時の両方を含むために「疾患」という用語を使用する。
【0081】
本発明の化合物は、遺伝性血管浮腫、敗血症性ショック、心肺バイパスにおけるポストポンプ症候群、発作性夜間血色素尿症、臓器拒絶反応、創傷、脳損傷、喘息、橋本甲状腺炎、全身性エリテマトーデスの糸球体腎炎および皮膚病変、他の糸球体腎炎、水疱性類天疱瘡、疱疹状皮膚炎、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、重症筋無力症、インシュリン抵抗性、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少性紫斑病、関節リウマチ、多発性硬化症、神経障害ギラン・バレー症候群、ミラー・フィッシャー症候群ならびにアルツハイマー病を包含する、多数の疾患を処置するために用いることができる。意図される他の疾患は、米国特許第6,515,002号および第60/383,130号に開示され、これらの全開示はそれらの全部が引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0082】
一つの態様として、本発明は、補体カスケードの活性化を抑制することを含んでなる、個体における細胞移植もしくは移植片の拒絶を改善する方法を含んでなる。
【0083】
移植片は、個体内、同種の個体間もしくは異種の個体間(「異種移植片」)の組織の移動をさす。
【0084】
細胞移植は、個体内、同種の個体間もしくは異種の個体間の細胞の移動をさす。移植される細胞には、幹細胞、1つもしくはそれ以上のドナー動物からの一次細胞、組織培養由来の細胞、膵島細胞、インシュリンを発現する細胞、グルコース調節ホルモンを発現する細胞、または糖尿病の処置のための因子を発現する細胞が包含される。
【0085】
細胞移植および移植片は、心不全、糖尿病、卒中、パーキンソン病、アルツハイマー病、認知症、肝疾患、腎臓病、熱傷および創傷のような疾患を処置するために望ましいことが知られている。しかしながら、この処置は、細胞移植および移植片の免疫原性の性質のために実際には有効でないことが多く、補体カスケードの活性化にそして最終的には拒絶につながる。従って、補体カスケードインヒビターは、拒絶を改善するために望ましい。RJ Armstrong,et al.,Porcine Neural Xenografts In The Immunocompetent Rat:Immune Response Following Grafting Of Expanded Neural Precursor Cells,Neuroscience,2001,106(1):201−16;W Bennet,et al.,Expression Of Complement Regulatory Proteins On Islets Of Langerhans:A Comparison Between Human Islets And Islets Isolated From Normal And hDAF Transgenic Pigs,Transplantation,Jul 27,2001,72(2):312−9;RP Robertson,et al.,Islet Transplantation As A Treatment For Diabetes−A Work In Progress,N Engl J Med.,Feb 12,2004,350(7):694−705;T Lundgren,et al.,Soluble Complement Receptor 1(TP10)Preserves Adult Porcine Islet Morphology After Intraportal Transplantation Into Cynomolgus Monkeys,Transplant Proc.Feb−Mar 2001,33(1−2):725;W Bennet,et al.,Damage To Porcine Islets Of Langerhans After Exposure To Human Blood In Vitro,Or After Intraportal Transplantation To Cynomologus Monkeys:Protective Effects Of Scr1 And Heparin,Transplantation,Mar 15,2000,69(5):711−9;R Reca,et al.,Functional Receptor For C3a Anaphylatoxin Is Expressed By Normal Hematopoietic Stem/Pogenitor Cells,And C3a Enhances Their Homing−Related Responses To SDF−1,Blood,May 15,2003,101(10):3784−93(Epub Jan 2,2003);K Teranishi,et al.,Depletion Of Anti−Gal Antibodies By The Intravenous Infusion Of Gal Type 2 And 6 Glycoconjugates In Baboons,Xenotransplantation,July 2003,10(4):357−67;K Teranishi,et al.,Depletion Of Anti−Gal Antibodies In Baboons By Intravenous Therapy With Bovine Serum Albumin Conjugated To Gal Oligosaccharides,Transplantation,Jan 15,2002,73(1):129−30;JZ Appel,et al.,Modulation Of Platelet Aggregation In Baboons:Implications For Mixed Chimerism In Xenotransplantation.I.The Roles Of Individual Components Of A Transplantation Conditioning Regimen And Of Pig Peripheral Blood Progenitor Cells,Transplantation,Oct 15,2001,72(7):1299−305;M Basker,et al.,Clearance Of Mobilized Porcine Peripheral Blood Progenitor Cells Is Delayed By Depletion Of The Phagocytic Reticuloendothelial System In Baboons,Transplantation,Oct 15,2001,72(7):1278−85;L Buhler,et al.,High−Dose Porcine Hematopoietic Cell Transplantation Combined With CD40 Ligand Blockade In Baboons Prevents An Induced Anti−Pig Humoral Response,Transplantation,Jun 15,2000,69(11):2296−304を参照。
【0086】
一つの態様として、本発明は、複合補体インヒビターを個体に投与することにより補体カスケードの活性化を抑制することを含んでなる、個体における細胞移植もしくは移植片の拒絶を改善する方法を含んでなる。個体は、補体カスケードの少なくとも一部を有する任意の動物であることができ、そして一つの態様として、個体は哺乳類である。
【0087】
望ましくない補体媒介性炎症反応に起因する臓器保存と関連する組織損傷は、臓器保存溶液に補体インヒビターを加えることにより克服できることが見出されている。Bergamaschini L,et al.,C1 inhibitor potentiates the protective effect of organ preservation solution on endothelial cells during cold storage,Transplant Proc.Feb−Mar 2001,33(1−2):939−41を参照。
【0088】
一つの態様として、本発明は、複合補体インヒビターと臓器を接触させることを含んでなる、臓器保存溶液中の臓器における補体活性化を防ぐ方法を含んでなる。
【0089】
移植は、個体内、同種の個体間もしくは異種の個体間であることができる。
【0090】
一つの態様として、本発明は、複合補体インヒビターと物体を接触させることを含んでなる、個体への異物の挿入に応答する補体活性化を防ぐ方法を含んでなる。個体は、補体カスケードの少なくとも一部を有する任意の動物であることができ、そして一つの態様として、個体は哺乳類である。一つの態様として、物体は外科的インプラント、人工臓器もしくは人工関節、または補体活性化が望ましくない同様の物体である。
【0091】
一つの態様として、複合補体インヒビターは式(I)もしくは式(IV):
(D−L)−P D−L−Pn’
(I) (IV)
[式中:
Dは補体カスケードインヒビターである化合物から各出現ごとに独立して選択され;
Lは各出現ごとに独立して選択される任意の(各出現ごとに)連結基であり;
nは1、2、3、4、5もしくは6であり;
n’は1、2、3もしくは4であり;そして
PはDの薬物動態学的特性を高める化合物である]
を有する化合物である。
【0092】
一つの態様として、Dは式(VI):
【0093】
【化18】

【0094】
[式中:
、R、Rおよび場合によりR3’は、H、C1〜4アルキル、アミノ、C1〜4アルコキシもしくはヒドロキシルから独立して選択され、ここで、R3’は、点線が二重結合を表す場合には存在せず;
Uはチオフェニル−R、ベンジレン、フェニレン、NHもしくは結合であり;
はSO、NHもしくは結合であり;
Zはアリーレン、ヘテロアリーレン、アラルキレン、シクロアルキレン、シクロヘテロエンであり;
WはC(=O)−O、HC(CH)−NH−C(=O)、O、NH、S、CH、C(=O)もしくは結合であり;
Tはアリーレン、ヘテロアリーレン、アラルキレン、シクロアルキレン、シクロヘテロエン、C1〜4アルキル、O、S、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルケニルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ハロ、アミノもしくはニトロであり;
Xはアミノ、カルボキシ、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、オレフィン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、アミノアルキル、カルボキシアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、メルカプトアルキル、またはLもしくはPへの結合であり;
存在する場合、Y’はアミノ、カルボキシ、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、オレフィン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、アミノアルキル、カルボキシアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、メルカプトアルキル、尿素、グアニジニル、H、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、アミジニル、アミノメチル、NH、またはLもしくはPへの結合であり;そして
Vはメチル、エチルもしくはClである]
の化合物である。
【0095】
一つの態様として、Lは存在し、そして群:
【0096】
【化19】

【0097】
【化20】

【0098】
【化21】

【0099】
[ここで、AAはアミノ酸であり、そしてmは1〜12である]、
【0100】
【化22】

【0101】
[ここで、AAはアミノ酸であり、そしてmは1〜12である]、および
【0102】
【化23】

【0103】
から選択される。
【0104】
一つの態様として、Pは式(III):
【0105】
【化24】

【0106】
[式中:
MはCH、HC=CH−C(=O)、O=CH−CH、HN−CH−CH、Cl−HN−C(=O)−CH、O=C=N−CHCH、HS−CHCH、HC=CH−S(=O)−CHCH
【0107】
【化25】

【0108】
であり;
jは17〜1400であり;そして
AはO−CH−CH(=O)、O−C(=O)−CH=CH、O−CH−CH−NH、NH、O−CH−C(=O)−NH−NHCl、SH、N=C=O、S(=O)−CH=CH
【0109】
【化26】

【0110】
である]
を有する活性化ポリマーである。
【0111】
投与する有用な投薬量および特定の投与形態は、当業者に容易に明らかであるように、年齢、体重および処置する特定の領域、ならびに薬剤の特定の構成および形態のような因子により異なる。典型的に、投薬量は、より低いレベルで投与され、そして望ましい治療効果が得られるまで増加される。有効成分および担体の相対的比率は、例えば、化合物の溶解性および化学的性質、選択される投与経路ならびに標準的な製薬学的慣習により決定することができる。
【0112】
予防もしくは処置に最も適当である本発明の化合物の投薬量は、投与の形態、選択される特定の化合物および処置下の特定の患者の生理的特徴によって異なる。一般に、低投薬量を最初に使用し、そして必要に応じて、該状況下での所望の効果に到達するまで少しずつ増加することができる。治療的ヒト投薬量は、ラットを用いる生理学的研究に基づいて、一般に1日当たり約0.01mg〜約600mg/kg体重、ならびにその中の範囲の全ての組み合わせおよびサブコンビネーションに及ぶことができる。あるいはまた、治療的ヒト投薬量は、約0.4mg〜約10g以上であることができ、そして1日1回〜数回いくつかの異なる投薬量単位で投与することができる。一般的に言えば、経口投与はより高い投薬量を必要とし得る。
【0113】
本発明の方法に用いる化合物は、患者の体内で薬剤の作用部位と活性薬剤との接触をもたらす任意の手段により、例えば、経口的にもしくは非経口的に投与することができる。
【0114】
非経口投与には、以下の経路:静脈内、筋肉内、皮下、直腸、眼球内、滑液嚢内、経皮を包含する経上皮、眼、舌下および口腔;眼、皮膚、眼球、直腸、および吸入エアロゾルによる鼻孔吸入を包含する局所的による投与が包含される。
【0115】
遊離塩基もしくは薬理学的に許容しうる塩としての活性化合物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と適当に混合した水において製造することができる。分散液もまた、グリセロール、液状ポリエチレングリコールおよびその混合物において、そして油において製造することができる。保存および使用の通常の条件下で、これらの製剤は微生物の増殖を防ぐために防腐剤を含有することができる。
【0116】
注入可能な用途に適当な製薬学的形態には、例えば、滅菌した水性溶液もしくは分散液および滅菌した注入可能な溶液もしくは分散液の即時調製用の滅菌した粉末が包含される。全ての場合において、該形態は好ましくは無菌であり、そして容易に注入できる(provide easy syringability)ように流動性である。それは好ましくは製造および保存の条件下で安定であり、そして好ましくは細菌および真菌のような微生物の汚染作用から保護される。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液状ポリエチレングリコールなど)、その適当な混合物、および植物油を含有する溶媒もしくは分散媒質であることができる。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用により、分散液の場合には必要な粒子サイズの維持により、そして界面活性剤の使用により保つことができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどにより成し遂げられることができる。多くの場合において、等張剤、例えば、糖もしくは塩化ナトリウムを含むことは好ましい。注入可能な組成物の長期吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用により成し遂げられることができる。
【0117】
滅菌した注入可能な溶液は、必要に応じて、様々な上記に列挙する他の成分とともに、適切な溶媒において、必要な量の活性化合物を導入すること、続いて濾過滅菌により製造することができる。一般に、分散液は、基本分散媒質および上記に列挙するものからの必要な他の成分を含有する滅菌した賦形剤に滅菌した有効成分を導入することにより製造することができる。滅菌した注入可能な溶液の製造用の滅菌した粉末の場合、好ましい製造方法には、有効成分の粉末をその前もって滅菌濾過した溶液から任意の追加の所望の成分に加えてもたらす真空乾燥および凍結乾燥技術を包含することができる。
【0118】
化合物は、個々の治療薬としてもしくは他の治療薬との組み合わせにおいて、薬剤と併せて使用するために利用可能な任意の通常手段により投与することができる。他の治療成分には、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤、ステロイド性および非ステロイド性抗炎症薬を包含する抗炎症薬、麻酔薬、制吐薬、免疫抑制剤、ならびにその混合物が包含されるが、これらに限定されるものではない。
【0119】
そのような追加の成分には、下記のもののいずれかが包含される:
a.抗菌剤−アミカシン、アプラマイシン、アルベカシン、バンベルマイシン、ブチロシン、ジベカシン、ジヒドロストレプトマイシン、フォーチミシン(1つもしくは複数)、フラジオマイシン、ゲンタマイシン、イスパマイシン(Ispamicin)、カナマイシン、ミクロノマイシン、ネオマイシン、ウンデシレン酸ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、リボスタマイシン、シソマイシン、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、ステレプトニコジド(Streptonicozid)およびトブラマイシンのようなアミノグリコシド;アジダムフェニコール(Azidamfenicol)、クロラムフェニコール、パルミチン酸クロラムフェニコール、パントテン酸クロラムフェニコール、フロルフェニコール、チアンフェニコールのようなアンフェニコール;リファミド、リファンピン、リファマイシンおよびリファキシミンのようなアンサマイシン;β−ラクタム;イミペネムのようなカルバペネム;1−カルバ(デチア)セファロスポリン、セファクター(Cefactor)、セファドロキシル、セファマンドール、セファトリジン、セファゼドン(Cefazedone)、セファゾリン、セフィキシム、セフメノキシム、セフォジジム、セフォニシド、セフォペラゾン、セフォラニド、セフォタキシム、セフォチアム、セフピミゾール、セフピリミド(Cefpirimide)、セフポドキシムプロキセチル、セフロキサジン、セフスロジン、セフタジジム、セフテラム、セフテゾール、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフロキシム、セフゾナム、セファセトリルナトリウム、セファレキシン、セファログリシン、セファロリジン、セファロスポリン、セファロチン、セファピリンナトリウム、セフラジンおよびピブセファレキシン(Pivcefalexin)のようなセファロスポリン;セフブペラゾン、セフメタゾール、セフミノクス、セフェタン(Cefetan)およびセフォキシチンのようなセファマイシン;アズトレオナム、カルモナムおよびチゲモナン(Tigemonan)のようなモノバクタム;フロモキセフおよびモキソラクタム(Moxolactam)のようなオキサセフェム;アミジノシリン、アムジノシリン、ピボキシル、アモキシシリン、アンピシリン(Ampicillan)、アパルシリン、アスポキシシリン、アジドシラン(Azidocillan)、アズロシリン(Azlocillan)、バカンピシリン、ベンジルペニシリン酸、ベンジルペニシリン、カルベニシリン、カルフェシリン、カリンダシリン、クロメトシリン(Clometocillin)、クロキサシリン、シクラシリン、ジクロキサシリン、ジフェニシリン(Diphenicillin)、エピシリン、フェンベニシリン(Fenbenicillin)、フロキシシリン(Floxicillin)、ヘタシリン、レナンピシリン、メタンピシリン(Metampicillin)、メチシリン、メズロシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペナメシリン(Penamecillin)、ペネタメートヒドリオジド(Penethamate Hydriodide)、ベネタミンペニシリンG、ベンザチンペニシリンG、ベンズヒドリルアミンペニシリンG、ペニシリンGカルシウム、ヒドラバミン(Hydragamine)ペニシリンG、ペニシリンGカリウム、プロカインペニシリンG、ペニシリンN、ペニシリンO、ペニシリンV、ベンザチンペニシリンV、ヒドラバミンペニシリンV、ペニメピサイクリン(Penimepicycline)、フェネチシリン、ピペラシリン、ピバピシリン(Pivapicillin)、プロピシリン、キナシリン(Quinacillin)、スルベニシリン、タランピシリン、テモシリンおよびチカルシリンのようなペニシリン;クリンダマイシンおよびリンコマイシンのようなリンコスミド(Lincosumide);アジスロマイシン、カルボマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン(1つもしくは複数)および誘導体、ジョサマイシン、ロイコマイシン、ミデカマイシン、ミオカマイシン、オレアンドマイシン、プリマイシン(Primycin)、ロキタマイシン、ロサラマイシン(Rosaramicin)、ロキシスロマイシン、スピラマイシンおよびトロレアンドマイシンのようなマクロライド;アンフォマイシン、バシトラシン、カプレオマイシン、コリスチン、エンデュラシジン(Enduracidin)、エンビオマイシン、フサファンギン、クラミシジン(1つもしくは複数)、グラミシジンS、ミカマイシン、ポリミキシン、ポリミキシンβ−メタンスルホン酸、プリスチナマイシン、リストセチン、テイコプラニン、チオストレプトン、ツベラクチノマイシン、チロシジン、チロトリシン、バンコマイシン、バイオマイシン(1つもしくは複数)、バージニアマイシンおよび亜鉛バシトラシンのようなポリペプチド;スピサイクリン(Spicycline)、クロルテトラサイクリン、クロモサイクリン(Clomocycline)、デメクロサイクリン、ドキシサクリン、グアメサイクリン(Guamecycline)、ライムサイクリン、メクロサイクリン、メタサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、ペニメピサイクリン(Penimepicycline)、ピパサイクリン(pipacycline)、ロリテトラサイクリン、サンサイクリン(Sancycline)、セノシクリン(Senociclin)およびテトラサイクリンのようなテトラサイクリン;ならびにサイクロセリン、ムピロシンおよびチュベリンのような他のもの。
b.合成抗菌剤−ブロジモプリム、テトロキソプリムおよびトリメトプリムのような2,4−ジアミノピリミジン;フラルタドン、フラゾリウム(Furazoium)、ニフラデン(Nifuradene)、ニフラテル、ニフルフォリン(Nifurfoline)、ニフルピリノール、ニフルプラジン、ニフルトイノール(Nifurtoinol)およびニトロフラントインのようなニトロフラン;アミフロキサシン(Amifloxacin)、シノキサシン、シプロフロキサシン、ジフロキサシン、エノキサシン、フレロキサシン、フルメキン、ロメフロキサシン、ミロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、オフロキサシン、オキソリン酸、ペルフロキサシン(Perfloxacin)、ピペミド酸、ピロミド酸、ロソキサシン(Rosoxacin)、テマフロキサシンおよびトスフロキサシンのようなキノロンおよびそのアナログ;アセチルスルファメトキシピラジン、アセチルスルフィソキサゾール、アゾスルファミド、ベンジルスルファミド、クロラミン−β、クロラミン−T、ジクロラミン−T、ホルモスルファチアゾール、N.sup.2−ホルミル−スルフィソミジン、N.sup.4−β−D−グルコシルスルファニルアミド、マフェニド、4’−(メチル−スルファモイル)スルファニルアニリド、p−ニトロスルファチアゾール、ノプリルスルファミド(Noprylsulfamide)、フタリルスルファセタミド、フタリルスルファチアゾール、サラゾスルファジミジン(Salazosulfadimidine)、スクシニルスルファチアゾール、スルファベンズアミド、スルファセタミド、スルファクロルピリダジン、スルファクリソイジン、スルファシチン、スルファジアジン、スルファジクラミド(Sulfadicramide)、スルファジメトキシン、スルファドキシン、スルファエチドール、スルファグアニジン、スルファグアノール(Sulfaguanol)、スルファレン、スルファロキシック酸(Sulfaloxic Acid)、スルファメラジン、スルファメータ、スルファメタジン、スルファメチゾール、スルファメトミジン(Sulfamethomidine)、スルファメトキサゾール、スルファメトキシピリダジン、スルファメトロール(Sulfametrole)、スルファミドクリソイジン、スルファモキソール、スルファニルアミド、スルファニルアミドメタンスルホン酸トリエタノールアミン塩、4−スルファニルアミドサリチル酸、N.sup.4−スルファニリルスルファニルアミド、スルファニリル尿素、N−スルファニリル−3,4−キシラミド(N−Sulfanilyl−3,4−xylamide)、スルファニトラン、スルファペリン、スルファフェナゾール、スルファプロキシリン、スルファピラジン、スルファピリジン、スルファソミゾール(Sulfasomizole)、スルファシマジン(Sulfasymazine)、スルファチアゾール、スルファチオ尿素、スルファトラミド、スルフィソミジンおよびスルフィソキサゾールのようなスルホンアミド;アセダプソン、アセジアスルホン(Acediasulfone)、アセトスルホン、ダプソン、ジアチモスルホン(Diathymosulfone)、グルコスルホン、ソラスルホン、スクシスルホン、スルファニル酸、p−スルファニリルベンジルアミン、p、p’−スルホニルジアニリン−N,N’−ジガラクトシド、スルホキソンおよびチアゾールスルホンのようなスルホン;ならびにクロホクトール、ヘキセジン(Hexedine)、マガイニン、メテナミン、メテナミンアンヒドロメチレン−クエン酸塩、馬尿酸メテナミン、マンデル酸メテナミン、スルホサリチル酸メテナミン、ニトロキソリン、スクアラミンおよびキシボモル(Xibomol)のようなその他のもの。
c.抗真菌剤(抗生物質)−アンフォテリシン−B、カンジシジン、デルモスタチン、フィリピン、フンギクロミン、ハチマイシン、ハマイシン(Hamycin)、ルセンソマイシン、メパルトリシン、ナタマイシン、ニスタチン、ペチロシン、ペリマイシン(Perimycin)のようなポリエン;ならびにアザセリン、グリセオフルビン、オリゴマイシン、ピロルニトリン、シッカニン、ツベルシジンおよびビリジン(Viridin)のような他のもの。
d.抗真菌剤(合成)−ナフチフィンおよびテルビナフィンのようなアリルアミン;ビフォナゾール、ブトコナゾール、クロルダントイン、クロルミダゾール(Chlormidazole)、クロコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、エニルコナゾール、フィンチコナゾール(Finticonazole)、イソコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、オモコナゾール、硝酸オキシコナゾール、スルコナゾールおよびチオコナゾールのようなイミダゾール;フルコナゾール、イトラコナゾール、テルコナゾールのようなトリアゾール;ならびにアクリゾルシン、アモロルフィン、ビフェナミン、ブロモサリチルクロラニリド(Bromosalicylchloranilide)、ブクロサミド、クロフェネシン、シクロピロクス、クロキシキン(Cloxyquin)、コパラフィネート、ジアムタゾール、2塩酸塩、エキサラミド、フルシトシン、ハレタゾール(Halethazole)、ヘキセチジン、ロフルカルバン(Loflucarban)、ニフラテル、ヨウ化カリウム、プロピオン酸、ピリチオン、サリチルアニリド、スルベンチン、テノニトロゾール(Tenonitrozole)、トルシクレート、トリンデート(Tolindate)、トルナフテート、トリセチン、ウジョチオン(Ujothion)およびウンデシレン酸のような他のもの。
e.抗緑内障薬−ダピプラゾーク(Dapiprazoke)、ジクロルフェナミド、ジピベフリンおよびピロカルピンのような抗緑内障薬。
f.抗炎症薬−コルチコステロイド、エトフェナメート、メクロフェナム酸、メファナム酸、ニフルム酸のようなアミノアリールカルボン酸誘導体;アセメタシン、アンフェナク、シンメタシン(Cinmetacin)、クロピラク(Clopirac)、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、フェンクロラク、フェンクロジック酸(Fenclozic Acid)、フェンチアザク、グルカメタシン(Glucametacin)、イソゼパク(Isozepac)、ロナゾラク(Lonazolac)、メチアジン酸、オキサメタシン、プログルメタシン、スリンダク、チアラミドおよびトルメチンのようなアリール酢酸誘導体;ブチブフェンおよびフェンブフェンのようなアリール酪酸誘導体;クリダナク、ケトロラクおよびチノリジンのようなアリールカルボン酸;ブクロクス酸、カルプロフェン、フェノプロフェン、フルノキサプロフェン(Flunoxaprofen)、イブプロフェン、イブプロキサム、オキサプロジン、ピケトプロフェン(Piketoprofen)、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プロチジン酸およびチアプロフェン酸のようなアリールプロピオン酸誘導体;メピリゾールのようなピラゾール;クロフェゾン、フェプラゾン、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、フェニルピラゾリジニノン(Phenyl Pyrazolidininone)、スキシブゾンおよびチアゾリノブタゾン(Thiazolinobutazone)のようなピラゾロン;ブロモサリゲニン、フェンドサル(Fendosal)、サリチル酸グリコール、メサラミン、サリチル酸1−ナフチル、オルサラジンおよびスルファサラジンのようなサリチル酸誘導体;ドロキシカム(Droxicam)、イソキシカムおよびピロキシカムのようなチアジンカルボキサミド;ならびにe−アセトアミドカプロン酸、S−アデノシルメチオニン、3−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン(Amixetrine)、ベンダザック、ブコローム、カルバゾン、ジフェンピラミド(Difenpiramide)、ジタゾール、グアイアズレン、ミコフェノール酸の複素環式アミノアルキルエステルおよび誘導体、ナブメトン、ニメスリド、オルゴテイン、オキサセプロール(Oxaceprol)、オキサゾール誘導体、パラニリン(Paranyline)、ピフォキシム(Pifoxime)、2−置換された−4,6−ジ−第三ブチル−s−ヒドロキシ−1,3−ピリミジン、プロクアゾン(Proquazone)およびテニダップのようなその他のもの。
g.防腐剤−アレキシジン(Alexidine)、アンバゾン(Ambazone)、クロルヘキシジンおよびピクロキシジン(Picloxydine)のようなグアニジン;塩化ボミル(Bomyl Chloride)、ヨウ素酸カルシウム、ヨウ素、1塩化ヨウ素、3塩化ヨウ素、ヨードホルム、ポビドン−ヨード、次亜塩素酸ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、シムクロセン、ヨウ化チモール、トリクロカルバン、トリクロサンおよびトロクロセンカリウムのようなハロゲン/ハロゲン化合物;フラゾリドン、2−(メトキシメチル)−5−ニトロフラン、ニドロキシゾン(Nidroxyzone)、ニフロキシム、ニフルジド(Nifurzide)およびニトロフラゾンのようなニトロフラン;アセトメロクトール、クロロキシレノール、ヘキサクロロフェン、サリチル酸1−ナフチル、2,4,6−トリブロモ−m−クレゾールおよび3’,4’,5−トリクロロサリチルアニリドのようなフェノール;アミノキヌリド(Aminoquinuride)、クロロキシン(Chloroxine)、クロルキナルドール、クロキシキン(Cloxyquin)、エチルヒドロクプレイン、ハルキノール、ヒドラスチン、8−ヒドロキシキノリンおよび硫酸塩のようなキノリン;ならびにホウ酸、クロロアゾジン、酢酸m−クレシル、硫酸銅およびイクタモールのような他のもの。
h.抗ウイルス剤−2−アセチル−ピリジン−5−((2−ピリジルアミノ)チオカルボニル)チオカルボノヒドラゾン、アシクロビル、ジデオキシアデノシン、ジデオキシシチジン、ジデオキシイノシン、エドクスジン、フロクスウリジン、ガンシクロビル、イドクスウリジン、MADU、ピリジノン、トリフルリジン、ビドラルビン(Vidrarbine)およびジドブジン(Zidovudline)のようなプリン/ピリミジノン;アセチルロイシンモノエタノールアミン、アクリジナミン(Acridinamine)、アルキルイソオキサゾール、アマンタジン、アミジノマイシン(Amidinomycin)、クミンアルデヒド、チオセミカルブゾン(Thiosemicarbzone)、ホスカメット(Foscamet)ナトリウム、ケトキサル(Kethoxal)、リゾチーム、メチサゾン、モロキシジン、ポドフィロトキシン、リバビリン、リマンタジン、スタルリマイシン(Stallimycin)、スタトロン(Statolon)、チモシン、トロマンタジン(Tromantadine)およびキセナゾイック酸(Xenazoic acid)。
i.免疫抑制剤−メチルプレドニソロン、アトガム、チモグロブリン、OKT3、バシリキシマブ、ダクリズマブ、ラパマイシン、プレドニゾン、サイクロスポリン、タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチルおよびアザチオプリン。
製造方法
別の態様として、本発明は補体カスケードインヒビターを製造する方法を提供する。
【0120】
図1は、中間体2〜9上に連結のための適当なハンドルを提供するように主要骨格(key scaffold)1(米国仮出願60/383130)上に二官能性リンカー(式IにおけるリンカーL)を導入するために用いることができる8つの方法論を要約する概略図を説明する。X=NHもしくはOHの場合、骨格1は、それぞれ、ピリジンのような塩基の存在下でクロロギ酸p−ニトロフェニルで処理することにより、p−ニトロフェニルカルバメートもしくはp−ニトロフェニルカーボネートに事前に活性化されることができる。このin−situ生成中間体を塩基、好ましくはトリエチルアミンもしくはジイソプロピルエチルアミンの存在下で適当なリンカー(NH−スペーサー−Y’)と直ちに反応させて尿素もしくはカルバメート2を生成せしめる(経路a)。X=NHの場合、骨格1を活性化カルバメートもしくはイソシアネートを含有するリンカーと直接反応させて尿素4(W’=NH)を生成せしめることができる。X=NHの場合、骨格1はまたカーボネートまたは活性化酸官能基(もしくは酸塩化物)を含有するリンカーで処理してそれぞれカルバメート4(W’=O)もしくはアミド4(W’=CH)を生成せしめることもできる。この経路の別のバリエーションとして、骨格1上の求核剤(X=SHもしくはOH)は、求核置換反応においてリンカー上の優れた脱離基を置換することによりアルキル化されて中間体7を製造することができる(経路f)。さらに、骨格1上の優れた脱離基(好ましくは、LG=Cl、Br、I、p−ニトロフェノール、メチルスルホネートもしくはp−トルエンスルホネート)を用いて適当な二官能性リンカーをアルキル化して中間体3もしくは6(ここで、Z=NH、SもしくはO)を生成せしめることができる(それぞれ、経路bおよびeに記述するとおり)。あるいはまた、Xが酸塩化物もしくは活性化酸である場合、これを経路dに示すようにアミン含有リンカーで処理してアミド5を生成せしめることができる。経路dにおいて、活性化酸は、多数の標準的なペプチドカップリング試薬、好ましくはDIC/DMAPで処理することによりin situで生成せしめることができる。最後に、骨格1とリンカーとの連結は、Xに導入される適当なマイケルアクセプターで共役付加を実施することにより成し遂げられることができる。従って、塩基の存在下で、アクリルアミドもしくはビニルスルホンと適当な求核剤(Z=NHもしくはS)を保有するリンカーとの反応は、所望の中間体8もしくは9を生成せしめる(それぞれ、経路gおよびhに記述するとおり)。
【0121】
図2は、中間体11〜18上に連結のための適当なハンドルを提供するように主要骨格10(米国仮出願60/383130)上に二官能性リンカーを導入するために用いることができる8つの方法論を要約する概略図を説明する。X=NHもしくはOHの場合、骨格1は、それぞれ、ピリジンのような塩基の存在下でクロロギ酸p−ニトロフェニルで処理することにより、p−ニトロフェニルカルバメートもしくはp−ニトロフェニルカーボネートに事前に活性化されることができる。このin−situ生成中間体を塩基、好ましくはトリエチルアミンもしくはジイソプロピルエチルアミンの存在下で適当なリンカー(NH−スペーサー−Y’)と直ちに反応させて尿素もしくはカルバメート11を生成せしめる(経路a)。X=NHの場合、骨格10を活性化カルバメートもしくはイソシアネートを含有するリンカーと直接反応させて尿素13(W’=NH)を生成せしめることができる。X=NHの場合、骨格10はまたカーボネートまたは活性化酸官能基(もしくは酸塩化物)を含有するリンカーで処理して、それぞれカルバメート13(W’=O)もしくはアミド13(W’=CH)を生成せしめることもできる。この経路の別のバリエーションとして、骨格10上の求核剤(X=SHもしくはOH)は、求核置換反応においてリンカー上の優れた脱離基を置換することによりアルキル化されて中間体16を製造することができる(経路f)。さらに、骨格10上の優れた脱離基(好ましくは、LG=Cl、Br、I、p−ニトロフェノール、メチルスルホネートもしくはp−トルエンスルホネート)を用いて適当な二官能性リンカーをアルキル化して中間体12もしくは15(ここで、Z=NH、SもしくはO)を生成せしめることができる(それぞれ、経路bよびeに記述するとおり)。あるいはまた、Xが酸塩化物もしくは活性化酸である場合、これを経路dに示すようにアミン含有リンカーで処理してアミド14を生成せしめることができる。経路dにおいて、活性化酸は、多数の標準的なペプチドカップリング試薬、好ましくはDIC/DMAPで処理することによりin situで生成せしめることができる。最後に、骨格10とリンカーとの連結は、Xに導入される適当なマイケルアクセプターで共役付加を実施することにより成し遂げられることができる。従って、塩基の存在下で、アクリルアミドもしくはビニルスルホンと適当な求核剤(Z=NHもしくはS)を保有するリンカーとの反応は、所望の中間体17もしくは18を生成せしめる(それぞれ、経路gおよびhに記述するとおり)。
【0122】
図3は、上記の中間体のような、リンカー−薬剤複合体へのPEG連結の9つの戦略を要約する概略図を説明する。
【0123】
一つの一般的な連結戦略は、薬剤−リンカー19とPEG反応性官能基(−NHもしくは−COH)との間のアミド結合形成を含む。例えば、Y’=COHの場合、PEG−アミンおよび化学量論のDMAPの存在下でのカルボジイミドカップリングにより20を生成せしめる(DCM中でTFAでの脱保護後)。HBTU、PyBopもしくはDPPAのような他のカップリング試薬を同様に用いることができる。Y’がカルボン酸エステルである場合、エステルの加水分解によりカルボン酸を生成せしめ、それを前述のようにPEG−アミンに連結することができる。あるいはまた、アミン官能基(Y’=NH)を含有するリンカーを同様のアミド化試薬によりPEG−カルボン酸に連結して、22(モノマーのPEG)もしくは21(複数のPEG単位)を生成せしめることができる。市販されているPEG−活性化エステル(例えば、PEG−CO−N−ヒドロキシスクシニミジルエステル)を同様にこの目的に用いることができる。
【0124】
薬剤−リンカー複合体にPEGを連結するための第二の一般的な戦略は、スルフィド結合を生成せしめる、適切な求電子剤への求核チオール付加もしくは置換を含む。例えば、チオールを含有するPEGをハロゲン化物(Y’=Br)もしくはメシレート(Y’=OHから合成する)を含有するリンカーと反応させて、24を生成せしめることができる。あるいはまた、チオールを含有するリンカーをPEG上のマレイミド基に付加して26を生成せしめることができる。これらの場合の各々において、反応性パートナー上の官能基はまた逆にすることもできる(リンカー対PEG)。
【0125】
連結のための第三の一般的な戦略は、PEGとリンカーとの間の尿素もしくはカルバメートの形成を含む。例えば、薬剤−リンカー複合体19がアミン官能基(Y’=NH)を含有する場合、アミン塩基とクロロギ酸p−ニトロフェニルのような試薬を用いて活性化カルバメートを形成することができる[J.Med.Chem.38,3236−3245(1995)]。この活性化カルバメートをPEG−アミンと反応させて、23を生成せしめることができる。同様に、Y’=OHの場合、クロロギ酸p−ニトロフェニルのような試薬を用いて活性化カーボネートを形成することができる。PEG−アミンとこのカーボネート中間体との反応により、25を生成せしめる。この場合もまた、これらの場合の各々において、反応性パートナー上の官能基を逆にすることができる(リンカー対PEG)。
【0126】
図4は、PEG単位当たり複数の薬剤−リンカー部分(式(I)におけるn=2もしくはn=4の場合のような)を合成するためのいくつかの代表的戦略を示す。一つの態様として、PEG部分は、PEGの各末端で単に官能性化することができ((例えば:HNCHCH−(OCHCH−CHCHNH)二官能性化PEG)、もしくはPEG構築物に様々な分枝を含有することができる(例えば:四分枝状PEG)。関連する連結化学は、図3に関して記述するものと同様である。例えば、二官能性アミン−PEG(PEG−(NH)を過剰の19(Y’=COH)と連結して二官能性部分27を生成せしめることができる。同様に、複数官能性化アミン−PEG(PEG−(NH)を活性化カルバメート(19(Y’=NH)から合成する)もしくはカーボネート(19(Y’=OH)から合成する)と反応させて、それぞれ、29および30を生成せしめることができる。あるいはまた、反応性マレイミド部分で官能性化したPEGを塩基性条件下で19(Y’=SH)と反応させて28を生成せしめることができる。さらに、複数のカルボン酸基を有する分枝状PEGを標準的なアミド結合形成条件を用いて19(Y’=−NHR(R=H、Me))に連結して31を生成せしめることができる。
【0127】
図1〜4に記述する戦略を実施するために用いる方法論は、有機およびペプチド化学の技術分野において訓練を受けたものにとって慣用的である。
【0128】
例えば、それぞれ、アミンもしくはアルコールからアミドもしくはエステルを形成することは、典型的に、DIC/DMAPの組み合わせを用いて(ここで、ラセミ化は問題ではなかった)もしくはHBTU/HOBTの組み合わせを用いて(ここで、アミノ酸のα−中心のラセミ化は潜在的な問題であった)成し遂げられた。これはまた、多数の他の標準的な縮合剤(EDC、PyBOP、HATU、TBTU、HOBT/活性化エステルもしくはDIC/HOBT)を用いて成し遂げることもできる。(1)Bodanszky,M.;The Practice of Peptide Synthesis:Springer−Verlag:New York,1984.(2)Bunin,B.;The Combinatorial Index:Academic Press:New York,1998.(3)J Org Chem.1999,64(22):8063−8075.尿素形成は、一般に、イソシアネートとアミンとの反応もしくはクロロギ酸p−ニトロフェニルでの活性化に続く第二のアミンとの反応により成し遂げられた。(1)J.Med.Chem.1995,38,3236−3245.共役付加およびマレイミドへのチオール付加は、前述のように実施した。(1)J.Am.Chem.Soc.1999,121,7967−7968.(2)Bioconjugate Chemistry.2003,14(2):464−72.(3)Nat Struct Biol.2000,7(4):309−11.(4)March,J.:Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,& Structure:Wiley:New York,1992.
今度は図5を参照して、アニリン32(米国第60/383,130号に記述される)を図2に記述するようにリンカー62、63もしくは64に連結して対応するアミド33、カルバメート34および尿素35を生成せしめることができる。化合物33、34および35におけるRが保護されたアミンであり、そしてY’がOH、保護されたアミンもしくはカルボン酸である場合、R上の保護基を除き、そしてビス−Boc保護されたS−メチルイソチオ尿素(Aldrich Chemical Company,Milwaukee,US)とさらに反応させてグアニジン36、37および38を生成せしめることができる。Rがニトロ基である場合、これをアミンに還元し、そして同様に処理して化合物36、37および38を生成せしめることができる。
【0129】
今度は図6を参照して、化合物39を形成するためにリンカーに連結したビアリールチオフェンアミジン(米国第60/383,130号に記述される)をいくつかの方法によってPEG分子に結合することができる。例えば、Y’=COHの場合、PEG−アミン(PEG−NH)および化学量論のDMAPの存在下でのカルボジイミドカップリングにより40を生成せしめる(DCM中でTFAでの脱保護後)。HBTU、PyBopもしくはDPPAのような他のカップリング試薬を同様に用いることができる。Y’がカルボン酸エステルである場合、エステルの加水分解によりカルボン酸を生成せしめ、それを前述のようにPEG−NHに連結することができる。あるいはまた、アミン官能基(Y’=NH)を含有するリンカーを同様のアミド化試薬によりPEG−COHに連結して、43を生成せしめることができる。市販されているPEG−活性化エステル(例えば、PEG−CO−N−ヒドロキシスクシニミジルエステル)を同様にこの目的に用いることができる。
【0130】
薬剤−リンカー複合体39にPEGを連結するための第二の一般的な戦略は、スルフィド結合を生成せしめる、適切な求電子剤への求核チオール付加もしくは置換を含む。例えば、チオールを含有するPEGをハロゲン化物(Y’=Br)もしくはメシレート(Y’=OHから合成する)を含有するリンカーと反応させて、42を生成せしめることができる。
【0131】
連結のための第三の一般的な戦略は、PEGとリンカーとの間の尿素もしくはカルバメートの形成を含む。例えば、薬剤−リンカー複合体5がアミン官能基(Y’=NH)を含有する場合、アミン塩基とクロロギ酸p−ニトロフェニルのような試薬を用いて活性化カルバメートを形成することができる[J.Med.Chem.38,3236−3245(1995)]。この活性化カルバメートをPEG−NHと反応させて、41(Y”=NH)を生成せしめることができる。同様に、Y’=OHの場合、クロロギ酸p−ニトロフェニルのような試薬を用いて活性化カーボネートを形成することができる。PEG−NHとこのカーボネート中間体との反応により、41(Y”=O)を生成せしめる。
【0132】
図7は、リンカーなしに薬剤分子に直接PEG部分を結合する方法を記述する。この方法は、実施例5において使用した。
【0133】
Teoc保護されたビス−アニリン44(米国第60/383,130号に記述される)をTBAFで処理し、そして得られるビス−アニリンをビス−Boc保護されたS−メチルイソチオ尿素(Aldrich Chemical Company,Milwaukee,US)で処理し、それはより少ない立体障害のアミンと主に反応して化合物45を生成せしめる。化合物45を図3に関して記述するようにクロロギ酸p−ニトロフェニル、続いてPEG−アミン(PEG−NH)で処理し、そしてTFAで脱保護して化合物46を生成せしめることができる。
【0134】
あるいはまた、45を図3に関して記述するようにPEG−酸(PEG−COH)で処理し、そしてTFAで脱保護して化合物47を生成せしめることができる。
【0135】
図8は、実施例6に記述する化合物の製造の代替経路を説明する。アニリン48(米国第60/383,130号に記述される)をジイソプロピルエチルアミンの存在下で塩化アセトキシアセチルでアシル化し、続いてアセチル基を鹸化して第一級アルコール49を生成せしめた。49のニトロ基の還元、続いて得られるアニリンの酢酸における1,3−ビス(tert−ブトキシカルボニル)−2−メチル−2−チオプソイド尿素でのグアニジニル化によりアルコール51を生成せしめた。第一級アルコールを塩化メシルで活性化した。得られるメシレート52を3−メルカプトプロピオンアミドPEG−20KDa(Rapp Polymere)と連結した。最後に、TFA/DCM(1:1)での全体的脱保護によりPEG付加(PEGylated)化合物53を生成せしめた(実施例6、代替経路)。
【0136】
図9は、実施例6における化合物の製造の代替経路を説明する。リンカー57は、ブロモ酢酸tert−ブチルでの3−メルカプトプロピオン酸メチルのアルキル化、続いてTFAでのtert−ブチル基の除去により2段階で製造する。次に、リンカー57をDIC/DMAPを用いて中間体58(米国第60/383,130号に記述される)に連結する。メチルエステルの加水分解、続いてTBAFでのTeoc保護基の除去および前述のようなグアニジニル化により酸60を生成せしめる。この中間体のポリマーへの連結は標準的な条件(DCM中のDIC/DMAP)、続いてTFAでの全体的脱保護を用いて成し遂げられて所望の化合物61を生成せしめる(実施例6)。
【0137】
図10は、増加した平均分子量を有するPEG−コンジュゲートおよび特に増加した平均分子量(>35K)を有する多価PEG−コンジュゲートを合成する方法を記述する。中間体45は、アミン塩基とクロロギ酸p−ニトロフェニルのような試薬を用いて活性化カルバメートに転化することができる[J.Med.Chem.38,3236−3245(1995)]。この活性化カルバメートを化合物62のような二官能性化PEGと反応させて遊離のカルボン酸末端を有するPEGコンジュゲート63を生成せしめることができる。この酸を、より大きい分子量を有するコンジュゲート65を生成せしめるために64のような単官能性PEGの存在下で、もしくは2価PEG−コンジュゲート67を生成せしめるために化合物66のような二官能性PEGの存在下でジイソプロピルカルボジイミドで活性化することができる。化合物67をTFAで処理して活性化合物68を生成せしめることができる。
【0138】
今度は図11を参照して、多価PEG−コンジュゲートを合成するために方法を記述する。ビス−Boc保護されたリシンのヒドロキシスクシンイミドエステル69を66のような二官能性PEGに連結することができ、それはTFAで処理すると4価PEG種70を生成せしめる。中間体45は、アミン塩基とクロロギ酸p−ニトロフェニルのような試薬を用いることにより活性化カルバメートに転化することができる[J.Med.Chem.38,3236−3245(1995)]。この活性化カルバメートをDIEAの存在下で70と反応させて4価PEG−薬剤コンジュゲートを生成せしめることができ、それはTFAで処理すると活性の4価PEG−薬剤コンジュゲート71を生成せしめる。
【0139】
本発明の化合物およびコンジュゲートは、当業者に周知である多数の方法において製造することができる。化合物は、例えば、下記の方法もしくは当業者により認識されるようなそれへのバリエーションにより合成することができる。本発明と関連して開示される全ての方法は、ミリグラム、グラム、マルチグラム、キログラム、マルチキログラムもしくは商業工業規模を包含する任意の規模で実施されることが意図される。
【0140】
本発明の方法において用いる化合物は、1個もしくはそれ以上の非対称的に置換された炭素原子を含有することができ、そして光学活性体もしくはラセミ体で単離されることができる。従って、特定の立体化学もしくは異性体が特に示されない限り、構造の全てのキラル、ジアステレオマー、ラセミ体および全ての幾何異性体が意図される。そのような光学活性体を製造しそして単離する方法は、当該技術分野において周知である。例えば、立体異性体の混合物は、ラセミ体の分割、順相、逆相およびキラルクロマトグラフィー、選択的塩形成、再結晶化などが包含されるがこれらに限定されるものではない標準的な技術により、またはキラル出発物質からのキラル合成によるかもしくは標的キラル中心の意図的合成により分離することができる。
【0141】
容易に理解されるように、存在する官能基は、合成の過程において保護基を含有することができる。保護基は、ヒドロキシル基およびカルボキシル基のような官能基に選択的に付加されそしてそれから取り除かれることができる化学官能基としてそれ自体既知である。これらの基は、化合物がさらされる化学反応条件に対してそのような官能基を不活性にするために化学化合物に存在する。様々な保護基のいずれかを本発明で用いることができる。好ましい保護基には、ベンジルオキシカルボニル基およびtert−ブチルオキシカルボニル基が包含される。本発明に従って用いることができる他の好ましい保護基は、Greene,T.W.and Wuts,P.G.M.,Protective Groups in Organic Synthesis 2d.Ed.,Wiley & Sons,1991に記述され得る。
定義
任意の変記号が任意の置換基においてもしくは任意の式において1回より多く存在する場合、各存在におけるその定義は、あらゆる他の存在でのその定義から独立している。従って、例えば、基もしくは複数の基が0〜2個のQで置換されると示される場合、該基(1つもしくは複数)は場合により2個までのQで置換されていてもよく、そして各基における各出現ごとにのQは、可能なQの定義されたリストから独立して選択される。置換基および/もしくは変記号の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合に限り許容される。置換基への結合が環における2個の原子を連結する結合を横断するように示される場合、そのような置換基は該環上の任意の原子に結合されることができる。
【0142】
「生理的条件下で実質的に非加水分解性の」は、ヒトにおいてインビボで典型的に見られる条件をさす。そのような結合には、アミド、尿素、炭素−炭素、カルバメート、エーテル、チオエーテル、チオ尿素、チオアミド、アミン、オキシム、ヒドラジドおよびケトンが包含される。
【0143】
「製薬学的に許容しうる」という語句は、妥当な利益/危険比に相応する、過度の毒性、刺激、アレルギー反応または他の問題もしくは合併症なしにヒトおよび動物の組織と接触して使用するために、適切な医学的判断の範囲内で、適当である化合物、物質、組成物および/もしくは投与形態物をさすために本明細書において用いられる。
【0144】
本明細書において用いる場合、「製薬学的に許容しうる塩」は、酸もしくは塩基塩を製造することにより改変される開示化合物の誘導体をさす。適当な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,PA,1985,p.1418に見出され、その開示は引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0145】
バッファーには、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、スルホサリチル酸塩および酢酸塩バッファーが包含される。より完全なリストは米国薬局方に見出されることができ、その開示はその全部が本明細書に引用することにより本明細書に組み込まれる。
略語
PEG ポリエチレングリコール
TFA トリフルオロ酢酸
EtN トリエチルアミン
THF テトラヒドロフラン
EtOAc 酢酸エチル
rt 室温
NaOH 水酸化ナトリウム
MgSO 硫酸マグネシウム
DCM ジクロロメタン
CHCl 塩化メチレン
NaHCO 炭酸水素ナトリウム
MeOH メタノール
TLC 薄層クロマトグラフィー
AcOH 酢酸
O 水
SiO 二酸化ケイ素
ESI−MS エレクトロスプレーイオン化質量分析
Boc tert−ブトキシカルボニル
DIC ジイソプロピルカルボジイミド
H NMR プロトン核磁気共鳴
CDCl 重水素化クロロホルム
h 時間
MW 分子量
mL ミリリットル
MeOD 重水素化メタノール
mg ミリグラム
g グラム
μL マイクロリットル
min 分
HPLC 高圧液体クロマトグラフィー
mmol ミリモル
mol モル
DIEA ジイソプロピルエチルアミン
EtOAc 酢酸エチル
NHCl 塩化アンモニウム
EtOH エタノール
NaCO 炭酸ナトリウム
PTLC 分取薄層クロマトグラフィー
EtO ジエチルエーテル
RP−HPLC 逆相高圧液体クロマトグラフィー
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
HBTU O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テト
ラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩
HOBT 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物
EDC 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミ
ン塩酸塩
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’
,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩
TBTU 2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3
−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩
PyBOP ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノ−
ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩
DPPA アジ化ジフェニルホスホリル
DIPC 2−ジメチルアミノイソプロピルクロリド塩酸塩
Ms−Cl 塩化メシル
NaOH 水酸化ナトリウム
Teoc トリメチルシリルエトキシカルボニル
DMSO ジメチルスルホキシド
SO 硫酸
HNO 硝酸
HCl 塩酸
aq 水性
Hex ヘキサン
CHCN アセトニトリル
KNO 硝酸カリウム
Pd(PPh テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)
LCMS 液体クロマトグラフィー質量分析
CO 炭酸カリウム
PEG 20K 20,000ダルトンポリエチレングリコール
TBAF フッ化テトラブチルアンモニウム
DTNB 5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)
CDOD 重水素化メタノール
PG 保護基
LG、LG、LG 脱離基
本発明を以下の実施例においてさらに記述する。
[実施例]
【実施例1】
【0146】
11−[3’−(5−カルバムイミドイル−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル)−4−グアニジノ−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル]−ウンデカン酸ビス−トリフルオロアセテートのmPEG20Kアミド
【0147】
【化27】

【0148】
a)8−メチル−1H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,4−ジオン
【0149】
【化28】

【0150】
THF(60mL)中の2−アミノ−3−メチル安息香酸(9.07g、60mmol)の溶液にジイソプロピルエチルアミン(20.9mL)およびジクロロメタン(60mL)中のトリホスゲン(5.94g、20mmol)の溶液を30分の期間にわたって同時に加えた。添加を完了した後に、混合物を周囲温度で16時間攪拌した。固体を濾過し、そしてエーテル(2x100mL)およびHO(3x50mL)で洗浄し、そして高真空中で乾燥させて表題化合物(10.02g、94%の収率)を白色の固体として生成せしめた。H NMR(DMSO):δ11.02(s,1H),7.76(d,1H,J=7.7Hz),7.57(d,1H,J=7.5Hz),7.17−7.13(m,1H),2.32(s,3H)。
b)8−メチル−6−ニトロ−1H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,4−ジオン
【0151】
【化29】

【0152】
氷水浴中の8−メチル−1H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,4−ジオン((実施例1:段階a)9.27g、52.4mmol)を入れたフラスコに濃HSO(90mL)を5分の期間にわたって加えた。10分間攪拌した後に、発煙HNO(2.9mL)を15分にわたって加えた。反応混合物を氷水浴中でさらに30分、周囲温度で30分間攪拌し、次に攪拌しながら氷にゆっくりと注ぎ込んだ。固体を集め、HO(3x50mL)で洗浄し、そして高真空中で乾燥させて表題化合物(10.4g、89%の収率)を黄色の固体として生成せしめた。H NMR(DMSO−d):δ11.65(br s,1H),8.46−8.43(m,2H),2.44(s,3H)。
c)2−アミノ−3−メチル−5−ニトロ−安息香酸メチルエステル
【0153】
【化30】

【0154】
メタノール(30mL)中の8−メチル−6−ニトロ−1H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,4−ジオン((実施例1:段階b)1.04g、4.68mmol)の懸濁液にメタノール中のナトリウムメトキシドの溶液(0.5M、0.94mL、4.7mmol)を加えた。混合物を周囲温度で1時間攪拌し、そして飽和NHClの添加により中和した。メタノールを減圧下で除き、そして得られる混合物を濾過した。固体をHO(2回)で洗浄し、高真空中で乾燥させて生成物(0.97g、99%の収率)を黄色の固体として生成せしめた。H NMR(DMSO d):δ8.48(d,1H,J=2.7Hz),8.02−8.01(m,1H),7.75(br,s,2H),3.86(s,3H),2.20(s,3H)。
d)2−ブロモ−3−メチル−5−ニトロ−安息香酸メチルエステル
【0155】
【化31】

【0156】
臭化銅(II)(7.40g、33.1mmol)を入れたフラスコに周囲温度でMeCN(30mL)中の亜硝酸t−ブチル(4.50mL、37.9mmol)の溶液を加えた。5分間攪拌した後に、MeCN(50mL)中の2−アミノ−3−メチル−5−ニトロ−安息香酸メチルエステル((実施例1:段階c)4.97g、23.7mmol)の懸濁液を加えた。混合物を周囲温度で15分間、65℃で20分間攪拌し、次に周囲温度まで冷却して戻した。反応物を濾過し、そして濾液を濃縮して濃褐色の固体を生成せしめた。固体をヘキサンで研和し、濾過し、そしてヘキサン(4x50mL)で洗浄した。全てのヘキサン層を合わせ、そして濃縮して表題生成物(5.7g、88%の収率)を淡黄色の固体として生成せしめた。H NMR(CDCl):δ8.35(d,1H,J=2.5Hz),8.21(d,1H,J=2.9Hz),3.99(s,3H),2.59(s,3H)。
e)2−ブロモ−3−メチル−5−ニトロ−安息香酸
【0157】
【化32】

【0158】
エタノール(50mL)中の2−ブロモ−3−メチル−5−ニトロ−安息香酸メチルエステル((実施例1:段階d)5.04g)の溶液にaq NaOHの溶液(4M、10.1mL、40.5mmol)を加え、そして周囲温度で16h攪拌した。得られる赤色に着色した溶液を濃縮乾固させ、最小量のHOに溶解し、そして1N HClでpH3〜4に酸性化した。固体を濾過し、HO(3x50mL)で洗浄し、高真空下で乾燥させて表題化合物(4.5g、94%の収率)を淡黄色の固体として生成せしめた。H NMR(DMSO):δ8.36−8.35(m,1H),8.24−8.23(m,1H),2.53(s,3H)。
f)(2−ブロモ−3−メチル−5−ニトロ−フェニル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0159】
【化33】

【0160】
rtでtert−ブタノール(25mL)中の2−ブロモ−3−メチル−5−ニトロ−安息香酸((実施例1:段階e)520mg、2mmol)およびトリエチルアミン(1.4mL、2.1mmol)の攪拌溶液にアジ化ジフェニルホスホリル(453μL、2.1mmol)を加えた。15分後に、反応物を80℃に16h加熱した。EtOAc(100mL)を加え、そして溶液をクエン酸(3x30mL)、NaHCO(2x30mL)およびブライン(50mL)の溶液で抽出した。カラムクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を白色の固体として生成せしめた。H NMR(CDCl):δ8.93(d,1H,J=2.6Hz),7.77(app dd,1H,J=0.7,2.8Hz),7.26(br s,1H),2.51(s,3H),1.55(s,9H)。
g)2−ブロモ−3−メチル−5−ニトロ−フェニルアミン
【0161】
【化34】

【0162】
(2−ブロモ−3−メチル−5−ニトロ−フェニル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル((実施例1:段階f)435mg、1.32mmol)をトリフルオロ酢酸およびDCM(全部で10mL)の1:1混合物の10mLに溶解した。1h攪拌した後に、溶媒を真空中で除き、そして黄色の固体残留物(306mg)をさらに精製せずに使用した。H NMR(CDCl):δ7.46(d,1H,J=2.8Hz),7.42(d,1H,J=2.8Hz),6.62(br s,2H),2.42(s,3H)。
h){[4−(6’−アミノ−2’−メチル−4’−ニトロ−ビフェニル−3−スルホニル)−5−メチルスルファニル−チオフェン−2−イル]−イミノ−メチル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0163】
【化35】

【0164】
スターラーバーを有するフラスコに{[4−(3−ジヒドロキシボラニル−ベンゼンスルホニル)−5−メチルスルファニル−チオフェン−2−イル]−イミノ−メチル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(米国仮出願60/383130(752mg、1.65mmol))、2−ブロモ−3−メチル−5−ニトロ−フェニルアミン((実施例1:段階g)306mg、1.32mmol)、水性NaCO(2M、4mL、8mmol)、エタノール(4mL)およびトルエン(8mL)を入れた。溶液にアルゴンを10分間散布し、そしてPd(PPh(294mg、0.25mmol)を加えた。二相の溶液を80℃で16h不活性雰囲気下で強く攪拌し、次にrtに冷却した。EtOAc(40mL)および水(20mL)を加え、そして層を分離した。有機層を飽和NaHCO(2x20mL)、ブライン(20mL)で洗浄し、そして硫酸ナトリウム上で乾燥させた。真空中での溶媒の除去、続いて残留物のカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中10〜40%のEtOAc)により表題化合物(245mg、33%)を黄色の固体として生成せしめた。H−NMR(CDCl):δ8.03(ddd,1H,J=1.2,2.1,8.1Hz),7.91(s,1H),7.90(t,1H,J=1.6Hz),7.69(t,1H,J=7.9Hz),7.53(app dd,1H,J=0.7,2.3Hz),7.50(dt,1H,J=1.4,7.7Hz),7.44(app dd,1H,J=0.5,2.3Hz),3.70(s,2H),2.59(s,3H),2.00(s,3H),1.51(s,9H)。
i)11−{4−アミノ−3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル}−ウンデカン酸メチルエステル
【0165】
【化36】

【0166】
DCM(10mL)中の{[4−(6’−アミノ−2’−メチル−4’−ニトロ−ビフェニル−3−スルホニル)−5−メチルスルファニル−チオフェン−2−イル]−イミノ−メチル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル((実施例1:段階h)118mg、0.21mmol)の溶液にトリエチルアミン(139μL、1mmol)を加えた。11−クロロカルボニル−ウンデカン酸メチルエステル(73mg、0.26mmol)を5分にわたって滴下して加えた。30分の攪拌後に、反応は完了しなかった。反応が完了するまで、酸塩化物の追加分(3x1eq)を同様に加えた。EtOAc(40mL)の添加、続いてNaHCO(2x20mL)およびブライン(30mL)での水性処理(aqueous workup)により粗アミド(206mg)をガラスとして生成せしめた。残留物をEtOH(5mL)に溶解し、そして4MのaqNHCl(1mL)を加えた。鉄粉(165mg、3mmol)を加え、そして反応物を75℃で1h加熱した。冷却した混合物を0.22μmのフィルターを通して濾過し、そして固体を5mLずつの(5mL portions of)MeOHおよびEtOAcで洗浄した。追加のEtOAc(80mL)を加え、そして有機溶液をクエン酸(2x20mL)、NaHCO(2x30mL)、水(30mL)およびブライン(50mL)で洗浄した。乾燥および溶液の濃縮により表題化合物(165mg)を生成せしめ、それをさらに精製せずに使用した。ESI−MS(m/z):C3750についての計算値(M+H):759.3;実測値:759.4。
j)11−{3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−4−(N,N−ビス−(tert−ブトキシカルボニルアミノ))グアニジノ−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル}−ウンデカン酸
【0167】
【化37】

【0168】
MeOH(10mL)中の11−{4−アミノ−3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル}−ウンデカン酸メチルエステル((実施例1:段階i)122mg、0.16mmol)の溶液に水酸化ナトリウム(1M、1mL)を加えた。溶液をrtで18h攪拌し、溶液をAcOH(500μL)でクエンチし、そして溶媒を真空中で除いた。残留物をMeOH(10mL)、AcOH(500μL)に溶解し、そしてN,N−ビス(tert−ブトキシカルボニル)−S−メチル−イソチオ尿素(145mg、0.5mmol)を加えた。溶液を40℃で16h攪拌し、そして溶媒を真空中で除いた。残留物をEtOAc(50mL)と水(20mL)との間で分配し、そして有機層をブライン(20mL)で洗浄した。乾燥および溶液の濃縮により残留物を生成せしめ、それをSiO上でクロマトグラフィーにかけた(6:4 Hex/EtOAc、次に25:75:5 Hex/EtOAc/MeOH)。残留物をRP−HPLC(C−18カラム、CHCN/HO)によりさらに精製して115mgの生成物を生成せしめた。H−NMR(CDOD):δ8.16(s,1H),8.01(ddd,1H,J=1.2,1.9,7.9Hz),7.87(t,1H,J=1.6Hz),7.65(t,1H,J=7.9Hz),7.53(m,1H),7.50(dt,1H,J=1.4,7.7Hz),7.39(m,1H),2.66(s,3H),2.29(t,2H,J=7.4Hz),2.05(s,3H),1.93(m,2H),1.61(m,2H),1.53(s,18H),1.49(s,9H),1.0−1.40(s,12H),0.94(m,2H)。
k)11−[3’−(5−カルバムイミドイル−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル)−4−グアニジノ−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル]−ウンデカン酸ビス−トリフルオロアセテートのmPEG20Kアミド
【0169】
【化38】

【0170】
DCM(15mL)中の11−{3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−4−(N,N−ビス−(tert−ブトキシカルボニルアミノ))グアニジノ−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル}−ウンデカン酸((実施例1:段階j)30mg、0.03mmol)およびN,N−ジメチルアミノピリジン(4.6mg、0.038mmol)の溶液にジイソプロピルカルボジイミド(DCM中0.2M、15μL)を滴下して加えた。溶液をrtで15分間攪拌し、そしてmPEG20K−NH(327mg、0.015mmol)を加えた。溶液をrtで18h(4h後にニンヒドリン陰性)攪拌した。DCM(10mL)およびMeOH(1mL)を加え、続いてEtO(〜100mL)をゆっくりと加えた。溶液を冷却して沈殿を完了し、そして固体を濾過によって集めた。一部の固体(127mg)を乾燥させ、そして1:1のTFA/DCMに再溶解した。2h攪拌した後に、溶媒を真空中で除き、そして高真空下で乾燥させた。HPLC精製(C18カラム、30minにわたってHO中10〜55%のCHCN)により104mgの純粋なPEG付加化合物を生成せしめた。δ3.62でPEG抑制を有するH−NMR(CDCl):δ9.20(s,1H),8.5−9.0(HOピーク),8.37(s,1H),8.22(s,1H),8.07(d,1H,J=7.7Hz),7.77(s,1H),7.65(t,1H,J=7.7Hz),7.53(d,1H,J=7.2Hz),7.41(s,1H),7.05(s,1H),7.00(s,3H),3.82(m,PEGサテライト),3.62(m,PEGメチレン),3.47(m,PEGサテライト),3.39(s,3H,PEG−OMe末端),2.65(s,3H),2.26(t,2H,J=7.2Hz),2.05(s,3H),2.04(m,1H),1.93(m,1H),1.62(m,2H),1.02−1.38(m,12H),0.95(m,2H)。
【実施例2】
【0171】
6−{3−[3’−(5−カルバムイミドイル−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル)−4−グアニジノ−6−メチル−ビフェニル−2−イル]−ウレイド}−ヘキサン酸ビス−トリフルオロアセテートのmPEG20Kアミド
【0172】
【化39】

【0173】
a)4−ブロモ−5−メチル−3−ニトロ安息香酸メチルエステル
【0174】
【化40】

【0175】
4−ブロモ−3−メチル安息香酸メチルエステル(10.13g、44mmol)を室温でHSO(120mL)およびTFA(15mL)の混合物に溶解した。溶液を氷浴上で冷却し、そしてKNO(4.65g、46mmol)を30minにわたって少しずつ加え、混合物を周囲温度で4時間攪拌し、その間にそれはrtまで温まった。TLC分析(ミニ水性ワークアップ後)は、出発物質の完全な消失を示した(30% EtOAc/Hex)。溶液を氷上に注ぎ、そして水性スラリーをEtOAc(3x150mL)で抽出した。有機層を5% NaCO(3x75mL)、NaHCO(3x50mL)、水(2x100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、次に硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶液の濃縮により黄色がかった固体/ゲル物質(11.6g)を生成せしめ、それはTLCにより1スポットであった。H NMR分析は、o−およびm−ニトロベンゾエート誘導体に対応する、〜2:1の比率の2つの主要生成物を示した。該物質をさらに精製せずに次の段階に進めた。
b)4−ブロモ−5−メチル−3−ニトロ安息香酸
【0176】
【化41】

【0177】
4−ブロモ−5−メチル−3−ニトロ安息香酸メチルエステル(実施例2:段階a(11.6g、42.3mmol))をrtでMeOH(400mL)に溶解し、そして2N NaOH(43mL)を添加漏斗によって30minにわたって滴下して加えた。溶液を12h攪拌し、その間に沈殿物が現れ、そして出発物質は消失した(TLCは、30%のEtOAcにおいてベースラインスポットのみを示す)。pHを濃HClで〜2に調整し、そしてメタノールを真空中で除いた。EtOAc(300mL)を水性スラリーに加え、そして層を分離した。水層をEtOAc(2x50mL)で抽出し、そして次に廃棄した。合わせた有機抽出物のTLC分析は、2つの生成物を示した(ヘキサン中40%のEtOAc、4% AcOH)。合わせた有機抽出物をo−ニトロ安息香酸(TLC、Hex中40%のEtOAc、4% AcOH上で低い方のスポット)の除去が完了するまで0.5N NaHPO/0.5N NaOAcの3:1溶液(〜30x50mLずつ)で洗浄した。次に、有機層をブラインで洗浄し、そして硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶液の濃縮により5.4g(47%)の白色の固体を生成せしめた。H NMR(CDOD)δ8.10(m,2H),2.54(s,3H)。
c)(4−ブロモ−3−メチル−5−ニトロ−フェニル)−カルバミン酸2−トリメチルシラニル−エチルエステル
【0178】
【化42】

【0179】
rtで1,4−ジオキサン(80mL)中の2−ブロモ−3−メチル−5−ニトロ−安息香酸(実施例2:段階b(5.2g、20mmol))およびジイソプロピルエチルアミン(3.66mL、21mmol)の攪拌溶液にアジ化ジフェニルホスホリル(4.31mL、20mmol)を加えた。rtで30分後に、反応物を90℃に5分間加熱した。トリメチルシリルエタノール(5.73mL、40mmol)を加え、そして溶液を95℃で16h攪拌した。溶媒を真空中で除き、そして残留物をEtOAc(100mL)と水(30mL)との間で分配した。有機層を水性クエン酸(3x30mL)、NaHCO(2x30mL)およびブライン(50mL)でさらに洗浄した。カラムクロマトグラフィー(9:1 Hex/EtOAc)により精製して表題化合物(4.1g)を黄色の固体として生成せしめた。H NMR(CDCl):δ7.73(d,1H,J=2.4Hz),7.41(br d,1H,J=1.7Hz),7.01(s,1H),4.24(m,2H),2.43(s,3H),1.02(m,2H),0.04(s,9H)。
d)(3−アミノ−4−ブロモ−5−メチル−フェニル)−カルバミン酸2−トリメチルシラニル−エチルエステル
【0180】
【化43】

【0181】
EtOH(27mL)および水(54mL)中の(4−ブロモ−3−メチル−5−ニトロ−フェニル)−カルバミン酸2−トリメチルシラニル−エチルエステル(実施例2:段階c(4.1g、10.9mmol))およびNHCl(5.84g、109mmol)の懸濁液に鉄粉(6.1g、109mmol)を加えた。反応物を85℃で14h加熱した。冷却した混合物をセライトを通して濾過し、そして固体を1:1のEtOAc/MeOH(200mL)で洗浄した。濾液を真空中で濃縮し、そして残留物をEtOAc(100mL)とHO(30mL)との間で分配した。有機溶液を水(30mL)およびブライン(50mL)で洗浄した。乾燥および溶液の濃縮によりアニリン(3.24g、86%)を褐色の固体として生成せしめ、それをさらに精製せずに使用した。H NMR(CDCl):δ6.96(s,1H),6.54(s,1H),6.39(s,1H),4.26(m,2H),4.16(s,2H),2.35(s,3H),1.06(m,2H),0.08(s,9H)。
e)[3−アミノ−5−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−カルバミン酸2−トリメチルシラニル−エチルエステル
【0182】
【化44】

【0183】
酢酸パラジウム(106mg、0.47mmol)、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル(658mg、1.88mmol)、(3−アミノ−4−ブロモ−5−メチル−フェニル)−カルバミン酸2−トリメチルシラニル−エチルエステル((実施例2:段階d)3.24g、9.38mmol)をフラスコにおいて合わせ、そしてアルゴン雰囲気下に置いた。p−ジオキサン(40mL)、続いてトリエチルアミン(5.23mL、38mmol)およびピナコールボラン(4.08mL、28mmol)を加えた。溶液を80℃で1h攪拌し、その間にpptが現れた。溶媒を真空中で除き、そして残留物をEtOAc(100mL)とaq.NHCl(50mL)との間で分配した。有機層をNHCl(2x30mL)、NaHCO(30mL)およびブライン(50mL)でさらに洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO)、真空中で濃縮し、そして残留物をSiOカラムクロマトグラフィー(8:2 Hex/EtOAc)により精製して生成物(2.44g、66%)を褐色の固体として生成せしめた。H NMR(CDCl):δ6.77(s,1H),6.38(s,1H),6.28(d,1H,J=1.9Hz),4.91(s,2H),4.23(m,2H),2.42(s,3H),1.32(s,12H),1.03(m,2H),0.05(s,9H)。
f){6−アミノ−3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−2−メチル−ビフェニル−4−イル}−カルバミン酸2−トリメチルシラニル−エチルエステル
【0184】
【化45】

【0185】
スターラーバーを有するフラスコに[3−アミノ−5−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−カルバミン酸2−トリメチルシラニル−エチルエステル(実施例2:段階e(2.34g、5.96mmol))、{[4−(3−ブロモ−ベンゼンスルホニル)−5−メチルスルファニル−チオフェン−2−イル]−イミノ−メチル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル((米国仮出願60/383130)2.93g、5.96mmol)、水性NaCO(2M、11.9mL、23.8mmol)、エタノール(12mL)およびトルエン(24mL)を入れた。溶液にアルゴンを10分間散布し、そしてPd(PPh(689mg、0.6mmol)を加えた。二相の溶液を80℃で16h不活性雰囲気下で強く攪拌し、次にrtに冷却した。EtOAc(80mL)および水(20mL)を加え、そして層を分離した。有機層を飽和NaHCO(2x20mL)、ブライン(20mL)で洗浄し、そして硫酸ナトリウム上で乾燥させた。真空中での溶媒の除去、続いて残留物のカラムクロマトグラフィー(85:15 DCM/EtOAc)により表題化合物(2.24g、55%)を薄褐色の固体として生成せしめた。H−NMR(CDCl):δ7.98(ddd,1H,J=1.3,1.9,7.8Hz),7.89(m,2H),7.61(t,1H,J=7.7Hz),7.5(dt,1H,J=1.3,7.7Hz),6.88(s,1H),6.55(d,1H,J=1.7Hz),6.47(s,1H),4.26(m,2H),3.42(s,2H),2.56(s,3H),1.9(s,3H),1.52(s,9H),1.06(m,2H),0.08(s,9H)。
g)6−{3−[3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−4−(2−トリメチルシラニル−エトキシカルボニルアミノ)−ビフェニル−2−イル]−ウレイド}−ヘキサン酸エチルエステル
【0186】
【化46】

【0187】
乾式CHCl(3mL)中の{2−アミノ−3’−[5−(イミノ−メトキシカルボニルアミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−ビフェニル−4−イル}−カルバミン酸2−トリメチルシラニル−エチルエステル((実施例2:段階f)0.020g、0.030mmol)の溶液を6−イソシアナト−ヘキサン酸エチルエステル(5.30μL、0.030mmol)で処理し、そして室温で40min攪拌した。反応混合物をCHClで希釈し、そして水(1x15mL)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させ、そして真空中で濃縮して生成物6−{3−[3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−4−(2−トリメチルシラニル−エトキシカルボニルアミノ)−ビフェニル−2−イル]−ウレイド}−ヘキサン酸エチルエステル(0.025g、98%)を黄色がかった白色の固体として生成せしめた。H NMR(CDOD):δ8.22(s,1H),8.06(d,1H,J=8.0Hz),7.92(t,1H,J=1.6Hz),7.72(t,1H,J=8.0Hz),7.65(d,1H,J=1.6Hz),7.56(d,1H,J=7.6Hz),7.28(s,1H),4.29(m,2H),3.06−3.00(m,2H),2.70(s,3H),2.33(t,2H,J=7.2Hz),2.01(s,3H),1.60(quint,2H,J=7.2Hz),1.54(s,9H),1.40−1.36(m,2H),1.12(m,2H),1.28(t,3H,J=7.2Hz),0.09(s,9H)。ESI−MS(m/z):C3955Siについての計算値(M+H):862.3;実測値:861.9。
h)6−{3−[3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−4−(2−トリメチルシラニル−エトキシカルボニルアミノ)−ビフェニル−2−イル]−ウレイド}−ヘキサン酸
【0188】
【化47】

【0189】
THF:水(2:1、15mL)中の6−{3−[3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−4−(2−トリメチルシラニル−エトキシカルボニルアミノ)−ビフェニル−2−イル]−ウレイド}−ヘキサン酸エチルエステル((実施例2:段階g)0.437g、0.507mmol)の溶液を固体LiOH(0.097g、4.06mmol)で処理し、そして室温で18.5h攪拌した。THFを真空中で除き、そして残留水溶液を氷酢酸でpH5に酸性化した。溶液をCHCl(3x50mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、そして真空中で濃縮して生成物6−{3−[3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−4−(2−トリメチルシラニル−エトキシカルボニルアミノ)−ビフェニル−2−イル]−ウレイド}−ヘキサン酸(0.4222g、99%)を黄色がかった白色の固体として生成せしめた。ESI−MS(m/z):C3751Siについての計算値(M+H):834.3;実測値:834.2。
i)6−(3−{3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−4−(N,N−ビス−(tert−ブトキシカルボニルアミノ))グアニジノ−6−メチル−ビフェニル−2−イル}−ウレイド)−ヘキサン酸
【0190】
【化48】

【0191】
乾式THF(20mL)中の6−{3−[3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−4−(2−トリメチルシラニル−エトキシカルボニルアミノ)−ビフェニル−2−イル]−ウレイド}−ヘキサン酸((実施例2:段階h)0.422g、0.506mmol)の溶液をフッ化テトラブチルアンモニウム(THF中1M、3.39mL、3.39mmol)で処理し、そして40℃で4h攪拌した。溶媒を真空中で蒸発させた。残留物をCHClに溶解し、そして水(4x50mL)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させ、そして真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(CHCl中4%のMeOH)により生成物6−(3−{4−アミノ−3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−ビフェニル−2−イル}−ウレイド)−ヘキサン酸(0.200g、57%)を黄色がかった白色の固体として生成せしめた。該物質をMeOH(10mL)中の1,3−ビス(tert−ブトキシカルボニル)−2−メチル−2−チオプソイド尿素(0.252g、0.870mmol)および酢酸(0.5mL)と合わせ、そして40℃で2h攪拌した。溶媒を真空中で除いた。シリカゲルクロマトグラフィー(CHCl中4%のMeOH、次にCHCl中10%のMeOH)により表題化合物(0.215g、80%)を白色の固体として生成せしめた。H−NMR(CDOD):δ8.22(s,1H),8.06(m,1H),7.89(m,1H),7.72(m,1H),7.69(m,1H),7.53(m,1H),7.32(m,1H),3.01(m,2H),2.66(s,3H),2.27(t,2H,7.4Hz),1.97(s,3H),1.57(m,2H),1.54(s,18H),1.51(s,9H),1.37(m,2H),1.27(m,2H)。
j)6−{3−[3’−(5−カルバムイミドイル−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル)−4−グアニジノ−6−メチル−ビフェニル−2−イル]−ウレイド}−ヘキサン酸ビス−トリフルオロアセテートのmPEG20Kアミド
【0192】
【化49】

【0193】
0℃でDCM(23mL)中の6−(3−{3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−4−(N,N’−ビス−tert−ブトキシカルボニル)−グアニジノ−6−メチル−ビフェニル−2−イル}−ウレイド)−ヘキサン酸(実施例2:段階i(210mg、0.23mmol))およびN,N−ジメチルアミノピリジン(32mg、0.26mmol)の溶液にジイソプロピルカルボジイミド(DCM中0.2M、1.125mL)を滴下して加えた。溶液を0℃で30分間攪拌し、そしてmPEG20K−NH(3.25g、0.15mmol)を加えた。溶液をrtまで温め、そしてrtで6h(TLC上でニンヒドリン陰性)攪拌した。DCM(10mL)を加え、続いてEtOをゆっくりと加えて緩やかな沈殿を誘導した。追加のほんの少しのエーテルを加えて完全な沈殿を保証し、そして固体を濾過によって集め、そしてDCM/EtOで洗浄して〜3.3gの粗PEG付加化合物を生成せしめた。固体塊を20% MeOH/DCMに再溶解し、そしてEtOをゆっくりと加えて沈殿を誘導した。固体を濾過によって集め、そして固体ケークを高真空下で乾燥させた。HPLCによる「粗」物質の分析は純度〜98%を示し、そして小分子出発物質不純物がなかった(濾液のHPLC分析による)。乾燥したPEG付加化合物をDCM(8mL)に再溶解し、そしてHO(0.1mL)、続いてTFA(8mL)を加えた。1.5h攪拌した後に、MeOHを加え(4mL)、続いてEtOをゆっくりと加えて緩やかな沈殿を誘導した。一部の物質をHPLC精製(C18カラム、30分にわたってHO(0.1% TFA)中10〜55%のCHCN)に供し、120mgのPEG付加化合物を生成せしめた。2つのバッチのPEG(HPLC精製対沈殿のみ)は同一であった。H NMR分析および分析HPLCは、2つの間で純度における<0.5%の差を示した。沈殿したPEG付加化合物の純度は>99.2%(HPLC、λ=214,254)であると決定され、ここで、いずれの単一の不純物も総面積の0.3%より多くを含んでならなかった。H−NMR(CDCl/CDOD)(δ3.62でPEG抑制を有する):δ8.24(s,1H),8.03(ddd,1H,J=1.2,1.9,7.9Hz),7.82(t,1H,J=1.2Hz),7.69(t,1H,J=7.7Hz),7.58(d,1H,J=1.9Hz),7.49(dt,1H,J=1.3,7.9Hz),6.88(d,1H,J=1.9Hz),4.22(s,DOH),3.81(m,PEGサテライト),3.62(m,PEGメチレン),3.45(m,PEGサテライト),3.36(s,3H,PEG−OMe末端),3.03(t,1H,J=6.7Hz),2.67(s,3H),2.15(t,2H,J=7.4Hz),1.97(s,3H),1.55(m,2H),1.37(m,2H),1.22(m,2H)。
【実施例3】
【0194】
11−[3’−(5−カルバムイミドイル−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル)−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル]−ウンデカン酸トリフルオロアセテートのmPEG20Kアミド
【0195】
【化50】

【0196】
a)11−{3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル}−ウンデカン酸エチルエステル
【0197】
【化51】

【0198】
ジクロロメタン(1mL)中の11−クロロカルボニル−ウンデカン酸エチルエステル(0.08g、0.29mmol)の溶液を室温でジクロロメタン(5mL)中の{[4−(2’−アミノ−6’−メチル−ビフェニル−3−スルホニル)−5−メチルスルファニル−チオフェン−2−イル]−イミノ−メチル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(米国仮出願60/383130(0.10g、0.19mmol))およびトリエチルアミン(0.04mL、0.29mmol)の溶液に滴下して加え、そして1時間攪拌した。次に、反応混合物を蒸発させ、そして粗混合物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル(2:1))によって精製して0.060gの11−{3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル}−ウンデカン酸エチルエステルを生成せしめた。H NMR(CDCl):δ7.99(d,1H,J=8.4Hz),7.95(s,1H),7.86(s,1H),7.67(d,1H,J=7.2Hz),7.61(t,1H,J=7.2Hz),7.44(d,1H,J=8.0Hz),7.33(t,1H,J=7.2Hz),7.16(d,1H,J=7.6Hz),6.69(s,1H),6.60−6.40(bs,1H),4.12(q,2H,J=6.4Hz),2.60(s,3H),2.31(t,2H,J=7.6Hz),2.05−1.93(m,5H),1.62(m,4H),1.52(s,9H),1.32−1.03(m,15H)。質量スペクトル(LCMS,ESI)C3851についての計算値757.29(M+1);実測値:757.92。
b)11−{3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル}−ウンデカン酸
【0199】
【化52】

【0200】
室温で数時間メタノール(1mL)中の11−{3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル}−ウンデカン酸エチルエステル(実施例3:段階a(0.06g、0.08mmol))の溶液に水酸化ナトリウムの1M溶液(0.24mL)を滴下して加えた。次に、反応混合物を蒸発させ、そして1NのHClをpHが1になるまで滴下して加えた。生成物を酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして真空中で蒸発させて0.05gの11−{3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル}−ウンデカン酸を生成せしめた。H NMR(CDCl):δ7.99(d,1H,J=8.4Hz),7.95(s,1H),7.89(s,1H),7.68(d,1H,J=8.4Hz),7.62(t,1H,J=7.6Hz),7.45(d,1H,J=8.0Hz),7.33(t,1H,J=6.8Hz),7.16(d,1H,J=6.8Hz),6.71(s,1H),2.60(s,3H),2.37(t,2H,J=6.8Hz),2.03(s,3H),2.05−1.94(m,2H),1.64(m,4H),1.53(s,9H),1.32−1.04(m,12H)。質量スペクトル(LCMS,ESI)C3647についての計算値729.26(M+1);実測値:729.90。
c)11−{3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル}−ウンデカン酸のmPEG20Kアミド
【0201】
【化53】

【0202】
室温でジクロロメタン(4.0mL)中の11−{3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル}−ウンデカン酸((実施例3:段階b)0.030g、0.0411mmol)およびジメチルアミノピリジン(0.008g、0.0616mmol)の溶液にジイソプロピルカルボジイミド(0.005g、0.0411mmol)を滴下して加え、そして10分間攪拌した。mPEG20K−NH(0.412g、0.0206mmol)を最小量のジクロロメタンに溶解し、そして反応物に滴下して加え、そして一晩攪拌させた。次に、反応混合物を蒸発させ、そして生成物をイソプロパノールから2回再結晶化させ、続いて逆相HPLCで精製して(アセトニトリル/水(0.1% TFA))0.370gのPEG付加生成物を生成せしめた。H NMR(CDCl):δ8.13(s,1H),7.97(m,2H),7.71(d,1H,J=7.2Hz),7.62(t,1H,J=8.0Hz),7.46(d,1H,J=7.6Hz),7.31(t,1H,J=7.6Hz),7.13(d,1H,J=7.2Hz),6.98(s,1H),6.25(s,1H),2.59(s,3H),2.30(m,2H),2.02(s,3H),2.07−1.97(m,2H),1.64(m,4H),1.53(s,9H),1.36−1.06(m,12H)。
d)11−[3’−(5−カルバムイミドイル−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル)−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル]−ウンデカン酸トリフルオロアセテートのmPEG20Kアミド
【0203】
【化54】

【0204】
トリフルオロ酢酸(3.0mL)をジクロロメタン(3.0mL)中の11−{3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル}−ウンデカン酸のmPEG20Kアミド(実施例3:段階c(0.370g、0.018mmol))の溶液に滴下して加え、そして1時間攪拌した。次に、反応物を蒸発させ、そして逆相HPLCによって精製して0.200gのPEG付加生成物をトリフルオロ酢酸塩として生成せしめた。H NMR(δ3.62でPEG抑制を有する)(CDCl):δ10.1(s,2H),8.65(s,1H),8.20(s,1H),7.93(d,1H,J=8.0Hz),7.89(s,1H),7.55(t,1H,J=7.6Hz),7.47(d,1H,J=8.0Hz),7.42(d,1H,J=8.0Hz),7.25(t,1H,J=7.6Hz),7.10(d,1H,J=7.6Hz),6.36(s,1H),2.58(s,3H),2.12(m,2H),1.99(s,3H),1.98−1.92(m,2H),1.55(m,4H),1.26−0.95(m,12H)。
【実施例4】
【0205】
4−(5−{3−[3’−(5−カルバムイミドイル−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル)−4−グアニジノ−6−メチル−ビフェニル−2−イル]−ウレイド}−ペンチルオキシ)−安息香酸ビス−トリフルオロアセテートのmPEG20Kアミド
【0206】
【化55】

【0207】
a)4−[5−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ペンチルオキシ]−安息香酸メチルエステル
【0208】
【化56】

【0209】
アセトン(150mL)中の4−ヒドロキシ−安息香酸メチルエステル(3.01g、19.8mmol)、2−(5−ブロモ−ペンチル)−イソインドール−1,3−ジオン(3.9g、13.2mmol)およびKCO(1.82g、13.2mmol)の混合物を加熱して24h還流した。反応混合物をrtまで冷却し、そして溶媒を真空中で除いた。粗生成物(crude)をEtOAcに希釈し、そして1N NaOHおよびブラインで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を真空中で除いた。粗生成物をEtOAcから再結晶化して表題化合物を白色の固体(4g、83%)として生成せしめた。H−NMR(CDCl):δ7.95−7.98(m,2H),7.83−7.86(m,2H),7.70−7.73(m,2H),6.86−6.89(m,2H),4.00(t,2H,J=6.22Hz),3.88(s,3H),3.73(t,2H,J=7.29Hz),1.82−1.89(m,2H),1.73−1.81(m,2H),1.50−1.57(m,2H)。
b)4−(5−アミノ−ペンチルオキシ)−安息香酸メチルエステル
【0210】
【化57】

【0211】
MeOH:HO(10mL、4:1)中の4−[5−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ペンチルオキシ]−安息香酸メチルエステル(1g、2.72mmol、実施例4:段階a)およびヒドラジン(98.4μL、3.13mmol)の懸濁液を65℃に2h加熱した。rtで反応混合物に追加のヒドラジンを加えた(171μL、5.44mmol)。反応混合物を70℃に2h加熱し、次にrtで一晩攪拌した。炭酸カリウム(30mL、1N水性)および塩化メチレン(200mL)を反応物に加えた。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒を真空中で除いて表題化合物を白色の固体(500mg、77%)として生成せしめた。H−NMR(CDCl):δ7.95−8.00(m,2H),6.88−6.92(m,2H),4.02(t,2H,J=6.43Hz),3.88(s,3H),2.71−2.76(m,2H),1.79−1.86(m,2H),1.49−1.56(m,4H)。
c)4−(5−{3−[3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−4−(2−トリメチルシラニル−エトキシカルボニルアミノ)−ビフェニル−2−イル]−ウレイド}−ペンチルオキシ)−安息香酸メチルエステル
【0212】
【化58】

【0213】
rtで塩化メチレン(5mL)中の{2−アミノ−3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−ビフェニル−4−イル}−カルバミン酸2−トリメチルシラニル−エチルエステル(303mg、0.45mmol、実施例2:段階f)およびピリジン(39.8μL、0.49mmol)の溶液にクロロギ酸4−ニトロフェニル(99.2mg、0.49mmol)を加えた。反応混合物をrtで2h攪拌した。反応混合物に4−(5−アミノ−ペンチルオキシ)−安息香酸メチルエステル(117mg、0.49mmol、実施例4:段階b)およびトリエチルアミンを加え、そしてrtで2h攪拌した。反応混合物をEtOAcに希釈し、水およびブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウム上で乾燥させた。真空中での溶媒の除去、続いてフラッシュクロマトグラフィー(50〜60% EtOAc/ヘキサン)にかけて表題化合物を黄色の固体(280mg、66.5%)として生成せしめた。ESI−MS(m/z):C445710Siについての計算値:940.3(M+1);実測値:939.9。
d)4−(5−{3−[3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−4−(2−トリメチルシラニル−エトキシカルボニルアミノ)−ビフェニル−2−イル]−ウレイド}−ペンチルオキシ−安息香酸
【0214】
【化59】

【0215】
1,4−ジオキサン/水(2:1、10mL)中の4−(5−{3−[3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−4−(2−トリメチルシラニル−エトキシカルボニルアミノ)−ビフェニル−2−イル]−ウレイド}−ペンチルオキシ)−安息香酸メチルエステル((実施例4:段階c)280mg、0.298mmol)の溶液に水酸化リチウム(45.8mg、2.08mmol)をrtで2日にわたって加えた。溶媒を真空中で除いた。残留物を水に希釈し、酢酸でpH〜5に酸性化し、そしてEtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒を真空中で除いて表題化合物を黄色の固体(276mg、100%)として生成せしめた。H−NMR(CDCl/CDOD):δ7.93−7.99(m,3H),7.83−7.86(m,2H),7.52−7.59(m,2H),7.15−7.20(m,2H),6.85−6.89(m,2H),4.21−4.26(m,2H),3.99(t,2H,J=6.43Hz),3.13−3.24(m,2H),2.61(s,3H),2.02(s,3H),1.75−1.83(m,2H),1.43−1.56(m,13H),1.02−1.08(m,2H),0.07(s,9H)。
e)4−[5−(3−{4−アミノ−3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−ビフェニル−2−イル}−ウレイド)−ペンチルオキシ]−安息香酸
【0216】
【化60】

【0217】
THF(10mL)中の4−(5−{3−[3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−4−(2−トリメチルシラニル−エトキシカルボニルアミノ)−ビフェニル−2−イル]−ウレイド}−ペンチルオキシ)−安息香酸((実施例4:段階d)276mg、0.298mmol)の溶液にフッ化テトラブチルアンモニウム溶液(2.38mL、THF中1M)を35℃で2日にわたって加えた。溶媒を真空中で除いた。残留物をEtOAcに希釈し、水およびブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒を真空中で除いて表題化合物を褐色の固体(300mg、100%)として生成せしめた。ESI−MS(m/z):C3744についての計算値:782.2(M+1);実測値:781.8。
f)4−(5−{3−[3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−4−(N’,N”−ビス(tert−ブトキシカルボニル)−グアニジノ)−6−メチル−ビフェニル−2−イル]−ウレイド}−ペンチルオキシ)−安息香酸
【0218】
【化61】

【0219】
5% AcOH/MeOH(10mL)中の4−[5−(3−{4−アミノ−3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−ビフェニル−2−イル}−ウレイド)−ペンチルオキシ]−安息香酸(233mg、0.298mmol、実施例4:段階e)の溶液に1,3−ビス(tert−ブトキシカルボニル)−2−メチル−2−チオプソイド尿素(433mg、1.49mmol)を35℃で2日にわたって加えた。溶媒を真空中で除き、そして残留物をフラッシュクロマトグラフィー(1〜6% MeOH/塩化メチレン)により精製して表題化合物を黄色の固体(70mg、23%)として生成せしめた。ESI−MS(m/z):C486112についての計算値:1024.4(M+1);実測値:1024.0。
g)4−(5−{3−[3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−4−(N’,N”−ビス(tert−ブトキシカルボニル)−グアニジノ)−6−メチル−ビフェニル−2−イル]−ウレイド}−ペンチルオキシ)−安息香酸のmPEG20Kアミド
【0220】
【化62】

【0221】
DCM(2mL、無水)中の4−(5−{3−[3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−4−(N’,N”−ビス(tert−ブトキシカルボニル)−グアニジノ)−6−メチル−ビフェニル−2−イル]−ウレイド}−ペンチルオキシ)−安息香酸(実施例4:段階f(42.7mg、41.7μmol))、ジイソプロピルカルボジイミド(5.26mg、41.7μmol)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(9.8mg、41.7μmol)およびmPEG20K−NH(673mg、32μmol)を用いて実施例2:段階jにおけるカップリング方法に従った。EtOでの沈殿による同様の精製により表題化合物を白色の固体(650mg、92%)として生成せしめた。δ3.62でPEG抑制を有するH−NMR(CDCl):δ8.03−7.97(m,2H),7.84−7.76(m,3H),7.64−7.54(m,1H),7.46−7.39(m,1H),7.33−7.31(m,1H),7.10−7.02(m,2H),6.87−6.83(m,2H),4.02−3.96(m,2H),3.25−3.19(m,2H),2.63(s,3H),2.03(s,3H),1.82−1.75(m,2H),1.56(s,9H),1.52(s,9H),1.49(s,9H),1.48−1.45(m,4H)。
h)4−(5−{3−[3’−(5−カルバムイミドイル−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル)−4−グアニジノ−6−メチル−ビフェニル−2−イル]−ウレイド}−ペンチルオキシ)−安息香酸ビス−トリフルオロアセテートのmPEG20Kアミド
【0222】
【化63】

【0223】
4−(5−{3−[3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−4−(N’,N”−ビス(tert−ブトキシカルボニル)−グアニジノ)−6−メチル−ビフェニル−2−イル]−ウレイド}−ペンチルオキシ)−安息香酸のmPEG20Kアミド(実施例4:段階g(650mg、29.5μmol))を実施例2:段階jにおけるようにDCM中のTFAで処理した。EtOでの沈殿およびRP−HPLCによる同様の精製により表題化合物を白色の固体(268mg、41.3%)として生成せしめた。δ3.59でPEG抑制を有するH−NMR(CDCl/CDOD):δ8.29−8.26(m,1H),8.05−8.00(m,1H),7.85−7.82(m,1H),7.78−7.74(m,2H),7.71−7.65(m,1H),7.59−7.55(m,1H),7.52−7.47(m,1H),6.92−6.87(m,3H),4.03−3.97(m,2H),3.13−3.07(m,2H),2.67(s,3H),1.97(s,3H),1.82−1.75(m,2H),1.51−1.42(m,4H)。
【実施例5】
【0224】
4−(2’−アミノ−4’−グアニジノ−6’−メチル−ビフェニル−3−スルホニル)−5−メチルスルファニル−チオフェン−2−カルボキサミジンビス−トリフルオロアセテートのmPEG20K2’−尿素
【0225】
【化64】

【0226】
a){[4−(2’,4’−ジアミノ−6’−メチル−ビフェニル−3−スルホニル)−5−メチルスルファニル−チオフェン−2−イル]−イミノ−メチル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0227】
【化65】

【0228】
{2−アミノ−3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−ビフェニル−4−イル}−カルバミン酸2−トリメチルシラニル−エチルエステル(実施例2:段階f(1g、1.48mmol))をTHF(25mL)中に溶解した。これにTBAF(1M、1.62mL、1.62mmol)を加え、そして反応物を3時間攪拌しながら40℃まで温めた。追加のTBAF(1.48mL、1.48mmol)を加え、そして反応物をrtで一晩攪拌した。溶媒を真空中で除き、残留物をEtOAc中に溶解し、そして水で数回洗浄した(5回洗浄)。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO)、そして溶媒を真空中で除いて、表題化合物を黄色の固体(800mg、100%)としてもたらした。H−NMR(CDCl):δ8.03(s,1H),7.95−7.93(m,1H),7.89−7.88(m,1H),7.59−7.53(m,2H),6.08(m,1H),5.99(m,1H),2.55(s,3H),1.85(s,3H),1.52(s,9H)。
b)4−{4’−[N’,N”−ビス(tert−ブトキシカルボニル)]−}−{[4−(2’−アミノ−6’−メチル−ビフェニル−3−スルホニル)−5−メチルスルファニル−チオフェン−2−イル]−イミノ−メチル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0229】
【化66】

【0230】
{[4−(2’,4’−ジアミノ−6’−メチル−ビフェニル−3−スルホニル)−5−メチルスルファニル−チオフェン−2−イル]−イミノ−メチル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル((実施例5:段階a)342mg、0.64mmol)をMeOH(4mL)および酢酸(200μL)中に溶解した。これに1,3−ビス(tert−ブトキシカルボニル)−2−メチル−2−チオプソイド尿素(203mg、0.70mmol)をMeOH中の懸濁液としてゆっくりと加え、そして反応物をrtで一晩攪拌した。溶媒を真空中で除き、続いてSiOフラッシュカラムクロマトグラフィー精製し(ヘキサン中40%のEtOAc)、それにより表題化合物(235mg、47%)を白色の固体として生成せしめた。ESI−MS(m/z):C3546についての計算値:775.3(M+1);実測値:774.8。
c)4−{4’−[N’,N”−ビス(tert−ブトキシカルボニル)]−}−{[4−(2’−アミノ−6’−メチル−ビフェニル−3−スルホニル)−5−メチルスルファニル−チオフェン−2−イル]−イミノ−メチル}−カルバミン酸tert−ブチルエステルのmPEG20K2’−尿素
【0231】
【化67】

【0232】
4−{4’−[N’,N”−ビス(tert−ブトキシカルボニル)]−}−{[4−(2’−アミノ−6’−メチル−ビフェニル−3−スルホニル)−5−メチルスルファニル−チオフェン−2−イル]−イミノ−メチル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(実施例5:段階b(67mg、0.09mmol))およびピリジン(7.2μL、0.09mmol)をDCM(1.5mL)中に溶解した。反応物を0℃に冷却し、続いてジイソプロピルエチルアミン(16μL、0.18mmol)およびクロロギ酸p−ニトロフェニル(15.7mg、0.08mmol)を加え、そして反応物を0℃で30分間攪拌した。これにmPEG20K−NH(250mg、0.0125mmol)を加えた。反応物をrtで2時間攪拌した。これにジイソプロピルエチルアミン(32μL、0.36mmol)およびDMAP(触媒量)を加え、そして反応物をrtで一晩攪拌した。溶媒を真空中で除き、そして残留物をDCM/MeOH中に溶解した。DCM/MeOH溶液にエーテル(4X容量)をゆっくりと加えてPEG付加化合物を沈殿させた。H−NMR(δ3.61でPEG抑制を有する)(CDCl/CDOD):δ8.11(s,1H),8.02−8.01(m,1H),7.85(s,1H),7.68−7.62(m,2H),7.45(s,1H),2.63(s,3H),1.96(s,1H),1.55(s,9H),1.49(s,9H),1.43(s,9H)。
d)4−(2’−アミノ−4’−グアニジノ−6’−メチル−ビフェニル−3−スルホニル)−5−メチルスルファニル−チオフェン−2−カルボキサミジンビス−トリフルオロアセテートのmPEG20K2’−尿素
【0233】
【化68】

【0234】
4−{4’−[N’,N”−ビス(tert−ブトキシカルボニル)]−}−{[4−(2’−アミノ−6’−メチル−ビフェニル−3−スルホニル)−5−メチルスルファニル−チオフェン−2−イル]−イミノ−メチル}−カルバミン酸tert−ブチルエステルのmPEG20K2’−尿素(実施例5:段階c)をDCM(5mL)およびTFA(5mL)中に溶解し、そして反応物をrtで1時間攪拌した。溶媒を真空中で除き、次に残留物をDCM/MeOH中に溶解し、そしてエーテルを加えて生成物を沈殿させ、それを濾過により集めた。RP−HPLC(10〜100% CHCN/HO、λ=245nm、40分)により精製して表題化合物を白色の固体(190mg、段階cおよびdの全収率76%)として生成せしめた。H−NMR(δ3.60でPEG抑制を有する)(CDCl/CDOD):δ8.27(s,1H),8.06−8.03(m,1H),7.85(s,1H),7.71(t,1H,J=7.91Hz,J=7.67Hz),7.58(s,1H),7.53−7.50(m,2H),2.69(s,3H),1.98(s,1H)。
【実施例6】
【0235】
経路a 3−{[3’−(5−カルバムイミドイル−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル)−4−グアニジノ−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル]−メチルスルファニル}−プロピオン酸ビス−トリフルオロアセテートのmPEG20Kアミド
【0236】
【化69】

【0237】
a)3−tert−ブトキシカルボニルメチルスルファニル−プロピオン酸メチルエステル
【0238】
【化70】

【0239】
THF中のブロモ−酢酸tert−ブチルエステル(1.5mL、10.2mmol)およびEtN(3.4mL、30.7mmol)の溶液に3−メルカプト−プロピオン酸メチルエステル(3.4mL、30.7mmol)を加えた。反応物をrtで3h攪拌し、次に濃縮し、そして残留物をEtOAcと1N NaOHとの間で分配した。有機層を1N NaOHで2x洗浄して全ての過剰の遊離チオールを除いた(エルマン試薬でモニターする)。有機層を乾燥させ(MgSO)、そして濃縮して所望の生成物を透明な油状物(2.1g、88%)として生成せしめた。H NMR(CDCl)δ3.45(s,3H),2.91(s,2H),2.66(t,2H,J=7.2Hz),2.42(t,2H,J=7.2Hz),1.23(s,9H)。
b)3−カルボキシメチルスルファニル−プロピオン酸メチルエステル
【0240】
【化71】

【0241】
3−tert−ブトキシカルボニルメチルスルファニル−プロピオン酸メチルエステル(2.1g、実施例6、経路a、段階aにおいて製造するとおり)をDCM中50%のTFAで4h処置した。混合物を真空中で濃縮して生成物を固体として生成せしめ、それをさらに精製せずに使用した。H NMR(CDCl)δ3.73(s,3H),3.31(s,2H),2.95(t,2H,J=7.2Hz),2.74(t,2H,J=7.2Hz)。
c)3−{[3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−4−(2−トリメチルシラニル−エトキシカルボニルアミノ)−ビフェニル−2−イルカルバモイル]−メチルスルファニル}−プロピオン酸
【0242】
【化72】

【0243】
CHCl(10mL)中の3−カルボキシメチルスルファニル−プロピオン酸メチルエステル(192mg、1.1mmol、実施例6、段階bにおいて製造するとおり)の溶液をN,N−ジメチルアミノピリジン(232mg、1.9mmol)およびジイソプロピルカルボジイミド(172μL、1.1mmol)で処理し、そして室温で10min攪拌した。反応混合物に{6−アミノ−3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−2−メチル−ビフェニル−4−イル}−カルバミン酸2−トリメチルシラニル−エチルエステル(248mg、0.37mmol、実施例2、段階fにおいて製造するとおり)を加え、そして得られる混合物をrtで6h攪拌した。反応混合物をDCMで希釈し、そして次に飽和NaHCOで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、そして濃縮して250mgの油状物を粗3−{[3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−4−(2−トリメチルシラニル−エトキシカルボニルアミノ)−ビフェニル−2−イルカルバモイル]−メチルスルファニル}−プロピオン酸メチルエステルとして生成せしめた。ESI−MS(m/z):C3648Siについての計算値:837.21(M+H);実測値:836.9、737.1。LC−MSは、この粗物質が〜90%純粋であることを示し、そしてさらに精製せずに使用した。従って、この油状物をMeOH(10mL)に溶解し、そして1N NaOH(10mL)を強く攪拌しながらゆっくりと加えた。混合物は濁っていき、そして50℃まで温めた。〜4h後に、TLCにより反応は完了していた。反応物をAcOHで酸性化し、そして次に真空中で濃縮した。残留物をDCMとHOとの間で分配し、そして有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、そしてもう一度濃縮した。残留物をSiO上でクロマトグラフィー(フラッシュクロマトグラフィー、溶出:100%のDCM〜DCM中10%のMeOH)にかけて160mgの表題化合物を黄褐色の半固体として生成せしめた。ESI−MS(m/z):C3546Siについての計算値:823.2(M+H);実測値:822.9、723.2。
d)3−({4−アミノ−3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル}−メチルスルファニル)−プロピオン酸
【0244】
【化73】

【0245】
THF(60mL)中の3−{[3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−4−(2−トリメチルシラニル−エトキシカルボニルアミノ)−ビフェニル−2−イルカルバモイル]−メチルスルファニル}−プロピオン酸(0.650g、0.790mmol、実施例6、経路a、段階cにおいて製造するとおり)の溶液をフッ化テトラブチルアンモニウム(THF中1M、3.20mL、3.16mmol)で処理し、そして40℃に4.5h温めた。溶媒を真空中で除き、そして残留物をEtOAcに溶解し、そして水(4x75mL)で洗浄した。合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、そして真空中で濃縮して生成物3−({4−アミノ−3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル}−メチルスルファニル)−プロピオン酸(0.340g、63%)を白色のガラス状固体として生成せしめた。ESI−MS(m/z):C2934についての計算値:679.13(M+1);実測値:678.80。
e)3−({3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−4−(N,N’−ビス−tert−ブトキシカルボニル)−グアニジノ−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル}−メチルスルファニル)−プロピオン酸
【0246】
【化74】

【0247】
5%のAcOHを有するMeOH(15mL)中の3−({4−アミノ−3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル}−メチルスルファニル)−プロピオン酸(0.340g、0.501mmol、実施例6、経路a、段階dにおいて製造するとおり)の溶液を1,3−ビス(tert−ブトキシカルボニル)−2−メチル−2−チオプソイド尿素で処理し、そして40℃に4h温めた。溶媒を真空中で除いた。シリカゲルクロマトグラフィー(0.5%ずつ上昇するCHCl中2〜4%のMeOH)により表題化合物(0.194g、42%)を白色のガラス状固体として生成せしめた。H NMR(CDCl):δ8.385(s,1H),8.031(d,1H,J=7.6Hz),8.008(s,1H),7.887(s,1H),7.624(t,1H,J=8.0Hz),7.430(d,1H,J=7.2Hz),7.340(s,1H),3.008(dd,2H,J=50Hz,J=17.2Hz),2.599(s,3H),2.538(d,1H,J=8.4Hz),2.483(s,1H),2.548(s,2H),2.006(s,3H),1.549(s,9H),1.514(s,9H),1.492(s,9H)。
f)3−({3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−4−(N,N’−ビス−tert−ブトキシカルボニル)−グアニジノ−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル}−メチルスルファニル)−プロピオン酸のmPEG20Kアミド
【0248】
【化75】

【0249】
CHCl(5mL)中の3−({3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−4−(N,N’−ビス−tert−ブトキシカルボニル)−グアニジノ−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル}−メチルスルファニル)−プロピオン酸(0.120g、0.130mmol、実施例6、経路a、段階eにおいて製造するとおり)の溶液をN,N−ジメチルアミノピリジン(30.6mg、0.251mmol)およびジイソプロピルカルボジイミド(DIC、20.4μL、0.130mmol)で処理し、そして室温で10min攪拌した。mPEG20K−NH(2.104g、0.100mmol、Rapp Polymere GMBH、Tuebingen、Germany)を固体として加え、そして混合物を室温で18h攪拌した。サンプルをニンヒドリン染色でいくらかの残留するmPEG20K−NHが存在しないことについて調べた。溶媒を真空中で除いた。残留物を最小量のCHCl中10% MeOH(10mL)を有する大型エルレンマイヤーフラスコに移し、そして溶液が濁ってくるまで無水ジエチルエーテルをゆっくりと加え、そして生成物が沈殿し始めた。懸濁液を20分間攪拌し、そして次に4℃に30分間冷却して完全な沈殿を保証した。固体を濾過し、そして真空デシケーター中で乾燥させた。表題化合物(2.08g、98%)は、白色の固体として得られた。H NMR(CDCl,1滴のCDOD):δ8.203(s,1H),8.040(d,1H,J=7.6Hz),8.030(s,1H),7.816(t,1H,J=1.6Hz),7.660(t,1H,J=7.6Hz),7.540(d,1H,J=1.6Hz),7.458(d,1H,J=8.0Hz),3.080(dd,2H,J=28Hz,J=11Hz),2.617(s,3H),2.287(m,4H),1.996(s,3H),1.548(s,9H),1.518(s,9H),1.502(s,9H)。
g)3−{[3’−(5−カルバムイミドイル−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル)−4−グアニジノ−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル]−メチルスルファニル}−プロピオン酸ビス−トリフルオロアセテートのmPEG20Kアミド
【0250】
【化76】

【0251】
CHCl(20mL)中の3−({3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−4−(N,N’−ビス−tert−ブトキシカルボニル)−グアニジノ−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル}−メチルスルファニル)−プロピオン酸のmPEG20Kアミド(2.06g、0.001mmol、実施例6、経路a、段階fにおいて製造するとおり)の溶液を0℃に冷却し、そしてトリフルオロ酢酸(10.00mL)で処理した。溶液を室温まで温めておき、そして4.5h攪拌した。溶媒を真空中で蒸発させた。残留物を最小量のCHCl中10% MeOH(13mL)を有する大型エルレンマイヤーフラスコに移した。溶液が濁るようになるまでジエチルエーテルを加え、そして沈殿物が形成し始めた(〜110mLのEtO)。混合物を室温で10分間攪拌し、次に4℃に30分間冷却して完全な沈殿を保証した。固体を濾過し、そして真空デシケーター中で乾燥させた。分取HPLC(40分にわたって1% TFA/水中20〜60%のアセトニトリル)により生成物(1.60g、77%)を白色の固体として生成せしめた。H NMR(CDCl,1滴のCDOD):δ8.241(s,1H),8.102(d,1H,J=8.8Hz),7.836(t,1H,J=1.6Hz),7.684(t,1H,J=8.0Hz),7.566(s,1H),7.502(d,1H,J=8.0Hz),7.090(s,1H),3.078(dd,2H,J=28,11Hz),2.687(s,3H),2.244(m,4H),2.048(s,3H)。
経路b 3−{[3’−(5−カルバムイミドイル−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル)−4−グアニジノ−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル]−メチルスルファニル}−プロピオン酸ビス−トリフルオロアセテートのmPEG20Kアミド
【0252】
【化77】

【0253】
a)({4−[6’−(2−ヒドロキシ−アセチルアミノ)−2’−メチル−4’−ニトロ−ビフェニル−3−スルホニル]−5−メチルスルファニル−チオフェン−2−イル}−イミノ−メチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0254】
【化78】

【0255】
DCM(2mL)中の{[4−(6’−アミノ−2’−メチル−4’−ニトロ−ビフェニル−3−スルホニル)−5−メチルスルファニル−チオフェン−2−イル]−イミノ−メチル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(216mg、0.384mmol、実施例1、段階hにおいて製造するとおり)の溶液にDIEA(212μL、1.15mmol)および塩化アセトキシアセチル(54mL、0.5mmol)を加えた。溶液をrtで3hr攪拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、そして飽和NaHCO、水およびブラインで洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮して256mgの粗油状物を生成せしめ、それをさらに精製せずに使用した。ESI−MS(m/z):C2830についての計算値:663.1(M+H);実測値:662.7、563.0(M−Boc)。MeOH(2.5mL)中の上記で得られる粗中間体の溶液に1N NaOH(2.5mL)を加え、そして混合物をrtで45分間攪拌し、この時点でTLCはアセチル基の完全な加水分解と一致した。反応混合物を酢酸で中和し、真空中で濃縮し、そして残留物をEtOAcと飽和NaHCOとの間で分配した。有機層を水およびブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮して220mg(92%、2段階にわたる粗収率)の表題化合物を生成せしめ、それをさらに精製せずに使用した。ESI−MS(m/z):C2628についての計算値:621.1(M+H);実測値:620.7、521.0(M−Boc)。
b)({4−[4’−(N,N’−ビス−tert−ブトキシカルボニル)−グアニジノ−6’−(2−ヒドロキシ−アセチルアミノ)−2’−メチル−ビフェニル−3−スルホニル]−5−メチルスルファニル−チオフェン−2−イル}−イミノ−メチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0256】
【化79】

【0257】
EtOH(2.2mL)中の({4−[6’−(2−ヒドロキシ−アセチルアミノ)−2’−メチル−4’−ニトロ−ビフェニル−3−スルホニル]−5−メチルスルファニル−チオフェン−2−イル}−イミノ−メチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(220mg、0.354mmol、実施例6、経路b、段階aにおいて製造するとおり)の溶液にNHClの溶液(1.1mL、3.2M、3.54mmol)を加えた。混合物を50℃で30分間強く攪拌した。鉄粉(100mg、1.77mmol)を加え、そして混合物を80℃に3.5h加熱した。反応混合物を濾過し(0.2μ、Wheatonシリンジフィルター)、そして濾液を固体に濃縮し、それをEtOAcと1N NaCOとの間で分配した。有機層を別の一部の(another portion of)NaCOで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして濃縮して粗所望生成物を生成せしめた。PTLC(4x1500μプレート、DCM中5%のMeOH)を用いて精製して58mgの所望のアニリンを生成せしめた。ESI−MS(m/z):C2630についての計算値:591.1(M+H);実測値:591.0、491.0(M−Boc)。MeOH/AcOH(10:1、5mL)中のこのアニリン(55mg、0.09mmol)の溶液に、N,N’−ビス(tert−ブトキシカルボニル)−S−メチルイソチオ尿素(78mg、0.27mmol、Aldrich Chemical Company)を加えた。反応混合物を40℃まで温め、そして3h攪拌した。混合物を真空中で固体に濃縮し、それをPTLC(2x1000μプレート、1:1 EtOAc/ヘキサン)上で精製して45mg(60%)の表題化合物を透明な油状物として生成せしめた。H−NMR(CDCl;400MHz):δ11.60(s,1H),10.27(s,1H),8.20(m,2H),8.04(d,1H,J=6.7Hz),7.90(br s,1H),7.64(t,1H,J=7.8Hz),7.40−7.45(m,2H),4.42(br s,1H),3.84および3.99(AB カルテット,2H,J=15.4Hz),2.55(s,3H),1.93(s,3H),1.57(s,9H),1.53(s,9H),1.48(s,9H)。ESI−MS(m/z):C374810についての計算値:833.2(M+H);実測値:832.8,732.8,632.9、533.1。
c)メタンスルホン酸{3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−4−(N,N’−ビス−tert−ブトキシカルボニル)−グアニジノ−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル}−メチルエステル
【0258】
【化80】

【0259】
0℃でDCM(1mL)中の({4−[4’−(N,N’−ビス−tert−ブトキシカルボニル)−グアニジノ−6’−(2−ヒドロキシ−アセチルアミノ)−2’−メチル−ビフェニル−3−スルホニル]−5−メチルスルファニル−チオフェン−2−イル}−イミノ−メチル)カルバミン酸tert−ブチルエステル(40mg、48μmol、実施例6、経路b、段階bにおいて製造するとおり)およびジイソプロピルエチルアミン(100μL、192μmol)の溶液に塩化メタンスルホニル(10μL、130μmol)を加えた。溶液を0℃で30分間攪拌し、そして次に温めておき、そしてrtで5h攪拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、そして残留物をクロマトグラフィー(PTLC、1:1 EtOAc/ヘキサン、1000μ SiOプレート)にかけて40mg(97%)の所望の表題化合物をガラス状の固体として生成せしめた。ESI−MS(m/z):C385012についての計算値:911.2(M+H);実測値:910.7、810.8、710.8、611.1。
d)3−{[3’−(5−カルバムイミドイル−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル)−4−グアニジノ−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル]−メチルスルファニル}−プロピオン酸ビス−トリフルオロアセテートのmPEG20Kアミド
【0260】
【化81】

【0261】
DCM(1.5mL)中のメタンスルホン酸{3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−4−(N,N’−ビス−tert−ブトキシカルボニル)−グアニジノ−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル}−メチルエステル(21mg、0.023mmol、実施例6、経路b、段階cにおいて製造するとおり)およびジイソプロピルエチルアミン(100μL、192μmol)の溶液にmPEG20K−NHC(O)(CH−SH(350mg、16.7μmol、Rapp Polymere GMBH、Tuebingen、Germany)を加えた。得られる溶液をrtで攪拌し、そして反応進行をエルマン試薬(DTNB)を用いてTLC上でモニターした。全ての遊離チオールが消費された後に(〜2h)、反応混合物をMeOH(3mL)で希釈し、そして次にジエチルエーテルをゆっくりと加えることにより沈殿させた。いったん反応混合物が濁ってくると、それを4℃で静置させて完全な沈殿を誘導した。固体をブフナー漏斗上に集め、そして吸引により乾燥させた。固体を反応容器に移し、そして1:1 TFA/DCMで2h処理した。反応混合物を真空中で濃縮し、そして粗生成物を水に再溶解し、そしてC−18 RP−HPLC(λ=214、254;勾配:30分にわたってHO(0.1% TFA)中20〜60%のCHCN)を用いて精製して表題化合物(220mg、63%)を白色の固体として生成せしめた。H NMR(CDCl、δ3.62でPEG抑制を有する):δ8.24(s,1H),8.10(d,1H,J=8.8Hz),7.84(t,1H,J=1.6Hz),7.68(t,1H,J=8.0Hz),7.57(s,1H),7.50(d,1H,J=8.0Hz),7.09(s,1H),3.62(m,PEG CH),3.36(s,3H,PEG−OCH),3.08(dd,2H,J=28,11Hz),2.69(s,3H),2.24(m,4H),2.05(s,3H)。
【実施例7】
【0262】
6−[3’−(5−カルバムイミドイル−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル)−4−グアニジノ−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル]−ヘキサン酸ビス−トリフルオロアセテートのmPEG30Kアミド
【0263】
【化82】

【0264】
表題化合物は、実施例2、段階jについて記述するのと同様の方法を用いて合成した。従って、DCM(2.5mL)中の6−(3−{3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−4−(N,N’−ビス−tert−ブトキシカルボニル)−グアニジノ−6−メチル−ビフェニル−2−イル}−ウレイド)−ヘキサン酸(40mg,0.0426mmol、実施例2、段階iにおいて製造するとおり)およびN,N−ジメチルアミノピリジン(9.1mg、0.074mmol)の溶液にジイソプロピルカルボジイミド(6.2μL、0.0399mmol)を加えた。溶液を10分間攪拌し、そして次にmPEG30K−NH(800mg、0.0266mmol、NOF Corporation、Japan)を加えた。反応物をrtで6h攪拌した(TLC上でニンヒドリン陰性)。DCM(10mL)を加え、続いてEtOをゆっくりと加えて緩やかな沈殿を誘導した。追加のほんの少しのエーテルを加えて完全な沈殿を保証し、そして固体を濾過により集め、そしてDCM/EtOで洗浄して〜700mgの粗PEG付加化合物を生成せしめた。沈殿を繰り返した。HPLCによる粗物質の分析は、純度が〜98%であることを示した。乾燥させたPEG付加化合物をTFA(DCM中50%、6mL)で処理した。2h攪拌した後に、MeOHを加え(4mL)、続いてEtOをゆっくりと加えて緩やかな沈殿を誘導した。固体を集め、そして沈殿を上記のように繰り返した。固体を濾過により集め、そして真空中で乾燥させて純粋な表題化合物を白色の固体(640mg)として生成せしめた。分析RP−HPLC(C18カラム、10分にわたってHO中10〜80%のCHCN(0.1% TFA、λ=214、254))は、純度>99%を示した。H−NMR(CDOD)(δ3.62でPEG抑制を有する):δ8.45(s,1H),8.11(m,1H)7.93(t,1H,J=1.5Hz),7.83(t,1H,J=7.8Hz),7.73(m,1H),7.61(dt,1H,J=1.2,7.6Hz),7.04(m,1H),3.62(m,PEGメチレン),3.28(t,2H,J=6.9Hz,PEG−CHN),3.10(t,2H,J=7.7Hz),2.76(s,3H),2.19(t,2H,J=7.4Hz),2.03(s,3H),1.62(m,2H),1.45(m,2H),1.32(m,2H)。
【実施例8】
【0265】
6−[3’−(5−カルバムイミドイル−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル)−4−グアニジノ−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル]−ヘキサン酸テトラ−トリフルオロアセテートの二置換(bisubstituted)−PEG20K−(NHとの連結
【0266】
【化83】

【0267】
表題化合物は、実施例7において使用するものと同一の方法を用いて合成した。従って、DCM(1mL)中のジイソプロピルカルボジイミド(5.6μL、0.036mmol)、6−(3−{3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−4−(N,N’−ビス−tert−ブトキシカルボニル)−グアニジノ−6−メチル−ビフェニル−2−イル}−ウレイド)−ヘキサン酸(34mg、0.0365mmol、実施例2、段階iにおいて製造するとおり)、N,N−ジメチルアミノピリジン(8mg、0.066mmol)およびPEG20K−(NH(255mg、0.0122mmol、Rapp Polymere GMBH、Tuebingen、Germany)の反応、続いてTFA処理、そして実施例7におけるのと同じワークアップおよび精製により、〜200mgの表題化合物を白色の固体として生成せしめた。H−NMR(CDOD)(δ3.6でPEG抑制を有する):δ8.45(s,1H),8.12(m,1H)7.92(t,1H,J=1.5Hz),7.83(t,1H,J=7.8Hz),7.73(m,1H),7.61(dt,1H,J=1.2,7.6Hz),7.035(m,1H),3.62(m,PEGメチレン),3.36(t,2H,J=5.5Hz,PEG−CHN),3.10(t,1H,J=6.7Hz),2.76(s,3H),2.22(t,2H,J=7.3Hz),2.02(s,3H),1.62(m,2H),1.45(m,2H),1.32(m,2H)。
【実施例9】
【0268】
3−{[3’−(5−カルバムイミドイル−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル)−2−メチル−ビフェニル−4−イルカルバモイル]−メチルスルファニル}−プロピオン酸トリフルオロアセテートのmPEG20Kアミド
【0269】
【化84】

【0270】
DCM(5mL)中の({4−[4’−(2−ブロモ−アセチルアミノ)−2’−メチル−ビフェニル−3−スルホニル]−5−メチルスルファニル−チオフェン−2−イル}−イミノ−メチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(45mg、0.07mmol、実施例234、段階a、WO−03099805において製造するとおり)およびEtN(15μL)の溶液に、mPEG20K−NHCO(CHSH(1.13g、0.056mmol、Rapp Polymere、GMBH、Tuebingen、Germany)を加えた。反応物をAr下でrtで1h攪拌した。反応の完了は、エルマン試薬を用いてモニターした。反応混合物を真空中で濃縮し、そして残った残留物をEtOで研和し、次にTFA(DCM中25%)で40分間処理した。TFA/DCMの除去およびRP−HPLC(C18カラム、30分にわたってHO中20〜60%のCHCN(0.1% TFA、λ=214、254))上での残留物の精製により純粋な表題化合物をTFA塩として生成せしめた。分析RP−HPLC(C18カラム、10分にわたってHO中10〜80%のCHCN(0.1% TFA、λ=214、254))は、単一のピークを与えた。H−NMR(CDOD)(δ3.62でPEG抑制を有する):δ8.38(s,1H),8.03−8.06(m,1H)7.97(m,1H),7.71(m,2H),7.56−7.61(m,2H),7.21(d,1H,J=9.1Hz),3.62(m,PEGメチレン),3.37−3.4(m,5H),3.36(s,3H,PEG−OMe),2.97(t,2H,J=7.2H),2.75(s,3H),2.60(t,2H,J=7.2Hz),2.26(s,3H)。
【実施例10】
【0271】
4−(2’−アミノ−4’−グアニジノ−6’−メチル−ビフェニル−3−スルホニル)−5−メチルスルファニル−チオフェン−2−カルボキサミジン(オクタ)−トリフルオロアセテートの4価(4アーム)PEG2’−尿素コンジュゲート
(ペンタエリトリトールコア)
【0272】
【化85】

【0273】
表題化合物は、実施例5、段階cおよびdに記述するのと同様の方法を用いて合成した。4−{4’−[N’,N”−ビス(tert−ブトキシカルボニル)]−}−{[4−(2’−アミノ−6’−メチル−ビフェニル−3−スルホニル)−5−メチルスルファニル−チオフェン−2−イル]−イミノ−メチル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(実施例5:段階b(155mg、0.2mmol))およびピリジン(19μL、0.02mmol)をDCM(1.5mL)中に溶解した。反応物を0℃に冷却し、続いてジイソプロピルエチルアミン(16μL、0.18mmol)およびクロロギ酸p−ニトロフェニル(35mg、0.17mmol)を加え、そして反応物を0℃次にrtで30分間攪拌した。これに4価4アームPEG20K−NH(500mg、0.025mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(300μL)を加えた。反応物をrtで14h攪拌した。溶媒を真空中で除き、そして残留物をDCM中に溶解した。エーテル(4X容量)をDCM/MeOH溶液にゆっくりと加えてPEG付加化合物を沈殿させた。固体を集め、そして沈殿をもう2回繰り返した。固体をrtでTFA(DCM中50%、5mL)で1h処理した。溶媒を真空中で除き、そして残留物をMeOH/DCMに溶解し、そしてEtOで3回沈殿させた。集めた固体をRP−HPLC HPLC(C18カラム、30分にわたってHO中20〜60%のCHCN(0.1% TFA、λ=214、254))上で精製して400mgの表題化合物を黄褐色の固体として生成せしめた。H−NMR(δ3.62でPEG抑制を有する)(CDOD):δ8.44(s,1H),8.12(d,1H,J=7.2Hz),7.92(br s,1H),7.82(t,1H,J=7.8Hz),7.71(s,1H),7.61(d,1H,J=7.7Hz),7.04(s,1H),3.62(m,PEGメチレン),3.27(t,2H,J=4.7Hz),2.76(s,3H),2.02(s,1H)。
【実施例11】
【0274】
4−(2’−アミノ−4’−グアニジノ−6’−メチル−ビフェニル−3−スルホニル)−5−メチルスルファニル−チオフェン−2−カルボキサミジンビス−トリフルオロアセテートのHOOC−PEG5K2’−尿素
【0275】
【化86】

【0276】
表題化合物は、以下の量:DCM(1mL)中の4−{4’−[N’,N”−ビス(tert−ブトキシカルボニル)]−}−{[4−(2’−アミノ−6’−メチル−ビフェニル−3−スルホニル)−5−メチルスルファニル−チオフェン−2−イル]−イミノ−メチル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(実施例5:段階b(30mg、0.039mmol))、ピリジン(24μL、0.3mmol)、クロロギ酸p−ニトロフェニル(7.3mg、0.036mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(200μL)およびHN−PEG5K−COOH(100mg、0.02mmol、NOF、Japan)を用いて実施例10に記述するように合成した。同様のワークアップおよび精製(沈殿およびRP−HPLC)により35mgの純粋なBoc保護された中間体を生成せしめた。前述のようなTFAでの処理、続いてMeOH/DCM/EtO沈殿により、表題化合物を白色の固体として生成せしめた。H−NMR(δ3.62でPEG抑制を有する)(CDOD):δ8.43(s,1H),8.09−8.14(m,1H),7.92(t,1H,J=1.6Hz),7.82(t,1H,J=7.8Hz),7.60−7.66(m,2H),7.06(d,1H,J=1.6Hz),3.62(m,PEGメチレン),3.18(t,2H,J=6.8Hz),2.76(s,3H),2.31(t,2H,J=7.4Hz),2.04(s,1H),1.56−1.68(m,6H),1.37−1.46(m,2H)。
【実施例12】
【0277】
4−(2’−アミノ−4’−グアニジノ−6’−メチル−ビフェニル−3−スルホニル)−5−メチルスルファニル−チオフェン−2−カルボキサミジンテトラ−トリフルオロアセテートの2価45K PEGコンジュゲート
【0278】
【化87】

【0279】
DCM(1mL)中の4−(2’−アミノ−4’−グアニジノ−6’−メチル−ビフェニル−3−スルホニル)−5−メチルスルファニル−チオフェン−2−カルボキサミジンのトリス−Boc保護されたHOOC−PEG5K2’−尿素(33mg、0.0065mmol、実施例11において製造するとおり)およびDMAP(3mg、0.018mmol)の溶液にジイソプロピルカルボジイミド(DCM中10%の溶液の10μL、0.0064mmol)を加えた。反応物をrtで10分間攪拌し、次にPEG35K−(NH(81mg、0.0023mmol、NOF、Japan)を一度に加えた。反応物をrtで一晩攪拌させた。溶媒を真空中で除き、そして残留物を実施例7に記述するようにDCM/EtOから沈殿させた。集めた固体をアイソクラチック勾配(30分にわたって35% CHCN/HO(0.1% TFA))を用いてRP−HPLC上で精製して生成物(遅い画分)から過剰のHOOC−PEG5K−小分子コンジュゲート(早い画分)を除いた。遅い画分をTFA(DCM中50%、2mL)で4h処理し、そして反応混合物を真空中で濃縮した。残留物をRP−HPLC上でもう一度クロマトグラフィーにかけて分析RP−HPLCおよびH NMRにより立証した場合に純粋な表題化合物を生成せしめた。H NMR(δ3.62でPEG抑制を有する)(CDOD):δ8.42(s,1H),8.09−8.11(m,1H),7.91(t,1H,J=1.7Hz),7.81(t,1H,J=7.8Hz),7.71(s,1H),7.60−7.62(m,1H),7.04(d,1H,J=1.6Hz),3.62(m,PEGメチレン),3.25(t,2H,J=6.8Hz),3.17(t,4H,J=6.0Hz),2.75(s,3H),2.18(t,2H,J=7.5Hz),2.02(s,1H),1.90−1.98(m,2H),1.72−1.79(m,2H),1.56−1.67(m,6H)。
【実施例13】
【0280】
4−(2’−アミノ−4’−グアニジノ−6’−メチル−ビフェニル−3−スルホニル)−5−メチルスルファニル−チオフェン−2−カルボキサミジン(オクタ)−トリフルオロアセテートの4価PEG2’−尿素コンジュゲート
(リシンで末端分枝した)
【0281】
【化88】

【0282】
rtでDCM(3.5mL)中のPEG35K−(NH(1g、28.6mmol、NOF、Japan)およびDMAP(0.035mg、0.286mmol)の溶液にBoc−N−Lys(Boc)−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(102mg、0.229mmol、Novabiochem)を加えた。粘性のある反応混合物を24h強く攪拌し、次にDCMで希釈し、そしてEtOを混濁するまでゆっくりと加えた。沈殿が完了するまで混合物を4℃で静置させた。固体を濾過により集め、そして該方法をもう3回繰り返した。白色の固体を集め、そしてTFA(DCM中50%)でrtで4h処理した。反応混合物を濃縮乾固させ、そして残留物を過剰のDIEAを加えることにより中和し、そして真空中で蒸発させて所望の中間体を固体として生成せしめた。実施例7に記述する同じ方法に従って、一部の回収された固体(300mg、0.0086mmol)をDCM(2mL)中の6−(3−{3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−4−(N,N’−ビス−tert−ブトキシカルボニル)−グアニジノ−6−メチル−ビフェニル−2−イル}−ウレイド)−ヘキサン酸(64mg、0.0686mmol、実施例2、段階iにおいて製造するとおり)、ジイソプロピルカルボジイミド(10.6μL、0.068mmol)およびN,N−ジメチルアミノピリジン(16mg、0.129mmol)と反応させた。反応混合物を濃縮し、そして残留物をDCM/MeOH混合物に溶解し、そしてEtO(3x)で沈殿させた。濾過した固体をTFA(DCM中50%)でrtで6h処理した。揮発性物質を真空中で除き、そして残留物をMeOH/DCM/EtOから2回沈殿させて分析RP−HPLCおよびH NMRにより確認した場合に純粋な表題化合物を白色の固体として生成せしめた。H NMR(δ3.62でPEG抑制を有する)(CDOD):δ8.44(s,1H),8.09−8.11(m,1H),7.92(s,1H),7.82(t,1H,J=7.8Hz),7.73(m,1H),7.60(d,1H,J=8.0Hz),7.03(s,1H),3.62(m,PEGメチレン),3.05−3.12(t,2H,J=6.8Hz),2.75(s,3H),2.19(t,2H,J=7.7Hz),2.01(s,1H),1.70−1.90(m,2H),1.24−1.64(m,10H)。
【実施例14】
【0283】
6−[3’−(5−カルバムイミドイル−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル)−4−グアニジノ−6−メチル−ビフェニル−2−イルカルバモイル]−ヘキサン酸ビス−トリフルオロアセテートのPEG40Kアミド
【0284】
【化89】

【0285】
表題化合物は、DCM(3mL)中の6−(3−{3’−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−2−メチルスルファニル−チオフェン−3−スルホニル]−4−(N,N’−ビス−tert−ブトキシカルボニル)−グアニジノ−6−メチル−ビフェニル−2−イル}−ウレイド)−ヘキサン酸(25mg、0.027mmol、実施例2、段階iにおいて製造するとおり)、ジイソプロピルカルボジイミド(4.3μL、0.027mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン(6.4mg、0.05mmol)およびY−PEG40K−NH(700mg、0.0175mmol、Sunbio、South Korea)を反応させることにより実施例7に記述する同じ方法を用いて合成した。同様のワークアップ、沈殿、TFA処理および最終沈殿により表題化合物を白色の固体として生成せしめた。H−NMR(CDOD)(δ3.62でPEG抑制を有する):δ8.45(s,1H),8.11(m,1H),7.91(s,1H),7.66−7.84(m,2H),7.61(d,1H,J=7.7Hz),7.04(s,1H),3.62(m,PEGメチレン),2.77(s,3H),2.60(m,2H),2.25(t,2H,J=6.7Hz),2.01(s,3H),1.60(m,2H),1.42(m,2H),1.25−1.35(m,2H)。
【実施例15】
【0286】
C1sのインビトロ阻害
試薬:全てのバッファー塩は、Sigma Chemical Company(St.Louis,MO)から入手し、そして利用可能な最高純度のものであった。DTNBは、Pierce(Rockford,IL)から購入した。Z−Gly−Arg−S−Bzlは、Enzyme Systems Products(Livermore,CA)から購入した。活性化ヒトC1sは、Calbiochem(La Jolla,CA)から購入した。
【0287】
決定:全てのアッセイは、5,5’−ジチオ−ビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)との二次反応によって見られる、基質Z−Gly−Arg−S−BzlのC1sにより触媒される加水分解を阻害する試験化合物の能力に基づく。典型的なK決定では、基質をDMSOにおいて調製し、そして50mM HEPES、200mM NaCl、pH7.5、0.05% n−オクチル−β−D−グルコピラノシドからなるアッセイバッファー中に希釈する。基質溶液は、アッセイバッファーにおいて200μMの濃度でDTNBを有して45μM(K=78μM)の濃度で調製した。試験化合物は、アッセイバッファーにおいて10μMの最終濃度として調製する。試験化合物の希釈物をアッセイバッファーにおいて調製し、700倍の濃度範囲を含む少なくとも7つの最終濃度をもたらす。精製された活性化C1sは、50nMの作業濃度用にアッセイバッファー中に希釈した。
【0288】
典型的なK決定では、96ウェルプレートの各ウェル中に280μLの基質溶液、10μLの試験化合物溶液をピペットで取り、そしてプレートを37℃で10分間熱的に平衡化させる。反応は、酵素の10μLアリコートの添加により開始し、そして405nmでの吸光度増加をMolecular Devicesプレート読取機において15分間連続して記録する。最終試薬濃度は:[C1s]=1.7nM、[Z−Gly−Arg−S−Bzl]=45μM、[DTNB]=200μMであった。試験化合物を含有しないサンプルに対する速度(時間の関数としての吸光度の変化率)の比率を、試験化合物を含有するサンプルの速度で割り、そして試験化合物濃度の関数としてプロットする。データは線形回帰に適合し、そして直線の傾きの値を計算する。傾きの逆数は、実験的に決定された見掛けのK値(K app)である。K appは、基質濃度[S]と基質Kとの間の関係から真のKに補正され、ここで、K=K appx(1/(1+[S]/Km))。
【実施例16】
【0289】
MASP−2のインビトロ阻害
試薬:全てのバッファー塩は、Sigma Chemical Company(St.Louis,MO)から入手し、そして利用可能な最高純度のものであった。DTNBは、Pierce(Rockford,IL)から購入した。Z−Gly−Arg−S−Bzlは、Enzyme Systems Products(Livermore,CA)から購入した。自己活性化2鎖(2−chain)ヒトMASP−2(His−タグ、Cys300−Phe686)は、昆虫細胞におけるバキュロウイルス発現系から組織内で製造した。
【0290】
決定:全てのアッセイは、5,5’−ジチオ−ビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)との二次反応によって見られる、基質Z−Gly−Arg−S−BzlのMASP−2により触媒される加水分解を阻害する試験化合物の能力に基づく。典型的なK決定では、基質をDMSOにおいて調製し、そして50mM HEPES、200mM NaCl、pH7.5、0.05% n−オクチル−β−D−グルコピラノシドからなるアッセイバッファー中に希釈する。基質溶液は、アッセイバッファーにおいて200μMの濃度でDTNBを有して45μM(K=8.6μM)の濃度で調製した。試験化合物は、アッセイバッファーにおいて10μMの最終濃度として調製する。試験化合物の希釈物をアッセイバッファーにおいて調製し、700倍の濃度範囲を含む少なくとも7つの最終濃度をもたらす。精製された活性化MASP−2は、30nMの作業濃度用にアッセイバッファー中に希釈した。
【0291】
典型的なK決定では、96ウェルプレートの各ウェルに280μLの基質溶液、10μLの試験化合物溶液をピペットで取り、そしてプレートを37℃で10分間熱的に平衡化させる。反応は、酵素の10μLアリコートの添加により開始し、そして405nmでの吸光度増加をMolecular Devicesプレート読取機において15分間連続して記録する。最終試薬濃度は:[MASP−2]=1.0nM、[Z−Gly−Arg−S−Bzl]=45μM、[DTNB]=200μMであった。試験化合物を含有しないサンプルに対する速度(時間の関数としての吸光度の変化率)の比率を、試験化合物を含有するサンプルの速度で割り、そして試験化合物濃度の関数としてプロットする。データは線形回帰に適合し、そして直線の傾きの値を計算する。傾きの逆数は、実験的に決定された見掛けのK値(K app)である。K appは、基質濃度[S]と基質Kとの間の関係から真のKに補正され、ここで、K=K appx(1/(1+[S]/K))。
【実施例17】
【0292】
補体阻害データ
表1に記載する個々の実施例により製造される以下の化合物は、実施例15および16に記述する方法に従って決定されるそれらのK値を有した。
【0293】
【表1】

【0294】
これらの実施例は、C1sサブコンポーネントについて0.018〜0.4マイクロモル(μM)の範囲のK値を有する。表1は、実施例の代表組のC1sおよびMASP−2の阻害のK値を示す。結果は、本発明の化合物が補体のインヒビターであることを示す。
【0295】
本書類に引用するかもしくは記述する各特許、特許出願および公開の開示は、それらの全部が本明細書に引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0296】
本明細書に使用する化学式および名称は、基礎をなす化学化合物を正しくそして正確に反映すると考えられる。しかしながら、本発明の性質および価値は、全部もしくは一部として、これらの式の理論的正確さに依存しない。従って、本明細書に使用する式、ならびに相応して示される化合物に属すると考えられる化学名称は、そのような立体化学が明らかに定義される場合を除いて、それを任意の特定の互変異性体にまたは任意の特定の光学;もしくは幾何異性体に限定することを包含する、本発明を限定することを決して意図するものではないと理解される。
【0297】
本明細書に記述するものに加えて、本発明の様々な改変は、前の記述から当業者に明らかである。そのような改変もまた、添付の請求項の範囲内に入るものとする。
【図面の簡単な説明】
【0298】
【図1】薬剤から薬剤−リンカーコンジュゲートを形成するための可能な反応経路の概略図である。
【図2】薬剤から薬剤−リンカーコンジュゲートを形成するための可能な反応経路の概略図である。
【図3】ポリマーに薬剤−リンカーコンジュゲートを結合するための可能な反応経路の概略図である。
【図4】ポリマーに複数の薬剤−リンカーコンジュゲートを結合するための可能な反応経路の概略図である。
【図5】薬剤から薬剤−リンカーコンジュゲートを形成するための可能な反応経路の概略図である。
【図6】ポリマーに薬剤−リンカーコンジュゲートを結合するための可能な反応経路の概略図である。
【図7】薬剤−ポリマーコンジュゲートを形成するための可能な反応経路の概略図である。
【図8】薬剤−リンカー−ポリマーコンジュゲートを形成するための合成経路の概略図である。
【図9】図8の代替合成経路の概略図である。
【図10】増加した平均分子量を有する1価および多価の薬剤−ポリマーコンジュゲートを形成するための合成経路の概略図である。
【図11】4価の薬剤−ポリマーコンジュゲートを形成するための合成経路の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合した(conjugated)補体インヒビターを含んでなる組成物。
【請求項2】
式(I)もしくは式(IV):
(D−L)−P D−L−Pn’
(I) (IV)
[式中:
Dは補体カスケードインヒビターである化合物から各出現ごとに独立して選択され;
Lは各出現ごとに独立して選択される場合による(各出現ごとに)連結基であり;
nは1、2、3、4、5もしくは6であり;
n’は1、2、3もしくは4であり;そして
PはDの薬物動態学的特性を高める化合物から各出現ごとに独立して選択される]
を有する請求項1の組成物。
【請求項3】
組成物が式(I)を有し、そしてnが1、2、4もしくは6である請求項2の組成物。
【請求項4】
DをPに連結する結合が生理的条件下で実質的に非加水分解性である請求項2の組成物。
【請求項5】
DがC1sサブコンポーネント、C1rサブコンポーネント、MASP−2サブコンポーネントに結合するか、もしくはC5a受容体アンタゴニストである請求項2の組成物。
【請求項6】
DがC1sサブコンポーネントもしくはMASP−2サブコンポーネントの少なくとも1つに結合する請求項2の組成物。
【請求項7】
Dが芳香族化合物である請求項2の組成物。
【請求項8】
Dが非ペプチドである請求項2の組成物。
【請求項9】
Dが約100分子量単位〜約2000分子量単位の範囲内の分子量を有する小分子である請求項2の組成物。
【請求項10】
Dが約400分子量単位〜約1200分子量単位の範囲内の分子量を有する小分子である請求項2の組成物。
【請求項11】
Dが約400分子量単位〜約2000分子量単位の範囲内の分子量を有する小分子である請求項2の組成物。
【請求項12】
Dが非芳香族化合物である請求項2の組成物。
【請求項13】
Dが芳香族グアニジンである請求項2の組成物。
【請求項14】
Dが芳香族もしくは複素芳香族アミジンである請求項2の組成物。
【請求項15】
Dが式(II):
【化1】

[式中:
、RおよびRはH、C1〜4アルキル、アミノ、C1〜4アルコキシもしくはヒドロキシから独立して選択され;
Uはチオフェニル−R、ベンジレン、フェニレン、NHもしくは結合であり;
はSO、NHもしくは結合であり;
Zはアリーレン、ヘテロアリーレン、アラルキレン、シクロアルキレン、シクロヘテロエンであり;
WはC(=O)−O、HC(CH)−NH−C(=O)、O、NH、S、CH、C(=O)もしくは結合であり;
Tはアリーレン、ヘテロアリーレン、アラルキレン、シクロアルキレン、シクロヘテロエン、C1〜4アルキル、O、S、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルケニルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ハロ、アミノもしくはニトロであり;
Xはアミノ、カルボキシ、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、オレフィン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、アミノアルキル、カルボキシアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、メルカプトアルキル、またはLもしくはPへの結合であり;
Vはメチル、エチルもしくはClであり;そして
はH、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、アミジニル、アミノメチル、NH、尿素もしくはグアニジニルである]
の化合物である請求項2の組成物。
【請求項16】
Dが:
【化2】

[ここで:
XはDがLもしくはPに連結される場合にNHもしくはC(=O)であり、そして
はH、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、アミジニル、アミノメチル、NH、尿素もしくはグアニジニルである]
である請求項2の組成物。
【請求項17】
Dが:
【化3】

[ここで:
XはDがLもしくはPに連結される場合にNHもしくはC(=O)であり;
はC1〜4アルキル、O、S、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルケニルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ハロ、アミノ、フェニル、ピラゾリルもしくはニトロであり;そして
Vはメチルもしくはエチルである]
である請求項2の組成物。
【請求項18】
Dが:
【化4】

[ここで:
XはDがLもしくはPに連結される場合にNHもしくはC(=O)であり;
はC1〜4アルキル、O、S、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルケニルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ハロ、アミノ、フェニル、ピラゾリルもしくはニトロであり;そして
Vはメチルもしくはエチルである]
である請求項2の組成物。
【請求項19】
Dが式(V):
【化5】

[式中:
、RおよびRはH、C1〜4アルキル、アミノ、C1〜4アルコキシもしくはヒドロキシから独立して選択され;
Uはチオフェニル−R、ベンジレン、フェニレン、NHもしくは結合であり;
はSO、NHもしくは結合であり;
Zはアリーレン、ヘテロアリーレン、アラルキレン、シクロアルキレン、シクロヘテロエンであり;
WはC(=O)−O、HC(CH)−NH−C(=O)、O、NH、S、CH、C(=O)もしくは結合であり;
Tはアリーレン、ヘテロアリーレン、アラルキレン、シクロアルキレン、シクロヘテロエン、C1〜4アルキル、O、S、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルケニルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ハロ、アミノもしくはニトロであり;
Xはアミノ、カルボキシ、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、オレフィン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、アミノアルキル、カルボキシアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、メルカプトアルキル、またはLもしくはPへの結合であり;
存在する場合、Yはアミノ、カルボキシ、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、オレフィン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、アミノアルキル、カルボキシアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、メルカプトアルキル、尿素、グアニジニル、またはLもしくはPへの結合であり;そして
Vはメチル、エチルもしくはClである]
の化合物である請求項2の組成物。
【請求項20】
Dが群:
【化6】

[ここで:
XはDがLもしくはPに連結される場合にNHもしくはC(=O)であり、
存在する場合、YはDがLもしくはPに連結される場合にNH、C(=O)、グアニジニルもしくは尿素であり、
Vはメチル、エチルもしくはClであり、そして
はH、C1〜4アルキル、OH、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルケニルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ハロ、アミノ、フェニル、ピラゾリルもしくはニトロである]
から選択される請求項19の組成物。
【請求項21】
Dが:
【化7】

[ここで:
XはDがLもしくはPに連結される場合にNHもしくはC(=O)であり、
存在する場合、YはDがLもしくはPに連結される場合にNH、C(=O)、尿素もしくはグアニジニルであり、そして
Vはメチルもしくはエチルである]
である請求項19の組成物。
【請求項22】
Dが:
【化8】

[ここで:
XはDがLもしくはPに連結される場合にNHもしくはC(=O)であり、
存在する場合、YはDがLもしくはPに連結される場合にNH、C(=O)、尿素もしくはグアニジニルであり、
Vはメチルもしくはエチルであり、そして
はH、C1〜4アルキル、OH、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルケニルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ハロ、アミノもしくはニトロである]
である請求項19の組成物。
【請求項23】
Dが:
【化9】

[ここで:
XはDがLもしくはPに連結される場合にNHもしくはC(=O)であり;
存在する場合、YはDがLもしくはPに連結される場合にNH、C(=O)、尿素もしくはグアニジニルであり、
Vはメチルもしくはエチルであり、そして
はH、C1〜4アルキル、OH、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルケニルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ハロ、アミノ、フェニル、ピラゾリルもしくはニトロである]
である請求項19の組成物。
【請求項24】
Lが群:
【化10】

【化11】

【化12】

[ここで、AAはアミノ酸であり、そしてmは1〜12である]、
【化13】

[ここで、AAはアミノ酸であり、そしてmは1〜12である]、および
【化14】

から選択される請求項2の組成物。
【請求項25】
Pがポリアルキレンオキシド、デキストラン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、炭水化物に基づくポリマー、および活性化ポリマーよりなる群から選択されるポリマーである請求項2の組成物。
【請求項26】
Pが約750式量単位(formula weight unit)〜約60,000式量単位の分子量を有するモノメチル末端(monomethyl−terminated)ポリエチレングリコールである請求項25の組成物。
【請求項27】
Pが約750式量単位の分子量を有するモノメチル末端ポリエチレングリコールである請求項25の組成物。
【請求項28】
Pが約10,000式量単位の分子量を有するモノメチル末端ポリエチレングリコールである請求項25の組成物。
【請求項29】
Pが約20,000式量単位の分子量を有するモノメチル末端ポリエチレングリコールである請求項25の組成物。
【請求項30】
Pが約40,000式量単位の分子量を有するモノメチル末端ポリエチレングリコールである請求項25の組成物。
【請求項31】
Pが約60,000式量単位の分子量を有するモノメチル末端ポリエチレングリコールである請求項25の組成物。
【請求項32】
Pが式(III):
【化15】

[式中:
MはCH、HC=CH−C(=O)、O=CH−CH、HN−CH−CH、Cl−HN−C(=O)−CH、O=C=N−CHCH、HS−CHCH、HC=CH−S(=O)−CHCH
【化16】

であり;
jは17〜1400であり;そして
AはO−CH−CH(=O)、O−C(=O)−CH=CH、O−CH−CH−NH、NH、O−CH−C(=O)−NH−NHCl、SH、N=C=O、S(=O)−CH=CH
【化17】

【化18】

である]
を有する活性化ポリマーである請求項25の組成物。
【請求項33】
Dが式(II)もしくは式(V):
【化19】

[式中:
、RおよびRはH、C1〜4アルキル、アミノ、C1〜4アルコキシもしくはヒドロキシから独立して選択され;
Uはチオフェニル−R、ベンジレン、フェニレン、NHもしくは結合であり;
はSO、NHもしくは結合であり;
Zはアリーレン、ヘテロアリーレン、アラルキレン、シクロアルキレン、シクロヘテロエンであり;
WはC(=O)−O、HC(CH)−NH−C(=O)、O、NH、S、CH、C(=O)もしくは結合であり;
Tはアリーレン、ヘテロアリーレン、アラルキレン、シクロアルキレン、シクロヘテロエン、C1〜4アルキル、O、S、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルケニルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ハロ、アミノもしくはニトロであり;
Xはアミノ、カルボキシ、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、オレフィン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、アミノアルキル、カルボキシアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、メルカプトアルキル、またはLもしくはPへの結合であり;
存在する場合、Yはアミノ、カルボキシ、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、オレフィン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、アミノアルキル、カルボキシアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、メルカプトアルキル、尿素、グアニジニル、またはLもしくはPへの結合であり;そして
Vはメチル、エチルもしくはClであり;そして
はH、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、アミジニル、アミノメチル、NH、尿素もしくはグアニジニルである]
の化合物であり;
Lが群:
【化20】

【化21】

【化22】

[ここで、AAはアミノ酸であり、そしてmは1〜12である]、
【化23】

[ここで、AAはアミノ酸であり、そしてmは1〜12である]、および
【化24】

から独立して選択される場合による(各出現ごとに)連結基であり;そして
Pが式(III):
【化25】

[式中:
MはCH、HC=CH−C(=O)、O=CH−CH、HN−CH−CH、Cl−HN−C(=O)−CH、O=C=N−CHCH、HS−CHCH、HC=CH−S(=O)−CHCH
【化26】

であり;
jは17〜1400であり;そして
AはO−CH−CH(=O)、O−C(=O)−CH=CH、O−CH−CH−NH、NH、O−CH−C(=O)−NH−NHCl、SH、N=C=O、S(=O)−CH=CH
【化27】

である]
を有する活性化ポリマーである請求項2の組成物。
【請求項34】
患者に請求項2の複合補体インヒビターを投与することを含んでなる、補体カスケードの活性化を抑制するために患者を処置する方法。
【請求項35】
患者が遺伝性血管浮腫、敗血症性ショック、心肺バイパスにおけるポストポンプ(post pump)症候群、発作性夜間血色素尿症、臓器拒絶反応、創傷、脳損傷、喘息、橋本甲状腺炎、全身性エリテマトーデスの糸球体腎炎および皮膚病変、他の糸球体腎炎、水疱性類天疱瘡、疱疹状皮膚炎、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、重症筋無力症、インシュリン抵抗性、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少性紫斑病、関節リウマチ、多発性硬化症、神経障害ギラン・バレー症候群、ミラー・フィッシャー症候群ならびにアルツハイマー病よりなる群から選択される疾患にかかっている請求項34の方法。
【請求項36】
請求項2の複合補体インヒビターの治療的に有効な量を処置を必要とする哺乳類に投与することを含んでなる、補体カスケードの古典経路もしくはMBL経路により媒介される急性もしくは慢性疾患の症状を処置する方法。
【請求項37】
該急性もしくは慢性疾患が炎症、組織損傷もしくは自己免疫性疾患である請求項36の方法。
【請求項38】
該化合物を炎症、組織損傷およびその組み合わせよりなる群から選択される補体により媒介される疾患の処置を必要とする哺乳類に投与する請求項36の方法。
【請求項39】
該炎症もしくは組織損傷が、卒中、心筋梗塞、出血性ショックもしくは手術、またはその組み合わせの後に起こる請求項38の方法。
【請求項40】
該化合物をクローン病の腸炎、再狭窄もしくは乾癬の処置を必要とする哺乳類に投与する請求項36の方法。
【請求項41】
該化合物を臓器もしくは移植片の移植の前、間もしくは後に、哺乳類によるそのような臓器もしくは移植片の拒絶を改善するために哺乳類に投与する請求項36の方法。
【請求項42】
移植が個体内、同種の個体間、もしくは異種の個体間である請求項41の方法。
【請求項43】
臓器が腎臓、心臓、肺および肝臓よりなる群から選択される請求項41の方法。
【請求項44】
該化合物をIL−2処置、骨髄移植もしくは膵炎の毒性および副作用を減らすために有効な量で、(1)IL−2での該哺乳類の処置、(2)該哺乳類における骨髄移植もしくは(3)該哺乳類における膵炎の発症の前、間もしくは後に哺乳類に投与する請求項36の方法。
【請求項45】
該化合物を自己免疫性疾患と診断されている哺乳類に投与する請求項36の方法。
【請求項46】
該化合物をアジソン病、I型糖尿病、橋本甲状腺炎、全身性エリテマトーデスの糸球体腎炎および皮膚病変、他の糸球体腎炎、水疱性類天疱瘡、疱疹状皮膚炎、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、重症筋無力症、インシュリン抵抗性、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少性紫斑病、免疫複合体誘発性脈管炎糸球体腎炎、II型コラーゲン誘発性関節炎、関節リウマチもしくはアレルギー性神経炎と診断されている哺乳類に投与する請求項36の方法。
【請求項47】
該化合物を重症筋無力症(MG)、関節リウマチもしくは全身性エリテマトーデスと診断されている哺乳類に投与する請求項36の方法。
【請求項48】
該化合物を神経変性疾患と診断されている哺乳類に投与する請求項36の方法。
【請求項49】
該神経変性疾患が多発性硬化症(MS)、ギラン・バレー症候群(GBS)、ミラー・フィッシャー症候群(MFS)、アルツハイマー病(AD)もしくは変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)である請求項48の方法。
【請求項50】
該化合物を成人呼吸促進症候群の症状を患っている哺乳類に投与する請求項36の方法。
【請求項51】
該化合物を敗血症性ショックの状態の哺乳類に投与する請求項36の方法。
【請求項52】
該化合物を遺伝性血管浮腫、発作性夜間血色素尿症、創傷治癒、脳損傷、喘息、血液透析、感染、皮膚病、炎症性腸疾患、骨粗鬆症、変形性関節症、熱傷(熱傷および凍傷)、溶血性貧血もしくは心肺バイパスにおけるポストポンプ症候群の処置を必要とする哺乳類に投与する請求項36の方法。
【請求項53】
個体に請求項2の複合補体インヒビターを投与することにより補体カスケードの活性化を抑制することを含んでなる、個体における細胞移植もしくは移植片の拒絶を改善する方法。
【請求項54】
個体が心不全、糖尿病、卒中、パーキンソン病、アルツハイマー病、認知症、肝疾患、腎臓病、熱傷および創傷よりなる群から選択される症状を有する請求項53の方法。
【請求項55】
移植片が個体内、同種の個体間もしくは異種の個体間の組織の移動である請求項53の方法。
【請求項56】
細胞移植が個体内、同種の個体間もしくは異種の個体間である請求項53の方法。
【請求項57】
細胞移植の細胞が幹細胞、一次細胞、組織培養由来の細胞、膵島細胞、インシュリンを発現する細胞、グルコース調節ホルモンを発現する細胞もしくは糖尿病の処置に有用な因子を発現する細胞である請求項53の方法。
【請求項58】
個体が哺乳類である請求項53の方法。
【請求項59】
臓器を請求項2の複合補体インヒビターと接触させることを含んでなる、臓器保存溶液中の臓器における補体活性化を防ぐ方法。
【請求項60】
異物を請求項2の複合補体インヒビターと接触させることを含んでなる、個体への異物の挿入に応答する補体活性化を防ぐ方法。
【請求項61】
異物が外科的インプラント、人工臓器もしくは人工関節である請求項60の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−535474(P2007−535474A)
【公表日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518654(P2006−518654)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/019457
【国際公開番号】WO2005/002627
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(506003831)オーソ−マクニール・フアーマシユーチカル・インコーポレーテツド (1)
【Fターム(参考)】