説明

複合重合体マイクロフルイド制御装置

導管内を移動可能な調節器を備えるマイクロフルイド制御装置であり、調節器が、重合可能な前躯体及び微粒子状充填剤からなる複合混合物から形成される複合重合体である。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
背景
マイクロフルイドシステム、即ちミクロン又はサブミクロンのスケールで製造される流路又はチャンバを有するシステム又は装置は、多数のマイクロスケールの化学的工程や物理的工程を実行するために用いられる。マイクロフルイドシステムの個々の構成要素は、例えばマイクロ流路内部の流体の輸送を制御又は計測するために、単独で又は併せて用いられる。マイクロフルイドシステムの典型的な応用例としては、分析機器及び医療機器、工業的工程制御装置、並びに液体クロマトグラフィー及びガスクロマトグラフィーが挙げられる。これらのシステムにおいては、1つの導管から第2の導管へ試料の容量を正しく分割する方法が、分析を行う上で重要となる。場合によっては、1nL程度の少ない容量の試料が分析のために必要であり、この容量はあまりに少量過ぎて従来のバルブ又はピペットを使用する公知のマクロスケール法では信頼性のある分配はできない。広範囲の工程及び工程液体に用いることができ、マイクロチップ基板上に製造することが可能なマイクロフルイドシステムがあれば有利である。また、迅速な応答時間を有し、小容量の試料及び小さな流量を精密に制御できる装置があれば有利である。
【0002】
基板にエンボス加工された制御ラインを有する軟質エラストマーであるヒドロゲル製の装置及びマイクロ流路内を自由に移動できる構造を有する装置を含め、シリコン製又はエラストマー製のマイクロバルブのようなマイクロフルイド制御装置が現在知られている。これらの装置に関する更なる情報は、Shoji及びEsashi, J, Micromech. Microeng., 4, 157−171, 1994; Beebe等、Nature, 404, 588−590, April 2000; Unger等、Science, 288, 113−116, April 2000; Rehm等、uTAS 2001, 227−229, Oct 2001;及び米国特許出願第2004/0123658号などに見出すことができる。しかしながらこれらの装置は、マイクロチップ基板へ容易に組み込めない、過剰なデッドボリュームを有する、多量の動力を必要とする、応答速度が遅いなど、1つ以上の不利を抱えており、製造及び組み立てが困難且つ高価であり、中程度の圧力変化にしか耐えることができず、狭い範囲の工程や工程液体にしか対応できず、溶媒により変形し易く、材質がわずかに変動すると性能が不安定(予測不能)となり、シラン化されたマイクロ流路皮膜に関する劣化に伴う問題を有し、及び/又は溶媒による収縮及び膨潤に対する対応が乏しい。
【0003】
それゆえ、マイクロフルイドシステムの流路及びチャンバにおいて、迅速な応答時間を有し、少量の気体流及び液体流、並びに小容量の気体及び液体を精密に制御できるマイクロフルイド制御装置が望まれている。また、マイクロチップ基板に組み込むことが可能であり、マイクロフルイドシステムに用いられる広い範囲の薬品や溶媒に適応するマイクロフルイド制御装置に対する需要が存在する。
【0004】
概要
本発明により、マイクロフルイド制御装置が提供される。本装置は、第1端及び第2端を有する導管、導管と流体連通する第1経路、導管と流体連通する第2経路、及び導管内を移動可能な調節器を備える。調節器は第1端及び第2端より大きい外寸法を有するので、導管の外に出ることはなく、構造的成分を有する実質的に弾性の材料から成り、その材料は、重合可能な前躯体と微粒子状充填剤を含む複合混合物から形成される複合重合体とすることができる。複合混合物は更に、界面活性剤、光重合開始剤、及び/又は2つ以上の重合可能な前躯体、及び/又は2つ以上の微粒子状充填剤を含むことができる。場合によっては、装置は、それぞれが導管と流体連通する、第1、第2及び第3経路という複数の経路、及び/又は導管内を移動可能な複数の調節器を有することが可能である。調節器は実質的に非圧縮性とすることができ、特定の光学的特性を有し、及び/又は流体に曝された場合にほぼ安定した体積を有する。更に調節器は、導管内の複合混合物から、エネルギ源を用いる複合混合物の現場重合により形成できる。複合混合物は更に光重合開始剤を含むことができ、エネルギ源は放射光源とすることができる。調節器はまた、ほぼ円筒形とすることができ、導管内を前後に運動することができる、又は往復運動可能である。あるいは、調節器は、ほぼ歯車の形状とし、導管内を回転可能とすることもできる。装置は更に、導管及び/又は複数の導管が組み込まれた基板を備えることも可能である。場合によっては、基板は車軸を有することができ、調節器はほぼ歯車の形状で車軸の周りを回転することができる。
【0005】
また、複数の導管を備えるマイクロフルイド制御システムが提供され、本システムでは、各導管が第1端及び第2端、1つ以上の導管と流体連通する第1経路、1つ以上の導管と流体連通する第2経路、及び複数の調節器を有し、各調節器は別々の導管内において独立して移動可能である。各調節器は第1端及び第2端より大きい外径を有するので導管の外に出ることはなく、構造的成分を有する実質的に弾性の材料からなる。
【0006】
装置は、重合可能な前躯体と微粒子状充填剤とを混合して複合混合物を形成し、その複合混合物を導管内に導入した後、導管をエネルギ源に曝露して複合混合物を現場重合させて調節器を形成することにより製造することが可能である。好ましくは、複合混合物は1つ以上の重合可能な前躯体及び1つ以上の微粒子状充填剤を含む。より好ましくは、重合可能な前躯体は1つ以上のフッ素化アクリレート又はフッ素化メタクリレートであり、最も好ましくは、少なくとも1つの重合可能な前躯体が、モノマーと前混合されたパーフルオロポリエーテルアクリレート又はパーフルオロポリエーテルメタクリレートである(重合可能部位に関して単官能又は多官能である重合可能な前躯体)。前記混合物は随意で蛍光性モノマーを含むことが可能である。好ましくは、微粒子状充填剤は、表面処理された微粒子状充填剤及び/又は多角体オリゴマーシルセスキオキサンである。
【0007】
複合混合物は更に界面活性剤及び/又は光重合開始剤を含むことができ、マスクを通して導管を放射光源に曝露することにより調節器を形成することができる。好ましくは、光重合開始剤はフッ素化された及び/又は芳香族ケトンである。
【0008】
それに加えて、完成した装置は、導管から除去された未重合の複合混合物を用いて、各導管内に2つ以上の調節器を有することが可能である。場合によっては、複数の導管を有する基板を選択することが可能であり、複合混合物を各導管に導入することにより複数の調節器を形成することができる。基板は3つ以上の導管を有することができ、複合混合物を3つ以上の導管に導入して同一基板上に3つ以上の調節器を形成することが可能である。1つ以上の導管を放射光に曝露することにより1つ以上のほぼ円筒形の調節器を形成することができ、ほぼ円筒形の各調節器は導管内で前後運動により移動可能である。或いは、1つ以上の導管を放射光に曝露することにより1つ以上のほぼ歯車形の調節器を形成することができ、ほぼ歯車形の各調節器は導管内で回転可能である。基板は更に車軸を有することができ、導管を放射光に曝露することによりこの車軸を中心とするほぼ歯車形の調節器を形成することが可能である。
【0009】
装置は、所定の粘性を有する流体を調節器を通して移動させ、調節器を流体流速で動かすことにより、マイクロフルイド装置内の流体流速を決定するのに用いることができる。放射光を調節器の一部分に照射し、それによって放射光を検出器に反射又は透過させ、反射光又は透過光を、周期的信号として計測する。次に、信号を加工し、信号の周波数を決定して、信号の周波数を流体流速と関係付ける。放射光は、複数の検出器へ反射又は透過させることができる。また、複数の放射光を調節器に照射して、放射光を複数の検出器へ反射又は透過させることが可能である。ほぼ歯車形の調節器を有する上記のようなマイクロフルイド制御装置を使用して、流体流速を決定することができ、放射光を調節器の歯部分に照射することにより放射光を検出器へ反射又は透過させることが可能である。
【0010】
上記の及びその他の本発明の特徴、態様及び利点を、以下の記述、特許請求の範囲及び添付図面により、更に明らかにする。
【0011】
詳細な説明
本発明の一実施形態により、マイクロフルイド制御装置が提供される。本装置は、導管内を移動可能で、重合可能な前躯体及び微粒子状充填剤を含む複合混合物から形成される調節器を備える。調節器の形成に微粒子状充填剤を使用することにより、剛性対柔軟性の範囲、付加的引っ張り強度及び圧縮強度、光学的特性及び寸法安定性など、広い範囲で所望の特性が調節器に付与される。調節器は、例えば1平方インチ当たり何千ポンド(psi)という高圧下で作動可能であり、調節器に微粒子状充填剤を添加することにより、圧縮性の低減という実質的な利点が得られる。更に、本発明のマイクロフルイド制御装置は、マイクロフルイドシステムの流路及びチャンバにおいて、迅速な応答時間を有し、少量の気体流及び液体流、並びに小容量の気体及び液体を精密に制御することができる。更に、本マイクロフルイド制御装置は、マイクロチップ基板などの基板に組み込むことが可能である。
【0012】
本発明のマイクロフルイド制御装置は、流体を満たすことができ、相互に連結する導管を含むことができる。この装置は、化学的物質及び生物学的物質の分析などの分析過程に用いることができる。このような装置の例には、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)及びフロー注入分析装置(FIA)が含まれる。
【0013】
特定の好ましい実施形態において、被覆された又は表面処理された微粒子状充填剤が、調節器を形成するための複合混合物中に用いられる。複合重合体混合物組成中に表面処理された微粒子状充填剤(例えば、疎水処理されたヒュームドシリカ)の粒子を用いることにより、例えば米国特許出願第2004/0052929号に記載されているようなシラン化マイクロ流路被膜とは反対に、時間の経過と共に発生することが従来技術において知られているシラン膜の劣化に伴う問題を克服することが可能である。シラン膜は(大部分の反応及び加水分解条件下で)多層を形成し、その結果性質として不均質である。シラン膜はマイクロ流路の親水性シリカ(シラノール)表面に共有結合していて、時間の経過と共に及び接触する溶液の条件(pH、塩類、蛋白質類など)の変化により劣化し、洗い流される。マイクロバルブ、注入器/ピペッター及び分流加減器において、可動モノリス重合体要素が繰り返し作動される。この繰り返し動作の機械的性質により表面被膜の摩耗及び劣化が生じ、一体型マイクロ分析システム(例えばHPLC)全体が汚染される可能性がある。複合混合物中に表面処理された微粒子状充填剤の微粒子を混合することにより、複合重合体要素は、試料を処理する際、システム汚染の問題を伴わずに低摩耗・低摩擦を達成できるという付加的な利点を有する。
【0014】
本明細書で用いられる以下の用語は特定の意味を有する。
用語「複合重合体」は、微粒子状充填剤と1つ以上の重合可能な前躯体との混合物を重合することにより得られる材料を意味する。
用語「導管」は、毛細管及びチューブを含む種々の流路又は流路網のいずれかを意味する。
用語「弾性材料」は、変形力が除去された後、部分的又は全体的に元来の形状を回復する材料を意味する。
用語「流体」は、種々の液体、気体又は一まとまりの緩い固体材料のいずれかを意味する。
用語「マイクロスケール」は、ミクロン又はサブミクロンのスケール、即ち少なくとも1つの断面寸法が約0.1μmから約500μmの範囲内であるようなスケールを意味する。
用語「マイクロフルイド装置」は、マイクロスケールの流路又はチャンバを有するシステム又は装置を意味する。
用語「モノリシック重合体」は、微粒子状充填剤を含まずに重合可能な前躯体だけを重合した重合体を意味する。
用語「調節器」は、1つ以上の開口を開く、閉じる又は部分的に塞ぐ可動部分によって流体流を開始、停止又は調整する種々の装置のいずれかを意味する。
用語「構造的成分」は、構造、組成、物理的組成又は物質の性質に影響する粒子又は部分を意味する。
用語「基板」は、リソグラフィーにより製造されたマイクロ流路又はマイクロ導管を有するチップを意味し、毛細管やチューブなどのその他導管や流路網を含む。
用語「含む」、「備える」及びその同義語「〜からなる」及び「有する」は、その他の添加剤、成分、数又は工程を排除するものではない。
【0015】
本明細書中で特定される全ての寸法は、例示のみを目的としており、限定を意図するものではない。更に、図面中で示されている縮尺は必ずしも正確でない。本明細書を参照する当業者であれば理解するように、本明細書に開示されるあらゆる装置又は装置の一部分の実際の寸法は、使用目的に応じて決定できる。
本明細書にパーセンテージで開示されているすべての数量は、組成物の総重量に対する重量パーセントである。
【0016】
図1A及び1Bには、装置が本発明による複合チェックバルブであるマイクロフルイド制御装置10を模式的に示す。装置は第1端12及び第2端13を有する導管11を備える。導管は、導管11と流体連通する第1経路14及び第2経路15を有する。装置はまた、導管11内を移動可能な調節器16を有する。図1B及び1Cでは、調節器16は、第1端12及び第2端13より大きい外寸法17を有するので、導管11の外に出ることはない。図1Cは、図1BのA−Aにおける調節器16の断面形状を示し、調節器16の外寸法17を図示する。調節器16は、重合可能な前躯体及び微粒子状充填剤を含む複合混合物から形成される複合重合体とすることができる構造的成分を有する実質的に弾性の材料からなる。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、図1A及び1Bに示すように、調節器16は、導管11の形状が調節器16を包み込むように形成された複数の壁を有する導管11を備える複合チェックバルブである。調節器16は、往復運動、即ち前後運動又はピストン運動により導管11内を移動可能である。調節器16の動きは、導管11の形状の変化により停止する。導管11の形状の変化は導管11内にバリアー(本明細書では「せき」とも称する)を形成し、それによって調節器16は導管11の外に出ることはない。好ましいが必ずしも必須でない実施形態において、導管11の形状は、導管の深さ、幅、直径又は形状を変えることにより、又は調節器16と導管11との間に多孔質膜などの別の材料を挿入することにより変化させ、それによって流体は流れることができるが、調節器16が導管11の外に出ることは防止される。最も好ましいが必ずしも必須でない実施形態において、調節器16はほぼ円筒形で、円筒形の導管11内を流体圧により又は流体圧に抗して前後運動することにより移動する摺動部材である。調節器16の動きは、導管11の直径が狭まることにより停止する。しかしながら、本明細書を参照する当業者であれば理解するように、調節器の動きを停止するために調節器及び導管に他の形状を用いることもできる。
【0018】
図1Aに示すように、装置10は、相互に連結する導管18を更に備えることができ、調節器16が導管の第2端13に接している時、この連結導管18によって流体が調節器16を迂回するように流れの方向を切り替えるルートが提供される。図1Bに示すように、調節器16が導管第1端12に接している時、流体は導管11を通過できない。
【0019】
次に、図2A、2B、2C及び2Dに、装置が組み込まれた流路を有する複合チェックバルブである、本発明によるマイクロフルイド制御装置を模式的に示す。この実施形態によれば、図1A及び1Bに示す流路18は流体が流れるのに不要であり、取り外されている。装置30は第1端32及び第2端33を有する導管31を備える。導管は、導管31と流体連通する第1経路34及び導管31と流体連通する第2経路35を有する。装置はまた、導管内を移動可能な調節器36を有する。調節器36は、第1端32及び第2端33よりも大きい外径37を有するので、導管31の外に出ることはない。調節器36は、構造的成分を有する実質的に弾性の材料からなる。好ましいが必ずしも必須でない実施形態において、調節器36は、微粒子状充填剤と1つ以上の重合可能な前躯体との混合物を光重合開始剤により重合して得られる複合重合体である。
【0020】
図2A及び2Bを参照すると、図2Aは装置内への流体の流入を示し、それによって調節器36は第2端33に当たって止まるまで作動される。第2端33と調節器36との間の間隙によって、流体は、入口である第1経路34と出口である第2経路35との間を阻害されることなく流れることが可能である。図2Bは、装置が流体の流れを反対方向に停止させる様子を示す。第2経路35から流入する流れによって、調節器36は、第1端32に当たって停止するまで作動される。流路が遮断され、第2経路35から第1経路34へ流れることはできない。図2C及び2Dには、第2経路35と調節器36との間に直接的な導管のない本発明の一実施形態が模式的に示されている。この実施形態によれば、側面のせきである第2端33によって、図2A及び2Bに示されている第2端33と同様の機能が提供される。
【0021】
次に図3A及び3Bには、複数のマイクロフルイド制御装置を備えるシステムを模式的に示す。このシステムは、多数の調節器が組み合わされて、試料源から流体を分配するために用いられるシステム、即ち試料ディスペンサーを形成している。図3A及び3Bは、導管41、42及び43を備えるシステムを示し、各導管41、42及び43は第1端44、45及び46、及び第2端各々47、48及び49を有する。試料源からの第1経路50は、各導管41、42及び43と流体連通している。流体源からの第2経路51は、各導管41及び43と流体連通している。流路55は作動源と流体連通する。各調節器52、53及び54は、各々導管41、42及び43中で移動可能であり、各調節器52、53及び54の外径はそれぞれ、第1端44、45及び46、及び第2端47、48及び49より大きいので、各調節器が各導管41、42及び43の外へ流れ出ることはない。更に、各調節器52、53及び54は構造的成分を有する実質的に弾性の材料からなる。好ましいが必ずしも必須でない実施形態において、各調節器52、53及び54は微粒子状充填剤と1つ以上の重合可能な前躯体との混合物を光重合開始により重合して得られる複合重合体である。
【0022】
図3Aは、充填位置にあるシステム40を示し、ここでは試料流入チェックバルブ401が開位置にある。即ち、調節器52が導管41の第2端47に当たるまで引かれている。試料チャンバ402内では、一次ピストンである調節器53が導管42、即ち、作動源に最も近い第2端48に当たるまで引かれている。流出チェックバルブ403は閉位置にあり、即ち、調節器54は連結導管43の第1端46に当たるまで引かれている。好ましいが必ずしも必須でない実施形態によれば、試料源は試料流体の貯槽、試料流体を含む流路システム、又はシリンジなどの試料流体を含む装置への外部接続とすることができる。作動源は一次ピストンを作動させるのに用いられる圧力源及び/又は真空源である。しかしながら、本明細書を参照する当業者であれば理解するように、システムは試料を充填又は排出するためにその他の構成を有することが可能であり、試料源はその他の流体含有装置とすることが可能である。
【0023】
引き続き図3A及び3Bを参照すると、システム40はまた、廃棄貯槽に連絡している導管、又は真空源に連結している導管、又は作動源に連結している導管とすることが可能な余剰流体の流出口58を備えることができる。別の実施形態において、システム40は更に、流体が調節器52及び54を迂回するように流れの方向を切り替えるためのルートを提供する連絡導管を備える。好ましいが必ずしも必須でない別の実施形態において、システム40は更に、開いて材料を充填できる分析用導管59を備え、よって運転緩衝流体などの流体を分析用カラムなどの別の装置と連結する。図3Bは、分析位置にあるシステム40を示す。この分析状態において、試料流入チェックバルブ401中の調節器52は閉位置にある。即ち、連結導管41の第1端44に当たるまで引かれ、試料チャンバ402中の調節器53は導管42の第1端45のほうへ引かれ、試料流出チェックバルブ403中の調節器54は閉位置にあり、即ち、連結導管43の第2端49に当たるまで引かれている。本明細書を参照する当業者であれば理解するように、本発明によれば、システムの調節器及び導管は他の形状を有することが可能であり、装置は流体を試料源から分配する処理以外の過程に用いることができる。
【0024】
図4A及び4Bには、装置が混合バルブであるマイクロフルイド制御装置60を示す。本装置は第1端62及び第2端63を有する導管61を備える。導管61は、導管61と流体連通する第1経路64、第2経路65及び第3経路を有する。装置はまた、導管61内を移動可能な調節器67を備え、調節器67の外径は第1端62及び第2端63より大きいので、調節器67が導管61の外に出ることはない。更に、調節器67は、構造的成分を有する実質的に弾性の材料からなる。好ましいが必ずしも必須でない実施形態において、調節器67は、微粒子状充填剤と1つ以上の重合可能な前躯体との混合物を光重合開始により重合して得られる複合重合体であり、この複合重合体は、重合可能な前躯体及び微粒子状充填剤を含む複合混合物から形成される複合重合体とすることができる。
【0025】
引き続き図4A及び4Bを参照すると、好ましいが必ずしも必須でない実施形態において、装置60は、種々の濃度を有する流体を混合するため、又は導管内に流入する流体の源を変更するために用いられる混合バルブである。図4A及び4Bに示すように、装置60は、流路66を介して分析用カラムなどの機器に連結することができ、装置60は機器に試料を供給することができる。図4Aに示すように、調節器67を第2端63に当たるまで引いたとき、流体は、流入流路である流路64から流出流路である流路66へと流れることができる。流路66における圧力より大きな圧力が流路65にかかるとき、又は流路65における圧力が流路64における圧力より小さくなるとき、又はそれらの組み合わせであるとき、調節器67を第2端63に当たるまで引くことができる。図4Bに示すように、調節器67を第1端62に当たるまで引いたとき、流体は、流路65から流路66へと流れることができる。流路66における圧力より大きな圧力が流路65にかかるとき、又は流路64における圧力が流路65における圧力より小さくなるとき、又はそれらの組み合わせであるとき、調節器67を第1端62に当たるまで引くことができる。好ましいが必ずしも必須でない別の実施形態において、流路64及び65の間の圧力を切り替えることにより、流路64及び65から異なる種類の流体を交替に流出流路である流路66へ供給することができる。流出流路66中に特有の流体分散により、流路64及び65から供給される流体を混合することができる。流路64及び65への圧脈波の継続時間は変化させることができる。例えば、流路64における圧脈波を流路65における圧脈波より長くすることができる。複数の流路における圧脈波を変化させることにより、流路64及び65から流路66へ個々に供給される流体の相対的容量が変化し、流路66へ供給される流体を特定の濃度で供給することができる。好ましいが必ずしも必須でない別の実施形態において、複数の流路を流出流路66に多重化することが可能であり、それにより図4A及び4Bに示す2つの流入流路64及び65より口径の大きな複数の流入流路から、流出流路66及びそれに接続される機器へ流体供給することができる。本発明によれば、本明細書を参照する当業者であれば理解するように、装置の調節器及び導管は他の形状を有することができ、異なる濃度の流体の混合又は導管に流入する流体源の変更以外の処理に装置を用いることができる。
【0026】
図5A及び5Bには、装置がほぼ歯車形の調節器又はギア、即ち機械中で機能する機構を有するマイクロフルイド制御装置70を示す。本装置は、第1端72及び第2端73を有する導管71を備える。導管71は、導管71と流体連通する第1経路74及び第2経路75を有する。装置はまた、ほぼ歯車形で、導管71内を移動可能な調節器76を有し、調節器76の外径77は第1端72及び第2端73より大きいので、調節器76が導管71の外に出ることはない。更に、調節器76は、構造的成分を有する実質的に弾性の材料からなる。好ましいが必ずしも必須でない実施形態において、調節器76は、微粒子状充填剤と1つ以上の重合可能な前躯体との混合物を光重合開始により重合して得られる複合重合体である。好ましいが必ずしも必須でない別の実施形態において、ほぼ歯車形の調節器76は導管内で回転できる。最も好ましいが必ずしも必須でない実施形態において、装置70は更に、車軸78(本明細書では軸又は中央フックとも称する)を有する基板を備え、調節器76はこの車軸を中心に回転できる。しかしながら、本明細書を参照する当業者であれば理解するように、調節器は中央点又はピンを取り囲むその他のギア形状を有することもできる。
【0027】
引き続き図5A及び5Bを参照すると、好ましいが必ずしも必須でない実施形態において、装置は流量計として用いることができる。図5Aに示すように、流体は流入流路である第1経路74から流出流路である第2経路75へと導管71を通って流れることができる。流体が調節器76を通過するとき、導管に流入する流体の粘性抵抗は、流体流の関数である速度で調節器76を回転させることができる。調節器76の回転を測定するために光源79を用いることができ、これは調節器76の一部分に入射する反射光(又は透過光)を光センサなどの検出器80で検出することによって行われる。図5Bに示すように、ウィンドウ82を有するマスク81を使用することにより、光が確実に歯車形調節器の歯が見える領域だけに入射するようにすることができる。調節器76が回転して歯車の歯がウィンドウ82を通過し、歯に反射した光の信号が周期的に測定される。好ましいが必ずしも必須でない実施形態において、装置は流体の固定容量を分取するのではなく、調節器76は流動する流体流の中で自由に回転することができる。本明細書を参照する当業者であれば理解するように、流量計は、調節器中に磁気充填物を用いることにより、例えばホール磁場センサに用いられているような磁気センサで調節器76の動きを感知するなど、他の種類及び構成のセンサを用いて操作することができる。
【0028】
図5A及び5Bに示す装置に第2の検出器を追加することができる。第2検出器は、検出器80に隣接し、調節器76の動きの方向に平行な道筋に沿って配置することができる。この様式では、調節器76が回転すると2つの検出器が順次照明される。照明の順序は、第1検出器80からの信号が第2検出器からの信号に先立って変化するか、又はその反対に変化するもので、回転の方向及びそれによる流体流の方向が決定される。本明細書を参照する当業者であれば理解するように、流体流速の解像度は第2、第3、或いはそれ以上の検出器を追加することにより増大させることができる。また、第2、第3、或いはそれ以上の光源を装置に追加することができる。追加の検出器は、調節器76の回転の円弧に平行な円弧に沿って配置することができ、この円弧に沿った複数の検出器の角度の間隔は、調節器76の歯間の角度とは一致しない。
【0029】
図6には、装置が複数のほぼ歯車形の調節器(ギアとも称される)を有するマイクロフルイド制御装置90が模式的に示されている。好ましいが必ずしも必須でない実施形態において、図6に示すように、装置は第1端92及び第2端93を有する導管91を備える。導管91は、導管91と流体連通する第1経路94及び導管91と流体連通する第2経路95を有する。装置はまた、導管91内で可動な複数の調節器96及び97を備え、各調節器96及び97の外径98及び99はそれぞれ第1端92及び第2端93の外径より大きいので、各調節器96及び97は導管91の外に出ることはない。更に、各調節器96及び97は、構造的成分を有する実質的に弾性の材料からなる。好ましいが必ずしも必須でない実施形態において、調節器96及び97は、微粒子状充填剤と1つ以上の重合可能な前躯体との混合物を光重合開始により重合して得られる複合重合体である。好ましいが必ずしも必須でない別の実施形態において、調節器96及び97はほぼ歯車形をしており、導管内で回転できる。最も好ましいが必ずしも必須でない実施形態において、装置90は更に、車軸100及び101を有する基板を備え、各調節器96及び97は各々車軸100及び101を中心として回転できる。しかしながら、本明細書を参照する当業者であれば理解するように、調節器は、任意の形状を含め、中央点又はピンを取り巻くその他の構成や形状を有することができる。
【0030】
図6に示すように、装置90は機械的作業を遂行するために用いることができる。好ましいが必ずしも必須でない実施形態において、流体は、図6に示すように、流入流路である第1経路94から流出流路である第2経路95へと導管91を通して流れることができる。流体が上部調節器97を通過するとき、導管に流入する流体の粘性抵抗によって上部調節器97に力が掛かり、それにより上部調節器97は車軸100を中心に回転する。例えば下部調節器96などのもう1つのギアが上部調節器97に噛み合う場合、下部調節器96は上部調節器97の動きにより回転するよう起動又は強制される。しかしながら、本明細書を参照する当業者であれば理解するように、装置90は他の処理に用いることができる。
【0031】
一実施形態において、調節器は構造的成分を含む実質的に弾性の材料である。調節器は、重合可能な前躯体と微粒子状充填剤との複合混合物の重合により形成される複合重合体とすることができる。調節器は導管内で移動可能である。即ち、調節器は周囲の導管壁又は周囲の構造と結合せず、導管内で自由に移動又は回転する。調節器はまた、装置の形状の特徴により画定される導管領域内に閉じ込められる。好ましいが必ずしも必須でない実施形態において、調節器は、導管内での複合混合物の現場重合により形成される。更に好ましいが必ずしも必須でない実施形態において、現場重合は光曝露又は加熱により行われる。最も好ましいが必ずしも必須でない実施形態において、複合混合物は導管内において、重合可能な前躯体と微粒子状充填剤との光重合開始による現場重合及びリソグラフィーにより決定される重合により重合される。この実施形態によれば、複合混合物は、マスクを通して照射される光に対して導管の領域を曝露することにより、マスクにより画定される形状に現場重合される。マスクを用いることにより、流路内における不規則で任意の形状を有する調節器の製造が可能となる。更に、調節器は周囲の導管壁又は周囲の構造と結合しないので、調節器は導管内で移動可能である。例えば、調節器は、導管内において前後に運動できるか、又は回転できる。調節器が複合混合物の光重合開始による現場重合により形成される場合、重合される導管の領域における複合混合物への光学的アクセスが提供される。調節器が熱的手段又はその他の放射手段による現場重合により形成される場合、光学的アクセスを提供する必要はない。
【0032】
複合混合物は1つ以上の重合可能な前躯体及び微粒子状充填剤から成り、追加的に光重合開始剤などの重合開始剤及び1つ以上の溶剤を含むことができる。複合混合物は、スラリー状のもの、即ち約100nm〜約100μmの粒子サイズを有する微粒子状充填剤であって必ずしも懸濁する必要のない微粒子状充填剤を含む液体、コロイド状懸濁液、例えば約1nm〜約100nmの粒子サイズを有する微粒子状充填剤を含むもの、及び自由流動液体とすることができる。しかしながら、本明細書を参照する当業者であれば理解するように、複合混合物はその他の形状を有することもできる。
【0033】
重合可能な前躯体は、種々のモノマー材料、例えば、ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ヘプタフルオロブチルアクリレート及びトリフルオロエチルアクリレート等のハロゲン化アクリレート、メタクリレート、ハロゲン化メタクリレート、及びこれらモノマーの組み合わせのいずれかとすることができる。好ましい重合可能な前躯体は、調節器に望ましい特性を付与することが可能な(重合された形で)ものであり、望ましい特性の例として、疎水性、化学的安定性、低毒性、種々溶媒に対する不活性、限定された収縮性/膨潤性(HPLC溶媒中で)、耐候性、離型特性、低摩擦係数及び耐磨耗性、高引張り弾性率、低表面エネルギ、水不透過性(疎水性による)が挙げられる。好ましいが必ずしも必須でない実施形態において、重合可能な前躯体は、1官能及び多官能(2、3、4官能)のアルキルアクリレート及びメタクリレート、シクロアルキルアクリレート及びメタクリレート及び/又はアリールアクリレート及びメタクリレートのハロゲン化モノマーを含むハロゲン化アクリレート又はハロゲン化メタクリレートであり、さらに望ましい特性を付与することが可能(重合された形で)なフッ素化部分を有する。そのようなハロゲン化重合可能前躯体の例として、パーフルオロポリエーテルジアクリレート、フッ素化アクリレートオリゴマー、フッ素化テトラエチレングリコールジアクリレート、1H,1H,6H,6H−パーフルオロヘキシレンジアクリレート、1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−1,6−ヘキシレンジメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロ−1,4−ブチレンジアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロ−1,4−ブタンジオールジアクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルアクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルメタクリレート、1H,1H−ヘプタフルオロブチルアクリレート、1H,1H−ヘプタフルオロ−n−ブチルメタクリレート、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルアクリレート、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルアクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、塩素化アクリレートオリゴマー、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2,4,6−トリブロモフェニルメタクリレート、ペンタブロモフェニルアクリレート、ペンタブロモフェニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。最も好ましくは、重合可能な前躯体は、パーフルオロポリエーテルジアクリレートと1H,1H,6H,6H−パーフルオロヘキシレンジアクリレートとの組み合わせである。しかしながら、本明細書を参照する当業者であれば理解するように、本発明によれば、複合重合体を形成する能力のある1、2、3及び4官能であるその他のハロゲン化化合物を含むその他の重合可能な前躯体も用いることができる。フッ素化重合可能前躯体に関する更なる情報は、Rolland等、JACS, 126, 2322 (2004); Priola等、Macromolecular Chemistry and Phisics, 198, 6, 1983 (1997);及びTonelli等、J. Applied Polymer Science, 59, 311 (1996)に見出すことができる。
【0034】
微粒子状充填剤は、粒子、ビーズ、粉末、ヒュームドセラミック、繊維、凝集粒子、又はその他構造的材料、又はこれらの組み合わせの形態であり得る。微粒子状充填剤は封入することができ、即ち周囲の重合体とは化学的に結合されない。或いは、微粒子状充填剤は、周囲の重合体と直接結合することができる。好ましいが必ずしも必須でない実施形態では、微粒子状充填剤は表面処理された微粒子状充填剤である。微粒子状充填剤を表面処理することにより、調節器が現場重合で形成される場合、周囲の導管からの複合重合体調節器の離型が容易になる。複合重合体調節器は、それが可動に製造される前に克服されねばならない初期摩擦抵抗を持ち得る。例えば、未処理の微粒子状充填剤を有する複合重合体要素で製造された調節器は、複合重合体要素が周囲の導管壁から離型されて可動となる前に、数千psiにのぼる高圧を掛ける必要がある。これに対し、表面処理された微粒子状充填剤を複合重合体調節器の組成に組み込むことにより、調節器と導管壁との間の摺動抵抗を小さくすることができる。そのような調節器は小さな圧力、一般的には数分の一の圧力で移動可能となる。微粒子状充填剤の大きさは、導管の最小直径未満となるように選択し、数ナノメーター程度まで小さくすることができる。
【0035】
微粒子状充填剤の組成は、ガラス、シリカ粒子(被覆されたもの又はされないもの)、被覆ビーズ、セラミック、金属及び金属酸化物、重合体、カーボンブラック、及びこれら充填剤の組み合わせとすることができる。微粒子状充填剤にはまた、表面処理された微粒子状充填剤が含まれる。好ましい微粒子状充填剤の例としては、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、コロイド状の鉄及び鉄−ニッケル合金等の磁気浸透性の材料、雲母、ガラス、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルメタクリレート、ラテックス、ポリスチレン等の重合体、及びこれら充填剤の組み合わせが挙げられる。その他の好ましい微粒子状充填剤の例には、カーボンブラック(デグサ社(バージニア州ホープウェル)製及びカボット社(マサチュ−セッツ州ボストン)製が含まれる。好ましいが必ずしも必須でない特定の実施形態において、3つの異なるグレードのカーボンブラックがモノマー溶液(80重量%パーフルオロポリエーテルジアクリレート、20重量%塩化メチレン、0.5重量%2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン)中に添加され、成功裏に重合された。
【0036】
本発明の別の実施形態によれば、微粒子状充填剤は、モノリシック重合体調節器と比較して複合重合体調節器がほぼ非圧縮性となるように選択される。微粒子状充填剤は調節器の体積の本質的部分を占めることができ、モノリシック重合体の弾性率より高い弾性率を有するように選択することができる。本発明によれば、複合重合体調節器が圧縮下にあるとき、調節器の圧密状態は充填剤体積の割合より大きな値に限定され、その結果、高圧縮力下での調節器の耐性が増大する。好ましいが必ずしも必須でない実施形態において、複合重合体調節器は、重合体の塊状重合体弾性限界を超えることはなく、圧縮力がかかったとき、実質的にクリープが起こりにくい。更に好ましい実施形態では、多角体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)が複合重合体の組成に組み込まれる。多角体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)を組み込むことによって、複合混合物がナノスケールで補強される。POSSナノ粒子によって、有機基に取り巻かれる頑強なSi−O核が提供され、これを機能化することにより、有機マトリックスと共存して分子レベルでの分散を完成させる無機核が提供される。粘性、光学的特性等の材料の物理的特性に悪影響を及ぼすことなく高いレベルの複合重合体調節器が得られる一方、機械的及び熱的特性(T、ヤングの弾性率、曲げ弾性率等)が劇的に増大する。更に、有機基は反応性を持つように(上記のような非反応性とは反対に)機能化することができる。混合無機−有機分子は、複合重合体へと重合することが可能なPOSSモノマーとして利用することができる。反応性基の官能数を変えることにより(例えばメタクリレートへと)、多官能POSSモノマーを標準有機モノマーと組み合わせて架橋剤として利用する(この応用分野におけるように)ことができる。多角体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)の好ましいが必ずしも必須でない例には、アルコールPOSS、フェノールPOSS、アミンPOSS、シランPOSS、クロロシランPOSS、シラノールPOSS、フルオロアルキルPOSS、エポキシドPOSS、メタクリレートPOSS、アクリレートPOSS、ホスフィンPOSS、エステルPOSS、及びチオールPOSSが含まれ、これらは皆ハイブリッド・プラスチック社(カリフォルニア州ファウンテインバレー)から入手できる。充填剤として複合重合体の組成中に組み込むことにより、構造的結合性を改善する混合有機−無機ナノコンポジットを提供できるその他の多角体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)も本発明に用いることができ、それらは例えば、米国特許出願第2003/0055193号及び第2002/0198282号に記載されている。同様に、本明細書を参照する当業者であれば理解するように、その他の形状、大きさ及び組成の微粒子状充填剤も用いることができる。
【0037】
一部の好ましい実施形態において、疎水性や反応性等を制御するため、アクリレート修飾シリカ等のように、微粒子表面を修飾する。表面処理された微粒子状充填剤材料は、これらの材料が複合重合体に付加する結合性にとって望ましい。異なる溶媒中で大量に凝集する傾向のある微粒子状充填剤(即ち、ナノ粒子)を適切に分散させるために、十分に高いせん断速度を確実に用いるように注意しなければならない。表面処理された微粒子状充填剤材料の例には、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)(デグサ社(バージニア州ホ−プウェル)製及びカボット社(マサチューセッツ州ボストン)製)、ジメチルジクロロシラン(デグサ社(バージニア州ホ−プウェル)製及びカボット社(マサチューセッツ州ボストン)製)、及びジメチルシリコン(デグサ社(バージニア州ホ−プウェル)製及びカボット社(マサチューセッツ州ボストン)製)等の疎水性となるように修飾された処理済ヒュームドシリカ;構造的に修飾されメタクリルシラン処理されたヒュームドシリカ(デグサ社(バージニア州ホ−プウェル)製);及びトリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン(ゲレスト社(ペンシルバニア州モーリスビル)製)、及びヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシルトリエトキシシラン(ゲレスト社(ペンシルバニア州モーリスビル)製)等のフッ素化シランで表面修飾されたヒュームドシリカ;が挙げられる。しかしながら、本明細書を参照する当業者であれば理解するように、米国特許出願第2004/0052929号に記載されているシラン化技術により調製されたもののような、その他のシリル化材料を本発明に使用することができる。
【0038】
マイクロスケールの重合体装置は、液体中に浸漬されると著しく見えにくくなる。別の実施形態によれば、複合重合体調節器に特定の光学的特性を付与するために、微粒子状充填剤、重合前躯体又は染料などのその他の添加剤を選択することができる。複合混合物中に微粒子状充填剤を用いると、複合重合体調節器は、モノリシック重合体と比較して、増幅された光屈折特性、光散乱特性及び/又は光吸収特性及び/又は蛍光特性を発揮することができる。光学的特性を有する調節器が望ましい場合、微粒子状充填剤として、自然な色のもの及び/又は塊状重合体の屈折率とは異なる屈折率を有するもの及び/又は蛍光性のものを選択することができる。例えば、調節器に反射されたか、又は吸収された光、或いは調節器から放出された光は、調節器の位置、配置又は動きに関する情報を得るための診断に用いることができる。光学的特性を有する調節器は、流量計として用いられるマイクロフルイド制御装置を備えるような感知システムに用いることができる。本発明によれば、微粒子状充填剤は、複合重合体の他の特性を改良するために変えることができる。例えば、微粒子状充填剤の体積と種類を変化させて、調節器の摩擦係数を修正することができ、調節器の重合の分解能を改善することができる。やはり複合混合物中に組み込むことが可能な種々の蛍光性モノマーがある。蛍光性モノマーの例としては、3’,6’−ジメタクリロキシスピロベンゾ[c]−フラン[1,9’]キサンテン−3−オン(ポリサイエンス社(ペンシルベニア州ウォーリントン)製)等のフルオレセインジメタクリレート;及び3",6’−ジアクリロキシスピロベンゾ[c]−フラン[1,9"]キサンテン−3−オン(シグマ−アルドリッチ社(ミズーリ州セントルイス)製)等のフルオレセインO,O’−ジアクリレートが挙げられ、これらによって複合重合体を可視化してその動きを追跡することが可能であり、流量測定(流量計におけるように)又は粘度測定を行うマイクロスケールセンサが作成される。本明細書を参照する当業者であれば理解するように、これらの蛍光性モノマーは例示のみを目的として提示したのであって、本発明にその他の蛍光性モノマーを用いることもできる。
【0039】
本発明の別の実施形態によれば、微粒子状充填剤は、複合重合体が種々の流体組成に曝されたときにほぼ安定した体積を有するように、即ち、モノリシック重合体と比較した場合、流体組成の変化による複合重合体の寸法の変化が小さいか又は全く無いように、選択することができる。マイクロスケールの重合体装置は、液体中に浸漬されると、液体との相互作用により寸法が変化し得る。即ち、異なる極性の液体に曝されることにより重合体の形状と大きさが変化する。この挙動により、信頼性のある機械的機能を遂行する上での重合体装置の実用的な有用性が制限される。本発明によれば、微粒子状充填剤の使用量と組成を選択し、重合前に複合混合物に添加することができるので、選択された微粒子状充填剤を含む複合重合体の寸法は、流体組成の変化により、わずかに変化するだけであるか、又は全く変化しない。
【0040】
本発明の別の実施形態によれば、溶媒を重合可能な前躯体及び微粒子状充填剤と組み合わせることができる。溶媒成分は、水や有機溶媒のように、選択された重合可能な前躯体及び微粒子状充填剤と適切に組み合わせることが可能な種々の溶媒のいずれかでよい。重合可能な前躯体及び微粒子状充填剤に伴う分子間相互作用を理解することにより、総合的な溶媒−重合体/モノマー−充填剤系の化学が確実に最適化されるように、溶媒を賢明に選択することができる。更に好ましいが必ずしも必須でない実施形態では、溶媒は、炭素数1〜6のアルコール、炭素数4〜8のエーテル、炭素数3〜6のエステル、炭素数1〜4のカルボン酸、ハロゲン化炭素、ジメチルスルフォキシド、ジメチルスルフォン、スルフォラン、N−メチルピロリドン、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される。更に好ましいが必ずしも必須でない実施形態において、溶媒は、高度フッ素化エーテル(3M社(ミネソタ州セントポール)製)、フォムブリン(登録商標)(ソルベイ・ソレクシス社(ニュージャージー州ソロフェア)製)、フルオリナート(登録商標)(3M社(ミネソタ州セントポール)製)、塩化メチレン(シグマ−アルドリッチ社(ミズーリ州セントルイス)製)、クロロホルム(シグマ−アルドリッチ社(ミズーリ州セントルイス)製)、及びtert−ブタノール(シグマ−アルドリッチ社(ミズーリ州セントルイス)製)からなる群より選択される。しかしながら、本明細書を参照する当業者であれば理解するように、本発明によれば他の溶媒も用いることができる。
【0041】
本発明の別の実施形態によれば、重合要素(例えば、重合触媒)を、重合可能な前躯体及び微粒子状充填剤と組み合わせて用いることができる。好ましくは、重合要素は、微粒子状充填剤と混合された重合可能な前躯体の重合を、例えば100秒未満という短い時間内に引き起こす。加えて、好ましい重合要素により、重合可能な複合混合物中のその含有量を約0.01重量%から約10重量%の範囲で変化させると、光が当たっても黄ばまない清澄な材料/フィルムが提供される。重合要素は、種々の一般的な重合開始剤、例えば、アゾビスイソブチロニトリル;アゾビスジヒドロクロライド;ベンゾイルペルオキシド;ラウロイルペルオキシド;過硫酸カリウム;ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、及びベンゾインイソプロピルエーテル等の芳香族ケトン;イルガキュア184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、イルガキュア651(ベンゾジメチルケタル)、イルガキュア907(2−メチル−1−[4−メチルチオフェニル]モルフォリノプロパン1−オン)、イルガキュア369(2−ベンジル−2ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン1−オン)、イルガキュア500(50重量%1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び50重量%ベンゾフェノンとの混合物)、及びイルガキュア819(ホスフィンオキサイド、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル))等のイルガキュア(チバ・スペシアルティ・ケミカルズ社(ニューヨーク州タリタウン)製);ダロキュア1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン1−オン)、及びダロキュア2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン1−オン)等のダロキュア(チバ・スペシアルティ・ケミカルズ社(ニューヨーク州タリタウン)製);サルキュアSR1135(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、及びオリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)の混合物)等のサルキュア(サルトマー・カンパニー社(ペンシルバニア州エクストン)製);及び、例えば米国特許第5391587号に記載されているような、芳香族ケトンの型及び構造をベースとしたフッ素化光重合開始剤のいずれかである。好ましい実施形態において、重合要素は光重合開始剤である。更に好ましい実施形態において、重合要素は芳香族ケトン又は芳香族ケトン誘導体である。更に好ましくは、重合要素は、重合可能な前躯体、微粒子状充填剤及び溶剤の混合物の化学的性質に適合するハロゲン化光重合開始剤(フッ素化光重合開始剤が最も好ましい)である。ハロゲン化光重合開始剤は一般に可溶性が高いので、光重合開始剤が可塑剤になるという結果を招きにくい。ハロゲン化光重合開始剤を用いることにより、概して、使用する光重合開始剤の量が少なくて済み(例えば、約1重量%未満)、複合(モノマー/溶媒/充填剤)混合物の光重合がさらに効果的に行われる。アゾイソブチロニトリル(AIBN)等のその他の重合可能な前躯体も、熱重合開始剤又は光重合開始剤として用いることができる。しかしながら、AIBNは一般的に重合を引き起こすのが遅く、光重合過程に大量の光重合開始剤(例えば、約2〜5重量%)が必要になる。また、余剰の未反応の光重合開始剤が可塑剤となり、複合重合体の構造的結合性を損なう。
【0042】
本発明の別の実施形態によれば、界面活性剤を、重合可能な前躯体、微粒子状充填剤及び重合要素を含む複合混合物と組み合わせて用いることができる。界面活性剤を複合混合物中に添加剤として添加することにより、複合混合物中の微粒子状充填剤の分散を安定化することができる。適切な界面活性剤の例は、長鎖アルコール(例えば、n−デカノール及びドデカノール)、ポリエチレンオキサイド(例えば、ブレー(登録商標)シリーズ(シグマ−アルドリッチ社(ミズーリ州セントルイス)製))、ポリグリコール(例えば、ダウファックス(登録商標)シリーズ(ダウ・ケミカル社(テキサス州ヒューストン)製))、ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイド共重合体(例えば、プルロニック(登録商標)シリーズ(BASF社(ニュージャージー州マウントオリーブ)製))、ポリオキシエチレン、ポリオキシエチレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレンアルコール、ポリオキシエチレンエステル、ポリオキシエチレンメルカプタン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオールエステル、トリトン(登録商標)−Xシリーズ(ダウ・ケミカル社(テキサス州ヒューストン)製))、及びトゥウィーン(登録商標)シリーズ(シグマ・アルドリッチ社(ミズーリ州セントルイス)製))等の非イオン系界面活性剤;イオン系界面活性剤(陰イオン系、陽イオン系、両性イオン系を含む);ドデシル硫酸ナトリウム(SDS);ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(AOT);及びセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)を含むが、これらに限定されない。しかしながら、本明細書を参照する当業者であれば理解するように、本発明によるその他の界面活性剤も用いることができる。更に、本明細書を参照する当業者であれば理解するように、安定化部分は一定の外部相に優れた立体化学的安定を提供するために最適化することが可能であり、外部相に応じて異なる種類の界面活性剤を選択することができる。システムに帯電した粒子が組み込まれる場合、静電的な反発力が分散体中に安定性を誘導する駆動力となり得る。一方、安定した分散体を創り出そうとすれば、ファン・デル・ワールス相互作用力、疎水力、立体化学力及び架橋力も考慮に入れることができる。
【0043】
別の実施形態によれば、本発明は、マイクロフルイド制御装置の製造方法である。本方法は、重合可能な前躯体と微粒子状充填剤とを組み合わせることにより複合混合物を形成することを含む。次に、複合混合物を導管内に導入する。次に、導管をエネルギ源に曝露し、複合混合物を現場重合して調節器を形成する。この調節器は導管内を移動可能であり、調節器が導管の外に出ないような大きさを有する。好ましいが必ずしも必須でない実施形態において、複合混合物は更に光重合開始剤を含む。更に好ましいが必ずしも必須でない実施形態においては、マスクを通して導管を放射光源に曝露することにより調節器を形成する。
【0044】
図7に、本発明によるマイクロフルイド制御装置の製造方法を模式的に示す。図7に示すように、本方法は、導管110を有する基板を選択することを含む。次に、微粒子状充填剤、重合可能な前躯体、溶媒、及び光重合開始剤を含む複合混合物111を混合し、導管110中に導入する。複合混合物111は、液体と粒子成分を混合することにより組み合わせることができ、スラリー、コロイド状懸濁液、又は自由流動液体の形状である。次に、複合混合物111を含む導管110の領域を選択する。次に、露出マスク114を通して導管110を紫外線光、熱、又はその他の放射エネルギとすることができる放射光113に曝露することにより、複合混合物を選択的に重合して流路中において特定の形状に画定し、複合重合体調節器112を形成する。次に、重合未反応の複合混合物111を、例えば導管110内を洗い流すことにより導管110から除去し、それによって導管内を移動可能で、導管110から外へ出られないような大きさの複合重合体調節器112を形成する。
【0045】
好ましいが必ずしも必須でない実施形態において、本方法は、微粒子状充填剤と重合可能な前躯体とを前混合することにより複合混合物を形成することを含む。更に好ましいが必ずしも必須でない実施形態においては、本方法は微粒子状充填剤を1つ以上の重合可能な前躯体、光重合開始剤、及び溶媒からなる前混合された混合物と混合させることにより複合混合物を形成することを追加的に含む。しかしながら、本明細書を参照する当業者であれば理解するように、複合混合物は、複合混合物を現場で混合する等の他の方法によって混合させることもできる。
【0046】
好ましいが必ずしも必須でない別の実施形態において、複合混合物は、既存のマイクロ流路構造又は基板内に形成された導管に導入される。更に好ましい実施形態においては、複合混合物は、複合混合物を導管内に注入することによって導管内に導入される。
【0047】
好ましいが必ずしも必須でない実施形態において、上記のマイクロフルイド制御装置の製造方法は、圧力によって作動する導管中に調節器を製造するために用いることができる。別の好ましい実施形態において、上記のマイクロフルイド制御装置の製造方法は、マイクロフルイド流路網内のバルブ及び流量計等の流体用装置構成要素を製造するために用いることができる。マイクロフルイド制御装置の製造方法は、導管内の複合重合体ギアを製造するために用いることができる。このギアの製造は、中央点の周りにギアを製造することにより行うことができ、ギアは基板中に形成されたピン又は車軸とすることができる。しかしながら、上記のマイクロフルイド制御装置の製造方法は、本明細書を参照する当業者であれば理解するように、マイクロフルイド制御のためのその他の構成要素を製造するために用いることができる。
【0048】
別の実施形態によれば、本発明は、マイクロフルイド制御方法である。本方法は、マイクロフルイド制御装置の選択を含み、その装置は、導管と流体連通する第1経路及び第2経路を有する導管、及び調節器を備え、調節器は導管内を移動可能であり、導管は調節器が導管の外に出られないような大きさを有する。次に、流体を導管に導入する。次に、調節器は、流体流を誘導又は停止させる圧力を掛けることにより移動する。
【0049】
好ましいが必ずしも必須でない実施形態において、流体は、注入により導管内に導入される。本発明によれば、装置操作の初期状態は充填状態である。充填状態において、流体流入口である第1経路と流体流出口である第2経路との間の空の導管に流体を満たす。注入はこの初期充填状態から遂行することができる。しかしながら、本明細書を参照する当業者であれば理解するように、注入は、流体流入口と流体流出口とで圧力を変えるなどの他の方法により遂行することができる。
【0050】
好ましいが必ずしも必須でない別の実施形態において、本方法は、装置が分析用カラムのような機器に試料を供給するような流体制御の方法を含む。ここで再び図3A及び3Bに見るように、本方法は、装置が充填状態である時に装置へ試料を注入することを含む。図3Aに示すように、一次ピストンである調節器53は、装置が充填状態である時、導管42の第2端48に当たるまで引かれる。次に、導管41の第1端44から流路50を通して装置内に試料を注入する。次に、図3Bに示されるように、正圧又は流路55を通して隣接する導管の圧力よりも大きな圧力を掛けることにより、調節器53を起動する。次に、試料チャンバ402内で調節器53を動かすと、それに伴って流体流及び圧力が調節器53の正面で発生し、それにより、図3Bに示すように、調節器52が移動して流入チェックバルブ401を閉め、更に調節器54を動かして流出チェックバルブ403を開く(図3B)。次に、試料が分析用カラム59内に流入する。調節器53が試料チャンバ402の末端である導管42の第1端45に到達すると、注入が完了する。作動源から作動流入口に流入し続ける流体は、いくらでも余剰流体流出口58の方へ逸らすことが可能であり、一次ピストンの後方に圧力が平衡に到達することができる。これは余剰流体流出口における流体力学的流れ抵抗の機能であり、作動源はこの流速で所定の圧力を供給できる。分析用カラムに注入される試料の容量を、試料チャンバ402の元の空容積とほぼ等しくすることができる。試料を供給するためにこの装置を用いる方法は、流体流出口58における圧力、試料流入口における圧力、及び分析用カラム59における圧力など、真空を含むその他の圧力で遂行することができ、これらの圧力は常に作動源流入口における圧力よりも小さい値である。
【0051】
好ましいが必ずしも必須でない実施形態において、図3Aに示すように、試料流入口、余剰流体流出口58、分析用カラム流入口49及び流出口が大気圧又はそれに近い圧力であるとき、装置は注入状態であり、調節器53は導管42の第2端48に当たるまで引かれている。作動源流入口55を通して負の差圧(真空)を導管42の第2端48に掛けることにより、一次ピストンである調節器53が作動源流入口55の方へ引かれる。対応する流体流及び一次ピストン53後方の真空を生成することにより、流入チェックバルブ401が開き、流出チェックバルブ403が閉じる。試料流体が流路50から試料流入口である導管41の第1端44を通して流れ込み、図3Aに示すように、試料流入口と余剰流体流出口58との間に空の導管流路ができる。余剰流体流出口58に更に吸引を掛けることができ、それにより試料チャンバ402内部に多量の試料を流し、試料チャンバ402が確実に純粋な試料流体だけを含むようにする。このステップでは、試料貯槽内に洗浄と流体の流し込みを別々に行うことによって、新しい試料流体を挿入する前に装置を清浄にすることができる。異なる実施形態において、上記と同じ効果を達成するために、余剰流体流出口58と作動源流入口55への流路とを連結することもできる。この過程を行うため、試料流入口、分析用カラム流入口及び流出口の圧力を、作動源流入口/余剰流体流出口の圧力を超える様々な圧力にすることができる。
【0052】
別の実施形態において、分析用カラム59内の圧力をシステム内で最高の圧力にすることにより、注入状態が終了した直後に流出口チェックバルブ403を閉めることができる。この過程は、試料チャンバを充填し充填状態を達成する別の方法となる。図3A及び3Bに示すように、作動源流入口及び余剰流体流出口が大気圧又はそれに近い圧力であり、分析用カラム内の圧力が試料流入口の圧力を超えている場合、一次ピストンである調節器53は「注入」状態であり、調節器は導管42の第1端45に当たるまで引かれている。試料流入口に正の差圧を掛けることにより、流入チェックバルブ401が開き、調節器53が作動源流入口56に向かって移動する。分析用カラム59内の圧力の方が高いので、流出チェックバルブ403は閉じたままである。試料流体は開いた導管流路41を通って流れ、試料チャンバ402を充填する。図3Aに示すように、一次ピストンが導管42の第2端48に達すると、試料流体は試料チャンバを通過して余剰流体流出口から流出する。この実施形態において、余剰流体流出口は導管42の第2端48に接続することができる。
【0053】
次に、本明細書による装置を流量計として用いる方法を示すフローチャートを図8に示す。図8に示すように、本方法は、本発明によるほぼ歯車形の調節器を有する装置の選択を含む。次に、粘性を有する流体が調節器を通過すると、調節器が流体流速で回転する。次に放射光が調節器の歯部分に当て、放射光を光センサなどの検出器へ反射又は透過させる。次に、反射光又は透過光を周期信号として計測する。次に、信号を加工して信号の周波数を決定し、流体の粘度の関数として流体流速に関係付ける。一実施形態において、寸法及び導管断面が異なる複数の調節器を連続して用いることにより、測定の力学的範囲を拡大し、測定の精度を改善することができる。
【実施例】
【0054】
実施例1A
複合混合物
複合混合物を表1Aにリストされた物質から調製した。
表1A

【0055】
エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(SR454(サルトマー・カンパニー社(ペンシルバニア州エクストン)製))及びトリフルオロエチルアクリレート(2,2,2TFEA(シグマ・アルドリッチ社(ミズーリ州セントルイス)製))を混合して複合混合物を調整し、モノマー混合物を形成した。次に、光重合開始剤(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN(シグマ・アルドリッチ社(ミズーリ州セントルイス)製)))5mgをモノマー混合物に添加した。ジオキサン(シグマ・アルドリッチ社(ミズーリ州セントルイス)製)及び2−メトキシエタノール(シグマ・アルドリッチ社(ミズーリ州セントルイス)製)を混合して溶媒混合物を調製した。次いで、モノマー混合物と溶媒混合物とを8:2の容量:容量比で混合した。即ち、モノマー混合物800Lを溶媒混合物200Lと混合した。次に、直径1nmの微粒子状充填剤(非多孔性シリカ粒子(シグマ・アルドリッチ社(ミズーリ州セントルイス)製))10重量%をモノマー混合物と溶媒混合物との混合物に添加し、モノマー、溶媒及び粒子の懸濁液/スラリーを調製した。
【0056】
実施例1B
フッ素化モノマー及びヒュームドシリカ粒子を含む複合混合物
複合混合物を表1Bにリストされた物質から調製した。
表1B

【0057】
パーフルオロポリエーテルジアクリレート(サルトマー・カンパニー社(ペンシルバニア州エクストン)製)、1H,1H,6H,6H−パーフルオロヘキシルジアクリレート(オークウッド・プロダクツ社(サウスカロライナ州ウェストコロンビア)製)、及びメチレンクロライド(シグマ・アルドリッチ社(ミズーリ州セントルイス)製)を混合して複合混合物を調整し、モノマー/溶媒混合物を形成した。次に、光重合開始剤(2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(シグマ・アルドリッチ社(ミズーリ州セントルイス)製)5mgをモノマー/溶媒混合物に添加した。次に、モノマー混合物と溶媒混合物とを8:2の容量:容量比で混合した。即ち、モノマー混合物800Lを溶媒混合物200Lと混合した。次に、直径16nmの微粒子状充填剤(疎水性処理ヒュームドシリカ粒子(デグサ社(ヴァージニア州ホープウェル)製))5重量%をモノマー/溶媒/光重合開始剤混合物に添加し、モノマー、溶媒、光重合開始剤、及び粒子の懸濁液/スラリーを調製した。
【0058】
実施例2
複合重合体の非圧縮性
複合重合体調節器をモノリシック重合体調節器と比較して実質的に非圧縮性となるように、微粒子状充填剤を選択した。対照実施例として、モノリシック重合体からなる調節器を、10,000psiの高圧縮力を掛けながら微細な押し出し流路を通して押し出し加工した。一方、本発明により調製された50%シリカ微粒子状充填剤を含む複合重合体からなる調節器を、初期体積の約50%となるまで圧縮した。この圧縮率は、重合体の塊状重合体の弾性限界を超えておらず、調節器部分は押し出しに対し実質的に耐性であった。
【0059】
更なる実施例として、ナイロン6,6の圧縮強度と、本発明によりナイロン6,6を用いて調製した複合重合体の圧縮強度とを比較した。ナイロン6,6の圧縮強度を試験したところ、10%圧縮における圧縮強度が約12,000psiであった。一方、本発明により30%のガラス充填ナイロン6,6を用いて調製した複合重合体を試験したところ、10%圧縮における圧縮強度が約39,000psiであった。
【0060】
実施例3
複合重合体の体積安定性
種々の流体組成に曝されたとき複合重合体がほぼ安定した体積を有するように、即ちモノリシック重合体と比較した場合、流体組成の多様性によって複合重合体の寸法の変化が小さいか又は変化が無いように、微粒子状充填剤を選択した。対照実施例として、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート及びトリフルオロエチルアクリレートを容量:容量比=80:20で含むモノマー混合物を、メトキシエタノールと容量:容量比=50:50で混合した。微量のアゾビスイソブチロニトリル(光重合開始剤)を添加し、混合物を光重合させた。生成したモノリシック重合体を水中に入れると、重合体は元の体積の55%まで収縮した。一方、同じ手順に従い、混合物に7重量%の外径7〜11nmのコロイド状五酸化アンチモンの粒子を添加した場合、重合された複合重合体は元の体積の20%しか収縮しなかった。
【0061】
実施例4A
マイクロフルイド制御装置
シリンジを用いて毛細管中に複合混合物を注入することで、実施例1Aの複合混合物を内径150μmの光学的に透明なシリカ毛細管中に導入し、複合ピストンとして用いる調節器を形成した。次に、365nm付近にピークを持ち、総エネルギフラックス40mW/cm2を有する広帯域紫外線放射に、長さ2mmの毛細管を30秒間曝露した。紫外線放射への曝露の後、長さ2mm及び周囲の毛細管の内径とほぼ等しい幅の複合粒子充填固体重合体ピストンが形成された。複合ピストンは周囲の毛細管に結合しておらず、従って自由浮動していた。ピストンは、この第1毛細管の一端に約1psi〜約5psiの圧力を掛けることにより移動した。内径25μmの隣接する第2毛細管を第1毛細管の第2端に接続した。第1毛細管内の複合ピストンが隣接する毛細管に向けて押され、2,000psi超の圧力下におかれたが、複合ピストンには損傷又は恒久的な変形は殆ど、又は全く無かった。第1毛細管から複合ピストンを排出し、顕微鏡検査により複合ピストンの形状を確認した。アセトニトリル、メタノール、イソプロパノール、水、及びpH約2〜約12の緩衝水溶液に複合ピストンを繰り返し曝した。これら液体への曝露の間、複合ピストンの膨潤及び収縮を観察したところ、いずれの場合もピストンの膨潤及び収縮は元の径の10%未満であった。
【0062】
実施例4B
ヒュームドシリカ粒子を有するフッ素化複合重合体を含むマイクロフルイド制御装置
シリンジを用いて毛細管中に複合混合物を注入することで、実施例1Bの複合混合物を内径150μmの光学的に透明なシリカ毛細管中に導入し、複合ピストンとして用いる調節器を調製した。次に、365nm付近にピークを持ち、総エネルギフラックス2,500mW/cm2を有する広帯域紫外線放射に、長さ2mmの毛細管を35秒間曝露した。紫外線放射への曝露の後、長さ2mm及び周囲の毛細管の内径とほぼ等しい幅の複合粒子充填固体重合体ピストンが形成された。複合ピストンは周囲の毛細管に結合しており、毛細管の一端に約1,000psi〜約1,500psiの圧力を掛けることにより移動した。複合ピストンを清浄な顕微鏡スライド上に排出したところ、複合ピストンは無傷であった。複合ピストンを第1毛細管から排出し、顕微鏡検査により複合ピストンの形状を確認した。アセトニトリル、メタノール、イソプロパノール、水、及びpH約2〜約12の緩衝水溶液に複合ピストンを繰り返し曝した。これら液体への曝露の間、マイクロスケールで製造された定規を用いて複合ピストンの膨潤及び収縮を観察したところ、いずれの場合もピストンの膨潤及び収縮は元の径の2%未満であった。
【0063】
ここまで、特定の好ましい実施形態を参照して本発明を詳述したが、これらの好ましい実施形態は必須の実施形態ではなく、他の実施形態が可能である。それ故、特許請求の範囲は、本明細書に含まれる好ましい実施形態の記述に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】A−Cは、複合チェックバルブである本発明によるマイクロフルイド制御装置を模式的に示す。
【図2】A−Dは、組み込み式流路を有する複合チェックバルブである、本発明によるマイクロフルイド制御装置を模式的に示す。
【図3】A及びBは、流体ディスペンサーとして用いられる、複数のマイクロフルイド制御装置を備えた本発明によるシステムを模式的に示す。
【図4】A及びBは、混合バルブである、本発明によるマイクロフルイド制御装置を模式的に示す。
【図5】A及びBは、導管内で回転可能なほぼ歯車形の調節器を備えた流量計である、本発明によるマイクロフルイド制御装置を模式的に示す。
【図6】機械的動作を行うために用いられる複数のギアを備えた本発明によるマイクロフルイド制御装置を模式的に示す。
【図7】本発明の第7の実施形態によるマイクロフルイド制御装置の製造方法を模式的に示す。
【図8】流体流速を決定するための本発明によるマイクロフルイド制御装置の使用方法を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)第1端及び第2端を有する導管、
b)導管と流体連通する第1経路、
c)導管と流体連通する第2経路、及び
d)導管内を移動可能な調節器、
を備えるマイクロフルイド制御装置であって、調節器が、第1経路及び第2経路より大きい外径を有するので導管の外に出ることはなく、且つ構造的成分を有する実質的に弾性の材料からなる、マイクロフルイド制御装置。
【請求項2】
構造的成分を有する実質的に弾性の材料が、1つ以上の重合可能な前躯体及び1つ以上の微粒子状充填剤を含む複合混合物から形成される複合重合体である、請求項1に記載のマイクロフルイド制御装置。
【請求項3】
更に基板を備える、請求項1に記載のマイクロフルイド制御装置。
【請求項4】
導管と流体連通する第3経路を更に備える、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のマイクロフルイド制御装置。
【請求項5】
導管内を移動可能な複数の調節器を有するマイクロフルイド制御装置であって、各調節器が、第1経路及び第2経路より大きい外径を有するので導管の外に出ることはなく、且つ構造的成分を有する実質的に弾性の材料からなる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のマイクロフルイド制御装置。
【請求項6】
複合混合物が追加的に光重合開始剤を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
光重合開始剤がフッ素化されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
光重合開始剤が芳香族ケトンである、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
複合混合物が追加的に界面活性剤を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項10】
複合混合物が2つ以上の重合可能な前躯体を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項11】
重合可能な前躯体が1つ以上のフッ素化アクリレート又はフッ素化メタクリレートである、請求項2に記載の装置。
【請求項12】
少なくとも1つの重合可能な前躯体が単官能又は多官能のパーフルオロポリエーテルアクリレートであるか、或いは単官能又は多官能のパーフルオロポリエーテルメタクリレートである、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
少なくとも1つの重合可能な前躯体が蛍光性モノマーである、請求項2に記載の装置。
【請求項14】
微粒子状充填剤が表面処理された微粒子状充填剤である、請求項2に記載の装置。
【請求項15】
微粒子状充填剤が多角体オリゴマーシルセスキオキサンである、請求項2に記載の装置。
【請求項16】
微粒子状充填剤の外寸法が約1μm未満である、請求項2に記載の装置。
【請求項17】
微粒子状充填剤の大きさが、導管中の最小流路の大きさの50%以下に画定される、請求項2に記載の装置。
【請求項18】
調節器が実質的に非圧縮性である、請求項2に記載の装置。
【請求項19】
調節器が光学的特性を有する、請求項2に記載の装置。
【請求項20】
調節器が、流体に曝されたとき実質的に安定した体積を有する、請求項2に記載の装置。
【請求項21】
導管の内寸法が約1mm未満である、請求項2に記載の装置。
【請求項22】
調節器がほぼ円筒形であり、導管内で前後に運動できる、請求項2に記載の装置。
【請求項23】
調節器がほぼ歯車形であり、導管内で回転可能である、請求項2に記載の装置。
【請求項24】
複合混合物の現場重合により導管内に調節器が形成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項25】
エネルギ源を用いた複合混合物の現場重合により導管内に調節器が形成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項26】
複合混合物が更に光重合開始剤を含み、放射光源を用いる複合混合物の現場重合により導管内に調節器が形成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項27】
a)それぞれが第1端及び第2端を有する複数の導管、
b)1つ以上の導管と流体連通する第1経路、
c)1つ以上の導管と流体連通する第2経路、及び
d)それぞれが独立して別々の導管内で移動可能である、複数の調節器
を備えるマイクロフルイド制御システムであって、各調節器が第1端及び第2端より大きい外径を有するので導管の外に出ることはなく、且つ構造的成分を有する実質的に弾性の材料からなる、マイクロフルイド制御システム。
【請求項28】
a)重合可能な前躯体と微粒子状充填剤とを混合して複合混合物を形成すること、
b)複合混合物を導管内へ導入すること、及び
c)導管のエネルギ源へ曝露することにより複合混合物を現場重合させて調節器を形成すること
を含む、請求項2に記載のマイクロフルイド制御装置の製造方法であって、調節器を導管内で移動可能とし、調節器が導管の外に出ないように導管の大きさを決定する方法。
【請求項29】
複合混合物が追加的に光重合開始剤を含み、エネルギ源が放射光源であり、マスクを通して放射光源に導管を曝露することにより調節器を形成する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
a)複数の導管を有する基板を選択すること
b)重合可能な前躯体と微粒子状充填剤とを混合して複合混合物を形成すること、
c)各導管内へ複合混合物を導入すること、及び
d)各導管をエネルギ源へ曝露することにより複合混合物を現場重合させて複数の調節器を形成すること、
を含む、マイクロフルイド制御装置の製造方法であって、各調節器を導管内で移動可能とし、調節器が導管の外に出ないように各導管の大きさを決定する方法。
【請求項31】
追加的に、導管から重合未反応複合混合物を除去することを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
基板が3つ以上の導管を有し、複合混合物を3つ以上の導管に導入して同一基板上に3つ以上の調節器を形成する、請求項30に記載の装置製造方法。
【請求項33】
エネルギ源を放射光源とし、1つ以上の導管を放射光源に曝露することにより1つ以上のほぼ円筒形の調節器を形成し、各ほぼ円筒形の調節器を導管内で前後に運動可能とする、請求項30に記載の装置製造方法。
【請求項34】
エネルギ源を放射光源とし、1つ以上の導管を放射光源に曝露することにより1つ以上のほぼ歯車形の調節器を形成し、各ほぼ歯車形の調節器を導管内で回転可能にする、請求項30に記載の装置製造方法。
【請求項35】
装置が2つ以上の導管及び2つ以上の調節器を備え、エネルギ源が放射光源であり、各導管を放射光源に曝露することにより各導管内に調節器を形成する、請求項30に記載の装置製造方法。
【請求項36】
基板が車軸を有し、導管を放射光に曝露することにより車軸の周りにほぼ歯車形の調節器を形成する、請求項29に記載の装置製造方法。
【請求項37】
a)導管内で移動可能な1つ以上の調節器を有するマイクロフルイド制御装置を選択すること、
b)粘性を有する液体を調節器に通すことにより、1つ以上の調節器を流体流速で動かすこと、
c)放射光を1つ以上の調節器の一部に照射することにより、放射光を検出器に反射又は透過させること、
d)周期的信号として反射光又は透過光を計測すること、
e)信号を処理すること、及び
f)信号の周波数を決定し、信号の周波数を流体流速に関係付けること
を含む、マイクロフルイド装置内の流体流速決定方法。
【請求項38】
放射光を複数の検出器に反射又は透過させる、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
複数の放射光を調節器に照射し、放射光を複数の検出器に反射又は透過させる、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
調節器の少なくとも1つをほぼ歯車形の調節器とし、放射光を調節器の歯部分に照射することにより放射光を検出器に反射又は透過させる、請求項37に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−517920(P2007−517920A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526996(P2006−526996)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/030202
【国際公開番号】WO2005/028108
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(503459408)エクシジェント テクノロジーズ, エルエルシー (12)
【Fターム(参考)】