説明

複合金属水酸化物およびリチウム複合金属酸化物の製造方法ならびに非水電解質二次電池

【課題】副生物の生成を抑制することができる複合金属水酸化物の製造方法および、該複合金属水酸化物を原料とした、電池性能、特に高出力特性を向上させることができるリチウム複合酸化物を提供する。
【解決手段】Ni、MnおよびFeを含有する水溶液とアルカリとを接触させて共沈物スラリーを得たのち、該共沈物スラリーを固液分離して、ウェットケークを作製し、ウェットケークを乾燥するまでの保管時間を48時間以下として複合金属水酸化物を製造する。 該複合金属水酸化物に含まれる、副生物であるマンガン酸化物(Mn34)は、従来に比し少量であり、該複合金属水酸化物とリチウム化合物とを混合し、焼成することにより得られたリチウム複合金属酸化物を正極活物質に使用した非水電解質二次電池は、高い電流レートにおいて高出力を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合金属水酸化物およびリチウム複合金属酸化物の製造方法ならびに非水電解質二次電池に関する。詳しくは、Ni、MnおよびFeを含有する複合金属水酸化物および該複合金属水酸化物を原料としたリチウム複合金属酸化物の製造方法ならびに該リチウム複合金属酸化物を正極活物質として有する正極を備えてなる非水電解質二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウム複合金属酸化物は、リチウム二次電池などの非水電解質二次電池に正極活物質として用いられている。リチウム二次電池は、既に携帯電話やノートパソコン等の電源として実用化されており、更に自動車用途や電力貯蔵用途などの中・大型用途においても適用が試みられている。
【0003】
従来のリチウム複合金属酸化物の製造方法としては、特許文献1に開示されているように、Mn、NiおよびFeを含有する水溶液とアルカリとを接触させて形成した共沈物スラリーを固液分離してウェットケークを作製し、該ウェットケークを乾燥させることにより、複合金属水酸化物からなる乾燥物を得て、該乾燥物およびリチウム化合物の混合物を焼成する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第09/041722号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、工業的にリチウム複合金属酸化物を製造する場合において、上記共沈物スラリーを固液分離してウェットケークを作製した後に、長期間保管する場合も多い。その場合、上記複合金属水酸化物中に、マンガン酸化物(Mn34)が副生するという問題があった。副生物のマンガン酸化物(Mn34)を含む複合金属水酸化物と、リチウム化合物とを混合して焼成した場合、生成物であるリチウム複合金属酸化物が不均一な組成となるため、これを正極活物質に用いても十分な電池性能を得ることができなかった。
かかる状況下、本発明の目的は、リチウム複合金属酸化物の前駆体として使用できる、Mn、NiおよびFeを含有する複合金属水酸化物の製造方法において、副生物の生成を抑制することができる複合金属水酸化物の製造方法、および、該複合金属水酸化物を原料とした、正極活物質として電池性能、特に高出力特性を向上させることができるリチウム複合酸化物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、上述のMn34の生成は、ウェットケークを保管する際に、複合金属水酸化物中のMn成分がウェットケーク中の水分へ溶出することが主因であることを見出した。そして、ウェットケーク保管条件を検討した結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> Ni、MnおよびFeを含有する水溶液とアルカリとを接触させて共沈物スラリーを得たのち、該共沈物スラリーを固液分離して、ウェットケークを作製し、該ウェットケークを乾燥することにより、複合金属水酸化物を製造する方法において、ウェットケークを作製後、ウェットケークを乾燥するまでの保管時間が、48時間以下である複合金属水酸化物の製造方法。
<2> 固液分離後のウェットケークの含水率が、60重量%以下である前記<1>記載の複合金属水酸化物の製造方法。
<3> 前記 <1>または<2>に記載の製造方法によって得られる複合金属水酸化物と所定量のリチウム化合物とを混合し、焼成することを特徴とするリチウム複合金属酸化物の製造方法。
<4> 前記<3>記載の製造方法によって得られるリチウム複合金属酸化物。
<5> 前記<4>記載のリチウム複合金属酸化物を主成分とする非水電解質二次電池用正極活物質を有する正極を備えてなる非水電解質二次電池。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、副生物の量が少ない複合金属水酸化物を製造することができ、正極材の電池性能、特に高出力特性を向上させたリチウム複合酸化物を安定的に製造することができる。製造されたリチウム複合酸化物を正極活物質に使用した非水電解質二次電池は、高い電流レートにおいて高出力を示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】粉末X線回折図形における回折ピークBの強度IBの求め方の説明図である。
【図2】実施例における乾燥物(P1〜P4)の粉末X線回折図形である。
【図3】実施例における粉末(B1〜B4)の粉末X線回折図形である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、Ni、MnおよびFeを含有する水溶液とアルカリとを接触させて共沈物スラリーを得たのち、該共沈物スラリーを固液分離して、ウェットケークを作製し、該ウェットケークを乾燥することにより、複合金属水酸化物を製造する方法において、ウェットケークを作製後、ウェットケークを乾燥するまでの保管時間が、48時間以下である複合金属水酸化物の製造方法(以下、「本発明の製造方法」と称す。)に係るものである。
なお、本発明の製造方法において、Ni、MnおよびFeを含有する水溶液とアルカリとを接触させて共沈物スラリーを得る工程を「工程(1)」、該共沈物スラリーを固液分離して、ウェットケークを作製し、該ウェットケークを乾燥することにより、複合金属水酸化物を製造する工程を「工程(2)」と称す。
【0011】
工程(1)において、Ni、MnおよびFeを含有する水溶液は、Ni、Mn、Feを含有するそれぞれの原料として、例えば、金属元素単体、酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、ハロゲン化物、アンモニウム塩、シュウ酸塩、アルコキシドなどのうち、水に溶解して水溶液となり得るものを好適に用いることができる。なお、前記単体または化合物が水に溶解し難い場合は、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸などを含有する水溶液に溶解させた前記それぞれの元素を含有する水溶液を用いることができる。この中でもそれぞれの塩化物を用い、Niの塩化物、Mnの塩化物およびFeの塩化物を水に溶解して得られる水溶液であることが好ましい。Feの塩化物としては、2価のFeの塩化物であることが好ましい。
【0012】
工程(1)において、アルカリとしては、LiOH(水酸化リチウム)、NaOH(水酸化ナトリウム)、KOH(水酸化カリウム)、Li2CO3(炭酸リチウム)、Na2CO3(炭酸ナトリウム)、K2CO3(炭酸カリウム)および(NH42CO3(炭酸アンモニウム)からなる群より選ばれる1種以上の無水物および/または該1種以上の水和物を挙げることができ、工程(1)においては、上記アルカリの水溶液を用いることが好ましい。
アルカリ水溶液として、アンモニア水を挙げることもできる。アルカリ水溶液におけるアルカリの濃度は、通常0.5〜10M程度、好ましくは1〜8M程度である。また、製造コストの面から、用いるアルカリとしてNaOH、KOHの無水物および/または水和物を用いることが好ましい。また、上述のアルカリを2つ以上併用してもよい。
【0013】
上記Ni、MnおよびFeを含有する水溶液およびアルカリ水溶液の溶媒に用いられる水は、好ましくは純水および/またはイオン交換水である。また、本発明の効果をそこなわない範囲で、アルコールなど水以外の有機溶媒や、pH調整剤などを含んでいてもよい。
【0014】
上記(1)の工程において、Ni、MnおよびFeを含有する水溶液と、アルカリとを接触させることで、Ni、MnおよびFeを含有する共沈物スラリーを得る。
なお、本発明において、「共沈物スラリー」とは、大部分が、Mn、NiおよびFeを含有する複合金属水酸化物からなる共沈物と水とからなるスラリーであり、共沈物作製の過程で残った原料、副生塩(例えば、KCl)添加剤、あるいは有機溶剤等を含んでいてもよい。
工程(1)における接触の方法としては、Ni、MnおよびFeを含有する水溶液にアルカリ水溶液を添加して混合する方法、アルカリ水溶液にNi、Mn、Feを含有する水溶液を添加して混合する方法、水にNi、Mn、Feを含有する水溶液およびアルカリ水溶液を添加して混合する方法を挙げることができる。これらの混合時には、攪拌を伴うことが好ましい。また、上記の接触の方法の中では、アルカリ水溶液にNi、MnおよびFeを含有する水溶液を添加して混合する方法は、pHを一定範囲に保ちやすい点で好ましく用いることができる。この場合、アルカリ水溶液に、Ni、MnおよびFeを含有する水溶液を添加混合していくに従い、混合された液のpHが低下していく傾向にあるが、このpHが9以上、好ましくは10以上となるように調節しながら、Ni、MnおよびFeを含有する水溶液を添加するのがよい。また、Ni、MnおよびFeを含有する水溶液およびアルカリ水溶液のうち、いずれか一方または両方の水溶液を40℃〜80℃の温度に保持しながら接触させると、より均一な組成の共沈物を得ることができるため、好ましい。
【0015】
より容量を高める非水電解質二次電池を得る意味では、工程(1)のNi、MnおよびFeを含有する水溶液において、Ni、MnおよびFeの合計量(モル)に対するMnの量(モル)を0.1以上0.7以下とすることが好ましい。
【0016】
また、より容量を高める非水電解質二次電池を得る意味では、Ni、MnおよびFeを含有する水溶液において、Ni、MnおよびFeの合計量(モル)に対するFeの量(モル)を0.01以上0.5以下とすることが好ましい。
【0017】
工程(2)においては、上記共沈物スラリーを固液分離して、ウェットケークを作製し、該ウェットケークを乾燥することにより、Mn、NiおよびFeを含有する複合金属水酸化物の乾燥物(以下、単に「乾燥物」と記載する場合がある。)を得る。
なお、「ウェットケーク」とは、共沈物スラリーを固液分離により脱水したものであり、固形分としての複合金属水酸化物以外にも脱水過程で残存した水分、原料、副生塩、添加剤、あるいは有機溶剤等の中で完全に除去できないものを含んでいてもよい。
【0018】
本発明の特徴のひとつは、共沈物スラリーの固液分離後ウェットケークを乾燥するまでの保管時間を48時間以下としたことにあり、これにより得られた複合金属水酸化物における、副生物Mn34の生成が抑制される。特に、本発明の効果をより高める意味で、上記保管時間は、好ましくは36時間以下、より好ましくは24時間以下である。一方、48時間を超えると、副生物のMn34が多量に生成するという問題がある。
なお、共沈物スラリーを固液分離して得られたウェットケークの保管温度は、通常、10〜50℃であり、好ましくは20〜30℃である。また、保管雰囲気は、N2やArなどの不活性ガス中がよいが、一般的な大気中でもよい。また、保管容器としては、密閉性が高い容器であることが好ましい。
【0019】
また、よりMn34の生成を抑制するためには、ウェットケークの含水率が、60重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましい。
このようにすることで、ウェットケーク中の水分へのMn成分の溶出を抑制し、ひいてはMn34の生成を抑制することができる。
なお、ウェットケークの含水率Mは、乾燥前のウェットケーク重量をW1、乾燥後のウェットケーク重量をW2として、以下の式により求めることができる。

含水率M=(W1−W2)/W1 × 100

なお、ウェットケークの重量変化は、ウェットケーク自体の重量を直接測定した値でもよいが、ウェットケークの一部をサンプルとして採取し、赤外式水分計で求めた値でもよい。
【0020】
工程(2)において、固液分離の方法は、いかなる方法によってもよく、具体的にはろ過、遠心分離などの方法が挙げられる。この中でも操作性の観点では、ろ過が好ましく用いられる。
【0021】
工程(2)において、固液分離により得られたウェットケークを洗浄することもできる。洗浄することにより、固液分離後に得られるウェットケークにアルカリ、Clなどの不純物が過剰に存在する場合には、これを除去することができる。ウェットケークを効率よく洗浄する意味では、洗浄液として水を用いることが好ましい。なお、必要に応じてアルコール、アセトンなどの水溶性有機溶媒を洗浄液に加えても良い。また、洗浄は2回以上行ってもよく、例えば、水洗浄を行った後、前記のような水溶性有機溶媒で再度洗浄することもできる。水洗の管理として、ろ液のpHは8〜11、好ましくは9〜10がよい。
【0022】
次いで、ウェットケークを乾燥して、乾燥物を得る。乾燥は、通常、熱処理によって行うが、送風乾燥、真空乾燥等によってもよい。また、乾燥の雰囲気としては、大気、酸素、窒素、アルゴンまたはそれらの混合ガスを用いることができるが、大気雰囲気が好ましい。乾燥を熱処理によって行う場合には、通常50〜300℃で行い、好ましくは100℃〜200℃程度である。
【0023】
工程(2)により得られる乾燥物のBET比表面積は、通常、10m2/g以上100m2/g以下程度である。乾燥物のBET比表面積は、乾燥温度によって調節することができる。乾燥物のBET比表面積は、後述の焼成時の反応性を促進させる意味で、20m2/g以上であることが好ましく、30m2/g以上であることがより好ましい。また、操作性の観点では、乾燥物のBET比表面積は、90m2/g以下であることが好ましく、85m2/g以下であることがより好ましい。また、乾燥物は、通常、0.001μm以上0.1μm以下の粒径の一次粒子と、一次粒子が凝集して形成された1μm以上100μm以下の粒径の二次粒子との混合物からなる。一次粒子、二次粒子の粒径は、走査型電子顕微鏡(以下、SEMということがある。)で観察することにより、測定することができる。二次粒子の粒径は、1μm以上50μm以下であることが好ましく、1μm以上30μm以下であることがより好ましい。
【0024】
上述のMn、NiおよびFeを含有する複合金属水酸化物の乾燥物は、後述するようにリチウム複合金属酸化物の原料として用いることができ、リチウム源としてのリチウム化合物と混合、焼成して得られるリチウム複合金属酸化物は、高い電流レートにおいて、より高出力を示すことが可能な非水電解質二次電池の正極活物質として有用である。
【0025】
また、この乾燥物は、CuKαを線源とする粉末X線回折測定により得られる粉末X線回折図形における、回折角2θが16°以上21°以下の範囲における強度が最大の回折ピークAの強度IAと、回折角2θが35°以上37°以下の範囲における強度が最大の回折ピークBの強度IBとのピーク強度比(IB/IA)が、0.4以下であることがより好ましい。
なお、本発明に係るMn、NiおよびFeを含有する複合金属水酸化物のX線回折図形において、2θが約33°から43°までの範囲において、ブロードなシグナルが認められる。そのため、2θが35°以上37°以下の範囲における回折ピークBの強度IBは、このブロードなシグナルをバックグランドとみなして求められる。具体的には、図1に示すように回折ピークBの両端の変曲点を接点とし、ピークトップから変曲点の接線までの距離を回折ピークBの強度IBとする。
【0026】
上記により得られる乾燥物とリチウム化合物とを混合して得られる混合物を焼成してリチウム複合金属酸化物を得る。リチウム化合物としては、水酸化リチウム、塩化リチウム、硝酸リチウムおよび炭酸リチウムからなる群より選ばれる1種以上の無水物および/または該1種以上の水和物を挙げることができる。混合は、乾式混合、湿式混合のいずれによってもよいが、簡便性の観点では、乾式混合が好ましい。混合装置としては、攪拌混合、V型混合機、W型混合機、リボン混合機、ドラムミキサー、ボールミル等を挙げることができる。
【0027】
前記焼成における保持温度は、リチウム複合金属酸化物のBET比表面積を調整する意味で重要な因子である。通常、保持温度が高くなればなるほど、BET比表面積は小さくなる傾向にある。
保持温度を低くすればするほど、BET比表面積は大きくなる傾向にある。保持温度としては、650℃以上900℃以下の範囲であることが好ましい。前記保持温度で保持する時間は、通常0.1〜20時間であり、好ましくは0.5〜8時間である。前記保持温度までの昇温速度は、通常50℃〜400℃/時間であり、前記保持温度から室温までの降温速度は、通常10℃〜400℃/時間である。また、焼成の雰囲気としては、大気、酸素、窒素、アルゴンまたはそれらの混合ガスを用いることができるが、大気雰囲気が好ましい。
【0028】
前記焼成の際に、混合物は、フッ化アンモニウムやホウ酸などの反応促進剤を含有していてもよい。反応促進剤として、より具体的には、NaCl、KCl、NH4Clなどの塩化物、Na2CO3、K2CO3などの炭酸塩、LiF、NaF、KF、NH4Fなどのフッ化物、ホウ酸、好ましくは前記塩化物を挙げることができ、より好ましくはKClである。混合物が反応促進剤を含有することで、混合物の焼成時の反応性を向上させ、得られるリチウム複合金属酸化物のBET比表面積を調整することが可能な場合がある。通常、焼成の保持温度が同じ場合には、混合物における反応促進剤の含有量が多くなればなるほど、BET比表面積は小さくなる傾向にある。また、反応促進剤を2種以上併用することもできる。反応促進剤は、乾燥物とリチウム化合物との混合時に、添加して混合すればよい。また、反応促進剤は、リチウム複合金属酸化物に残留していてもよいし、洗浄、蒸発等により除去されていてもよい。
【0029】
また、前記焼成後において、得られるリチウム複合金属酸化物を、ボールミルやジェットミルなどを用いて粉砕してもよい。粉砕によって、リチウム複合金属酸化物のBET比表面積を調整することが可能な場合がある。また、粉砕と焼成を2回以上繰り返してもよい。また、リチウム複合金属酸化物は必要に応じて洗浄あるいは分級することもできる。
【0030】
上記の本発明の製造方法により得られるリチウム複合金属酸化物は、高い電流レートにおいて高出力を示すことが可能な非水電解質二次電池に有用なリチウム複合金属酸化物となる。
【0031】
本発明のリチウム複合金属酸化物は、通常、0.05μm以上1μm以下の平均粒径の一次粒子から構成され、一次粒子と、一次粒子が凝集して形成された0.1μm以上100μm以下の平均粒径の二次粒子との混合物からなる。一次粒子、二次粒子の平均粒径は、SEMで観察することにより、測定することができる。本発明の効果をより高める意味では、二次粒子の大きさは0.1μm以上50μm以下であることが好ましく、0.1μm以上10μm以下であることがより好ましい。
【0032】
本発明の効果をより高める意味で、本発明のリチウム複合金属酸化物は、その構造がα-NaFeO2型結晶構造、すなわちR−3mの空間群に帰属される結晶構造であることが好ましい。結晶構造は、リチウム複合金属酸化物について、CuKαを線源とする粉末X線回折測定により得られる粉末X線回折図形から同定することができる。
【0033】
また、本発明のリチウム複合金属酸化物におけるLiの組成としては、Ni、MnおよびFeの合計量(モル)に対し、Liの量(モル)は、通常、0.5以上1.5以下であり、容量維持率をより高める意味で、0.95以上1.5以下であることが好ましく、より好ましくは1.0以上1.4以下である。以下の式(A)として表したときには、zは、通常、0.5以上1.5以下であり、好ましくは0.95以上1.5以下、より好ましくは1.0以上1.4以下である。
Liz(Ni1-x-yMnxFey)O2 (A)
(ここで、0<x<1、0<y<1、0<x+y<1である。)
【0034】
また、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明のリチウム複合金属酸化物におけるLi、Ni、Mn、Feの一部を、他元素で置換してもよい。ここで、他元素としては、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Mg、Sc、Y、Zr、Hf、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Tc、Ru、Rh、Ir、Pd、Cu、Ag、Zn等の元素を挙げることができる。
【0035】
また、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明のリチウム複合金属酸化物を構成する粒子の表面に、該リチウム複合金属酸化物とは異なる化合物を付着させてもよい。該化合物としては、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Mgおよび遷移金属元素からなる群より選ばれる1種以上の元素を含有する化合物、好ましくはB、Al、Mg、Ga、InおよびSnからなる群より選ばれる1種以上の元素を含有する化合物、より好ましくはAlの化合物を挙げることができ、化合物として具体的には、前記元素の酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、有機酸塩を挙げることができ、好ましくは、酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物である。また、これらの化合物を混合して用いてもよい。これら化合物の中でも、特に好ましい化合物はアルミナである。また、付着後に加熱を行ってもよい。
【0036】
本発明のリチウム複合金属酸化物からなる非水電解質二次電池用正極活物質は、非水電解質二次電池に好適である。また、本発明において、非水電解質二次電池用正極活物質は、本発明のリチウム複合金属酸化物が主成分であればよい。
【0037】
非水電解質二次電池用正極活物質を用いて、例えば、次のようにして、非水電解質二次電池用正極を製造することができる。
【0038】
非水電解質二次電池用正極は、正極活物質、導電材およびバインダーを含む正極合剤を正極集電体に担持させて製造する。前記導電材としては炭素質材料を用いることができ、炭素質材料として黒鉛粉末、カーボンブラック、アセチレンブラック、繊維状炭素材料などを挙げることができる。カーボンブラックやアセチレンブラックは、微粒で表面積が大きいため、少量正極合剤中に添加することにより正極内部の導電性を高め、充放電効率及びレート特性を向上させることができるが、多く入れすぎるとバインダーによる正極合剤と正極集電体との結着性を低下させ、かえって内部抵抗を増加させる原因となる。通常、正極合剤中の導電材の割合は、正極活物質100重量部に対して5重量部以上20重量部以下である。導電材として黒鉛化炭素繊維、カーボンナノチューブなどの繊維状炭素材料を用いる場合には、この割合を下げることも可能である。
【0039】
前記バインダーとしては、熱可塑性樹脂を用いることができ、具体的には、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVdFということがある。)、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEということがある。)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体などのフッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂等が挙げられる。また、これらの二種以上を混合して用いてもよい。また、バインダーとしてフッ素樹脂およびポリオレフィン樹脂を用い、正極合剤に対する該フッ素樹脂の割合が1〜10重量%、該ポリオレフィン樹脂の割合が0.1〜2重量%となるように含有させることによって、正極集電体との結着性に優れた正極合剤を得ることができる。
【0040】
前記正極集電体としては、Al、Ni、ステンレスなどを用いることができるが、薄膜に加工しやすく、安価であるという点でAlが好ましい。正極集電体に正極合剤を担持させる方法としては、加圧成型する方法、または有機溶媒などを用いてペースト化し、正極集電体上に塗布、乾燥後プレスするなどして固着する方法が挙げられる。ペースト化する場合、正極活物質、導電材、バインダー、有機溶媒からなるスラリーを作製する。有機溶媒としては、N,N―ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン等のアミン系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸メチル等のエステル系溶媒、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒等が挙げられる。
【0041】
正極合剤を正極集電体へ塗布する方法としては、例えば、スリットダイ塗工法、スクリーン塗工法、カーテン塗工法、ナイフ塗工法、グラビア塗工法、静電スプレー法等が挙げられる。以上に挙げた方法により、非水電解質二次電池用正極を製造することができる。
【0042】
上記の非水電解質二次電池用正極を用いて、次のようにして、非水電解質二次電池を製造することができる。すなわち、セパレータ、負極、および上記の正極を、積層および巻回することにより得られる電極群を、電池缶内に収納した後、電解質を含有する有機溶媒からなる電解液を含浸させて製造することができる。
【0043】
前記の電極群の形状としては、例えば、該電極群を巻回の軸と垂直方向に切断したときの断面が、円、楕円、長方形、角がとれたような長方形等となるような形状を挙げることができる。また、電池の形状としては、例えば、ペーパー型、コイン型、円筒型、角型などの形状を挙げることができる。
【0044】
前記負極は、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープ・脱ドープが可能であればよく、負極材料を含む負極合剤が負極集電体に担持されてなる電極、または負極材料単独からなる電極を挙げることができる。負極材料としては、炭素質材料、カルコゲン化合物(酸化物、硫化物など)、窒化物、金属または合金で、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な材料が挙げられる。また、これらの負極材料を混合して用いてもよい。
【0045】
前記の負極材料につき、以下に例示する。前記炭素質材料として、具体的には、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛、コークス類、カーボンブラック、熱分解炭素類、炭素繊維、有機高分子化合物焼成体などを挙げることができる。前記酸化物として、具体的には、SiO2、SiOなど式SiOx(ここで、xは正の実数)で表されるケイ素の酸化物、TiO2、TiOなど式TiOx(ここで、xは正の実数)で表されるチタンの酸化物、V25、VO2など式VOx(ここで、xは正の実数)で表されるバナジウムの酸化物、Fe34、Fe23、FeOなど式FeOx(ここで、xは正の実数)で表される鉄の酸化物、SnO2、SnOなど式SnOx(ここで、xは正の実数)で表されるスズの酸化物、WO3、WO2など一般式WOx(ここで、xは正の実数)で表されるタングステンの酸化物、Li4Ti512、LiVO2(たとえばLi1.10.92)などのリチウムとチタンおよび/またはバナジウムとを含有する複合金属酸化物などを挙げることができる。前記硫化物として、具体的には、Ti23、TiS2、TiSなど式TiSx(ここで、xは正の実数)で表されるチタンの硫化物、V34、VS2、VSなど式VSx(ここで、xは正の実数)で表されるバナジウムの硫化物、Fe34、FeS2、FeSなど式FeSx(ここで、xは正の実数)で表される鉄の硫化物、Mo23、MoS2など式MoSx(ここで、xは正の実数)で表されるモリブデンの硫化物、SnS2、SnSなど式SnSx(ここで、xは正の実数)で表されるスズの硫化物、WS2など式WSx(ここで、xは正の実数)で表されるタングステンの硫化物、Sb23など式SbSx(ここで、xは正の実数)で表されるアンチモンの硫化物、Se53、SeS2、SeSなど式SeSx(ここで、xは正の実数)で表されるセレンの硫化物などを挙げることができる。前記窒化物として、具体的には、Li3N、Li3-xxN(ここで、AはNiおよび/またはCoであり、0<x<3である。)などのリチウム含有窒化物を挙げることができる。これらの炭素質材料、酸化物、硫化物、窒化物は、併用して用いてもよく、結晶質または非晶質のいずれでもよい。また、これらの炭素質材料、酸化物、硫化物、窒化物は、主に、負極集電体に担持して、電極として用いられる。
【0046】
また、前記金属として、具体的には、リチウム金属、シリコン金属、スズ金属が挙げられる。また、前記合金としては、Li−Al、Li−Ni、Li−Siなどのリチウム合金、Si−Znなどのシリコン合金、Sn−Mn、Sn−Co、Sn−Ni、Sn−Cu、Sn−Laなどのスズ合金のほか、Cu2Sb、La3Ni2Sn7などの合金を挙げることもできる。これらの金属、合金は、主に、単独で電極として用いられる(例えば箔状で用いられる)。
【0047】
上記負極材料の中で、電位平坦性が高い、平均放電電位が低い、サイクル性が良いなどの観点からは、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛を主成分とする炭素質材料が好ましく用いられる。炭素質材料の形状としては、例えば天然黒鉛のような薄片状、メソカーボンマイクロビーズのような球状、黒鉛化炭素繊維のような繊維状、または微粉末の凝集体などのいずれでもよい。
【0048】
前記の負極合剤は、必要に応じて、バインダーを含有してもよい。バインダーとしては、熱可塑性樹脂を挙げることができ、具体的には、PVdF、熱可塑性ポリイミド、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを挙げることができる。
【0049】
前記の負極集電体としては、Cu、Ni、ステンレスなどを挙げることができ、リチウムと合金を作り難い点、薄膜に加工しやすいという点で、Cuを用いればよい。該負極集電体に負極合剤を担持させる方法としては、正極の場合と同様であり、加圧成型による方法、溶媒などを用いてペースト化し負極集電体上に塗布、乾燥後プレスし圧着する方法等が挙げられる。
【0050】
前記セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、含窒素芳香族重合体などの材質からなる、多孔質膜、不織布、織布などの形態を有する材料を用いることができ、また、前記の材質を2種以上用いてセパレータとしてもよいし、前記の材料が積層されていてもよい。セパレータとしては、例えば特開2000−30686号公報、特開平10−324758号公報等に記載のセパレータを挙げることができる。セパレータの厚みは電池の体積エネルギー密度が上がり、内部抵抗が小さくなるという点で、機械的強度が保たれる限り薄くした方がよく、通常5〜200μm程度、好ましくは5〜40μm程度である。
【0051】
セパレータは、好ましくは、熱可塑性樹脂を含有する多孔質フィルムを有する。非水電解質二次電池においては、通常、正極−負極間の短絡等が原因で電池内に異常電流が流れた際に、電流を遮断して、過大電流が流れることを阻止(シャットダウン)する機能を有することが好ましい。ここで、シャットダウンは、通常の使用温度を越えた場合に、セパレータにおける多孔質フィルムの微細孔を閉塞することによりなされる。そしてシャットダウンした後、ある程度の高温まで電池内の温度が上昇しても、その温度により破膜することなく、シャットダウンした状態を維持することが好ましい。かかるセパレータとしては、耐熱多孔層と多孔質フィルムとが積層されてなる積層フィルムが挙げられ、該フィルムをセパレータとして用いることにより、本発明における二次電池の耐熱性をより高めることが可能となる。ここで、耐熱多孔層は、多孔質フィルムの両面に積層されていてもよい。
【0052】
以下、前記の耐熱多孔層と多孔質フィルムとが積層されてなる積層フィルムについて説明する。
【0053】
前記積層フィルムにおいて、耐熱多孔層は、多孔質フィルムよりも耐熱性の高い層であり、該耐熱多孔層は、無機粉末から形成されていてもよいし、耐熱樹脂を含有していてもよい。耐熱多孔層が、耐熱樹脂を含有することにより、塗工などの容易な手法で、耐熱多孔層を形成することができる。耐熱樹脂としては、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、芳香族ポリエステル、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミドを挙げることができ、耐熱性をより高める観点で、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミドが好ましく、より好ましくは、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミドである。さらにより好ましくは、芳香族ポリアミド(パラ配向芳香族ポリアミド、メタ配向芳香族ポリアミド)、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミド等の含窒素芳香族重合体であり、とりわけ好ましくは芳香族ポリアミド、製造面で、特に好ましいのは、パラ配向芳香族ポリアミド(以下、「パラアラミド」ということがある。)である。また、耐熱樹脂として、ポリ−4−メチルペンテン−1、環状オレフィン系重合体を挙げることもできる。これらの耐熱樹脂を用いることにより、積層フィルムの耐熱性、すなわち、積層フィルムの熱破膜温度をより高めることができる。これらの耐熱樹脂のうち、含窒素芳香族重合体を用いる場合には、その分子内の極性によるためか、電解液との相性、すなわち、耐熱多孔層における保液性も向上する場合があり、非水電解質二次電池製造時における電解液の含浸の速度も高く、非水電解質二次電池の充放電容量もより高まる。
【0054】
かかる積層フィルムの熱破膜温度は、耐熱樹脂の種類に依存し、使用場面、使用目的に応じ、選択使用される。より具体的には、耐熱樹脂として、上記含窒素芳香族重合体を用いる場合は400℃程度に、また、ポリ−4−メチルペンテン−1を用いる場合は250℃程度に、環状オレフィン系重合体を用いる場合は300℃程度に、夫々、熱破膜温度をコントロールすることができる。また、耐熱多孔層が、無機粉末からなる場合には、熱破膜温度を、例えば、500℃以上にコントロールすることも可能である。
【0055】
上記パラアラミドは、パラ配向芳香族ジアミンとパラ配向芳香族ジカルボン酸ハライドの縮合重合により得られるものであり、アミド結合が芳香族環のパラ位またはそれに準じた配向位(例えば、4,4’−ビフェニレン、1,5−ナフタレン、2,6−ナフタレン等のような反対方向に同軸または平行に延びる配向位)で結合される繰り返し単位から実質的になるものである。具体的には、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)、ポリ(パラベンズアミド)、ポリ(4,4’−ベンズアニリドテレフタルアミド)、ポリ(パラフェニレン−4,4’−ビフェニレンジカルボン酸アミド)、ポリ(パラフェニレン−2,6−ナフタレンジカルボン酸アミド)、ポリ(2−クロロ−パラフェニレンテレフタルアミド)、パラフェニレンテレフタルアミド/2,6−ジクロロパラフェニレンテレフタルアミド共重合体等のパラ配向型またはパラ配向型に準じた構造を有するパラアラミドが例示される。
【0056】
前記の芳香族ポリイミドとしては、芳香族の二酸無水物とジアミンの縮重合で製造される全芳香族ポリイミドが好ましい。該二酸無水物の具体例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4―ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物などがあげられる。該ジアミンの具体例としては、オキシジアニリン、パラフェニレンジアミン、ベンゾフェノンジアミン、3,3’−メチレンジアニリン、3,3’−ジアミノベンソフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、1,5’−ナフタレンジアミンなどがあげられる。また、溶媒に可溶なポリイミドが好適に使用できる。このようなポリイミドとしては、例えば、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物と、芳香族ジアミンとの重縮合物のポリイミドが挙げられる。
【0057】
前記の芳香族ポリアミドイミドとしては、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジイソシアネートを用いてこれらの縮合重合から得られるもの、芳香族二酸無水物および芳香族ジイソシアネートを用いてこれらの縮合重合から得られるものが挙げられる。芳香族ジカルボン酸の具体例としてはイソフタル酸、テレフタル酸などが挙げられる。また芳香族二酸無水物の具体例としては無水トリメリット酸などが挙げられる。芳香族ジイソシアネートの具体例としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、オルソトリランジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0058】
また、イオン透過性をより高める意味で、耐熱多孔層の厚みは、1μm以上10μm以下、さらには1μm以上5μm以下、特に1μm以上4μm以下という薄い耐熱多孔層であることが好ましい。また、耐熱多孔層は微細孔を有し、その孔のサイズ(直径)は通常3μm以下、好ましくは1μm以下である。また、耐熱多孔層が、耐熱樹脂を含有する場合には、さらに、耐熱多孔層は、後述のフィラーを含有することもできる。
【0059】
前記積層フィルムにおいて、多孔質フィルムは、微細孔を有し、シャットダウン機能を有することが好ましい。この場合、多孔質フィルムは、熱可塑性樹脂を含有する。多孔質フィルムにおける微細孔のサイズは通常3μm以下、好ましくは1μm以下である。多孔質フィルムの空孔率は、通常30〜80体積%、好ましくは40〜70体積%である。非水電解質二次電池において、通常の使用温度を越えた場合には、熱可塑性樹脂を含有する多孔質フィルムは、それを構成する熱可塑性樹脂の軟化により、微細孔を閉塞することができる。
【0060】
前記熱可塑性樹脂は、非水電解質二次電池における電解液に溶解しないものを選択すればよい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂を挙げることができ、これらの2種以上の混合物を用いてもよい。より低温で軟化してシャットダウンさせる意味で、ポリエチレンを含有することが好ましい。ポリエチレンとして、具体的には、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状ポリエチレン等のポリエチレンを挙げることができ、分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレンを挙げることもできる。多孔質フィルムの突刺し強度をより高める意味では、該フィルムを構成する熱可塑性樹脂は、少なくとも超高分子量ポリエチレンを含有することが好ましい。また、多孔質フィルムの製造面において、熱可塑性樹脂は、低分子量(重量平均分子量1万以下)のポリオレフィンからなるワックスを含有することが好ましい場合もある。
【0061】
また、積層フィルムにおける多孔質フィルムの厚みは、通常、3〜30μmであり、さらに好ましくは3〜25μmである。また、本発明において、積層フィルムの厚みとしては、通常40μm以下、好ましくは、20μm以下である。また、耐熱多孔層の厚みをA(μm)、多孔質フィルムの厚みをB(μm)としたときには、A/Bの値が、0.1以上1以下であることが好ましい。
【0062】
また、耐熱多孔層が、耐熱樹脂を含有する場合には、耐熱多孔層は、1種以上のフィラーを含有していてもよい。フィラーは、その材質として、有機粉末、無機粉末またはこれらの混合物のいずれから選ばれるものであってもよい。フィラーを構成する粒子は、その平均粒子径が、0.01μm以上1μm以下であることが好ましい。
【0063】
前記有機粉末としては、例えば、スチレン、ビニルケトン、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アクリル酸メチル等の単独あるいは2種類以上の共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、4フッ化エチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド等のフッ素系樹脂;メラミン樹脂;尿素樹脂;ポリオレフィン;ポリメタクリレート等の有機物からなる粉末が挙げられる。該有機粉末は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いることもできる。これらの有機粉末の中でも、化学的安定性の点で、ポリテトラフルオロエチレン粉末が好ましい。
【0064】
前記無機粉末としては、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物、炭酸塩、硫酸塩等の無機物からなる粉末が挙げられ、これらの中でも、導電性の低い無機物からなる粉末が好ましく用いられる。具体的に例示すると、アルミナ、シリカ、二酸化チタン、または炭酸カルシウム等からなる粉末が挙げられる。該無機粉末は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いることもできる。これらの無機粉末の中でも、化学的安定性の点で、アルミナ粉末が好ましい。ここで、フィラーを構成する粒子のすべてがアルミナ粒子であることがより好ましく、さらにより好ましいのは、フィラーを構成する粒子のすべてがアルミナ粒子であり、その一部または全部が略球状のアルミナ粒子である実施形態である。因みに、耐熱多孔層が、無機粉末から形成される場合には、上記例示の無機粉末を用いればよく、必要に応じてバインダーと混ぜて用いればよい。
【0065】
耐熱多孔層が耐熱樹脂を含有する場合のフィラーの含有量としては、フィラーの材質の比重にもよるが、例えば、フィラーを構成する粒子のすべてがアルミナ粒子である場合には、耐熱多孔層の総重量を100としたとき、フィラーの重量は、通常5以上95以下であり、20以上95以下であることが好ましく、より好ましくは30以上90以下である。これらの範囲は、フィラーの材質の比重により、適宜設定できる。
【0066】
フィラーの形状については、略球状、板状、柱状、針状、ウィスカー状、繊維状等が挙げられ、いずれの粒子も用いることができるが、均一な孔を形成しやすいことから、略球状粒子であることが好ましい。略球状粒子としては、粒子のアスペクト比(粒子の長径/粒子の短径)が1以上1.5以下の範囲の値である粒子が挙げられる。粒子のアスペクト比は、電子顕微鏡写真により測定することができる。
【0067】
本発明において、セパレータは、イオン透過性との観点から、ガーレー法による透気度において、透気度が50〜300秒/100ccであることが好ましく、50〜200秒/100ccであることがさらに好ましい。また、セパレータの空孔率は、通常30〜80体積%、好ましくは40〜70体積%である。セパレータは空孔率の異なるセパレータを積層したものであってもよい。
【0068】
二次電池において、電解液は、通常、電解質を含有する有機溶媒からなる。電解質としては、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LIBF4、LiCF3SO3、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252、LiN(SO2CF3)(COCF3)、Li(C49SO3)、LiC(SO2CF33、Li210Cl10、LiBOB(ここで、BOBは、bis(oxalato)borateのことである。)、低級脂肪族カルボン酸リチウム塩、LiAlCl4などのリチウム塩が挙げられ、これらの2種以上の混合物を使用してもよい。リチウム塩として、通常、これらの中でもフッ素を含むLiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(SO2CF32およびLiC(SO2CF33からなる群から選ばれた少なくとも1種を含むものを用いる。
【0069】
また前記電解液において、有機溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,2−ジ(メトキシカルボニルオキシ)エタンなどのカーボネート類;1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類;アセトニトリル、ブチロニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;3−メチル−2−オキサゾリドンなどのカーバメート類;スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−プロパンサルトンなどの含硫黄化合物、または上記の有機溶媒にさらにフッ素置換基を導入したものを用いることができるが、通常はこれらのうちの二種以上を混合して用いる。中でもカーボネート類を含む混合溶媒が好ましく、環状カーボネートと非環状カーボネート、または環状カーボネートとエーテル類の混合溶媒がさらに好ましい。環状カーボネートと非環状カーボネートの混合溶媒としては、動作温度範囲が広く、負荷特性に優れ、かつ負極の活物質として天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛材料を用いた場合でも難分解性であるという点で、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネートを含む混合溶媒が好ましい。また、特に優れた安全性向上効果が得られる点で、LiPF6等のフッ素を含むリチウム塩およびフッ素置換基を有する有機溶媒を含む電解液を用いることが好ましい。ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル等のフッ素置換基を有するエーテル類とジメチルカーボネートとを含む混合溶媒は、大電流放電特性にも優れており、さらに好ましい。
【0070】
上記の電解液の代わりに固体電解質を用いてもよい。固体電解質としては、例えばポリエチレンオキサイド系の高分子化合物、ポリオルガノシロキサン鎖もしくはポリオキシアルキレン鎖の少なくとも一種以上を含む高分子化合物などの有機系高分子電解質を用いることができる。また、高分子化合物に非水電解質溶液を保持させた、いわゆるゲルタイプのものを用いることもできる。またLi2S−SiS2、Li2S−GeS2、Li2S−P25、Li2S−B23、Li2S−SiS2−Li3PO4、Li2S−SiS2−Li2SO4などの硫化物を含む無機系固体電解質を用いてもよい。これら固体電解質を用いて、安全性をより高めることができることがある。また、本発明の非水電解質二次電池において、固体電解質を用いる場合には、固体電解質がセパレータの役割を果たす場合もあり、その場合には、セパレータを必要としないこともある。
【実施例】
【0071】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0072】
粉末X線回折測定及びBET比表面積測定は、それぞれ以下の条件で行った。
<粉末X線回折測定>
粉末X線回折測定(XRD)は、株式会社リガク製Ultima IVASC-10を用いて行った。測定は、粉末試料を専用の基板に充填し、CuKα線源を用いて、電圧40kV、電流40mA、サンプリング幅0.02°、スキャンスピード4.0°/分の条件で回折角2θ=10°〜90°の範囲にて行い、粉末X線回折図形を得た。
<BET比表面積測定>
粉末1gを窒素雰囲気中150℃、15分間乾燥した後、マイクロメトリックス製フローソーブII2300を用いて測定した。
【0073】
(実施例1)
ポリプロピレン製ビーカー内で、蒸留水930mlに、水酸化カリウム71.00gを添加、攪拌により溶解し、水酸化カリウムを完全に溶解させ、水酸化カリウム水溶液(アルカリ水溶液)を調製した。また、ガラス製ビーカー内で、蒸留水150mlに、塩化ニッケル(II)六水和物55.86g、塩化マンガン(II)四水和物47.50gおよび塩化鉄(II)4水和物4.97gを添加、攪拌により溶解し、ニッケル−マンガン−鉄混合水溶液を得た。前記水酸化カリウム水溶液を攪拌しながら、これに前記ニッケル−マンガン−鉄混合水溶液を滴下することにより、共沈物が生成し、共沈物スラリーを得た。なお、反応終点のpHを測定したところpHは13であった。
次いで、共沈物スラリーをヌッチェにて減圧ろ過し、ウェットケークの上に水を投入して、ろ液のpH10が未満になるまで水洗した後、固液分離を行ない、ウェットケークを回収した。このときの前記ウェットケークの含水率は50重量%であった。
前記ウェットケークを、大気雰囲気下、室温で6.5時間保管後、120℃で、8時間乾燥させて乾燥物P1を得た。乾燥物P1の組成分析の結果、Ni:Mn:Feのモル比は0.47:0.48:0.05であった。
乾燥物P1の粉末X線回折測定の結果を図2に示す。粉末X線回折図形において、2θが16°以上21°以下の範囲内に複合金属水酸化物に由来するピークAが検出され、また2θが35°以上37°以下の範囲において36°付近にマンガン酸化物に由来するピークBが検出された。ピークBの強度IBと、ピークAの強度IAの比、IB/IAは0.301であった。結果を表1に併せて示す。
前記乾燥物(P1)40.00gと炭酸リチウム20.89gと炭酸カリウム5.54gとをボールミルを用いて乾式混合して混合物を得た。次いで、該混合物をアルミナ製焼成容器に入れ、電気炉を用いて大気中で870℃で6時間保持して焼成を行い、室温まで冷却し、焼成品を得た。次いで、焼成品を粉砕し、蒸留水でデカンテーションによる洗浄を行い、ろ過した後に、300℃で6時間乾燥して、粉末B1を得た。
粉末B1のBET比表面積は、8.8m2/gであった。粉末B1の粉末X線回折測定の結果を図3に示す。粉末B1の結晶構造は、R−3mの空間群に帰属される結晶構造であった。
【0074】
(実施例2)
共沈物スラリーを固液分離してウェットケークを回収するまでの方法は、実施例1と同様の方法で得た。このときの含水率は50重量%であった。
次いで、前記ウェットケークを、大気雰囲気下、室温で48時間保管した後、120℃で8時間乾燥させて乾燥物P2を得た。乾燥物P2の粉末X線回折測定の結果を図2に示す。粉末X線回折図形において、2θが16°以上21°以下の範囲内に複合金属水酸化物に由来するピークAが検出され、また2θが35°以上37°以下の範囲において36°付近にマンガン酸化物に由来するピークBが検出された。ピークBの強度IBと、ピークAの強度IAの比、IB/IAは0.341であった。結果を表1に併せて示す。
前記乾燥物P2を得た後の方法については、実施例1と同様に行い、粉末B2を得た。粉末B2のBET比表面積は、10.0m2/gであった。粉末B2の粉末X線回折測定の結果を図3に示す。粉末B2の結晶構造は、R−3mの空間群に帰属される結晶構造であった。
【0075】
(比較例1)
共沈物スラリーを固液分離してウェットケークを回収するまでの方法は、実施例1と同様の方法で得た。このときの含水率は70重量%であった。
次いで、前記ウェットケークを、大気雰囲気下、室温で72時間保管した後、120℃で8時間乾燥させて乾燥物P3を得た。乾燥物P3の粉末X線回折測定の結果を図2に示す。粉末X線回折図形において、2θが16°以上21°以下の範囲内に複合金属水酸化物に由来するピークAが検出され、また2θが35°以上37°以下の範囲において36°付近にマンガン酸化物に由来するピークBが検出された。ピークBの強度IBと、ピークAの強度IAの比、IB/IAは0.638であった。結果を表1に併せて示す。
前記乾燥物P3を得た後の方法については、実施例1と同様に行い、粉末B3を得た。粉末B3のBET比表面積は、7.7m2/gであり、粉末B3の粉末X線回折測定の結果を図3に示す。粉末B3の結晶構造は、R−3mの空間群に帰属される結晶構造であった。
【0076】
(比較例2)
共沈物スラリーを固液分離してウェットケークを回収するまでの方法は、実施例1と同様の方法で得た。このときの含水率は70重量%であった。
次いで、前記ウェットケークを、大気雰囲気下、室温で168時間保管した後、120℃で8時間乾燥させて乾燥物P4を得た。乾燥物P4の粉末X線回折測定の結果を図2に示す。粉末X線回折図形において、2θが16°以上21°以下の範囲内に複合金属水酸化物に由来するピークAが検出され、また2θが35°以上37°以下の範囲において36°付近にマンガン酸化物に由来するピークBが検出された。ピークBの強度IBと、ピークAの強度IAの比、IB/IAは0.472であった。結果を表1に併せて示す。
前記乾燥物P4を得た後の方法については、実施例1と同様に行い、粉末B4を得た。粉末B4のBET比表面積は、8.1m2/gであり、粉末B4の粉末X線回折測定の結果を図3に示す。粉末B4の結晶構造は、R−3mの空間群に帰属される結晶構造であることがわかった。
【0077】
<非水電解質二次電池の作製>
作製した粉末B1〜B4を正極活物質として使用したコイン型の非水電解質二次電池を作製し、充放電試験を実施した。
正極活物質(粉末B1〜B4)と導電材(アセチレンブラックと黒鉛を9:1(重量比)で混合したもの)の混合物に、バインダーとしてPVdFのN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPということがある。)溶液を、活物質:導電材:バインダー=87:10:3(重量比)の組成となるように加えて混練することによりペーストとし、集電体となる厚さ40μmのAl箔に該ペーストを塗布して150℃で8時間真空乾燥を行い、正極を得た。
得られた正極に、電解液としてエチレンカーボネート(以下、ECということがある。)とジメチルカーボネート(以下、DMCということがある。)とエチルメチルカーボネート(以下、EMCということがある。)の30:35:35(体積比)混合液にLiPF6を1モル/リットルとなるように溶解したもの(以下、LiPF6/EC+DMC+EMCと表すことがある。)、セパレータとして積層フィルムを、また、負極として金属リチウムを組み合わせてコイン型電池(R2032)を作製した。
上記のコイン型電池を用いて、25℃保持下、以下に示す条件で充放電試験を実施した。結果を表1に示す。
【0078】
<充放電試験>
充電最大電圧4.3V、充電時間8時間、充電電流0.275mA/cm2
放電時は放電最小電圧を2.5Vで一定とし、各サイクルにおける放電電流を下記のように変えて放電を行った。なお、各サイクルおける放電による放電容量が高ければ高いほど、高出力を示すことを意味する。
1サイクル目の放電(0.2C):放電電流0.275mA/cm2
2サイクル目の放電(5C):放電電流6.875mA/cm2
3サイクル目の放電(10C):放電電流13.75mA/cm2
【0079】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の製造方法によれば、不純物を含まない安定した複合金属水酸化物を製造することができ、該複合金属水酸化物を原料としたリチウム複合酸化物を安定的に製造することができる。製造されたリチウム複合酸化物を正極活物質に使用した非水電解質二次電池は、高い電流レートにおいて高出力を示すため、高い電流レートにおける高出力を要求される用途、すなわち自動車用や電動工具等のパワーツール用の非水電解質二次電池に極めて有用となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Ni、MnおよびFeを含有する水溶液とアルカリとを接触させて共沈物スラリーを得たのち、該共沈物スラリーを固液分離して、ウェットケークを作製し、該ウェットケークを乾燥することにより、複合金属水酸化物を製造する方法において、
ウェットケークを作製後、ウェットケークを乾燥するまでの保管時間が、48時間以下であることを特徴とする複合金属水酸化物の製造方法。
【請求項2】
ウェットケークの含水率が、60重量%以下である請求項1記載の複合金属水酸化物の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の製造方法によって得られる複合金属水酸化物と、所定量のリチウム化合物とを混合し、焼成することを特徴とするリチウム複合金属酸化物の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の製造方法によって得られることを特徴とするリチウム複合金属酸化物。
【請求項5】
請求項4記載のリチウム複合金属酸化物を主成分とする正極活物質を有する正極を備えてなることを特徴とする非水電解質二次電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−153067(P2011−153067A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288312(P2010−288312)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】