説明

複数のネットワークタイプの互換性を円滑にする無線通信方法および無線通信コンポーネント

【課題】マルチモード無線送受信ユニットが、異なる通信標準を使用する別のタイプのネットワークへ、通信のハンドオーバを行うことを可能にする。
【解決手段】無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)と、異なるタイプの、または異なる標準に準拠するネットワークの相互運用性に関する。特に、複数のタイプのネットワークにおいて動作することができるマルチモード無線送受信ユニット(WTRU)が、新たなプロトコルスタックにおいて実装された機構および情報フローを利用して、サービスに悪影響を及ぼすことなく、1つのネットワークタイプから別のネットワークタイプにハンドオーバを行うことを可能にする方法および装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク化された通信、異なるタイプの、または異なる標準に準拠するネットワークの相互運用性、および、サービスに悪影響を及ぼすことなく、1つのネットワークタイプから別のネットワークタイプへの通信のハンドオーバを円滑にする方法および装置に関する。詳細には、本発明は、ネットワークの1つが、IEEE802系の標準の1つに準拠するローカルエリアネットワークなどの無線ネットワーク(WLAN)、または、3GPP(第3世代パートナシッププロジェクト)もしくは関連する諸標準に準拠するセルラシステムである、複数のタイプのネットワークにおいて動作することができる無線送受信ユニット(WTRU:Wireless Transmit/Receive Unit)に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムは、当技術分野においてよく知られている。一般に、このようなシステムは、互いに無線通信信号を送受信する通信局を備えている。システムのタイプに応じて、通信局は、通常、次の2つの無線デバイスのいずれかである。すなわち、1つのタイプは、基地局(BS:Base Station)であり、他方のタイプは、移動することができる加入者無線送受信ユニット(WTRU)である。
【0003】
本明細書で使用する基地局という用語には、基地局が関連付けられているネットワークへの無線アクセスを他のWTRUに提供する、無線環境における基地局、アクセスポイント(AP:Access Point)、ノードB、サイトコントローラ、または、その他のインタフェーシングデバイスが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0004】
本明細書で使用する無線送受信ユニット(WTRU)という用語には、無線環境において動作することができるユーザ機器、移動局、固定式もしくは移動式の加入者ユニット、ページャ、または、他の任意のタイプのデバイスが含まれるが、これらに限定されるものではない。そのようなWTRUには、電話機、テレビ電話機、およびネットワーク接続を有するインターネット対応電話機などのパーソナル通信デバイスが含まれる。さらに、WTRUには、同様のネットワーク能力を有する無線モデムを備えたPDAやノートブックコンピュータなどの、ポータブルコンピューティングデバイスも含まれる。ポータブルである、もしくは場所を変えることができるWTRUは、モバイルユニットと呼ばれる。
【0005】
通常、各基地局が、適切に構成されたWTRU群、および適切に構成された複数の基地局と同時並行に無線通信を行うことができる基地局のネットワークが、提供される。一部のWTRUは、代替として、互いに直接に、すなわち、基地局を経由してネットワークにおいて中継されることなく、無線通信を行うように構成することもできる。これは、一般に、ピアツーピア無線通信と呼ばれる。WTRUが、他のWTRUと直接的に通信するように構成されている場合、そのWTRU自体が、基地局としても構成され、基地局として機能することが可能である。WTRUは、ネットワーク通信能力およびピアツーピア通信能力の両方を有して、複数のネットワークにおいて使用されるように構成することができる。
【0006】
無線ローカルエリアネットワーク(WLAN:Wireless Local Area Network)と呼ばれる1つのタイプの無線システムは、WLANモデムを備えたWTRUとのピアツーピア通信を行うこともできる、WLANモデムを備えたWTRUと無線通信を行うように構成することができる。現在、WLANモデムは、製造業者によって、多くの従来の通信デバイスおよびコンピューティングデバイスに組み込まれている。例えば、セルラ電話機、携帯情報端末、およびラップトップコンピュータが、1つまたは複数のWLANモデムを備えて製造されている。
【0007】
無線セルラ電話の場合、広く一般に使用されている1つの現行の標準は、GSM(Global System for Mobile Telecommunications)として知られている。この標準は、いわゆる2G(第2世代移動無線システム標準)と考えられ、その後に、この標準の改訂版(2.5G)が続いた。GPRS(General Packet Radio Service)およびEDGE(Enhanced Data for GSM Evolution)が、(2G)GSMネットワークよりも比較的高速なデータサービスを提供する2.5G技術の例である。それらの標準の各々が、さらなる特徴および機能強化により、先行する標準を改良しようと努めてきた。1998年1月に、ETSI SMG(European Telecommunications Standard Institute - Special Mobile Group)が、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)と呼ばれる第3世代無線システム向けの無線アクセス方式について合意した。UMTS標準をさらに具体化するために、3GPPが、1998年12月に形成された。3GPPは、共通の第3世代移動無線標準に取り組み続けている。3GPP標準に加えて、移動性のためにコアネットワークにおいてモバイルIP(Mobile IP)を使用する3GPP2標準が、開発されつつある。
【0008】
通常、アクセスポイント(AP)と呼ばれる1つまたは複数のWLAN基地局を有する一般的なWLAN環境が、IEEE802系の標準に準拠して構築されている。こうしたネットワークへアクセスするには、通常、ユーザ認証手続きを必要とする。IEEE802系の標準において提供されるプロトコル群のフレームワークなどの、そのようなシステム向けのプロトコルが、WLAN技術分野において、現在標準化されつつある。
【0009】
基本サービスセット(BSS:Basic Service Set)は、局(STA:STAtion)とも呼ばれるWTRUを含む、IEEE802.11 WLANの基本的なビルディングブロック(building block)である。基本的に、互いに通信することができるSTAのセットが、BSSを形成することができる。複数のBSSが、分散システム(DS:Distribution System)と呼ばれるアーキテクチャコンポーネントを介して相互に接続されて、拡張サービスセット(ESS:Extended Service Set)が形成される。アクセスポイント(AP)は、DSサービスを提供することによってDSへのアクセスを提供するWTRUであり、一般に、複数のSTAによるDSへの同時並行のアクセスを可能にする。
【0010】
APベースのWLANでは、WTRUは、そのWTRUの近傍に位置する特定のAPと無線通信しなければならない。WTRUは、そのAPにアソシエートされているという言い方がされる。ときとして、WTRUは、そのWTRUがアソシエートされているAPを変更すること(「再アソシエーション」)が必要であるか、または望ましい。例えば、WTRUは、そのWTRUが元々アソシエートされていたAP(オリジナルAP)によってサービス提供される地理的領域外に移動したために、劣悪な信号条件を受けている可能性がある。また、劣悪な信号条件は、オリジナルAPによってサービス提供される基本サービスセット(BSS)において生じている輻輳によって生じる場合もある。
【0011】
WTRUは、アソシエートされたAPを介してインターネットサーバとの通信セッションを確立して、一意のIPアドレスを得ることにより、インターネットを介して通信するようWLANを使用することができる。一般に、このタイプの通信では、WTRUが、インターネットに情報を送信し、かつ、インターネットからWTRUのIPアドレスに送信された情報を受信することを可能にするルーティング情報を確立することが必要とされる。WTRUが新たなAPに再アソシエートする際に、その通信セッションを維持するには、そのセッションを新たなAPに転送して、ルーティング情報を更新する機構が必要となる。
【0012】
WTRUは、2つ以上の異なるタイプのネットワークと通信するように構成することもできる。そのようなデバイスは、マルチモードWTRUと呼ばれる。例えば、WTRUは、802.11(WiFi)ネットワーク、803.16(WiMAX)ネットワーク、およびセルラ電話ネットワークなどの、3つの異なるネットワークと通信するように構成することができる。マルチモードWTRUは、マルチモードWTRUが動作するように構成された各タイプのネットワークにおいて独立して動作するように構成することができる。例えば、2004年12月9日に公開され、本発明の譲受人が所有する特許文献1において、マルチモードWTRUが、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許公開公報第20040248615号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
独立マルチモードの実装において、WTRUは、異なる通信標準の下で1つまたは複数の通信を行うことができるが、同一タイプのネットワークのコンテキスト内で特定の通信のハンドオーバを行うことだけしかできない。さらなる機能性および汎用性をもたらすために、マルチモードWTRUが、1つの通信標準を使用する1つのタイプのネットワークから、異なる通信標準を使用する別のタイプのネットワークへ、通信のハンドオーバを行うことを可能にするハンドオーバ機構を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の通信標準を通じて基地局(オリジナルBS)と通信しているWTRUが、パフォーマンスを損なうことなく、別のBS(ターゲットBS)に対してハンドオーバを行い、第2の通信標準を通じて、ターゲットBSと通信することを可能にする通信方法、通信システム、および通信コンポーネントが提供される。
【0016】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)における従来の無線通信を示すシステムの概略図である。
【図2】1つのアクセスポイント(AP)から、同一タイプのWLANにおける別のAPへの、WTRU無線通信の従来のWLANハンドオーバを示す図である。
【図3】本発明にしたがう、インターネットおよびセルラネットワークコンテキストにおけるWTRU無線通信の、WLANへのハンドオーバを示すシステムの概略図である。
【図4】本発明にしたがう、マルチモードWTRUとWLANネットワークとの相互関係を示す図である。
【図5】インターネットと、セルラネットワークと、管理機能との対話のために構成されたWLANネットワーク局を示す図である。
【図6】本発明にしたがう、セルラネットワークからWLANへのハンドオーバにおける情報フローを示す図である。
【図7】本発明にしたがう、WLANからセルラネットワークへのハンドオーバにおける情報フローを示す図である。
【図8】本発明にしたがう、マルチモードWTRUの別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
添付図面とあわせて理解すべき例示する以下の好ましい実施形態の記載から、本発明をより詳細に理解することができよう。図面において、同様の要素は、同様の符号によって示されている。
【0019】
基地局(BS)および無線送受信ユニット(WTRU)という用語は、前述したように使用される。本発明は、複数のネットワーキング標準を通じて、インターネットアクセスを含む無線ネットワークサービスがWTRUに提供される、それら複数のネットワーキング標準を利用する無線アクセス環境を提供する。本発明は、モバイルマルチモードWTRUが、それぞれの基地局によって提供されるサービスカバレッジのそれぞれの地理的領域をまたがって移動する際に、こうしたWTRUに関連して使用される場合、特に有用である。しかし、本発明の利点は、特定の通信中に静止しているWTRUによって実現することもできる。というのは、その通信のあらゆるタイプのQoS(サービス品質)低下に関して、その通信に対してより良いQoSをもたらすことができるようにWTRUが動作するよう構成された異なるタイプのネットワークへのハンドオーバを通じて、そのQoS(サービス品質)低下に対処することができるからである。WTRUは、通信するために、セルラ標準準拠デバイスおよび/またはIEEE802標準準拠デバイスなどの、組み込み型無線デバイスまたは取り付け済み無線デバイスを有することが望ましいが、接続時にハンドオーバオプションのために使用される、直接配線通信能力も有することができる。
【0020】
本明細書で使用するフレームという用語には、パケット、ブロック、フレーム、またはセルが含まれるが、これらに限定されるものではない。フレームは、1つのデバイスから別のデバイスへ伝送するために特定の形で編成されたデータの集まり(bundle)である。フレームを通常構成する主要な要素は、同期情報、送信元情報、宛先情報、および長さ情報を含むヘッダと、伝送されるデータを含むペイロードと、パケットの終了、誤り検出機構、および誤り訂正機構を含むトレーラとである。
【0021】
本明細書で使用するプロトコルという用語は、デバイスが互いに通信するフレームフォーマットおよびシグナルタイミングに関連する規則および手続きを定義する。プロトコルスタックは、連携して機能するように設計された、関連するプロトコルファミリ(protocol family)またはプロトコルスイート(protocol suite)である。
【0022】
図1を参照すると、WTRUが、ネットワーク局を介して、この場合では、WLANのAPを介して無線通信を行う無線通信環境が示されている。APは、アクセスコントローラ(AC:Access Controller)などの、WLANの他のネットワークインフラストラクチャに接続される。APは、5つのWTRUと通信を行っているものとして示されている。通信は、APを介して調整され、同期される。このような構成は、WLANのコンテキスト内では、基本サービスセット(BSS)とも呼ばれる。
【0023】
図2を参照すると、オリジナルおよびターゲットとして表される2つのAPを有するWLANが示されている。オリジナルAPを介して無線通信を行っているWTRUが示されている。WTRUは、オリジナルAPおよびターゲットAPの両方によってサービス提供される領域内に配置されているので、WTRUが、ターゲットAPに向かって、オリジナルAPの範囲外に移動した場合、または他の理由で、WTRUが、そのWTRUの通信をオリジナルAPからターゲットAPに「ハンドオフする(hand off)」ことが可能である。このタイプのネットワーク内ハンドオフ(intra-network hand off)は、様々なタイプのネットワークシステム向けに開発された諸標準によって従来から提供されている。しかし、異なるタイプのネットワーク間における通信のネットワーク間ハンドオフ(inter-network hand off)は、一般に問題がある。
【0024】
今日の技術間移動性(inter-technology mobility)は、特に、モバイルIPに関する、アプリケーションソフトウェア/レイヤ3ソリューションに基づく。しかし、ハンドオーバは、比較的遅く、データ損失を被りやすい。以下で詳細に説明するように、本発明は、より低位の物理レイヤおよび媒体アクセス制御レイヤ(L1およびL2)に直接的に接続され、かつ、技術間移動性のために高位レイヤをトリガすることなどによってプロセスを速めるように設計された、ネットワーク間通信に専用の新たなトリガ処理レイヤであるレイヤ2.5を提供する。
【0025】
図3を参照すると、複数のネットワークタイプを介して通信することができるマルチモードWTRUが示されている。WTRUが、セルラ基地局(BS)によってサービス提供される領域から、WLANアクセスポイント(AP)によってサービス提供される領域に移動しているのが示されている。BSとの古い接続を終了させ、APとの新たな接続を確立するネットワーク間通信ハンドオフが実行される。
【0026】
ネットワーク側でWTRUの通信を継続する2つの異なるパスが示されている。1つのパスは、3GPPシステムなどのセルラシステムのコアネットワークを介して行われている、音声、またはその他のデータなどの通信を示している。他方のパスは、ボイスオーバIP、または他の任意のデータとすることができる、インターネットを介したデータ通信を示している。このような場合では、WTRUのインターネットセッションは、セルラコントローラにおけるモバイルIPホームエージェント(Home Agent)として維持されることが望ましい。この場合、WTRUを宛先とするIPパケットは、モバイルIPトンネリングを介して、ネットワークアクセスコントローラ(AC)における関連付けられたモバイルIP外部エージェント(Foreign Agent)に転送され、次いで、ACが、APに対して確立された新たな接続を介して、それらのパケットをWTRUに送信する。
【0027】
本発明にしたがうと、ネットワーク間通信ハンドオフ関連サービスは、少なくともWLANプロトコルコンポーネントにおける、レイヤ2.5(L2.5)と呼ばれる新たなプロトコルレイヤの実装を通じて、様々なノードにおいて実施される。好ましくは、アクセスコントローラは、L2.5プロトコルを実装して、ネットワーク側で移動性関連サービスを処理するように構成され、マルチモードWTRUは、L2.5プロトコルを実装して、ユーザ側で移動性関連サービスを処理し、ネットワークACのL2.5と通信するように構成される。任意的に、アクセスポイントは、L2.5プロトコルを実装して、WTRUからアクセスコントローラ(AC)に、低位レイヤ情報を通信するように構成されるか、あるいは、実装が、APとACとの間で分割される。代替として、新たなプロトコルレイヤ(L2.5)に関連して本明細書で説明する機能は、通常のレイヤの外部の管理プレーン(management plane)など、または他の何らかの形態で、様々な方法により実装することもできる。
【0028】
図4を参照すると、マルチモードWTRU、および互換性のあるWLANネットワークコンポーネント(WLAN AP/AC)におけるL2.5プロトコルの好ましい実装に関するハンドオーバアーキテクチャおよびサービスが示されている。WTRUは、「n」個のスタックコンポーネントを介したWLAN通信のための通信プロトコルを実装するトランシーバを有して構成される。各スタックコンポーネントは、論理リンク制御(LLC:Logical Link Control)コンポーネントおよびレイヤ2.5コンポーネントとインターフェースをとるWLAN物理レイヤ(L1)およびWLAN MACレイヤ(L2)の実装を含む。WLANネットワークコンポーネントは、「n」個のスタックコンポーネントを介したWLAN通信のための通信プロトコルを実装するトランシーバを有して構成される。各スタックコンポーネントは、論理リンク制御(LLC)コンポーネントおよびレイヤ2.5コンポーネントとインターフェースをとるWLAN物理レイヤ(L1)およびWLAN MACレイヤ(L2)の実装を含む。ハンドオーバは、独自の別個のMACレイヤおよびPHYレイヤをそれぞれが有する、「n」個の異なるタイプのネットワークのいずれの間でも可能である。
【0029】
レイヤ2.5の実装により、異なるタイプの受信信号に基づいて、無線通信を実施するために利用可能な異なるネットワークを識別し、かつ、WTRU通信のために使用される通信信号のタイプの選択の変更を実施するように構成されたインターネットワーキング判定コンポーネント(internetworking decision component)が提供される。好ましくは、異なるタイプのネットワーク間におけるハンドオーバをサポートする3つのタイプのサービス、すなわち、指示サービス(indication services)と、ネットワーク公示および発見サービス(network advertisement and discovery services)と、移動性サービス(mobility services)とが提供される。
【0030】
指示サービスは、技術依存性を有する従来の物理(PHY)低位レイヤおよび媒体アクセス制御(MAC)低位レイヤ(それぞれ、L1およびL2)と、モバイルIPなどの従来の高位レイヤ(L3)との間の抽象化レイヤ(abstraction layer)の役割をする。L2.5指示サービスは、以下のことを含む諸機能を実装することが望ましい。すなわち、
・L1およびL2からのトリガ(例えば、リンクアップ、リンクダウンなど)に基づいて、ハンドオーバ判定を行うL2.5移動性サービスに対するトリガをセットアップすること
・L3シグナリングインターフェースおよびアプリケーションシグナリングインターフェース上で送信される、セッション開始プロトコル(SIP:Session Initiation Protocol)などのL3(例えば、モバイルIP)、およびより高位のレイヤに対するトリガをセットアップすること、および
・MACインターフェースおよびPHYインターフェース上で送信される、L1およびL2に対するトリガをセットアップすること
である。
高位レイヤに送信されるトリガは、単に無線媒体条件についての指示とすることもできるし、特定の命令(例えば、リンク1からリンク2への切り替え)を与えるなどのよりインテリジェントな(intelligent)指示を高位レイヤに与えることもできる。このことは、ネットワーク発見サービスおよび移動性サービスが、独自にハンドオーバ判定を行い、その変更について、より高位のレイヤに通知することができることを前提とする。
【0031】
ネットワーク公示および発見サービスは、ネットワークの発見および選択を管理することを含むことが望ましい。ネットワークの近傍リストが、各ネットワークの諸能力(例えば、QoS、リンク条件)とともに保持されることが望ましい。この情報は、マルチモードWTRUによって、L2.5シグナリングを介してWLANに送信されることも可能であるし、または、運用、管理および保守(OA&M)機能を介して共有されることも可能である。ネットワーク発見サービスは、好ましくは、移動性サービスと対話して(interact with)、必要な情報を移動性サービスに伝達し、適切なハンドオフ判定を行うことができるようにする。
【0032】
移動性サービスは、802間移動性(inter-802 mobility)サービス、セルラ−WLAN移動性サービス、またはこれらの移動性サービスの両方を含むことが望ましい。しかし、特定のマルチモードWTRUが通信するように構成されたWLANおよび他の任意のタイプの有線ネットワークもしくは無線ネットワークへのハンドオーバ、またはそれらネットワークからのハンドオーバを円滑にするように、任意のタイプのネットワーク−WLAN移動性サービスを提供することができる。802間L2.5移動性サービスは、異なる通信標準を使用して、802.xxネットワークから802.yyネットワークへのWTRUハンドオーバを管理することを含むことが望ましい。ここで、802.xxおよび802.yyは、IEEE802系の標準群における異なる標準である。
【0033】
L2.5内の移動性サービスは、管理インターフェースを介して通信するように実施されることが望ましい。管理インターフェースは、アクセスポイント間プロトコル(IAPP:Inter Access Point Protocol)、制御およびプロビジョニング無線アクセスポイント(CAPWAP:Control And Provisioning Wireless Access Point)、または他の類似のプロトコルを使用するように構成されることが望ましい。移動性サービスは、特定の移動性サービスコンポーネントが役割を果たすように構成されたネットワークのタイプに関連するネットワーク間ハンドオーバのためのセキュリティコンテキスト転送機能(security context transfer function)、事前認証機能、およびその他の検証機能を担うことが望ましい。特に、IAPPおよびCAPWAPは、IEEE802.11ネットワーク内の移動性のために使用される。このようにして、L2.5移動性は、技術間(例えば、WLAN−セルラ間)に限定されず、同一の技術においても、技術間においても可能なIPサブネット移動性(IP subnet mobility)にも適用することができる。
【0034】
移動性サービスは、1つのタイプのネットワークから別のタイプのネットワークへの通信に関するハンドオーバ判定を行うように構成される。好ましくは、移動性サービスコンポーネントは、所望のQoSレベル、および/または、例えば、リンク条件変化および予期されるリンクの終了、ユーザ選好(user preference)、またはその他の諸要因を含む通信リンク条件に、そのような判定を基づかせるように構成される。例えば、通信が、2つのネットワークのいずれかを介して、所望のQoSをもって継続されることが可能である場合、ハンドオーバを行う判定は、サービスのコスト、相対的なネットワーク輻輳、または他の任意の所望のパラメータなどの諸要因に基づいて行うことができる。好ましくは、移動性サービスは、技術にとらわれない(technology agnostic)、すなわち、移動性サービスは、特定のネットワークを介した通信のためにL1およびL2を実装するように構成されたコンポーネントによって対処される、そのようなネットワークの物理的要件とは無関係であるように構成される。
【0035】
セルラ−WLAN移動性サービスは、セルラ−WLANハンドオーバを管理することを含むことが望ましい。セルラとWLANとの間の接続タイプに応じて、セルラ−WLAN移動性サービスは、セルラネットワークから802.xx技術の詳細を遮断する(shield)ことが望ましい。このような移動性サービスは、接続性および機能性において、従来のIubインターフェースまたはIurインターフェースと同一であるか、または同様であるインターフェースを有して構成されることが望ましい。セルラ近傍リストは、このような移動性サービスにおいて実装されるOA&M機能を介して共有されることが可能である。好ましくは、セキュリティ管理および移動性管理は、無線LANアクセスゲートウェイにおいて実装される。
【0036】
図5を参照すると、WLANネットワーク局に関する例示的な構成が示されている。ネットワーク局は、IAPP、CAPWAP、またはその他の類似のプロトコルなどのアクセス間プロトコル(inter-access protocol)を介して、他のAPおよびACと通信するように構成されることが望ましい。局は、他のWLAN APおよびWLAN ACと通信するためのIAPP+(拡張機能付きIAPP(IAPP with extensions))インターフェースおよびCAPWAP+(拡張機能付きCAPWAP(CAPWAP with extensions))インターフェースを備えて示されている。このような構成では、近傍リストは、様々な方法により得ることができる。例えば、IAPP+は、近傍リストをL2.5に送信することができ、L2.5がそのリストを局に送信する。代替として、WTRUが、近傍リストをL2.5にレポートすることもでき、L2.5が、IAPP+を介して、そのリストを他のノードに送信する。OA&Mエージェントが、近傍リストを格納するように設けられることが望ましい。このような構成により、L2.5は、ハンドオーバ判定を行い、次いで、IAPP+、CAPWAP+、または任意の類似のプロトコルを介して、そのハンドオーバ判定を実行することができる。
【0037】
図6は、本発明の教示にしたがって行われる、マルチモードWTRUに関するセルラからWLANへのハンドオーバを示している。WTRUは、セルラスタックコンポーネントを介したセルラネットワーク通信、および、802.xxスタックコンポーネントを介したWLAN通信の両方に関する通信プロトコルを実装するトランシーバを有して構成される。セルラスタックコンポーネントは、セルラ物理レイヤ(L1)に関するプロトコル、セルラMACレイヤ(L2)に関するプロトコル、セルラ無線リンク制御(RLC)レイヤに関するプロトコル、およびセルラ無線リソース制御(RRC)に関するプロトコルの実装を含む。802.xxスタックコンポーネントは、前述したL2.5、WLAN物理レイヤ(L1)、WLAN MACレイヤ(L2)、およびWLAN論理リンク制御(LLC)の実装を含む。セルラスタックのRRCコンポーネント、および、802.xxスタックのL2.5コンポーネントと接続するインターフェースコンポーネントbが、それぞれのプロトコルスタック間におけるL2.5シグナリングを提供し、このシグナリングは、それぞれのMACレイヤフォーマッティングおよび物理レイヤフォーマッティングを経由し、WTRUと、それぞれのネットワークとの間の無線シグナリングを介して、それぞれのネットワークに伝送される。RRCは、通常のセルラプロトコルアーキテクチャ機能である、3GPP規格の無線リソース制御機能である。また、GSM RRを含むが、これには限定されないその他の均等の機能群を使用することもできる。
【0038】
初期状態は、マルチモードWTRUとセルラネットワークとの間の、セルラスタックコンポーネントを介したアクティブな通信接続である。その状態では、1および2というラベルが付けられたパスは、レイヤ2.5トリガが、セルラネットワーク内に存在するセルラ−802ハンドオーバポリシ機能(Handover Policy Function)コンポーネントに至ることができる2つの択一的なルートを示している。パス1シグナリングでは、802.xxスタックコンポーネントを介して、WLANに対する接続が行われる。WTRUが、レイヤ2.5トリガ情報(例えば、測定値)をWLANネットワークに送信し、WLANネットワークにおいて、その情報が、その2つのネットワーク間におけるIP機構、または他の何らかの一般的な伝送機構を介して、セルラネットワーク/ハンドオーバポリシ機能に伝搬される。レイヤ2.5トリガ情報を受信すると、セルラネットワーク/ハンドオーバポリシ機能は、ハンドオーバ判定プロセスの一環としてその情報を利用し、その後、ハンドオーバを実行させて、(×により示される)アクティブな通信接続の切断をもたらすことができ、次いで、通信は、WTRU/WLAN接続(図示せず)を介して継続される。
【0039】
パス1シグナリングは、同時無線モード動作(Simultaneous Radio Mode operation)において実施することができ、この動作では、レイヤ2.5機能が、レイヤ2.5トリガ情報をWLANネットワークに自律的に送信する。非同時無線モード動作(Non-Simultaneous Radio Mode operation)の場合、セルラスタックは、トリガ情報がパス1を介してセルラネットワークに送信されるよう、802.xxスタックのレイヤ2.5に定期的に指示する(prompt)ように構成されることが望ましい。このような場合では、定期的な指示は、RRCコンポーネントとL2.5コンポーネントとの間で、インターフェースbを介して送信される。
【0040】
パス2シグナリングは、同時無線モード動作において実施することができ、この動作では、レイヤ2.5機能が、それぞれのスタックのRRCコンポーネントとレイヤ2.5コンポーネントとの間で、インターフェースb上のアプリケーションプログラミングインターフェース(API:Application Programming Interface)を介して、レイヤ2.5トリガ情報をセルラ側のスタックに自律的に送信する。このAPIは、レイヤ2.5がセルラネットワークサービスとのコンタクト(contact)を開始するのに使用するソフトウェア割り込み、呼び出し、およびデータフォーマットの標準セットである。次いで、レイヤ2.5情報は、RRCシグナリングプロトコルを介して、セルラネットワークに伝搬される。非同時無線モード動作では、セルラスタックは、レイヤ2.5トリガ情報がパス2を介してセルラネットワークに送信されるよう、定期的に指示することができる。このことが、図6に示され、定期的な指示が、RRCとレイヤ2.5との間で、インターフェースbを介して送信される。
【0041】
レイヤ2.5情報は、パス2を介して様々な方法により伝搬することができる。例えば、レイヤ2.5情報は、RRCシグナリングメッセージ内に完全にカプセル化して伝搬することができる。代替として、レイヤ2.5情報は、RRCシグナリングメッセージ内に部分的にカプセル化して伝搬されてもよい。任意的に、レイヤ2.5情報は、新たなRRCメッセージに、または古いRRCメッセージにインターワーク(interwork)されてもよい。パス1シグナリングの場合と同様に、パス2シグナリングを介してセルラネットワーク/ハンドオーバポリシ機能にてレイヤ2.5トリガ情報が受信されると、システムは、ハンドオーバ判定プロセスの一環としてその情報を利用し、その後、ハンドオーバを実行させることができる。
【0042】
図7は、図6のマルチモードWTRUが、初期にはWLANとのアクティブな通信を有しており、その後、セルラネットワークにハンドオーバされる場合を示している。この場合では、通信は、WLANの802ハンドオーバポリシ機能によって制御される。3および4というラベルが付けられたパスは、レイヤ2.5トリガが、WLAN内に存在する802ハンドオーバポリシ機能コンポーネントに至ることができる2つの択一的なルートを示している。パス3を介したL2.5シグナリングでは、802.xxスタックのL2.5コンポーネントが、アクティブなリンクを介してWLAN802ハンドオーバポリシ機能と通信する。パス4シグナリングでは、セルラスタックコンポーネントを介して、セルラネットワークに対する接続が行われる。WTRUは、レイヤ2.5トリガ情報をセルラネットワークに送信し、セルラネットワークにおいて、その情報が、その2つのネットワーク間におけるIP機構、または他の何らかの一般的な伝送機構を介して、WLAN、およびWLANの802ハンドオーバポリシ機能に伝搬される。レイヤ2.5トリガ情報を受信すると、802ハンドオーバポリシ機能は、ハンドオーバ判定プロセスの一環としてその情報を利用し、その後、ハンドオーバを実行させて、(×により示される)アクティブな通信接続の切断をもたらすことができ、次いで、通信は、セルラ/WTRU接続(図示せず)を介して継続される。
【0043】
同時無線モード動作では、RRCコンポーネントは、インターフェースbを介して、バックグラウンドRRCハンドオーバ関連情報(background RRC handover related information)を802.xxスタックL2.5コンポーネントに自律的に送信するように構成することができる。このL2.5コンポーネントは、パス3を介して、その情報をWLANに中継し、WLANにおいて、セルラ/WTRUハンドオーバ接続を確立する際に使用されるように、その情報をセルラネットワークに伝搬することができる。代替として、RRCコンポーネントは、パス4を介して、通信が現在、ハンドオーバのために802.xxWLANのレイヤ2.5によって処理されているという指示とともに、バックグラウンドRRCハンドオーバ関連情報をセルラネットワークに自律的に送信するように構成することもできる。
【0044】
WTRUにおいて判定されたハンドオーバ判定またはハンドオーバ条件が生じた場合、WTRU802.xxスタックL2.5コンポーネントは、その生じたイベントを802ハンドオーバポリシ機能にシグナリングすることが望ましい。次いで、802ハンドオーバポリシ機能は、セルラネットワークへのハンドオーバを実行させることに関する最終判定を行うことが望ましい。その判定が開始することであった場合、WLANレイヤ2.5が、信号をセルラネットワークに送信する。セルラネットワークへのハンドオーバの後、後続のハンドオーバアクションが、図6と関連させて説明したように、セルラ−802ハンドオーバポリシ機能によって決定されることが望ましい。
【0045】
図8は、次の4つの異なる無線ネットワーク通信環境、すなわち、GSM、3GPP、IEEE802.11、およびIEEE802.16において動作するように構成されたWTRUの例を示している。図8のWTRUは、これら4つのネットワークの各々において無線シグナリングを実施するように構成されたトランシーバ50を含む。トランシーバ50は、GSMスタックコンポーネントを含む。このGSMスタックコンポーネントは、GSM物理レイヤ(L1)に関するプロトコル、GSM MACレイヤ(L2)に関するプロトコル、GSMセルラ無線リンク制御(RLC)レイヤに関するプロトコル、およびGSM RRに関するプロトコルを実装するように構成されている。トランシーバ50は、3GPPスタックコンポーネントも含む。この3GPPスタックコンポーネントは、3GPP物理レイヤ(L1)に関するプロトコル、3GPP MACレイヤ(L2)に関するプロトコル、3GPPセルラ無線リンク制御(RLC)レイヤに関するプロトコル、および3GPP RRCに関するプロトコルを実装するように構成されている。トランシーバ50は、WLAN802.11スタックコンポーネントも含む。このWLAN802.11スタックコンポーネントは、WLAN802.11物理レイヤ(L1)に関するプロトコル、WLAN802.11 MACレイヤ(L2)に関するプロトコル、およびWLAN802.11 LLCに関するプロトコルを実装するように構成されている。トランシーバ50は、WLAN802.16スタックコンポーネントも含む。このWLAN802.16スタックコンポーネントは、WLAN802.16物理レイヤ(L1)に関するプロトコル、WLAN802.16 MACレイヤ(L2)に関するプロトコル、およびWLAN802.16 LLCに関するプロトコルを実装するように構成されている。これら4つのコンポーネント間のL2.5シグナリングを円滑にするように構成されたインターフェースコンポーネントb’が設けられている。L2.5コンポーネントは、WLANコンポーネントスタックのうちの1つに組み込まれるのではなく、インターフェースb’の内部に実装される。アクティブな通信プロトコルスタックに関して生成されたトリガの変換(translation)は、L2.5コンポーネント内で行われる。その結果、トリガは、アクティブな通信のハンドオーバの候補となる異なるネットワークによって理解されることが可能であり、それによって、WTRUが通信することができる任意のネットワークから、他の任意のネットワークへのハンドオーバが可能になる。
【0046】
図8は、アクティブなWLAN802.11通信のハンドオーバが、GSMセルラネットワークに対して行われる場合のシグナリングの例を示している。この場合では、通信は、802.11WLANの802ハンドオーバポリシ機能によって制御される。5および6というラベルが付けられたパスは、レイヤ2.5トリガが、802.11WLAN内に存在する802ハンドオーバポリシ機能コンポーネントに至ることができる2つの択一的なルートを示している。パス5を介したL2.5シグナリングでは、L2.5コンポーネントが、802.11スタックコンポーネントを経由し、アクティブなリンクを介してWLAN802ハンドオーバポリシ機能と通信する。パス6シグナリングでは、GSMセルラスタックコンポーネントを介して、GSMセルラネットワークに対する接続が行われる。WTRU50は、レイヤ2.5トリガ情報をセルラネットワークに送信し、セルラネットワークにおいて、その情報が、その2つのネットワーク間におけるIP機構、または他の何らかの一般的な伝送機構を介して、802.11WLAN、および802.11WLANの802ハンドオーバポリシ機能に伝搬される。レイヤ2.5トリガ情報を受信すると、802ハンドオーバポリシ機能は、ハンドオーバ判定プロセスの一環としてその情報を利用し、その後、ハンドオーバを実行させて、(×により示される)アクティブな802.11WLAN通信接続の切断をもたらすことができ、次いで、通信は、GSMセルラ/WTRU接続(図示せず)を介して継続される。
【0047】
ファントム(phantom)により示されるように、図8のWTRUには、有線信号処理コンポーネントWも含めることができる。有線信号処理コンポーネントWは、有線接続を介してWTRUによって受信されたネットワーク通信信号を処理し、かつ、その有線接続を介して通信するためのネットワーク信号を選択的に構成するために、別のタイプのネットワークのプロトコル群を実装するように構成されることが望ましい。このような場合では、インターフェースコンポーネントb’は、有線通信と無線通信との間における通信のハンドオフを可能にするために、有線信号処理コンポーネントおよび無線スタックコンポーネントへのL2.5シグナリングを円滑にするように構成される。WTRUが有線信号処理ユニットを有する場合、本発明は、WTRUが単一の無線動作モードしか有さないとしても、適用可能である。
【0048】
本発明の特徴および要素を、特定の組合せにおける好ましい実施形態において説明したが、各特徴または各要素は、(好ましい実施形態の他の特徴および要素を伴わずに、)単独で使用することもできるし、本発明の他の特徴および要素の有無にかかわらず、様々な組合せで使用することもできる。
【0049】
図6〜図8のL2.5コンポーネントは、インターフェースコンポーネント、およびそれぞれのネットワーク通信プロトコルスタックを実装する1つまたは複数のコンポーネントとともに、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)などの、単一の集積回路上に実装されることが望ましい。しかし、それらのコンポーネントは、複数の別々の集積回路上に容易に実装することもできる。
【0050】
上記の記載では、限定的なものとしてではなく、単に例として、特定のWTRU構成およびネットワーク構成を説明している。当業者であれば、本発明にしたがう他の変形形態および変更形態が可能であることも理解されよう。
【0051】
(諸実施形態)
1.複数のタイプの無線ネットワークにおいて使用されるように構成された、トランシーバを備えた無線送受信ユニット(WTRU)。
【0052】
2.セルラ無線通信システムにおいて使用されるように構成された、実施形態1のWTRU。
【0053】
3.GSMシステムにおいて使用されるように構成された、上記のいずれかの実施形態のWTRU。
【0054】
4.3GPPシステムにおいて使用されるように構成された、上記のいずれかの実施形態のWTRU。
【0055】
5.IEEE802系の標準に準拠して動作する無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)において使用されるように構成された、上記のいずれかの実施形態のWTRU。
【0056】
6.IEEE802.11システムにおいて使用されるように構成された、上記のいずれかの実施形態のWTRU。
【0057】
7.IEEE802.16システムにおいて使用されるように構成された、上記のいずれかの実施形態のWTRU。
【0058】
8.IEEE802.21システムにおいて使用されるように構成された、上記のいずれかの実施形態のWTRU。
【0059】
9.複数のタイプの選択的に構成された通信信号を送受信するように構成されたトランシーバを備えた、上記のいずれかの実施形態のWTRUであって、そのWTRUが使用されるように構成されたネットワーク群のうちの1つのタイプのネットワークにおける通信のために使用される予め定められた信号構成にしたがって各タイプの信号が構成された、上記のいずれかの実施形態のWTRU。
【0060】
10.上記WTRUが使用されるように構成されたネットワーク群のうちの少なくとも1つのタイプのネットワークが無線ネットワークである、実施形態9のWTRU。
【0061】
11.上記WTRUが使用されるように構成されたネットワーク群のうちの少なくとも1つのタイプのネットワークが有線ネットワークである、実施形態9または10の実施形態のWTRU。
【0062】
10.複数の信号処理コンポーネントを備えた、上記のいずれかの実施形態のWTRUであって、各信号処理コンポーネントは、上記トランシーバによって受信されるそれぞれのタイプのネットワークの通信信号を処理し、かつ、上記トランシーバによる送信のために、それぞれのタイプのネットワークの信号を選択的に構成する、異なるタイプのネットワークのプロトコル群を実装するように構成された、上記のいずれかの実施形態のWTRU。
【0063】
11.インターネットワーキング判定コンポーネントを備えた、上記のいずれかの実施形態のWTRUであって、上記インターネットワーキング判定コンポーネントは、異なるタイプの受信信号に基づいて、無線通信を実施するために利用可能な異なるネットワークを識別し、かつ、WTRU通信のために使用される通信信号のタイプの選択の変更を実施するように構成された、上記のいずれかの実施形態のWTRU。
【0064】
12.インターフェースコンポーネントを備えた、上記のいずれかの実施形態のWTRUであって、上記インターフェースコンポーネントは、WTRU通信が、1つのタイプのネットワーク信号を使用する通信から、異なるタイプのネットワーク信号を使用する通信に切り替わる間も継続されることが可能であるよう、上記信号処理コンポーネント間の上記インターネットワーキング判定コンポーネントによるシグナリングを通信するように構成された、上記のいずれかの実施形態のWTRU。
【0065】
13.セルラネットワークおよび無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の両方において使用されるように構成された、上記のいずれかの実施形態のWTRUであって、複数の信号処理コンポーネントが、セルラ物理レイヤ、セルラ媒体アクセス制御(MAC)レイヤ、セルラ無線リンク制御(RLC)レイヤ、およびセルラ無線リソース制御(RRC)レイヤにおいて、セルラ信号を処理する、上記のいずれかの実施形態のWTRU。
【0066】
14.無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)物理レイヤ、WLAN MACレイヤ、およびWLAN論理リンク制御(LLC)レイヤにおいて、WLAN信号を処理するWLAN信号処理コンポーネントをさらに備えた、実施形態13のWTRU。
【0067】
15.上記セルラ信号処理コンポーネントのセルラRRCレイヤ処理と、上記WLAN信号処理コンポーネントのWLAN MACレイヤ処理との間でインターフェースをとるように構成されたインターネットワーキング判定コンポーネントをさらに備えた、実施形態13または14の実施形態のWTRU。
【0068】
16.インターネットワーキング判定コンポーネントが、ネットワーク間ハンドオーバのための指示サービス、ネットワーク公示および発見サービス、および移動性サービスを提供する、上記WLAN信号処理コンポーネント内のさらなるレイヤ(レイヤ2.5)として構成され、上記インターフェースコンポーネントが、上記WLAN2.5レイヤと上記RRCレイヤとの間におけるシグナリングのために構成された、上記のいずれかの実施形態のWTRU。
【0069】
17.レイヤ2.5インターネットワーキング判定コンポーネントが、物理レイヤおよびMACレイヤからのトリガに基づいてハンドオーバ判定を行うために、上記のレイヤ2.5移動性サービスに対するトリガをセットアップする指示サービスを実施するように構成された、上記のいずれかの実施形態のWTRU。
【0070】
18.レイヤ2.5インターワーキング判定コンポーネントが、高位レイヤのシグナリングインターフェース上で送信される、高位プロトコルレイヤに対するトリガをセットアップするように構成された、実施形態17のWTRU。
【0071】
19.レイヤ2.5インターワーキング判定コンポーネントが、物理レイヤインターフェースおよびMACレイヤインターフェース上で送信される、物理レイヤおよびMACレイヤに対するトリガをセットアップするように構成された、実施形態17または18の実施形態のWTRU。
【0072】
20.レイヤ2.5インターワーキング判定コンポーネントが、ネットワークの近傍リストを保持することにより、ネットワークの発見および選択を管理するネットワーク公示および発見サービスを実施するように構成された、実施形態17〜19のいずれかの実施形態のWTRU。
【0073】
21.上記近傍リストが、各ネットワークの能力を含み、上記のサービスが、上記移動性サービスと対話して、上記移動性サービスが適切なハンドオフ判定を行うことができるようにする情報を、上記移動性サービスに伝達するように構成された、実施形態20のWTRU。
【0074】
22.レイヤ2.5インターワーキング判定コンポーネントが、上記WTRUが通信するように構成されたネットワークのタイプに関連するネットワーク間ハンドオーバのためのセキュリティコンテキスト転送機能および事前認証機能のために移動性サービスを実施するように構成された、実施形態17〜21のいずれかの実施形態のWTRU。
【0075】
23.レイヤ2.5インターワーキング判定コンポーネントが、所望のサービス品質(QoS)レベルに基づいて、1つのタイプのネットワークから別のタイプのネットワークへの、通信に関するハンドオーバ判定を行うように構成された、実施形態17〜22のいずれかの実施形態のWTRU。
【0076】
24.レイヤ2.5インターワーキング判定コンポーネントが、通信リンク条件に基づいて、1つのタイプのネットワークから別のタイプのネットワークへの、通信に関するハンドオーバ判定を行うように構成された、実施形態17〜23のいずれかの実施形態のWTRU。
【0077】
25.レイヤ2.5インターワーキング判定コンポーネントが、ユーザ選好に基づいて、1つのタイプのネットワークから別のタイプのネットワークへの、通信に関するハンドオーバ判定を行うように構成された、実施形態17〜24のいずれかの実施形態のWTRU。
【0078】
26.上記移動性サービスが、物理レイヤコンポーネントおよびMACレイヤコンポーネントによって対処されるネットワークの物理的要件とは無関係に構成されるように、1つのタイプのネットワークから別のタイプのネットワークへの、通信に関するハンドオーバ判定を行うように構成された、実施形態17〜25のいずれかの実施形態のWTRU。
【0079】
27.インターネットワーキング判定コンポーネントが、ネットワーク間ハンドオーバのための指示サービス、ネットワーク公示および発見サービス、および移動性サービスを提供する、インターフェースコンポーネント内のさらなるレイヤ(レイヤ2.5)として構成された、上記のいずれかの実施形態のWTRU。
【0080】
28.上記WLAN2.5レイヤと複数の信号処理コンポーネントとの間におけるシグナリングのためにインターフェースコンポーネントが構成された、上記のいずれかの実施形態のWTRU。
【0081】
29.セルラネットワークおよび無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の両方において使用されるように構成され、複数の信号処理コンポーネントを備えた、上記のいずれかの実施形態のWTRUであって、上記複数の信号処理コンポーネントは、GSMセルラ物理レイヤ、GSMセルラ媒体アクセス制御(MAC)レイヤ、GSMセルラ無線リンク制御(RLC)レイヤ、およびGSMセルラ無線リソース制御(RRC)レイヤにおいて、GSMセルラ信号を処理するGSMセルラ信号処理コンポーネントを含む、上記のいずれかの実施形態のWTRU。
【0082】
30.セルラネットワークおよび無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の両方において使用されるように構成され、複数の信号処理コンポーネントを備えた、上記のいずれかの実施形態のWTRUであって、上記複数の信号処理コンポーネントは、3GPPセルラ物理レイヤ、3GPPセルラ媒体アクセス制御(MAC)レイヤ、3GPPセルラ無線リンク制御(RLC)レイヤ、および3GPPセルラ無線リソース制御(RRC)レイヤにおいて、3GPPセルラ信号を処理する3GPPセルラ信号処理コンポーネントを含む、上記のいずれかの実施形態のWTRU。
【0083】
31.セルラネットワークおよび無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の両方において使用されるように構成され、複数の信号処理コンポーネントを備えた、上記のいずれかの実施形態のWTRUであって、上記複数の信号処理コンポーネントは、802.11WLAN物理レイヤ、802.11WLAN媒体アクセス制御(MAC)レイヤ、および802.11WLAN論理リンク制御(LLC)レイヤにおいて、802.11WLAN信号を処理する802.11WLAN信号処理コンポーネントを含む、上記のいずれかの実施形態のWTRU。
【0084】
32.セルラネットワークおよび無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の両方において使用されるように構成され、複数の信号処理コンポーネントを備えた、上記のいずれかの実施形態のWTRUであって、上記複数の信号処理コンポーネントは、802.16WLAN物理レイヤ、802.16WLAN媒体アクセス制御(MAC)レイヤ、および802.16WLAN論理リンク制御(LLC)レイヤにおいて、802.16WLAN信号を処理する802.16WLAN信号処理コンポーネントを含む、上記のいずれかの実施形態のWTRU。
【0085】
33.セルラネットワークおよび無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の両方において使用されるように構成された、上記のいずれかの実施形態のWTRUであって、上記インターネットワーキング判定コンポーネントが、上記セルラ信号処理コンポーネントと上記WLAN信号処理コンポーネントとの間でインターフェースをとるように構成された、上記のいずれかの実施形態のWTRU。
【0086】
34.信号処理コンポーネントが、有線接続を介して上記WTRUによって受信されたネットワーク通信信号を処理するように構成された、上記のいずれかの実施形態のWTRU。
【0087】
32.無線ネットワークおよび有線ネットワークの両方において使用されるように構成され、複数の信号処理コンポーネントを備えた、上記のいずれかの実施形態のWTRUであって、上記複数の信号処理コンポーネントは、物理レイヤ、媒体アクセス制御(MAC)レイヤ、および論理リンク制御(LLC)レイヤにおいて、有線信号を処理する有線信号処理コンポーネントを含む、上記のいずれかの実施形態のWTRU。
【0088】
33.無線ネットワークおよび有線ネットワークの両方において使用されるように構成された、上記のいずれかの実施形態のWTRUであって、上記インターネットワーキング判定コンポーネントが、上記無線信号処理コンポーネントと上記有線信号処理コンポーネントとの間でインターフェースをとるように構成された、上記のいずれかの実施形態のWTRU。
【0089】
本発明の特徴および要素を、特定の組合せにおける好ましい実施形態において説明したが、各特徴または各要素は、(好ましい実施形態の他の特徴および要素を伴わずに、)単独で使用することもできるし、本発明の他の特徴および要素の有無にかかわらず、様々な組合せで使用することもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線送受信ユニット(WTRU)であって、
第1のネットワークタイプの第1のネットワークと通信するように構成される第1の物理(PHY)レイヤコンポーネントであって、前記第1のネットワークタイプはIEEE802無線ネットワークタイプである、第1のPHYレイヤコンポーネントと、
第2のネットワークタイプの第2のネットワークと通信するように構成される第2のPHYレイヤコンポーネントであって、前記第2のネットワークタイプは前記第1のネットワークタイプではない、第2のPHYレイヤコンポーネントと、
前記第1のPHYレイヤコンポーネントと通信するように構成される第1の媒体アクセス制御(MAC)レイヤコンポーネントと、
前記第2のPHYレイヤコンポーネントと通信するように構成される第2のMACレイヤコンポーネントと、
前記第1のPHYレイヤコンポーネントと、前記第2のPHYレイヤコンポーネントと、前記第1のMACレイヤコンポーネントと、前記第2のMACレイヤコンポーネントと、上位レイヤと、通信するように構成されるインターワーキングコンポーネントとを備え、
前記インターワーキングコンポーネントは、
リンクの動作を管理および制御するための第1のサービスを提供するように構成され、前記第1のサービスを提供することは、前記第1のMACレイヤコンポーネント、前記第1のPHYレイヤコンポーネント、前記第2のMACレイヤコンポーネント、または、前記第2のPHYレイヤコンポーネントからのトリガをセットアップすることを含み、
前記第1のPHYレイヤコンポーネント、前記第1のMACレイヤコンポーネント、前記第2のMACレイヤコンポーネント、前記第2のPHYレイヤコンポーネント、または、前記上位レイヤコンポーネントから受信されるリンクイベントを処理するための第2のサービスを提供するように構成され、かつ、
前記第1のPHYレイヤコンポーネント、前記第1のMACレイヤコンポーネント、前記第2のMACレイヤコンポーネント、前記第2のPHYレイヤコンポーネント、または、前記上位レイヤコンポーネントから受信されるネットワーク情報を処理するための第3のサービスを提供するように構成されることを特徴とするWTRU。
【請求項2】
前記第2のサービスを提供することは、
前記第1のMACレイヤコンポーネント、前記第2のMACレイヤコンポーネント、または、前記上位レイヤコンポーネントからハンドオーバのトリガを受信することと、
前記第1のMACレイヤコンポーネント、前記第2のMACレイヤコンポーネント、または、前記上位レイヤコンポーネントにハンドオーバのトリガを送信することとを含むことを特徴とする請求項1に記載のWTRU。
【請求項3】
前記ハンドオーバのトリガは、リンクダウンのトリガであることを特徴とする請求項2に記載のWTRU。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−85303(P2012−85303A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226833(P2011−226833)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【分割の表示】特願2007−531398(P2007−531398)の分割
【原出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(596008622)インターデイジタル テクノロジー コーポレーション (871)
【Fターム(参考)】