説明

複数の光開始剤を含む感光性樹脂組成物、これを用いた透明薄膜層及び液晶表示装置

【課題】感度が増加しながらも露光照度による厚さ変化が容易になり、スリットや半透過型マスクを使用するとき、容易に厚さ調節を行うことができる感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】活性化波長の異なる複数の光開始剤を含む感光性樹脂組成物、感光性樹脂組成物を用いて製造された液晶表示装置用透明薄膜層及び液晶表示装置用透明薄膜層を用いて製造された液晶表示装置に関し、前記光開始剤の活性化波長の差が20nm以上である二種類以上の光開始剤を含む感光性樹脂組成物を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性化波長の異なる二種以上の光開始剤を混合して使用することによって、感度に優れながらも露光照度による厚さ変化が容易になる感光性樹脂組成物、これを用いて製造された透明薄膜層及び前記透明薄膜層を含む液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子に使用される液晶セルは、駆動のための薄膜トランジスタ基板と、色相を具現するカラーフィルタと、二つの基板の間に挟まれた液晶とを含んで構成されている。前記カラーフィルタは、顔料が分散された感光性有機物質を用いて光エッチング法によってパターンを形成した後、カラー映像を具現するために三種類以上の透過―吸収波長を有するカラーインクを用いて画素を形成する基板である。カラーフィルタ基板には、画素の他にも、場合に応じて、画素間の段差を減少させるためにオーバーコートが形成されたり、液晶セル内部の間隔を一定に維持するためにカラムスペーサがパターニングされる。
【0003】
一般的に、オーバーコートを形成したり、カラムスペーサをパターニングする場合、光エッチング法が適用可能な感光性樹脂組成物、そのうち、ネガティブ型組成物を使用する。ネガティブ型組成物は、アルカリに対して容易に溶解される高分子、アクリレートを二つ以上含む多官能モノマー、及び光開始剤を基本にした溶媒、界面活性剤、接着助剤などの混合物である。ネガティブ型感光性樹脂組成物が光、特に紫外線に露出されれば、光開始剤の分解によって活性化ラジカルが発生し、活性化ラジカルが再び多官能モノマーに含まれたアクリレートを活性化させることによって光重合反応が行われる。光重合反応によって仮橋が進行された部分、すなわち、光に露出された部分は、分子量の増加によるアルカリに対する溶解性の減少によって現像工程後に残存するようになる。その結果、光エッチング法を用いた微細パターンの製作が可能になる。このとき、感光性組成物の感度とは、パターンが安定的に形成される最小の露光量(光エネルギー)を意味し、感度が低いほど、工程時間が短縮され、生産性の向上が促進される。特に、液晶セルのギャップを維持するカラムスペーサの場合、露光量によるパターンの厚さ変化が大いに減少する地点を基準にして判断する。
【0004】
通常、感度の向上のために、低い光エネルギーでも現像性が大いに低下しないように、組成物のうち迅速に反応する光開始剤を使用する方法が適用されてきた。しかしながら、このような方法を使用して感度を向上させる場合、露光照度による厚さ変化が減少するという短所があり、スリット構造や透過率の調節によって厚さを調節する透明な薄膜を製造することが難しいという短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来の感光性樹脂組成物から製造された透明薄膜における前記のような問題を解決するために、感度が増加しながらも露光照度による厚さ変化が容易になり、スリットや半透過型マスクを使用するとき、容易に厚さ調節を行うことができる感光性樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、前記感光性樹脂組成物から製造された透明薄膜を提供することにある。
【0007】
本発明の更に他の目的は、前記透明薄膜を含む液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、感光性樹脂組成物において、活性化波長の差が20nm以上である二種以上の光開始剤を使用することによって、感度に優れながらも露光照度による厚さ変化が容易になり、液晶表示装置などの透明薄膜層に有用に使用することができ、前記のような問題を解決できるようになった。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る感光性樹脂組成物によれば、感度に優れながらも露光照度による薄膜パターンの厚さ変化が容易になるので、スリットや半透過型マスクを使用するとき、厚さ調節が容易になり、このような感光性樹脂組成物を用いれば、液晶表示素子のカラムスペーサ、オーバーコート、パッシベーション材料などを形成するのに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の比較例と実施例の結果を感度と(パターン飽和厚さ―スリットパターン厚さ)との間の相関関係で観察したグラフである。
【図2】本発明の比較例と実施例の結果を感度と(パターン飽和厚さ―半透過パターン厚さ)との間の相関関係で観察したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、光開始剤の活性化波長の差が20nm以上である二種類以上の光開始剤を同時に含む感光性樹脂組成物に関するものである。
【0012】
本発明は、前記のような二種類以上の光開始剤に、アルカリ可溶性樹脂、エチレン性不飽和化合物及び溶媒を含んで構成されており、前記構成成分の含量は、アルカリ可溶性樹脂1〜20重量%、エチレン性不飽和化合物1〜20重量%、光開始剤0.05〜10重量%及び溶媒50〜95重量%である。
【0013】
本発明に係る組成物のうち光開始剤は、活性化波長の差が20nm以上である二種類以上の光開始剤を含む。例えば、本発明の一実施例として、活性化波長が325nmであるIrgacure 369(Ciba Geigy社)と、活性化波長が270nmであるヘキサ―アリール―ビス―イミダゾールとを混合して使用する方法がある。他の実施例として、活性化波長が333nmであるIrgacure OXE―02(Ciba Geigy社)と、活性化波長が305nmであるIrgacure 907(Ciba Geigy社)とを混合して使用することもできる。光開始剤は、活性化波長が本発明の目的に符合すれば、前記実施例で例示したものに限定されず、当該技術分野で知られているものを使用することができる。
【0014】
その例として、活性化波長が250nmであるIrgacure 250(Ciba Geigy社)と、活性化波長が約370nmであるIrgacure 819(Ciba Geigy社)との組み合わせ、活性化波長が325nmであるIrgacure 369(Ciba Geigy社)と、活性化波長が305nmであるIrgacure 907(Ciba Geigy社)との組み合わせ、活性化波長が325nmであるIrgacure 369(Ciba Geigy社)と、活性化波長が370nmであるIrgacure 819(Ciba Geigy社)との組み合わせ、活性化波長が270nmであるヘキサ―アリール―ビス―イミダゾールと、活性化波長が333nmであるIrgacure OXE―02(Ciba Geigy社)との組み合わせ、活性化波長が333nmであるIrgacure OXE―02(Ciba Geigy社)と、活性化波長が370nmであるIrgacure 819(Ciba Geigy社)との組み合わせを挙げることができる。
【0015】
前記光開始剤の場合、活性化波長が250〜450nmの物質であって、前記範囲で活性化波長を有するものとして業界で一般的に知られている水銀蒸気アーク、炭素アーク、キセノンアーク、ハロゲンアークを効果的に使用可能であるという点で望ましい。
【0016】
本発明に係る光開始剤としては、活性化波長の差が20nm以上である二種類以上の光開始剤を使用するが、使用される二つの光開始剤の活性化波長の差は、20〜100nmであることが望ましく、20〜70nmであることがより望ましい。前記二つの光開始剤の活性化波長の差が20nm未満である場合、本発明の重要な効果であるパターン飽和厚さ―スリットパターン厚さ又はパターン飽和厚さ―半透過パターン厚さ値が充分に形成されず、前記二つの光開始剤の活性化波長の差が100nmを超える場合、光源を効率的に使用できないという問題がある。
【0017】
光開始剤の含量は、感光性樹脂組成物全体の0.05〜10重量%であることが望ましい。光開始剤の含量が0.05重量%未満である場合、充分な光活性反応を得られないので、パターンが均一に形成されず、光開始剤の含量が10重量%を超える場合、溶解度を超える可能性がある。
【0018】
前記二種類の光開始剤の含量は、互いの光開始剤に対して1:3〜3:1であることが望ましい。いずれか一つの光開始剤の含量が1/3未満であれば、本発明で望む効果を得ることが難しく、相対的に多量の光開始剤自体の特性のみに優れるようになるので望ましくない。
【0019】
本発明に係る感光性樹脂組成物のうちアルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル酸を含み、アルカリに対する可溶性を示す高分子樹脂を意味し、同一の効果を表すものであれば、特別に一つの構造に限定されない。例えば、ポリメタクリレートを主成分とし、メタクリル酸との共重合体やポリアミック酸を含む構造などが使用される。アルカリ可溶性樹脂の含量は、感光性樹脂組成物全体の1〜20重量%であることが望ましい。アルカリ可溶性樹脂の含量が1重量%未満である場合、現像液に対する可溶性が示されず、パターン形成が難しいので望ましくなく、アルカリ可溶性樹脂の含量が20重量%を超える場合、溶液全体の粘度が非常に高くなり、コーティング時に困難さがあるので望ましくない。
【0020】
本発明に係る感光性樹脂組成物のうちエチレン性不飽和化合物としては、次の化学式1〜4の化合物が代表的な例として挙げられるが、本発明の趣旨に符合する限り、これらに限定されることはなく、当該技術分野で知られているものを使用することができる。
【0021】
【化1】

【0022】
【化2】

【0023】
【化3】

【0024】
【化4】

【0025】
前記エチレン性不飽和化合物は、前記アルカリ可溶性樹脂の重量対比0.7〜3倍であることが望ましく、0.7倍未満である場合、充分な重合効果を期待することが難しく、3倍を越える場合、高分子樹脂の相対的な量が不充分であり、薄膜形成が難しいという短所がある。
【0026】
エチレン性不飽和化合物の含量は、感光性樹脂組成物全体の1〜20重量%であることが望ましい。エチレン性不飽和化合物の含量が1重量%未満である場合、光による仮橋反応が進行されないので望ましくなく、エチレン性不飽和化合物の含量が20重量%を超える場合、アルカリに対する可溶性が低下し、パターン形成が難しいので望ましくない。
【0027】
前記化学式で表されるエチレン性不飽和化合物以外の他のエチレン性不飽和化合物を本発明の感光性樹脂組成物に使用することができるが、具体的に例を挙げれば、ジペンタエリスリトールに導入した形態としてKAYARAD DPCA―20、KAYARAD DPCA―30、KAYARAD DPCA―60、KAYARAD DPCA―120などがあり、テトラヒドロフルフリルアクリレートに導入したKAYARAD TC―110S、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートに導入したKAYARAD HX―220、KAYARAD HX―620などがある。その他のエチレン性不飽和結合を有する官能性モノマーとしては、ビスフェノールA誘導体のエポキシアクリレート、ノボラック―エポキシアクリレート、ウレタン系の多官能性アクリレートとしてのU―324A、U15HA、U―4HAなどがある。前記エチレン性不飽和二重結合を有する官能性モノマーは、単独で使用したり、又は二種以上を混合して使用することができる。
【0028】
本発明に係る感光性樹脂組成物において、溶媒としては、一つ又は二つ以上の混合物を使用することができ、その例としては、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、2―エトキシプロパノール、2―メトキシプロパノール、3―メトキシブタノール、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、3―メトキシブチルアセテート、エチル3―エトキシプロピオネート、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ブチルアセテート、及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選択されたものが挙げられるが、必ずしもこれに限定されることはなく、当該技術分野で知られている溶媒を使用することができる。
【0029】
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて硬化促進剤、熱重合抑制剤、可塑剤、接着促進剤、充填剤又は界面活性剤などの添加剤をさらに1種以上含むことができる。
【0030】
前記硬化促進剤の例としては、2―メルカプトベンゾイミダゾール、2―メルカプトベンゾチアゾール、2―メルカプトベンゾオキサゾール、2,5―ジメルカプト―1,3,4―チアジアゾール、及び2―メルカプト―4,6―ジメチルアミノピリジンからなる群から選択されたものが挙げられるが、必ずしもこれに限定されることはなく、当該技術分野で知られている硬化促進剤を使用することができる。
【0031】
前記熱重合抑制剤の例としては、p―アニソール、ヒドロキノンなどが挙げられるが、必ずしもこれに限定されることはなく、当該技術分野で知られている熱重合抑制剤を使用することができる。
【0032】
前記可塑剤、接着促進剤、充填剤及び界面活性剤としても、従来の感光性樹脂組成物に含まれる全ての化合物が使用される。
【0033】
本発明に係る感光性樹脂組成物は、ロールコータ、カーテンコータ、スピンコータ、スロットダイコータ、各種の印刷、沈積などの方法を用いて金属、紙、ガラス、プラスチック基盤などの支持体に塗布される。また、感光性樹脂組成物は、前記支持体上に塗布した後、その他の支持体上に転写したり、第1の支持体に塗布した後、ブランケットなどに転写し、再び第2の支持体に転写することも可能であって、その適用方法は特別に限定されない。
【0034】
本発明に係る感光性樹脂組成物を硬化するための光源としては、波長が250〜450nmである光を発散する水銀蒸気アーク、炭素アーク、キセノンアーク、ハロゲンアークなどが使用されるが、特別にこれに限定されることはなく、当該技術分野で知られているものを使用することができる。
【0035】
本発明に係る感光性樹脂組成物は、光硬化性塗料、光硬化性インク、LCDカラーフィルタ製造用透明感光性組成物、顔料分散型感光性樹脂組成物、LCD又は有機発光ダイオードの遮光膜形成用感光性樹脂組成物の製造などに使用することができ、その用途に特別な制限はない。
【0036】
また、本発明は、前記のような感光性樹脂組成物を用いて製造することを特徴とする液晶表示装置用透明薄膜層を提供する。前記液晶表示装置用透明薄膜層は、本発明に係る感光性樹脂組成物を用いることを除いては、当該技術分野で知られた一般的な製造方法を通して製造することができる。
【0037】
また、本発明は、前記液晶表示装置用透明薄膜層を含んで製造される液晶表示装置を提供する。前記液晶表示装置は、本発明に係る感光性樹脂組成物を用いて製造された液晶表示装置用透明薄膜層を含んで製造することを除いては、当該技術分野で知られた一般的な製造方法を通して製造することができる。
【0038】
以下の実施例を通して本発明をより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、これらのみに本発明の範囲を限定することはない。
【0039】
(実施例1)
【0040】
カラムスペーサを形成するために、次のような感光性樹脂組成物を使用した。アルカリ可溶性樹脂バインダーとしてのBzMA/MAA(モール比:70/30、Mw:24,000)8重量部、重合性化合物であるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート16重量部、光開始剤としての2―ベンジル―2―ジメチルアミノ―1―(4―モルホリノフェニル)―ブタン―1―オン(商品名:Irgacure―369、Ciba Geigy社)1重量部とヘキサ―アリール―ビス―イミダゾール(Aldrich)1重量部との混合、及び有機溶媒としてのPGMEA79重量部をシェーカを用いて3時間の間混合した。このようした混合した感光性溶液を5マイクロン大きさのフィルタを用いてろ過し、ガラスにスピンコーティングして約100℃で2分間前熱処理すれば、厚さが約3.0μmの均等なフィルムが形成される。前記フィルムを透過率100%及び直径15μmの円形独立パターン型フォトマスクと、クロム蒸着薄膜を用いて透過率を10%に調節した直径15μmの円形独立パターン型フォトマスクと、スリットパターンで開口率を調節し、透過率を10%に調節した直径15μmの円形独立パターン型フォトマスクの三種類を用いて、高圧水銀ランプ下で10〜500mJ/cmにまで露光量を変化させて露光した後、パターンをpH11.3〜11.7のKOHアルカリ水溶液で現像し、脱イオン水で洗浄した。これを200℃で約50分間後熱処理し、スペーサパターンを形成した。
【0041】
このようにして形成されたパターンの厚さを測定し、露光量によって厚さがこれ以上増加しない領域の開始点を感度と規定する。したがって、感度の値が低いほど、少量の光エネルギーでもパターンが安定的に形成されることを意味するので、優れた特性を有するといえる。感度と同一の露光量での透過率が100%で、クロム蒸着によって透過率を10%に調節したフォトマスクを使用したときの各パターンの厚さ差と、露光量での透過率が100%で、スリットパターンで開口率を調節することによって透過率を10%に調節したフォトマスクを使用したときのパターンの厚さ差を測定した。
【0042】
(実施例2)
【0043】
光開始剤として2―ベンジル―2―ジメチルアミノ―1―(4―モルホリノフェニル)―ブタン―1―オン(商品名:Irgacure―369、Ciba Geigy社)1.5重量部と、ヘキサ―アリール―ビス―イミダゾール(Aldrich)1.5重量部とを混合して使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0044】
(実施例3)
【0045】
光開始剤として2―ベンジル―2―ジメチルアミノ―1―(4―モルホリノフェニル)―ブタン―1―オン(商品名:Irgacure―369、Ciba Geigy社)1重量部と、2―メチル1―[4―(メチルチオ)フェニル]2―モルホリノプロパン―1―オン(商品名:Irgacure 907、Ciba Geigy社)1重量部とを混合して使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0046】
(実施例4)
【0047】
光開始剤として2―ベンジル―2―ジメチルアミノ―1―(4―モルホリノフェニル)―ブタン―1―オン(商品名:Irgacure―369、Ciba Geigy社)1.5重量部と、2―メチル1―[4―(メチルチオ)フェニル]2―モルホリノプロパン―1―オン(商品名:Irgacure 907、Ciba Geigy社)1.5重量部とを混合して使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0048】
(実施例5)
【0049】
光開始剤として2―ベンジル―2―ジメチルアミノ―1―(4―モルホリノフェニル)―ブタン―1―オン(商品名:Irgacure―369、Ciba Geigy社)1重量部と、ビス(2,4,6―トリメチルベンゾイル)―フェニルホスフィンオキサイド(商品名:Irgacure 819、Ciba Geigy社)1重量部とを混合して使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0050】
(実施例6)
【0051】
光開始剤として2―ベンジル―2―ジメチルアミノ―1―(4―モルホリノフェニル)―ブタン―1―オン(商品名:Irgacure―369、Ciba Geigy社)1.5重量部と、ビス(2,4,6―トリメチルベンゾイル)―フェニルホスフィンオキサイド(商品名:Irgacure 819、Ciba Geigy社)1.5重量部とを混合して使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0052】
(実施例7)
【0053】
光開始剤としてエタノン1―[9―エチル―6―(2―メチルベンジル)―9H―カルバゾール―3―イル]―1―(0―アセチルオキシム)(商品名:Irgacure OXE―02、Ciba Geigy社)1重量部と、ヘキサ―アリール―ビス―イミダゾール(Aldrich)1重量部とを混合して使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0054】
(実施例8)
【0055】
光開始剤としてエタノン1―[9―エチル―6―(2―メチルベンジル)―9H―カルバゾール―3―イル]―1―(0―アセチルオキシム)(商品名:Irgacure OXE―02、Ciba Geigy社)1.5重量部と、ヘキサ―アリール―ビス―イミダゾール(Aldrich)1.5重量部とを混合して使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0056】
(実施例9)
【0057】
光開始剤としてエタノン1―[9―エチル―6―(2―メチルベンジル)―9H―カルバゾール―3―イル]―1―(0―アセチルオキシム)(商品名:Irgacure OXE―02、Ciba Geigy社)1重量部と、2―メチル1―[4―(メチルチオ)フェニル]2―モルホリノプロパン―1―オン(商品名:Irgacure 907、Ciba Geigy社)1重量部とを混合して使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0058】
(実施例10)
【0059】
光開始剤としてエタノン1―[9―エチル―6―(2―メチルベンジル)―9H―カルバゾール―3―イル]―1―(0―アセチルオキシム)(商品名:Irgacure OXE―02、Ciba Geigy社)1.5重量部と、2―メチル1―[4―(メチルチオ)フェニル]2―モルホリノプロパン―1―オン(商品名:Irgacure 907、Ciba Geigy社)1.5重量部とを混合して使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0060】
(実施例11)
【0061】
光開始剤としてエタノン1―[9―エチル―6―(2―メチルベンジル)―9H―カルバゾール―3―イル]―1―(0―アセチルオキシム)(商品名:Irgacure OXE―02、Ciba Geigy社)1重量部と、ビス(2,4,6―トリメチルベンゾイル)―フェニルホスフィンオキサイド(商品名:Irgacure 819、Ciba Geigy社)1重量部とを混合して使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0062】
(実施例12)
【0063】
光開始剤としてエタノン1―[9―エチル―6―(2―メチルベンジル)―9H―カルバゾール―3―イル]―1―(0―アセチルオキシム)(商品名:Irgacure OXE―02、Ciba Geigy社)1.5重量部と、2―メチル1―[4―(メチルチオ)フェニル]ビス(2,4,6―トリメチルベンゾイル)―フェニルホスフィンオキサイド(商品名:Irgacure 819、Ciba Geigy社)1.5重量部とを混合して使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0064】
(比較例1)
【0065】
光開始剤として2―ベンジル―2―ジメチルアミノ―1―(4―モルホリノフェニル)―ブタン―1―オン(商品名:Irgacure―369、Ciba Geigy社)1重量部を使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0066】
(比較例2)
【0067】
光開始剤として2―ベンジル―2―ジメチルアミノ―1―(4―モルホリノフェニル)―ブタン―1―オン(商品名:Irgacure―369、Ciba Geigy社)1.5重量部を使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0068】
(比較例3)
【0069】
光開始剤として2―ベンジル―2―ジメチルアミノ―1―(4―モルホリノフェニル)―ブタン―1―オン(商品名:Irgacure―369、Ciba Geigy社)1重量部と、2―ジメチルアミノ―2―(4―メチルベンジル)―1―(4―モルホリノ―4―イル―フェニル)―ブタン―1―オン(商品名:Irgacure―379、Ciba Geigy社)1重量部とを使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0070】
(比較例4)
【0071】
光開始剤として2―ベンジル―2―ジメチルアミノ―1―(4―モルホリノフェニル)―ブタン―1―オン(商品名:Irgacure―369、Ciba Geigy社)1.5重量部と、2―ジメチルアミノ―2―(4―メチルベンジル)―1―(4―モルホリノ―4―イル―フェニル)―ブタン―1―オン(商品名:Irgacure―379、Ciba Geigy社)1.5重量部とを使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0072】
(比較例5)
【0073】
光開始剤として2―ベンジル―2―ジメチルアミノ―1―(4―モルホリノフェニル)―ブタン―1―オン(商品名:Irgacure―369、Ciba Geigy社)1重量部と、アルファ、アルファ―ジメトキシ―アルファ―フェニルアセトフェノン(商品名:Irgcaure 651、Ciba Geigy社)1重量部とを使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0074】
(比較例6)
【0075】
光開始剤として2―ベンジル―2―ジメチルアミノ―1―(4―モルホリノフェニル)―ブタン―1―オン(商品名:Irgacure―369、Ciba Geigy社)1.5重量部と、アルファ、アルファ―ジメトキシ―アルファ―フェニルアセトフェノン(商品名:Irgcaure 651、Ciba Geigy社)1.5重量部とを使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0076】
(比較例7)
【0077】
光開始剤としてヘキサ―アリール―ビス―イミダゾール(Aldrich)1重量部を使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0078】
(比較例8)
【0079】
光開始剤としてヘキサ―アリール―ビス―イミダゾール(Aldrich)1.5重量部を使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0080】
(比較例9)
【0081】
光開始剤として2―メチル1―[4―(メチルチオ)フェニル]2―モルホリノプロパン―1―オン(商品名:Irgacure 907、Ciba Geigy社)1重量部を使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0082】
(比較例10)
【0083】
光開始剤として2―メチル1―[4―(メチルチオ)フェニル]2―モルホリノプロパン―1―オン(商品名:Irgacure 907、Ciba Geigy社)1.5重量部を使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0084】
(比較例11)
【0085】
光開始剤として2―メチル1―[4―(メチルチオ)フェニル]ビス(2,4,6―トリメチルベンゾイル)―フェニルホスフィンオキサイド(商品名:Irgacure 819、Ciba Geigy社)1重量部を使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0086】
(比較例12)
【0087】
光開始剤として2―メチル1―[4―(メチルチオ)フェニル]ビス(2,4,6―トリメチルベンゾイル)―フェニルホスフィンオキサイド(商品名:Irgacure 819、Ciba Geigy社)1.5重量部を使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0088】
(比較例13)
【0089】
光開始剤としてエタノン1―[9―エチル―6―(2―メチルベンジル)―9H―カルバゾール―3―イル]―1―(0―アセチルオキシム)(商品名:Irgacure OXE―02、Ciba Geigy社)1重量部を使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0090】
(比較例14)
【0091】
光開始剤としてエタノン1―[9―エチル―6―(2―メチルベンジル)―9H―カルバゾール―3―イル]―1―(0―アセチルオキシム)(商品名:Irgacure OXE―02、Ciba Geigy社)1.5重量部を使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0092】
(比較例15)
【0093】
光開始剤としてエタノン1―[9―エチル―6―(2―メチルベンジル)―9H―カルバゾール―3―イル]―1―(0―アセチルオキシム)(商品名:Irgacure OXE―02、Ciba Geigy社)1重量部と、2―ベンジル―2―ジメチルアミノ―1―(4―モルホリノフェニル)―ブタン―1―オン(商品名:Irgacure―369、Ciba Geigy社)1重量部とを使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0094】
(比較例16)
【0095】
光開始剤としてエタノン1―[9―エチル―6―(2―メチルベンジル)―9H―カルバゾール―3―イル]―1―(0―アセチルオキシム)(商品名:Irgacure OXE―02、Ciba Geigy社)1.5重量部と、2―ベンジル―2―ジメチルアミノ―1―(4―モルホリノフェニル)―ブタン―1―オン(商品名:Irgacure―369、Ciba Geigy社)1.5重量部とを使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0096】
(比較例17)
【0097】
光開始剤としてエタノン1―[9―エチル―6―(2―メチルベンジル)―9H―カルバゾール―3―イル]―1―(0―アセチルオキシム)(商品名:Irgacure OXE―02、Ciba Geigy社)1重量部と、2―ジメチルアミノ―2―(4―メチルベンジル)―1―(4―モルホリノ―4―イル―フェニル)―ブタン―1―オン(商品名:Irgacure―379、Ciba Geigy社)1重量部とを使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0098】
(比較例18)
【0099】
光開始剤としてエタノン1―[9―エチル―6―(2―メチルベンジル)―9H―カルバゾール―3―イル]―1―(0―アセチルオキシム)(商品名:Irgacure OXE―02、Ciba Geigy社)1.5重量部と、2―ジメチルアミノ―2―(4―メチルベンジル)―1―(4―モルホリノ―4―イル―フェニル)―ブタン―1―オン(商品名:Irgacure―379、Ciba Geigy社)1.5重量部とを使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0100】
(比較例19)
【0101】
光開始剤としてエタノン1―[9―エチル―6―(2―メチルベンジル)―9H―カルバゾール―3―イル]―1―(0―アセチルオキシム)(商品名:Irgacure OXE―02、Ciba Geigy社)1重量部と、アルファ、アルファ―ジメトキシ―アルファ―フェニルアセトフェノン(商品名:Irgcaure 651、Ciba Geigy社)1重量部とを使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0102】
(比較例20)
【0103】
光開始剤としてエタノン1―[9―エチル―6―(2―メチルベンジル)―9H―カルバゾール―3―イル]―1―(0―アセチルオキシム)(商品名:Irgacure OXE―02、Ciba Geigy社)1.5重量部と、アルファ、アルファ―ジメトキシ―アルファ―フェニルアセトフェノン(商品名:Irgcaure 651、Ciba Geigy社)1.5重量部とを使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でスペーサパターンを形成した。
【0104】
前記実施例及び比較例を通して得られた結果を次の表1、図1及び図2に示した。
【0105】
【表1】

【0106】
前記表1、図1及び図2に示すように、比較例によって光開始剤を単独で使用した場合、又は活性化波長の差が20nm未満である二つの光開始剤を混合して使用した場合、感度の向上によってパターン飽和厚さ―スリットパターン厚さ又はパターン飽和厚さ―半透過パターン厚さの値が減少するが、本発明の実施例によって活性波波長の差が20nm以上である二つ以上の光開始剤を混合して使用した場合、感度を維持しながらもパターン飽和厚さ―スリットパターン厚さ又はパターン飽和厚さ―半透過パターン厚さの値が高くなることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明に係る感光性樹脂組成物によれば、感度に優れながらも露光照度による薄膜パターンの厚さ変化が容易になるので、スリットや半透過型マスクを使用するときに厚さ調節が容易であり、このような感光性樹脂組成物を用いれば、液晶表示素子のカラムスペーサ、オーバーコート、パッシベーション材料などを形成するのに有利である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性化波長の差が20nm以上である二種の光開始剤を含む感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記組成物は二種の光開始剤を含み、前記二種の光開始剤の含量比は1:3〜3:1であることを特徴とする、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記光開始剤の活性化波長の差は20〜100nmであることを特徴とする、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記光開始剤の活性化波長は250〜450nmであることを特徴とする、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂、エチレン性不飽和化合物、光開始剤及び溶媒を含むことを特徴とする、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂1〜20重量%、エチレン性不飽和化合物1〜20重量%、光開始剤0.05〜10重量%及び溶媒50〜95重量%を含むことを特徴とする、請求項5に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記エチレン性不飽和化合物は、下記化学式1〜4で表される化合物のうち1種であることを特徴とする、請求項5に記載の感光性樹脂組成物。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【請求項8】
前記溶媒は、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピルグリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、2―エトキシプロパノール、2―メトキシプロパノール、3―メトキシブタノール、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、3―メトキシブチルアセテート、エチル3―エトキシプロピオネート、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ブチルアセテート、又はジプロピレングリコールモノメチルエーテルであることを特徴とする、請求項5に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記感光性樹脂組成物は、硬化促進剤、熱重合抑制剤、可塑剤、接着促進剤、充填剤又は界面活性剤をさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記硬化促進剤は、2―メルカプトベンゾイミダゾール、2―メルカプトベンゾチアゾール、2―メルカプトベンゾオキサゾール、2,5―ジメルカプト―1,3,4―チアジアゾール、又は2―メルカプト―4,6―ジメチルアミノピリジンであることを特徴とする、請求項9に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
前記熱重合抑制剤は、P―アナソル又はヒドロキノンであることを特徴とする、請求項9に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項12】
請求項1による感光性樹脂組成物を用いて製造された透明薄膜層。
【請求項13】
前記透明薄膜層のパターン飽和厚さ―スリットパターン厚さは3500Å以上であることを特徴とする、請求項12に記載の透明薄膜層。
【請求項14】
前記透明薄膜層のパターン飽和厚さ―半透過パターン厚さは4000Å以上であることを特徴とする、請求項12に記載の透明薄膜層。
【請求項15】
請求項12による透明薄膜層を用いて製造された液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−247794(P2012−247794A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−172367(P2012−172367)
【出願日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【分割の表示】特願2010−526836(P2010−526836)の分割
【原出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】