説明

複数の機器それぞれの電源装置が相互接続されたシステム

【課題】電源装置の事故又は故障発生時にも機器本体を動作可能とさせる。
【解決手段】電源装置51aは、自らの事故又は故障を検出する保護制御部515と、保護制御部515により当該自らの事故又は故障が検出されない場合、自らの機器の電源装置515により生成された常時電流I1を、自らの機器の機器本体に向けてのみ供給し、保護制御部515により自らの事故又は故障が検出された場合、自らの機器の電源装置515により生成された常時電流I1を遮断するとともに、他の機器の電源装置により生成された互助電流I2を受電して自らの機器の機器本体に向けて供給する出力回路513と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置と当該電源装置により電流が供給されることにより動作する機器本体とを有した機器を複数有した、複数の機器それぞれの電源装置が相互接続されたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種の産業分野で用いられる機器は、電源部と、当該電源部により電流が供給されて動作する機器本体と、を有して構成される。また、このような機器を複数備えてシステムを構成する場合があり、この場合、複数の機器を所定の管理室に集約配置して集中管理を行っている。
【0003】
上記の機器の例として、電力系統のステータス情報(電流、電圧、遮断器の開閉等)に基づいて電力系統の事故(短絡事故、地絡事故等)を検出した場合に事故区間の遮断器にトリップ指令を出し事故区間を切り離す保護を行う電力系統の保護継電装置が挙げられる。
【0004】
例えば、図10に示すように、電力系統が2系統(A系、B系)の場合、A系の電力系統を保護対象とする保護継電装置10aと、B系の電力系統を保護対象とする保護継電装置10bと、が所定の電気室に隣接配置される。尚、保護継電装置10aには、電源装置12aから保護継電ユニット14a(機器本体)に電力が供給され、保護継電装置(盤)10bには、電源装置12bから保護継電ユニット14b(機器本体)に電力が供給される構成となっている。
【0005】
また、以下に示す特許文献1に開示された保護継電装置では、二重系とされた2台の電源装置より1台の保護継電ユニットに電力を供給するように構成しており、保護継電機能を継続した状態で2台の電源装置のうち一方の電源装置を交換することが可能とされている。
【特許文献1】特開2003−158819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、機器の電源装置に故障が発生した場合、当該機器の機器本体が動作不可となる。例えば、保護継電装置を例に挙げると、電源装置の耐用年数は内部部品のコンデンサ劣化等に基づいて例えば15年程度とされており、保護継電ユニット(機器本体)の耐用年数は電源装置より長く例えば22年程度とされている。従って、保護継電装置が正常運転中に電源装置の耐用年数が到来した場合に、保護継電ユニットの耐用年数の方は到来していないため、保護継電ユニットは、正常であるにも関わらず、動作不可(ロック状態)となる場合がある。
【0007】
特許文献1に開示された保護継電装置もまた同様に、2つの電源装置が同時期に一体の盤内に搭載された場合、両方の電源装置の耐用年数がほぼ同時期に到来し、保護継電ユニットが動作不可となる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した課題を解決する主たる本発明は、電源装置と、当該電源装置により生成された電流が供給されることにより動作する機器本体と、を有する機器を複数備え、複数の機器それぞれの電源装置が相互接続されたシステムであって、前記電源装置は、自らの事故又は故障を検出する検出部と、前記検出部により当該自らの事故又は故障が検出されない場合、前記自らの機器の電源装置により生成された第1電流を、前記自らの機器の機器本体に向けてのみ供給し、前記検出部により前記自らの事故又は故障が検出された場合、前記自らの機器の電源装置により生成された第1電流を遮断するとともに、他の機器の電源装置により生成された第2電流を受電して前記自らの機器の機器本体に向けて供給する供給部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、上記の複数の機器それぞれの電源装置が相互接続されたシステムであって、前記検出部は、他の機器の電源装置により生成された前記第2電流の異常を検出し、前記供給部は、前記検出部により前記第2電流の異常が検出された場合、前記第2電流の受電を遮断すること、としてもよい。
【0010】
また、上記の複数の機器それぞれの電源装置が相互接続されたシステムであって、前記供給部は、自らの機器の機器本体に向けて自らの機器の電源装置が生成した第1電流を出力する第1電流ラインと、前記第1電流ライン上に設けられ前記第1電流を通過又は遮断させる第1スイッチと、他の機器の機器本体に向けて自らの機器の電源装置が生成した第2電流を出力する第2電流ラインと、前記第2電流ライン上に設けられ前記第2電流を通過又は遮断させる第2スイッチと、他の機器の電源装置が生成した前記第2電流を受電して自らの機器の機器本体に向けて出力する第3電流ラインと、前記第3電流ライン上に設けられ前記第2電流を通過又は遮断させる第3スイッチと、を有し、前記検出部は、前記自らの事故又は故障又は前記第2電流の異常を検出した結果に基づき、前記第1乃至前記第3スイッチを制御すること、としてもよい。
【0011】
また、上記の複数の機器それぞれの電源装置が相互接続されたシステムにおいて、前記機器は、電力系統の保護継電装置であること、としてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電源装置の事故又は故障発生時に機器本体の動作を継続させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下の説明では、本発明の複数の機器それぞれの電源装置が相互接続されたシステムの実施の形態として、保護対象とする送配電設備(発電所、変電所、送配電線路等)がそれぞれ異なっており、電気所(発電所や変電所等)内の電気室に集約配置されて集中管理される電力系統の保護継電装置群を例に挙げて説明する。つまり、本願請求項に係る複数の機器それぞれの電源装置が相互接続されたシステムが保護継電装置群に対応しており、本願請求項に係る機器が保護継電装置群を構成する個々の保護継電装置に対応している場合である。
【0014】
<<保護継電装置群の構成>>
図1は、本発明の実施の形態に係る電力系統の保護継電装置群の一構成例を示した図である。同図に示す保護継電装置群(50a〜50d)は、4面構成の場合であるが、保護対象の送配電設備の数に応じて4面以外の複数面構成としてもよい。
【0015】
以下、説明の便宜上、保護継電装置群(50a〜50d)の中で保護継電装置50aの内部構成についてのみ説明する。
【0016】
電源装置51aは、外部電源に基づいて自盤(50a)の保護継電ユニット53aに向けた常時電流I1(本願請求項に係る第1電流)を生成するとともに、他盤(50b〜50d)の保護継電ユニット(53b〜53d)に向けた互助電流I2(本願請求項に係る第2電流)を生成する機能を有する。また、電源装置51aは、他盤(50b〜50d)からの互助電流I2を受電して自盤(50a)の保護継電ユニット53aに供給する機能を具備する。
【0017】
従って、電源装置51aは、商用電源を受電するための電源端子520と、保護継電ユニット53aに向けて通常電流I1を供給するための出力端子521と、互助電流I2を他盤(50b〜50d)に向けて出力若しくは他盤(50b〜50d)からの互助電流I2を入力するための入出力端子522と、を具備する。
【0018】
保護継電ユニット53a(本願請求項に係る機器本体)は、電力系統の送配電線路に配置された変流器、変圧器より電流、電圧情報を取り込むとともに、保護区間内に配置された遮断器(系統連系用遮断器、母線連絡用遮断器、負荷端遮断器等)の開閉情報を取り込む。そして、これらの取り込んだ情報に基づき、保護区間内の事故(地絡事故、短絡事故等)の発生を検出する。
【0019】
また、保護継電ユニット53aは、保護方式に応じたリレーコイルとリレー接点とを備えている(いずれも不図示)。保護区間内の事故が検出された場合、リレーコイルが励磁されてリレー接点が閉じることで、保護区間内の遮断器に配置されたトリップコイルに対してトリップ指令を出力する。これにより、事故区間を分離して他区間への事故波及を回避できる。
【0020】
端子台54aは、電源装置51aと保護継電ユニット53aとの間の結線や、電源装置51bと他盤の電源装置51b〜51dとの間の結線を行うインタフェースである。これらの結線の一例が、図4乃至図7に示される。
【0021】
<<電源装置の構成>>
図2は、上記の機能を具備した電源装置51aの内部構成の一例を示した図である。尚、他の電源装置51b〜51dの内部構成は、電源装置51aと同様であるため、以下では説明を省略する。
【0022】
同図に示す電源装置51aは、商用電源のノイズを除去するラインフィルタ510と、商用電源を受電するか否かを制御するノンヒューズブレーカ(以下、NFBと呼ぶ。)511と、受電した商用電源を保護継電ユニットに応じた電流レベルに変換するDC/DCコンバータ512と、保護継電ユニット53aに向けた常時電流I1並びに互助電流I2の出力回路513(本願請求項に係る供給部)と、DC/DCコンバータ512の入力側に設けられる保護制御部514と、DC/DCコンバータ512の出力側に設けられる保護制御部515(本願請求項に係る検出部)と、を備える。
【0023】
尚、出力回路513は、DC/DCコンバータ512の出力側の電流ラインL0より分岐した電流ラインL1(本願請求項に係る第1電流ライン)及び電流ラインL2(本願請求項に係る第2電流ライン)と、電流ラインL1、L2の出力側を接続させる電流ラインL3(本願請求項に係る第3電流ライン)と、電流ラインL1上に設けられるスイッチSW1(本願請求項に係る第1スイッチ)と、電流ラインL2上に設けられるスイッチSW2(本願請求項に係る第2スイッチ)及びスイッチSW4と、電流ラインL3上に設けられるスイッチSW3(本願請求項に係る第3スイッチ)と、を有する。
【0024】
また、保護制御部514、515は、過電流リレー(OCR(Over Current Relay))、過電圧リレー(OVR(Over Voltage Relay))、不足電圧リレー(UVR(Under Voltage Relay))、過電流制限回路(OCL(Over Current Limiter))を具備する。保護制御部514は、過電流、過電圧等を検出した場合、NFB511を入から切に切り替えて、NFB511の後段回路を保護する。保護制御部515は、過電流、過電圧等の事故や不足電圧等の故障の検出結果に基づいて、他盤(50b〜50d)への事故波及や他盤(50b〜50d)からの事故波及を防止すべく、スイッチSW1〜SW4の入切を制御する。
【0025】
<<保護継電装置群の動作>>
以下では、図4乃至図7を適宜参照しながら、保護継電装置群(50a〜50d)の各電源装置51a〜51dのシステム的な動作を図3に示すフローチャートを用いて説明する。尚、図3の中で、自盤とは保護継電装置50aのことを指しており、電源装置51aの動作を中心とした説明にしている。
【0026】
まず、保護継電装置群(50a〜50d)の常時運用中では、保護制御部515は、スイッチSW1を入、スイッチSW2を入、スイッチSW3を切、スイッチSW4を入と設定するので(S300)、図4に示される回路状態となる。即ち、DC/DCコンバータ512より出力される直流電流に基づき、スイッチSW1を介して常時電流I1が保護継電ユニット53aに供給される。一方、電源装置51a〜51dそれぞれの電流ラインL2は入出力端子522を介して相互接続されて無負荷状態となっている。このため、互助電流I2は流れない。
【0027】
つぎに、保護制御部515は、自盤(50a)の電源不良(コンデンサ劣化等に起因した故障)が検出されたか否かを判定する(S301)。電源不良の具体的な検出方法としては、まず、通常運用時の状態からスイッチSW4を入から切に切り替えて、DC/DCコンバータ512と電流ラインL2との間を遮断しておく。そして、電流ラインL1に流れる通常電流I1に応じた電圧を取得し、不足電圧リレーによって整定値以下となる電源不良になったか否かを検出することで行う。尚、電圧不良の検出を終えると、スイッチSW4を切から入に切り替えて元の状態に戻す。
【0028】
自盤(50a)の電源不良が検出された場合(S301:YES)、保護制御部515は、スイッチSW1を切、スイッチSW2を切、スイッチSW3を入と設定するので(S302)、図5に示される回路状態となる。即ち、スイッチSW1が切となるため、電源装置51aから保護継電ユニット53aに向けた常時電流I1の供給が遮断される。しかしながら、スイッチSW2が切となりスイッチSW3が入となるため、他盤(50b〜50d)からの互助電流I2が、入出力端子522、電流ラインL3、出力端子521を介して保護継電ユニット53aに供給されるため、保護継電ユニット53aは動作可能となり、自盤(50a)の運転が継続する(S303)。
【0029】
自盤(50a)の電源不良が検出されない場合(S301:NO)、つぎに、自盤(50a)において過負荷が検出されるか否かを判定する(S304)。過負荷の具体的な検出方法としては、電流ラインL1に流れる通常電流I1を取得し、過電流検出リレーによって整定値以上となる過負荷となるか否かを検出する。
【0030】
自盤(50a)において過負荷が検出される場合(S304:YES)、保護制御部515は、スイッチSW1を入、スイッチSW2を切、スイッチSW3を切と設定する(S305)。即ち、スイッチSW2を切とするので、他盤(50b〜50d)からの互助電流I2の受電を遮断し、自盤(50a)の電源装置51aから保護継電ユニット53aに向けた通常電流I1の供給のみを行う。尚、過負荷が検出されると保護制御部514によってNFB511が切となるが、過負荷検出に対するNFB511の応答時間はスイッチSW2の応答時間よりも長い。従って、NFB511が動作するまで、通常電流I1の供給は補償されている。
【0031】
例えば、図6に示す回路状態では、まず、他盤(50b)が電源不良を生じており、自盤(50a)は、保護継電ユニット53aに向けて通常電流I1を供給するとともに、他盤(50b)の保護継電ユニット53bに向けて互助電流I2を供給する場合とする。この結果、自盤(50a)において他盤(50b)が電源不良に起因した過負荷が検出されると、スイッチSW2が入から切に切り替わるが、保護継電ユニット53aに向けた通常電流I1の供給が継続しているため、自盤(50a)の運転が継続する(S303)。尚、正常な他盤(50c、50d)の方では、自盤(50a)のスイッチSW2が切になったことを受けて、互助電流I2の増加に伴い過負荷となる場合がある。この場合に、他盤(50c、50d)においても順次スイッチSW2が入から切に切り替わる。
【0032】
自盤(50a)において過負荷が検出されない場合(S304:NO)、つぎに、互助電流I2の異常(過電流事故等)が検出されるか否かが判定される(S306)。互助電流I2の異常が検出されない場合(S306:NO)、自盤(50a)の運転がこのまま継続する(S303)。尚、互助電流I2の異常の具体的な検出方法としては、例えば図5に示される電源装置51aのようにスイッチSW3が入の場合、電流ラインL3に流れる互助電流I2を取得し、例えば過電流検出リレーによって整定値以上となる過電流が生じたか否かを検出することで行う。若しくは、過電圧リレーや不足電圧リレーによって互助電流I2の異常を検出してもよい。
【0033】
互助電流I2の異常が検出される場合(S306:YES)、保護制御部515は、スイッチSW1を入、スイッチSW2を切、スイッチSW3を切と設定する(S307)。即ち、スイッチSW2を切とするので、他盤(50b〜50d)からの互助電流I2の受電を遮断し、自盤(50a)の電源装置51aから保護継電ユニット53aに向けた通常電流I1の供給のみを行う。
【0034】
スイッチSW2を切にした後、互助電流I2の異常が解消されると(S308:YES)、自盤(50a)の運転がこのまま継続する(S303)。一方、スイッチSW2を切にした後も互助電流I2の異常が検出され続ける場合(S308:NO)、保護制御部515は、スイッチSW1を切、スイッチSW2を入、スイッチSW3を切と設定する(S309)。即ち、自盤(50a)の電源装置51aから保護継電ユニット53aに向けた通常電流I1の供給が遮断され、他盤(50b〜50d)に向けた互助電流I2の供給のみを行う。その後、保護継電ユニット53aは動作不可となるため、自盤(50a)の運転を停止させる(S310)。
【0035】
例えば、図6に示す回路状態において、まず、他盤(50b)が電源不良を生じており、自盤(50a)は、保護継電ユニット53aに向けて通常電流I1を供給するとともに、他盤(50b)の保護継電ユニット53bに向けて互助電流I2を供給する場合とする。この場合に、自盤(50a)において互助電流I2の異常が検出されると、スイッチSW2が入から切に切り替わり、図7に示す回路状態となる。この結果、保護継電ユニット53aに向けた通常電流I1の供給が継続する。
【0036】
以上、保護継電装置群(50a〜50d)の何れかの保護継電装置(例えば、50a)の電源装置(例えば、51a)に事故又は故障が生じた場合、他の保護継電装置(例えば、50b〜50c)の電源装置(例えば、51b〜51d)から互助電流I2を受電するとともに、当該保護継電装置(例えば、50b〜50c)の保護継電ユニット(例えば、53b〜53c)に向けた互助電流I2の供給を可能とした。このため、事故又は故障が生じた保護継電装置(例えば、50a)の保護継電ユニット(例えば、53a)の動作を継続することができる。
【0037】
また、他の保護継電装置(例えば、50b〜50c)の電源装置(例えば、51b〜51d)からの互助電流I2に異常(例えば、過電流)が発生した場合、当該異常な互助電流I2を遮断することができる。尚、この場合、通常電流I1の供給は遮断しないので、保護継電ユニット(例えば、53a)の動作を継続することができる。
【0038】
また、電源装置(51a〜51d)の上記の機能は、図2に示される出力回路513のような簡易な構成で実現することができる。
【0039】
<<電力系統における保護継電装置群の運用例>>
保護継電装置50a〜50dは、例えば、図8に示した二重母線一ブスタイ方式の電力系統における21、23、25として用いられる。尚、保護継電装置21、23、25は、所定の電気室に集中管理されており、各電源装置が相互に接続されている。ここで、保護継電装置21の電源装置が故障した場合、保守作業として新たな電源装置に交換する必要があるが、当該保守作業の際に、例えば、図8に示すような代替保護や系統変更が行われずに済むので、二重母線一ブスタイ方式の電力系統の信頼度低下を事前に予防できる。
【0040】
尚、同図に示す代替保護は、甲母線2L1と乙母線2L2とを母線連絡用遮断器22によって接続させる二重母線一ブスタイ方式の電力系統において、乙母線2L2より分岐された電線路Aを保護する保護継電装置21が動作不可となる場合、母線連絡保護継電装置23の整定値を動作不可の保護継電装置21の整定値に合わせることで行われる。
【0041】
また、同図に示す系統変更は、同じく電線路Aを保護する保護継電装置21が動作不可となる場合、常時閉の系統連系用遮断器20を開くとともに常時開の系統連系用遮断器24を閉じることで、電線路Aの保護を丙母線2L3側の保護継電装置21による保護に切り替えることで行われる。
【0042】
つまり、保護継電装置21の電源装置が故障しても、他の保護継電装置23、25の電源装置より互助電流I2を受電して自らの保護継電ユニットに供給するため、保護継電装置21による電線路Aの保護が継続することになり、上記の代替保護や系統変更が行わずに済ませることができる。
【0043】
また、保護継電装置50a〜50dは、図9に示した平行2回線4L1、4L2の電力系統における31、32としても用いられる。尚、保護継電装置31、32は、所定の電気室に集中管理されており、各電源装置が相互に接続されている。ここで、負荷A、B側の保護継電装置31の電源装置が動作不可となる場合、保守作業として新たな電源装置に交換する必要があるが、当該保守作業の際に、例えば、図9に示すような縦割り受電が行われずに済むので、平行2回線4L1、4L2の電力系統の信頼度低下を事前に予防できる。
【0044】
尚、同図に示す縦割り受電は、負荷A、B側の保護継電装置31の電源装置が動作不可となる場合、遮断器33を開いて負荷Aには4L1回線より電力供給させるとともに負荷Bには4L2回線より電力供給させることで行われる。つまり、保護継電装置32の電源装置が故障しても、他の保護継電装置31の電源装置より互助電流I2を受電して自らの保護継電ユニットに供給するため、縦割り受電が行われず、負荷A、Bは平行2回線4L1、4L2による2回線受電を継続することができる。換言すると、4L1回線、4L2回線は、負荷A、B側の保護継電装置32の電源装置の故障前後において、電源30側の保護継電装置31による保護と負荷A、B側の保護継電装置32による保護とを両方享受できる。
【0045】
以上、本実施の形態について説明したが、前述した実施例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るととともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0046】
例えば、本願請求項に係る機器は、保護継電装置に限定されず、各種産業分野の機器としてもよい。また、本願請求項に係る機器本体は、保護継電ユニットに限定されず、電源装置から電流の供給を受けて表示を行う表示装置や照明を行う照明装置としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態に係る保護継電装置群の構成を示した図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電源装置の構成を示した図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る保護継電装置群のシステム的な動作を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る保護継電装置群のシステム的な動作を説明するための図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る保護継電装置群のシステム的な動作を説明するための図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る保護継電装置群のシステム的な動作を説明するための図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る保護継電装置群のシステム的な動作を説明するための図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る保護継電装置群の運用例を示した図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る保護継電装置群のその他の運用例を示した図である。
【図10】従来の保護継電装置群の構成を示した図である。
【符号の説明】
【0048】
21、23、25、31、32、50a〜50d 保護継電装置
51a〜51d 電源装置
53a〜53d 保護継電ユニット
512 DC/DCコンバータ
513 出力回路
514、515 保護制御部
SW1〜SW4 スイッチ
L0〜L3 電流ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源装置と、当該電源装置により生成された電流が供給されることにより動作する機器本体と、を有する機器を複数備え、複数の機器それぞれの電源装置が相互接続されたシステムであって、
前記電源装置は、
自らの事故又は故障を検出する検出部と、
前記検出部により当該自らの事故又は故障が検出されない場合、前記自らの機器の電源装置により生成された第1電流を、前記自らの機器の機器本体に向けてのみ供給し、
前記検出部により前記自らの事故又は故障が検出された場合、前記自らの機器の電源装置により生成された第1電流を遮断するとともに、他の機器の電源装置により生成された第2電流を受電して前記自らの機器の機器本体に向けて供給する供給部と、
を備えることを特徴とする複数の機器それぞれの電源装置が相互接続されたシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の複数の機器それぞれの電源装置が相互接続されたシステムであって、
前記検出部は、他の機器の電源装置により生成された前記第2電流の異常を検出し、
前記供給部は、前記検出部により前記第2電流の異常が検出された場合、前記第2電流の受電を遮断すること、を特徴とする複数の機器それぞれの電源装置が相互接続されたシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の複数の機器それぞれの電源装置が相互接続されたシステムであって、
前記供給部は、
自らの機器の機器本体に向けて自らの機器の電源装置が生成した第1電流を出力する第1電流ラインと、
前記第1電流ライン上に設けられ前記第1電流を通過又は遮断させる第1スイッチと、
他の機器の機器本体に向けて自らの機器の電源装置が生成した第2電流を出力する第2電流ラインと、
前記第2電流ライン上に設けられ前記第2電流を通過又は遮断させる第2スイッチと、
他の機器の電源装置が生成した前記第2電流を受電して自らの機器の機器本体に向けて出力する第3電流ラインと、
前記第3電流ライン上に設けられ前記第2電流を通過又は遮断させる第3スイッチと、を有し、
前記検出部は、前記自らの事故又は故障又は前記第2電流の異常を検出した結果に基づき、前記第1乃至前記第3スイッチを制御することを特徴とする複数の機器それぞれの電源装置が相互接続されたシステム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の複数の機器それぞれの電源装置が相互接続されたシステムにおいて、前記機器は、電力系統の保護継電装置であること、を特徴とする複数の機器それぞれの電源装置が相互接続されたシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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