説明

複数コンデンサを有する監視デバイス

本発明は、並列又は直列に接続されたコンデンサを有する監視及び/又は識別デバイスと、このようなデバイスを作製及び使用する方法とに関する。一方のコンデンサが相対的に厚いコンデンサ誘電体を用いて製造され、他方が相対的に薄いコンデンサ誘電体を用いて製造される、並列に接続されたコンデンサを有するデバイスでは、高精度の静電容量と、監視タグ機能停止を容易にするための低い絶縁破壊電圧との両方を実現することができる。直列に接続されたコンデンサを有するデバイスにより、小さいコンデンサの横方向の大きさが増すことになる。これにより、解像能力が相対的に限定されることがある技法を用いてそのコンデンサを製造することが容易になる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
[0001]本出願は、2008年5月15日及び2008年5月28日にそれぞれ出願された米国特許仮出願第61/127,899号(整理番号IDR1831)及び第61/056,804号(整理番号IDR1811)の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
[0002]本発明は一般に、監視及び/又は識別タグ及びデバイスの分野に関する。より具体的には、本発明の諸実施形態は、複数コンデンサが並列又は直列に接続された無線式(例えばEAS、RF、RFID、HF、VHF、UHFなど)タグ/デバイス、それらの製造及び/又は生産のための構造及び方法、並びにそのようなタグ及び/又はデバイスを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]電子式物品監視(EAS)デバイス又はタグなどの監視デバイスは通常、監視デバイスを離調又は機能停止するために恒久的に変更されるコンデンサ及び/又はダイオードを用いて製造される。高精度の静電容量を実現しながら、絶縁破壊電圧が低く、したがって誘電体も相対的に薄いコンデンサを製造することは困難となりうる。これは特に、コンデンサが無機誘電体膜を誘電体媒質として含む場合に当てはまる。加えて、非常に小さい寸法のコンデンサを高精度で製造することは困難である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]本発明の諸実施形態は、監視及び/又は識別タグ及びデバイスに関する。より具体的には、本発明の諸実施形態は、無線式(EAS、RF、RFID、HF、VHF、及び/又はUHFなど)デバイス、それらの構成要素(例えば、コンデンサ、アンテナ、インダクタなど)、並びにそれらの製造方法及び使用方法に関する。本発明の諸態様は、従来の無線デバイスに伴う課題に、高精度の静電容量と、機能停止を容易にするための低い絶縁破壊電圧との両方を実現するように並列に接続されたコンデンサを有する監視及び/又は識別デバイス、並びにそのようなデバイスを形成する方法及び使用する方法を提供することによって、対処する。本発明のさらなる諸態様は、従来の無線デバイスに伴う課題に、小型コンデンサの横方向の大きさを増すように直列に接続されたコンデンサを有し、それによって、解像能力が相対的に限定されることがある技法を用いてそのコンデンサを製造することが容易になる監視及び/又は識別デバイスを提供することによって、対処する。
【0005】
[0005]本発明の第1の態様は、複数コンデンサを有する監視及び/又は識別デバイスを作製する方法に関する。いくつかの実施形態では、コンデンサは並列に接続することができる。並列のコンデンサを有するデバイスを作製することにより、高精度の静電容量と、監視タグ機能停止を容易にするための低い絶縁破壊電圧との両方を実現することができる。例えば、本発明の諸実施形態では、監視及び/又は識別デバイスで一般に使用される単一のコンデンサが、並列に接続された複数のコンデンサと置き換えられる。他の実施形態では、コンデンサは直列に接続することができる。直列のコンデンサを有するデバイスを作製することで、小さなコンデンサの横方向の大きさが効果的に増す。この構成により、解像能力が相対的に限定されることがある技法を用いてそのコンデンサを製造することが容易になる。例えば、本発明の諸実施形態では、監視及び/又は識別デバイスで一般に使用される単一のコンデンサが、直列に接続された複数のコンデンサと置き換えられる。
【0006】
[0006]第1の例示的な実施形態では、並列に接続された複数のコンデンサを有する無線式監視及び/又は識別デバイスは、(a)基板上に又は基板を覆うように導電性ストラップ及び下部コンデンサ電極を形成すること、(b)基板に、且つ、ストラップの一部分上に又は該一部分を覆うように、ストラップの一部分を露出させ且つ下部コンデンサ電極の一部分上に開口を有する第1の誘電体膜を形成すること、(c)開口内に、第1の誘電体膜よりも著しく薄いコンデンサ誘電体膜を形成すること、(d)第1の誘電体膜及びコンデンサ誘電体膜上に上部コンデンサ電極を、上部コンデンサ電極が下部コンデンサ電極に容量性結合されるように形成すること、及び(e)上部コンデンサ電極及びストラップ上にアンテナ及び/又はインダクタを形成すること、又は上部コンデンサ電極及びストラップにアンテナ及び/又はインダクタを取り付けること、によって作製することができる。
【0007】
[0007]並列コンデンサを有するデバイスを作製する例示的な実施形態では、導電性ストラップ及び下部コンデンサ電極は、単一の処理シーケンスで(例えば、印刷によって)形成され、下部コンデンサ電極は、各並列コンデンサによって共用される。印刷法は、処理ステップの数、製造プロセスの時間、及び/又は、コンデンサ及び/又は監視/識別デバイスを製造するために使用される材料のコストが低減するので、従来のブランケット堆積、フォトリソグラフィ及びエッチングの各プロセスより好ましいものとすることができる。
【0008】
[0008]第2の例示的な実施形態では、並列コンデンサを有する無線式監視及び/又は識別デバイスを、(a)基板上にアンテナ及び/又はインダクタと、このアンテナ/インダクタの第1の端部と電気的に連通する下部コンデンサ電極とを形成すること、(b)下部コンデンサ電極の少なくとも第1の部分上に、相対的に薄いコンデンサ誘電体膜を形成すること、(c)下部コンデンサ電極の、その第1の部分と重ならない第2の部分上に又は当該第2部分を覆うように、相対的に厚いコンデンサ誘電体膜を形成すること、(d)薄いコンデンサ誘電体膜及び厚いコンデンサ誘電体膜上に、下部コンデンサ電極に容量性結合された上部コンデンサ電極を形成すること、及び(e)上部コンデンサ電極とアンテナ/インダクタの第2の端部との間の電気的連通を行うように構成された導電性ストラップを形成すること、によって作製することができる。このような構成でデバイスの構造物及び/又は層を形成すること(例えば、下部コンデンサ電極、相対的に薄いコンデンサ誘電体膜、相対的に厚いコンデンサ誘電体膜、及び上部コンデンサ電極を形成すること)により、同じ一連のステップを用いて、印刷の場合にはフォトリソグラフィを用いないで、制御された再現可能な条件のもとで、それぞれ異なる厚さの誘電体膜を有する並列コンデンサを形成することが可能になる。
【0009】
[0009]第3の例示的な実施形態によれば、直列に接続されたコンデンサを有する無線式監視及び/又は識別デバイスは、(a)導電性(例えば、電気的機能性)基板上に第1の誘電体膜を形成すること、(b)第1の誘電体膜上に、基板に容量性結合され物理的に互いに分離されている複数のコンデンサ電極を形成すること、(c)コンデンサ電極上に又はコンデンサ電極を覆うように、コンデンサ電極への電気的接続を容易にするための孔を有する第2の誘電体膜を形成すること、及び(d)それぞれのコンデンサ電極に電気的に接続されたインダクタ又はアンテナを形成すること、によって作製することができる。このような実施形態では、直列の各コンデンサは、導電性基板を共通下部コンデンサ電極として共用することが好ましい。
【0010】
[0010]本発明の第2の態様は、複数コンデンサ(例えば、並列に接続されたコンデンサ及び/又は直列に接続されたコンデンサ)を有する監視/識別デバイスに関する。第一の一般的な実施形態では、並列に接続されたコンデンサを有する監視及び/又は識別デバイスは、(1)基板上の導電性ストラップと、(2)ストラップに電気的に接続された、基板上に又は基板を覆うように設けられた下部コンデンサ電極と、(3)基板上に設けられ、且つ、ストラップ上に又はそれを覆うように設けられた第1の誘電体膜であり、ストラップの一部分を露出させ下部コンデンサ電極の一部分上に開口を有する、第1の誘電体膜と、(4)開口内で下部コンデンサ電極上のコンデンサ誘電体膜であり、第1の誘電体膜よりも著しく薄いコンデンサ誘電体膜と、(5)第1の誘電体膜及びコンデンサ誘電体膜上の上部コンデンサ電極であり、下部コンデンサ電極に容量性結合された上部コンデンサ電極と、(6)上部コンデンサ電極及びストラップに電気的に接続されたアンテナ及び/又はインダクタとを備える。
【0011】
[0011]第2の一般的な実施形態では、平列に接続されたコンデンサを有する監視及び/又は識別デバイスは、(1)基板上に設けられたアンテナ及び/又はインダクタと、(2)基板上に又は基板を覆うように設けられた、アンテナ及び/又はインダクタと電気的に接触する、下部コンデンサ電極と、(3)アンテナ及び/又はインダクタ及び下部コンデンサ電極上に又はそれらを覆うように設けられた第1の誘電体膜であり、アンテナ及び/又はインダクタの一部分を露出させる孔と下部コンデンサ電極上の開口とを有する、第1の誘電体膜と、(4)第1の誘電体膜の開口内で下部コンデンサ電極上の相対的に薄いコンデンサ誘電体膜であり、第1の誘電体膜よりも著しく薄い、相対的に薄いコンデンサ誘電体膜と、(5)下部コンデンサ電極に容量性結合された上部コンデンサ電極と、(6)上部コンデンサ電極とアンテナ及び/又はインダクタとの間の電気的連通を行うように構成された導電性ストラップとを備える。
【0012】
[0012]第3の一般的実施形態では、直列に接続されたコンデンサを有する監視及び/又は識別デバイスは一般に、(1)導電性基板と、(2)導電性基板上の第1の誘電体膜と、(3)第1の誘電体膜上にあり、基板に容量性結合され互いに物理的に分離された複数のコンデンサ電極と、(4)1つ又は複数の孔を有する、コンデンサ電極上に又はコンデンサ電極を覆うように設けられた第2の誘電体層と、(5)孔を介して複数のコンデンサ電極と電気的に接続されたインダクタとを備える。
【0013】
[0013]本発明の第3の態様は、本発明の監視及び/又は識別デバイス付きの物品(item)を検出する方法に関する。一般に、監視/識別デバイスは、このデバイス内に、検出可能な電磁放射をそのデバイスが放射、反射、吸収、又は後方散乱するのに十分な電流を生じさせる、又は誘導すること、その検出可能な電磁放射を検出すること、及び任意選択で、選択的にデバイスを機能停止する、又はある動作を実行するようにデバイスに命令することによって、検出することができる。
【0014】
[0014]本明細書で説明する諸実施形態は、相対的に信頼性が高いタグの機能停止、及び/又は(1つ又は複数の)寸法が非常に小さいコンデンサの高精度の印刷を実現するための、高精度の静電容量及び低い絶縁破壊電圧を有する監視タグ及び/又はデバイスを提供する。本発明の上記その他の利点は、以下の好ましい実施形態についての詳細な説明から容易に明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による並列に接続されたコンデンサを有する無線式監視及び/又は識別デバイスを示す回路図である。
【図2】本発明による直列に接続されたコンデンサを有する無線式監視及び/又は識別デバイスを示す回路図である。
【図3A】本発明の実施形態による、並列に接続されたコンデンサを有する監視及び/又は識別デバイスを作製するための第1の例示的方法における例示的中間物の上面図である。
【図3B】本発明の実施形態による、並列に接続されたコンデンサを有する監視及び/又は識別デバイスを作製するための第1の例示的方法における例示的中間物の断面図である。
【図3C】本発明の実施形態による例示的多層基板の断面図である。
【図4A】本発明の実施形態による、並列に接続されたコンデンサを有する監視及び/又は識別デバイスを作製するための第1の例示的方法における別の例示的中間物の上面図である。
【図4B】本発明の実施形態による、並列に接続されたコンデンサを有する監視及び/又は識別デバイスを作製するための第1の例示的方法における別の例示的中間物の断面図である。
【図5A】本発明の実施形態による、並列に接続されたコンデンサを有する例示的な監視及び/又は識別デバイスの上面図である。
【図5B】本発明の実施形態による、並列に接続されたコンデンサを有する例示的な監視及び/又は識別デバイスの断面図である。
【図6A】本発明の実施形態による、並列に接続されたコンデンサを有する監視及び/又は識別デバイスを作製するための第2の例示的方法における例示的中間物の上面図である。
【図6B】本発明の実施形態による、並列に接続されたコンデンサを有する監視及び/又は識別デバイスを作製するための第2の例示的方法における例示的中間物の断面図である。
【図6C】第1の誘電体膜が上に形成されている、図6Bのデバイスの断面図である。
【図6D】第1の誘電体膜中に接触ホールが形成されている、図6Cのデバイスの断面図である。
【図7A】本発明の実施形態による、並列に接続されたコンデンサを有する監視及び/又は識別デバイスを作製するための第2の例示的方法における別の例示的中間物の上面図である。
【図7B】本発明の実施形態による、並列に接続されたコンデンサを有する監視及び/又は識別デバイスを作製するための第2の例示的方法における別の例示的中間物の断面図である。
【図7C】相対的に薄いコンデンサ誘電体膜が上に形成されている、図7Bのデバイスの断面図である。
【図7D】相対的に厚い誘電体膜が上に形成されている、図7Cのデバイスの断面図である。
【図8A】本発明の実施形態による、並列に接続されたコンデンサを有する監視及び/又は識別デバイスを作製するための第2の例示的方法における別の例示的中間物の上面図である。
【図8B】本発明の実施形態による、並列に接続されたコンデンサを有する監視及び/又は識別デバイスを作製するための第2の例示的方法における別の例示的中間物の断面図である。
【図8C】アンテナ及び/又はインダクタの一部分を露出させる接触孔が第1の誘電体層中に形成されている、図8Bのデバイスの断面図である。
【図9A】本発明の実施形態による、並列に接続されたコンデンサを有する第2の例示的な監視及び/又は識別デバイスの上面図である。
【図9B】本発明の実施形態による、並列に接続されたコンデンサを有する第2の例示的な監視及び/又は識別デバイスの断面図である。
【図10A】本発明の実施形態による、並列に接続されたコンデンサを有する例示的な監視及び/又は識別デバイスの断面図である。
【図10B】本発明の実施形態による、並列に接続されたコンデンサを有する例示的な監視及び/又は識別デバイスの断面図である。
【図11】本発明の実施形態による、直列に接続されたコンデンサを有する例示的な監視及び/又は識別デバイスの断面図である。
【図12】図11の監視及び/又は識別デバイスの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0033]次に、添付の図面に例が示されている本発明の諸実施形態に詳細に言及する。本発明を様々な実施形態と共に説明するが、これらの実施形態は、本発明をこれらの実施形態に限定するものではないことを理解されたい。反対に、本発明は、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲内に含まれうる代替形態、改変形態及び均等物を包含するものである。さらに、本発明についての以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解が得られるように多数の具体的細部を示す。しかし、これらの具体的細部がなくても本発明を実施できることは、当業者には容易に明らかになろう。他の事例では、よく知られた方法、手順、構成要素、及び回路は、本発明の態様を不必要に不明瞭にしないように、詳述していない。加えて、本明細書で説明する可能な置換え及び組合せは、本発明を限定することにはならないと理解されたい。具体的には、矛盾するものでない変形形態は、望むなら様々に組み合わせることができる。
【0017】
[0034]便宜上及び簡略化のために、「〜に結合された」、「〜に接続された」及び「〜と連通した」の各語は、明細書に特に示されない限り、直接的又は間接的な結合、接続又は連通を意味する。これらの語は一般に、本明細書では交換可能に使用されるが、それらの技術的に認められた意味が一般に与えられている。また、便宜上及び簡略化のために、「監視」、「識別」、「EAS」、「RF」、及び「RFID」の各語は、デバイス及び/又はタグの意図された用途及び/又は機能に関して交換可能に用いられることがあり、「EASタグ」又は「EASデバイス」の各語は、本明細書では任意のEAS及び/又は監視のタグ及び/又はデバイスを指すために用いられることがある。加えて、「物品(item)」、「物体(object)」及び「物品(article)」の各語は交換可能に用いられ、そのような語の1つが用いられる場合は必ず、その語はまた他の語も包含する。さらに、「コンデンサ電極」及び「コンデンサ板」の各語も交換可能に用いられることがある。また、「フィーチャ」、「形状」、「ライン」及び「パターン」の各語も交換可能に用いられることがあり、一般に、半導体デバイスの導電構造を指す。「(半)導体」、「(半)導電性」及びこれらの文法的均等物は、導電性及び/又は半導電性である材料、前駆物質、層、フィーチャ、或いは他の化学種又は構造物を指す。
【0018】
[0035]本出願では、「堆積させる」(deposit)という語(及びその文法的バリエーション)は、ブランケット堆積させる(例えば、CVD、ALD及びPVD)、(スピン)コーティング、及び印刷を含むすべての形式の「堆積」ないしは「付着」を包含するものとする。一般に、「コーティング」とは、インク又は他の材料が、基板又は表面のほぼ全体に堆積される工程を指し、「印刷」とは一般に、インク又は他の材料が、基板又は表面のいくつかの領域に既定のパターンで堆積される工程を指す。様々な実施形態では、コーティングには、スピンコーティング、スプレーコーティング、スリットコーティング、押出しコーティング、メニスカスコーティング、及び/又はペンコーティングが含まれることがある。他の実施形態では、印刷には、インクジェット印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、マイクロスポッティング、ステンシル、スタンピング、シリンジディスペンス、ポンプディスペンス、レーザフォワード転写、局所レーザCVD、及び/又はペンコーティングが含まれることがある。
【0019】
[0036]また、本明細書でその用法について文脈から特に示されない限り、「知られている」、「固定された」、「与えられた」、「特定の」、及び「既定の」の各語は一般に、値、量、パラメータ、制約、条件、状態、処理、手順、方法、実施、又はこれらの組合せを指し、すなわち理論上は不定であるが、通常は前もって設定され、その後の使用時には変わらない。加えて、「ドープされた」という語は、実質的に制御可能な量の任意のドーパントでドープされている(例えば、低濃度ドープされている、高濃度ドープされている、又は中間の任意のレベルでドープされている)材料を指す。
【0020】
[0037]本開示では、「本質的にIVA族元素から成る」という語句は、そのIVA族元素にいくつか所望の(また場合によって非常に異なる)電気的特性を与えることが可能な、意図的に付加されるドーパントを排除しない。「(ポリ)シラン」という語は、本質的に(1)シリコン及び/又はゲルマニウムと、(2)水素から成り、少なくとも10〜15個のシリコン及び/又はゲルマニウム原子を含有する化学種を主として含有する化合物、又は化合物の混合物を指す。このような化学種は、直鎖状、分枝状、又は架橋したものとすることができ、1つ又は複数の環状リングを含有することがある。「(シクロ)シラン」という語は、本質的に(1)シリコン及び/又はゲルマニウムと、(2)水素から成り、1つ又は複数の環状リングと10〜15個未満のシリコン及び/又はゲルマニウム原子とを含有しうる化合物、又は化合物の混合物を指す。好ましい一実施形態では、シランは化学式Siを有し、ここでxは3〜約200、yはx〜(2x+2)になり、xはシランの平均数分子量から導出することができる。「ヘテロ(シクロ)シラン」という語は、本質的に(1)シリコン及び/又はゲルマニウムと、(2)水素と、(3)従来の炭化水素、シラン又はゲルマニウムの置換成分で置換できるB、P、As又はSbなどのドーパント原子とから成り、1つ又は複数の環状リングを含有することがある化合物又は化合物の混合物を指す。
【0021】
[0038]本発明の様々な実施形態は、並列に接続された複数のコンデンサを備える監視及び/又は識別のタグ又はデバイスと、そのようなタグ又はデバイスを形成する方法とに関する。本発明の他の諸実施形態は、直列に接続された複数のコンデンサを備える監視及び/又は識別タグ又はデバイスと、そのタグ又はデバイスを形成する方法とに関する。本発明のさらに別の諸実施形態は、本明細書で説明する様々な監視/識別タグを使用して物品を検出する方法に関する。
【0022】
[0039]本発明を、その様々な態様において、例示的な実施形態に関して以下でより詳細に説明する。その実施形態は、主として監視及び/又はセキュリティのタグ/デバイスに関するが、本方法及び構造はまた、1つ又は複数のアンテナ及び/又はインダクタ、コンデンサ、並びにそれらの間の接続部を含む識別デバイス及び他の無線デバイスでも有用である。
【0023】
複数コンデンサを用いた例示的な監視及び/又は識別デバイス回路
[0040]本発明の諸実施形態によれば、デバイスが、並列に接続された複数のコンデンサ、及び/又は直列に接続された複数のコンデンサを有することができ、或いはこれらのコンデンサを有するデバイスを製造することができる。図1は、本発明による並列に接続されたコンデンサを用いて製造された例示的なデバイスの回路図を示す。図1に示されるように、2つのコンデンサC1とC2は並列に接続され、C1はC2より大きくすることができる。例示的な実施形態では、C1はC2よりかなり大きい。C1とC2の相対的な静電容量にもかかわらず、大きい方のコンデンサC1をより厚い誘電体で製造することができ、その結果コンデンサC1は、コンデンサC2よりもかなり広い面積を有することになる。このような大面積のコンデンサは、その大きな幾何学的フィーチャが、コンデンサを画定するために使用される印刷法又はパターニング法の許容範囲内にあるので、高精度の静電容量になるように製造することができる(例えば、全体の静電容量を精密に制御するために)。大面積のコンデンサC1の相対的に厚い誘電体膜は、非常に薄い誘電体膜で一般に可能であるよりも、その厚さをより高精度に制御することができる。対照的に、小さい方のコンデンサC2は、ずっと薄い誘電体を用いて製造され、そのためこの小さい方のコンデンサは、相対的に低い電圧で絶縁破壊することが可能である。一般に、コンデンサ絶縁破壊電圧が相対的に低く、制御可能であることは、監視又はセキュリティタグの機能停止で有用である。さらに、C2の静電容量はC1よりもずっと小さく、その結果C2は、C1と比較して相対的に低い精度で製造される可能性があるが、それでもなお、C2が正味静電容量C1+C2の全精度に及ぼす影響は相対的に小さい。
【0024】
[0041]図2は、本発明による直列に接続されたコンデンサを用いて製造された例示的なデバイスの回路図を示す。図2の例に示されるように、2つのコンデンサC1とC2は直列に接続され、共通電極(図2で「箔」と表示)を共用する。この実施例では、各静電容量は直列に加わって、式 1/CT=1/C1+1/C2で示されるCTの実効静電容量になる。C1=C2の場合、C1とC2の両方とも正味静電容量CTの2倍の静電容量であり、したがって、(面積で)静電容量CTを有する単一のコンデンサの大きさの2倍になる。その結果、これにより、コンデンサ領域を画定するために使用されることがあるどんな印刷法又はパターニング法でも、その大きさ(したがって製造マージン)を増大させることができる。
【0025】
複数コンデンサを用いた監視及び/又は識別デバイスを作製する例示的方法
[0042]並列及び直列のコンデンサを用いたデバイスを製造する例示的な実施形態をここで論じる。加えて、様々な実施形態で説明するデバイス、並びにそのようなデバイスの個別の構造を形成するために使用できる一般的な方法に関する詳細な考察もまたここで提示する。
【0026】
並列コンデンサを有するデバイスを作製する第1の例示的方法
[0043]並列に接続されたコンデンサを有する監視及び/又は識別デバイスを作製する第1の一般的方法を、図3A〜5Bに関してここで論じる。図3Aは、導電性ストラップ120(例えば、「フィーチャ」、「ライン」、「パターン」及び/又は「形状」)と、基板上に又は基板を覆うように形成された下部コンデンサ電極122とを有する基板110の上面図を示す。図3Aで正方形又は長方形を形成する破線は、集積回路が上にそれぞれ形成された基板のアレイが、それに沿って分離される線を表す。これらの線は、ポリマーシート又はポリマーウェブのミシン目、半導体ウェハ又はガラスシート若しくはガラス短冊上のスクライブ線、或いは金属シート又は金属箔がそれに沿って切断される線、又は個々の集積回路を互いに分離する線を表すことができる。図3Bは、図3AのA−A’軸に沿った断面図を示す。導電性ストラップ120は、ここで論じる図4A〜5Bに示されるように引き続き形成される(1つ又は複数の)上部コンデンサ電極とアンテナ/インダクタの間の電気的連通を行うように、基板上に形成される。
【0027】
i.基板の用意
[0044]一般に、無線タグ又はデバイスを製造するために使用される基板は、そのデバイスを作製する方法によってある程度決まる導電性、半導電性、又は絶縁性の材料を含むことができる。第1の例示的方法の好ましい変形形態では、基板は絶縁材料を含む。しかし、基板はまた、図3Cに示されるように、1つ又は複数の絶縁層を上に有する導電性又は半導電性の材料を含むこともできる。図3Cを参照すると、基板110は層状構造を備えることができる。例えば、基板110は、1つ又は複数の絶縁層が上にある(例えば、層104a及び/又は104b)金属(例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、銅など)の箔又はシート102(又は他の導電性/半導電性材料)を含むことができる。このような実施形態では、絶縁層104aは、金属基板の金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム)とすることができ、或いは、ブランケット堆積又は被覆された絶縁体層(例えば、二酸化シリコンなどのセラミック又はガラス、ポリマー、無機絶縁体、有機絶縁体など)とすることができる。第2の層104bが存在する場合には、それを基板の一部とすることもでき、一実施形態では、層104bは第1の絶縁層104aと同じ材料を含む。
【0028】
[0045]複数コンデンサを用いた例示的な監視/識別デバイス、及び/又はそれを形成する方法に関して、ここでは他の適切な導電性、半導電性、及び絶縁性の材料について説明する。導電性基板を含む実施では、導電性基板用の金属は、それが有効な誘電体になるよう陽極処理できることに少なくとも一部は基づいて、選択することができる。例示的な実施形態では、基板は、1〜200μmの公称厚さを有しうる(特定のEAS及び/又は監視デバイスなど、高いQが有利である実施形態では20〜100μmが好ましい)。さらに、導電性基板は0.1〜100μΩcm(好ましくは0.5〜80μΩcm)、又はその中の任意の範囲の値の抵抗を有することができる。加えて、後続の処理の前に、導電性基板は従来方法で清浄にし、平滑にすることができる。この表面前処理は、化学研磨、電解研磨、及び/又は酸化物剥離によって実施して、表面粗さを低減し、低品質の自然酸化物を除去することができる。このような処理についての説明は、P.G.Sheasby及びR.Pinnerの「The Surface Treatment and Finishing of Aluminum and Its Alloys」、第6版、ASM International、2001に記載されている。或いは、基板上に液相絶縁体前駆物質の溶液(例えば、スピンオンガラス(SOG)配合物)をスピンコーティング又はディップコーティングすることによって、絶縁層104a〜bの一方又は両方を形成することができる。いくつかの実施では、絶縁層104aは、本明細書で説明するブランケット堆積させる法(例えば、CVD、PVD、ALDなど)を用いて形成することができる。いくつかの変形形態では、デバイスを物品に付着させるための接着層(例えば、図3Cの104b)を、一般にはタグの残りの部分が製造された後に、基板の面(例えば、アンテナ及び/又はインダクタ、或いは他の回路要素がある界面の反対)に付加することができる。
【0029】
ii.導電性ストラップの形成
[0046]図3Bを再び参照すると、導電性ストラップ120が基板110上に形成されている。一般に、導電性ストラップ120は、当技術分野で知られている任意の適切な方法によって形成することができる。例えば、例示的な実施形態では、ストラップ120は、インクジェット印刷、マイクロスポッティング、ステンシル、スタンピング、シリンジディスペンス、ポンプディスペンス、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、レーザフォワード転写、及び/又は局所レーザCVDなどの印刷法で形成することができる。このような印刷法では、ストラップ120及び下部コンデンサ電極122は、基板上に導体インク(例えば、金属インク、金属前駆物質インクなど)を選択的に印刷することによって形成することができる。例示的な導体インク及びインク配合物については、本明細書で詳細に論じる。導電性基板110を含む実施形態では、ストラップ120は、当技術分野で知られている任意の適切な方法(例えば、本明細書で「誘電体膜層の形成」という題の節を参照)を用いて基板上にあらかじめ堆積させた絶縁層(例えば、図3Cの104a)上に印刷することができる。
【0030】
[0047]他の実施形態では、ストラップを形成することには、導電材料を基板110上(又は導電性基板上の絶縁層104a上)に堆積させること、次に、その導電材料をエッチングして所望のパターン(例えば、120/122)を形成することが含まれることがある。例えば、導電材料は、基板110上にブランケット堆積又は被覆することができる。次に、マスクで覆われていない導電材料の一部分(例えば、導電材料のマスクされていない領域)が選択的にエッチングされる。或いは、ストラップ120は、導電シード層を印刷し、次に、その上にバルク導体を電気めっき又は無電解めっきすることによって形成することができる。
【0031】
[0048]導電性ストラップ120は、ここで論じる導電材料/金属のどれを使用しても形成することができる。いくつかの実施形態では、ストラップ120及び下部コンデンサ電極(例えば、図3Aの構造物122)は、単一の処理シーケンス又はステップで同時に形成される。このような実施形態では、下部コンデンサ電極122は、並列コンデンサで共用する(又は共通にする)ことができる。このような実施では、ストラップ120及び下部コンデンサ電極122は、銀、金、銅、パラジウム、アルミニウム、タングステン、チタン、それらの多層積層板、又はそれらの導電性合金を含むことができ、或いは本質的にこれらで構成することができる。例示的な実施形態では、ストラップ120及び下部コンデンサ電極122は、引き続き形成される1つ又は複数の上部コンデンサ電極及び/又はアンテナ/インダクタと同じ材料を使用して形成することができる。しかし、本発明はそういうものとして限定されず、ストラップ120及び下部コンデンサ電極122は、(1つ又は複数の)上部/下部コンデンサ電極及び/又はアンテナ/インダクタと異なる材料を使用して作製することができる。
【0032】
iii.コンデンサ誘電体膜の形成
[0049]図3Bを参照すると、本方法はさらに、基板110の少なくとも一部分上、並びにストラップ120及び下部コンデンサ電極122の一部分上に又は当該一部分を覆うように、第1の(コンデンサ)誘電体膜130/132を堆積させる又は形成するステップを含む。いくつかの実施では、第1の誘電体膜130/132は、中間層誘電体膜(ILD)を備えることができる。したがって、例示的な実施形態では、誘電体膜130/132は、その厚さが2,000〜20,000Å、又はその中の任意の範囲の値になるように形成することができる。いくつかの実施では、誘電体膜130/132は、3,000〜5,000Åの厚さを有しうる。
【0033】
[0050]例示的な実施形態では、第1の誘電体膜130/132は、ストラップ120の一部分(例えば、既定の領域)を露出させて、下部コンデンサ電極122の一部分(例えば、既定の領域)を露出させる接触孔又は開口を形成する。接触孔を有する第1の誘電体膜130/132は、本明細書で詳細に説明する方法(例えば、ブランケット堆積、フォトリソグラフィとエッチング、印刷による選択的堆積など)のどれを用いても形成することができる。第1の誘電体層130/132は、引き続き形成されるアンテナ及び/又はインダクタと導電性ストラップ120の間の電気的分離(例えば、漏洩及び静電容量に関して)を行う。
【0034】
[0051]次に、コンデンサ誘電体膜140が導電性ストラップ120上に、ここで説明した第1の誘電体膜130の開口によって露出された領域を含んで、形成される。コンデンサ誘電体膜140は一般に、第1の誘電体膜130/132よりも著しく薄い。いくつかの代替実施形態では、相対的に薄いコンデンサ誘電体膜140は、第1の誘電体膜130/132を形成する前に、本明細書で説明する方法のどれかを用いて、ストラップ120及び下部コンデンサ電極122上に既定のパターンで形成することができる。いくつかの変形形態では、ストラップ120上に形成されたコンデンサ誘電体膜のある(1つ又は複数の)部分(例えば、図3Bの構造物142)は、選択的エッチングによって必要に応じて除去して、その後に、一般には接触孔内の部分140をマスキングして、それを薄いコンデンサ誘電体として(例えば、図1のコンデンサC2用に)使用するために保存した後に形成されるインダクタ及び/又はアンテナに電気的に接続するために、ストラップ120の一部分を露出させることができる。
【0035】
[0052]一般に、誘電体膜層(例えば、中間層誘電体及び/又は相対的に厚いコンデンサ誘電体層130/132、相対的に薄い誘電体層140など)、及びそこに形成される接触孔は、当技術分野で知られている技法及び材料を使用して作製することができる。例えば、いくつかの実施形態では、誘電体膜は、当技術分野で知られているブランケット堆積技法によって、デバイス全体を覆ってコーティング又は堆積される。例えば、誘電体膜層のブランケット堆積は、押出しコーティング、ブレードコーティング、ディップコーティング、リニアコーティング、スピンコーティング又は他のコーティング技法によって、或いは代替方法では、印刷又はディスペンスなどの局所堆積技法によって行うことができる。誘電体膜の選択された部分は除去されて(例えば、従来のリソグラフィとエッチングによって)、下の導電構造物(例えば、(1つ又は複数の)コンデンサ電極122、ストラップ120など)の所望の領域を覆うように(すなわち露出させるように)接触孔又は開口が形成される。
【0036】
[0053]いくつかの実施形態では、(1つ又は複数の)誘電体膜130/132及び/又は140/142は、真空蒸着法(例えば、化学気相成長(CVD)、プラズマ促進化学気相成長(PECVD)、低圧化学気相成長(LPCVD)、スパッタ堆積など)によって堆積させることがある。薄い誘電体140/142を形成する別の方法では、陽極処理を用いてMOS誘電体及び/又は非活性化誘電体を形成する。
【0037】
[0054]代替実施形態では、誘電体膜130/132及び/又は140/142は、誘電体前駆物質材料を堆積させ(例えば、印刷又は化学浴析出法で)、次に、その前駆物質を誘電体膜に変換することによって(例えば、乾燥させる、硬化させる、及び/又はアニーリングすることで)形成することができる。しかし、導電物質が高温(例えば200℃、250℃、550℃、600℃を超える、又は200℃を超える他の任意の温度)で処理することができないものである場合には、印刷又は気相成長など(例えば、CVD、物理的気相成長(PVD)など)の方法が好ましい。誘電体前駆物質材料には、液相誘電体前駆物質インクが含まれうる。一実施形態では、液相誘電体前駆物質インクは、化学式Aの化合物を含むことができ、ここでnは3〜12、各Aは別個にSi又はGe、yはn〜2n+2の偶整数であり、好ましくは化学式(AHの化合物を含むことができ、ここでnは5〜10、各Aは別個にSi又はGe、それぞれのnの場合でzは別個に1又は2である。対応するシリコン及び/又はゲルマニウムの酸化膜は、ここで説明した前駆物質膜を硬化することによって形成することができる。前駆物質材料が誘電体膜に変換された後、追加の金属酸化物(例えば、TiO、ZrO、HfOなど)、又は他の誘電体(例えば窒化シリコン、シリコンオキシナイトライド、アルミニウムオキシナイトライド、アルミノケイ酸塩など)を膜上に堆積させることができる。したがって、いくつかの変形形態では、誘電体膜は複数の層を含みうる。
【0038】
[0055]印刷の場合、その方法はまた、誘電体膜をパターニングする目的に役立つこともできる。誘電体膜のパターニングは、1つ又は複数の誘電体前駆物質材料を直接印刷することによって(例えば、インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、レーザフォワード転写などで)、又は間接パターニングすることによって(フォトマスク、熱又はレーザパターンによって露出されて現像される、光及び/又は熱パターニング可能な前駆物質材料を用いるなど、或いは従来のフォトリソグラフィ、エッチング、エンボス又は同様な技法などのパターニング法によって外部で)行うことができる。いくつかの実施では、エッチング法には、レーザアブレーション、機械的浸透、又は当技術分野で知られている他のエッチング若しくは誘電体除去技法が含まれうる。
【0039】
[0056]代替実施形態では、誘電体膜130/132及び/又は140/142は、構造物(例えば、基板、ストラップ、及び/又は下部電極)の1つ又は複数の既定の位置に選択的に堆積させて、所望のパターンを形成することができる。好ましい実施形態では、選択的堆積は、ここで論じた様々な印刷法及び技法のどれを用いても実施することができる。具体的には、いくつかの実施では、誘電体膜の層は、(i)液相化合物(例えば、誘電体前駆物質を含有する溶液、懸濁液、エマルジョン、インクなど)をデバイスの少なくとも既定の位置に、既定のパターンで、固有の解像度(例えば、最小レイアウト寸法、間隔、位置合わせ誤差限界(margin of error)、又はこれらの任意の組合せ)で印刷することによって、(ii)誘電体化合物を乾燥及び/又は硬化させて(例えばアニーリングで)誘電体膜を形成することによって、形成することができる。このような実施形態では、必要に応じてスピンオンガラス及び/又は窒化ホウ素などの材料をデバイス上に選択的に印刷することができる。他の適切な誘電体材料及び誘電体前駆物質インクについては、本明細書で詳細に説明してある。
【0040】
[0057]好ましい変形形態では、液相誘電体材料(例えば、本明細書で説明する誘電体前駆物質インク)は、必要に応じて下部導電構造物(例えば、120及び/又は122)の1つ又は複数の部分を露出するための接触孔又は開口が形成されるように、構造物上に選択的に印刷することができる。代替形態では、誘電体膜/層は、基板全体を覆うように印刷し、次に、引き続き形成される構造物をマスクとして使用しエッチングして、所望の誘電体膜パターンを形成することができる。
【0041】
[0058]例示的な実施形態では、誘電体膜130/132及び/又は140/142は、熱酸化及び/又は化学酸化法によって形成することができる。いくつかの実施では、誘電体膜は、導電性の膜、基板又は他の構造物(例えば、液体の酸化/窒化前駆物質)を酸化及び/又は窒化することによって形成する(例えば、成長させる)ことができる。これは一般に、酸化及び/又は窒化雰囲気の中で行うことができる。例えば、誘電体膜は、構造物上に印刷された液体シランを酸化することによって、或いは、酸化又は窒化できる他の導電材料(例えば、シリコン、アルミニウム、クロム、ハフニウムなど)でその構造物を被覆することによって、形成することができる。代替形態では、誘電体膜は、誘電体前駆物質(例えば、テトラアルキルシロキサン、テトラアルコキシランなどのSiO前駆物質)を堆積させ(例えば、液相を印刷することで、又は化学浴析出法で)、その後その前駆物質を誘電体膜に変換することによって(例えば、乾燥させる、硬化させる、及び/又はアニーリングすることで)、形成することができる。一実施形態では、相対的に薄いコンデンサ誘電体膜140は、陽極処理によって、又は代替方法として、本明細書で説明するストラップ及び下部電極120/122を化学的又は熱的に酸化及び/又は窒化することによって、ストラップ120及び下部コンデンサ電極122上に成長させ、相対的に厚い誘電体膜130/132は、本明細書で説明するブランケット堆積又は印刷法によって基板上に堆積させる。いくつかの代替実施形態では、誘電体膜130/132及び/又は誘電体膜140/142は、原子層堆積(ALD)によって形成することができる。
【0042】
[0059]上述の印刷法及び/又はコーティング法で使用される液相誘電体前駆物質インクは、本明細書で説明するガラス形成配合物、有機誘電体、酸化シリコン前駆物質、又は分子及び/又はナノ粒子ベースのシリコン配合物を含むことができる。対応する誘電体膜は、前駆物質膜(例えば、IVA族元素の前駆物質膜)を酸化雰囲気中において300℃、350℃、又は400℃以上の温度で、ただし導電性基板を含む実施形態ではその基板の溶融温度未満で、硬化させることによって形成することができる。硬化は、酸素、オゾン、NO、NO、又は他の酸化ガスの存在下で行うことができ、この酸化ガスは、窒素、アルゴン又はヘリウムなどの不活性キャリアガスで希釈することができる。代替形態では、他の溶液ベースの誘電体(例えば、有機誘電体)を印刷又は他の従来のコーティングステップで塗布することができる。
【0043】
[0060]誘電体膜は、本明細書で論じる任意の適切な電気絶縁誘電体材料を使用して形成することができる。様々な実施形態では、相対的に薄い誘電体膜(例えば、図3の構造物140)は、Q、誘電体膜の厚さなどの要素に応じて、その厚さが50〜500Åになり、及び/又は約5V〜50V未満までの、好ましくは4V〜15Vの絶縁破壊電圧を有するように形成される。このような薄い膜は、有利には熱酸化及び/又は化学酸化によって形成される。しかし、各誘電体膜(例えば、第1の誘電体膜、コンデンサ誘電体膜、ILDなど)の厚さは、静電容量を制御するために、及び/又は誘電体膜を破壊する目的の電圧を制御するために、必要に応じて調整することができる。
【0044】
iv.(1つ又は複数の)上部コンデンサ電極の形成
[0061]図4Aは、第1の誘電体膜130/132及び相対的に薄いコンデンサ誘電体膜140上に形成された上部コンデンサ電極160の上面図を示す。図4Bは、図4AのA−A’軸に沿った断面図を示す。一般に、上部コンデンサ電極160は、下部コンデンサ電極122と容量性結合され、並列に接続された第1及び第2のコンデンサを形成する。例示的な実施形態では、第2のコンデンサは、相対的に厚いコンデンサ誘電体膜(例えば、第1の誘電体膜130/132)を含み、コンデンサ誘電体膜140にまたがって形成される第1のコンデンサよりもずっと大きい面積を有する。したがって、第2のコンデンサは、第1のコンデンサよりも大きい静電容量を有する。
【0045】
[0062]一般に、様々な実施形態(例えば、上部及び/又は下部コンデンサ電極)の(1つ又は複数の)コンデンサ電極は、当技術分野で知られている任意の適切な技法(例えば、ブランケット堆積、フォトリソグラフィとエッチング、印刷など)を用いて形成することができる。例えば、様々な実施で、導電材料(例えば、有機金属前駆物質及び/又は金属ナノ粒子などの金属の化合物及び/又はナノ粒子)を含有するインク(例えば、導体インク、金属前駆物質インク、半導体インクなど)をスピンコーティングすることによって、導電材料がブランケット堆積され、このインクは、その後に硬化又はアニーリングされる。好ましい代替実施形態では、金属インクは、溶剤中に所望の金属(例えば、シリサイド形成金属)の前駆物質を含むインクを印刷することによって選択的に堆積され、その後に乾燥、硬化、及び/又はアニーリングされる。
【0046】
[0063]導電性(例えば、金属含有)材料は、ここで説明する技法のどれを用いても印刷することができる。印刷法では、印刷される金属層の厚さのより優れた制御が可能になり、したがって、上部電極の厚さのより優れた制御が可能になる。例えば、より厚い上部電極が必要な場合、滴の数、滴の体積、又はインク量を増加させればよい。より厚い電極(例えば、金属層)はまた、厚い電極(例えば、低い抵抗を有する)が必要な領域内の滴間のピッチを縮小することによって実現することもできる。さらに、印刷法では、印刷されるインクの接触角を局所的に変化させることも可能である。実例を示すと、それぞれ異なる金属高さ/厚さ及び/又は線幅を単一の印刷ステップで得ることができるように、基板の表面エネルギーを局所的に変化させるように構成された予備印刷ステップを実施することができる。例えば、導電材料が印刷されるべき表面は、金属前駆物質インクを選択的に堆積させる前に、HF水溶液を含むエッチング溶液内でエッチングすることができる。エッチング溶液は、希釈HF水溶液を含み、又は代替形態では、緩衝酸化物エッチング溶液(例えばHF/NHF水溶液)を含むことが好ましい。第2の例では、印刷面は、例えば、露出した一方の表面エネルギーを他方に対して(例えば、シリコンの表面エネルギーを(1つ又は複数の)酸化物に対して)選択的に変化させるのに十分なだけの時間で、フルオロカーボン(例えば、CF、Cなど)ガスと酸素(例えば、O、O、NO)ガスの組合せを用いるプラズマ処理によって、修正することができる。
【0047】
[0064]様々な実施では、導体インクは、本明細書で説明する元素金属(例えば、チタン、タングステン、ニッケル、パラジウム、白金など)のいずれかの前駆体物質を含みうる。加えて、又は代替方法として、導体インクは、このような元素金属から成るアルミニウム−銅合金、アルミニウム−シリコン合金、アルミニウム−銅−シリコン合金、チタン−タングステン合金、モリブデン−タングステン合金、アルミニウム−チタン合金などの従来の合金を含むこともできる。他の実施では、元素金属の窒化物及び/又はシリサイドなど(例えば、窒化チタン、チタンシリサイド、TiSiN、窒化タンタル、コバルトシリサイド、モリブデンシリサイド、タングステンシリサイド、WN、WSiN、白金シリサイドなど)の導電金属化合物を導体インク配合物に使用することができる。このような印刷可能なシリサイド形成前駆物質配合物は、4族、5族、6族、7族、8族、9族、10族、11族、又は12族の1つ又は複数の金属塩及び/又は金属錯体と1つ又は複数の溶剤を組み合わせ、配合物を形成するようにその(1つ又は複数の)溶剤中でそれらの(1つ又は複数の)金属塩及び/又は(1つ又は複数の)金属錯体を溶解することによって、作製することができる。例示的な実施形態では、配合物中の溶剤は、その配合物のコーティング及び/又は印刷を容易にするように構成され、配合物は、(1つ又は複数の)金属塩及び/又は(1つ又は複数の)金属錯体が元素金属又はその合金に還元するとガス状又は揮発性の副生成物を生成する成分を含み、又は本質的にその成分から成る。
【0048】
[0065]他の実施では、金属/導体インクは、金属ナノ粒子、有機金属化合物、及び金属塩から成る群から選択された1つ又は複数の金属前駆物質を、(1つ又は複数の)金属前駆物質が可溶の溶剤中に含む。例示的な実施では、導体インクの金属は、660℃、800℃、900℃、1000℃よりも高い温度、又は660℃よりも高い温度のいずれかなどの高温処理に耐えることができる。例としては、クロム、モリブデン、タングステン、ニッケル、パラジウム、白金、及びそれらの従来の金属合金(例えば、ニッケル−クロム合金、チタン−タングステン合金、モリブデン−タングステン合金など)が含まれる。
【0049】
[0066]いくつかの変形形態では、コンデンサ電極用のインク前駆物質は、シリコン、シリサイド形成金属(例えば、Ni、Co、Pd、Pt、Ti、W、及び/又はMo)、耐熱金属(例えば、Pd、Mo、及び/又はW)、又はこれらの組合せのナノ粒子及び/又は分子、オリゴマー化合物及び/又はポリマー化合物を含みうる。インク配合物中のナノ粒子又はナノ結晶は、不動態化又は非不動態化することができる。
【0050】
[0067]例示的な実施形態では、金属含有インクは、インクの1〜50重量%(又はその中の任意の範囲の値)の量の金属前駆物質(例えば、金属含有材料)と、金属含有材料が可溶の溶剤とを含み、又は本質的にそれらで構成することができる。例示的な実施形態では、金属インクは、本明細書で説明する元素金属(例えば、アルミニウム、ニッケル、金、パラジウム、白金など)のいずれか、又はそれらの合金を含む。
【0051】
[0068]いくつかの実施形態では、インク配合物は、1つ又は複数の4族、5族、6族、7族、8族、9族、10族、11族、又は12族の(1つ又は複数の)金属塩及び/又は(1つ又は複数の)金属錯体と、配合物のコーティング及び/又は印刷を容易にするように構成された1つ又は複数の溶剤とで本質的に構成することがある。任意選択で、配合物は、金属塩又は金属錯体が元素金属又はその合金に還元するとガス状又は揮発性の副生成物を形成する1つ又は複数の添加物を含みうる。別の実施形態では、インク配合物は、溶剤への金属塩又は金属錯体の溶解を容易にするように構成されたアニオン源でさらに本質的に構成することがある(又は添加物がこのアニオン源を含むことがある)。
【0052】
[0069] いくつかの実施では、導体インクは半導体を含む。様々な実施形態で、半導体は高濃度ドープすることができる。シリコン又はシリコン−ゲルマニウムの場合、ドーパントは、通常は従来の濃度(例えば、1017〜1021、1018〜1021、1219〜1021原子/cm、又はその中の任意の範囲の値)のホウ素、リン及びヒ素から成る群から選択することができる。適切な半導体インクは、液相(ポリ)及び/又は(シクロ)シランをさらに含みうる。液相半導体インクは、半導体ナノ粒子(不動態化したSi、Ge又はSiGeのナノ粒子)、及び/又は溶剤(例えば、有機溶剤又はその混合物、NH、HO、C〜C10アルコール、シクロアルカンなど)をさらに含むことができる。このような配合物のナノ粒子又はナノ結晶は、アルキル、アラルキル、アルコール、アルコキシ、メルカプタン、アルキルチオ、カルボキシル酸、及び/又はカルボキシル基などの1つ又は複数の界面活性剤又は表面リガンドを用いて従来方法で不動態化することができる。代替形態では、ナノ粒子/ナノ結晶は非不動態化することができる。
【0053】
[0070]他の実施形態では、半導体インクは、1つ又は複数の半導体化合物(例えば、SiGe又はSiCなどの(ドープした)IV族化合物、GaAsなどのIIIB族化合物、CdS、ZnO及びZnSなどのカルコゲニド半導体、有機半導体など)、及び/又は1つ又は複数の半導体ナノ粒子(例えば、Si、SiGeなど)を、ナノ粒子/化合物が可溶又は懸濁可能な溶剤(例えば、1つ又は複数のハロゲンで置換できるC〜C20の分枝又は非分枝アルカン、シクロヘキサン、シクロオクタン又はデカリンなどのC〜C20シクロアルカン、トルエンなどのC〜C10芳香族溶剤、キシレン、テトラリン、合計で少なくとも4つの炭素原子を有するジC〜C10アルキルエーテル、及び/又はテトラヒドロフラン又はジオキサンなどのC〜C10環状アルキルエーテルなど)と共に含むことがある。インク配合物はまた、表面張力低減剤、界面活性剤、結合剤及び/又は濃化剤を含むこともできる。しかし、このような添加物又は助剤は省くこともできる。
【0054】
[0071]いくつかの実施形態では、(1つ又は複数の)(上部)コンデンサ電極160は、2つ以上の金属前駆物質の混合物として、又は代替方法として1つ又は複数の金属前駆物質と1つ又は複数の半導体前駆物質の混合物として、印刷することがある。他の実施形態では、2つ以上の金属インクを引き続き印刷し、積層として乾燥させることがある。混合物及び/又は積層は、任意選択で形成中又は形成後に加熱し、又は他の方法で反応させて、(半)導体層160を形成することができる。
【0055】
[0072]印刷された金属含有/前駆物質インクは、インク中の溶剤をすべて除去するのに十分なだけの温度及び時間で基板を加熱することによって乾燥させることができる。溶剤を除去する温度は、約80℃〜約150℃の範囲であり、又はその中の温度のいずれかの範囲(例えは、約100℃〜約120℃)である。これらの温度範囲内で、印刷されたインクから溶剤を除去するための時間は、約1秒〜約10分、10秒〜約5分、又はその中の時間の他のいずれかの範囲(例えば、約30秒〜約5分、約1分〜約3分など)である。加熱は、従来のホットプレート上、或いは従来の炉又はオーブンの中で行うことができる。任意選択で、加熱は、空気、O、オゾン、NO若しくは水蒸気、又はこれらの組合せなどの不活性雰囲気中で行うこともできる。
【0056】
[0073]金属含有インクを乾燥させて溶剤を除去した後、残りの材料は、所望の電気的及び/又は物理的特性、並びに下の誘電体層との適切な接着を得るのに十分なだけの温度及び時間でアニール処理(例えば、硬化)を施すことができる。アニール温度は、約100℃〜約300℃の範囲であり、又はその中の温度のいずれかの範囲(例えば、約150℃〜約250℃など)である。アニール時間は一般に、約1分〜約2時間の範囲である。好ましい実施形態では、金属含有膜は、約10分〜約1時間、又はその中の任意の範囲の値(例えば、約10分〜約30分など)でアニールされる。
【0057】
[0074]様々な実施形態で、アニールは、炉又はオーブンの中で、また任意選択により、本明細書で説明する不活性又は還元雰囲気中で行われる。例えば、金属含有前駆物質膜は、還元剤にさらし、物質に応じて周囲温度よりも高い温度から約200〜400℃までの範囲の温度で加熱することができる。この処理は特に、基板を相対的に高い温度で処理できない実施形態で有利である(例えば、アルミニウム箔、ポリカーボネート、ポリエチレン及びポリエチレンエステル、ポリイミドなど)。密閉可能なオーブン、炉、又は真空源及び還元/不活性ガス源を備えて構成された急速熱アニール炉を使用して、不均一還元のための還元雰囲気及び熱(熱エネルギー)を与えることができる。他の実施形態では、金属前駆物質膜は、雰囲気を慎重に制御できる装置(例えば、グローブボックス又はドライボックス)内で熱源(例えば、ホットプレート)を使用して、元素金属に熱分解されることがある。
【0058】
[0075]いくつかの実施形態では、(1つ又は複数の)コンデンサ電極を形成することは、半導体層/成分(例えば、シリコン及び/又はゲルマニウムなどの1つ又は複数の(ドープされた)IVA族元素、GaAsなどの「III〜V族」材料、及び/又は有機又はポリマー半導体を含む元素前駆物質インク)を50〜200nmの厚さで堆積させることを含むことがある。適切な液相IVA族元素前駆物質インクについては、本明細書で論じる。
【0059】
[0076]いくつかの実施形態では、(半)導体層は、電気(無電解)めっき処理によって形成することがある。これらの実施形態では、印刷された金属層(例えば、Pd、Pt、Coなど)は、他の金属(例えば、Ag、Cu、Niなど)の無電解堆積又は無電解めっきのための、及び/又は、必要であれば金属シリサイドを形成するためのシード層としての役割を果たすことができる。導電金属(例えば、バルク導電金属)を金属シード層上及び/又は金属シリサイド上にめっきすることができる。得られた構造物は、その後アニールしてシリサイドとめっきされた金属との間の電気的接触を改善することができる。清浄化及び/又は表面粗面化ステップを誘電体層に施し、及び/又はその誘電体層を金属インクが印刷される前にエッチングして、めっきされる金属の誘電体層への接着を改善することができる。導電金属をめっきすることは、無電解めっきすること、又は電気めっきすることを含みうる。これらの実施形態では、金属のシード層を形成するために使用されるインクは、PdCl含有インクなどの中のナノ粒子及び/又は化合物ベースの金属とすることができる。他の実施形態では、シード層は、コバルト、ニッケル、白金、パラジウム、チタン、タングステン又はモリブデンを含む金属ナノ粒子を含むことがある。しかし、好ましい実施形態では、シード層はパラジウムを含む。導電金属は、Al、Ag、Au、Cu、Pd、Pt、Ni、Cr、Mo、W、Ru、Rh、及びこれらの合金及び/又は混合物を含みうる。任意選択で、バルク導電金属をさらにアニールして、1つ又は複数の物理的及び/又は電気的特性を改善することもできる。
【0060】
[0077]監視/識別デバイス内に使用されるコンデンサ(例えば、MOSコンデンサ回路)の周波数応答を改善し、デバイス内の回路のために低い直列抵抗を実現することが一般に望ましい。こうすると、高周波動作(例えば8.2MHz又は13.56MHzを含む、例えば125kHz以上の範囲)が可能になる。十分に低い直列抵抗、及び/又は高められた周波数応答を得るために、上部コンデンサ電極を形成するために使用される材料を再結晶させることができる。再結晶法では、導電層/電極のキャリア移動度及び/又はドーパント活性化を改善することができる。10cm/Vsに近い、またそれ以上の高い移動度が、低損失及び/又は高い実効Qのために必要とされうる。低損失には一般に、好ましくは回路全体で5Ω未満の低い直列抵抗が、少なくとも10Ω、好ましくは≧10Ω、最も好ましくは>10Ωの大きな並列抵抗(一般に低漏洩誘電体によって得られる)と共に必要になる。高い実効Qにより、MHz範囲の周波数以上で低い界磁及び/又は高い読取り範囲の動作が実現する。
【0061】
[0078]いくつかの実施形態には、低濃度又は高濃度ドープできる半導体層を印刷することによってコンデンサ電極を形成することを含むことがある。半導体材料を高濃度ドープすること、又は代替方法としてシリサイド化することによりまた、監視/識別タグMOSコンデンサ回路の周波数応答を高め、したがって直列抵抗を減少させることもできる。ドープされた半導体層は、従来方法で従来の半導体ドーパントを注入し、固体又は気体のドーパント源からそのドーパントを半導体材料中に拡散させ、B又はP含有(シクロ)シランなどのドープされた半導体又は半導体前駆物質を印刷することによって、及び/又はドープされた半導体層又はドーパント拡散ソース層のレーザフォワード転写によって、形成することができる。
【0062】
[0079]他の実施形態では、監視/識別デバイスのCV傾斜を制御し、また半導体構成要素の直列抵抗を低減するために、活性半導体層のバルク内で相対的に低いレベルのドーピング(電気的に活性のドーパント原子の濃度が<5×1018cm−3)を行うことが望ましいことがある。こうすると、より高いQ及び/又はより高い高周波動作が得られることになりうる。
【0063】
v.アンテナ及び/又はインダクタの形成
[0080]本方法の実施形態によれば、アンテナ及び/又はインダクタを構造物上に形成し、コンデンサ(例えば、下部コンデンサ電極及び/又は上部コンデンサ電極)及び導電性ストラップと結合又は電気的に接続して、監視及び/又は識別タグ又はデバイスを形成することができる。このアンテナ及び/又はインダクタは、アンテナ、インダクタ、又は両方を含みうる。第1の一般的な方法では、図5A〜5Bに示されるように、アンテナ及び/又はインダクタ170(接触パッド領域172及び174を含みうる)は、上部コンデンサ電極160及びストラップ120上に形成され、それらと電気的に接続される。図5Bは、上部コンデンサ電極及びストラップ上に形成されたアンテナの、図5AのA−A’軸に沿った断面図を示す。例示的な実施形態では、第1の相互接続部/接触パッド172(図5A及び図5Bに示す「外側接触パッド」)は、導電性ストラップ120の第1の誘電体膜132で覆われていないところと電気的に接触するようにアンテナ/インダクタ上に形成される。同様に、第2の相互接続部/接触パッド174(図5A及び図5Bに示す「内側接触パッド」)もまた、上部コンデンサ電極160と電気的に接触するようにアンテナ/インダクタ上に形成される。例示的な実施形態では、相互接続部/接触パッド172/174は、金属バンプ又は異方性導電ペースト(ACP)を含みうる。
【0064】
[0081]一般に、アンテナ/インダクタは、本明細書で説明する方法のどれを用いても形成することができる。アンテナ/インダクタは、タグ又はデバイス上に配置するのに適した形状及びサイズで形成することができ、本明細書で説明する導電材料のどれを用いても作製することができる。例えば、アンテナ/インダクタは、1〜100μmの厚さで、0.1〜100μΩcm(又は、その中の任意の範囲の値)の抵抗を有して形成することができ、インダクタ/アンテナは、タグ/デバイス上で適合する(例えば、コイル又はらせん形状など)任意の形状及び/又はサイズで形成することができる。
【0065】
[0082]アンテナ/インダクタは、当技術分野で知られているブランケット堆積法、フォトリソグラフィマスキング法、及びエッチング法によって形成することができる。一実施形態では、アンテナ/インダクタ用の金属/導体は、ポリマーなどの絶縁材料のシート、フィルム又はウェブ上に印刷又はブランケット堆積される。ポリマーシート上にブランケット堆積される場合、フォトリソグラフィマスキング及びエッチングで、ロールツーロール法によって図4A〜Bの並列コンデンサ構造に容易に付けることができる支持アンテナを形成することができる。次に、アンテナ170〜174は、アンテナとデバイスの間に導電又は非導電の接着剤、又は超音波接合若しくは摩擦接合を用いるなど、比較的費用がかからない様々な技法及び/又は機構を用いて電気的に接続することができる。例えば、いくつかの実施形態では、アンテナ及び/又はインダクタは、導電又は非導電の接着剤をアンテナ/インダクタ(及び/又は上部コンデンサ電極160及びストラップ120)に塗布し、次に、アンテナ及び/又はインダクタとアンテナを取り付ける基板とに圧力を加えることによって、コンデンサ122/160及び/又は導電性ストラップ120に取り付けることがある。
【0066】
[0083]いくつかの変形形態では、アンテナ/インダクタは、第2の基板、アプリケータシート、又は他のバッキング上に形成し、その後、デバイス及び/又はアンテナ/インダクタに塗布される導電接着剤を使用して第1の基板(例えば、コンデンサ電極及びストラップを有する基板)に移動又は取り付けることができる。代替実施形態では、取付け方法として、接着剤で接合すること、並びに、ワイヤボンディグにより(1つ又は複数の)電気的相互接続部を確立すること、異方性導電エポキシ接合、超音波、ロールツーロール取付け、バンプ接合、又はフリップチップ手法など、様々な物理的接合技法が含まれうる。この取付け方法は、熱、時間、摩擦又は超音波エネルギー(例えば、インダクタの接触パッドとコンデンサ電極の間の)、及び/又は紫外線露光を使用することを伴うことが多い。一般に、200℃未満の温度(例えば、90〜120℃など150℃未満)、又は200℃未満の値の他のいずれかの範囲の温度が使用される。次に、アンテナ/インダクタを有するバッキング又は第2の基板は、デバイス上に下向きに置かれ、十分な圧力が第2の基板の裏側に加えられて、デバイス内の構造物を破壊することなくアンテナ/インダクタをデバイスに接着させる。第2の基板は残存してもよく、或いは必要に応じて除去することもできる。次に、アンテナ/インダクタは、第1及び第2のコンデンサとストラップの間に電気的に接続される。
【0067】
[0084]好ましい実施形態では、アンテナ及び/又はインダクタ170〜174は、本明細書で説明する印刷法のどれかを用いて金属インク又は導体インクを印刷(例えば、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷など)することによって形成することができる。インク配合物はさらに、乾燥及び/又は硬化させて(例えば、アニールによって)、アンテナ/インダクタ170〜174を形成することができる。適切な金属インク/前駆体インクについては、本明細書で詳細に説明してある。いくつかの実施形態では、アンテナ及び/又はインダクタ170〜174は、上部コンデンサ電極160及びストラップ120上に連続パターン(例えば、一体構造物)として印刷することがある。しかし、本方法はそういうものとして限定されない。反対に、アンテナ/インダクタ170〜174は、複数コイル構造(例えば、2つ又は3つ以上のコイル)を備えることができる。
【0068】
[0085]別の実施形態では、追加の支持層又はバッキング層をアンテナ/インダクタ170〜174の表面に追加して、特に後続の処理ステップ中のさらなる機械的支持、安定性、及び/又は保護をデバイスに与えることがある。このようなバッキング層は、紙又は可撓性ポリマー材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、電気絶縁性ポリイミド、ポリスチレン、これらのコポリマーなど)に、熱及び/又は接着剤を使用することによる積層化によって付加することができる。バッキングが有機ポリマーを含む場合、ディップコーティング、押出しコーティング又は他の厚膜コーティング技術によって、液体前駆物質からバッキング層を塗布することも可能である。デバイスに機械的支持を与えることに加えて、支持層及び又はバッキング層はまた、後続の、追跡又は監視されるべき物品上への監視/識別デバイスの取付け又は配置のために、接着面を設けることもできる。
【0069】
vi.不動態化層の形成
[0086]図3A〜5Bには示されていないが、いくつかの実施形態では、(1つ又は複数の)本方法は、基板上の構造物(例えば、アンテナ/インダクタ、コンデンサ電極、導電性ストラップなど)を覆って不動態化層を形成することをさらに含むこともある。不動態化層を形成すると、集積回路/デバイスの劣化又は故障を引き起こしうる水、酸素、及び/又は他の化学種の侵入を抑制又は防止することができる。不動態化層を形成するための適切な材料、並びに例示的な指標(例えば、長さ、幅、厚さなど)については、複数コンデンサを用いた例示的なデバイスに関して詳細に説明してある(例えば、本明細書の「不動態化層」という題の(1つ又は複数の)節を参照)。
【0070】
[0087]不動態化層は、構造物の上面を、ポリシロキサン及び/又は、シリコン及び/又はアルミニウムの窒化物、酸化物及び/又はオキシニトライドなどの1つ又は複数の無機バリア層で、及び/又はパリレン、フッ化有機ポリマー又は当技術分野で知られている他のバリア材料などの1つ又は複数の有機バリア層で、被覆することによって形成することができる。いくつかの変形形態では、不動態化層は、本明細書で説明する方法のどれを用いても形成できる下の誘電体層を含むことができる。下の誘電体層は、上の不動態化層よりも小さい応力を有する材料から形成することができる。例を示すと、下の誘電体層は酸化物(例えば、SiO、TEOS、ドープしていないシリケートガラス(USG)、フルオロシリケートガラス(FSG)、ボロホスホシリケートガラス(BPSG)など)を含むことができ、不動態化層は、窒化シリコン又はシリコンオキシニトライドを含むことができる。いくつかの実施形態では、不動態化層は、回路の様々な活性構成要素を分離する(1つ又は複数の)誘電体層(例えば、誘電体層130/132)の厚さよりもわずかに厚くなることがある。
【0071】
並列コンデンサを有するデバイスを作製する第2の例示的方法
[0088]並列に接続されたコンデンサを有する監視及び/又は識別デバイスを作製する第2の一般的方法を図6A〜9Bを参照してここで論じる。図6A及び図6Bはそれぞれ、アンテナ及び/又はインダクタ270が上に形成された基板210の上面図及び断面図を示す。具体的には、図6Bは、図6AのA−A’軸に沿った断面図を示す。第1の例示的方法と同様に、並列コンデンサを用いたデバイスを作製する第2の例示的方法もまた、導電性基板、半導電性基板、又は絶縁性基板を含みうる。しかし、様々な実施形態で絶縁性基板が好ましい。導電性基板を含むいくつかの実施では、基板は、本明細書で説明され、図3Cに示されるように、1つ又は複数の絶縁層を上に有することができる。
【0072】
i.アンテナ及び/又はインダクタの形成
[0089]図6A〜6Bに示されるように、第2の例示的方法では、アンテナ及び/又はインダクタ270は構造物210上に形成される。アンテナ/インダクタは、本明細書で説明するどの(1つ又は複数の)導電材料も含むことができ、パターニングされた層又はフィーチャを形成するための本明細書で開示する方法のどれによっても形成することができる。例示的な実施形態では、相互接続パッド及び/又は接触パッド272をアンテナ/インダクタ270の一端に形成して、インダクタ/アンテナ270を上部コンデンサ電極(例えば、図9Aの構造物260)に電気的に接続するための、その後に形成される導電性ストラップ(例えば、図9Aの構造物220)用の相互接続部位を設けることができる。加えて、第2の相互接続パッド及び/又は接触パッド274もまた、アンテナの一端に形成して、その後に形成される下部コンデンサ電極(図7Bの構造物250)に電気的に接触させることができる。
【0073】
[0090]図6A〜9Bには示されていないが、いくつかの変形形態では、第2の相互接続/接触パッド274はまた、下部コンデンサ電極としての役割を果たすこともできる。そのような実施形態では、アンテナを基板上に(例えば、印刷で)形成しなくてもよい。反対に、いくつかの実施形態では、基板は導電性基板を含み、他の構造物(例えば、誘電体膜、コンデンサ電極、導電性ストラップなど)が基板上に形成された後に、アンテナ及び接触パッド(接触パッド/下部コンデンサ電極274を含む)を導電性基板からパターニングしエッチングすることがある。例えば、導電性基板は、標準的なウェット(例えば、酸水溶液)エッチング、又はドライ(例えば、塩素、三塩化ホウ素)エッチングでエッチングして、アンテナ及び/又はインダクタを形成することができる。(1つ又は複数の)パターニング及び/又はエッチングステップは、熱、光又は電気による支援をすることができる。代替実施形態では、導電性基板はまた、切削加工、レーザ切断、スタンピング、又は打ち抜きなどの直接的手段によってパターニングすることもできる。
【0074】
ii.中間層誘電体膜の形成
[0091]次に、図6Cを参照すると、中間層誘電体膜230(ILD)をアンテナ/インダクタ270及び基板210上に形成することができる。図6Dに示されるように(例えば、接触パッド274上に)少なくとも1つの接触孔234が、引き続き形成される第1及び第2の並列コンデンサとの電気的接続を容易にするために、誘電体膜内に形成される。結果として得られるILDパターン232が図6Dに示されている。接触パッド274が下部コンデンサ電極としての役割を果たす実施形態では、誘電体膜内の接触孔又は開口(例えば、図6Dの構造物234)は、相対的に小さくなりうる。誘電体膜230/232及び接触孔234は、中間層誘電体(例えば、図3B〜5Bの誘電体層130/132)及び開口(例えば、図3B〜5Bの誘電体層部分130と132の間の、コンデンサ誘電体層140が形成される空間)を形成するための本明細書で説明する技法のどれを用いても形成することができる。例えば、誘電体層230は、本明細書で説明する技法のどれを用いても、図6Cに示されるように全構造物を覆ってブランケット堆積又は被覆することができる。次に、誘電体膜230を引き続きエッチングして、図6Dに示されるように、接触パッド274を露出させる接触孔234を形成する。代替方法として、例示的な実施では、誘電体層232は、図6Bに示される構造物上に、接触孔234を中に含む既定のパターンとして選択的に印刷することもできる。
【0075】
iii.下部コンデンサ電極の形成
[0092]図7Aは、基板上に形成された下部コンデンサ電極250の上面図を示す。図7Bは、図7AのA−A’軸に沿った断面図を示す。一般に、下部コンデンサ電極250は、アンテナ/インダクタ270の接続部又は相互接続パッド274上の、接触孔(例えば、図6Dの構造物234)の中に形成される。下部コンデンサ電極250はまた、パッド274に隣接する中間層誘電体膜232の一部分上に形成することもできる。下部電極は、本明細書で説明する導電性材料のどれでも含むことができ、導電性材料を形成するための本明細書で説明する技法のどれを用いても形成することができる。アンテナの接触パッド274が下部コンデンサ電極としての役割を果たす変形形態では、下部コンデンサ電極を形成するステップは削除することができ、或いはアンテナを形成するステップと一緒にすることができる。
【0076】
[0093]コンタクトパッド274が下部コンデンサ電極としての役割を果たす実施形態は、この方法により(例えば、下部コンデンサ電極を別に形成するための)印刷ステップがなくなり、一般により薄いデバイス又はタグが得られるので有利なことがあるる。一方で、下部コンデンサ電極270がアンテナ/コンタクトパッド274上に形成される実施形態は、下部コンデンサ電極を別のステップで形成することが電極のサイズ、形状及び特性に対するより優れた制御、したがってC1対C2の静電容量比(図1参照)に対するより優れた制御を可能にするので、有利なことがある。例えば、下部コンデンサ電極は、それが印刷される場合、接触パッド274の面積と比べて大きな面積を有することができる。加えて、下部コンデンサ電極は、アンテナ/接触パッド274を形成するのに使用される材料と異なる材料を使用して、(例えば、印刷することにより)形成することができる。こうすることにより、コンデンサの特性に関してより優れた融通性が与えられ、タグ又はデバイスを特定の目的にカスタマイズすることができる。
【0077】
iv.コンデンサ誘電体膜層の形成
[0094]次に、図7C及び図7Dを参照すると、相対的に薄い誘電体膜240が下部コンデンサ電極250の少なくとも一部分上に形成され、相対的に厚い誘電体膜280が、薄い誘電体膜240上及び中間層誘電体膜232の一部分上に形成される。図7Dに示されるように、厚い誘電体膜280は、下の薄い誘電体膜240の一部分を露出させるように形成された少なくとも1つの孔を有する。薄い誘電体膜240は、本明細書で説明する成長又は堆積技法(例えば、熱による又は化学的な酸化及び/又は窒化、ブランケット堆積、コーティング、印刷など)のどれを使用しても形成することができる。厚い誘電体膜280、及びその中の接触孔は、誘電体材料をブランケット堆積させ、次にその誘電体を、薄い誘電体膜240を露出させる接触孔を形成するようにエッチングすることによって形成することができる。別の実施形態では、厚い誘電体膜280は、誘電体材料を、その中に接触孔が形成されるように選択的に印刷する(例えば、誘電体前駆物質インクを既定のパターン及び硬化で印刷する)ことによって形成することがある。一実施形態では、薄い誘電体膜240は、下部電極250上に(例えば、熱酸化又は化学酸化、陽極処理などによって)成長させ、厚い誘電体膜280は、構造物上に(例えば、コーティング、ブランケット堆積、印刷などによって)堆積させる。適切な誘電体材料については、本明細書で詳細で論じている。
【0078】
v.上部コンデンサ電極の形成
[0095]図8Aは、薄いコンデンサ誘電体膜240及び厚いコンデンサ誘電体膜280上に又はそれらを覆うように形成された上部コンデンサ電極260の上面図を示す。図8Bは、図8AのA−A’軸に沿った断面図である。一般に、上部コンデンサ電極260は、導電性構造物を形成するための本明細書で説明する印刷又は他の任意の技法によって、形成することができる。上部コンデンサ電極260は、薄い誘電体膜240及び厚い誘電体膜280を介して下部コンデンサ電極250と容量性結合され、それによって、並列に接続された第1のコンデンサC1及び第2のコンデンサC2が形成される。一般に、第2のコンデンサは、厚いコンデンサ誘電体膜280を含み、第1のコンデンサ(厚いコンデンサ誘電体膜280の開口、及び/又は薄い誘電体膜240のみを介する容量性結合によって画定される)よりも大きな静電容量を有する。
【0079】
[0096]好ましい実施形態では、薄い誘電体膜240は、その厚さが20〜1,000Å、又はその中の任意の範囲の値になるように形成される。I対照的に、厚い誘電体膜280は、その厚さが2,000〜20,000Å、又はその中の任意の範囲の値になるように形成されることが好ましい。特定の実施では、厚い誘電体膜280は、3,000〜5,000Åの範囲内の厚さを有しうる。さらに、下部コンデンサ電極250上に形成される厚い誘電体膜280の開口は、上部コンデンサ電極と下部コンデンサ電極の間の、厚い誘電体膜280を包含する領域の20%を超えない大きさで形成される。この開口は、上部コンデンサ電極250と下部コンデンサ電極260の間の領域の5%以下であることが好ましいが、様々な実施形態で5%〜20%のどの百分率も容認されうる。
【0080】
[0097]相対的に薄いコンデンサ誘電体240は、機能停止用の無線周波数電磁界を印加すると、タグ/デバイスを機能停止する電圧差が誘電体層にまたがるコンデンサに誘導されるように、設計され製造されることが好ましい。多くの実施形態では、約4〜約50V、好ましくは約5〜30V未満、より好ましくは約4〜15V、又はその中の任意の望ましい範囲の各端点の電圧差は、誘電体層の絶縁破壊が短絡状態をもたらす(又は、タグ回路が所望の周波数でもはや共振しないように静電容量を変化させる)のに十分である。したがって、例示的な実施形態では、相対的に薄いコンデンサ誘電体膜240は、(i)50〜400Åの厚さ、及び/又は(ii)約4〜約15Vの絶縁破壊電圧(Q、誘電体膜厚さなどによって決まる)で形成される。
【0081】
vi.導電性ストラップの形成
[0098]図8Cに示されるように、接触孔275を中間層誘電体膜232内に形成して(例えば、フォトリソグラフィマスキング及びエッチングによって、マイクロシリンジを使用してウェットエッチング液の1つ又は複数の滴を選択的に置くことによってなど)、誘電体材料の一部分がアンテナ270/272及び/又は基板210を覆い、及び/又はこれらの上に残存するように(例えば、図8Cの誘電体膜234参照)、アンテナ/インダクタ270の第2の相互接続/接触パッド272を露出する。結果として得られる誘電体パターンは、図8Cに構造物234及び232として断面で示されている。
【0082】
[0099]図9Aに示されるように、導電性ストラップ220は、コンデンサ(例えば、上部電極260)と、アンテナ/インダクタ270の露出された相互接続部/接触パッド272との間の電気的連通を行うようにデバイス上に形成される。図9Bは、図9AのA−A’軸に沿った断面図を示す。導電性ストラップ220は、導電フィーチャを形成するための本明細書で説明する技法のどれを用いても形成することができる。相互接続パッド274が下部コンデンサ電極として、また、マスキング及びエッチングによって形成された中間層誘電体膜232内の接触孔として役割を果たす実施形態では、導電性ストラップ220は、上部コンデンサ電極260と同時に形成することができる。
【0083】
vii.不動態化層の形成
[0100]図6A〜9Bには示されていないが、第1の例示的方法と同様に、いくつかの変形形態では、第2の例示的方法は、本明細書で説明する基板上の構造物(例えば、コンデンサ電極、コンデンサ誘電体層、導電性ストラップなど)を覆って不動態化層を形成することをさらに含むこともできる。
【0084】
並列コンデンサを有するデバイスを作製する第3の例示的方法
[0101]並列コンデンサを有するデバイスを作製する第3の例示的方法が図10A及び図10Bに示されている。この実施形態は、図6A〜9Bに示された方法とほぼ同様であり、主として相対的に薄いコンデンサ誘電体膜(例えば、構造物340)を形成する(1つ又は複数の)ステップ、及びストラップを形成する(1つ又は複数の)ステップに対するわずかな修正を伴う。すなわち、第3の例示的方法では、アンテナ/インダクタ310、中間層誘電体層332、及び下部コンデンサ電極350は、ここで説明する方法のどれかを用いて基板上に形成される。
【0085】
i.相対的に厚い誘電体層及び相対的に薄い誘電体層の形成
[0102]図10Aに示されるように、例示的な実施形態では、相対的に厚い誘電体膜380は、中間層誘電体膜332上、及び下部コンデンサ電極350の一部分上に形成される。孔又は開口が、開口を含むパターニングされた誘電体膜380を印刷することによって、又はフォトリソグラフィ及びエッチングによって開口を形成することによって、相対的に厚い誘電体膜380内に、下部コンデンサ電極350の一部分を露出させるように形成される。次に、相対的に薄い誘電体膜340が、下部コンデンサ電極350上の、厚い誘電体膜380の開口内のみに選択的に(例えば、熱成長によって)形成される。次に、上部コンデンサ電極360が、本明細書で説明するように、相対的に厚い誘電体膜380及び相対的に薄い誘電体膜340上に形成される。
【0086】
ii.デバイスの形成
[0103]図10Aを再び参照すると、アンテナパッド372を覆う誘電体層332/334の開口、及び導電性ストラップ320は、図8C及び図9A〜Bに示された(1つ又は複数の)実施形態について説明したのと同じように形成される。代替方法として、ストラップ320は、アプリケータシート又は他のバッキング上に形成し(例えば、ブランケット堆積法及びフォトリソグラフィマスキング/エッチング、切断、又は本明細書で論じるいずれかの印刷法によって)、その後にタグ回路に転写すること、及び/又は取り付けることができる(例えば、ロールツーロール取付け法、ピックアンドプレース操作などによって)。これらの実施形態では、取付け法には、接着剤での接合など様々な物理的接合技法、並びに異方性導電エポキシ接合、超音波、バンプ接合又はフリップチップの手法により(1つ又は複数の)電気的相互接続部を確立することが含まれうる。この取付け法には、熱、時間、摩擦又は超音波エネルギー(例えば、インダクタの接触パッドとコンデンサ電極の間の)及び/又は紫外線露光の使用が伴うこともある。一般に、200℃未満の温度(例えば、150℃未満、90〜120℃、又は200℃未満の値の他のいずれかの範囲)が使用される。導電性ストラップはデバイス上に下向きに置き、十分な圧力を基板310の裏側に加えてストラップをデバイスに接着させる。バッキング層390は残存してもよく、或いは必要に応じて除去することもできる。次に、ストラップは、第1及び第2のコンデンサ(例えば、図1のC1及びC2)とアンテナ/インダクタの間で(例えば、接触パッド372のところで)電気的に接続される。
【0087】
直列コンデンサを有するデバイスを作製する例示的方法
[0104]本発明の諸実施形態は、直列に接続されたコンデンサを有する監視及び/又は識別デバイスを作製する方法に関する。図11及び図12を参照して例示的な一実施形態を説明する。具体的には、図12は、直列に接続されたコンデンサを有する例示的なデバイスの上面図を示し、図11は、このデバイスの、図12のA−A’軸に沿った断面図を示す。
【0088】
i.基板の用意
[0105]図11に示されるように、第1の誘電体膜又は層540が、基板510を覆って形成される。基板は、本明細書で説明するいずれの材料も含むことができるが、基板510は、ここで詳細に説明するように、導電物質(例えば、金属シート又は箔)を含むことが好ましい。例えば、様々な実施形態で、基板の金属には、アルミニウム、チタン、銅、銀、クロム、モリブデン、タングステン、ニッケル、金、パラジウム、白金、亜鉛、鉄、鋼(例えば、ステンレス鋼)、又はこれらの合金が含まれることがある。このような実施では、導電性基板用の金属は、それが有効なコンデンサ誘電体を形成するように陽極処理できることに少なくとも一部は基づいて、選択することができる。例示的な実施形態では、基板は、5〜200μmの公称厚さ(高いQが有利である実施形態では20〜100μmが好ましい)、及び/又は0.1〜100μΩcmの抵抗(0.5〜80μΩcmが好ましい)を有することができる。加えて、引き続き処理する前に、導電性基板は、本明細書で説明するように従来方法で清浄及び/又は平滑にすることができる。
【0089】
[0106]好ましい実施形態では、直列のコンデンサは、導電性基板(例えば、金属シート又は金属箔)を共通下部コンデンサ電極として共用する。しかし、一実施形態では(図11〜12には示さず)、下部コンデンサ電極を非導電性基板上に形成してもよく、第1の誘電体膜540は、本明細書で説明する方法のどれを用いても下部コンデンサ電極上に形成することができる。しかし、この代替実施形態では、導電性相互接続部もまた、各下部コンデンサ電極の間に形成される。
【0090】
ii.第1の誘電体膜の形成
[0107]図11を再び参照すると、第1の誘電体膜又は層540が、(導電性)基板510を覆って形成されている。一般に、直列の各コンデンサは、第1の誘電体膜をコンデンサ誘電体として共用する。例示的な実施形態では、第1の誘電体膜540は、本明細書で説明するように、導電性基板を酸化及び/又は窒化することによって(例えば、導電性基板510を陽極処理することによって、又は液体酸化物/窒化物前駆物質を導電性基板510上に堆積させ、その前駆物質を硬化させることによって)形成される。しかし、代替実施形態では、第1の誘電体膜540は、本明細書で説明するように印刷によって、或いはブランケット堆積又は被覆し、その次にフォトリソグラフィ及びエッチングすることによって形成することができる。図11には示されていないが、いくつかの変形形態では、誘電体層540は任意選択で、導電性基板510の1つ又は複数の領域を露出させるように選択的に堆積又はエッチングすることができる。
【0091】
iii.上部コンデンサ電極の形成
[0108]図11をさらに参照すると、複数のコンデンサ電極(例えば、E1構造物535、及びE2構造物530)が、第1の誘電体膜540上に形成されている。一般に、上部コンデンサ電極530/535は、本明細書で説明するいずれかの方法を用いて、相対的に厚い誘電体膜580内の接触孔又は開口の中に導電性材料(例えば、金属又は他の導電性インク、半導体インクなど)を堆積させることによって形成することができる。好ましい実施形態では、また図11に示されるように、コンデンサ電極は導電性基板と容量性結合され、他とは物理的に分離される。例示的な実施形態では、コンデンサ電極530/535は、同じ製造工程及び/又は製造法で形成され、その厚さが30nm〜5,000nm、又はその中の任意の範囲の値になるように形成することができる。
【0092】
iv.相対的に厚い誘電体膜の形成
[0109]例示的な変形形態では、相対的に厚い誘電体膜580は任意選択で、コンデンサ電極530/535を形成する前に、本明細書で説明する技法(例えば、ブランケット堆積又は被覆、選択的印刷など)のどれを用いても第1の誘電体膜540上に形成することができる。一般に、相対的に厚い誘電体膜580は、第1の誘電体膜540よりも厚く、コンデンサ電極530/535用に形成された複数の接触孔又は開口を有する。相対的に厚い誘電体膜580が十分に厚い場合、上部コンデンサ電極(例えば、P1及びP2)の一部分と基板510の一部分の間の余分な静電容量は、C1及びC2の静電容量よりも十分に低く保つことができる。いくつかの実施形態では、コンデンサ電極(例えば、E1及びE2)は、相対的に厚い誘電体膜580を形成する前に(又は形成しないで)誘電体膜C1/C2上に直接、選択的に印刷することができる。しかし、コンデンサ電極530/535を形成する前に相対的に厚い誘電体膜580を形成することが好ましい。例示的な実施形態では、電極は、引き続き形成されるインダクタ及び/又はアンテナと接続するために、接触パッドP1及びP2を用いて相対的に厚い誘電体膜580の一部分上に形成される。
【0093】
v.中間層誘電体膜の形成
[0110]図11に示されるように、例示的な実施形態では、第2の誘電体膜(例えば、中間層誘電体膜(ILD))560が、上部コンデンサ電極530/535の接触パッドP1及びP2に接触孔又は接続開口が形成されるように、上部コンデンサ電極530/535及び相対的に厚い誘電体膜580上に堆積及び/又はパターニングされる。ILD 560及びその中の接触孔は、相対的に厚い誘電体膜を形成するための本明細書で説明する方法のいずれか(例えば、コーティング及びフォトリソグラフィエッチング、選択的印刷など)を用いて形成することができる。ILD 560を形成すると、デバイスをアンテナ及び/又はインダクタ上に接触パッドP1及びP2の電気接点と共に組み立てることが、導電性基板510へのどんな直接の電気的接続も必要とせずに可能になる。一般に、ILD 560は、第1の誘電体膜540よりも厚くなるように形成される。ILD 560が形成される場合(例えば、印刷などによって)、接触パッドP1及びP2の露出された部分近くのILD 560の厚さは、相対的に薄くすることができる。こうすると、アンテナの取付けがさらに容易になる。
【0094】
vi.アンテナ及び/又はインダクタの形成
[0111]図11及び図12に示されるように、アンテナ及び/又はインダクタタ570がデバイス上に形成され、それぞれのコンデンサ電極に電気的に接続される(例えば、P1及びP2に接続された構造物575を介して)。アンテナ/インダクタ570/575は、本明細書で説明する方法及び/又は材料のどれを使用しても、ILD 560の一部分及び上部コンデンサ電極530/535上に又はそれらを覆うように形成することができる。多くの他の実施形態及び/又は変形形態が、本開示により当業者に明らかになりうることに留意されたい。したがって、本発明は、本明細書で説明した実施形態に限定されない。例えば、上記の例示的な実施形態に開示されたステップの順序を用いるのではなく、回路構造物を形成するための一連のステップを逆にすること、回路要素を横方向に形成することなどができる。
【0095】
複数コンデンサを有する例示的な監視及び/又は識別デバイス
[0112]デバイスを製作する例示的方法に関して前に論じたように、本発明の監視及び/又は識別デバイスは、並列に接続された複数のコンデンサを有することができ(例えば、図1の回路図参照)、及び/又はこのデバイスは、直列に接続された複数のコンデンサを有することができる(例えば、図1の回路図参照)。このようなデバイスの例示的な実施形態及び変形形態について以下で論じる。
【0096】
並列コンデンサを有する第1の例示的な監視及び/又は識別デバイス
[0113]並列に接続された複数のコンデンサを有する第1の例示的な監視及び/又は識別タグ100が、図5A及び図5B(それぞれ上面図及び断面図)に示されている。
【0097】
i.基板
[0114]この実施例では、監視及び/又は識別デバイス100は、基板110上に導電性ストラップ又はフィーチャ120を備える。一般に、基板110は、当技術分野で知られている任意の適切な絶縁性、導電性又は半導電性の材料を含む。例えば、この基板は、半導体(例えばシリコン)、ガラス、セラミック、誘電体、プラスチック及び/又は金属のウェハ、板、ディスク、シート及び/又は箔を含み、好ましくは、シリコンウェハ、ガラス板、セラミック板又はディスク、プラスチックシート又はディスク、金属箔、金属シート又はディスク、及びそれらの積層又は層状にした組合せから成る群から選択された部材である。この実施形態で適切な基板は導電性及び半導電性基板を含むが、好ましい実施形態では、基板は絶縁材料(例えば、プラスチックシート又はウェブなど)を含む。
【0098】
[0115]いくつかの変形形態では、基板は、1つ又は複数の誘電体層、バッファ層、平坦化層、不動態化層、絶縁層及び/又は機械的支持層(ポリイミド又は他のポリマー、シリコン及び/又はアルミニウム酸化物など)をさらに含みうる。このような層は、それ自体をパターニングすることができ、及び/又はパターニングされた半導体、導体及び/又は誘電体のフィーチャを有することができる。いくつかの実施では、プラスチック基板及び金属基板は、基板の表面粗さを低減させるための平坦化層をさらに含みうる。加えて、導電基板(例えば、金属を含む、又は本質的に金属から成る)は一般に、絶縁体層(例えば、対応する金属酸化物の層)、及び/又は実質的にアモルファスの導電層(例えば、窒化チタン、窒化タンタル、窒化タングステンなどの遷移金属窒化物)を有する。
【0099】
[0116]別の実施形態では、基板はデバイス回路の一部とすることができ、したがって導電性材料を含むことがある(例えば、図3C参照)。図3Cに示されるように、基板110は、金属又は他の導電性材料102を、その上の対応する酸化物又はブランケット堆積/被覆された絶縁体104aと共に含む多層構造を備えることができる。任意選択で、基板は、絶縁層104aと同じ材料を含むことができるバッキング層104bを金属層102上に備えることができる。好ましい実施形態では、金属層102はアルミニウム箔又はステンレス鋼箔を、その上に堆積又は被覆されたSiOと共に備える(例えば、層102上の層104a)。他の実施形態では、金属層102はアルミニウム箔を、その上の陽極処理されたAlと共に備えることがある(例えば、層104a及び104b)。
【0100】
ii.導電性ストラップ
[0117]並列コンデンサを有する例示的な監視/識別デバイスは、そのコンデンサとデバイスのインダクタ/アンテナとの間の電気的連通を行う導電性ストラップ又は他の導電フィーチャをさらに備える。図5Bに示されるように、いくつかの好ましい実施形態では、ストラップ120は基板110上に形成され、並列の各コンデンサは、導電性ストラップを下部コンデンサ電極(例えば、図5A及び図5Bに識別番号122で示す)として共用する。図5A/5Bの実施形態にさらに示されるように、導電性ストラップ120は、下部コンデンサ電極122及びインダクタ/アンテナ170に(例えば、接続パッド172のところで)電気的に接続することができる。いくつかの変形形態では、ストラップ120と下部コンデンサ電極122は、一体構造物(例えば、同一の処理ステップで例えば印刷によって、或いは一連のステップで例えばスパッタリング及びフォトリソグラフィによって作製される)とすることができ、構造物全体にわたって同一の金属(又は他の導電性材料)を有することもできる。
【0101】
[0118]一般に、ストラップ120は、任意の導電材料を含むことができる。例えば、いくつかの実施では、ストラップは、アルミニウム、チタン、銅、銀、クロム、モリブデン、タングステン、ニッケル、金、パラジウム、白金、亜鉛、鉄などの金属、又はこれらの合金で、ステンレス鋼、TiW合金、NiCr合金などを含むことができる。例示的な実施形態では、ストラップは本質的に、銀、金、銅、又はアルミニウム(或いはこれらの導電性合金)から成る。様々な実施形態では、ストラップは、インダクタ及び/又は上部コンデンサ電極、及び/又は下部コンデンサ電極と同じ材料を含むことがある。しかし、デバイスは、そういうものとして限定されない。すなわち、代替実施形態では、ストラップ、インダクタ、及びコンデンサ電極は、それぞれ異なる材料を含むことがある。いくつかの実施では、ドーパント、シリサイド成分、又は他の仕事関数調節作用物、及び/又はトンネリングバリア材料が導電性ストラップに含まれることがある。このような含有物は、直列抵抗を低減させ、Qを増大させ、監視及び/又は識別デバイスの総合性能を改善することができる。
【0102】
[0119]ストラップ120は、デバイス又はタグ上への配置を可能にする任意の適切なサイズ及び形状(例えば、正方形、長方形、円形など)を有することができる。様々な実施形態では、ストラップは、30nm〜5,000nm、好ましくは50nm〜2,000nm、より好ましくは80nm〜500nmの範囲(又はその中の他の任意の範囲の値)の厚さを有することがある。
【0103】
iii.例示的な誘電体膜層
[0120]図5Bに示されるデバイスは、第1の誘電体膜130を基板110上に、また導電性ストラップ120の一部分上に又はその一部分を覆うように備えている(例えば、図5Bの構造物132参照)。このような実施形態では、第1の誘電体膜130/132は、ストラップ120の一部分を露出し、下部コンデンサ電極122の一部分上に開口を有する。加えて、図5Bの実施形態では、第1の誘電体膜130/132の開口内で下部コンデンサ電極122上にコンデンサ誘電体膜140をさらに備える。一般に、第1の誘電体膜130/132は一体であり、(i)アンテナ/インダクタコイル170のパッド172と共に電気的接続部又はΩ接点を形成するストラップ120の端部、及び(ii)薄い誘電体膜140が形成される第1の誘電体膜130/132内の、相対的に小さく一般に円形又は正方形の開口を除き、ストラップ120及び下部コンデンサ電極122を完全に覆う。
【0104】
[0121]図5Bの実施形態(及びその変形形態)では、コンデンサ誘電体140は、第1の誘電体膜130よりも著しく薄い。例えば、コンデンサ誘電体膜140は、20〜1,000Åの厚さを有することが好ましい。対照的に、第1の誘電体膜130/132は、2,000〜20,000Åの厚さを有することが好ましい。例示的な実施形態では、第1の誘電体膜130/132は、3,000〜5,000Åの厚さを有する。一般に、下部コンデンサ122を覆う第1の誘電体膜130/132の開口は、上部コンデンサ電極と下部コンデンサ電極の間の、第1の誘電体膜130/132を包含する領域の20%以下である。この開口は、上部コンデンサ電極と下部コンデンサ電極の間の領域の5%以下であることが好ましい。
【0105】
[0122]相対的に薄いコンデンサ誘電体140は、機能停止用の無線周波数電磁界を印加すると、タグ/デバイスを機能停止する電圧差が誘電体層にまたがるコンデンサに誘導され(例えば、約4〜約50V、好ましくは約5〜30V未満、より好ましくは約4〜15V、又はその中の任意の望ましい範囲の各端点の電圧差)、タグ回路が所望の周波数でもはや共振しないような短絡状態又は静電容量の変化に至る誘電体層の絶縁破壊がもたらされるように、十分な厚さ及び/又は絶縁破壊電圧を有することが好ましい。したがって、特定の実施形態では、相対的に薄いコンデンサ誘電体層は、(i)50〜400Åの厚さ、及び/又は(ii)約4〜約15Vの絶縁破壊電圧を有する。
【0106】
[0123]一般に、(1つ又は複数の)誘電体膜は、金属又はシリコンの酸化物及び/又は窒化物、或いは他のセラミック又はガラス(例えば、二酸化シリコン、窒化シリコン、シリコンオキシニトライド、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウムなど)、ポリシロキサン、パリレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ドープしていないポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエーテル、これらのコポリマー、又はこれらのフッ化誘導体などのポリマーなど、任意の電気絶縁性誘電体材料を含むことができる。好ましい実施形態では、(1つ又は複数の)誘電体膜は、酸化アルミニウム、二酸化シリコン、及び/又は下部コンデンサ電極及び/又は導電性ストラップなどの導電構造物を製造するために使用される金属の対応する酸化物を含み、又は本質的にそれらで構成される。
【0107】
[0124]いくつかの実施形態では、(1つ又は複数の)誘電体膜は、無機絶縁体を含むことがある。例えば、(1つ又は複数の)誘電体膜は、化学式Mの金属酸化物及び/又は金属窒化物を含むことができ、ここでMは、シリコン、又はアルミニウム、チタン、ジルコニウム、タンタル、ハフニウム、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、ロジウム、レニウム、鉄、ルテニウム、銅、亜鉛、インジウム、スズ、ランタニド金属、アクチニド金属、及びこれらの混合物から成る群から選択される金属である。別の実施形態では、無機絶縁体は、このような金属又は混合物のケイ酸塩、アルミン酸塩及び/又はアルミノケイ酸塩を含むことができ、ここでy/2+z/3は、Mがxの場合の複合酸化状態に等しい。
【0108】
[0125]例示的な実施形態では、(1つ又は複数の)誘電体膜は、1つ又は複数のスピンオンガラス(光画定可能(photodefinable)でも非光画定可能(non-photodefinable)でもよく、後者の場合、直接印刷又は後堆積リソグラフィによってパターニングすることができる)、ポリイミド(熱レーザパターニングでは光画定可能及び/又は感熱性とすることができ、直接印刷又は後堆積リソグラフィによるパターニングでは非光画定可能とすることができる)、BCB、又はシルク(SILK)(登録商標)誘電体材料(シルクは、Dow Chemical Co.、Midland、ミシガン州、の登録商標)など他の有機誘電体、ゾルゲル技法で形成された低k中間層誘電体、プラズマ促進(PE)TEOS(すなわち、テトラエチルオルソシリケートのプラズマ促進CVDによって形成されたSiO)、及びポリエチレン、ポリエステルなどの積層ポリマー膜、或いはPES、ポリイミドなどの高温ポリマー、又は後続の高温処理に適合する他の高温ポリマーを含むことができ、又はそれらで形成することができる。
【0109】
[0126]例示的な実施形態では、(1つ又は複数の)誘電体膜は、IVA族元素の酸化物及び/又は窒化物を含むことができ、従来のホウ素及び/又はリン酸化物調節剤を従来の量でさらに含有しうる。すなわち、このIVA族元素はシリコンを含み、又は本質的にシリコンから成るとすることができ、この場合、(1つ又は複数の)誘電体膜は二酸化シリコン、窒化シリコン、シリコンオキシニトライド、ボロシリケートガラス、ホスホシリケートガラス、又はボロホスホシリケートガラス(二酸化シリコンが好ましい)を含み、又は本質的にそれらで構成することができる。
【0110】
iv.例示的なコンデンサ電極
[0127]図5Bのデバイスをさらに参照すると、本明細書で論じるように、下部コンデンサ電極122は導電性ストラップ120に電気的に接続されている。好ましくは、各並列コンデンサは、ストラップ120を下部コンデンサ電極122として共用する。したがって、下部コンデンサ電極は一般に、導電性ストラップに関して本明細書で論じたものと同じ(1つ又は複数の)材料及び/又は特性を備える。加えて、図5Bのデバイスは、第1の誘電体膜130及びコンデンサ誘電体膜140上に上部コンデンサ電極160を備える。上部コンデンサ電極160は、下部コンデンサ電極122に容量性結合されて、並列コンデンサ(例えば、図1のC1及びC2)を形成する。一般に、並列の第1のコンデンサは、相対的に薄いコンデンサ誘電体層140を含み、第2のコンデンサは、相対的に厚い第1の誘電体膜130を含む。第2のコンデンサは、第1のコンデンサよりもずっと広い面積を有し、したがって、第1のコンデンサよりも大きな静電容量を有する。いくつかの実施形態では、上部コンデンサ電極160は、誘電体層140を完全に覆うようにコンデンサ誘電体層140上に直接形成することがある。
【0111】
[0128]一般に、コンデンサ電極(例えば、下部電極122/上部電極160)は、金属、2つ以上の金属の合金、又は導電性化合物(例えば、耐熱金属窒化物及び/又はシリサイド、ここで耐熱金属は、Ti、Zn、Ta、Hf、Cr、Mo、W、Re、Rh、Co、Ni、Pd、Ptなどを含みうる)などの、本明細書で説明する適切な導電性材料のどれでも含むことができる。例示的な実施形態では、(1つ又は複数の)コンデンサ電極は金属を含む。例えば、(1つ又は複数の)上部及び/又は下部コンデンサ電極は、アルミニウム、チタン、銅、銀、クロム、モリブデン、タングステン、ニッケル、金、パラジウム、白金、亜鉛、鉄、又はこれらのあらゆる合金(例えば、ステンレス鋼など)を含むことができる。いくつかの実施では、コンデンサ電極は、ドープされたポリチオフェン、ポリイミド、ポリアセチレン、ポリシクロブタジエン、及び/又はポリシクロオクタテトラエンなどの導電性ポリマー、窒化チタン、窒化タンタル、酸化インジウムスズなどの導電性無機化合物膜、及び/又はドープされたシリコン、ドープされたゲルマニウム、ドープされたシリコン−ゲルマニウム、ドープされたヒ化ガリウム、ドープされた(自己ドープを含む)酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫化カドミウムなどのドープされた半導体を含むことができる。
【0112】
[0129]いくつかの実施形態では、上部コンデンサ電極160/下部コンデンサ電極122は、同一の金属を含むことがある。このような実施形態では、この同一の金属は、アルミニウム、銀、金、パラジウム又はニッケルを含み、又は本質的にこれらで構成されることが好ましい。しかし、本発明はそういうものとして限定されず、上部及び下部コンデンサ電極はまた、それぞれ異なる金属を含むこともできる。さらに、別の実施形態では、上部及び下部コンデンサ電極は、導電性ストラップ及び/又はアンテナ/インダクタと同じ金属(やはり本明細書で説明する金属から選択することができる)を含むことがある。
【0113】
[0130]例示的な実施形態では、上部及び/又は下部コンデンサ電極は、30nm〜2,000nm(例えば、50〜2,000nm、200〜1,000nm、又はその中の他の任意の範囲の値)の公称厚さ、及び/又は0.1〜10μΩcm(0.5〜5μΩcm、又はその中の他の任意の範囲の値が好ましく、一実施例では約3μΩcm)の抵抗を有することができる。コンデンサ電極は、デバイスのほぼ中心に配置することができるが(例えば、図5A/5Bの122/160参照)、設計選択及び/又は選好により、デバイスの任意の領域に配置することもできる。また、コンデンサ電極は、円形、正方形、長方形、三角形など任意の所望の形状を、この(1つ又は複数の)電極が監視/識別デバイスの中及び/又は上に合わせることのできるほぼどんな寸法も伴って有することができる。好ましい実施形態では、少なくとも1つのコンデンサ電極(例えば、上部コンデンサ電極160)がドーム形プロファイルを有する。
【0114】
[0131]コンデンサ電極は、(i)幅、長さ及び厚さ、又は(ii)半径及び厚さの各寸法を有し、その厚さは、他の(1つ又は複数の)寸法よりもかなり小さいことが好ましい。例えば、下部コンデンサ電極は、25〜10,000μm(好ましくは50〜5,000μm、100〜2,500μm、又はその中の任意の範囲の値)の半径、或いは50〜20,000μm、100〜10,000μm、250〜5,000μm、又はその中の任意の範囲の値の幅及び/又は長さを有することができる。同様に、上部コンデンサ電極は、20〜10,000μm(好ましくは40〜5,000μm、80〜2,500μm、又はその中の任意の範囲の値)の半径、或いは40〜20,000μm、80〜10,000μm、150〜5,000μm、又はその中の任意の範囲の値の幅及び/又は長さを有することができる。
【0115】
v.アンテナ及び/又はインダクタ
[0132]図5A及び図5Bに示されるように、接触パッド172/174をさらに含むことができるアンテナ及び/又はインダクタ170は、上部コンデンサ電極160及びストラップ120に電気的に接続される。したがって、この実施形態では、アンテナ/インダクタは、回路又はデバイス内の他の構造物上に又は他の構造物を覆うように形成されることが好ましい(例えば、図5B参照)。
【0116】
[0133]一般に、アンテナ及び/又はインダクタは、当技術分野で知られている任意の導電性材料を含むことができる。しかし、好ましい実施形態では、アンテナ/インダクタは金属を含む。この金属は、市販のものとすることができ(例えば、アルミニウム、銅、又はステンレス鋼などの、それらの他の任意の合金)、一般に、導電性構造物(例えば、コンデンサ電極、ストラップ、導電性基板など)及び/又はそれを形成する方法に関して本明細書で説明する金属のどれでも含むことができる。例えば、例示的な実施形態では、アンテナ/インダクタは、アルミニウム、銀、又は下のパラジウム層とそこにめっきされた上のバルク導体(例えば、銅、銀など)とを含み、又は本質的にそれらで構成される。
【0117】
[0134]例示的な実施形態では、アンテナ/インダクタは、インダクタ/アンテナをコンデンサ電極(例えば、接触パッド領域174)及び/又は導電性ストラップ(例えば、接触パッド領域172)に接続するための1つ又は複数の接触/相互接続パッド領域をさらに備えることができる。例示的な実施形態では、接触パッドは、金属バンプ又は異方性導電ペースト(ACP)を含む。アンテナ/インダクタの接触パッドは、導電性又は非導電性とすることができる接着剤によって、コンデンサ電極及び/又は導電性ストラップに取り付けること、及び/又は貼り付けることができる。アンテナ/インダクタは、連続構造物を含むことができ、或いは不連続とすることができ、一方のコンデンサ電極に結合された第1(外側)のインダクタと、第2のコンデンサ電極に結合された第2(内側)のインダクタとを含む。様々な実施形態では、バッキング層及び/又は支持層がインダクタに取り付けられることがある。支持層及び/又はバッキング層は、追跡又は監視されるべき物品への監視/識別デバイスの取付け又は配置のために、接着面を設けることができる。
【0118】
[0135]例示的な実施形態では、インダクタ/アンテナは、複数のループ又はリングを有するコイルを含む。見やすくし、且つ説明の目的のために、図5A及び図5Bに示されるインダクタは、2巻のループ、リング、又はコイルを有する。しかし、適用先の要件及び設計選択/選好に応じて、任意の適切な巻数のループ、リング又はコイルを使用することができる。一般に、設計規則及び製造公差内に適合できるだけの巻数で存在する。アンテナ及び/又はインダクタは、このようなインダクタで従来使用されている任意の形状及び/又は形態を取ることができるが、コイルすなわち同心らせんループの形状を有することが好ましい。製造の容易性及び/又はデバイス面積効率のために、コイルループは、一般に正方形又は長方形の形状を有するが、適用先及び/又は設計選択及び/又は選好に応じて、それぞれの連続ループが、前のループとタグ/デバイスの最も外側の周辺部との間にほぼすべて配置される限り、八角形、円形、丸い又は楕円の形状、他の何か多角形の形状、又はそれらの任意の組合せ、及び/又は先端を切った1つ又は複数の角部を有することもできる。
【0119】
[0136]図5Aを参照すると、アンテナ/インダクタコイル170の同心ループ又はリングは、任意の適切な幅及びピッチ(すなわち、リング間の間隔)を有することができ、この幅及び/又はピッチは、ループ間又はリング間により変わりうる。しかし、特定の実施形態では、各ループ(或いは各ループ又はリングの各辺)の線は別個に、2〜2,000μm、(好ましくは5〜1000μm、10〜500μm、10〜100μm、又はその中の任意の範囲の値)の幅又は厚さ、及び100〜50,000μm、250〜25,000μm、500〜20,000μm、又はその中の任意の範囲の値の長さを有することができる(インダクタ線セグメントの長さが監視/識別デバイスの大きさを超えない限り)。或いは、インダクタのそれぞれの線ループ又はリングの半径は、250〜25,000μm(好ましくは500〜20,000μm)とすることができる。同様に、インダクタの隣接する同心ループ又はリングの線間のピッチは、2〜1,000μm、3〜500μm、5〜250μm、10〜200μm、又はその中の任意の範囲の値とすることができる。さらに、幅対ピッチの比は、約1:10、1:5、1:2又は1:1の下限から約1:2、1:1、2:1、4:1又は6:1の上限まで、或いはその中の任意の範囲の各端点とすることができる。好ましい実施形態では、アンテナ及び/又はインダクタは、0.1〜100μΩcmの抵抗を有する。
【0120】
[0137]同様に、コンデンサ電極との電気的連通及び/又は物理的接触、及び/又は導電性ストラップとの接触を行うように一般に構成される(1つ又は複数の)接触/相互接続パッド172/174は、円形、正方形、長方形、三角形など任意の所望の形状を有することができる。さらに、(1つ又は複数の)相互接続/接触パッドは、それを監視/識別タグ又はデバイスの中及び/又は上に適合させることができるほぼどんな大きさでもよく、コンデンサ電極及び/又は導電性ストラップとの電気的連通及び/又は物理的接触を行うことができる。(1つ又は複数の)相互接続パッド172/174は、(i)幅、長さ及び厚さ、又は(ii)半径及び厚さの各寸法を有し、その厚さは他の(1つ又は複数の)寸法よりもかなり小さいことが好ましい。例えば、相互接続パッド172/174は、アンテナのコイルの巻数及び/又はアンテナに必要な集積回路又はタグ面積の比率(例えば、百分率)を考慮すると、25μmの半径又は幅から、タグが許容する任意の半径又は幅まで有しうる。すなわち、その領域寸法(例えば、幅及び/又は長さ)は、50〜5.000μm、100〜2,000μm、200〜1,000μm、又はその中の任意の範囲の値とすることができる。
【0121】
vi.不動態化層
[0138]図5A及び図5Bには示されていないが、いくつかの実施形態では、デバイスは、その構造物上に又はその構造物を覆うようにして不動態化層をさらに備えることができる。例えば、デバイスは、上部コンデンサ電極及びアンテナ/インダクタ(又は基板上に形成された他の構造物)上に又はそれらを覆うようにして不動態化層を有することができる。不動態化層は、集積回路/デバイスの劣化又は故障を引き起こしうる水、酸素、及び/又は他の化学種の侵入を抑制又は防止することができる。さらに不動態化層は、特に後続の処理ステップ中に、デバイスに対するいくらかの機械的支持をすることができる。不動態化層は、一般に従来のものであり、パリレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、これらのコポリマーなどの有機ポリマー、フッ化有機ポリマー、又は他の任意のバリア材料を含むことができる。他の実施形態では、不動態化層は、酸化アルミニウム、二酸化シリコンなどの無機誘電体を含むことがある(例えば、これらは、従来方法でドープすること、及び/又はスピンオンガラス、窒化シリコン、シリコンオキシニトライド、ポリシロキサン、又はこれらの組合せを混合物又は多層構造で含むことができる)。
【0122】
[0139]いくつかの実施形態では、不動態化層は、下の誘電体層を含むことがあり、これは、上にある不動態化層よりも応力が小さい材料をさらに含むことができる。例えば、誘電体層は、SiOなど(例えば、TEOS、USG、FSG、BPSGなど)の酸化物を含むことができ、不動態化層は、窒化シリコン又はシリコンオキシニトライドを含むことができる。このような実施形態では、不動態化層は、下にある誘電体層の厚さよりもわずかに厚くなることがある。
【0123】
[0140]例示的な実施形態では、不動態化層は一般に、監視/識別デバイスと同じ幅寸法及び長さ寸法を有する。これはまた、そのような監視/識別タグ又はデバイスに適した任意の厚さを有する。例えば、不動態化層は、0.5〜100μm、3〜50μm、10〜25μm、又はその中の任意の範囲の値の厚さを有することができる。
【0124】
[0141]本デバイスはまた、インダクタの表面に支持層及び/又はバッキング層(図5Bに示さず)をさらに備えることもできる。支持層及び/又はバッキング層は従来のものであり、監視/識別デバイスの技術分野でよく知られている。一般に、このような支持層及び/又はバッキング層は、(1)追跡又は監視されるべき物品上に後で取付け又は配置をするための接着面、及び/又は(2)監視/識別デバイス自体の機械的支持を与える。例えば、本タグ/デバイスは、価格ラベル又は物品識別ラベルの裏面に貼り付け、接着剤をタグの反対面に塗布又は配置して(任意選択で、タグを使える用意ができるまで従来のリリースシートで覆って)、従来の監視/識別のタグ/デバイスシステムで使用するのに適した価格ラベル又は物品識別ラベルを形成することができる。代替方法として、本デバイスは、識別及び/又は追跡されるべき物品又は物品の内側に(セキュリティの目的で)、デバイスを物品又は物品に接着させて、又は接着させずに配置することもできる。
【0125】
並列コンデンサを有する第2の例示的な監視及び/又は識別デバイス
[0142]並列に接続されたコンデンサを有する第2の例示的な監視デバイス200が、図9A及び図9B(それぞれ上面図及び断面図)に示されている。
【0126】
i.基板
[0143]図9Bに示される実施形態では、監視及び/又は識別デバイス200は、基板210上にアンテナ及び/又はインダクタ270を備える。ここで論じるように、この実施形態の基板は、任意の適切な絶縁性、導電性、又は半導電性材料(例えば、プラスチックシート又はウェブ、ガラス、ウェハ、金属箔など)を含むことができる。しかし、絶縁性材料を含む基板が好ましい。さらに、図9A及び図9Bのデバイス内の基板は、例示的な基板に関して本明細書で説明する特性のどれでも有することができる。
【0127】
ii.アンテナ及び/又はインダクタ
[0144]図9Bに示されるように、この実施形態のアンテナ及び/又はインダクタ270は基板210上にある。加えて、アンテナ及び/又はインダクタは、ストラップ(例えば、接触パッド272)及び/又はコンデンサ電極(例えば、接触パッド274)に接続するための1つ又は複数の接触/相互接続パッド領域をさらに有することができる。いくつかの実施形態では、接触パッド274はまた、下部コンデンサ電極としての役割を果たすこともできる。一代替的変形形態では、アンテナ/インダクタは、本明細書で説明するように導電性基板から(例えば、フォトリソグラフィパターニング及びエッチングなどによって)形成することができる。
【0128】
[0145]一般に、アンテナ/インダクタ270(及び接触パッド領域272/274)は、本明細書で説明するように、基板への配置及び/又は接続に適した任意の形状、サイズ及び/又は寸法を有することができる。さらに、図9Bの実施形態のアンテナ/インダクタ270は、本明細書で論じる任意の導電性材料を含むことができ、好ましくは、アンテナ/インダクタは金属を含む。しかし、アンテナが導電性基板から形成される実施形態では、インダクタは、基板及び/又は下部コンデンサ電極と同じ材料を含む。
【0129】
iii.例示的な誘電体膜
[0146]並列コンデンサを有する例示的なデバイスは一般に、複数の誘電体膜層を備える。例えば、図9Bに示されるように、デバイスは、中間層誘電体膜232、第1の誘電体膜280、及び相対的に薄いコンデンサ誘電体膜240を備える。
【0130】
[0147]図9Bに示されるように、中間層誘電体膜232は、基板の一部分及び/又はアンテナ/インダクタ上に設けられ又はそれらを覆うように設けられ、一般に、アンテナ/インダクタから並列コンデンサへの電気的接続を容易にするためにその中に形成された1つ又は複数の接触孔を有する。例えば、アンテナパッド274を露出させる第1の接触孔が中間層誘電体膜層232内にあり、アンテナパッド272を露出させる第2の接触孔が中間層誘電体膜232内にある。
【0131】
[0148]第1の誘電体膜280は、相対的に厚いコンデンサ誘電体膜を含むことができ、下部コンデンサ電極250及び薄いコンデンサ誘電体膜240の一部又はすべての上、及び任意選択で、中間層誘電体膜232の一部分上に形成される。第1の誘電体膜280は、アンテナ及び/又はインダクタ270の少なくとも一部分を露出させる少なくとも1つの接触孔(例えば、接触パッド272のところ)、及び/又は下部コンデンサ電極250上の開口を有する。相対的に薄いコンデンサ誘電体膜240は、下部コンデンサ電極250上、及び第1の誘電体膜280の開口内にある。薄いコンデンサ誘電体膜240の厚さは、第1の誘電体膜280よりも著しく薄い。さらに、例示的な実施形態では、中間層誘電体膜232もまた、相対的に薄いコンデンサ誘電体膜240よりも厚い。
【0132】
[0149]図9Bの実施形態の誘電体膜は、誘電体膜に関して本明細書で論じる材料(例えば、金属酸化物、シリコン酸化物、セラミック、ガラスなど)のどれでも含むことができる。さらに、各誘電体膜は、本明細書で説明する寸法及び/又は特性のどれでも有することができる。例えば、薄いコンデンサ誘電体膜240は、20〜1,000Å(例えば、50〜400Å、又はその中の他の任意の範囲の値)の厚さ、及び/又は約4〜約15Vの絶縁破壊電圧を有し、第1の誘電体膜280は、2、000〜20,000Å(例えば、3,000〜5,000Å、又はその中の他の任意の範囲の値)の厚さを有することができる。
【0133】
iv.例示的なコンデンサ電極
[0150]図9Bのデバイスに示されるように、下部コンデンサ電極250は、基板上に又はそれを覆うように設けられ、アンテナ及び/又はインダクタ270と電気的に接触している(例えば、接触パッド274のところで)。上部コンデンサ電極260が、薄い誘電体膜240を介し、厚い誘電体膜280を別に介して下部コンデンサ電極250と容量性結合されて、並列に接続されたコンデンサを形成する。図5Bに示された第1の例示的デバイスと同様に、第1のコンデンサは、相対的に薄いコンデンサ誘電体膜240の一部分(好ましくは、大部分)の下方にあり、第2の(大きい方の)コンデンサは、相対的に厚い誘電体膜280の上方にある。導電性ストラップ220は、上部コンデンサ電極260とアンテナ及び/又はインダクタ270の間の電気的連通を行うように(例えば、接触パッド272のところで)構成される。図9Bに示される実施形態では、上部コンデンサ電極260は、コンデンサ誘電体層240を完全には覆わず、したがって、コンデンサ誘電体層240の1つ又は複数の部分が露出されうる。
【0134】
[0151]コンデンサ電極250/260は、別個にどんな導電性材料も含むこと、及び/又は本明細書で説明するインク配合物(例えば、金属前駆物質インク、金属ナノ粒子、金属塩及び/又は金属錯体、ドープされた、又はドープされていない半導体、導電性ポリマーなど)から形成することができる。例えば、電極は、本明細書で説明する金属(例えば、アルミニウム、銅、銀など)、又はそれらの合金(例えば、ステンレス鋼)のどれでも含むことができる。加えて、コンデンサ電極250/260は、本明細書で説明する特性、形状、又は他の寸法のどれでも有することができる。
【0135】
v.導電性ストラップ
[0152]図9A及び図9Bに示されるように、第2の実施形態による例示的デバイスは、上部コンデンサ電極250上の導電性ストラップ220、(1つ又は複数の)誘電体層(例えば、図9Bの240、280及び234)、及びアンテナ/インダクタ270/272を備える。一般に、導電性ストラップ220は、上部コンデンサ電極260とインダクタ/アンテナ270の間の電気的連通を行うように(例えば、接続パッド272のところで)構成される。ストラップ220は、本明細書で説明するどの導電材料(例えば、好ましくは金属)も含むことができ、本明細書で説明するどのサイズ及び/又は形状も有することができる。いくつかの実施形態では、ストラップ220は、上部コンデンサ電極(例えば、260)及び/又はアンテナ/インダクタ(例えば、パッド272)と直接接触している。或いは、ストラップ220は、導電性又は非導電性接着剤を使用して、コンデンサ電極260及び/又はアンテナ/インダクタパッド272と接続することもできる。加えて、ストラップ220は、導電性構造物(例えば、コンデンサ電極260及び/又はアンテナ/インダクタ270/272)に接続するための1つ又は複数の相互接続/接触パッド(例えば、パッド部)を有することもできる。
【0136】
並列コンデンサを有する第3の例示的な監視及び/又は識別デバイス
[0153]並列に接続されたコンデンサを有する第3の例示的な監視デバイス300が図10A及び10Bに示されている。図10A及び図10Bの実施形態は図9A及び図9Bのものとほぼ同様である。例えば、図10Aに示されるように、このデバイスは基板(好ましくは絶縁材料を含む)上にアンテナ/インダクタ370を備える。このアンテナ/インダクタもまた、接触パッド372及び374を含む。中間層誘電体層332が、アンテナ/インダクタ370上にあり、アンテナ接触パッド372/374を露出させる接触孔を有する。下部コンデンサ電極350が、中間層誘電体膜332上、及び接触パッド374の上の接触孔内にある。第1の誘電体膜380が、アンテナ及び/又はインダクタ370及び下部コンデンサ電極350上にあり又はそれらを覆っており、その中に、下部コンデンサ電極350の一部分及び接触パッド372を露出させる接触孔を有する。
【0137】
[0154]図9A及び図9Bのデバイスと対照的に、図10Aのデバイスは、相対的に薄いコンデンサ誘電体膜340を下部コンデンサ電極350上の、下部コンデンサ電極350を露出させる第1の誘電体膜380の接触孔内だけに含み、図9Bに示されるように、下部コンデンサ電極全体の上方には含まない。しかし、並列コンデンサを有する第1及び第2の例示的デバイスに関して前に論じたように、図10Aのデバイスの相対的に薄いコンデンサ誘電体膜340もまた、第1の誘電体膜380の厚さよりも、また中間層誘電体膜332よりも著しく薄い。例えば、いくつかの例示的な実施形態では、第1の誘電体膜(例えば、構造物380)の厚さは、相対的に薄いコンデンサ誘電体膜(例えば、構造物340)の少なくとも5倍の厚さになることがある。上部コンデンサ電極360がデバイス上に形成され、下部コンデンサ電極350に容量性結合されて、並列に接続されたコンデンサが形成される。導電性ストラップ320が、上部コンデンサ電極360とアンテナ/インダクタを接触パッド372のところで接続する。
【0138】
[0155]一般に、図10Aのデバイスの導電性構造物(例えば、アンテナ/インダクタ 370/372/374、上部コンデンサ電極350/下部コンデンサ電極360、及び導電性ストラップ320)は、本明細書で説明する導電性材料のどれでも含むことができる。同様に、誘電体膜(例えば、中間層誘電体膜332、相対的に厚い誘電体膜380、及び相対的に薄い誘電体膜340)は、本明細書で説明する絶縁材料のどれでも含むことができる。さらに、図10Aのデバイスの様々な構造物(例えば、基板、誘電体膜、コンデンサ電極、ストラップ、及び/又はアンテナ)は、その構造物に関して本明細書で説明するサイズ、形状、及び/又は特性のどれでも有することができる。いくつかの実施形態では、図10Aのデバイスはまた、本明細書で説明するように、導電性ストラップ及び上部コンデンサ電極を覆う不動態層を備えることもできる。
【0139】
[0156]図10Bに示されるように、いくつかの実施形態では、バッキング層及び/又は支持層390が、後の操作及び/又は処理中の機械的安定性及び/又は保護をデバイスに与えるために望まれる(又は必要とされる)ことがある。このようなバッキング層は、紙又は可撓性ポリマー材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、電気絶縁性ポリイミド、ポリスチレン、これらのコポリマーなど)に積層することができる。デバイスに機械的支持を与えることに加えて、このような支持層及び又はバッキング層はまた、後続の、追跡又は監視されるべき物品上への監視/識別デバイスの取付け又は配置のために、接着面を設けることもできる。
【0140】
直列コンデンサを有する例示的な監視及び/又は識別デバイス
[0157]直列に接続された複数のコンデンサを有する例示的な監視及び/又は識別デバイス500が、図11及び図12(それぞれ断面図及び上面図)に示されている。
【0141】
i.基板
[0158]図11に示されるように、直列コンデンサを有する監視及び/又は識別デバイスは、基板510と、その上の第1の誘電体膜540とを備える。例示的な実施形態では、基板は、本明細書で説明する導電(例えば、電気的機能性)材料を含む。例示的な実施形態では、導電性基板は、アルミニウムを含み、又は本質的にそれで構成される。いくつかの実施では、導電性基板用の金属は、それが有効な誘電膜になるよう陽極処理できることに少なくとも一部は基づいて、選択することができる。好ましい実施形態では、コンデンサは、導電性基板(例えば、金属シート、金属箔など)510を共通下部コンデンサ電極として共用する(例えば、図2の接続点「箔」を参照)。
【0142】
[0159]しかし、このデバイスは、導電性基板に限定されない。反対に、いくつかの変形形態では、デバイスは、本明細書で前に説明したように、絶縁性基板(例えば、ガラス、セラミック、プラスチックなど)を備えることがある。絶縁性基板を備える実施形態では、絶縁性基板(図11に示さず)上に導電層(例えば、下部コンデンサ電極)があり、例示的な実施形態では、コンデンサは、この導電層を共通下部電極として共用することができる。さらに、いくつかの実施形態では、デバイスは、デバイス/タグを物品(図示せず)に取り付けるために、(導電性)基板上に導電性又は非導電性の接着剤をさらに含むこともある。
【0143】
[0160]例示的な実施形態では、導電性基板は、1〜300μm(例えば、3〜200μm、5〜100μm、又はその中の他の任意の範囲の値)の公称厚さを有することができる。好ましくは、基板は1〜100μm、又はその中の他の任意の範囲の値の厚さを有する。さらに、導電性基板は、0.1〜100μΩcm(好ましくは0.5〜5μΩcm)、又はその中の他の任意の範囲の値の抵抗を有することができる。
【0144】
ii.例示的なコンデンサ電極
[0161]図11に示されるように、複数のコンデンサ電極530/535が第1の誘電体膜540上にあり、これらのコンデンサ電極は基板510に容量性結合される。その結果、導電性基板510と、第1の誘電体膜540と、複数のコンデンサ電極535/530とは、直列に接続されたコンデンサC1及びC2を形成する(図2も参照)。
【0145】
[0162]例示的な実施形態では、上部コンデンサ電極は、コンデンサをアンテナ及び/又はインダクタ(例えば、図11及び図12の構造物570及び575)と電気的に接続するための接触パッド(例えば、図11及び図12のP1及びP2)を備える。或いは、上部コンデンサ電極は、接触パッドに電気的に接続されることがある。加えて、上部コンデンサ電極530及び535は、並べて形成されることがあるが、一般には互いに物理的に分離される。例えば、各コンデンサ電極は、第1の誘電体膜540上の、電極530/535がその中又は上に形成される開口を有する相対的に厚い誘電体膜580によって、物理的に隔離又は分離することができる。
【0146】
[0163]コンデンサ電極は、導電性構造物及び/又は導電性構造物を形成する方法に関して本明細書で説明するどんな導電性材料(例えば、金属、導電性ポリマー、導電性無機化合物、ドープされた半導体など)も含むことができる。いくつかの実施形態では、上部及び下部コンデンサ電極は、同一の材料を含むことがあり、或いは、それぞれ異なる材料を含むこともある。例えば、いくつかの実施形態では、導電性基板(又は導電層)は第1の金属を含み、上部コンデンサ電極は第2の金属を含む。
【0147】
[0164]前に論じたように、好ましい実施形態では、直列の各コンデンサは、導電性基板(又は絶縁性基板上の導電層)を下部コンデンサ電極として共用する。その結果として、下部コンデンサ電極は、例示的な基板に関して説明したものと同じ特性を有する。上部コンデンサ電極は、どんな所望の形状(例えば、円形、正方形、長方形、三角形、ドーム形など)、特性、サイズも、また本明細書で論じるように、上部コンデンサ電極を監視/識別デバイスの中及び/又は上に適合させることのできるほぼどんな大きさも有することができる。
【0148】
iii.例示的な誘電体膜層
[0165]図11を再び参照すると、本発明の実施形態は、複数の誘電体膜層(例えば、コンデンサ誘電体膜540、厚い誘電体層580、及び/又は上部コンデンサ誘電体層560)を含む。コンデンサ誘電体膜540は、導電性基板510の一部又は全部の上に形成され、導電性基板(例えば、下部コンデンサ電極)を上部コンデンサ電極530/535から分離する。一般に、コンデンサ誘電体膜540は、50〜400Å、又はその中の任意の範囲の値の厚さを有しうる。相対的に厚い誘電体膜580は、コンデンサ誘電体膜540の一部分上に形成することができ、その中に一般には1つ又は複数の接触孔/コンデンサ電極開口を有する。好ましい実施形態では、厚い誘電体膜580は、厚い誘電体膜580上の上部コンデンサ電極530/535の一部分(例えば、接触パッドP1及びP2のところ)と基板510の間の静電容量を、第1の誘電体層540上の複数のコンデンサ(例えば、C1及びC2)の各静電容量よりも著しく小さい値に保つのに十分なだけの厚さを有する。
【0149】
[0166]図11に示されるように、このデバイスはまた、上部コンデンサ電極530/535上に又はそれを覆うように誘電体層(例えば、中間層誘電体層560)も備える。誘電体層560は、その中に、上部電極の一部分を例えば接触パッドP1及びP2のところで露出させる接触孔又は接続開口を有する。このような構造物により、デバイスをアンテナ及び/又はインダクタ570上に接触パッドP1及びP2の電気接点575と共に組み立てることが、導電性基板510への直接の電気的接続を必要とせずに可能になる。いくつかの実施形態では、上部電極上の誘電体層(例えば、ILD 560)は、基板510上のコンデンサ誘電体膜540よりも厚い。
【0150】
[0167]一般に、誘電体膜は、本明細書で論じるどんな電気絶縁性誘電体材料(例えば、無機絶縁体、液相誘電体前駆物質インクなど)も含むことができ、本明細書で論じるものと同じ又は類似の特性を有することができる。
【0151】
iv.アンテナ及び/又はインダクタ
[0168]直列コンデンサを有する例示的なデバイスは、図11及び図12に示されるように、上部コンデンサ電極に電気的に接触する(例えば、接触パッドP1及びP2のところで)アンテナ及び/又はインダクタ(例えば、570/575)を備える。直列コンデンサを有するデバイスのアンテナ及び/又はインダクタは、本明細書で詳細に説明するものと同じ又は類似の特性を有することができる。しかし、並列コンデンサを有するデバイスとは異なり、直列コンデンサを有するデバイスは一般に、導電性ストラップを含まない。したがって、図11及び図12のデバイスで示されるアンテナ/インダクタは、各上部コンデンサ板を接続するが、上部コンデンサ電極を導電性ストラップに接続することはしない。
【0152】
[0169]一般に、アンテナ/インダクタは、本明細書で説明するどの導電性材料も含むことができ、好ましくは金属(例えば、アルミニウム、銅、これらの合金など)を含む。いくつかの実施形態では、アンテナは、上部コンデンサ電極にアンテナを接続するための1つ又は複数の接触パッド領域を備えることがある。アンテナ/インダクタは、導電性又は非導電性の接着剤でコンデンサ電極に取り付けることができ、デバイス/タグを物品又は製品に取付け又は配置するためのバッキング層及び/又は支持層をさらに備えることもある。しかし、バッキング層及び/又は支持層は、別法として、本明細書で説明するように不動態層上にあってもよく、又は基板上にあってもよい(例えば、図3Cの層104b参照)。
【0153】
[0170]アンテナ/インダクタは、本明細書で説明する複数のループ又はリングを有するコイルを含むことができ、このようなアンテナ/インダクタに適した形態及び/又は形状を取ることができる。例えば、本デバイスのアンテナ(及び任意選択で接触/相互接続パッド)は、本明細書で説明する形状、大きさ、又は設計のどれでもよい。さらに、本デバイスはまた、本明細書で説明するものと同じ又は類似の不動態層又は他の追加バッキング層若しくは支持層を備えることもできる。
【0154】
本監視及び/又は識別タグ/デバイスを使用して物品を検出する例示的方法
[0171]本発明はさらに、検出区域内の物品又は物体を検出する方法に関し、(a)本発明の(1つ又は複数の)デバイス内に、検出可能な電磁放射を(好ましくは、印加された電磁界の整数倍数又は整数約数になる周波数で)そのデバイスが放射、反射、後方散乱、又は吸収するのに十分な電流を生じさせる、又は誘導するステップと、(b)検出可能な電磁放射を検出するステップと、任意選択で(c)選択的にデバイスを機能停止する、及び/又はデバイスに対応させるステップとを含む。一般に、振動電磁界を含む検出区域内にデバイスがあるとき、本デバイス内には、検出可能な電磁放射をデバイスが放射、反射、後方散乱、又は吸収するのに十分な電流及び電圧が誘導される。この振動電磁界は、従来の監視/識別検出機器及び又はシステムによって生成又は発生される。
【0155】
[0172]本使用方法は、検出されるべき物体又は物品上又は中に本デバイスを取り付ける、貼り付ける、又は他の方法で組み込むことをさらに含むこともできる。さらに、本デバイスの利点によれば、タグ又はデバイスは、デバイス内に電流、電圧及び/又は共振を誘導するのに十分な強度及び効果的な振動周波数を有する印加電磁界に応じて、スレッショルド(すなわち、電圧に対するCV曲線フィーチャの位置)の不揮発性移動又はデバイスの静電容量によって機能停止することができる。通常、デバイスは、検出区域内の物体又は物品の存在が検出されるべきではない、又は別に知られるべきではない場合に、機能停止される。
【0156】
[0173]小売り商店及び又は他の施設(例えば、図書館など)からの物品又は商品の盗難又は不正な持出しを検出及び/又は防止するために、電子式及び/又は無線式識別及びセキュリティシステムを使用することが広く普及してきた。一般に、監視/識別デバイスシステムは、検出(例えば、保護)されるべき物品又は物品、又はその物品のパッケージに貼り付けられる、中に入れられる、付属される、又は他の方法で固定されるラベル、又はセキュリティタグ/デバイス(例えば、EAS、RF、RFIDなど)を使用する。監視/識別タグは、使用されるシステムの個別の種類、物品の種類及びサイズなどに応じて、多くの異なるサイズ、形状及び形態を有しうる。一般に、このようなシステムは、活性セキュリティタグが存在すること又は存在しないことを、そのセキュリティタグと、それが貼り付けられた(又は内部に入れられた)保護物品とがセキュリティ又は監視区域を通り抜ける、或いはセキュリティチェックポイント又は監視所やその付近を通過するときに検出するために、使用される。しかし、本発明はセキュリティに限定されない。例えば、本監視/識別デバイスは、検出区域内での検出に対する処置をデバイスに実行させる論理回路をさらに備えることもできる。
【0157】
[0174]本タグは、無線周波数(RF)電磁界内の擾乱を検知する電子式セキュリティシステムと共に動作するように少なくとも一部は設計される。このような電子式セキュリティシステムでは一般に、物品が管理構内(例えば、小売店)を出る際に通過しなければならない正門によって画定された管理領域内に、電磁界を確立する。共振回路を有するタグ/デバイスが各物品に取り付けられ、管理領域内にタグ回路が存在することが受信システムによって検知されて、物品の不正な持出しが表示される。タグ回路は、構内から出ることが認可されたどの物品についても、認可要員によって機能停止され、離調され、又は取り外されて、警報装置が作動するように装備された管理領域を物品が通過できるようになる。この原理で動作するタグのほとんどが、一度使うだけの、又は使い捨てのタグであり、したがって、低コストで非常に大量に製造されるように設計される。
【0158】
[0175]本タグは、どんな商業用途にも、またそのような用途で実質的にどんな周波数範囲でも、使用(また、必要な場合及び/又は適用できる場合には、再使用)することができる。例えば、本タグは、下表に示される周波数、領域及び/又は範囲で使用することができる。
【表1】

【0159】
[0176]機能停止方法では一般に、適正に構内から出る物品上に機能停止されたタグが残留できるように、共振タグ回路の遠隔電子式機能停止法を組み込んでいる。共振セキュリティ/識別タグの電子式機能停止法は、セキュリティタグがセキュリティシステムによって活性セキュリティタグとしてもはや検出されないように、検出周波数共振を変化又は消失させることを含む。電子式機能停止法を実施するために利用可能な多くの方法がある。しかし、一般には、既知の方法は、回路のQを劣化させること、又は共振周波数を検出システムの周波数範囲外に移すことのどちらか、又は両方をするために、共振回路の一部分を短絡する、又は共振回路のある部分内に開回路を作り出すことを含む。
【0160】
[0177]検出信号よりは通常高いが、一般にはFCC規制内のエネルギーレベルで、機能停止装置は、下部コンデンサ電極と上部コンデンサ電極の間の誘電体膜を絶縁破壊させるのに十分な電圧をタグ又はデバイスの共振回路内に誘導する。したがって、本明細書で説明する(1つ又は複数の)本監視/識別デバイスは、レジ又は他の同様な場所で、タグを機能停止装置の上方又は近くに一瞬の間置くことによって、都合よく機能停止することができる。
【0161】
[0178]したがって、本発明はまた、基本周波数(例えば、13.56MHz)で保護されている構内の一領域中に電磁波が送出され、その領域内に物品が不正に存在することが、(1つ又は複数の)本監視/識別デバイスにより放出又は吸収される電磁放射を受信及び検出することによって検知される、物品監視技法にも関する。この放出又は吸収される電磁放射は、物品内に取り付けられ又は埋め込まれた、本無線式監視デバイスを含むセンサ・放出器要素、ラベル、又はフィルムから再放射される第2高調波又はそれに続く高調波周波数を、ラベル又はフィルムが構内からの正当な持出しのために機能停止されていない状況下で、含みうる。
【0162】
[0179]本発明の諸態様による物品監視、盗難検出の方法、又は識別の他の方法は、利用される順次的ステップについての以下の説明で理解されよう。本監視/識別タグ(例えば、価格ラベルと一体で形成される)は、システムの監視下に置くことができる物品、物品又は物体に取り付けられ又は埋め込まれる。次に、代金が支払われるか別の手続きで監視領域からの持出しが認可された物品上のどの活性タグ/デバイスも、構内を監視する機能停止装置操作員(例えば、レジの店員又は警備員)が、機能停止又は非感応化することができる。その後、機能停止又は非感応化されていないデバイス/タグからの高調波周波数放出信号又は再放射信号、或いは電磁波又は電磁エネルギーが、基本周波数電磁波又は電気空間エネルギー場が存在する検出区域(例えば、出口又は検査領域)を通ってデバイス/タグが移動されるときに、検出される。この領域で高調波信号を検出することは、活性デバイス/タグが付いている未検証の物品が不正に存在すること、又は持出されようとしていることを意味し、この検出を用いて警報器に信号を送り、又はそれを作動させ、或いは出口ドア又はターンスタイルをロックすることができる。搬送波周波数又は読取り装置送信周波数の2倍又は1/2の周波数のタグ信号を検出することは、使用方法の好ましい形であるが、第3高調波信号及びそれに続く高調波信号など他の高調波信号、並びに基本波信号及び他の低調波信号を使用することもできる。
【0163】
結論/概要
[0180]したがって、本発明は、並列又は直列に接続されたコンデンサを有する監視及び/又は識別タグ/デバイスと、このようなデバイスを作製及び使用する方法とを提供する。本発明の諸態様は、並列コンデンサを有する監視及び/又は識別デバイスに関する。並列に接続されたコンデンサを有するデバイスでは、高精度の静電容量と、タグ機能停止を容易にするための低い絶縁破壊電圧とが得られる。このような実施形態では、監視及び/又は識別デバイスで一般に使用される単一のコンデンサが、並列に接続される複数のコンデンサと置き換えられる。一般に、コンデンサの一方は、(1つ又は複数の)他方よりも厚い誘電体を用いて製造され、その結果、大面積コンデンサが得られる。大面積コンデンサの大きな幾何学的フィーチャにより、コンデンサを画定するために使用される印刷法又はパターニング法の公差内で、コンデンサを高精度の静電容量になるように製造することができる。第2の小さい方のコンデンサは、ずっと薄い誘電体膜を用いて製造される。これにより、小さい方のコンデンサが、監視タグ機能停止で要求される低い電圧で絶縁破壊することができる。加えて、小さい方のコンデンサの静電容量は大面積コンデンサの静電容量よりも小さく、その結果、小さい方のコンデンサは、大面積コンデンサと比較して相対的に低い精度で製造される可能性があるが、それでもなお、デバイスの正味静電容量の全精度に及ぼす影響は相対的に小さい。
【0164】
[0181]本発明のさらなる諸態様は、直列コンデンサを有するタグ/デバイスに関する。直列に接続されたコンデンサを有するデバイスを製造することによって、小さなコンデンサの横方向の大きさを増すことができる。こうすることで、解像能力が相対的に限定されることがある印刷法などの技法を用いてそのコンデンサを製造することが容易になる。このような実施形態では、単一のコンデンサが、好ましくは共通電極を共用する直列に接続された複数のコンデンサ(例えば、図2のC1及びC2)と置き換えられる。デバイスの各静電容量は直列に加わって、式 1/CT=1/C1+1/C2で示されるCTの実効正味静電容量になる。C1とC2の静電容量が等しい場合、C1とC2の両方とも正味静電容量CTの2倍の静電容量であり、したがって、静電容量CTを有する単一のコンデンサの2倍の大きさの面積を有する。これにより、コンデンサ領域を画定するために使用されるどんな印刷ステップ又はパターニングステップでも、許容される寸法公差が増大されることになる。
【0165】
[0182]本発明の特定の実施形態についての上記の説明は、例示及び説明の目的で提示した。これらは網羅的なものではなく、また開示された厳密な形態に本発明を限定するものではなく、明らかに多くの修正形態及び変形形態が上述の教示に照らして実現可能である。各実施形態は、本発明の原理及びその実用的応用を最善に説明するように選択、説明され、それによって当業者が、本発明及び様々な実施形態を様々な修正形態と共に、企図された特定の用途に適するように最善に利用することが可能になる。本発明の範囲は、本明細書に添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって定義されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)基板上に設けられた導電性ストラップと、
b)前記導電性ストラップに電気的に接続された、前記基板上に設けられた又は前記基板を覆う下部コンデンサ電極と、
c)前記基板上に設けられ、且つ、前記導電性ストラップ上に設けられた又は前記導電性ストラップを覆う第1の誘電体膜であって、前記導電性ストラップの一部分を露出させ且つ前記下部コンデンサ電極の一部分の上に設けられた開口を有する、第1の誘電体膜と、
d)前記開口内で前記下部コンデンサ電極上に設けられたコンデンサ誘電体膜であって、前記第1の誘電体膜よりも相当に薄いコンデンサ誘電体膜と、
e)前記第1の誘電体膜及び前記コンデンサ誘電体膜上に設けられた上部コンデンサ電極であって、前記下部コンデンサ電極に容量性結合された上部コンデンサ電極と、
f)前記上部コンデンサ電極及び前記導電性ストラップに電気的に接続されたアンテナ及び/又はインダクタと
を備える、監視及び/又は識別用のデバイス。
【請求項2】
前記導電性ストラップ及び前記下部コンデンサ電極が同じ材料を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記コンデンサ誘電体膜が20〜1000Åの厚さを有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の誘電体膜が5000〜20,000Åの厚さを有する、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1の誘電体膜の前記開口が、前記上部コンデンサ電極と前記下部コンデンサ電極との間の領域で前記第1の誘電体膜を包含する領域の20%以下の面積を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
監視及び/又は識別用のデバイスを作製する方法であって、
a)基板上に又は該基板を覆うように導電性ストラップ及び下部コンデンサ電極を形成するステップと、
b)前記基板上に、且つ、前記導電性ストラップの一部分上に又は当該一部分を覆うように、第1の誘電体膜を形成するステップであり、該第1の誘電体膜が、前記導電性ストラップの一部分を露出させ且つ前記下部コンデンサ電極の一部分の上に開口を有する、ステップと、
c)前記開口内に、前記第1の誘電体膜よりも相当に薄いコンデンサ誘電体膜を形成するステップと、
d)前記第1の誘電体膜及び前記コンデンサ誘電体膜上に上部コンデンサ電極を、前記上部コンデンサ電極が前記下部コンデンサ電極に容量性結合されるように形成するステップと、
e)前記上部コンデンサ電極及び前記導電性ストラップ上にアンテナ及び/又はインダクタを形成するステップ、又は、前記上部コンデンサ電極及び前記ストラップにアンテナ及び/又はインダクタを取り付けるステップと
を含む方法。
【請求項7】
前記導電性ストラップを形成する前記ステップが、前記基板上に導体インクを印刷するサブステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の誘電体膜を形成する前記ステップが、前記導電性ストラップ及び前記下部電極上に第1の誘電体材料を、前記導電性ストラップ及び前記下部電極の所定の部分が露出するように選択的に堆積させるサブステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の誘電体膜を形成する前記ステップが、誘電体前駆物質インクを印刷するサブステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記下部コンデンサ電極を形成する前記ステップが、前記コンデンサ誘電体膜及び前記第1の誘電体膜上に金属インクを印刷するサブステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記アンテナ及び/又は前記インダクタを形成する前記ステップが、前記上部コンデンサ電極及び前記ストラップ上に連続の金属/導体インクパターンを印刷するサブステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の誘電体膜を形成する前記ステップが、(1)液相誘電体前駆物質インクを堆積させるサブステップと、(ii)前記誘電体前駆物質を乾燥及び/又は硬化させて前記誘電体膜を形成するサブステップとを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
a)基板に設けられたアンテナ及び/又はインダクタと、
b)前記基板上に設けられた又は前記基板を覆う、前記アンテナ及び/又は前記インダクタと電気的に接触する下部コンデンサ電極と、
c)前記アンテナ及び/又は前記インダクタ上に設けられ、且つ、前記下部コンデンサ電極上に設けられた又は前記下部コンデンサを覆う第1の誘電体膜であって、前記アンテナ及び/又は前記インダクタの一部分を露出させる孔と前記下部コンデンサ電極の上の開口とを有する第1の誘電体膜と、
d)前記第1の誘電体膜の前記開口内で前記下部コンデンサ電極上に設けられた相対的に薄いコンデンサ誘電体膜であって、前記第1の誘電体膜よりも相当に薄いコンデンサ誘電体膜と、
e)前記下部コンデンサ電極に容量性結合された上部コンデンサ電極と、
f)前記上部コンデンサ電極と前記アンテナ及び/又は前記インダクタとの間を電気的に連通するように構成された導電性ストラップと
を備える、監視及び/又は識別用のデバイス。
【請求項14】
前記薄いコンデンサ誘電体膜が、前記下部コンデンサ電極を形成する金属の対応する酸化物を含む、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
監視及び/又は識別用のデバイスを作製する方法であって、
a)基板上にアンテナ及び/又はインダクタと、前記アンテナ及び/又は前記インダクタの第1の端部と電気的に連通する下部コンデンサ電極とを形成するステップと、
b)前記下部コンデンサ電極の少なくとも第1の部分上に、相対的に薄いコンデンサ誘電体膜を形成するステップと、
c)前記下部コンデンサ電極の、前記第1の部分と重ならない第2の部分上に又は当該第2の部分を覆うように、相対的に厚いコンデンサ誘電体膜を形成するステップと、
d)前記薄いコンデンサ誘電体膜及び前記厚いコンデンサ誘電体膜上に、前記下部コンデンサ電極に容量性結合された上部コンデンサ電極を形成するステップと、
e)前記上部コンデンサ電極と前記アンテナ及び/又は前記インダクタの第2の端部との間を電気的に連通するように構成された導電性ストラップを形成するステップと
を含む方法。
【請求項16】
前記下部コンデンサ電極を形成する前記ステップの前に、前記アンテナ及び/又は前記インダクタ上に第1の誘電体膜を形成するサブステップをさらに含み、前記第1の誘電体膜が、前記アンテナ及び/又は前記インダクタの一部分を露出させる接触孔を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記相対的に薄いコンデンサ誘電体膜を形成する前記ステップが、前記下部コンデンサ電極の露出表面を熱的及び/又は化学的に酸化するサブステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記相対的に厚いコンデンサ誘電体膜を形成する前記ステップが、前記下部コンデンサ電極の一部分上に誘電体材料を選択的に堆積させるサブステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記相対的に厚いコンデンサ誘電体膜を形成する前記ステップが、誘電体前駆物質インクを印刷するサブステップと、前記誘電体前駆物質インクを乾燥及び硬化させるサブステップとを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記下部コンデンサ電極を形成する前記ステップが、前記第1の誘電体膜の、前記アンテナ及び/又は前記インダクタの第1の端部を露出させる開口内に、金属インクを印刷するサブステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記アンテナ及び/又は前記インダクタを形成する前記ステップが、金属/導体インクを印刷するサブステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記相対的に厚い誘電体膜を形成する前記ステップが、(1)液相誘電体前駆物質インクを堆積させるサブステップと、(ii)前記誘電体前駆物質を乾燥及び/又は硬化させるサブステップとを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
物品を検出する方法であって、
a)請求項1に記載のデバイス内に、検出可能な電磁放射を該デバイスが放射、吸収、又は後方散乱するのに十分な電流を生じさせる又は誘導するステップと、
b)前記検出可能な電磁放射を検出するステップと、
c)任意選択で、前記デバイスを選択的に機能停止するステップと
を含む方法。
【請求項24】
監視及び/又は識別用のデバイスを作製する方法であって、
a)電気的機能性の基板上に第1の誘電体膜を形成するステップと、
b)前記第1の誘電体膜上に、前記基板に容量性結合され物理的に互いに分離されている複数のコンデンサ電極を形成するステップと、
c)複数の前記コンデンサ電極上に又は複数の前記コンデンサ電極を覆うように第2の誘電体膜を形成するステップであり、前記第2の誘電体膜が当該コンデンサ電極への電気的接続を容易にするための孔を有する、ステップと、
d)複数の前記コンデンサ電極のそれぞれに電気的に接続されたインダクタを形成するステップと
を含む方法。
【請求項25】
前記基板、前記第1の誘電体膜及び複数の前記コンデンサ電極が、直列に接続された複数のコンデンサを形成する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の誘電体膜上に、前記コンデンサ電極を形成するための開口を有する第3の誘電体膜を形成するステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第2の誘電体膜が前記第1の誘電体膜よりも厚い、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記コンデンサ電極を形成する前記ステップが、前記第3の誘電体膜の開口内に金属インクを印刷するサブステップを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記基板上に第2の誘電体膜を、開口が形成されるように選択的堆積によって形成するステップを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の誘電体膜を形成する前記ステップが、誘電体前駆物質インクを印刷するサブステップを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第3の誘電体膜を形成する前記ステップが、誘電体前駆物質インクを印刷するサブステップを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記電気的機能性の基板が金属シート又は金属箔を備える、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
前記コンデンサ電極が前記金属シート又は金属箔を共通電極として共用する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記コンデンサ電極を形成する前記ステップが、前記第1の誘電体膜の少なくとも一部分上に金属/導体を堆積させるサブステップと、前記金属/導体をエッチングするサブステップとを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項35】
前記第2の誘電体膜を形成する前記ステップが、(i)液相誘電体前駆物質インクを堆積させるサブステップと、(ii)前記誘電体前駆物質を乾燥及び/又は硬化させて前記第2の誘電体膜を形成するサブステップとを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項36】
a)導電性基板と、
b)前記導電性基板上の第1の誘電体膜と、
c)前記第1の誘電体膜上にあり、前記導電性基板に容量性結合され互いに物理的に分離された複数のコンデンサ電極と、
d)複数の前記コンデンサ電極上に設けられた又は複数の前記コンデンサ電極を覆う第2の誘電体膜であり、孔を有する第2の誘電体膜と、
e)前記孔を介して複数の前記コンデンサ電極と電気的に接続されたインダクタと
を備える、監視及び/又は識別用のデバイス。
【請求項37】
前記基板、前記第1の誘電体膜及び複数の前記コンデンサ電極が、直列に接続された複数のコンデンサを形成する、請求項36に記載のデバイス。
【請求項38】
前記第2の誘電体膜が前記第1の誘電体膜よりも厚い、請求項36に記載のデバイス。
【請求項39】
前記第1の誘電体膜上に、前記コンデンサ電極を形成するための開口を有する第3の誘電体膜をさらに備える、請求項36に記載のデバイス。
【請求項40】
前記第1の誘電体膜が、前記インダクタを形成する金属の対応する酸化物を含む、請求項36に記載のデバイス。
【請求項41】
前記第2の誘電体膜が第2のIVA族元素の酸化物及び/又は窒化物を含む、請求項36に記載のデバイス。
【請求項42】
前記電気的機能性基板が金属シート又は金属箔を備える、請求項36に記載のデバイス。
【請求項43】
前記コンデンサ電極が前記金属シート又は金属箔を共通電極として共用する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
物品を検出する方法であって、
a)請求項36の前記デバイス内に、検出可能な電磁放射を前記デバイスが放射、吸収、又は後方散乱するのに十分な電流を生じさせる又は誘導するステップと、
b)前記検出可能な電磁放射を検出するステップと、
c)任意選択で、前記デバイスを選択的に機能停止するステップと
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2011−521457(P2011−521457A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509782(P2011−509782)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/044248
【国際公開番号】WO2009/140658
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(504263587)コヴィオ インコーポレイテッド (25)
【Fターム(参考)】