説明

複数チャンバ混合システム

様々な医療用組成物の複数の成分を貯蔵および混合する混合システムが、提供される。即時混合システムは、概して、外筒と、外筒内に摺動可能に配置されるプランジャと、プランジャ内に摺動可能に配置される押棒とを含む。即時混合システムは、個々の成分または成分混合物を貯蔵する複数のチャンバをさらに含むことができ、少なくとも1つのチャンバは、外筒内に配置され、少なくとも1つのチャンバは、プランジャ内に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数チャンバ混合システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
骨充填財、骨セメント、ならびに歯科および医療用接着剤などの様々な医療用組成物は、液体または固体の形態のいくつかの成分を共に混合することをしばしば必要とする。通常、そのような組成物の個々の成分は、保管中は互いに分離されており、患者にそれらを投与する直前に混合される。
【0003】
医療用組成物用に個々の成分を貯蔵および混合するシステムとして成功するには、いくつかの目的を満たす必要がある。第1に、このシステムは、液体および固体の形態の両方の成分を貯蔵することができ、混合システムの保管および輸送中に、確実にこれらの成分が、互いに完全に隔離されているようにする必要がある。第2に、混合システムは、個々の成分の迅速で完全な混合を可能にする必要があり、使用者による最小限の努力しか必要としない。第3に、混合システムは、多くの別個の成分を含むことができるが、混合システムを都合よく取り扱い、輸送し、保管することを容易にするために、そのサイズを最小化するように設計する必要がある。
【0004】
現在、多くの様々な混合システムが入手可能であるが、それらはどれも、これらの目的の全てを満たしてはいない。したがって、医療用組成物を混合し、それらを患者に投与する改良型混合システムが当技術分野において依然として求められている。
【発明の概要】
【0005】
多成分医療用組成物用に成分を貯蔵および混合する混合システムが、提供される。
一実施形態において、多成分混合システムは、少なくとも1つの第1のチャンバを含む第1の外筒と、外筒内に摺動可能に配置されるプランジャと、プランジャ内に配置され、少なくとも1つの第1のチャンバから流体的に隔離される少なくとも1つの第2のチャンバと、プランジャ内の少なくとも1つの第2のチャンバの近位に配置される押棒とを含むことができる。
【0006】
別の実施形態において、多成分混合システムは、互いに流体的に隔離される少なくとも1つの第1のチャンバおよび少なくとも1つの第2のチャンバを含む外筒と、外筒内に摺動可能に配置されるプランジャと、プランジャ内に配置され、少なくとも1つの第1のチャンバおよび少なくとも1つの第2のチャンバから流体的に隔離される少なくとも1つの第3のチャンバと、プランジャ内に配置される押棒とを含むことができる。第2のチャンバは、プランジャと外筒の内壁との間に配置することができる。
【0007】
さらに別の実施形態において、多成分混合システムは、共通出口に流体的に接続される第1の外筒および第2の外筒を含むことができる。さらに、外筒の少なくとも1つは、少なくとも1つの第1のチャンバと、外筒の少なくとも1つ内に摺動可能に配置されるプランジャと、プランジャ内に配置され、少なくとも1つの第1のチャンバから流体的に隔離される少なくとも1つの第2のチャンバと、プランジャ内の少なくとも1つの第2のチャンバの近位に配置される押棒とを含むことができる。複数のチャンバを含む外筒は、外筒の内壁とプランジャの外壁との間に形成される少なくとも1つの第3のチャンバをさらに含むことができる。
【0008】
さらに別の実施形態において、本発明は、複数の成分が貯蔵された同じ器具内で複数の成分を混合し、混合された多成分組成物を目標部位に供給する方法を提供する。
全ての態様において、押棒は、プランジャ内のチャンバから、外筒内のチャンバ内に成分を押し出すように構成されるのが好ましい。したがって、即時混合システム内の各チャンバは、液体、固体、または粉末などの様々な形態の個々の成分を貯蔵するのに使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】即時多成分混合システムの一実施形態を示す図である。
【図2】図1の混合システムの一実施形態の使用を示す図である。
【図3】図1の混合システムの一実施形態の使用を示す図である。
【図4】図1の混合システムの一実施形態の使用を示す図である。
【図5】図1の混合システムの別の実施形態の使用を示す図である。
【図6】図1の混合システムの別の実施形態の使用を示す図である。
【図7】図1の混合システムの別の実施形態の使用を示す図である。
【図8】図5〜7の混合システムの閉鎖可能混合チャネルの一実施形態を示す図である。
【図9】図5〜7の混合システムの閉鎖可能混合チャネルの一実施形態を示す図である。
【図10】即時多成分混合システムの別の実施形態を示す図である。
【図11】図10の混合システムの使用を示す図である。
【図12】図10の混合システムの使用を示す図である。
【図13】図10の混合システムの使用を示す図である。
【図14】即時多成分混合システムのさらに別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
様々な医療用組成物の複数の成分を貯蔵および混合する混合システムが、提供される。具体的には、そのようなシステムは、人工関節の固定などの整形外科的処置、または脊椎圧迫骨折の処置および外傷復元などの脊椎関連処置において、骨セメントを投与するのに使用することができる。
【0011】
即時混合システムは、概して、外筒と、外筒内に摺動可能に配置されるプランジャと、プランジャ内に摺動可能に配置される押棒とを含む。即時混合システムは、個々の成分または成分混合物を貯蔵する複数のチャンバをさらに含むことができ、少なくとも1つのチャンバは、外筒内に配置され、少なくとも1つのチャンバは、プランジャ内に配置される。即時混合システムの全容積は、約5ccから約50ccの間にある可能性が高い。即時混合システム内の個々のチャンバの容積は、約1ccから約20ccの範囲にある可能性がある。
【0012】
図1は、即時多成分混合、調合、および/または注入システムの一実施形態を示す。そのような混合および調合システム10は、遠位端部13、近位端部14、側壁15、遠位壁16、および任意選択で近位壁17を有する外筒12を含む。外筒12の遠位端部13に配置されるノズル18は、針、カテーテル、または混合システムの内容物を患者に投与することができる他のあらゆる器具の外筒12への取付けを容易にする。
【0013】
プランジャ19は、外筒12内に摺動可能に配置される。プランジャ19は、側壁20a、20bを有する概して円筒中空のプランジャ軸20と、好ましくは外筒12の内壁と共にシールを形成するように寸法を決められるプランジャキャップ21とを含む。いくつかの実施形態において、プランジャ軸20の外径は、外筒内の成分が溢れ出すのを防ぐためにプランジャ19と外筒12との間にシールが形成されるように、外筒12の内径とほぼ同じにすることができ、したがって、外筒12の近位壁を省略することができる。あるいは、プランジャ軸20の外径は、追加のチャンバを画定するために外筒12の内径よりも小さくすることができ、したがって、追加のチャンバが他の手段によって封止されなければ、近位壁が必要である可能性がある。プランジャキャップ21は、中央開口部22、近位側23a、および遠位側23bを含む。最初に、中央開口部22は、脆弱シール24によって封止することができる。本明細書で使用される用語「脆弱シール」は、貯蔵および正常な取扱中の破断を回避する十分な結合性を有するが、所望のときに、過度の力を介さず、患者に有害な可能性のある微粒子を発生させることなく、意図的に分離または破断させることができるシールを意味する。脆弱シールに好適な材料は、限定はしないが、ゴム、シリコーン、ポリウレタン、またはテフロンを含むことができる。
【0014】
遠位端部26を有する押棒25は、プランジャ19内に配置することができる。押棒25は、少なくともその遠位領域27が、プランジャの内壁と共に耐密封止を形成し、プランジャキャップ21内の中央開口部22に緊密に嵌合するように、寸法を決められるのが好ましい。押棒25は、プランジャ内のチャンバから材料を押し出すように構成される。たとえば、押棒は、プランジャ内のチャンバの遠位で押棒とプランジャとの間にシールを形成するように寸法を決められる少なくとも1つの区域を含むことができる。
【0015】
多成分混合システム10は、個々の成分を貯蔵する複数のチャンバを含むことができる。第1のチャンバ28などの少なくとも1つのチャンバを、外筒12の遠位領域29内に配置することができる。そのような第1のチャンバは、外筒12の側壁15および遠位壁16、ならびにプランジャキャップ21の遠位側23bによって画定することができる。第1のチャンバ28は、固体、粉末、または液体の形態のいずれかの第1の成分30などの少なくとも1つの成分を含むことができる。第1の成分は、単一の成分または成分混合物を含むことができる。それに加えて、第2のチャンバ31などの少なくとも1つのチャンバを、プランジャ19の遠位領域32内に配置することができる。そのような第2のチャンバは、プランジャ19の内壁、押棒25の遠位端部、およびプランジャの近位側によって画定することができる。第2のチャンバ31は、固体、粉末、または液体の形態のいずれかの第2の成分33などの、単一の成分または成分混合物を収容することができる。
【0016】
図1は、保管または輸送などの、その最初の状態の即時多成分混合システムの一実施形態を示す。最初の状態において、第1のチャンバ28および第2のチャンバ31は、互いに隔離され、それぞれ、第1の成分30および第2の成分33で満たされている。図2に示されるように、第2の成分32を第1のチャンバ28に加えるために、押棒25を、矢印Aによって示されるように、遠位方向に動かすことができる。押棒25の遠位方向に動かすことによって、第2の成分33上に遠位方向の力が発生し、脆弱シール24を破断させ、第2の成分33を第1のチャンバ28内に放出させる。したがって、上述のように、押棒25の遠位領域27は、第2の成分33が近位方向のプランジャと押棒との間の空間内に移動するのを回避するために、プランジャ軸20の内壁と共に耐密封止を形成するのが好ましい。
【0017】
第2の成分33が第1のチャンバ28に加えられた後で、第1の成分30および第2の成分33は、いずれかの既知の技術によって混合することができる。一実施形態において、第1および第2の成分は、第1のチャンバ28内で混合することができる。たとえば、図3に示されるように、押棒25は、プランジャキャップ21を越えて第1のチャンバ28内まで延ばすことができ、第1および第2の成分は、押棒25を振動または回転させることによって混合することができる。成分の混合を助けるために、押棒25は、たとえば、図3aに示される、または同様の、直径が変化する区域などの、押棒25の遠位領域27内に配置される混合区域25aを含むことができる。あるいは、第1の成分は、混合システムを揺動または振動させることによって第2の成分と混合することができる。
【0018】
図4を参照すれば、成分が十分に混合されて均一な混合物40になった後で、押棒25をプランジャ19内に引き戻すことができ、押棒25の遠位端部26がプランジャキャップ23の遠位側23bと一直線に並び、プランジャキャップ23の遠位側23b上に連続表面34を形成するのが好ましい。したがって、押棒25の遠位領域は、成分混合物がプランジャに流入するのを回避するために、中央開口部と共に耐密封止を形成するように寸法を決められるのが望ましい。いくつかの実施形態において、押棒25は、ロック38によって、その位置に固定することができる。
【0019】
別の実施形態において、混合システム10は、第1の混合チャンバ35などの、個々の成分を混合する少なくとも1つの混合チャンバを含むことができる。そのような実施形態において、プランジャ軸20の外径は、外筒12の内径よりも小さく、その結果、外筒12の内壁とプランジャ軸20の外壁との間に、第1の混合チャンバ35が形成される。それに加えて、そのような実施形態において、プランジャキャップ21は、第1の混合チャネル36などの少なくとも1つの混合チャネルを含むことができ、成分が第1のチャンバ28から混合チャンバ35に流れるのを可能にする。第1の混合チャネル36は、成分のより十分な混合を達成するために、混合要素37を含むのが好ましい。混合要素の好適な例は、限定はしないが、様々な混合要素、サイズ、および形状を有する静止混合器、または回転インペラもしくは露出インペラを含む。混合システムのこの実施形態の操作は、図5〜7に示される。
【0020】
図5を参照すると、第2の成分33が第1の成分30に加えられた後、上述のように、押棒25をプランジャキャップ21の中央開口部22内に挿入して中央開口部22を塞ぐことができる。いくつかの実施形態において、押棒は、ロック38によって、この位置に固定することができる。
【0021】
次に、プランジャ19および押棒組立体39は、図6に示されるように、外筒12の遠位端部13に向かって近位方向に動かされる。プランジャおよび押棒組立体39は、ラチェットまたは注射器ポンプと共に手動で動かすことができる。ノズル18が混合中に封止されるのが好ましいので、プランジャおよび押棒組立体39を遠位方向に動かすことによって、第1の成分30および第2の成分33は、混合チャネル36を通して第1のチャンバ28から第1の混合チャンバ35に流入する。成分が第1のチャンバ28から第1の混合チャンバ35内に移送された後で、プランジャおよび混合棒組立体39は、近位方向に戻される。図7に示されるように、これによって、成分混合物40は、第1の混合チャンバ36から第1のチャンバ28内に逆流する。図5から7に示されるステップは、必要または所望の成分をさらに混合するために繰り返すことができる。
【0022】
成分混合物40を押し出すために、第1の混合チャネル36は、閉鎖されるのが好ましい。たとえば、図8を参照すると、プランジャキャップ21の遠位側23bは、近位側23aに対して回転自在であることができ、少なくとも1つの開口部41を含むことができる。第1の混合チャネルを開放するために、プランジャキャップ21の遠位側23b内の少なくとも1つの開口部41が、第1の混合チャネル36と一直線に並ぶことができる。図9を参照すると、第1の混合チャネル36を閉鎖するために、遠位側23bは、たとえば、矢印Bによって示されるように、プランジャ軸20を回転させることによって回転することができ、その結果、プランジャキャップ21の遠位側23b内の少なくとも1つの開口部41は、もはや第1の混合チャネル36と一直線に並ぶことはなく、したがって、第1の混合チャネル36を閉鎖する。しかし、混合物が遠位方向に押し出されるとき、混合チャンバ内へよりも混合システムから流出する可能性の方が高ければ、チャネルを閉鎖する必要はない場合がある。
【0023】
図7に戻れば、第1の成分および第2の成分が十分に混合されて混合物40を形成した後で、プランジャおよび押棒組立体39を、矢印Cによって示されるように、遠位方向に動かし、注射器、カテーテル、または混合物を混合システムから患者に投与するための他のあらゆる器具内に、ノズル18を通して外筒12から成分混合物40を押し出すことができる。いくつかの実施形態において、ノズルは、脆弱シールによって封止することができる。そのようなシールは、成分が混合されるときに発生する圧力に耐え、混合物が外筒から押し出されるときに発生する圧力によって破断するように設計されるのが好ましい。他の実施形態において、ノズルは、蓋またはキャップなどの機械的手段によって閉鎖することができる。
【0024】
別の態様において、即時混合システムは、2つよりも多いチャンバを含むことができ、したがって、2つよりも多い成分を必要とする混合物を調製するのに使用することができる。具体的には、即時混合システムは、1つよりも多い液体部分を有するエポキシのような材料を調製するのに使用することができ、粉末または乾燥した重合開始剤の分離貯蔵を要求することができる。
【0025】
2つよりも多いチャンバを含む即時混合システムの一実施形態が、図10に示される。そのようなシステムは、外筒の遠位領域内の少なくとも1つのチャンバおよびプランジャの遠位領域内の少なくとも1つのチャンバに加えて、外筒の壁とプランジャの壁との間に配置される少なくとも1つの追加のチャンバを含むこともできることを除けば、上述の実施形態と同様である。たとえば、追加のチャンバは、外筒の内壁、外筒の近位壁、プランジャの外壁、およびプランジャキャップの近位側によって画定することができる。
【0026】
図10を参照すると、多成分混合システム100は、遠位端部103、近位端部104、側壁105、遠位壁106、および任意選択で近位壁107を有する外筒102を含む。外筒102の遠位端部103に配置されるノズル108は、針、カテーテル、または混合システムの内容物を投与することができる他の器具の外筒102への取付けを容易にする。
【0027】
プランジャ109は、外筒102内に摺動可能に配置される。プランジャ109は、側壁110a、110bを有する概して円筒中空のプランジャ軸110と、好ましくは外筒102の内壁と共にシールを形成するように寸法を決められるプランジャキャップ111とを含む。プランジャ軸110の少なくとも1つの区域の外径は、チャンバを収容するために外筒102の内径よりも小さく、したがって、外筒102の近位壁107は、チャンバが他の手段によって封止されなければ、その近位端部でチャンバを封止する。プランジャキャップ111は、中央開口部112、近位側113a、および遠位側113bを含む。最初に、中央開口部112は、上述の脆弱シール114によって封止することができる。
【0028】
遠位端部116を有する押棒115は、プランジャ119内に配置することができる。押棒115の遠位端部は、プランジャキャップ111内の中央開口部112に緊密に嵌合し、シールを形成するのが好ましい。押棒115は、プランジャ内のチャンバから材料を押し出すように構成される。たとえば、押棒は、プランジャ内のチャンバの遠位で押棒とプランジャとの間にシールを形成するように寸法を決められる少なくとも1つの区域を含むことができる。
【0029】
多成分混合システム100は、個々の成分を貯蔵する複数のチャンバを含むことができる。チャンバは、混合システムの保管および輸送中には互いに隔離されている。各チャンバは、固体、粉末、または液体の形態のいずれかの単一の成分または成分混合物を貯蔵することができる。第1のチャンバ118などの少なくとも1つのチャンバは、外筒102の側壁105および遠位壁106、ならびにプランジャキャップ111の遠位側113bによって画定される、外筒102の遠位領域119内に配置することができる。第2のチャンバ120などの少なくとも1つの追加のチャンバを、外筒102の内壁とプランジャ軸110の外壁との間の第1のチャンバ118の近位に配置することができる。さらに、第3のチャンバ121などの別のチャンバを、プランジャ109の遠位領域122内に配置することができる。好ましい実施形態において、第3のチャンバは、プランジャ109の内壁、プランジャキャップの近位側113a、および押棒の遠位端部116によって画定することができる。あるいは、押棒は、プランジャの内径よりも小さい直径を有する区域を含むことができ、第3のチャンバは、そのような区域に沿って押棒とプランジャの壁との間に配置することができる。しかし、第3のチャンバの近位の押棒の直径は、押棒およびプランジャの内壁が第3のチャンバの近位に耐密封止を形成するように選択されるのが望ましい。
【0030】
プランジャキャップ113は、第1のチャンバ118と第2のチャンバ120との間に少なくとも1つのチャネル124を含むことができる。少なくとも1つのチャネル124は、混合チャンバに関して上述され、図8および9に示されるように、開放および閉鎖することができる。あるいは、少なくとも1つのチャネルは、第2のチャンバから第1のチャンバへの流れを可能にし、逆方向には流さない逆止弁を含むことができる。より完全な混合を達成するために、少なくとも1つの混合チャネル124は、混合要素125を含むことができる。
【0031】
図10は、保管または輸送などの、その最初の状態の多成分混合システムを示す。この状態で、第1のチャンバ118、第2のチャンバ120、および第3のチャンバ121は、互いに隔離され、それぞれ、第1の成分126、第2の成分127、および第3の成分128で満たされる。図11を参照すると、第1のチャンバ118に第3の成分128を加えるために、押棒115を、矢印Dによって示されるように、遠位方向に動かすことができる。第2の成分127を第1のチャンバ118に加えるために、プランジャ109を、図12に示される近位方向、または遠位方向に動かすことができる。あるいは、逆止弁のない実施形態では、第1のチャンバ内の成分は、図13に示されるように、プランジャを遠位方向に動かすことによって、第2のチャンバ内の成分と混合することができる。
【0032】
次に、成分は、混合物を患者に投与することができるように混合される。いくつかの実施形態において、全ての成分は、同じチャンバ内に集められ、次に、単一のステップで混合することができる。他の実施形態において、特定の成分を、後に混合物に加えられる他の成分と最初に混合することができる。混合は、混合システムの実施形態、混合の順序などによって様々な方法で達成することができる。たとえば、第3の成分を加える前に、第1および第2の成分を予備混合する必要があるとき、または逆止弁を含む実施形態など、個々の成分を第1のチャンバ内で混合する必要があるとき、成分は、上述の押棒の助けで混合することができる。あるいは、逆止弁のない実施形態では、第3のチャンバは、上述の混合チャンバとして使用することができ、図5〜7に示される。
【0033】
全ての成分が十分に混合された後で、上述のように、押棒は、プランジャ内に引き戻され、プランジャおよび押棒組立体を、遠位方向に動かし、ノズルを通して外筒から成分混合物を押し出し、患者に投与することができる。逆止弁のない実施形態では、チャネルは、上述のように閉鎖されるのが好ましい。
【0034】
2つよりも多いチャンバを含む即時混合システムの別の実施形態が、図14に示される。この実施形態において、混合システム200は、第1の外筒202および第2の外筒204などの複数の外筒を含む。外筒の少なくとも1つは、上述のように、2つのチャンバまたは2つよりも多いチャンバを含むことができる。図14は、2つのチャンバを含む外筒を1つだけ有する、2つの外筒から構成される多成分混合システムを示すが、様々な実施形態において、2つよりも多い外筒を使用することができ、いずれかの数の外筒は、2つのチャンバまたは2つよりも多いチャンバを含むことができることが理解されよう。
【0035】
第1の外筒202および第2の外筒204は、共通出口206に接続される。共通出口206は、成分または様々な外筒からの成分混合物のより十分な混合を達成する静止混合器208を含むことができる。実際には、外筒が複数の成分を保持するとき、これらの成分を、上述のいずれかの方法によって、その外筒内で混合することができ、次に、得られた混合物を、他の外筒の内容物と混合することができる。2つよりも多い外筒を含む、いくつかの実施形態において、全ての外筒は、同じ共通出口に接続することができ、その結果、それらの内容物を、同時に混合することができる。他の実施形態において、特定の外筒の内容物は、最初に混合することができ、他の外筒の内容物は、後に加えることができる。
【0036】
即時混合システムは、単一の器具内で複数の成分を共に混合することが可能である。限定されない例として、少なくとも2つの液体成分を含むいくつかのインサイチュ(in situ)硬化配合物は、患者に投与されるときに個々の成分が分離する可能性がある安定性の問題を有する場合がある。個々の成分が分離すると、配合物は、部分的にのみ硬化するか、または全く硬化しない可能性があり、追加量の配合物を患者に投与しなければならない可能性があり、したがって、医療処置の費用および所要時間を増大させる。ゆえに、液体成分を共に混合する前に、通常は粉末の形態の安定化成分を1つの液体成分と混合する必要がある場合がある。
【0037】
したがって、第1の液体成分および第2の液体成分は、それぞれ、即時混合システムの第1のチャンバおよび第2のチャンバ内に貯蔵することができる。粉末の形態の安定化成分は、プランジャ内の第3のチャンバ内に貯蔵することができる。配合物を調製するために、安定化成分は、上述のように、第1のチャンバに加えられ、第1の液体成分と完全に混合することができる。次に、第1の液体成分と安定化成分との混合物は、上述のように、第2の液体成分と混合され、安定した液体配合物を創り出すことができる。
【0038】
特定の実施形態を例示的な方法で説明したが、本発明を限定するものではないことに留意されたい。具体的に、様々な設計構成およびいくつかのチャンバを有する混合システムのような、いずれかの適格材料から作られた混合システムは、本発明の範囲内にあることが企図される。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲に規定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1のチャンバを含む第1の外筒と、
前記第1の外筒内に摺動可能に配置されるプランジャと、
前記プランジャ内に配置され、前記少なくとも1つの第1のチャンバから流体的に隔離される、少なくとも1つの第2のチャンバと、
前記プランジャ内の前記少なくとも1つの第2のチャンバの近位に配置される押棒とを含む、多成分混合システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第2のチャンバは、脆弱シールによって前記少なくとも1つの第1のチャンバから隔離される、請求項1に記載の混合システム。
【請求項3】
前記押棒は、前記少なくとも1つの第2のチャンバから、前記少なくとも1つの第1のチャンバ内に成分を押し出すように構成される、請求項1または2に記載の混合システム。
【請求項4】
前記押棒は、混合区域を含む、請求項1または3に記載の混合システム。
【請求項5】
前記プランジャは、プランジャ軸およびプランジャキャップを含み、前記プランジャキャップは、少なくとも1つの混合チャネルを含む、請求項1に記載の混合システム。
【請求項6】
前記外筒の内壁と前記プランジャ軸の外壁との間に形成される、少なくとも1つの混合チャンバをさらに含む、請求項5に記載の混合システム。
【請求項7】
前記混合チャネルは、混合要素を含む、請求項5に記載の混合システム。
【請求項8】
前記第1の外筒から流体的に隔離され、第3のチャンバを有する第2の外筒をさらに含み、前記第1の外筒および前記第2の外筒は、共通チャネルに流体的に接続される、請求項1から5のいずれか一項に記載の混合システム。
【請求項9】
前記共通チャネル内に配置される静止混合器をさらに含む、請求項8に記載の混合システム。
【請求項10】
前記プランジャ内に配置され、前記少なくとも1つの第1のチャンバおよび前記少なくとも1つの第2のチャンバから流体的に隔離される、少なくとも1つの第3のチャンバをさらに含み、
前記プランジャは、前記少なくとも1つの第3のチャンバの近位に配置される、請求項1に記載の混合システム。
【請求項11】
前記プランジャは、閉鎖可能チャネルを含む、請求項10に記載の混合システム。
【請求項12】
前記押棒は、前記少なくとも1つの第3のチャンバから、前記少なくとも1つの第1のチャンバ内に成分を押し出すように構成される、請求項10に記載の混合システム。
【請求項13】
多成分配合物を投与する方法であって、
第1のチャンバ、第2のチャンバ、および第3のチャンバが、それぞれ、第1の成分、第2の成分、および第3の成分を含み、第1の配合物を形成するために、請求項1に記載の混合システムを使用して複数の成分を混合するステップと、
前記第1の配合物を患者に投与するステップとを含む、方法。
【請求項14】
前記成分を混合する前記ステップは、前記第1の成分を前記第3の成分と混合するステップと、前記第1の成分と前記第3の成分との混合物を前記第2の成分と混合するステップとを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の成分および前記第2の成分は、液体の形態であり、前記第3の成分は、粉末の形態である、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2012−507396(P2012−507396A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534769(P2011−534769)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/062582
【国際公開番号】WO2010/051376
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【Fターム(参考)】