説明

複数動画像の閲覧装置および配信装置

【課題】 ネットワーク接続されたサーバ内の映像ファイルについて、限られたネットワーク帯域でも映像を伝送して閲覧できるようにしたり、また映像に含まれる映像シーンを閲覧、検索して再生したりすることのできる複数の動画像の閲覧装置および配信装置を提供することにある。
【解決手段】 コマンド入力部35で指定された映像ファイル情報が、配信制御部34からの制御により映像データが蓄積装置11から順次取り出されて本映像送出部31aおよび/または代理映像送出部31bに入力される。同様に、配信制御部34からの制御によりコマンド入力部35で指定された映像に関するシーン記述データが蓄積装置11から順次取り出されてシーン記述データ送出部32に入力される。本映像ファイルおよび代理映像ファイルはサーバから一定の伝送速度で送出され、映像ファイルのシーンを記述するシーン記述ファイルは前記本映像データと同期して一定の伝送速度でサーバから送出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の動画像の閲覧装置および配信装置に関し、特に複数の映像を限られた伝送帯域や復号能力でも効率的に再生・閲覧することができるようにした複数の動画像の閲覧装置および配信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の映像を同時再生する従来の第1方式を、図16に示す。図16において、制御部10からの制御により、映像再生部101〜10nは複数の映像データ1〜nを蓄積装置11から順次取り出して映像再生部101〜10nに入力させる。映像再生部101〜10nでは映像データを順次読み込んで、画面出力信号、オーディオ出力信号、および現在の再生時刻を表示部17に出力する。表示部17では再生時刻、画面出力信号、およびオーディオ出力信号を取り込んで、再生時刻の表示、画面出力、およびオーディオ出力を行う。
【0003】
この場合、再生する映像データの個数分の処理負荷がかかるため、例えばソフトウェアで再生処理を行う場合、再生する映像数が限られるというデメリットがある。
【0004】
複数の映像を同時再生し、指定した時刻から再生する従来の第2方式を図17に示す。図17において、例えば映像再生部101から映像全体の長さが再生長として再生開始時刻設定部201に入力される。再生開始時刻設定部201では再生を行う時刻を設定して、設定時刻を映像再生部101に出力する。映像再生部101では、設定時刻が入力されると、設定時刻付近の映像データの記録位置情報を設定して、蓄積装置11から指定した記録位置からの映像データを取り込んで再生を行う。
【0005】
再生開始時刻設定部201での再生開始時刻の設定方法としては、以下のような方法が用いられる。
(1) 再生開始時刻を直接入力する。
(2) 映像全体の長さを100%として、そのうちの指定された比率を再生開始時刻とする。
【0006】
前記(1)の例としてはタイムコード入力して再生を開始するようなものがある。また、前記(2)の例としては映像プレイヤーの再生位置を示すスクロールバーの位置を調整して再生時刻を設定するものがある。
【0007】
図18は従来の第3方式を示す。図のように映像データは再生装置とネットワークで接続されたサーバシステムに格納されている。
【0008】
図18において、制御部10からの制御により、映像再生部101から10nに映像再生を要求する。映像再生部101〜10nではn個の映像データ要求信号をネットワーク104を介してサーバシステム102に送出する。サーバシステム102では要求信号をビデオサーバ103で読みこみ、指定された映像データを蓄積装置11からビデオサーバ103に送出する。ビデオサーバ103ではn個の映像データをネットワーク104を介してクライアント端末105に送信する。
【0009】
クライアント端末105では、送られてきた映像データを映像再生部101〜10nに転送する。映像再生部101〜10nでは映像データを読み込んで、画面出力信号やオーディオ出力信号、現在の再生時刻を表示部17に出力する。表示部17では、再生時刻、画面出力信号やオーディオ出力信号を取り込んで、再生時刻の表示、画面出力、オーディオ出力を行う。
【0010】
また、映像再生部101〜10nから各映像について映像全体の長さが再生長として再生開始時刻設定部201に入力される。再生開始時刻設定部201は、各映像について再生を行う時刻を設定して、設定時刻を映像再生部101〜10nに出力する。映像再生部101〜10nは、設定時刻が入力されると設定時刻付近の映像データの記録位置情報を設定して、蓄積装置11から指定した記録位置からの映像データを取り込んで再生を行う。
【0011】
再生開始時刻設定部201での再生開始時刻の設定方法としては、前記従来方式の(1)、(2)と同じ方法が用いられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記した従来の第2、第3方式では、どの位置にどのような映像が含まれているのかがわからないため、ユーザはいくつかの時刻を設定してその時刻からの再生を試行的に行って目的の映像を見つけ、該目的の映像を再生するようにしている。このため、映像の検索には非常に多くの時間と手間がかかるという問題があった。
【0013】
また、前記第3の従来方式の場合には、映像を伝送するために必要な帯域は映像の個数に依存するため、多くの映像を同時にネットワーク伝送するためには広帯域の回線が必要になるという問題があった。
【0014】
本発明の目的は、前記した従来技術の問題点を解消し、蓄積装置に蓄積された映像ファイルやネットワーク接続されたサーバ内の映像ファイルについて、複数の映像ファイルを再生端末の処理負荷を増大させずに再生したり、限られたネットワーク帯域でも映像を伝送して閲覧できるようにしたり、また映像に含まれる映像シーンを閲覧、検索して再生したりすることのできる複数の動画像の閲覧装置および配信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記の目的を達成するために、本発明は、指定した映像記述ファイルをサーバから送出する手段と、該映像記述ファイルに記述された本映像ファイルおよび代理映像ファイルをサーバから一定の伝送速度で送出する手段と、該映像記述ファイルに記述された映像ファイルのシーンを記述するシーン記述ファイルを前記本映像データと同期して一定の伝送速度で該サーバから送出する手段を具備した点に第1の特徴がある。
【0016】
また、サーバに設けられた映像配信装置から配信される本映像ファイル、代理映像ファイルおよびシーン記述ファイルを受信する映像閲覧装置において、映像記述ファイルを読み込む手段と、前記本映像ファイル、代理映像ファイルおよびシーン記述ファイルを受信した順に蓄積するキャッシュメモリと、該キャッシュメモリに蓄積された該シーン記述ファイル内容を読み込む手段と、該シーン記述ファイルに記述された時刻情報のうち該映像の再生時刻前後に存在する時刻情報列を出力する手段と、該シーン記述ファイルに記述された静止画像のうち表示された該時刻情報に対応する静止画像列を出力する手段と、該映像記述ファイルに記述された映像情報で指定された本映像ファイルを再生する本映像再生手段と、該映像記述ファイルに記述された映像情報で指定された代理映像ファイルを再生する代理映像再生手段と、前記本映像、代理映像、時刻情報列、および静止画像列を表示する手段とを具備した点に第2の特徴がある。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ネットワーク接続されたサーバ内の映像ファイルについて、複数の映像ファイルを再生端末の処理負荷を増大させずに再生したり、限られたネットワーク帯域でも映像を伝送して閲覧できるようになる。また、複数の映像を本映像と代理映像から構成し、これらの映像を再生するようにしたので、複数の映像を限られた伝送帯域や復号能力でも効率的に再生することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、図面を参照して、本発明を詳細に説明する。本発明の第1実施形態を、図1を参照して説明する。この実施形態は、本映像ファイルと代理映像ファイルを再生表示するようにしたものである。
【0019】
図1において、制御部10からの制御により、映像記述ファイル処理部14は指定された映像記述ファイルを蓄積装置11から読み込む。次に、映像記述ファイル処理部14は読み込まれた映像記述ファイルで指定された第1の本映像ファイルを蓄積装置11から順次取り出し、本映像再生部12に入力させる。本映像再生部12は、第1の本映像データを順次読み込んで、画面信号を出力する。表示部17は、本映像再生部12からの画面出力信号やオーディオ出力信号を取り込んで、画面出力およびオーディオ出力を行う。
【0020】
また、映像記述ファイルで指定された第2の映像の代理映像ファイルを蓄積装置11から順次取り出して代理映像再生部13に入力させる。代理映像再生部12は、第2の代理映像データを順次読み込んで、画面信号を出力する。表示部17は、代理映像再生部13からの画面出力信号やオーディオ出力信号を取り込んで画面出力およびオーディオ出力を行う。
【0021】
前記映像記述ファイルフォーマットとしては、W3C(World Wide Web Consortium)にて標準化されたSMIL(Synchronized Multimedia Integration Language)等を用いて記述することができる。
【0022】
映像記述ファイルフォーマットの1例として、例えば本映像1、代理映像2で構成される場合、下記のように記述することができる。
ID#M1、画像サイズ(HM1,VM1)、表示位置(XM1,YM1)
ID#S2、画像サイズ(HS2,VS2)、表示位置(XS2,YS2)
ID#M1、ファイル格納位置#M1、ファイル名#M1
ID#S2、ファイル格納位置#S2、ファイル名#S2
【0023】
代理映像の出力位置については、図2(a)のように第1の本映像1の画面内に第2の代理映像2を表示したり、同図(b)のように第1の本映像1の画面の外に第2の代理映像2を表示することができる。
【0024】
ここで、代理映像ファイルは本映像ファイルに比べて、画像サイズや符号化ビットレートが小さいものを用いることができる。これにより、代理映像を再生するために必要な処理負荷を、本映像の再生に必要な処理負荷に比べて小さくすることができる。
【0025】
さらに、代理映像ファイルとしては、本映像ファイルにくらべて再生時間が短い要約映像を用いることができる。要約映像としては、図3のような時間要約映像、図4のようなショット要約映像、図5のような静止画像要約映像を用いるようことができる。
【0026】
時間要約映像の場合は、図3において、まず本映像をある時間間隔T1に分割する。次に分割された各T1区間について、例えば各区間の先頭のT2区間のみを抽出して、これらのT2区間を結合した映像を時間要約として用いる。
【0027】
シーン要約映像の場合は、図4において、まず本映像を映像の切り替え単位であるショットに分割する。ショット分割の方法としては本出願人による特許出願である特開平11−252509号公報等のカット点検出方法を用いることができる。次に各ショットS1、S2、・・・について、例えば各ショットの先頭のT1、T2、・・・区間のみを抽出してこれらの区間を結合した映像をショット要約として用いる。なお、T1、T2、・・・区間の長さとしては、一定の値を用いることや、ショット長に比例して長さを決定することが可能である。さらにショットの中からいくつかの代表ショットを結合してショット映像とすることも可能である。
【0028】
静止画像要約映像の場合は、図5において、まず本映像から代表静止画像を選択する。選択方法としては、上で述べた時間要約やショット要約で用いた区間の先頭画像などを用いることができる。次にこれらの静止画像を結合して静止画像要約映像を作成する。この場合、代表する静止画像を一定時間表示して次の静止画像に切り替わるようにするために、ある時間間隔のダミー情報Dを付加して作成することにより擬似映像として用いることができる。
【0029】
また、図1の代理映像再生部13は本映像再生部12に比べて、処理負荷の小さな再生処理方式を用いることができる。例えば、再生するフレーム数を一定間隔でサンプリングして再生処理フレーム数を削減して処理負荷を減らす方法がある。また、本出願人の特許出願である特願2000-000950「符号化動画像データ再生装置およびその記録媒体」のように、圧縮データを復号する際に画像情報の一部のみを復号して処理負荷を削減する方法もある。
【0030】
次に、本発明の第2実施形態を、図6のブロック図を参照して説明する。この実施形態は、コマンド入力を用いて本映像ファイルと代理映像ファイルを切り替えるようにした点に特徴がある。
【0031】
制御部10からの制御により、映像記述ファイル処理部14は指定された映像記述ファイルを蓄積装置11から読み込み、第1実施形態で述べたように指定された第1の本映像1と第2の代理映像2を表示部17に表示する。
【0032】
次に、コマンド入力部18からの制御により、本映像と代理映像を切り替えるために、制御部10から第2の映像ファイルが指定されると、映像記述ファイル処理部14には第2の本映像ファイルと第1の代理映像ファイルに関する情報が読み込まれる。次いで、該映像記述ファイル処理部14は、第2の本映像ファイルを蓄積装置11から順次取り出して本映像再生部12に入力させ、また第1の代理映像ファイルを代理映像再生部13に入力させる。
【0033】
本映像再生部12は、第2の本映像データを順次読み込んで、画面信号を出力する。表示部17は本映像再生部12からの画面出力信号やオーディオ出力信号を取り込んで画面出力およびオーディオ出力を行う。
【0034】
また、映像記述ファイルで指定された第1の映像の代理映像ファイルを蓄積装置11から順次取り出して代理映像再生部13に入力させる。代理映像再生部13では第1の代理映像データを順次読み込んで、画面信号を出力する。表示部17では代理映像再生部13からの画面出力信号やオーディオ出力信号を取り込んで画面出力およびオーディオ出力を行う。
【0035】
なお、第1の本映像から第2の本映像に切り替わり、第2の代理映像から第1の代理映像の再生に切り替わる際の再生開始時刻の設定はいくつかの設定方法を利用することができる。
【0036】
一例として、再生時刻にかかわらず各映像の最初の時刻に設定する方法がある。他の方法として、図7のように第1の本映像の時刻を制御部10に入力して、その時刻を第1の代理映像の再生開始時刻と設定して再生を開始させ、第2の代理映像の時刻を制御部10に入力して、その時刻を第2の本映像の再生開始時刻として再生を開始させることも可能である。
【0037】
次に、本発明の第3実施形態を、図8を参照して説明する。この実施形態は、コマンド入力を用いて本映像ファイルと複数の代理映像ファイルを切り替えるようにした点に特徴がある。
【0038】
制御部10からの制御により映像記述ファイル処理部14は映像記述ファイルを蓄積装置11から読み込み、映像記述ファイルで指定された本映像ファイル(例えば第1映像ファイル)が蓄積装置11から本映像再生部12に順次読み込まれ、表示部17で映像を表示する。また映像記述ファイルで記述された代理映像ファイル1〜nが蓄積装置11から代理映像再生部71〜7nに順次読み込まれ、表示部17にn個の代理映像が表示される。
【0039】
次に、コマンド入力部18からの制御により、本映像を切り替えるために、制御部10からある代理映像ファイル(例えば第m代理映像ファイル)が指定されると、映像記述ファイル処理部14には第m本映像ファイルに関する情報が読み込まれ、第m本映像ファイルを蓄積装置11から順次取り出して本映像再生部12に入力させる。本映像再生部12は、第m本映像データを順次読み込んで、画像を表示する。この場合、再生中の本映像は再生中の代理映像の中の1つが再生されることになる。図9(a)に切り替えフロー図を示す。
【0040】
これらの映像の表示方法については図2と同様に本映像の画面内にn個の代理映像を表示する方法や、本映像の画面の外に代理映像を表示する方法などがある。
【0041】
n個の代理映像再生に必要な処理負荷を本映像に比べて十分小さくすることにより、限られた処理能力を持つ再生装置でも1個の本映像とn個の代理映像を再生することができる。
【0042】
第3実施形態の変形例としては以下のような映像切り替え方法がある。制御部10からの制御により映像記述ファイル処理部14では映像記述ファイルを蓄積装置11から読み込み、映像記述ファイルで指定された本映像ファイル(例えば第0映像ファイル)が蓄積装置11から本映像再生部12に順次読み込まれ表示部17で映像を表示する。また映像記述ファイルで記述された第1〜第n映像ファイルの代理映像ファイル1〜nが蓄積装置11から代理映像再生部71〜7nに順次読み込まれ表示部17にn個の代理映像を表示する。
【0043】
次に、コマンド入力部18からの制御により制御部10からある代理映像ファイル(例えば第m代理映像ファイル)が指定されると、第m本映像ファイルを本映像映像再生部12で再生するとともに、映像記述ファイル処理部14では第0代理映像ファイルに関する情報が読み込まれ、第0代理映像ファイルを蓄積装置11から順次第m代理映像再生部に読み込んで第m代理映像の再生を第0代理映像ファイルの再生に切り替えることができる。これにより、常に再生されている本映像と異なった代理映像を再生することができ、映像検索効率を高めることができる。図9(b)に、前記の処理の切り替えフロー図を示す。
【0044】
次に、本発明の第4の実施形態を、図10を参照して説明する。この実施形態は、本映像、本映像のシーン画像、および複数の代理映像を表示するようにした点に特徴がある。
【0045】
図10において、制御部10からの制御により映像記述ファイル処理部14では指定された映像記述ファイルを蓄積装置11から読み込む。次に、映像記述ファイル処理部14では読み込まれた映像記述ファイルで指定された第1の本映像ファイルを蓄積装置11から順次取り出して本映像再生部12に入力させる。本映像再生部12は第1の本映像データを順次読み込んで、画面信号を出力する。表示部17は本映像再生部12からの画面出力信号やオーディオ出力信号を取り込んで画面出力およびオーディオ出力を行う。
【0046】
また、映像記述ファイルで指定された第2の映像の代理映像ファイルを蓄積装置11から順次取り出して代理映像再生部13に入力させる。代理映像再生部13は第2の代理映像データを順次読み込んで、画面信号を出力する。表示部17は代理映像再生部からの画面出力信号やオーディオ出力信号を取り込んで画面出力およびオーディオ出力を行う。
【0047】
また、制御部10からの制御によりシーン記述ファイル読み込み部91は、第1の本映像ファイルに対応するシーン記述ファイルを蓄積装置11から入力する。
【0048】
本映像再生部12で得られる現在の再生時刻はシーン記述ファイル読み込み部91と時刻情報列出力部93に入力される。シーン記述ファイル読み込み部91では入力された現在の再生時刻情報に基づいて時刻情報列データと静止画像列データを蓄積装置11から取り出してそれぞれ時刻情報列出力部93と静止画像列出力部94に入力させ、時刻情報列と静止画像列を表示部17で表示する。本映像と代理映像の表示方法については図2のような方法を用いることができる。また、本映像と時刻情報列、静止画像情報列については図11のような表示方法を用いることができる。
【0049】
表示内容の更新は時刻情報列出力部93にて行う。表示内容の更新のタイミングとしては、再生映像の時刻が時刻情報列の指定された位置の時刻を過ぎたときに表示内容の更新を行うことができる。時刻Tvで再生中の映像をV(Tv)、シーン記述ファイルにおけるn番目の時刻情報をTn、静止画像をPnとするとTvがTn+1以降になった時点で更新することができる。
【0050】
例えば、本映像の再生映像の時刻TvがTn≦Tv<Tn+1の間は図11(a)のように時刻情報Tnと静止画像Pnを中心に5つの時刻情報列と静止画像列が表示されている。再生映像の時刻TvがTn+1以上になった時点で同図(b)のように時刻情報と静止画像の位置が左に移動し、新たな時刻情報Tn+3と静止画像Pn+3が入力されて右端に表示される。
【0051】
他の1つの例としては、再生映像の時刻TvがTn≦Tv<Tn+5の間は図12(a)のように時刻情報Tnと静止画像Pnから5つの時刻情報列と静止画像列が表示されている。再生映像の時刻TvがTn+5以上になった時点で同図(b)のようにすべての時刻情報列と静止画像列を消去し、新たな時刻情報Tn+5と静止画像Pn+5から始まる時刻情報列と静止画像列を表示することも可能である。
【0052】
入力する時刻情報列データとしては、現在の再生時刻前後に位置する時刻情報列データを蓄積装置11に蓄積された時刻情報列ファイルから読み出すことができる。また、静止画像列データとしては、読み出した時刻情報列データに対応した静止画像列を蓄積装置11に蓄積された静止画像ファイルから読み出すことができる。
【0053】
また、時刻情報列データの内容としては、映像に関するさまざまな記述方法を用いることができる。一例としては、指定されたタイムステップで増加するタイムコード列、映像のシーン切り替わりを示すカット点の先頭のタイムコード列、シーンの中心を示すキーフレーム点のタイムコード列、付随するオーディオの無音から有音に切り替わる点を示すタイムコード列、拍手や笑い声など特定の効果音が発生した時刻を示すタイムコード列、テロップやCG画像など特定の画像発生した時刻を示すタイムコード列、ユーザが任意に指定したタイムコード列、あるいはこれらを組み合わせたタイムコード列などを用いることができる。また、各シーンのスタート時刻と区間長を時刻情報列として用いることもできる。
【0054】
図13(a)は映像シーン切り替え時刻を時刻情報とし、その時刻の画像を静止画像列として用いる例を示す。図13(b)はシーン内のキーフレーム点の時刻を時刻情報とし、その時刻の画像を静止画像列として用いる例を示す。
【0055】
なお、シーン記述ファイルを蓄積装置11からシーン記述ファイル読み込み部91に読み込む場合、シーン記述ファイル全体を読み込む場合と固定した時刻情報列と静止画像列に対応するシーン記述ファイルのみ読み込む場合と2種類の方法が可能である。前者の場合はすべての情報を蓄積するので読み込み時間がかかるという問題点があるが、一旦読み込んだあとはシーン記述情報を高速に出力できるという利点がある。一方後者の場合はシーン記述ファイルの読み込み時間は短いが、シーン記述情報の表示を更新するたびにシーン記述情報を蓄積装置11から読み込む必要がある。
【0056】
次に、本発明の第5の実施形態を、図14を参照して説明する。この実施形態は、コマンド入力部35で指定された映像ファイル情報が配信制御部34に入力され、配信制御部34からの制御により、コマンド入力部35で指定された映像データが蓄積装置11から順次取り出されて本映像送出部31aおよび/または代理映像送出部31bに入力される。同様に、配信制御部34からの制御によりコマンド入力部35で指定された映像に関するシーン記述データが蓄積装置11から順次取り出されてシーン記述データ送出部32に入力される。
【0057】
本映像送出部31a、代理映像送出部31b、およびシーン記述データ送出部32から本および/または代理映像データとシーン記述データがそれぞれ指定されたデータ速度で読み出されてネットワーク送出部33に入力され、それぞれのデータがネットワークに送出される。
【0058】
本映像送出レートは、映像ファイルのファイルサイズと映像再生時間から単位時間あたりの情報量を計算して決定することができる。また、シーン記述データ送出レートについては、シーン記述ファイルサイズと映像再生時間から単位時間あたりの情報量を計算して決定することができる。また、他の方法として、シーン記述ファイルで最後に表示すべき時刻とシーン記述ファイルサイズから単位時間あたりの情報量を計算して送出レートを決定することができる。
【0059】
また、コマンド入力部35はネットワーク26経由で接続された端末からの入力をネットワーク受信部36で受信してその情報をコマンド入力として用いてもよい。
【0060】
次に、本発明の第6の実施形態を、図15を用いて説明する。この実施形態では、まず、制御部10からの制御により、映像記述ファイル処理部14は指定された映像記述ファイルをサーバ20の蓄積装置11からネットワーク27を介して読み込む。次に、映像記述ファイル処理部14は読み込まれた映像記述ファイルで指定された本映像ファイル、代理映像ファイルを制御部10経由でネットワーク送信部53に出力される。また、クライアント装置(端末装置)30のコマンド入力部18で指定された映像ファイル情報が制御部10に入力され、ネットワーク送信部53に出力される。ネットワーク送信部53からネットワーク27を介してサーバ装置20のネットワーク受信部36に入力され、コマンド入力処理がコマンド入力部35を通じて行われ、配信制御部34からの制御により、指定された映像データ群が蓄積装置11から順次取り出されて本映像送出部31aに入力される。同様に、配信制御部34からの制御によりコマンド入力部18で指定された映像に関するシーン記述データが蓄積装置30から順次取り出されてシーン記述データ送出部32に入力される。また、映像記述ファイル処理部14で制御部10に指定された代理映像が、配信制御部34からの制御により、代理映像送出部31bに入力される。
【0061】
本映像送出部31a、代理映像送出部31b、およびシーン記述データ送出部32から、本映像データ、代理映像データおよびシーン記述データがそれぞれ指定されたデータ速度で読み出されてネットワーク送信部33に入力され、それぞれのデータがネットワーク27に送出される。送出された映像データ、代理映像データ、およびシーン記述データはネットワーク27を介してネットワーク受信部51に入力され、キャッシュメモリ52に一時蓄積される。
【0062】
キャッシュメモリ52から本映像情報、シーン記述情報、代理映像情報は、それぞれ本映像再生部12、シーン記述情報読み込み部91、代理映像再生部13に入力される。映像記述ファイル処理部14の動作は、図10の動作と同様であるので、説明を省略する。
【0063】
キャッシュメモリ52には、現在表示部17で表示されている本映像情報、代理映像およびシーン記述情報の、次に表示すべき映像情報、代理映像、およびシーン記述情報を、サーバ20からネットワーク27を介して逐次読み込んでおく。
【0064】
一般に、シーン記述情報ファイル容量が大きい場合、シーン記述情報を読み込むたびに大きな帯域を必要となるため、次のシーン記述情報を読み込むまでの時間がかかったり、また映像データを蓄積装置から読み込むための帯域が阻害されたりする可能性がある。しかしながら、上記のキャッシュメモリ52を用いると、シーン記述情報を連続的に表示部17に表示できるようになる。また、シーン記述データを連続的にキャッシュメモリ52に読み込むことでデータ伝送帯域を一定化することができるため、映像データをネットワーク接続された映像配信装置から読み込みに必要な帯域を阻害することがなくなり映像も連続的に再生が可能となる。
【0065】
前記した各実施形態の映像閲覧装置および映像配信装置は、パソコンにより実現するのが好適であり、該各実施形態の処理のプログラムをコンピュータ読み取り可能なプログラム記録媒体に記録して提供することができる。該記録媒体には、光ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスクなどの過般型記録媒体が含まれるのは勿論、ネットワークのように、データを一時的に記録保持するような伝送媒体も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1実施形態の概略の構成を示すブロック図である。
【図2】本映像と代理映像の表示例を示す図である。
【図3】第1の要約映像の説明図である。
【図4】第2の要約映像の説明図である。
【図5】第3の要約映像の説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態の概略の構成を示すブロック図である。
【図7】第2実施形態の変形例を示すブロック図である。
【図8】本発明の第3実施形態の概略の構成を示すブロック図である。
【図9】本映像と代理映像の切替え処理の説明図である。
【図10】本発明の第4実施形態の概略の構成を示すブロック図である。
【図11】図10の表示部に表示される表示例の説明図である。
【図12】図10の表示部に表示される他の表示例の説明図である。
【図13】時刻情報列と静止画像列の一具体例を説明する図である。
【図14】本発明の第5実施形態の概略の構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の第6実施形態の概略の構成を示すブロック図である。
【図16】第1の従来装置のブロック図である。
【図17】第2の従来装置のブロック図である。
【図18】第3の従来装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0067】
1・・・本映像、2・・・代理映像、10・・・制御部、11・・・蓄積装置、12・・・本映像再生部、13・・・代理映像再生部、14・・・映像記述ファイル処理部、17・・・表示部、18・・・コマンド入力部、20・・・サーバ、26・・・ネットワーク、30・・・クライアント、31a・・・本映像送出部、31b・・・代理映像送出部、32・・・シーン記述データ送出部、33・・・ネットワーク送信部、34・・・配信制御部、36・・・ネットワーク受信部、91・・・シーン記述ファイル読込部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定した映像記述ファイルをサーバから送出する手段と、
該映像記述ファイルに記述された本映像ファイルおよび代理映像ファイルをサーバから一定の伝送速度で送出する手段と、
該映像記述ファイルに記述された映像ファイルのシーンを記述するシーン記述ファイルを前記本映像データと同期して一定の伝送速度で該サーバから送出する手段を有することを特徴とする映像配信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の映像配信装置において、
前記シーン記述ファイルの伝送速度は、シーン記述ファイルサイズと該シーン記述ファイルに記述されたシーン情報から決定することを特徴とする映像配信装置。
【請求項3】
請求項1または2の映像配信装置から配信される前記本映像ファイル、代理映像ファイルおよびシーン記述ファイルを受信する閲覧装置において、
前記映像記述ファイルを読み込む手段と、
前記本映像ファイル、代理映像ファイルおよびシーン記述ファイルを受信した順に蓄積するキャッシュメモリと、
該キャッシュメモリに蓄積された該シーン記述ファイル内容を読み込む手段と、
該シーン記述ファイルに記述された時刻情報のうち該映像の再生時刻前後に存在する時刻情報列を出力する手段と、
該シーン記述ファイルに記述された静止画像のうち表示された該時刻情報に対応する静止画像列を出力する手段と、
該映像記述ファイルに記述された映像情報で指定された本映像ファイルを再生する本映像再生手段と、
該映像記述ファイルに記述された映像情報で指定された代理映像ファイルを再生する代理映像再生手段と、
前記本映像、代理映像、時刻情報列、および静止画像列を表示する手段とを具備し、
前記時刻情報列を出力する手段は、該本映像ファイルの再生時刻に同期して該時刻情報列と該静止画像列の表示を変更することを特徴とする複数動画像の閲覧装置。
【請求項4】
請求項3に記載の閲覧装置において、
前記時刻情報列を出力する手段は、再生時刻が指定された時刻情報を通過した時点で表示中の時刻情報列と静止画像列をそれぞれ次に表示する時刻情報列と該時刻情報列に対応する静止画像列に変更して表示することを特徴とする複数動画像の閲覧装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の閲覧装置において、
前記代理映像ファイルは本映像ファイルの要約映像を利用することを特徴とする複数動画像の閲覧装置。
【請求項6】
請求項5に記載の閲覧装置において、
前記要約映像は本映像ファイルを一定時間区間に区切った区間内の一部を抽出した映像を結合して作成された要約映像を利用することを特徴とする複数動画像の閲覧装置。
【請求項7】
請求項5に記載の閲覧装置において、
前記要約映像は本映像ファイルをショット分割した各ショット区間内の一部を抽出した映像を結合して作成された要約映像を利用することを特徴とする複数動画像の閲覧装置。
【請求項8】
請求項5に記載の閲覧装置において、
前記要約映像は本映像ファイル内のいくつかの時刻の画面を抽出した静止画像を結合して作成された要約映像を利用することを特徴とする複数動画像の閲覧装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−74759(P2006−74759A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−239719(P2005−239719)
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【分割の表示】特願2001−80946(P2001−80946)の分割
【原出願日】平成13年3月21日(2001.3.21)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】