複数台の表示器が接続可能な制御装置の表示システム
【課題】制御装置の処理の負荷を増大させず、また、制御装置および表示器のコストが増加しない、複数台の表示器が接続可能な制御装置の表示システムを提供すること。
【解決手段】制御装置200は、画像表示処理の負荷を増大させることなく、1番目の複数接続表示装置100に対しては、画面の表示指令を送信するだけで、N番目の複数接続表示装置100からの接続要求に対しては、終端となる複数接続表示装置100のネットワークアドレスを通知することで、ネットワーク上の複数の複数接続表示装置100の表示器上に同じ画面を表示することができる。複数接続表示装置100が複数台ネットワークに接続された場合でも、画面表示に関わる負荷をネットワークに接続された各複数接続表示装置100に分散させることが可能となり、制御装置200の本来の役目である工作機械などの機械制御や信号制御などのリアルタイム処理に影響を及ぼさない。
【解決手段】制御装置200は、画像表示処理の負荷を増大させることなく、1番目の複数接続表示装置100に対しては、画面の表示指令を送信するだけで、N番目の複数接続表示装置100からの接続要求に対しては、終端となる複数接続表示装置100のネットワークアドレスを通知することで、ネットワーク上の複数の複数接続表示装置100の表示器上に同じ画面を表示することができる。複数接続表示装置100が複数台ネットワークに接続された場合でも、画面表示に関わる負荷をネットワークに接続された各複数接続表示装置100に分散させることが可能となり、制御装置200の本来の役目である工作機械などの機械制御や信号制御などのリアルタイム処理に影響を及ぼさない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数台の表示器が接続可能な制御装置の表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
大型機械やトランスファラインを制御する制御装置においては、複数の遠隔場所から監視・操作する目的で、複数台の表示器を設置する構成がある。
【0003】
また、制御装置によって制御される工作機械が設置された工場から離れた場所で、保守作業のために前記工作機械に配置された表示器に表示された画面を参照したい要望がある。
【0004】
制御装置と接続する表示器として、特許文献1には、制御装置が生成する表示に関する表示指令を、パーソナルコンピュータでエミュレートして表示する表示技術が開示されている。この表示器は、制御装置に新たな表示回路や切り替え回路を設ける必要がないため、制御装置に接続するための表示器として適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−171516号公報
【特許文献2】特開平3−188505号公報
【特許文献3】特許第2669925号公報
【特許文献4】特公平7−109545号公報
【特許文献5】特開平9−146497号公報
【特許文献6】特開2000−250502号公報
【特許文献7】特表2002−525684号公報
【特許文献8】特開平9−91228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
制御装置と複数の表示器とを接続する手段としては、先行技術文献の欄に記載した特許文献2〜8に開示される技術がある。
特許文献2には、表示器ごとの表示信号を出力する技術が開示されている(図12参照)。この技術では、制御装置は複数台数分の表示信号を出力する必要がある。複数の表示器上で同時に画面を表示すると、接続する表示器の台数に比例して制御装置の画面表示処理の負荷が増大するため、接続できる表示器の台数に制限がある。また、複数台の表示器の内、任意の表示器の電源を切断することができない。
【0007】
特許文献3には、複数台の表示器を選択接続回路で切り替えて使用する技術が開示されている(図13参照)。この技術では、制御装置は表示器1台分の画面表示処理を行えばよいことから、制御装置の負荷は増大しないが、同時に複数の表示器で画面表示を行うことができない。このため、現場で発生した機械のトラブルを現場の操作員と離れた場所の保全部門の保守員、更には別の場所の機械技術者などとの間で、制御装置の画面表示情報を同時に共有して見ることができないという制限により、トラブルの発生した機械の復旧作業の時間短縮を図る用途に、特許文献3に開示される表示技術は使用できない。
【0008】
特許文献4には、制御装置に対し複数の表示器を接続する場合、制御装置が全ての表示器に対して画面データを送信する技術が開示されている。しかし、この技術では、画面データの通信処理(フロー制御、通信エラー発生時の再送処理など)が表示器ごとに必要となるため、制御装置の負荷が増大する。また、通信バッファ用の資源(RAM)も、表示器ごとに追加する必要がある。よって、制御装置に、通信処理のための高速な回路やRAMの追加などのコストが増加するという問題がある。
【0009】
特許文献5〜7には、制御装置が接続された特定の表示器に対してビデオ信号を出力する技術が開示されている。これらの特許文献に開示された技術では、専用の表示回路が必要な上、特許文献1のように表示指令をパソコンでエミュレートして表示する表示器には応用できない。
【0010】
特許文献8には、制御装置の画面のビットマップイメージを表示器側で取得し、自身の表示器に表示する技術が開示されている。この特許文献に開示される技術でも、特許文献1のように、表示指令をパーソナルコンピュータでエミュレートして表示する表示器には応用できない。さらに、この技術では、転送するビットマップ情報のサイズが膨大になり、表示器側での表示速度に問題があった。
【0011】
なお、1台のパーソナルコンピュータに複数の表示器を接続する手段として、パーソナルコンピュータと複数の表示器をビデオ信号用のケーブルで接続したネットワークを構成して、同時に同じ画面を表示させる技術がある。しかし、この技術では、ビデオ信号を各表示器が一方的に受信して表示を行うため、制御装置が生成する表示に関する表示指令を表示器側でエミュレートする特許文献1に開示される表示器を複数接続するための表示器として使用することはできない。
【0012】
また、上記のようなビデオ信号を受信して表示する技術では、表示器が、表示する制御装置を特定することができないため、複数の制御装置と複数の表示器で構成されたネットワーク上では、各表示器は接続する制御装置を特定することができない。さらに、表示器に接続されたキーボードからのキー入力を、制御装置が受け取るためには、別途、キー入力用のネットワークが必要であった。
【0013】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、制御装置の処理の負荷を増大させず、制御装置および表示器のコストが増加しない、複数台の表示器が接続可能な制御装置の表示システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願の請求項1に係る発明は、ネットワーク上に少なくとも1台の制御装置と、該制御装置が生成する表示に関する表示指令を受信し、処理して画面の表示を行う複数の表示器が接続された表示システムにおいて、前記制御装置は、最初に接続要求のあった表示器に対して接続を許可する手段と、最初に接続要求のあった表示器のネットワークアドレスを記憶するネットワークアドレス記憶手段と、接続要求があった表示器に対して表示指令を送信する手段と、他の表示器から接続要求があった際に、前記記憶したネットワークアドレスを該他の表示器に通知するとともに該他の表示器のネットワークアドレスを記憶するネットワークアドレス記憶手段とを有し、前記表示器は、接続する制御装置に対して接続要求を送信する手段と、制御装置から接続許可された場合に制御装置に接続し表示指令を受信する手段と、制御装置から接続許可されず前記ネットワークアドレスが通知された場合に、該通知されたネットワークアドレスの表示器に接続し表示指令を受信する手段と、
受信した表示指令を処理して画面表示を行う手段と、他の表示器から接続要求があった場合、受信した表示指令を接続要求があった表示器に送信する手段とを有することを特徴とする表示システムである。
請求項2に係る発明は、任意の表示器の電源が切断された場合、該電源が切断された表示器の1つ前に接続要求をした表示器は自己のネットワークアドレスを1つ前に接続要求をした表示器あるいは前記制御装置に送信する手段と、該電源が切断された表示器の1つ後に接続要求をした表示器は前記制御装置に接続要求を行う手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の表示システムである。
請求項3に係る発明は、前記ネットワークアドレス記憶手段は、接続要求のあった表示器の順序とネットワークアドレスを記憶することを特徴とする請求項2に記載の表示システムである。
請求項4に係る発明は、任意の表示器の電源が切断された場合、前記制御装置は、電源が切断された表示器の1つ後に接続要求を出した表示器に対して電源が切断された表示器の1つ前に接続要求を出した表示器のネットワークアドレスを送信する手段を有し、前記ネットワークアドレスが通知された表示器は該通知されたネットワークアドレスの表示器に接続要求を行う手段と、を備えたことを特徴とする表示システムである。
請求項5に係る発明は、前記表示器は、接続する制御装置のネットワークアドレスを変更する手段を有することを特徴とする表示システムである。
請求項6に係る発明は、前記表示器はキー入力手段を有し、該キー入力手段により入力された情報を接続している1つ前に接続要求を出した表示器あるいは前記制御装置に送信する送信手段を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の表示システムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、制御装置の処理の負荷を増大させず、また、制御装置および表示器のコストが増加しない、複数台の表示器が接続可能な制御装置の表示システムを提供できる。 また、従来技術では制御装置が表示器を特定していたが、本発明では、表示器側で接続する制御装置を特定できるため、ネットワーク上に複数の制御装置が存在する場合、表示器側で接続先の制御装置を変更するだけで任意の制御装置の画面が表示可能となり、制御装置の保守用に、ネットワークに繋がった任意の場所に1台の表示器を用意すれば、遠隔地から複数の制御装置の保守ができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態を説明する図である。
【図2】本発明の第2の実施形態を説明する図である。
【図3】本発明の第3の実施形態を説明する図である。
【図4】複数接続用表示装置を説明するブロック図である(制御装置と複数接続表示装置を接続する場合)。
【図5】複数接続用表示装置を説明するブロック図である(複数接続表示装置同士を接続する場合)。
【図6】制御装置の処理を説明するフローチャートである。
【図7】制御装置における複数接続表示装置の管理を説明するフローチャートである。
【図8】制御装置における制御装置用サーバ処理を説明するフローチャートである。
【図9】複数接続表示装置の処理を説明するフローチャートである。
【図10】クライアント接続複数接続表示装置管理を説明するフローチャートである。
【図11】複数接続表示装置用サーバ処理を説明するフローチャートである。
【図12】制御装置と複数の表示器を接続する従来技術を説明する図である。
【図13】制御装置と複数の表示器を接続し前記複数の表示器を切り替えて使用する従来技術を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。なお、図面中のサーバとは、接続要求を受けた制御装置、または、複数接続表示装置が、画面表示用の表示指令を送信(提供)する処理(機能)を示し、前記送信(提供)された表示指令を受信し画面に表示する処理(機能)をクライアントとよぶ。
本発明は、例えばイーサネット(登録商標)で代表されるネットワークを利用し、個々に接続用のアドレス(以下、「ネットワークアドレス」という)を持つ、1台または複数台の制御装置200と1台または複数台の複数接続表示装置100を接続する。図1では、ネットワーク上に1台の数値制御装置200、1番目〜N+1番目の複数接続表示装置100が接続されている。
制御装置200は、例えば、工作機械を制御する数値制御装置、ロボットなどの機械を制御する制御装置であり、従来公知の装置を用いることができる。前述のとおり、各々の複数接続表示装置100はそれぞれ固有のネットワークアドレスを保有している。なお、同様に制御装置200もそれぞれ固有のネットワークアドレスを保有している。
図1において、複数接続表示装置1は1番目の複数接続表示装置100を意味し、複数接続表示装置2は2番目の複数接続表示装置100を意味し、・・・複数接続表示装置NはN番目の複数接続表示装置100を意味する。1番目〜N+1番目の複数接続表示装置100については図4,図5を用いて後述する。
【0018】
図1を用いて、複数台の複数接続表示装置100が接続された本発明の表示システムの実施形態を説明する。
<第1の実施形態>
(1)1番目の複数接続表示装置100は複数台の制御装置200の中から接続したい制御装置200に対して接続要求を行う。図1では接続した制御装置200のみを図示している。最初に接続要求をした複数接続表示装置に対して制御装置200は、1番目の複数接続表示装置100として接続を許可する。その後、制御装置200は1番目の複数接続表示装置100に画面の表示指令を送信し、1番目の複数接続表示装置100は、制御装置200から画面の表示指令を受信し、画面表示を行う。そして、1番目の複数接続表示装置100は、自身が終端の複数接続表示装置100であることを制御装置200に認識させるために、制御装置200へ自身のネットワークアドレスを通知し、制御装置200の図示しないメモリに格納する。
なお、図1には、終端の複数接続表示装置100であることを示す自身のネットワークアドレスを終端複数接続表示装置アドレスとして記載している。
【0019】
(2)次に、2番目の複数接続表示装置100として図示されている複数接続表示装置が1番目の複数接続表示装置100が接続されているのと同じ制御装置200に接続しようとすると、制御装置200は、現時点で終端の複数接続表示装置である1番目の複数接続表示装置100のネットワークアドレスを2番目の複数接続表示装置100に通知する。 2番目の複数接続表示装置100は、ネットワークアドレスを取得した1番目の複数接続表示装置100と接続し、1番目の複数接続表示装置100から画面の表示指令を受信し、2番目の複数接続表示装置100に接続された表示器(図4の120参照)に画面を表示させる。
2番目の複数接続表示装置100は、自身が終端の複数接続表示装置100になったことを数値制御装置200に認識させるため、1番目の複数接続表示装置100を介して数値制御装置200に自身のネットワークアドレスを通知し、制御装置200は図示しないメモリに格納する。
【0020】
(3)同様に、N番目の複数接続表示装置100が1番目の複数接続表示装置100と同じ数値制御装置200に接続しようとすると、数値制御装置200は、記憶している終端複数接続表示装置であるN−1番目の複数接続表示装置100のネットワークアドレスを、N番目の複数接続表示装置100に通知する。
N番目の複数接続表示装置100は、N−1番目の複数接続表示装置100と接続し、N−1番目の複数接続表示装置100から画像の表示指令を受信し、N番目の複数接続表示装置100に接続された表示器に画面を表示させる。
そして、1番目、2番目の複数接続表示装置100と同様に、今度は、N番目の複数接続表示装置100は、自身が終端の複数接続表示装置100になったことを、N−1番目、N−2番目、・・・の複数接続表示装置100へ順次通知し、最終的に制御装置200にN番目の複数接続表示装置100のネットワークアドレスを記憶させる。
【0021】
(4)この処理を、制御装置200と複数接続表示装置100で繰り返すことによって、任意の台数の複数接続表示装置100を制御装置200に接続することができる。
【0022】
このように、制御装置200は、画像表示処理の負荷を増大させることなく、1番目の複数接続表示装置100に対しては画面の表示指令を送信するだけによって、N番目の複数接続表示装置100からの接続要求に対しては終端となる複数接続表示装置100のネットワークアドレスを通知することだけによって、ネットワーク上の複数の複数接続表示装置100の表示器上に同じ画面を表示することができる。
その結果、制御装置200は、複数接続表示装置100が複数台ネットワークに接続された場合でも、画面表示に関わる負荷を、ネットワークに接続された各複数接続表示装置100に分散させることが可能となり、制御装置200の本来の役目である工作機械などの機械制御や信号制御などのリアルタイム処理に影響が及ぶことがない。
【0023】
また、上述の表示システム上の任意の複数接続表示装置100でキー入力操作があった場合、画面の表示指令の送受信とは逆方向に情報を受け渡すことで、制御装置200へキー入力操作を通知し、任意の複数接続表示装置100からのキー入力操作を可能にする。このため、機械の保守やトラブル発生の際に、操作対象の制御装置200を遠隔地から操作することが可能となり、保守作業や復旧作業の時間短縮を図ることができる。
【0024】
次に、上述した表示システムにおいて、任意の複数接続表示装置100の電源が切断された場合を、図2を用いて本発明の第2の実施形態として説明する。
<第2の実施形態>
(1)第1の実施形態で説明した表示システムから、2番目の複数接続表示装置100の電源が切断された場合、2番目の複数接続表示装置100から切断された1番目の複数接続表示装置100は、自身が終端の複数接続表示装置100になったことを自身のネットワークアドレスを制御装置200に通知することによって知らせる。
(2)次に、2番目の複数接続表示装置100から切断された3番目の複数接続表示装置100は、制御装置200に対して再接続を要求する。
(3)制御装置200は、3番目の複数接続表示装置100に、終端の複数接続表示装置100である1番目の複数接続表示装置100のネットワークアドレスを通知する。
(4)3番目の複数接続表示装置100は、制御装置200から通知された1番目の複数接続表示装置100と接続し、3番目の複数接続表示装置100が記憶していた表示システム上の終端である複数接続表示装置100のネットワークアドレスを1番目の複数接続表示装置100を通して制御装置200へ通知することで、表示システムが再構築される。なお、図2では、3番目の複数接続表示装置100は、N番目の複数接続表示装置100のネットワークアドレスを終端の複数接続表示装置100のネットワークアドレスとして記憶している。
【0025】
これにより、機械を停止することなく、ネットワーク上の任意の複数接続表示装置100の電源の切断が可能となる。
上述した事項を一般化して説明すると、N番目の複数接続表示装置100の電源が切断された場合、N番目の複数接続表示装置100から切断されたN―1番目の複数接続表示装置100は、自身が終端の複数接続表示装置100になったことを、N−2番目、N−3番、・・・の複数接続表示装置100へ順次通知し、最終的に制御装置200へ伝達され制御装置200のメモリに記憶させる。
【0026】
次に、N番目の複数接続表示装置100から切断されたN+1番目の複数接続表示装置100が、制御装置200に対して再接続要求を行うと、終端となったN−1番目の複数接続表示装置100のネットワークアドレスがN+1番目の複数接続表示装置100に返され、N+1番目の複数接続表示装置100はN−1番目の複数接続表示装置100と再接続する。
【0027】
その後、N+1番目の複数接続表示装置100が記憶していた表示システム上の終端の複数接続表示装置100(例えばM番目の表示器)のネットワークアドレスをN+1番目からN−1番目、・・・の複数制御装置100へ順次通知し、最終的にM番目の表示器が終端表示器であることが制御装置200へ通知され、表示システムが再構築される。
【0028】
あるいは、制御装置200は、N番目の表示器から切断されたN+1番目の複数接続表示装置100に対し、終端の複数接続表示装置100となったN−1番目の複数接続表示装置100のネットワークアドレスを通知し、N−1番目の複数接続表示装置100と接続させ、表示システムを再構築してもよい。
【0029】
さらに、各複数接続表示装置100は、接続する制御装置200のネットワークアドレスを変更する手段を持ち、ネットワーク上に複数の制御装置200があった場合でも、任意の制御装置200との再接続が可能になる。その際、切断された表示システムは、上記の表示システムの再構築の手段により、自動的に再構築される。
【0030】
次に、上述した表示システムにおいて、任意の複数接続表示装置100の電源が切断された場合の他の実施形態を、図3を用いて第3の実施形態として説明する。
<第3の実施形態>
(1)ネットワーク上の表示システムから、2番目の複数接続表示装置100の電源が切断された場合、2番目の複数接続表示装置100から切断された1番目の複数接続表示装置100は、自身が終端の複数接続表示装置100になったことを、制御装置200へ通知する。
(2)次に、終端の複数接続表示装置100が変更されたことを通知された制御装置200は、3番目の複数接続表示装置100に、2番目の複数接続表示装置100が切断され、1番目の複数接続表示装置100が終端の複数接続表示装置100になったことを通知する。
(3)3番目の複数接続表示装置100は、制御装置200から通知された1番目の複数接続表示装置100と接続し、表示システムが再構築される。
これにより、機械を停止することなく、ネットワーク上の任意の複数接続表示装置100の電源の切断が可能となる。
上述した本発明の実施形態により、本発明は、多くの機械構成や海外など遠隔地の工場などに設置された制御装置へ、生産管理棟やメインテナンス管理棟に設置された複数接続表示装置を介して画面の表示と操作が容易に実行できる。
【0031】
次に、図4を用いて本発明の実施形態に用いられる複数接続用表示装置100を説明する。図4は、複数接続用表示装置を説明するブロック図である。
プロセッサ(CPU)101は複数接続用表示装置100を全体的に制御するプロセッサであり、バス106を介して、メモリ102に格納されたシステムプログラムを読み出し、このシステムプログラムに従って、複数接続用表示装置100を全体的に制御する。メモリ102には一時的な計算データ、表示指令などが格納される領域を含む。また、プロセッサ(CPU)101は、バス106を介して、表示器120に画面データを送る表示コントローラ103、キーボードコントローラ104、通信コントローラ105とも接続されている。表示器120は液晶表示装置などであって、表示コントローラ103によって制御される。キーボード121は、キーボードコントローラ104によって制御される。通信コントローラ105は、クライアント機能およびサーバ機能を備えている。通信コントローラ105のクライアント機能には、図4に示されるようにサーバ機能を有する制御装置200、あるいは、図5に示されるようにサーバ機能を有する複数接続表示装置100が接続される。通信コントローラ105のサーバ機能にはクライアント機能を有する複数接続表示装置100が接続される。
なお、本願の請求項に記載された発明において、「表示器」は、複数接続表示装置100とそれに接続される表示器120およびキーボード121を含む概念として用いられている。
【0032】
次に、図6〜図11に示されるフローチャートを用いて、表示システムの各部の処理を説明する。
図6は、制御装置の処理を説明するフローチャートである。
●[ステップST01]複数接続表示装置の管理処理を実行する。具体的には図7に示される処理を実行する。
●[ステップST02]制御装置用サーバ処理を実行する。具体的には図8に示される処理を実行する。
ステップST01とステップST02とを繰り返し行う。
【0033】
図7は、制御装置における複数接続表示装置の管理を説明するフローチャートである。このフローチャートの処理では、サーバ機能を有する制御装置に対して接続された複数接続表示装置の有無を示すフラグ(サーバ接続複数接続表示装置フラグFA)を用いる。
●[ステップSA01]サーバ機能を有する制御装置に対して、新たに複数接続表示装置からの接続要求があるか否かを判断し、接続要求がある場合にはステップSA02へ移行し、接続要求がない場合には処理を終了する。つまり、表示システムに新たに接続される複数接続表示装置があるか無いかを表示システムが監視していることを意味するステップである。
●[ステップSA02]サーバ接続複数接続表示装置フラグFAがオンか否かを判断し、オンの場合(YESの場合)にはステップSA03へ移行し、オフの場合(NOの場合)にはステップSA05へ移行する。
フラグFAがオンの場合には、既に、制御装置に接続された複数接続表示装置が存在することを意味する。なお、フラグFAがオフの場合は、制御装置に接続された複数接続表示装置がないことを意味する。
●[ステップSA03]接続要求された複数接続表示装置(換言すれば、制御装置に接続要求を行った複数接続表示装置)に、現時点で終端となる複数接続表示装置のネットワークアドレスを返信し、ステップSA04へ移行する。つまり、終端である複数接続表示装置に割り振られた終端複数接続表示装置アドレスを制御装置から接続要求のあった複数接続表示装置に返信し、ステップSA04へ移行する。(図10のステップSD03へ送信処理)
●[ステップSA04]接続要求のあった複数接続表示装置のネットワークアドレスを終端となる複数接続表示装置として制御装置のメモリに保存する。つまり、表示システムに新たに接続要求のあった複数接続表示装置のネットワークアドレスを、終端の複数接続表示装置のネットワークアドレスとして制御装置のメモリに格納する。これによって、当該複数接続表示装置は、終端である複数接続表示装置として制御装置に認識される。
なお、2台以上の複数接続表示装置を1台の制御装置に接続する場合、終端となる複数接続表示装置以外の複数接続表示装置のネットワークアドレスも消去されることなく制御装置のメモリに保存する。
●[ステップSA05]サーバ接続複数接続表示装置フラグFAをオンにする。つまり、新たに制御装置に接続される複数接続表示装置が存在するようになることから、オフであったサーバ接続複数接続表示装置フラグFAをオンとする。
●[ステップSA06]接続要求のあった複数接続表示装置のネットワークアドレスをメモリに保存する。つまり、制御装置にはじめて接続要求のあった複数接続表示装置のネットワークアドレスを受信し、終端の複数接続表示装置のネットワークアドレスとしてメモリに格納する。これによって、当該複数接続表示装置は、終点である複数接続表示装置として制御装置に認識される。
●[ステップSA07]接続要求された複数接続表示装置(換言すれば、制御装置に接続要求を行った複数接続表示装置)と通信を開始し、処理を終了する。
【0034】
図8は、制御装置用サーバ処理を説明するフローチャートである。
●[ステップSB01]サーバ接続複数接続表示装置フラグFAがオンか否かを判断し、オンの場合にはステップSB02へ移行し、オフの場合には処理を終了する。ここで、フラグFAがオフであることは、複数接続表示装置が一台も制御装置に接続されていない状態を示す。
●[ステップSB02]サーバ接続複数接続表示装置が正常通信状態か否かを判断し、正常である場合にはステップSB03へ移行し、正常でない場合にはステップSB06へ移行する。ここでは、制御装置200と1番目の複数接続表示装置100との通信状態が正常か否かを判断している。
●[ステップSB03]サーバ接続複数接続表示装置からのキー入力情報の受信を判断し、キー入力情報を受信した場合にはステップSB04へ移行し、キー入力情報の受信がなかった場合にはステップSB05へ移行する。
●[ステップSB04]受信したキー入力情報に基づき制御装置においてキー操作を実行する。このキー入力情報は、表示システムに接続された、いずれかの複数接続表示装置上のキーボードの操作により送信される。(図11のステップSE05の処理から受信)
●[ステップSB05]サーバ接続複数接続表示装置に表示指令を送信し、処理を終了する。(図10のステップSD05の処理へ送信)
●[ステップSB06]サーバ接続複数接続表示装置フラグFAをオフにし、処理を終了する。
【0035】
図9は、複数接続表示装置の処理を説明するフローチャートである。
●[ステップSC01]複数接続表示装置の表示画面で所望の制御装置を選択する。例えば、表示システムのネットワークに接続された複数接続表示装置にあらかじめ設定された接続する制御装置のネットワークアドレスを読み込むことで制御装置を選択することができる。
●[ステップSC02]画面表示を終了するか否か判断し、終了の場合にはステップSC03へ移行し、終了しない場合にはステップSC04へ移行する。
●[ステップSC03]制御装置の画面表示から離脱する。例えば、複数接続表示装置の電源をオフにすることによって、制御装置の画面表示から離脱する。
●[ステップSC04]複数接続表示装置管理を実行する。具体的には図7の処理を実行する。
●[ステップSC05]クライアント接続複数接続表示装置管理を実行する。具体的には図10の処理を実行する。
●[ステップSC06]複数接続表示装置用サーバ処理を実行し、ステップSC02に戻る。具体的には図11の処理を実行する。
【0036】
図10は、クライアント接続表示器管理を説明するフローチャートである。クライアントとして接続された複数接続表示装置の有無を示すフラグ(クライアント接続複数接続表示装置フラグFB)を用いる。
●[ステップSD01]クライアント接続複数接続表示装置フラグFBがオンか否かを判断し、オンの場合にはステップSD07へ移行し、オフの場合にはステップSD02へ移行する。
●[ステップSD02]所望の制御装置へ接続する。ここで、所望の制御装置は、図9のステップSC01で選択された制御装置である。
●[ステップSD03]返信された終端の複数接続表示装置を表すネットワークアドレスを用いて当該複数接続表示装置に接続する。(ステップSA03の処理による送信を受信。)
●[ステップSD04]クライアント接続複数接続表示装置フラグFBをオンにする。
●[ステップSD05]終端となる複数接続表示装置のアドレスを自身のネットワークアドレスとする。
●[ステップSD06]終端となる複数接続表示装置のネットワークアドレスを1つ前に接続の複数接続表示装置、または、制御装置に転送し、処理を終了する。(図7のSA04、または、1つ前の複数接続表示装置の図11のステップSE07へ送信)
●[ステップSD07]クライアント接続複数接続表示装置より表示指令を受信して画面表示をし、処理を終了する。(図8のステップSB04,図11のステップSE03から受信)
【0037】
図11は、複数接続表示装置用サーバ処理を説明するフローチャートである。
●[ステップSE01]サーバ接続複数接続表示装置フラグFAがオンか否かを判断し、オンの場合にはステップSE02へ移行し、オフの場合には処理を終了する。
●[ステップSE02]サーバ接続複数接続表示装置が正常通信状態か否かを判断し、正常通信状態の場合にはステップSE03へ移行し、正常通信状態でない場合にはステップSE08へ移行する。
●[ステップSE03]サーバ接続複数接続表示装置へ表示指令を転送する。(図10のステップSD05へ送信)
●[ステップSE04]サーバ接続複数接続表示装置からのキー入力情報を受信したかを判断し、キー入力情報を受信した場合にはステップSE05へ移行し、キー入力情報の受信がなかった場合にはステップSB06へ移行する。
●[ステップSE05]受信したキー入力情報を1つ手前の複数接続表示装置、または、制御装置に転送する。(図8のステップSB03、または、1つ前の複数接続表示装置の図11のステップSE05へ送信)
●[ステップSE06]サーバ機能を有する制御装置に対して、新たに終端となる複数接続表示装置のネットワークアドレスを受信したかを判断し、ネットワークアドレスを受信した場合には、ステップSE07へ移行し、受信がなかった場合には処理を終了する。
●[ステップSE07]終端となる複数接続表示装置のネットワークアドレスをメモリに保存する。つまり、表示システムに新たに接続された複数接続表示装置のネットワークアドレスを受信し、終端の複数接続表示装置のネットワークアドレスとしてメモリに格納する。これによって、当該複数接続表示装置は、終端である複数接続表示装置として制御装置に認識される。
●[ステップSE08]サーバ接続複数接続表示装置フラグFAをオフにし、ステップSE09へ移行する。
●[ステップSE09]終端となる複数接続表示装置のアドレスを自身のネットワークアドレスとする。
●[ステップSE10]終端となる複数接続表示装置のネットワークアドレスを1つ前に接続の複数接続表示装置、または、制御装置に転送し、処理を終了する。(図7のSA04、または、1つ前の複数接続表示装置の図11のステップSE07へ送信)
【符号の説明】
【0038】
100 複数接続表示装置
101 CPU
102 メモリ
103 表示コントローラ
104 キーボードコントローラ
105 通信コントローラ
106 バス
120 表示器
121 キーボード
200 数値制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数台の表示器が接続可能な制御装置の表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
大型機械やトランスファラインを制御する制御装置においては、複数の遠隔場所から監視・操作する目的で、複数台の表示器を設置する構成がある。
【0003】
また、制御装置によって制御される工作機械が設置された工場から離れた場所で、保守作業のために前記工作機械に配置された表示器に表示された画面を参照したい要望がある。
【0004】
制御装置と接続する表示器として、特許文献1には、制御装置が生成する表示に関する表示指令を、パーソナルコンピュータでエミュレートして表示する表示技術が開示されている。この表示器は、制御装置に新たな表示回路や切り替え回路を設ける必要がないため、制御装置に接続するための表示器として適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−171516号公報
【特許文献2】特開平3−188505号公報
【特許文献3】特許第2669925号公報
【特許文献4】特公平7−109545号公報
【特許文献5】特開平9−146497号公報
【特許文献6】特開2000−250502号公報
【特許文献7】特表2002−525684号公報
【特許文献8】特開平9−91228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
制御装置と複数の表示器とを接続する手段としては、先行技術文献の欄に記載した特許文献2〜8に開示される技術がある。
特許文献2には、表示器ごとの表示信号を出力する技術が開示されている(図12参照)。この技術では、制御装置は複数台数分の表示信号を出力する必要がある。複数の表示器上で同時に画面を表示すると、接続する表示器の台数に比例して制御装置の画面表示処理の負荷が増大するため、接続できる表示器の台数に制限がある。また、複数台の表示器の内、任意の表示器の電源を切断することができない。
【0007】
特許文献3には、複数台の表示器を選択接続回路で切り替えて使用する技術が開示されている(図13参照)。この技術では、制御装置は表示器1台分の画面表示処理を行えばよいことから、制御装置の負荷は増大しないが、同時に複数の表示器で画面表示を行うことができない。このため、現場で発生した機械のトラブルを現場の操作員と離れた場所の保全部門の保守員、更には別の場所の機械技術者などとの間で、制御装置の画面表示情報を同時に共有して見ることができないという制限により、トラブルの発生した機械の復旧作業の時間短縮を図る用途に、特許文献3に開示される表示技術は使用できない。
【0008】
特許文献4には、制御装置に対し複数の表示器を接続する場合、制御装置が全ての表示器に対して画面データを送信する技術が開示されている。しかし、この技術では、画面データの通信処理(フロー制御、通信エラー発生時の再送処理など)が表示器ごとに必要となるため、制御装置の負荷が増大する。また、通信バッファ用の資源(RAM)も、表示器ごとに追加する必要がある。よって、制御装置に、通信処理のための高速な回路やRAMの追加などのコストが増加するという問題がある。
【0009】
特許文献5〜7には、制御装置が接続された特定の表示器に対してビデオ信号を出力する技術が開示されている。これらの特許文献に開示された技術では、専用の表示回路が必要な上、特許文献1のように表示指令をパソコンでエミュレートして表示する表示器には応用できない。
【0010】
特許文献8には、制御装置の画面のビットマップイメージを表示器側で取得し、自身の表示器に表示する技術が開示されている。この特許文献に開示される技術でも、特許文献1のように、表示指令をパーソナルコンピュータでエミュレートして表示する表示器には応用できない。さらに、この技術では、転送するビットマップ情報のサイズが膨大になり、表示器側での表示速度に問題があった。
【0011】
なお、1台のパーソナルコンピュータに複数の表示器を接続する手段として、パーソナルコンピュータと複数の表示器をビデオ信号用のケーブルで接続したネットワークを構成して、同時に同じ画面を表示させる技術がある。しかし、この技術では、ビデオ信号を各表示器が一方的に受信して表示を行うため、制御装置が生成する表示に関する表示指令を表示器側でエミュレートする特許文献1に開示される表示器を複数接続するための表示器として使用することはできない。
【0012】
また、上記のようなビデオ信号を受信して表示する技術では、表示器が、表示する制御装置を特定することができないため、複数の制御装置と複数の表示器で構成されたネットワーク上では、各表示器は接続する制御装置を特定することができない。さらに、表示器に接続されたキーボードからのキー入力を、制御装置が受け取るためには、別途、キー入力用のネットワークが必要であった。
【0013】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、制御装置の処理の負荷を増大させず、制御装置および表示器のコストが増加しない、複数台の表示器が接続可能な制御装置の表示システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願の請求項1に係る発明は、ネットワーク上に少なくとも1台の制御装置と、該制御装置が生成する表示に関する表示指令を受信し、処理して画面の表示を行う複数の表示器が接続された表示システムにおいて、前記制御装置は、最初に接続要求のあった表示器に対して接続を許可する手段と、最初に接続要求のあった表示器のネットワークアドレスを記憶するネットワークアドレス記憶手段と、接続要求があった表示器に対して表示指令を送信する手段と、他の表示器から接続要求があった際に、前記記憶したネットワークアドレスを該他の表示器に通知するとともに該他の表示器のネットワークアドレスを記憶するネットワークアドレス記憶手段とを有し、前記表示器は、接続する制御装置に対して接続要求を送信する手段と、制御装置から接続許可された場合に制御装置に接続し表示指令を受信する手段と、制御装置から接続許可されず前記ネットワークアドレスが通知された場合に、該通知されたネットワークアドレスの表示器に接続し表示指令を受信する手段と、
受信した表示指令を処理して画面表示を行う手段と、他の表示器から接続要求があった場合、受信した表示指令を接続要求があった表示器に送信する手段とを有することを特徴とする表示システムである。
請求項2に係る発明は、任意の表示器の電源が切断された場合、該電源が切断された表示器の1つ前に接続要求をした表示器は自己のネットワークアドレスを1つ前に接続要求をした表示器あるいは前記制御装置に送信する手段と、該電源が切断された表示器の1つ後に接続要求をした表示器は前記制御装置に接続要求を行う手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の表示システムである。
請求項3に係る発明は、前記ネットワークアドレス記憶手段は、接続要求のあった表示器の順序とネットワークアドレスを記憶することを特徴とする請求項2に記載の表示システムである。
請求項4に係る発明は、任意の表示器の電源が切断された場合、前記制御装置は、電源が切断された表示器の1つ後に接続要求を出した表示器に対して電源が切断された表示器の1つ前に接続要求を出した表示器のネットワークアドレスを送信する手段を有し、前記ネットワークアドレスが通知された表示器は該通知されたネットワークアドレスの表示器に接続要求を行う手段と、を備えたことを特徴とする表示システムである。
請求項5に係る発明は、前記表示器は、接続する制御装置のネットワークアドレスを変更する手段を有することを特徴とする表示システムである。
請求項6に係る発明は、前記表示器はキー入力手段を有し、該キー入力手段により入力された情報を接続している1つ前に接続要求を出した表示器あるいは前記制御装置に送信する送信手段を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の表示システムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、制御装置の処理の負荷を増大させず、また、制御装置および表示器のコストが増加しない、複数台の表示器が接続可能な制御装置の表示システムを提供できる。 また、従来技術では制御装置が表示器を特定していたが、本発明では、表示器側で接続する制御装置を特定できるため、ネットワーク上に複数の制御装置が存在する場合、表示器側で接続先の制御装置を変更するだけで任意の制御装置の画面が表示可能となり、制御装置の保守用に、ネットワークに繋がった任意の場所に1台の表示器を用意すれば、遠隔地から複数の制御装置の保守ができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態を説明する図である。
【図2】本発明の第2の実施形態を説明する図である。
【図3】本発明の第3の実施形態を説明する図である。
【図4】複数接続用表示装置を説明するブロック図である(制御装置と複数接続表示装置を接続する場合)。
【図5】複数接続用表示装置を説明するブロック図である(複数接続表示装置同士を接続する場合)。
【図6】制御装置の処理を説明するフローチャートである。
【図7】制御装置における複数接続表示装置の管理を説明するフローチャートである。
【図8】制御装置における制御装置用サーバ処理を説明するフローチャートである。
【図9】複数接続表示装置の処理を説明するフローチャートである。
【図10】クライアント接続複数接続表示装置管理を説明するフローチャートである。
【図11】複数接続表示装置用サーバ処理を説明するフローチャートである。
【図12】制御装置と複数の表示器を接続する従来技術を説明する図である。
【図13】制御装置と複数の表示器を接続し前記複数の表示器を切り替えて使用する従来技術を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。なお、図面中のサーバとは、接続要求を受けた制御装置、または、複数接続表示装置が、画面表示用の表示指令を送信(提供)する処理(機能)を示し、前記送信(提供)された表示指令を受信し画面に表示する処理(機能)をクライアントとよぶ。
本発明は、例えばイーサネット(登録商標)で代表されるネットワークを利用し、個々に接続用のアドレス(以下、「ネットワークアドレス」という)を持つ、1台または複数台の制御装置200と1台または複数台の複数接続表示装置100を接続する。図1では、ネットワーク上に1台の数値制御装置200、1番目〜N+1番目の複数接続表示装置100が接続されている。
制御装置200は、例えば、工作機械を制御する数値制御装置、ロボットなどの機械を制御する制御装置であり、従来公知の装置を用いることができる。前述のとおり、各々の複数接続表示装置100はそれぞれ固有のネットワークアドレスを保有している。なお、同様に制御装置200もそれぞれ固有のネットワークアドレスを保有している。
図1において、複数接続表示装置1は1番目の複数接続表示装置100を意味し、複数接続表示装置2は2番目の複数接続表示装置100を意味し、・・・複数接続表示装置NはN番目の複数接続表示装置100を意味する。1番目〜N+1番目の複数接続表示装置100については図4,図5を用いて後述する。
【0018】
図1を用いて、複数台の複数接続表示装置100が接続された本発明の表示システムの実施形態を説明する。
<第1の実施形態>
(1)1番目の複数接続表示装置100は複数台の制御装置200の中から接続したい制御装置200に対して接続要求を行う。図1では接続した制御装置200のみを図示している。最初に接続要求をした複数接続表示装置に対して制御装置200は、1番目の複数接続表示装置100として接続を許可する。その後、制御装置200は1番目の複数接続表示装置100に画面の表示指令を送信し、1番目の複数接続表示装置100は、制御装置200から画面の表示指令を受信し、画面表示を行う。そして、1番目の複数接続表示装置100は、自身が終端の複数接続表示装置100であることを制御装置200に認識させるために、制御装置200へ自身のネットワークアドレスを通知し、制御装置200の図示しないメモリに格納する。
なお、図1には、終端の複数接続表示装置100であることを示す自身のネットワークアドレスを終端複数接続表示装置アドレスとして記載している。
【0019】
(2)次に、2番目の複数接続表示装置100として図示されている複数接続表示装置が1番目の複数接続表示装置100が接続されているのと同じ制御装置200に接続しようとすると、制御装置200は、現時点で終端の複数接続表示装置である1番目の複数接続表示装置100のネットワークアドレスを2番目の複数接続表示装置100に通知する。 2番目の複数接続表示装置100は、ネットワークアドレスを取得した1番目の複数接続表示装置100と接続し、1番目の複数接続表示装置100から画面の表示指令を受信し、2番目の複数接続表示装置100に接続された表示器(図4の120参照)に画面を表示させる。
2番目の複数接続表示装置100は、自身が終端の複数接続表示装置100になったことを数値制御装置200に認識させるため、1番目の複数接続表示装置100を介して数値制御装置200に自身のネットワークアドレスを通知し、制御装置200は図示しないメモリに格納する。
【0020】
(3)同様に、N番目の複数接続表示装置100が1番目の複数接続表示装置100と同じ数値制御装置200に接続しようとすると、数値制御装置200は、記憶している終端複数接続表示装置であるN−1番目の複数接続表示装置100のネットワークアドレスを、N番目の複数接続表示装置100に通知する。
N番目の複数接続表示装置100は、N−1番目の複数接続表示装置100と接続し、N−1番目の複数接続表示装置100から画像の表示指令を受信し、N番目の複数接続表示装置100に接続された表示器に画面を表示させる。
そして、1番目、2番目の複数接続表示装置100と同様に、今度は、N番目の複数接続表示装置100は、自身が終端の複数接続表示装置100になったことを、N−1番目、N−2番目、・・・の複数接続表示装置100へ順次通知し、最終的に制御装置200にN番目の複数接続表示装置100のネットワークアドレスを記憶させる。
【0021】
(4)この処理を、制御装置200と複数接続表示装置100で繰り返すことによって、任意の台数の複数接続表示装置100を制御装置200に接続することができる。
【0022】
このように、制御装置200は、画像表示処理の負荷を増大させることなく、1番目の複数接続表示装置100に対しては画面の表示指令を送信するだけによって、N番目の複数接続表示装置100からの接続要求に対しては終端となる複数接続表示装置100のネットワークアドレスを通知することだけによって、ネットワーク上の複数の複数接続表示装置100の表示器上に同じ画面を表示することができる。
その結果、制御装置200は、複数接続表示装置100が複数台ネットワークに接続された場合でも、画面表示に関わる負荷を、ネットワークに接続された各複数接続表示装置100に分散させることが可能となり、制御装置200の本来の役目である工作機械などの機械制御や信号制御などのリアルタイム処理に影響が及ぶことがない。
【0023】
また、上述の表示システム上の任意の複数接続表示装置100でキー入力操作があった場合、画面の表示指令の送受信とは逆方向に情報を受け渡すことで、制御装置200へキー入力操作を通知し、任意の複数接続表示装置100からのキー入力操作を可能にする。このため、機械の保守やトラブル発生の際に、操作対象の制御装置200を遠隔地から操作することが可能となり、保守作業や復旧作業の時間短縮を図ることができる。
【0024】
次に、上述した表示システムにおいて、任意の複数接続表示装置100の電源が切断された場合を、図2を用いて本発明の第2の実施形態として説明する。
<第2の実施形態>
(1)第1の実施形態で説明した表示システムから、2番目の複数接続表示装置100の電源が切断された場合、2番目の複数接続表示装置100から切断された1番目の複数接続表示装置100は、自身が終端の複数接続表示装置100になったことを自身のネットワークアドレスを制御装置200に通知することによって知らせる。
(2)次に、2番目の複数接続表示装置100から切断された3番目の複数接続表示装置100は、制御装置200に対して再接続を要求する。
(3)制御装置200は、3番目の複数接続表示装置100に、終端の複数接続表示装置100である1番目の複数接続表示装置100のネットワークアドレスを通知する。
(4)3番目の複数接続表示装置100は、制御装置200から通知された1番目の複数接続表示装置100と接続し、3番目の複数接続表示装置100が記憶していた表示システム上の終端である複数接続表示装置100のネットワークアドレスを1番目の複数接続表示装置100を通して制御装置200へ通知することで、表示システムが再構築される。なお、図2では、3番目の複数接続表示装置100は、N番目の複数接続表示装置100のネットワークアドレスを終端の複数接続表示装置100のネットワークアドレスとして記憶している。
【0025】
これにより、機械を停止することなく、ネットワーク上の任意の複数接続表示装置100の電源の切断が可能となる。
上述した事項を一般化して説明すると、N番目の複数接続表示装置100の電源が切断された場合、N番目の複数接続表示装置100から切断されたN―1番目の複数接続表示装置100は、自身が終端の複数接続表示装置100になったことを、N−2番目、N−3番、・・・の複数接続表示装置100へ順次通知し、最終的に制御装置200へ伝達され制御装置200のメモリに記憶させる。
【0026】
次に、N番目の複数接続表示装置100から切断されたN+1番目の複数接続表示装置100が、制御装置200に対して再接続要求を行うと、終端となったN−1番目の複数接続表示装置100のネットワークアドレスがN+1番目の複数接続表示装置100に返され、N+1番目の複数接続表示装置100はN−1番目の複数接続表示装置100と再接続する。
【0027】
その後、N+1番目の複数接続表示装置100が記憶していた表示システム上の終端の複数接続表示装置100(例えばM番目の表示器)のネットワークアドレスをN+1番目からN−1番目、・・・の複数制御装置100へ順次通知し、最終的にM番目の表示器が終端表示器であることが制御装置200へ通知され、表示システムが再構築される。
【0028】
あるいは、制御装置200は、N番目の表示器から切断されたN+1番目の複数接続表示装置100に対し、終端の複数接続表示装置100となったN−1番目の複数接続表示装置100のネットワークアドレスを通知し、N−1番目の複数接続表示装置100と接続させ、表示システムを再構築してもよい。
【0029】
さらに、各複数接続表示装置100は、接続する制御装置200のネットワークアドレスを変更する手段を持ち、ネットワーク上に複数の制御装置200があった場合でも、任意の制御装置200との再接続が可能になる。その際、切断された表示システムは、上記の表示システムの再構築の手段により、自動的に再構築される。
【0030】
次に、上述した表示システムにおいて、任意の複数接続表示装置100の電源が切断された場合の他の実施形態を、図3を用いて第3の実施形態として説明する。
<第3の実施形態>
(1)ネットワーク上の表示システムから、2番目の複数接続表示装置100の電源が切断された場合、2番目の複数接続表示装置100から切断された1番目の複数接続表示装置100は、自身が終端の複数接続表示装置100になったことを、制御装置200へ通知する。
(2)次に、終端の複数接続表示装置100が変更されたことを通知された制御装置200は、3番目の複数接続表示装置100に、2番目の複数接続表示装置100が切断され、1番目の複数接続表示装置100が終端の複数接続表示装置100になったことを通知する。
(3)3番目の複数接続表示装置100は、制御装置200から通知された1番目の複数接続表示装置100と接続し、表示システムが再構築される。
これにより、機械を停止することなく、ネットワーク上の任意の複数接続表示装置100の電源の切断が可能となる。
上述した本発明の実施形態により、本発明は、多くの機械構成や海外など遠隔地の工場などに設置された制御装置へ、生産管理棟やメインテナンス管理棟に設置された複数接続表示装置を介して画面の表示と操作が容易に実行できる。
【0031】
次に、図4を用いて本発明の実施形態に用いられる複数接続用表示装置100を説明する。図4は、複数接続用表示装置を説明するブロック図である。
プロセッサ(CPU)101は複数接続用表示装置100を全体的に制御するプロセッサであり、バス106を介して、メモリ102に格納されたシステムプログラムを読み出し、このシステムプログラムに従って、複数接続用表示装置100を全体的に制御する。メモリ102には一時的な計算データ、表示指令などが格納される領域を含む。また、プロセッサ(CPU)101は、バス106を介して、表示器120に画面データを送る表示コントローラ103、キーボードコントローラ104、通信コントローラ105とも接続されている。表示器120は液晶表示装置などであって、表示コントローラ103によって制御される。キーボード121は、キーボードコントローラ104によって制御される。通信コントローラ105は、クライアント機能およびサーバ機能を備えている。通信コントローラ105のクライアント機能には、図4に示されるようにサーバ機能を有する制御装置200、あるいは、図5に示されるようにサーバ機能を有する複数接続表示装置100が接続される。通信コントローラ105のサーバ機能にはクライアント機能を有する複数接続表示装置100が接続される。
なお、本願の請求項に記載された発明において、「表示器」は、複数接続表示装置100とそれに接続される表示器120およびキーボード121を含む概念として用いられている。
【0032】
次に、図6〜図11に示されるフローチャートを用いて、表示システムの各部の処理を説明する。
図6は、制御装置の処理を説明するフローチャートである。
●[ステップST01]複数接続表示装置の管理処理を実行する。具体的には図7に示される処理を実行する。
●[ステップST02]制御装置用サーバ処理を実行する。具体的には図8に示される処理を実行する。
ステップST01とステップST02とを繰り返し行う。
【0033】
図7は、制御装置における複数接続表示装置の管理を説明するフローチャートである。このフローチャートの処理では、サーバ機能を有する制御装置に対して接続された複数接続表示装置の有無を示すフラグ(サーバ接続複数接続表示装置フラグFA)を用いる。
●[ステップSA01]サーバ機能を有する制御装置に対して、新たに複数接続表示装置からの接続要求があるか否かを判断し、接続要求がある場合にはステップSA02へ移行し、接続要求がない場合には処理を終了する。つまり、表示システムに新たに接続される複数接続表示装置があるか無いかを表示システムが監視していることを意味するステップである。
●[ステップSA02]サーバ接続複数接続表示装置フラグFAがオンか否かを判断し、オンの場合(YESの場合)にはステップSA03へ移行し、オフの場合(NOの場合)にはステップSA05へ移行する。
フラグFAがオンの場合には、既に、制御装置に接続された複数接続表示装置が存在することを意味する。なお、フラグFAがオフの場合は、制御装置に接続された複数接続表示装置がないことを意味する。
●[ステップSA03]接続要求された複数接続表示装置(換言すれば、制御装置に接続要求を行った複数接続表示装置)に、現時点で終端となる複数接続表示装置のネットワークアドレスを返信し、ステップSA04へ移行する。つまり、終端である複数接続表示装置に割り振られた終端複数接続表示装置アドレスを制御装置から接続要求のあった複数接続表示装置に返信し、ステップSA04へ移行する。(図10のステップSD03へ送信処理)
●[ステップSA04]接続要求のあった複数接続表示装置のネットワークアドレスを終端となる複数接続表示装置として制御装置のメモリに保存する。つまり、表示システムに新たに接続要求のあった複数接続表示装置のネットワークアドレスを、終端の複数接続表示装置のネットワークアドレスとして制御装置のメモリに格納する。これによって、当該複数接続表示装置は、終端である複数接続表示装置として制御装置に認識される。
なお、2台以上の複数接続表示装置を1台の制御装置に接続する場合、終端となる複数接続表示装置以外の複数接続表示装置のネットワークアドレスも消去されることなく制御装置のメモリに保存する。
●[ステップSA05]サーバ接続複数接続表示装置フラグFAをオンにする。つまり、新たに制御装置に接続される複数接続表示装置が存在するようになることから、オフであったサーバ接続複数接続表示装置フラグFAをオンとする。
●[ステップSA06]接続要求のあった複数接続表示装置のネットワークアドレスをメモリに保存する。つまり、制御装置にはじめて接続要求のあった複数接続表示装置のネットワークアドレスを受信し、終端の複数接続表示装置のネットワークアドレスとしてメモリに格納する。これによって、当該複数接続表示装置は、終点である複数接続表示装置として制御装置に認識される。
●[ステップSA07]接続要求された複数接続表示装置(換言すれば、制御装置に接続要求を行った複数接続表示装置)と通信を開始し、処理を終了する。
【0034】
図8は、制御装置用サーバ処理を説明するフローチャートである。
●[ステップSB01]サーバ接続複数接続表示装置フラグFAがオンか否かを判断し、オンの場合にはステップSB02へ移行し、オフの場合には処理を終了する。ここで、フラグFAがオフであることは、複数接続表示装置が一台も制御装置に接続されていない状態を示す。
●[ステップSB02]サーバ接続複数接続表示装置が正常通信状態か否かを判断し、正常である場合にはステップSB03へ移行し、正常でない場合にはステップSB06へ移行する。ここでは、制御装置200と1番目の複数接続表示装置100との通信状態が正常か否かを判断している。
●[ステップSB03]サーバ接続複数接続表示装置からのキー入力情報の受信を判断し、キー入力情報を受信した場合にはステップSB04へ移行し、キー入力情報の受信がなかった場合にはステップSB05へ移行する。
●[ステップSB04]受信したキー入力情報に基づき制御装置においてキー操作を実行する。このキー入力情報は、表示システムに接続された、いずれかの複数接続表示装置上のキーボードの操作により送信される。(図11のステップSE05の処理から受信)
●[ステップSB05]サーバ接続複数接続表示装置に表示指令を送信し、処理を終了する。(図10のステップSD05の処理へ送信)
●[ステップSB06]サーバ接続複数接続表示装置フラグFAをオフにし、処理を終了する。
【0035】
図9は、複数接続表示装置の処理を説明するフローチャートである。
●[ステップSC01]複数接続表示装置の表示画面で所望の制御装置を選択する。例えば、表示システムのネットワークに接続された複数接続表示装置にあらかじめ設定された接続する制御装置のネットワークアドレスを読み込むことで制御装置を選択することができる。
●[ステップSC02]画面表示を終了するか否か判断し、終了の場合にはステップSC03へ移行し、終了しない場合にはステップSC04へ移行する。
●[ステップSC03]制御装置の画面表示から離脱する。例えば、複数接続表示装置の電源をオフにすることによって、制御装置の画面表示から離脱する。
●[ステップSC04]複数接続表示装置管理を実行する。具体的には図7の処理を実行する。
●[ステップSC05]クライアント接続複数接続表示装置管理を実行する。具体的には図10の処理を実行する。
●[ステップSC06]複数接続表示装置用サーバ処理を実行し、ステップSC02に戻る。具体的には図11の処理を実行する。
【0036】
図10は、クライアント接続表示器管理を説明するフローチャートである。クライアントとして接続された複数接続表示装置の有無を示すフラグ(クライアント接続複数接続表示装置フラグFB)を用いる。
●[ステップSD01]クライアント接続複数接続表示装置フラグFBがオンか否かを判断し、オンの場合にはステップSD07へ移行し、オフの場合にはステップSD02へ移行する。
●[ステップSD02]所望の制御装置へ接続する。ここで、所望の制御装置は、図9のステップSC01で選択された制御装置である。
●[ステップSD03]返信された終端の複数接続表示装置を表すネットワークアドレスを用いて当該複数接続表示装置に接続する。(ステップSA03の処理による送信を受信。)
●[ステップSD04]クライアント接続複数接続表示装置フラグFBをオンにする。
●[ステップSD05]終端となる複数接続表示装置のアドレスを自身のネットワークアドレスとする。
●[ステップSD06]終端となる複数接続表示装置のネットワークアドレスを1つ前に接続の複数接続表示装置、または、制御装置に転送し、処理を終了する。(図7のSA04、または、1つ前の複数接続表示装置の図11のステップSE07へ送信)
●[ステップSD07]クライアント接続複数接続表示装置より表示指令を受信して画面表示をし、処理を終了する。(図8のステップSB04,図11のステップSE03から受信)
【0037】
図11は、複数接続表示装置用サーバ処理を説明するフローチャートである。
●[ステップSE01]サーバ接続複数接続表示装置フラグFAがオンか否かを判断し、オンの場合にはステップSE02へ移行し、オフの場合には処理を終了する。
●[ステップSE02]サーバ接続複数接続表示装置が正常通信状態か否かを判断し、正常通信状態の場合にはステップSE03へ移行し、正常通信状態でない場合にはステップSE08へ移行する。
●[ステップSE03]サーバ接続複数接続表示装置へ表示指令を転送する。(図10のステップSD05へ送信)
●[ステップSE04]サーバ接続複数接続表示装置からのキー入力情報を受信したかを判断し、キー入力情報を受信した場合にはステップSE05へ移行し、キー入力情報の受信がなかった場合にはステップSB06へ移行する。
●[ステップSE05]受信したキー入力情報を1つ手前の複数接続表示装置、または、制御装置に転送する。(図8のステップSB03、または、1つ前の複数接続表示装置の図11のステップSE05へ送信)
●[ステップSE06]サーバ機能を有する制御装置に対して、新たに終端となる複数接続表示装置のネットワークアドレスを受信したかを判断し、ネットワークアドレスを受信した場合には、ステップSE07へ移行し、受信がなかった場合には処理を終了する。
●[ステップSE07]終端となる複数接続表示装置のネットワークアドレスをメモリに保存する。つまり、表示システムに新たに接続された複数接続表示装置のネットワークアドレスを受信し、終端の複数接続表示装置のネットワークアドレスとしてメモリに格納する。これによって、当該複数接続表示装置は、終端である複数接続表示装置として制御装置に認識される。
●[ステップSE08]サーバ接続複数接続表示装置フラグFAをオフにし、ステップSE09へ移行する。
●[ステップSE09]終端となる複数接続表示装置のアドレスを自身のネットワークアドレスとする。
●[ステップSE10]終端となる複数接続表示装置のネットワークアドレスを1つ前に接続の複数接続表示装置、または、制御装置に転送し、処理を終了する。(図7のSA04、または、1つ前の複数接続表示装置の図11のステップSE07へ送信)
【符号の説明】
【0038】
100 複数接続表示装置
101 CPU
102 メモリ
103 表示コントローラ
104 キーボードコントローラ
105 通信コントローラ
106 バス
120 表示器
121 キーボード
200 数値制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク上に少なくとも1台の制御装置と、該制御装置が生成する表示に関する表示指令を受信し、処理して画面の表示を行う複数の表示器が接続された表示システムにおいて、
前記制御装置は、
最初に接続要求のあった表示器に対して接続を許可する手段と、
最初に接続要求のあった表示器のネットワークアドレスを記憶するネットワークアドレス記憶手段と、
接続要求があった表示器に対して表示指令を送信する手段と、
他の表示器から接続要求があった際に、前記記憶したネットワークアドレスを該他の表示器に通知するとともに該他の表示器のネットワークアドレスを記憶するネットワークアドレス記憶手段とを有し、
前記表示器は、
接続する制御装置に対して接続要求を送信する手段と、
制御装置から接続許可された場合に制御装置に接続し表示指令を受信する手段と、
制御装置から接続許可されず前記ネットワークアドレスが通知された場合に、該通知されたネットワークアドレスの表示器に接続し表示指令を受信する手段と、
受信した表示指令を処理して画面表示を行う手段と、
他の表示器から接続要求があった場合、受信した表示指令を接続要求があった表示器に送信する手段とを有することを特徴とする表示システム。
【請求項2】
任意の表示器の電源が切断された場合、
該電源が切断された表示器の1つ前に接続要求をした表示器は自己のネットワークアドレスを1つ前に接続要求をした表示器あるいは前記制御装置に送信する手段と、
該電源が切断された表示器の1つ後に接続要求をした表示器は前記制御装置に接続要求を行う手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記ネットワークアドレス記憶手段は、接続要求のあった表示器の順序とネットワークアドレスを記憶することを特徴とする請求項2に記載の表示システム。
【請求項4】
任意の表示器の電源が切断された場合、
前記制御装置は、電源が切断された表示器の1つ後に接続要求を出した表示器に対して電源が切断された表示器の1つ前に接続要求を出した表示器のネットワークアドレスを送信する手段を有し、
前記ネットワークアドレスが通知された表示器は該通知されたネットワークアドレスの表示器に接続要求を行う手段と、
を備えたことを特徴とする表示システム。
【請求項5】
前記表示器は、接続する制御装置のネットワークアドレスを変更する手段を有することを特徴とする表示システム。
【請求項6】
前記表示器はキー入力手段を有し、
該キー入力手段により入力された情報を接続している1つ前に接続要求を出した表示器あるいは前記制御装置に送信する送信手段を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の表示システム。
【請求項1】
ネットワーク上に少なくとも1台の制御装置と、該制御装置が生成する表示に関する表示指令を受信し、処理して画面の表示を行う複数の表示器が接続された表示システムにおいて、
前記制御装置は、
最初に接続要求のあった表示器に対して接続を許可する手段と、
最初に接続要求のあった表示器のネットワークアドレスを記憶するネットワークアドレス記憶手段と、
接続要求があった表示器に対して表示指令を送信する手段と、
他の表示器から接続要求があった際に、前記記憶したネットワークアドレスを該他の表示器に通知するとともに該他の表示器のネットワークアドレスを記憶するネットワークアドレス記憶手段とを有し、
前記表示器は、
接続する制御装置に対して接続要求を送信する手段と、
制御装置から接続許可された場合に制御装置に接続し表示指令を受信する手段と、
制御装置から接続許可されず前記ネットワークアドレスが通知された場合に、該通知されたネットワークアドレスの表示器に接続し表示指令を受信する手段と、
受信した表示指令を処理して画面表示を行う手段と、
他の表示器から接続要求があった場合、受信した表示指令を接続要求があった表示器に送信する手段とを有することを特徴とする表示システム。
【請求項2】
任意の表示器の電源が切断された場合、
該電源が切断された表示器の1つ前に接続要求をした表示器は自己のネットワークアドレスを1つ前に接続要求をした表示器あるいは前記制御装置に送信する手段と、
該電源が切断された表示器の1つ後に接続要求をした表示器は前記制御装置に接続要求を行う手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記ネットワークアドレス記憶手段は、接続要求のあった表示器の順序とネットワークアドレスを記憶することを特徴とする請求項2に記載の表示システム。
【請求項4】
任意の表示器の電源が切断された場合、
前記制御装置は、電源が切断された表示器の1つ後に接続要求を出した表示器に対して電源が切断された表示器の1つ前に接続要求を出した表示器のネットワークアドレスを送信する手段を有し、
前記ネットワークアドレスが通知された表示器は該通知されたネットワークアドレスの表示器に接続要求を行う手段と、
を備えたことを特徴とする表示システム。
【請求項5】
前記表示器は、接続する制御装置のネットワークアドレスを変更する手段を有することを特徴とする表示システム。
【請求項6】
前記表示器はキー入力手段を有し、
該キー入力手段により入力された情報を接続している1つ前に接続要求を出した表示器あるいは前記制御装置に送信する送信手段を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の表示システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−123057(P2012−123057A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271777(P2010−271777)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(390008235)ファナック株式会社 (1,110)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(390008235)ファナック株式会社 (1,110)
【Fターム(参考)】
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