複数窓口システム
【課題】接客用カウンタに複数の窓口を備えてなる複数窓口システムにあって、窓口係員の作業性を損なうことなく、各窓口で窓口係員の声を適切に拡声可能なシステムを提供する。
【解決手段】音声を光信号に変換して送信する複数のマイク装置を各窓口係員B1〜B3に装着させるとともに、前記マイク装置が送信する光信号を受信して電気信号に変換する受光器5と、該受光器5の電気信号を音声に変換して出力するスピーカ6とを具備する拡声装置を各窓口A1〜A3に配設する。そして、複数のマイク装置と拡声装置を同一チャンネルの光信号を介して無線通信するよう設定するとともに、前記受光器5を、接客用カウンタSの天板15の下方、両側の遮光性側板の内側に形成された収容空間に設置し、遮光性側板の遮蔽作用によって近隣窓口A1〜A3の間の混信を防止するようにした。
【解決手段】音声を光信号に変換して送信する複数のマイク装置を各窓口係員B1〜B3に装着させるとともに、前記マイク装置が送信する光信号を受信して電気信号に変換する受光器5と、該受光器5の電気信号を音声に変換して出力するスピーカ6とを具備する拡声装置を各窓口A1〜A3に配設する。そして、複数のマイク装置と拡声装置を同一チャンネルの光信号を介して無線通信するよう設定するとともに、前記受光器5を、接客用カウンタSの天板15の下方、両側の遮光性側板の内側に形成された収容空間に設置し、遮光性側板の遮蔽作用によって近隣窓口A1〜A3の間の混信を防止するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接客用カウンタを具備する窓口を複数配設してなる複数窓口システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技店や銀行、ファーストフード店などでは、多数の客に対応するために複数の窓口を備えた複数窓口システムが採用されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、一般的な窓口システムでは、周囲の騒音等によって窓口係員の声が聞き取り難いことがあり、こうした不具合を解消するために、窓口係員の声をマイクで拾って拡声するようにしている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−25623号公報(図8)
【特許文献2】特開2001−24803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献2の窓口システムでは、窓口に固定されたマイクが窓口業務の邪魔になり易い。また、窓口係員はわざわざマイクに口を近づけて喋らなければならない。さらには、窓口係員は、窓口を離れて作業をすることも多いが、窓口から離れる度に、マイク装置が不要な雑音を拾わないように、マイク装置の電源を逐次ON/OFFにしなくてはならなかった。
【0006】
こうした問題を解消するために、無線式のマイク装置を使用することが提案される。しかしながら、上記複数窓口システムで無線式のマイク装置を採用する場合、各窓口で共通のチャンネルを使用すると、近隣窓口間で無線信号の混信が生じて、窓口係員の声が複数の窓口の拡声装置で拡声されてしまうという不具合が生じる。窓口ごとに異なるチャンネルを使用すれば混信の問題は解決するが、かかる場合には、各窓口係員のマイク装置が、一つの窓口の拡声装置にしか対応しなくなるため、各窓口係員が特定の窓口でしか作業できなくなり、作業効率が大きく損なわれてしまう。
【0007】
本発明は係る現状に鑑みてなされたものであり、接客用カウンタに複数の窓口を備えてなる複数窓口システムにあって、窓口係員の作業性を損なうことなく、各窓口で窓口係員の声を適切に拡声可能なシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第一の発明は、接客用カウンタを具備する窓口を複数配設してなる複数窓口システムにおいて、各窓口係員が腰の前側に夫々装着するものであって、装着した窓口係員の音声を光信号に変換して送信する複数のマイク装置と、窓口毎に設置されるものであって、前記マイク装置が送信する光信号を受信して電気信号に変換する受光器と、該受光器の電気信号を音声に変換して出力するスピーカとを具備する拡声装置とを備えてなり、各窓口係員が装着するマイク装置と、窓口毎に設置される拡声装置は、同一チャンネルの光信号を介して無線通信するよう設定されており、前記接客用カウンタは、前記窓口の両側に立設される遮光性側板の上に天板を架設してなり、該天板の裏側、両側の遮光性側板の内側に、係員側に開放する収容空間が形成されたものであり、前記受光器は、受光素子を備えてなり、前記接客用カウンタの前記収容空間で天板の裏面に固定されて、設置窓口の係員側領域を受信エリアとするとともに、前記遮光性側板に光の入射を制限されて、設置窓口の近隣窓口の係員側領域を受信エリアから除外していることを特徴とする複数窓口システムである。ここで、「光信号」は、可視光の信号に限らず、赤外線信号も含む。
【0009】
すなわち、かかる構成にあっては、各窓口係員のマイク装置と各窓口の拡声装置とを共通のチャンネルで通信させるため、全窓口係員の声を全ての窓口で拡声可能となる。一方で、拡声装置の受光器の受信エリアは、接客用カウンタの遮光性側板によって、設置窓口以外の近隣窓口を含まないように制限されるため、窓口にいる窓口係員の声は、当該窓口に設置された拡声装置でのみ拡声され、近隣窓口の拡声装置で拡声されることがない。
【0010】
また、本発明にあって、前記受光器は、受光素子への入射光を集光する狭エリア型集光レンズを備えることが提案される。ここで、「狭エリア型集光レンズ」とは、通常、複数のレンズの組合わせによって構成され得るものである。かかる構成によれば、狭エリア型集光レンズによって、受信エリアの中心部からの信号への反応を増強するとともに、受信エリア周辺部からの信号への反応を抑制することができ、設置窓口外からの不要な光信号をより確実に排除可能となる。
【0011】
また、第二の発明は、接客用カウンタを具備する窓口を複数配設してなる複数窓口システムにおいて、各窓口係員が腰の前側に夫々装着するものであって、装着した窓口係員の音声を電波に変換して送信する複数のマイク装置と、窓口毎に設置されるものであって、前記マイク装置が送信する電波を受信して電気信号に変換する受信機と、該受信機の電気信号を音声に変換して出力するスピーカとを具備する拡声装置とを備えてなり、各窓口係員が装着するマイク装置と、窓口毎に設置される拡声装置は、同一チャンネルの電波を介して無線通信するよう設定されており、前記接客用カウンタは、前記窓口の両側に立設される側板の上に天板を架設してなり、該天板の裏側に、係員側に開放する収容空間が形成されたものであり、前記受信機は、アンテナと、該アンテナを収容する電波遮蔽性筐体と、該電波遮蔽性筐体に形成された開口部に配設されて、所定方向から入射する電波のみを電波遮蔽性筐体内に透過させる電磁レンズとを備えてなり、接客用カウンタの前記収容空間で天板の裏面に固定されて、前記電磁レンズの指向性によって、設置窓口の係員側領域を受信エリアとするとともに、設置窓口の近隣窓口の係員側領域を受信エリアから除外するよう構成されていることを特徴とする複数窓口システムである。
【0012】
かかる発明は、マイク装置と拡声装置間の通信に光信号を用いる第一の発明に対して、マイク装置と拡声装置間の通信に電波を用いるものである。かかる構成にあっては、受信機の受信エリアを制限し、設置窓口にいる窓口係員のマイク装置からの電波を受信し、設置窓口外から電波を受信しないようにすることで、窓口にいる窓口係員の声を当該窓口に設置された拡声装置で拡声し、当該窓口外にいる窓口係員の声を当該窓口の拡声装置で拡声しないようにすることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
上記第一の発明及び第二の発明は、窓口係員がマイク装置を身に着けて、各窓口に設置された拡声装置と無線通信を行うようにしたものであるから、マイクを窓口に固定する従来構成に比べて、マイク装置の設置スペースを有効活用でき、また、窓口係員は、マイクの設置位置を気にすることなく会話可能となるため、窓口業務を効率化可能となる。
【0014】
また、本発明にあっては、各窓口係員のマイク装置と各窓口の拡声装置を同一チャンネルで通信させ、全ての窓口係員の声を全ての窓口で拡声可能としているため、窓口係員は、窓口の区別なく臨機応変に接客することが可能となる。また、窓口係員のマイク装置を同一構成・同一設定にできるため、窓口係員は、勤務の際にマイク装置の種類や設定を気にかける必要がなくなる。
【0015】
また、本発明にあっては、拡声装置の受光器又は受信機の受信エリアを設置窓口に制限し、近隣窓口からの光信号又は電波を受信しないようにしている。このため、全てのマイク装置の通信を同一チャンネルで行っても、近接する窓口同士で混信が生じることがない。
【0016】
また、本発明では、受信エリアを絞り込むことにより、マイク装置と拡声装置のスイッチ操作を大幅に簡略化できる。すなわち、従来の固定式のマイク装置では、装置のON/OFF用に人感センサや足踏スイッチを用いていたが、本発明のシステムでは、受光器や受信機の受信エリアに窓口係員がいなければ、拡声装置は何も拡声しないため、スイッチ制御が不要となり、システムの大幅な簡素化が可能となる。
【0017】
また、本発明では、送信機を各窓口係員の腰の前面に装着し、受光器又は受信機を天板の裏面に固定することにより、窓口係員が窓口で立っている時でも、座っている時でも、その送信機が、当該窓口の受光器又は受信機の受信エリア内に収まることとなる。このため、本発明のシステムによれば、窓口係員は、窓口における姿勢を大きく制限されず、自由な姿勢で窓口業務を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例の複数窓口システムの概略を示す正面図である。
【図2】実施例の複数窓口システムの概略を示す平面図である。
【図3】実施例の複数窓口システムのシステム構成を示すブロック図である。
【図4】接客用カウンタSを係員側から見た斜視図である。
【図5】受光器5の内部構造を示す接客用カウンタSの拡大縦断側面図である。
【図6】遮光性側板16の機能を示す説明図である。
【図7】天板15直下で接客用カウンタSを横断して受光器5の受信エリアUを示す説明図である。
【図8】接客用カウンタSの縦断して受光器5の受信エリアUを示す説明図であり、(a)は窓口係員Bが立位にある状態を示し、(b)は窓口係員Bが座位にある状態を示す。
【図9】実施例の複数窓口システムの機能を示す説明図である。
【図10】変形例の複数窓口システムのシステム構成を示すブロック図である。
【図11】変形例の受信機20の横断面図である。
【図12】変形例の複数窓口システムの概略を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態を、以下の実施例に従って説明する。
【0020】
本実施例の複数窓口システムは、図1,2に示すように、接客用カウンタSを具備する3つの窓口A1〜A3を横並びに配設してなるものである。各窓口A1〜Aは、窓口係員B1〜B3が、接客用カウンタSを介して客C1〜C3と対面して接客できるよう構成されている。
【0021】
各窓口係員B1〜B3は、夫々マイク装置を身に着けている。このマイク装置は、図1,2に示すように、装着者の声を電気信号に変換するヘッドセット型のマイク本体2と、該マイク本体2の電気信号を赤外線信号に変換し、内蔵する発光器から送信する送信機3とからなる。送信機3は、ベルトにクリップして腰の前面に装着するタイプのものであり、マイク本体2とは、図示しないリード線によって接続されている。
【0022】
各窓口A1〜A3には、夫々拡声装置が設置される。拡声装置は、図1,2に示すように、前記マイク装置が送信する赤外線信号を受信して電気信号に変換する受光器5と、該受光器5の電気信号を増幅し、音声に変換して出力する指向性の高いアンプ内蔵スピーカ6とからなる。各受光器5は、赤外線信号の受信エリアU1〜U3を、設置窓口A1〜A3の係員側に向けるようにして、接客用カウンタSに固定される。一方、指向性の高いアンプ内蔵スピーカ6は、客C1〜C3に向けて音声が出力されるようにして、各窓口A1〜A3の接客用カウンタSの上に設置される。同じ窓口A1〜A3の受光器5とアンプ内蔵スピーカ6は、図示しないリード線を介して接続される。
【0023】
図3は、本実施例の複数窓口システムの構成を示すブロック図である。上述のように、窓口係員B1〜B3は、夫々マイク装置を身に着けており、各窓口A1〜A3には、夫々拡声装置が設置される。ここで、各窓口係員B1〜B3のマイク装置と、各窓口A1〜A3の拡声装置は全て同一チャンネルを介して赤外線通信するよう設定される。すなわち、本システムでは、全ての窓口A1〜A3の拡声装置が、全ての窓口係員B1〜B3のマイク装置からの赤外線信号を受信できるよう設定される。
【0024】
接客用カウンタSは、図4に示すように、窓口A(A1〜A3)の両側に立設される遮光性側板16,16と、該遮光性側板16,16の上に架け渡される天板15とを備えてなる。天板15の裏側、両遮光性側板16の内側には、受光器5を収容する収容空間18が形成される。収容空間18の客側は、幕板17によって覆われており、収容空間18は、係員側にのみ開口19が形成される。天板15は、窓口係員B(B1〜B3)の胸下あたりに位置しており、収容空間18の開口19は、窓口係員Bの腰の高さに形成される。また、天板15の下方には、二枚の水平な仕切り板26,26が設けられており、これにより、収容空間18の下方に物入れ用の収納スペース27,27を形成している。
【0025】
以下に、受光器5について説明する。受光器5は、図5に示すように、立方体状の筐体10の内部に、受光素子7を内蔵してなるものである。受光素子7は、赤外線信号を電気信号に変換するものであり、赤外線感応タイプのフォトダイオードなどによって構成される。筐体10は光遮蔽性材料からなり、赤外線信号は、筐体10の一側面に形成された入射開口部11からのみ内部に入射できる。入射開口部11には、赤外線信号以外の不要な入射光をカットするフィルタ12が配設され、また、受光素子7とフィルタ12の間には、受光素子7の指向性を高めるための狭エリア型集光レンズ13が配設される。
【0026】
受光器5は、図4,5に示すように、入射開口部11を、係員側に向け、天板15の裏面に固着されることにより、接客用カウンタSの収容空間18に設置される。かかる構成にあっては、受光素子7に受信される赤外線信号は、収容空間18の係員側の開口19から入射し、受光器5の入射開口部11を通過しなくてはならない。ここで、遮光性側板16の内壁面は、赤外線を反射しない材質で構成されているため、遮光性側板16の内壁面に当たる赤外線信号は受光器5に到達しない。したがって、かかる構成によれば、図6に示すように、遮光性側板16の側縁により区画された平面視扇形状のエリアUから送信された赤外線信号のみが受光素子7で受信可能となり、受光器5の受信エリアは、かかる平面視扇形状のエリアUに制限される。
【0027】
そして、本実施例では、各受光器5の設置位置を適宜調整することで、各受光器5の受信エリアUが、設置窓口Aのみを含み、近接する設置窓口を含まないように設定し、図7に示すように、窓口Aにいる窓口係員Bの送信機3は、当該窓口Aの受光器5のみの受信エリアUに入り、当該窓口A1の受光器5へのみ送信可能となるよう構成している。
【0028】
なお、本実施例では、送信機3を各窓口係員の腰の前側に装着させるとともに、受光器5を天板15の裏面に固定して、窓口係員Bの腰の高さにくるように設置しているため、図8に示すように、窓口係員Bは、窓口Aと対向してさえいれば、立っていても、座っていても、受光器5の受信エリアUから送信機3が外れることがない。
【0029】
以上のように、本実施例の複数窓口システムにあっては、窓口係員B1〜B3が携帯するマイク装置と、窓口A1〜A3に設置する拡声装置とを無線接続しているため、マイク装置を窓口に固定する従来システムに比べて、マイク装置の設置スペースを別の用途に有効活用でき、また、窓口係員B1〜B3は、窓口に固定されたマイクに接近して喋らなくてもよくなるから、窓口業務を効率よく行うことができる。
【0030】
また、本実施例の複数窓口システムでは、マイク装置と拡声装置を全て同一チャンネルで通信するよう設定しているから、窓口係員B1〜B3がどの窓口A1〜A3にいる場合でも、当該窓口係員B1〜B3の声を、当該窓口A1〜A3の拡声装置によって拡声することができる。したがって、本実施例のシステムでは、図9に示すように、窓口係員B1〜B3が、窓口A1〜A3を区別することなく、状況に応じて柔軟に接客することが可能となる。また、窓口係員B1〜B3のマイク装置は同一設定であるから、勤務交替の際にもマイク装置を交換するだけで済み、担当窓口の確認やマイク装置の設定作業を行う必要がない。また、窓口係員B1〜B3を増員する場合でも、マイク装置の数を増やすだけで足り、余計な設定を行う必要がない。
【0031】
各窓口A1〜A3の拡声装置は、同一装置を同一設定で用いることができ、また、拡声装置を構成する受光器5とアンプ内蔵スピーカ6はいずれも接客用カウンタSに配設されるため、拡声装置を配設した接客用カウンタSを増設するだけで、設定変更や複雑な配線処理を行うことなく、窓口A1〜A3を簡単に増設できる。
【0032】
また、本実施例のシステムは、マイク装置と拡声装置を全て同一チャンネルで通信するよう設定しているため、窓口A1〜A3と窓口係員B1〜B3の数を独立して変更でき、自由度の高いシステムを構築できるという利点がある。すなわち、窓口A1〜A3の数を維持したまま窓口係員B1〜B3を増員したり、窓口係員B1〜B3を増やさずに窓口A1〜A3のみを増設したりすることを、何の障害もなく行うことができる。
【0033】
また、本実施例のシステムでは、各受光器5の受信エリアU1〜U3を設置窓口A1〜A3に制限し、隣接する窓口A1〜A3の受光器5の受信エリアU1〜U3が重ならないようにしているため、受光器5は、近隣窓口から送信される赤外線信号を受信せず、マイク装置と拡声装置間の無線通信を同一チャンネルで行っても、近隣窓口間で混信が生じるおそれがない。
【0034】
また、本実施例では、マイク装置の送信機3を各窓口係員B1〜B3の腰の前面に装着するとともに、受光器5を天板15裏面に固定し、腰の高さ位置に保持しているから、窓口係員B1〜B3は、窓口A1〜A3に対向する位置にさえいれば、立位であろうと、座位であろうと、その声を当該窓口A1〜A3の拡声装置で拡声させることができ、自由な姿勢で窓口業務を行うことができる。
【0035】
また、本実施例では、接客用カウンタSの遮光性側板16の遮光作用によって、受光器5の受信エリアU1〜U3を制限するようにしているが、かかる接客用カウンタSには、天板と側板を備える既存一般の接客用カウンタを利用できるため、別途、遮光部材を設けることなく、受光器5の受信エリアU1〜U3を制限できるという利点がある。
【0036】
また、本システムでは、マイク装置を常時送信状態にし、拡声装置を常時受信待ちの状態にしておいても、窓口係員B1〜B3が受信エリアU1〜U3(窓口A1〜A3)から外れている時は、拡声装置は何も拡声しないため、マイク装置や拡声装置のスイッチ制御が不要となり、システムの大幅な簡素化が可能となる。
【0037】
また、本実施例のシステムでは、拡声装置を各窓口A1〜A3の接客用カウンタSに設置し、マイク装置を各窓口係員B1〜B3が身に着ける構成であるため、拡声装置やマイク装置を天井や壁面に設置不要となる。このため、本システムは、天井が高く、壁まで遠い大型ホール内や、天井も壁もない屋外スペースにも設置でき、ドームや屋外のイベント会場におけるチケット売場などに用いることができる。
【0038】
次に、上記実施例の構成を一部変更した変形例について説明する。
変形例の複数窓口システムは、マイク装置と拡声装置の通信に電波通信を採用したものである。図10は、本変形例におけるシステム構成図である。本変形例のシステム構成は、上記実施例の構成(図3参照)から赤外線送受信に係る機器(送信機及び受光器)を、電波送受信する機器(送信機及び受信機)に替えたものであり、その他の構成は同じである。すなわち、マイク装置では、赤外線送信機に替えてUHF等の電波を送信する送信機が用いられる。一方、拡声装置には、受光器に替えて、電波を受信する受信機が用いられる。通信距離が短いため、送信機が送信する電波は微弱なものとすることが望ましい。そして、本変形例でも、3台のマイク装置と3台の拡声装置は、全て同一チャンネルで通信するよう設定される。
【0039】
図11は、受信機20の横断面図である。受信機20は、鉛等の電波遮蔽性材料で構成された電波遮蔽性筐体21を備えている。この電波遮蔽性筐体21には、マイク装置からの電波を受信するアンテナ22が収容される。電波遮蔽性筐体21の一側面には、開口部24が形成されており、該開口部24に電磁レンズ23が配設される。そして、かかる構成にあっては、電磁レンズ23が開口部24を通過する電波を絞り込むことによって、開口部24の正面方向から送信された電波のみを電波遮蔽性筐体21の内部に進入させ、アンテナ22で受信させる。すなわち、かかる受信機20は、図11に示すように、開口部24の正面領域を受信エリアUとするよう構成されている。そして、この受信機20は、図1に示した実施例の受光器5と同様に、設置窓口A1〜A3の係員側領域を受信エリアU1〜U3に含み、近隣窓口A1〜A3を受信エリア外とするように接客用カウンタSの収容空間18で、天板15の裏面に固定される。したがって、かかる変形例にあっても、上記実施例と同様に、無線通信による窓口業務の効率化、混信防止などの効果を得ることができる。また、かかる構成にあっては、別途搬送波を用い、送信機一台が接近した場合、送信機から基本搬送波選択信号を受け、送信機から当該搬送波信号に音声信号を変換し送出するようにしてもよい。かかる構成によれば、1:1の会話システムを構築可能となる。
【0040】
本発明における複数窓口システムは、上記実施例の形態に限らず本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、上記実施例では、赤外線通信を採用した複数窓口システムの例を示したが、本発明には、可視光通信を採用することもできる。また、実施例のシステムは、窓口係員B1〜B3の声のみを拡声し、客C1〜C3の声は拡声しないが、本発明のシステムにあって、客C1〜C3の声を拡声するように構成してもよい。客C1〜C3の声を拡声する場合には、例えば、有線式の指向性の高いマイクを、接客用カウンタSに顧客の口元に向けて設置すればよい。
【0041】
また、上記実施例では、複数の窓口A1〜A3が、一台ずつ接客用カウンタSを備える構成であったが、図10に示すように、複数の窓口A1〜A3で、一台の長尺な接客用カウンタS1を共有するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
2 マイク本体
3 送信機
5 受光器
6 アンプ内蔵スピーカ
7 受光素子
10 筐体
11 入射開口部
13 狭エリア型集光レンズ
15 天板
16 遮光性側板
18 収容空間
20 受信機
21 電波遮蔽性筐体
22 アンテナ
23 電磁レンズ
24 開口部
A,A1〜A3 窓口
B,B1〜B3 窓口係員
C1〜C3 客
S,S1 接客用カウンタ
U,U1〜U3 受信エリア
【技術分野】
【0001】
本発明は、接客用カウンタを具備する窓口を複数配設してなる複数窓口システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技店や銀行、ファーストフード店などでは、多数の客に対応するために複数の窓口を備えた複数窓口システムが採用されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、一般的な窓口システムでは、周囲の騒音等によって窓口係員の声が聞き取り難いことがあり、こうした不具合を解消するために、窓口係員の声をマイクで拾って拡声するようにしている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−25623号公報(図8)
【特許文献2】特開2001−24803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献2の窓口システムでは、窓口に固定されたマイクが窓口業務の邪魔になり易い。また、窓口係員はわざわざマイクに口を近づけて喋らなければならない。さらには、窓口係員は、窓口を離れて作業をすることも多いが、窓口から離れる度に、マイク装置が不要な雑音を拾わないように、マイク装置の電源を逐次ON/OFFにしなくてはならなかった。
【0006】
こうした問題を解消するために、無線式のマイク装置を使用することが提案される。しかしながら、上記複数窓口システムで無線式のマイク装置を採用する場合、各窓口で共通のチャンネルを使用すると、近隣窓口間で無線信号の混信が生じて、窓口係員の声が複数の窓口の拡声装置で拡声されてしまうという不具合が生じる。窓口ごとに異なるチャンネルを使用すれば混信の問題は解決するが、かかる場合には、各窓口係員のマイク装置が、一つの窓口の拡声装置にしか対応しなくなるため、各窓口係員が特定の窓口でしか作業できなくなり、作業効率が大きく損なわれてしまう。
【0007】
本発明は係る現状に鑑みてなされたものであり、接客用カウンタに複数の窓口を備えてなる複数窓口システムにあって、窓口係員の作業性を損なうことなく、各窓口で窓口係員の声を適切に拡声可能なシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第一の発明は、接客用カウンタを具備する窓口を複数配設してなる複数窓口システムにおいて、各窓口係員が腰の前側に夫々装着するものであって、装着した窓口係員の音声を光信号に変換して送信する複数のマイク装置と、窓口毎に設置されるものであって、前記マイク装置が送信する光信号を受信して電気信号に変換する受光器と、該受光器の電気信号を音声に変換して出力するスピーカとを具備する拡声装置とを備えてなり、各窓口係員が装着するマイク装置と、窓口毎に設置される拡声装置は、同一チャンネルの光信号を介して無線通信するよう設定されており、前記接客用カウンタは、前記窓口の両側に立設される遮光性側板の上に天板を架設してなり、該天板の裏側、両側の遮光性側板の内側に、係員側に開放する収容空間が形成されたものであり、前記受光器は、受光素子を備えてなり、前記接客用カウンタの前記収容空間で天板の裏面に固定されて、設置窓口の係員側領域を受信エリアとするとともに、前記遮光性側板に光の入射を制限されて、設置窓口の近隣窓口の係員側領域を受信エリアから除外していることを特徴とする複数窓口システムである。ここで、「光信号」は、可視光の信号に限らず、赤外線信号も含む。
【0009】
すなわち、かかる構成にあっては、各窓口係員のマイク装置と各窓口の拡声装置とを共通のチャンネルで通信させるため、全窓口係員の声を全ての窓口で拡声可能となる。一方で、拡声装置の受光器の受信エリアは、接客用カウンタの遮光性側板によって、設置窓口以外の近隣窓口を含まないように制限されるため、窓口にいる窓口係員の声は、当該窓口に設置された拡声装置でのみ拡声され、近隣窓口の拡声装置で拡声されることがない。
【0010】
また、本発明にあって、前記受光器は、受光素子への入射光を集光する狭エリア型集光レンズを備えることが提案される。ここで、「狭エリア型集光レンズ」とは、通常、複数のレンズの組合わせによって構成され得るものである。かかる構成によれば、狭エリア型集光レンズによって、受信エリアの中心部からの信号への反応を増強するとともに、受信エリア周辺部からの信号への反応を抑制することができ、設置窓口外からの不要な光信号をより確実に排除可能となる。
【0011】
また、第二の発明は、接客用カウンタを具備する窓口を複数配設してなる複数窓口システムにおいて、各窓口係員が腰の前側に夫々装着するものであって、装着した窓口係員の音声を電波に変換して送信する複数のマイク装置と、窓口毎に設置されるものであって、前記マイク装置が送信する電波を受信して電気信号に変換する受信機と、該受信機の電気信号を音声に変換して出力するスピーカとを具備する拡声装置とを備えてなり、各窓口係員が装着するマイク装置と、窓口毎に設置される拡声装置は、同一チャンネルの電波を介して無線通信するよう設定されており、前記接客用カウンタは、前記窓口の両側に立設される側板の上に天板を架設してなり、該天板の裏側に、係員側に開放する収容空間が形成されたものであり、前記受信機は、アンテナと、該アンテナを収容する電波遮蔽性筐体と、該電波遮蔽性筐体に形成された開口部に配設されて、所定方向から入射する電波のみを電波遮蔽性筐体内に透過させる電磁レンズとを備えてなり、接客用カウンタの前記収容空間で天板の裏面に固定されて、前記電磁レンズの指向性によって、設置窓口の係員側領域を受信エリアとするとともに、設置窓口の近隣窓口の係員側領域を受信エリアから除外するよう構成されていることを特徴とする複数窓口システムである。
【0012】
かかる発明は、マイク装置と拡声装置間の通信に光信号を用いる第一の発明に対して、マイク装置と拡声装置間の通信に電波を用いるものである。かかる構成にあっては、受信機の受信エリアを制限し、設置窓口にいる窓口係員のマイク装置からの電波を受信し、設置窓口外から電波を受信しないようにすることで、窓口にいる窓口係員の声を当該窓口に設置された拡声装置で拡声し、当該窓口外にいる窓口係員の声を当該窓口の拡声装置で拡声しないようにすることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
上記第一の発明及び第二の発明は、窓口係員がマイク装置を身に着けて、各窓口に設置された拡声装置と無線通信を行うようにしたものであるから、マイクを窓口に固定する従来構成に比べて、マイク装置の設置スペースを有効活用でき、また、窓口係員は、マイクの設置位置を気にすることなく会話可能となるため、窓口業務を効率化可能となる。
【0014】
また、本発明にあっては、各窓口係員のマイク装置と各窓口の拡声装置を同一チャンネルで通信させ、全ての窓口係員の声を全ての窓口で拡声可能としているため、窓口係員は、窓口の区別なく臨機応変に接客することが可能となる。また、窓口係員のマイク装置を同一構成・同一設定にできるため、窓口係員は、勤務の際にマイク装置の種類や設定を気にかける必要がなくなる。
【0015】
また、本発明にあっては、拡声装置の受光器又は受信機の受信エリアを設置窓口に制限し、近隣窓口からの光信号又は電波を受信しないようにしている。このため、全てのマイク装置の通信を同一チャンネルで行っても、近接する窓口同士で混信が生じることがない。
【0016】
また、本発明では、受信エリアを絞り込むことにより、マイク装置と拡声装置のスイッチ操作を大幅に簡略化できる。すなわち、従来の固定式のマイク装置では、装置のON/OFF用に人感センサや足踏スイッチを用いていたが、本発明のシステムでは、受光器や受信機の受信エリアに窓口係員がいなければ、拡声装置は何も拡声しないため、スイッチ制御が不要となり、システムの大幅な簡素化が可能となる。
【0017】
また、本発明では、送信機を各窓口係員の腰の前面に装着し、受光器又は受信機を天板の裏面に固定することにより、窓口係員が窓口で立っている時でも、座っている時でも、その送信機が、当該窓口の受光器又は受信機の受信エリア内に収まることとなる。このため、本発明のシステムによれば、窓口係員は、窓口における姿勢を大きく制限されず、自由な姿勢で窓口業務を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例の複数窓口システムの概略を示す正面図である。
【図2】実施例の複数窓口システムの概略を示す平面図である。
【図3】実施例の複数窓口システムのシステム構成を示すブロック図である。
【図4】接客用カウンタSを係員側から見た斜視図である。
【図5】受光器5の内部構造を示す接客用カウンタSの拡大縦断側面図である。
【図6】遮光性側板16の機能を示す説明図である。
【図7】天板15直下で接客用カウンタSを横断して受光器5の受信エリアUを示す説明図である。
【図8】接客用カウンタSの縦断して受光器5の受信エリアUを示す説明図であり、(a)は窓口係員Bが立位にある状態を示し、(b)は窓口係員Bが座位にある状態を示す。
【図9】実施例の複数窓口システムの機能を示す説明図である。
【図10】変形例の複数窓口システムのシステム構成を示すブロック図である。
【図11】変形例の受信機20の横断面図である。
【図12】変形例の複数窓口システムの概略を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態を、以下の実施例に従って説明する。
【0020】
本実施例の複数窓口システムは、図1,2に示すように、接客用カウンタSを具備する3つの窓口A1〜A3を横並びに配設してなるものである。各窓口A1〜Aは、窓口係員B1〜B3が、接客用カウンタSを介して客C1〜C3と対面して接客できるよう構成されている。
【0021】
各窓口係員B1〜B3は、夫々マイク装置を身に着けている。このマイク装置は、図1,2に示すように、装着者の声を電気信号に変換するヘッドセット型のマイク本体2と、該マイク本体2の電気信号を赤外線信号に変換し、内蔵する発光器から送信する送信機3とからなる。送信機3は、ベルトにクリップして腰の前面に装着するタイプのものであり、マイク本体2とは、図示しないリード線によって接続されている。
【0022】
各窓口A1〜A3には、夫々拡声装置が設置される。拡声装置は、図1,2に示すように、前記マイク装置が送信する赤外線信号を受信して電気信号に変換する受光器5と、該受光器5の電気信号を増幅し、音声に変換して出力する指向性の高いアンプ内蔵スピーカ6とからなる。各受光器5は、赤外線信号の受信エリアU1〜U3を、設置窓口A1〜A3の係員側に向けるようにして、接客用カウンタSに固定される。一方、指向性の高いアンプ内蔵スピーカ6は、客C1〜C3に向けて音声が出力されるようにして、各窓口A1〜A3の接客用カウンタSの上に設置される。同じ窓口A1〜A3の受光器5とアンプ内蔵スピーカ6は、図示しないリード線を介して接続される。
【0023】
図3は、本実施例の複数窓口システムの構成を示すブロック図である。上述のように、窓口係員B1〜B3は、夫々マイク装置を身に着けており、各窓口A1〜A3には、夫々拡声装置が設置される。ここで、各窓口係員B1〜B3のマイク装置と、各窓口A1〜A3の拡声装置は全て同一チャンネルを介して赤外線通信するよう設定される。すなわち、本システムでは、全ての窓口A1〜A3の拡声装置が、全ての窓口係員B1〜B3のマイク装置からの赤外線信号を受信できるよう設定される。
【0024】
接客用カウンタSは、図4に示すように、窓口A(A1〜A3)の両側に立設される遮光性側板16,16と、該遮光性側板16,16の上に架け渡される天板15とを備えてなる。天板15の裏側、両遮光性側板16の内側には、受光器5を収容する収容空間18が形成される。収容空間18の客側は、幕板17によって覆われており、収容空間18は、係員側にのみ開口19が形成される。天板15は、窓口係員B(B1〜B3)の胸下あたりに位置しており、収容空間18の開口19は、窓口係員Bの腰の高さに形成される。また、天板15の下方には、二枚の水平な仕切り板26,26が設けられており、これにより、収容空間18の下方に物入れ用の収納スペース27,27を形成している。
【0025】
以下に、受光器5について説明する。受光器5は、図5に示すように、立方体状の筐体10の内部に、受光素子7を内蔵してなるものである。受光素子7は、赤外線信号を電気信号に変換するものであり、赤外線感応タイプのフォトダイオードなどによって構成される。筐体10は光遮蔽性材料からなり、赤外線信号は、筐体10の一側面に形成された入射開口部11からのみ内部に入射できる。入射開口部11には、赤外線信号以外の不要な入射光をカットするフィルタ12が配設され、また、受光素子7とフィルタ12の間には、受光素子7の指向性を高めるための狭エリア型集光レンズ13が配設される。
【0026】
受光器5は、図4,5に示すように、入射開口部11を、係員側に向け、天板15の裏面に固着されることにより、接客用カウンタSの収容空間18に設置される。かかる構成にあっては、受光素子7に受信される赤外線信号は、収容空間18の係員側の開口19から入射し、受光器5の入射開口部11を通過しなくてはならない。ここで、遮光性側板16の内壁面は、赤外線を反射しない材質で構成されているため、遮光性側板16の内壁面に当たる赤外線信号は受光器5に到達しない。したがって、かかる構成によれば、図6に示すように、遮光性側板16の側縁により区画された平面視扇形状のエリアUから送信された赤外線信号のみが受光素子7で受信可能となり、受光器5の受信エリアは、かかる平面視扇形状のエリアUに制限される。
【0027】
そして、本実施例では、各受光器5の設置位置を適宜調整することで、各受光器5の受信エリアUが、設置窓口Aのみを含み、近接する設置窓口を含まないように設定し、図7に示すように、窓口Aにいる窓口係員Bの送信機3は、当該窓口Aの受光器5のみの受信エリアUに入り、当該窓口A1の受光器5へのみ送信可能となるよう構成している。
【0028】
なお、本実施例では、送信機3を各窓口係員の腰の前側に装着させるとともに、受光器5を天板15の裏面に固定して、窓口係員Bの腰の高さにくるように設置しているため、図8に示すように、窓口係員Bは、窓口Aと対向してさえいれば、立っていても、座っていても、受光器5の受信エリアUから送信機3が外れることがない。
【0029】
以上のように、本実施例の複数窓口システムにあっては、窓口係員B1〜B3が携帯するマイク装置と、窓口A1〜A3に設置する拡声装置とを無線接続しているため、マイク装置を窓口に固定する従来システムに比べて、マイク装置の設置スペースを別の用途に有効活用でき、また、窓口係員B1〜B3は、窓口に固定されたマイクに接近して喋らなくてもよくなるから、窓口業務を効率よく行うことができる。
【0030】
また、本実施例の複数窓口システムでは、マイク装置と拡声装置を全て同一チャンネルで通信するよう設定しているから、窓口係員B1〜B3がどの窓口A1〜A3にいる場合でも、当該窓口係員B1〜B3の声を、当該窓口A1〜A3の拡声装置によって拡声することができる。したがって、本実施例のシステムでは、図9に示すように、窓口係員B1〜B3が、窓口A1〜A3を区別することなく、状況に応じて柔軟に接客することが可能となる。また、窓口係員B1〜B3のマイク装置は同一設定であるから、勤務交替の際にもマイク装置を交換するだけで済み、担当窓口の確認やマイク装置の設定作業を行う必要がない。また、窓口係員B1〜B3を増員する場合でも、マイク装置の数を増やすだけで足り、余計な設定を行う必要がない。
【0031】
各窓口A1〜A3の拡声装置は、同一装置を同一設定で用いることができ、また、拡声装置を構成する受光器5とアンプ内蔵スピーカ6はいずれも接客用カウンタSに配設されるため、拡声装置を配設した接客用カウンタSを増設するだけで、設定変更や複雑な配線処理を行うことなく、窓口A1〜A3を簡単に増設できる。
【0032】
また、本実施例のシステムは、マイク装置と拡声装置を全て同一チャンネルで通信するよう設定しているため、窓口A1〜A3と窓口係員B1〜B3の数を独立して変更でき、自由度の高いシステムを構築できるという利点がある。すなわち、窓口A1〜A3の数を維持したまま窓口係員B1〜B3を増員したり、窓口係員B1〜B3を増やさずに窓口A1〜A3のみを増設したりすることを、何の障害もなく行うことができる。
【0033】
また、本実施例のシステムでは、各受光器5の受信エリアU1〜U3を設置窓口A1〜A3に制限し、隣接する窓口A1〜A3の受光器5の受信エリアU1〜U3が重ならないようにしているため、受光器5は、近隣窓口から送信される赤外線信号を受信せず、マイク装置と拡声装置間の無線通信を同一チャンネルで行っても、近隣窓口間で混信が生じるおそれがない。
【0034】
また、本実施例では、マイク装置の送信機3を各窓口係員B1〜B3の腰の前面に装着するとともに、受光器5を天板15裏面に固定し、腰の高さ位置に保持しているから、窓口係員B1〜B3は、窓口A1〜A3に対向する位置にさえいれば、立位であろうと、座位であろうと、その声を当該窓口A1〜A3の拡声装置で拡声させることができ、自由な姿勢で窓口業務を行うことができる。
【0035】
また、本実施例では、接客用カウンタSの遮光性側板16の遮光作用によって、受光器5の受信エリアU1〜U3を制限するようにしているが、かかる接客用カウンタSには、天板と側板を備える既存一般の接客用カウンタを利用できるため、別途、遮光部材を設けることなく、受光器5の受信エリアU1〜U3を制限できるという利点がある。
【0036】
また、本システムでは、マイク装置を常時送信状態にし、拡声装置を常時受信待ちの状態にしておいても、窓口係員B1〜B3が受信エリアU1〜U3(窓口A1〜A3)から外れている時は、拡声装置は何も拡声しないため、マイク装置や拡声装置のスイッチ制御が不要となり、システムの大幅な簡素化が可能となる。
【0037】
また、本実施例のシステムでは、拡声装置を各窓口A1〜A3の接客用カウンタSに設置し、マイク装置を各窓口係員B1〜B3が身に着ける構成であるため、拡声装置やマイク装置を天井や壁面に設置不要となる。このため、本システムは、天井が高く、壁まで遠い大型ホール内や、天井も壁もない屋外スペースにも設置でき、ドームや屋外のイベント会場におけるチケット売場などに用いることができる。
【0038】
次に、上記実施例の構成を一部変更した変形例について説明する。
変形例の複数窓口システムは、マイク装置と拡声装置の通信に電波通信を採用したものである。図10は、本変形例におけるシステム構成図である。本変形例のシステム構成は、上記実施例の構成(図3参照)から赤外線送受信に係る機器(送信機及び受光器)を、電波送受信する機器(送信機及び受信機)に替えたものであり、その他の構成は同じである。すなわち、マイク装置では、赤外線送信機に替えてUHF等の電波を送信する送信機が用いられる。一方、拡声装置には、受光器に替えて、電波を受信する受信機が用いられる。通信距離が短いため、送信機が送信する電波は微弱なものとすることが望ましい。そして、本変形例でも、3台のマイク装置と3台の拡声装置は、全て同一チャンネルで通信するよう設定される。
【0039】
図11は、受信機20の横断面図である。受信機20は、鉛等の電波遮蔽性材料で構成された電波遮蔽性筐体21を備えている。この電波遮蔽性筐体21には、マイク装置からの電波を受信するアンテナ22が収容される。電波遮蔽性筐体21の一側面には、開口部24が形成されており、該開口部24に電磁レンズ23が配設される。そして、かかる構成にあっては、電磁レンズ23が開口部24を通過する電波を絞り込むことによって、開口部24の正面方向から送信された電波のみを電波遮蔽性筐体21の内部に進入させ、アンテナ22で受信させる。すなわち、かかる受信機20は、図11に示すように、開口部24の正面領域を受信エリアUとするよう構成されている。そして、この受信機20は、図1に示した実施例の受光器5と同様に、設置窓口A1〜A3の係員側領域を受信エリアU1〜U3に含み、近隣窓口A1〜A3を受信エリア外とするように接客用カウンタSの収容空間18で、天板15の裏面に固定される。したがって、かかる変形例にあっても、上記実施例と同様に、無線通信による窓口業務の効率化、混信防止などの効果を得ることができる。また、かかる構成にあっては、別途搬送波を用い、送信機一台が接近した場合、送信機から基本搬送波選択信号を受け、送信機から当該搬送波信号に音声信号を変換し送出するようにしてもよい。かかる構成によれば、1:1の会話システムを構築可能となる。
【0040】
本発明における複数窓口システムは、上記実施例の形態に限らず本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、上記実施例では、赤外線通信を採用した複数窓口システムの例を示したが、本発明には、可視光通信を採用することもできる。また、実施例のシステムは、窓口係員B1〜B3の声のみを拡声し、客C1〜C3の声は拡声しないが、本発明のシステムにあって、客C1〜C3の声を拡声するように構成してもよい。客C1〜C3の声を拡声する場合には、例えば、有線式の指向性の高いマイクを、接客用カウンタSに顧客の口元に向けて設置すればよい。
【0041】
また、上記実施例では、複数の窓口A1〜A3が、一台ずつ接客用カウンタSを備える構成であったが、図10に示すように、複数の窓口A1〜A3で、一台の長尺な接客用カウンタS1を共有するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
2 マイク本体
3 送信機
5 受光器
6 アンプ内蔵スピーカ
7 受光素子
10 筐体
11 入射開口部
13 狭エリア型集光レンズ
15 天板
16 遮光性側板
18 収容空間
20 受信機
21 電波遮蔽性筐体
22 アンテナ
23 電磁レンズ
24 開口部
A,A1〜A3 窓口
B,B1〜B3 窓口係員
C1〜C3 客
S,S1 接客用カウンタ
U,U1〜U3 受信エリア
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接客用カウンタを具備する窓口を複数配設してなる複数窓口システムにおいて、
各窓口係員が腰の前側に夫々装着するものであって、装着した窓口係員の音声を光信号に変換して送信する複数のマイク装置と、
窓口毎に設置されるものであって、前記マイク装置が送信する光信号を受信して電気信号に変換する受光器と、該受光器の電気信号を音声に変換して出力するスピーカとを具備する拡声装置とを備えてなり、
各窓口係員が装着するマイク装置と、窓口毎に設置される拡声装置は、同一チャンネルの光信号を介して無線通信するよう設定されており、
前記接客用カウンタは、前記窓口の両側に立設される遮光性側板の上に天板を架設してなり、該天板の裏側、両側の遮光性側板の内側に、係員側に開放する収容空間が形成されたものであり、
前記受光器は、受光素子を備えてなり、前記接客用カウンタの前記収容空間で天板の裏面に固定されて、設置窓口の係員側領域を受信エリアとするとともに、前記遮光性側板に光の入射を制限されて、設置窓口の近隣窓口の係員側領域を受信エリアから除外していることを特徴とする複数窓口システム。
【請求項2】
前記受光器は、受光素子への入射光を集光する狭エリア型集光レンズを備えることを特徴とする請求項1記載の複数窓口システム。
【請求項3】
接客用カウンタを具備する窓口を複数配設してなる複数窓口システムにおいて、
各窓口係員が腰の前側に夫々装着するものであって、装着した窓口係員の音声を電波に変換して送信する複数のマイク装置と、
窓口毎に設置されるものであって、前記マイク装置が送信する電波を受信して電気信号に変換する受信機と、該受信機の電気信号を音声に変換して出力するスピーカとを具備する拡声装置とを備えてなり、
各窓口係員が装着するマイク装置と、窓口毎に設置される拡声装置は、同一チャンネルの電波を介して無線通信するよう設定されており、
前記接客用カウンタは、前記窓口の両側に立設される側板の上に天板を架設してなり、該天板の裏側に、係員側に開放する収容空間が形成されたものであり、
前記受信機は、アンテナと、該アンテナを収容する電波遮蔽性筐体と、該電波遮蔽性筐体に形成された開口部に配設されて、所定方向から入射する電波のみを電波遮蔽性筐体内に透過させる電磁レンズとを備えてなり、接客用カウンタの前記収容空間で天板の裏面に固定されて、前記電磁レンズの指向性によって、設置窓口の係員側領域を受信エリアとするとともに、設置窓口の近隣窓口の係員側領域を受信エリアから除外するよう構成されていることを特徴とする複数窓口システム。
【請求項1】
接客用カウンタを具備する窓口を複数配設してなる複数窓口システムにおいて、
各窓口係員が腰の前側に夫々装着するものであって、装着した窓口係員の音声を光信号に変換して送信する複数のマイク装置と、
窓口毎に設置されるものであって、前記マイク装置が送信する光信号を受信して電気信号に変換する受光器と、該受光器の電気信号を音声に変換して出力するスピーカとを具備する拡声装置とを備えてなり、
各窓口係員が装着するマイク装置と、窓口毎に設置される拡声装置は、同一チャンネルの光信号を介して無線通信するよう設定されており、
前記接客用カウンタは、前記窓口の両側に立設される遮光性側板の上に天板を架設してなり、該天板の裏側、両側の遮光性側板の内側に、係員側に開放する収容空間が形成されたものであり、
前記受光器は、受光素子を備えてなり、前記接客用カウンタの前記収容空間で天板の裏面に固定されて、設置窓口の係員側領域を受信エリアとするとともに、前記遮光性側板に光の入射を制限されて、設置窓口の近隣窓口の係員側領域を受信エリアから除外していることを特徴とする複数窓口システム。
【請求項2】
前記受光器は、受光素子への入射光を集光する狭エリア型集光レンズを備えることを特徴とする請求項1記載の複数窓口システム。
【請求項3】
接客用カウンタを具備する窓口を複数配設してなる複数窓口システムにおいて、
各窓口係員が腰の前側に夫々装着するものであって、装着した窓口係員の音声を電波に変換して送信する複数のマイク装置と、
窓口毎に設置されるものであって、前記マイク装置が送信する電波を受信して電気信号に変換する受信機と、該受信機の電気信号を音声に変換して出力するスピーカとを具備する拡声装置とを備えてなり、
各窓口係員が装着するマイク装置と、窓口毎に設置される拡声装置は、同一チャンネルの電波を介して無線通信するよう設定されており、
前記接客用カウンタは、前記窓口の両側に立設される側板の上に天板を架設してなり、該天板の裏側に、係員側に開放する収容空間が形成されたものであり、
前記受信機は、アンテナと、該アンテナを収容する電波遮蔽性筐体と、該電波遮蔽性筐体に形成された開口部に配設されて、所定方向から入射する電波のみを電波遮蔽性筐体内に透過させる電磁レンズとを備えてなり、接客用カウンタの前記収容空間で天板の裏面に固定されて、前記電磁レンズの指向性によって、設置窓口の係員側領域を受信エリアとするとともに、設置窓口の近隣窓口の係員側領域を受信エリアから除外するよう構成されていることを特徴とする複数窓口システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−248798(P2011−248798A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123826(P2010−123826)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(510150891)
【出願人】(510150905)
【出願人】(510150916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(510150891)
【出願人】(510150905)
【出願人】(510150916)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]