説明

要求獲得支援装置、要求獲得支援方法、およびプログラム

【課題】各種システムやソフトウェアに対する顧客からの要求をより確実に獲得することができる要求獲得支援装置を提供する。
【解決手段】要求獲得支援装置として、ヒアリング案件に関する要求関連文書データを入力する情報登録手段と、要求関連文書データ文章中の多義的に捉えられ得る曖昧ポイントを抽出し、抽出した個々の曖昧ポイントについて曖昧性の特徴に基づく曖昧性の種類を示す曖昧性分類を決定する要求関連文章分析手段と、要求関連文書データの曖昧性をヒアリング実施者の立場から定量化して要件把握性として定義する要件把握性評価手段と、要求関連文書データにおける個々の曖昧ポイントについて、曖昧性分類と要件把握性に基づき分析して、質問に適したヒアリング時に提供するヒアリングアドバイスを候補から選択するヒアリングアドバイス分析手段と、選択されたヒアリングアドバイスを表示するヒアリングアドバイス表示手段とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は要求獲得支援装置に関し、特に、顧客からの提案依頼書(Request for Proposal)等の要求に関連する文章データを分析して曖昧なポイントを抽出すると共に、その曖昧について明確にするためのヒアリングを的確に行うためのアドバイスを提供する要求獲得支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
システムやソフトウェアを構築する上で、顧客からの提案依頼書の内容を的確に分析して、提案書あるいは要件定義書(仕様書)に反映させることは、手戻りを削減するための有効な手段と言える。例えば、特許文献1に記載されている開示技術では、顧客からの要求をより確実に獲得するために、入力された文章を順次 形態素解析および構文解析を行って単語の組合を登録し、先にでていない新たな単語の組合せがあればその単語の組合せを表示するようにしている。新たな単語の組み合わせを提示することにより、顧客自身が気付いていない考えを見出すことが可能となるということである。
【0003】
また、類似の開示技術が特許文献2に記載されている。この開示技術では、入力された文章を解析し、切り出された動詞の語句に対応する詳細パターンを表示している。動詞の詳細パターンが表示されることで、要求を客観的に確認でき、誤解をなくすことが可能となる。また、詳細パターンが登録されていない場合は、その旨を表示することで、その動詞に関しては、これ以上詳細に検討する必要が無いということが判断でき、結果としてヒアリングの効率を向上することが出来る。
【0004】
また、関連する技術としては、特許文献3に情報処理装置を用いて自然言語解析に関する技術が開示されている。この開示技術では、入力された要求定義に関する文章に形態素解析を行って切り出された文言を、語句解析を行って5W1Hに振り分けて予め有する十分性を担保する辞書と突合せ、その不足等を指摘する表示をおこなっている。また、語句解析を行った文章に意味解析を行うことも記載されている。
【0005】
なお、日本語の曖昧性に関する解説として、非特許文献1がある。この文献は曖昧文を次のようにまとめている。まず、表現手段から見ると、音声での曖昧文、表記での曖昧文、音声と表記での曖昧文に分類できる。また、曖昧さの原因から見ると、語彙論的な曖昧文、文法論的な曖昧文、意味論的な曖昧文、語用論的な曖昧文に分類できる。さらに、人間が曖昧文を解釈するときには、文中の文法論的な知識や意味論的な知識、一般論的な知識、あるいは、前後の文脈や発話の状況に関する知識を使っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平06−067861号公報
【特許文献2】特開平06−067862号公報
【特許文献3】特開2008−250760号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】野口尚史 著、「日本語のあいまい文」、日本ファジィ学会誌、Vol.14、No.1、pp.7−14(2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
システムやソフトウェアの開発ベンダーが要件定義を明確にするために行なっている要求獲得ヒアリングについて、提案依頼書等に基づく曖昧な箇所を顧客に質問を行なって明確にする必要がある。
【0009】
しかしながら、上記特許文献1および2に記載された技術によって要求獲得ヒアリングを行った場合には、その要求獲得ヒアリング時に多くの労力を必要とする問題点がある。
【0010】
より具体的に問題点を例示すれば、第一の課題は、顧客自身の作業の負荷が大きく現実的でないということである。その理由は、本来、顧客への確認作業は、質問者の文書の理解状況に基づき最小限に絞る必要があるが、入力された文章には存在しない「単語の組合せ」を提示するというアプローチは探索的なため、膨大な組み合わせが発生し、顧客が確認すべき作業が増えるためである。
【0011】
また、別の課題としては、顧客が気付いていない考えを想起するまでの思考プロセスが顧客任せであるということである。その理由は、意味的な必然性のない機械的に生成された各単語の組合せについて、顧客に具体的な想像を掻き立てさせるには、質問者が質問時に何らかの情報の限定や付加を行うといった工夫が必要であるが、それらに関する言及がないためである。
【0012】
本発明の目的は、システムやソフトウェアのベンダーが要件定義のために顧客に対して実施する要求獲得ヒアリングを効率的に行うための要求獲得支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る要求獲得支援装置は、ヒアリング案件に関する要求関連文書データを少なくとも入力する情報登録手段と、前記要求関連文書データに含まれる要求関連文章中の多義的に捉えられ得る曖昧ポイントを抽出し、抽出した個々の曖昧ポイントについて曖昧性の特徴に基づく曖昧性の種類を示す曖昧性分類を決定する要求関連文章分析手段と、前記要求関連文書データの曖昧性をヒアリング実施者の立場から定量化して要件把握性として定義する要件把握性評価手段と、入力された前記要求関連文書データにおける個々の曖昧ポイントについて、前記曖昧性分類と前記要件把握性に基づき分析して、質問に適したヒアリング時に提供するヒアリングアドバイスを候補から選択するヒアリングアドバイス分析手段と、前記個々の曖昧ポイントに対して選択された前記ヒアリングアドバイスを表示するヒアリングアドバイス表示手段と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、システムやソフトウェアのベンダーが要件定義のために顧客に対して実施する要求獲得ヒアリングを効率的に行うための要求獲得支援装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態にかかる要求獲得支援装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】ヒアリングアドバイスの選択方法を示す模式図である。
【図3】別の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図4】更に別の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図5】実施形態の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の実施形態について図面を参照して具体的に詳細に説明する。
図1を参照すると、要求獲得支援装置1は、少なくとも、情報登録部10と、要求関連文章分析部11と、要件把握性評価部12と、ヒアリングアドバイス分析部13と、ヒアリングアドバイス表示部14と、を具備する。要求獲得支援装置1は、情報処理装置の制御部によって構築され、制御部は上記各部を各手段として動作させる。
要求獲得支援装置1は、質問者の要求に関連する文書(文章データ)の理解状況に基づき、要求獲得ヒアリング時に 提案依頼書等の曖昧な箇所で顧客に質問を行なえばよい箇所と質問へのアドバイスを質問者に提示可能とする。また顧客に対して文書の曖昧な点についての示唆も行え得る。
【0017】
本実施形態における情報登録部10には、ヒアリング案件に関する要求関連文書データが登録される。ここで要求関連文書とは、ヒアリング案件に関する自然言語で記載された種々の文書類を示し、具体的には、顧客から提出される提案依頼書(RFP)やベンダーが顧客に提出する提案書や要件定義書(仕様書)等を示す。すなわち、情報登録部10では、それらの文書の少なくとも一部を登録するものであるが、一度に全文を登録することもできる。なお、この情報登録部10には、要求関連文書の他にヒアリング実施者情報を登録することができる。このヒアリング実施者情報とは、ヒアリングを実際に行う質問者の能力などに関する情報であり、例えば、ヒアリング案件に関する業務知識レベルや、同様の案件の経験回数、経験年数などがこれに該当する。このヒアリング実施者の能力の評価は、自身を評価、すなわち自己申告という方法でも良く、あるいは、他者が評価するという方法、またその組合せでも構わない。なお、このヒアリング実施者情報は必須というものではなく、不明確な場合などは省略して、要求関連文書だけを登録すれば良い。
【0018】
要求関連文章分析部11は、自然言語で記載された要求関連文書中の文もしくは語彙について形態素解析、構文解析、意味解析、曖昧語の検索などを適用し、一つの語彙や文が二種類以上の意味や解釈を持つこと、すなわち多義的に捉えることが可能な箇所を曖昧ポイントとして抽出する。さらに、要求関連文章分析部11は、抽出された個々の曖昧ポイントに対して、曖昧性の特徴に基づく分類を行って曖昧性分類を定める。ここで扱われる文は、短文でも重文でも複文でも構わない。また、文中には主語と述語があることが好ましいが、主語が省略されていても構わない。語彙とは、単語であっても良いし、句であっても良い。曖昧性の特徴としては、想定可能な解釈の候補の数などの量的特徴に加え、構文解析によって導かれる係り受け等が複数存在する構造的な曖昧性や、曖昧語の検索によって導かれる語彙的な曖昧性といった文法的特徴などを用いることができる。すなわち、分析対象の表記での曖昧性を、語彙的な曖昧性、文法的な曖昧性、意味的な曖昧性、語用的な曖昧性など、必要に応じた曖昧性の特徴に基づく曖昧性の種類に分類する。このとき、例えば構造的な曖昧性と文法的特徴を纏めて扱うような 必要に応じた分類数の調整を行なってもよい。
【0019】
曖昧性の種類について例示して説明すれば、語彙的な曖昧性の代表的な例として、「短時間に」という語彙がある。この語彙は人によって受け取られ方が明らかに違うものであり、RFPなどに記載されている場合は、正確に定義して顧客とベンダー間で合意しておかないと、ソフト作成やシステム構築の再設計、すなわち、手戻りとなる可能性が高くなることが容易に予想できる。なお、この語彙的な曖昧性の中には、同音異義語も、二つ以上の意味や解釈となるために含まれる。一方、構造的な曖昧性とは、文章中の語彙の繋がり方が二つ以上存在し、その構造により意味や解釈が異なってくる場合を示す。最も単純な例は、形容詞/名詞/名詞と順番に繋がった文である。この場合、(形容詞/名詞)/名詞、形容詞/(名詞/名詞)という二通りの解釈ができる。
【0020】
分類の基準は、解釈の候補の数に関する任意の閾値を用意して 量的特徴によって分類しても良いし、文法的特徴における構造的な曖昧性と語彙的な曖昧性という分類をそのまま利用しても良い。曖昧性分類は、曖昧性の特徴が量的特徴に基づく場合は、解釈の候補の数などが閾値より高い曖昧ポイントは高曖昧性群に、閾値より低い曖昧ポイントは低曖昧性群に分類される。また、曖昧性の特徴が文法的特徴に基づく場合は、語彙的な曖昧性に分類される曖昧ポイントは解釈の選択肢が連続で無限値になりやすいため高曖昧性群に、構造的な曖昧性に分類される曖昧ポイントは解釈の選択肢が不連続な有限値になりやすいため低曖昧性群に分類される。なお、分類は、必ずしも2段階である必要はなく、所望の多段階に分類するようにしてもよい。
【0021】
要件把握性評価部12は、ヒアリング案件の所定部分又は全体に関して、基礎的な要求関連文書からのヒアリング実施者側の立場から見た要件の把握しやすさを定量化して所望の多段階に分類し、要件把握性分類を決定する。具体的には、対象としている要求関連文書中の曖昧性をヒアリング実施者側で払拭できるかどうかの可能性であり、その可能性に関連するものであれば、その定量化方法や分類基準は特に限定されるものではなく、任意の定量化方法や指標が選択できる。
【0022】
例えば、全体が分かりやすく全体像がつかめている要求関連文書と、文書が全体的に分かり難く全体像が分からない要求関連文書では、特定の曖昧ポイントに関する推定のし易さが大きく異なり、要件の把握性が大きく異なる。この様な視点が重視される場合は、要求関連文章分析部11で抽出された要求関連文章全体の曖昧性が要件把握性の指標となる。要求関連文章全体の曖昧性は、要求関連文書における全曖昧ポイントの数を、文字数、形態素数、単語数あるいは文の数で割った曖昧ポイント出現頻度などで定量化される。なお、曖昧ポイント出現頻度の算出に当たっては、要求関連文書における各曖昧ポイントの文法的特徴に注目し、例えば、構造的な曖昧性は1点、語彙的な曖昧性は2点というような重み付けを与えても良い。また、要求関連文章全体に対する曖昧ポイントの出現位置に注目し、例えば、要求関連文書の冒頭周囲や要望欄にある曖昧ポイントについて重要視するというような、出現位置に対して加減点を行なっても良い。また、要求関連文章全体に対する曖昧ポイントの集中度に注目し、例えば、一つの章や段落、文中に所定値以上の曖昧ポイントが集中した場合に、その曖昧ポイントに対して加減点を行なっても良い。また、曖昧ポイントとする語彙の重要度に注目し、例えば、語彙が手戻りやコストに対してインパクトが大きい重要な単語である場合に、その語彙の曖昧ポイントに対して加点もしくは別のフラグ与えても良い。
【0023】
また、ヒアリング実施者情報として業務知識のレベルや経験回数、経験年数、被験者との面会回数や時間などが登録されている場合は、これらを要件把握性の指標として利用してもよい。
【0024】
さらに、実際に曖昧な文書を利用したテストをヒアリング実施者に受験させ、受験結果を要件把握性の指標として利用してもよい。テストとしては、例えば、過去の要求関連文書などを利用し、曖昧ポイントの解釈の候補を提示することでヒアリング実施者に選択させ、過去の選択実績として最も選択される率の高いかった候補を正解解釈として、ヒアリング実施者が選択した候補と正解解釈との一致率を評価する等の方法で行うことができる。
【0025】
定量化に用いる分類処理は、要件把握性の指標に対して任意の閾値を用いれば良く、要件把握性の指標が定量化した要求関連文章の所定部分もしくは全体の曖昧性に基づく場合、例えば、閾値より低い側に分類された場合は高要件把握性群、閾値より高い側に分類された場合は低要件把握性群と分類する。同様に業務知識のレベルや経験回数、経験年数、テストの結果などで定量化された場合、閾値より高い側に分類された場合は高要件把握性群、閾値より低い側に分類された場合は低要件把握性群と分類する。
【0026】
ヒアリングアドバイス分析部13は、要求関連文章分析部11にて抽出された曖昧ポイント毎に、曖昧性分類と、要件把握性評価部12にて決定された要件把握性分類とからヒアリングアドバイスを選択する。選択対象となるヒアリングアドバイスは、分類の組み合わせ毎に合致する内容のテキストや図などを予め準備して記憶しておく。ここで、分類の組み合わせ毎に合致する内容とは、その抽出した曖昧ポイントの曖昧性について質問者がどのように聞けば 是正できる可能性を効率的に高い頻度とできるかを、質問者の要件把握性と曖昧ポイントの曖昧性との組み合わせ毎に示せるようにすれば良い。
【0027】
図2は、その選択方法の一例を示している。縦軸を曖昧ポイントの曖昧性群、横軸を要件把握性群として4つの象限が作成されている。
【0028】
ヒアリングアドバイスは、具体的には特定の曖昧ポイントの曖昧性分類が高曖昧性群であり、要件把握性分類が高要件把握性群である場合は、解釈の選択肢が多いが妥当な解釈の推測がつく可能性の高い曖昧ポイントとなるため、最も可能性の高い解釈パターンを想定し、その解釈パターンの是非を問うクローズド型の質問を行うように提案するヒアリングアドバイスが選択される(図2右上 第1象限)。
【0029】
特定の曖昧ポイントの曖昧性分類が高曖昧性群であり、要件把握性分類が低要件把握性群である場合は、解釈の選択肢が多いにもかかわらず妥当な解釈の推測がつく可能性も低い曖昧ポイントとなるため、最も可能性の低そうな解釈パターンを想定し、そのような解釈パターンもありうることを顧客に提示しながら、何がどうなるべきなのかを改めて説明し直してもらうオープン型の質問を行うように提案するヒアリングアドバイスが選択される(図2左上 第2象限)。
【0030】
特定の曖昧ポイントの曖昧性分類が低曖昧性群であり、要件把握性分類が高要件把握性群である場合は、解釈の選択肢が少なく妥当な解釈の推測がつく可能性も高い曖昧ポイントとなるため、最も可能性の高い解釈パターンを想定し、不安が有る場合や曖昧ポイントが重要な単語などで重要性がある場合に解釈パターンの是非を問うクローズド型の質問を行うように提案するヒアリングアドバイスが選択される(図2右下 第4象限)。
【0031】
特定の曖昧ポイントの曖昧性分類が低曖昧性群であり、要件把握性分類が低要件把握性群である場合は、解釈の選択肢は少ないが妥当な解釈の推測がつく可能性が低い曖昧ポイントとなるため、考えられ得る可能性が高い方から多くの解釈パターン、可能であれば全ての解釈パターンを提示し、どの解釈が妥当かを選択させる限定的なオープン型の質問を行うように提案するヒアリングアドバイスが選択される(図2左下 第3象限)。
【0032】
ここで、解釈パターンの可能性は、ヒアリング実施者が推定しても良いが、過去の解釈候補の選択実績等を保存した解釈実績データベースを用意し、解釈実績データベースに基づきベイズ推計などによって解釈パターンの選択確率を解釈パターンの可能性として機械的に算出し、各ヒアリングアドバイスに資する解釈パターンを候補のなかから抽出し、ヒアリングアドバイスと共にヒアリング実施者に提示するようにしても良い。
【0033】
ヒアリングアドバイス表示部14は、ヒアリングアドバイス分析部13にて決定された各曖昧な文あるいは語彙に対するヒアリングアドバイスを表示するものである。この時、ヒアリングアドバイスを選択した理由を明示化して、ヒアリング実施者に対する説得力を持たせることが好ましい。表示の仕方としては、曖昧な文や語彙とヒアリングアドバイスと、並置しても良いし、曖昧な文あるいは語彙をクリックするとヒアリングアドバイスが明示化されるような表示方法でも良い。ヒアリング実施者に提示するそのヒアリングアドバイスを選択した理由の内容としては、要求関連文章分析部11や要件把握性評価部12にて分析評価された結果がある。例えば、要求関連文章分析部11で検出された曖昧性の特徴や曖昧ポイント、あるいは、要件把握性評価部12で評価された要件把握性分類結果であり、各結果を単独で明示化しても良いし、組合せても構わない。
【0034】
なお、図3に示すように、要求獲得支援装置1には、日本語曖昧性データベース15を具備することができる。この日本語曖昧性データベース15は、過去の要求関連文書についての既存文献や辞書で曖昧であると判断されている各種の曖昧文あるいは曖昧語彙を具備するものであり、このデータベースに格納された情報を参照し、要求関連文章分析部11は、要求関連文書中の文もしくは語彙の曖昧性を評価する。曖昧な語彙としては、形容詞(例えば、速いシステム)、形容詞的名詞(例えば、高速システム)、カタカナ英語(例えば、ストレスなく動くシステム)、否定語(例えば、〜でないシステム)等があるが、これに限定されるものではなく、一つの語彙が二種類以上の意味や解釈を持つことが可能な場合であれば、このデータベースに格納することができる。一方、曖昧な文章としては、係り関係に問題を有するものが主な曖昧ポイントとなるが、それに限定されるものではなく、不確定性(例えば、今後の法律の改正にあわせてシステムは改善される)というようなものも広義で曖昧性と捉えることができる。
【0035】
さらに、図4に示すように、要求獲得支援装置1には、更に要件把握性評価データベース16を具備しても構わない。このデータベースは、要件把握性評価を決定するためのアンケート調査票や能力テストを保管するものである。このような調査票やテストを活用することにより、ヒアリング実施者の要件把握性を数値化することが可能となる。なお、この場合、実際に情報登録部10にて登録された要求関連文書を活用することもできる。
【0036】
次に、図5のフローチャートを参照して実施形態の一動作について説明する。
最初に、要求獲得支援装置1に対して、自然言語で記載された要求関連文書が情報登録部10を介して入力される(図5のステップS1)。
次に、要求関連文章分析部11は、その要求関連文書中の文あるいは語彙の曖昧性を分析し曖昧ポイントを抽出する(ステップS2)。次に、抽出された曖昧ポイントを曖昧性の特徴に基づき分類し、曖昧性分類を決定する(ステップS3)。
次に、要件把握性評価部12は、分析された部分もしくは全体の要求関連文書からヒアリング実施者の立場からの要件の把握し易さを定量化して分類し要件把握性分類を決定する(ステップS4)。
次に、ヒアリングアドバイス分析部13は、曖昧性分類と要件把握性分類とから、ヒアリングアドバイスを選択決定する(ステップS5)。
最後に、ヒアリングアドバイス表示部は、表示すべき曖昧ポイントと共にヒアリングアドバイスを表示する(ステップS6)。
【0037】
このように実施形態にかかる要求獲得支援装置1は、情報登録部10に入力された要求関連文書の曖昧性を分析し、その結果からヒアリングアドバイスを提示するためのヒアリングポイントを表示するよう動作させることが可能である。
【0038】
また、要求獲得支援装置1は、要求関連文章中で検出した曖昧ポイントと、ヒアリング実施者の要件把握性に基づき、各曖昧ポイントに関するヒアリングアドバイスを提示することが可能である。
【実施例】
【0039】
次に、要求獲得支援装置1の全体の動作について具体的な例を用いて説明する。なお、以下の動作例に限定されるものではない。
【0040】
(実施例1)
本実施例では、情報登録部10より要求関連文書のみを登録した例を示す。
また、要求関連文章全体の曖昧性を示す要件把握性を(曖昧な文の数+曖昧な語彙の数)÷(全体の文の数)と定義し、これが、0.10未満の場合を高要件把握性群、0.10以上の場合を低要件把握性群と定義した。
さらに、曖昧性群の分類するための曖昧性分類指標としては、語彙的な曖昧性を2、構造的な曖昧性を1とし、さらにこの値に、各曖昧性の選択肢数を掛けたものとして、その値が5以上の場合を高曖昧性群に、5未満の場合を低曖昧性群に分類するように定義した。
情報登録部10に登録した要求関連文書は150の文から構成されており、この文書を要求関連文章分析部11にて形態素解析、構文解析、曖昧語の検索などを適用し、一つの語彙や文が二種類以上の意味や解釈を持つことが可能な箇所を曖昧ポイントとして抽出した。その結果、曖昧な文が5個、曖昧な語彙が15個という分析結果が得られたとする。要件把握性評価部12により、前述の定義から、この要求関連文書の要件把握性は、約0.13となり、低要件把握性群となる。
また、抽出された合計20個の曖昧ポイントを定義した曖昧性分類指標に従って分類した結果、低曖昧性群に9個、高曖昧性群に11個が該当する。
本実施例のヒアリングアドバイス分析部13では、図2で示されたヒアリングアドバイスと同一の4象限のアドバイスを利用した。上述の要件把握性群の結果と、曖昧性群の結果から、抽出した20個の曖昧ポイントのうち、第2象限のアドバイスに該当する曖昧ポイントが11個、第3象限のアドバイスに該当に曖昧ポイントは9個という結果が得られ、ヒアリングアドバイス表示部14にて、各曖昧ポイントへのヒアリングアドバイスが提示できる。
【0041】
(実施例2)
本実施例では、情報登録部10より要求関連文書とヒアリング実施者情報とを登録した例を示す。
ヒアリング実施者情報としては、「初心者」と「ベテラン」という選択肢を設定し、初心者を0.5、ベテランを1として、要求関連文章全体の曖昧性を示す要件把握性を(ヒアリング実施者情報)×(曖昧な文の数+曖昧な語彙の数)÷(全体の文章の数)と定義し、これが、0.10未満の場合を高要件把握性群、0.10以上の場合を低要件把握性群と定義した。
さらに、曖昧性群の分類するための曖昧性分類指標としては、語彙的な曖昧性を2、構造的な曖昧性を1とし、さらにこの値に、各曖昧性の選択肢数を掛けたものとして、その値が5以上の場合を高曖昧性群に、5未満の場合を低曖昧性群に分類するように定義した。
情報登録部10には、200の文から構成される要求関連文書を入力し、ヒアリング実施者情報としてベテランを入力する。この文書を要求関連文章分析部11にて形態素解析、構文解析、曖昧語の検索などを適用し、一つの語彙や文が二種類以上の意味や解釈を持つことが可能な箇所を曖昧ポイントとして抽出する。その結果、曖昧な文が10個、曖昧な語彙が15個という分析結果が得られたとする。要件把握性評価部12により、前述の定義から、この要求関連文書の要件把握性は、約0.06となり、高要件把握性群となる。
また、抽出された合計25個の曖昧ポイントを定義した曖昧性分類指標に従って分類した結果、低曖昧性群に12、高曖昧性群に13個が該当する。
次に図2を用いたヒアリングアドバイス分析部13では、要件把握性群の結果と、曖昧性群の結果から、抽出した25個の曖昧ポイントのうち、第1象限のアドバイスに該当する曖昧ポイントが13個、第4象限のアドバイスに該当に曖昧ポイントは12個という結果が得られ、ヒアリングアドバイス表示部14にて、各曖昧ポイントへのヒアリングアドバイスが提示できる。
【0042】
以上説明したように、本発明によれば、各種システムやソフトウェアのベンダーが要件定義のために顧客に対して実施する要求獲得ヒアリングを効率的に行うための要求獲得支援装置を提供できる。
すなわち、本発明によれば、質問者に、要求に関する文書から各曖昧ポイントの特徴とヒアリング実施者のスキルに対応したヒアリングアドバイスが要求獲得支援装置から提供されることとなり、ヒアリングの効率を向上させることが可能となる。
【0043】
尚、本発明の具体的な構成は前述の実施の形態および実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の変更が有っても構わない。
例えば、1台又は複数台のコンピュータのCPUを要求獲得支援装置として動作させるプログラムや、当該プログラムが記録された記録媒体も本発明に含まれる。上記プログラムは、メモリ上に展開され、情報登録部、要求関連文章分析部、要件把握性評価部、ヒアリングアドバイス分析部、ヒアリングアドバイス表示部などの全て又は一部としてCPUを動作させ、キーボードなどの入力部を介して入力された要求関連文書データと必要な各種データベースとから、ヒアリングポイントとそのポイントに対するアドバイスを質問者にモニタなどの出力部から認知可能に提示する。
【0044】
また、上記プログラムは、記憶媒体に記録されて頒布されても良い。当該記録媒体に記録されたプログラムは、有線、無線、又は記録媒体そのものを介して、情報処理装置のRAMに読込まれ、制御部等を動作させる。尚、記録媒体を例示すれば、オプティカルディスクや磁気ディスク、半導体メモリ装置、ハードディスクなどが挙げられる。
【0045】
上記実施の形態を別の表現で説明すれば、要求獲得支援システムとして動作させる情報処理装置を、RAMに展開された要求獲得支援用プログラムに従い、情報登録手段、要求関連文章分析手段、要件把握性評価手段、ヒアリングアドバイス分析手段、ヒアリングアドバイス表示手段として制御部を動作させることで実現することが可能である。
【0046】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載されうる。尚、以下の付記は本発明をなんら限定するものではない。
[付記1]
ヒアリング案件に関する要求関連文書データを少なくとも入力する情報登録手段と、
前記要求関連文書データに含まれる要求関連文章中の多義的に捉えられ得る曖昧ポイントを抽出し、抽出した個々の曖昧ポイントについて曖昧性の特徴に基づく曖昧性の種類を示す曖昧性分類を決定する要求関連文章分析手段と、
前記要求関連文書データの曖昧性をヒアリング実施者の立場から定量化して要件把握性として定義する要件把握性評価手段と、
入力された前記要求関連文書データにおける個々の曖昧ポイントについて、前記曖昧性分類と前記要件把握性に基づき分析して、質問に適したヒアリング時に提供するヒアリングアドバイスを候補から選択するヒアリングアドバイス分析手段と、
前記個々の曖昧ポイントに対して選択された前記ヒアリングアドバイスを表示するヒアリングアドバイス表示手段と、
を具備することを特徴とする要求獲得支援装置。
【0047】
[付記2]
前記情報登録手段に前記要求関連文書データと共にヒアリング実施者情報が入力された場合、前記要件把握性評価手段は、入力された前記要求関連文書データと前記ヒアリング実施者情報とから要件把握性を定義することを特徴とする上記付記記載の要求獲得支援装置。
【0048】
[付記3]
前記要求関連文章分析手段は、曖昧性の特徴として、語彙的な曖昧性、文法的な曖昧性、意味的な曖昧性、語用的な曖昧性の何れか又はその組み合わせを用いて曖昧性の種類を分類して曖昧性分類を決定することを特徴とする上記付記記載の要求獲得支援装置。
【0049】
[付記4]
前記要求関連文章分析手段は、抽出した個々の曖昧ポイントについて曖昧性分類として、曖昧性の特徴と曖昧な内容に基づいて多段階に分類することを特徴とする上記付記記載の要求獲得支援装置。
【0050】
[付記5]
前記要件把握性評価手段は、定量化する要求関連文章について、前記要求関連文章分析手段が抽出した要求関連文章中の曖昧ポイントと当該曖昧ポイントの曖昧性分類を対として基準に用いて要件把握性を算定することを特徴とする上記付記記載の要求獲得支援装置。
【0051】
[付記6]
前記要件把握性評価手段は、前記曖昧ポイントと対として用いられる該曖昧ポイントの曖昧性分類について、曖昧性の特徴毎の重み付けを行い、要件把握性の算定を行ない多段階に分類することを特徴とする上記付記記載の要求獲得支援装置。
【0052】
[付記7]
前記要件把握性評価手段は、前記曖昧ポイントと対として用いられる該曖昧ポイントの曖昧性分類について、要求関連文章全体に対する曖昧ポイントの出現位置毎の重み付けを行い、要件把握性の算定を行ない多段階に分類することを特徴とする上記付記記載の要求獲得支援装置。
【0053】
[付記8]
前記要件把握性評価手段は、前記曖昧ポイントと対として用いられる該曖昧ポイントの曖昧性分類について、要求関連文章全体に対する曖昧ポイントの集中度毎の重み付けを行い、要件把握性の算定を行ない多段階に分類することを特徴とする上記付記記載の要求獲得支援装置。
【0054】
[付記9]
前記要件把握性評価手段は、前記曖昧ポイントと対として用いられる該曖昧ポイントの曖昧性分類について、語彙の重要度毎の重み付けを行い、要件把握性の算定を行ない多段階に分類することを特徴とする上記付記記載の要求獲得支援装置。
【0055】
[付記10]
前記要件把握性評価手段は、前記曖昧ポイントと対として用いられる該曖昧ポイントの曖昧性分類について、上記付記に記載された各重み付けを組み合わせて用いて、要件把握性の算定を行ない多段階に分類することを特徴とする上記付記記載の要求獲得支援装置。
【0056】
[付記11]
日本語曖昧性データベースを更に具備し、
前記要求関連文章分析手段は、前記日本語曖昧性データベースを参照して要求関連文章中の文もしくは語彙の曖昧性を評価する
することを特徴とする上記付記記載の要求獲得支援装置。
【0057】
[付記12]
要件把握性評価データベースを更に具備し、
前記要件把握性評価手段は、前記要件把握性評価データベースに記録された情報を参照して、ヒアリング実施者の要件把握性を定量化する
することを特徴とする上記付記記載の要求獲得支援装置。
【0058】
[付記13]
ヒアリング案件に関する要求関連文書データを少なくとも入力し、
前記要求関連文書データに含まれる要求関連文章中の多義的に捉えられ得る曖昧ポイントを抽出し、
抽出した個々の曖昧ポイントについて曖昧性の特徴に基づく曖昧性の種類を示す曖昧性分類を決定し、
前記要求関連文書データの曖昧性をヒアリング実施者の立場から定量化して要件把握性として定義し、
入力された前記要求関連文書データにおける個々の曖昧ポイントについて、前記曖昧性分類と前記要件把握性に基づき分析して、質問に適したヒアリング時に提供するヒアリングアドバイスを候補から選択し、
前記個々の曖昧ポイントに対して選択された前記ヒアリングアドバイスを 前記要件把握性を定量化したヒアリング実施者に提示する
ことを特徴とする要求獲得支援方法。
【0059】
[付記14]
前記要求関連文書データと共にヒアリング実施者情報を入力し、
入力された前記要求関連文書データと前記ヒアリング実施者情報とから要件把握性を定義する
ことを特徴とする上記付記記載の要求獲得支援方法。
【0060】
[付記15]
要求関連文章の分析は、曖昧性の特徴として、語彙的な曖昧性、文法的な曖昧性、意味的な曖昧性、語用的な曖昧性の何れか又はその組み合わせを用いて曖昧性の種類を分類して曖昧性分類を決定する
ことを特徴とする上記付記記載の要求獲得支援方法。
【0061】
[付記16]
要求関連文章の分析は、抽出した個々の曖昧ポイントについて曖昧性分類として、曖昧性の特徴と曖昧な内容に基づいて多段階に分類する
ことを特徴とする上記付記記載の要求獲得支援方法。
【0062】
[付記17]
要件把握性の定義は、定量化する要求関連文章について 抽出した要求関連文章中の曖昧ポイントと当該曖昧ポイントの曖昧性分類を対として基準に用いて要件把握性を算定する
ことを特徴とする上記付記記載の要求獲得支援方法。
【0063】
[付記18]
要件把握性評の定義は、前記曖昧ポイントと対として用いられる該曖昧ポイントの曖昧性分類について、曖昧性の特徴毎の重み付け、要求関連文章全体に対する曖昧ポイントの出現位置毎の重み付け、要求関連文章全体に対する曖昧ポイントの集中度毎の重み付け、語彙の重要度毎の重み付けの何れか又は組み合わせを行い、要件把握性の算定を行ない多段階に分類する
ことを特徴とする上記付記記載の要求獲得支援方法。
【0064】
[付記19]
要求関連文章の分析は、日本語曖昧性データベースを参照して要求関連文章中の文もしくは語彙の曖昧性を評価する
することを特徴とする上記付記記載の要求獲得支援方法。
【0065】
[付記20]
要件把握性の定義は、要件把握性評価データベースに記録された情報を参照して、ヒアリング実施者の要件把握性を定量化する
することを特徴とする上記付記記載の要求獲得支援方法。
【0066】
[付記21]
情報処理装置の制御部を、
ヒアリング案件に関する要求関連文書データを少なくとも入力する情報登録手段と、
前記要求関連文書データに含まれる要求関連文章中の多義的に捉えられ得る曖昧ポイントを抽出し、抽出した個々の曖昧ポイントについて曖昧性の特徴に基づく曖昧性の種類を示す曖昧性分類を決定する要求関連文章分析手段と、
前記要求関連文書データの曖昧性をヒアリング実施者の立場から定量化して要件把握性として定義する要件把握性評価手段と、
入力された前記要求関連文書データにおける個々の曖昧ポイントについて、前記曖昧性分類と前記要件把握性に基づき分析して、質問に適したヒアリング時に提供するヒアリングアドバイスを候補から選択するヒアリングアドバイス分析手段と、
前記個々の曖昧ポイントに対して選択された前記ヒアリングアドバイスを表示するヒアリングアドバイス表示手段と、
として機能させることを特徴とする要求獲得支援用プログラム。
【0067】
[付記22]
前記要件把握性評価手段は、前記情報登録手段に前記要求関連文書データと共にヒアリング実施者情報が入力された場合、入力された前記要求関連文書データと前記ヒアリング実施者情報とから要件把握性を定義することを特徴とする上記付記記載の要求獲得支援用プログラム。
【0068】
[付記23]
前記要求関連文章分析手段は、曖昧性の特徴として、語彙的な曖昧性、文法的な曖昧性、意味的な曖昧性、語用的な曖昧性の何れか又はその組み合わせを用いて曖昧性の種類を分類して曖昧性分類を決定することを特徴とする上記付記記載の要求獲得支援用プログラム。
【0069】
[付記24]
前記要求関連文章分析手段は、抽出した個々の曖昧ポイントについて曖昧性分類として、曖昧性の特徴と曖昧な内容に基づいて多段階に分類することを特徴とする上記付記記載の要求獲得支援用プログラム。
【0070】
[付記25]
前記要件把握性評価手段は、定量化する要求関連文章について、前記要求関連文章分析手段が抽出した要求関連文章中の曖昧ポイントと当該曖昧ポイントの曖昧性分類を対として基準に用いて要件把握性を算定することを特徴とする上記付記記載の要求獲得支援用プログラム。
【0071】
[付記26]
前記要件把握性評価手段は、前記曖昧ポイントと対として用いられる該曖昧ポイントの曖昧性分類について、曖昧性の特徴毎の重み付け、要求関連文章全体に対する曖昧ポイントの出現位置毎の重み付け、要求関連文章全体に対する曖昧ポイントの集中度毎の重み付け、語彙の重要度毎の重み付けの何れか又は組み合わせを行い、要件把握性の算定を行ない多段階に分類することを特徴とする上記付記記載の要求獲得支援用プログラム。
【0072】
[付記27]
前記要求関連文章分析手段は、予め準備された日本語曖昧性データベースを参照して要求関連文章中の文もしくは語彙の曖昧性を評価する
することを特徴とする上記付記記載の要求獲得支援用プログラム。
【0073】
[付記28]
前記要件把握性評価手段は、予め準備された要件把握性評価データベースに記録された情報を参照して、ヒアリング実施者の要件把握性を定量化する
することを特徴とする上記付記記載の要求獲得支援用プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、システムやソフトウェアを構築する際の要件定義ヒアリングをサポートする用途に使用できる。
【符号の説明】
【0075】
1 要求獲得支援装置(要求獲得支援システム)
10 情報登録部(情報登録手段)
11 要求関連文章分析部(要求関連文章分析手段)
12 要件把握性評価部(要件把握性評価手段)
13 ヒアリングアドバイス分析部(ヒアリングアドバイス分析手段)
14 ヒアリングアドバイス表示部(ヒアリングアドバイス表示手段)
15 日本語曖昧性データベース
16 要件把握性評価データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒアリング案件に関する要求関連文書データを少なくとも入力する情報登録手段と、
前記要求関連文書データに含まれる要求関連文章中の多義的に捉えられ得る曖昧ポイントを抽出し、抽出した個々の曖昧ポイントについて曖昧性の特徴に基づく曖昧性の種類を示す曖昧性分類を決定する要求関連文章分析手段と、
前記要求関連文書データの曖昧性をヒアリング実施者の立場から定量化して要件把握性として定義する要件把握性評価手段と、
入力された前記要求関連文書データにおける個々の曖昧ポイントについて、前記曖昧性分類と前記要件把握性に基づき分析して、質問に適したヒアリング時に提供するヒアリングアドバイスを候補から選択するヒアリングアドバイス分析手段と、
前記個々の曖昧ポイントに対して選択された前記ヒアリングアドバイスを表示するヒアリングアドバイス表示手段と、
を具備することを特徴とする要求獲得支援装置。
【請求項2】
前記情報登録手段に前記要求関連文書データと共にヒアリング実施者情報が入力された場合、前記要件把握性評価手段は、入力された前記要求関連文書データと前記ヒアリング実施者情報とから要件把握性を定義することを特徴とする請求項1記載の要求獲得支援装置。
【請求項3】
前記要求関連文章分析手段は、曖昧性の特徴として、語彙的な曖昧性、文法的な曖昧性、意味的な曖昧性、語用的な曖昧性の何れか又はその組み合わせを用いて曖昧性の種類を分類して曖昧性分類を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の要求獲得支援装置。
【請求項4】
前記要求関連文章分析手段は、抽出した個々の曖昧ポイントについて曖昧性分類として、曖昧性の特徴と曖昧な内容に基づいて多段階に分類することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の要求獲得支援装置。
【請求項5】
前記要件把握性評価手段は、定量化する要求関連文章について、前記要求関連文章分析手段が抽出した要求関連文章中の曖昧ポイントと当該曖昧ポイントの曖昧性分類を対として基準に用いて要件把握性を算定することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の要求獲得支援装置。
【請求項6】
前記要件把握性評価手段は、前記曖昧ポイントと対として用いられる該曖昧ポイントの曖昧性分類について、曖昧性の特徴毎の重み付け、要求関連文章全体に対する曖昧ポイントの出現位置毎の重み付け、要求関連文章全体に対する曖昧ポイントの集中度毎の重み付け、語彙の重要度毎の重み付けの何れか又は組み合わせを行い、要件把握性の算定を行ない多段階に分類することを特徴とする請求項5記載の要求獲得支援装置。
【請求項7】
日本語曖昧性データベースを更に具備し、
前記要求関連文章分析手段は、前記日本語曖昧性データベースを参照して要求関連文章中の文もしくは語彙の曖昧性を評価する
することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の要求獲得支援装置。
【請求項8】
要件把握性評価データベースを更に具備し、
前記要件把握性評価手段は、前記要件把握性評価データベースに記録された情報を参照して、ヒアリング実施者の要件把握性を定量化する
することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の要求獲得支援装置。
【請求項9】
ヒアリング案件に関する要求関連文書データを少なくとも入力し、
前記要求関連文書データに含まれる要求関連文章中の多義的に捉えられ得る曖昧ポイントを抽出し、
抽出した個々の曖昧ポイントについて曖昧性の特徴に基づく曖昧性の種類を示す曖昧性分類を決定し、
前記要求関連文書データの曖昧性をヒアリング実施者の立場から定量化して要件把握性として定義し、
入力された前記要求関連文書データにおける個々の曖昧ポイントについて、前記曖昧性分類と前記要件把握性に基づき分析して、質問に適したヒアリング時に提供するヒアリングアドバイスを候補から選択し、
前記個々の曖昧ポイントに対して選択された前記ヒアリングアドバイスを 前記要件把握性を定量化したヒアリング実施者に提示する
ことを特徴とする要求獲得支援方法。
【請求項10】
情報処理装置の制御部を、
ヒアリング案件に関する要求関連文書データを少なくとも入力する情報登録手段と、
前記要求関連文書データに含まれる要求関連文章中の多義的に捉えられ得る曖昧ポイントを抽出し、抽出した個々の曖昧ポイントについて曖昧性の特徴に基づく曖昧性の種類を示す曖昧性分類を決定する要求関連文章分析手段と、
前記要求関連文書データの曖昧性をヒアリング実施者の立場から定量化して要件把握性として定義する要件把握性評価手段と、
入力された前記要求関連文書データにおける個々の曖昧ポイントについて、前記曖昧性分類と前記要件把握性に基づき分析して、質問に適したヒアリング時に提供するヒアリングアドバイスを候補から選択するヒアリングアドバイス分析手段と、
前記個々の曖昧ポイントに対して選択された前記ヒアリングアドバイスを表示するヒアリングアドバイス表示手段と、
として機能させることを特徴とする要求獲得支援用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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