覆蓋
【課題】長尺になっても軽量で強度的に優れ、かつ、特殊な車輌を用意することなく搬送が可能な覆蓋を提供することを目的としている。
【解決手段】天板を構成する天板形成部と、前記天板形成部の両側の縁部を下方から支持する2つの側枠形成部とを有する複数の分割体が、側枠形成部の端面同士を対面させた状態で現場施工可能な固定手段によって連結されて形成される覆蓋であって、前記側枠形成部が、板材をトラス構造に組み立てて形成されていて、前記固定手段が、板状部を備える下端固定部材を有し、この下端固定部材の板状部が連結される2つの分割体の側枠形成部の下端部に跨って添設され、ボルト・ナットまたは接着剤で側枠形成部の下端部に固定されることを特徴としている。
【解決手段】天板を構成する天板形成部と、前記天板形成部の両側の縁部を下方から支持する2つの側枠形成部とを有する複数の分割体が、側枠形成部の端面同士を対面させた状態で現場施工可能な固定手段によって連結されて形成される覆蓋であって、前記側枠形成部が、板材をトラス構造に組み立てて形成されていて、前記固定手段が、板状部を備える下端固定部材を有し、この下端固定部材の板状部が連結される2つの分割体の側枠形成部の下端部に跨って添設され、ボルト・ナットまたは接着剤で側枠形成部の下端部に固定されることを特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、用水路や水処理施設の水槽等の開口部上面を覆うために用いられる覆蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、用水路や水処理施設の水槽等の開口部上面を覆うために用いられる覆蓋として、
図9及び図10に示す覆蓋100が提案されている(特許文献1参照)。
すなわち、この覆蓋100は、覆蓋100の長手方向の中央部で2つの分割体110に分割されていて、両分割体110がその分割面同士をつき合わせるとともに、側壁形成部111の両側に側壁形成部111と略同じ高さ寸法をした固定板120を両分割体110の側壁形成部111間に跨るように添設し、ボルト121とナット122で固定板120を介して両分割体110を一体化するようになっている。
【0003】
したがって、この覆蓋100によれば、分割体110を分離した状態で設置現場に搬送し、設置現場で組み立てるようにすれば、長手寸法が平均的なトラックの荷台の長さより長い覆蓋においても工場から現地への輸送に特別車輌が不要となるため、特別車輌を用いる場合に比べ、輸送段取りが簡易となるとともに、輸送費も低減できる。
【0004】
しかしながら、上記覆蓋100は、側壁形成部111が均一な幅の板材から形成され、2つの分割体110の側壁形成部111によって形成される側枠が側面視山形を形成しているため、天板部112に雪などが積もり上方から荷重が掛かった場合、両端支点部の受け枠に積載荷重による水平反力が発生する。
したがって、10mを超えるロングスパンでは、この水平反力が大きな力となり、強度的に問題がでるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の発明者らは、アーチ状をした天板210を下方から支持する側枠220がトラス構造になった図11に示すような覆蓋200(特許文献2参照)を上記のような分割構造とすれば、上記問題が解決できると考えた。
しかしながら、上記覆蓋200の場合、中央付近の側枠220の高さ寸法が上記覆蓋100に比べ長いため、上記覆蓋100と同様な固定板120のみを用いた固定構造では、固定板120の高さ寸法も長いものにしなければならない。しかも、天板210上に雪などが積もった場合においては、側枠220の下端部(下弦)の側枠形成部と側枠形成部との接合部分に、接合が離れる方向に大きな引張荷重がかかるため、しっかりとした接合状態を保つためには、固定板を大きなものにする必要があり、覆蓋200の重量が重くなるとともに、製造コストが嵩むという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−24340号公報
【特許文献2】特開2002−88803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みて、長尺になっても軽量で強度的に優れ、かつ、特殊な車輌を用意することなく搬送が可能な覆蓋を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明にかかる覆蓋は、天板を構成する天板形成部と、前記天板形成部の両側の縁部を下方から支持する2つの側枠形成部とを有する複数の分割体が、側枠形成部の端面同士を対面させた状態で現場施工可能な固定手段によって連結されて形成される覆蓋であって、前記側枠形成部が、板材をトラス構造に組み立てて形成されていて、前記固定手段が、板状部を備える下端固定部材を有し、この下端固定部材の板状部が連結される2つの分割体の側枠形成部の下端部に跨って添設され、ボルト・ナットまたは接着剤で側枠形成部の下端部に固定されることを特徴としている。
【0009】
本発明において、トラス構造とは、直線状の水平に配置される下弦部材と、この下弦部材の上に配置される直線状あるいは曲線状をした上弦部材と、下端が下弦部材に固定され、上端が上限部材に固定される縦桟部材と、複数の縦桟部材間に跨り斜めに配置される筋交いとから構成されたものをいう。
【0010】
本発明の覆蓋において、天板の形状は特に限定されないが、例えば、側面視山形またはアーチ形が挙げられる。
【0011】
また、本発明の覆蓋は、特に限定されないが、繊維強化熱硬化性樹脂発泡体でほぼ形成されていることが好ましい。
すなわち、繊維強化熱硬化性樹脂発泡体は、紫外線劣化を受けず、耐久性、加工性が向上すると共に軽量化を実現できる。
【0012】
また、上記繊維強化熱硬化性樹脂発泡体としては、長手方向に配向させて埋設した長繊維で補強した樹脂(これを「合成木材」という)により形成することができ、より好ましくはガラス長繊維を長手方向に引き揃えて埋設した熱硬化性樹脂発泡体により形成することができる。また、上記合成木材単体からなる板材によって覆蓋を構成してもよいが、合成木材や樹脂発泡体などからなる板材を上下に積層してなる複合材により覆蓋を形成することもできる。なお、合成木材の密度は、一般的には500〜1000kg/m3 (0.5〜1.0g/cm3)であり、補強材である長繊維の含有量は40〜60重量%程度のものとすることができる。
【0013】
上記繊維強化熱硬化性樹脂発泡体を構成する樹脂の種類としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂であって硬質のものが好適に使用され、ウレタン樹脂がより好ましい。
【0014】
また、上記繊維強化熱硬化性樹脂発泡体を構成する繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維などの無機質繊維、天然繊維、合成樹脂などの有機質繊維のいずれであっても良いが、強度や経済性の面からガラス繊維が適している。ガラス繊維としては、ガラスロービング、ガラスロービングクロス、ガラスマット、コンティニュアスストランドマットなどの形態のものが挙げられる。この繊維は、単独で使用しても良いし、二層以上積層して使用しても良く、また、長繊維と短繊維を混ぜて使用しても良い。なお、ガラス長繊維を長手方向に引き揃えて補強繊維としたガラス長繊維強化硬質ウレタン発泡体(例えば、積水化学工業株式会社製 商品名「エスロンネオランバーFFU」など)を採用するのが、軽量化、耐久性および加工性の確保のために最も好ましい。
なお、圧縮強度の向上や低コスト化を図るために、上記繊維強化熱硬化性樹脂発泡体中に炭酸カルシウム、石膏、タルク、水酸化アルミニウム、クレーなどの無機充填材や、シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーンなどの軽量骨材を添加しても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる覆蓋は、以上のように、天板を構成する天板形成部と、前記天板形成部の両側の縁部を下方から支持する2つの側枠形成部とを有する複数の分割体が、側枠形成部の端面同士を対面させた状態で現場施工可能な固定手段によって連結されて形成される覆蓋であって、前記側枠形成部が、板材をトラス構造に組み立てて形成されていて、前記固定手段が、板状部を備える下端固定部材を有し、この下端固定部材の板状部が連結される2つの分割体の側枠形成部の下端部に跨って添設され、ボルト・ナットまたは接着剤で側枠形成部の下端部に固定されるようになっている。
したがって、分割体を分離させて短尺な状態にすることができるため、搬送時に分割体を分離させておけば、特殊車輌を用いなくとも搬送できる。
【0016】
また、側枠形成部が、下端固定部材の板状部が連結される2つの分割体の側枠形成部の下端部に跨って添設され、ボルト・ナットまたは接着剤で側枠形成部の下端部に固定されるようになっていて、この下端固定部材が側枠形成部と側枠形成部との接合下端部が離れる方向にかかる大きな引張荷重を支持するので、大きな固定板が不要となり、覆蓋全体の軽量化を図ると共に、製造コストの低減を図ることができる。
しかも、側枠形成部がトラス構造となっているので、軽量でも強度的に優れたものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明にかかる覆蓋の1つの実施の形態をあらわす斜視図である。
【図2】図1の覆蓋の設置状態をあらわす断面図である。
【図3】図1の覆蓋の分割体を分離した状態の断面図である。
【図4】図1の覆蓋を分割体の分割面部分で切断した断面図である。
【図5】図1の覆蓋の吊り下げ金具部分を説明する断面図である。
【図6】図1の覆蓋の吊り下げ金具部分の底面図である。
【図7】図1の覆蓋の施工状態を分割体の分割面部分で切断した断面図である。
【図8】図7のY部拡大断面図である。
【図9】従来の覆蓋の1例をあらわす斜視図である。
【図10】図9の覆蓋の分割体を分離した状態の斜視図である。
【図11】従来の覆蓋の他例をあらわす斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1〜図4は、本発明にかかる覆蓋の1つの実施の形態をあらわしている。
【0019】
図1〜図3に示すように、この覆蓋1は、2つの分割体2,2を後述する下端固定部材7を含む固定手段を用いて連結固定することによって形成されている。
すなわち、2つの分割体2は、対称形状になっていて、それぞれ天板形成部3と、対称形状をした2つの側枠形成部4とを備えている。
【0020】
側枠形成部4は、下弦部材(下桟)41と、上弦部材(上桟)42と、複数の縦桟部材43と、複数の筋交い44と、4枚のコーナー部材45とから形成されている。
上記下弦部材41は、例えば、ガラス長繊維強化硬質ウレタン発泡体(例えば、積水化学工業株式会社製 商品名「エスロンネオランバーFFU」、以下「FFU」とのみ記す)の厚み15mmの板材からなる水平部41aと、この水平部41aとともに断面Lの字形を形成するように配置され、その下端面が水平部41aに接着固定された垂直部41bとを備えている。
垂直部41bは、後述する上弦部材42の傾斜上方側に等ピッチで4つのボルト挿通孔41cを備えている。
【0021】
上弦部材42は、下弦部材41の水平部41aおよび垂直部41bと同様の厚みのFFUの板材からなり、下弦部材41の垂直部41bの同一平面内で垂直部41bの上端面に対し傾斜して配置されている。傾斜角度は、特に限定されないが、例えば、10度程度である。
【0022】
上弦部材42は、その傾斜上部にボルト挿通孔42aが穿設されている。
縦桟部材43は、下弦部材41の長手方向に所定ピッチ、例えば、500mmピッチで配置され、下端が水平部41aに受けられた状態で垂直部41bの一方の面に接着固定され、上端が上弦部材42の一方の面に接着固定されている。
【0023】
筋交い44は、下弦部材41と同様の厚みのFFUの板材からなり、上端が縦桟部材43の上端部あるいは上弦部材42の縦桟部材43近傍に接着固定され、下端が1つまたは2つの縦桟部材43を間に隔てて異なる縦桟部材43の下端部あるいは下弦部材41の縦桟部材43近傍に接着固定されているとともに、交差する縦桟部材43とも接着固定されている。
コーナー部材45は、下弦部材41と同様の厚みのFFUの台形をした板材からなり、上弦部材42の傾斜下方側で上弦部材42と下弦部材41とを2枚のコーナー部材45によって挟み込むように配置され、それぞれ上弦部材42と下弦部材41とに接着固定されている。
【0024】
そして、対称形状をした2つの側枠形成部4は、縦桟部材43側が筋交い44側より外側に向くように所定間隔で平行に配置され、上弦部材42の傾斜下方側で、端面壁部材5を介して連結されている。
すなわち、端面壁部材5は、下弦部材41と同様の厚みのFFUの板材からなる長方形をしていて、長方形の短辺側の上端が上弦部材42の傾斜下方側の上端と一致し、短辺側の下端が下弦部材41の下端に一致した状態で側枠形成部4の端面に接着固定されている。
【0025】
また、上記のように平行に配置された2つの側枠形成部4は、図4に示すように、上弦部材42の傾斜上方側で、上弦部材42及び下弦部材41に直交するように下弦部材41と同様の厚みのFFUの板材からなる縦桟部材6aが接着固定され、この縦桟部材6aの上端、下端及び中間部が横桟部材6bの端部にボルト・ナットで固定されている。
さらに、2つの側枠形成部4は、対向して配置された各縦桟部材43の上端同士が下弦部材41と同様の厚みのFFUの板材からなる横桟部材6cを介して連結され、対向して配置された縦桟部材43の下端同士が1組おきに、横桟部材6cを介して連結されている。
すなわち、横桟部材6cは、縦桟部材43の一方の端面に一方の面が接着固定されている。
【0026】
天板形成部3は、下弦部材41と同様の厚みで、その幅が2つの側枠形成部4の外壁間の寸法より少し広く、長手寸法が、上弦部材42の長手寸法より少し長いFFUの板材が、その幅方向の両端が、2つの側枠形成部4より少し外側にはみ出し、長手方向の一端が上弦部材42の傾斜下端側で側枠形成部4から外側にはみ出し、長手方向の他端が、上弦部材42の傾斜下端側で側枠形成部4の端縁に略一致するように配置され、側枠形成部4及び横桟部材6cに接着固定されて形成されている。
【0027】
また、天板形成部3の、分割体2の重心位置には、図5及び図6に示すように、下面側に下弦部材41と同様の厚みのFFUの板材からなる補強板31を接着一体化されている。
そして、この補強板31によって補強された部分に1対の吊り下げ金具32が取り付けられている。
【0028】
吊り下げ金具32は、吊り下げ環を備えた金具本体32aと、固定板32bとを備えている。
固定板32bは、補強板31にビス32dで固定され、金具本体32aは、固定板32b側から固定板32b、補強板31及び天板形成部3を貫通して、ねじ部が天板形成部3の上方に露出したボルト32cにねじ固定されている。
【0029】
そして、覆蓋1は、上記2つの分割体2が、固定手段としての下端固定部材7及び上端固定部材8を用いて以下のようにして連結固定されて得られる。
すなわち、下端固定部材7は、下弦部材41の長手寸法より少し短い長手寸法を有し、板状部71と、位置決め突条部72とを備えている。
【0030】
また、下端固定部材7は、上記下弦部材41と同様の厚みのFFUの幅の広い板材の一方の面に、その長手縁に沿って上記下弦部材41と同様の厚みのFFUの幅の狭い板材を接着固定することによって得られる。
板状部71は、下弦部材41の垂直部41bに穿設されたボルト挿通孔41cと同じピッチで8つのボルト挿通孔71aが穿設されている。
【0031】
そして、この下端固定部材7は、2つの分割体2をその分割面である上弦部材42の傾斜上端側の端面を対面させて配置させた状態で、位置決め突条72の上面が、分割体2の下端である下弦部材41の水平部41aの下面に当接されるとともに、ボルト挿通孔71aが垂直部41bのボルト挿通孔41cに一致するように板状部71を垂直部41bの外側の面に両分割体2に跨るように当接される。その後、一致したボルト挿通孔71a及びボルト挿通孔41cに挿通したボルトSにナットNが螺合されて、下端固定部材7によって分割体2の下端側が連結固定される。
【0032】
上端固定部材8は、上弦部材42の傾斜角と2つの辺が同じ傾斜角を有する5角形をしていて、上記下弦部材41と同様の厚みのFFUの板材からなり、2つのボルト挿通孔81を備えている。
そして、この上端固定部材8は、2つの分割体2をその分割面である上弦部材42の傾斜上端側の端面を対面させて配置させた状態で、2つの分割体2の上弦部材42の外側から、両分割体2の上弦部材42に当接される。そして、この当接によって一致したボルト挿通孔42a及びボルト挿通孔81に挿通したボルトSにナットNが螺合されて、上端固定部材8によって分割体2の上端側が連結固定される。
【0033】
また、覆蓋1は、吊り下げ金具32にクレーン等の吊り下げフック(図示せず)を引っ掛けてクレーン等で吊り下げながら、図2に示すように、長手方向の一方の端部が用水路や水処理施設の水槽等の開口部Aの一方の縁部に受けられ、長手方向の他方の端部が開口部Aの他方の縁部に受けられるように配置し、アングル等のL字の金具9を介して縁部に固定される。図2中、91はアンカーボルトである。
さらに、覆蓋1は、図7に示すように、天板形成部3の幅方向の端面が他の覆蓋1の天板形成部3の幅方向の端面と略接するようにつぎつきに並べて設置されるとともに、図8に示すように、隣接する覆蓋1の天板形成部3間に跨るように、ゴムパッキン9cを介して連結板9bが天板形成部3と天板形成部3との隙間を上方から塞ぐように配置され、連結板9bをビスで天板形成部3に固定することによって、隙間が水密にシールされる。
また、最も端に配置される覆蓋1は、図7に示すように、側枠形成部4に覆板9aが固定されて側面が閉鎖状態にされるとともに、アングル等のL字の金具9を介して開口部Aの縁部にアンカーボルト91によって固定される。
【0034】
この覆蓋1は、上記のように、2つの分割体2からなり、この分割体2を下端固定部材7お呼び上部固定手段8を用いて現場施工によって固定することで組み立てて得られるようになっているので、幅の広い開口部に用いるロングスパンのものであっても特殊車輌を用意することなく搬送できる。
また、下端固定部材7の板状部71が連結される2つの分割体2の側枠形成部4の下端部に跨って添設され、ボルトS及びナットNで側枠形成部4の下端部に固定されるようになっているので、この下端固定部材7が側枠形成部4と側枠形成部4との接合下端部が離れる方向にかかる大きな引張荷重を支持する。したがって、大きな固定板が不要となり、すなわち、他の固定手段として小さな上端固定部材8のみを用意するだけでよくなり、覆蓋全体の軽量化を図ると共に、製造コストの低減を図ることができる。
しかも、下端固定部材7が位置決め突条部72を備え、位置決め突条72の上面が、分割体2の下端である下弦部材41の水平部41aの下面に当接されるので、2つの分割体2のレベル合わせが容易である。
【0035】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。例えば、上記の実施の形態では、天板が側面視山形をしていたが、図11の覆蓋200のようにアーチ形になっていても構わないし、片流れになっていても構わない。
また、上記の実施の形態では、2つの分割体を連結するようになっていたが、3つ以上の分割体を連結するようにしても構わない。
上記の実施の形態では、上端固定部材及び下端固定部材がボルト・ナットによって側枠形成部に固定されるようになっていたが、後に分解の必要がなければ、接着剤を用いるようにしても構わない。
【符号の説明】
【0036】
1 覆蓋
2 分割体
3 天板形成部
4 側枠形成部
41 下弦部材
42 上弦部材
43 縦桟部材
44 筋交い
45 コーナー部材
7 下端固定部材(固定手段)
71 板状部
8 上端固定部材(固定手段)
S ボルト
N ナット
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、用水路や水処理施設の水槽等の開口部上面を覆うために用いられる覆蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、用水路や水処理施設の水槽等の開口部上面を覆うために用いられる覆蓋として、
図9及び図10に示す覆蓋100が提案されている(特許文献1参照)。
すなわち、この覆蓋100は、覆蓋100の長手方向の中央部で2つの分割体110に分割されていて、両分割体110がその分割面同士をつき合わせるとともに、側壁形成部111の両側に側壁形成部111と略同じ高さ寸法をした固定板120を両分割体110の側壁形成部111間に跨るように添設し、ボルト121とナット122で固定板120を介して両分割体110を一体化するようになっている。
【0003】
したがって、この覆蓋100によれば、分割体110を分離した状態で設置現場に搬送し、設置現場で組み立てるようにすれば、長手寸法が平均的なトラックの荷台の長さより長い覆蓋においても工場から現地への輸送に特別車輌が不要となるため、特別車輌を用いる場合に比べ、輸送段取りが簡易となるとともに、輸送費も低減できる。
【0004】
しかしながら、上記覆蓋100は、側壁形成部111が均一な幅の板材から形成され、2つの分割体110の側壁形成部111によって形成される側枠が側面視山形を形成しているため、天板部112に雪などが積もり上方から荷重が掛かった場合、両端支点部の受け枠に積載荷重による水平反力が発生する。
したがって、10mを超えるロングスパンでは、この水平反力が大きな力となり、強度的に問題がでるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の発明者らは、アーチ状をした天板210を下方から支持する側枠220がトラス構造になった図11に示すような覆蓋200(特許文献2参照)を上記のような分割構造とすれば、上記問題が解決できると考えた。
しかしながら、上記覆蓋200の場合、中央付近の側枠220の高さ寸法が上記覆蓋100に比べ長いため、上記覆蓋100と同様な固定板120のみを用いた固定構造では、固定板120の高さ寸法も長いものにしなければならない。しかも、天板210上に雪などが積もった場合においては、側枠220の下端部(下弦)の側枠形成部と側枠形成部との接合部分に、接合が離れる方向に大きな引張荷重がかかるため、しっかりとした接合状態を保つためには、固定板を大きなものにする必要があり、覆蓋200の重量が重くなるとともに、製造コストが嵩むという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−24340号公報
【特許文献2】特開2002−88803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みて、長尺になっても軽量で強度的に優れ、かつ、特殊な車輌を用意することなく搬送が可能な覆蓋を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明にかかる覆蓋は、天板を構成する天板形成部と、前記天板形成部の両側の縁部を下方から支持する2つの側枠形成部とを有する複数の分割体が、側枠形成部の端面同士を対面させた状態で現場施工可能な固定手段によって連結されて形成される覆蓋であって、前記側枠形成部が、板材をトラス構造に組み立てて形成されていて、前記固定手段が、板状部を備える下端固定部材を有し、この下端固定部材の板状部が連結される2つの分割体の側枠形成部の下端部に跨って添設され、ボルト・ナットまたは接着剤で側枠形成部の下端部に固定されることを特徴としている。
【0009】
本発明において、トラス構造とは、直線状の水平に配置される下弦部材と、この下弦部材の上に配置される直線状あるいは曲線状をした上弦部材と、下端が下弦部材に固定され、上端が上限部材に固定される縦桟部材と、複数の縦桟部材間に跨り斜めに配置される筋交いとから構成されたものをいう。
【0010】
本発明の覆蓋において、天板の形状は特に限定されないが、例えば、側面視山形またはアーチ形が挙げられる。
【0011】
また、本発明の覆蓋は、特に限定されないが、繊維強化熱硬化性樹脂発泡体でほぼ形成されていることが好ましい。
すなわち、繊維強化熱硬化性樹脂発泡体は、紫外線劣化を受けず、耐久性、加工性が向上すると共に軽量化を実現できる。
【0012】
また、上記繊維強化熱硬化性樹脂発泡体としては、長手方向に配向させて埋設した長繊維で補強した樹脂(これを「合成木材」という)により形成することができ、より好ましくはガラス長繊維を長手方向に引き揃えて埋設した熱硬化性樹脂発泡体により形成することができる。また、上記合成木材単体からなる板材によって覆蓋を構成してもよいが、合成木材や樹脂発泡体などからなる板材を上下に積層してなる複合材により覆蓋を形成することもできる。なお、合成木材の密度は、一般的には500〜1000kg/m3 (0.5〜1.0g/cm3)であり、補強材である長繊維の含有量は40〜60重量%程度のものとすることができる。
【0013】
上記繊維強化熱硬化性樹脂発泡体を構成する樹脂の種類としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂であって硬質のものが好適に使用され、ウレタン樹脂がより好ましい。
【0014】
また、上記繊維強化熱硬化性樹脂発泡体を構成する繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維などの無機質繊維、天然繊維、合成樹脂などの有機質繊維のいずれであっても良いが、強度や経済性の面からガラス繊維が適している。ガラス繊維としては、ガラスロービング、ガラスロービングクロス、ガラスマット、コンティニュアスストランドマットなどの形態のものが挙げられる。この繊維は、単独で使用しても良いし、二層以上積層して使用しても良く、また、長繊維と短繊維を混ぜて使用しても良い。なお、ガラス長繊維を長手方向に引き揃えて補強繊維としたガラス長繊維強化硬質ウレタン発泡体(例えば、積水化学工業株式会社製 商品名「エスロンネオランバーFFU」など)を採用するのが、軽量化、耐久性および加工性の確保のために最も好ましい。
なお、圧縮強度の向上や低コスト化を図るために、上記繊維強化熱硬化性樹脂発泡体中に炭酸カルシウム、石膏、タルク、水酸化アルミニウム、クレーなどの無機充填材や、シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーンなどの軽量骨材を添加しても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる覆蓋は、以上のように、天板を構成する天板形成部と、前記天板形成部の両側の縁部を下方から支持する2つの側枠形成部とを有する複数の分割体が、側枠形成部の端面同士を対面させた状態で現場施工可能な固定手段によって連結されて形成される覆蓋であって、前記側枠形成部が、板材をトラス構造に組み立てて形成されていて、前記固定手段が、板状部を備える下端固定部材を有し、この下端固定部材の板状部が連結される2つの分割体の側枠形成部の下端部に跨って添設され、ボルト・ナットまたは接着剤で側枠形成部の下端部に固定されるようになっている。
したがって、分割体を分離させて短尺な状態にすることができるため、搬送時に分割体を分離させておけば、特殊車輌を用いなくとも搬送できる。
【0016】
また、側枠形成部が、下端固定部材の板状部が連結される2つの分割体の側枠形成部の下端部に跨って添設され、ボルト・ナットまたは接着剤で側枠形成部の下端部に固定されるようになっていて、この下端固定部材が側枠形成部と側枠形成部との接合下端部が離れる方向にかかる大きな引張荷重を支持するので、大きな固定板が不要となり、覆蓋全体の軽量化を図ると共に、製造コストの低減を図ることができる。
しかも、側枠形成部がトラス構造となっているので、軽量でも強度的に優れたものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明にかかる覆蓋の1つの実施の形態をあらわす斜視図である。
【図2】図1の覆蓋の設置状態をあらわす断面図である。
【図3】図1の覆蓋の分割体を分離した状態の断面図である。
【図4】図1の覆蓋を分割体の分割面部分で切断した断面図である。
【図5】図1の覆蓋の吊り下げ金具部分を説明する断面図である。
【図6】図1の覆蓋の吊り下げ金具部分の底面図である。
【図7】図1の覆蓋の施工状態を分割体の分割面部分で切断した断面図である。
【図8】図7のY部拡大断面図である。
【図9】従来の覆蓋の1例をあらわす斜視図である。
【図10】図9の覆蓋の分割体を分離した状態の斜視図である。
【図11】従来の覆蓋の他例をあらわす斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1〜図4は、本発明にかかる覆蓋の1つの実施の形態をあらわしている。
【0019】
図1〜図3に示すように、この覆蓋1は、2つの分割体2,2を後述する下端固定部材7を含む固定手段を用いて連結固定することによって形成されている。
すなわち、2つの分割体2は、対称形状になっていて、それぞれ天板形成部3と、対称形状をした2つの側枠形成部4とを備えている。
【0020】
側枠形成部4は、下弦部材(下桟)41と、上弦部材(上桟)42と、複数の縦桟部材43と、複数の筋交い44と、4枚のコーナー部材45とから形成されている。
上記下弦部材41は、例えば、ガラス長繊維強化硬質ウレタン発泡体(例えば、積水化学工業株式会社製 商品名「エスロンネオランバーFFU」、以下「FFU」とのみ記す)の厚み15mmの板材からなる水平部41aと、この水平部41aとともに断面Lの字形を形成するように配置され、その下端面が水平部41aに接着固定された垂直部41bとを備えている。
垂直部41bは、後述する上弦部材42の傾斜上方側に等ピッチで4つのボルト挿通孔41cを備えている。
【0021】
上弦部材42は、下弦部材41の水平部41aおよび垂直部41bと同様の厚みのFFUの板材からなり、下弦部材41の垂直部41bの同一平面内で垂直部41bの上端面に対し傾斜して配置されている。傾斜角度は、特に限定されないが、例えば、10度程度である。
【0022】
上弦部材42は、その傾斜上部にボルト挿通孔42aが穿設されている。
縦桟部材43は、下弦部材41の長手方向に所定ピッチ、例えば、500mmピッチで配置され、下端が水平部41aに受けられた状態で垂直部41bの一方の面に接着固定され、上端が上弦部材42の一方の面に接着固定されている。
【0023】
筋交い44は、下弦部材41と同様の厚みのFFUの板材からなり、上端が縦桟部材43の上端部あるいは上弦部材42の縦桟部材43近傍に接着固定され、下端が1つまたは2つの縦桟部材43を間に隔てて異なる縦桟部材43の下端部あるいは下弦部材41の縦桟部材43近傍に接着固定されているとともに、交差する縦桟部材43とも接着固定されている。
コーナー部材45は、下弦部材41と同様の厚みのFFUの台形をした板材からなり、上弦部材42の傾斜下方側で上弦部材42と下弦部材41とを2枚のコーナー部材45によって挟み込むように配置され、それぞれ上弦部材42と下弦部材41とに接着固定されている。
【0024】
そして、対称形状をした2つの側枠形成部4は、縦桟部材43側が筋交い44側より外側に向くように所定間隔で平行に配置され、上弦部材42の傾斜下方側で、端面壁部材5を介して連結されている。
すなわち、端面壁部材5は、下弦部材41と同様の厚みのFFUの板材からなる長方形をしていて、長方形の短辺側の上端が上弦部材42の傾斜下方側の上端と一致し、短辺側の下端が下弦部材41の下端に一致した状態で側枠形成部4の端面に接着固定されている。
【0025】
また、上記のように平行に配置された2つの側枠形成部4は、図4に示すように、上弦部材42の傾斜上方側で、上弦部材42及び下弦部材41に直交するように下弦部材41と同様の厚みのFFUの板材からなる縦桟部材6aが接着固定され、この縦桟部材6aの上端、下端及び中間部が横桟部材6bの端部にボルト・ナットで固定されている。
さらに、2つの側枠形成部4は、対向して配置された各縦桟部材43の上端同士が下弦部材41と同様の厚みのFFUの板材からなる横桟部材6cを介して連結され、対向して配置された縦桟部材43の下端同士が1組おきに、横桟部材6cを介して連結されている。
すなわち、横桟部材6cは、縦桟部材43の一方の端面に一方の面が接着固定されている。
【0026】
天板形成部3は、下弦部材41と同様の厚みで、その幅が2つの側枠形成部4の外壁間の寸法より少し広く、長手寸法が、上弦部材42の長手寸法より少し長いFFUの板材が、その幅方向の両端が、2つの側枠形成部4より少し外側にはみ出し、長手方向の一端が上弦部材42の傾斜下端側で側枠形成部4から外側にはみ出し、長手方向の他端が、上弦部材42の傾斜下端側で側枠形成部4の端縁に略一致するように配置され、側枠形成部4及び横桟部材6cに接着固定されて形成されている。
【0027】
また、天板形成部3の、分割体2の重心位置には、図5及び図6に示すように、下面側に下弦部材41と同様の厚みのFFUの板材からなる補強板31を接着一体化されている。
そして、この補強板31によって補強された部分に1対の吊り下げ金具32が取り付けられている。
【0028】
吊り下げ金具32は、吊り下げ環を備えた金具本体32aと、固定板32bとを備えている。
固定板32bは、補強板31にビス32dで固定され、金具本体32aは、固定板32b側から固定板32b、補強板31及び天板形成部3を貫通して、ねじ部が天板形成部3の上方に露出したボルト32cにねじ固定されている。
【0029】
そして、覆蓋1は、上記2つの分割体2が、固定手段としての下端固定部材7及び上端固定部材8を用いて以下のようにして連結固定されて得られる。
すなわち、下端固定部材7は、下弦部材41の長手寸法より少し短い長手寸法を有し、板状部71と、位置決め突条部72とを備えている。
【0030】
また、下端固定部材7は、上記下弦部材41と同様の厚みのFFUの幅の広い板材の一方の面に、その長手縁に沿って上記下弦部材41と同様の厚みのFFUの幅の狭い板材を接着固定することによって得られる。
板状部71は、下弦部材41の垂直部41bに穿設されたボルト挿通孔41cと同じピッチで8つのボルト挿通孔71aが穿設されている。
【0031】
そして、この下端固定部材7は、2つの分割体2をその分割面である上弦部材42の傾斜上端側の端面を対面させて配置させた状態で、位置決め突条72の上面が、分割体2の下端である下弦部材41の水平部41aの下面に当接されるとともに、ボルト挿通孔71aが垂直部41bのボルト挿通孔41cに一致するように板状部71を垂直部41bの外側の面に両分割体2に跨るように当接される。その後、一致したボルト挿通孔71a及びボルト挿通孔41cに挿通したボルトSにナットNが螺合されて、下端固定部材7によって分割体2の下端側が連結固定される。
【0032】
上端固定部材8は、上弦部材42の傾斜角と2つの辺が同じ傾斜角を有する5角形をしていて、上記下弦部材41と同様の厚みのFFUの板材からなり、2つのボルト挿通孔81を備えている。
そして、この上端固定部材8は、2つの分割体2をその分割面である上弦部材42の傾斜上端側の端面を対面させて配置させた状態で、2つの分割体2の上弦部材42の外側から、両分割体2の上弦部材42に当接される。そして、この当接によって一致したボルト挿通孔42a及びボルト挿通孔81に挿通したボルトSにナットNが螺合されて、上端固定部材8によって分割体2の上端側が連結固定される。
【0033】
また、覆蓋1は、吊り下げ金具32にクレーン等の吊り下げフック(図示せず)を引っ掛けてクレーン等で吊り下げながら、図2に示すように、長手方向の一方の端部が用水路や水処理施設の水槽等の開口部Aの一方の縁部に受けられ、長手方向の他方の端部が開口部Aの他方の縁部に受けられるように配置し、アングル等のL字の金具9を介して縁部に固定される。図2中、91はアンカーボルトである。
さらに、覆蓋1は、図7に示すように、天板形成部3の幅方向の端面が他の覆蓋1の天板形成部3の幅方向の端面と略接するようにつぎつきに並べて設置されるとともに、図8に示すように、隣接する覆蓋1の天板形成部3間に跨るように、ゴムパッキン9cを介して連結板9bが天板形成部3と天板形成部3との隙間を上方から塞ぐように配置され、連結板9bをビスで天板形成部3に固定することによって、隙間が水密にシールされる。
また、最も端に配置される覆蓋1は、図7に示すように、側枠形成部4に覆板9aが固定されて側面が閉鎖状態にされるとともに、アングル等のL字の金具9を介して開口部Aの縁部にアンカーボルト91によって固定される。
【0034】
この覆蓋1は、上記のように、2つの分割体2からなり、この分割体2を下端固定部材7お呼び上部固定手段8を用いて現場施工によって固定することで組み立てて得られるようになっているので、幅の広い開口部に用いるロングスパンのものであっても特殊車輌を用意することなく搬送できる。
また、下端固定部材7の板状部71が連結される2つの分割体2の側枠形成部4の下端部に跨って添設され、ボルトS及びナットNで側枠形成部4の下端部に固定されるようになっているので、この下端固定部材7が側枠形成部4と側枠形成部4との接合下端部が離れる方向にかかる大きな引張荷重を支持する。したがって、大きな固定板が不要となり、すなわち、他の固定手段として小さな上端固定部材8のみを用意するだけでよくなり、覆蓋全体の軽量化を図ると共に、製造コストの低減を図ることができる。
しかも、下端固定部材7が位置決め突条部72を備え、位置決め突条72の上面が、分割体2の下端である下弦部材41の水平部41aの下面に当接されるので、2つの分割体2のレベル合わせが容易である。
【0035】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。例えば、上記の実施の形態では、天板が側面視山形をしていたが、図11の覆蓋200のようにアーチ形になっていても構わないし、片流れになっていても構わない。
また、上記の実施の形態では、2つの分割体を連結するようになっていたが、3つ以上の分割体を連結するようにしても構わない。
上記の実施の形態では、上端固定部材及び下端固定部材がボルト・ナットによって側枠形成部に固定されるようになっていたが、後に分解の必要がなければ、接着剤を用いるようにしても構わない。
【符号の説明】
【0036】
1 覆蓋
2 分割体
3 天板形成部
4 側枠形成部
41 下弦部材
42 上弦部材
43 縦桟部材
44 筋交い
45 コーナー部材
7 下端固定部材(固定手段)
71 板状部
8 上端固定部材(固定手段)
S ボルト
N ナット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板を構成する天板形成部と、前記天板形成部の両側の縁部を下方から支持する2つの側枠形成部とを有する複数の分割体が、側枠形成部の端面同士を対面させた状態で現場施工可能な固定手段によって連結されて形成される覆蓋であって、
前記側枠形成部が、板材をトラス構造に組み立てて形成されていて、
前記固定手段が、板状部を備える下端固定部材を有し、
この下端固定部材の板状部が連結される2つの分割体の側枠形成部の下端部に跨って添設され、ボルト・ナットまたは接着剤で側枠形成部の下端部に固定されることを特徴とする覆蓋。
【請求項2】
天板が側面視山形またはアーチ状をしている請求項1に記載の覆蓋。
【請求項3】
繊維強化熱硬化性ウレタン樹脂発泡体でほぼ形成されている請求項1または請求項2に記載の覆蓋。
【請求項1】
天板を構成する天板形成部と、前記天板形成部の両側の縁部を下方から支持する2つの側枠形成部とを有する複数の分割体が、側枠形成部の端面同士を対面させた状態で現場施工可能な固定手段によって連結されて形成される覆蓋であって、
前記側枠形成部が、板材をトラス構造に組み立てて形成されていて、
前記固定手段が、板状部を備える下端固定部材を有し、
この下端固定部材の板状部が連結される2つの分割体の側枠形成部の下端部に跨って添設され、ボルト・ナットまたは接着剤で側枠形成部の下端部に固定されることを特徴とする覆蓋。
【請求項2】
天板が側面視山形またはアーチ状をしている請求項1に記載の覆蓋。
【請求項3】
繊維強化熱硬化性ウレタン樹脂発泡体でほぼ形成されている請求項1または請求項2に記載の覆蓋。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−25968(P2011−25968A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174411(P2009−174411)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
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