規格化建物
【課題】化粧目地の不揃いを解消し、外観意匠性に優れた建物を提供することを目的とする。
【解決手段】複数種の外壁パネル7,9,11,13,15,19によって形成された外壁5を備えた規格化建物1であって、構造柱3を割り付ける際に利用され、且つ外壁5を形成する際の基準となる通り芯Lから外壁面5aまでの出寸法が一定の値Dとなるように制定され、外壁パネル7,9,11,13,15,19の表面には、連設される他の外壁パネル7,9,11,13,15,19との間に生じる目地20に対応した化粧目地21が所定のピッチWで形成され、ピッチWは、出寸法Dの整数分の1となるように規定されていることを特徴とする。
【解決手段】複数種の外壁パネル7,9,11,13,15,19によって形成された外壁5を備えた規格化建物1であって、構造柱3を割り付ける際に利用され、且つ外壁5を形成する際の基準となる通り芯Lから外壁面5aまでの出寸法が一定の値Dとなるように制定され、外壁パネル7,9,11,13,15,19の表面には、連設される他の外壁パネル7,9,11,13,15,19との間に生じる目地20に対応した化粧目地21が所定のピッチWで形成され、ピッチWは、出寸法Dの整数分の1となるように規定されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、規格化(標準化)された複数の部材の組み合わせにより構築される工業化住宅などの規格化建物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、工業化住宅などの規格化建物の外壁面を構成する外壁パネルや開口パネルは、基準単位寸法である所定の平面モジュールに基づいて規格化、つまり、幅寸法が決定されるのが一般的である(特許文献1を参照)。また、この種の建物の出隅部には、断面L字状で、且つ外壁の出寸法(通り芯から外壁面までの寸法)に対応した2方向の幅寸法を有する出隅用外壁パネルを設置することも一般的である(特許文献2を参照)。また、矩形の外壁パネルの横幅寸法を整数分の1に分割すべく、縦長の複数の化粧目地が矩形の外壁パネルの表面に形成される場合がある(特許文献3を参照)。
【0003】
隣り合う外壁パネル同士が連設された際には、外壁パネルの側端面同士が接する部分に目地が形成され、化粧目地は、この実際の目地と同一の断面形状となるようにデザインされる。その結果、目地及び化粧目地の形状が統一され、また、一定の間隔で外壁面に配列されることになるので、意匠性に優れた建物外観とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−232428号公報
【特許文献2】特開2003−253850号公報
【特許文献3】特開2008−121329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、外壁の出寸法は、所望の構造性能、防耐火性能、断熱性能を得るために決定された柱、外壁パネル、断熱材等の寸法に基づいて設定され、化粧目地の間隔とは無関係に設定されるのが一般的であった。
【0006】
従って、建物の出隅部では、例えば、出隅用外壁パネルと一般部の外壁パネルとの連設部位において、実際の目地から化粧目地までの間隔が、他の化粧目地同士の間隔(ピッチ)に比べて狭くなり、部分的に不揃いとなり易い。また、入隅部を形成したり、独立柱に出隅用外壁パネルを4本巻いて納めたりする場合にも不揃いが生じ易い。例えば、入隅部を形成する場合、外壁の出寸法分だけ幅を詰めた入隅用外壁パネルと一般部の外壁パネルとを連設するが、入隅用外壁パネルと一般部の外壁パネルとの連設部位において、実際の目地から化粧目地までの間隔が、他の化粧目地同士の間隔(ピッチ)に比べて狭くなり、部分的に不揃いとなり易い。また、独立柱に出隅用外壁パネルを4本巻いて納める場合には、出隅用外壁パネルの側面に形成された化粧目地と上下階の一般部の外壁パネルの化粧目地とが部分的にズレ、不揃いとなり易い。このような化粧目地の不揃いは、建物の外観の意匠性を低下させてしまう。
【0007】
本発明は、化粧目地の不揃いを解消し、外観意匠性に優れた建物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数種の外壁パネルによって形成された外壁を備えた規格化建物であって、柱を割り付ける際に利用され、且つ外壁を形成する際の基準となる通り芯から外壁面までの出寸法が一定の値Dとなるように制定され、外壁パネルの表面には、連設される他の外壁パネルとの間に生じる目地に対応した化粧目地が所定のピッチWで形成され、ピッチWは、出寸法Dの整数分の1となるように規定されていることを特徴とする。なお、この整数とは正の整数を意味する。
【0009】
従来の外壁では、化粧目地のピッチと出寸法との相関関係などは規定されていなかったため、出隅部や入隅部において、化粧目地が不揃いになり易かった。しかしながら、本発明では、外壁パネルの化粧目地のピッチWが出寸法Dの整数分の1となるように規定されているため、出隅部や入隅部において出寸法Dに対応させるように外壁パネルを連設した場合にも、化粧目地のピッチWが均一に整い、不揃いが生じ難い。その結果として、本発明によれば、化粧目地の不揃いを解消でき、外観意匠性に優れた建物とすることができる。
【0010】
さらに、外壁パネルは、矩形平板状で、且つ出寸法Dの整数倍の幅を有する一般外壁パネルと、断面L字状で、且つ屈曲して接続された二面それぞれの幅寸法が出寸法Dに等しい出隅用外壁パネルとを有し、出隅用外壁パネルは、出隅部に割り付けられると共に、一般外壁パネルに連設され、出隅用外壁パネルと一般外壁パネルとは化粧目地のピッチWが均一に揃って連続すると好適である。この構成によれば、出隅用外壁パネルを出隅部に割り付けて一般外壁パネルに連設した場合にも、出隅用外壁パネルと一般外壁パネルとの間で化粧目地の不揃いは無くなり、外観意匠性に優れた建物とすることができる。
【0011】
さらに、外壁パネルは、一般外壁パネルと、一般外壁パネルから出寸法D分の幅を詰めた入隅用外壁パネルと、を有し、入隅部では、入隅用外壁パネルの端部が外壁パネルの表面に当接されると共に、入隅用外壁パネルの表面側の端縁は、一般外壁パネルの化粧目地に沿って配置されると好適である。この構成によれば、入隅用外壁パネルと一般外壁パネルとを連接して入隅部を形成する場合にも、入隅用外壁パネルと一般外壁パネルとの間で化粧目地の不揃いは無くなり、外観意匠性に優れた建物とすることができる。
【0012】
さらに、外壁は、出寸法Dの整数倍の幅を有する開口パネルを備えて形成され、また、外壁パネルは、出寸法Dの整数倍の幅を有し、且つ開口パネルの上縁、及び下縁の少なくとも一方に沿って配置される短尺パネルを更に有すると好適である。この構成によれば、例えば、サッシなどを取り付ける場合に用いる開口パネルの上縁、及び下縁に沿って配置される短尺パネルにおいても化粧目地の不揃いは無くなり、外観意匠性に優れた建物とすることができる。
【0013】
さらに、複数の階層を備え、且つ、各階の外壁面構造が複数の外壁パネルの連設によって形成され、下階の外壁面構造の目地、及び化粧目地によって形成される目地配置と、上階の外壁面構造の目地、及び化粧目地によって形成される目地配置とが連続していると好適である。この構成によれば、複数の階層を備えた規格化建物であっても、下階の外壁面構造と上階の外壁面構造との間で目地配置のズレが生じることはなく、従って、外観意匠性に優れた建物とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、化粧目地の不揃いを解消し、外観意匠性に優れた建物とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る規格化建物の斜視図である。
【図2】本実施形態に係る規格化建物の1階部分を示す平面図である。
【図3】本実施形態に係る規格化建物の2階部分を示す平面図である。
【図4】本実施形態に係る規格化建物の出隅部を示す拡大斜視図である。
【図5】図4のV−V線に沿った断面図である。
【図6】図4のVI−VI線に沿った断面図である。
【図7】本実施形態に係る規格化建物の1階部分の入隅部を拡大して示す平断面図である。
【図8】本実施形態に係る規格化建物の2階部分の入隅部を拡大して示す平断面図である。
【図9】入隅部の第1の変形例について示す平断面図である。
【図10】入隅部の第2の変形例について示す平断面図である。
【図11】入隅部の第3の変形例について示す平断面図である。
【図12】出入口部の変形例について示す平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
本実施形態に係る建物は、305mmの平面モジュールMを有する2階建て(複数の階層)の工業化住宅(規格化建物)1である。なお、本実施形態では、規格化建物の一例として工業化住宅1を説明するが、本来、規格化建物とは、規格化(標準化)された複数の部材の組み合わせにより構築される建物を広く含む。また、平面モジュールMとは、建築において設計上の基準となる基本寸法を意味し、建物の各部分を一定の大きさの倍数で統一するときの基準となる大きさを意味する。
【0018】
工業化住宅1を建築する際には、敷地の形状や所望の間取りに合わせて縦、横の通り芯Lが設定される。通り芯Lとは、構造柱3や構造柱3間に架け渡される梁の配置の基準線であり、構造柱3を割り付ける際などに利用され、例えば、縦、横の通り芯Lの交点に構造柱3が設置される。また、通り芯Lは、外壁5を形成する際の基準になり、外壁5の出寸法D、すなわち、外通りの通り芯Lから外壁面5aまでの距離が所定の値となるように設定される。本実施形態に係る外壁5の出寸法Dは、平面モジュールMの整数分の1、具体的には、2分の1に設定されている。
【0019】
外壁5は、複数種の外壁パネル7,9,11,13,15、及び開口パネル19を割り付けることで構築される。なお、以下の説明において、ベランダ腰壁用壁パネル13も外壁パネルに含めて説明する。
【0020】
外壁パネル7,9,11,13,15は、切断などによって所定の形状に加工された軽量気泡コンクリート(ALC)製のパネルである。また、開口パネル19は、サッシと、サッシを軸組に固定するためのフレームとを備えて構成されている。
【0021】
外壁パネル7,9,11,13,15の表面には、縦方向に沿った直線状の溝が化粧目地21として形成されている。縦方向とは、外壁パネル7,9,11,13,15を割り付けた際の鉛直方向を意味する。化粧目地21は、外壁パネル7,9,11,13,15を他の外壁パネル7,9,11,13,15または開口パネル19に連設した際に生じる目地20に対応している。具体的には、化粧目地21の断面形状は、外壁パネル7,9,11,13,15同士、または外壁パネル7,9,11,13,15と開口パネル19とを連設した際の隙間(連設部)にシーリング材が打設された状態において、連設部に形成される実際の目地20の断面形状に略等しい形状になっている。
【0022】
化粧目地21は、外壁パネル7,9,11,13,15の横方向(縦方向に直交する方向)において所定のピッチWとなるように一または複数形成されている。化粧目地21のピッチWについては、隣り合う化粧目地21同士の間隔のみならず、外壁パネル7,9,11,13,15の連設端部となる実際の目地20から、この目地20に最も近い最初の化粧目地21までの間隔も含む。
【0023】
化粧目地21のピッチWは外壁5の出寸法Dの整数分の1、例えば、1分の1となるように規定されている。なお、化粧目地21のピッチWについて、別の見方をすれば、平面モジュールMの整数分の1、具体的には2分の1に規定されている。
【0024】
なお、外壁パネル7,9,11,13,15の表面には、等間隔で並んだ複数の横溝23も形成され、縦の化粧目地21と横溝23とによって矩形状(レンガ状)のマス目が形成されている。横溝23は、図4において破線で示されているが、その他の図面では省略されている。
【0025】
外壁パネル7,9,11,13,15としては、例えば、長尺外壁パネル、短尺外壁パネル、及びベランダ腰壁用壁パネル13が規格化されている。また、長尺外壁パネルとしては、基本外壁パネル(一般外壁パネル)7、入隅用外壁パネル9、出隅用外壁パネル11が規格化されている。
【0026】
基本外壁パネル7は矩形平板状であり、長手方向が縦になるように設置される。横方向の幅WAは平面モジュールMの整数倍(式1参照)に規定されており、本実施形態では、平面モジュールMの1倍、及び2倍となる2種類が準備されている。
【0027】
WA=M×A ・・・(式1)
(Aは1、または2)
【0028】
2種類の基本外壁パネル7のうち、平面モジュールMの2倍、具体的には610mmの幅を有するパネルは、主として平坦部に割り付けられる一般部用の基本外壁パネル7である。一般部用の基本外壁パネル7では、化粧目地21、及び横溝23によって形成されるマス目が、幅方向に4マス分形成されている。また、平面モジュールMの1倍、具体的には305mmの幅を有するパネルは、出隅用外壁パネル11等に連設される出入隅部用の基本外壁パネル7である。出入隅部用の基本外壁パネル7では、化粧目地21、及び横溝23によって形成されるマス目が、幅方向に2マス分形成されている。
【0029】
なお、外壁5の出寸法Dは、平面モジュールMの整数分の1であるため、基本外壁パネル7の幅WAは結果として出寸法Dの整数倍であり、具体的には、出寸法Dの2倍、または4倍となる。
【0030】
入隅用外壁パネル9は矩形平板状であり、入隅部Caにおいて長手方向が縦になるように設置される。入隅用外壁パネル9の横方向の幅W2は、一般部用の基本外壁パネル7の幅WAに比べて出寸法Dだけ詰めた寸法になっている(式2参照)。従って、入隅用外壁パネル9の幅WBは、出寸法Dの整数倍であり、具体的には、出寸法Dの3倍となる。また、入隅用外壁パネル9は、化粧目地21、及び横溝23によって形成されるマス目が、幅方向に3マス分形成されている。
【0031】
WB=M×B−D ・・・(式2)
(Bは2)
【0032】
出隅用外壁パネル11は、出隅部Cbにおいて長手方向が縦になるように設置される。出隅用外壁パネル11は断面L字状であり、出隅用外壁パネル11の幅寸法WCは、屈曲して接続された二つの表面の横方向の幅寸法を足した値になる(式3参照)。そして、一方の表面の幅寸法WC/2は、出寸法Dに等しくなる。
【0033】
WC=D+D=2D ・・・(式2)
【0034】
出隅用外壁パネル11の化粧目地21は、角部分に形成されている。出隅用外壁パネル11の連設部分となる端部、つまり、実際の目地20となる部分から角部分の化粧目地21までの距離は外壁5の出寸法Dの整数分の1、例えば、1分の1となるように規定されており、その結果として、出隅用外壁パネル11の化粧目地21も所定のピッチWになっている。また、出隅用外壁パネル11の屈曲する二つの表面のうち、一方の表面において、化粧目地21、及び横溝23によって形成されるマス目は幅方向に1マス分形成されている。
【0035】
短尺外壁パネルとしては、例えば、上下用短尺外壁パネル(短尺パネル)15、梁部被覆用短尺外壁パネル(図示省略)が規格化されている。
【0036】
上下用短尺外壁パネル15は、基本外壁パネル7の縦方向の寸法を詰めた短尺のパネルであり、開口パネル19の上縁、及び下縁の少なくとも一方に沿って設置される。上下用短尺外壁パネル15の縦方向の寸法(以下、「高さ寸法」という)は、開口パネル19の開口部(サッシ)の高さ方向の寸法に応じて複数種類が準備されている。また、上下用短尺外壁パネル15の横方向の幅は、基本外壁パネル7と同様に二種類が規格化されて準備されている。その他に、入隅部Ca用に出寸法D分だけ幅を詰めた上下用短尺外壁パネル15も準備されている。
【0037】
梁部被覆用短尺外壁パネルは、基本外壁パネル7の縦方向の寸法を詰めた短尺のパネルである。梁部被覆用短尺外壁パネルは、建物(躯体)外周部に沿って基本外壁パネル7や開口パネル19が割り付けられない部分の梁を被覆するためのパネルであり、例えば、アルコーブやピロティに割り付けられる。
【0038】
ベランダ腰壁用壁パネル13は、ベランダの転落防止用腰壁に使用されるパネルであり、規格化された形態のバリエーションとしては、長尺外壁パネル7,9,11と同種が準備されている。なお、キャンティベランダの場合、ベランダ腰壁用壁パネル13は、梁部被覆用短尺外壁パネルと組み合わされて使用される。
【0039】
以上、外壁パネル7,9,11,13,15として規格化された各バリエーションについて説明したが、上記の外壁パネル7,9,11,13,15の幅の寸法は呼び寸法であり、実寸法は製造精度や納まり等を考慮して外観意匠に影響を与えない範囲で若干小さく設定されている。
【0040】
次に、工業化住宅1の外壁5について説明する。図1、図2、及び図3に示されるように、工業化住宅1では、外通りの通り芯Lから外壁面5aまでの出寸法が所定の値Dとなるように規定され、その出寸法Dに合うように外壁パネル7,9,11,13,15が構造柱3や構造梁などに割り付けられる。
【0041】
本実施形態に係る工業化住宅1は、2階建て(複数の階層)であり、1階、および2階の外壁面構造が複数の外壁パネル7,9,11,13,15、及び開口パネル19の連設によって形成されている。また、1階(下階)の外壁面構造の目地20、及び化粧目地21によって形成される目地配置24Aと、2階(上階)の外壁面構造の目地20、及び化粧目地21によって形成される目地配置24Bとは連続している。なお、1階の目地配置24Aと2階の目地配置24Bとが連続するとは、目地20、及び化粧目地21の縦のラインがずれなく連続的につながっている状態を意味する。
【0042】
(平坦部)
次に、外壁5の各部について詳しく説明する。図4に示されるように、外壁5の平坦な壁面部分(平坦部)には、一般部用の基本外壁パネル7が割り付けられる。基本外壁パネル7同士が隣接して接続される隙間(連設部)の表面(外表面)側には、シーリング材が打設されて実際の目地20が形成される。基本外壁パネル7の化粧目地21のピッチWは均一なので、外観意匠上、化粧目地21の不揃いは生じない。
【0043】
(出隅部)
図4、及び図5に示されるように、出隅部Cbでは、構造柱3の角に沿うように断面L字状の出隅用外壁パネル11が割り付けられ、出隅用外壁パネル11の両端には、それぞれ出入隅部用の基本外壁パネル7が連設される。出隅用外壁パネル11と基本外壁パネル7とが隣接して接続される隙間(連設部)の表面(外表面)側には、シーリング材が打設されて実際の目地20が形成される。出隅用外壁パネル11の化粧目地21のピッチWと、基本外壁パネル7の化粧目地21のピッチWとは出寸法Dの1/1(整数分の1)であり、互いに等しい。つまり、出隅用外壁パネル11と基本外壁パネル7とは化粧目地21のピッチWが均一に揃って連続することになり、外壁5の外観意匠上、化粧目地21の不揃いは生じない。
(ベランダ、及び独立柱周り)
【0044】
図4、及び図6に示されるように、ベランダの周縁には、転落防止用のベランダ腰壁用壁パネル13が割り付けられる。ベランダ腰壁用壁パネル13同士が隣接して接続される隙間(連設部)の表面(外表面)側には、シーリング材が打設されて実際の目地20が形成される。また、ベランダ腰壁用壁パネル13の化粧目地21のピッチWは出寸法Dの1/1(整数分の1)で、互いに等しいので外壁5の外観意匠上、化粧目地21の不揃いは生じない。なお、ベランダの入隅部には、入隅用外壁パネル9が割り付けられている。また、入隅用外壁パネル9には出隅用外壁パネル11が連設されるが、出隅用外壁パネル11が勝つように割り付けられている。
【0045】
ベランダなどに配置された独立柱(構造柱)3には、独立柱3を取り囲むように四枚の出隅用外壁パネル11が割り付けられる。出隅用外壁パネル11同士が隣接して接続される隙間(連設部)の表面(外表面)側には、シーリング材が打設されて実際の目地20が形成される。また、出隅用外壁パネル11の化粧目地21のピッチWは出寸法Dの1/1(整数分の1)で、互いに等しいので外壁5の外観意匠上、化粧目地21の不揃いは生じない。
(入隅部)
【0046】
図2、及び図7に示されるように、例えば、1階に形成される入隅部Caには、入隅用外壁パネル9と基本外壁パネル7とが割り付けられる。入隅用外壁パネル9は、基本外壁パネル7の表面に端部が当接するように連設される。入隅用外壁パネル9の表面側の端縁は、基本外壁パネル7の化粧目地21に沿って配置される。入隅用外壁パネル9と基本外壁パネル7との間の隙間(連設部)の表面(外表面)側には、シーリング材が打設されて実際の目地20が形成される。従って、入隅用外壁パネル9と基本外壁パネル7との間に形成される目地20は、丁度、基本外壁パネル7の化粧目地21上に形成されることになり、外壁5の外観意匠上、化粧目地21の不揃いは生じない。
【0047】
なお、本実施形態では、化粧目地21のピッチWが外壁5の出寸法Dに一致しているので、入隅用外壁パネル9と基本外壁パネル7とを入隅部Caに割り付ける際に、左右勝手は発生しない。従って、本実施形態によれば、一種類の入隅用外壁パネル9によって左右のどちら側への割り付けにも対応できる。その結果として、制定(規格化)すべき部材の品種を減らすことができる。
【0048】
図3、及び図8に示されるように、例えば、2階に形成される入隅部Caには、開口パネル19と基本外壁パネル7とが割り付けられる。開口パネル19は、側端部が基本外壁パネル7の表面に当接するように連設される。開口パネル19の表面側の端縁は、基本外壁パネル7の化粧目地21に沿って配置される。開口パネル19と基本外壁パネル7との間の隙間(連設部)の表面(外表面)側には、シーリング材が打設されて実際の目地20が形成される。従って、開口パネル19と基本外壁パネル7との間に形成される目地20は、丁度、基本外壁パネル7の化粧目地21上に形成されることになり、外壁5の外観意匠上、化粧目地21の不揃いは生じない。
【0049】
なお、開口パネル19の上方及び下方の少なくとも一方には、開口パネル19の幅に対応し、開口パネル19の上縁または下縁に沿った上下用短尺外壁パネル15が割り付けられている(図1参照)。
【0050】
次に、図9を参照して入隅部Caの第1の変形例について説明する。第1の変形例では、幅寸法の異なる2種類の基本外壁パネル7が入隅部Caに割り付けられている。具体的には、出入隅部用の幅の狭い基本外壁パネル7の端部が、一般部用の幅の広い基本外壁パネル7の表面に当接するように連設される。出入隅部用の基本外壁パネル7の表面側の端縁は、一般部用の基本外壁パネル7の化粧目地21に沿って配置される。出入隅部用の基本外壁パネル7と一般部用の基本外壁パネル7との間の隙間(連設部)の表面(外表面)側には、シーリング材が打設されて実際の目地20が形成される。従って、出入隅部用の基本外壁パネル7と一般部用の基本外壁パネル7との間に形成される目地20は、丁度、一般部用の基本外壁パネル7の化粧目地21上に形成されることになり、外壁5の外観意匠上、化粧目地21の不揃いは生じない。
【0051】
なお、この第1の変形例では、出入隅部用の基本外壁パネル7の端部に連設するように開口パネル19が割り付けられている。
【0052】
次に、図10を参照して入隅部Caの第2の変形例について説明する。第2の変形例では、入隅用外壁パネル9と開口パネル19とが入隅部Caに割り付けられている。具体的には、開口パネル19の端部が、入隅用外壁パネル9の表面に当接するように連設される。開口パネル19の表面側の端縁は、入隅用外壁パネル9の化粧目地21に沿って配置され、開口パネル19と入隅用外壁パネル9との間の隙間(連設部)の表面(外表面)側には、シーリング材が打設されて実際の目地20が形成される。従って、開口パネル19と入隅用外壁パネル9との間に形成される目地20は、丁度、入隅用外壁パネル9の化粧目地21上に形成されることになり、外壁5の外観意匠上、化粧目地21の不揃いは生じない。
【0053】
なお、この第2の変形例では、入隅用外壁パネル9の端部に連設するように開口パネル19が割り付けられている。
【0054】
次に、図11を参照して入隅部Caの第3の変形例について説明する。第3の変形例では、第2の変形例と同様に、入隅用外壁パネル9と開口パネル19とが入隅部Caに割り付けられている。したがって、開口パネル19と入隅用外壁パネル9との間に形成される目地20は、丁度、入隅用外壁パネル9の化粧目地21上に形成されることになり、外壁5の外観意匠上、化粧目地21の不揃いは生じない。また、第3の変形例では、開口パネル19の一方の側端部は入隅用外壁パネル9に連設されているが、他方の側端部側には構造柱3が建てられている。さらに、構造柱3の角部に沿って出隅用外壁パネル11が割り付けられており、開口パネル19の他方の側端部と出隅用外壁パネル11とが連設されている。出隅用外壁パネル11の化粧目地21のピッチWは出寸法Dに一致するので、外壁5の外観意匠上、化粧目地21の不揃いは生じない。
(出入口部)
【0055】
図2に示されるように、本実施形態に係るアルコーブ部(出入口部)には、開き戸が開閉可能に組みつけられたドアパネルが割り付けられる。このドアパネルは入隅部用の開口パネル19であり、外壁5の出寸法D分だけ幅を詰めたパネルである。ドアパネルの両端には、入隅部Caを形成すべく一般部用の基本外壁パネル7が連設されている。アルコーブ部の出隅部Cbには、出隅用外壁パネル11が割り付けられ、その上に梁部被覆用短尺パネルが割り付けられる。
【0056】
次に、図12を参照して、出入口部の変形例について説明する。この変形例では、入隅部用の開口パネル19であるドアパネルが平部、すなわち平坦面に沿うように割り付けられている。この変形例では、入隅部用の開口パネル19を平部に割り付ける場合にも出隅用外壁パネル11に連設されることで化粧目地21のピッチWが均一に揃って連続するため、化粧目地21の不揃いは無くなり、外観意匠性に優れた建物とすることができる。
【0057】
従来の外壁(特許文献1〜3参照)では、化粧目地のピッチと出寸法との相関関係などは規定されていなかったため、出隅部や入隅部において、外壁パネルや開口パネルなどを割り付けた際の化粧目地が不揃いになり易かった。しかしながら、上記の実施形態に係る工業化住宅1では、外壁パネル7,9,11,13,15の化粧目地21のピッチWが出寸法Dの整数分の1となるように規定されているため、出隅部Cbや入隅部Caにおいて出寸法Dに対応させるように外壁パネル7,9,11,13,15を連設した場合にも、化粧目地21のピッチWが均一に整い、不揃いが生じ難い。その結果として、本実施形態に係る工業化住宅1によれば、化粧目地21の不揃いを解消でき、外観意匠性に優れた建物とすることができる。
【0058】
特に、吹付け塗装によって仕上げられた状態では、目地20と化粧目地21の判別は困難となり、1枚の外壁面5aに同一形状の化粧目地21が一定の間隔で連続的に配列されたように視認される。その結果として、外壁面5aの化粧目地21に不揃いが生じない意匠性に優れた外観が形成される。
【0059】
また、本実施形態に係る工業化住宅1では、出隅用外壁パネル11が出隅部Cbに割り付けられると共に、基本外壁パネル7に連設され、出隅用外壁パネル11と基本外壁パネル7とは化粧目地21のピッチWが均一に揃って連続している。つまり、出隅用外壁パネル11を出隅部Cbに割り付けて基本外壁パネル7に連設した場合にも、出隅用外壁パネル11と基本外壁パネル7との間で化粧目地21の不揃いは無くなり、外観意匠性に優れた建物とすることができる。
【0060】
また、本実施形態に係る工業化住宅1の入隅部Caでは、入隅用外壁パネル9の端部が基本外壁パネル7の表面に当接されると共に、入隅用外壁パネル9の表面側の端縁は、基本外壁パネル7の化粧目地21に沿って配置されている。つまり、入隅用外壁パネル9と基本外壁パネル7とを連接して入隅部Caを形成する場合にも、入隅用外壁パネル9と基本外壁パネル7との間で化粧目地21の不揃いは無くなり、外観意匠性に優れた建物とすることができる。
【0061】
さらに、本実施形態に係る工業化住宅1では、出寸法Dの正の整数倍の幅を有する開口パネル19と、出寸法Dの正の整数倍の幅を有し、且つ開口パネル19の上縁、及び下縁の少なくとも一方に沿って配置される上下用短尺外壁パネル15(短尺パネル)が規格化されている。つまり、サッシなどを取り付ける場合に用いる開口パネル19の上縁、及び下縁に沿って配置される上下用短尺外壁パネル15においても化粧目地21の不揃いは無くなり、外観意匠性に優れた建物とすることができる。
【0062】
さらに、本実施形態に係る工業化住宅1は2階建てであり、1階、及び2階の外壁面構造それぞれの目地配置24A,24Bが上下で連続している。つまり、2階建ての工業化住宅1でありながら、1階(下階)の外壁面構造の目地配置24Aと2階(上階)の外壁面構造の目地配置24Bとの間でズレが生じることはなく、従って、外観意匠性に優れた建物とすることができる。
【0063】
特に、基本外壁パネル7の表面に形成される化粧目地21のピッチWを出寸法Dの整数分の1となるように規定しているので、例え、1階の入隅部Caでは基本外壁パネル7を入隅部Ca側に寄せて配置し、2階の入隅部Caでは基本外壁パネル7を反対側に寄せて配置するようにしても上下階で化粧目地21のピッチWがズレてしまうことはなく、外観意匠性に優れた建物とすることができる。
【符号の説明】
【0064】
1…規格化建物、5…外壁、5a…外壁面、7…基本外壁パネル(一般外壁パネル)、9…入隅用外壁パネル、11…出隅用外壁パネル、13…ベランダ腰壁用壁パネル、15…上下用短尺外壁パネル(短尺パネル)、19…開口パネル、20…実際の目地、21…化粧目地、Cb…出隅部、Ca…入隅部、L…通り芯、D…通り芯から外壁面までの出寸法、W…化粧目地のピッチ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、規格化(標準化)された複数の部材の組み合わせにより構築される工業化住宅などの規格化建物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、工業化住宅などの規格化建物の外壁面を構成する外壁パネルや開口パネルは、基準単位寸法である所定の平面モジュールに基づいて規格化、つまり、幅寸法が決定されるのが一般的である(特許文献1を参照)。また、この種の建物の出隅部には、断面L字状で、且つ外壁の出寸法(通り芯から外壁面までの寸法)に対応した2方向の幅寸法を有する出隅用外壁パネルを設置することも一般的である(特許文献2を参照)。また、矩形の外壁パネルの横幅寸法を整数分の1に分割すべく、縦長の複数の化粧目地が矩形の外壁パネルの表面に形成される場合がある(特許文献3を参照)。
【0003】
隣り合う外壁パネル同士が連設された際には、外壁パネルの側端面同士が接する部分に目地が形成され、化粧目地は、この実際の目地と同一の断面形状となるようにデザインされる。その結果、目地及び化粧目地の形状が統一され、また、一定の間隔で外壁面に配列されることになるので、意匠性に優れた建物外観とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−232428号公報
【特許文献2】特開2003−253850号公報
【特許文献3】特開2008−121329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、外壁の出寸法は、所望の構造性能、防耐火性能、断熱性能を得るために決定された柱、外壁パネル、断熱材等の寸法に基づいて設定され、化粧目地の間隔とは無関係に設定されるのが一般的であった。
【0006】
従って、建物の出隅部では、例えば、出隅用外壁パネルと一般部の外壁パネルとの連設部位において、実際の目地から化粧目地までの間隔が、他の化粧目地同士の間隔(ピッチ)に比べて狭くなり、部分的に不揃いとなり易い。また、入隅部を形成したり、独立柱に出隅用外壁パネルを4本巻いて納めたりする場合にも不揃いが生じ易い。例えば、入隅部を形成する場合、外壁の出寸法分だけ幅を詰めた入隅用外壁パネルと一般部の外壁パネルとを連設するが、入隅用外壁パネルと一般部の外壁パネルとの連設部位において、実際の目地から化粧目地までの間隔が、他の化粧目地同士の間隔(ピッチ)に比べて狭くなり、部分的に不揃いとなり易い。また、独立柱に出隅用外壁パネルを4本巻いて納める場合には、出隅用外壁パネルの側面に形成された化粧目地と上下階の一般部の外壁パネルの化粧目地とが部分的にズレ、不揃いとなり易い。このような化粧目地の不揃いは、建物の外観の意匠性を低下させてしまう。
【0007】
本発明は、化粧目地の不揃いを解消し、外観意匠性に優れた建物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数種の外壁パネルによって形成された外壁を備えた規格化建物であって、柱を割り付ける際に利用され、且つ外壁を形成する際の基準となる通り芯から外壁面までの出寸法が一定の値Dとなるように制定され、外壁パネルの表面には、連設される他の外壁パネルとの間に生じる目地に対応した化粧目地が所定のピッチWで形成され、ピッチWは、出寸法Dの整数分の1となるように規定されていることを特徴とする。なお、この整数とは正の整数を意味する。
【0009】
従来の外壁では、化粧目地のピッチと出寸法との相関関係などは規定されていなかったため、出隅部や入隅部において、化粧目地が不揃いになり易かった。しかしながら、本発明では、外壁パネルの化粧目地のピッチWが出寸法Dの整数分の1となるように規定されているため、出隅部や入隅部において出寸法Dに対応させるように外壁パネルを連設した場合にも、化粧目地のピッチWが均一に整い、不揃いが生じ難い。その結果として、本発明によれば、化粧目地の不揃いを解消でき、外観意匠性に優れた建物とすることができる。
【0010】
さらに、外壁パネルは、矩形平板状で、且つ出寸法Dの整数倍の幅を有する一般外壁パネルと、断面L字状で、且つ屈曲して接続された二面それぞれの幅寸法が出寸法Dに等しい出隅用外壁パネルとを有し、出隅用外壁パネルは、出隅部に割り付けられると共に、一般外壁パネルに連設され、出隅用外壁パネルと一般外壁パネルとは化粧目地のピッチWが均一に揃って連続すると好適である。この構成によれば、出隅用外壁パネルを出隅部に割り付けて一般外壁パネルに連設した場合にも、出隅用外壁パネルと一般外壁パネルとの間で化粧目地の不揃いは無くなり、外観意匠性に優れた建物とすることができる。
【0011】
さらに、外壁パネルは、一般外壁パネルと、一般外壁パネルから出寸法D分の幅を詰めた入隅用外壁パネルと、を有し、入隅部では、入隅用外壁パネルの端部が外壁パネルの表面に当接されると共に、入隅用外壁パネルの表面側の端縁は、一般外壁パネルの化粧目地に沿って配置されると好適である。この構成によれば、入隅用外壁パネルと一般外壁パネルとを連接して入隅部を形成する場合にも、入隅用外壁パネルと一般外壁パネルとの間で化粧目地の不揃いは無くなり、外観意匠性に優れた建物とすることができる。
【0012】
さらに、外壁は、出寸法Dの整数倍の幅を有する開口パネルを備えて形成され、また、外壁パネルは、出寸法Dの整数倍の幅を有し、且つ開口パネルの上縁、及び下縁の少なくとも一方に沿って配置される短尺パネルを更に有すると好適である。この構成によれば、例えば、サッシなどを取り付ける場合に用いる開口パネルの上縁、及び下縁に沿って配置される短尺パネルにおいても化粧目地の不揃いは無くなり、外観意匠性に優れた建物とすることができる。
【0013】
さらに、複数の階層を備え、且つ、各階の外壁面構造が複数の外壁パネルの連設によって形成され、下階の外壁面構造の目地、及び化粧目地によって形成される目地配置と、上階の外壁面構造の目地、及び化粧目地によって形成される目地配置とが連続していると好適である。この構成によれば、複数の階層を備えた規格化建物であっても、下階の外壁面構造と上階の外壁面構造との間で目地配置のズレが生じることはなく、従って、外観意匠性に優れた建物とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、化粧目地の不揃いを解消し、外観意匠性に優れた建物とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る規格化建物の斜視図である。
【図2】本実施形態に係る規格化建物の1階部分を示す平面図である。
【図3】本実施形態に係る規格化建物の2階部分を示す平面図である。
【図4】本実施形態に係る規格化建物の出隅部を示す拡大斜視図である。
【図5】図4のV−V線に沿った断面図である。
【図6】図4のVI−VI線に沿った断面図である。
【図7】本実施形態に係る規格化建物の1階部分の入隅部を拡大して示す平断面図である。
【図8】本実施形態に係る規格化建物の2階部分の入隅部を拡大して示す平断面図である。
【図9】入隅部の第1の変形例について示す平断面図である。
【図10】入隅部の第2の変形例について示す平断面図である。
【図11】入隅部の第3の変形例について示す平断面図である。
【図12】出入口部の変形例について示す平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
本実施形態に係る建物は、305mmの平面モジュールMを有する2階建て(複数の階層)の工業化住宅(規格化建物)1である。なお、本実施形態では、規格化建物の一例として工業化住宅1を説明するが、本来、規格化建物とは、規格化(標準化)された複数の部材の組み合わせにより構築される建物を広く含む。また、平面モジュールMとは、建築において設計上の基準となる基本寸法を意味し、建物の各部分を一定の大きさの倍数で統一するときの基準となる大きさを意味する。
【0018】
工業化住宅1を建築する際には、敷地の形状や所望の間取りに合わせて縦、横の通り芯Lが設定される。通り芯Lとは、構造柱3や構造柱3間に架け渡される梁の配置の基準線であり、構造柱3を割り付ける際などに利用され、例えば、縦、横の通り芯Lの交点に構造柱3が設置される。また、通り芯Lは、外壁5を形成する際の基準になり、外壁5の出寸法D、すなわち、外通りの通り芯Lから外壁面5aまでの距離が所定の値となるように設定される。本実施形態に係る外壁5の出寸法Dは、平面モジュールMの整数分の1、具体的には、2分の1に設定されている。
【0019】
外壁5は、複数種の外壁パネル7,9,11,13,15、及び開口パネル19を割り付けることで構築される。なお、以下の説明において、ベランダ腰壁用壁パネル13も外壁パネルに含めて説明する。
【0020】
外壁パネル7,9,11,13,15は、切断などによって所定の形状に加工された軽量気泡コンクリート(ALC)製のパネルである。また、開口パネル19は、サッシと、サッシを軸組に固定するためのフレームとを備えて構成されている。
【0021】
外壁パネル7,9,11,13,15の表面には、縦方向に沿った直線状の溝が化粧目地21として形成されている。縦方向とは、外壁パネル7,9,11,13,15を割り付けた際の鉛直方向を意味する。化粧目地21は、外壁パネル7,9,11,13,15を他の外壁パネル7,9,11,13,15または開口パネル19に連設した際に生じる目地20に対応している。具体的には、化粧目地21の断面形状は、外壁パネル7,9,11,13,15同士、または外壁パネル7,9,11,13,15と開口パネル19とを連設した際の隙間(連設部)にシーリング材が打設された状態において、連設部に形成される実際の目地20の断面形状に略等しい形状になっている。
【0022】
化粧目地21は、外壁パネル7,9,11,13,15の横方向(縦方向に直交する方向)において所定のピッチWとなるように一または複数形成されている。化粧目地21のピッチWについては、隣り合う化粧目地21同士の間隔のみならず、外壁パネル7,9,11,13,15の連設端部となる実際の目地20から、この目地20に最も近い最初の化粧目地21までの間隔も含む。
【0023】
化粧目地21のピッチWは外壁5の出寸法Dの整数分の1、例えば、1分の1となるように規定されている。なお、化粧目地21のピッチWについて、別の見方をすれば、平面モジュールMの整数分の1、具体的には2分の1に規定されている。
【0024】
なお、外壁パネル7,9,11,13,15の表面には、等間隔で並んだ複数の横溝23も形成され、縦の化粧目地21と横溝23とによって矩形状(レンガ状)のマス目が形成されている。横溝23は、図4において破線で示されているが、その他の図面では省略されている。
【0025】
外壁パネル7,9,11,13,15としては、例えば、長尺外壁パネル、短尺外壁パネル、及びベランダ腰壁用壁パネル13が規格化されている。また、長尺外壁パネルとしては、基本外壁パネル(一般外壁パネル)7、入隅用外壁パネル9、出隅用外壁パネル11が規格化されている。
【0026】
基本外壁パネル7は矩形平板状であり、長手方向が縦になるように設置される。横方向の幅WAは平面モジュールMの整数倍(式1参照)に規定されており、本実施形態では、平面モジュールMの1倍、及び2倍となる2種類が準備されている。
【0027】
WA=M×A ・・・(式1)
(Aは1、または2)
【0028】
2種類の基本外壁パネル7のうち、平面モジュールMの2倍、具体的には610mmの幅を有するパネルは、主として平坦部に割り付けられる一般部用の基本外壁パネル7である。一般部用の基本外壁パネル7では、化粧目地21、及び横溝23によって形成されるマス目が、幅方向に4マス分形成されている。また、平面モジュールMの1倍、具体的には305mmの幅を有するパネルは、出隅用外壁パネル11等に連設される出入隅部用の基本外壁パネル7である。出入隅部用の基本外壁パネル7では、化粧目地21、及び横溝23によって形成されるマス目が、幅方向に2マス分形成されている。
【0029】
なお、外壁5の出寸法Dは、平面モジュールMの整数分の1であるため、基本外壁パネル7の幅WAは結果として出寸法Dの整数倍であり、具体的には、出寸法Dの2倍、または4倍となる。
【0030】
入隅用外壁パネル9は矩形平板状であり、入隅部Caにおいて長手方向が縦になるように設置される。入隅用外壁パネル9の横方向の幅W2は、一般部用の基本外壁パネル7の幅WAに比べて出寸法Dだけ詰めた寸法になっている(式2参照)。従って、入隅用外壁パネル9の幅WBは、出寸法Dの整数倍であり、具体的には、出寸法Dの3倍となる。また、入隅用外壁パネル9は、化粧目地21、及び横溝23によって形成されるマス目が、幅方向に3マス分形成されている。
【0031】
WB=M×B−D ・・・(式2)
(Bは2)
【0032】
出隅用外壁パネル11は、出隅部Cbにおいて長手方向が縦になるように設置される。出隅用外壁パネル11は断面L字状であり、出隅用外壁パネル11の幅寸法WCは、屈曲して接続された二つの表面の横方向の幅寸法を足した値になる(式3参照)。そして、一方の表面の幅寸法WC/2は、出寸法Dに等しくなる。
【0033】
WC=D+D=2D ・・・(式2)
【0034】
出隅用外壁パネル11の化粧目地21は、角部分に形成されている。出隅用外壁パネル11の連設部分となる端部、つまり、実際の目地20となる部分から角部分の化粧目地21までの距離は外壁5の出寸法Dの整数分の1、例えば、1分の1となるように規定されており、その結果として、出隅用外壁パネル11の化粧目地21も所定のピッチWになっている。また、出隅用外壁パネル11の屈曲する二つの表面のうち、一方の表面において、化粧目地21、及び横溝23によって形成されるマス目は幅方向に1マス分形成されている。
【0035】
短尺外壁パネルとしては、例えば、上下用短尺外壁パネル(短尺パネル)15、梁部被覆用短尺外壁パネル(図示省略)が規格化されている。
【0036】
上下用短尺外壁パネル15は、基本外壁パネル7の縦方向の寸法を詰めた短尺のパネルであり、開口パネル19の上縁、及び下縁の少なくとも一方に沿って設置される。上下用短尺外壁パネル15の縦方向の寸法(以下、「高さ寸法」という)は、開口パネル19の開口部(サッシ)の高さ方向の寸法に応じて複数種類が準備されている。また、上下用短尺外壁パネル15の横方向の幅は、基本外壁パネル7と同様に二種類が規格化されて準備されている。その他に、入隅部Ca用に出寸法D分だけ幅を詰めた上下用短尺外壁パネル15も準備されている。
【0037】
梁部被覆用短尺外壁パネルは、基本外壁パネル7の縦方向の寸法を詰めた短尺のパネルである。梁部被覆用短尺外壁パネルは、建物(躯体)外周部に沿って基本外壁パネル7や開口パネル19が割り付けられない部分の梁を被覆するためのパネルであり、例えば、アルコーブやピロティに割り付けられる。
【0038】
ベランダ腰壁用壁パネル13は、ベランダの転落防止用腰壁に使用されるパネルであり、規格化された形態のバリエーションとしては、長尺外壁パネル7,9,11と同種が準備されている。なお、キャンティベランダの場合、ベランダ腰壁用壁パネル13は、梁部被覆用短尺外壁パネルと組み合わされて使用される。
【0039】
以上、外壁パネル7,9,11,13,15として規格化された各バリエーションについて説明したが、上記の外壁パネル7,9,11,13,15の幅の寸法は呼び寸法であり、実寸法は製造精度や納まり等を考慮して外観意匠に影響を与えない範囲で若干小さく設定されている。
【0040】
次に、工業化住宅1の外壁5について説明する。図1、図2、及び図3に示されるように、工業化住宅1では、外通りの通り芯Lから外壁面5aまでの出寸法が所定の値Dとなるように規定され、その出寸法Dに合うように外壁パネル7,9,11,13,15が構造柱3や構造梁などに割り付けられる。
【0041】
本実施形態に係る工業化住宅1は、2階建て(複数の階層)であり、1階、および2階の外壁面構造が複数の外壁パネル7,9,11,13,15、及び開口パネル19の連設によって形成されている。また、1階(下階)の外壁面構造の目地20、及び化粧目地21によって形成される目地配置24Aと、2階(上階)の外壁面構造の目地20、及び化粧目地21によって形成される目地配置24Bとは連続している。なお、1階の目地配置24Aと2階の目地配置24Bとが連続するとは、目地20、及び化粧目地21の縦のラインがずれなく連続的につながっている状態を意味する。
【0042】
(平坦部)
次に、外壁5の各部について詳しく説明する。図4に示されるように、外壁5の平坦な壁面部分(平坦部)には、一般部用の基本外壁パネル7が割り付けられる。基本外壁パネル7同士が隣接して接続される隙間(連設部)の表面(外表面)側には、シーリング材が打設されて実際の目地20が形成される。基本外壁パネル7の化粧目地21のピッチWは均一なので、外観意匠上、化粧目地21の不揃いは生じない。
【0043】
(出隅部)
図4、及び図5に示されるように、出隅部Cbでは、構造柱3の角に沿うように断面L字状の出隅用外壁パネル11が割り付けられ、出隅用外壁パネル11の両端には、それぞれ出入隅部用の基本外壁パネル7が連設される。出隅用外壁パネル11と基本外壁パネル7とが隣接して接続される隙間(連設部)の表面(外表面)側には、シーリング材が打設されて実際の目地20が形成される。出隅用外壁パネル11の化粧目地21のピッチWと、基本外壁パネル7の化粧目地21のピッチWとは出寸法Dの1/1(整数分の1)であり、互いに等しい。つまり、出隅用外壁パネル11と基本外壁パネル7とは化粧目地21のピッチWが均一に揃って連続することになり、外壁5の外観意匠上、化粧目地21の不揃いは生じない。
(ベランダ、及び独立柱周り)
【0044】
図4、及び図6に示されるように、ベランダの周縁には、転落防止用のベランダ腰壁用壁パネル13が割り付けられる。ベランダ腰壁用壁パネル13同士が隣接して接続される隙間(連設部)の表面(外表面)側には、シーリング材が打設されて実際の目地20が形成される。また、ベランダ腰壁用壁パネル13の化粧目地21のピッチWは出寸法Dの1/1(整数分の1)で、互いに等しいので外壁5の外観意匠上、化粧目地21の不揃いは生じない。なお、ベランダの入隅部には、入隅用外壁パネル9が割り付けられている。また、入隅用外壁パネル9には出隅用外壁パネル11が連設されるが、出隅用外壁パネル11が勝つように割り付けられている。
【0045】
ベランダなどに配置された独立柱(構造柱)3には、独立柱3を取り囲むように四枚の出隅用外壁パネル11が割り付けられる。出隅用外壁パネル11同士が隣接して接続される隙間(連設部)の表面(外表面)側には、シーリング材が打設されて実際の目地20が形成される。また、出隅用外壁パネル11の化粧目地21のピッチWは出寸法Dの1/1(整数分の1)で、互いに等しいので外壁5の外観意匠上、化粧目地21の不揃いは生じない。
(入隅部)
【0046】
図2、及び図7に示されるように、例えば、1階に形成される入隅部Caには、入隅用外壁パネル9と基本外壁パネル7とが割り付けられる。入隅用外壁パネル9は、基本外壁パネル7の表面に端部が当接するように連設される。入隅用外壁パネル9の表面側の端縁は、基本外壁パネル7の化粧目地21に沿って配置される。入隅用外壁パネル9と基本外壁パネル7との間の隙間(連設部)の表面(外表面)側には、シーリング材が打設されて実際の目地20が形成される。従って、入隅用外壁パネル9と基本外壁パネル7との間に形成される目地20は、丁度、基本外壁パネル7の化粧目地21上に形成されることになり、外壁5の外観意匠上、化粧目地21の不揃いは生じない。
【0047】
なお、本実施形態では、化粧目地21のピッチWが外壁5の出寸法Dに一致しているので、入隅用外壁パネル9と基本外壁パネル7とを入隅部Caに割り付ける際に、左右勝手は発生しない。従って、本実施形態によれば、一種類の入隅用外壁パネル9によって左右のどちら側への割り付けにも対応できる。その結果として、制定(規格化)すべき部材の品種を減らすことができる。
【0048】
図3、及び図8に示されるように、例えば、2階に形成される入隅部Caには、開口パネル19と基本外壁パネル7とが割り付けられる。開口パネル19は、側端部が基本外壁パネル7の表面に当接するように連設される。開口パネル19の表面側の端縁は、基本外壁パネル7の化粧目地21に沿って配置される。開口パネル19と基本外壁パネル7との間の隙間(連設部)の表面(外表面)側には、シーリング材が打設されて実際の目地20が形成される。従って、開口パネル19と基本外壁パネル7との間に形成される目地20は、丁度、基本外壁パネル7の化粧目地21上に形成されることになり、外壁5の外観意匠上、化粧目地21の不揃いは生じない。
【0049】
なお、開口パネル19の上方及び下方の少なくとも一方には、開口パネル19の幅に対応し、開口パネル19の上縁または下縁に沿った上下用短尺外壁パネル15が割り付けられている(図1参照)。
【0050】
次に、図9を参照して入隅部Caの第1の変形例について説明する。第1の変形例では、幅寸法の異なる2種類の基本外壁パネル7が入隅部Caに割り付けられている。具体的には、出入隅部用の幅の狭い基本外壁パネル7の端部が、一般部用の幅の広い基本外壁パネル7の表面に当接するように連設される。出入隅部用の基本外壁パネル7の表面側の端縁は、一般部用の基本外壁パネル7の化粧目地21に沿って配置される。出入隅部用の基本外壁パネル7と一般部用の基本外壁パネル7との間の隙間(連設部)の表面(外表面)側には、シーリング材が打設されて実際の目地20が形成される。従って、出入隅部用の基本外壁パネル7と一般部用の基本外壁パネル7との間に形成される目地20は、丁度、一般部用の基本外壁パネル7の化粧目地21上に形成されることになり、外壁5の外観意匠上、化粧目地21の不揃いは生じない。
【0051】
なお、この第1の変形例では、出入隅部用の基本外壁パネル7の端部に連設するように開口パネル19が割り付けられている。
【0052】
次に、図10を参照して入隅部Caの第2の変形例について説明する。第2の変形例では、入隅用外壁パネル9と開口パネル19とが入隅部Caに割り付けられている。具体的には、開口パネル19の端部が、入隅用外壁パネル9の表面に当接するように連設される。開口パネル19の表面側の端縁は、入隅用外壁パネル9の化粧目地21に沿って配置され、開口パネル19と入隅用外壁パネル9との間の隙間(連設部)の表面(外表面)側には、シーリング材が打設されて実際の目地20が形成される。従って、開口パネル19と入隅用外壁パネル9との間に形成される目地20は、丁度、入隅用外壁パネル9の化粧目地21上に形成されることになり、外壁5の外観意匠上、化粧目地21の不揃いは生じない。
【0053】
なお、この第2の変形例では、入隅用外壁パネル9の端部に連設するように開口パネル19が割り付けられている。
【0054】
次に、図11を参照して入隅部Caの第3の変形例について説明する。第3の変形例では、第2の変形例と同様に、入隅用外壁パネル9と開口パネル19とが入隅部Caに割り付けられている。したがって、開口パネル19と入隅用外壁パネル9との間に形成される目地20は、丁度、入隅用外壁パネル9の化粧目地21上に形成されることになり、外壁5の外観意匠上、化粧目地21の不揃いは生じない。また、第3の変形例では、開口パネル19の一方の側端部は入隅用外壁パネル9に連設されているが、他方の側端部側には構造柱3が建てられている。さらに、構造柱3の角部に沿って出隅用外壁パネル11が割り付けられており、開口パネル19の他方の側端部と出隅用外壁パネル11とが連設されている。出隅用外壁パネル11の化粧目地21のピッチWは出寸法Dに一致するので、外壁5の外観意匠上、化粧目地21の不揃いは生じない。
(出入口部)
【0055】
図2に示されるように、本実施形態に係るアルコーブ部(出入口部)には、開き戸が開閉可能に組みつけられたドアパネルが割り付けられる。このドアパネルは入隅部用の開口パネル19であり、外壁5の出寸法D分だけ幅を詰めたパネルである。ドアパネルの両端には、入隅部Caを形成すべく一般部用の基本外壁パネル7が連設されている。アルコーブ部の出隅部Cbには、出隅用外壁パネル11が割り付けられ、その上に梁部被覆用短尺パネルが割り付けられる。
【0056】
次に、図12を参照して、出入口部の変形例について説明する。この変形例では、入隅部用の開口パネル19であるドアパネルが平部、すなわち平坦面に沿うように割り付けられている。この変形例では、入隅部用の開口パネル19を平部に割り付ける場合にも出隅用外壁パネル11に連設されることで化粧目地21のピッチWが均一に揃って連続するため、化粧目地21の不揃いは無くなり、外観意匠性に優れた建物とすることができる。
【0057】
従来の外壁(特許文献1〜3参照)では、化粧目地のピッチと出寸法との相関関係などは規定されていなかったため、出隅部や入隅部において、外壁パネルや開口パネルなどを割り付けた際の化粧目地が不揃いになり易かった。しかしながら、上記の実施形態に係る工業化住宅1では、外壁パネル7,9,11,13,15の化粧目地21のピッチWが出寸法Dの整数分の1となるように規定されているため、出隅部Cbや入隅部Caにおいて出寸法Dに対応させるように外壁パネル7,9,11,13,15を連設した場合にも、化粧目地21のピッチWが均一に整い、不揃いが生じ難い。その結果として、本実施形態に係る工業化住宅1によれば、化粧目地21の不揃いを解消でき、外観意匠性に優れた建物とすることができる。
【0058】
特に、吹付け塗装によって仕上げられた状態では、目地20と化粧目地21の判別は困難となり、1枚の外壁面5aに同一形状の化粧目地21が一定の間隔で連続的に配列されたように視認される。その結果として、外壁面5aの化粧目地21に不揃いが生じない意匠性に優れた外観が形成される。
【0059】
また、本実施形態に係る工業化住宅1では、出隅用外壁パネル11が出隅部Cbに割り付けられると共に、基本外壁パネル7に連設され、出隅用外壁パネル11と基本外壁パネル7とは化粧目地21のピッチWが均一に揃って連続している。つまり、出隅用外壁パネル11を出隅部Cbに割り付けて基本外壁パネル7に連設した場合にも、出隅用外壁パネル11と基本外壁パネル7との間で化粧目地21の不揃いは無くなり、外観意匠性に優れた建物とすることができる。
【0060】
また、本実施形態に係る工業化住宅1の入隅部Caでは、入隅用外壁パネル9の端部が基本外壁パネル7の表面に当接されると共に、入隅用外壁パネル9の表面側の端縁は、基本外壁パネル7の化粧目地21に沿って配置されている。つまり、入隅用外壁パネル9と基本外壁パネル7とを連接して入隅部Caを形成する場合にも、入隅用外壁パネル9と基本外壁パネル7との間で化粧目地21の不揃いは無くなり、外観意匠性に優れた建物とすることができる。
【0061】
さらに、本実施形態に係る工業化住宅1では、出寸法Dの正の整数倍の幅を有する開口パネル19と、出寸法Dの正の整数倍の幅を有し、且つ開口パネル19の上縁、及び下縁の少なくとも一方に沿って配置される上下用短尺外壁パネル15(短尺パネル)が規格化されている。つまり、サッシなどを取り付ける場合に用いる開口パネル19の上縁、及び下縁に沿って配置される上下用短尺外壁パネル15においても化粧目地21の不揃いは無くなり、外観意匠性に優れた建物とすることができる。
【0062】
さらに、本実施形態に係る工業化住宅1は2階建てであり、1階、及び2階の外壁面構造それぞれの目地配置24A,24Bが上下で連続している。つまり、2階建ての工業化住宅1でありながら、1階(下階)の外壁面構造の目地配置24Aと2階(上階)の外壁面構造の目地配置24Bとの間でズレが生じることはなく、従って、外観意匠性に優れた建物とすることができる。
【0063】
特に、基本外壁パネル7の表面に形成される化粧目地21のピッチWを出寸法Dの整数分の1となるように規定しているので、例え、1階の入隅部Caでは基本外壁パネル7を入隅部Ca側に寄せて配置し、2階の入隅部Caでは基本外壁パネル7を反対側に寄せて配置するようにしても上下階で化粧目地21のピッチWがズレてしまうことはなく、外観意匠性に優れた建物とすることができる。
【符号の説明】
【0064】
1…規格化建物、5…外壁、5a…外壁面、7…基本外壁パネル(一般外壁パネル)、9…入隅用外壁パネル、11…出隅用外壁パネル、13…ベランダ腰壁用壁パネル、15…上下用短尺外壁パネル(短尺パネル)、19…開口パネル、20…実際の目地、21…化粧目地、Cb…出隅部、Ca…入隅部、L…通り芯、D…通り芯から外壁面までの出寸法、W…化粧目地のピッチ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種の外壁パネルによって形成された外壁を備えた規格化建物であって、
柱を割り付ける際に利用され、且つ外壁を形成する際の基準となる通り芯から外壁面までの出寸法が一定の値Dとなるように制定され、
前記外壁パネルの表面には、連設される他の前記外壁パネルとの間に生じる目地に対応した化粧目地が所定のピッチWで形成され、
前記ピッチWは、前記出寸法Dの整数分の1となるように規定されていることを特徴とする規格化建物。
【請求項2】
前記外壁パネルは、矩形平板状で、且つ前記出寸法Dの整数倍の幅を有する一般外壁パネルと、断面L字状で、且つ屈曲して接続された二面それぞれの幅寸法が前記出寸法Dに等しい出隅用外壁パネルとを有し、
前記出隅用外壁パネルは、出隅部に割り付けられると共に、前記一般外壁パネルに連設され、
前記出隅用外壁パネルと前記一般外壁パネルとは化粧目地のピッチWが均一に揃って連続することを特徴とする請求項1記載の規格化建物。
【請求項3】
前記外壁パネルは、前記一般外壁パネルと、前記一般外壁パネルから前記出寸法D分の幅を詰めた入隅用外壁パネルと、を更に有し、
入隅部では、前記入隅用外壁パネルの端部が前記外壁パネルの表面に当接されると共に、前記入隅用外壁パネルの表面側の端縁は、前記一般外壁パネルの前記化粧目地に沿って配置されることを特徴とする請求項2記載の規格化建物。
【請求項4】
前記外壁は、前記出寸法Dの整数倍の幅を有する開口パネルを更に備えて形成され、
前記外壁パネルは、前記出寸法Dの整数倍の幅を有し、且つ前記開口パネルの上縁、及び下縁の少なくとも一方に沿って配置される短尺パネルを更に有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の規格化建物。
【請求項5】
複数の階層を備え、且つ、各階の外壁面構造が複数の前記外壁パネルの連設によって形成され、
下階の前記外壁面構造の前記目地、及び前記化粧目地によって形成される目地配置と、上階の前記外壁面構造の前記目地、及び前記化粧目地によって形成される目地配置とが連続していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の規格化建物。
【請求項1】
複数種の外壁パネルによって形成された外壁を備えた規格化建物であって、
柱を割り付ける際に利用され、且つ外壁を形成する際の基準となる通り芯から外壁面までの出寸法が一定の値Dとなるように制定され、
前記外壁パネルの表面には、連設される他の前記外壁パネルとの間に生じる目地に対応した化粧目地が所定のピッチWで形成され、
前記ピッチWは、前記出寸法Dの整数分の1となるように規定されていることを特徴とする規格化建物。
【請求項2】
前記外壁パネルは、矩形平板状で、且つ前記出寸法Dの整数倍の幅を有する一般外壁パネルと、断面L字状で、且つ屈曲して接続された二面それぞれの幅寸法が前記出寸法Dに等しい出隅用外壁パネルとを有し、
前記出隅用外壁パネルは、出隅部に割り付けられると共に、前記一般外壁パネルに連設され、
前記出隅用外壁パネルと前記一般外壁パネルとは化粧目地のピッチWが均一に揃って連続することを特徴とする請求項1記載の規格化建物。
【請求項3】
前記外壁パネルは、前記一般外壁パネルと、前記一般外壁パネルから前記出寸法D分の幅を詰めた入隅用外壁パネルと、を更に有し、
入隅部では、前記入隅用外壁パネルの端部が前記外壁パネルの表面に当接されると共に、前記入隅用外壁パネルの表面側の端縁は、前記一般外壁パネルの前記化粧目地に沿って配置されることを特徴とする請求項2記載の規格化建物。
【請求項4】
前記外壁は、前記出寸法Dの整数倍の幅を有する開口パネルを更に備えて形成され、
前記外壁パネルは、前記出寸法Dの整数倍の幅を有し、且つ前記開口パネルの上縁、及び下縁の少なくとも一方に沿って配置される短尺パネルを更に有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の規格化建物。
【請求項5】
複数の階層を備え、且つ、各階の外壁面構造が複数の前記外壁パネルの連設によって形成され、
下階の前記外壁面構造の前記目地、及び前記化粧目地によって形成される目地配置と、上階の前記外壁面構造の前記目地、及び前記化粧目地によって形成される目地配置とが連続していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の規格化建物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−225016(P2012−225016A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91964(P2011−91964)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【Fターム(参考)】
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