説明

視聴システム及びその制御方法

【課題】周囲の環境に応じて、より適切な画質調整処理が施された画像を表示することのできる視聴システム及びその制御方法を提供する。
【解決手段】本発明の視聴システムは、画像表示装置と撮像装置とを有する視聴システムであって、撮像装置は、視聴者の側から画像表示装置の画面を撮像して撮影画像信号を生成する撮像手段と、撮像手段で生成された撮影画像信号から、画像表示装置の画面の領域を検出する検出手段と、画像表示装置に黒画像が表示されている期間の画面の領域の明るさを表す外光評価値を算出する算出手段と、を有し、画像表示装置は、入力された画像信号に基づく画像を表示する表示手段と、外光評価値によって表される明るさが基準の明るさより明るい場合に、表示手段で表示する画像の視認性を高める画質調整処理を入力された画像信号に施す処理手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視聴システム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、周囲の明るさを測定する受光素子を表示装置に搭載し、受光素子に入射される光の光量に基づいて、表示画像の画質を自動的に調整する機能が普及しつつある。
例えば、表示装置の周囲が暗い場合に画像の輝度を低く設定し、表示装置の周囲が明るい場合に画像の輝度を高く設定することで、画像を見やすくする技術がある(例えば特許文献1)。具体的には、表示装置の周囲が暗い場合に画像の輝度を低く設定することで、画像(画面)の眩しさが抑えられ、表示装置の周囲が明るい場合に画像の輝度を高く設定することで、画像の視認性が高められる。
しかし、これらの従来技術を用いたとしても、外光が画面に反射して画像が見えにくくなること、即ち、周囲の環境(視聴者の背景など)の映り込みによる画像の視認性の低下を抑制することはできなかった。
そこで、そのような問題を解決するための技術として、表示装置に設置した複数の撮像素子により、ユーザの位置と、画面に反射してユーザの目に入射すると思われる背景とを算出し、画質調整処理を行う技術が提案されている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−88626号公報
【特許文献2】特開2009−31337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術では、表示装置本体に複数の撮像素子を設ける必要があるため、表示装置本体のコストが増してしまう。
また、上述した従来の技術では、視聴者の目に入射する反射光や直接光が視聴をどの程度妨げているかを判断できないため、適切な画質調整処理を行うことができないことがある。
更に、上述した従来の技術では、複数の画像を表示し、複数の視聴者がそれぞれ異なる画像を視聴する場合に、それぞれの画像に対して適切な画質調整処理を行うことができないことがある。
【0005】
本発明は、周囲の環境に応じて、より適切な画質調整処理が施された画像を表示することのできる視聴システム及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の視聴システムは、
画像表示装置と撮像装置とを有する視聴システムであって、
前記撮像装置は、
視聴者の側から前記画像表示装置の画面を撮像して撮影画像信号を生成する撮像手段と、
前記撮像手段で生成された撮影画像信号から、前記画像表示装置の画面の領域を検出する検出手段と、
前記画像表示装置に黒画像が表示されている期間の前記画面の領域の明るさを表す外光評価値を算出する算出手段と、
前記算出手段で算出された前記外光評価値を送信する送信手段と、
を有し、
前記画像表示装置は、
入力された画像信号に基づく画像を表示する表示手段と、
前記送信手段で送信された前記外光評価値を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信された前記外光評価値によって表される明るさが基準の明るさより明るい場合に、前記表示手段で表示する画像の視認性を高める画質調整処理を前記入力された画像信号に施す処理手段と、
を有する。
【0007】
本発明の視聴システムの制御方法は、
画像表示装置と撮像装置とを有する視聴システムの制御方法であって、
前記撮像装置が、視聴者の側から前記画像表示装置の画面を撮像して撮影画像信号を生成する撮像ステップと、
前記撮像装置が、前記撮像ステップで生成された撮影画像信号から、前記画像表示装置の画面の領域を検出する検出ステップと、
前記撮像装置が、前記画像表示装置に黒画像が表示されている期間の前記画面の領域の明るさを表す外光評価値を算出する算出ステップと、
前記撮像装置が、前記算出ステップで算出された前記外光評価値を送信する送信ステップと、
前記画像表示装置が、入力された画像信号に基づく画像を表示する表示ステップと、
前記画像表示装置が、前記送信ステップで送信された前記外光評価値を受信する受信ステップと、
前記画像表示装置が、前記受信ステップで受信された前記外光評価値によって表される明るさが基準の明るさより明るい場合に、前記表示手段で表示する画像の視認性を高める画質調整処理を前記入力された画像信号に施す処理ステップと、
を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、周囲の環境に応じて、より適切な画質調整処理が施された画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1に係る視聴システムの機能構成の一例を示すブロック図
【図2】実施例1に係る視聴システムの通常の動作の一例を示すタイミングチャート
【図3】実施例1に係る画像表示装置の制御部の動作の一例を示すフローチャート
【図4】実施例1に係るシャッター式眼鏡の制御部の動作の一例を示すフローチャート
【図5】実施例1に係る信号処理部の機能構成の一例を示すブロック図
【図6】実施例1に係る信号処理部の処理内容の一例を示す図
【図7】実施例1に係る重みテーブルの一例を示す図
【図8】実施例1の効果の一例を示す図
【図9】実施例2に係る視聴システムの機能構成の一例を示すブロック図
【図10】実施例2に係る視聴システムの通常の動作の一例を示すタイミングチャート
【図11】実施例2に係る画像表示装置の制御部の動作の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施例1>
本発明の実施例1に係る視聴システム及びその制御方法について説明する。
図1は、本実施例に係る視聴システムの機能構成の一例を示すブロック図である。本実施例では、視聴システムが、シャッター式眼鏡を用いた、時分割3D画像視聴システムである場合の例について説明する。図1に示すように、本実施例に係る視聴システムは、画像表示装置100と撮像装置(具体的には、撮像装置が設けられたシャッター式眼鏡200)とを有する。画像表示装置100は、両眼視差のある左目用画像と右目用画像を表示する立体画像表示装置(3D画像表示装置)である。シャッター式眼鏡200は、左目用画像と右目用画像を立体視するための眼鏡である。
【0011】
まず、画像表示装置100について説明する。
入力部101は、入力された画像信号300Iを、所望のフォーマットの画像信号に変換し、画像出力制御部102に出力する。また、入力部101は、入力された音声信号300Sを、所望のフォーマットの音声信号に変換し、音声出力制御部104に出力する。ここで、画像信号は、左目用画像信号と右目用画像信号を含む立体画像信号である。
【0012】
画像出力制御部102は、入力部101から出力された画像信号を、画質調整処理を施し、表示部103に出力する。
表示部103は、画像出力制御部102から出力された画像信号に基づく画像を表示する。
具体的には、画像出力制御部102から、左目用画像信号と右眼用画像信号が交互に出力される。そして、表示部103に、左目用画像信号に基づく画像(左目用画像)と右目用画像信号に基づく画像(右目用画像)が交互に表示される。
また、本実施例では、表示部103は、画像出力制御部102から出力された画像信号に基づく画像を、フレーム間に黒画像を挿入して表示する。即ち、本実施例では、左目用画像のフレームと右目用画像のフレームの間に黒画像が表示される。
【0013】
音声出力制御部104は、入力部101から出力された音声信号を処理(例えば、デジタル音声信号をアナログ音声信号に変換するアナログ−デジタル変換など)し、スピーカー105に出力する。
スピーカー105は、音声出力制御部104から出力された音声信号を音に変換し、出力する。
【0014】
送信部106は、制御部108から出力される以下の信号を、シャッター式眼鏡200に送信する。
・シャッター制御信号
・外光評価値要求信号
・ブランキング(以下BLK)信号
シャッター制御信号は、シャッター式眼鏡200のシャッター駆動部206を制御するための信号である。
外光評価値要求信号は、シャッター式眼鏡200に外光評価値を要求する信号である。外光評価値は、画像表示装置100の周囲の環境を表す値である。具体的には、外光評価値は、画像表示装置100の画面に黒画像を表示しているときの、視聴者から見た画面の明るさ(画面に反射した外光の明るさ)を表す。より具体的には、外光評価値は、画像表示装置100の画面に黒画像が表示されている期間に後述する撮像部204で生成された撮影画像信号の、画像表示装置100の画面の領域の明るさを表す。本実施例では、外光評価値は、画面の領域の明るさが明るいほど高くなるような値である。また、本実施例では、外光評価値は0〜1の値とする。詳しい算出方法は後述する。
BLK信号は、表示部103に何も表示しない期間(黒画像を表示する期間)を示す信号である。本実施例では、BLK信号は、フレーム間に挿入された黒画像を表示する期間を示す。
【0015】
制御部108は、シャッター制御信号、外光評価値要求信号、BLK信号を送信部106に送る。また、制御部108は、表示部103に表示する画像と同期を取るよう、音声出力制御部104からの音声信号の出力タイミングを調整する。また、制御部108は、受信部109が受信した外光評価値に基づいて、画像出力制御部102で実行する画質調整処理の処理強度(設定値)を設定する。
受信部109は、シャッター式眼鏡200の送信部202から送信される、眼鏡のON/OFF情報、及び、外光評価値を受信し、制御部108に送る。
【0016】
次に、シャッター式眼鏡200について説明する。
受信部201は、画像表示装置100の送信部106から出力された信号を受信する。受信部201で受信されたシャッター制御信号は、制御部205に送られる。
送信部202は、制御部205から出力された外光評価値を画像表示装置100に送信する。
撮像部204は、視聴者の側から画像表示装置100の画面を撮像して撮影画像信号を生成する。具体的には、撮像部204は、シャッター式眼鏡200のレンズ近傍に、視聴者の目線方向を撮影するように設置されている。そして、撮像部204は、生成した撮影画像信号を信号処理部208に出力する。撮像部204は、例えば、シャッター式眼鏡200を使って画像表示装置100に表示されている画像を視聴する視聴者の目線方向を撮影するように、設置されている。
【0017】
制御部205は、シャッター式眼鏡200の全体制御を行なう。制御部205は、画像表示装置100から受信したBLK信号をデコードし、信号処理部208に出力する。制御部205は、画像表示装置100から受信した外光評価値要求信号を信号処理部208に出力する。制御部205は、画像表示装置100から受信したシャッター制御信号をシャッター駆動部206に出力する。
シャッター駆動部206は、制御部205からのシャッター制御信号に従い、シャッター部207に駆動信号を出力する。それにより、シャッター制御信号に従って、シャッター部207が駆動される。
シャッター部207は、シャッター駆動部206からの駆動信号に応じて、シャッター式眼鏡200のレンズに設けられたシャッターを開閉する。それにより、画像表示装置100の表示に同期して、シャッター式眼鏡200のレンズに設けられたシャッターが開閉される。
信号処理部208は、撮像部204で生成された撮影画像信号から、画像表示装置100の画面の領域を検出する。また、信号処理部208は、外光評価値を算出する。信号処理部208の機能の詳細は、図5を用いて後述する。
操作入力部209は、シャッター式眼鏡200の電源のON/OFFを切り替える電源ボタンである。
なお、上述した機能のうち、外光評価値を算出し、画像表示装置100へ装置するために必要な機能(本実施例では、受信部201、送信部202、撮像部204、制御部205、および、信号処理部208)が撮像装置の機能である。
【0018】
図2は、立体画像(3D画像)を視聴する際の、視聴システムの通常の動作の一例を示すタイミングチャートである。図2は、フレームレート60Hzの画像を視聴する場合の例である。図中、表示画像は、画像表示装置100が表示する画像を示す。図2に示すように、1枚の左目用画像と1枚の右目用画像の組を1フレームとして、左目用画像と右目用画像が交互に表示される。そのため、表示部103は、120Hzで、左目用画像と右目用画像を交互に表示する。
画像表示装置100の送信部106は、表示部103での画像の表示に同期して、シャッター制御信号を出力する。
シャッター式眼鏡200のレンズに設けられたシャッターは、受信部201で受信され
たシャッター制御信号に従って開閉される。具体的には、図2に示すように、画像表示装置100が左目用画像を表示している時には、左目レンズ(左目側のレンズ)のシャッターが開かれ、右目レンズ(右目側のレンズ)のシャッターが閉じられる。画像表示装置100が右目用画像を表示している時には、右目レンズのシャッターが開かれ、左目レンズのシャッターが閉じられる。それにより、左目用画像が左目に入力され、右目用画像が右目に入力され、視聴者は左目用画像と右目用画像を立体視することができる。シャッターは、例えば、液晶を用いて、駆動信号のON/OFFにより光の透過/遮断を制御することにより実現される。
なお、シャッターの開閉の切り替えには、時間を要する。そこで、本実施例では、シャッターの開閉を切り替えている期間に望ましくない画像がレンズを透過するのを抑制するために、左目用画像のフレームと右目用画像のフレームの間に黒画像を表示する。具体的には、左目レンズのシャッターを開いた状態から閉じた状態へ切り替えている間に右目用画像を表示してしまうと、右目用画像が左目レンズを透過してしまう。本実施例では、このような望ましくない画像の透過を抑制するために、フレーム間に黒画像を表示する。
【0019】
次に、外光評価値を算出し、画質調整処理を行う際の、本実施例に係る視聴システムの動作について、図3、図4のフローチャートを用いて説明する。
図3は、画像表示装置100の制御部108の動作フローチャートである。
このフローは、制御部108のメインループの一部であっても良いし、タイマー割り込みなどで呼び出されても良い。
ステップS101では、制御部108が、外光評価値要求信号を送信部106へ出力する。それにより、外光評価値要求信号が、送信部106からシャッター式眼鏡200へ送信される。
ステップS102では、制御部108が、シャッター式眼鏡200から送信され、受信部109で受信された外光評価値を取得する。
ステップS103では、制御部108が、S102で取得した外光評価値によって表される明るさが基準の明るさより明るいか否かを判定する。具体的には、制御部108は、S102で取得した外光評価値が基準値より大きいか否かを判定する。
基準の明るさは、例えば、標準的な視聴環境下で黒画像を表示しているときの、視聴者から見た画面の明るさであり、基準値は、そのような明るさを表す値(標準的な視聴環境下で算出された外光評価値)である。基準の明るさは、予め定められた明るさであってもよいし、時刻や視聴者の年齢などに基づいて決定された明るさであってもよい。同様に、基準値は、予め定められた値であってもよいし、時刻や視聴者の年齢などを用いて算出された値であってもよい。本実施例では、基準値を0.4とする。
【0020】
外光評価値が基準値より大きい場合には(S103:YES)、制御部108は、画像表示装置100の周囲が過度に明るい、または、画像表示装置100の周囲の環境が画面に映り込んでおり、画像の視認性が低下していると判断する。そして、制御部108は、ステップS104で、画質調整処理の設定値の初期値(複数の画質調整処理が行われる場合、各画質調整処理の設定値の初期値)に対し、
(MAX値−初期値)×(外光評価値−基準値)÷(1−基準値)・・・(1)
を加算する。そして、画像出力制御部102に、表示部103で表示する画像の視認性を高める画質調整処理を行わせる。ここで、MAX値は、設定値の最大値である。
具体的には、制御部108は、調整後の設定値を画像出力制御部102へ送信する。それにより、画像出力制御部102では、入力部101から出力された画像信号に、上記送信された設定値を用いた画質調整処理が施され、該画質調整処理が施された画像信号が出力される。画質調整処理は、例えば、輝度調整処理、コントラスト調整処理、エッジ強調処理、黒伸張処理である。設定値は、画質調整処理の強度を表す。具体的には、画質調整処理が輝度調整処理の場合、設定値が大きいほど輝度が高められる。画質調整処理がコントラスト調整処理の場合、設定値が大きいほどコントラストが高められる。画質調整処理
がエッジ強調処理の場合、設定値が大きいほどエッジが強調される。画質調整処理が黒伸長処理の場合、設定値が大きいほど暗部(低階調部分)の階調性が高められる。設定値の初期値に上記式(1)により得られる値を加算すれば、調整後の設定値の値は初期値よりも大きくなる。そのような設定値(初期値よりも大きい設定値)を用いることで、画像信号に、表示する画像の視認性を高める画質調整処理が施される。
なお、設定値の初期値は、所定の画質調整処理が行われるような値であってもよいし、画質調整処理が行われないような値(画質調整処理前後の画素値が同じとなるような値)であってもよい。
また、外光評価値が大きいほど、上記式(1)により得られる値は大きくなり、設定値の初期値に上記式(1)により得られる値を加算した値は大きくなる。そのため、本実施例では、外光評価値が基準値より大きい場合に、外光評価値が大きいほど(即ち、外光評価値によって表される明るさが明るいほど)表示部103で表示する画像の視認性が高められる。
【0021】
外光評価値が基準値以下の場合には(S103:NO)、制御部108は、画像表示装置100の周囲が過度に暗く、画像が明るすぎる(視聴者が画像を眩しく感じている)と判断する。そして、制御部108は、ステップS105で、画質調整処理の設定値の初期値から、
初期値−初期値×外光評価値÷基準値・・・(2)
を減算する。そして、画像出力制御部102に、表示部103で表示する画像の明るさを暗くする画質調整処理を行わせる。
具体的には、制御部108は、調整後の設定値を画像出力制御部102へ送信する。それにより、画像出力制御部102では、入力部101から出力された画像信号に、上記送信された設定値を用いた画質調整処理が施され、該画質調整処理が施された画像信号が出力される。外光評価値が基準値より小さい場合、設定値の初期値から上記式(2)により得られる値を減算すれば、調整後の設定値の値は初期値よりも小さくなる。そのような設定値(初期値よりも小さい設定値)を用いることで、画像信号に、表示する画像の明るさを暗くする画質調整処理が施される。
また、外光評価値が小さいほど、上記式(2)により得られる値は大きくなり、設定値の初期値から上記式(2)により得られる値を減算した値は小さくなる。そのため、本実施例では、外光評価値が基準値より小さい場合に、外光評価値が小さいほど(即ち、外光評価値によって表される明るさが暗いほど)表示部103で表示する画像の明るさが暗くされる。
【0022】
なお、外光評価値と基準値が等しい場合、画像表示装置100の周囲の明るさは適切であると考えられる。そのため、そのような場合には、設定値の初期値を用いた画質調整処理を行うことが望ましい。本実施例では、外光評価値と基準値が等しい場合、式(2)により得られる値は0となり、設定値は初期値のままとされる。それにより、画像表示装置100の周囲の明るさが適切である場合に、画像出力制御部102に、設定値の初期値を用いた画質調整処理を行わせることができる。
なお、本実施例では、外光評価値が基準値以下の場合に、画像表示装置100の周囲が過度に暗いと判断されるものとしたが、これに限らない。上述したように、外光評価値と基準値が等しい場合、画像表示装置100の周囲の明るさは適切であると考えられる。そのため、外光評価値が基準値と等しい場合に、画像表示装置100の周囲の明るさが適切であると判断され、外光評価値が基準値より小さい場合に、画像表示装置100の周囲の明るさが過度に暗いと判断されてもよい。画像表示装置100の周囲の明るさが適切であると判断された場合には、設定値の調整(上記式(2)を用いた計算)は行わなくてもよい。画像表示装置100の周囲の明るさが適切であると判断された場合に、制御部108が画像出力制御部102に画質調整処理を行わないように指示する構成であってもよい。
【0023】
図4は、シャッター式眼鏡200の制御部205の動作フローチャートである。
このフローは、画像表示装置100から受信した制御コマンドが、ステップS101で送信された外光評価値要求だった場合に実行される。
ステップS201では、制御部205が、受信部201で受信された外光評価値要求を取得し、撮像部204に対し、撮影コマンドを送信する。撮像部204は、撮影コマンドの受信に応じて、撮影を開始し、撮影画像信号を生成する。
ステップS202では、制御部205が、撮像部204で生成された撮影画像信号から画像表示装置100の画面の領域が検出されたか否かを判断する。
【0024】
画面の領域が検出された場合には(S202:YES)、ステップS203で、制御部205が、後述する重みテーブルを更新する。そして、ステップS205で、制御部205が、信号処理部208に外光評価値の算出を指示する。それにより、信号処理部208で外光評価値が算出され、該算出された外光評価値が制御部205に入力される。
画面の領域が検出されなかった場合には(S202:NO)、ステップS204で、制御部205が、設定値を変更しない(初期値のままとする)ために、上記基準値を外光評価値に代入する。
ステップS206では、制御部205が、送信部202に、ステップS205、またはステップS204で取得した外光評価値を送信し、処理を終了する。送信部202は、受信した外光評価値を画像表示装置100へ送信する。
【0025】
次に、シャッター式眼鏡200の信号処理部208の機能構成の一例を、図5と図6を用いて説明する。
画面領域検出回路400には、撮像部204から出力された撮像画像信号、及び、受信部201で受信し、制御部205でデコードされた、BLK信号が入力される。BLK信号は、図2に示す左目用画像と右目用画像の間に挿入された黒画像(画面全体が黒の画像)の表示タイミングと同期して出力される。
画面領域検出回路400では、撮像画像信号から、画像表示装置の画面の領域が検出される。具体的には、フレーム間に挿入された黒画像の表示タイミングに同期して明るさが変化している領域、即ち、BLK信号と同期して点滅している領域が画面の領域として検出される。そして、画面領域検出回路400は、画面の領域の検出結果(画面の領域を表す画面領域情報410)を出力する(図6のa)。上述したステップS202では、画面領域情報410を用いて、画像表示装置100の画面の領域が検出されたか否かが判断される。
【0026】
重みテーブル生成回路401では、画面領域情報410を用いて、重みテーブル412が生成(作成)される(図6のb)。重みテーブル412は、撮像部204で撮像される領域毎の重みを表し、上記画面の領域の重みが他の領域の重みよりも大きいテーブルである。本実施例では、重みテーブル412は、画面の領域の重みを最大値とし、該領域から離れるにつれて重みが小さくなるテーブル(二次元テーブル)である。図6の例では、重みが大きいほど白に近い色で重みを表現している。
図7に重みテーブルの一例を示す。図7は、16×16の画素で構成される撮像素子において、水平方向の座標が04h〜0Bh、垂直方向の座標が04v〜0Bvの領域が画面の領域である場合の例である。図7の例では、画面の領域内の重みは全て1.0とされ、画面の領域から1画素離れるに従い重みが0.2減少されるテーブルデータとなっている。
【0027】
論理回路402では、BLK信号を用いて、撮影画像信号から、黒画像が表示されている期間(BLK期間)の撮影画像信号411(図6のc)が抽出され、後段へ出力される。BLK期間の撮影画像信号411は、画面に何も表示されていないときに、画面に反射して視聴者の目に入射する外光を表す。
そして、乗算器403と加算部404では、BLK期間中の撮影画像信号411と、重みテーブル412と、の積和演算が行われる。具体的には、乗算器403では、画素毎に、BLK期間中の撮影画像信号411と、重みテーブル412の重みとの積算が行われる(図6のd)。そして、加算部404では、画素毎の上記積算の結果413の累計値415が算出される。
最大値算出部405では、累計値415の最大値414が算出される。具体的には、画素毎に、撮像画像信号の最大階調値と、重みテーブル412の重みとの積算が行われる。そして、画素毎の上記積算の結果の累計値が、最大値414として算出される。
除算部406では、累計値415を最大値414で除算する。それにより、最大値を1とする外光評価値416が算出される。
【0028】
その結果、画像表示装置100の画面に黒画像を表示している期間の画面の領域の明るさが明るいほど高い値となるように、外光評価値を算出することができる。また、画面の周囲の領域が明るいほど高い値となるように、外光評価値を算出することができる。
【0029】
図8は、本実施例の効果の一例を示す図である。
図8の例では、画面に反射した外光がシャッター式眼鏡200に入射しており、映り込みによる画像の視認性の低下が生じている。しかし、本実施例では、撮像部204により、上記反射して視聴者の目に入る外光(外光の明るさ)が検出される。上記反射して視聴者の目に入る外光の明るさ(黒画像が表示されている期間の画面の領域内の明るさ)を表す外光評価値が算出される。外光評価値によって表される明るさと基準の明るさを比較することにより、映り込みによる画像の視認性の低下が生じているか否かが判断される。そして、外光評価値によって表される明るさが基準の明るさより明るい場合に、映り込みによる画像の視認性の低下が生じていると判断され、画像の視認性を高める画質調整処理が行われる。それにより、映り込みによる画像の視認性の低下をより正確に抑制することができる。
【0030】
以上述べたように、本実施例によれば、視聴者の側から画像表示装置の画面を撮像することにより、視聴者の目に入射された光を表す撮影画像信号が生成される。そして、該撮影画像信号を用いて算出された外光評価値に基づいて画質調整処理を行うことにより、周囲の環境に応じて、より適切な画質調整処理が施された画像を表示することができる。具体的には、本実施例では、画像表示装置に黒画像が表示されている期間の画面の領域の明るさ(反射して視聴者の目に入る外光)を表す外光評価値が算出される。そして、外光評価値によって表される明るさが基準の明るさより明るい場合に、表示する画像の視認性を高める画質調整処理が画像信号に施される。それにより、画質調整処理により、映り込みによる画像の視認性の低下を従来よりも正確に抑制することができる。
【0031】
また、外光評価値によって表される明るさが基準の明るさより明るい場合には、外光評価値によって表される明るさが明るいほど視認性が低下していると考えられる。本実施例によれば、外光評価値によって表される明るさが基準の明るさより明るい場合に、外光評価値によって表される明るさが明るいほど表示する画像の視認性が高められる。それにより、画像の視認性の低下をより正確に抑制することが可能となる。
【0032】
また、外光評価値によって表される明るさが基準の明るさより暗い場合には、画像表示装置の周囲が暗く、視聴者が画像を眩しく感じている可能性が高い。本実施例によれば、外光評価値によって表される明るさが基準の明るさより暗い場合に、表示する画像の明るさを暗くする画質調整処理が画像信号に施される。それにより、画像の眩しさを抑えることができる。
また、外光評価値によって表される明るさが基準の明るさより暗い場合には、外光評価値によって表される明るさが暗いほど視聴者は画像を眩しく感じると考えられる。本実施
例によれば、外光評価値によって表される明るさが基準の明るさより暗い場合に、外光評価値によって表される明るさ暗いほど表示する画像の明るさが暗くされる。それにより、画像の眩しさをより正確に抑えることができる。
【0033】
また、画面に反射した光が視聴者の目に入らなくても、画像表示装置の周囲が過度に明るい場合には、画像の視認性は低下してしまう。本実施例によれば、撮像部で撮像される領域のうち、画面以外(画像表示装置の周囲)の領域の明るさを考慮して外光評価値が算出される。具体的には、画面の領域の重みを最大値とし、該領域から離れるにつれて重みが小さくなる重みテーブルと、黒画像が表示されている期間の撮影画像信号との積和演算を行うことにより、外光評価値が算出される。それにより、画像表示装置の周囲が過度に明るいことによる、画像の視認性の低下を抑制することができる。
【0034】
なお、本実施例では、黒画像の表示タイミングに基づいて、画面の領域を検出する構成としたが、画面の領域の検出方法は、これに限らない。例えば、認識技術などを用いて画面の領域が検出されてもよい。
なお、本実施例では、黒画像が、画像表示装置に入力された画像のフレーム間に表示される構成としたが、黒画像の表示タイミング及び表示期間はこれに限らない。例えば、画像表示装置に入力された画像の表示を開始する前に、外光評価値を算出するために黒画像が所定時間だけ表示されてもよい。
なお、本実施例では、外光評価値が、画面の領域の明るさが明るいほど高くなるような値であるものとしたが、外光評価値はこれに限らない。外光評価値は、黒画像が表示されている期間の画面の領域の明るさを表す値であればどのような値であってもよい。例えば、外光評価値は、画面の領域の明るさが明るいほど低くなるような値であってもよい。そのような場合には、外光評価値が基準値より小さいときに画像の視認性が高められればよい。そして、外光評価値が基準値より大きいときに画像の明るさが暗くされればよい。
【0035】
なお、本実施例では、画面の領域から離れるに従って、重みテーブルの重みが線形的に減少する例を示したが、これに限らない。例えば、画面の領域から離れるに従って、重みテーブルの重みが非線形に減少してもよい。
なお、本実施例では、重みテーブルが、画面の領域の重みを最大値とし、該領域から離れるにつれて重みが小さくなるテーブルであるものとしたが、重みテーブルはこれに限らない。例えば、重みテーブルは、画面の領域の中心部の重みを最大値とし、該中心部から離れるにつれて重みが小さくなるテーブルであってもよい。視聴者は画面の中心部を特に注目している可能性が高いため、画面の中心部での映り込みは、画像の視聴を大きく妨害する。画面の領域の中心部の重みを最大値とし、該中心部から離れるにつれて重みが小さくなる重みテーブルを用いれば、そのような妨害を抑制することができる。また、重みテーブルは、画面の領域や画面の中心部の領域にのみ値を有し、それ以外の領域では重みが0となるテーブルであってもよい。そのようなテーブルを用いた場合であっても、映り込みによる画像の視認性の低下を従来よりも正確に抑制することができる。
【0036】
なお、本実施例では、外光評価値要求が受信された場合に外光評価値の算出、送信が行われるものとしたが、これに限らない。例えば、シャッター式眼鏡が定期的に外光評価値の算出、送信を行ってもよい。そして、画像表示装置では、外光評価値が入力されるたびに、設定値の変更が行われてもよい。
なお、本実施例では、視聴システムが時分割3D画像視聴システムであり、シャッター式眼鏡が外光評価値を算出する構成としたが、この構成に限らない。画像表示装置は、3D画像表示装置に限らず、3D画像を表示する機能を有さない2D画像表示装置であってもよい。撮像装置は、シャッター式眼鏡に設けられていなくてもよい。例えば、撮像装置は、視聴者が身に着けるものでなくてもよい。撮像装置は、視聴者の隣や背後から、画像表示装置の画面を撮像するように設置される装置であってもよい。
【0037】
なお、本実施例では、画像表示装置がフレームシーケンシャル方式の立体画像表示装置である場合について説明したが、立体画像の表示方式はフレームシーケンシャル方式に限らない。立体画像の表示方式は、偏光表示方式であってもよい。その場合には、シャッター式眼鏡の代わりに偏光フィルタ眼鏡が使用される。偏光フィルタ眼鏡は、左目レンズに、左目用画像を透過し、右目用画像を遮蔽する偏光フィルタが設けられ、右目レンズに、右目用画像を透過し、左目用画像を遮蔽する偏光フィルタが設けられた眼鏡である。偏光フィルタ眼鏡を用いることにより、左目用画像と右目用画像を立体視することができる。
なお、本実施例では、式(1),(2)を用いて設定値が調整される構成としたが、設定値や画質調整処理の調整方法はこれに限らない。外光評価値によって表される明るさが基準の明るさより明るい場合に、表示する画像の視認性が高められるように画質調整処理が調整されれば、どのように調整されてもよい。また、外光評価値によって表される明るさが基準の明るさより暗い場合に、表示する画像の明るさが暗くされるように画質調整処理が調整されれば、どのように調整されてもよい。
【0038】
<実施例2>
本発明の実施例2に係る視聴システム及びその制御方法について説明する。
図9は、本実施例に係る視聴システムの機能構成の一例を示すブロック図である。本実施例では、視聴システムが、シャッター式眼鏡を用いた、複数人視聴システムである場合の例について説明する。図9に示すように、本実施例に係る視聴システムは、画像表示装置500と複数の撮像装置(具体的には、撮像装置が設けられたシャッター式眼鏡600a,600b)とを有する。画像表示装置500は、入力された複数の画像信号に基づく複数の画像を時分割表示する画像表示装置である。シャッター式眼鏡は、上記複数の画像のうちの1つの画像を視聴するための眼鏡である。
なお、本実施例では、同時に視聴可能なコンテンツ数(画像数)と視聴者の人数を2としたが、それらの数はこれに限らない。例えば、それらの数は、3,5,10などであってもよい。
【0039】
まず、画像表示装置500について説明する。
画像表示装置500は、シャッター式眼鏡600a,600bから受信した眼鏡のON/OFF情報等により、同時に表示するコンテンツ数、及び、フレームレートを決定する。そして、複数の外部入力信号端子から入力された複数のコンテンツの画像信号、複数のコンテンツの音声信号を、それぞれ、時分割多重化する。本実施例では、第1コンテンツと第2コンテンツの画像信号と音声信号が入力されるものとする。そのため、第1コンテンツの画像信号701Iと第2コンテンツの画像信号702I、第1コンテンツの音声信号701Sと第2コンテンツの音声信号702Sが、それぞれ、時分割多重化される。
【0040】
入力処理部501aは、入力された画像信号701Iを、所望のフォーマットの画像信号に変換し、メモリ502に出力する。また、入力処理部501aは、入力された音声信号701Sを、所望のフォーマットの音声信号に変換し、メモリ502に出力する。所望のフォーマットは、例えば、LVDS等である。
入力処理部501bは、入力された画像信号702Iを、所望のフォーマットの画像信号に変換し、メモリ502に出力する。また、入力処理部501bは、入力された音声信号702Sを、所望のフォーマットの音声信号に変換し、メモリ502に出力する。
メモリ502は、入力処理部501a,501bから出力される信号を時分割多重化するための一時バッファとして機能する。
【0041】
画像時分割出力処理部503は、メモリ502に蓄積された画像信号を同時視聴する視聴者の数に応じたレートで読出し、画質調整処理を施して、表示部504に出力する。例えば、通常視聴時(1つのコンテンツを1人が視聴する場合)に画像信号が60Hzで読
み出される場合、2つのコンテンツを2人の視聴者が視聴する場合には、該2つのコンテンツの画像信号が、通常視聴時の倍の120Hzで交互に読み出される。
表示部504は、画像時分割出力処理部503から出力された画像信号に基づく画像を表示する。
【0042】
受信部505は、シャッター式眼鏡600a,600bの送信部602から無線または有線で送信される眼鏡のON/OFF情報、及び、外光評価値を受信し、制御部508に送る。
音声符号部506は、メモリ502から音声信号を読み出す。そして、音声符号部506は、読み出した音声信号を、シャッター式眼鏡600a,600bの識別データを付加して、送信部507へ送信する。具体的には、音声符号部506は、画像時分割出力処理部503で読み出された画像信号(即ち、表示部504で表示された画像)に対応する音声信号を読み出す。そして、音声符号部506は、読み出した音声信号を、該音声信号に対応するシャッター式眼鏡の識別データを付加する。本実施例では、シャッター式眼鏡600aを用いて第1コンテンツが視聴され、シャッター式眼鏡600bを用いて第2コンテンツが視聴されるものとする。そのため、第1コンテンツの音声信号が読み出された場合には、該音声信号にシャッター式眼鏡600aの識別データが付加される。
なお、音声信号は、送信部507によりシャッター式眼鏡600a,600bへ送信される。そして、音声信号は、シャッター式眼鏡のヘッドホン611で音に変換されて出力される。
【0043】
送信部507は、以下の信号を、シャッター式眼鏡600a,600bに送信する。
・識別データ
・シャッター制御信号
・外光評価値要求信号
・BLK信号
・音声信号
識別データは、送信する音声信号に対応するシャッター式眼鏡の識別データである。
シャッター制御信号は、シャッター式眼鏡600a,600bのシャッター駆動部606を制御するための信号である。
外光評価値要求信号は、シャッター式眼鏡600a,600bに外光評価値を要求する信号である。外光評価値の定義は、実施例1と同様のため、説明を省略する。
BLK信号は、表示部504に何も表示しない期間(黒画像を表示する期間)を示す信号である。本実施例では、BLK信号は、フレーム間に挿入された黒画像を表示する期間を示す。
【0044】
制御部508は、シャッター制御信号、外光評価値要求信号、BLK信号を送信部507に送る。また、制御部508は、表示部504に表示する画像と同期を取るよう、音声符号部506による音声信号の読み出しおよび出力のタイミングを調整する。
また、制御部508は、受信部505がシャッター式眼鏡600a,600bから受信した外光評価値に基づき、画像時分割出力処理部503で実行する画質調整処理の設定値を設定する。具体的には、受信した外光評価値には、送信元のシャッター式眼鏡のIDデータが付加されている。制御部508は、受信した外光評価値に基づいて、該外光評価値を算出したシャッター式眼鏡を用いて視聴される画像に施す画質調整処理の設定値を設定する。それにより、画像時分割出力処理部503では、受信された外光評価値に基づいて、複数の画像信号(複数のコンテンツ)のうち、該外光評価値を算出した撮像装置が設けられている眼鏡を用いて視聴される画像の信号に、画質調整処理が施される。
【0045】
次に、シャッター式眼鏡600aについて説明する。シャッター式眼鏡600bの構成はシャッター式眼鏡600bと同様のため、その説明は省略する。
受信部601は、画像表示装置500の送信部507から出力された信号を受信する。受信部601で受信されたシャッター制御信号と音声信号は、制御部605に送られる。
送信部602は、制御部605から出力されたON/OFF情報や外光評価値を、IDデータを付加して画像表示装置500に送信する。
撮像部604は、実施例1における撮像部204と同じ機能を有する。
制御部605は、実施例1における制御部205と同じ機能を有する。また、制御部605は、シャッター式眼鏡600aの電源がONされた際に、電源がONされたことを示すON/OFF情報を送信部602へ出力する。制御部605は、シャッター式眼鏡600aの電源がOFFされた際に、電源がOFFされたことを示すON/OFF情報を送信部602へ出力する。制御部605は、受信部601から送信された音声信号を音声復号部610へ送る。
シャッター駆動部606は、実施例1におけるシャッター駆動部206と同じ機能を有する。
シャッター部607は、実施例1におけるシャッター部207と同じ機能を有する。
信号処理部608は、実施例1における信号処理部208と同じ機能を有する。
操作入力部609は、シャッター式眼鏡600aの電源のON/OFFを切り替える電源ボタン、及び、音声のボリューム調整を行なうためのボリュームボタンである。
音声復号部610は、制御部605から送信された音声信号(符号化された音声データ)をアナログ音声信号に復号する。音声復号部610は、視聴者による操作入力部609(ボリュームボタン)の操作に応じてアナログ音声信号のボリュームを調整する。
ヘッドホン611は、音声復号部610から出力されるアナログ音声信号を音に変換して出力する。
【0046】
図10は、視聴システムの通常の動作の一例を示すタイミングチャートである。図10は、視聴人数、コンテンツ数ともに2の場合の例である。図10は、フレームレート60Hzの画像(コンテンツ)を視聴する場合の例である。
図中、表示画像は、画像表示装置500(表示部504)が表示する画像を示す。制御部508の制御により、画像時分割出力処理部503は、メモリ502から、図10の表示画像に示す順番で画像信号を読み出し、表示部504に出力する。それにより、図10に示すように、表示部504には、120Hzで、第1コンテンツの画像(図中、A1,A2・・・で示される画像)と第2コンテンツの画像(図中、B1,B2・・・で示される画像)が交互に表示される。それにより、第1コンテンツの画像と第2コンテンツの画像が、それぞれ、フレームレート60Hzで表示される。
また、図中、同期信号は、IDデータと時間方向に圧縮された音声信号とを含む信号である。同期信号は、画像表示装置500からシャッター式眼鏡600a,600bに出力される。図10に示すように、IDデータ、該IDデータのシャッター式眼鏡で視聴されるコンテンツの音声信号の順に、IDデータと音声信号が出力される。また、音声信号は、該音声信号に対応する画像の表示タイミングと同期して出力される。図10では、シャッター式眼鏡600a用の同期信号(IDデータと音声信号)に符号Aが付されており、シャッター式眼鏡600b用の同期信号に符号Bが付されている。
【0047】
シャッター式眼鏡600aの制御部605は、受信部601より受信したIDデータが、自身のIDデータと合致しているか否かを判断する。そして、合致している場合には、制御部605は、シャッター(両目のシャッター)が開かれるように、シャッター駆動部606を制御する。合致している場合には、制御部605は、シャッターが閉じられるように、シャッター駆動部606を制御する。
その結果、図10に示すように、シャッター式眼鏡600aのシャッターは、第1コンテンツの画像A1,A2,A3・・・が表示されている期間に開かれ、それ以外の期間に閉じられる。それにより、シャッター式眼鏡600aを装着した視聴者は、第1コンテンツのみを視聴することができる。
また、受信部601より受信したIDデータが、自身のIDデータと合致している場合には、制御部605は、そのIDデータの次に受信された音声信号を音声復号部610に出力する。それにより、第1コンテンツの音声信号のみが音声復号部610で伸張復号され、ヘッドホン611で音に変換されて出力される。
シャッター式眼鏡600bも、シャッター式眼鏡600aと同様に動作する。それにより、シャッター式眼鏡600bを装着した視聴者は、第2コンテンツのみを視聴することができる。
【0048】
このように画像表示装置とシャッター式眼鏡が動作することにより、シャッター式眼鏡毎に異なるコンテンツを視聴することが可能となり、複数人で複数のコンテンツを同時に視聴することが可能となる。
なお、本実施例では、実施例1と同様に、シャッターの開閉を切り替えている期間に望ましくない画像がレンズを透過するのを抑制するために、第1コンテンツのフレームと第2コンテンツのフレームの間に黒画像を表示する。
【0049】
次に、外光評価値を算出し、画質調整処理を行う際の、本実施例に係る視聴システムの動作について、図11のフローチャートを用いて説明する。
図11は、画像表示装置500の制御部508の動作フローチャートである。
このフローは、制御部508のメインループの一部であっても良いし、タイマー割り込みなどで呼び出されても良い。
ステップS301では、制御部508が、シャッター式眼鏡600aに対し外光評価値要求を送信するよう、送信部507を制御する。
ステップS302では、制御部508が、シャッター式眼鏡600aから送信され、受信部505で受信された外光評価値を取得する。この外光評価値には、シャッター式眼鏡600aのIDデータが付加されている。
ステップS303では、制御部508が、S302で取得した外光評価値が基準値より大きいか否かを判定する。
【0050】
外光評価値が基準値より大きい場合には(S303:YES)、ステップS304で、制御部508が、該外光評価値に付加されていたIDデータから画像信号700a(第1コンテンツ)用の設定値(初期値)を判断し、該初期値に対し、
(MAX値−初期値)×(外光評価値−基準値)÷(1−基準値)
を加算する。それにより、画像信号700a用の設定値として初期値よりも視認性を高める設定値が設定される。その結果、画像時分割出力処理部503では、画像信号700aに対して視認性を高める画質調整処理が施される。
外光評価値が基準値以下の場合には(S303:NO)、ステップS305で、制御部508が、該外光評価値に付加されていたIDデータから画像信号700a(第1コンテンツ)用の設定値(初期値)を判断し、該初期値に対し、
初期値−初期値×外光評価値÷基準値
を減算する。それにより、画像信号700a用の設定値として初期値よりも明るさを暗くする設定値が設定される。その結果、画像時分割出力処理部503では、画像信号700aに対して明るさを暗くする画質調整処理が施される。
【0051】
ステップS306では、制御部508が、シャッター式眼鏡600bに対し外光評価値要求を送信するよう、送信部507を制御する。
ステップS307では、制御部508が、シャッター式眼鏡600bから送信され、受信部505で受信された外光評価値を取得する。この外光評価値には、シャッター式眼鏡600bのIDデータが付加されている。
ステップS308〜ステップS310では、ステップS307で取得した外光評価値を用いて、ステップS303〜ステップS305と同様の処理が行われ、画像信号700b
用の設定値が設定され、処理が終了される。
【0052】
外光評価値を算出する際の、シャッター式眼鏡600a,600bの制御部605の動作は実施例1と同様のため、説明は省略する。
シャッター式眼鏡の信号処理部608の動作についても、実施例1と同様のため、説明は省略する。
【0053】
以上述べたように、本実施例によれば、受信された外光評価値に基づいて、入力された複数の画像信号のうち、該外光評価値を算出した撮像装置が設けられている眼鏡を用いて視聴される画像の信号に、画質調整処理が施される。それにより、複数の画像を表示し、複数の視聴者が眼鏡を用いてそれぞれ異なる画像を視聴する視聴システムにおいて、それぞれの画像に対して適切な画質調整処理を施すことが可能となる。
【符号の説明】
【0054】
100 画像表示装置
102 画像出力制御部
103 表示部
109 受信部
200 シャッター式眼鏡
202 送信部
204 撮像部
208 信号処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示装置と撮像装置とを有する視聴システムであって、
前記撮像装置は、
視聴者の側から前記画像表示装置の画面を撮像して撮影画像信号を生成する撮像手段と、
前記撮像手段で生成された撮影画像信号から、前記画像表示装置の画面の領域を検出する検出手段と、
前記画像表示装置に黒画像が表示されている期間の前記画面の領域の明るさを表す外光評価値を算出する算出手段と、
前記算出手段で算出された前記外光評価値を送信する送信手段と、
を有し、
前記画像表示装置は、
入力された画像信号に基づく画像を表示する表示手段と、
前記送信手段で送信された前記外光評価値を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信された前記外光評価値によって表される明るさが基準の明るさより明るい場合に、前記表示手段で表示する画像の視認性を高める画質調整処理を前記入力された画像信号に施す処理手段と、
を有する
ことを特徴とする視聴システム。
【請求項2】
前記処理手段は、前記受信手段で受信された前記外光評価値によって表される明るさが前記基準の明るさより明るい場合に、前記外光評価値によって表される明るさが明るいほど前記表示手段で表示する画像の視認性を高める
ことを特徴とする請求項1に記載の視聴システム。
【請求項3】
前記処理手段は、前記受信手段で受信された前記外光評価値によって表される明るさが前記基準の明るさより暗い場合に、前記表示手段で表示する画像の明るさを暗くする画質調整処理を前記入力された画像信号に施す
ことを特徴とする請求項1または2に記載の視聴システム。
【請求項4】
前記処理手段は、前記受信手段で受信された前記外光評価値によって表される明るさが前記基準の明るさより暗い場合に、前記外光評価値によって表される明るさが暗いほど前記表示手段で表示する画像の明るさを暗くする
ことを特徴とする請求項3に記載の視聴システム。
【請求項5】
前記算出手段は、
前記撮像手段で撮影される領域毎の重みを表し、前記画面の領域の重みが他の領域の重みよりも大きい重みテーブルを作成する作成手段と、
前記黒画像が表示されている期間の撮影画像信号と、前記重みテーブルとの積和演算を行うことにより、前記外光評価値を算出する積和演算手段と、
を有する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の視聴システム。
【請求項6】
前記重みテーブルは、前記画面の領域の重みを最大値とし、該領域から離れるにつれて重みが小さくなるテーブルである
ことを特徴とする請求項5に記載の視聴システム。
【請求項7】
前記重みテーブルは、前記画面の領域の中心部の重みを最大値とし、該中心部から離れるにつれて重みが小さくなるテーブルである
ことを特徴とする請求項5に記載の視聴システム。
【請求項8】
前記画像表示装置は、両眼視差のある左目用画像と右目用画像を表示する立体画像表示装置であり、
前記撮像装置は、前記左目用画像と前記右目用画像を立体視するための眼鏡に設けられている
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の視聴システム。
【請求項9】
前記画像表示装置は、入力された複数の画像信号に基づく複数の画像を時分割表示する画像表示装置であり、
前記撮像装置は、前記複数の画像のうちの1つの画像を視聴するための眼鏡に設けられており、
前記処理手段は、前記受信手段で受信された前記外光評価値に基づいて、前記入力された複数の画像信号のうち、該外光評価値を算出した撮像装置が設けられている眼鏡を用いて視聴される画像の信号に、画質調整処理を施す
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の視聴システム。
【請求項10】
前記表示手段は、入力された画像信号に基づく画像を、フレーム間に黒画像を挿入して表示し、
前記検出手段は、前記フレーム間に挿入された黒画像の表示タイミングに同期して明るさが変化している領域を前記画面の領域として検出する
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の視聴システム。
【請求項11】
前記表示手段は、入力された画像信号に基づく画像を、フレーム間に黒画像を挿入して表示し、
前記黒画像が表示されている期間は、前記フレーム間に挿入された黒画像の表示期間である
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の視聴システム。
【請求項12】
画像表示装置と撮像装置とを有する視聴システムの制御方法であって、
前記撮像装置が、視聴者の側から前記画像表示装置の画面を撮像して撮影画像信号を生成する撮像ステップと、
前記撮像装置が、前記撮像ステップで生成された撮影画像信号から、前記画像表示装置の画面の領域を検出する検出ステップと、
前記撮像装置が、前記画像表示装置に黒画像が表示されている期間の前記画面の領域の明るさを表す外光評価値を算出する算出ステップと、
前記撮像装置が、前記算出ステップで算出された前記外光評価値を送信する送信ステップと、
前記画像表示装置が、入力された画像信号に基づく画像を表示する表示ステップと、
前記画像表示装置が、前記送信ステップで送信された前記外光評価値を受信する受信ステップと、
前記画像表示装置が、前記受信ステップで受信された前記外光評価値によって表される明るさが基準の明るさより明るい場合に、前記表示手段で表示する画像の視認性を高める画質調整処理を前記入力された画像信号に施す処理ステップと、
を有することを特徴とする視聴システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−48358(P2013−48358A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186022(P2011−186022)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】