説明

視覚的認知能力および協応動作の検査および訓練

被検者の視覚、認知および協応動作の能力を、被検者に様々な刺激を与えることにより、検査および/または訓練することができる。被検者から応答を受信することができ、この応答の的確性は被検者に与えた刺激との組み合わせに基づく。タッチスクリーン表示装置を使用して、被検者に対する刺激付与および応答受信の双方に使用することができる。応答を受信する任意の数およびタイプの出力装置および入力装置を使用することができる。挙動情報および被検者のパフォーマンスに関連する他のデータを記録することができる。スコアリング方法は、被検者のパフォーマンスの速度、正確性、および他の態様に基づくものとすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2007年4月13日出願の米国特許仮出願第60/923434号(タイトルは「シミュレーション動作中に視覚能力を検査するシステムおよび方法」)の優先権を主張するものであり、このことを本明細書に付記する。本出願は、また、2007年6月4日出願の米国特許仮出願第60/941915号(タイトルは「分離して視覚能力を検査するシステムおよび方法」)の優先権を主張するものであり、このことを本明細書に付記する。
【0002】
本発明は、概して、視覚的認知機能および協応動作の検査および訓練に関する。より詳細には、本発明は、眼と手の協応動作および/または認知処理、および様々な刺激に対する応答を訓練および検査することに関する。
【背景技術】
【0003】
視覚評価における当業者は、多数の視覚検査を被検者に実施して、個人の視覚能力における強い点と弱い点を決定することは既知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、そのような検査は、個人がいくつかの形態の視覚補正および/または訓練から有益であるか否か、また有益であるならば、視覚補正および/または訓練のタイプおよび等級が適切であるか否か、を決定するために行う。当業者は、さらに、いくつかの活動および特定の競技スポーツは、個人の視覚能力に対して特別な要望があることを理解しているだろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるシステムおよび方法は、様々な刺激を与えるステップと、被検者から応答を受信するステップとにより、被検者の視覚および/または認知能力を検査する。被検者に提示される刺激は、例えば、表示装置に表示される視覚刺激とすることができる。適切な表示装置の一例としては、タッチスクリーンなどのタッチ感応式の表示装置がある。このようなタッチスクリーンは、表示装置および入力装置の双方の機能を持つことができる。タッチスクリーン装置は、眼と手の協応動作、または手目協応動作とも称される能力を検査するのに特に役立つ。表示装置および入力デバイスの双方としてタッチスクリーンを使用することにより、本発明によるシステムおよび方法は、被検者の視覚刺激に対するタッチ応答の速度および/または鋭敏性の双方を正確に測定することができる。
【0006】
本発明によるシステムおよび方法は、さらに、複数の刺激に対する被検者の応答能力を検査または訓練することができ、特に被検者が応答あるいは適切な応答を決定する認知処理を実行しなければならないときを検査する。例えば、第1視覚刺激に対する応答は、当該視覚刺激が第2刺激と対になっている時のみに有効とすることができる。第2刺激は、例えば、特定の音、特定の付加的視覚マーク、特定の触覚または任意な他のタイプの刺激とすることができる。第2刺激は、また、第1刺激が有する特徴を持ってもよく、例えば向き、表示装置における位置、色などである。本発明によるシステムおよび方法で使用するいくつかまたは全ての刺激は、被検者による認知処理を必要とすることができる。例えば、連続する数字を被検者に読ませることができ、または被検者が表示マークの向きを識別しなければならなく、または任煮な数の他の決断およびタスクを、被検者の応答の一部として被検者に要求する。
【0007】
本発明によるシステムおよび方法は、さらに、パフォーマンスの的確性や速度などの評価指標の域を越えて被検者のパフォーマンスを評価する付加的データを記録することができる。例えば、被検者のバランスや、眼の動き、頭部の動き、他の運動を評価するデータまたは医学的/生物学的データを、検査および/または訓練の一部として記録することができる。
【0008】
本発明によるシステムおよび方法は、さまざまな表示装置および表示技術を使用することができる。タッチ感応式の表示装置は、本発明による適切な表示装置の一例であると同時に、モニタや投影スクリーン、投影ゴーグル、ホログラムまたは他の表示装置など任意の表示装置を使用することができる。実行する視覚刺激のタイプもまた変化させることができる。例えば、表示装置は、検査/訓練を一人で行うように刺激を供給することができ、または、実施する刺激を、活動の映像シミュレーションに統合することができる。例えば、野球選手の打撃能力を改善するように設計した検査/訓練は、プレート方向にボールを投じるピッチャーを表示することができる。アーチ型スクリーンや、部分的に球面のスクリーン、複数スクリーンおよび/または表示ゴーグルなどのさまざまな表示装置は、被検者により没入できる体験を与えるためおよび/またはさまざまな視覚分野で被検者を検査/訓練するために役立つ。
本発明を、添付の図を参照して以下に詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明によるシステムを示す。
【図2】本発明による他のシステムを示す。
【図3】本発明によるさらに他のシステムを図示する。
【図4】本発明による別のシステムを図示する。
【図5】本発明による表示装置を、被検者の片目を個別に使用状態を示す。
【図6】被検者の視覚の異なる視野を検査するための表示装置の使用状態を示す。
【図7】被検者の応答の的確性を決定するために用いるタッチスクリーンの一部を示す。
【図8】本発明を使用して被検者の応答速度を測定することを示す。
【図9】本発明による方法を示す。
【図10】本発明による他の方法を示す。
【図11】本発明によるさらに他の方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面につき説明すると、図1は本発明による検査/訓練システム100を示す。当業者は、本明細書に記載したシステムおよび方法を検査および訓練の双方の目的に適用可能であることを理解できるであろう。システム100を使用して、被検者102を検査/訓練することができる。表示装置110は、被検者102がこの表示装置110を見ることができるように配置する。1個の表示装置110を図1に示すが、複数個の表示装置を使用することができる。表示装置110をさらにタッチ感応式とし、これにより入力も受信できるようにする。表示装置110がタッチ感応式とする場合、被検者のリーチ範囲内で向きを決め、表示装置が被検者からのタッチ入力を受信できるようにする。タッチ感応式の表示装置110は、同時に1個以上の入力を受信することができる。タッチ感応式の表示装置は、タッチ感応能力のないモニタ、投影スクリーン、または任意な他のタイプの表示装置をタッチ感応レイヤに動作可能に接続し、このタッチ感応レイヤにより視覚刺激の表示およびタッチ入力受信の双方を可能にする。たとえば、タッチ感応能力がありかつほぼ透明なフィルムを、非タッチ感応式のモニタ上に貼着することができる。さらに他の例として、タッチ感応式のボードをプロジェクターに関連させて、タッチ感応式の表示装置として用いることができる。タッチ感応式の表示装置として使用するこれらおよび他の方法の可能性を、当業者は理解できるであろう。表示装置110は刺激、例えば第1視覚マーク112および第2視覚マーク114を付与することができる。図1に示すように、第1視覚マーク112は、本発明に使用する適切なマークの一例として、図示のようなランドルト環(Cマーク)とする。ランドルト環は視覚的に中立的な特性であり、左、右、上、下の向きを有する。しかし、当業者は任意な他のタイプの視覚マークを本発明において使用することができることを理解できるであろう。第2視覚マーク114は、本発明により使用できる他のマークの例である。図1に示すように、第2視覚マーク114はデジタル(2進値)文字列とすることができる。
【0011】
さらに図1につき説明すると、システム100は、第1音122を発生する第1オーディオスピーカと、第2音132を発生する第2オーディオスピーカ130とを有することができる。本発明によれば、聴覚刺激を使用することができる。例えば、本発明によるシステムおよび方法は、視覚および/または認知検査/訓練と関連して、雑音や他の音などの妨害による対抗的環境内で被検者に行わせる準備の一部として、音を使用することができる。さらに、音は被検者からの特定の応答を必要とする刺激として使用することができる。潜在的に、特定の刺激の組み合わせに対して所定の方法で被検者に応答させることができ、例えば特定の音と組み合わせたときのみに視覚刺激に応答する。複数のスピーカの使用は、図1に示す二つ以上であり、発生源の方向に基づいて音を変化させて、被検者を検査/訓練することが可能である。音をまた、本発明により、ペース設定をする目的で使用することができ、例えばメトロノームにより音を供給する。
【0012】
さらに図1につき説明すると、安定プラットフォーム140を被検者の足下に配置することができる。安定プラットフォーム140は、被検者に他の刺激を与えるように動作することができ、例えば、様々な方向に傾くことにより被検者102に触覚フィードバックを与える。安定プラットフォーム14はまた、被検者からの入力応答を受信するために使用することができ、例えば、被検者102が所定の刺激に対して所定方向に傾けることがある。安定プラットフォーム140は、被検者102の検査/訓練の間のバランスおよび方向を、被検者に刺激を与えることに付加してまたはその代わりとして、記録することができる。安定プラットフォーム140は、被検者に安定性に関する刺激を与えるおよび/または被検者から安定性に関する入力を受信する任意の装置とすることができる。例えば、安定プラットフォーム140は、1個またはそれ以上のプレートおよびセンサを使用し、被検者の体重移動を検出する。安定プラットフォーム140は、さらに他の例として、支点を中心に傾くバンランスボードとすることができる。当業者は、安定性に関する刺激を与えることができるおよび/または安定性に関する入力を受信できる任意のタイプの装置を安定プラットフォーム140として使用できることを理解できるであろう。
【0013】
さらに図1につき説明すると、マイクロフォン140により、被検者102からの応答を受信することができる。マイクロフォン140を、例えば、被検者からの音声応答を受信するために音声認識ソフトウェアと併せて使用することができる。音声応答の例としては、表示装置110上に表示した一連の数字の識別、表示装置110上に表示したマークの向き、表示装置110上に表示したマークの色、マークを表示した表示装置110の領域、または任意な他のタイプの字句的情報がある。
【0014】
さらに図1につき説明すると、システム100は、頭部および/または眼球モニタ170を有することができる。頭部および/または眼球モニタ170は、検査/訓練中における被検者の頭部および/または眼球の運動を測定することができる。他の機器(図示せず)は、被検者の脳活動、血圧や、心拍数、他の生理学および/または医学データなどのデータを測定することができる。以下に限定するなものではいが、例えば、被検者の脳活動を入力デバイスとして使用することができ、脳活動をキャプチャするEEGを用いることにより、被検者の視覚に関係する特定の脳活動を見るために使用することができる。
【0015】
検査ユニット180は、システム100内の様々な出力デバイスにより得る刺激と協応して、被検者の応答からのデータ、および任意の付加的データ、例えば被検者102から受信するバランス、眼の動き、頭部の動きのデータ、および生物学的/医学的データを収集し、また保存することができる。検査ユニット180は、さらに、被検者102の正確性、速度および他の能力基準の測定を行うスコアリング機能を有することができる。検査ユニット180は、さらに、検査プロセスを制御することができ、これにより、被検者に対する刺激の提示は、被検者102が検査/訓練を通じて成長するにつれて速度または難易度を増加させる。
【0016】
被検者102は、さらに、モータ入力デバイス(図示せず)を用いて応答を行うことができる。モータ入力デバイスは、ジョイスティック、キーパッド、被検者から手動入力を受信可能な任意のデバイスとすることができ、被検者102による任意な他のタイプの物理的動作から入力を受信可能な任意のデバイスとすることができ、例えば足踏み動作のペダルまたはボタンとする。入力デバイス150として使用する適切なデバイスの例としては、キーボード、キーパッド、ボタン、ジョイスティック、スイッチ、ペダル、または被検者102から動作入力を受信可能な任意な他のデバイスがある。1個またはそれ以上のモータ入力デバイスを、タッチ感応能力を有する表示装置110に付加してまたはその代わりに使用することができる。
【0017】
つぎに、図2につき説明すると、本発明による例示的な第2システム200の一部を示す。システム200は、被検者202を部分的な方向から囲むようなアーチ型の表示装置210を使用することができる。アーチ型の表示装置210は、第1マーク212および第2マーク214を表示することができる。システム200は、さらに、図1に示したものなどの様々な付加的要素を設けることができる。アーチ型の表示装置210は、一つの平面表示装置を用いることでは容易に検査/訓練できない被検者102の視野部分を検査するために、被検者102により没入型の視覚経検を与えることと、全範囲にわたって手でタッチできる距離に一貫したスクリーンを与えることの双方に役立ち、したがって、検査および/または訓練結果を混乱させるモータによる変動性を低減することができる。
【0018】
つぎに図3につき説明すると、本発明によるさらに他のシステム300の一部を示す。システム300は、被検者302を部分的に囲む部分球形表示装置310を使用する。部分球形表示装置310は、第1マーク312および第2マーク314を表示することができる。システム300は、さらに、図1につき示したような、様々な付加的デバイスを設けることができる。部分球形表示装置310は、一つの平面表示装置を用いることでは検査が難しい被検者102の視野部分を検査するために、被検者102により没入型の視覚経検を与えることと、全範囲にわたって手でタッチできる距離に一貫したスクリーンを与えることの両方に役立ち、したがって、検査および/または訓練結果を混乱させるモータの変動性を低減することができる。
【0019】
つぎに図4につき説明すると、表示ゴーグル410を用いるシステム400の一部を示す。表示ゴーグル410は、より大きな表示装置を必要とせずに、被検者に視覚イメージを与えることができる。システム400は被検者402から応答を受信可能な入力デバイス450を設けることができる。入力デバイス450を図1の入力装置ににつき説明した任意のデバイスとする、または代案としてマイクロフォン、バランスボードとすることができる。入力デバイス450は、例えば、モーション感知グローブ、被検者が着用する他のデバイスとし、ゴーグル410を用いて表示した視覚マークに対する応答を被検者の手の動きとして測定して、被検者402の目と手の協応動作を測定する。ゴーグル410は、頭部および眼球の運動モニタあるいは他の生物学的/医学的モニタに統合できることを理解されたい。
【0020】
つぎに図5につき説明すると、被検者502が各眼を個別に使用する検査/訓練を行うシステム500の一部を示す。表示装置510は、中心線511により左区域513と右区域515に分割し、これにより被検者502の左または右の眼を通してのみ知覚するように視覚刺激を与えることができる。中心線511で表示装置510を分割することは、任意の方法で達成できる。例えば、表示装置510は、ゴーグルまたは任意の他の波長フィルタ光学装置を設けることができ、所定の視覚刺激をゴーグルの片側に表示することができる。代替として、モニタなどの表示装置510を、被検者502の各眼の視野を表示装置510の一部のみに限定するように配置したスクリーンとともに使用することができ、すなわち、表示マークを判別するために使用するために使用する眼を、表示装置上のマークの位置によって決定することができる。他の技術、例えば波長フィルタゴーグルおよび表示装置510上に表示される適切に色付けしたマークを使用することにより、被検者502の左または右目をそれぞれ孤絶化することができ、このような場合には、中心線510における物理的分割手段は、もはや被検者の左および右目を孤絶化するのに必要がない。
【0021】
図6につき説明すると、被検者(図示せず)の異なる視野を検査するシステム600を示す。表示装置610は複数の区域を備えることができる。例えば、中央区域617は被検者の中央視野能力を検査するためにマーク614を表示することができる。その一方で、表示装置610の他の部分は、別のマーク612を表示することにより被検者の周辺視能力を検査することができる。表示装置610の同様な区域分割は、例えば、被検者の視野の異なる4分の1、左右に対する被検者の視覚能力、被検者の上下の視覚能力、または被検者の視野における他の位置を、検査/訓練することができる。特定の領域における被検者の視覚/認知能力を検査/訓練するシステム600は、任意のタイプの表示装置と併せて使用することができる。
【0022】
図7に付き説明すると、被検者の目と手の協応動作における応答の正確性を測定するシステム700を示す。表示装置710の一部にはマーク712を表示することができる。マーク712は表示装置710の第1位置713を有し、図示の実施例では(x,y)として示す。被検者からの応答タッチ714は、例えば指721からであり、第2位置715で受信することができ、図示の実施例では(x,y)で示す。表示マーク712と応答タッチ714との間の距離717は、タッチスクリーン710上の各位置を使用することにより決定することができる。当業者であれば、マーク712および応答タッチ714の双方はタッチスクリーン710の特定の物理域を消費するにつれて、マーク712の位置713および応答タッチ714の位置715の双方は、離散ポイントではなく、実際には表示装置710の所定の領域を有するものとすることができ、またこのための距離計算が可能であることを理解できるであろう。
【0023】
つぎに図8につき説明すると、マーク表示とタッチ応答受信との間に経過する時間の測定を示す。図8に示すように、時間経過はx軸に沿う。マークを、tで示す第1時刻810に表示装置(図示せず)に表示する。タッチ応答を、tで示す第2時刻820に受信する。第1時刻810と第2時刻820との間における経過時間830を、被検者の応答速度を測定するために使用することができる。
【0024】
つぎに図9につき説明すると、被検者の目と手の協応動作を検査するためにタッチ感応式の表示装置を使用する本発明による方法900を示す。ステップ910において、タッチ感応式の表示装置を被検者のリーチ範囲内に配置する。ステップ920において、マークをタッチ感応式の表示装置に表示し、第1時刻に開始し、また第1位置でこの表示を行う。ステップ930において、被検者からタッチ入力をタッチ感応式の表示装置において第2時刻に第2位置で受信する。ステップ940において、第1時刻(マークを最初に表示するとき)から第2時刻(応答を受信するとき)までの経過時間を決定することができる。ステップ950において、第1位置(マークを表示する位置)と第2位置(タッチ応答を受信する位置)との間における距離を決定する。ステップ960において、第1時刻と第2時刻との間における経過時間および第1位置と第2位置との間における距離を、例えば検査ユニット内のデジタル媒体に記録する。ステップ970において、経過時間および距離に基づくスコアを計算する。スコアを計算するステップ970は、単純な経過時間および距離以外の様々な情報を考慮することができ、被検者のバランス能力、頭部および/または目の動き、被検者の視野の異なる区域の検査、生物学的/医学的データおよび他の基準などを考慮に入れる。
【0025】
つぎに図10につき説明すると、被検者の目と手の協応動作および/または認知機能を検査する他の方法1000を示す。ステップ1010において、タッチ感応式の表示装置を被検者のリーチ範囲内に配置する。ステップ1020において、マークなどの視覚刺激を、タッチ感応式の表示装置において、第1時刻で第1場所に表示を開始する。ステップ1030において、2次刺激を、表示された視覚刺激に関連付け、マークに対する適切な応答を示す。ステップ1030を、ステップ1020と同時に、またはステップ1020の後に、またはステップ1020の前に実行することができる。ステップ1030と2次刺激の関連付けは、例えば、方向、色、種類、形状、値などの被検者から応答を必要とする特定の特徴を有するマークを供給するステップを備えるものとする。ステップ1030における視覚刺激に関連付ける、生じ得る2次刺激は、任意の数の2次刺激があり、また生じ得る、異なる刺激により異なる適切な応答を生ずることができる。例えば、第1に生じ得る2次刺激が与えられる場合、適切な応答は表示された視覚刺激にタッチすることであり、しかし、第2に生じ得る2次刺激が与えられる場合、適切な応答は表示された視覚刺激を無視するものとすることができる。生じ得る2次刺激は、例えば、任意の音、触覚、表示マーク自身の特徴(方向、特徴、色、視覚パターン、点滅、表示装置上の移動など)、他の表示マーク、および被検者が判別可能な任意の他のマークとすることができる。ステップ1040において、入力を受信する。ステップ1040において受信する入力がタッチ入力である場合、タッチ入力を第2時刻に第2位置で受信する。ステップ1050において、視覚刺激を表示してからおよび/またはマークに関連する他の刺激から、入力を受信する第2時刻までの経過時間を決定することができる。ステップ1060において、第1位置と第2位置との間の距離を決定することができる。ステップ1070において、マークおよび関連する付加的刺激に対する応答が適切か否かを決定する。例えば適切な応答としては、表示された視覚刺激にタッチする、または表示された視覚刺激を無視する、または表示された視覚刺激に音声応答する(例えば刺激の特徴を識別して復唱する)、またはモータ入力デバイスにより応答することがある。ステップ1080において、経過時間、距離、応答が適切であったか否かを、デジタル媒体上に記録する。ステップ1090において、経過時間、距離、応答が適切であったか否かに基づいてスコアを計算することができる。当業者であれば、ステップ1090において計算するスコアは、経過時間、距離、応答の的確性だけでない他の情報、例えば被検者のバランス情報、頭部および/または目の動き、生物学的/医学的データまたは被検者から収集できる他の情報に基づくものにできることを、理解できるであろう。
【0026】
つぎに図11につき説明すると、被検者の視覚および認知能力を検査/訓練する他の方法1100を示す。ステップ1110において、視覚刺激を表示する。ステップ1110は、アニメーション化した、またはコンピュータ支援アニメーション化した、記録した、またはライブアクションを表す映像表示の一部として、視覚刺激に挿入する。例えば、スポーツに参加している状況を表す映像を使用することができ、また随意的にスポーツに適切なマークを使用することができる。例えば、ホームプレート方向にボールを投げるピッチャーを表示する映像を使用することができ、投げられた球種を示すマークを、ボール、ピッチャーの腕および/または手の上に挿入する。ステップ1120で与える第2刺激は、付加的視覚刺激、例えば視覚マーク、音、触覚感知、または任意な他のタイプの刺激とする。ステップ1130において、第2刺激と組み合わせる視覚刺激に対する適切な応答を決定する。例えば、視覚刺激がランドルト環などのマークであり、第2刺激がランドルト環の向きである場合、ステップ1130において決定する適切な応答を、ランドルト環の向きに対応する入力装置のジョイスティックの運動とすることができる。他の適切な応答としては、ほとんど無制限にあり、例えば表示した2進値文字列の復唱、タッチ感応式表示装置へのタッチ、ボタンおよびフットペダルの押し下げ、または任意の数とした他の応答がある。ステップ1140において、被検者から応答を受信する、ステップ1140において受信する応答は適切であってもなくてもよいことに留意されたい。ステップ1150において、受信した応答が適切な応答であったか否かを決定する。ステップ1160において、挙動情報を受信する。挙動情報としては、被検者のバランス能力やパフォーマンス、頭部および眼の動き、血圧、心拍数、発汗量、または任意な他の情報がある。
【0027】
本明細書に記載したシステムおよび方法を、様々な視覚、認知および協応スキルを検査および/または訓練するために使用することができる。表示装置のタイプおよび被検者に刺激を与えるために使用する出力デバイスは、本明細書に記載したものに限定するものではなく、むしろ被検者に刺激を供給可能な任意のタイプのデバイスを使用することができる。本明細書に記載したシステムおよび方法を、さらに任意な特定のスコアリングアルゴリズムまたは基準に限定するものではなく、スコアリングアルゴリズムおよび基準は、異なる被検者に対してまたは各被検者のスキルの成長度により調整することができる。同様に被検者に与える刺激および被検者から受信する応答の数および種類は本明細書に記載したものに限定するものではなく、複数のタイプの刺激および複数のタイプの応答を、任意の個人の検査/訓練のセッションで与え、また受信することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目と手の協応動作を検査または訓練する方法において、タッチ感応式の表示装置を被検者の近傍に配置するステップと、少なくとも1個のマークを前記タッチ感応式の表示装置に表示する表示ステップであって、前記少なくとも1個のマークを前記タッチ感応式の表示装置で第1時刻、第1位置に表示する、該表示ステップと、前記タッチ感応式の表示装置上で被検者から少なくとも1個のタッチ入力を受信する入力受信ステップであって、前記少なくとも1個のタッチ入力を前記タッチ感応式の表示装置で第2時刻、第2位置に受信する、該入力受信ステップと、前記第1位置と前記第2位置との間における距離を決定するステップと、前記第1時刻と前記第2時刻との間における経過時間を決定するステップと、前記第1位置と前記第2位置との間における距離および前記第1時刻と前記第2時刻との間における経過時間をデジタル媒体上に記録するステップと、を有する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、少なくとも一つの付加的被検者刺激を、前記タッチ感応式の表示装置に表示される前記少なくとも一つの視覚マークと関連付ける方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、さらに、少なくとも一つの付加的な被検者刺激を設定する刺激設定ステップであって、前記タッチ感応式の表示装置に表示される前記少なくとも一つのマークを被検者与えたとき、被検者は前記被検者刺激に関連付けたマークに応答を入力しないことを示す、該刺激設定ステップと、少なくとも一つの付加的被検者刺激を前記タッチ感応式の表示装置に表示された前記少なくとも一つの視覚マークと関連付けるステップと、前記タッチ感応式の表示装置に表示される前記少なくとも一つの視覚マークと関連する少なくとも一つの付加的な被検者刺激は、被検者が被検者刺激に関連付けたマークに対して応答入力を行うべきでないことを示すか否かを決定するステップと、前記タッチ感応式の表示装置に表示される前記マークと関連付けた任意の付加的被検者刺激をデジタル媒体に記録するステップと、を有する方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、前記少なくとも一つの付加的な被検者刺激は、前記タッチ感応式の表示装置に表示された前記マークの視覚特性を有するものとした、方法。
【請求項5】
視覚および認知能力を検査または訓練する方法において、被検者に対して表示装置に視覚刺激を表示するステップと、2次刺激を被検者に与えるステップと、前記視覚刺激に対して適切な応答を決定する適切応答決定ステップであって、適切な応答は視覚刺激および2次刺激の双方に基づくものとした、該適切応答決定ステップと、被検者から応答を受信するステップと、被検者から受信した応答が適切な応答であるか否かを決定するステップと、を有する方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、適切な応答を決定する前記適切応答決定ステップは、視覚刺激および生じ得る第1の2次刺激の組み合わせに対して応答するのが適切であり、視覚刺激および生じ得る第2の2次刺激の組み合わせに対して応答しないのが適切であることを決定するステップを有するものとした、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、前記生じ得る第1の2次刺激は、前記視覚刺激の第1特性を備え、前記生じ得る第2の2次刺激は前記視覚刺激の第2特性を備えるものとした、方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法において、前記生じ得る第1の2次刺激は前記表示装置に表示される第1視覚マークとし、前記生じ得る第2の2次刺激は第2視覚マークとした、方法。
【請求項9】
請求項6に記載の方法において、前記生じ得る第1の2次刺激は第1聴覚刺激とし、前記生じ得る第2の2次刺激は第2聴覚刺激とした、方法。
【請求項10】
請求項5に記載の方法において、さらに、被検者から安定性およびバランスの情報を受信するステップを有する方法。
【請求項11】
請求項5に記載の方法において、さらに、被検者から応答を受信するステップは、表示装置上で使用者のタッチを受信するステップを有する、方法。
【請求項12】
請求項5に記載の方法において、さらに、被検者から応答を受信するステップは、被検者から音声応答を受信するステップを有する、方法。
【請求項13】
請求項5に記載の方法において、さらに、被検者から眼の動きの情報を受信するステップを有する方法。
【請求項14】
請求項5に記載の方法において、さらに、被検者から頭部の動きの情報を受信するステップを有する方法。
【請求項15】
請求項5に記載の方法において、さらに、被検者に視覚刺激を表示するステップは、被検者の片目によってのみ知覚できる視覚刺激を表示するステップを有する、方法。
【請求項16】
請求項5に記載の方法において、さらに、被検者に視覚刺激を表示するステップは、行為映像の表現を表示するステップと、この行為映像の表現に視覚刺激を挿入するステップを有する、方法。
【請求項17】
請求項5に記載の方法において、さらに、視覚刺激を表示するステップは、所定時間の期間にのみ視覚刺激を表示するステップを有する、方法。
【請求項18】
視覚および認知納涼を検査または訓練するシステムにおいて、タッチ感応式の表示装置と、前記タッチ感応式の表示装置と通信接続した検査ユニットとを備え、前記検査ユニットは、第1位置で第1時刻に視覚刺激を前記タッチ感応式の表示装置に表示し、前記タッチ感応式の表示装置からタッチ入力を受信するよう動作し、前記タッチ入力は第2位置で第2時刻に生ずるものとした、システム。
【請求項19】
請求項18に記載の視覚および認知能力を検査または訓練するシステムにおいて、前記タッチ感応式の表示装置は、アーチ型のタッチ感応式表示装置とした、システム。
【請求項20】
請求項18に記載の視覚および認知能力を検査または訓練するシステムにおいて、前記タッチ感応式の表示装置は、部分的に球形のタッチ感応式表示装置とした、システム。
【請求項21】
請求項18に記載の視覚および認知能力を検査または訓練するシステムにおいて、さらに、前記タッチ感応式の表示装置に加えて、少なくとも一つの出力デバイスを備え、前記検査ユニットは、前記タッチ感応式の表示装置の他に、前記少なくとも一つの出力デバイスに対して、2次刺激を発生させるよう動作可能とした、システム。
【請求項22】
請求項18に記載の視覚および認知能力を検査または訓練するシステムにおいて、前記検査ユニットは前記表示される視覚刺激と前記2次刺激の双方に基づいて、適切な応答を決定する、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−527642(P2010−527642A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503276(P2010−503276)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/060252
【国際公開番号】WO2008/128192
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)
【Fターム(参考)】