説明

視覚障害者用折畳み杖

【課題】 歩行路上等に描かれたラインの色によって識別される情報を検知可能にすることで視覚障害者等の安全歩行を確保する、携帯に適し、かつ操作性に優れた視覚障害者用折畳み杖を提供する。
【解決手段】 歩行路に描かれたラインの色を識別する色識別センサ部12を内蔵する杖先端部10と、杖先端部10に接続される第1の杖中間部20と、第1の杖中間部20に接続される第2の杖中間部30と、第2の杖中間部30に接続され、杖先端部10の色識別センサ部12で識別された歩行路に描かれたラインの色に対応して異なる態様で報知を行う報知部および電源部を含む電源報知部42を内蔵する杖把持部40を有し、杖先端部10の色識別センサ部12と杖把持部40の電源報知部42との間が信号線および電源線が配された弾性ケーブル50で接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯に適し、かつ操作性に優れた視覚障害者用折畳み杖に関し、特に、先端に内蔵された色識別センサで歩行路上等に描かれたラインの色を識別してユーザを案内する視覚障害者用折畳み杖に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、視覚障害者等にとって白杖等の杖は、歩行に際して各種情報を得るのに必須な器具となっている。
【0003】
例えば、視覚障害者等が歩行路上を歩行する場合は、該視覚障害者が保持する杖で歩行路上に接触することにより歩行路上の障害物等の各種情報をユーザの感触により検知して、これにより障害物等を避けた安全な歩行を確保している。
【0004】
しかし、上記ユーザの感触による検知には限界があるので、更に正確に歩行路上の情報を検知するために、従来、特許文献1および特許文献2に示すようにユーザが保持する杖に超音波センサを内蔵して、この超音波センサにより障害物等を検知して検してこれをユーザに報知する装置若しくは特許文献3に示されるように、ユーザが保持する杖に磁気センサを内蔵して、歩行路上に設置された磁気帯を検知してユーザを誘導する装置等が提案されている。
【0005】
しかしながら、上記従来の装置は、歩行路上に描かれたラインの色によって識別される情報を検知することはできない。
【0006】
すなわち、歩行路上には、ラインの色によって識別される情報が種々あるが、上記従来の装置によっては、このラインの色によって識別される情報を一切得ることができないので、このために重大な事故に繋がる虞があった。
【0007】
そこで、出願者は、特許文献4、5に示すように、歩行路上に描かれたラインの色を識別して視覚障害者を案内する装置を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−330807号公報
【特許文献2】特開2002−296024号公報
【特許文献3】特開2003−131556号公報
【特許文献4】特許4241232号
【特許文献5】特許4194975号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、歩行路上等に描かれたラインの色によって識別される情報を検知可能にすることで視覚障害者等の安全歩行を確保する、携帯に適し、かつ操作性に優れた視覚障害者用折畳み杖を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1の発明の視覚障害者用折畳み杖は、歩行路からの光を受光して、前記歩行路に描かれたラインの色を識別する色識別手段を先端に内蔵する杖先端部と、前記杖先端部に順次接続する中空な複数段の杖中間部と、前記色識別手段により識別された前記ラインの色に対応して異なる態様で報知を行う報知手段および電源手段を内蔵し、前記杖中間部の最終段に接続される杖把持部と、前記複数段の杖中間部の中空部を通り、前記杖先端部の前記色識別手段と前記杖把持部の前記報知手段および電源手段とを接続する少なくとも1部が弾性体で構成される弾性ケーブルとを具備し、前記弾性ケーブルの弾性力により、前記杖先端部、前記複数段の杖中間部、前記杖把持部を接続して1本の杖を形成するとともに、前記杖先端部、前記複数段の杖中間部、前記杖把持部を折畳み可能にし、かつ、前記弾性ケーブルに信号線および電源線を配し、前記杖先端部、前記複数段の杖中間部、前記杖把持部の全接続時に前記電源手段から前記電源線への給電を行うことを特徴とする。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記色識別手段は、歩行路上を照射する光照射部と、前記歩行路からの反射光を受光する受光部と、前記受光部で受光した光に基づき前記歩行路に描かれたラインの色を識別する色識別部とを具備し、前記報知手段は、前記ラインの色に対応して異なる態様で振動を発生する振動発生部を具備することを特徴とする。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記弾性ケーブルは、弾性体からなる複数の心材と、前記複数の心材の外周に配された網目状の信号および電源線と、前記信号および電源線が配された複数の心材を被覆する伸縮自在の被覆材とを具備することを特徴とする。
【0013】
また、請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記弾性ケーブルは、前記杖先端部の前記色識別手段に接続されるとともに該杖先端部内に内蔵され、信号線および電源線が配された弾性力を有するカール状の第1のカールケーブルと、前記杖把持部の前記報知手段および電源手段に接続されるとともに該杖把持部内に内蔵され、信号線および電源線が配された弾性力を有するカール状の第2のカールケーブルと、前記第1のカールケーブルと前記第2のカールケーブルとを接続する信号線および電源線が配された信号電源ケーブルとを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、歩行路上等に描かれたラインの色によって識別される情報を検知可能な、携帯に適し、かつ操作性に優れた視覚障害者用折畳み杖を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明に係わる実施例1に係わる視覚障害者用折畳み杖を示す図である。
【図2】図1に示した視覚障害者用折畳み杖を折畳み状態にした図である。
【図3】図1に示した視覚障害者用折畳み杖の杖先端部の詳細の一例を示す図である。
【図4】図1に示した視覚障害者用折畳み杖の杖把持部の詳細の一例を示す図である。
【図5】図1に示した視覚障害者用折畳み杖の弾性ケーブルの一例を示す図である。
【図6】図1に示した視覚障害者用折畳み杖の電気回路図を示す図である。
【図7】この発明に係わる実施例2に係わる視覚障害者用折畳み杖の杖先端部の一例を示す図である。
【図8】図7に示した視覚障害者用折畳み杖の杖把持部の一例を示す図である。
【図9】図7に示した視覚障害者用折畳み杖を折畳み状態にした図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明に係わる視覚障害者用折畳み杖の実施の形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、この発明に係わる視覚障害者用折畳み杖の実施例1を示す図である。
【0018】
図1において、実施例1の視覚障害者用折畳み杖100は、先端に図示しない歩行路からの光を受光して、歩行路に描かれたラインの色を識別する色識別センサ部12を内蔵する杖先端部10と、杖先端部10にこの杖先端部10の他端に形成された接合部11を介して接続される第1の杖中間部20と、第1の杖中間部20にこの第1の杖中間部20の一端に形成された接合部21を介して接続される第2の杖中間部30と、第2の杖中間部30にこの第2の杖中間部30の一端に形成された接合部31を介して接続され、杖先端部10の色識別センサ部12で識別された歩行路に描かれたラインの色に対応して異なる態様で報知を行う報知部および電源部を含む電源報知部42を内蔵する杖把持部40を有し、杖先端部10の色識別センサ部12と杖把持部40の電源報知部42との間は、信号線および電源線が配された弾性ケーブル50で接続される。
【0019】
この視覚障害者用折畳み杖100の使用時においては、図1に示すように、弾性ケーブル50の弾性力により、杖先端部10、第1杖中間部20、第2の杖中間部30、杖把持部40を、接合部11、21、31をそれぞれ介して接続して、1本の杖を形成する。
【0020】
また、この視覚障害者用折畳み杖100の携帯時においては、図2に示すように、弾性ケーブル50の弾性を利用して、杖先端部10、第1杖中間部20、第2の杖中間部30、杖把持部40をそれぞれ接合部11、21、31で離脱させ、折畳み状態にする。
【0021】
図3は、図1に示した杖先端部10に内蔵される色識別センサ部12の詳細を示す図である。
【0022】
杖先端部10の先端に内蔵される色識別センサ部12は、図3(A)に示すように、白色発光ダイオードからなる発光素子121、フォトダイオードからなる受光素子122が接続されるセンサ部123と、センサ部123を制御するとともに、受光素子122の受光信号に基づき歩行路に描かれたラインの色を識別する処理を行う色識別処理部124とを具備して構成される。
【0023】
センサ部123に接続される照射素子121は、図3(B)に示すように、杖先端部10の先端の周縁に沿って配列された4個の発光素子121a、121b、121c、121dからなり、4個の発光素子121a、121b、121c、121dの中央に受光素子122が配されている。
【0024】
また、色識別処理部124には、この色識別処理部124およびセンサ部123に電源を供給するとともに、色識別処理部124で識別された歩行路に描かれたラインの色を示す色情報を、杖把持部40の電源報知部42に伝達する弾性ケーブル50の一端が接続されている。
【0025】
図4は、図1に示した杖把持部40に内蔵される電源報知部42の詳細を示す図である。
【0026】
杖把持部40に内蔵される電源報知部42は、図4に示すように、電源部を構成する電池421と杖先端部10の色識別処理部124で識別された歩行路に描かれたラインの色に対応して異なる態様で報知を行う報知部を構成する振動発生部422とを具備して構成され、振動発生部422には、弾性ケーブル50の他端が接続されている。
【0027】
電池241は、振動発生部422を駆動するための電力を供給するとともに、弾性ケーブル50に配された電源線を介して、杖先端部10の色識別処理部124およびセンサ部123に電力を供給する。
【0028】
図5は、図1に示した弾性ケーブル50の詳細の1例を示す図である。図1に示した弾性ケーブル50は、図5(A)、(B)に示すように、2本のゴム等の弾性体からなる芯材51a、51bの外周に、網目状の電源線52a、52bを配するとともに、2本のゴム等の弾性体からなる芯材51c、51dの外周に、網目状の信号線52c、52dを配し、この電源線52a、52bが配された芯材51a、51bおよび信号線52c、52dが配された芯材51c、51dを編材からなる伸縮自在の被覆材53で被覆して構成される。
【0029】
この弾性ケーブル50は、視覚障害者用折畳み杖100の使用時に、杖先端部10、第1杖中間部20、第2の杖中間部30、杖把持部40を接続するに十分な弾性力を有するとともに、この視覚障害者用折畳み杖100の携帯時に、杖先端部10、第1杖中間部20、第2の杖中間部30、杖把持部40を折畳み可能にする十分な伸縮性を有している。
【0030】
図6は、図1乃至図5で説明した実施例1の視覚障害者用折畳み杖100で採用される電気回路図の一例を示す図である。
【0031】
図6において、杖先端部10に内蔵される色識別処理部124と杖把持部40に内蔵される振動発生部422との間は、弾性ケーブル50に配された信号線52c、52dで接続される。
【0032】
杖把持部40に内蔵される電池421のプラス電源線は、杖把持部40に内蔵される振動発生部422に接続されるとともに、弾性ケーブル50に配された電源線52aを通って杖先端部10に内蔵される色識別処理部124およびセンサ部124に接続される。
【0033】
杖把持部40に内蔵される電池421のマイナス電源線は、杖把持部40の外周部40a、第2の杖中間部30の外周部30a、第1の杖中間部20の外周部20a、杖先端部10の外周部10aを通って杖先端部10に内蔵される色識別処理部124およびセンサ部124に接続されるとともに、弾性ケーブル50に配された電源線52bを通って杖把持部40に内蔵される振動発生部422に接続される。
【0034】
今、実施例1の視覚障害者用折畳み杖100が、図2に示すように、折畳まれている状態では、杖把持部40の外周部40aと第2の杖中間部30の外周部30aとの間、第2の杖中間部30の外周部30aと第1の杖中間部20の外周部20aとの間、第1の杖中間部20の外周部20aと杖先端部10の外周部10aとの間は、離間しており、この状態で、杖把持部40の外周部40aと第2の杖中間部30の外周部30aとの間の仮想スイッチSW1、第2の杖中間部30の外周部30aと第1の杖中間部20の外周部20aとの間との間の仮想スイッチSW2、第1の杖中間部20の外周部20aと杖先端部10の外周部10aとの間との間の仮想スイッチSW3は、いずれもオフの状態にあり、杖把持部40に内蔵される振動発生部422、杖先端部10に内蔵される色識別処理部124およびセンサ部124には、杖把持部40に内蔵される電池421から電源は供給されない。
【0035】
したがって、杖把持部40に内蔵される振動発生部422、杖先端部10に内蔵される色識別処理部124およびセンサ部124は、非駆動状態にある。
【0036】
ところが、弾性ケーブル50の弾性力により、図1に示すように、杖先端部10、第1杖中間部20、第2の杖中間部30、杖把持部40が接合部11、21、31をそれぞれ介して接続状態になると、杖把持部40の外周部40aと第2の杖中間部30の外周部30aとの間の仮想スイッチSW1、第2の杖中間部30の外周部30aと第1の杖中間部20の外周部20aとの間との間の仮想スイッチSW2、第1の杖中間部20の外周部20aと杖先端部10の外周部10aとの間との間の仮想スイッチSW3は、いずれもオン状態になり、杖把持部40に内蔵される振動発生部422、杖先端部10に内蔵される色識別処理部124およびセンサ部124には、杖把持部40に内蔵される電池421から電源が供給され、杖把持部40に内蔵される振動発生部422、杖先端部10に内蔵される色識別処理部124およびセンサ部124は、駆動状態になる。
【0037】
すなわち、この実施例1の視覚障害者用折畳み杖100においては、図2に示す折畳まれた携帯時においては、仮想スイッチSW1、SW2、SW3がすべてオフになって、杖把持部40に内蔵される振動発生部422、杖先端部10に内蔵される色識別処理部124およびセンサ部124は、いずれも非駆動状態になっているが、図1に示す杖先端部10、第1杖中間部20、第2の杖中間部30、杖把持部40を接続した使用時においては、仮想スイッチSW1、SW2、SW3がすべてオンになって、杖把持部40に内蔵される振動発生部422、杖先端部10に内蔵される色識別処理部124およびセンサ部124に自動的に電池421から電源が供給されて、駆動状態になる。したがって、この実施例1の視覚障害者用折畳み杖100においては、杖把持部40に内蔵される振動発生部422、杖先端部10に内蔵される色識別処理部124およびセンサ部124に供給される電源をオンオフする特別の電源スイッチは不要になる。
【0038】
次に、図3に示した杖先端部10に内蔵される色識別処理部124およびセンサ部124の動作の一例について説明する。
【0039】
杖先端部10に内蔵されるセンサ部124は、この視覚障害者用折畳み杖100の使用時において、杖先端部10の先端の周縁に沿って配列された4個の発光素子121a、121b、121c、121dを点灯駆動し、歩行路上を照射する。これにより、歩行路上に描かれたラインからの反射光を受光素子123で受光する。
【0040】
センサ部124は、受光素子123の出力を色識別処理部125に送り、色識別処理部125では、受光素子123の受光出力を色分解して、歩行路上に描かれたラインの色を識別する。
【0041】
色識別処理部125は、MPU(マイクロプロセッサユニット)等により構成され、色識別は、受光素子123の受光出力を色分解した、赤色信号、緑色信号、青色信号のそれぞれのレベル比に基づき行う。
【0042】
例えば、赤色信号が規定値以上で、他の緑色信号、青色信号がともに規定値以下であると、歩行路上に描かれたラインの色は赤色と識別し、また、赤色信号、緑色信号がともに規定値以上で、青色信号が規定値以下であると、歩行路上に描かれたラインの色は黄色と識別し、また、赤色信号、緑色信号、青色信号がともに規定値以上であると、歩行路上に描かれたラインの色は白色と識別する。
【0043】
また、赤色信号、緑色信号、青色信号のそれぞれのレベル比を算出して、この算出値に基づき歩行路上に描かれたラインの色を識別するように構成してもよい。
【0044】
色識別処理部125で識別された色を示す色情報は、弾性ケーブル50に配された信号線52c、52dを通って、杖把持部40に内蔵される振動発生部422に伝達され、振動発生部422は、色識別処理部125で識別された色に対応する態様で振動を発生する。
【0045】
なお、色識別処理部125に、識別する識別色を予め設定し、上記のように赤色信号、緑色信号、青色信号に基づき識別された歩行路上に描かれたラインの色が予め設定された検知色に含まれている場合に、杖把持部40に内蔵される振動発生部422に識別色情報を伝送するようにしてもよい。
【0046】
例えば、識別色が、白と黄色である場合は、色識別処理部125で識別された色が白と黄色以外の色であると、振動発生部422に識別色情報を伝送しない。しかし、色識別処理部125で識別された色が白若しくは黄色であると、振動発生部422に識別色情報を伝送し、振動発生部422では、振動発生部422で識別された色が白色である場合と黄色である場合でそれぞれ異なる態様で振動を発生する。
【0047】
なお、振動発生部422から発生される振動の態様は、振動の周波数、波形、振動間隔のいずれか若しくはこれらを組み合わせて発生するように構成してもよい。
【0048】
また、色識別処理部125における色識別を一定時間ごとに行い、頻繁に色が変化する場合と同じ色が長い時間続く場合とで、振動発生部422から発生される振動の発生態様を異ならせるように構成してもよい。
【0049】
また、同じ状態が長く続く場合は、歩行を停止していると判断して、電池421からの給電を停止若しくは間欠的に行うことで省電力モードに移行するように構成してもよい。
【実施例2】
【0050】
図7乃至図9は、この発明に係わる視覚障害者用折畳み杖の実施例2を示す図である。
【0051】
この実施例2の視覚障害者用折畳み杖は、図1に示した実施例1の視覚障害者用折畳み杖100と比較して弾性ケーブル50の構成が異なる。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0052】
実施例2においては、実施例1の色識別センサ部12を内蔵する杖先端部10に、信号線および電源線が配された弾性力を有するカール状の第1のカールケーブル54を内蔵するとともに、報知部および電源部を含む電源報知部42を内蔵する杖把持部40に、信号線および電源線が配された弾性力を有するカール状の第2のカールケーブル56を内蔵し、第1のカールケーブル54と第2のカールケーブル56との間を信号線および電源線が配された信号電源ケーブル55で接続する。
【0053】
このような構成によると、第1のカールケーブル54と第2のカールケーブル56の伸縮力を利用することで、図5で説明したような伸縮ケーブルを用いなくてもよい。
【0054】
すなわち、実施例2において、図1に示した視覚障害者用折畳み杖100の杖先端部10に対応する構成は、図7に示すように、先端に歩行路からの光を受光して、歩行路に描かれたラインの色を識別する色識別センサ部12を内蔵し、この色識別センサ部12に、信号線および電源線が配された弾性力を有するカール状の第1のカールケーブル54の一端が接続され、この第1のカールケーブル54の他端に、信号線および電源線が配された伸縮性を有さない信号電源ケーブル55が接続される。
【0055】
また、図1に示した視覚障害者用折畳み杖100の杖把持部40に対応する構成は、図8に示すように、杖先端部10の色識別センサ部12で識別された歩行路に描かれたラインの色に対応して異なる態様で報知を行う報知部および電源部を含む電源報知部42を内蔵し、この電源報知部42に、信号線および電源線が配された弾性力を有するカール状の第2のカールケーブル56の一端が接続され、この第2のカールケーブル56の他端に、上述した信号線および電源線が配された伸縮性を有さない信号電源ケーブル55が接続される。
【0056】
この実施例2の視覚障害者用折畳み杖の使用時においては、図1と同様に、第1のカールケーブル54と第2のカールケーブル56の弾性力により、杖先端部10、第1杖中間部20、第2の杖中間部30、杖把持部40が接合部11、21、31をそれぞれ介して接続して、1本の杖を形成する。
【0057】
また、この視覚障害者用折畳み杖100の携帯時においては、図9に示すように、第1のカールケーブル54および第2のカールケーブル56の弾性を利用して、杖先端部10、第1杖中間部20、第2の杖中間部30、杖把持部40をそれぞれ接合部11、21、31で離脱させ、折畳み状態にする。
【符号の説明】
【0058】
10 杖先端部
11 接合部
12 色識別センサ部
20 第1の杖中間部
21 接合部
30 第2の杖中間部
31 接合部
40 杖把持部
42 電源報知部
50 弾性ケーブル
51a、51b、51c、51d 芯材
52a、51b 電源線
51c、51d 信号線
53 被覆材
54 第1のカールケーブル
55 信号電源ケーブル
56 第2のカールケーブル
100 視覚障害者用折畳み杖
121、121a、121b、121c、121d 発光素子
122 受光素子
123 センサ部
124 色識別部
421 電池
422 振動発生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行路からの光を受光して、前記歩行路に描かれたラインの色を識別する色識別手段を先端に内蔵する杖先端部と、
前記杖先端部に順次接続する中空な複数段の杖中間部と、
前記色識別手段により識別された前記ラインの色に対応して異なる態様で報知を行う報知手段および電源手段を内蔵し、前記杖中間部の最終段に接続される杖把持部と、
前記複数段の杖中間部の中空部を通り、前記杖先端部の前記色識別手段と前記杖把持部の前記報知手段および電源手段とを接続する少なくとも1部が弾性体で構成される弾性ケーブルと
を具備し、
前記弾性ケーブルの弾性力により、前記杖先端部、前記複数段の杖中間部、前記杖把持部を接続して1本の杖を形成するとともに、前記杖先端部、前記複数段の杖中間部、前記杖把持部を折畳み可能にし、
かつ、前記弾性ケーブルに信号線および電源線を配し、前記杖先端部、前記複数段の杖中間部、前記杖把持部の全接続時に前記電源手段から前記電源線への給電を行う
ことを特徴とする視覚障害者用折畳み杖。
【請求項2】
前記色識別手段は、
歩行路上を照射する光照射部と、
前記歩行路からの反射光を受光する受光部と、
前記受光部で受光した光に基づき前記歩行路に描かれたラインの色を識別する色識別部と
を具備し、
前記報知手段は、
前記ラインの色に対応して異なる態様で振動を発生する振動発生部
を具備することを特徴とする請求項1記載の視覚障害者用折畳み杖。
【請求項3】
前記弾性ケーブルは、
弾性体からなる複数の心材と、
前記複数の心材の外周に配された網目状の信号および電源線と、
前記信号および電源線が配された複数の心材を被覆する伸縮自在の被覆材と
を具備することを特徴とする請求項1記載の視覚障害者用折畳み杖。
【請求項4】
前記弾性ケーブルは、
前記杖先端部の前記色識別手段に接続されるとともに該杖先端部内に内蔵され、信号線および電源線が配された弾性力を有するカール状の第1のカールケーブルと、
前記杖把持部の前記報知手段および電源手段に接続されるとともに該杖把持部内に内蔵され、信号線および電源線が配された弾性力を有するカール状の第2のカールケーブルと、
前記第1のカールケーブルと前記第2のカールケーブルとを接続する信号線および電源線が配された信号電源ケーブルと
を具備することを特徴とする請求項1記載の視覚障害者用折畳み杖。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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