説明

視認性を高める表示装置および表示方法

【課題】アイコンなどのオブジェクトを表示画面から消去する際に、その視認性を高める。
【解決手段】表示手段2と表示制御部とを備えた表示装置1であって、前記表示制御部は、前記表示手段に表示されたオブジェクト(アイコン9)がドラッグされているときに前記オブジェクトにエフェクト12を付加し、前記エフェクトを前記オブジェクトとともに移動、縮小の少なくともいずれかを行うことによって前記表示手段から消去する。前記エフェクトは、前記オブジェクトの周囲を取り囲むものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画面に表示されたオブジェクトの移動および変化の視認性を高める表示装置および表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルに表示されたアイコンなどのオブジェクトに対して指などの指示体で接触操作を行うことにより、オブジェクトの操作を行う機器が知られている。このような機器において、オブジェクトを表示画面から消去する場合、オブジェクトが指示体の下に隠れてしまい、その変化が見えづらいという問題があった。
【0003】
例えば、アイコンが表示領域の端部までドラッグされると、アイコンが表示領域外に移動し画面から消去されるような画面表示の場合においては、アイコンが指に隠れることに加え、アイコンがすぐに表示領域から消えてしまうために、その移動の様子が分かりづらい。
【0004】
同様に、複数のアイコンが並べられたレイアウト用のパネルの中から一つのアイコンをタッチするとそのアイコンおよびレイアウト用のパネルがその場で消去されるような画面表示の場合においても、アイコンが指に隠れてしまうために、意図したアイコンをタッチしたかどうかをユーザが認識しづらい。
【0005】
アイコンなどのオブジェクトが指示体に隠れるために視認性が低下するという課題に対し、特許文献1には、ボタン(オブジェクト)がドラッグされている間は、ボタンを別の表示位置に移動させることによって、ボタンの視認性を確保する表示制御装置が記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、どのボタン(オブジェクト)がタッチされたかを分かりやすくするため、タッチされたボタンが沈み、その周囲のボタンも引きずられてへこんだように表示する表示装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−159180号公報
【特許文献2】特開2004−259054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の表示制御装置においては、ドラッグ位置(指の接触位置)とアイコンの位置がずれているために直感性に欠けるという問題があった。
【0009】
また、特許文献2に記載の表示装置においては、タッチしたボタンがすぐに消えてしまうような場合や、ボタンをタッチすると別のオブジェクトが変化するというような、ボタンが別のオブジェクトと関連しているような場合には効果が得られない。
【0010】
そこで本発明は、アイコンなどのオブジェクトを表示画面から消去する際に、その視認性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明にかかる第1の表示装置は、表示手段と表示制御部とを備えた表示装置であって、前記表示制御部は、前記表示手段に表示されたオブジェクトがドラッグされているときに前記オブジェクトにエフェクトを付加し、前記エフェクトを前記オブジェクトとともに移動、縮小の少なくともいずれかを行うことによって前記表示手段から消去することを特徴としている。
【0012】
本発明にかかる第2の表示装置は、第1の表示装置の構成に加え、前記エフェクトは、前記オブジェクトの周囲を取り囲むものであることを特徴としている。
本発明にかかる第3の表示装置は、第1の表示装置の構成に加え、前記エフェクトは、前記オブジェクトがドラッグされた軌跡であることを特徴としている。
【0013】
本発明にかかる第4の表示装置は、第1の表示装置の構成に加え、前記エフェクトは前記オブジェクトを複製したものを前記オブジェクトの近傍に表示したものであることを特徴としている。
【0014】
本発明にかかる第5の表示装置は、第1の表示装置の構成に加え、前記エフェクトは、前記オブジェクトがドラッグによって引き伸ばされたものであることを特徴としている。
【0015】
本発明にかかる第6の表示装置は、表示手段と表示制御部とを備えた表示装置であって、前記表示制御部は、前記表示手段に表示された第1のオブジェクトを前記表示手段から消去する際に、前記第1のオブジェクトに関連する第2のオブジェクトを前記第1のオブジェクトに向けて縮小しながら移動させて消去することを特徴としている。
【0016】
本発明にかかる第7の表示装置は、第6の表示装置の構成に加え、前記第1のオブジェクトは、前記第2のオブジェクトに対して実行する機能のボタンであることを特徴としている。
【0017】
本発明にかかる第8の表示装置は、第6の表示装置の構成に加え、前記第2のオブジェクトは、前記第1のオブジェクトを含むパネルであることを特徴としている。
【0018】
本発明にかかる第9の表示装置は、第8の表示装置の構成に加え、前記表示制御部は、前記第2のオブジェクトを前記第1のオブジェクトに向けて縮小しながら移動させて消去する際に、前記第2のオブジェクトを前記第1のオブジェクトに関連した形状または色に変化させることを特徴としている。
【0019】
本発明にかかる第1の表示方法は、表示手段に対する表示制御ステップを含む表示方法であって、前記表示制御ステップは、前記表示手段に表示されたオブジェクトがドラッグされているときに前記オブジェクトにエフェクトを付加し、前記エフェクトを前記オブジェクトとともに移動、縮小の少なくともいずれかを行うことによって消去することを特徴としている。
【0020】
本発明にかかる第2の表示方法は、表示手段に対する表示制御ステップを含む表示方法であって、前記表示制御ステップは、前記表示手段に表示された第1のオブジェクトを前記表示手段から消去する際に、前記第1のオブジェクトに関連する第2のオブジェクトを前記第1のオブジェクトに向けて縮小しながら移動させて消去することを特徴としている。
【0021】
なお、本発明における「オブジェクト」の例としては、第1の実施形態においては「アイコン」、第2の実施形態においては「図形」および「パネル」が対応する。
【0022】
また、以下の説明において「タップする」とは指示体(指など)をタッチパネルに接触させてすぐ離す行為をいう。これは、入力手段としてマウスを用いた場合は、マウスカーソルをオブジェクトに合わせてマウスをクリックすることに相当する。タッチパネルにおける指示体は指やタッチペンであり、マウス入力における指示体はマウスカーソルである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、アイコンや図形といったオブジェクトを表示画面から消去する際の視認性を高めることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の表示装置の機能ブロック図
【図2】本発明の表示装置の概略図
【図3】本発明の実施例1に記載の表示装置における表示の様子を表す説明図
【図4】本発明の実施例1に記載の表示装置における表示の流れを表すフローチャート
【図5】本発明の実施例2に記載の表示装置における表示の様子を表す説明図
【図6】本発明の実施例3に記載の表示装置における表示の様子を表す説明図
【図7】本発明の実施例4に記載の表示装置における表示の様子を表す説明図
【図8】本発明の実施例4に記載の表示装置における表示の様子を表す説明図
【図9】本発明の実施例4に記載の表示装置における表示の様子を表す説明図
【図10】本発明の実施例5に記載の表示装置における表示の様子を表す説明図
【図11】本発明の実施例5に記載の表示装置における表示の様子を表す説明図
【図12】本発明の実施例5に記載の表示装置における表示の様子を表す説明図
【図13】本発明の実施例6に記載の表示装置における表示の様子を表す説明図
【図14】本発明の実施例6に記載の表示装置における表示の様子を表す説明図
【図15】本発明の実施例6に記載の表示装置における表示の流れを表すフローチャート
【図16】本発明の実施例6に記載の表示装置における表示の様子を表す説明図
【図17】本発明の実施例7に記載の表示装置における表示の様子を表す説明図
【図18】本発明の実施例7に記載の表示装置における表示の様子を表す説明図
【図19】本発明の実施例7に記載の表示装置における表示の様子を表す説明図
【0025】
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1の実施形態)
図1は本発明を適用した表示装置1の機能ブロック図である。表示装置1の正面部には、表示手段および入力手段としてのタッチパネル2、情報処理手段としてのCPU3(Central Processing Unit)、記憶手段としてのメモリ4が備えられている。メモリ4はプログラムデータ等が格納されているROM(Read-Only Memory)と、処理結果を一時的に保持するためのRAM(Random-Access Memory)からなる。また、さらに情報を読み書きするためのHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどを備えていても良い。
【0027】
CPU3は中央制御部5、入力検出部6、表示制御部7からなる。タッチパネル2への接触による入力は、CPU3の入力検出部6によって検知され、メイン処理を行う中央制御部5へと送られる。中央制御部5での処理の結果は、表示に関わる制御を行う表示制御部7を通じてタッチパネル2に表示される。
【0028】
図2は、表示装置1が画像閲覧モードにあるときの初期状態の概略図である。表示装置1の正面部は、額縁8とタッチパネル2からなっており、タッチパネル2には、画像ファイルの複数のアイコン9およびデータを削除するためのごみ箱10が表示されている。アイコン9が並んでいる列は、指などの指示体11でなぞることにより、列全体を左右にスクロールしたり、アイコン9を画面内でドラッグしたりできる。
【0029】
このアイコン9をタッチパネル2の端部までドラッグさせると、アイコン9がその接近させた端部から画面外に消えるように移動する。このような表現は、例えば表示装置1が通信手段を備えている場合に、アイコン9が表すデータを他の機器に転送する際のアニメーションとして有用である。
【0030】
(実施例1)
続いて、アイコン9を表示領域の端から表示領域外に移動して消去する際の操作の詳細について、図3の説明図および図4のフローチャートを用いて説明する。
【0031】
図3(A)において、指示体11がタッチパネル2上のアイコン9(オブジェクト)に接触しドラッグが開始されると(ステップS100でYes、Sはステップのこと、以降同様)、表示制御部7は、図3(B)のようにアイコン9の周囲に楕円エフェクト12を表示する(ステップS101)。
【0032】
なお、アイコンの表示変化や移動などの表示に関わる制御は、以降同様に表示制御部7によって行われる。
【0033】
そして、アイコン9がタッチパネル2の端部までドラッグされると(ステップS105でYes)、図3(C)のように、楕円エフェクト12の色や模様を変化させ(ステップS106)、アイコン9が端部領域に入ったことを分かりやすく示す。
【0034】
そして、端部領域において指示体11がタッチパネル2から離されると(以下、アイコンを「ドロップする」という)(ステップS103でYes)、アイコン9および楕円エフェクト12がともにその端部から消えるように移動させる(ステップS104)。
【0035】
これにより、アイコン9の領域を楕円エフェクト12によって実質的に拡大することができるため、アイコン9をそのまま画面外に移動させる場合と比べ、アイコン9と楕円エフェクト12の領域の全てが画面外に消えるまでの時間をより長くすることができ、結果として移動の様子をユーザに分かりやすく示すことができる。
【0036】
なお、アイコン9がタッチパネル2の端部以外のところでドロップされた場合は、楕円エフェクト12が消去され、アイコン9はその場所にとどまる(ステップS108)。
【0037】
また、本実施例1ではアイコン9がタッチパネル2の端部でドロップされた時点で表示領域外へと移動するように表示するようにしていたが、ユーザによるドロップが行われなくても(指示体11がタッチパネル2に接触したままでも)、端部までドラッグが行われた場合は、自動的にアイコン9をドロップさせ、表示領域外へと移動して消去するようにしてもよい。この場合においては、指示体11がタッチパネル2に接触した状態であるため、指示体11がタッチパネル2から離れている場合と比べ、アイコン9がさらに見えづらい状態となるため、アイコンにエフェクトを付加させることによる視認性向上の効果がより大きくなる。
【0038】
なお、第1の実施形態におけるタッチパネル2の端部とは、例えば、アイコン9の一部がタッチパネル2の表示領域の外に出ている状態になる位置とする。
【0039】
また、本実施例ではアイコン9の周囲を囲むエフェクトとして楕円エフェクトを例に挙げたが、このエフェクトは楕円に限らず、アイコン9の周囲に表示されるものであればどのような形をしていても良い。ただし上記のエフェクトは、アイコンの視認性を高めるという理由から、ある程度の大きさを持つことが望ましく、さらには、他の表示の視認性を低下させることのないように、半透明であることが望ましい。
【0040】
(実施例2)
次に、軌跡を用いてアイコン9を実質的に拡大する方法について、図5を用いて説明する。なお、本実施例2から実施例4までは、エフェクトの種類が異なる点を除けば同じ動作の流れで行われるため、そのフローチャートも図4と同様である。
【0041】
アイコン9(オブジェクト)のドラッグが開始されると、図5(A)のように、アイコン9が動いた軌跡上に軌跡エフェクト13が表示される。そして、図5(B)のように、アイコン9がタッチパネル2の端部までドラッグされると、軌跡エフェクト13の色が変化し、アイコン9が端部領域に入ったことを分かりやすく示す。
【0042】
ここで、アイコン9がドロップされると、図5(C)のように、表示制御部7はアイコン9と軌跡エフェクト13がともにタッチパネル2の表示領域外に移動して消えるように表示する。
【0043】
これにより、アイコン9と軌跡エフェクト13の領域の全てが画面外に消えるまでの時間をより長くすることができるため、アイコン移動の様子を分かりやすく表示することができる。
【0044】
なお、この軌跡エフェクト13は、図5のような帯状のものではなく、線状のものであっても良いし、アイコン9を薄く表示した残像のようなものであっても良い。
【0045】
(実施例3)
次に、吹き出しを用いてアイコン9を実質的に拡大する方法について、図6を用いて説明する。
【0046】
アイコン9(オブジェクト)のドラッグが開始されると、図6(A)のように、アイコン9の近傍に吹き出しエフェクト14が表示され、その中にアイコン9の様子が表示される。この吹き出しエフェクト14内のアイコンは、アイコン9を複製したものであり、アイコン9が変化すると、吹き出しエフェクト14内のアイコンも変化する。
【0047】
そして、図6(B)のように、アイコン9がタッチパネル2の端部までドラッグされると、アイコン9と吹き出しエフェクト14内のアイコンの色や形状がともに変化し、アイコン9が端部領域に入ったことを分かりやすく示す。
【0048】
ここで、アイコン9がドロップされると、図6(C)のように、表示制御部7はアイコン9と吹き出しエフェクト14がともにタッチパネル2の表示領域外に移動して消えるように表示する。
【0049】
これにより、アイコン9と吹き出しエフェクト14の領域の全てが画面外に消えるまでの時間をより長くすることができるため、アイコン9が移動する様子を分かりやすく表示することができる。
【0050】
なお、吹き出しエフェクト14を表示する位置は、アイコン9がドラッグされる方向が推測できる場合は、その方向とは逆方向の位置に表示するようにすることが望ましい。このようにすることで、アイコン9が表示領域外に消えていくような場合において、吹き出しエフェクト14をより長く表示することができる。
【0051】
また、吹き出しエフェクト14がアイコン9とともに移動している間に、吹き出しエフェクト14がタッチパネル2の表示領域にできるだけ長く残るように、アイコン9に対する吹き出しエフェクト14の相対位置を変更するようにしても良い。
【0052】
また、吹き出しエフェクト14が、アイコン9に対して遅れて画面外に移動するように表示することによって、吹き出しエフェクト14の表示時間を長くするようにしても良い。
【0053】
(実施例4)
次に、伸縮表現を用いてアイコン9を実質的に拡大する方法について、図7を用いて説明する。
【0054】
アイコン9(オブジェクト)のドラッグが開始されると、図7(A)のように、指示体11が動いた軌跡に応じて、伸縮エフェクト15が伸びるように表示される。そして、図7(B)のように、伸縮エフェクト15がタッチパネル2の端部までドラッグされると、アイコン9と伸縮エフェクト15の色が変化し、アイコン9が端部領域に入ったことを分かりやすく示す。
【0055】
ここで、伸縮エフェクト15(アイコン9)がドロップされると、図7(C)のように、表示制御部7はアイコン9と伸縮エフェクト15がともにタッチパネル2の表示領域外に移動して消えるように表示する。
【0056】
これにより、アイコン9と伸縮エフェクト15の領域の全てが画面外に消えるまでの時間を長くすることができるため、アイコン移動の様子を分かりやすく表示することができる。
【0057】
また、伸縮エフェクトを付加する代わりに、以下のようにアイコン9自体を引き伸ばすような表示を行っても良い。なお、アイコン自体を引き伸ばす方法は、アイコンに伸縮エフェクト15を追加する場合とユーザインタフェース上はほぼ同じであるため、この方法も「アイコンにエフェクトを付加する」という概念に含めるものとする。
【0058】
アイコン9のドラッグが開始されると、図8(A)のように、アイコン9がドラッグ方向に引き伸ばされるような表示を行う。そして、図8(B)のように、アイコン9が伸びた部分がタッチパネル2の端部に到達すると、アイコン9の色が変化し、端部領域に到達したことを分かりやすく示す。
【0059】
ここで、アイコン9がドロップされると、図8(C)のように引き伸ばされたアイコン9がタッチパネル2の表示領域外に移動して消えるように表示する。
【0060】
なお、アイコン9を引き伸ばす際の表現としては上記のようなものに限らず、例えば図9のようにアイコン9全体が伸び縮みするようなものであってもよい。
【0061】
このようにアイコン9を引き伸ばすような表現を行うことで、ドラッグ中もアイコンの表示内容を確認することができるという利点を有する。
【0062】
(実施例5)
上記実施例1〜4で説明した、アイコンにエフェクトを付加し、アイコンと一体化して移動・変化させることによって視認性を高めることができるのは、アイコンをタッチパネルの表示領域外に移動させて消去する場合に限らない。その一例として、実施例1の楕円エフェクトを用いて、アイコンを表示領域内で移動、縮小の少なくともいずれかを行うことにより消去する表示について説明する。
【0063】
図10は、アイコン9をごみ箱10に捨てる(削除する)操作を説明したものである。図10(B)において、アイコン9(オブジェクト)のドラッグを開始すると、周囲に楕円エフェクト12が表示され、アイコン9のドラッグとともに移動する。
【0064】
そして、図10(C)のように、アイコン9がごみ箱10に重なるようにドラッグされると、図11(A)のように楕円エフェクト12の色や模様が変化し、ごみ箱10に重なったことを表現する。
【0065】
そしてここでアイコン9がドロップされると、図11(A)〜(C)で示したように、アイコン9とともに楕円エフェクト12も一緒に縮小され、ごみ箱10に吸い込まれて消えていくようなアニメーションが行われる。
【0066】
これにより、指示体11に隠れて見えづらいアイコン9の表示領域をエフェクトによって実質的に拡大することができ、さらにそのエフェクト領域をアイコン9の状態に応じて変化させることによって、アイコンの状態変化の視認性を高めることができる。
【0067】
また、図12のように、実施例2〜4で説明したようなエフェクトにおいても、同様にごみ箱10へと吸い込まれて消えていくような表示を行うことができる。
【0068】
図12(A)は、アイコン9(オブジェクト)とともに、ドラッグにより生じた軌跡エフェクト13がごみ箱10に吸い込まれて消えていくように表示した例である。
【0069】
図12(B)は、アイコン9(オブジェクト)とともに、ドラッグにより生じた吹き出しエフェクト14がごみ箱10に吸い込まれて消えていくように表示した例である。
【0070】
図12(C)は、アイコン9(オブジェクト)とともに、ドラッグにより生じた伸縮エフェクト15がごみ箱10に吸い込まれて消えていくように表示した例である。
【0071】
上記いずれの変形例においても、アイコンが移動し、消えていく様子を、アイコン9自体の大きさよりも広い領域で表示することができるため、アイコンが移動する様子の視認性を高くすることができるという効果を奏する。
【0072】
なお、本実施例5はアイコン9をごみ箱10に捨てる操作について説明したが、ごみ箱10の代わりにアイコン9を格納することができるいわゆるフォルダのようなものを用いる場合も同様である。
【0073】
また、以上のような第1の実施形態においては、アイコン9が移動して消えていく間に、アイコンやエフェクトの形や大きさが変化するようなものであっても良い。例えば、実施例1においては、アイコン9がタッチパネル2の表示領域外に消えていくときに、楕円エフェクト12を進行方向に対して垂直な方向に縮小させ(幅がせまくなるようにし)、移動の勢いを表現するようにしても良い。
(第2の実施形態)
第2の実施形態においては、タップすると消去されるオブジェクトに対して操作を行ったときに、どのオブジェクトがタップされたかを分かりやすくする表示について説明を行う。
【0074】
図13は図形描画ソフトを例にとった説明図である。図13(A)において、表示装置1の上部にはメニュー16(色を変更するメニュー16a、図形を変更するメニュー16b、フォントを変更するメニュー16c)が表示されている。それ以外の部分は描画領域17となっており、様々な形の図形18(オブジェクト)を描画することができる。
(実施例6)
ここで、図13、図14の説明図および図15のフローチャートを用いて、図形18に対して切り取りを行う操作について説明する。
【0075】
図13(A)のように、図形18a(第2のオブジェクト、三角形)に対し、長押しなどの操作を行うと(ステップS200でYes)、図13(B)のように、図形18aの色が変化し、図形18aに対するコンテキストメニュー19が画面に表示される(ステップS201)。
【0076】
コンテキストメニュー19は、図形のコピーを行うコピーボタン20、図形の切り取り(カット)を行う切り取りボタン21からなっている。
【0077】
ここで、図13(C)のように、切り取りボタン21がタップされると(ステップS204でYes)、切り取りボタン21が第1のオブジェクトとなる。そして、図14(A)、(B)のように、切り取りボタン21(第1のオブジェクト)に向けて縮小しながら移動させ、図形18a(第2のオブジェクト)が吸い込まれるように消えていく(ステップS205)。そして、図形18aが吸い込まれた後は、コンテキストメニュー19を消去する。
【0078】
また、図13(B)の状態においてコピーボタン20がタップされた場合(ステップS206)は、コピーボタン20が第1のオブジェクトとなる。そして、図形がコピーされるということをより分かりやすくするため、図16のように、図形18aは同じ位置に表示したまま、図形18aの代わりに、図形18を複製した図形22を第2のオブジェクトとし、図形22をコピーボタン20に向けて縮小しながら移動させ、吸い込まれて消えていくように表示する(ステップS207)。
【0079】
一方で、図13(C)においてコンテキストメニュー19やメニュー16以外の部分(描画領域17)がタップされた場合は、図形18が吸い込まれて消えるような表示は行わず、単に消去する(ステップS208)。
【0080】
このようにすることで、コンテキストメニュー19の領域がタップされかどうかを消去における表示の違いによって区別することができるため、ユーザは意図したボタンを押せたかどうかをすぐに確認することができるという効果をもたらす。
【0081】
このように、タップされたボタンに向けて、関連するオブジェクトに向けて縮小しながら移動させ、吸い込まれて消えていくように表示することによって、タップ時に図形18を単に消去するときに比べ、どのボタンがタップされたかが分かりやすくなる。
【0082】
また、本実施例のようにコピーや切り取り操作を行う場合は、図形18(または図形22)がボタンに吸い込まれるように表示することによって、本当に図形18(または図形22)にコピーや切り取り操作が行われたかのような印象をユーザに与えることができる。
【0083】
なお、本実施例6ではコンテキストメニューとして「コピー」と「切り取り」を挙げたが、それ以外のものであっても良い。例えば、「削除」や「移動」のように、図形18が削除されることが期待されるメニューにおいては、図14のように、図形18がメニューに吸い込まれるように表示すれば良いし、「開く」や「メールで送る」のように、図形18の機能が実行されたりコピーされたりすることが期待されるメニューにおいては、図16のように、図形18の複製である図形22が吸い込まれるように表示すれば良い。
【0084】
また、本実施例6においては、第2のオブジェクト(吸い込まれるオブジェクト)として図形18または図形22を例にとったが、コンテキストメニュー19のうち、タップされなかった方のボタンも第2のオブジェクトとし、第1のオブジェクトに吸い込まれるように表示しても良い。例えば、図13(C)のように、切り取りボタン21がタップされた場合は、図形18とともにコピーボタン20も切り取りボタン21に吸い込まれるように表示する。
【0085】
また、上記の説明に用いた図においては図形18が変形しながら吸い込まれるような表示を行っているが、形を維持したまま次第に大きさが小さくなっていくような吸い込まれ方でも良い。
【0086】
また、コンテキストメニューを呼び出す操作は長押しに限らず、例えば入力手段としてマウスを用いる場合は、右クリックによって呼び出すようにしても良い。
(実施例7)
次に、選択肢としてのアイコンやメニューが並んでいるパネルを消去する際の画面表示について説明する。
【0087】
図17は、描画する図形を選択する手順を示した説明図である。図17(A)のように指示体11でメニュー16bをタップすると、図17(B)のように、メニュー16bの下部に図形選択パネル23(第2のオブジェクト)が現れる。この図形選択パネル23の中には複数の(図示した例では9つの)図形アイコン24(24a、24b、…)が表示されており、そのうちいずれかをタップすることにより描画する図形を選択し、続けて描画領域17でタップやドラッグを行うことによりその図形を描画することができる。
【0088】
ここで、図17(C)のように、図形選択パネル23の右下に表示されている図形アイコン24a(雲の図形)をタップすると、図形アイコン24aが第1のオブジェクトとなり、図18(A)〜(C)のように、図形選択パネル23(第2のオブジェクト)がタップされた図形アイコン24aに向かって縮小しながら移動させ、吸い込まれるように消去する。
【0089】
一方で、図17(C)において、図形選択パネル23やメニュー16以外の部分(描画領域17)をタップすると、図形選択パネル23が吸い込まれて消えていくような表示は行わず、そのまま消去する。
【0090】
このようにすることにより、タップの場所が図形選択パネル23内の位置であるかどうかをユーザが区別することができる。
【0091】
続いて、本実施例7の変形例について説明する。上記の実施例7では、タップした位置が図形選択パネル23内の位置であるかどうかを区別することはできたが、図形選択パネル23内の複数の図形アイコン24のうちどれがタップされたかを区別することは難しかった。したがって、ユーザは図形アイコン24a(雲の図形)をタップしたつもりが、隣接する図形アイコン24b(稲妻の図形)が選択されてしまい、気付かないまま操作をつづけてしまうということがあった。
【0092】
そこで、本変形例では、図17(C)のように、図形アイコン24a(雲)がタップされたときは、図19(A)〜(C)のように、図形選択パネル23が元々の形状(長方形)から、タップされた図形アイコンに対応する図形の形状(ここでは雲の形)に変化しながら、タップ位置に吸い込まれるように消去する。
【0093】
同様に、図形アイコン24b(稲妻)がタップされたときには、図形選択パネル23は長方形から稲妻の形に変化しながら、タップ位置に吸い込まれるように消去される。
【0094】
このようにすることにより、図形選択パネル23内を適切にタップできたことが分かりやすくなることに加え、どの図形アイコン24をタップしたのかもユーザに示すことができるため、誤入力を行った際にユーザに素早く気付かせることができる。
【0095】
なお、上記の変形例の説明においては図形選択パネル23の形を変更することについて記載したが、パネルが図形選択を行うものではなく、例えばメニュー16aをタップすることによって現れる色選択パネル25(図示せず)に含まれる複数の色アイコン26(図示せず)から図形の色を選択するような場合は、色アイコン26をタップして選択すると、色選択パネル25がその色に変化しながらタップ位置に吸い込まれるように消去すればよい。
【0096】
本発明の第1および第2の実施形態では、タッチパネルを備える表示装置によって説明を行ったがこれに限るものではなく、マウスによって指示体11(カーソル)を動かすようなものであってよい。この場合、タップ操作はマウスのクリック操作に相当する。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明によれば、アイコンが移動および変化した際の視認性を高める表示装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0098】
1 表示装置
2 タッチパネル(表示手段、入力手段)
3 CPU(情報処理手段)
4 メモリ(記憶手段)
5 中央制御部
6 入力検出部
7 表示制御部
8 額縁
9 アイコン
10 ごみ箱
11 指示体
12 楕円エフェクト
13 軌跡エフェクト
14 吹き出しエフェクト
15 伸縮エフェクト
16 メニュー
17 描画領域
18 図形
19 コンテキストメニュー
20 コピーボタン
21 切り取りボタン
22 図形
23 図形選択パネル
24 図形アイコン
25 色選択パネル
26 色アイコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段と表示制御部とを備えた表示装置であって、前記表示制御部は、前記表示手段に表示されたオブジェクトがドラッグされているときに前記オブジェクトにエフェクトを付加し、前記エフェクトを前記オブジェクトとともに移動、縮小の少なくともいずれかを行うことによって前記表示手段から消去することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記エフェクトは、前記オブジェクトの周囲を取り囲むものであることを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記エフェクトは、前記オブジェクトがドラッグされた軌跡であることを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記エフェクトは前記オブジェクトを複製したものを前記オブジェクトの近傍に表示したものであることを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記エフェクトは、前記オブジェクトがドラッグによって引き伸ばされたものであることを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
表示手段と表示制御部とを備えた表示装置であって、前記表示制御部は、前記表示手段に表示された第1のオブジェクトを前記表示手段から消去する際に、前記第1のオブジェクトに関連する第2のオブジェクトを前記第1のオブジェクトに向けて縮小しながら移動させて消去することを特徴とする表示装置。
【請求項7】
前記第1のオブジェクトは、前記第2のオブジェクトに対して実行する機能のボタンであることを特徴とする、請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第2のオブジェクトは、前記第1のオブジェクトを含むパネルであることを特徴とする、請求項6に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示制御部は、前記第2のオブジェクトを前記第1のオブジェクトに向けて縮小しながら移動させて消去する際に、前記第2のオブジェクトを前記第1のオブジェクトに関連した形状または色に変化させることを特徴とする、請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
表示手段に対する表示制御ステップを含む表示方法であって、前記表示制御ステップは、前記表示手段に表示されたオブジェクトがドラッグされているときに前記オブジェクトにエフェクトを付加し、前記エフェクトを前記オブジェクトとともに移動、縮小の少なくともいずれかを行うことによって前記表示手段から消去することを特徴とする表示方法。
【請求項11】
表示手段に対する表示制御ステップを含む表示方法であって、前記表示制御ステップは、前記表示手段に表示された第1のオブジェクトを前記表示手段から消去する際に、前記第1のオブジェクトに関連する第2のオブジェクトを前記第1のオブジェクトに向けて縮小しながら移動させて消去することを特徴とする表示方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−92952(P2013−92952A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235551(P2011−235551)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】