説明

覗き窓

【課題】覗き窓の構造の簡素化を実現して全体コストを削減することができ、しかも施工現場における覗き窓の組み付けを迅速かつ簡便に行なうことができ、さらに窓枠の消失に伴うガラス板の落下を確実に防止できる覗き窓を提供する。
【解決手段】窓開口3の外郭形状より大きな外形のガラス板5と、ガラス板5を保持する窓枠6とで覗き窓を構成する。窓枠6は、ゴム成形品からなる窓枠本体10と、窓枠本体10にインサート固定される補強枠11、およびボルト12とを備えている。窓枠本体10の枠内周面には、ガラス板5の周縁を内外に挟持する装着溝15を周回状に凹み形成する。窓枠6およびガラス板5を窓開口3の周縁壁に締結した状態において、ガラス板5の周縁を内外の挟持壁16・17を介して窓開口3の周縁壁と補強枠11とで内外に挟持固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電盤、分電盤、制御盤、計器盤などの電気機器ボックスの前面壁に設けられる覗き窓に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の覗き窓の装着構造には、いくつかの形態がある。ひとつは、外枠と内枠との間にガラス板とパッキンを配置し、ボルトで締結される内外両枠によってガラス板を窓開口に挟持固定する形態である(特許文献1)。外枠および内枠は、それぞれアルミニウム条材を四角枠状に折り曲げ、条材の端部を溶接して形成してある。そこでは、外枠に組み付けたボルトが、窓開口の内縁より内側に位置しているので、窓開口の周縁壁にボルト挿通穴を形成する必要がない。また、無端状に形成した外枠と内枠とを多数個のボルトで締結するので、火災などによってパッキンが消失したとしてもガラス板が落下するのを防いで、電気機器ボックス内部への延焼を防止できる。
【0003】
上記の外枠をゴム成形品からなる主枠体と、主枠体の内部に後組みされる金属板製の芯枠体とで構成して、ガラス板を主枠体に設けた周溝に嵌め込む形態の覗き窓もある(特許文献2)。そこでは、芯枠体に固定したボルトを内枠のボルト通し穴に挿通したのち、ナットで締結することにより、覗き窓を外枠と内枠とで窓開口に挟持固定できる。
【0004】
他のひとつは、窓開口の外面にパッキンとガラス板と窓枠を順に配置し、窓枠にインサート固定したボルトを窓開口の周縁壁に沿って設けたボルト挿通穴に通し、窓開口の内面側でボルトにナットをねじ込んで、覗き窓を窓開口の周縁壁に引き寄せ固定する形態である(特許文献3)。そこでは、窓枠をプラスチック成形品で形成しており、特許文献1の覗き窓に比べて、内枠と、内枠側のパッキンを省略できる分だけ窓構造を簡素化できる。同様の覗き窓は特許文献4にも開示してあり、そこでは、上下一対の落下防止金具でガラス板を締結して、窓枠やパッキンが消失した場合のガラス板の落下を防止できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2761710号公報(段落番号0016、図2)
【特許文献2】特公昭63−42067号公報(第1頁第2欄21から26行、第2図)
【特許文献3】実開昭52−56745号公報全文(第3頁、8から18行、第3図)
【特許文献4】特開2001−193363号公報(段落番号0010、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の覗き窓は、アルミニウム条材を四角枠状に折り曲げて外枠および内枠を形成するので、内枠および外枠を打ち抜き鋼板で形成する覗き窓に比べて、両枠の構造強度を向上でき、外観上の美観にも優れている。しかし、覗き窓の構成部品点数が多いうえ、内枠および外枠の加工に多くの手間が掛かるため、全体コストが高く付く。また、構成部品点数が多い分だけ、施工現場における覗き窓の組み付けに手間が掛かる。
【0007】
その点、特許文献2の覗き窓においては、主枠体をゴム成形品で形成するので、主枠体自身がパッキンの機能を発揮して、パッキンの使用個所を窓開口と内枠体との間のみに限定することができ、その分だけ覗き窓の構造を簡素化し、全体コストを削減できる。しかし、芯枠体を無端環状に形成するので、主枠体に設けた周回状の装填溝に芯枠体を嵌め込むのが難しく、芯枠体およびガラス板の組み付けに多くの手間を要するのを避けられない。
【0008】
特許文献3の覗き窓においては、窓枠をプラスチック成形品で形成し、その内部にボルトの頭部をインサート固定するので、覗き窓の構造をさらに簡素化し、全体コストを削減できる。しかし、火災によって窓枠やパッキンが消失すると、ガラス板を支えることができず、ガラス板が落下するのを防止できない。また、特許文献4の覗き窓は、落下防止金具でガラス板を締結するので、窓枠やパッキンが消失した場合でもガラス板が落下するのをある程度は防止できる。しかし、上下一対の落下防止金具でガラス板の上下端を支持するだけであるため、窓枠およびパッキンが消失してボルトが傾ぐような場合に、ガラス板が落下するのを阻止できない。
【0009】
本発明の目的は、覗き窓の構造の簡素化を実現して全体コストを削減することができ、しかも施工現場における覗き窓の組み付けを迅速かつ簡便に行なうことができ、さらに窓枠の消失に伴うガラス板の落下を確実に防止して、電気機器ボックス内部への延焼を確実に防止できる覗き窓を提供することにある。本発明の目的は、覗き窓のサイズが大小に異なる場合でも使用する部品を共通化して、サイズが異なる覗き窓をより低コストで提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明における覗き窓は、窓開口3の外面を覆う覗き窓であって、窓開口3の外郭形状より大きな外形のガラス板5と、ガラス板5を保持する窓枠6とで構成する。窓枠6は、ゴム成形品からなる窓枠本体10と、窓枠本体10にインサート固定される補強枠11、およびボルト12とを備えている。窓枠本体10の枠内周面には、ガラス板5の周縁を内外に挟持する内挟持壁16と外挟持壁17とを備えた装着溝15が周回状に凹み形成してある。以て、窓開口3の周縁に設けたボルト挿通穴4に挿通したボルト12にナット13をねじ込んで、窓枠6およびガラス板5を窓開口3の周縁壁に締結した状態において、ガラス板5の周縁が内外の挟持壁16・17を介して窓開口3の周縁壁と補強枠11とで内外に挟持固定してあることを特徴とする。
【0011】
補強枠11は、複数個の部分枠体25・26で構成する。各部分枠体25・26にボルト12を固定する。
【0012】
ガラス板5および窓枠6が、四隅部分が丸められた四角形状に形成してある覗き窓においては、補強枠11を4個のコーナー枠25と、各コーナー枠25どうしをつなぐ直線状の辺部枠26とで無端枠状に構成する。以て、縦横寸法の異なる覗き窓において、少なくともコーナー枠25を共用する。
【0013】
窓開口3の周縁壁と接当する窓枠本体10の締結座面20の外周縁に沿って、雨水の浸入を阻止する第1リップ21を周回状に設ける。ガラス板5の周縁外面と接当する外挟持壁17の内面に沿って、雨水の浸入を阻止する第2リップ18を周回状に設ける。
【0014】
ボルト12は、ねじ軸27と、ねじ軸27の一端に張り出し形成される座部28とを一体に備えている。各部分枠体25・26に設けたバーリング部29にねじ軸27を圧嵌挿通して、ボルト12を各部分枠体25・26と一体化する。
【0015】
コーナー枠25は四半円弧状の板材で形成する。辺部枠26は、突部26aと座壁26bとを一体に備えた断面ハット形の条材で形成する。以て、辺部枠26の突部26aの端部外面にコーナー枠25の端部を重さねて溶接することにより、補強枠11を無端枠状に構成する。
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、窓開口3の外郭形状より大きな外形のガラス板5と、ガラス板5を保持固定する窓枠6とで覗き窓を構成し、予め装着溝15にガラス板5を嵌め込んだ状態の窓枠6を窓開口3の周縁壁に締結固定して覗き窓とするので、従来構造の覗き窓に比べて覗き窓の構造を著しく簡素化して、全体コストを削減することができる。また、構造を簡素化できる分だけ施工現場での組み付けに要する手間を省いて、覗き窓を窓開口3の周縁壁に迅速かつ簡便に組み付けることができる。
【0017】
さらに、窓枠6を窓開口3の周縁壁に締結した状態において、ガラス板5の周縁を窓開口3の周縁壁と、窓枠本体10にインサートした補強枠11とで、内外の挟持壁16・17を介して挟持固定するので、重量が大きいガラス板5であっても、的確にしかも強固にガラス板5を固定できる。しかも、火災などによって窓枠本体10が消失したとしても、補強枠11と多数個のボルト12でガラス板5を支持して落下を防止でき、これにより、電気機器ボックス1の内部への延焼を確実に防止できる。
【0018】
補強枠11を複数個の部分枠体25・26で構成すると、長さや形が異なる部分枠体25・26を複数種用意しておき、その組み合わせ形態を種々に変更することにより、外形サイズが異なる補強枠11を容易に構成できる。したがって、サイズが異なる多種類の覗き窓を少量ずつ製造するときの製造コストを削減できる。しかも、部分枠体25・26を共用する場合には覗き窓をさらに低コストで製造できる。また、各部分枠体25・26にはボルト12が固定してあるので、窓枠本体10が消失した場合でも個々の部分枠体25・26が落下するのを確実に防止し、ガラス板5の落下を確実に防止できる。
【0019】
四隅部分が丸められた四角形状の覗き窓において、四半円弧状の枠面を含む4個のコーナー枠25と、各コーナー枠25どうしをつなぐ直線状の辺部枠26とで補強枠11を無端枠状に構成すると、縦横寸法の異なる全ての覗き窓において少なくともコーナー枠25を共用して、その分だけ補強枠11を低コスト化し覗き窓をさらに低コストで製造できる。また、直線状の辺部枠26を数種類用意しておくことにより、縦横寸法が異なる補強枠11において辺部枠26を共用することができるので、その分だけ覗き窓を低コスト化できる。さらに、無端状の補強枠11と多数個のボルト12でガラス板5を支持するので、火災などによって窓枠本体10が消失したとしても、ガラス板5の落下を確実に防止して、電気機器ボックス1の内部への延焼を確実に防止できる。
【0020】
締結座面20の外周縁に第1リップ21を設け、外挟持壁17の内面に第2リップ18を設ける窓枠本体10によれば、締結座面20と窓開口3の周縁壁との間から雨水が浸入するのを第1リップ21で阻止でき、さらに外挟持壁17とガラス板5との間から雨水が浸入するのを第2リップ18で阻止できる。つまり、専用のパッキンを付加する必要もなく、窓枠本体10のみで必要個所をシールできるので、高度のシール機能を備えた覗き窓でありながらその構造を簡素化して低コスト化できる。各リップ18・21は窓枠本体10の成形時に一体に形成できるので、各リップ18・21を窓枠本体10と一体化する手間も省くことができる。
【0021】
ねじ軸27と、ねじ軸27の一端に張り出し形成される座部28とでボルト12を構成し、各部分枠体25・26に設けたバーリング部29にねじ軸27を圧嵌挿通して、ボルト12を各部分枠体25・26と一体化すると、例えば、ボルト12を各部分枠体25・26に溶接する場合に比べて、ボルト12を各部分枠体25・26に対してより低コストで固定できる。
【0022】
コーナー枠25を四半円弧状の板材で形成し、辺部枠26を突部26aと座壁26bとを一体に備えた断面ハット形の条材で形成すると、辺部枠26の構造強度を高めて、その分だけ補強枠11の強度を向上し、より重量が大きなガラス板5であっても安定した状態で支持できる。また、辺部枠26の突部26aの端部外面にコーナー枠25の端部を重さねて溶接することにより、コーナー枠25と辺部枠26とを強固に一体化して、両者の連結部が窓枠本体10の成形時にずれ動いたり分離するのを確実に防止して、窓枠6を製造するときの歩留まりを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図2におけるA−A線断面図である。
【図2】覗き窓を適用した電気機器ボックスの斜視図、および覗き窓の正面図である。
【図3】覗き窓を壁開口から分離した状態の分解斜視図である。
【図4】覗き窓を壁開口に装着する直前の状態を示す図1と同等の断面図である。
【図5】補強枠の正面図である。
【図6】補強枠の組み合わせ構造を示す分解正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施例) 図1ないし図6は本発明に係る覗き窓の実施例を示す。図2において、符号1は分電盤あるいは配電盤を構成する電気機器ボックスであり、その前面に設けた一対のドア2の片方に、本発明の覗き窓が装着してある。図3に示すように覗き窓が装着されるドア2の壁面には、四隅が丸められた四角形状の窓開口3が形成され、その周縁に沿って一群のボルト挿通穴4が形成してある。
【0025】
覗き窓はガラス板5と、ガラス板5を保持する窓枠6などで構成する。ガラス板5は、透明な強化ガラスあるいは透明な網入りガラスを素材にして、窓開口3の外郭形状よりひとまわり大きな横長四角形状に形成してあり、その四隅は窓開口3と同様に丸めてある。窓枠6は、エチレン−プロピレンゴムを素材とするゴム成形品からなる窓枠本体10と、窓枠本体10にインサート固定される補強枠11およびボルト12とで構成する。
【0026】
図4に示すように、窓枠本体10はガラス板5の外郭形状より、さらにひとまわり大きな横長四角形状の無端状の枠体からなり、枠体の内周縁に沿ってガラス板5を嵌め込むための装着溝15が凹み形成してある。断面がコ字状の装着溝15は、ガラス板5の周縁を内外に挟持する内挟持壁16と外挟持壁17との間に形成されており、装着溝15に臨む外挟持壁17の内面に沿って、雨水の浸入を阻止する第2リップ18が周回状に設けてある。
【0027】
第2リップ18は、図1に想像線で示すように装着溝15の開口縁側に設けられる断面が三角形状のリップからなる。装着溝15の溝幅は6.3mm、溝深さは6.5mmである。装着溝15に嵌め込み装着されるガラス板5の厚み寸法は6・3mmであるが、厚み寸法が6.0mmあるいは6.8mmのガラス板5であっても、問題なく装着溝15に嵌め込み装着することができる。
【0028】
窓枠本体10には、窓開口3の周縁壁と接当する締結座面20が形成してあり、その外周縁に沿って、雨水の浸入を阻止する第1リップ21が周回状に設けてある。図4に示すように第1リップ21は、締結座面20の外縁に設けられる断面が三角形状のリップからなる。締結座面20と対向する窓枠外面の外周縁には面取り状の傾斜面22が形成してあり、窓枠外面の内周縁には段部23が形成してある。
【0029】
図5に示すように補強枠11は、四半円弧状の枠面を含む4個のコーナー枠(部分枠体)25と、各コーナー枠25に隣接配置される4個の直線状の辺部枠(部分枠体)26とで構成する。コーナー枠25は四半円弧状の板材で形成し、辺部枠26は突部26aと座壁26bとを一体に備えた断面ハット形の条材で形成する。コーナー枠25および短辺側の辺部枠26の中央部分には1個のボルト12が固定され、長辺側の辺部枠26の左右2個所には2個のボルト12が固定してある。ボルト12は、ねじ軸27と、ねじ軸27の一端に張り出し形成される座部28とを一体に備えている。図1に示すように、ボルト12のねじ軸27を各枠体25・26に設けたバーリング部29に圧嵌挿通することにより、バーリング部29の開口縁29aをねじ山に喰い込ませて、ボルト12を各枠体25・26に対して相対回転不能に一体化することができる。
【0030】
コーナー枠25と辺部枠26とは、図5に示すように、各枠の隣接端どうしを重ねた状態で溶接することにより無端枠状に一体化される。詳しくは、辺部枠26の突部26aの端部外面にコーナー枠25の端部を重さねて溶接することにより一体化する。溶接個所を符号30で示す。この状態の補強枠11を、ゴム材料と共に成形金型の内部に装填して型締めしたのち、加圧しながら加熱することにより、補強枠11およびボルト12を窓枠本体10にインサート固定して、窓枠6を形成できる。この状態のボルト12のねじ軸27の突端側は、窓枠本体10の締結座面20から突出している。また、補強枠11は、窓枠本体10の肉壁内に埋設されて、その内周縁が装着溝15の溝深さ方向の中途部に達している。その意味は後述する。
【0031】
得られた窓枠6の装着溝15にガラス板5が嵌め込み装着される。詳しくは、ガラス板5のひとつの辺部を装着溝15に差し込み、内挟持壁16をへら状の治具でめくり上げながらガラス板5の周縁を装着溝15に徐々に嵌め込む。ガラス板5を窓枠本体10に装着した状態においては、図1に示すように、第2リップ18が圧縮変形されて、ガラス板5の外面に密着するので、雨水が装着溝15の内部に入り込むのを確実に防止できる。
【0032】
上記のように、覗き窓は、ガラス板5を窓枠6に一体化した状態で、必要個数のナット13と共に箱詰めされて出荷される。したがって、施工現場では、図3に示すようにダンボール箱から取り出した窓枠6を窓開口3の周縁壁にあてがい、ボルト12をボルト挿通穴4に差し込むだけで、仮組み状態に保持できる。さらに、ドア2の内面側からボルト12に座金およびナット13をねじ込むことにより、ガラス板5および窓枠6をドア2の外面に固定でき、従来の覗き窓に比べてより少ない手間で、しかも単独の作業者のみで覗き窓を組み立ることができる。
【0033】
窓枠6をドア2に装着した状態においては、ガラス板5の周縁が内外の挟持壁16・17を介して窓開口3の周縁壁と補強枠11とで内外に挟持固定される。このときの、ガラス板5の周縁と補強枠11との重なり寸法Lは4mmである。したがって、サイズや重量が大きなガラス板5であっても、窓開口3の内面側に四角形の押え枠を設ける必要もなく、窓枠6のみでガラス板5を確実に挟持固定できる。このように、本発明の覗き窓によれば、内外両枠によってガラス板を窓開口に挟持固定する従来形態の覗き窓に比べて、覗き窓の構造を簡素化して全体コストを削減することができる。しかも施工現場における覗き窓の組み付けを、より少ない手間で迅速かつ簡便に行なうことができる。また、火災などによって窓枠本体10が消失したとしても、無端状の補強枠11と多数個のボルト12でガラス板5を支持できるので、ガラス板5の落下を確実に防止して、電気機器ボックス1の内部への延焼を確実に防止できる。
【0034】
覗き窓は、縦横寸法の違いに応じていくつかの種類がある。例えば、呼称が200×200、200×300、300×300、300×400、300×500、400×500などのサイズが提供される。実施例で説明した覗き窓の呼称は200×300であり、図6に示すように、例えば呼称が200×200の覗き窓を形成する場合には、4個のコーナー枠25と、上記の実施例における4個の短寸の辺部枠26を共用することにより、補強枠11を構成することができる。また、呼称が300×400の覗き窓を形成する場合には、4個のコーナー枠25と、上記の実施例における2個の長寸の辺部枠26を共用し、さらにより長い寸法の辺部枠を用意することにより、補強枠11を構成することができる。このように、辺部枠26を3ないし4種類用意しておくことにより、先の呼称の覗き窓に対応した補強枠11を形成することができる。
【0035】
本発明の覗き窓においては、窓枠本体10をゴム成形品で形成するので、その外形形状を必要に応じて自由に設定できる。したがって、窓枠本体10の外形形状は四角形である必要はなく、円形や楕円形、あるいは菱形などであってもよい。補強枠11はコーナー枠25と辺部枠26とで構成する必要はなく、直線状の縦辺部枠(部分枠体)と、直線状の横辺部枠(部分枠体)とで構成することができる。その場合には、縦辺部枠および横辺部枠のそれぞれに1個ないし複数個のボルト12を固定する。あるいは、2個のコ字状の部分枠体と、両部分枠体を繋ぐ直線状の部分枠体で補強枠11を構成することができる。部分枠体は溶接して無端枠状に形成する必要はなく、各部分枠体の隣接端どうしを係合連結して位置ずれを防ぐものであってもよい。例えば、一方の部分枠体の隣接端に、隣接端で開口する係合穴を設け、他方の部分枠体の隣接端に前記係合穴に嵌め込む係合突起を設けて、各部分枠体の隣接端どうしを係合連結することができる。
【0036】
窓枠本体10を円形に形成する場合には、無端リング状に打ち抜き形成した1個の部品で補強枠11を形成し、あるいは、部分円弧状の複数個の部分枠体で補強枠11を形成することができる。ボルト12をねじ軸27のみで形成して、その一端を部分枠体に溶接によって固定することができる。座部28を多角形状に形成する場合には、座部28を多角形状のバーリング部29に嵌め込んでインサート固定してもよい。
【0037】
上記の実施例以外に、ガラス板5のコーナー部分は丸める必要はなく、面取り状に斜めに切り落としてあってもよい。窓枠本体10はエチレン−プロピレンゴム以外の天然ゴム、合成ゴム、あるいはゴム弾性を発揮できるエラストマー樹脂などで形成することができる。実施例においては、窓枠本体10を圧縮整形法で成形することを想定したが、その必要はなく、射出成形法やトランスファー成形法などの他の成形法で窓枠本体10を成形してもよい。第1・第2のリップ21・18は、任意の断面形状のリップのひとつ、あるいは複数個で構成することができる。ボルト12は、部分枠体25・26に対して溶接、あるいはかしめ固定することができる。本発明の覗き窓は、ガラス板5の代わりに透明なプラスッチク板を使用する場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0038】
3 窓開口
4 ボルト挿通穴
5 ガラス板
6 窓枠
10 窓枠本体
11 補強枠
12 ボルト
15 装着溝
16 内挟持壁
17 外挟持壁
18 第2リップ
20 締結座面
21 第1リップ
25 コーナー枠(部分枠体)
26 辺部枠(部分枠体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓開口(3)の外面を覆う覗き窓が、窓開口(3)の外郭形状より大きな外形のガラス板(5)と、ガラス板(5)を保持する窓枠(6)とで構成されており、
窓枠(6)は、ゴム成形品からなる窓枠本体(10)と、窓枠本体(10)にインサート固定される補強枠(11)、およびボルト(12)とを備えており、
窓枠本体(10)の枠内周面には、ガラス板(5)の周縁を内外に挟持する内挟持壁(16)と外挟持壁(17)とを備えた装着溝(15)が周回状に凹み形成されており、
窓開口(3)の周縁に設けたボルト挿通穴(4)に挿通したボルト(12)にナット(13)をねじ込んで、窓枠(6)およびガラス板(5)を窓開口(3)の周縁壁に締結した状態において、ガラス板(5)の周縁が内外の挟持壁(16・17)を介して窓開口(3)の周縁壁と補強枠(11)とで内外に挟持固定してあることを特徴とする覗き窓。
【請求項2】
補強枠(11)が、複数個の部分枠体(25・26)で構成されて、各部分枠体(25・26)にボルト(12)が固定してある請求項1記載の覗き窓。
【請求項3】
ガラス板(5)および窓枠(6)が、四隅部分が丸められた四角形状に形成されており、
補強枠(11)が、4個のコーナー枠(25)と、各コーナー枠(25)どうしをつなぐ直線状の辺部枠(26)とで無端枠状に構成されており、
縦横寸法の異なる覗き窓において、少なくともコーナー枠(25)が共用してある請求項2記載の覗き窓。
【請求項4】
窓開口(3)の周縁壁と接当する窓枠本体(10)の締結座面(20)の外周縁に沿って、雨水の浸入を阻止する第1リップ(21)が周回状に設けられており、
ガラス板(5)の周縁外面と接当する外挟持壁(17)の内面に沿って、雨水の浸入を阻止する第2リップ(18)が周回状に設けてある請求項2または3記載の覗き窓。
【請求項5】
ボルト(12)が、ねじ軸(27)と、ねじ軸(27)の一端に張り出し形成される座部(28)とを一体に備えており、
各部分枠体(25・26)に設けたバーリング部(29)にねじ軸(27)を圧嵌挿通して、ボルト(12)が各部分枠体(25・26)と一体化してある請求項2から4のいずれかに記載の覗き窓。
【請求項6】
コーナー枠(25)が四半円弧状の板材で形成されており、
辺部枠(26)が、突部(26a)と座壁(26b)とを一体に備えた断面ハット形の条材で形成されており、
辺部枠(26)の突部(26a)の端部外面にコーナー枠(25)の端部を重さねて溶接することにより、補強枠(11)が無端枠状に構成してある請求項3、4または5に記載の覗き窓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−209554(P2010−209554A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55396(P2009−55396)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000181572)篠原電機株式会社 (18)
【Fターム(参考)】