説明

親水化された基材及び基材の疎水性表面を親水化するための方法

親水化された製品は、(a)疎水性表面を有する基材、及び(b)上記基材の疎水性表面の少なくとも一部上に配置される親水化層を含み、上記層は、有機リン材料若しくはビニルアルコール材料、又は有機リン材料及びビニルアルコール材料の混合物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
本願は、2006年6月12日に出願された米国仮出願No.60/812,819及び2006年9月5日に出願された米国仮出願No.60/842,265の利益を主張する(それぞれの全体を参照し、本明細書に組み入れる)。
【0002】
発明の分野
本発明は、親水化された基材及び基材の疎水性表面を親水化するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
低表面エネルギーを有する材料、例えば、ポリオレフィンポリマーは、疎水性表面を有する。上記材料の疎水性の特性は、一部の用途では望ましくなく、そして界面活性剤及び/又は高エネルギー処理を用いた処理を含む、低表面エネルギー基材を親水化するための方法が知られている。これらの方法のそれぞれには、大きな制限がある。界面活性剤処理は、処理された基材が水にさらされると洗い流される傾向があり、そして高エネルギー処理により処理された基材の表面に与えられた電荷は、特に熱可塑性ポリマー基材の場合に、散逸する傾向がある。従って、上記界面活性剤処理基材及び高エネルギー処理基材の親水性の特性は、限定的な耐久性を示す傾向がある。さらに、水への暴露により、処理された基材から洗い流された界面活性剤は、水の特性を変え、例えば、表面張力を下げ、それらはまた、望ましくない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
親水化されたポリオレフィン布帛が、親水性の表面が望ましいいくつかの製品、例えば、使い捨て吸収性製品、例えば、おむつ、成人失禁用製品、ワイプ、及び女性用衛生用品に用いられているが、上記表面の親水性特性の耐久性は、使用可能な親水化技法の制限のため、限定的である。
【0005】
従って、低表面エネルギー基材を、さらに耐久性を有する親水化を行う必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様では、本発明は、2006年6月12日に出願された米国仮出願No.60/812,819及び2006年9月5日に出願された米国仮出願No.60/842,265(それぞれの全体を参照し、本明細書に組み入れる)に開示されるような親水化製品に向けられ、下記を含む;
疎水性表面を有する基材;及び
上記基材の疎水性表面の少なくとも一部上に配置される親水化層;
ここで、上記層は、下記(b)(I)、(b)(II)及び(b)(III)を含む;
(b)(I)下記(b)(I)(1)〜(b)(I)(4)から選択される有機リン材料;
(b)(I)(1)次の構造(I)に従う有機リン化合物:
【化1】

(式中、
各R1及び各R2は、独立して、存在しないか、又はOであるが、R1及びR2の少なくとも一方は、Oであり、
各R3は、独立して、アルキレンオキシ、ポリ(アルキレンオキシ)(上記アルキレンオキシ又はポリ(アルキレンオキシ)基の1つ又は2つ以上の炭素原子上に、ヒドロキシル、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルケニル、アリール又はアリールオキシにより所望により置換されていてもよい)であり、
5及び各R4は、独立して、存在しないか、又はアルキレンオキシ、ポリ(アルキレンオキシ)(上記アルキレンオキシ又はポリ(アルキレンオキシ)基の1つ又は2つ以上の炭素原子上に、ヒドロキシル、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルケニル、アリール又はアリールオキシにより所望により置換されていてもよい)であり、
6及びR8は、それぞれ、並びに各R7は、独立して、H若しくは(C1〜C30)炭化水素(当該炭化水素は、所望により、1つ若しくは2つ以上の炭素原子上に、ヒドロキシル、フッ素、アルキル、アルケニル若しくはアリールにより置換されるか、そして/又は1若しくは2以上の位置のところで、O、N又はSへテロ原子により中断されていてもよい)又は−POR910であり、
9及びR10は、それぞれ独立して、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ又は(C1〜C30)炭化水素(当該炭化水素は、所望により、1つ若しくは2つ以上の炭素原子上に、ヒドロキシル、フッ素、アルキル、アルケニル若しくはアリールにより置換されるか、そして/又は1若しくは2以上の位置のところで、O、N又はSへテロ原子により中断されていてもよい)であり、そして
mは、1〜5の整数である);
(b)(I)(2)構造(I)に従う有機リン化合物の塩;
(b)(I)(3)構造(I)に従う有機リン化合物1種又は2種以上の分子2つ又は3つ以上の縮合反応生成物;そして
(b)(I)(4)上記(b)(I)(1)、(b)(I)(2)及び(b)(I)(3)の化合物、塩及び/又は反応生成物を2種又は3種以上含む混合物;
(b)(II)下記(b)(II)(1)〜(b)(II)(4)から選択される所望によるビニルアルコール材料;
(b)(II)(1)次の構造(I−a)に従うモノマー単位を含むポリマー:
【化2】

(b)(II)(2)ポリマー(b)(II)(1)の塩;
(b)(II)(3)ポリマー(b)(II)(1)の1種又は2種以上の分子2つ又は3つ以上の反応生成物;並びに
(b)(II)(4)上記(b)(II)(1)、(b)(II)(2)及び(b)(II)(3)のポリマー、塩及び/又は反応生成物を2種又は3種以上含む混合物:並びに
(b)(III)有機リン材料(b)(I)を1種又は2種以上と、ビニルアルコール材料(b)(II)を1種又は2種以上との混合物。
【0007】
第2の態様では、本発明は、疎水性表面の一部に親水化層を堆積させるために、上述のように、有機リン材料、ビニルアルコール材料、又はそれらの混合物を含む処理組成物を用いて、疎水性表面の少なくとも一部を処理することを含む、疎水性表面を有する基材を親水化するための方法に向けられている。
【0008】
第3の態様では、本発明は、下記;
疎水性表面を有する繊維基材;及び
上記繊維基材の疎水性表面の少なくとも一部上に配置された親水化層;
を含む吸収性製品に向けられ、
上記層は、下記(b)(I)、(b)(II)及び(b)(III)を含む:
(b)(I)下記(b)(I)(1)〜(b)(I)(4)から選択される有機リン材料;
(b)(I)(1)次の構造(I)に従う有機リン化合物:
【化3】

(式中、
各R1及び各R2は、独立して、存在しないか、又はOであるが、R1及びR2の少なくとも一方は、Oであり、
各R3は、独立して、アルキレンオキシ、ポリ(アルキレンオキシ)(上記アルキレンオキシ又はポリ(アルキレンオキシ)基の1つ又は2つ以上の炭素原子上に、ヒドロキシル、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルケニル、アリール又はアリールオキシにより所望により置換されていてもよい)であり、
5及び各R4は、独立して、存在しないか、又はアルキレンオキシ、ポリ(アルキレンオキシ)であり、上記アルキレンオキシ又はポリ(アルキレンオキシ)基の1つ又は2つ以上の炭素原子上に、ヒドロキシル、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルケニル、アリール又はアリールオキシにより所望により置換されていてもよい、
6及びR8は、それぞれ、並びに各R7は、独立して、H若しくは(C1〜C30)炭化水素(当該炭化水素は、所望により、1つ若しくは2つ以上の炭素原子上に、ヒドロキシル、フッ素、アルキル、アルケニル若しくはアリールにより置換されるか、そして/又は1若しくは2以上の位置のところで、O、N又はSへテロ原子により中断されていてもよい)又は−POR910であり、
9及びR10は、それぞれ独立して、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ又は(C1〜C30)炭化水素(当該炭化水素は、所望により、1つ若しくは2つ以上の炭素原子上に、ヒドロキシル、フッ素、アルキル、アルケニル若しくはアリールにより置換されるか、そして/又は1若しくは2以上の位置のところで、O、N又はSへテロ原子により中断されていてもよい)であり、そして
mは、1〜5の整数である);
(b)(I)(2)構造(I)に従う有機リン化合物の塩;
(b)(I)(3)構造(I)に従う有機リン化合物1種又は2種以上の分子2つ又は3つ以上の縮合反応生成物;
(b)(I)(4)上記(b)(I)(1)、(b)(I)(2)及び(b)(I)(3)の化合物、塩及び/又は反応生成物を2種又は3種以上含む混合物;
(b)(II)下記(b)(II)(1)〜(b)(II)(4)から選択される所望によるビニルアルコール材料;
(b)(II)(1)次の構造(I−a)に従うモノマー単位を含むポリマー:
【化4】

(b)(II)(2)ポリマー(b)(II)(1)の塩;
(b)(II)(3)ポリマー(b)(I)(1)の1種又は2種以上の分子2つ又は3つ以上の反応生成物;並びに
(b)(II)(4)上記(b)(II)(1)、(b)(II)(2)及び(b)(II)(3)のポリマー、塩及び/又は反応生成物を2種又は3種以上含む混合物、並びに
(b)(III)有機リン材料(b)(I)を1種又は2種以上と、ビニルアルコール材料(b)(II)を1種又は2種以上との混合物。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、毛管力のみに起因して繊維に沿って水が分布する、未処理のポリアミドを示す。
【図2】図2は、繊維の親水化のために、水が広がることができる、1重量%のPEG1000ホスフェートエステルを用いて処理されたポリアミドを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において、専門用語「疎水性表面」は、70°以上、さらに典型的には90°以上の水接触角、及び/又は約40ダイン/cm以下の界面自由エネルギーにより証明されるような、水をはじき、そのようにして水により湿潤されることに抵抗する傾向を示す表面を意味する。
【0011】
本明細書において、専門用語「親水性表面」は、70°未満、さらに典型的には60°未満の水接触角、及び/又は約40ダイン/cm超、さらに典型的には約50ダイン/cm以上の表面エネルギーにより証明されるように、水との親和性、そのようにして水による湿潤性を示す表面を意味する。
【0012】
本明細書において、疎水性表面に関して、用語「親水化する(phidrophilize)」は、水接触角が減少することにより示されるように、上記表面をさらに親水性にする、ひいては疎水性を少なくすることを意味する。処理された疎水性表面の親水性の向上の指標の一つは、未処理の表面を用いた水接触角と比較して、処理された表面を用いた水接触角が小さくなることである。
【0013】
基材に関して本明細書で用いるように、専門用語「水接触角」は、一般的な画像分析法により、すなわち、25℃において、表面(典型的には、実質的な平面)上に水の液滴を配置し、当該液滴を撮影し、そして画像内に示される接触角を測定することにより測定されるように、表面上の水の液滴により示される接触角を意味する。
【0014】
表面エネルギーは、次のヤングの方程式を用いて見積もられる:
【数1】

(接触角:θ、固相及び気相の間の界面エネルギー:ysv、固相及び液相の間の界面エネルギー:γsl、及び液相及び気相の間の界面エネルギー:γlv、そしてγsvは、固体の表面エネルギーを表す)。
【0015】
本明細書において、ポリマー又はそれらの任意の一部に関する「分子量」は、当該ポリマー又はそれらの一部の重量平均分子量(Mw)を意味し、ポリマーのMwは、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定された値であり、そしてポリマーの一部のMwは、当該一部を製造するために用いられるモノマー、ポリマー、開始剤及び/又は移動剤の量から、公知の技法に従って計算された値である。
【0016】
本明細書において、有機基又は化合物に関する表記法「(Cn〜Cm)」(式中、n及びmは、整数である)は、当該基又は化合物が、当該基又は化合物当たり、n〜m個の炭素原子を含むことを意味する。
【0017】
実施形態の一つでは、本発明は、下記;
疎水性表面を有する基材;及び
上記基材の疎水性表面の少なくとも一部上に配置される親水化層:
を含む親水化された製品に向けられており、
上記層は、下記(b)(I)(1)〜(b)(I)(4)から選択される有機リン材料を含む;
(b)(I)(1)次の構造(I)に従う有機リン化合物:
【化5】

(式中、
各R1及び各R2は、独立して、存在しないか、又はOであるが、R1及びR2の少なくとも一方は、Oであり、
各R3は、独立して、アルキレンオキシ、ポリ(アルキレンオキシ)(上記アルキレンオキシ又はポリ(アルキレンオキシ)基の1つ又は2つ以上の炭素原子上に、ヒドロキシル、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルケニル、アリール又はアリールオキシにより所望により置換されていてもよい)であり、
5及び各R4は、独立して、存在しないか、又はアルキレンオキシ、ポリ(アルキレンオキシ)(上記アルキレンオキシ又はポリ(アルキレンオキシ)基の1つ又は2つ以上の炭素原子上に、ヒドロキシル、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルケニル、アリール又はアリールオキシにより所望により置換されていてもよい)であり、
6及びR8は、それぞれ、並びに各R7は、独立して、H若しくは(C1〜C30)炭化水素(当該炭化水素は、所望により、1つ若しくは2つ以上の炭素原子上に、ヒドロキシル、フッ素、アルキル、アルケニル若しくはアリールにより置換されるか、そして/又は1若しくは2以上の位置のところで、O、N又はSへテロ原子により中断されていてもよい)、又は−POR910であり、
9及びR10は、それぞれ独立して、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ又は(C1〜C30)炭化水素(当該炭化水素は、所望により、1つ若しくは2つ以上の炭素原子上に、ヒドロキシル、フッ素、アルキル、アルケニル若しくはアリールにより置換されるか、そして/又は1若しくは2以上の位置のところで、O、N又はSへテロ原子により中断されていてもよい)であり、そして
mは、1〜5の整数である);
(b)(I)(2)構造(I)に従う有機リン化合物の塩;
(b)(I)(3)構造(I)に従う有機リン化合物1種又は2種以上の分子2つ又は3つ以上の縮合反応生成物:並びに
(b)(I)(4)上記(b)(I)(1)、(b)(I)(2)及び(b)(I)(3)の化合物、塩及び/又は反応生成物を2種又は3種以上含む混合物。
【0018】
実施形態の一つでは、本発明は、下記;
疎水性表面を有する基材;
上記基材の疎水性表面の少なくとも一部上に配置される親水化層:
を含む親水化された製品に向けられており、
上記層は、下記(b)(II)(1)〜(b)(II)(4)から選択されるビニルアルコール材料を含む;
(b)(II)(1)次の構造(I−a)に従うモノマー単位を含むポリマー:
【化6】

(b)(II)(2)ポリマー(b)(II)(1)の塩;
(b)(II)(3)ポリマー(b)(II)(1)の1種又は2種以上の分子2つ又は3つ以上の反応生成物;並びに
(b)(II)(4)上記(b)(II)(1)、(b)(II)(2)及び(b)(II)(3)の化合物、塩及び/又は反応生成物を2種又は3種以上含む混合物。
【0019】
実施形態の一つでは、本発明は、下記;
疎水性表面を有する基材;
上記基材の疎水性表面の少なくとも一部上に配置される親水化層:
を含む親水化された製品に向けられており、
上記層は、有機リン材料(b)(I)を1種又は2種以上と、ビニルアルコール材料(b)(II)を1種又は2種以上との混合物を含む。
【0020】
基材材料
疎水性表面を有する基材は、任意の物理的形状又は形態、例えば、粒子、シート、フィルム、繊維、押出異形材、織物及び不織布であることができ、そして疎水性材料を含む。
【0021】
好適な疎水性材料には、例えば、疎水的に改質された無機材料、例えば、タイル、シラナズド(silanized)ガラス及びシリカ、グラファイト、疎水性生体材料、例えば、植物の葉、及び疎水性ポリマーが含まれる。疎水性のポリマーには、例えば、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリ(イソブテン)、ポリ(イソプレン)、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー及びエチレンプロピレン−ヘキサジエンコポリマー;エチレン−ビニルアセテートコポリマー;スチレンポリマー、例えば、ポリ(スチレン)、ポリ(2−メチルスチレン)、約20モル%未満のアクリロニトリルを有するスチレン−アクリロニトリルコポリマー及びスチレン−2,2,3,3,−テトラフルオロ−プロピルメタクリレートコポリマー;ハロゲン化炭化水素ポリマー、例えば、ポリ(クロロ−トリフルオロエチレン)、クロロトリフルオロエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、ポリ(ヘキサフルオロプロピレン)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、テトラフルオロエチレン−エチレンコポリマー、ポリ(トリフルオロエチレン)、ポリ(フッ化ビニル)及びポリ(ビニリデンフルオリド);ビニルポリマー、例えば、ポリ(酪酸ブチル)、ポリ(ビニルデカノエート)、ポリ(ビニルドデカノエート)、ポリ(ビニルヘキサデカノエート)、ポリ(ビニルヘキサノエート)、ポリ(プロピオン酸ビニル)、ポリ(ビニルオクタノエート)、ポリ(ヘプタフルオロイソプロポキシエチレン)、1−ヘプタフルオロイソプロポキシ−メチルエチレン−マレイン酸コポリマー、ポリ(ヘプタフルオロイソプロポキシプロピレン)、ポリ−(メタクリロニトリル)、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(エトキシエチレン)、ポリ(メトキシ−エチレン)及びポリ(ビニルホルマール);アクリルポリマー、例えば、ポリ(n−ブチルアセテート)、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ[(1−クロロジフルオロメチル)テトラフルオロエチルアクリレート]、ポリ[ジ(クロロ−フルオロメチル)フルオロメチルアクリレート]、ポリ(1,1−ジヒドロヘプタフルオロブチルアクリレート)、ポリ(1,1−ジヒドロペンタフルオロイソプロピルアクリレート)、ポリ(1,1−ジヒドロペンタデカ−フルオロオクチルアクリレート)、ポリ(ヘプタフルオロイソプロピルアクリレート)、ポリ[5−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)−ペンチルアクリレート]、ポリ[11−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)ウンデシルアクリレート]、ポリ[2−(ヘプタフルオロプロポキシ)エチルアクリレート]及びポリ(ノナフルオロイソブチルアクリレート);メタクリルポリマー、例えば、ポリ(ベンジルメタクリレート)、ポリ(n−ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(t−ブチルメタクリレート)、ポリ(t−ブチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(ドデシルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(2−エチルヘキシルメタクリレート)、ポリ(n−ヘキシルメタクリレート)、ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(n−プロピルメタクリレート)、ポリ(オクタデシルメタクリレート)、ポリ(1,1−ジヒドロペンタデカフルオロオクチルメタクリレート)、ポリ(ヘプタフルオロイソプロピルメタクリレート)、ポリ(ヘプタデカフルオロオクチルメタクリレート)、ポリ(1−ヒドロテトラフルオロエチルメタクリレート)、ポリ(1,1−ジヒドロテトラフルオロプロピルメタクリレート)、ポリ(1−ヒドロヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート)及びポリ(t−ノナフルオロブチルメタクリレート);ポリエーテル、例えば、ポリ(クロラール)、ポリ(オキシブテン)ジオール、ポリ(オキシイソブテン)ジオール、ポリ(オキシデカメチレン)、約1,500未満の分子量を有するポリ(オキシエチレン)−ジメチルエーテルポリマー、ポリ(オキシヘキサメチレン)ジオール、ポリ(オキシプロピレン)ジオール、ポリ(オキシプロピレン)−ジメチルエーテル及びポリ(オキシテトラメチレン);ポリエーテルコポリマー、例えば、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)−ポリ(オキシエチレン)ブロックコポリマー、約20モル%超のオキシプロピレンを有するオキシエチレン−オキシプロピレンコポリマー、オキシテトラメチレン−オキシプロピレンコポリマー及びポリ(オキシジメチルシリレン)ブロックにより分離されたオキシエチレン−オキシプロピレンコポリマーブロックを有するブロックコポリマー;ポリアミド、例えば、ポリ[イミノ(1−オキソデカメチレン)]、ポリ[イミノ(1−オキソドデカメチレン)]又はナイロン12、ポリ[イミノ(1−オキソヘキサメチレン)]又はナイロン6、ポリ[イミノ(1−オキソテトラメチレン)]又はナイロン4、ポリ(イミノアゼラオイルイミノノナメチレン)、ポリ(イミノセバコイルイミノデカメチレン)及びポリ(イミノスベロイルイミノオクタメチレン);ポリイミン、例えば、ポリ[(ベンゾイルイミノ)エチレン]、ポリ[(ブチリルイミノ)エチレン]、ポリ[(ドデカノイルイミノ)エチレン]、(ドデカノイルイミノ)エチレン−(アセチレイミノ)(acetyleimino)トリメチレンコポリマー、ポリ[(ヘプタノイルイミノ)エチレン]、ポリ[(ヘキサノイルイミノ)エチレン]、ポリ{[(3−メチル)ブチリルイミノ]エチレン}、ポリ[(ペンタデカフルオロオクタデカノイルイミノ)エチレン]及びポリ[(ペンタノイルイミノ)エチレン];ポリウレタン、例えば、メチレンジフェニルジイソシアネート及びブタンジオールポリ(オキシテトラメチレン)ジオール、ヘキサメチレンジイソシアネート及びトリエチレングリコール、並びに4−メチル−1,3−フェニレンジイソシアネート及びトリプロピレングリコールから調製されたもの;ポリシロキサン、例えば、ポリ(オキシジメチルシリレン)及びポリ(オキシメチルフェニルシリレン);並びにセルロース、例えば、アミロース、アミロペクチン、セルロースアセテートブチレート、エチルセルロース、ヘミセルロース及びニトロセルロースが含まれる。
【0022】
実施形態の一つでは、上記基材は、1種又は2種以上の繊維を含む。本明細書において、用語「繊維」は、特有の長手寸法、概して「長さ」と、特有の横手寸法、概して、「直径」又は「幅」とを有する細長い製品を意味し、特有の長手寸法の、特有の横手寸法に対する比率は、約50以上、さらに典型的には約100以上である。
【0023】
好適な繊維は、疎水性表面を有するものであり、そして典型的には、疎水性合成ポリマー繊維、例えば、ポリアクリロニトリル繊維、ポリ(エチレンテレフタレート)繊維及びポリ(オレフィン)繊維、例えば、ポリ(エチレン)繊維又はポリ(プロピレン)繊維である。しかし、本明細書に記述するような他の繊維もまた好適である。
【0024】
実施形態の一つでは、本発明の親水化された布帛は、疎水性表面を有する繊維を含む織物である。
実施形態の一つでは、本発明の親水化された布帛は、疎水性表面を有する繊維を含む不織布である。
【0025】
実施形態の一つでは、上記布帛は、疎水性表面を有する繊維を含むウェブフォーマット内の不織布である。不織布材料は周知であり、例えば、Butler I.らのNonwovens Fabric Handbook,Assoc,of the Nonwoven Fabrics Industry(1999)を参照せよ。
【0026】
不織布繊維ウェブは、直接押出し法、例えば、スパンボンディング(spunbonding)、メルトブロウイング(meltblowing)、ソルベントスピニング(solvent spinning)又はエレウトロスピニング(electrospinning)により形成されるのが典型的であり、上記繊維及びウェブは、同時に形成されるか、又は予備生成された繊維方法、例えば、乾式堆積(dry laying)又は湿式堆積(wet laying)により形成され、そこでは、繊維が、繊維形成の後の時点で、又は上記方法の組み合わせ、例えば、スパンボンド(spunbond)−メルトブロウン(meltblown)−スパンボンド、スパンボンド−エアレイド(airlaid)、及びメルトブロウン−エアレイド方法によりウェブに積層される。
【0027】
典型的には、不織布繊維ウェブの繊維の少なくとも一部は、当該ウェブの他の繊維に対して、0以外の角度で方向付けられている。隣接又はオーバーラップする様式において、2又は3以上の繊維が接触する場所は、「接合点」と称されるのが一般的である。不織布繊維ウェブの繊維は、例えば、上記接合点の少なくとも一部を、熱結合、加圧結合、超音波結合、又は溶媒結合することにより、当該ウェブの1又は2以上の他の繊維に接合することができる。
【0028】
実施形態の一つでは、2又は3以上の不織布繊維ウェブを積み重ねて、不織布繊維ウェブ積層材料を形成する。別の実施形態では、1種又は2種以上の不織布繊維ウェブを、1又は2以上の他の材料、例えば、無孔の高分子量フィルム又はシートと積み重ねて、複合積層材料を形成する。
【0029】
本発明の織物又は不織布及び組成物の組み合わせを、使用目的にもよるが、要求に応じて、米国特許第6,187,391号明細書(全体を参照し、本明細書に組み入れる)に記載されるように選択することができる。
【0030】
疎水性織布又は不織布及び親水性組成物の組み合わせの好ましい例には、ポリエステルタイプ織布又は不織布とアクリル酸との組み合わせ、ポリエステルタイプ織布又は不織布とメタクリル酸との組み合わせ、ポリエステルタイプ織布又は不織布と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの組み合わせ、ポリエステルタイプ織物又は不織布と2−ヒドロキシエチルメタクリレートとの組み合わせ、ポリエステルタイプ織布又は不織布及びN−ビニル−2−ピロリドンの組み合わせ、ポリアミドタイプ織布又は不織布とアクリル酸との組み合わせ、ポリアミドタイプ織布又は不織布とメタクリル酸との組み合わせ、ポリアミドタイプ織布又は不織布と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの組み合わせ、ポリアミドタイプ織布又は不織布と2−ヒドロキシエチルメタクリレートとの組み合わせ、ポリアミドタイプ織布又は不織布とN−ビニル−2−ピロリドンとの組み合わせ、ポリプロピレンタイプ織布又は不織布とアクリル酸との組み合わせ、ポリプロピレンタイプ織布又は不織布とメタクリル酸との組み合わせ、ポリプロピレンタイプ織布又は不織布と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの組み合わせ、ポリプロピレンタイプ織布又は不織布と2−ヒドロキシエチルメタクリレートとの組み合わせ、並びにポリプロピレンタイプ織布又は不織布とN−ビニル−2−ピロリドンとの組み合わせが含まれる。これらの組み合わせでは、ポリエステルタイプ織布又は不織布とアクリル酸との組み合わせが、特に好ましい。
【0031】
親水性織布又は不織布と疎水性組成物との好ましい例には、綿タイプ織布又は不織布とパーフルオロオクチルエチルアクリレートとの組み合わせ、並びに綿タイプ織布又は不織布とパーフルオロオクチルエチルメタクリレートとの組み合わせが含まれる。
【0032】
実施形態の一つでは、上記布帛は、綿、又は綿タイプ布帛ブレンドである。上記材料は、綿繊維又は綿と合成繊維とのブレンドであることができる。本明細書に記述するように、綿及び綿ブレンドは、少なくとも約20重量%の綿を有する布帛又は材料である。
好適な織物及び不織布には、例えば、「綿含有布帛」、「セルロース含有布帛」及び疎水性ポリマーが含まれる。
【0033】
「綿含有布帛」は、綿織物、綿編物、綿デニム、綿ヤーン等を含む、純粋な綿又は綿ブレンドから製造された、縫い合わされた又は縫い合わされてない、織布又は不織布を意味する。綿ブレンドが用いられる場合、上記布帛中の綿の量は、少なくとも約40重量%の綿;好ましくは、約60重量%超の綿;そして最も好ましくは、約75重量%超の綿であるべきである。ブレンドとして用いられる場合には、上記材料中に用いられるコンパニオン材料は、1種又は2種以上の非綿繊維、例えば、合成繊維、例えば、ポリアミド繊維(例えば、ナイロン6及びナイロン66)、アクリル系繊維(例えば、ポリアクリロニトリル繊維)及びポリエステル繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリビニルアルコール繊維(例えば、ビニロン)、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリウレア繊維及びアラミド繊維を含むことができる。
【0034】
「セルロース含有布帛」は、天然セルロース及び合成セルロース(例えば、ジュート、亜麻、ラミー、レーヨン等)を含む、任意の綿若しくは非綿含有セルロース布帛又は綿若しくは非綿含有セルロースブレンドを意味する。当業界に周知である、再生された布帛、例えば、レーヨンが、合成セルロース含有布帛の見出しの下に含まれる。他の合成セルロース含有布帛には、化学的に変性されたセルロース繊維(例えば、アセテートにより誘導されたセルロース)及びソルベントスピニングされたセルロース繊維(例えば、リヨセル)が含まれる。当然ながら、上記材料から製造された任意の衣服又はヤーンが、セルロース含有布帛の定義に含まれる。同様に、「セルロース含有布帛」は、上記材料から製造された紡織繊維を含む。
【0035】
実施形態の一つでは、上記布帛基材は、それぞれが疎水性表面を有する繊維、例えば、100%ポリ(オレフィン)繊維を含む布帛から本質的に成り、そしてさらに典型的にはそれから成る。
【0036】
別の実施形態では、上記布帛基材は、それぞれが疎水性表面を有する繊維と、他の繊維、例えば、セルロース繊維とのブレンドを含む。典型的には、上記ブレンドは、50%以上の、疎水性表面を有する繊維及び50%以下の他の繊維、例えば、50%のポリ(オレフィン)繊維及び50%の綿繊維を含む。
【0037】
実施形態の一つでは、本発明の親水化された布帛は、疎水性表面を有する繊維から成る多孔質の不織布、さらに典型的には、ポリ(オレフィン)繊維の多孔質の不織布、さらに典型的にはポリ(プロピレン)繊維の多孔質の不織布と、上記多孔質の不織布の繊維の表面の少なくとも一部の上に配置された親水化層とを含む。
【0038】
実施形態の一つでは、疎水性表面を有する繊維を含む織布又は不織布は、水をはじき、そして上記織布又は不織布上に堆積された水滴は、約60秒以下の時間内で当該織布又は不織布を貫通せず、そして対応する親水化された織布又は不織布は、約60秒以下の時間内で、上記布帛内に堆積された水滴により貫通される。
【0039】
実施形態の一つでは、上記親水化された繊維基材は、当該親水化された繊維基材が水性媒体と接触した場合に、上記有機リン化合物の少なくとも一部が、上記繊維基材の1又は2以上の繊維の表面に残る意味で耐久性がある。本発明の親水化された繊維基材の親水性の特性の耐久性の態様の一つは、水中で上記親水化された繊維基材をすすぎ、そしてすすぎ水の表面張力を測定することにより評価することができる。上記親水化された繊維基材の実施形態の一つでは、上記すすぎ水は、Wilhemy plate(Kruss Instruments)を用いたAmerican Society for Testing and Materials test No.ASTM 1331に従って測定されるような、約20〜約70ミリニュートン/メートル(mN/m)、さらに好ましくは約25〜約70mN/mの表面張力を示す。
好ましい実施態様では、上記布帛を、下記の手順に従ってすすぐ;
0.909重量%のNaCl水性溶液40mL内に、20×18cmの親水化された布帛の試料を置く;
次いで、上記溶液内で、上記布帛を10秒間攪拌する;
次いで、攪拌せず、上記布帛を5分間静置する;
次いで、上記溶液内で、上記布帛を10秒間攪拌する;
次いで、上記布帛を、上記溶液から取り出す;そして
次いで、表面張力を測定する前に、10分間、上記溶液を静置する。
【0040】
有機リン材料
本明細書において、用語「アルキル」は、一価の飽和の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基、典型的には、一価の飽和の(C1〜C30)炭化水素基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル又はn−ヘキシル(当該基の炭素原子の1つ又は2つ以上の上に、所望により置換されていてもよい)を意味する。実施形態の一つでは、アルキル基は、アルコキシ、アミノ、ハロ、カルボキシ又はホスホノ、例えば、ヒドロキシメチルヒドロキシエチル、メトキシメチル、エトキシメチル、イソプロポキシエチル、アミノメチル、クロロメチル又はトリクロロメチル、カルボキシエチル又はホスホノメチルで、当該基の1つ又は2つ以上の炭素原子上に置換されている。
【0041】
本明細書において、用語「ヒドロキシアルキル」は、その炭素原子の一つ上にヒドロキシル基で置換されているアルキル基を意味する。
【0042】
本明細書において、用語「アルコキシル」は、アルキル基で置換されているオキシ基、例えば、メトキシル、エトキシル、プロポキシル、イソプロポキシル又はブトキシル(当該基の1つ又は2つ以上の炭素原子上に所望によりさらに置換されていてもよい)を意味する。
【0043】
本明細書において、用語「シクロアルキル」は、飽和の環式炭化水素基、概して、(C3〜C8)の飽和の環式炭化水素基、例えば、シクロヘキシル又はシクロオクチル(当該基の1つ又は2つ以上の炭素原子上に所望によりさらに置換されていてもよい)を意味する。
【0044】
本明細書において、用語「アルケニル」は、1つ又は2つ以上の炭素−炭素(共役)二重結合を含む不飽和の直鎖、分岐鎖、又は環式炭化水素基、例えば、エテニル、1−プロペニル又は2−プロペニル(当該基の1つ又は2つ以上の炭素原子上に所望によりさらに置換されていてもよい)を意味する。
【0045】
本明細書において、用語「アリール」は、一価の不飽和の炭化水素基を含む1つ又は2つ以上の6員環の炭素環(当該不飽和は、3つの共役二重結合により表されうる)、例えば、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル又はビフェニル(当該環の1つ又は2つ以上の炭素原子上に所望によりさらに置換されていてもよい)を意味する。実施形態の一つでは、アリール基は、上記基の1つ又は2つ以上の炭素原子上に、ヒドロキシル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル又はアミノ、例えば、メチルフェニル、ジメチルフェニル、ヒドロキシフェニル、クロロフェニル、トリクロロメチルフェニル又はアミノフェニルで置換されている。
【0046】
本明細書において、用語「アリールオキシ」は、アリール基で置換されているオキシ基、例えば、フェニルオキシ、メチルフェニルオキシ、イソプロピルメチルフェニルオキシを意味する。
【0047】
本明細書において、基が「所望により置換されている」又は「所望によりさらに置換されている」ことができる指標は、一般に、すなわち、明確に又は上記参照の文脈によりさらに限定されない限り、上記基が、1又は2以上の無機又は有機置換基、例えば、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、アルカリル、ヘテロ原子又はヘテロシクリルで、あるいは金属イオンに配位結合することができる1又は2以上の官能基、例えば、ヒドロキシル、カルボニル、カルボキシル、アミノ、イミノ、アミド、ホスホン酸、スルホン酸若しくはアルセネート、又はそれらの無機及び有機エステル、例えば、スルフェート若しくはホスフェート、又はそれらの塩で置換されていてもよいことを意味する。
【0048】
本明細書において、有機基に関する有機基に関する専門用語「(Cx〜Cy)(x及びyは、それぞれ整数である)」は、当該基が基1つ当たりx個の炭素原子〜y個の炭素原子を含むことができることを示す。
実施形態の一つでは、R6及びR8は、それぞれ、並びに各R7は、独立して、H、(C1〜C30)アルキル、(C1〜C30)アルケニル又は(C7〜C30)アルカリル(alkaryl)である。
【0049】
実施形態の一つでは、各R1及び各R2が、Oであり、そして上記有機リン化合物が、下記(II)(1)〜(II)(4)から選択される;
(II)(1)次の構造(II):
【化7】

(式中、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びmは、それぞれ、上述の通りである)
に従う有機ホスフェートエステル;
(II)(2)構造(II)に従う有機リン化合物の塩;
(II)(3)構造(II)に従う有機リン化合物1種又は2種以上の分子2つ又は3つ以上の縮合反応生成物;並びに
(II)(4)上記(II)(1)、(II)(2)及び(II)(3)の化合物、塩及び/又は反応生成物を2種又は3種以上含む混合物。
【0050】
実施形態の一つでは、各R1が存在せず、各R2がOであり、そして上記有機リン化合物が、下記(III)(I)〜(III)(4)から選択される:
(III)(I)次の構造(III):
【化8】

(式中、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びmは、それぞれ、上述の通りである)
に従う有機ホスホネートエステル;
(III)(2)構造(III)に従う有機リン化合物の塩;
(III)(3)構造(III)に従う有機リン化合物1種又は2種以上の分子2つ又は3つ以上の縮合反応生成物;
(III)(4)上記(III)(1)、(III)(2)及び(III)(3)の化合物、塩及び/又は反応生成物を2種又は3種以上含む混合物。
【0051】
実施形態の一つでは、各R1がOであり、各R2が存在せず、そして上記有機リン化合物が、下記から選択される;
(IV)(I)次の構造(IV):
【化9】

(式中、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びmは、それぞれ、上述の通りである)
に従う有機ホスホネートエステル;
(IV)(2)構造(IV)に従う有機リン化合物の塩;
(IV)(3)構造(IV)に従う有機リン化合物1種又は2種以上の分子2つ又は3つ以上の縮合反応生成物;並びに
(IV)(4)上記(IV)(1)、(IV)(2)及び(IV)(3)の化合物、塩及び/又は反応生成物を2種又は3種以上含む混合物。
【0052】
実施形態の一つでは、各R3は、次の構造(V)、(VI)、(VII)又は(VIII)に従う2価の基である:
【化10】

(式中、
各R12及び各R13は、独立してH、ヒドロキシル、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルケニル、アリール、アリールオキシであるか、又は隣接する炭素原子に結合する2つのR12基が縮合して、それらが結合する炭素原子と共に、(C6〜C8)炭化水素環を形成することができ、
20は、H、ヒドロキシル、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルケニル、アリール又はアリールオキシであり、
22は、ヒドロキシル又はヒドロキシアルキルであるが、R20及びR22は、お互いにヒドロキシルではない、
23及びR21は、それぞれ独立して、メチレン又はポリ(メチレン)であり、
p、p’、p’’、q及びxは、それぞれ独立して、2〜5の整数であり、
各r、s、r’、r’’及びyは、独立して0〜25の数であるが、r及びsの少なくとも一方は、0ではない、
uは、2〜10の整数であり、
v及びwは、それぞれ、1〜25の数であり、そして
t、t’及びt’’は、それぞれ、1〜25の数であるが、
量(r+s)×度数tの積は、約100以下であり、量(v+r’)×度数t’の積は、約100以下であり、そして量(w+r’’)×度数t’’の積は、約100以下である)。
【0053】
実施形態の一つでは、各R4及び各R5は、独立して、存在しないか、又は構造(V)、構造(VI)若しくは構造(VII)(式中、R12、R13、R20、R21、R22、R23、p、p’、p’’、q、r、r’、r’’、s、t、t’’、t、u、v、w、x及びyは、上述の通りである)に従う2価の基である。
【0054】
実施形態の一つでは、各R3は、独立して、構造(V)、構造(VI)又は構造(VII)(式中、R12、R13、R20、R21、R22、R23、p、p’、p’’、q、r、r’、r’’、s、t、t’’、t、u、v、w、x及びyは、上述の通りである)に従う2価の基であり、そしてR4及びR5は、それぞれ独立して、存在しないか、又はR3である。
【0055】
実施形態の一つでは、各R3は、独立して、構造(V)(式中、pは2、3又は4であり、rは1〜25の整数であり、sは0であり、tは1〜2の整数である)に従う2価の基であり、そしてR4及びR5は、それぞれ独立して、存在しないか、又はR3である。
【0056】
実施形態の一つでは、各R3が、構造(VI)(式中、R12基は、それらが結合する炭素原子を含んで縮合して、(C6〜C8)炭化水素環を形成し、各R13はHであり、p’は2又は3であり、uは2であり、vは1〜3の整数であり、r’は1〜25の整数であり、t’は1〜25の整数であり、量(v+r’)×度数t’’の積あ約100以下であり、さらに典型的には約50以下である)に従う2価の基であり、そしてR4及びR5が、それぞれ独立して、存在しないか、又はR3である。
【0057】
実施形態の一つでは、各R3が、構造(VII)(式中、R20は、ヒドロキシル又はヒドロキシアルキルであり、R22は、H、アルキル、ヒドロキシル又はヒドロキシアルキルであるが、R20及びR22は、お互いにヒドロキシルではない、R21及びR23は、それぞれ独立して、メチレン、ジ(メチレン)又はトリ(メチレン)であり、wは1又は2であり、p’’は2又は3であり、r’’は1〜25の整数であり、t’’は1〜25の整数であり、量(w+r’’)×度数t’’の積は約100以下、さらに典型的には約50以下である)に従う2価の基であり、そしてR4及びR5は、それぞれ独立して、存在しないか、又はR3である。
【0058】
構造(II)に従う有機リン化合物の実施形態の一つでは、
6及びR8が、それぞれ、並びに各R7は、独立して、H又は(C1〜C30)炭化水素(当該炭化水素は、所望により、1つ若しくは2つ以上の炭素原子上に、ヒドロキシル、フッ素、アルキル、アルケニル若しくはアリールにより置換されるか、そして/又は1若しくは2以上の位置のところで、O、N又はSへテロ原子により中断されていてもよい)又は−POR910であり、さらに典型的には、R6、R8及び各R7が、それぞれ、Hであり、
4及びR5が、それぞれ、存在せず、
各R3が、独立して、構造(V)、構造(VI)又は構造(VII)に従う2価の基であり、そして
mが、1〜5の整数である。
【0059】
構造(II)に従う有機リン化合物の実施形態の一つでは、
6、R8及び各R7が、それぞれ、Hであり、
4及びR5が、それぞれ、存在せず、
各R3が、独立して、構造(V)に従う2価の基であり、
各pが、独立して、2,3又は4、さらに典型的には2又は3であり、
各rが、独立して、1〜約100、さらに典型的には2〜約50の数であり、
各sが、0であり、
各tが、1であり、そして
mが、1〜5の整数である。
【0060】
実施形態の一つでは、上記有機リン材料は、下記から選択される;
(IX)(1)次の構造(IX):
【化11】

(式中、
pは2、3又は4であり、さらに典型的には2又は3であり、
rは、4〜約50の数である)
に従う有機リン化合物;
(IX)(2)構造(IX)に従う有機リン化合物の塩:並びに
(IX)(3)上記(IX)(1)及び(IX)(2)の化合物及び/又は塩を、2種又は3種以上含む混合物。
【0061】
構造(II)に従う有機リン化合物の実施形態の一つでは、
6、R8及び各R7が、それぞれ、Hであり、
4及びR5が、それぞれ、存在せず、
各R3が、構造(VI)に従う2価の基であり、
12基が、それらが結合される炭素原子を含んで縮合し、(C6〜C8)炭化水素環を形成し、
各R13が、Hであり、
p’が、2又は3であり、
uは2であり、
vが、1であり、
r’が、1〜25の数であり、
t’が、1〜25の数であり、
量(v+r’)×度数t’の積が、約100以下であり、そして
mが、1〜5の整数である。
【0062】
構造(II)に従う有機リン化合物の実施形態の一つでは、
6、R8及び各R7が、それぞれHであり、
4及びR5が、それぞれ、存在せず、
各R3が、独立して、構造(VII)に従う2価の基であり、
20が、ヒドロキシル又はヒドロキシアルキルであり、
22が、H、アルキル、ヒドロキシル又はヒドロキシアルキルであり、
23及びR21が、それぞれ独立して、メチレン、ジ(メチレン)又はトリ(メチレン)であり、
wが、1又は2であり、
p’’が、2又は3であり、
r’’が、1〜25の数であり、
t’’が、1〜25の数であり、
量(w+r’’)×度数t’’の積が、約100以下であり、そして
mが、1〜5の整数である。
【0063】
実施形態の一つでは、上記有機リン化合物は、構造(III)に従い、各R3は、構造(V)に従う2価の基であり、そしてs=0及びt=1であり、R4及びR5は、それぞれ存在せず、そしてR6、R7及びR8は、それぞれHである。
実施形態の一つでは、上記有機リン化合物は、構造(IV)に従い、R3及びR5は、それぞれ構造(V)に従い、そしてs=0及びt=1であり、そしてR6及びR8は、それぞれ、Hである。
【0064】
実施形態の一つでは、上記有機リン材料(b)(I)は、構造(I)に従う分子2つ又は3つ以上の縮合反応生成物を含む。
【0065】
実施形態の一つでは、上記有機リン材料(b)(I)は、直鎖分子状の構造(I)に従う分子2つ又は3つ以上の縮合反応生成物、例えば、構造(II)に従う分子と、構造(IV)に従う分子との縮合により形成された次の構造(X):
【化12】

(式中、R4、R7、p、rは、それぞれ、上述の通りである)
に従う直鎖の縮合反応生成物を含む。
【0066】
実施形態の一つでは、上記有機リン材料(b)(I)は、架橋された網目状の、構造(I)に従う分子2つ又は3つ以上の縮合反応生成物を含む。
例示的な架橋された縮合反応生成物網目の一部は、次の構造(XI):
【化13】

(式中、
1、R2、R4、R5、R6、R7、R8及びmは、それぞれ、上述の通りであり、そして
各R3’は、独立して、上述のように、構造(I)に従う化合物のR3基の残差であり、ここでR3基は、アルキレンオキシ又はポリ(アルキレンオキシ)部分の1つ又は2つ以上の炭素原子上に、ヒドロキシル−、ヒドロキシアルキル−、ヒドロキシアルキレンオキシ−又はヒドロキシポリ(アルキレンオキシ)−で置換されたアルキレンオキシ又はポリ(アルキレンオキシ)部分であり、そして
−R3’−R4−及び−R3’−R5−は、それぞれ、構造(I)に従う化合物の別の分子のR3’−R5−又はR8−R5−基及びR3基の縮合により形成されたそれぞれの結合を表す)
により具体的に説明される。
【0067】
実施形態の一つでは、上記有機リン材料(b)(I)は、構造(I)に従う分子2つ又は3つ以上の縮合反応生成物を含み、そして縮合反応生成物は、電子対を共有して架橋された有機リン網目を形成する。典型的には、水中の電子対を共有して架橋された有機リン網目の溶解性は、構造(I)に従う有機リン化合物の溶解性よりも低く、さらに典型的には、上記電子対を共有して架橋された有機リン網目は、水に実質的に不溶である。
【0068】
本明細書において、用語「塩」は、無機塩基又は有機塩基及び無機酸又は有機酸を含む塩基又は酸から調製された塩を指す。
実施形態の一つでは、有機リン材料(b)(I)は、構造(I)に従う有機リン化合物に由来するアニオン(例えば、ヒドロキシル又はヒドロキシアルキル置換基の脱プロトン化による)と、塩基に由来する1つ又は2つ以上の正に帯電した対イオンとを含む塩の形態である。
【0069】
好適な正に帯電した対イオンには、無機カチオン及び有機カチオン、例えば、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、カルシウムカチオン、マグネシウムカチオン、銅カチオン、亜鉛カチオン、アンモニウムカチオン、テトラアルキルアンモニウムカチオン、並びに第1、第2及び第3級アミン及び置換されたアミンに由来するカチオンが含まれる。
実施形態の一つでは、上記カチオンは、一価のカチオン、例えば、Na+又はK+である。
【0070】
実施形態の一つでは、上記カチオンは、多価カチオン、例えば、Ca+2、Mg+2、Zn+2、Mn+2、Cu+2、Al+3、Fe+2、Fe+3、Ti+4、Zr+4であり、この場合には、上記有機リン化合物は、上記有機リン化合物及び多価カチオンにより形成された「塩錯体」の形態であることができる。1分子あたり、2つ又は3つ以上のアニオン性部位、例えば、脱プロトン化ヒドロキシル置換基を有する有機リン化合物の場合、上記有機リン化合物−多価カチオン錯体は、イオン的に架橋された網目構造を作り出すことができる。典型的には、水中のイオン的に架橋された有機リン網目の溶解性は、構造(I)に従う有機リン化合物の溶解性よりも低く、さらに典型的には、上記イオン的に架橋された有機リン網目は、実質的に水に不溶である。
【0071】
好適な有機リン化合物は、公知の合成方法、例えば、それぞれが、1分子当たり2つ又は3つ以上のヒドロキシル基を有する化合物1又は2以上を、リン酸、ポリリン酸、及び/又は無水リン酸と反応させることにより製造されうる(例えば、米国特許第5,550,274号明細書、同第5,554,781号明細書及び同第6,136,221号明細書に開示されている)。
【0072】
実施形態の一つでは、カチオンは、水不溶性基材上に固定され、水不溶性カチオン性粒子を形成し、そして上記親水化層は、カチオン性粒子をさらに含む。好適な基材には、無機酸化物粒子、例えば、単一元素の酸化物、例えば、酸化セリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム(halfnium oxide)、酸化タンタル、酸化タングステン、二酸化ケイ素及び酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化インジウム及び酸化スズ、並びに上記酸化物の混合物、並びに上記元素の混合物の酸化物、例えば、セリウム−酸化ジルコニウムが含まれる。上記粒子は、動的光散乱又は光学顕微鏡法により測定されるように、約1ナノメートル(nm)〜約50マイクロメートル(μm)、さらに典型的には約5〜約1000nm、さらに典型的には約10〜約800nm、そしてさらに典型的には約20〜約500nmの平均粒径(D50)を示すことができる。実施形態の一つでは、アルミニウムカチオンを、シリカ粒子上に固定する。
【0073】
ビニルアルコール
実施形態の一つでは、上記親水化層は、ビニルアルコール材料(b)(II)をさらに含む。
改良された水溶解性及び改良された加工性を提供する実施形態の一つでは、ビニルアルコール材料(b)(II)は、上述の有機ホスフェートに加えて、構造(I−a)に従うモノマー単位を含むポリマー(ビニルアルコールポリマー)を含む。
【0074】
実施形態の一つでは、上記ビニルアルコールポリマーは、約10,000以上の重量平均分子量、さらに典型的には約10,000〜約100,000、さらに典型的には約10,000〜約30,000の重量平均分子量を示す。改良された耐久性を提供する別の実施形態では、上記ビニルアルコールポリマーは、約100,000以上、さらに典型的には約100,000〜約200,000の重量平均分子量を示す。加工性及び耐久性のバランスを提供する別の実施形態では、上記ビニルアルコールポリマーは、約50,000以上、さらに典型的には約50,000〜約150,000、さらに典型的には約80,000〜約120,000の重量平均分子量を示す。
【0075】
実施形態の一つでは、上記ビニルアルコールポリマーは、炭化水素主鎖及びエステル置換基を有するビニルアセテートに由来するモノマー単位を含むポリマー(例えば、ポリ(ビニルアセテート)ホモポリマー又はコポリマー)を形成するために、ビニルエステルモノマー、例えば、ビニルアセテートを重合し、次いで、構造(I−a)に従うヒドロキシ置換されたモノマー単位を形成するために、上記ポリマーのエステル置換基の少なくとも一部を加水分解することにより製造される。水への改良された溶解性及び改良された加工性を提供する実施形態の一つでは、上記ビニルアルコールポリマーは、約88%以上、さらに典型的には約88%〜約95%の加水分解度を示す。本明細書において、当初、炭化水素主鎖及びエステル置換基を有するポリマーを加水分解することにより製造されるビニルアルコールポリマーに関して、用語「加水分解度」は、加水分解されてヒドロキシ置換されたモノマー単位を形成した、ビニルエステル置換されたモノマー単位のパーセンテージとして表現する相対量を意味する。改良された水溶解性及び改良された耐久性を有する別の実施形態では、上記ビニルアルコールポリマーは、約99%以上の加水分解度を示す。水への溶解性及び耐久性の折衷案を提供する別の実施形態では、上記ポリマーは、約92〜約99%の加水分解度を示す。
【0076】
実施形態の一つでは、上記ビニルアルコールポリマーは、線状ポリマー構造を有する。別の実施形態では、上記ビニルアルコールポリマーは、分岐ポリマー構造を有する。
実施形態の一つでは、上記ビニルアルコールポリマーは、構造(I−a)に従うモノマー単位から単に成るビニルアルコールホモポリマーである。
【0077】
実施形態の一つでは、上記ビニルアルコールポリマーは、構造(I−a)に従う構造を有するモノマー単位を含み且つ構造(I−a)以外の構造を有するコモノマー単位をさらに含むビニルアルコールコポリマーである。実施形態の一つでは、上記ビニルアルコールポリマーは、(I−a)に従うヒドロキシ置換されたモノマー単位及びエステル置換されたモノマー単位を含むコポリマーであり、そしてビニルエステルホモポリマーの不完全加水分解により製造される。
【0078】
実施形態の一つでは、ビニルアルコールコポリマーは、約50モル%以上、さらに典型的には約80モル%以上の構造(I−a)に従うモノマー単位と、約50モル%未満、さらに典型的には約20モル%未満の構造(I−a)以外の構造を有するコモノマー単位とを含む。
【0079】
上述のように、構造(I−a)に従うモノマー単位を有するビニルアルコールポリマーは、ビニルエステルモノマーの重合、そして次の上記ポリマーのビニルエステル置換されたモノマー単位の加水分解から誘導されるのが典型的である。好適なビニルアルコールコポリマーは、上記ビニルエステルモノマーを、当該ビニルエステルモノマーと共重合性を有するエチレン系不飽和モノマー(例えば、他のビニルモノマー、アリルモノマー、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステルモノマー、メタクリル酸エステルモノマー、アクリルアミドモノマー)と共重合し、次いで、エステル置換されたモノマー単位の少なくとも一部を加水分解し、構造(I−a)に従うヒドロキシ置換されたモノマー単位を形成することにより誘導されるのが典型的である。
【0080】
実施形態の一つでは、上記ビニルアルコールポリマーは、構造(I−a)に従うモノマー単位を含み且つ構造(I−a)に従うモノマー以外の親水性モノマー単位をさらに含む。本明細書において、用語「親水性モノマー単位」は、上記モノマー単位のホモポリマーが、1重量%のホモポリマーの濃度において、25℃において水に可溶であるものであり、そして、例えば、ヒドロキシ(C1〜C4)アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(C1〜C4)アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル−アクリルアミド、アルコキシル化(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)−モノメタクリレート及びポリ(エチレングリコール)−モノメチルエーテルメタクリレート、ヒドロキシ(C1〜C4)アクリルアミド及びメタクリルアミド、ヒドロキシル(C1〜C4)アルキルビニルエーテル、N−ビニルピロール、N−ビニル−2−ピロリドン、2−及び4−ビニルピリジン、3〜5個の炭素原子を有するエチレン系不飽和カルボン酸、アミノ(C1〜C4)アルキル、モノ(C1〜C4)アルキルアミノ(C1〜C4)アルキル及びジ(C1〜C4)アルキルアミノ(C1〜C4)アルキル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリルアミドに由来するモノマー単位を含む。
【0081】
実施形態の一つでは、上記ビニルアルコールポリマーは、構造(I−a)に従うモノマー単位を含み、且つ疎水性モノマー単位をさらに含む。本明細書において、用語「疎水性モノマー単位」は、上記モノマー単位のホモポリマーが、1重量%のホモポリマーの濃度において、25℃で水に不溶であるものであり、そして、例えば、(C1〜C18)アルキル及び(C5〜C18)シクロアルキル(メタ)アクリレート、(C5〜C18)アルキル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、ビニル(C1〜C18)アルカノエート、(C2〜C18)アルケン、(C2〜C18)ハロアルケン、スチレン、(C1〜C6)アルキルスチレン、(C4〜C12)アルキルビニルエーテル、フッ素化(C2〜C10)アルキル(メタ)アクリレート、(C3〜C12)パーフルオロアルキルエチルチオカルボニルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルオキシアルキルシロキサン、N−ビニルカルバゾール、(C1〜C12)アルキルマレイン酸エステル、フマル酸エステル、イタコン酸エステル及びメサコン酸エステル、ビニルアセテート、プロピオン酸ビニル、酪酸ブチル、ビニルバレレート、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルトルエン、ビニルエチルエーテル、パーフルオロヘキシルエチルチオカルボニルアミノエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、ヘキサ−フルオロイソプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロブチルメタクリレート、トリストリメチルシリルオキシシリルプロピルメタクリレート及び3−メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサンに由来するモノマー単位を含む。
【0082】
本明細書において、用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレート、メタクリレート、又はアクリレート及びメタクリレートを意味し、そして用語「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミド、メタクリルアミド、又はアクリルアミド及びメタクリルアミドを意味する。
実施形態の一つでは、構造(I−a)に従うモノマー単位を含むポリマーは、ランダムコポリマーである。別の実施形態では、構造(I−a)に従うモノマー単位を含むコポリマーは、ブロックコポリマーである。
【0083】
好適なビニルアルコールポリマーを製造するための方法は、当業界に公知である。実施形態の一つでは、構造(I−a)に従うモノマー単位を含むポリマーは、公知のラジカル重合方法により、少なくとも1種のビニルエステルモノマー、上記ビニルアセテートを含む1種又は2種以上のエチレン系不飽和モノマーを重合し、続いて、上記ポリマーのビニルエステルモノマー単位の少なくとも一部を加水分解し、所望の加水分解度を有するポリマーを製造することにより製造される。別の実施形態では、構造(I−a)に従うモノマー単位を含むポリマーは、制御されたラジカル重合技法、例えば、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT,reversible addition fragmentation transfer)、ザンサートの交換を介した高分子設計(MADIX,macromolecular design via interchange of xanthates)又は原子移動ラジカル重合(ATRP,atom transfer reversible polymerization)により製造される。
【0084】
実施形態の一つでは、上記ビニルアルコールポリマーは、公知の溶液重合技法、概して脂肪族アルコール反応媒体中で製造される。
別の実施形態では、上記ビニルアルコールポリマーは、水性反応媒体中で、1種又は2種以上の界面活性剤の存在下で、公知のエマルション重合技法により製造される。
【0085】
実施形態の一つでは、上記ビニルアルコール材料は、ビニルアルコールポリマーの分子を架橋することにより製造されたミクロゲルを含む。
実施形態の一つでは、上記ビニルアルコール材料は、ビニルアルコールポリマーの塩、例えば、ナトリウム又はカリウム塩を含む。
【0086】
実施形態の一つでは、上記親水化層は、有機リン材料に加えて、1種又は2種以上のポリ(ビニルアルコール)ポリマーを含む。ポリ(ビニルアルコール)ポリマーは、ポリ(ビニルアセテート)の加水分解により、商業的に製造されている。実施形態の一つでは、上記ポリ(ビニルアルコール)は、約10,000以上の分子量(約200以上の重合度に相当する)、さらに典型的には約20,000〜約200,000の分子量(約400〜約4000の重合度に相当する)を有し、ここで、用語「重合度」は、上記ポリ(ビニルアルコール)ポリマー中のビニルアルコール単位の数を意味する。実施形態の一つでは、上記ポリ(ビニルアルコール)は、約50%以上、さらに典型的には約88%以上の加水分解度を有する。
【0087】
実施形態の一つでは、上記親水化層は、有機リン材料(b)(I)(さらに典型的には、100pbwの上記親水化層に基づいて、0pbw超〜100pbw未満、さらに典型的には約0.1pbw〜約99.9pbw、そしてさらに典型的には約1pbw〜約99pbwの有機リン材料(b)(I))及びビニルアルコール材料(b)(II)(100pbwの上記親水化層に基づいて、0pbw超〜100pbw未満、さらに典型的には約0.1pbw〜約99.9pbw、そしてさらに典型的には約1pbw〜約99pbwのビニルアルコール材料(b)(II))を含む。
【0088】
液状キャリア
実施形態の一つでは、本発明の処理組成物は、有機リン材料(b)(I)及びビニルアルコール材料(b)(II)並びに液状キャリアを含む。
【0089】
実施形態の一つでは、本発明の処理組成物は、上記有機リン材料(b)(I)及び液状キャリアを含み、すなわち、上記ビニルアルコール材料を含まない。
【0090】
実施形態の一つでは、上記液状キャリアは、水を含む水性キャリアであり、そして処理溶液は、上記有機リン材料及び添加剤の溶液、エマルション又は分散液の形態である。実施形態の一つでは、上記液状キャリアは、水及び水混和性有機液体を含む。好適な水混和性有機液体には、飽和又は不飽和の一価アルコール及び多価アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、セチルアルコール、ベンジルアルコール、オレイルアルコール、2−ブトキシエタノール及びエチレングリコール、並びにアルキルエーテルジオール、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル及びジエチレングリコールモノメチルエーテルが含まれる。
【0091】
実施形態の一つでは、上記処理組成物は、100重量部(pbw)の当該組成物に基づいて、約0.1〜約20pbw、さらに典型的には約1〜約5pbwの有機リン材料と、約80〜99pbw、さらに典型的には約90〜約98pbwの液状キャリアとを含む。
【0092】
実施形態の一つでは、上記処理組成物は、100重量部(pbw)の当該組成物に基づいて、約0.01〜約10pbw、さらに典型的には、約0.1〜約5pbwのコロイド状の無機粒子をさらに含む。
実施形態の一つでは、上記処理組成物は、100重量部(pbw)の当該組成物に基づいて、約0.01〜約2pbw、さらに典型的には約0.1〜約0.5pbwのポリ(ビニルアルコール)をさらに含む。
【0093】
実施形態の一つでは、上記処理組成物は、約0.0001〜約1pbw、さらに典型的には約0.001〜約0.1pbwの多価カチオン性粒子をさらに含む。
実施形態の一つでは、本発明の処理組成物は、有機リン材料(b)(I)及びビニルアルコール材料(b)(II)並びに液状キャリアを含む。
【0094】
実施形態の一つでは、上記処理組成物は、100重量部(pbw)の当該組成物に基づいて、約0.1〜約20pbw、さらに典型的には1〜約5pbwの有機リン材料(b)(I)、約0.1〜約20pbw、さらに典型的には1〜約5pbwのビニルアルコール材料(b)(II)、及び約80〜99pbw、さらに典型的には90〜約98pbwの液状キャリアを含む。
【0095】
処理組成物/方法
上記処理組成物は、100pbw重量の当該組成物に基づいて、最大約10pbwの他の成分、例えば、塩、糖、界面活性剤及びレオロジー調整剤を所望によりさらに含むことができる。好適な塩には、例えば、NaCl、KCl、NH3Cl、N(C253Clが含まれる。好適な糖には、単糖及び多糖類、例えば、グルコース又はグアールガムが含まれる。好適なレオロジー調整剤には、例えば、アルカリ膨潤性ポリマー、例えば、アクリル酸ポリマー、水素結合性レオロジー調整剤、例えば、カルボキシメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロース、及び疎水性会合性増粘剤、例えば、疎水的に改質されたセルロース誘導体及び疎水的に改質されたアルコキシル化ウレタンポリマーが含まれる。
【0096】
実施形態の一つでは、上記親水化層は、上記基材の疎水性表面を、上記有機リン材料及び液状キャリアと接触させ、次いで、上記液状キャリアを取り除くことにより、上記基材の疎水性表面の少なくとも一部上に堆積される。実施形態の一つでは、上記液状キャリアは、揮発性液状キャリアであり、そして上記キャリアは、当該キャリアを蒸発させることにより取り除かれる。
【0097】
基材の疎水性表面は、任意の好都合な方法、例えば、上記繊維基材を上記処理組成物に浸漬することにより、又ははけ塗り若しくはスプレーにより、上記処理組成物を上記基材の表面に適用することにより、上記処理組成物と接触されうる。
【0098】
実施形態の一つでは、上記親水化層が、不連続の繊維を処理組成物で処理することにより、疎水性繊維の疎水性表面上に堆積され、続いて、処理された繊維が、布帛の成分として含まれる。別のさらに典型的な実施形態では、疎水性表面を有する繊維を含む布帛が製造され、そして親水化層が、上記布帛を上記処理組成物で処理することにより、上記布帛の繊維の疎水性表面に堆積される。
【0099】
実施形態の一つでは、上記親水化層は、上記有機リン材料及び水性キャリアを含む水性処理組成物内に繊維又は布帛を浸漬し、次いで、上記布帛の一又は複数の繊維の表面の少なくとも一部に配置される量の親水化層を残すように蒸発させることにより上記水性キャリアを取り除くことにより、布帛の一又は複数の繊維の表面の少なくとも一部に堆積される。
【0100】
実施形態の一つでは、表面積1平方メートル当たり、典型的には約0.0001g〜約10gの親水化層の量において、上記基材の疎水性表面の少なくとも一部上に配置される親水化層が、当該表面の一部の疎水性を下げるために有効である。
【0101】
実施形態の一つでは、本発明の親水化された繊維は、布帛1g当たり、約0.001〜約1g、さらに典型的には約0.02〜約0.2gの上記親水化層を含む。
【0102】
実施形態の一つでは、本発明の親水化された繊維は、布帛1平方メートル当たり、約0.017〜約17g、さらに典型的には約0.17〜約3gの上記親水化層を含む。
【0103】
実施形態の一つでは、本発明の親水化された基材は、疎水性表面を有する繊維、例えば、疎水性合成ポリマー繊維、例えば、ポリ(オレフィン)繊維と、布帛が水性媒体を吸収することができるように当該布帛を十分親水性にするために有効な量における、上記繊維の表面の少なくとも一部に配置された親水化層とを含む織布又は不織布である。本明細書において、用語「(1つの)水性媒体」及び「(複数の)水性媒体」は、水が主要な成分である任意の液状媒体を指すように本明細書において用いられる。従って、上記用語は、水それ自体並びに水性溶液及び分散液を含む。例えば、上記水性媒体は、液状の身体の排出物、例えば、小便、生理及び唾液であることができる。
【0104】
「裏抜け」試験
本発明の親水化された繊維基材の高い親水性の一態様を、「裏抜け」試験により評価することができる。実施形態の一つでは、上記親水化された布帛は、European Disposable and Nonwovens Association test No.EDANA 150.3−96に従って測定されるように、約10秒未満、さらに好ましくは約2〜約5秒、そしてさらに好ましくは約2〜約4秒の裏抜け時間を示す。
好ましい実施態様では、上記裏抜け時間は、次の手順に従って評価される;
10枚の積み重ねられたろ紙(ERT−FF3)の上且つ50mLの分液漏斗の下に、上記親水化された繊維の12×12cmの試料を置く;
次いで、上記積み重ねられたろ紙の上且つ処理された布帛の下に、導電性の電極を置く;
ビュレットから上記漏斗に、0.909重量%NaClの水性溶液の5mLのアリコートを供給(ガッシュ(gush))し、そして液体が上記布帛に接触してから、全ての液体が上記積み重ねられたろ紙内に消失する前の時間(裏抜け時間)を測定する:
所望により、同一試料及びろ紙の積み重ねを用い、そしてそれぞれのガッシュに関する裏抜け時間を記録することによりステップ(C)を繰り返す。
【0105】
実施形態の一つでは、本発明の使い捨て吸収性製品は、複合積層構造を有し、そして1層又は2層以上の本発明に従う親水化された多孔質不織布の層と、1層又は2層以上の無孔ポリマーフィルム、例えば、無孔ポリ(オレフィン)フィルムの層とを含む。
【0106】
好適な製品
実施形態の一つでは、本発明に従う使い捨て吸収性製品は、生理的液体、例えば、小便を吸収するための、製品、例えば、おむつ、成人失禁用製品又は女性用衛生用品である。実施形態の一つでは、上記使い捨て吸収性製品は複合積層構造を有し、そして少なくとも1層の多孔質の親水化された布帛、典型的には多孔質の親水化された不織布と、少なくとも1層の無孔の不透水性フィルム、例えば、ポリ(エチレン)フィルムと、多孔質の親水化された布帛の層及び無孔の不透水性フィルムの層の間に配置された少なくとも1層の吸着性材料、典型的には超吸収材料を含む。
【0107】
本明細書において、用語「超吸収材料」は、有利な条件の下で、約0.9重量%の塩化ナトリウムを含む水性溶液内で、その重量の少なくとも数倍、好ましくは少なくとも10倍、そして最も好ましくは少なくとも30倍を吸収することができる水膨潤性、水不溶性の有機材料又は無機材料を指す。好適な超吸収材料が、一般的に知られている。本発明の超吸収材料として用いるために好適な有機材料は、天然材料、例えば、寒天、ペクチン、グアールガム、及び変性された天然材料、例えば、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、並びに合成材料、例えば、合成ヒドロゲルポリマーを含むことができる。上記ヒドロゲルポリマーには、例えば、ポリアクリル酸のアルカリ金属塩、部分的に中和されたポリアクリルアミド、エチレン無水マレイン酸コポリマー、並びにビニルスルホン酸、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド及びポリビニルピリジンのポリマー及びコポリマーが含まれる。他の好適なポリマーには、加水分解化アクリロニトリルグラフト化でん粉、アクリル酸グラフト化でん粉、及びイソブチレン無水マレイン酸コポリマー及びそれらの混合物が含まれる。使用するために好適なポリマー材料の例には、重合性、不飽和、酸含有モノマー、例えば、エチレン系不飽和カルボン酸、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸、酸無水物、例えば、無水マレイン酸、エチレン系不飽和スルホン酸、及びそれらの混合物に由来するモノマー単位を含み、そして非酸含有モノマー、例えば、エチレン系不飽和カルボン酸エステルモノマー又はエチレン系不飽和スルホン酸エステルモノマーに由来するモノマー単位を所望によりさらに含むものが含まれる。本発明に用いるための他のポリマー材料は、カルボキシル基を有する。これらのポリマーには、加水分解化でん粉−アクリロニトリルグラフトコポリマー、部分的に中和されたでん粉−アクリロニトリルグラフトコポリマー、でん粉−アクリル酸グラフトコポリマー、部分的に中和されたでん粉−アクリル酸グラフトコポリマー、けん化されたビニルアセテート−アクリル酸エステルコポリマー、加水分解化アクリロニトリル又はアクリルアミドコポリマー、上述のコポリマーの軽く架橋された生成物、部分的に中和されたポリアクリル酸、及び部分的に中和されたポリアクリル酸のわずかに網目架橋された生成物が含まれる。これらのポリマーを、独立して、又は他のポリマーとの混合物の形態のどちらかで用いることができる。
【0108】
上記超吸収材料は、お互いに超吸収性粒子の間隔をあけ、緩衝作用を提供し、複合材料を通して液体を浸透させ且つ移動させる開放性の空隙を提供し、そして全体として上記複合材料に強度を付与する透過性メッシュワーク内に分散された、典型的には100μm〜1000μmのサイズを有する超吸収性微粒子の形態を含む複合材料の形で存在するのが典型的である。上記透過性メッシュワークは、天然材料又は合成ポリマーを含むことができ、そして典型的には、セルロースフルフ(fluff)を含む。セルロースフルフは、木材パルプ化工程から得られるセルロース繊維から製造され、そして吸収用途に用いられるのが一般的であり、そこでは、組み合わされたストランドよりも大きな容量パーセンテージの開放性の空隙を有するメッシュワークを提供するために、上記繊維のストランドが緩く絡み合わせられている。
【0109】
使用の際、上記使い捨て吸収性製品の親水化された布帛の層は、上記使い捨て吸収性製品の使用者(典型的には、着用者)の方に向けられている。使用者の月経により生成された生理的液体は、多孔質の親水化された布帛層を通って、吸収性層に流れる傾向を有する。上記無孔の不透水性フィルムは、上記吸収性層からの漏れに対するバリアを提供する。
【0110】
本発明の親水化された布帛はまた、織布又は不織布である綿及び非綿布帛に関する改良された防汚特性を有することができる。本発明によると、用語「防汚」は、上記布帛と接触する汚染及び/又は油性材料を洗浄するか、又は除去するように処理する上記布帛の能力を指す。本発明は、汚染又は油性材料が、上記布帛に付着することを完全には防げないが、上記付着を妨げ、そして上記布帛の清浄能力を改良する。
【0111】
防汚ポリマーは、ポリエステル又は他の合成布帛に非常に有効であるのが一般的であり、そこではグリース、オイル又は類似の疎水性の汚染が広がり、そして接着されたフィルムを形成し、それにより水性の洗濯工程において容易に除去することができない。多くの防汚ポリマーは、「混」紡、すなわち、綿及び合成材料の混合物を含む布帛に対する顕著な効果が少なく、そして綿製品に対する効果がほとんど又は全くない。合成布帛に関する防汚剤の親和性の理由は、ポリエステル防汚ポリマーの主鎖が、テレフタレート残差及びエチレンオキシ又はプロピレンオキシポリマー単位の混合物を概して含むことである(合成布帛のポリエステル繊維を含む同一の材料)。防汚剤及び合成布帛のこの類似の構造により、これらの化合物の間に固有の親和性が生ずる。
【0112】
実施形態の一つでは、上記使い捨て吸収性製品は、1又は2以上の層(それぞれ独立して、親水化された織物又は親水化された不織布を含む)を含むワイプである。
【実施例】
【0113】
例F1〜例F20及び比較例F−C1
例F1〜例F5の処理された布帛基材を、次の通りに製造した。
【0114】
構造(IX):
【化14】

(式中、p及びrは、下記表Iに記載の各ケースにおけるものである)
に従うホスフェートエステルP1〜P5を、処理組成物T1〜T15を製造するために用いた。
【0115】
【表1】

【0116】
処理組成物T1〜T15は、水、ホスフェートエステルP1〜P5のそれぞれの1つ、及びあるケースにおける他の成分を含む各水性溶液であった。上記処理組成物のそれぞれに含まれるホスフェートエステルP1〜P5の量、任意の他の成分の素性、並びに上記ホスフェートエステル及び他の成分の量を、下記表IIに要約する。処理組成物T16、T17、T18、T19及びT20は、それぞれ、ポリ(ビニルアルコール)ポリマーを含むが、任意の有機リン化合物を含まない水含有水性溶液であった。用いられた各ポリ(ビニルアルコール)ポリマーは、下記表IIの脚注において特定されている。
【0117】
【表2】

【0118】
ポリ(プロピレン)不織布を、低エネルギー表面上の上述の試料の効果の実現可能性を示すために用いた。上記ポリ(プロピレン)不織布試料(それぞれ、30cm×20cm、布帛1平方メートル当たり重量約17g、0.12ミリメートル(mm)の平均厚さ)を切断し、処理すべき上部を区別するためにマークし、計量し、そしてアルミニウム箔に対して置いた。上記布帛を取り扱う全ての際に手袋を着用した。F1〜F20の布帛試料を、それぞれ、上記処理組成物F1〜F20中に上記布帛試料をディッピングし、次いで、上記布帛の過剰量の組成物を絞ることにより、上記処理組成物T1〜T20のそれぞれの一つで処理した。比較例F−C1の布帛試料は、未処理のままであった。次いで、湿潤させた布帛を60℃で1時間、オーブン内で乾燥させ、そして室温に冷却させた。処理後の上記布帛の重量と、処理前の上記布帛の重量との間の差は、約5〜約30重量%であるのが一般的であり、処理された布帛1平方メートル(m2)当たり約0.85〜5gのホスフェートエステルに相当する。
【0119】
処理された布帛試料を、水ですすぎ、そしてASTM 1331(以下に、具体的に記載される場合を除く)に従ってすすぎ水の表面張力を測定することにより評価した。各ケースでは、20×18cmの試料(総面積360cm2)を、処理された布帛から切断した。上記布帛試料を、40ミリリットル(mL)の0.909重量%のNaCl水性溶液上に置き、そして上記布帛を10秒間溶液内で攪拌し、次いで、上記布帛を、5分間、攪拌なしで静置し、次いで10秒間撹拌し、次いで上記溶液から取り出した。上記溶液を10分間静置し、次いで表面張力を、Wilhemy plate(Kruss Instruments)を用いて測定した。表面張力の結果を、例F1〜例F20の処理された布帛のそれぞれ及び比較例F−C1に関して、ミリニュートン/メートル(mN/m)において、以下の表IIに説明する。
【0120】
対照の0.909重量%のNaClの水性溶液の表面張力を、約72mM/mであると測定した。処理された布帛試料をすすぐために用いられた溶液の表面張力の、表面張力における減少により、比較例F−C1と比較して、すすぎ処置により例F1〜例F20の布帛試料の洗い流されたリン化合物の量のおおよその指標が提供される。対照の塩溶液の表面張力に近いすすぎ溶液の表面張力は、洗い流しが最小であったことを示し、そしてすすぎ溶液及び対照の塩溶液の間の差が大きいことは、洗い流されたリン化合物の量が多いことを示している。
【0121】
例F1〜例F20の処理された布帛及び比較例F−C1の試料をまた、EDANA試験150.3−96に従って(以下に、具体的に記載される場合を除く)、「裏抜け」試験により評価した。各ケースにおいて、12×12cmの処理された布帛の試料を、積み重ねた10枚のろ紙(ERT−FF3)の頂部の上に置き、そして50mLの分液漏斗の下に置いた。ステンレス鋼から製造した導電性電極を、上記積み重ねられたろ紙の頂部の上且つ上記処理された布帛の下に置いた。ビュレットを、最大50mLの0.909重量%のNaCl(食塩水)で満たした。漏斗のコックがしまっているのを確認して、上記塩水溶液の5mLのアリコートを、上記ビュレットから上記漏斗に供給した。
【0122】
上記漏斗のコックを開け、そして上記液体が上記布帛に接触した瞬間から、全ての溶液が上記積み重ねられたろ紙内に消失するまでの時間(裏抜け時間)を測定した。60秒後、上記塩水溶液の第2の5mLのアリコートを、上記布帛試料に導入した。各処理された布帛に関して、3つの試料を試験し、そして5回の「ガッシュ」、すなわち、塩溶液の別個の5mLのアリコートを、処理された布帛の各試料に関して用いた。例F1〜例F20及び比較例F−C1の処理された布帛に関する結果を、例F1〜例F20及び比較例F−C1の各処理された布帛の3つの試料に関する結果の相加平均として、秒において以下の表IIIに説明する。
【0123】
【表3】

【0124】
【表4】

【0125】
【表5】

【0126】
顔料を伴うポリアミドの例
図1は、水が毛管力のみに起因して繊維に沿って分布する未処理のポリアミドを示す。
【0127】
別の実験では、1重量%のPEG1000ホスフェートエステルの水性溶液を用いて、ポリアミドを処理した。上記処理は、水中の1重量%のPEG1000ホスフェートエステルの溶液内に、上記ポリアミドをディッピングし、そして早急に上記ポリアミドを洗浄(次いで乾燥し、次いで水+染料を滴下する)することによりなされた。図2は、PEGホスフェートエステルの吸着のため、織られたポリアミド上に染色された水が広がることを示している。特に、図2は、PEG1000ホスフェートエステルの1重量%溶液を用いて処理されたポリアミドを示し、そこでは、繊維の親水化のために水が広がる。
【0128】
上記に明確に列挙された以外の実施形態が、本発明の精神及び範囲内にあることは明確である。従って、本発明は、上記提供の記載に制限されず、本明細書に添付の特許請求の範囲により規定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)及び(b)を含む親水化された製品;
(a)疎水性表面を有する基材;並びに
(b)前記基材の疎水性表面の少なくとも一部上に配置される親水化層:
前記層は下記(b)(I)を含む:
(b)(I)下記(b)(I)(1)〜(b)(I)(4)から選択される有機リン材料;
(b)(I)(1)次の構造(I)に従う有機リン化合物:
【化1】

(式中、
各R1及び各R2は、独立して、存在しないか又はOであるが、R1及びR2の少なくとも一方は、Oであり、
各R3は、独立して、アルキレンオキシ、ポリ(アルキレンオキシ)(前記アルキレンオキシ又はポリ(アルキレンオキシ)基の1つ又は2つ以上の炭素原子上に、ヒドロキシル、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルケニル、アリール又はアリールオキシにより所望により置換されていてもよい)であり、
5及び各R4は、独立して、存在しないか又はアルキレンオキシ、ポリ(アルキレンオキシ)(前記アルキレンオキシ又はポリ(アルキレンオキシ)基の1つ又は2つ以上の炭素原子上に、ヒドロキシル、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルケニル、アリール又はアリールオキシにより所望により置換されていてもよい)であり、
6及びR8は、それぞれ、並びに各R7は、独立して、H若しくは(C1〜C30)炭化水素(当該炭化水素は、所望により、1つ若しくは2つ以上の炭素原子上に、ヒドロキシル、フッ素、アルキル、アルケニル若しくはアリールにより置換されるか、そして/又は1若しくは2以上の位置のところで、O、N又はSへテロ原子により中断されていてもよい)又は−POR910であり、
9及びR10は、それぞれ独立して、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ又は(C1〜C30)炭化水素(当該炭化水素は、所望により、1つ若しくは2つ以上の炭素原子上に、ヒドロキシル、フッ素、アルキル、アルケニル若しくはアリールにより置換されるか、そして/又は1若しくは2以上の位置のところで、O、N又はSへテロ原子により中断されていてもよい)であり、そして
mは、1〜5の整数である);
(b)(I)(2)構造(I)に従う有機リン化合物の塩;
(b)(I)(3)構造(I)に従う有機リン化合物1種又は2種以上の分子2つ又は3つ以上の縮合反応生成物:並びに
(b)(I)(4)前記(b)(I)(1)、(b)(I)(2)及び(b)(I)(3)の化合物、塩及び/又は反応生成物を2種又は3種以上含む混合物。
【請求項2】
(c)(II)(1)次の構造(I−a)に従うモノマー単位を含むポリマー:
【化2】

(c)(II)(2)ポリマー(c)(II)(1)の塩;
(c)(II)(3)ポリマー(c)(II)(1)の1種又は2種以上の分子2つ又は3つ以上の反応生成物;並びに
(c)(II)(4)前記(C)(II)(1)、(c)(II)(2)及び(c)(II)(3)のポリマー、塩及び/又は反応生成物を2種又は3種以上含む混合物:
から選択されるビニルアルコール材料をさらに含む、請求項1に記載の親水化された製品。
【請求項3】
前記有機リン化合物において、各R1及び各R2がOであり、そして
前記有機リン化合物が、下記;
(II)(1)次の構造(II)に従う有機ホスフェートエステル:
【化3】

(II)(2)構造(II)に従う有機リン化合物の塩;
(II)(3)構造(II)に従う有機リン化合物1種又は2種以上の分子2つ又は3つ以上の縮合反応生成物;並びに
(II)(4)前記(II)(1)、(II)(2)及び(II)(3)の化合物、塩及び/又は反応生成物を2種又は3種以上含む混合物:
から選択される、請求項1に記載の親水化された製品。
【請求項4】
前記有機リン化合物において、各R1が存在せず、各R2がOであり、そして
前記有機リン化合物が、下記;
(III)(1)次の構造(III)に従う有機ホスホネートエステル:
【化4】

(III)(2)構造(III)に従う有機リン化合物の塩;
(III)(3)構造(III)に従う有機リン化合物1種又は2種以上の分子2つ又は3つ以上の縮合反応生成物;並びに
(III)(4)前記(III)(1)、(III)(2)及び(III)(3)の化合物、塩及び/又は反応生成物を2種又は3種以上含む混合物:
から選択される、請求項1に記載の親水化された製品。
【請求項5】
前記有機リン化合物において、各R1がOであり、各R2が存在せず、そして
前記有機リン化合物が、下記;
(IV)(1)次の構造(IV)に従う有機ホスホネートエステル:
【化5】

(IV)(2)構造(IV)に従う有機リン化合物の塩;
(IV)(3)構造(IV)に従う有機リン化合物1種又は2種以上の分子2つ又は3つ以上の縮合反応生成物;並びに
(IV)(4)前記(IV)(1)、(IV)(2)及び(IV)(3)の化合物、塩及び/又は反応生成物を2種又は3種以上含む混合物:
から選択される、請求項1に記載の親水化された製品。
【請求項6】
前記有機リン化合物において、各R3が、次の構造(V)、(VI)、(VII)又は(VIII):
【化6】

【化7】

(式中、
各R12及び各R13は、独立して、H、ヒドロキシル、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルケニル、アリール、アリールオキシであるか、又は隣接する炭素原子に結合する2つのR12基が縮合して、それらが結合する炭素原子と一緒になって、(C6〜C8)炭化水素環を形成することができ、
20は、H、ヒドロキシル、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルケニル、アリール又はアリールオキシであり、
22は、ヒドロキシル又はヒドロキシアルキルであるが、R20及びR22は、お互いにヒドロキシルではなく、
23及びR21は、それぞれ独立して、メチレン又はポリ(メチレン)であり、
p、p’、p’’、q、x及びx’は、それぞれ独立して、2〜5の整数であり、
各r、s、r’、r’’及びyは、独立して、0〜25の数であるが、r及びsの少なくとも一方は0ではなく、
uは、2〜10の整数であり、
v及びwは、それぞれ、1〜25の整数であり、そして
t、t’及びt’’は、それぞれ、1〜25の数であるが、量(r+s)×度数tの積は、約100以下であり、量(v+r’)×度数t’の積は、約100以下であり、そして量(w+r’’)×度数t’’の積は、約100以下である)
に従う2価の基である、請求項1に記載の親水化された製品。
【請求項7】
前記有機リン化合物において、各R4及び各R5は、独立して、存在しないか、又は構造(V)、構造(VI)若しくは構造(VII)に従う2価の基である、請求項6に記載の親水化された製品。
【請求項8】
前記有機リン化合物において、各R3が、独立して、構造(V)、構造(VI)又は構造(VII)に従う2価の基であり、R4及びR5が、それぞれ独立して、存在しないか又はR3である、請求項6に記載の親水化された製品。
【請求項9】
前記有機リン化合物において、各R3が、独立して、構造(V)(式中、pが、2、3又は4であり、rが、1〜25の整数であり、sが、0であり、tが、1〜2の整数である)に従う2価の基であり、そしてR4及びR5が、それぞれ独立して、存在しないか又はR3である、請求項6に記載の親水化された製品。
【請求項10】
前記有機リン化合物において、各R3が、構造(VI)(式中、R12基が縮合して、それらが結合されている炭素原子を含む(C6〜C8)炭化水素環を形成し、各R13が、Hであり、p’が、2又は3であり、uが、2であり、vが、1〜3の整数であり、r’が、1〜25の整数であり、t’が、1〜25の整数であり、量(v+r’)×度数t’の積が、約100以下である)に従う2価の基であり、そしてR4及びR5が、それぞれ独立して、存在しないか又はR3である、請求項6に記載の親水化された製品。
【請求項11】
前記有機リン化合物において、各R3が、独立して、次の構造(VII):
【化8】

(式中、R20はヒドロキシル又はヒドロキシアルキルであり、R22は、H、アルキル、ヒドロキシル又はヒドロキシアルキルであるが、R20及びR22は、お互いにヒドロキシルではなく、R21及びR23は、それぞれ独立して、メチレン、ジ(メチレン)又はトリ(メチレン)であり、wは、1又は2であり、pは、2又は3であり、p’’は、2又は3であり、r’’は、1〜25の整数であり、t’’は、1〜25の整数であり、量(w+r’’)×度数t’’の積は、約100以下、さらに典型的には以下約50である)
に従う2価の基であり、そしてR4及びR5が、それぞれ独立して、存在しないか又はR3である、請求項1に記載の親水化された製品。
【請求項12】
前記有機リン化合物において、各R1及び各R2がOであり、そして
前記有機リン化合物が、下記;
(II)(1)次の構造(II)に従う有機ホスフェートエステル:
【化9】

(II)(2)構造(II)に従う有機リン化合物の塩;
(II)(3)構造(II)に従う有機リン化合物1種又は2種以上の分子2つ又は3つ以上の縮合反応生成物;並びに
(II)(4)前記(II)(1)、(II)(2)及び(II)(3)の化合物、塩及び/又は反応生成物を2種又は3種以上含む混合物:
から選択され、
構造(II)に従う有機リン化合物において;
6及びR8は、それぞれ、並びに各R7は、独立して、H若しくは(C1〜C30)炭化水素(当該炭化水素は、所望により、1つ若しくは2つ以上の炭素原子上に、ヒドロキシル、フッ素、アルキル、アルケニル若しくはアリールにより置換されるか、そして/又は1若しくは2以上の位置のところで、O、N又はSへテロ原子により中断されていてもよい)又は−POR910であり;
4及びR5は、それぞれ、存在せず;
各R3は、独立して構造(V)、構造(VI)又は構造(VII)に従う2価の基であり;そして
mは、1〜5の整数である:
請求項6に記載の親水化された製品。
【請求項13】
6、R8及び各R7が、それぞれ、Hである、請求項12に記載の親水化された製品。
【請求項14】
構造(II)に従う有機リン化合物において、
6、R8及び各R7が、それぞれ、Hであり、
4及びR5が、それぞれ、存在せず、
各R3が、独立して、次の構造(V):
【化10】

(式中、各p、qは、独立して、2、3又は4であり、
各rは、独立して、1〜約100、さらに典型的に、は2〜約50の数であり、
各sは、0であり、
各tは、1であり、そして
mは、1〜5の整数である)
に従う2価の基である、請求項3に記載の親水化された製品。
【請求項15】
前記有機リン材料が、下記;
(IX)(1)次の構造(IX)に従う有機リン化合物:
【化11】

(式中、
pは、2、3又は4、さらに典型的には、2又は3であり、
rは、4〜約50の数である)
(IX)(2)構造(IX)に従う有機リン化合物の塩;並びに
(IX)(3)前記(IX)(1)及び(IX)(2)の化合物及び/又は塩を2種又は3種以上含む混合物:
から選択される、請求項1に記載の親水化された製品。
【請求項16】
前記有機リン化合物において、各R1及び各R2がOであり、そして前記有機リン化合物が下記;
(II)(1)次の構造(II)に従う有機ホスフェートエステル:
【化12】

(II)(2)構造(II)に従う有機リン化合物の塩;
(II)(3)構造(II)に従う有機リン化合物1種又は2種以上の分子2つ又は3つ以上の縮合反応生成物;並びに
(II)(4)前記(II)(1)、(II)(2)及び(II)(3)の化合物、塩及び/又は反応生成物を2種又は3種以上含む混合物:
から選択され、
構造(II)に従う有機リン化合物において;
6、R8及び各R7が、それぞれ、Hであり;
4及びR5が、それぞれ、存在せず;
各R3が、構造(VI)に従う2価の基であり;
12基が縮合して、それらが結合されている炭素原子を含む(C6〜C8)炭化水素環を形成し;
各R13が、Hであり;
p’が、2又は3であり;
uが、2であり;
vが、1であり;
r’が、1〜25の数であり;
t’が、1〜25の数であり;
量(v+r’)×度数t’の積が、約100以下であり、そして
mが、1〜5の整数である:
請求項6に記載の親水化された製品。
【請求項17】
前記有機リン化合物において、各R1及び各R2がOであり、そして
前記有機リン化合物が、下記:
(II)(1)次の構造(II)に従う有機ホスフェートエステル:
【化13】

(II)(2)構造(II)に従う有機リン化合物の塩;
(II)(3)構造(II)に従う有機リン化合物1種又は2種以上の分子2つ又は3つ以上の縮合反応生成物;並びに
(II)(4)前記(II)(1)、(II)(2)及び(II)(3)の化合物、塩及び/又は反応生成物を2種又は3種以上含む混合物:
から選択され、
構造(II)に従う有機リン化合物において;
6、R8及び各R7が、それぞれ、Hであり;
4及びR5が、それぞれ、存在せず;
各R3が、独立して、構造(VII)に従う2価の基であり;
20が、ヒドロキシル又はヒドロキシアルキルであり;
22が、H、アルキル、ヒドロキシル又はヒドロキシアルキルであり;
23及びR21が、それぞれ独立して、メチレン、ジ(メチレン)又はトリ(メチレン)であり;
wが、1又は2であり;
p’’が、2又は3であり;
r’’が、1〜25の数であり;
t’’が、1〜25の数であり;
量(w+r’’)×度数t’’の積が、約100以下であり、そして
mが、1〜5の整数である:
請求項6に記載の親水化された製品。
【請求項18】
前記有機リン化合物が、構造(III)に従い、各R3が、構造(V)に従う2価の基であり、s=0及びt=1であり、R4及びR5が、それぞれ、存在せず、そしてR6、R7及びR8が、それぞれ、Hである、請求項4に記載の親水化された製品。
【請求項19】
前記有機リン化合物において、前記有機リン化合物が構造(IV)に従い、R3及びR5が、それぞれ、構造(V)に従い、s=0及びt=1であり、そしてR6及びR8が、それぞれ、Hである、請求項5に記載の親水化された製品。
【請求項20】
有機リン材料(b)(I)が、構造(I)に従う分子2つ又は3つ以上の縮合反応生成物を含む、請求項1に記載の親水化された製品。
【請求項21】
有機リン材料(b)(I)が、直鎖分子状の、構造(I)に従う分子2つ又は3つ以上の縮合反応生成物を含む、請求項1に記載の親水化された製品。
【請求項22】
有機リン材料(b)(I)が、次の構造(II):
【化14】

に従う分子を、次の構造(V):
【化15】

(式中、
各p、qは、独立して、2〜5の整数であり、
各r、sは、独立して、0〜25の数であるが、
r及びsの少なくとも一方は、0ではなく、そして
tは、1〜25の数であるが、
量(r+s)×度数tの積は、約100以下である)
に従う分子と縮合させることにより形成された、次の構造(X):
【化16】

(式中、R4、R7、p、r)
に従う直鎖の縮合反応生成物から成る群から選択される直鎖分子状の構造(I)に従う分子2つ又は3つ以上の縮合反応生成物を含む、請求項1に記載の親水化された製品。
【請求項23】
有機リン材料(b)(I)が、架橋された網目の形態の、構造(I)に従う分子2つ又は3つ以上の縮合反応生成物を含む、請求項1に記載の親水化された製品。
【請求項24】
前記架橋された網目が、次の構造(XI):
【化17】

(式中、
1、R2、R4、R5、R6、R7、R8及びmは、それぞれ、上述の通りであり、そして
各R3’は、独立して、上述のように、構造(I)に従う化合物のR3基の残差であり、ここでR3基は、アルキレンオキシ又はポリ(アルキレンオキシ)部分の1つ又は2つ以上の炭素原子上に、ヒドロキシル−、ヒドロキシアルキル−、ヒドロキシアルキルレンオキシ−又はヒドロキシポリ(アルキレンオキシ)−で置換されたアルキレンオキシ又はポリ(アルキレンオキシ)部分であり、そして
−R3’−R4−及び−R3’−R5−は、それぞれ、構造(I)に従う化合物の別の分子の−R3’−R5−又はR8−R5−基及びR3基の縮合により形成されたそれぞれの結合を表す)
により具体的に説明される縮合反応生成物網目を含む、請求項23に記載の親水化された製品。
【請求項25】
疎水性表面の少なくとも一部を、下記を用いて処理することを含む、疎水性表面を有する基材を親水化するための方法;
(b)(I)下記(b)(I)(1)〜(b)(I)(4)から選択される有機リン材料;
(b)(I)(1)次の構造(I)に従う有機リン化合物:
【化18】

(式中、
各R1及び各R2は、独立して、存在しないか又はOであるが、R1及びR2の少なくとも一方は、Oであり、
各R3は、独立して、アルキレンオキシ、ポリ(アルキレンオキシ)(当該アルキレンオキシ又はポリ(アルキレンオキシ)基の1つ又は2つ以上の炭素原子上に、ヒドロキシル、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルケニル、アリール又はアリールオキシにより所望により置換されていてもよい)であり、
5及び各R4は、独立して、存在しないか又はアルキレンオキシ、ポリ(アルキレンオキシ)(当該アルキレンオキシ又はポリ(アルキレンオキシ)基の1つ又は2つ以上の炭素原子上に、ヒドロキシル、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルケニル、アリール又はアリールオキシにより所望により置換されていてもよい)であり、
6及びR8は、それぞれ、並びに各R7は、独立して、H若しくは(C1〜C30)炭化水素(当該炭化水素は、所望により、1つ若しくは2つ以上の炭素原子上に、ヒドロキシル、フッ素、アルキル、アルケニル若しくはアリールにより置換されるか、そして/又は1若しくは2以上の位置のところで、O、N又はSへテロ原子により中断されていてもよい)又は−POR910であり、
9及びR10は、それぞれ独立して、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ又は(C1〜C30)炭化水素(当該炭化水素は、所望により、1つ若しくは2つ以上の炭素原子上に、ヒドロキシル、フッ素、アルキル、アルケニル若しくはアリールにより置換されるか、そして/又は1若しくは2以上の位置のところで、O、N又はSヘテロ原子により中断されていてもよい)であり、そして
mは、1〜5の整数である);
(b)(I)(2)構造(I)に従う有機リン化合物の塩;
(b)(I)(3)構造(I)に従う有機リン化合物1種又は2種以上の分子2つ又は3つ以上の縮合反応生成物:並びに
(b)(I)(4)前記(b)(I)(1)、(b)(I)(2)及び(b)(I)(3)の化合物、塩及び/又は反応生成物を2種又は3種以上含む混合物。
【請求項26】
前記有機リン材料を含む処理組成物を用いて、前記疎水性表面の少なくとも一部を処理することを含む、疎水性表面を有する基材を親水化するための方法であって、
前記処理組成物が、下記;
(c)(II)(1)次の構造(I−a)に従うモノマー単位を含むポリマー:
【化19】

(c)(II)(2)ポリマー(c)(II)(1)の塩;
(c)(II)(3)ポリマー(c)(II)(1)の1種又は2種以上の分子2つ又は3つ以上の反応生成物;並びに
(c)(II)(4)前記(c)(II)(1)、(c)(II)(2)及び(c)(II)(3)の化合物、塩及び/又は反応生成物を2種又は3種以上含む混合物:
から選択されるビニルアルコール材料をさらに含む、
請求項4に記載の疎水性表面を有する基材を親水化するための方法。
【請求項27】
下記を含む吸収性製品;
疎水性表面を有する基材;及び
前記基材の疎水性表面の少なくとも一部上に配置される親水化層;
ここで、前記層が、下記(b)(I)を含む;
(b)(I)下記(b)(I)(1)〜(b)(I)(4)から選択される有機リン材料;
(b)(I)(1)次の構造(I)に従う有機リン化合物:
【化20】

(式中、
各R1及び各R2は、独立して、存在しないか又はOであるが、R1及びR2の少なくとも一方は、Oであり、
各R3は、独立して、アルキレンオキシ、ポリ(アルキレンオキシ)(当該アルキレンオキシ又はポリ(アルキレンオキシ)基の1つ又は2つ以上の炭素原子上に、ヒドロキシル、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルケニル、アリール又はアリールオキシにより所望により置換されていてもよい)であり、
5及び各R4は、独立して、存在しないか、又はアルキレンオキシ、ポリ(アルキレンオキシ)(当該アルキレンオキシ又はポリ(アルキレンオキシ)基の1つ又は2つ以上の炭素原子上に、ヒドロキシル、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルケニル、アリール又はアリールオキシにより所望により置換されていてもよい)であり、
6及びR8は、それぞれ、並びに各R7は、独立して、H若しくは(C1〜C30)炭化水素(当該炭化水素は、所望により、1つ若しくは2つ以上の炭素原子上に、ヒドロキシル、フッ素、アルキル、アルケニル若しくはアリールにより置換されるか、そして/又は1若しくは2以上の位置のところで、O、N又はSへテロ原子により中断されていてもよい)又は−POR910であり、
9及びR10は、それぞれ独立して、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ又は(C1〜C30)炭化水素(当該炭化水素は、所望により、1つ若しくは2つ以上の炭素原子上に、ヒドロキシル、フッ素、アルキル、アルケニル若しくはアリールにより置換されるか、そして/又は1若しくは2以上の位置のところで、O、N又はSへテロ原子により中断されていてもよい)であり、そして
mは、1〜5の整数である);
(b)(I)(2)構造(I)に従う有機リン化合物の塩;
(b)(I)(3)構造(I)に従う有機リン化合物1種又は2種以上の分子2つ又は3つ以上の縮合反応生成物:並びに
(b)(I)(4)前記(b)(I)(1)、(b)(I)(2)及び(b)(I)(3)の化合物、塩及び/又は反応生成物を2種又は3種以上含む混合物。
【請求項28】
前記層が、下記;
(c)(II)下記(c)(II)(1)〜(c)(II)(4)から選択されるビニルアルコール材料;
(c)(II)(1)次の構造(I−a)に従うモノマー単位を含むポリマー:
【化21】

(c)(II)(2)ポリマー(c)(II)(1)の塩;
(c)(II)(3)ポリマー(c)(II)(1)の1種又は2種以上の分子2つ又は3つ以上の反応生成物;並びに
(c)(II)(4)前記(c)(II)(1)、(c)(II)(2)及び(c)(II)(3)のポリマー、塩及び/又は反応生成物を2種又は3種以上含む混合物:
をさらに含む、請求項7に記載の親水化された製品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−540109(P2009−540109A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515612(P2009−515612)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/071034
【国際公開番号】WO2007/146956
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(598109291)ローディア インコーポレイティド (41)
【Fターム(参考)】