説明

親水性コーティング

基体用の親水性潤滑性コーティングは、イソシアネート、ポリオールまたはポリアミン、およびポリ(エチレンオキシド)の混合物を反応させることにより形成される、ポリ(エチレンオキシド)と複合している架橋ポリウレタンまたはポリウレアを有する第1のコーティング層、ならびにイソシアネート、ポリオールまたはポリアミン、およびポリビニルピロリドンの混合物を反応させることにより形成される、ポリビニルピロリドンと複合している架橋ポリウレタンまたはポリウレアを有する第2のコーティング層を含む。第1の層は第2の層により実質的に覆われており、第2の層は少なくとも部分的に第1の層と相互浸透している。該コーティングは、第1のコーティング層を塗布し、硬化して、架橋ポリウレタンまたはポリウレア/ポリ(エチレンオキシド)コーティングを生じ、第2の層を塗布し、硬化して、架橋ポリウレタンまたはポリウレア/ポリビニルピロリドンコーティングを生じることにより得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その開示を参照により本明細書に組み込む2009年12月15日出願の米国特許出願第12/638,464号の優先権を主張するものである。
[0001]一般に、本発明は、基体用の親水性潤滑性コーティングに関する。特に、本発明は、第1の潤滑性基層および第2の潤滑性上層を含む親水性潤滑性コーティング組成物に関する。そのような親水性潤滑性コーティングの塗布法、およびそのようにコーティングした医療器具を提供する。本発明の親水性潤滑性コーティングでコーティングすることができる代表的な器具としては、カテーテル、バルーンカテーテル等が挙げられる。
【背景技術】
【0002】
[0002]カテーテル、バルーンカテーテル、カテーテルイントロデューサー等の医療器具に、摩擦が低い(0.3以下の摩擦係数)親水性コーティングを付与することは、当技術分野において公知である。そのような低摩擦表面を使用する場合、そのような表面を有する器具は、動脈、静脈、カニューレおよび他の身体開口部などの通路内で容易に摺動する。医療器具に望ましい低摩擦表面をもたらす様々な方法が知られている。
【0003】
[0003]例えば、医療器具の外側部は、TEFLONまたは他のそのような材料などの望ましい低摩擦特性を有する材料で製作することができる。残念ながら、特定の低摩擦材料に屈曲性などの医療器具用の他の所望の特性を組み合わせることは不可能であることが多い。
【0004】
[0004]このため、親水性潤滑性コーティングは、医療器具に所望の減摩特性を付与することが知られている。そのようなコーティングの1種は、イソシアネート、ポリウレタン、およびポリビニルピロリドン(PVP)の組合せから形成することができる。他のそのようなコーティングは、イソシアネートおよび/またはポリウレタンのポリ(エチレンオキシド)(PEO)との組合せにより得られてきた。その上さらに、イソシアネート、ポリオールまたはポリアミン、およびPVPまたはPEOの組合せが、医療器具の表面に所望の低摩擦特性を付与することが知られている。例として、そのようなPVP系およびPEO系コーティングは、Eltonの米国特許第5,160,790号および同第5,179,174号に開示されている。
【0005】
[0005]そのようなコーティングは、本来の目的には効果的であるものの、改善することが可能である。例えば、ポリビニルピロリドン系コーティングは適切に屈曲性および潤滑性であるが、使用の間に摩耗し、コーティングした医療器具の一部分を露出させ、コーティングした器具の全体的な減摩特性を低減する恐れがある。ポリ(エチレンオキシド)系コーティングは優れた耐摩耗性を付与するが、ポリビニルピロリドン系コーティングほど軟質ではなく、一般に、該コーティングほど潤滑性ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]本開示は、所望の減摩特性を付与しながら、該コーティングの一部分が使用の間に摩耗した場合でさえその減摩特性を保持する、医療器具用の親水性潤滑性コーティングを提供することにより、当技術分野における必要性に対処するものである。具体的には、PEOを含む第1の層およびPVPを含む第2の層を含んだ親水性潤滑性コーティングを開示する。第2のPVP系の層が摩耗した場合、コーティングした器具は、より耐久性のあるPEO系の第1の層によりその減摩特性を保持する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]上述のおよび他の問題は、親水性潤滑性コーティングをカテーテル、バルーンカテーテル、または他のそのような器具などの医療器具の外面に付与する以下に記載の方法、およびそのようなコーティングの組成物に関わる原理および教示を適用することにより解決される。概して、本開示は、第1のポリ(エチレンオキシド)系の層および第2のポリビニルピロリドン系の層を含む親水性潤滑性コーティング組成物を提供する。その上さらに、そのようなコーティングの塗布法について記載する。
【0008】
[0008]一般に、本発明の一態様において、イソシアネート、ポリオールまたはポリアミン、およびポリ(エチレンオキシド)の混合物を反応させることにより形成される架橋ポリウレタン/ポリ(エチレンオキシド)成分を有する第1の耐摩耗性層を含む基体用の親水性潤滑性コーティングについて記載する。該潤滑性コーティングは、イソシアネート、ポリオールまたはポリアミン、およびポリビニルピロリドンの混合物を反応させることにより形成される架橋ポリウレタン/ポリビニルピロリドン成分を有する第2の層をさらに含む。第1の層は第2の層により実質的に覆われていてもよく、第2の層は少なくとも部分的に第1の層と相互浸透していてもよい。
【0009】
[0009]別の態様において、基体の外面に親水性潤滑性コーティングを付与する方法が提供される。該方法は、イソシアネート、ポリオール、およびポリ(エチレンオキシド)の混合物を含む第1の耐摩耗性層を塗布するステップ、ならびに第1の耐摩耗性層を硬化して架橋ポリウレタン/ポリ(エチレンオキシド)コーティングを生じるステップを含む。次は、イソシアネート、ポリオール、およびポリビニルピロリドンの混合物を含む第2の層を塗布するステップ、ならびに第2の層を硬化して架橋ポリウレタン/ポリビニルピロリドンコーティングを生じるステップである。記載の方法により、第1の層が第2の層により実質的に覆われており、第2の層が少なくとも部分的に第1の層と相互浸透している2層の潤滑性コーティングが得られる。
【0010】
[0010]本開示の第1および第2の層の塗布は、液浸、吹付け、はけ塗り、ロール塗り、または塗付けのいずれか1つによるものとすることができる。列挙した硬化ステップは、コーティングした基体を温度で焼き付けることにより達成することができる。本方法のコーティングに適した基体としては、カテーテル、バルーンカテーテル、尿道カテーテル、カテーテルイントロデューサー、医療用ワイヤ、ステント、ステントグラフト、拡張用バルーンなどの医療器具が挙げられる。
【0011】
[0011]本発明のこれらのおよび他の実施形態、態様、利点、および特色を以下に続く説明で示し、それらは、ある程度は以下の本発明の説明および参照する図面を参照することにより、または本発明の実施により当業者に明らかとなろう。本発明の態様、利点、および特色は、添付の特許請求の範囲で特に指摘する手段、手順、および組合せにより理解され、達成される。
【0012】
[0012]本明細書に組み込まれてその一部を形成する添付の図面は、本発明の複数の態様を例示し、以下の説明と共に本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】[0013]本発明の屈曲性、親水性および潤滑性コーティングでコーティングしたシャフトおよびバルーンを含むバルーンカテーテルの一部分の断面図である。
【図2】[0014]摩耗した第2のコーティング層の一部分を示すコーティングしたバルーンカテーテル図1の一部分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0015]例示する実施形態の以下の詳細な説明においては、本明細書の一部を形成し、本発明を実施することができる特定の実施形態を例示のために示す添付の図面を参照する。当業者が本発明を実施することを可能にするためにこれらの実施形態を十分詳細に説明し、様々な図において同様の数字は同様の部分を表す。また、他の実施形態を利用することができ、本発明の範囲から逸脱することなく方法、機構、配列の変更および/または他の変更をなし得ることが理解されよう。
【0015】
[0016]本開示において、医療器具用の親水性潤滑性コーティング、およびそのようにコーティングした器具を提供する。該コーティングは、2つの親水性潤滑性層を含む。概して、第1の潤滑性層は、医療器具表面に隣接して配置され、少なくともイソシアネート/ポリオール成分またはイソシアネート/ポリアミン成分、ならびにポリ(エチレンオキシド)成分を含む。実質的に第1の層の上に重なることができる第2の層は、少なくともイソシアネート/ポリオール成分またはイソシアネート/ポリアミン成分、ならびにポリビニルピロリドン成分を含む。該コーティングは、従来のコーティング塗布法により、知られている基体から形成された様々な医療器具に塗布することができる。
【0016】
[0017]本明細書に記載のコーティングでコーティングすることができる器具としては、カテーテル、バルーンカテーテル(バルーンカテーテルシャフト、バルーン、または両方を含む)、イントロデューサー、体内移植片、医療用ワイヤ、ステント、ステントグラフト、管材料、拡張用バルーン等が挙げられるが、これらに限定されない。そのような器具は、そのような目的のために当技術分野において知られている任意の好適な材料で製作することができる。一般に、本コーティングのイソシアネート成分と適切に反応するカルボン酸、−OH基、−NH基、−SH基等を含めた官能基を提供する基体材料を選択する。
【0017】
[0018]本コーティングは、金属表面を備える器具にも塗布することができる。一般に、本コーティングの塗布の前にプライマー層をそのような金属基体に塗布して、第1の潤滑性層と金属基体との結合を強化する。そのようなプライマーは、米国特許第6,270,902号に開示されており、第1のコーティング層のイソシアネート成分との反応のために所望の官能基を供給するための多数の組成物が挙げられる。その例としては、エチルビニルアルコール、イソシアネート末端プレポリマー、ポリウレタン、エポキシ化合物、ならびにNCOおよびOH官能性シランが挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
[0019]本発明のコーティングでコーティングすることができる有機基体の例としては、プラスチックおよび他のポリマー、例えば、ナイロン、ポリエーテルブロックアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルウレタン、ポリエステルウレタン、他のポリウレタン、天然ゴム、ゴムラテックス、合成ゴム、ポリエステル−ポリエーテルコポリマー、ポリカーボネートなど、および他の有機材料が挙げられる。これらの材料の一部は、Philadelphia、PAのArkema, Inc.から入手可能なPEBAX、Wilmington、Del.のE.I. duPont deNemours and Co.から入手可能なMYLAR、Pittsburgh、Pa.のMobay CorporationからのTEXIN、Midland、Mich.のDow Chemicalから入手可能なPELLETHANE、Brecksville OHのLubrizol CorporationからのESTANE、およびPittsfield、Mass.のSABICから入手可能なLEXANなどという商標で販売されている。
【0019】
[0020]本発明の実施形態において、高潤滑性コーティングは、示している実施形態(図1および2を参照せよ)では中空のルーメン12を画定するシャフト10およびシャフト10の遠位端の周囲に同心状に配列されたバルーン18を含むバルーンカテーテルである基体の上に重なるように形成する。該コーティングは、屈曲性の有機ポリマー材料から形成する2つの親水性潤滑性コーティング層14、16から形成する。該コーティングは、液浸、吹付け、塗付け、塗装、ロール塗り、はけ塗り等を含めた様々な方法により塗布することができる。便宜上、該コーティングは、一般に、所望のコーティング材料を含有する溶液に医療器具を液浸することにより塗布する。
【0020】
[0021]第1のコーティング層14については、該コーティングは、少なくともイソシアネート、ポリオールまたはポリアミン、およびポリ(エチレンオキシド)の混合物を含む。ポリウレタンまたは固体ポリウレア(イソシアネートおよびポリオールまたはポリアミンの組合せ次第):ポリ(エチレンオキシド)の重量比は、約0.25〜約6.0となるように選択することができる。該重量比は、一般に、第1のコーティング層14のために選択する特定のイソシアネートおよびポリオールまたはポリアミンに応じて約0.7〜約5.0となろう。
【0021】
[0022]第1のコーティング層14のイソシアネート中の全NCO基対ポリオール中の全−OH基(またはポリアミンを使用する場合は−NH基)の化学量論比は、約0.6から約3.5まで変動し得る。一般に、イソシアネート/ポリオールまたはポリアミン混合物からの組成を制御可能なポリウレタンまたはポリウレアの製造において、1.0に近いNCO対−OHまたは−NH比を使用することが好ましい。一般に、約1.05:1〜約1.3のNCO:OHの比を選択してわずかに過剰なイソシアネートを供給し、コーティング層14の混合物の遊離イソシアネート基と下部にある基体中の官能基との間の相互作用を介した第1のコーティング層14と基体との好適な結合を実現する。当然のことながら、選択する特定のNCO:OH比は、選択する基体、使用する特定のポリオールまたはポリアミンの特性、および最終コーティングの所望の特性に応じて変動するであろう。第1のコーティング層14の混合物については、1.1:1というNCO:OH比を一般に選択する。
【0022】
[0023]1分子当たり少なくとも2つの未反応のイソシアネート基を有するイソシアネートが好適であり、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびそれらの位置異性体、2,4−トルエンジイソシアネートおよびそれらの位置異性体、3,4−ジクロロフェニルジイソシアネートおよびイソホロンイソシアネート、イソシアネートとポリオールとの付加物またはプレポリマー、例えば、トリメチロールプロパンとジフェニルメタンジイソシアネートまたはトルエンジイソシアネートとの付加物などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明において有用なポリイソシアネートのさらなる例は、それぞれの開示全体を参照により本明細書に組み込むICI Polyurethanes Book、George Woods、John Wiley and Sons出版、New York、N.Y.(1987)およびEncyclopedia of Polymer Science and Technology、H.F. Mark、N.G. GaylordおよびN.M. Bikales(編)、(1969)で見られる。本発明において使用するための好ましいイソシアネートは、約11.9%のNCOを供給し、一実施形態においてBayerからDesmodur L 67 MPA/Xとして入手可能である。
【0023】
[0024]好適なポリオールは、当技術分野において知られているようにイソシアネートと反応してポリウレタンを形成する多数のポリオールのいずれでもよい。好適なポリオールの例としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、変性ポリエーテルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ヒマシ油ポリオールおよびポリアクリレートポリオールが挙げられるが、これらに限定されない。具体的なポリオールとしては、ヒマシ油およびヒマシ油誘導体(12−ヒドロキシオレイン酸のトリグリセリド)、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ジエチレングリコールアジペート、ポリカプロラクトンジオールおよびポリカプロラクトン−ポリアジペートコポリマージオール、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリオール、ポリカーボネートジオール、Ν,Ν,Ν’,Ν’−テトラキス(αヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリイソプロピレンジオールのエチレンオキシド付加物、ポリイソプロピレントリオールのエチレンオキシド付加物がさらに挙げられる。ポリオールの具体例としては、全てPittsburgh、PAのBayer Corporationから入手可能なDESMOPHEN 1800、DESMOPHEN A365、DESMOPHEN 651A−65、DESMOPHEN 1300 75、DESMOPHEN 800、DESMOPHEN A160、DESMOPHEN 550 DU、DESMOPHEN 1600U、DESMOPHEN 1920D、およびDESMOPHEN 1150が挙げられる。他の好適なポリオールとしては、ヒマシ油(12−ヒドロキシオレイン酸のトリグリセリド)およびヒマシ油誘導体、例えば、全てBayonne、N.JのVertellus、Inc.から入手可能なDB油、POLYCIN 12、POLYCIN 53およびPOLYCIN 99Fなどが挙げられる。好適なジオールとしては、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ジエチレングリコールアジペート)、ポリカプロラクトンジオールおよびポリカプロラクトン−ポリアジペートコポリマージオール、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリオール、ポリカーボネートジオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリオキシプロピレンジオールのエチレンオキシド付加物、ポリオキシプロピレントリオールのエチレンオキシド付加物が挙げられる。多くの他の好適なポリオールが当業者に知られているように入手可能である。
【0024】
[0025]好適なポリアミン生成物は、当技術分野において知られているようにイソシアネートと反応してポリウレアを形成する多数のポリアミンのいずれかから選択することができる。好適なポリアミン生成物の非限定的な例としては、The Woodlands、TXのHuntsman Corporationから入手可能なJeffamine D−230、Jeffamine D−400、Jeffamine D−2000、Jeffamine T−403、Jeffamine T−5000、およびJeffamine T−3000が挙げられる。多くの薬品供給会社から入手可能なメラミンおよびメラミン誘導体も使用することができる。複素環式ジアミンおよびアミン付加物も使用することができる。さらなる好適なポリアミンが当業者に知られているように入手可能である。
【0025】
[0026]本発明のために選択する溶媒は、イソシアネート、ポリオールまたはポリ(エチレンオキシド)と反応しないがそれら全ての溶媒であるものであることが好ましい。該溶媒は、反応性アミン、ヒドロキシルおよびカルボキシル基を含まないことが好ましい。さらに好ましくは、該溶媒は、イソシアネート、ポリオール、およびポリ(エチレンオキシド)を溶解できるべきである。好適な溶媒としては、臭化メチレン、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、アセトニトリル、メチルベンキソエート、酢酸ベンジル、臭化n−プロピル、シクロヘキサノン、ジクロエチレン、1,3−ジオキソランおよびN−メチルピロリドンが挙げられるが、これらに限定されない。上記の目的を満たす他の溶媒も好適である。
【0026】
[0027]第1のコーティング層14の混合物の固形分が約0.4〜約40%の範囲となることを企図しているが、固形分は、選択する溶媒、該コーティングの所望の厚さ、選択する特定の等級のポリ(エチレンオキシド)の粘性、および他の要因に応じて変動するであろう。溶媒として塩化メチレンを使用する場合、該コーティング液の固形分は1〜15%(w/w)とすることができ、好ましくは2.25〜4%(w/w)である。ジブロモメタンを使用する場合、該コーティング液の固形分は0.4〜10%(w/w)とすることができ、好ましくは1.2〜2.5%(w/w)である。したがって、第1のコーティング層14の溶液の固形分は、多数の要因に応じて変動するであろう。
【0027】
[0028]選択するポリ(エチレンオキシド)は、一般に、約80,000〜約5,000,000の平均分子量を有する群からのものとなろう。600,000を上回る平均分子量を有するポリ(エチレンオキシド)を使用すると、結果として得られる混合物の粘度に問題が生じ得るため、一般に、ポリ(エチレンオキシド)は、約200,000〜約600,000の平均分子量を有する群から選択する。一般に、ポリ(エチレン)オキシド生成物は、一般に数平均分子量(Mn)より重量平均分子量(Mw)に近い粘度平均分子量(Mv)を使用して特徴付けられる。粘度平均分子量は、通常、様々な濃度のポリマーの溶液について粘度を測定する粘度測定法により求める。市販されているポリ(エチレンオキシド)生成物としては、全てKyoto、JapanのMeisei Chemical Works, LtdからのALKOX R−150、ALKOX R−400、ALKOX E−45、ALKOX E−75、ALKOX E−240、およびToronto、Ontario、CanadaのRing Specialty Chemicalsから入手可能なP−20等級のポリ(エチレンオキシド)が挙げられる。
【0028】
[0029]塗布の便宜上、第1のコーティング層14の混合物は、溶液として供給することができる。溶液の形態の第1のコーティング層14の混合物は、適切な量のイソシアネート、ポリオールまたはポリアミン、ポリ(エチレンオキシド)、および溶媒原液を秤量して適切な混合容器に入れることにより調製する。必要に応じてさらなる溶媒を添加して粘度を調整することができる。この溶液をよく混合し、その後、液浸、吹付け、塗付け、塗装、ロール塗りなどにより適切な医療器具に塗布することができる。
【0029】
[0030]一般に、カテーテル、バルーンカテーテルなどの医療器具は、該器具を湿潤させるのに十分な期間の液浸により該コーティング層14の混合物に液浸する。数秒〜数分間の液浸時間で一般に十分であるが、コーティングする器具、該器具が製作される材料に応じてより長い期間も企図するものである。
【0030】
[0031]第1のコーティング液の塗布後、周囲条件への10〜180分間の曝露などによりコーティングした基体10から溶媒を蒸発させてもよいが、溶媒の選択および蒸発が望ましい速度に応じて1.67℃(35°F)〜204.4℃(400°F)の温度で数秒から一晩の期間蒸発させることができる。カテーテル、バルーンカテーテルなどの医療器具の場合、該器具は、その近位端からつり下がっている状態とすることができ、それにより液状のコーティング液が該器具の遠位チップに向かって重力に引っ張られる。蒸発の時間枠は、大気水分と第1のコーティング層14の混合物のイソシアネート成分とがほとんど反応することのない好適な溶媒蒸発を可能にするために、一般に短く維持する。
【0031】
[0032]次いで、第1のコーティング層14を硬化する。好適な硬化時間/温度は、イソシアネートおよびポリオールの選択ならびに基体の組成によって変動するであろう。一般に、例えば、カテーテルシャフトより感温性のバルーンを有するバルーンカテーテルなどの器具は、一般に、より低い温度でより長い期間硬化する。一般的な実施形態において、第1のコーティング層14は、約73.8℃(165°F)で約4時間のオーブン焼付けにより硬化することができる。感温性の低い基体については、約121.1℃(250°F)などの高い温度で数分間の焼付けで十分であり得る。
【0032】
[0033]次に、第2のコーティング層16は、イソシアネート、ポリオールまたはポリアミン、およびポリビニルピロリドンを含有する混合物から形成する。塗布の便宜上、第2のコーティング層16の混合物は、一般にキャリア液などの溶液として供給する。in situで形成されるポリウレタン対ポリビニルピロリドンの重量比は、0.05から3.0まで、好ましくは0.30から1.0まで変動し得る。所望の潤滑性を有するヒドロゲルを提供するために、ポリウレタン:ポリビニルピロリドンは一般に1.0以下の比に維持する。
【0033】
[0034]イソシアネート中の全NCO基対ポリオール中の全OH基(またはポリアミン中の全−NH基)の化学量論比は、0.75から3.0まで変動し得る。上述の通り、一般に、組成を制御可能なポリウレタンの製造において、1.0に近いNCO対−OHまたは−NH比を使用することが好ましい。しかし、イソシアネートが水と容易に反応し、偶発的量の水が未硬化のコーティングと一体化し得ることが知られているため、前述の通り、一般に、該比は1.0より若干高く調整する。この水は、大気水分、溶媒中の水分、またはポリビニルピロリドンに付随する水分などの様々な源から存在する。第2のコーティング混合物の一般的NCO:OH比は1.3:1となろう。
【0034】
[0035]本コーティングにおける使用に適したポリビニルピロリドンは、約50,000〜2.5百万の平均分子量を有する。ポリビニルピロリドン生成物は、通常、重量平均分子量(Mw)により特徴付けられる。重量平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)およびゲル浸透クロマトグラフ(GPC)の最も一般に採用される方法を含めた複数の異なる方法を使用して測定することができる。好適なポリビニルピロリドン材料の例としては、BASF Corp、Parsippany、N.J.からKOLLIDON 90F、およびKOLLIDON 30として入手可能なもの、およびGAF CorporationからPLASDONE K−90、PLASDONE K−30、およびPLASDONE K−25として入手可能なものが挙げられる。
【0035】
[0036]市販されているポリビニルピロリドン製品は、一般に、約3〜5%(w/w)の水を含有する。さらに、ポリビニルピロリドンは非常に吸湿性であり、通常の貯蔵時に空気に曝露されると水を貯める傾向がある。水はイソシアネートに対して非常に反応性であるため、コーティング配合物の調製における使用の前に含水率を0.5%未満まで低減しておくことが望ましいが、これは必須ではない。これは、適切な量のポリビニルピロリドンを、例えば、数時間104.4℃(220°F)での加熱により乾燥することにより容易に達成することができる。
【0036】
[0037]使用するイソシアネートは、一般に、上記のイソシアネートの群、すなわち、1分子当たり少なくとも2つの未反応のイソシアネート基を有するイソシアネートから選択する。本発明において有用なポリオールは、イソシアネートと反応してポリウレタンを形成する上記の多数のポリオールのいずれかとすることができる。第1のコーティング層14の混合物と同様に同じポリオール(1つまたは複数)を使用することを企図しているが、一般に、第2のコーティング層16の混合物のために異なるポリオール(1つまたは複数)を選択する。
【0037】
[0038]好適な溶媒はイソシアネート、ポリオールまたはポリビニルピロリドンと反応しないが、これら全ての溶媒である。該溶媒は、例えば、アミン、ヒドロキシルおよびカルボキシル基などの反応性基を含まないものでなければならない。該溶媒は、さらに、イソシアネート、ポリオール、およびポリビニルピロリドンを溶解することができなければならない。該コーティング液は、また、イソシアネート基と反応し得る水を実質的に含まないものでなければならない。したがって、該溶媒は非常に乾燥している、すなわち、使用する溶媒の含水率が非常に低い(例えば、100ppm未満)ことが好ましい。適切な乾燥形態で市販されている好適な溶媒としては、臭化メチレン、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、アセトニトリル、臭化n−プロピル、1,3−ジオキソラン、N−メチルピロリドンおよびジクロロエチレンが挙げられるが、これらに限定されない。塩化メチレンを使用する場合、該コーティング液の固形分は1〜15%(w/w)とすることができ、好ましくは2.25〜4%(w/w)である。ジブロモメタンを使用する場合、該コーティング液の固形分は0.4〜10%(w/w)とすることができ、好ましくは1.2〜2.5%(w/w)である。前述のPEOコーティングについては、第2のコーティング層16の溶液の固形分は、選択する溶媒、該コーティングの所望の厚さ、選択する特定の等級のポリビニルピロリドンの粘性、および他の要因に応じて変動するであろう。上記の目的を満たす他の溶媒も好適である。
【0038】
[0039]第2のコーティング層16の混合物は、適切な量のイソシアネート、ポリオールまたはポリアミン、ポリビニルピロリドン、および溶媒原液を秤量してそれらを適切な混合容器に添加することにより調製することができる。さらなる溶媒を添加して粘度および固形分を調整することができる。固形分は、使用する溶媒および他の事柄に応じて0.4〜15%(w/w)の範囲とすることができ、1.5〜4%(w/w)が好ましい。この溶液をよく混合し、その後、カテーテルまたはバルーンカテーテルなどの所望の基体に塗布する。
【0039】
[0040]第2のコーティング層16の溶液の塗布後、周囲条件への好適な期間の曝露などにより溶媒を蒸発させてもよい。一実施形態において、溶媒を15〜180分間の期間蒸発させる。ポリビニルピロリドンへの大気水分の吸湿から生じる未硬化コーティングフィルム中の水の蓄積を最小化するような方法でこの蒸発を達成することが好ましい。このことは、蒸発時間を最小化すること、周囲湿度を低減すること、乾燥のために周囲温度を上昇させること、またはこれらの方法の組合せを使用することにより容易に達成することができる。上で論じたように、該器具は、図1に示しているバルーンカテーテルの近位端(図示せず)などの近位端からつり下がっている状態とすることができ、それにより第2のコーティング層16の溶液が該器具の遠位チップに向かって重力に引っ張られる。
【0040】
[0041]次いで、実質的に第1のコーティング層14に関して上述した手順に従って第2のコーティング層16を硬化する。いかなる特定の理論にも縛られるものではないが、この第2のコーティング層16の硬化ステップが、望ましい架橋反応を起こす以外に、ポリビニルピロリドンが豊富な第2のコーティング層16のポリ(エチレンオキシド)が豊富な第1のコーティング層14とのある程度の相互浸透を起こすと考えられている。上で論じたように、硬化時間および温度は、イソシアネートおよびポリオールの選択ならびに基体10の組成によって変動し得る。例えば、バルーンカテーテルに付随するバルーンは、一般にカテーテルシャフトより脆く、より低い温度でより長い硬化時間を必要とするであろう。
【0041】
[0042]硬化温度は、1.67℃(35°F)〜176.6℃(350°F)温度の範囲とすることができるが、硬化作業の間の第2のコーティング層16による水分吸収を防止するためには約82.2℃(180°F)〜約121.1℃(250°F)が望ましい可能性がある。硬化時間は、イソシアネートおよびポリオールの反応性ならびに選択する硬化温度に応じて、2分から72時間以上まで変動し得る。下部にある第1のコーティング層14および基体に対して無害であるように硬化条件(時間、温度等)を維持することに注意されたい。
【0042】
[0043]第2のコーティング層16の硬化後、複合していない残留し得るポリビニルピロリドンを全て除去するために、該層を水洗するか、または例えば水に浸漬することができる。一般に10〜15秒間の簡潔な水洗で十分であるが、該コーティングは水と接触していると硬化し、安定なゲルを形成するため、より長い水洗または浸漬が許容される。水洗後、該コーティングは、周囲温度または高温で乾燥することができる。
【0043】
[0044]達成する所望の反応条件または完成コーティング層の所望の特性に応じて、必要に応じて第1および第2のコーティング層の混合物中にさらなる試薬を含むことができることは理解されよう。従来の添加剤としては、界面活性剤、粘度および流れ調整剤、抗酸化剤、顔料、脱泡剤、ならびに触媒が挙げられる。
【0044】
[0045]例えば、界面活性剤または湿潤剤を含めることにより、基体10または下部にあるコーティング層に対する浸潤、ならびに反応混合物による付着を促進することができる。有用な湿潤剤の例としては、ペルフルオロアルキルエトキシレート混合物、2,4,7,9−テトラメチル1−5デシン4,7−ジオールおよびそのエチレンオキシド付加物、3,5−ジメチル−1,−ヘキシン3オール、エチレンオキシドとジ(イソヘキシル−イソヘプチル)フェノールとの縮合物,ステアリルアミンとエチレンオキシドとの縮合物、ノニルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、およびポリエトキシル化オクチルフェノールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
[0046]粘度および流れ調整剤を使用して粘度およびチキソトロピーを所望のレベルまで調整することができる。該コーティング混合物の粘度が、基体上に所望の厚さで該コーティングを形成することができるものとなることが望ましい。50cps〜500cpsの粘度を使用することができるが、場合によってはより高いまたはより低い粘度が望ましい可能性がある。粘度調整剤としては、ヒュームドシリカ、セルロースアセテートブチレートおよびエチルアクリレート/2−エチルヘキシルアクリレートコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。その本質および特性が当業者によく知られている流れ調整剤を該コーティングの0.05〜5重量パーセンの量で使用することができる。
【0046】
[0047]抗酸化剤を使用して硬化コーティングの酸化安定性を改善することができ、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,2’−メチレンビス(4メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ブチルヒドロキシトルエン、オクタデシル3,5,ジ−t−ブチル4−ヒドロキシヒドロシンナメート、4,4’メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、p,p’−ジオクチルジフェニルアミン、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタンが挙げられるが、これらに限定されない。抗酸化剤を含む場合、それは、コーティングの0.01〜1重量パーセンの量で使用することができる。
【0047】
[0048]従来の顔料を添加して色または放射線不透過性を付与するか、または該コーティングの望ましい外観を改善することができる。脱泡剤(消泡剤)としては、ポリジメチルシロキサン、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4 7−ジオール、2−エチルヘキシルアルコール、n−β−アミノエチル−γ−アミノ−プロピル−トリメトキシシランが挙げられるが、これらに限定されない。脱泡剤を含む場合、それは、コーティングの0.005〜0.5重量パーセンの量で使用することができる。
【0048】
[0049]選択する特定のイソシアネートおよびポリオールまたはポリアミンに応じて、触媒は使用してもしなくてもよい。いずれの場合もポリウレタンまたはポリウレアが生じる。N,N−ジメチルアミノエタノール、Ν,Ν−ジメチルシクロヘキシルアミンビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、Ν,Ν,Ν’,Ν’Ν”−ペンタメチル−ジエチレントリアミン、N−エチルモルホリン、および1−(2−ヒドロキシプロピル)イミジゾールなどの第三級アミン触媒が本明細書における使用に適している。金属触媒の例としては、第一スズオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズメルカプチド、炭酸カルシウム、鉄(III)アセチルアセトネート、鉛オクトエート、およびジブチルスズジリシノレエートが挙げられるが、これらに限定されない。触媒を使用する場合、その量は、一般に、コーティングの0.05重量%〜0.5重量%の範囲である。当技術分野において知られている通常の触媒量が好ましい。
【0049】
[0050]本発明の実施形態を例示する実施例を以下に提示する。これらの実施例は、主に企図している本発明の最良の形態を例示するために提示するものであり、決して限定するものと見なすべきではない。
【実施例1】
【0050】
[0051]以下の成分を合わせて好適なガラス混合容器に入れることにより本発明のポリウレタン/PEOプライマーコーティングを調製した。Desmodur L 67 MPA/Xとして入手可能なトリメチロールプロパンのトルエンジイソシアネート付加物3.60g;Polycin 12として入手可能な変性ヒマシ油ポリオール1.34g;Sigma Aldrichから入手可能な平均分子量約300,000のポリ(エチレンオキシド)の臭化メチレン溶媒中の2.5%(w/w)溶液150g;および臭化メチレン595g。これらの成分を完全に混合して各成分を溶解した。これにより、約1%(w/w)濃度のコーティング液が生じ、NCO/OH比は1.3であり、固体ポリウレタン対ポリ(エチレンオキシド)の比は1.0であった。
【0051】
[0052]次に、以下の成分を秤量して好適なガラス混合容器に入れることにより本発明のポリウレタン/PVPトップコーティングを調製した。Desmodur L 67 MPA/Xとして入手可能なトリメチロールプロパンのトルエンジイソシアネート付加物1.10g;Desmophen 1800として入手可能な飽和ポリエステルポリオール2.25g;Kollidon 90Fとして入手可能なポリビニルピロリドン(溶液中に置く前に121.1℃(250°F)で90分間乾燥した)の5%臭化メチレン溶液100g;および臭化メチレン377g。これらの成分を完全に混合して各成分を溶解した。これにより、約1.65%(w/w)濃度のコーティング液が生じ、NCO/OH比は1.3であり、固体ポリウレタン対ポリビニルピロリドンの比は0.4であった。
【0052】
[0053]膨張したPETバルーンを含有するカテーテルを、該カテーテルを約5.08cm(2インチ)/秒の速度で該コーティングに浸漬し、その後、該カテーテルを約0.76cm(0.3インチ)/秒の速度で引き取ることにより、上述のポリウレタン/PEOプライマーコーティングで最初にコーティングした。該カテーテルを周囲条件で約20分間乾燥させ、その後、73.8℃(165°F)で4時間の期間焼き付けた。次いで、同じ液浸および焼付け条件を使用して、該カテーテルを上述のポリウレタン/PVPトップコーティングでコーティングした。
【0053】
[0054]その結果、温水で湿潤させ、潤滑性を評価するために親指と人差し指の間で強く摩擦すると非常に潤滑性となる表面を有するバルーンカテーテルが生じた。温水を掛け流しながら該バルーンの一部分に10サイクルの摩擦を施すと、該バルーンの摩擦しなかった隣接部分と比較して、知覚される潤滑性の低下は非常に控えめなものでしかなかった。
【実施例2】
【0054】
[0055]以下の成分を合わせて好適なガラス混合容器に入れることにより本発明のポリウレタン/PEOプライマーコーティングを調製した。Desmodur L 67 MPA/Xとして入手可能なトリメチロールプロパンのトルエンジイソシアネート付加物25.6g;Desmophen 1800として入手可能な飽和ポリエステルポリオール42.4g;Polyox WSR N80 NFとして入手可能な平均分子量約200,000のポリ(エチレンオキシド)の5%(w/w)溶液1200g;および臭化メチレン3528g。これらの成分を完全に混合して各成分を溶解した。これにより、約2.5%(w/w)濃度のコーティング液が生じ、NCO/OH比は1.3であり、固体ポリウレタン対ポリ(エチレンオキシド)の比は1.0であった。
【0055】
[0056]次に、以下の成分を秤量して好適なガラス混合容器に入れることにより本発明のポリウレタン/PVPトップコーティングを調製した。Desmodur L 67 MPA/Xとして入手可能なトリメチロールプロパンのトルエンジイソシアネート付加物1.12g;Polycin 12として入手可能な変性ヒマシ油ポリオール0.21g;臭化メチレン322g;およびKollidon 90Fとして入手可能なポリビニルピロリドン5.0グラム。これらの成分を完全に混合して各成分を溶解した。これにより、約1.7%(w/w)濃度のコーティング液が生じ、NCO/OH比は2.6であり、固体ポリウレタン対ポリビニルピロリドンの比は0.19であった。
【0056】
[0057]膨張したPETバルーンを含有するカテーテルを、該カテーテルを約2.54cm(1インチ)/秒の速度で該コーティングに浸漬し、その後、該カテーテルを約1.27cm(0.5インチ)/秒の速度で引き取ることにより、上述のポリウレタン/PEOプライマーコーティングで最初にコーティングした。該カテーテルを周囲条件で約20分間乾燥させ、その後、73.8℃(165°F)で1時間の期間焼き付けた。次いで、同じ液浸条件を使用して、該カテーテルを上述のポリウレタン/PVPトップコーティングでコーティングし、その後、73.8℃(165°F)で4時間の期間の焼付けサイクルを実施した。
【0057】
[0058]その結果、温水で湿潤させ、実施例1に記載の通り摩擦により試験すると非常に潤滑性となる表面を有するバルーンカテーテルが生じた。実施例1に記載の10回の摩擦サイクルを表面に実施した場合に観察された潤滑性の低下は控えめなものでしかなかった。
【実施例3】
【0058】
[0059]以下の成分を合わせて好適なガラス混合容器に入れることにより本発明のポリウレア/PEOプライマーコーティングを調製する。Desmodur L 67 MPA/Xとして入手可能なトリメチロールプロパンのトルエンジイソシアネート付加物17.0g;Jeffamine EDR148として入手可能な二官能性ポリエーテルアミン1.11g;Alkox R400として入手可能な平均分子量約200,000のポリ(エチレンオキシド)の臭化メチレン溶媒中の5%(w/w)溶液200g;および1,3−ジオキソラン溶媒507g。これらの成分を完全に混合して各成分を溶解する。これにより、約3.1%(w/w)濃度のコーティング液が生じ、NCO/NH比は1.1であり、固体ポリウレア対ポリ(エチレンオキシド)の比は1.25である。
【0059】
[0060]次に、以下の成分を秤量して好適なガラス混合容器に入れることにより本発明のポリウレタン/PVPトップコーティングを調製する。Desmodur L 67 MPA/Xとして入手可能なトリメチロールプロパンのトルエンジイソシアネート付加物5.99g;DB油として入手可能なヒマシ油ポリオール2.99g;Plasdone 90として入手可能なポリビニルピロリドン(溶液中に置く前に121.1℃(250°F)で90分間乾燥した)の5%1,3−ジオキソラン溶液200g;および1,3−ジオキソラン196g。
【0060】
[0061]これらの成分を完全に混合して各成分を溶解する。これにより、約4.2%(w/w)濃度のコーティング液が生じ、NCO/OH比は1.3であり、固体ポリウレタン対ポリビニルピロリドンの比は0.7であった。
【0061】
[0062]膨張したPETバルーンを含有するカテーテルを、該カテーテルを約3.81cm(1.5インチ)/秒の速度で該コーティングに浸漬し、その後、該カテーテルを約1.27cm(0.5インチ)/秒の速度で引き取ることにより、上述のポリウレア/PEOプライマーコーティングで最初にコーティングする。該カテーテルを周囲条件で約30分間乾燥させ、その後、73.8℃(165°F)で4時間の期間焼き付ける。次いで、同じ液浸および焼付け条件を使用して、該カテーテルを上述のポリウレタン/PVPトップコーティングでコーティングする。
【実施例4】
【0062】
[0063]以下の成分を合わせて好適なガラス混合容器に入れることにより本発明のポリウレタン/PEOプライマーコーティングを調製する。Vorite 63として入手可能なヒマシ油変性ポリイソシアネート生成物11.7g;Poly THF 650として入手可能なポリエーテルポリオール8.26g;Alkox R400として入手可能な平均分子量約200,000のポリ(エチレンオキシド)の臭化メチレン溶媒中の2.5%(w/w)溶液400g;および臭化メチレン溶媒2080g。これらの成分を完全に混合して各成分を溶解する。これにより、約1.2%(w/w)濃度のコーティング液が生じ、NCO/OH比は1.3であり、固体ポリウレタン対ポリ(エチレンオキシド)の比は2.0である。
【0063】
[0064]次に、以下の成分を秤量して好適なガラス混合容器に入れることにより本発明のポリウレア/PVPトップコーティングを調製する。Baytec MP−080として入手可能なポリイソシアネート3.1g;Jeffamine ED 600として入手可能な二官能性ポリエーテルアミン0.9g;Plasdone 90として入手可能なポリビニルピロリドン(溶液中に置く前に107.2℃(225°F)で120分間乾燥した)の5%アセトニトリル溶液200g;およびアセトニトリル85.7g。これらの成分を完全に混合して各成分を溶解する。これにより、約4.9%(w/w)濃度のコーティング液が生じ、NCO/NH比は1.4であり、固体ポリウレタン対ポリビニルピロリドンの比は0.4である。
【0064】
[0065]膨張したPETバルーンを含有するカテーテルを、該カテーテルを約3.05cm(1.2インチ)/秒の速度で該コーティングに浸漬し、その後、該カテーテルを約1.02cm(0.4インチ)/秒の速度で引き取ることにより、上述のポリウレア/PEOプライマーコーティングで最初にコーティングする。該カテーテルを周囲条件で約20分間乾燥させ、その後、76.6℃(170°F)で4時間の期間焼き付ける。
【0065】
[0066]次いで、同じ液浸および焼付け条件を使用して、該カテーテルを上述のポリウレタン/PVPトップコーティングでコーティングする。
【実施例5】
【0066】
[0067]以下の成分を合わせて好適なガラス混合容器に入れることにより本発明のポリウレタン/PEOプライマーコーティングを調製する。Desmodur ILとして入手可能な芳香族ポリイソシアネート生成物8.7g;Poly THF 1000として入手可能なポリエーテルポリオール6.4g;Alkox R400として入手可能な平均分子量約200,000のポリ(エチレンオキシド)の1,3−ジオキソラン溶媒中の5%(w/w)溶液200g;および臭化メチレン溶媒896g。これらの成分を完全に混合して各成分を溶解する。これにより、約2.25%(w/w)濃度のコーティング液が生じ、NCO/OH比は1.3であり、固体ポリウレタン対ポリ(エチレンオキシド)の比は1.5である。
【0067】
[0068]次に、以下の成分を秤量して好適なガラス混合容器に入れることにより本発明のポリウレタン/PVPトップコーティングを調製する。Baytec MP−210として入手可能なポリイソシアネート3.1g;Polycin 12として入手可能な変性ヒマシ油ポリオール5.31g;Plasdone 90として入手可能なポリビニルピロリドン(溶液中に置く前に96.1℃(205°F)で4時間乾燥した)の5%アセトニトリル溶液400g;および1,3−ジオキソラン499g。これらの成分を完全に混合して各成分を溶解する。これにより、約4.5%(w/w)濃度のコーティング液が生じ、NCO/OH比は1.1であり、固体ポリウレタン対ポリビニルピロリドンの比は0.6である。
【0068】
[0069]次いで、膨張したPETバルーンを含有するカテーテルを、該カテーテルを約2.54cm(1.0インチ)/秒の速度で該コーティングに浸漬し、その後、該カテーテルを約0.76cm(0.3インチ)/秒の速度で引き取ることにより、上述のポリウレア/PEOプライマーコーティングで最初にコーティングする。該カテーテルを周囲条件で約20分間乾燥させ、その後、79.4℃(175°F)で3.5時間の期間焼き付ける。
【0069】
[0070]次いで、同じ液浸および焼付け条件を使用して、該カテーテルを上述のポリウレタン/PVPトップコーティングでコーティングする。
【実施例6】
【0070】
[0071]以下の成分を合わせて好適なガラス混合容器に入れることにより本発明のポリウレア/PEOプライマーコーティングを調製する。Desmodur L 67 MPA/Xとして入手可能なトリメチロールプロパンのトルエンジイソシアネート付加物26g;Jeffamine T−403として入手可能な三官能性ポリエーテルアミン4.6g;Alkox R150として入手可能な平均分子量約100,000のポリ(エチレンオキシド)の臭化メチレン溶媒中の5%(w/w)溶液400g;およびアセトニトリル溶媒1329g。これらの成分を完全に混合して各成分を溶解する。これにより、約2.5%(w/w)濃度のコーティング液が生じ、NCO/NH比は1.3であり、固体ポリウレア対ポリ(エチレンオキシド)の比は1.2である。
【0071】
[0072]次に、以下の成分を秤量して好適なガラス混合容器に入れることにより本発明のポリウレア/PVPトップコーティングを調製する。Desmodur L 67 MPA/Xとして入手可能なトリメチロールプロパンのトルエンジイソシアネート付加物10.0g;Jeffamine ED 600として入手可能な二官能性ポリエーテルアミン3.3g;Kollidon 90Fとして入手可能なポリビニルピロリドン(溶液中に置く前に82.2℃(180°F)で一晩乾燥した)の5%臭化メチレン溶液400g;および臭化メチレン1405g。これらの成分を完全に混合して各成分を溶解する。これにより、約1.65%(w/w)濃度のコーティング液が生じ、NCO/NH比は1.3であり、固体ポリウレア対ポリビニルピロリドンの比は0.5である。
【0072】
[0073]膨張したPETバルーンを含有するカテーテルを、該カテーテルを約5.08cm(2.0インチ)/秒の速度で該コーティングに浸漬し、その後、該カテーテルを約1.27cm(0.5インチ)/秒の速度で引き取ることにより、上述のポリウレア/PEOプライマーコーティングで最初にコーティングする。該カテーテルを周囲条件で約20分間乾燥させ、その後、65.5℃(150°F)で8時間の期間焼き付ける。
【0073】
[0074]次いで、同じ液浸および焼付け条件を使用して、該カテーテルを上述のポリウレタン/PVPトップコーティングでコーティングする。
比較例1
[0075]比較のため、実施例1に記載のバルーンカテーテルを実施例1に記載のポリウレタン/PVPトップコーティングでコーティングしたが、ポリウレタン/PEOプライマーコーティングによる第1のコーティングは行わなかった。実施例1に記載の通りに該コーティングを液浸により塗布し、乾燥し、焼き付けた。
【0074】
[0076]その結果、温水で湿潤させると非常に潤滑性となる表面を有するバルーンカテーテルが生じた。しかし、該コーティングは、上記の摩擦により容易に除去された。10サイクル未満の摩擦後、該バルーンの表面の潤滑性は著しく低下した。
【0075】
比較例2
[0077]比較のため、以下の成分を合わせて好適なガラス混合容器に入れることによりポリウレタンプライマーコーティングを調製した。Desmodur L 67 MPA/Xとして入手可能なトリメチロールプロパンのトルエンジイソシアネート付加物13.8g;Polycin 12として入手可能な変性ヒマシ油ポリオール6.1g;および酢酸ブチル溶媒364g。これらの成分を完全に混合して各成分を溶解した。これにより、約4%(w/w)濃度のポリウレタンプライマー溶液が生じ、NCO/NH比は1.1であった。
【0076】
[0078]実質的に実施例1に記載の通りに以下の成分を秤量して好適なガラス混合容器に入れることによりポリウレタン/PVPトップコーティングを調製した。Desmodur L 67 MPA/Xとして入手可能なトリメチロールプロパンのトルエンジイソシアネート付加物1.10g;Desmophen 1800として入手可能な飽和ポリエステルポリオール2.25g;Kollidon 90Fとして入手可能なポリビニルピロリドン(溶液中に置く前に121.1℃(250°F)で90分間乾燥した)の5%臭化メチレン溶液100g;および臭化メチレン377g。これらの成分を完全に混合して各成分を溶解した。これにより、約1.65%(w/w)濃度のコーティング液が生じ、NCO/OH比は1.3であり、固体ポリウレタン対ポリビニルピロリドンの比は0.4であった。
【0077】
[0079]次いで、膨張したPETバルーンを含有するカテーテルを約5.08cm(2インチ)/秒の速度でポリウレタンプライマーに液浸し、その後、該カテーテルを約0.76cm(0.3インチ)/秒の速度で引き抜いた。該カテーテルを周囲条件で約20分間乾燥させ、その後、73.8℃(165°F)で4時間の期間焼き付けた。
【0078】
[0080]次いで、同じ液浸および焼付け条件を使用して、該カテーテルを上述のポリウレタン/PVPトップコーティングでコーティングした。
[0081]その結果、温水で湿潤させ、潤滑性を評価するために親指と人差し指の間で強く摩擦すると非常に潤滑性となる表面を有するバルーンカテーテルが生じた。しかし、10回の表面摩擦後、実施例1に記載のポリウレタン/PEOプライマーを使用してコーティングしたバルーンカテーテルと比較して顕著な潤滑性の低下が観察された。これにより、該バルーンに付着するポリウレタンプライマーを用いていても、該潤滑性トップコートの耐久性はポリウレタン/PEOまたはポリウレア/PEO組成物を含むプライマーコートと比較して低いことが証明された。
【0079】
[0082]本明細書に記載の開示のコーティングの形成後に、該コーティングが、身体への導入の前に水溶液から水を吸収することができ、潤滑性となることができることを当業者は理解されよう。あるいは、該コーティングは、身体への導入の前に水に導入されなくても、体液のみから水を吸収することができる。該コーティングは、架橋系であるため、水和された場合でさえ基体および/または下部にあるコーティングによく付着する。該コーティングは、繰り返し乾燥および再湿潤することができ、その潤滑特性を保持する。
【0080】
[0083]さらに、本明細書に記載の2層コーティングは、医療器具などの基体に従来の親水性コーティングに勝るさらなる利点を提供する。第1に、ポリ(エチレンオキシド)系コーティング14は摩耗に耐え、優れた耐久性を示す。第2に、ポリビニルピロリドン系コーティング16は、第1のコーティングより潤滑性であるが耐久性は低い親水性層を提供する。第2のコーティング層の一部分が破損または摩耗した場合(図2の矢印を参照せよ)、第1の、より耐久性のコーティング層14が残留し、潤滑性の表面を提供する。さらに、第2のコーティング層16が破損または摩耗した場合でさえ、第2のコーティング層16と第1のコーティング層14との相互浸透によりポリビニルピロリドンが豊富な部分が摩耗した領域に残留し、該コーティング全体の潤滑性を従来のポリ(エチレンオキシド)系またはポリビニルピロリドン系コーティングで見られる潤滑性より改善すると考えられている。
【0081】
[0084]したがって、破損または摩耗した場合でさえ、本開示の2層コーティングでコーティングした医療器具または他の基体10は、従来のポリ(エチレンオキシド)系またはポリビニルピロリドン系コーティングと比較して改善された親水/潤滑特性を示す。本コーティングは、その潤滑特性を保持しながら繰り返し乾燥および再湿潤することができる。
【0082】
[0085]最後に、当業者は、本発明の教示から逸脱することなくさらなる実施形態も可能であることを認識しよう。当業者が本開示を読めば変更が明白となり、本発明の精神および範囲から逸脱することなく実施し得るため、この詳細な説明、特に本明細書に開示の代表的な実施形態の具体的な詳細は、主に理解を明確にするために示すものであり、不必要な限定を課すものではない。比較的分かりやすい変更としては、当然のことながら、1つまたは複数の図の様々な特色を1つまたは複数の他の図の特色と組み合わせることが挙げられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)架橋ポリウレタンおよびポリ(エチレンオキシド)または(ii)架橋ポリウレアおよびポリ(エチレンオキシド)を含む第1のコーティング層、ならびに
(iii)架橋ポリウレタンおよびポリビニルピロリドンまたは(iv)架橋ポリウレアおよびポリビニルピロリドンを含む第2のコーティング層
を含む基体用のコーティングであって、
第1のコーティング層が第2のコーティング層により実質的に覆われており、第2のコーティング層が少なくとも部分的に第1のコーティング層と相互浸透している、
コーティング。
【請求項2】
ポリ(エチレンオキシド)が約100,000〜約600,000の平均分子量を有する、請求項1に記載のコーティング。
【請求項3】
ポリビニルピロリドンが約50,000〜約2.5百万の平均分子量を有する、請求項1に記載のコーティング。
【請求項4】
全イソシアネートNCO基対全ポリオールOH基または全ポリアミンNH基の化学量論比が、約1.05:1〜約1.3:1である反応において、第1のコーティング層中のポリウレタンが、イソシアネートおよびポリオールを反応させることにより形成され、第1のコーティング層中のポリウレアが、イソシアネートおよびポリアミンを反応させることにより形成される、請求項1に記載のコーティング。
【請求項5】
全イソシアネートNCO基対全ポリオールOH基または全ポリアミンNH基の化学量論比が約1.1:1である、請求項4に記載のコーティング。
【請求項6】
第2のコーティング層中の全イソシアネートNCO基対全ポリオールOH基または全ポリアミンNH基の化学量論比が、約1.05:1から約1.5:1まで変動する反応において、第2のコーティング層中のポリウレタンが、イソシアネートおよびポリオールを反応させることにより形成され、第2のコーティング層中のポリウレアが、イソシアネートおよびポリアミンを反応させることにより形成される、請求項1に記載のコーティング。
【請求項7】
全イソシアネートNCO基対全ポリオールOH基または全ポリアミンNH基の化学量論比が約1.3:1である、請求項6に記載のコーティング。
【請求項8】
基体の外面にコーティングを付与する方法であって、
イソシアネート、ポリオールまたはポリアミンの一方、およびポリ(エチレンオキシド)の混合物を含む第1のコーティング層を塗布するステップと、
第1のコーティング層を硬化して、架橋ポリウレタンまたは架橋ポリウレアの一方とポリ(エチレンオキシド)を含む第1のコーティングを付与するステップと、
イソシアネート、ポリオールまたはポリアミンの一方、およびポリビニルピロリドンの混合物を含む第2のコーティング層を塗布するステップと、
第2のコーティング層を硬化して、架橋ポリウレタンまたは架橋ポリウレアの一方とポリビニルピロリドンを含む第2のコーティングを付与するステップと
を含み、第1のコーティング層が第2のコーティング層により実質的に覆われており、第2のコーティング層が少なくとも部分的に第1のコーティング層と相互浸透している、
方法。
【請求項9】
イソシアネート、ポリオールまたはポリアミン、およびポリ(エチレンオキシド)の混合物が、臭化メチレン、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロエチレン、アセトニトリル、ジブロモエタン、安息香酸メチル、酢酸ベンジル、臭化n−プロピル、シクロヘキサノン、ジクロロエチレン、1,3−ジオキソラン、N−メチルピロリドン、およびそれらの混合物からなる群から選択される溶媒に溶解される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
イソシアネート、ポリオールまたはポリアミン、およびポリビニルピロリドンの混合物が、臭化メチレン、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロエチレン、アセトニトリル、ジブロモエタン、臭化n−プロピル、1,3−ジオキソラン、N−メチルピロリドンおよびそれらの混合物からなる群から選択される溶媒に溶解される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
第1のコーティング層および第2のコーティング層が、液浸、吹付け、はけ塗り、ロール塗り、または塗付けのいずれか1つにより塗布される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
硬化するステップが、約23.8℃(75°F)〜約176.6℃(350°F)の温度で約2分間〜約72時間の期間の焼付けにより達成される、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
硬化する各ステップの前に、第1のコーティング層および第2のコーティング層を含む混合物から溶媒を蒸発させるステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
シャフトを画定する基体および/またはシャフトの遠位端もしくはその付近に配置されたバルーン、
基体上に配置され、ポリ(エチレンオキシド)を含む第1のコーティング層、ならびに
基体上に配置され、ポリビニルピロリドンを含む第2のコーティング層
を備え、第2のコーティング層が少なくとも部分的に第1のコーティング層と相互浸透している、
医療器具。
【請求項15】
ポリ(エチレンオキシド)が約100,000〜約600,000の平均分子量を有する、請求項14に記載の器具。
【請求項16】
ポリビニルピロリドンが約50,000〜約2.5百万の平均分子量を有する、請求項14に記載の器具。
【請求項17】
全イソシアネートNCO基対全ポリオールOH基または全ポリアミンNH基の化学量論比が、約1.1:1である反応において、第1のコーティング層中のポリウレタンが、イソシアネートおよびポリオールを反応させることにより形成され、第1のコーティング層中のポリウレアが、イソシアネートおよびポリアミンを反応させることにより形成される、請求項14に記載の器具。
【請求項18】
全イソシアネートNCO基対全ポリオールOH基または全ポリアミンNH基の化学量論比が、約1.3:1である反応において、第2のコーティング層中のポリウレタンが、イソシアネートおよびポリオールを反応させることにより形成され、第2のコーティング層中のポリウレアが、イソシアネートおよびポリアミンを反応させることにより形成される、請求項14に記載の器具。
【請求項19】
カテーテル、バルーンカテーテル、尿道カテーテル、カテーテルイントロデューサー、医療用ワイヤ、ステント、ステントグラフト、または拡張用バルーンのいずれか1つである、請求項14に記載の器具。
【請求項20】
基体用の親水性潤滑性コーティングであって、
架橋ポリウレタンおよびポリ(エチレンオキシド)または架橋ポリウレアおよびポリ(エチレンオキシド)の一方を含み、ポリウレタンがイソシアネートおよびポリオールを反応させることにより形成され、ポリウレアがイソシアネートおよびポリアミンを反応させることにより形成される、第1の親水性潤滑性コーティング層、ならびに
架橋ポリウレタンおよびポリビニルピロリドンまたは架橋ポリウレアおよびポリビニルピロリドンの一方を含み、ポリウレタンがイソシアネートおよびポリオールを反応させることにより形成され、ポリウレアがイソシアネートおよびポリアミンを反応させることにより形成される、第2の親水性潤滑性コーティング層
を含み、第1のコーティング層が第2のコーティング層により実質的に覆われており、第2のコーティング層が少なくとも部分的に第1のコーティング層と相互浸透している、
コーティング。
【請求項21】
基体の外面に親水性潤滑性コーティングを付与する方法であって、
イソシアネート、ポリオールまたはポリアミンの一方、およびポリ(エチレンオキシド)の混合物を含む第1のコーティング層を塗布するステップと、
第1のコーティング層を硬化して、架橋ポリウレタンまたは架橋ポリウレアの一方とポリ(エチレンオキシド)を含む第1の親水性潤滑性コーティングを付与するステップと、
イソシアネート、ポリオールまたはポリアミンの一方、およびポリビニルピロリドンの混合物を含む第2のコーティング層を塗布するステップと、
第2のコーティング層を硬化して、架橋ポリウレタンまたは架橋ポリウレアの一方とポリビニルピロリドンを含む第2の親水性潤滑性コーティングを付与するステップと
を含み、第1のコーティング層が第2のコーティング層により実質的に覆われており、第2のコーティング層が少なくとも部分的に第1のコーティング層と相互浸透している、
方法。
【請求項22】
シャフトを画定する基体および/またはシャフトの遠位端もしくはその付近に配置されたバルーン、
基体上に配置され、ポリ(エチレンオキシド)を含む第1の親水性潤滑性コーティング層、ならびに
基体上に配置され、ポリビニルピロリドンを含む第2の親水性潤滑性コーティング層、
を備え、第2のコーティング層が少なくとも部分的に第1のコーティング層と相互浸透している、
医療器具。
【請求項23】
平均分子量が粘度平均分子量である、請求項2に記載のコーティング。
【請求項24】
平均分子量が重量平均分子量である、請求項3に記載のコーティング。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−514144(P2013−514144A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544695(P2012−544695)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/060216
【国際公開番号】WO2011/081908
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(591018693)シー・アール・バード・インコーポレーテッド (106)
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【Fターム(参考)】