説明

親水性生体内分布リガンドにカップリングされたgem−ビスホスホネート安定化層で覆われるナノ粒子を調製する新規な方法

本発明は、金属コア、gem−ビスホスホネート化合物を含有する有機安定化層、および少なくとも1つの親水性生体内分布リガンドを含む、医用画像のためのナノ粒子を調製する新規な方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属コア、有機安定化層、および病的組織を標的とする少なくとも1つのリガンドを含む、医用画像のためのナノ粒子を調製する新規な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像診断、特に磁気共鳴画像法MRIで使用される、必要に応じて生物学的標的リガンドにカップリングされた、安定化有機層で覆われる金属コアを含む金属ナノ粒子については既知である。
【0003】
これらのナノ粒子の内、一般にUSPIOと呼ばれる金属ナノ粒子は特に知られており、それは特におよそ100〜150nm未満のサイズを有する、磁鉄鉱(Fe34)、磁赤鉄鉱(γ−Fe23)、およびその他の遷移元素の磁性無機化合物をはじめとする非常に小さな酸化鉄粒子である。
【0004】
生理的溶液中で安定している磁性粒子のコロイド溶液を得るために、磁性粒子表面をコンディショニングすることが必要である。これを行うために、粒子は、炭水化物(例えばデキストラン)などの高分子またはカルボン酸などの小型有機分子などで構成される安定化有機層で覆われる。
【0005】
医用画像診断に関連のある情報を得るために、粒子が標的組織または細胞に結合しおよび/またはそれによって認識されるように、安定化有機層を適切な標的リガンドとカップリングすることは非常に有利である。この認識は、有利には、例えばマクロファージなどの免疫系細胞による粒子の貪食作用タイプ機序を通じて、生成物の生体内分布に影響を及ぼすリガンドを使用して提供されてもよい。これらのリガンドは、例えばアミノアルコール基、またはポリエチレングリコール(PEG)タイプの化合物などの親水性基である。
【0006】
文献国際公開第2004/058275号パンフレットには、安定化/結合層としてgem−ビスホスホネートタイプの層、およびリガンドとして多くの可能なリガンドの内、生体内分布に影響を及ぼす親水性基(生体内分布リガンド)を使用した化合物の合成について記載されている。式:
S−C
(式中、
Sはコアにグラフトされたgem−ビスホスホネート基であり、式(I):
X−L−CH(PO322 (I)
(式中、LはX官能基をgem−ビスホスホネート−CH(PO322官能基に結合する有機基を表し、Xは親水性リガンドCとカップリングできる化学官能基を表す)で表され、
Cはアミノアルコールタイプおよび/またはPEGタイプの親水性リガンド(X官能基とカップリングされる)である)の標的要素で覆われる、金属コアNの形態の化合物について特に記載されている。
【0007】
これらの化合物を調製するために、先の工程(一般にUSPIOのために使用される)は、概略的に、
金属ナノ粒子の金属コアNを調製するステップと、
コアNを式:
X−L−CH(PO322 (I)
のgem−ビスホスホネート安定化層でコーティングするステップと、
得られた粒子と1つまたは複数の親水性基とをカップリングするステップとを含む。
【0008】
グラフトされるリガンドの量が完璧に制御される化合物を得て、再現性を持ってコア上へのグラフトの程度を最適化して制御し、細菌または発熱物質汚染リスクを最小化することで精製ステップを避けて薬学的制御を簡素化し、ひいては工業規模における効率的な製品の生産を得るために工程を改善することが探求される。
【0009】
さらに、特に下で詳細に記載されているアミノアルコールまたはポリエチレングリコールタイプの生体内分布リガンドの場合、国際公開第2004/058275号パンフレットで記載されている方法で使用されるリガンドの必要量に追加的な問題がある。実際、最後に有利には高い標的要素S−Cの被覆度、特にコアへの可能な結合部位の80%を超える被覆度を得るために、この以前の方法では過剰な大量のリガンドCを使用することが必要であり(1当量の化合物N−S[コア+gem−ビスホスホネート被覆]に対して親水性リガンドCのおよそ5当量を添加することが必要であった)、したがって高い工業的経費が必要であった。この問題を解決することは、式(IV)のものなどの複雑で高価なアミノアルコール、特に本出願で下述するアミノアルコールAAG1およびその誘導体について、特に有用であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本出願人は、有機gem−ビスホスホネート結合基と化学的にカップリングされた1つ以上の親水性リガンドによって構成される要素が調製されて、次にこれらの要素[結合基−リガンド]が金属ナノ粒子とカップリングされる調製法(逆行経路で示される)によって、これらの技術的問題を解決することに成功した。有機結合基は、安定化(または結合)層に属し、またはそれを形成する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的で本発明は、特にナノ粒子の安定性/生体内分布に影響を及ぼす少なくとも1つの親水性リガンドとカップリングされた有機安定化層で覆われる金属コアNを含む、医用画像のための金属ナノ粒子を調製する方法に関し、
方法は、
a)金属ナノ粒子の金属コアNを調製するステップと、
b)式:S−C
(式中、
Sは式:X−L−CH(PO322のgem−ビスホスホネート結合基であり、
Cは親水性生体内分布リガンドであり、有利にはアミノアルコールまたはPEGから選択される)の標的/安定化要素を調製するステップと、
c)コアNに少なくとも1つの標的要素をグラフトするステップと
を含む。
【0012】
便宜上、本出願中では「標的要素」という表現を標的/安定化要素を表すために使用する。
【0013】
「少なくとも1つの標的要素のコアNへのグラフト」という表現は、同一構造を有する標的アセンブリーが、またはS基および/またはC基が同一式を有さないいくつかの標的アセンブリーが、グラフトされることを意味するものと理解される。
【0014】
異なるS基を有することの利点は、特に造影剤の流体力学的サイズを(L基のサイズを変えることで)増大または低下できることであり、それによって当該診断的徴候に応じて製品の生体内分布を最適化するのを助けることが可能になる。
【0015】
いくつかの実施態様において、標的要素はアミノアルコールである。
【0016】
いくつかの実施態様において、標的要素はPEGである。
【0017】
いくつかの実施態様において、標的要素の一部分はアミノアルコールであり、標的要素の別の部分はPEGである。リガンドはグラフトされる標的要素間で同一であってもまたは異なってもよい。
【0018】
したがって、いくつかの実施態様において、グラフト後に得られる金属ナノ粒子は、例えば粒子の生体内分布および/または安定性に有利な影響を及ぼす親水性リガンドがある10〜90%の標的要素(アミノアルコール、PEG分枝、いくつかの異なるアミノアルコール)を有し、残り(90〜10%)は異なるリガンドがある標的要素である。
【0019】
いくつかの実施態様において、コアにグラフトされるのは、一方で標的要素S−C(親水性基を有する)であり、他方では生体内分布リガンドを有さない安定化基Sである。例えば5〜95%のS−C基があり、残部(95〜5%)はS基である。
【0020】
詳細な説明の終わりにある表は、様々な可能性を例示する。
【0021】
これらの量は、(典型的にナノ粒子表面に位置するプロトン化部位である可能な結合部位における)要素SまたはS−Cによるコアの被覆度に対応する。したがって百分率は、コア上の利用できる結合部位数あたりのS−CまたはS分子の数として表される。100%の被覆度のためには、コア表面は実質的に完全にS−Cおよび/またはS要素で覆われる(例えば80%のS−C基および20%のS基)。したがってこの被覆度は、下述のグラフトの程度とは異なる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
金属ナノ粒子は、ほぼ10〜100nm程度、特に10〜50nmの流体力学直径を有する。
【0023】
標的アセンブリーの各S基は、少なくとも1つのコア結合部分、およびリガンドCとのカップリングのため、より具体的にはリガンドの反応性官能基との共有結合のための少なくとも1つの化学官能基Xを含む。
【0024】
ステップa)およびb)は、ステップc)の前であれば任意の順序で実施してもよい。
【0025】
コアNにグラフトされるS基のアセンブリーは、結合(安定化)層を構成する。結晶サイズがほぼ7〜8nm程度のコアでは、標的要素S−Cおよび/またはSのコアNへのグラフトの程度(鉄1モルあたりの化合物S−Cおよび/またはSのモル百分率;グラフトの程度はリンアッセイから判定される)は、典型的に0.5〜10%、特に1〜5%、例えば1、2、3、5または10%である。
【0026】
いくつかの実施態様において、標的要素S−Cに加えて、例えばグルコン酸、シュウ酸、マンデル酸、4−ヒドロキシ−3−メトキシマンデル酸、ラクトビオン酸、α−ヒドロキシ馬尿酸、メチル−2−ヒドロキシ酪酸、グリコール酸、N−アセチルノイラミン酸、またはホスホエノールピルビン酸から選択される、例えばヒドロキシモノカルボン酸などのナノ粒子の安定性に影響を及ぼす基もまたグラフトされる。
【0027】
したがって非常に有利には、リガンドを有する化合物によるナノ粒子のグラフトの程度を完全に制御することが可能であり、これは製品の経費、生理学的有効性の分析および特性解析および制御にとって非常に有用である。標的要素S−Cの製造は、特にグラフト前のそれらの純度についてさらに完全に制御され、これは工業生産にとって重要である。
【0028】
コアNについてここでより厳密に記載する。調製されるナノ粒子の金属コアは、典型的に完全にまたは部分的に、水酸化鉄;水和酸化鉄;鉄とコバルト、ニッケル、マンガン、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、銅、亜鉛または白金との混合酸化物などの混合酸化鉄;またはこれらの混合物からなる。「フェライト」という用語は、一般式[xFe23・yMOz]の酸化鉄を意味し、Mは磁界の影響下で帯磁できるFe、Co、Ru、MgまたはMnなどの金属を意味し、磁化可能金属は任意に放射性であることができる。好ましくは本発明の組成物の磁性粒子は、特に磁赤鉄鉱(γ−Fe23)および磁鉄鉱(Fe34)であるフェライト、あるいはコバルト(Fe2CoO4)またはマンガン(Fe2MnO4)と混合されたフェライトを含む。ナノ粒子のコアは酸性にされて、S−C要素のカップリングが容易になる。(硝酸を使用するステップを用いて)酸性コアを調製する方法については、文献国際公開第2004/058275号パンフレット(米国特許出願公開第2004/253181号明細書、特に19頁の段落331〜339)で詳細に記載されている。Sおよび/またはS−C基結合前の(典型的に1〜3の高度に酸性のpHにおける)酸性化ステップを用いたこの方法は、その多分散性が完全に制御されて安定するコロイド溶液中にある、特に有利な粒子が得られるようにすることを再認識すべきである。
【0029】
L基についてここで記載する。好ましくはL結合基は二価の基であり、好ましくは次から選択される。
脂肪族、脂環式、脂環式−脂肪族、芳香族、または芳香族−脂肪族基。前記脂肪族、脂環式、および芳香族基は、メチル、ヒドロキシ、メトキシ、アセトキシまたはアミド基または塩素、ヨウ素または臭素原子で任意に置換されてもよい。
−L1−NHCO−L2
(式中、
1およびL2は同一であるかまたは異なり、メチル、ヒドロキシ、メトキシ、アセトキシまたはアミド基または塩素、ヨウ素または臭素原子で任意に置換されてもよい、脂肪族、脂環式、芳香族、脂環式−脂肪族、または芳香族−脂肪族基を表す)。
【0030】
脂肪族基は、ここで好ましくは1〜16個の炭素原子、なおもより好ましくは1〜6個の炭素原子を含む、直鎖または分枝炭化水素ベースの鎖を意味する。好ましくは、脂肪族基はアルキル基を意味する。その例は特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、イソブチル、ペンチル、およびヘキシル基である。
【0031】
「脂環式」という用語は、好ましくはシクロアルキル基である、好ましくは3〜8個の炭素原子を含む環式炭化水素ベースの鎖を意味する。一例としては、特にシクロプロピルおよびシクロヘキシルが挙げられる。
【0032】
「芳香族」という用語は、好ましくは5〜20個、なおもより好ましくは6〜18個の炭素原子を含む、単環式または多環式炭化水素ベース基の芳香族を表す。その例は特にフェニルおよび1−ナフチルまたは2−ナフチル基である。特定の変形例において、本発明の意味の範囲内である「芳香族」基には、イオウ、酸素または窒素などの1つ以上のヘテロ原子が組み込まれてもよい。この特定の場合、「芳香族」基は単環式または多環式複素環式芳香族基を意味する。
【0033】
「脂肪族−脂環式」および「脂肪族−芳香族」基は、それぞれ上で定義される脂環式または芳香族基によって置換された、前述の定義に対応する脂肪族鎖を表す。脂肪族−芳香族基の一例としては、特にベンジルが挙げられる。
【0034】
好ましい一変形例において、Lは任意に置換されたフェニレン基を表し、Xおよびgem−ビスホスホネート基はオルト、メタまたはパラ位にあってもよい。
【0035】
特に好ましい一実施態様において、Lは置換または非置換脂肪族基、より好ましくは−(CH2p−基を表し、pは1〜5の整数である。
【0036】
別の好ましい実施態様において、LはL1−CONH−L2基、より好ましくは−(CH2n−NHCO−(CH2m−基を表し、nおよびmは0〜5の整数を表す。
【0037】
式(I)のgem−ビスホスホネート化合物のX末端は、バイオベクター上に存在する官能基と反応して共有結合を形成できるように選択される。これらのカップリングについてより詳しくは、特にBioconjugate techniques,Greg T.Hermanson,1995,Publisher:Academic,San Diego,Calif.を参照されたい。
【0038】
好ましいX基としては、特に、
−COOH、
−NH2、−NCS、−NH−NH2、−CHO、アルキルピロカルボニル(−CO−O−CO−Alk)、アシルアジジル(−CO−N3)、イミノカーボネート(−O−C(NH)−NH2)、ビニルスルフリル(−S−CH=CH2)、ピリジルジスルフリル(−S−S−Py)、ハロアセチル、マレイミジル、ジクロロトリアジニル、ハロゲン、
式:
【化1】

の基が挙げられ、−COOHおよび−NH2基が特に好ましい。
【0039】
「Alk」という用語は、本明細書の範囲内でC1〜C6アルキル基を意味し、「Py」という用語についてはピリジル基を意味する。
【0040】
マレイミジル基は、式:
【化2】

の環式基を意味する。
【0041】
ジクロロトリアジニル基は、式:
【化3】

の基を意味する。
【0042】
ハロゲン基としては、特に塩素、臭素、フッ素、およびヨウ素が挙げられ、塩素および臭素が特に好ましい。
【0043】
「ハロアセチル」という用語は、本明細書の範囲内で、その水素原子の1つがハロゲン原子で置換されたアセチル基CH3−CO−を意味するものと理解され、前記ハロゲン原子については上で定義される。
【0044】
好ましくはXは−COOHまたは−NH2基を表し、Lは置換または非置換脂肪族基、なおもより好ましくは−(CH2p−基を表し、pは1〜5の整数である。
【0045】
式(Ia):
HOOC−(CH22−CH(PO322 (Ia)
の化合物が特に最も好ましい。
【0046】
別の好ましい実施態様において、LはL1−CONH−L2基、より好ましくは−(CH2n−NHCO−(CH2m−基を表し、nおよびmは0〜5の整数を表し、Xは−COOHまたは−NH2を表す。
【0047】
当然ながら、間接的様式での、すなわちホモ二官能性またはヘテロ二官能性試薬を通じた、X官能基とバイオベクターのカップリングもまた、本発明の文脈内に入る。ホモ二官能性試薬の例として、例えばX=−NH2官能基とバイオベクターの−NH2官能基とのカップリングを実行するのに、グルタルアルデヒドが適するかもしれない。
【0048】
本発明の好ましい一変形例において、X官能基は、バイオベクターと、−CONH−、−COO−、−NHCO−、−OCO−、−NH−CS−NH−、−C−S−、−N−NH−CO−、−CO−NH−N−、−CH2−NH−、−N−CH2−、−N−CS−N−、−CO−CH2−S−、−N−CO−CH2−S−、−N−CO−CH2−CH2−S−、−CH=NH−NH−、−NH−NH=CH−、−CH=N−O−、−O−N=CH−のタイプの、または式:
【化4】

に対応するタイプの、共有結合L3を形成する。
【0049】
gem−ビスホスホネート化合物のX官能基の全てまたはいくらか、典型的にほぼ50〜100%程度、特に50、60、70、80、80または95%は、生体内分布リガンドとカップリングされる。
【0050】
好ましくは、親水性生体内分布リガンドはアミノアルコールまたはポリエチレングリコール(PEGとしてもまた知られている)リガンドである。
【0051】
本出願に従った「アミノアルコール」という用語は、2〜10個の炭素原子を含む少なくとも1つの脂肪族炭化水素ベースの鎖を有するアミン官能基を含むリガンドを意味するものと理解され、前記炭化水素ベースの鎖はいくつかの水酸基、特に4〜10個の水酸基によって置換される。
【0052】
好ましい一実施態様において、アミノアルコールリガンドは、一般式(II):
【化5】

(式中、
1およびR2は同一であるかまたは異なり、好ましくは、6〜10個の水酸基で置換された、あるいはR1および/またはR2に1つ以上の酸素原子が介在する場合は4〜8個の水酸基で置換された、2〜6個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素ベースの鎖を表す)の化合物である。
【0053】
式(II)のアミノアルコールリガンドの例としては、特にR1およびR2がそれぞれ独立して−(CH2)−(CHOH)4−CH2OHまたは−(CH2)−CHOH−CH2OH基を表すリガンド、特にR1が−(CH2)−(CHOH)4−CH2OHまたは−(CH2)−CHOH−CH2OH基を表し、R2が−CH2−(CHOH)4−CH2OH基を表すものが挙げられる。
【0054】
別の好ましい実施態様において、アミノアルコールリガンドは、式(IV):
【化6】

(式中、
Zは結合、CH2、CH2CONHまたは(CH22NHCOであり、
Z’は結合、O、S、NQ、CH2、CO、CONQ、NQCO、NQ−CONQまたはCONQCH2CONQであり、
Z’’は結合、CONQ、NQCOまたはCONQCH2CONQであり、
pおよびqは整数であり、その和は0〜3に等しく(有利な一変形例においてp=q=0である)、
1、R2、R3、R4またはR5はそれぞれ独立してH、Br、Cl、I、CONQ12またはNQ1COQ2(同一であるかまたは異なるQ1およびQ2は、Q1およびQ2が合わせて4〜10個のOH基を含むように、H、モノヒドロキシル化またはポリヒドロキシル化されており、および/または1つ以上の酸素原子が介在してもよい、(C1〜C8)アルキル基から選択され、R1〜R5基の少なくとも1つ、最大でも2つはCONQ12またはNQ1COQ2を表すと理解される)を表し、
あるいはR1、R3、R5はそれぞれ独立してH、Br、ClまたはIを表し、R2およびR4は、
【化7】

(式中、
同一であるかまたは異なるR’1、R’3、およびR’5はH、Br、ClまたはIを表し、
1およびQ2は上と同一の意味を有し、
Z’’’はCONQ、CONQCH2CONQ、CONQCH2、NQCONQ、CONQ(CH22NQCO基から選択される基である)を表し、
QはHまたは(C1〜C4)アルキルであり、前記アルキル基は直鎖または分枝鎖であってもよくヒドロキシル化されていてもよい)の化合物である。
【0055】
好ましくは、ZはCH2である。
【0056】
好ましくは、p=q=0である。
【0057】
好ましくは、Z’’はCONHである。
【0058】
好ましくは、R2およびR4はCONQ12を表す。
【0059】
好ましくは、R1、R3、R5はBrを表す。
【0060】
好ましくはQ1およびQ2は、それぞれ独立して−(CH2)−(CHOH)4−CH2OHまたは−(CH2)−CHOH−CH2OH基、特に−(CH2)−(CHOH)4−CH2OH基を表す。
【0061】
特に好ましい一実施態様において、式(IV)のアミノアルコールリガンドは、
【化8】

の化合物である。
【0062】
好ましくは本発明におけるアミノアルコールリガンドは、ヒドロキシル官能基が遊離型のままであり、ひいてはそれらの親水性性質を保つように、それらの−NH−または−NH2アミン官能基を通じて、式:X−L−CH(PO322の結合基SのX官能基とカップリングされる。
【0063】
「ポリエチレングリコール」という表現は、本出願の意味の範囲内で、一般には−CH2−(CH2−O−CH2k−CH2OR3鎖を含む化合物を意味し、kは2〜100の間(例えば2、4、6、10または50)で変動し、R3はH、アルキルまたは−(CO)Alkから選択され、「アルキル」または「Alk」という用語は、鎖中に約1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝炭化水素ベースの脂肪族基を意味する。
【0064】
「ポリエチレングリコール」という表現は、ここでの用法では、特に式(III):
【化9】

(式中、
同一であるかまたは異なるR1およびR2はH、アルキル基または式:
−CH2−(CH2−O−CH2k−CH2OR3(式中、kは2〜100の間(例えば2、4、6、10または50)で変動し、R3はH、アルキルまたは−(CO)Alkから選択され、「アルキル」または「Alk」という用語は、鎖中に1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝炭化水素ベースの脂肪族基を意味する)のポリエチレングリコール鎖を表し、
1、R2基の少なくとも1つはポリエチレングリコール鎖を表すと理解される)のアミノポリエチレングリコール化合物を包含する。
【0065】
アミノポリエチレングリコールの例は、特に化合物O−(2−アミノエチル)−O’−メチルポリエチレングリコール1100、O−(2−アミノエチル)−O’−メチルポリエチレングリコール2000、O−(2−アミノエチル)−O’−メチルポリエチレングリコール750、例えば化合物PEG340、PEG750、PEG1500、PEG2000である。
【0066】
本出願のS−C化合物のNコアへのグラフトは、S化合物のCH(PO322部分によって実行されることが規定される。
【0067】
本出願人は、特にアミノアルコールおよび/またはPEGリガンドについて、合成が容易になって収率が改善されるだけでなく、さらに得られる最終生成物が薬事規制および診断用使用に非常に満足に合致することに気付いた。これらの基によるほとんど全てのコアの被覆は、特にステルスの改善(生成物の肝臓による取り込みが有利により少ない)およびマクロファージ取り込みの改善(特に粥状斑、結節腫、およびその他の炎症領域のモニタリングのために、マクロファージの標的化が有利に改善される)によって、これらの親水性リガンドにとって特に有利な安定性と生体内分布を生成物に与える。さらには製造バッチ再現性の要件、医薬品の品質および安全性の要件を満たすために、例えばアミノアルコールリガンドおよびPEGリガンドの混合被覆を有する生成物において、リガンドの量を制御する利点が理解される。
【0068】
意外にも本出願人の新規な逆行経路工程は、特にこのようなアミノアルコールにおいて生体内分布リガンドの量を1/3〜1/10にすることを可能にする。次の表は、アミノアルコールとして実施例4からの化合物を使用した実施例14からの化合物の例を取り上げて、この結果を例示する。
【0069】
【表1】

【0070】
したがって本出願人は、リガンドのグラフトの程度の制御と、使用するリガンド量の低減との二重の問題を解決するのに成功した。
【0071】
特定の一実施態様において、本発明による方法はまた、S−C−T要素のグラフトも含み、Cはポリエチレングリコールリガンドであり、Tは発色団を表す。
【0072】
「発色団」という用語は、有色の基、すなわち可視スペクトルの1つの範囲の光子のエネルギーを吸収できる一方、その他の波長は透過または散乱するものを意味すると理解される。
【0073】
本発明に従って使用できる発色団の例としては、特に4−(アミノ)フルオレセイン塩酸塩が挙げられる。
【0074】
本発明はまた、診断用または治療的な組成物を調製するための本出願人の方法によって得られるナノ粒子の使用にも関する。文献国際公開第2004/058275号パンフレットで詳細に記載されているように、ナノ粒子はMRI造影またはX線走査装置のために、特にナノ粒子タイプ組成物の造影剤として使用される。
【0075】
いくつかの実施態様において、粒子は、固体脂質ナノ粒子またはリポソームタイプのカプセル封入システムなどの有効成分放出のためのシステム内で搬送され、それは診断用薬として使用されるナノ粒子に加えて、治療的有効成分もまた含有してもよい。
【0076】
本発明の別の主題は、本発明の目的に従って使用できる、上で定義されるS−C標的要素である。
【0077】
本発明は以下の詳細な実施例を使用して例示される。
【実施例】
【0078】
以下において、略語M、M/L、理論的M、NおよびM/z、ES+、ES、kD、およびTLCは、文献国際公開第2004/058275号パンフレット(米国特許出願公開第2004/253181号明細書)と同一の意味を有する。
MまたはM/L:モル濃度(mol/L)。
理論的M:理論的分子量。
N:規定度。
M/z:質量分析法によって判定される質量対電荷比。
ES+:陽イオンモードエレクトロスプレー。
ES-:負イオンモードエレクトロスプレー。
TFA:トリフルオロ酢酸。
kD:分子量単位(キロダルトン)。
TLC:薄層クロマトグラフィー。
Z ave:PCSによって測定される流体力学直径。
Poly σ:PCSによって測定される多分散性。
【0079】
続く化学命名法は、IUPAC規則に従って、ACD/NAMEソフトウェア(Advanced Chemistry Development Inc.,Toronto,Canada)から導かれる。
【0080】
全鉄アッセイ:
鉄は、濃HClでの無機化および希釈後に、原子吸収分光法(VARIAN AA10分光光度計)によって、第二鉄イオンの標準範囲(0、5、10、15、および20ppm)を基準にしてアッセイされる。
【0081】
粒度:
グラフト粒子の流体力学直径(Z ave)=PCSサイズ:注射用水で約1ミリモルに希釈され0.22μmを通して濾過されたサンプル上で、PCSによって判定される(Malvern 4700装置、90°で488nmのレーザー)。
PCS=光子相関分光法。参考文献:R.Pecora in J.of Nano.Res.(2000),2,p.123−131。
磁性粒子の直径(p)(グラフト前):様々な温度における磁化曲線(SQUID磁力計上での測定)の逆重畳積分によって判定される(参考文献:R.W.Chantrell in IEEE Transactions on Magnetics(1978),14(5),p.975−977)。
【0082】
構造分析:
エレクトロスプレー源を用いた質量分光分析(MICROMASS VG Quattro II装置)による。
【0083】
実施例1:
3リットルの水および143ml(0.302mol)の27%FeCl3からなる混合物中に、150mlのH2O中の36g(0.181mol)のFeCl2・4H2Oおよび20mlの37%HClの溶液を導入する。250mlの25%NH4OHを激しく撹拌しながら迅速に導入する。混合物を30分間撹拌する。流体を磁気分離によって除去する。強磁性流体を2リットルの水で引き続いて3回洗浄する。含窒素強磁性流体を200mlのHNO3[2M]と共に15分間撹拌し、上清を磁性分離によって除去する。含窒素強磁性流体を600mlの水および200mlのFe(NO33[1M]と共に30分間還流させる。上清を磁性分離によって除去する。含窒素強磁性流体を200mlのHNO3[2M]と共に15分間撹拌し、上清を磁性分離によって除去する。含窒素強磁性流体を3リットルのアセトンで3回洗浄し、次に400mlの水に取り込む。250mlの最終容積が得られるまで、溶液を真空下で乾燥させる。
【0084】
【表2】

【0085】
実施例2:
4リットルの水および429ml(0.906mol)の27%FeCl3溶液中に、450mlのH2O中の108g(0.543mol)のFeCl2・4H2Oを導入する。750mlの25%NH4OHを撹拌しながら(1200rpm)迅速に導入する。混合物を30分間撹拌する。流体を磁気分離によって除去する。強磁性流体を3リットルの水で引き続いて2回洗浄する。含窒素強磁性流体を3リットルのHNO3[2M]と共に1/4時間撹拌し、上清を磁性分離によって除去する。含窒素強磁性流体を1300mlの水および700mlのFe(NO33[1M]と共に30分間(600rpm)還流させる。上清を磁性分離によって除去する。含窒素強磁性流体を3リットルのHNO3[2M]と共に15分間撹拌し、上清を磁性分離によって除去する。
【0086】
含窒素強磁性流体を3リットルのアセトンで3回洗浄し、次に600mlの水に取り込む。250mlの最終容積が得られるまで、溶液を真空下で乾燥させる。
【0087】
【表3】

【0088】
上の溶液の200mlを2.4リットルのHNO3中で4時間撹拌する。上清を磁性分離によって除去する。含窒素強磁性流体を3リットルのアセトンで2回洗浄し、次に400mlの水中に取り込む。250mlの最終容積が得られるまで、溶液を真空下で乾燥させる。
【0089】
【表4】

【0090】
実施例3:
【化10】

ステップa:ジエチル−1−[ジエトキシホスホリル]ビニルホスホネート
13g(0.433mol)のパラホルムアルデヒドおよび10ml(0.097mol)のジエチルアミンを高温条件下で250mlのメタノールに溶解する。次に24g(8.67×10-2mol)のジエチル[ジエトキシホスホリル]メチルホスホネートを添加する。混合物を24時間還流する。反応媒体を真空下で濃縮する。濃縮物を250mlのトルエンで2回取り込んで、次に真空下で濃縮する。得られた油を125mlのトルエンに溶解する。0.14gのパラ−トルエンスルホン酸を添加する。混合物をディーン・スターク・トラップを用いて24時間還流させ、次に真空下で濃縮して乾燥させる。生成物を500mlのCH2Cl2で抽出し、次に250mlの水で2回洗浄する。有機相をMgSO4上で乾燥させ、真空下で濃縮する。粗生成物を625gのMerck Geduran(登録商標)シリカゲル(40〜63μm)上で精製する。溶出:CH2Cl2/アセトン−50/50(TLC−SiO2:Rf=0.45)。収率71%で18.4gが単離される。MS:M/z=301.4(ES+)。
【0091】
ステップb:ジエチル2−[2,2−ビス(ジエトキシホスホリル)エチル]マロネート
1.6g(0.01mol)のジエチルマロネート、0.07g(0.001mol)のナトリウムエトキシド、および3g(0.01mol)のジエチル[ジエトキシホスホリル]ビニルホスホネートを15mlのエタノール中で15分間撹拌する。5mlの飽和NH4Cl溶液をエタノール溶液に添加する。混合物を真空下で濃縮する。残留物を30mlの酢酸エチルで抽出し、5mlの水で2回洗浄する。有機相をMgSO4上で乾燥させ、次に蒸発させて乾燥する。得られた油を200gのMerck Geduran(登録商標)シリカ上で精製し、収率82%で3.8gが単離される。MS:M/z=460.9(ES+)。
【0092】
ステップc:4,4−ジホスホノブタン酸
7g(15.7×10-2mol)のジエチル2−[2,2−ビス(ジエチルホスホリル)エチル]マロネートを350mlのHCl[5N]中で8時間還流させる。得られた褐色油を水で溶出しながら60gのシリル化シリカゲル60(0.063〜0.200mm)上で精製する。収率92%で3.6gが単離される。MS:M/z=249(ES+)。
【0093】
実施例4:
【化11】

化合物(アミノアルコール親水性リガンド)は、欧州特許出願公開第0922700A1号明細書に記載されている手順に従って調製できる。
【0094】
実施例5:
実施例3のステップc(2.42×10-3M)で調製された600mgの化合物、および実施例4(4.85×10-3M)で調製された3.2gの化合物を20mlのH2Oに溶解する。0.1N NaOHによってpHを6.2に調節する。600mgのEDCl(3.13×10-3M)および65mgのHOBT(4.8×10-4M)を添加して、混合物を室温で24時間撹拌する。反応媒体を400mlのIPA上に注いで、24時間撹拌する。沈殿物を濾過し、次にエチルエーテルで洗浄して真空下で乾燥させる。
【0095】
pHを9に調節することで粗生成物を最小量の水に溶解し、次に150mlのAmberlite Na樹脂(H+形態)上に一晩のせる。生成物を水で溶出する。正しい画分を真空下で濃縮する。MS、ES-:1385.6。
【0096】
実施例6:
ステップa
【化12】

電極および磁気撹拌機を装着した500ml三つ口フラスコ内で、gem−ビスホスホネート(実施例3のステップc、30g)をH2O(250ml)に溶解する。NaOHによってpHを5.7にして、アミン(11−アジド−3,6,9−トリオキサウンデカン−1−アミン、Fluka(登録商標)、21.8g)を一度に添加する。HOBT(1.72g)、次にEDCl(21.16g)を添加する。反応媒体を室温で24時間撹拌する。およそ150mlの最終容積が得られるまで、媒体を蒸発させる。NaOHによってpHを8にする。過剰なアミノPEGを除去するために、溶液を70ml(理論量の30倍)のAmberlite 252 Na樹脂(H+−1.8meq/ml)に通過させる。H2Oによる溶出(Vrecovered=300ml)。
【0097】
およそ150mlの最終容積が得られるまで、媒体を蒸発させる。
【0098】
過剰なCl-イオンを除去するために、溶液を140ml(理論量の2倍)のIRA 67樹脂(OH−1.6meq/ml)に通過させる。H2Oによる溶出(Vrecovered=260ml)。100mlの最終容積が得られるまで、溶液を蒸発させる。溶液を900gのシリル化シリカに通過させる。2lのH2O、次に2lのH2O/CH3OH混合物(50/50)によって溶出する。m=28.46g、収率=75%、LC/MS:ES+、m/z=449.12。
【0099】
ステップb
【化13】

EtOH(350ml)にあらかじめ溶解したステップa(28.26g)で得られたアジ化物を1lオートクレーブ反応装置内に導入する。媒体をHCl溶液で酸性化して、スパチュラ4杯分のPd/Cを溶液に導入する。4バールの水素下で、反応媒体を室温で4時間撹拌する。反応媒体をclarcel上で濾過し、麦わら色の油(31.21g)が得られるまで、溶液を蒸発させて乾燥させる。過剰なCl-イオンを除去するために、溶液を200mlのIRA 67樹脂(OH-−1.6meq/ml)に通過させて生成物を精製する。H2Oによる溶出。m=12.25g、収率=46%(油)、LC/MS:ES+、m/z=423.12。
【0100】
ステップc
【化14】

磁気撹拌機を装着した250ml三つ口フラスコ内で、先に調製した中間体(12g)をDMSO(200ml)に溶解する。トリエチルアミン(6696μl)、次に四角酸ジエチル(4205μl)を添加する。媒体を室温で72時間撹拌する。ベーンポンプを使用して、黄色油が得られるまで溶液を濃縮して乾燥し、それをシリル化シリカ上で精製する(2000mlのH2O、次に2000mlのH2O/CH3OH(80/20)、次に2000mlのH2O/CH3OH混合物(50/50)、そして1000mlのCH3OHによる溶出。m=7.2g、収率=46.4%(油)、LC/MS:ES+、m/z=547.25。
【0101】
実施例7:
【化15】

電極および磁気撹拌機を装着した丸薬製造器内で、先に調製した中間体(実施例6のステップc)(0.137g;2.5×10-4mol)をH2O(2ml)に溶解する。飽和Na2CO3溶液によって溶液のpHを7.5に調節する。DMSO(1ml)にあらかじめ溶解された染料(0.05g;1.26×10-4mol)を媒体に添加する。溶液のpHは6.5に等しい。溶液のpHを飽和Na2CO3溶液で8にする。溶液を室温で48時間撹拌する。1N塩酸溶液によって溶液のpHを7にする。ベーンポンプを使用して溶液を蒸発して乾燥させる。得られた油をH2O(10ml)に溶解し、90gのRP18シリカ(25〜40μm)カートリッジ上でクロマトグラフィーによって精製する。95%の収率で95mgの生成物が単離される。LC/MS:ES-、m/z=860.19。
【0102】
実施例8:
【化16】

電極および磁気撹拌機を装着した丸薬製造器内で、実施例6のステップcで調製された化合物(0.137g;2.5×10-4mol)をH2O(2ml)に溶解する。飽和Na2CO3溶液によって溶液のpHを7.5に調節する。DMSO(1ml)にあらかじめ溶解された染料(0.102g;1.26×10-4mol)を媒体に添加する。溶液のpHは5.5に等しい。溶液のpHを飽和Na2CO3溶液で8にする。溶液を室温で48時間撹拌する。1N塩酸溶液によって溶液のpHを7にする。ベーンポンプを使用して溶液を蒸発して乾燥させる。得られた油をH2O(10ml)に溶解し、90gのRP18シリカ(25〜40μm)カートリッジ上でクロマトグラフィーによって精製する。66%の収率で100mgの生成物が単離される。
【0103】
実施例9:
ステップa
【化17】

分子ふるい上であらかじめ乾燥させた180mlのトルエン中で、30gのメチレンビス(ホスホン酸ジクロリド)を撹拌する。温度0℃に保つ。シリンジポンプを使用して、60mlのベンジルアルコールおよび37.5mlのピリジンの溶液を滴下して4時間かけて添加し、温度は0℃を超えないことが必要である。媒体を室温で4時間撹拌する。不溶性部分を濾過により除去し、トルエンで数回洗浄する。有機相を150mlの2N水酸化ナトリウム、250mlの水で3回洗浄し、MgSO4上で乾燥させて、次に濃縮する。混合物をシリカ上で精製する(溶出剤:ヘプタン/酢酸エチル:30/70)。TLC[SiO2−Hept/AcOEt:3/7−Rf=0.3]−収率:60%。LC/MS ES+ 537.21。
【0104】
ステップb
【化18】

ステップaで調製された化合物および15C5を240mlの新鮮に蒸留されたTHF中で撹拌する。1.15gの60%NaHを媒体に少しずつ添加する。撹拌を1/2時間継続する。氷浴内で25mlのTHFに入れたブロモ酢酸t−ブチルを滴下して添加する。混合物を室温で3時間撹拌する。反応媒体を真空下で濃縮してNH4Cl飽和溶液に取り込み、2×200mlのCH2Cl2によって抽出する。有機相をMgSO4上で乾燥させて精製する(Si60カートリッジ:201nm;流速=20ml/分;勾配:CH2Cl2/アセトン)−収率:65%。LC/MS ES+=650.65、BP−tBu:(M+1)=595.26。
【0105】
ステップc
【化19】

ステップbからの3.4gの化合物を35mlのCH2Cl2に溶解する。溶液を氷浴内に保ち、3.4mlのTFAを滴下して添加する。混合物を0℃で4時間、次に室温で20時間撹拌する。反応媒体を20℃、真空下で乾燥させる。生成物を20mlのCH2Cl2中に取り込んで水で洗浄し、次に精製する。(RP18カートリッジ;201nmにおける検出;流速=20ml/分;勾配:水−TFApH=2.77/CH3CN)−収率:51%。LC/MS ES+ 595.28。
【0106】
実施例10:
【化20】

実施例3のステップcから得られた1gの化合物(4.03×10-3mol)および3.26gのPEG750(4.43×10-3mol)を55mlの水に溶解する。pHを6.2に調節する。272mgのHOBT(2.01×10-3mol)を添加して、反応媒体を5分間撹拌する。次に1.148gのEDCl(6×10-3mol)を添加して、撹拌を24時間継続する。生成物をpH9に固定して、Amberlite 252 Na樹脂上で精製。2.3gが得られ、すなわち収率は59%である。LC/MS:ES-+モード、一連のピークは964.35でBPに集中する。
【0107】
実施例11:
ステップa
【化21】

150mgの染料(1.88×10-4mol)を15mlのDMFに溶解する。60mgのHOBT(4.44×10-4mol)、51mgのTBTU(1.58×10-4mol)、84mgのtert−ブチル保護ジアミン(4.15×10-4mol)、および0.165mlのDIPEA(9.4×10-4mol)を連続的に添加する。反応媒体を室温で一晩撹拌する。逆相フラッシュクロマトグラフィーによる精製。55%の収率で103.4mgの生成物が単離される。LC/MS:ES+モード BP 980.89。
【0108】
ステップb
【化22】

ステップaで調製された103mgの化合物(1.05×10-4mol)を3mlのTFA/TIS/水(比率:90/2.5/2.5)中で30分間撹拌する。逆相フラッシュクロマトグラフィーによる精製。40mgの生成物が得られ、すなわち収率は43%である。LC/MS:ES+モード BP 879.39 z=1。
【0109】
ステップc
【化23】

5mlのジクロロメタン中で、実施例9(4.37×10-5mol)のステップcで得られた26mgの化合物、18mgのDCC(8.72×10-5mol)、および8mgのNHS(6.95×10-5mol)を室温で3時間撹拌する。DCUを濾過する。次にステップbで得られた40mg(4.54×10-5mol)の染料および数滴のTEAを添加する。撹拌を3時間継続する。逆相フラッシュクロマトグラフィーによる精製。20%の率で12mgが単離される。LC/MS:ES+モード BP 1457.33。
【0110】
ステップd
【化24】

先行ステップで調製された150mgの化合物(1.029×10-4mol)を4mlのTFA/TIS/水(比率:95/2.5/2.5)中で撹拌する。撹拌を室温で3時間継続する。逆相フラッシュクロマトグラフィーによる精製。50mgが得られ、すなわち収率は45%である。LC/MS:ESモード BP 1094.53(z=1)。
【0111】
実施例12:
ステップa
【化25】

200mgの染料(2.51×10-4mol)を20mlのDMFに可溶化する。80mgのHOBT(5.92×10-4mol)、68mgのTBTU(2.11×10-4mol)、0.220mlのDIPEA(1.255×10-3mol)、および108mgのFmoc−アミノエトキシエチルアミン(3.30×10-4mol)を連続的に添加する。反応媒体を室温で一晩撹拌する。フラッシュクロマトグラフィーによる精製。水/CH3CN。65%の収率で178mgの生成物が単離される。LC/MS:ES+モード、BP 1103.43(z=1)。
【0112】
ステップb
【化26】

先行ステップで調製された80mgの化合物(9.0×10-5mol)を20%のピペリジンを含有する6mlのDMFに溶解する。撹拌を室温で1時間継続する。逆相フラッシュクロマトグラフィーによる精製。50mgの生成物が得られ、すなわち収率は40%である。LC/MS:ES-モード、BP 880.09(z=1)。
【0113】
ステップc
【化27】

実施例9のステップcで得られた20mgのベンジル含有ピンセット(3.36×10-5mol)、14mgのDCC(6.78×10-5mol)、および6mgのNHS(5.21×10-5mol)をDMFに溶解して、室温で3時間撹拌する。DCUを除去する。ステップbで得られた30mg(3.4×10-5mol)の染料および17μlのDIPEA(1.02×10-4mol)を1mlのDMFに溶解する。次に活性化エステルを滴下して添加する。撹拌を室温で3時間継続する。逆相フラッシュクロマトグラフィーによる精製。30mgが得られ、すなわち収率は36%である。LC/MS:ES+モード、BP 1458.90(z=1)。
【0114】
ステップd
【化28】

ステップcで調製された30mgの化合物(2.03×10-5mol)を3mlのTFA/TIS/水(比率:95/2.5/2.5)に室温で3時間50分溶解する。フラッシュクロマトグラフィーによる精製。6mgが得られ、すなわち収率は35%である。LC/MS:ES+モード、BP1098.21(z=1)および550.3(z=2)。
【0115】
実施例13:
ステップa
【化29】

50mgのIR820(Aldrich(登録商標)、5.88×10-5mol)および14.65mg(8.82×10-5mol)のフェニルボロン酸を10.7mg(9.24×10-6mol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムと40.7mgのK2CO3(2.9×10-4mol)の存在下で、加熱して110℃で24時間還流する。実験の終わりにパラジウムを濾過する。逆相フラッシュクロマトグラフィーによる精製。33mgが得られ、すなわち収率は62%である。LC/MS:ES+モード、BP 913.27(z=1)。
【0116】
ステップb
【化30】

ステップaで調製された18mgの化合物(1.96×10-5mol)、7mgのHOBT(4.31×10-5mol)、7mgのTBTU(4.70×10-5mol)、10mgのFmoc−アミノエトキシエチルアミン(2.15×10-6mol)、および11μlのDIPEA(9.8×10-5mol)を室温で一晩撹拌する。反応媒体をジエチルエーテル(20mg)中で粉砕し濾過する。このようにして55%の収率で、13mgの生成物が単離される。
【0117】
ステップc
【化31】

ステップbで得られた13mgの化合物(1.06×10-5mol)をDMFおよび20%ピペリジン中で撹拌する。撹拌を室温で30分間継続する。20mlのエチルエーテル中へ沈殿させ、室温で1時間撹拌する。4.3mgが得られ、すなわち収率は40%である。
【0118】
ステップd
【化32】

実施例9のステップcで得られた20mgの化合物(3.36×10-5mol)、14mgのDCC(6.78×10-5mol)、および6mgのNHS(5.21×10-5mol)を室温で3時間溶解する。DCUを除去する。ステップcで得られた35mg(3.4×10-5mol)の染料および17μlのDIPEA(1.02×10-4mol)を1mlのDMFに溶解する。次に活性化エステルを滴下して添加する。撹拌を室温で3時間継続する。50mlのエチルエーテル中に沈殿させる。20mgが得られ、すなわち収率は37%である。
【0119】
ステップe
【化33】

ステップdで調製される20mgの化合物(1.25×10-5mol)を3mlのTFA/TIS/水(95/2.5/2.5)中で室温で3時間撹拌する。逆相フラッシュクロマトグラフィーによる精製。4mgが単離され、すなわち収率は26%である。
【0120】
実施例14:
100mlの水中に希釈された濃度2.75M/Lの実施例2の1mlの溶液(酸性強磁性流体)に、10mlの水に溶解された実施例5で得られた60μmolの化合物を滴下して添加する。混合物を室温で20分間撹拌し、pHを7.2に調節する。30kDのカットオフ閾値を有する膜を通して、得られた溶液を限外濾過する。300mlの濾液を除去して10mlの最終溶液を得る。[Fe]:0.260M/L PCSサイズ=28nm。グラフトの程度[アミノアルコール化合物/Fe]=2%mol/mol。
【0121】
実施例15:
実施例2に記載される3mlの化合物([Fe]=1.336mol/l)を100mlの水中で希釈する。実施例5に記載される46mgの化合物を2mlの水に溶かした溶液、実施例7に記載される3.85mgの化合物を2mlの水に溶かした溶液、最後に実施例5からの46mgの化合物を2mlの水に溶かした溶液を連続的に各添加間に15分間の遅延を以て、溶液に添加する。溶液を室温で15分間撹拌し、NaOH溶液によってpHを7.4に調節する。30KD膜を通して媒体を限外濾過し、0.191mol/lの鉄濃度のために、溶液の容積を20mlにする。PCS:26.8。
【0122】
実施例16:
次の表に要約されるように、実施例16からの手順に従って、変動する比率のビスホスホネート化合物の様々な二成分または三成分の組み合わせを、実施例1または2に記載される酸化鉄粒子に固定する。
【0123】
【表5】

【0124】
括弧内の数字は被覆の程度を示し、例えば番号1では、被覆は実施例5の化合物(アミノアルコールリガンド)40%、および実施例3からの化合物(リガンドに結合していないビスホスホネート化合物)60%から構成される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)金属ナノ粒子の金属コアNを調製するステップと、
b)式:S−C
(式中、
Sは式:X−L−CH(PO322(式中、LはX官能基をgem−ビスホスホネート−CH(PO322官能基に結合する有機基を表し、Xは親水性リガンドCとカップリングできる化学官能基を表す)のgem−ビスホスホネート結合基であり、
CはアミノアルコールまたはPEGから選択される親水性生体内分布リガンドである)の標的要素を調製するステップと、
c)標的要素S−CをコアNにグラフトするステップと
を含む、ナノ粒子の安定性/生体内分布に影響を及ぼす少なくとも1つの親水性リガンドとカップリングされた有機安定化層で覆われる金属コアNを含む、金属ナノ粒子を調製する方法。
【請求項2】
金属コアが、水酸化鉄、水和酸化鉄、フェライト、または混合酸化鉄から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
親水性生体内分布リガンドがアミノアルコールリガンドである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
アミノアルコールリガンドが、式(II):
【化1】

(式中、
1およびR2は同一であるかまたは異なり、好ましくは、6〜10個の水酸基で置換された、あるいはR1および/またはR2に1つ以上の酸素原子が介在する場合は4〜8個の水酸基で置換された、2〜6個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素ベースの鎖を表す)の化合物である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
アミノアルコールリガンドが、式(IV):
【化2】

(式中、
Zは結合、CH2、CH2CONHまたは(CH22NHCOであり、
Z’は結合、O、S、NQ、CH2、CO、CONQ、NQCO、NQ−CONQまたはCONQCH2CONQであり、
Z’’は結合、CONQ、NQCOまたはCONQCH2CONQであり、
pおよびqは整数であり、その和は0〜3に等しく、
1、R2、R3、R4またはR5はそれぞれ独立してH、Br、Cl、I、CONQ12またはNQ1COQ2(同一であるかまたは異なるQ1およびQ2は、Q1およびQ2が合わせて4〜10個のOH基を含むように、H、モノヒドロキシル化またはポリヒドロキシル化されており、および/または1つ以上の酸素原子が介在してもよい、(C1〜C8)アルキル基から選択され、R1〜R5基の少なくとも1つ、最大でも2つはCONQ12またはNQ1COQ2を表すと理解される)を表し、
あるいはR1、R3、R5はそれぞれ独立してH、Br、ClまたはIを表し、R2およびR4は、
【化3】

(式中、
同一であるかまたは異なるR’1、R’3、およびR’5はH、Br、ClまたはIを表し、
1およびQ2は上と同一の意味を有し、
Z’’’はCONQ、CONQCH2CONQ、CONQCH2、NQCONQ、CONQ(CH22NQCO基から選択される基である)を表し、
QはHまたは(C1〜C4)アルキルであり、前記アルキル基は直鎖または分枝鎖であってもよくヒドロキシル化されていてもよい)の化合物である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
親水性生体内分布リガンドがポリエチレングリコールリガンドである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
ポリエチレングリコールリガンドが、式(III):
【化4】

(式中、
同一であるかまたは異なるR1およびR2はH、アルキル基または式:−CH2−(CH2−O−CH2k−CH2OR3(式中、kは2〜100で変動し、R3はH、C1〜C6アルキルまたは−(CO)Alkから選択され、「Alk」はC1〜C6アルキル基を指す)のポリエチレングリコール鎖を表し、
1、R2基の少なくとも1つはポリエチレングリコール鎖を表すと理解される)のアミノポリエチレングリコールである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
親水性生体内分布リガンドCの一部分がアミノアルコールリガンドであり、別の部分がポリエチレングリコールリガンドである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
コアへグラフトされるのが、一方で標的要素S−Cであり、他方では生体内分布リガンドを有さない安定化基Sである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
コアへの標的要素のグラフトの程度が1〜10%、有利には1、2、3、5または10%である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
要素S−C−Tをグラフトするステップをさらに含み、Cがポリエチレングリコールリガンドであり、Tが発色団を表す、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
式:S−C
(式中、
Sは式:X−L−CH(PO322(LはX官能基をgem−ビスホスホネート−CH(PO322官能基に結合する有機基を表し、Xは親水性リガンドCとカップリングできる化学官能基を表す)のgem−ビスホスホネート連結基であり、
CはアミノアルコールまたはPEGから選択される親水性生体内分布リガンドである)の標的要素。

【公表番号】特表2010−540605(P2010−540605A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527508(P2010−527508)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【国際出願番号】PCT/FR2008/051802
【国際公開番号】WO2009/053596
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(591052505)
【氏名又は名称原語表記】GUERBET
【Fターム(参考)】