説明

親水性相互作用クロマトグラフィー用充填剤

【課題】極めて優れた親水性相互作用を発現する充填剤及び分離方法を提供する。
【解決手段】下記式(6)などで示される表面改質剤で処理された改質担体からなる親水性相互作用クロマトグラフィー用充填剤である。


(6)式中、mは2〜6、nは1〜4である。X1、X2、X3は、それぞれ単独に、メトキシ基、エトキシ基またはハロゲンである。ただし、X1、X2、X3のうち、2つまではメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基のいずれでも良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親水性相互作用クロマトグラフィー用充填剤及びその充填剤を用いた分離方法に関する。
【0002】
さらに詳しくは、充填剤表面にホスホリルコリン基を密に存在させることにより、優れた親水性相互作用を発現する充填剤に関する発明である。本発明の充填剤によって、極性化合物を、極めてシャープなピーク形状と充分な保持による優れた分離が可能となる。
【背景技術】
【0003】
ホスホリルコリン基を有する重合体は生体適合性高分子として検討されており、この重合体を各種基剤に被覆させた生体適合性材料が開発されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、2−メタクロイルオキシエチルホスホリルコリンの単独重合体及び共重合体で被覆した粉末を、化粧料用粉末として利用して保湿性や皮膚密着性を改善した化粧料が開示されている。
【0005】
また、特許文献2及び特許文献3には、ホスホリルコリン基を有する重合体で被覆した医療用材料や分離剤が開示されている。
【0006】
上記の材料は、主に水酸基を有するアクリル系モノマーと2−クロロ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−オキシドを反応させ、更にトリメチルアミンにより4級アンモニウムとすることによりホスホリルコリン構造を有するモノマーを合成しこれを重合して得られる重合体により、その表面が被覆されたものである(重合体の製造方法に関しては特許文献4及び5を参照)。
【0007】
特許文献4には、2−メタクロイルオキシエチルホスホリルコリンとメタクリル酸エステルの共重合体が製造され、特許文献5には2−メタクロイルオキシエチルホスホリルコリンの単独重合体が製造されている。
【0008】
以上に示した生体適合性は、ホスホリルコリンが細胞膜の最外面を構成していることに着目した性質であるが、一般的に生体適合性を獲得する上で重要な物理化学的な要素のひとつが親水性である。ホスホリルコリン基も高い親水性を有していることは、非特許文献1にも記載されている。加えてホスホリルコリン基は双性イオン構造でありながら電気的に中性であることも重要な点である。
【0009】
一方、親水性の相互作用を活用したクロマトグラフィーが近年、生物学および医薬分野において急速にその重要性を増している。親水性相互作用クロマトグラフィーとは、移動相に有機溶媒を多く用いたときに生じる親水性物質同士の相互作用により物質を分離する手法である。この親水性相互作用クロマトグラフィーは、最も汎用的に用いられている疎水性相互作用クロマトグラフィーとは正反対の相互作用を利用したものである。疎水性相互作用クロマトグラフィーは、充填剤表面に存在するオクタデシル基(C18基)に代表されるような疎水性官能基と、分析対象物質の疎水性同士の相互作用の強弱により分離を達成する。
【0010】
疎水性相互作用クロマトグラフィーは、例えば疎水性物質同士の微弱な差を認識して分離することを得意とするが、親水性物質同士の分離能力が極めて弱く、これらの分析には適さない。
これとは逆に、充填剤に親水性官能基を修飾し、分析対象物質の微弱な親水性の差を認識して分離する方法が、親水性相互作用クロマトグラフィーである。
【0011】
水が豊富な生体内において、親水性化合物はさまざまな形で重要な生理機能を担っている。例えば、糖類、DNAなどを構成する核酸塩基、タンパク質を構成するアミノ酸、水溶性のビタミン、ホルモン類は、親水性が高いために一般的な疎水性相互作用カラムでの分析が極めて困難であった。
【0012】
親水性物質の分析に適した親水性相互作用クロマトグラフィー用充填剤にはいくつか実用化されたものが存在する。最も単純な充填剤としては、シリカゲルそのものを充填したカラムである。例えばウォーターズ コーポレーションよりAtrantis Hilic Silicaとして市販されている。このような充填剤はシリカゲルそのものが有する親水性を利用するものである。
【0013】
しかしながら、水を含む移動相を長時間使うことでシリカゲルが徐々に溶解する問題がある。加えて、広く知られているシラノールが電離して負電化を帯びることで、正電荷を有する分析対象物質のピーク形状が崩れる、吸着するという問題が挙げられている。
【0014】
シリカゲルの溶解を防ぐために、親水性の官能基を有するシランカップリング剤で修飾を行った充填剤も存在する。例えば日本ダイオネクス株式会社からは親水性の官能基としてジオール基(二つの水酸基を有する官能基)をシリカゲルに固定化した充填剤が上市されている。また、東ソー株式会社からはカルバモイル基を親水性官能基として有するカラムが上市されている。これら二つの親水性官能基は、先ほどのシリカゲルそのものを用いるものを含めて親水性相互作用カラムとして広く認知され、多くの分析が行われている。
【0015】
また、特許文献6および7には、ベタイン構造(即ち双性イオン構造)を有する有機シラン系表面改質剤(即ちシランカップリング剤)が開示されている。特許文献6では、ジメチルアミノアルキルシランを有機溶媒中1,3−プロパンスルトンと反応させることで、4級アンモニウムの正電荷とスルホン酸の負電荷からなるスルホベタインを有するシランカップリング剤を得ることができるとされている。
【0016】
特許文献7では、4級アンモニウムとカルボキシル基からなるカルボキシベタインを有するシランカップリング剤の製造方法が記載されている。これらのシランカップリング剤によりシリカゲル表面を親水的に改質することが可能である。しかし、これらの構造のベタインでは物質表面に親水性を付与することができても、ベタイン中の正電荷と負電荷の強さに偏りがあるために電気的に中性にはならない。例えば、スルホベタインではスルホン酸の強酸性によって負電荷を帯び、カルボキシベタインでは4級アンモニウムによる正電荷の性質が現れる。
したがって、このようなベタイン構造では親水性相互作用のみならずイオン交換相互作用が同時に現れることから、イオン性化合物の吸着やピーク形状の乱れが生じる。
【0017】
一方、ホスホリルコリン基は電気的に中性なベタイン官能基である。非特許文献1には、担体上に化学的にグラフトされたホスホリルコリン基により、タンパク質の吸着が減少することが記載されている。また非特許文献2には、同様にグラフト重合により表面修飾されたホスホリルコリン基による親水性相互作用クロマトグラフィーが示されている。
【0018】
しかしながら、上記非特許文献1において検討されたホスホリルコリン基修飾充填剤は、イオン交換性と考えられる相互作用が認められるとされている。本来電気的に中性であるはずのホスホリルコリン基により修飾された充填剤がイオン交換性を示す理由として、グラフト重合のような重合体による修飾ではシリカ表面を覆うのに不十分であることが挙げられ、その結果、シリカゲル由来の電荷が分離に影響したものと考えられる。
以上から、従来の当業者の技術常識は、ホスホリルコリン基により修飾された充填剤はおよそ親水性相互作用カラムには使用できないというものであった。
一方、グラフト重合により、極めて立体障害性の高いホスホリルコリン基を、定量的に高い密度で、充填剤となる担体表面に修飾させることは、極めて困難でもあった。
【0019】
特許文献8には、ホスホリルコリン基で担体表面を修飾したクロマトグラフィー用充填剤が記載されている。
しかしながら、特許文献8に記載のクロマトグラフィー用充填剤は主としてサイズ排除モードのクロマトグラフィーに応用するものであって、これを親水性相互作用による極性化合物分離のための充填剤として使用するという発想はおよそ当業者に存在しなかった。
【0020】
【特許文献1】特開平7−118123号公報
【特許文献2】特開2000−279512号公報
【特許文献3】特開2002−98676号公報
【特許文献4】特開平9−3132号公報
【特許文献5】特開平10−298240号公報
【特許文献6】特開平5−222064号公報
【特許文献7】特開昭63−295593号公報
【特許文献8】特開2005−187456号公報
【非特許文献1】Water in Biomaterials Surface Science. Edited by M. Morra.(2001 John Wiley & Sons, Ltd.)
【非特許文献2】Tohru Ikegamiら、J.Chrom.A、2008、1184、474-503
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
ホスホリルコリン基を有する重合体により物体の表面を被覆して改質する方法では、複雑な細孔構造を持つシリカゲル表面全体を均一に被覆することは難しく、細孔の微細構造のような担体の基本的性質が失われる場合さえある。
このことは、非特許文献2において、グラフト重合により導入したホスホリルコリン基修飾シリカを充填したカラムではピークのシャープさを示す理論段数が低いことに深く関連する。
【0022】
また、ジオールやカルバモイル基のような低分子のシランカップリング剤により親水性の修飾を行う場合でも、シリカゲルのシラノール基の負電荷によるイオン交換性や、修飾鎖の疎水性部位による親水性の低下が課題である。
【0023】
このように、現状の親水性相互作用クロマトグラフィー用においては一部の親水性化合物ピークの理論段数の低下や、移動相中の塩濃度により保持時間が大きく変動するといった課題がある。
【0024】
発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った。そして、非特許文献1のようにグラフト重合などの重合体ではないホスホリルコリン基を直接化学的に担体表面に結合させた充填剤により(即ち特許文献8記載の充填剤を用いて)、極性化合物の分離を行ってみると、驚くべきことに、充填剤のイオン交換性が抑制され、極めて優れた親水性相互作用を発現して、極めてシャープなピーク形状と充分な保持による優れた分離が可能となるを発見し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0025】
すなわち、本発明は、下記式(1)で示されるホスホリルコリン基が担体表面に直接的に化学結合していることを特徴とする親水性相互作用クロマトグラフィー用充填剤を提供するものである。
【化1】

(1)
【0026】
また、本発明は、下記式(2)で示される表面改質剤で処理された改質担体からなる親水性相互作用クロマトグラフィー用充填剤を提供するものである。
【化2】

(2)
式中、mは2〜6、nは1〜4である。
1、X2、X3は、それぞれ単独に、メトキシ基、エトキシ基またはハロゲンである。ただし、X1、X2、X3のうち、2つまではメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基のいずれでも良い。
Rは下記式(3)〜(5)中の構造のいずれかである(ただし、下記式(3)〜(5)において、式(2)の化合物をA−R−Bで表す)。

【化3】

(3)

【化4】

(4)

【化5】

(5)
式(3)〜(5)中、Lは1〜6、Pは1〜3を表す。
【0027】
さらに、本発明は、下記式(6)または(7)で示される表面改質剤で処理された改質担体からなる親水性相互作用クロマトグラフィー用充填剤を提供するものである。
【化6】

(6)

【化7】

(7)
式中、mは2〜6、nは1〜4である。X1、X2、X3は、それぞれ単独に、メトキシ基、エトキシ基またはハロゲンである。ただし、X1、X2、X3のうち、2つまではメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基のいずれでも良い。
【0028】
また、本発明は、前記担体が、シリカであることを特徴とする上記のクロマトグラフィー用充填剤を提供するものである。
【0029】
さらに、本発明は、前記シリカが球状または破砕型で、その平均粒径が1〜200μmであることを特徴とする上記のクロマトグラフィー用充填剤を提供するものである。
【0030】
また、本発明は、前記シリカが多孔性で、その細孔の平均径が10〜2000オングストロームであることを特徴とする上記のクロマトグラフィー用充填剤を提供するものである。
【0031】
さらに、本発明は、水溶性有機溶媒を50%以上含む水溶液を移動相として使用して、上記のクロマトグラフィー用充填剤が充填されたカラムにより、高極性物質を含む物質を分離する方法を提供するものである。
【0032】
また、本発明は、水を含まない有機溶媒を移動相として使用して、上記のクロマトグラフィー用充填剤が充填されたカラムに、高極性物質を含む物質を分離する方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0033】
本発明の充填剤を使用すれば、極性化合物(具体的には、糖類、核酸塩基類、アミノ酸類、ビタミン類、ホルモン類、親水性薬剤、ペプチドなど)の親水性相互作用により、既存の充填剤に比べて、極めてシャープなピーク形状と充分な保持による優れた分離を行うことができる。
【0034】
さらに詳細には、本発明の充填剤は、非特許文献2の充填剤に比べ、ホスホリルコリン基を定量的かつ高密度に物体表面の微細構造を損なうことなく導入することができ、また、ホスホリルコリン基以外の未反応官能基が導入されることも無い。
そして、充填剤にシリカを使用した場合は、ホスホリルコリン基は一般的な親水性官能基(ジオール基やカルバモイル基)に比べて嵩高いため、負に帯電したシリカゲル表面に分析対象物質が相互作用することを防ぐことができるという利点を有する。加えて、同程度に嵩高い、ホスホリルコリン基以外の双性イオン(スルホン酸−4級アンモニウム型やカルボン酸−4級アンモニウム型)のように電荷を有さない。
したがって、ホスホリルコリン基は、親水性以外の相互作用が極めて抑制された充填剤を提供することが可能である。
【0035】
本発明においては、ピーク形状の悪化(テーリング)や微量イオン性物質の吸着による分析感度の低下を防ぐことが可能となり、極めて優れた極性化合物の分離が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
「表面改質剤と、それによって担体表面を処理することによって製造される本発明の充填剤」
<表面改質剤>
下記式(8)に示したホスホリルコリン誘導体を蒸留水に溶解させる。下記式(8)のホスホリルコリン誘導体は公知の化合物であり市販品を入手できる。
【化8】

(8)
【0037】
式(8)の化合物の水溶液を氷水浴中で冷却し、過ヨウ素酸ナトリウムを添加し、5時間攪拌した。反応液を減圧濃縮、減圧乾燥し、メタノールにより下記式(9)に示すアルデヒド基を有するホスホリルコリン誘導体を抽出する。構造式及びNMRスペクトルを図1に、Massスペクトルを図2に示す。
【化9】

(9)
【0038】
次に、式(9)のメタノール溶液に3−アミノプロピルトリメトキシシランを0.5当量添加する。この混合溶液を室温で所定時間撹拌したのち、氷冷し、シアノヒドロホウ素化ナトリウムを適量添加し、室温に戻して16時間撹拌する。この間も反応容器には乾燥窒素を流し続ける。沈殿をろ過した後、式(6)及び/又は式(7)のメタノール溶液を得る。
【0039】
次に、これらの化合物の精製方法について説明する。本発明の化合物の精製方法は以下に限るものではない。
得られたメタノール溶液を減圧濃縮し、残留物を蒸留水に溶解させる。この水溶液を試料とする。疎水性相互作用とカチオン交換能を有する高速液体クロマトグラフィー用カラムである、カプセルパックSCX UG80 S−5 (サイズ:4.6mmi.d.×250mm)(株式会社資生堂)をHPLC装置に接続し、0.2mmol/Lのリン酸緩衝液(pH3.5)を1mL/分の流速で流して平衡化させたのちに、試料を10μL注入する。検出器として示差屈折計を用いることでクロマトグラムを得られ、目的とする化合物を単離することができる。
ただし、これらの化合物は、精製前のメタノール溶液の段階で、シリカを初めとする担体の表面修飾にそのまま用いることが可能である。
【0040】
上記の手順は、式(6)または(7)に示した化合物中のm、nが変わっても同様に行うことができる。ここで示した手順はm=3、n=2の場合である。さらにアミノ基を有するシラン化合物として3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン等を用いることによってシラン部位とホスホリルコリン基の間に2級アミンを挿入することも可能で、これについても上記と同様の手順で行うことができる。反応溶媒は特に限定されず、上述したメタノール以外にも水や、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール、N,N−ジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシドなどの非プロトン性溶媒を用いることができる。ただし、反応中の有機シラン化合物の重合を防ぐためには脱水溶媒が好ましい。
また、式(6)または(7)中のメトキシ基(OCH3)がエトキシ基(OC25)である場合にはメタノールをエタノールに変えて反応を行い、Clの場合はジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシドに変更する。
さらには、Siと結合するメトキシ基またはエトキシ基またはClの内、2つまたは1つがメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基のいずれかで置換されている場合も上記の手法と同様に製造することができる。
【0041】
式(7)記載の化合物は、カルボキシル基を有するホスホリルコリン誘導体を用いて製造することも出来る。
【0042】
グリセロホスホリルコリン、過ヨウ素酸ナトリウム、3塩化ルテニウム(水和物)をアセトニトリル水溶液に加える。室温にて攪拌した後、ろ過し、濾液から溶媒を除去する。得られた固形物からメタノールにて目的物を抽出、続いてメタノールを留去することによって下記式(10)に示すカルボキシル基を有するホスホリルコリン誘導体を得る。構造式及びNMRスペクトルを図3に、Massスペクトルを図4に示す。
なお、反応溶媒は水でも可能であり、また、過ヨウ素酸以外にも他の過ヨウ素酸塩や過ヨウ素酸などを用いることも可能であり、三塩化ルテニウム以外にも、他の二価及び/または三価のルテニウム化合物やそれらの水和物などを用いることも可能である。
【化10】

(10)
【0043】
次に、式(10)に示した化合物のメタノール溶液に、3−アミノプロピルトリメトキシシランを0.5等量、およびN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)とN−エチル−N'−3−ジアミノプロピルカルボジイミド(EDC)をそれぞれ1等量添加する。この混合溶液を室温にて3時間攪拌することにより、式(7)に示す化合物を得る。
なお、反応溶媒はN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、クロロホルムなどメタノール以外でも可能であり、また、NHS、EDC以外にも、ジシクロカルボジイミド(DCC)、カルボキシジイミダゾール(CDI)などを用いることも可能である。
上記の手順は、式(7)に示した化合物中のm、nが変わっても全く同様に行うことができる。ここで示した手順はm=3、n=2の場合である。ただし、反応中の有機シラン化合物の重合を防ぐためには脱水溶媒が好ましい。
また、式(7)中のメトキシ基(OCH3)がエトキシ基(OC25)である場合にはメタノールをエタノールに変えて反応を行い、Clの場合はジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシドに変更する。
さらには、Siと結合するメトキシ基またはエトキシ基またはClの内、2つまたは1つがメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基のいずれかで置換されている場合も上記の手法と全く同様に製造することができる。
【0044】
<親水性相互作用クロマトグラフィー用充填剤の製造>
上述の表面改質剤により、担体表面を改質して、容易に希望する量のホスホリルコリン基を有する本発明のクロマトグラフィー用充填剤を製造することが出来る。
具体的には、担体表面に存在する水酸基と、式(6)または(7)の化合物のSi−OCH3との脱水反応によってホスホリルコリン基を担体表面に導入する。
【0045】
式(6)または(7)の化合物のメタノール溶液(0.3mmol/mL)20mLに、蒸留水20mLを加え、平均粒子径5μm、平均細孔径300オングストローム、比表面積100m2/gの球状高純度シリカゲルを4g添加する。この粉体分散液をオイルバス中80℃で還流し、5時間後に粉体をろ過し、メタノールで洗浄し、80℃で3時間減圧乾燥することでホスホリルコリン基を表面に直接有する粉体を容易に得ることができる。
反応溶媒は水−メタノール混合溶媒以外にも、水、エタノール、2−プロパノール等のプロトン性溶媒や、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、トルエン、ジエチルエーテル等の非プロトン性溶媒を使用でき、これらを単一、または組み合わせて用いることができる。
【0046】
なお、担体表面に水酸基が存在しない場合は、式(6)または(7)の化合物を揮発性溶媒に溶解させ、その溶液を物質表面に塗布、その後溶媒を乾燥させる方法が有効である。具体的には、式(6)または(7)の化合物のメタノール溶液(0.3mmol/mL)を物質の比表面積応じて適量を直接物質に塗布する。次に10℃から250℃の温度範囲でメタノールを気化させる。このとき、式(6)または(7)の化合物のSi−OCH3どうしが脱水反応を起こし、Si−O−Si結合を生成し、物質表面を覆うことが可能である。この脱水反応は公知である。メタノールの揮発の際にこのように生成する膜は、ほとんどの物質表面に微量に存在する水酸基とも所々で結合を生じるために安定性の良好な表面改質を行うことができる。
本法は水酸基を持たない担体のみならず、水酸基を有する担体についても極めて有効である。
【0047】
担体表面に先にアミノ基を導入してから、グリセロホスホリルコリンの酸化的解裂反応により得られるアルデヒド体を含有する化合物を導入させる方法と、上記方法との最大の相違点は、物体表面における未反応のアミノ基の有無である。
すなわち、上記方法は、担体表面に未反応のアミノ基を混在させることなくホスホリルコリン基だけを導入することができる。先にアミノ基を粉体表面に導入する場合は、2段階目のホスホリルコリン基を導入させる反応が、液相中のグリセロホスホリルコリンのアルデヒド体と固相表面のアミノ基とが反応しなければならないために拡散律速や固相表面の立体構造による立体障害、ホスホリルコリン基自体の立体性等によって反応率が低い。そのため、約30%のアミノ基にしかホスホリルコリン基を導入することができない。残存したアミノ基は別の低分子化合物を結合させることによってある程度封鎖することが可能であるが、担体表面の親水性を維持することが困難である上に、その全てを封鎖することはできない。
【0048】
また、担体表面にアミノ基が多く残存する場合、アミノ基は強い塩基性を有しているために、主に酸性の化合物と著しく強い電気的な相互作用を示し、そのほとんどが吸着してしまう。クロマトグラフィー用充填剤としてとらえた場合は当該化合物の回収率及び検出感度の悪化や、ピーク形状の著しいテーリングの原因となる。
【0049】
本発明で使用する担体には、シリカ、シリカゲル、活性炭、ゼオライト、アルミナ、粘土鉱物等の無機多孔質体、多孔質の有機高分子樹脂がある。担体は粉体が好ましい。好ましくは球型または破砕型多孔質シリカゲルである。球状シリカの平均粒径は1〜200μm、好ましくは1〜10μm、多孔質シリカの細孔の平均径が10〜2000オングストローム、好ましくは50〜1000オングストロームで、比表面積は0.01〜800m2/gである。
【0050】
本発明のクロマトグラフィー用充填剤が充填されたカラムにおいては、水溶性有機溶媒を50%以上含む水溶液を移動相として使用することで、高極性物質を含む物質を親水性相互作用により分離することができる。
水溶性有機溶媒とは、例えばアセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド及びメタノールなどの脂肪族アルコールのような一般的に液体高速クロマトグラフィーで用いられる溶媒である。これら複数を任意の比率で混合して用いてよい。
当然、液体高速クロマトグラフィー用移動相に用いられる一般的な塩、pH調整剤、pH緩衝剤、分離調整剤のような添加剤を用いてよい。
【0051】
また、本発明のクロマトグラフィー用充填剤が充填されたカラムにおいては、水を含まない有機溶媒を移動相として使用することで、高極性物質を含む物質を親水性相互作用により分離することができる。
有機溶媒とは、例えばアセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、メタノールなどの脂肪族アルコール、シクロヘキサノールのような環状アルコール、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ベンゼンのような一般的に液体高速クロマトグラフィーで用いられる溶媒であり、これら複数を任意の比率で混合して用いてよい。
当然、液体高速クロマトグラフィー用移動相に用いられる一般的な塩、pH調整剤、pH緩衝剤、分離調整剤のような添加剤を用いてよい。
【0052】
本発明の充填剤及び分析条件を使用すれば、極性化合物、特に糖類、核酸塩基類、アミノ酸類、ビタミン類、ホルモン類、親水性薬剤、ペプチドなどの親水性相互作用によって、既存の分離技術に比べて、極めてシャープなピーク形状と充分な保持による優れた分離を行うことができる。
【実施例】
【0053】
以下実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0054】
「実施例1:アミド結合をスペーサーに有し、ホスホリルコリン基を末端に有する有機シラン化合物によって処理された親水性相互作用クロマトグラフィー用充填剤」
【0055】
200mlフラスコ内に、グリセロホスホリルコリン5g(19.4mmol)、過ヨウ素酸ナトリウム17g(79.7mmol、4.1eq)(和光純薬工業株式会社)、3塩化ルテニウム(水和物)81mg(0.39mmol、0.02moleq)(和光純薬工業株式会社)、および、イオン交換水70g、アセトニトリル30gを加える。室温にて2時間攪拌した後、ろ過し、濾液から溶媒を除去する。得られた固形物からメタノールにて目的物を抽出、続いてメタノールを除去することによって式(10)に示すカルボキシル基を有するホスホリルコリン誘導体を得た。式(10)の化合物のNMRスペクトルを図3に、Massスペクトルを図4に示す。
【化11】

(10)
【0056】
上記式(10)の化合物3g(12.4mmol)を脱水したメタノールに100mlに溶解させ、容器内を乾燥窒素で置換する。次に、3−アミノプロピルトリメトキシシラン1.1g(6.2mmol)、N−ヒドロキシスクシンイミド1.4g(12.4mmol)およびN−エチル−N’−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド2.4g(12.4mmol)を添加し、−10℃で16時間反応させ、下記式(11)に示すアミド結合をスペーサーに有し、ホスホリルコリン基を末端に有する有機シラン化合物を含む溶液を得た。図6に式(11)に示す化合物のNMRスペクトルを示す。
【化12】

(10)

【化13】

(11)

また、上記式(10)に示した化合物の代わりに、ホスホリルコリン基とカルボキシル基の間に炭素数5の飽和アルキル鎖を有するO−ホスホリルコリンヒドロキシヘキサン酸を用いると、同様の手順により、式(2)中、m=3、n=2、Rが式(4)L=5で示される化合物が得られる。
【0057】
式(11)の化合物を含む溶液30mL(0.25mmol/mL)に蒸留水35mLを加え、さらに平均粒子径5μm、平均細孔径10nmで比表面積が350m2/gのシリカゲルを14g添加した。この粉体分散溶液を80℃で5h還流した。還流の後メタノール100mLでろ過洗浄し、目的の充填剤を得た。以上の手順で得られた充填剤の窒素含有量は0.32mmol/gであった。修飾基1molにつき、窒素原子が2mol存在することから、本方法により0.16mmol/gの修飾基をシリカゲルに導入することができた。
【0058】
図5に本実施例で製造した充填剤のFT−IRスペクトルを示す。
1650cm-1付近にアミド結合に特有の吸収を観測することができた。
【0059】
実施例1で製造した充填剤を、通常のスラリー法により、内径4.6mm、長さ250mmのエンプティカラムに充填した。クロマトグラムの取得条件は次の通りである。
移動相: 10 mmol/L HCOONH4, CH3CN/H2O=90/10 (pH=7.19)
流速: 1.0 mL/min
温度: 40℃
検出: UV 254 nm
【0060】
図7に本発明のクロマトグラフィー用充填剤を充填したカラムで核酸塩基化合物3種とナフタレンを分析した結果を示す。一般の逆相カラムでは疎水性の高いナフタレンの保持が最も大きくなるが、本発明の充填剤では、ナフタレンの保持が最も小さく、ナフタレンよりも親水性が高い極性化合物の核酸塩基3種がより保持されていることがわかる。親水性相互作用クロマトグラフィーでは親水性の化合物を、逆相クロマトグラフィーでは疎水性の化合物をそれぞれ大きく保持することから、本発明の充填剤は親水性相互作用により分離を達成していることがわかる。
さらに本発明によれば、親水性の高い核酸塩基3種どうしも極めて良好に分離されている。ピークの対称性をあらわすンメトリー係数(シンメトリー係数=1でピークが完全に対称、1以上でテーリング(ピーク後半が尾を引く)であることを示す)も1に近く、極めて良好な分離が行われていることがわかる。
【0061】
「比較例1:一般的な親水性官能基を有する充填剤との親水性相互作用の比較」
図8に、本発明の充填剤と、代表的な親水性官能基であるポリエチレンオキサイドを実施例1と同一のシリカゲルに修飾したカラム充填剤との比較を示した。
クロマトグラムの取得条件は次の通りである。
移動相: 10 mmol/L HCOONH4, CH3CN/H2O=90/10 (pH=7.19)
流速: 1.0 mL/min
温度: 40℃
検出: UV 254 nm
【0062】
比較対象ではカラム長さが短い(150mm)が、保持時間はカラム長さに正比例することを勘案すれば、図8より明らかなように、本発明のカラムは親水性相互作用クロマトグラフィーにおいて、一般的な修飾方法よりも極めて大きな保持時間を示すことがわかる。これはホスホリルコリン基を用いて親水性相互作用クロマトグラフィーを実施することによりはじめて明らかになった結果である。
【0063】
「比較例2:上市されている代表的な親水性相互作用クロマトグラフィー用充填剤との親水性相互作用の比較」
【0064】
次に、上市されている中で最も広く利用されている親水性相互作用クロマトグラフィーカラムの一つであるTSKgel Amide-80 5μm(東ソー株式会社)との比較について示す。比較対象としたこのカラムはカルバモイル基をシリカゲルに固定化したものであるとされている。クロマトグラフィー条件は次の通りである。
カラム: 4.6 mmi.d. x 250 mm
温 度: 40℃
移動相: 10 mmol/L HCOONH4, CH3CN/H2O=90/10 (pH=7.19)
10 mmol/L HCOONH4, CH3CN/H2O=90/10 (pH=3.50)
流 速: 1.0 mL/min
検 出: UV/254 nm
試 料: チミン 50μg/mL、アデニン 50μg/mL、シトシン 100μg/mL、ナフタレン 100μg/mL in 50% CH3CN
注入量: 5μL
【0065】
同一サイズで両カラムを比較した結果を二種類挙げる。
先ずpHが酸性の移動相を用いた結果を図9に示した。移動相が酸性の場合、カラム充填剤担体のシリカゲル上に残存するシラノール基は中性であるので、カラム全体としては電気的に中性となり、親水性相互作用以外の相互作用は存在しないと考えられる。
この条件において、本発明の充填剤は、比較例2よりも大きい保持を示した。これは本発明のカラムがより強い親水性相互作用を有するカラムであることを示している。
さらに着目すべきは、本発明によるカラムによって得られたピークの理論段数の高さ(理論段数が高いほどシャープなピークであることを表す)である。本発明では全ての核酸塩基化合物について、理論段数20000以上を得た。比較例2では、理論段数5000〜7000であることを考えると、本発明のカラムは親水性相互作用における親水性化合物の分離に極めて有効であることを示す。
【0066】
図9にて、特に重要な注目すべき点は、一般的な親水性相互作用クロマトグラフィー用充填剤では分析が極めて難しいチミンの分離ピークである。
比較例2においては5000段であるところ、本発明のカラムにおいては22000段という驚異的な理論段数を得た。
すなわち、本発明の充填剤はチミンの分離特性に極めて優れている。
【0067】
このようにシャープなピークが得られるということは、隣接するピークがある場合でも正確な分析を行うことができることを示している。
さらには、極めて微量な物質であっても、ピークがシャープであることにより検出感度を向上できることを意味しており、単純計算でも本例におけるチミンについては4倍以上もの、そのほかの物質についても3倍程度の感度向上を見込むことができる。
このように、本発明の親水性相互作用クロマトグラフィー用カラム充填剤は、現在最も信頼される同分野のカラム充填剤と比べて圧倒的に優れている。
【0068】
ピークの理論段数は充填剤の粒子径が小さい場合に高くなることが知られており、この場合、粒子系が小さいほどカラム圧力が高くなる。すなわち、カラム圧力が高く、かつ、理論段数が高い、という場合は単純にカラム充填剤の粒子径が小さくなったためと類推される。
しかしながら、図9に示したとおり、本発明のカラム充填剤(4.9MPa)は比較対象(4.6MPa)と同等のカラム圧力であった。
この結果は、本発明のカラム充填剤により得られる理論段数の高さが充填剤の粒子径という、官能基とは無関係な理由によるものではないことを示している。加えて、粒子径に依存する理論段数の変化は物理的な要因であるから、全ての化合物に対して同じ割合で理論段数が変化するのに対し、本発明ではチミンにおいて驚異的な理論段数を示した。
このような、化合物に応じて増減する傾向は、充填剤の物理的要因を否定し、表面修飾の効果を反映するものである。
【0069】
次にpHが中性である移動相を用いた結果を図10に示した。移動相が中性の場合、カラム充填剤担体のシリカゲル上に残存するシラノール基は酸性となるために、一般的な表面修飾方法ではカラム全体が負電荷を帯びる。
したがって、親水性相互作用カラムとしてはイオン性相互作用がイレギュラーに関与したり、正電荷を帯びる塩基性物質の吸着や理論段数の低下を招いたりするため、望ましくない。この観点で図9と図10を比較すると、比較対象カラムでは移動相が中性になることによって各物質の保持時間が大幅に増加していることがわかる。分析対象物質が正電荷を帯びやすい塩基性物質である核酸塩基(すなわち負電荷を帯びた充填剤と相互作用する)であることを考えれば、比較対象カラムにおいてはイオン交換相互作用が生じたことは明白である。これはシリカゲル表面に残存したシラノール基による影響と推察される。このような、比較対象における中性移動相での保持時間の増加は好ましくない保持時間の増加である。
【0070】
一方、本発明のカラムでは移動相のpHが変化してもほとんど保持時間が変動していない。この結果は本発明が純粋な親水性相互作用に基づく分離であることを示している。しかもその保持能力は市販の充填剤に比べ高く、理論段数が極めて高い。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明のホスホリルコリン基を含有する親水性相互作用クロマトグラフィー用カラム充填剤は、提示した移動相組成において、極性化合物(即ち親水性物質)の分離、分析において極めて有効である。
本発明にて分離可能な親水性物質には、糖類、DNAなどを構成する核酸塩基、タンパク質を構成するアミノ酸、水溶性のビタミン、ホルモン類など生物学的に極めて重要な化合物が含まれ、これらの分析において高感度な検出、高性能な分離を実現するものである。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】式(9)の化合物の1H−NMRスペクトルである。
【図2】式(9)の化合物のMassスペクトルである。
【図3】式(10)の化合物の1H−NMRスペクトルである。
【図4】式(10)の化合物のMassスペクトルである。
【図5】実施例1の充填剤のFT−IRスペクトルである。
【図6】式(11)の化合物の1H−NMRスペクトルである。
【図7】実施例1の充填剤のクロマトグラムである。
【図8】実施例1と比較例1の充填剤によるクロマトグラムである。
【図9】実施例1と比較例2の充填剤によるクロマトグラムである。
【図10】実施例1と比較例2の充填剤によるクロマトグラムである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で示されるホスホリルコリン基が担体表面に直接的に化学結合していることを特徴とする親水性相互作用クロマトグラフィー用充填剤。
【化1】

(1)
【請求項2】
下記式(2)で示される表面改質剤で処理された改質担体からなる親水性相互作用クロマトグラフィー用充填剤。
【化2】

(2)
式中、mは2〜6、nは1〜4である。
1、X2、X3は、それぞれ単独に、メトキシ基、エトキシ基またはハロゲンである。ただし、X1、X2、X3のうち、2つまではメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基のいずれでも良い。
Rは下記式(3)〜(5)中の構造のいずれかである(ただし、下記式(3)〜(5)において、式(2)の化合物をA−R−Bで表す)。

【化3】

(3)

【化4】

(4)

【化5】

(5)
式(3)〜(5)中、Lは1〜6、Pは1〜3を表す。
【請求項3】
下記式(6)または(7)で示される表面改質剤で処理された改質担体からなる親水性相互作用クロマトグラフィー用充填剤。
【化6】

(6)

【化7】

(7)
式中、mは2〜6、nは1〜4である。X1、X2、X3は、それぞれ単独に、メトキシ基、エトキシ基またはハロゲンである。ただし、X1、X2、X3のうち、2つまではメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基のいずれでも良い。
【請求項4】
前記担体が、シリカであることを特徴とする請求項1〜3記載のクロマトグラフィー用充填剤。
【請求項5】
前記シリカが球状または破砕型で、その平均粒径が1〜200μmであることを特徴とする請求項4記載のクロマトグラフィー用充填剤。
【請求項6】
前記シリカが多孔性で、その細孔の平均径が10〜2000オングストロームであることを特徴とする請求項4又は5記載のクロマトグラフィー用充填剤。
【請求項7】
水溶性有機溶媒を50%以上含む水溶液を移動相として使用して、請求項1〜6の何れか1項記載のクロマトグラフィー用充填剤が充填されたカラムにより、高極性物質を含む物質を分離する方法。
【請求項8】
水を含まない有機溶媒を移動相として使用して、請求項1〜6の何れか1項記載のクロマトグラフィー用充填剤が充填されたカラムに、高極性物質を含む物質を分離する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−71707(P2010−71707A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−237364(P2008−237364)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】