説明

親水性高分子を含む自動縫合器用縫合補強材

【課題】
補強効果に優れる自動縫合器用縫合補強材を提供する。
【解決手段】(A)脂肪族ポリエステル、ポリエステルエーテル、及びこれらの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の生体内分解吸収性材料を含むシート
を含む自動縫合器用縫合補強材であって、
シート(A)の少なくとも一つの面に
(B)親水性高分子を含む層
を有することを特徴とする、自動縫合器用縫合補強材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外科手術等において使用される自動縫合器に用いるのに好適な縫合補強材料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、肺や管状器官などの縫合と切離を同時に行うという手技が外科的手術において広く行われている。そして、この手技を行うために、多数のステープルを埋入したホチキスタイプのいわゆる自動縫合器(自動縫合切離器と呼ばれることもある。)が利用されている(非特許文献1)。また、離断した腸などの管状組織を吻合するために、自動吻合器が利用されることがある。
【0003】
自動縫合器は、(1)中央のレール上を前後方向へスライドすることによって生体組織を切離するカッティングナイフを備える切離部、及び(2)中央のレールの両端に通常2〜3列ずつ沿って並ぶ、生体組織縫合のためのステープルを備える縫合部からなる。縫合部は通常、さらにステープルを内蔵するカートリッジ部、及びステープル受け溝を有するフレーム部とからなる。自動縫合器は、縫合部と切離部が同時に、あるいは連続して(同志社追加)作動することにより、縫合と切離を一連の操作で行うことができる。図1に自動縫合器の一例を示す。カッティングナイフ11、カートリッジ部12、及びフレーム部13を示す。
【0004】
ステープルははじめカートリッジ部に格納されており、カートリッジ部内ではコの字をしている。器具を操作(ファイヤー)することによってステープルがB字型になり、生体組織端同士を縫合する。ステープルは通常、拒絶反応が少ないチタン又はチタン合金等で作られている。
【0005】
しかしながら、自動縫合器を用いた処置には、縫合された箇所(縫合箇所)において組織断裂が発生することがあるという問題があった。特に肺、気管支、肝臓、及び消化管その他の脆弱な生体組織における処置においてかかる問題が顕著であった。
【0006】
そこで従来、縫合箇所を補強することにより組織断裂を防ぐため、筒状のシートを自動縫合器の縫合部に被嵌させた状態で縫合を行い、ステープルと生体組織との間にそのシートを挟んだ状態で生体組織を縫合するという方法が行われてきた。そのようなシートは「自動縫合器用縫合補強材」と呼ばれることもある。
【0007】
自動縫合器用縫合補強材の縫合部への装着は、縫合部のカートリッジ部、及びフレーム部に被嵌させることによって行う。図1に自動縫合器に対して自動縫合器用縫合補強材を装着した一例を示す。カートリッジ部12、及びフレーム部13に対してそれぞれ自動縫合器用縫合補強材が装着されている。
【0008】
自動縫合器の縫合部に自動縫合器用縫合補強材を被嵌させた状態で縫合を行うことにより、自動縫合器用縫合補強材を上に重ねた状態で生体組織をステープルで縫合できる。自動縫合器用縫合補強材の上からステープルで縫合することにより、縫合箇所が補強される。なお、自動縫合器用縫合補強材は生体組織とともにステープルで縫合されると同時にカッティングナイフによって生体組織とともに切離される。このようにして、最終的に生体組織がいずれも自動縫合器用縫合補強材で縫合部が補強された状態で二つに切離される。
【0009】
自動縫合器の縫合部に被嵌させて装着するため、自動縫合器用縫合補強材の形状は通常筒状である。これまでに、生体内分解吸収性素材よりなるシートに伸縮性のあるネットを接合することにより筒状に成形したものが用いられてきた。かかる筒状自動縫合器用縫合補強材は、生体内分解吸収性素材よりなるシート部分が生体組織と接するように位置を調整した上で使用される(特許文献1、2)。
【0010】
しかしながら、従来の自動縫合器用縫合補強材は縫合箇所において生じる組織断裂を防ぐために縫合箇所を補強するという点(補強効果の点)で一定の効果は認められるものの、エアーリークあるいは縫合部の液漏れ防止という観点からはさらに改良する余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平8−47526号公報
【特許文献2】特開2001−70433号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】「産婦人科内視鏡下手術」、(2001年1月5日)、岩田嘉行編、南山堂発行、71頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、補強効果に優れる自動縫合器用縫合補強材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明者らは、自動縫合器用縫合補強材のうち生体組織に接する部分に親水性高分子を含む層を設けることにより、縫合箇所で組織断裂が発生するリスクを大幅に軽減できることを見出した。特に肺に適用すると驚くべきことに縫合箇所の空気漏れを顕著に抑制できるということも見出した。また、自動吻合器用の補強材としても用いることができることも見出した。
【0015】
本発明はかかる知見に基づきさらに検討を重ねた結果完成されたものであり、下記に掲げるものである。
【0016】
[項1]
(A)脂肪族ポリエステル、ポリエステルエーテル、及びこれらの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の生体内分解吸収性材料を含むシート
を含む自動縫合器用縫合補強材であって、
シート(A)の少なくとも一つの面に
(B)親水性高分子を含む層
を有することを特徴とする、自動縫合器用縫合補強材。
【0017】
[項2]
親水性高分子を含む層が、多孔質体である、項1記載の自動縫合器用縫合補強材。
【0018】
[項3]
親水性高分子が、アルギン酸、アルギン酸塩、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、及びコラーゲンからなる群より選択される少なくとも1種の親水性高分子である、請求項1又は2記載の自動縫合器用縫合補強材。
【0019】
[項4]
親水性高分子が、アルギン酸及びアルギン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種である、項1又は2記載の自動縫合器用縫合補強材。
【0020】
[項5]
さらに、
(C)カルシウムイオン供給源
を含む、項4記載の自動縫合器用縫合補強材。
【0021】
[項6]
カルシウムイオン供給源が、多糖及び糖酸からなる群より選択される少なくとも1種のカルシウム塩である、項5記載の自動縫合器用縫合補強材。
【0022】
[項7]
前記脂肪族ポリエステルが、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、又はこれらの共重合体である、項1〜6のいずれか記載の自動縫合器用縫合補強材。
【0023】
[項8]
前記ポリエステルエーテルが、
ポリ−1,4−ジオキサノン−2−オン、若しくはポリ−1,5−ジオキセパン−2−オン;又は
エチレングリコール及び脂肪族ポリエステルの共重合体
である、項1〜7のいずれか記載の自動縫合器用縫合補強材。
【0024】
[項9]
筒状である、項1〜8のいずれか記載の自動縫合器用縫合補強材。
【0025】
[項10]
さらに、
(D)伸縮性を有する編地又は織地
をシート(A)に接合してなる、項9記載の自動縫合器用縫合補強材。
【0026】
[項11]
(a)脂肪族ポリエステル、ポリエステルエーテル、及びこれらの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の生体内分解吸収性材料を含むシートの少なくとも一つの面に、親水性高分子を含む層を付与する工程
を含む、自動縫合器用縫合補強材の製造方法。
【0027】
[項12]
親水性高分子が、アルギン酸、アルギン酸塩、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、及びコラーゲンからなる群より選択される少なくとも1種の親水性高分子である、項11記載の方法。
【0028】
[項13]
親水性高分子が、アルギン酸及びアルギン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種である、項11記載の方法。
【0029】
[項14]
さらに、
(b1)脂肪族ポリエステル、ポリエステルエーテル、及びこれらの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の生体内分解吸収性材料を含むシートに、カルシウムイオン供給源を付与する工程
を含む、項11〜13のいずれか記載の方法。
【0030】
[項15]
さらに、
(b2)親水性高分子を含む層に、カルシウムイオン供給源を付与する工程
を含む、項11〜13のいずれか記載の方法。
【0031】
[項16]
さらに、
(c)伸縮性を有する編地又は織地とシートを接合し、筒状とする工程
を含む、項11〜15のいずれか記載の方法。
【0032】
[項17]
(A)脂肪族ポリエステル、ポリエステルエーテル、及びこれらの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の生体内分解吸収性材料を含むシート
を含む自動縫合器用縫合補強材を装着した自動縫合器を用いて生体組織を縫合する方法であって、
自動縫合器用縫合補強材が、シート(A)の少なくとも一つの面に
(B)親水性高分子を含む層
を有しているものであることを特徴とする、生体組織を縫合する方法。
【発明の効果】
【0033】
本発明の自動縫合器用縫合補強材を用いることで、自動縫合器を用いた縫合操作における組織断裂のリスクを、従来のものに比べて著しく軽減できる。
【0034】
このため、従来は組織断裂リスクのため自動縫合器の適用が比較的難しいとされた肺、気管支、肝臓、及び消化管その他の脆弱な生体組織に対しても低リスクの手技を実現できる。
【0035】
特に、肺に対しては致命的な空気漏れのリスクを著しく軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】自動縫合器の一例、及び自動縫合器に本発明の自動縫合器用縫合補強材を装着した一例を示す図面である。
【図2】本発明の自動縫合器用縫合補強材(「エンドGIA+NEOVEIL+カルトスタット」(実施例1)、「エンドGIA+NEOVEIL+アルギン酸ナトリウムスポンジ」)(実施例2)、及び「エンドGIA+NEOVEIL+ゼラチンスポンジ」(実施例3)を肺に対して適用した場合に、空気漏れが認められる肺内圧を測定した結果を示すグラフである。なお、対照例(「エンドGIAのみ」、「エンドGIA+NEOVEIL」)の結果も同時に示している。
【符号の説明】
【0037】
10 自動縫合器
11 カッティングナイフ
12 カートリッジ部
13 フレーム部
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の自動縫合器用縫合補強材は、
(A)脂肪族ポリエステル、ポリエステルエーテル、及びこれらの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の生体内分解吸収性材料を含むシート;及び
(B)シート(A)が少なくとも一つの面に有する、親水性高分子を含む層
を含む、自動縫合器用縫合補強材である。親水性高分子がアルギン酸又はその塩である場合には、さらに、
(C)カルシウムイオン供給源
を含んでいてもよい。
【0039】
1.生体内分解吸収性材料を含むシート(A)
生体内分解吸収性材料を含むシートは、生体内分解吸収性材料が、脂肪族ポリエステル、ポリエステルエーテル、及びこれらの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であればよい。
【0040】
脂肪族ポリエステル、ポリエステルエーテル、及びこれらの共重合体のうち、いずれか1種を単独で含んでもよいし、2種以上を含んでもよい。
【0041】
脂肪族ポリエステルは生体内分解吸収性を有するものであればよく特に限定されない。例えば、グリコール酸、乳酸、ε−カプロラクトン、ジオキサノン、トリメチレンカーボネート及びポリバレロラクトン等の重合体が挙げられる。これらのうち少なくとも2種の共重合体等も挙げられる。
【0042】
ポリエステルエーテルは生体内分解吸収性を有するものであればよく特に限定されない。例えば、ポリ−1,4−ジオキサノン−2−オン、及びポリ−1,5−ジオキセパン−2−オン等が挙げられる。また、エチレングリコール及び脂肪族ポリエステルの共重合体等も挙げられる。これらのうち少なくとも2種の共重合体等も挙げられる。これらのうち、いずれか1種を単独で含んでもよいし、2種以上を含んでもよい。
【0043】
脂肪族ポリエステル及びポリエステルエーテルの共重合体は生体内分解吸収性を有するものであればよく特に限定されない。例えば、上に例示した脂肪族ポリエステルの少なくとも1種と、上に例示したポリエステルエーテルの少なくとも1種の共重合体等が挙げられる。
【0044】
先述の通り、自動縫合器用縫合補強材を自動縫合器に装着して使用する場合、最終的に自動縫合器用縫合補強材はカッティングナイフによって切離される。この切離操作は、シート状である自動縫合器用縫合補強材に対してシートの水平方向に自動縫合器切離部のカッティングナイフを押し付けることによって行われる。このため、自動縫合器用縫合補強材が十分な強度を有しない場合はカッティングナイフが押し付けられることによって自動縫合器用縫合補強材が撓んでしまうため、うまく切離することができない。したがって、自動縫合器用縫合補強材には撓みが生じない程度の強度が必要とされる。自動縫合器用縫合補強材の他の必須構成である親水性高分子を含む層は通常強度が十分でない場合が多い。よって、生体内分解吸収性材料を含むシートがかかる撓みを生じさせない程度の強度を有していることが好ましい。
【0045】
かかる撓みを生じさせない程度の強度を有しているという点においては、生体内分解吸収性材料を含むシートの構造としては不織布構造が好ましく、生体内分解吸収性材料を含むシートの原料としてはポリグリコール酸、ポリ乳酸、グリコール酸−ε−カプロラクトン共重合体、又は乳酸−ε−カプロラクトン共重合体が好ましいが、特に限定されない。
【0046】
シートの厚みとしては、例えば10mm以下であれば好ましく、0.1〜3mmであればより好ましいが、特に限定されない。
【0047】
2.親水性高分子を含む層(B)
シート(A)は、その少なくとも一つの面において、少なくとも一部に親水性高分子を含む層(B)を有する。
【0048】
親水性高分子を含む層(B)は、シート(A)の片面又は両面に設けられていてもよく、親水性高分子を含む層(B)がさらにシート(A)の内部にまで入り込んでいてもよい。
【0049】
層(B)が生体組織と接すると、水が層(B)に付与され、層(B)の親水性高分子がゲル化する。縫合箇所においてステープルと組織との間に生じる隙間をこのゲルが埋める働きをする。これにより、縫合箇所において生じがちな組織断裂を防ぐことができる。したがって、シート(A)のうち、少なくとも生体組織と接する面の全面が親水性高分子を含む層を有していてもよいし、生体組織と接する面のうち少なくともステープルで縫合される箇所が親水性高分子を含む層を有していてもよい。
【0050】
親水性高分子は、特に限定されないが、例えば、アルギン酸、アルギン酸塩、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、コラーゲン等を挙げることができる。親水性高分子としては、アルギン酸、アルギン酸塩、及びゼラチンが好ましい。アルギン酸とアルギン酸塩とでは、アルギン酸塩のほうがより好ましい。親水性高分子としては、これらのうち一種を用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
アルギン酸塩としては、例えば、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩が挙げられる。アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
【0052】
親水性高分子を含む層は、多孔質体であればより速くゲル化するため好ましい。かかる多孔質体は、例えば、親水性高分子を含む溶液を凍結乾燥することによって製造することができる。凍結乾燥の方法は、例えば、−80℃で凍結させ、その後に真空凍結乾燥器で乾燥させる方法が挙げられる。
【0053】
凍結乾燥による多孔質化を行うに際して親水性高分子を含む溶液を用意するにあたっては、溶媒に親水性高分子を溶解させることができればよく、溶解濃度は特に制限されない。
【0054】
層の厚みとしては、例えば10mm以下が挙げられるが、限定されない。操作性を考慮すると、0.1〜3mmが好ましい。
【0055】
3.カルシウムイオン供給源(C)
本発明の自動縫合器用縫合補強材は、カルシウムイオン供給源(C)を必ずしも有している必要はない。例えば、層(B)に対して外的にカルシウムイオン供給源(C)を付加してもよい。この場合の態様としては、特に限定されないが、外部からカルシウムイオンを含有する液体を噴霧する等の態様が例示できる。
【0056】
カルシウムイオン供給源(C)を有している場合は、アルギン酸又はその塩を含む層(B)のゲル強度が向上するため、縫合箇所に対してより優れた補強効果を発揮することができる。
【0057】
カルシウムイオン供給源(C)は、層(B)のアルギン酸又はその塩に対してカルシウムイオンを供給するものであればよい。層(B)のアルギン酸にカルシウムイオンが供給されると速やかに層(B)のアルギン酸がゲル化する。
【0058】
カルシウムイオン供給源(C)は、層(B)のアルギン酸又はその塩に対してカルシウムイオンを供給することができる限り、自動縫合器用縫合補強材のどこに配置されていてもよい。層(B)に接しているか、層(B)に含められているか、又は層(B)と混合されていれば好ましい。
【0059】
カルシウムイオン供給源は、多糖及び糖酸からなる群より選択される少なくとも1種のカルシウム塩であれば好ましい。多糖としては、例えば、アルギン酸、ヒアルロン酸、ペクチン等を挙げることができる。アルギン酸がより好ましい。糖酸としては、例えば、グルコン酸等を挙げることができる。グルコン酸がより好ましい。
【0060】
4.自動縫合器用縫合補強材
本発明の自動縫合器用縫合補強材の具体的な構成としては、次のような構成が挙げられる。なお、いずれも最上層が生体組織側を向くようにして使用される。
(1)シート(A)の上に、層(B)を設けてなる構成;
(2)シート(A)の上に、まず層(B)を設け、さらにその上にカルシウムイオン供給源(C)を設けてなる構成;
(3)シート(A)の上に、まずカルシウムイオン供給源(C)を設け、さらにその上に層(B)を設けてなる構成;及び
(4)シート(A)の上に、カルシウムイオン供給源(C)及び層(B)の混合物を設けてなる構成
自動縫合器用縫合補強材とは、自動縫合器(自動縫合切離器)を用いて生体組織の縫合を行う際に、縫合箇所を補強し縫合箇所の断裂等を防止するために使用される補強材料をいう。
【0061】
いかなる自動縫合器であっても、本発明の自動縫合器用縫合補強材を適用することができる。開胸用自動吻合器であってもよいし、内視鏡用自動縫合器であってもよい。開胸用自動縫合器としては、例えば、「プロキシメイト(登録商標)リニヤカッター55mm」及び「プロキシメイト(登録商標)リニヤカッター75mm」(ともにETHICON ENDO-SURGERY社)、並びに「マルチファイヤーGIA(登録商標)60カートリッジ」及び「マルチファイヤーGIA(登録商標)80カートリッジ」(ともにUNITED STATE SURGICAL 社)等が例示できる。内視鏡用自動縫合器としては、例えば、「エンドパス(登録商標)エンドカッターETS45」、「エンドパス(登録商標)エンドカッター60ECHELON60」及び「エンドパス(登録商標)エンドカッターEZ45」(ともにETHICON ENDO-SURGERY社)、並びに「エンドGIA(登録商標)II30カートリッジ」、「エンドGIA(登録商標)II45カートリッジ」及び「エンドGIA(登録商標)II60カートリッジ」(ともにCovidien社)等が例示できる。
【0062】
自動縫合器用縫合補強材は、自動縫合器で生体組織の縫合及び切離を行う前に予め縫合部に被嵌させて装着することによって使用する。
【0063】
縫合部に被嵌させて装着するため、自動縫合器用縫合補強材の形状としては筒状が好ましい。筒状とは、シート状体の両端部が一体化して接合されていることを意味する。円筒状、角柱状、又は平面状のいずれの筒状であってもよい。
【0064】
筒状の自動縫合器用縫合補強材の全体のうち、生体組織と接する面に限り本発明の自動縫合器用縫合補強材で構成し、他の部分を従来公知の材料で構成してもよい。
【0065】
シート状体の筒状化は、1枚のシート状体を用いる場合は、例えば、縫合部の外周サイズに合わせて裁断された生地を丸めたうえでその両端部を縫製すること等によって行うことができる。2枚のシート状体を用いる場合は、両者を重ね合わせたうえでその両端部を縫製すること等によって行うことができる。
【0066】
かかる縫製は、両端をパラレルに縫製する方法、先端部を先細となるよう縫製する方法、先端部を袋状になるよう連続して縫製する方法等が挙げられ、任意に選択できる。なお、先端部が先細であったり、袋状であると縫合部への装着がしやすい利点がある。
【0067】
かかる縫製に用いる縫糸は、通常衣類等の縫製に用いられるものをそのまま用いることもできるが、特に医療用途という特殊性から、手術用の縫合糸、例えば、ポリグリコール酸、グリコール酸/乳酸の共重合体、乳酸/カプロラクトンの共重合体等による生体内分解吸収性の縫合糸が好ましい。
【0068】
自動縫合器用縫合補強材の大きさや形状の詳細は、適用しようとする自動縫合器の縫合部の形状に合わせて適宜設定することができる。
【0069】
4.伸縮性を有する編地又は織地(D)
本発明の自動縫合器用縫合補強材は、伸縮性を有する編地又は織地(D)を必ずしも有している必要はない。しかしながら、自動縫合器用縫合補強材の形状を筒状とする場合、その構成素材の一部に伸縮性を有する編地又は織地(D)を用いると、次のような利点があるため好ましい。
【0070】
第一に、その伸縮性によって自動縫合器への装着が容易となる。第二に、装着後の密着性が増すため位置ずれすることがない。第三に、装着時に自動縫合器用縫合補強材を緊張状態に置くことができるため切離を容易かつ確実に行うことができる。
【0071】
伸縮性を有する編地又は織地(D)は、その組織の中に例えばゴム糸、ポリウレタン系弾性糸、捲縮、嵩高加工糸等が適宜交編、交織されており、縦、横方向に伸縮性を有するもので、その組織については特に限定しないが、裁断、一体化の際の縫製等の容易性、さらに、形態の安定性等の面から、例えばポリウレタン糸にナイロン糸をカバーリングして得た糸にて経編に編成したパワーネット生地が特に好適な例として例示できる。
【0072】
5.自動縫合器用縫合補強材の製造方法
本発明の自動縫合器用縫合補強材は、例えば次のようにして製造することができる。なお、「4.自動縫合器用縫合補強材」で説明した具体的な構成のそれぞれについて製法を説明する。
【0073】
(1)シート(A)の上に、層(B)を設けてなる構成
(工程1)シート(A)の少なくとも一つの面に層(B)を付与する工程
を含む方法によって製造することができる。
【0074】
シート(A)に層(B)を付与する工程は、例えば、単にシート(A)に層(B)を積層する工程であってもよいし、必要に応じて積層した上で両者の間をさらに縫製又は接着等してもよい。シート(A)の内部に層(B)の一部が侵入していてもよい。
【0075】
かかる縫製に用いる縫糸は、通常衣類等の縫製に用いられるものをそのまま用いることもできるが、特に医療用途という特殊性から、手術用の縫合糸、例えば、ポリグリコール酸、グリコール酸/乳酸の共重合体、乳酸/カプロラクトンの共重合体等による生体内分解吸収性の縫合糸が好ましい。
【0076】
また、層(B)が、必要に応じて水溶液を加えることによって、ある状態で液体状又は半液体状となるものである場合には、例えば次のようにしてシート(A)に層(B)を付与することができる。層(B)の構成成分を含む液体又は半液体に対してシート(A)を浸漬する。あるいはシート(A)に対して層(B)の構成成分を含む液体又は半液体を塗布する。その後、層(B)の構成成分を固体状に変換する。これによりシート(A)に層(B)を付与することができる。例えば、層(B)としてアルギン酸ナトリウムを用いる場合には、これに対して水を添加することで水溶液状となる。このアルギン酸ナトリウム水溶液をシート(A)に対して塗布し、その後に凍結乾燥を行ってシート(A)上で層(B)を多孔質化する。これにより、最終的にてシート(A)に層(B)を付与することができる。シート(A)の片面にのみスポンジ層(B)が付与されていてもよいし、シート(A)の両面にスポンジ層(B)が付与されることにより、シート(A)がスポンジ層(B)に挟まれるような形態となっていてもよい。
【0077】
凍結乾燥の方法としては、例えば、−80℃で凍結させ、その後に真空凍結乾燥器で乾燥させる方法が挙げられる。
【0078】
(2)シート(A)の上に、まず層(B)を設け、さらにその上にカルシウムイオン供給源(C)を設けてなる構成
(工程2−1)シート(A)の少なくとも一つの面に層(B)を付与する工程;及び
(工程2−2)さらにその上にカルシウムイオン供給源(C)を付与する工程
を含む方法によって製造することができる。
【0079】
層(B)の上にカルシウムイオン供給源(C)を付与する工程は、例えば、単に層(B)にカルシウムイオン供給源(C)を積層する工程であってもよいし、必要に応じて積層した上で両者の間をさらに縫製又は接着等してもよい。
【0080】
かかる縫製に用いる縫糸、又はかかる接着に用いる接着剤は、上記したのと同様のものを用いることができる。
【0081】
また、カルシウムイオン供給源(C)が、必要に応じて水溶液を加えることによって、ある状態で液体状又は半液体状となるものである場合には、例えば次のようにしてシート(A)にカルシウムイオン供給源(C)を付与することができる。カルシウムイオン供給源(C)の構成成分を含む液体又は半液体に対してシート(A)を浸漬する。あるいはシート(A)に対してカルシウムイオン供給源(C)の構成成分を含む液体又は半液体を塗布する。その後、カルシウムイオン供給源(C)の構成成分を固体状に変換する。これにより、シート(A)に層(B)を付与することができる。固体状に変換する方法としては、例えば凍結乾燥が挙げられる。凍結乾燥の方法としては、例えば、−80℃で凍結させ、その後に乾燥機で乾燥させる方法が挙げられる。
【0082】
(3)シート(A)の上に、まずカルシウムイオン供給源(C)を設け、さらにその上に層(B)を設けてなる構成
(工程3−1)シート(A)の少なくとも一つの面にカルシウムイオン供給源(C)を付与する工程;及び
(工程3−2)さらにその上に層(B)を付与する工程
を含む方法によって製造することができる。
【0083】
シート(A)の上にカルシウムイオン供給源(C)を付与する工程は、例えば、単にシート(A)にカルシウムイオン供給源(C)を積層する工程であってもよいし、必要に応じて積層した上で両者の間をさらに縫製又は接着等してもよい。
【0084】
かかる縫製に用いる縫糸、又はかかる接着に用いる接着剤は、上記したのと同様のものを用いることができる。
【0085】
また、カルシウムイオン供給源(C)又は層(B)が、ある状態で液体状又は半液体状となるものである場合には、例えば先述したのと同様の方法によってそれぞれ付与することができる。
【0086】
(4)シート(A)の上に、層(B)及びカルシウムイオン供給源(C)の混合物を設けてなる構成
(工程4−1)層(B)及びカルシウムイオン供給源(C)を互いに混合する工程;及び
(工程4−2)シート(A)の少なくとも一つの面に前記混合物を付与する工程
を含む方法によって製造することができる。
【0087】
層(B)及びカルシウムイオン供給源(C)を互いに混合する工程は、例えば次のようにして行うことができる。少なくとも一方が、必要に応じて水溶液を加えることによって、ある状態で液体状又は半液体状となるものである場合には、その状態のままこの液体又は半液体に対して他方を浸漬する。あるいは他方に対してこの液体又は半液体を添加する。そして両者を混合する。例えば、層(B)としてアルギン酸ナトリウムを用いる場合には、これに対して水を添加することで水溶液状となる。このアルギン酸ナトリウム水溶液中にカルシウムイオン供給源(C)を浸漬して混合することができる。
【0088】
層(B)を多孔質体とする場合は、上の方法にさらに層(B)を多孔質化する工程を加えることができる。
【0089】
多孔質化する工程としては、例えば、次が挙げられる。層(B)が、必要に応じて水溶液を加えることによって、ある状態で液体状又は半液体状となるものである場合には、いったん液体状又は半液体状とした後にこれを凍結乾燥することによって多孔質化する。凍結乾燥の方法は、例えば、−80℃で凍結させ、その後に乾燥機で乾燥させる方法が挙げられる。
【0090】
6.自動縫合器用縫合補強材の使用方法
本発明の自動縫合器用縫合補強材は、これを自動縫合器に装着して生体組織を縫合することによって使用する。
【0091】
自動縫合器、自動縫合器への自動縫合器用縫合補強材の装着方法、自動縫合器による縫合等についての説明は、既に「1.自動縫合器用縫合補強材」においてしたのと同様であるため省略する。
【実施例】
【0092】
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の例にのみ限定されるものではない。
【0093】
1.実施例1
(1)自動縫合器用縫合補強材の作製
次のようにして、本発明の自動縫合器用縫合補強材を作製した。
[作製方法]
(i) アルギン酸のカルシウム塩とナトリウム塩との混合物であるシート(「カルトスタット」(登録商標);コンバテック ジャパン株式会社;以下、「アルギン酸−Ca/Na塩シート」という。)を、3.5×7 cm四方にカットした。
(ii) カットされたアルギン酸−Ca/Na塩シートの周囲全体に、2% アルギン酸ナトリウム溶液をコーティングした。
(iii) コーティングされたアルギン酸−Ca/Na塩シートを−80℃で凍結させ、その後に凍結乾燥機で乾燥させることによりスポンジ化(多孔質化)した。
(iv) ほぼ同じ大きさにカットしたポリグリコール酸からなるフェルト(「NEOVEIL」(商品名);グンゼ株式会社)に、スポンジ化したアルギン酸−Ca/Na塩シートを重ね合わせた。
(2)自動縫合器用縫合補強材を利用した生体組織の縫合と切離
次のように本発明の自動縫合器用縫合補強材を利用して、イヌの肺組織の縫合と切離を行った。
【0094】
[縫合・切離方法]
(i) イヌを開胸し、肺を露出した状態とした。
(ii) 20cmH2Oの状態で2分間維持した。
(iii)ポリグリコール酸からなるフェルト(「NEOVEIL」(商品名);グンゼ株式会社)で、内視鏡用自動縫合器(「エンドGIA」(登録商標);ETHICON ENDO-SURGERY社)の縫合部を覆うようにして装着した。
(iv) (1)で作製したスポンジ化アルギン酸−Ca/Na塩シートを、さらにポリグリコール酸からなるフェルトに重ねるようにして内視鏡用自動縫合器の縫合部に装着した。
(v) (iv)の状態の内視鏡用自動縫合器で右中肺葉を挟み込み、10秒間そのままの状態を維持した。
(vi) 内視鏡用自動縫合器を操作して縫合と切離を行い、その後再び10秒間そのままの状態を維持した。
(vii) 縫合と切離を行った時点から1,2,及び3分後におけるそれぞれの圧を記録した。
(viii) 各時点において記録終了後に、肺を膨らませていき、空気が漏れ始めた時点の圧をcmH2Oで記録した。なお、石けん水を肺にかけ、泡が生じ始める時点の圧を、空気が漏れ始めた時点のcmH2Oとして計測した。
【0095】
[対照例]
なお、(iii)及び(iv)の操作をしない他は同様に操作を行い、これを対照例Aとした。対照例Aとは、内視鏡用自動縫合器の縫合部に何も装着しない状態で縫合と切離を行った例である。
【0096】
また、(iv)の操作をしない他は同様に操作を行い、これを対照例Bとした。対照例Bとは、内視鏡用自動縫合器の縫合部にポリグリコール酸からなるフェルトのみを装着した状態で縫合と切離を行った例である。
【0097】
[結果]
結果を図2に示す。ポリグリコール酸からなるフェルトに加えてスポンジ化アルギン酸−Ca/Na塩シートを装着した実施例では、空気漏れが認められる肺内圧が54.17±12.42 cmH2O (mean±SD)であった。これは縫合部に何も装着しない比較例A(12±6.78 cmH2O)と比較すると有意に(P=0.0002)大きかった。また、ポリグリコール酸からなるフェルトのみを装着した比較例B(31.3±6.57 cmH2O)と比較しても有意に(P=0.005)大きかった。
【0098】
以上の通り、ポリグリコール酸からなるフェルトに加えてスポンジ化アルギン酸−Ca/Na塩シートを縫合部に装着した場合のほうが、何も装着しない場合やポリグリコール酸からなるフェルトのみを装着する場合に比べて有意に肺からの空気漏れが抑制されていた。
2.実施例2
[作製方法]
(i) アルギン酸ナトリウム水溶液(2%、10mL)をプラスチックトレー(5.3×8.3cm2)に流し込んだ。
(ii) -80℃で凍結させた。
(iii) 凍結乾燥機に入れ、真空凍結乾燥(24時間)した。
(iv) 得られたスポンジを3.5×7.0cm四方にカットした。
(v) ほぼ同じ大きさにカットしたポリグリコール酸からなるフェルト(「NEOVEIL」(商品名);グンゼ株式会社)に、スポンジ化したアルギン酸ナトリウムシートを重ね合わせた。
(vi) ネオベールチューブタイプ(グンゼ株式会社製)のネオベール部分を上記で作製した材料に置き換えて本発明の自動縫合器用縫合補強材を作製した。
(2)自動縫合器用縫合補強材を利用した生体組織の縫合と切離
実施例1と同様、(1)で作製した本発明の自動縫合器用縫合補強材を自動縫合器に装着して、イヌ肺に対して適用した。自動縫合器で肺を縫合した後、0.6%グルコン酸カルシウム水溶液を噴霧し、10秒間保持した。その後、肺を切断し、再度0.6%グルコン酸カルシウム水溶液を噴霧した。空気漏れ開始時点の肺内圧を測定した。試験はn=3で行った。
【0099】
[結果]
実施例1の結果と併せて有意差検定を行った結果を図2に示す。
親水性高分子としてアルギン酸ナトリウムを用い、グルコン酸カルシウム水溶液を噴霧した場合であっても、何も装着しない場合やポリグリコール酸からなるフェルトのみを装着する場合に比べて有意に肺からの空気漏れが抑制されていた。
【0100】
3.実施例3
自動縫合器用縫合補強材の作製
次のようにして、本発明の自動縫合器用縫合補強材を作製した。
[作製方法]
(i) ゼラチン水溶液(1%、10mL)をプラスチックトレー(5.3×8.3cm2)に流し込んだ。
(ii) 「NEOVEIL」(4.5×7cm2)を水溶液に入れ十分浸した。
(iii) -80℃で凍結させた。
(iv) 凍結乾燥機に入れ、真空凍結乾燥(24時間)した。
(v) スポンジの熱架橋(140℃、3時間)を真空乾燥機で行った。
(vi) ネオベールチューブタイプ(グンゼ株式会社製)のネオベール部分を上記で作製した材料に置き換えて本発明の自動縫合器用縫合補強材を作製した。
(2)自動縫合器用縫合補強材を利用した生体組織の縫合と切離
実施例1と同様、(1)で作製した本発明の自動縫合器用縫合補強材を自動縫合器に装着して、イヌ肺に対して適用し、空気漏れ開始時点の肺内圧を測定した。試験はn=3で行った。
【0101】
[結果]
実施例1の結果と併せて有意差検定を行った結果を図2に示す。
親水性高分子としてゼラチンを用いた場合であっても、何も装着しない場合やポリグリコール酸からなるフェルトのみを装着する場合に比べて有意に肺からの空気漏れが抑制されていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)脂肪族ポリエステル、ポリエステルエーテル、及びこれらの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の生体内分解吸収性材料を含むシート
を含む自動縫合器用縫合補強材であって、
シート(A)の少なくとも一つの面に
(B)親水性高分子を含む層
を有することを特徴とする、自動縫合器用縫合補強材。
【請求項2】
親水性高分子を含む層が、多孔質体である、請求項1記載の自動縫合器用縫合補強材。
【請求項3】
親水性高分子が、アルギン酸、アルギン酸塩、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、及びコラーゲンからなる群より選択される少なくとも1種の親水性高分子である、請求項1又は2記載の自動縫合器用縫合補強材。
【請求項4】
親水性高分子が、アルギン酸及びアルギン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2記載の自動縫合器用縫合補強材。
【請求項5】
さらに、
(C)カルシウムイオン供給源
を含む、請求項4記載の自動縫合器用縫合補強材。
【請求項6】
カルシウムイオン供給源が、多糖及び糖酸からなる群より選択される少なくとも1種のカルシウム塩である、請求項5記載の自動縫合器用縫合補強材。
【請求項7】
前記脂肪族ポリエステルが、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、又はこれらの共重合体である、請求項1〜6のいずれか記載の自動縫合器用縫合補強材。
【請求項8】
前記ポリエステルエーテルが、
ポリ−1,4−ジオキサノン−2−オン、若しくはポリ−1,5−ジオキセパン−2−オン;又は
エチレングリコール及び脂肪族ポリエステルの共重合体
である、請求項1〜7のいずれか記載の自動縫合器用縫合補強材。
【請求項9】
筒状である、請求項1〜8のいずれか記載の自動縫合器用縫合補強材。
【請求項10】
さらに、
(D)伸縮性を有する編地又は織地
をシート(A)に接合してなる、請求項9記載の自動縫合器用縫合補強材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−65699(P2012−65699A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210570(P2010−210570)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(503027931)学校法人同志社 (346)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】