説明

観察装置、画像処理方法及びプログラム

【課題】走査位置間に隙間が生じる場合であっても、演算時間を増大させることなく走査位置間の隙間を補完し、生成する画像の画質を向上させる。
【解決手段】光源から出射された照明光Lを導光して観察対象に照射する導光部と、導光部を周期的に振動させることにより観察対象において照明光Lを2次元走査させる駆動部と、観察対象における各走査位置からの照明光Lの戻り光L’を所定のサンプリング周期で検出する光検出部と、光検出部により検出された各走査位置からの戻り光L’の強度を有する一以上の画素からなる描画ブロックを導光部の振動の振幅及び位相に基づいて描画ブロックが相互に部分的に重なるように複数配列した描画ブロック群を生成すると共に、描画ブロック群を各走査位置に対応する位置関係で、隣接する各描画ブロック群が相互に部分的に重なるように配列することにより観察対象の画像を生成する画像生成部9と、を備えた観察装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察装置、画像処理方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、照明光を導光する光ファイバを駆動させることによって渦巻き状の軌跡に沿って照明光を観察対象に走査させ、この照明光に対する走査位置からの戻り光を検出して走査位置における画像情報を取得することにより観察対象の画像を生成する観察装置が知られている。このような観察装置においては、1周期を複数に時分割して照明光を走査しながら戻り光を検出するため、走査位置の密度が走査軌跡の中心から外側に向かうほど疎となる。走査位置の密度が疎になると走査位置間に隙間が生じ、この隙間には画像情報が存在しないことから、観察対象の画像を生成した際に、この隙間が例えば黒い領域(画像の皺)となって画質を低下させることとなる。
【0003】
このため、例えば特開昭63−37222号公報(特許文献1)には、走査位置間の隙間を各走査位置の輝度を用いて直線的に補完することにより画像の皺を防止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−37222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、走査位置間の各画素に与える輝度値を逐一算出する必要があるため、画像作成のために演算時間がかかるという不都合がある。特に、高速度の動画の場合にはフレームレートを向上できないという課題がある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、走査位置間に隙間が生じる場合であっても、演算時間を増大させることなく走査位置間の隙間を補完し、生成する画像の画質を向上させることのできる観察装置、画像処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、光源から出射された照明光を導光して観察対象に照射する導光部と、該導光部を周期的に振動させることにより前記観察対象において前記照明光を2次元走査させる駆動部と、前記観察対象における各走査位置からの前記照明光の戻り光を所定のサンプリング周期で検出する光検出部と、該光検出部により検出された各前記走査位置からの前記戻り光の強度を有する一以上の画素からなる描画ブロックを前記導光部の振動の振幅及び位相に基づいて前記描画ブロックが相互に部分的に重なるように複数配列した描画ブロック群を生成すると共に、該描画ブロック群を各前記走査位置に対応する位置関係で、隣接する各前記描画ブロック群が相互に部分的に重なるように配列することにより前記観察対象の画像を生成する画像生成部と、を備えた観察装置を提供する。
【0008】
本発明によれば、画像生成部は、光検出部が戻り光を検出した走査位置を含む複数画素からなる領域を該走査位置からの戻り光の強度を有する描画ブロックとし、該描画ブロックを各走査位置に対して複数生成する。そして、これらの複数の描画ブロックを導光部の振幅及び位相に基づいて描画ブロック同士が相互に部分的に重なるように配列して描画ブロック群を生成する。すなわち、導光部の振幅が大きい箇所では描画ブロック同士の間隔を疎に、振幅が小さい箇所では描画ブロック同士の間隔を密にしつつ、描画ブロック同士に隙間ができないよう相互に重なるように配列して描画ブロック群を生成する。このため、描画ブロック群に含まれる全画素、つまり、走査位置を含む所定の領域全体がこの走査位置からの戻り光と同一の輝度で補完されることとなる。
【0009】
さらに、この描画ブロック群を走査位置に対応する位置関係で隣接する描画ブロック群が相互に部分的に重なるように配列するので、各走査位置間に隙間があっても、この走査位置間の隙間にはいずれか描画ブロック群が配列され、この描画ブロック群に含まれる走査位置からの戻り光の強度、すなわち、走査位置からの戻り光と同一の輝度で補完されることとなる。従って、観察対象の画像を生成した場合に、走査位置間の隙間を演算等によって補完をしなくとも、背景色のままの箇所や皺が生じたりすることがなく、画質を向上させることができる。
【0010】
本発明において、前記導光部は、前記駆動部によって渦巻き状に変位するように走査され、前記画像生成部は、前記渦巻き状の変位軌跡の中心からの距離に基づいて前記描画ブロックの配列間隔を決定することが好ましい。
【0011】
導光部が駆動部によって渦巻き状に変位する場合、渦巻き状の変位軌跡においては、その中心から離れるほど走査位置間が疎となる一方、その中心に近い側の走査位置間は密となる。従って、渦巻き状の変位軌跡の中心からの距離に応じて描画ブロックの配列間隔を決定することで、生成された描画ブロック群によってより容易に走査位置間の隙間を補完して画質を向上させることができる。
【0012】
本発明において、前記導光部は、前記駆動部によって渦巻き状に変位するように走査され、前記画像生成部は、前記渦巻き状の変位軌跡の中心からの角度に基づいて前記描画ブロックの配列方向を決定することが好ましい。
【0013】
この場合、渦巻き状の変位軌跡の中心からの角度に応じて描画ブロックの配列方向を定めることで、描画ブロックをより変位軌跡に沿って配列することができ、生成された描画ブロック群によってより容易に走査位置間の隙間を補完して画質を向上させることができる。
【0014】
さらに、本発明において、前記画像生成部は、前記渦巻き状の変位軌跡の中心に近いほど描画ブロック群に含まれる描画ブロック数を減少させることが好ましい。
【0015】
この場合、渦巻き状の変位軌跡の中心に近いほど描画ブロック群に含まれる描画ブロック数を減少させることで、描画ブロック同士の重なりを少なくすることができるので、画像を生成するための演算時間を増大させることなく、各走査位置の本来の戻り光の輝度を得ることができ、画質を向上させることができる。
【0016】
さらにまた、本発明において、前記画像生成部は、前記渦巻き状の変位軌跡の中心に近いほど前記描画ブロック群に含まれる前記描画ブロック同士の配列間隔を小さくすることが好ましい。
【0017】
この場合、渦巻き状の変位軌跡の中心に近い箇所は走査位置間が密であるので、描画ブロック同士の配列間隔を小さすることで描画ブロック群の領域が小さくなる。従って、走査位置及び走査位置を含む領域に対して、より細かく走査位置の本来の戻り光の輝度を得ることができ、画質を向上させることができる。
【0018】
本発明は、観察対象における各走査位置に対応する画素位置に、各前記走査位置における振幅及び位相情報と各前記走査位置からの戻り光の強度情報とを含む画像情報が入力され、該画像情報の前記強度情報を有する各前記画素位置を特定し、特定された各前記画素位置の各前記画素と同一の強度情報を有する一以上の画素からなる描画ブロックを生成し、前記振幅及び位相情報に基づいて各該描画ブロックが相互に重なるように該描画ブロックを複数配列して描画ブロック群を生成し、各該描画ブロック群を各前記走査位置に対応する位置関係で隣接する前記描画ブロック群が相互に重なるように配列する画像処理方法を提供する。
【0019】
本発明は、観察対象における各走査位置に対応する画素位置に、各前記走査位置における振幅及び位相情報と各前記走査位置からの戻り光の強度情報とを含む画像情報が入力され、該画像情報の前記強度情報を有する各前記画素位置を特定するステップと、特定された各前記画素位置の各前記画素と同一の強度情報を有する一以上の画素からなる描画ブロックを生成するステップと、前記振幅及び位相情報に基づいて各該描画ブロックが相互に重なるように該描画ブロックを複数配列して描画ブロック群を生成するステップと、各該描画ブロック群を各前記走査位置に対応する位置関係で隣接する前記描画ブロック群が相互に重なるように配列するステップと、をコンピュータに実行させる画像処理プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、走査位置間に隙間が生じる場合であっても、演算時間を増大させることなく走査位置間の隙間を補完し、生成する画像の画質を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る観察装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る観察装置において、画像を生成する場合に設定される描画ブロック及び描画ブロック群を示す概念図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る観察装置における画像生成処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の一実施形態に係る観察装置について図面を参照して説明する。本実施形態においては、観察装置を所謂走査型内視鏡装置に適用した例について説明する。
図1は、本実施形態に係る観察装置としての走査型内視鏡装置1の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、走査型内視鏡装置1は、照明ファイバ2、受光ファイバ3及び照明ファイバ2の先端部を振動させるアクチュエータ4を有する光走査部5と、照明ファイバ2に照明光Lを供給する照明ユニット6と、アクチュエータ4を駆動させる駆動ユニット7と、受光ファイバ3によって受光された照明光Lの戻り光L’を検出する検出ユニット8と、検出ユニット8により検出された戻り光L’に基づいて画像を生成する画像生成部9と、照明ユニット6及び駆動ユニット7の作動を制御すると共に画像生成部9により生成された画像をモニタ10に出力する制御ユニット11とを備えている。
【0023】
光走査部5の内部には、照明ファイバ2及び受光ファイバ3が長手方向に沿って配置され、照明ファイバ2の先端側には照明光学系12が設けられている。照明ファイバ2は、基端側において照明ユニット6から供給された照明光Lを導光してその先端面から射出する。該先端面から射出された照明光Lは、照明光学系12によって集束された後、光走査部5の先端から観察対象の観察面Aである組織表面に照射される。受光ファイバ3は、その先端面からなる受光面によって、観察面Aからの戻り光L’を受光して検出ユニット8へ導光する。
【0024】
アクチュエータ4は、例えば、電磁式またはピエゾ式である。アクチュエータ4は、駆動ユニット7から駆動電圧(後述)としてX方向及びY方向の交流電圧を印加されることにより、駆動電圧に応じた振幅及び周波数で照明ファイバ2の先端部分を、該照明ファイバ2の長手方向に交差し互いに直交する2軸方向(X方向及びY方向)に振動させる。これにより、照明ファイバ2の先端面が2軸方向に揺動させられて、該先端面から射出される照明光Lが観察面A上において2次元走査される。本実施形態においては、スパイラル方式が適用され、光走査部5が渦巻き状の軌跡を変位する例について説明する。なお、走査方式は、特に限定されるものでなくラスタ方式なども適用することができる。
【0025】
照明ユニット6は、後述する制御ユニット11からの指令信号に従って所定の波長の照明光Lを出射する。照明ユニット6から出射された照明光Lは、照明ファイバ2の基端に入射される。
【0026】
駆動ユニット7は、アクチュエータ4を駆動させる駆動信号をデジタル信号として生成する信号生成部71と、該信号生成部71によって生成された駆動信号をアナログ信号に変換する2つのD/A変換部72と、該D/A変換部72の出力を増幅する信号増幅部73とを備えている。
【0027】
信号生成部71は、後述する制御ユニット11からの指定信号に従って、X方向及びY方向の2つの駆動信号を生成し、2つの駆動信号を別々のD/A変換部72に入力する。
信号増幅部73は、各D/A変換部72によって生成されたアナログ信号、つまり、駆動電圧を、アクチュエータ4の駆動に適した大きさまで増幅してアクチュエータ4に出力する。
【0028】
検出ユニット8は、各受光ファイバ3によって導光されてきた戻り光L’を所定のサンプリング周期で検出し、検出した戻り光L’の光量に応じた大きさの光電流に光電変換する光検出器81と、該光検出器81から出力された光電流をデジタル信号であるサンプリングデータに変換するA/D変換部82とを備えている。
【0029】
画像生成部9は、検出ユニット8によって生成されたサンプリングデータを受け取り、該サンプリングデータと後述する制御ユニット11から受け取った各照射光Lの出射のタイミングの情報及び照射位置の情報とに基づいて2次元画像を生成する。より詳細には、画像生成部9は以下のように2次元画像を生成する。
【0030】
画像生成部9は、2次元画像を生成する際の単位として、光検出部8が戻り光L’を検出した走査位置を含む複数画素からなる所定領域を描画ブロックと定義し、描画ブロックに含まれる全画素の輝度を光検出部8によって戻り光を検出した走査位置からの戻り光L’の強度と同じ輝度とする。そして、画像生成部9は、光検出部8が戻り光L’を検出した走査位置の光走査部5の振動の振幅及び位相に基づいてこの描画ブロックが相互に部分的に重なるように複数配列することにより描画ブロック群を生成する。従って、描画ブロック群に含まれる描画ブロックは全て同一の輝度を有し、描画ブロック群の全領域に亘って同一の輝度を有することとなる。
【0031】
描画ブロックの大きさや形状は、検出ユニット8によって生成されたサンプリングデータや各照射光Lの波長、出射のタイミング及び照射位置の情報等に基づいて適宜設定することができ、予め定めておき制御ユニット11又は画像生成部9等がその大きさ及び形状を記憶していてもよく、また観察対象に応じて制御ユニット11又は画像生成部9等が逐次変更する構成としてもよい。図2に、渦巻き状の変位軌跡Sに沿って走査された場合であって、3画素×3画素の矩形状の描画ブロック20が設定され、3つの描画ブロックからなる描画ブロック群30が設定された例を示す。
【0032】
ここで、光走査部5は渦巻き状の変位軌跡に沿って走査されるので、光走査部5の走査位置は変位軌跡の中心に近いほど密である一方、変位軌跡の中心から離れるにつれて疎となる。そこで、描画ブロック群の生成に際して、描画ブロックの配列方向及び配列間隔を走査位置に応じて適宜定める。
【0033】
すなわち、図2に示すように、描画ブロックを渦巻き状の変位軌跡の中心からの距離(走査位置の半径)に基づいて、例えば、走査位置が変位軌跡の中心に近いほど各描画ブロックの間隔を小さく、走査位置が変位軌跡の中心から離れるにつれて各描画ブロックの間隔を大きくするように配列する。また、描画ブロックを渦巻き状の変位軌跡の中心からの角度に基づいて、例えば、走査位置における接線方向又は変位軌跡に沿うように配列する。
【0034】
また、画像生成部9は、このように生成された描画ブロック群を相互に部分的に重ねながら各走査位置に対応する位置関係で配列することにより、観察対象の2次元画像を生成する。そして、生成された2次元画像を図示しないメモリに一時的に記憶すると共に、2次元画像のデータを制御ユニット11に出力する。
【0035】
制御ユニット11は、照明ユニット6に対して照明光Lを出射させるタイミングを指令する指令信号を出力すると共に、信号生成部71に対して駆動信号の仕様である振動数や振幅を指定する指定信号を出力する。また、制御ユニット11は、照明ユニット6に対する指令信号の情報(照明光Lの出射のタイミングの情報)及び信号生成部71に対する指定信号の情報(駆動信号に基づく照射光Lの走査位置を含む情報)を画像生成部83に出力する。一方、制御ユニット11は、画像生成部84から受け取った2次元画像をモニタ10に表示させる。
【0036】
次に、このように構成された走査型内視鏡装置1の作用について図3のフローチャートに従って、説明する。
本実施形態に係る走査型内視鏡装置1によって観察対象である生体内の画像を取得するためには、ステップS11において、照明光ユニット61から照明光Lを出射させながら光走査部5を生体内に挿入して、照明光Lを生体内の観察面A上を走査させる。
【0037】
次のステップS12において、検出ユニット8が所定のサンプリング周期で観察面A上の走査位置における照明光Lの戻り光L’を検出し、該戻り光L’を光電変換してその光量に応じた光電流とし、さらにこの光電流をサンプリングデータとして画像生成部9に出力する。
【0038】
次のステップS13において、画像生成部9は検出ユニット8から観察面Aのサンプリングデータを取得すると共に、制御ユニット11から照明ユニット6に対する指令信号の情報(照明光Lの出射のタイミングの情報)及び信号生成部71に対する指定信号の情報(駆動信号に基づく照射光Lの走査位置を含む情報)を取得する。そして、画像生成部9は、走査部分のサンプリングデータに対して、描画ブロックを設定する。
【0039】
すなわち、画像生成部9は、検出ユニット8から取得した各走査位置におけるサンプリングデータの夫々に対して、予め定められた3画素×3画素の矩形状からなる描画ブロックを3つ割り当て、各描画ブロックの輝度を、該各描画ブロックの全領域に亘って光検出部8によって戻り光を検出した各走査位置からの戻り光L’の強度と同じ輝度とする。そして、画像生成部9は、各走査位置の変位軌跡の中心からの距離及び角度に応じて3つの描画ブロックの配列間隔及び配列方向を決定する。
【0040】
次のステップS14では、ステップS13で定められた描画ブロックの配列間隔及び配列方向に従って、各走査位置に対して生成された3つの描画ブロックを相互に重ねながら配列することで描画ブロック群を生成する。続いて、ステップS15において、ステップS14までの描画ブロック群の生成が一画面分終了したか否かを判定し、一画面分が終了していないと判定された場合にはステップS12に戻り、戻り光のサンプリング〜描画ブロック群の生成の処理を繰り返し、終了していると判定された場合には次のステップS16に進む。
【0041】
次のステップS16において、画像生成部9は、生成された描画ブロック群を相互にかつ部分的に重ねながら各走査位置に対応する位置関係で配列して観察対象の2次元画像を生成して、本ルーチンを終了する。なお、生成された2次元画像は、制御ユニット11に出力されモニタ10に表示される。
【0042】
このように、本発明によれば、描画ブロック群は、検出ユニット8が戻り光を検出した走査位置を含み、隣接する複数の描画ブロック同士が相互にかつ少なくとも一部が重なるように配列されて構成される。特に、描画ブロックは、渦巻き状の変位軌跡の中心からの距離に応じた間隔で、かつ、渦巻き状の変位軌跡の中心からの角度に基づいた方向で配列される。また、各描画ブロック群に含まれる描画ブロックは、いずれも走査位置からの戻り光の強度を有する領域とされている。さらに、画像生成部9は、描画ブロック群を各走査位置に対応する位置関係で相互に部分的に重なるように配列して観察対象の2次元画像を生成する。
【0043】
従って、各走査位置間に隙間があっても、この走査位置間の隙間にはいずれかの描画ブロック群が配列され、走査位置からの戻り光の強度、すなわち、走査位置からの戻り光と同一の輝度で補完されることとなる。従って、走査位置間の隙間を演算等によって補完をしなくとも、背景色のままの箇所や皺が生じたりすることがなく、画質を向上させることができる。
【0044】
なお、本実施形態においては、描画ブロック群に含まれる描画ブロック数は一定であるとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、渦巻き状の変位軌跡の中心に近いほど描画ブロック群に含まれる描画ブロック数を少なくし、渦巻き状の変位軌跡の中心から遠いほど描画ブロック群に含まれる描画ブロック数を多くするように設定することもできる。このようにすることで、描画ブロック同士の重なりを少なくすることができるので、画像を生成するための演算時間を増大させることなく、各走査位置の本来の戻り光の輝度を得ることができ、画質を向上させることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 走査型内視鏡装置
2 照明ファイバ
3 受光ファイバ
4 アクチュエータ
5 光走査部
6 照明ユニット
7 駆動ユニット
8 検出ユニット
9 画像生成部
10 モニタ
11 制御ユニット
12 照明光学系
20 描画ブロック
30 描画ブロック群
71 信号生成部
72 D/A変換部
73 信号増幅部
81 光検出器
82 A/D変換部
A 観察面
L 照明光
L’ 戻り光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出射された照明光を導光して観察対象に照射する導光部と、
該導光部を周期的に振動させることにより前記観察対象において前記照明光を2次元走査させる駆動部と、
前記観察対象における各走査位置からの前記照明光の戻り光を所定のサンプリング周期で検出する光検出部と、
検出された各前記走査位置からの前記戻り光の強度を有する一以上の画素からなる描画ブロックを前記導光部の振動の振幅及び位相に基づいて前記描画ブロックが相互に部分的に重なるように複数配列した描画ブロック群を生成すると共に、該描画ブロック群を各前記走査位置に対応する位置関係で、隣接する各前記描画ブロック群が相互に部分的に重なるように配列することにより前記観察対象の画像を生成する画像生成部と、
を備えた観察装置。
【請求項2】
前記導光部は、前記駆動部によって渦巻き状に変位するように走査され、
前記画像生成部は、前記渦巻き状の変位軌跡の中心からの距離に基づいて前記描画ブロックの配列間隔を決定する請求項1に記載の観察装置。
【請求項3】
前記導光部は、前記駆動部によって渦巻き状に変位するように走査され、
前記画像生成部は、前記渦巻き状の変位軌跡の中心からの角度に基づいて前記描画ブロックの配列方向を決定する請求項1又は請求項2に記載の観察装置。
【請求項4】
前記画像生成部は、前記渦巻き状の変位軌跡の中心に近いほど描画ブロック群に含まれる描画ブロック数を減少させる請求項2又は請求項3に記載の観察装置。
【請求項5】
前記画像生成部は、前記渦巻き状の変位軌跡の中心に近いほど前記描画ブロック群に含まれる前記描画ブロック同士の配列間隔を小さくする請求項2乃至請求項4の何れか1項に記載の観察装置。
【請求項6】
観察対象における各走査位置に対応する画素位置に、各前記走査位置における振幅及び位相情報と各前記走査位置からの戻り光の強度情報とを含む画像情報が入力され、該画像情報の前記強度情報を有する各前記画素位置を特定し、特定された各前記画素位置の各前記画素と同一の強度情報を有する一以上の画素からなる描画ブロックを生成し、前記振幅及び位相情報に基づいて各該描画ブロックが相互に重なるように該描画ブロックを複数配列して描画ブロック群を生成し、各該描画ブロック群を各前記走査位置に対応する位置関係で隣接する前記描画ブロック群が相互に重なるように配列する画像処理方法。
【請求項7】
観察対象における各走査位置に対応する画素位置に、各前記走査位置における振幅及び位相情報と各前記走査位置からの戻り光の強度情報とを含む画像情報が入力され、該画像情報の前記強度情報を有する各前記画素位置を特定するステップと、
特定された各前記画素位置の各前記画素と同一の強度情報を有する一以上の画素からなる描画ブロックを生成するステップと、
前記振幅及び位相情報に基づいて各該描画ブロックが相互に重なるように該描画ブロックを複数配列して描画ブロック群を生成するステップと、
各該描画ブロック群を各前記走査位置に対応する位置関係で隣接する前記描画ブロック群が相互に重なるように配列するステップと、
をコンピュータに実行させる画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−48819(P2013−48819A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189658(P2011−189658)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】