角度付きセメントポケットを有する膝プロテーゼの脛骨コンポーネント
【課題】大腿骨コンポーネントの埋め込み中に、予め装填された骨セメントの流出を防止する、埋め込み型整形外科用膝プロテーゼを提供する。
【解決手段】埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ10は、大腿骨コンポーネント12、脛骨トレイ14、及び軸受16を含む。大腿骨コンポーネント12は、患者の遠位大腿骨の外科的に調製された末端部に連結するように構成されている一方で、脛骨トレイ14は、患者の近位脛骨の外科的に調製された末端部に固定されるように構成されている。大腿骨コンポーネント12の固定面は、角度付けされたセメントポケットが内部に形成された固定表面を含む。
【解決手段】埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ10は、大腿骨コンポーネント12、脛骨トレイ14、及び軸受16を含む。大腿骨コンポーネント12は、患者の遠位大腿骨の外科的に調製された末端部に連結するように構成されている一方で、脛骨トレイ14は、患者の近位脛骨の外科的に調製された末端部に固定されるように構成されている。大腿骨コンポーネント12の固定面は、角度付けされたセメントポケットが内部に形成された固定表面を含む。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
本願は、「Femoral Component of a Knee Prosthesis Having an Angled Cement Pocket」と題された2010年9月30日出願の米国特許出願第12/894,651号の一部継続出願である。米国特許出願第12/894,651号全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して、埋め込み型整形外科的プロテーゼ、より具体的には、埋め込み型膝プロテーゼに関する。
【背景技術】
【0003】
患者の生涯において、例えば、病気又は外傷の結果として、患者の関節置換手術を行う必要がある場合がある。膝置換手術は、1つ以上の患者の骨に埋め込まれるプロテーゼの使用を伴うことがある。膝置換手術の場合、脛骨トレイが患者の脛骨に埋め込まれる。軸受は、脛骨トレイに固定される。代替大腿骨コンポーネントの顆表面は、脛骨軸受を支える。
【0004】
大腿骨コンポーネントの埋め込み中に、外科医は一般的に、コンポーネントの、骨と接触する表面上に骨セメントを予め装填する。予め装填された骨セメントは、外科的に調製された遠位大腿骨上に大腿骨コンポーネントが位置決めされるとき、大腿骨コンポーネントから流出する傾向がある。流出した骨セメントを介した、大腿骨コンポーネントの前方移動は「セメント鋤」と呼ばれる。流出した骨セメント及び関連のセメント鋤は両方とも、外科手術の完了前に、付着した骨セメントを取り除くための更なる外科工程の実施につながる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様によれば、埋め込み型整形外科用膝プロテーゼは、外科的に調製された遠位大腿骨に連結されるように構成されている大腿骨コンポーネントを含む。この大腿骨コンポーネントは、後方大腿骨顆表面を含む関節面を有する。固定面は、関節面の反対側であり、それは、概ね上位方向/下位方向に延びる後方固定表面を含む。後方固定表面は、内部に形成され、その上位末端部よりもその下位末端部においてより深い後方セメントポケットを有する。
【0006】
大腿骨コンポーネントの固定面は、概ね前方向/後方向に延びる遠位固定表面、及び後方固定表面に向かう方向で、遠位固定表面から上位及び後方に延びる後方面取り固定表面も含んでよい。後方面取り表面は、内部に形成され、後方セメントポケットと連続する後方面取りセメントポケットを有してよい。同様に、遠位固定表面は、内部に形成され、後方面取りセメントポケットと連続する遠位セメントポケットを有してよい。
【0007】
後方セメントポケットは、その下位末端部において、後方面取りセメントポケット及び遠位セメントポケットの両方よりも深くてもよい。
【0008】
大腿骨コンポーネントの固定面は、概ね上位方向/下位方向に延びる前方固定表面と、遠位固定表面から上位及び前方に、前方固定表面に向かう方向で延びる、前方面取り固定表面も含んでもよい。前方面取り表面は、内部に形成され、遠位セメントポケットと連続する前方面取りセメントポケットを有してよい。前方固定表面は、内部に形成され、前方面取りセメントポケットと連続する前方セメントポケットを含んでよい。
【0009】
一実施形態では、後方セメントポケットは、その下位末端部において、前方面取りセメントポケット及び前方セメントポケットの両方よりも深い。
【0010】
一実施形態では、後方固定表面は、この後方固定表面から後方に延びる側壁を有する取り付け縁部を含む。側壁は、後方セメントポケットの外辺部を画定する。矢状の方向から見たときに、側壁の下位末端部は、側壁の上位末端部よりも広い。
【0011】
別の態様によれば、埋め込み型整形外科用膝プロテーゼは、外科的に調製された遠位大腿骨に連結されるように構成された大腿骨コンポーネントを含む。大腿骨コンポーネントは、後方大腿骨顆表面を有する関節面と、この関節面の反対側の固定面と、を含んでよい。固定面は、概ね上位方向/下位方向に延びる後方固定表面を含んでよい。後方固定表面は、周縁部と、この周縁部から後方に離間する底部壁と、後方縁部から底部壁まで後方に延びる側壁と、を含んでよい。矢状の方向から見たときに、周縁部によって画定される仮想面は、底部壁によって画定される仮想面と鋭角を形成する。
【0012】
矢状の方向から見たときに、側壁の下位末端部は、側壁の上位末端部よりも広くてよい。
【0013】
一実施形態では、側壁及び底部壁は集合的にセメントポケットを画定する。
【0014】
関節面は、後方外側大腿骨顆表面を含んでよい。関節面は、後方内側大腿骨顆表面も含んでよい。
【0015】
別の態様によれば、埋め込み型整形外科用膝プロテーゼは、外科的に調製された近位脛骨に連結されるように構成された脛骨トレイ、及びこの脛骨トレイに連結した軸受を含む。軸受は、内側関節表面及び外側関節表面を含む。膝プロテーゼは、外科的に調製された遠位大腿骨に連結されるように構成された大腿骨コンポーネントを含んでもよい。大腿骨コンポーネントは、軸受の外側関節表面と関節をなすように構成された外側顆表面、及び軸受の内側関節表面と関節をなすように構成された内側顆を含んでよい。大腿骨コンポーネントは、後方外側固定表面が上位方向/下位方向に延びている状態で、外側顆表面の反対側の後方外側固定表面を含んでもよい。大腿骨コンポーネントは、後方内側固定表面が上位方向/下位方向に延びている状態で、内側顆表面の反対側の後方内側固定表面も含む。後方内側固定表面及び後方外側固定表面の両方は、周縁部と、この周縁部から後方に離間する底部壁と、後方縁部から底部壁まで後方に延びる側壁と、を含んでもよい。矢状の方向から見たときに、周縁部によって画定される仮想面は、底部壁によって画定される仮想面と鋭角を形成する。
【0016】
矢状の方向から見たときに、後方内側固定表面の側壁の下位末端部は、その上位末端部よりも広い。
【0017】
矢状の方向から見たときに、後方外側固定表面の側壁の下位末端部は、その上位末端部よりも広い。
【0018】
後方内側固定表面の側壁及び底部壁は、集合的にセメントポケットを画定する。
【0019】
後方外側固定表面の側壁及び底部壁は、集合的にセメントポケットも画定する。
【0020】
別の態様によれば、埋め込み型整形外科用膝プロテーゼは、外科的に調製された遠位大腿骨に連結されるように構成された大腿骨コンポーネントを含む。大腿骨コンポーネントは、大腿骨顆表面を含む関節面と、この関節面の反対側の固定面と、を有する。固定面は、概ね上位方向/下位方向に延びる固定表面を含む。固定表面は、内部に形成され、その上位末端部よりも下位末端部においてより深いセメントポケットを有する。
【0021】
固定表面は、この固定表面から延びる側壁を有する取り付け縁部を含んでもよい。側壁は、セメントポケットの外辺部を画定する。矢状の方向から見たときに、側壁の下位末端部は、側壁の上位末端部よりも広い。
【0022】
矢状の方向から見たときに、周縁部によって画定される仮想面は、底部壁によって画定される仮想面と鋭角を形成する。
【0023】
固定表面は、内部に形成された後方セメントポケットを有する後方固定表面を含んでもよい。かかる構成では、底部壁は、周縁部から後方に離間され、側壁は、後方縁部から底部壁まで後方に延びる。
【0024】
固定表面は、内部に形成された前方セメントポケットを有する前方固定表面を含んでもよい。かかる構成では、底部壁は、周縁部から前方に離間され、側壁は、前方縁部から底部壁まで前方に延びる。
【0025】
大腿骨コンポーネントは、単顆型大腿骨コンポーネントとして具体化されてよい。
【0026】
別の態様によれば、埋め込み型整形外科用膝プロテーゼは、外科的に調製された近位脛骨に連結されるように構成された脛骨コンポーネントを含む。脛骨コンポーネントは、上位面と、上位面の反対側の下位面と、下位面から下位に延びる固定部材とを含む。脛骨コンポーネントの下位面は、概して横断方向面内に延びる下位固定表面を含み、このような下位固定表面は、内部に形成された後方セメントポケットを有する。後方セメントポケットは、その後方末端部よりも前方末端部においてより深い。
【0027】
埋め込み型整形外科用膝プロテーゼは、脛骨軸受コンポーネントを含んでもよい。そのような場合、脛骨コンポーネントは脛骨トレイとして具体化されてよく、脛骨軸受コンポーネントは脛骨トレイ上に配置されている。脛骨トレイは、金属であってよく、脛骨軸受は、ポリマーであってよい。
【0028】
別の実施形態では、脛骨コンポーネントの上位面は、大腿骨コンポーネントの内側顆表面と関節をなすように構成された内側軸受表面と、大腿骨コンポーネントの外側顆表面と関節をなすように構成された外側軸受表面とを含む。そのような場合、脛骨コンポーネントは、単一のポリマーコンポーネントとして具体化されてよい。
【0029】
脛骨コンポーネントの下位固定表面は、縁部から上位に延びる側壁を有する取り付け縁部を含んでよい。側壁は、後方セメントポケットの外辺部を画定する。矢状の方向から見たときに、側壁の前方末端部は、側壁の後方末端部よりも広い。
【0030】
別の態様によれば、埋め込み型整形外科用膝プロテーゼは、外科的に調製された近位脛骨に連結されるように構成された脛骨コンポーネントを含む。脛骨コンポーネントは、上位面と、上位面の反対側の下位面と、下位面から下位に延びる固定部材とを含む。脛骨コンポーネントの下位面は、概して横断方向面内に延びる下位固定表面を含む。下位固定表面は、周縁部と、周縁部から上位に離間する頂部壁と、後方縁部から頂部壁まで上位に延びる側壁と、を含む。矢状の方向から見たときに、周縁部によって画定される仮想面は、頂部壁によって画定される仮想面と鋭角を形成する。
【0031】
矢状の方向から見たときに、側壁の前方末端部は、側壁の後方末端部よりも広い。
【0032】
側壁及び頂部壁は、集合的にセメントポケットを画定する。
【0033】
埋め込み型整形外科用膝プロテーゼは、脛骨軸受コンポーネントを含んでもよい。そのような場合、脛骨コンポーネントは、脛骨軸受コンポーネントが脛骨トレイ上に配置された状態で、脛骨トレイとして具体化されてよい。脛骨トレイは、金属であってよく、脛骨軸受は、ポリマーであってよい。
【0034】
別の実施形態では、脛骨コンポーネントの上位面は、大腿骨コンポーネントの内側顆表面と関節をなすように構成された内側軸受表面と、大腿骨コンポーネントの外側顆表面と関節をなすように構成された外側軸受表面とを含む。そのような場合、脛骨コンポーネントは、単一のポリマーコンポーネントとして具体化されてよい。
【0035】
別の態様によれば、埋め込み型整形外科用膝プロテーゼは、内側顆表面及び外側顆表面を有する大腿骨コンポーネントを含む。埋め込み型整形外科用膝プロテーゼは、大腿骨コンポーネントの内側顆表面と関節をなすように構成された内側軸受表面と、大腿骨コンポーネントの外側顆表面と関節をなすように構成された外側軸受表面と、を有する軸受も含む。この埋め込み型整形外科用膝プロテーゼは、軸受の下方に配置された脛骨トレイを更に含む。脛骨トレイは、上位面、上位面の反対側の下位面、及び下位面から下位に延びる固定部材を含む。脛骨トレイの下位面は、概して横断方向面内に延びる下位固定表面を含む。下位固定表面は、周縁部と、周縁部から上位に離間する頂部壁と、後方縁部から頂部壁まで上位に延びる側壁とを含む。矢状の方向から見たときに、周縁部によって画定される仮想面は、頂部壁によって画定される仮想面と鋭角を形成する。
【0036】
矢状の方向から見たときに、側壁の前方末端部は、側壁の後方末端部よりも広い。
【0037】
側壁及び頂部壁は、集合的にセメントポケットを画定する。
【0038】
脛骨トレイは、金属であってよく、脛骨軸受は、ポリマーであってよい。
【0039】
一実施形態において、脛骨軸受は、脛骨トレイに対して回転可能である。
【0040】
別の実施形態では、脛骨軸受は、脛骨トレイに対して定位置に固定されている。
【図面の簡単な説明】
【0041】
「発明を実施するための形態」においては、特に以下の図面を参照する。
【図1】膝プロテーゼの斜視図。
【図2】図1の膝プロテーゼの分解斜視図。
【図3】図1の膝プロテーゼの大腿骨コンポーネントの斜視図。
【図4】図3の大腿骨コンポーネントの矢状の方向の横断面図。
【図5】大腿骨コンポーネントの後方顆をより詳細に示している、図4の部分の、拡大断片図。
【図6】図4と同様ではあるが、後方セメントポケット及び前方セメントポケットの両方が角度付きである、大腿骨コンポーネントの別の実施形態を示している。
【図7】単顆型大腿骨コンポーネントの斜視図。
【図8】図7の単顆型大腿骨コンポーネントの矢状の方向の横断面図。
【図9】図1の膝プロテーゼの脛骨トレイの下位面の平面図。
【図10】図9の線10−10に沿って取った脛骨トレイの矢状の方向の横断面図。
【図11】図9の線11−11に沿って取った脛骨トレイの矢状の方向の横断面図。
【図12】全ポリマー脛骨コンポーネントの横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本開示の概念には様々な改変及び代替的形態が考えられるが、その特定の代表的な実施形態を図面に例として示し、本明細書において詳細に述べる。ただし、本開示の概念を開示される特定の形態に限定することを何ら意図するものではなく、その逆に、本発明は、添付の「特許請求の範囲」において定義される発明の趣旨及び範囲に包含される全ての改変物、均等物及び代替物を網羅することを意図するものである点を理解すべきである。
【0043】
解剖学的参照を表す前方、後方、内側、外側、上位、下位等の用語は、本開示全体にて、本明細書に記載する整形外科用インプラントと、患者の本来の解剖学的構造との両方に関して使用されてよい。これらの用語は、解剖学的構造の研究及び整形外科学の分野の両方において広く理解されている意味を有するものである。明細書及び特許請求の範囲におけるこれらの解剖学的参照用語の使用は、特に言及しない限り、それらの十分理解された意味と一致することが意図される。
【0044】
ここで図1〜5を参照すると、膝プロテーゼ10が示されている。膝プロテーゼ10は、大腿骨コンポーネント12、脛骨トレイ14、及び軸受16を含む。大腿骨コンポーネント12は、患者の遠位大腿骨(図示せず)の外科的に調製された末端部に固定されるように構成されている一方で、脛骨トレイ14は、患者の近位脛骨(図示せず)の外科的に調製された末端部に固定されるように構成されている。
【0045】
脛骨トレイ14は、その下部表面から離れて延びる固定部材、例えば細長いステム20を有するプラットフォーム18を含む。軸受16は、脛骨トレイ14における補助穴24(図2)内に位置決め可能なステム22(図2を参照)を含む。かかる方法では、軸受16は、脛骨トレイ14に対して自由に回転できる。別の実施形態において、軸受16は、スナップ嵌めされ、又は別様に脛骨トレイ14に固定されてよい。かかる方法では、軸受16は、脛骨トレイ14に対して固定される(すなわち、それは、前方/後方又は内側方向/外側方向において回転しない又は移動可能ではない)。かかる実施形態では、1つ以上の短いペグ又は柱など他の固定部材は、細長いステム20の代わりに使用されてもよいということを理解されたい。
【0046】
軸受16は、外側関節表面26及び内側関節表面28を含む。関節表面26、28は、大腿骨コンポーネント12の外側顆表面30及び内側顆表面32とそれぞれ関節をなすように構成される。具体的には、大腿骨コンポーネント12は、患者の本来の大腿骨顆の構成を模倣するように構成されており、よって外側顆表面30及び内側顆表面32は、自然の大腿骨の顆を模倣する方式で構成されている(例えば、湾曲している)。外側顆表面30及び内側顆表面32は、互いから離れて離間され、それによって、それらの間に顆間切痕を画定する。
【0047】
大腿骨コンポーネント12及び脛骨トレイ14など、本来の骨に係合する膝プロテーゼ10のコンポーネントは、コバルトクロム合金等の生体適合性金属で構成され得るが、他の材料、例えばセラミックも使用されてよい。これらのコンポーネントの骨に係合する表面は、骨のコンポーネントへの接着を促進するように非平滑化されてよい。かかる表面は、永久固定のために骨内部成長を推進するように多孔質で被覆されてよい。
【0048】
軸受16は、軸受16と大腿骨コンポーネント12との間の円滑な関節を可能にする、ポリマー材料等の材料で構成されてよい。1つのかかるポリマー材料は、ポリエチレン、例えば超高分子ポリエチレン(UHMWPE)であるが、他の生体適合性ポリマーが使用されてもよい。
【0049】
大腿骨コンポーネント12は、本明細書において例示的に単一のコンポーネントとして記載されているが、それは多くの「領域」又は「構造体」を特徴とする。例えば、大腿骨コンポーネント12の前方構造体は、前方フランジ34と呼ばれる。前方フランジ34は、前方面取り領域36に推移し、これは次いで、遠位顆領域38に推移する。遠位顆領域38は、後方面取り領域40に推移する。一対の後方大腿骨顆42は、大腿骨コンポーネント12の後方構造体を形成する。
【0050】
図2に示すように、外側顆表面30及び内側顆表面32は、両方とも大腿骨コンポーネント12の関節面44に形成されている。固定面48は、関節面44の反対側であり、患者の外科的に調製された遠位大腿骨と接触する大腿骨コンポーネント12の面である。固定面48は、患者の遠位大腿骨内に外科的に切り込まれた平面状表面と嵌合する複数の表面を含む。具体的には、図3に示すように、一対の後方固定表面50は、後方顆表面52の反対側であり、後方固定表面50の一方は、内側固定表面であり、他方は外側固定表面である。図4において見ることができるように、後方固定表面50は、概ね上位方向/下位方向において延びる。一対の遠位固定表面58(一方は内側に位置決めされており、他方は外側に位置決めされている)は、遠位顆表面60の反対側である。遠位固定表面58は、概ね前方/後方において延びる。内側及び外側の後方面取り固定表面54は、後方面取り顆表面56の反対側である。内側及び外側の後方面取り固定表面54は、それらの対応する後方固定表面50に向かう方向で、それらの対応する内側及び外側の遠位固定表面58から上位及び後方に延びる。内側及び外側の前方面取り固定表面62は、それぞれ前方の面取り顆表面64の反対側であり、前方固定表面66に向かう方向で、それらの対応する遠位固定表面58から上位及び前方外側に延びる。前方固定表面66は、前方顆表面68の反対側であり、後方固定表面50のように、概ね上位方向/下位方向に延びる。
【0051】
固定表面のそれぞれは、内部に形成された、セメントポケットを有する。具体的には、後方セメントポケット70は、後方固定表面50のそれぞれに形成され、後方面取りセメントポケット72は、後方面取り固定表面54のそれぞれに形成され、遠位セメントポケット74は、遠位固定表面58のそれぞれに形成され、前方面取りセメントポケット76は、前方面取り固定表面62のそれぞれに形成され、前方セメントポケット78は前方固定表面66に形成される。本明細書に記載する例示的な実施形態では、隣接するセメントポケットは、単一の連続セメントポケットが大腿骨コンポーネントの固定面48に形成されるように、相互に連続している。
【0052】
セメントポケット70、72、74、76、78のぞれぞれは、取り付け縁部82から外へ延びる側壁80によって形成される。図3〜5で見ることができるように、側壁80は、セメントポケット70、72、74、76、78それぞれの外辺部を形成する。底部壁84は、取り付け縁部82から離間され、側壁80によってそれに接続される。そのような方法で、側壁80及び底部壁84は、集合的に、対応するセメントポケット70、72、74、76、78を画定する。
【0053】
後方面取りセメントポケット72、遠位セメントポケット74、前方面取りセメントポケット76、及び前方セメントポケット78のそれぞれの深さ(D1)は、ほぼ等しい。本明細書に記載する例示的な実施形態では、セメントポケット72、74、76及び78のそれぞれは、約1mmの深さである(すなわち、D1=1mm)。
【0054】
他方では、後方セメントポケット70は、角度付けされ、結果としてその上位末端部上よりも下位末端部において、より深い。具体的には、図5に示すように、後方セメントポケット70は、後方固定表面50の取り付け縁部82’から底部壁84’まで、後方に延びる側壁80’によって形成される。矢状の方向から見たときに、例えば図4及び5の横断面図において、側壁80’の下位末端部86は、側壁80’の上位末端部88よりも広い。結果として、後方セメントポケット70は、その上位末端部92よりも下位末端部90においてより深い。本明細書に記載する例示的な実施形態では、後方セメントポケット70の上位末端部92は、他のセメントポケット72、74、76及び78の深さとほぼ等しい。換言すれば、後方セメントポケット70の上位末端部92は、約1mmの深さである(すなわち、D1=1mm)。しかしながら、後方セメントポケット70の下位末端部90は、例示的に1.5mmの深さである(すなわち、D2=1.5mm)。大腿骨コンポーネント12の所与の設計の要求にあてはめるために、他の寸法もまた使用されてもよいということが理解されよう。
【0055】
かかる構成は、角度付きの底部壁84’を形成する。具体的には、底部壁84’は、その下位末端部86からその上位末端部88まで前方に傾斜する。この傾斜した構成は、図5の横断面図にて例示的に示されている。その図で見られ得るように、仮想面96は、後方固定表面50の取り付け縁部82’によって画定されているのに対して、後方固定表面50の底部壁84’は、仮想面94を画定する。2つの仮想面94、96は、それらの間に鋭角(θ)を形成する。かかる鋭角は、取り付け縁部82’に対する底部壁84’の傾斜を示す。
【0056】
大腿骨コンポーネント12を、患者の大腿骨の外科的に調製された遠位端に埋め込む外科手術中に、セメントポケット70、72、74、76、78は、骨用セメントで予め装填される。大腿骨コンポーネント12は、次いで、患者の外科的に調製された遠位大腿骨に位置決めされ、これはまた、すでに骨セメントでコーティングされている。後方セメントポケット70の角度付き構成は、液圧式に骨用セメントをセメントポケット内に装填する。これは、骨セメントの閉じ込めを強化し、セメント鋤の発生を低減する。後方セメントポケット70の構成はまた、骨セメントの充填及び加圧を改善し、これは、遠位大腿骨に対する大腿骨コンポーネント12の接合の強化につながる。
【0057】
ここで図6を参照すると、大腿骨コンポーネント12の別の実施形態が示されている。この実施形態では、後方セメントポケット70及び前方セメントポケット78の両方に、角度が付いている。そのため、セメントポケット70、78の両方は、それらの対応する上位末端部よりも、それらの対応する下位末端部において、より深い。図6に示す実施形態では、後方セメントポケット70は、図1〜5に関して上記のものと本質的に同じである。前方セメントポケット78に関して、それは、前方固定表面66の取り付け縁部82”から底部壁84”まで前方に延びる側壁80”によって形成される。例えば図6の横断面図のように、矢状の方向から見たときに、側壁80”の下位末端部106は、側壁80”の上位末端部108よりも広い。結果として、後方セメントポケット70のように、前方セメントポケット78は、その上位末端部112よりも下位末端部110においてより深い。本明細書に記載する例示的な実施形態では、前方セメントポケット78の上位末端部112は、他のセメントポケット72、74、及び76の深さとほぼ等しい。換言すれば、前方セメントポケット70の上位末端部112は、約1mmの深さである(すなわち、D1=1mm)。しかしながら、前方セメントポケット78の下位末端部110は、例示的に1.5mmの深さである(すなわち、D2=1.5mm)。大腿骨コンポーネント12の所与の設計の要求にあてはめるために、他の寸法もまた使用されてよいということが理解されよう。
【0058】
かかる構成は、角度付き底部壁84”を形成する。具体的には、前方セメントポケット78の底部壁84”は、その下位末端部106からその上位末端部108まで後方に傾斜する。この傾斜した構成は図6にて例示的に示されており、ここでは、仮想面114が、前方固定表面66の取り付け縁部82”によって画定されている一方で、前方固定表面66の底部壁84”が、仮想面116を画定する。2つの仮想面114、116は、それらの間に鋭角(β)を形成する。かかる鋭角は、取り付け縁部82”に対する底部壁84”の傾斜を示す。
【0059】
図6の大腿骨コンポーネント12を、患者の大腿骨の外科的に調製された遠位端に埋め込む外科手術中に、セメントポケット70、72、74、76、78は、骨セメントで予め装填される。大腿骨コンポーネント12は、次いで、患者の外科的に調製された遠位大腿骨に位置決めされ、これはまた、すでに骨セメントでコーティングされている。セメントポケット70、78の角度付き構成は、液圧式に骨セメントをセメントポケット70、78内に装填する。これは、骨セメントの閉じ込めを強化し、セメント鋤の発生を低減する。これはまた、骨セメントの充填及び加圧を向上させ、これは、遠位大腿骨に対する大腿骨コンポーネント12の接合の強化につながる。
【0060】
図6の実施形態は、角度が付けられている後方セメントポケット70及び前方セメントポケット78の両方を例示的に示すが、別の実施形態もまた想到されるということが理解されるべきである。例えば、図1〜5に示すように、大腿骨コンポーネント12は、角度が付けられている後方セメントポケット70のみを有して具体化されてよい。あるいは、大腿骨コンポーネント12は、角度が付けられている前方セメントポケット78のみで具体化されてよい。
【0061】
ここで図7及び8を参照すると、大腿骨コンポーネント12はまた、単顆型大腿骨コンポーネントとして具体化されてもよい。本明細書に記載する別の実施形態のように、単顆型大腿骨コンポーネント12の後方セメントポケット70は、角度付きであってよい。後方セメントポケット70の角度突き構成は、液圧式に骨用セメントをセメントポケット内に装填する。これは、骨セメントの閉じ込めを強化し、セメント鋤の発生を低減する。後方セメントポケット70の構成はまた、骨セメントの充填及び加圧を改善し、これは、単顆型大腿骨コンポーネント12の、遠位大腿骨に対する接合の強化につながる。
【0062】
ここで図9〜11を参照すると、本開示の概念は、図1及び2の脛骨トレイ14のような脛骨コンポーネントの設計に使用してもよい。図10に示すように、脛骨トレイ14の上位面120内に平坦な平面状表面118が形成されている。具体的には、脛骨トレイのプラットフォーム18の上位表面118は、滑らかな平面状表面を画定し、軸受のステム22(図2参照)が脛骨トレイ14の補助穴24(図2参照)内に配置された際に、平面状表面上で膝プロテーゼ10の軸受16が自由に回転できる。別の実施形態では、脛骨トレイのプラットフォーム18の上位表面118は、1つ以上の特徴を有して具体化されてよく、特徴上に軸受16がスナップ嵌めされ、又は別様に脛骨トレイ14に固定されてよい。かかる方法で、軸受16は、脛骨トレイ14に対して固定される(すなわち、それは、前方/後方又は内側方向/外側方向において回転しない又は移動可能ではない)。
【0063】
脛骨トレイの下位面122はその上位面120の反対側であり、患者の外科的に調製された近位脛骨と接触する、脛骨トレイ14の面である。細長いステム20は、脛骨トレイの下位面122から離れて下位に延びる。脛骨トレイの下位面122は、患者の近位脛骨内に外科的に切り込まれた平面状表面と嵌合する複数の表面を含む。具体的には、図9及び10に示すように、下位固定表面124は、概して横断方向面内に(すなわち、解剖学的な横断方向面の方向に)延びる。
【0064】
下位固定表面124は、内部に形成されたセメントポケット126を有する。本明細書に記載する例示的な実施形態では、脛骨トレイのフィン128は、セメントポケット126をトレイの内側/外側幅に沿った様々な位置において別個のセメントポケットに分割する。具体的には、前方セメントポケット130は、トレイのフィン128の前方に配置され、後方セメントポケット132は、トレイのフィン128の後方に配置されている。しかしながら、フィン128は、トレイ14の内側端及び外側端へと伸びないため、セメントポケット130、132は、単一の連続セメントポケット126が脛骨トレイ14の下位面122内に形成されるように、互いに連続する。しかしながら、脛骨トレイ14は、1つ以上の別個のセメントポケットを有して具体化されることができることを認識するべきである。
【0065】
セメントポケット126、130、132のぞれぞれは、取り付け縁部142から離れて上位に延びる側壁140によって形成される。図9〜11に見ることができるように、側壁140は、対応するセメントポケット126、130、132の外辺部を形成する。頂部壁144は、取り付け縁部142から離間され、側壁140によって取り付け縁部142に接続される。そのような方法で、側壁140及び頂部壁144は、集合的に、対応するセメントポケット126、130、132を画定する。
【0066】
セメントポケット126は、角度が付けられ、結果として、その後方末端部よりもその前方末端部において、より深い。具体的には、矢状の方向から見たときに、例えば図10及び11の横断面図において、側壁140の前方末端部146は、側壁140の後方末端部148よりも広い。結果として、セメントポケット126は、その後方末端部152よりも前方末端部150において、より深い。フィン128により形成されている個々のセメントポケット(すなわち、前方セメントポケット130及び後方セメントポケット132)は、基本的には、より大きいセメントポケット126の「サブポケット」であるため、セメントポケット130、132のそれぞれは、それらの対応する前方末端部がそれらの対応する後方末端部よりも深い、類似した構成を有する。具体的には、前方セメントポケット130の前方末端部154は、その後方末端部156よりも深い。同様に、後方セメントポケット132の前方末端部158は、その後方末端部160よりも深い。
【0067】
かかる構成は、角度付きの頂部壁144を形成する。具体的には、頂部壁144は、その前方末端部166からその後方末端部168へと下位に傾斜している。この傾斜構成は、図10及び11の横断面図に例示的に示されている。その図に見ることができるように、仮想面170は、下方固定表面124の取り付け縁部142によって画定されているのに対して、下方固定表面124の頂部壁144は、仮想面172を画定する。2つの仮想面170、172は、それらの間に鋭角(α)を形成する。かかる鋭角は、取り付け縁部142に対する頂部壁144の傾斜を示す。
【0068】
患者の脛骨の外科的に調製された近位端に脛骨トレイ14を埋め込む外科手術中、セメントポケット126は、骨セメントで予め装填される。次いで、脛骨トレイ14が患者の外科的に調製された近位脛骨上に位置決めされ、これもまた、すでに骨セメントでコーティングされている。セメントポケット126の角度付き構成は、液圧式に骨用セメントをセメントポケット内に装填する。これは、骨セメントの閉じ込めを強化し、セメント鋤の発生を低減する。セメントポケット126の構成はまた、任意の過剰な骨セメントを脛骨トレイ14の前方側から外部へ強制的に移動させ、そこで外科医によって容易に拭い去られ又は別様に除去されることができる。
【0069】
ここで図12を参照すると、脛骨コンポーネントは、全ポリマー脛骨コンポーネントとして具体化されてもよい。すなわち、脛骨トレイ及び軸受が別個のコンポーネントとして具体化されるモジュール式設計の代わりに、本開示の概念は、単一のポリマー脛骨コンポーネントの設計に使用することができる。そのような場合、大腿骨コンポーネント12の外側顆表面30及び内側顆表面32と関節をなすように構成された外側関節表面26及び内側関節表面28はそれぞれ、脛骨コンポーネントの上位面120内に形成される。本明細書に記載した脛骨トレイ14と同様、図12の全ポリマー脛骨コンポーネントセメントポケット126は、角度付けされてよい。セメントポケット126の角度付き構成は、液圧式に骨セメントをセメントポケット内に装填し、任意の過剰な骨セメントを全ポリマー脛骨コンポーネントの前方側から外部へ強制的に移動させ、そこで外科医によって容易に拭い去られ又は別様に除去されることができる。
【0070】
以上、図面及び上記の説明文において本開示内容を詳細に図示、説明したが、こうした図示、説明はその性質上、例示的なものとみなすべきであって、限定的なものとみなすべきではなく、あくまで例示的実施形態を示し、説明したものにすぎないのであって、本開示の趣旨の範囲に含まれる変更及び改変は全て保護されることが望ましい点は理解されるであろう。
【0071】
本開示には、ここに述べた装置、システム、及び方法の様々な特徴に基づく複数の利点がある。本開示の装置、システム、及び方法の代替的実施形態は、ここで述べた特徴の全てを含むわけではないが、こうした利点の少なくとも一部から利益を享受するものである。当業者であれば、本発明の1つ以上の特徴を取り入れた、特許請求の範囲において定義される本開示の趣旨及び範囲に含まれる装置、システム、及び方法を独自に実施することが容易に可能である。
【0072】
〔実施の態様〕
(1) 外科的に調製された近位脛骨に連結されるように構成されている脛骨コンポーネントであって、前記脛骨コンポーネントが、(i)上位面、(ii)前記上位面の反対側の下位面、及び(iii)前記下位面から下位に延びる固定部材、を有し、前記脛骨コンポーネントの前記下位面が、概して横断方向面内に延びる下位固定表面を含み、(i)前記下位固定表面が、内部に形成されたセメントポケットを有し、(ii)前記セメントポケットが、その後方末端部よりも前方末端部においてより深い、脛骨コンポーネントを含む、埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(2) 脛骨軸受コンポーネントを更に含み、
前記脛骨コンポーネントが、脛骨トレイを含み、
前記脛骨軸受コンポーネントが、前記脛骨トレイ上に配置されている、実施態様1に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(3) 前記脛骨トレイが、金属であり、前記脛骨軸受が、ポリマーである、実施態様2に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(4) 前記脛骨コンポーネントの前記上位面が、
大腿骨コンポーネントの内側顆表面と関節をなすように構成された内側軸受表面と、
前記大腿骨コンポーネントの外側顆表面と関節をなすように構成された外側軸受表面と、を含む、実施態様1に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(5) 前記脛骨コンポーネントが、単一のポリマーコンポーネントを含む、実施態様4に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(6) 前記下位固定表面が、取り付け縁部を含み、前記取り付け縁部が、該縁部から上位に延びる側壁を有し、
前記側壁が、前記後方セメントポケットの外辺部を画定し、
矢状方向から(sagittally)見たときに、前記側壁の前方末端部が、前記側壁の後方末端部よりも広い、実施態様1に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(7) 外科的に調製された近位脛骨に連結されるように構成されている脛骨コンポーネントであって、前記脛骨コンポーネントが、(i)上位面、(ii)前記上位面の反対側の下位面、及び(iii)前記下位面から下位に延びる固定部材を有し、前記脛骨コンポーネントの前記下位面が、概して横断方向面内に延びる下位固定表面を含む、脛骨コンポーネントを含み、
前記下位固定表面が、(i)周縁部と、(ii)前記周縁部から上位に離間する頂部壁と、(iii)前記後方縁部から前記頂部壁まで上位に延びる側壁とを含み、
矢状方向から見たときに、前記周縁部によって画定される仮想面は、前記頂部壁によって画定される仮想面と鋭角を形成する、埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(8) 矢状方向から見たときに、前記側壁の前方末端部が、前記側壁の後方末端部よりも広い、実施態様7に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(9) 前記側壁及び前記頂部壁が、集合的にセメントポケットを画定する、実施態様7に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(10) 脛骨軸受コンポーネントを更に含み、
前記脛骨コンポーネントが、脛骨トレイを含み、
前記脛骨軸受コンポーネントが、前記脛骨トレイ上に配置されている、実施態様7に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
【0073】
(11) 前記脛骨トレイが、金属であり、前記脛骨軸受が、ポリマーである、実施態様10に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(12) 前記脛骨コンポーネントの前記上位面が、
大腿骨コンポーネントの内側顆表面と関節をなすように構成された内側軸受表面と、
前記大腿骨コンポーネントの外側顆表面と関節をなすように構成された外側軸受表面と、を含む、実施態様7に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(13) 前記脛骨コンポーネントが、単一のポリマーコンポーネントを含む、実施態様12に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(14) 内側顆表面及び外側顆表面を有する大腿骨コンポーネントと、
(i)前記大腿骨コンポーネントの前記内側顆表面と関節をなすように構成された内側軸受表面と、(ii)前記大腿骨コンポーネントの前記外側顆表面と関節をなすように構成された外側軸受表面とを有する軸受と、
前記軸受の下方に配置される脛骨トレイであって、前記脛骨トレイが、(i)上位面、(ii)前記上位面の反対側の下位面、及び(iii)前記下位面から下位に延びる固定部材を含み、前記脛骨トレイの前記下位面が、概して横断方向面内に延びる下位固定表面を含む、脛骨トレイと、を含み、
前記下位固定表面が、(i)周縁部と、(ii)前記周縁部から上位に離間する頂部壁と、(iii)前記後方縁部から前記頂部壁まで上位に延びる側壁とを含み、
矢状方向から見たときに、前記周縁部によって画定される仮想面は、前記頂部壁によって画定される仮想面と鋭角を形成する、埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(15) 矢状方向から見たときに、前記側壁の前方末端部が、前記側壁の後方末端部よりも広い、実施態様14に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(16) 前記側壁及び前記頂部壁が、集合的にセメントポケットを画定する、実施態様14に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(17) 前記脛骨トレイが、金属であり、前記脛骨軸受が、ポリマーである、実施態様14に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(18) 前記脛骨軸受が、前記脛骨トレイに対して回転可能である、実施態様14に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(19) 前記脛骨軸受が、前記脛骨トレイに対して定位置に固定されている、実施態様14に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
【開示の内容】
【0001】
本願は、「Femoral Component of a Knee Prosthesis Having an Angled Cement Pocket」と題された2010年9月30日出願の米国特許出願第12/894,651号の一部継続出願である。米国特許出願第12/894,651号全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して、埋め込み型整形外科的プロテーゼ、より具体的には、埋め込み型膝プロテーゼに関する。
【背景技術】
【0003】
患者の生涯において、例えば、病気又は外傷の結果として、患者の関節置換手術を行う必要がある場合がある。膝置換手術は、1つ以上の患者の骨に埋め込まれるプロテーゼの使用を伴うことがある。膝置換手術の場合、脛骨トレイが患者の脛骨に埋め込まれる。軸受は、脛骨トレイに固定される。代替大腿骨コンポーネントの顆表面は、脛骨軸受を支える。
【0004】
大腿骨コンポーネントの埋め込み中に、外科医は一般的に、コンポーネントの、骨と接触する表面上に骨セメントを予め装填する。予め装填された骨セメントは、外科的に調製された遠位大腿骨上に大腿骨コンポーネントが位置決めされるとき、大腿骨コンポーネントから流出する傾向がある。流出した骨セメントを介した、大腿骨コンポーネントの前方移動は「セメント鋤」と呼ばれる。流出した骨セメント及び関連のセメント鋤は両方とも、外科手術の完了前に、付着した骨セメントを取り除くための更なる外科工程の実施につながる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様によれば、埋め込み型整形外科用膝プロテーゼは、外科的に調製された遠位大腿骨に連結されるように構成されている大腿骨コンポーネントを含む。この大腿骨コンポーネントは、後方大腿骨顆表面を含む関節面を有する。固定面は、関節面の反対側であり、それは、概ね上位方向/下位方向に延びる後方固定表面を含む。後方固定表面は、内部に形成され、その上位末端部よりもその下位末端部においてより深い後方セメントポケットを有する。
【0006】
大腿骨コンポーネントの固定面は、概ね前方向/後方向に延びる遠位固定表面、及び後方固定表面に向かう方向で、遠位固定表面から上位及び後方に延びる後方面取り固定表面も含んでよい。後方面取り表面は、内部に形成され、後方セメントポケットと連続する後方面取りセメントポケットを有してよい。同様に、遠位固定表面は、内部に形成され、後方面取りセメントポケットと連続する遠位セメントポケットを有してよい。
【0007】
後方セメントポケットは、その下位末端部において、後方面取りセメントポケット及び遠位セメントポケットの両方よりも深くてもよい。
【0008】
大腿骨コンポーネントの固定面は、概ね上位方向/下位方向に延びる前方固定表面と、遠位固定表面から上位及び前方に、前方固定表面に向かう方向で延びる、前方面取り固定表面も含んでもよい。前方面取り表面は、内部に形成され、遠位セメントポケットと連続する前方面取りセメントポケットを有してよい。前方固定表面は、内部に形成され、前方面取りセメントポケットと連続する前方セメントポケットを含んでよい。
【0009】
一実施形態では、後方セメントポケットは、その下位末端部において、前方面取りセメントポケット及び前方セメントポケットの両方よりも深い。
【0010】
一実施形態では、後方固定表面は、この後方固定表面から後方に延びる側壁を有する取り付け縁部を含む。側壁は、後方セメントポケットの外辺部を画定する。矢状の方向から見たときに、側壁の下位末端部は、側壁の上位末端部よりも広い。
【0011】
別の態様によれば、埋め込み型整形外科用膝プロテーゼは、外科的に調製された遠位大腿骨に連結されるように構成された大腿骨コンポーネントを含む。大腿骨コンポーネントは、後方大腿骨顆表面を有する関節面と、この関節面の反対側の固定面と、を含んでよい。固定面は、概ね上位方向/下位方向に延びる後方固定表面を含んでよい。後方固定表面は、周縁部と、この周縁部から後方に離間する底部壁と、後方縁部から底部壁まで後方に延びる側壁と、を含んでよい。矢状の方向から見たときに、周縁部によって画定される仮想面は、底部壁によって画定される仮想面と鋭角を形成する。
【0012】
矢状の方向から見たときに、側壁の下位末端部は、側壁の上位末端部よりも広くてよい。
【0013】
一実施形態では、側壁及び底部壁は集合的にセメントポケットを画定する。
【0014】
関節面は、後方外側大腿骨顆表面を含んでよい。関節面は、後方内側大腿骨顆表面も含んでよい。
【0015】
別の態様によれば、埋め込み型整形外科用膝プロテーゼは、外科的に調製された近位脛骨に連結されるように構成された脛骨トレイ、及びこの脛骨トレイに連結した軸受を含む。軸受は、内側関節表面及び外側関節表面を含む。膝プロテーゼは、外科的に調製された遠位大腿骨に連結されるように構成された大腿骨コンポーネントを含んでもよい。大腿骨コンポーネントは、軸受の外側関節表面と関節をなすように構成された外側顆表面、及び軸受の内側関節表面と関節をなすように構成された内側顆を含んでよい。大腿骨コンポーネントは、後方外側固定表面が上位方向/下位方向に延びている状態で、外側顆表面の反対側の後方外側固定表面を含んでもよい。大腿骨コンポーネントは、後方内側固定表面が上位方向/下位方向に延びている状態で、内側顆表面の反対側の後方内側固定表面も含む。後方内側固定表面及び後方外側固定表面の両方は、周縁部と、この周縁部から後方に離間する底部壁と、後方縁部から底部壁まで後方に延びる側壁と、を含んでもよい。矢状の方向から見たときに、周縁部によって画定される仮想面は、底部壁によって画定される仮想面と鋭角を形成する。
【0016】
矢状の方向から見たときに、後方内側固定表面の側壁の下位末端部は、その上位末端部よりも広い。
【0017】
矢状の方向から見たときに、後方外側固定表面の側壁の下位末端部は、その上位末端部よりも広い。
【0018】
後方内側固定表面の側壁及び底部壁は、集合的にセメントポケットを画定する。
【0019】
後方外側固定表面の側壁及び底部壁は、集合的にセメントポケットも画定する。
【0020】
別の態様によれば、埋め込み型整形外科用膝プロテーゼは、外科的に調製された遠位大腿骨に連結されるように構成された大腿骨コンポーネントを含む。大腿骨コンポーネントは、大腿骨顆表面を含む関節面と、この関節面の反対側の固定面と、を有する。固定面は、概ね上位方向/下位方向に延びる固定表面を含む。固定表面は、内部に形成され、その上位末端部よりも下位末端部においてより深いセメントポケットを有する。
【0021】
固定表面は、この固定表面から延びる側壁を有する取り付け縁部を含んでもよい。側壁は、セメントポケットの外辺部を画定する。矢状の方向から見たときに、側壁の下位末端部は、側壁の上位末端部よりも広い。
【0022】
矢状の方向から見たときに、周縁部によって画定される仮想面は、底部壁によって画定される仮想面と鋭角を形成する。
【0023】
固定表面は、内部に形成された後方セメントポケットを有する後方固定表面を含んでもよい。かかる構成では、底部壁は、周縁部から後方に離間され、側壁は、後方縁部から底部壁まで後方に延びる。
【0024】
固定表面は、内部に形成された前方セメントポケットを有する前方固定表面を含んでもよい。かかる構成では、底部壁は、周縁部から前方に離間され、側壁は、前方縁部から底部壁まで前方に延びる。
【0025】
大腿骨コンポーネントは、単顆型大腿骨コンポーネントとして具体化されてよい。
【0026】
別の態様によれば、埋め込み型整形外科用膝プロテーゼは、外科的に調製された近位脛骨に連結されるように構成された脛骨コンポーネントを含む。脛骨コンポーネントは、上位面と、上位面の反対側の下位面と、下位面から下位に延びる固定部材とを含む。脛骨コンポーネントの下位面は、概して横断方向面内に延びる下位固定表面を含み、このような下位固定表面は、内部に形成された後方セメントポケットを有する。後方セメントポケットは、その後方末端部よりも前方末端部においてより深い。
【0027】
埋め込み型整形外科用膝プロテーゼは、脛骨軸受コンポーネントを含んでもよい。そのような場合、脛骨コンポーネントは脛骨トレイとして具体化されてよく、脛骨軸受コンポーネントは脛骨トレイ上に配置されている。脛骨トレイは、金属であってよく、脛骨軸受は、ポリマーであってよい。
【0028】
別の実施形態では、脛骨コンポーネントの上位面は、大腿骨コンポーネントの内側顆表面と関節をなすように構成された内側軸受表面と、大腿骨コンポーネントの外側顆表面と関節をなすように構成された外側軸受表面とを含む。そのような場合、脛骨コンポーネントは、単一のポリマーコンポーネントとして具体化されてよい。
【0029】
脛骨コンポーネントの下位固定表面は、縁部から上位に延びる側壁を有する取り付け縁部を含んでよい。側壁は、後方セメントポケットの外辺部を画定する。矢状の方向から見たときに、側壁の前方末端部は、側壁の後方末端部よりも広い。
【0030】
別の態様によれば、埋め込み型整形外科用膝プロテーゼは、外科的に調製された近位脛骨に連結されるように構成された脛骨コンポーネントを含む。脛骨コンポーネントは、上位面と、上位面の反対側の下位面と、下位面から下位に延びる固定部材とを含む。脛骨コンポーネントの下位面は、概して横断方向面内に延びる下位固定表面を含む。下位固定表面は、周縁部と、周縁部から上位に離間する頂部壁と、後方縁部から頂部壁まで上位に延びる側壁と、を含む。矢状の方向から見たときに、周縁部によって画定される仮想面は、頂部壁によって画定される仮想面と鋭角を形成する。
【0031】
矢状の方向から見たときに、側壁の前方末端部は、側壁の後方末端部よりも広い。
【0032】
側壁及び頂部壁は、集合的にセメントポケットを画定する。
【0033】
埋め込み型整形外科用膝プロテーゼは、脛骨軸受コンポーネントを含んでもよい。そのような場合、脛骨コンポーネントは、脛骨軸受コンポーネントが脛骨トレイ上に配置された状態で、脛骨トレイとして具体化されてよい。脛骨トレイは、金属であってよく、脛骨軸受は、ポリマーであってよい。
【0034】
別の実施形態では、脛骨コンポーネントの上位面は、大腿骨コンポーネントの内側顆表面と関節をなすように構成された内側軸受表面と、大腿骨コンポーネントの外側顆表面と関節をなすように構成された外側軸受表面とを含む。そのような場合、脛骨コンポーネントは、単一のポリマーコンポーネントとして具体化されてよい。
【0035】
別の態様によれば、埋め込み型整形外科用膝プロテーゼは、内側顆表面及び外側顆表面を有する大腿骨コンポーネントを含む。埋め込み型整形外科用膝プロテーゼは、大腿骨コンポーネントの内側顆表面と関節をなすように構成された内側軸受表面と、大腿骨コンポーネントの外側顆表面と関節をなすように構成された外側軸受表面と、を有する軸受も含む。この埋め込み型整形外科用膝プロテーゼは、軸受の下方に配置された脛骨トレイを更に含む。脛骨トレイは、上位面、上位面の反対側の下位面、及び下位面から下位に延びる固定部材を含む。脛骨トレイの下位面は、概して横断方向面内に延びる下位固定表面を含む。下位固定表面は、周縁部と、周縁部から上位に離間する頂部壁と、後方縁部から頂部壁まで上位に延びる側壁とを含む。矢状の方向から見たときに、周縁部によって画定される仮想面は、頂部壁によって画定される仮想面と鋭角を形成する。
【0036】
矢状の方向から見たときに、側壁の前方末端部は、側壁の後方末端部よりも広い。
【0037】
側壁及び頂部壁は、集合的にセメントポケットを画定する。
【0038】
脛骨トレイは、金属であってよく、脛骨軸受は、ポリマーであってよい。
【0039】
一実施形態において、脛骨軸受は、脛骨トレイに対して回転可能である。
【0040】
別の実施形態では、脛骨軸受は、脛骨トレイに対して定位置に固定されている。
【図面の簡単な説明】
【0041】
「発明を実施するための形態」においては、特に以下の図面を参照する。
【図1】膝プロテーゼの斜視図。
【図2】図1の膝プロテーゼの分解斜視図。
【図3】図1の膝プロテーゼの大腿骨コンポーネントの斜視図。
【図4】図3の大腿骨コンポーネントの矢状の方向の横断面図。
【図5】大腿骨コンポーネントの後方顆をより詳細に示している、図4の部分の、拡大断片図。
【図6】図4と同様ではあるが、後方セメントポケット及び前方セメントポケットの両方が角度付きである、大腿骨コンポーネントの別の実施形態を示している。
【図7】単顆型大腿骨コンポーネントの斜視図。
【図8】図7の単顆型大腿骨コンポーネントの矢状の方向の横断面図。
【図9】図1の膝プロテーゼの脛骨トレイの下位面の平面図。
【図10】図9の線10−10に沿って取った脛骨トレイの矢状の方向の横断面図。
【図11】図9の線11−11に沿って取った脛骨トレイの矢状の方向の横断面図。
【図12】全ポリマー脛骨コンポーネントの横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本開示の概念には様々な改変及び代替的形態が考えられるが、その特定の代表的な実施形態を図面に例として示し、本明細書において詳細に述べる。ただし、本開示の概念を開示される特定の形態に限定することを何ら意図するものではなく、その逆に、本発明は、添付の「特許請求の範囲」において定義される発明の趣旨及び範囲に包含される全ての改変物、均等物及び代替物を網羅することを意図するものである点を理解すべきである。
【0043】
解剖学的参照を表す前方、後方、内側、外側、上位、下位等の用語は、本開示全体にて、本明細書に記載する整形外科用インプラントと、患者の本来の解剖学的構造との両方に関して使用されてよい。これらの用語は、解剖学的構造の研究及び整形外科学の分野の両方において広く理解されている意味を有するものである。明細書及び特許請求の範囲におけるこれらの解剖学的参照用語の使用は、特に言及しない限り、それらの十分理解された意味と一致することが意図される。
【0044】
ここで図1〜5を参照すると、膝プロテーゼ10が示されている。膝プロテーゼ10は、大腿骨コンポーネント12、脛骨トレイ14、及び軸受16を含む。大腿骨コンポーネント12は、患者の遠位大腿骨(図示せず)の外科的に調製された末端部に固定されるように構成されている一方で、脛骨トレイ14は、患者の近位脛骨(図示せず)の外科的に調製された末端部に固定されるように構成されている。
【0045】
脛骨トレイ14は、その下部表面から離れて延びる固定部材、例えば細長いステム20を有するプラットフォーム18を含む。軸受16は、脛骨トレイ14における補助穴24(図2)内に位置決め可能なステム22(図2を参照)を含む。かかる方法では、軸受16は、脛骨トレイ14に対して自由に回転できる。別の実施形態において、軸受16は、スナップ嵌めされ、又は別様に脛骨トレイ14に固定されてよい。かかる方法では、軸受16は、脛骨トレイ14に対して固定される(すなわち、それは、前方/後方又は内側方向/外側方向において回転しない又は移動可能ではない)。かかる実施形態では、1つ以上の短いペグ又は柱など他の固定部材は、細長いステム20の代わりに使用されてもよいということを理解されたい。
【0046】
軸受16は、外側関節表面26及び内側関節表面28を含む。関節表面26、28は、大腿骨コンポーネント12の外側顆表面30及び内側顆表面32とそれぞれ関節をなすように構成される。具体的には、大腿骨コンポーネント12は、患者の本来の大腿骨顆の構成を模倣するように構成されており、よって外側顆表面30及び内側顆表面32は、自然の大腿骨の顆を模倣する方式で構成されている(例えば、湾曲している)。外側顆表面30及び内側顆表面32は、互いから離れて離間され、それによって、それらの間に顆間切痕を画定する。
【0047】
大腿骨コンポーネント12及び脛骨トレイ14など、本来の骨に係合する膝プロテーゼ10のコンポーネントは、コバルトクロム合金等の生体適合性金属で構成され得るが、他の材料、例えばセラミックも使用されてよい。これらのコンポーネントの骨に係合する表面は、骨のコンポーネントへの接着を促進するように非平滑化されてよい。かかる表面は、永久固定のために骨内部成長を推進するように多孔質で被覆されてよい。
【0048】
軸受16は、軸受16と大腿骨コンポーネント12との間の円滑な関節を可能にする、ポリマー材料等の材料で構成されてよい。1つのかかるポリマー材料は、ポリエチレン、例えば超高分子ポリエチレン(UHMWPE)であるが、他の生体適合性ポリマーが使用されてもよい。
【0049】
大腿骨コンポーネント12は、本明細書において例示的に単一のコンポーネントとして記載されているが、それは多くの「領域」又は「構造体」を特徴とする。例えば、大腿骨コンポーネント12の前方構造体は、前方フランジ34と呼ばれる。前方フランジ34は、前方面取り領域36に推移し、これは次いで、遠位顆領域38に推移する。遠位顆領域38は、後方面取り領域40に推移する。一対の後方大腿骨顆42は、大腿骨コンポーネント12の後方構造体を形成する。
【0050】
図2に示すように、外側顆表面30及び内側顆表面32は、両方とも大腿骨コンポーネント12の関節面44に形成されている。固定面48は、関節面44の反対側であり、患者の外科的に調製された遠位大腿骨と接触する大腿骨コンポーネント12の面である。固定面48は、患者の遠位大腿骨内に外科的に切り込まれた平面状表面と嵌合する複数の表面を含む。具体的には、図3に示すように、一対の後方固定表面50は、後方顆表面52の反対側であり、後方固定表面50の一方は、内側固定表面であり、他方は外側固定表面である。図4において見ることができるように、後方固定表面50は、概ね上位方向/下位方向において延びる。一対の遠位固定表面58(一方は内側に位置決めされており、他方は外側に位置決めされている)は、遠位顆表面60の反対側である。遠位固定表面58は、概ね前方/後方において延びる。内側及び外側の後方面取り固定表面54は、後方面取り顆表面56の反対側である。内側及び外側の後方面取り固定表面54は、それらの対応する後方固定表面50に向かう方向で、それらの対応する内側及び外側の遠位固定表面58から上位及び後方に延びる。内側及び外側の前方面取り固定表面62は、それぞれ前方の面取り顆表面64の反対側であり、前方固定表面66に向かう方向で、それらの対応する遠位固定表面58から上位及び前方外側に延びる。前方固定表面66は、前方顆表面68の反対側であり、後方固定表面50のように、概ね上位方向/下位方向に延びる。
【0051】
固定表面のそれぞれは、内部に形成された、セメントポケットを有する。具体的には、後方セメントポケット70は、後方固定表面50のそれぞれに形成され、後方面取りセメントポケット72は、後方面取り固定表面54のそれぞれに形成され、遠位セメントポケット74は、遠位固定表面58のそれぞれに形成され、前方面取りセメントポケット76は、前方面取り固定表面62のそれぞれに形成され、前方セメントポケット78は前方固定表面66に形成される。本明細書に記載する例示的な実施形態では、隣接するセメントポケットは、単一の連続セメントポケットが大腿骨コンポーネントの固定面48に形成されるように、相互に連続している。
【0052】
セメントポケット70、72、74、76、78のぞれぞれは、取り付け縁部82から外へ延びる側壁80によって形成される。図3〜5で見ることができるように、側壁80は、セメントポケット70、72、74、76、78それぞれの外辺部を形成する。底部壁84は、取り付け縁部82から離間され、側壁80によってそれに接続される。そのような方法で、側壁80及び底部壁84は、集合的に、対応するセメントポケット70、72、74、76、78を画定する。
【0053】
後方面取りセメントポケット72、遠位セメントポケット74、前方面取りセメントポケット76、及び前方セメントポケット78のそれぞれの深さ(D1)は、ほぼ等しい。本明細書に記載する例示的な実施形態では、セメントポケット72、74、76及び78のそれぞれは、約1mmの深さである(すなわち、D1=1mm)。
【0054】
他方では、後方セメントポケット70は、角度付けされ、結果としてその上位末端部上よりも下位末端部において、より深い。具体的には、図5に示すように、後方セメントポケット70は、後方固定表面50の取り付け縁部82’から底部壁84’まで、後方に延びる側壁80’によって形成される。矢状の方向から見たときに、例えば図4及び5の横断面図において、側壁80’の下位末端部86は、側壁80’の上位末端部88よりも広い。結果として、後方セメントポケット70は、その上位末端部92よりも下位末端部90においてより深い。本明細書に記載する例示的な実施形態では、後方セメントポケット70の上位末端部92は、他のセメントポケット72、74、76及び78の深さとほぼ等しい。換言すれば、後方セメントポケット70の上位末端部92は、約1mmの深さである(すなわち、D1=1mm)。しかしながら、後方セメントポケット70の下位末端部90は、例示的に1.5mmの深さである(すなわち、D2=1.5mm)。大腿骨コンポーネント12の所与の設計の要求にあてはめるために、他の寸法もまた使用されてもよいということが理解されよう。
【0055】
かかる構成は、角度付きの底部壁84’を形成する。具体的には、底部壁84’は、その下位末端部86からその上位末端部88まで前方に傾斜する。この傾斜した構成は、図5の横断面図にて例示的に示されている。その図で見られ得るように、仮想面96は、後方固定表面50の取り付け縁部82’によって画定されているのに対して、後方固定表面50の底部壁84’は、仮想面94を画定する。2つの仮想面94、96は、それらの間に鋭角(θ)を形成する。かかる鋭角は、取り付け縁部82’に対する底部壁84’の傾斜を示す。
【0056】
大腿骨コンポーネント12を、患者の大腿骨の外科的に調製された遠位端に埋め込む外科手術中に、セメントポケット70、72、74、76、78は、骨用セメントで予め装填される。大腿骨コンポーネント12は、次いで、患者の外科的に調製された遠位大腿骨に位置決めされ、これはまた、すでに骨セメントでコーティングされている。後方セメントポケット70の角度付き構成は、液圧式に骨用セメントをセメントポケット内に装填する。これは、骨セメントの閉じ込めを強化し、セメント鋤の発生を低減する。後方セメントポケット70の構成はまた、骨セメントの充填及び加圧を改善し、これは、遠位大腿骨に対する大腿骨コンポーネント12の接合の強化につながる。
【0057】
ここで図6を参照すると、大腿骨コンポーネント12の別の実施形態が示されている。この実施形態では、後方セメントポケット70及び前方セメントポケット78の両方に、角度が付いている。そのため、セメントポケット70、78の両方は、それらの対応する上位末端部よりも、それらの対応する下位末端部において、より深い。図6に示す実施形態では、後方セメントポケット70は、図1〜5に関して上記のものと本質的に同じである。前方セメントポケット78に関して、それは、前方固定表面66の取り付け縁部82”から底部壁84”まで前方に延びる側壁80”によって形成される。例えば図6の横断面図のように、矢状の方向から見たときに、側壁80”の下位末端部106は、側壁80”の上位末端部108よりも広い。結果として、後方セメントポケット70のように、前方セメントポケット78は、その上位末端部112よりも下位末端部110においてより深い。本明細書に記載する例示的な実施形態では、前方セメントポケット78の上位末端部112は、他のセメントポケット72、74、及び76の深さとほぼ等しい。換言すれば、前方セメントポケット70の上位末端部112は、約1mmの深さである(すなわち、D1=1mm)。しかしながら、前方セメントポケット78の下位末端部110は、例示的に1.5mmの深さである(すなわち、D2=1.5mm)。大腿骨コンポーネント12の所与の設計の要求にあてはめるために、他の寸法もまた使用されてよいということが理解されよう。
【0058】
かかる構成は、角度付き底部壁84”を形成する。具体的には、前方セメントポケット78の底部壁84”は、その下位末端部106からその上位末端部108まで後方に傾斜する。この傾斜した構成は図6にて例示的に示されており、ここでは、仮想面114が、前方固定表面66の取り付け縁部82”によって画定されている一方で、前方固定表面66の底部壁84”が、仮想面116を画定する。2つの仮想面114、116は、それらの間に鋭角(β)を形成する。かかる鋭角は、取り付け縁部82”に対する底部壁84”の傾斜を示す。
【0059】
図6の大腿骨コンポーネント12を、患者の大腿骨の外科的に調製された遠位端に埋め込む外科手術中に、セメントポケット70、72、74、76、78は、骨セメントで予め装填される。大腿骨コンポーネント12は、次いで、患者の外科的に調製された遠位大腿骨に位置決めされ、これはまた、すでに骨セメントでコーティングされている。セメントポケット70、78の角度付き構成は、液圧式に骨セメントをセメントポケット70、78内に装填する。これは、骨セメントの閉じ込めを強化し、セメント鋤の発生を低減する。これはまた、骨セメントの充填及び加圧を向上させ、これは、遠位大腿骨に対する大腿骨コンポーネント12の接合の強化につながる。
【0060】
図6の実施形態は、角度が付けられている後方セメントポケット70及び前方セメントポケット78の両方を例示的に示すが、別の実施形態もまた想到されるということが理解されるべきである。例えば、図1〜5に示すように、大腿骨コンポーネント12は、角度が付けられている後方セメントポケット70のみを有して具体化されてよい。あるいは、大腿骨コンポーネント12は、角度が付けられている前方セメントポケット78のみで具体化されてよい。
【0061】
ここで図7及び8を参照すると、大腿骨コンポーネント12はまた、単顆型大腿骨コンポーネントとして具体化されてもよい。本明細書に記載する別の実施形態のように、単顆型大腿骨コンポーネント12の後方セメントポケット70は、角度付きであってよい。後方セメントポケット70の角度突き構成は、液圧式に骨用セメントをセメントポケット内に装填する。これは、骨セメントの閉じ込めを強化し、セメント鋤の発生を低減する。後方セメントポケット70の構成はまた、骨セメントの充填及び加圧を改善し、これは、単顆型大腿骨コンポーネント12の、遠位大腿骨に対する接合の強化につながる。
【0062】
ここで図9〜11を参照すると、本開示の概念は、図1及び2の脛骨トレイ14のような脛骨コンポーネントの設計に使用してもよい。図10に示すように、脛骨トレイ14の上位面120内に平坦な平面状表面118が形成されている。具体的には、脛骨トレイのプラットフォーム18の上位表面118は、滑らかな平面状表面を画定し、軸受のステム22(図2参照)が脛骨トレイ14の補助穴24(図2参照)内に配置された際に、平面状表面上で膝プロテーゼ10の軸受16が自由に回転できる。別の実施形態では、脛骨トレイのプラットフォーム18の上位表面118は、1つ以上の特徴を有して具体化されてよく、特徴上に軸受16がスナップ嵌めされ、又は別様に脛骨トレイ14に固定されてよい。かかる方法で、軸受16は、脛骨トレイ14に対して固定される(すなわち、それは、前方/後方又は内側方向/外側方向において回転しない又は移動可能ではない)。
【0063】
脛骨トレイの下位面122はその上位面120の反対側であり、患者の外科的に調製された近位脛骨と接触する、脛骨トレイ14の面である。細長いステム20は、脛骨トレイの下位面122から離れて下位に延びる。脛骨トレイの下位面122は、患者の近位脛骨内に外科的に切り込まれた平面状表面と嵌合する複数の表面を含む。具体的には、図9及び10に示すように、下位固定表面124は、概して横断方向面内に(すなわち、解剖学的な横断方向面の方向に)延びる。
【0064】
下位固定表面124は、内部に形成されたセメントポケット126を有する。本明細書に記載する例示的な実施形態では、脛骨トレイのフィン128は、セメントポケット126をトレイの内側/外側幅に沿った様々な位置において別個のセメントポケットに分割する。具体的には、前方セメントポケット130は、トレイのフィン128の前方に配置され、後方セメントポケット132は、トレイのフィン128の後方に配置されている。しかしながら、フィン128は、トレイ14の内側端及び外側端へと伸びないため、セメントポケット130、132は、単一の連続セメントポケット126が脛骨トレイ14の下位面122内に形成されるように、互いに連続する。しかしながら、脛骨トレイ14は、1つ以上の別個のセメントポケットを有して具体化されることができることを認識するべきである。
【0065】
セメントポケット126、130、132のぞれぞれは、取り付け縁部142から離れて上位に延びる側壁140によって形成される。図9〜11に見ることができるように、側壁140は、対応するセメントポケット126、130、132の外辺部を形成する。頂部壁144は、取り付け縁部142から離間され、側壁140によって取り付け縁部142に接続される。そのような方法で、側壁140及び頂部壁144は、集合的に、対応するセメントポケット126、130、132を画定する。
【0066】
セメントポケット126は、角度が付けられ、結果として、その後方末端部よりもその前方末端部において、より深い。具体的には、矢状の方向から見たときに、例えば図10及び11の横断面図において、側壁140の前方末端部146は、側壁140の後方末端部148よりも広い。結果として、セメントポケット126は、その後方末端部152よりも前方末端部150において、より深い。フィン128により形成されている個々のセメントポケット(すなわち、前方セメントポケット130及び後方セメントポケット132)は、基本的には、より大きいセメントポケット126の「サブポケット」であるため、セメントポケット130、132のそれぞれは、それらの対応する前方末端部がそれらの対応する後方末端部よりも深い、類似した構成を有する。具体的には、前方セメントポケット130の前方末端部154は、その後方末端部156よりも深い。同様に、後方セメントポケット132の前方末端部158は、その後方末端部160よりも深い。
【0067】
かかる構成は、角度付きの頂部壁144を形成する。具体的には、頂部壁144は、その前方末端部166からその後方末端部168へと下位に傾斜している。この傾斜構成は、図10及び11の横断面図に例示的に示されている。その図に見ることができるように、仮想面170は、下方固定表面124の取り付け縁部142によって画定されているのに対して、下方固定表面124の頂部壁144は、仮想面172を画定する。2つの仮想面170、172は、それらの間に鋭角(α)を形成する。かかる鋭角は、取り付け縁部142に対する頂部壁144の傾斜を示す。
【0068】
患者の脛骨の外科的に調製された近位端に脛骨トレイ14を埋め込む外科手術中、セメントポケット126は、骨セメントで予め装填される。次いで、脛骨トレイ14が患者の外科的に調製された近位脛骨上に位置決めされ、これもまた、すでに骨セメントでコーティングされている。セメントポケット126の角度付き構成は、液圧式に骨用セメントをセメントポケット内に装填する。これは、骨セメントの閉じ込めを強化し、セメント鋤の発生を低減する。セメントポケット126の構成はまた、任意の過剰な骨セメントを脛骨トレイ14の前方側から外部へ強制的に移動させ、そこで外科医によって容易に拭い去られ又は別様に除去されることができる。
【0069】
ここで図12を参照すると、脛骨コンポーネントは、全ポリマー脛骨コンポーネントとして具体化されてもよい。すなわち、脛骨トレイ及び軸受が別個のコンポーネントとして具体化されるモジュール式設計の代わりに、本開示の概念は、単一のポリマー脛骨コンポーネントの設計に使用することができる。そのような場合、大腿骨コンポーネント12の外側顆表面30及び内側顆表面32と関節をなすように構成された外側関節表面26及び内側関節表面28はそれぞれ、脛骨コンポーネントの上位面120内に形成される。本明細書に記載した脛骨トレイ14と同様、図12の全ポリマー脛骨コンポーネントセメントポケット126は、角度付けされてよい。セメントポケット126の角度付き構成は、液圧式に骨セメントをセメントポケット内に装填し、任意の過剰な骨セメントを全ポリマー脛骨コンポーネントの前方側から外部へ強制的に移動させ、そこで外科医によって容易に拭い去られ又は別様に除去されることができる。
【0070】
以上、図面及び上記の説明文において本開示内容を詳細に図示、説明したが、こうした図示、説明はその性質上、例示的なものとみなすべきであって、限定的なものとみなすべきではなく、あくまで例示的実施形態を示し、説明したものにすぎないのであって、本開示の趣旨の範囲に含まれる変更及び改変は全て保護されることが望ましい点は理解されるであろう。
【0071】
本開示には、ここに述べた装置、システム、及び方法の様々な特徴に基づく複数の利点がある。本開示の装置、システム、及び方法の代替的実施形態は、ここで述べた特徴の全てを含むわけではないが、こうした利点の少なくとも一部から利益を享受するものである。当業者であれば、本発明の1つ以上の特徴を取り入れた、特許請求の範囲において定義される本開示の趣旨及び範囲に含まれる装置、システム、及び方法を独自に実施することが容易に可能である。
【0072】
〔実施の態様〕
(1) 外科的に調製された近位脛骨に連結されるように構成されている脛骨コンポーネントであって、前記脛骨コンポーネントが、(i)上位面、(ii)前記上位面の反対側の下位面、及び(iii)前記下位面から下位に延びる固定部材、を有し、前記脛骨コンポーネントの前記下位面が、概して横断方向面内に延びる下位固定表面を含み、(i)前記下位固定表面が、内部に形成されたセメントポケットを有し、(ii)前記セメントポケットが、その後方末端部よりも前方末端部においてより深い、脛骨コンポーネントを含む、埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(2) 脛骨軸受コンポーネントを更に含み、
前記脛骨コンポーネントが、脛骨トレイを含み、
前記脛骨軸受コンポーネントが、前記脛骨トレイ上に配置されている、実施態様1に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(3) 前記脛骨トレイが、金属であり、前記脛骨軸受が、ポリマーである、実施態様2に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(4) 前記脛骨コンポーネントの前記上位面が、
大腿骨コンポーネントの内側顆表面と関節をなすように構成された内側軸受表面と、
前記大腿骨コンポーネントの外側顆表面と関節をなすように構成された外側軸受表面と、を含む、実施態様1に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(5) 前記脛骨コンポーネントが、単一のポリマーコンポーネントを含む、実施態様4に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(6) 前記下位固定表面が、取り付け縁部を含み、前記取り付け縁部が、該縁部から上位に延びる側壁を有し、
前記側壁が、前記後方セメントポケットの外辺部を画定し、
矢状方向から(sagittally)見たときに、前記側壁の前方末端部が、前記側壁の後方末端部よりも広い、実施態様1に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(7) 外科的に調製された近位脛骨に連結されるように構成されている脛骨コンポーネントであって、前記脛骨コンポーネントが、(i)上位面、(ii)前記上位面の反対側の下位面、及び(iii)前記下位面から下位に延びる固定部材を有し、前記脛骨コンポーネントの前記下位面が、概して横断方向面内に延びる下位固定表面を含む、脛骨コンポーネントを含み、
前記下位固定表面が、(i)周縁部と、(ii)前記周縁部から上位に離間する頂部壁と、(iii)前記後方縁部から前記頂部壁まで上位に延びる側壁とを含み、
矢状方向から見たときに、前記周縁部によって画定される仮想面は、前記頂部壁によって画定される仮想面と鋭角を形成する、埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(8) 矢状方向から見たときに、前記側壁の前方末端部が、前記側壁の後方末端部よりも広い、実施態様7に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(9) 前記側壁及び前記頂部壁が、集合的にセメントポケットを画定する、実施態様7に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(10) 脛骨軸受コンポーネントを更に含み、
前記脛骨コンポーネントが、脛骨トレイを含み、
前記脛骨軸受コンポーネントが、前記脛骨トレイ上に配置されている、実施態様7に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
【0073】
(11) 前記脛骨トレイが、金属であり、前記脛骨軸受が、ポリマーである、実施態様10に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(12) 前記脛骨コンポーネントの前記上位面が、
大腿骨コンポーネントの内側顆表面と関節をなすように構成された内側軸受表面と、
前記大腿骨コンポーネントの外側顆表面と関節をなすように構成された外側軸受表面と、を含む、実施態様7に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(13) 前記脛骨コンポーネントが、単一のポリマーコンポーネントを含む、実施態様12に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(14) 内側顆表面及び外側顆表面を有する大腿骨コンポーネントと、
(i)前記大腿骨コンポーネントの前記内側顆表面と関節をなすように構成された内側軸受表面と、(ii)前記大腿骨コンポーネントの前記外側顆表面と関節をなすように構成された外側軸受表面とを有する軸受と、
前記軸受の下方に配置される脛骨トレイであって、前記脛骨トレイが、(i)上位面、(ii)前記上位面の反対側の下位面、及び(iii)前記下位面から下位に延びる固定部材を含み、前記脛骨トレイの前記下位面が、概して横断方向面内に延びる下位固定表面を含む、脛骨トレイと、を含み、
前記下位固定表面が、(i)周縁部と、(ii)前記周縁部から上位に離間する頂部壁と、(iii)前記後方縁部から前記頂部壁まで上位に延びる側壁とを含み、
矢状方向から見たときに、前記周縁部によって画定される仮想面は、前記頂部壁によって画定される仮想面と鋭角を形成する、埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(15) 矢状方向から見たときに、前記側壁の前方末端部が、前記側壁の後方末端部よりも広い、実施態様14に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(16) 前記側壁及び前記頂部壁が、集合的にセメントポケットを画定する、実施態様14に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(17) 前記脛骨トレイが、金属であり、前記脛骨軸受が、ポリマーである、実施態様14に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(18) 前記脛骨軸受が、前記脛骨トレイに対して回転可能である、実施態様14に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
(19) 前記脛骨軸受が、前記脛骨トレイに対して定位置に固定されている、実施態様14に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科的に調製された近位脛骨に連結されるように構成されている脛骨コンポーネントであって、前記脛骨コンポーネントが、(i)上位面、(ii)前記上位面の反対側の下位面、及び(iii)前記下位面から下位に延びる固定部材、を有し、前記脛骨コンポーネントの前記下位面が、概して横断方向面内に延びる下位固定表面を含み、(i)前記下位固定表面が、内部に形成されたセメントポケットを有し、(ii)前記セメントポケットが、その後方末端部よりも前方末端部においてより深い、脛骨コンポーネントを含む、埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
【請求項2】
脛骨軸受コンポーネントを更に含み、
前記脛骨コンポーネントが、脛骨トレイを含み、
前記脛骨軸受コンポーネントが、前記脛骨トレイ上に配置されている、請求項1に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
【請求項3】
前記脛骨トレイが、金属であり、前記脛骨軸受が、ポリマーである、請求項2に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
【請求項4】
前記脛骨コンポーネントの前記上位面が、
大腿骨コンポーネントの内側顆表面と関節をなすように構成された内側軸受表面と、
前記大腿骨コンポーネントの外側顆表面と関節をなすように構成された外側軸受表面と、を含む、請求項1に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
【請求項5】
前記脛骨コンポーネントが、単一のポリマーコンポーネントを含む、請求項4に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
【請求項6】
前記下位固定表面が、取り付け縁部を含み、前記取り付け縁部が、該縁部から上位に延びる側壁を有し、
前記側壁が、前記後方セメントポケットの外辺部を画定し、
矢状方向から見たときに、前記側壁の前方末端部が、前記側壁の後方末端部よりも広い、請求項1に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
【請求項7】
外科的に調製された近位脛骨に連結されるように構成されている脛骨コンポーネントであって、前記脛骨コンポーネントが、(i)上位面、(ii)前記上位面の反対側の下位面、及び(iii)前記下位面から下位に延びる固定部材を有し、前記脛骨コンポーネントの前記下位面が、概して横断方向面内に延びる下位固定表面を含む、脛骨コンポーネントを含み、
前記下位固定表面が、(i)周縁部と、(ii)前記周縁部から上位に離間する頂部壁と、(iii)前記後方縁部から前記頂部壁まで上位に延びる側壁とを含み、
矢状方向から見たときに、前記周縁部によって画定される仮想面は、前記頂部壁によって画定される仮想面と鋭角を形成する、埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
【請求項8】
矢状方向から見たときに、前記側壁の前方末端部が、前記側壁の後方末端部よりも広い、請求項7に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
【請求項9】
前記側壁及び前記頂部壁が、集合的にセメントポケットを画定する、請求項7に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
【請求項10】
脛骨軸受コンポーネントを更に含み、
前記脛骨コンポーネントが、脛骨トレイを含み、
前記脛骨軸受コンポーネントが、前記脛骨トレイ上に配置されている、請求項7に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
【請求項11】
前記脛骨トレイが、金属であり、前記脛骨軸受が、ポリマーである、請求項10に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
【請求項12】
前記脛骨コンポーネントの前記上位面が、
大腿骨コンポーネントの内側顆表面と関節をなすように構成された内側軸受表面と、
前記大腿骨コンポーネントの外側顆表面と関節をなすように構成された外側軸受表面と、を含む、請求項7に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
【請求項13】
前記脛骨コンポーネントが、単一のポリマーコンポーネントを含む、請求項12に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
【請求項1】
外科的に調製された近位脛骨に連結されるように構成されている脛骨コンポーネントであって、前記脛骨コンポーネントが、(i)上位面、(ii)前記上位面の反対側の下位面、及び(iii)前記下位面から下位に延びる固定部材、を有し、前記脛骨コンポーネントの前記下位面が、概して横断方向面内に延びる下位固定表面を含み、(i)前記下位固定表面が、内部に形成されたセメントポケットを有し、(ii)前記セメントポケットが、その後方末端部よりも前方末端部においてより深い、脛骨コンポーネントを含む、埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
【請求項2】
脛骨軸受コンポーネントを更に含み、
前記脛骨コンポーネントが、脛骨トレイを含み、
前記脛骨軸受コンポーネントが、前記脛骨トレイ上に配置されている、請求項1に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
【請求項3】
前記脛骨トレイが、金属であり、前記脛骨軸受が、ポリマーである、請求項2に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
【請求項4】
前記脛骨コンポーネントの前記上位面が、
大腿骨コンポーネントの内側顆表面と関節をなすように構成された内側軸受表面と、
前記大腿骨コンポーネントの外側顆表面と関節をなすように構成された外側軸受表面と、を含む、請求項1に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
【請求項5】
前記脛骨コンポーネントが、単一のポリマーコンポーネントを含む、請求項4に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
【請求項6】
前記下位固定表面が、取り付け縁部を含み、前記取り付け縁部が、該縁部から上位に延びる側壁を有し、
前記側壁が、前記後方セメントポケットの外辺部を画定し、
矢状方向から見たときに、前記側壁の前方末端部が、前記側壁の後方末端部よりも広い、請求項1に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
【請求項7】
外科的に調製された近位脛骨に連結されるように構成されている脛骨コンポーネントであって、前記脛骨コンポーネントが、(i)上位面、(ii)前記上位面の反対側の下位面、及び(iii)前記下位面から下位に延びる固定部材を有し、前記脛骨コンポーネントの前記下位面が、概して横断方向面内に延びる下位固定表面を含む、脛骨コンポーネントを含み、
前記下位固定表面が、(i)周縁部と、(ii)前記周縁部から上位に離間する頂部壁と、(iii)前記後方縁部から前記頂部壁まで上位に延びる側壁とを含み、
矢状方向から見たときに、前記周縁部によって画定される仮想面は、前記頂部壁によって画定される仮想面と鋭角を形成する、埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
【請求項8】
矢状方向から見たときに、前記側壁の前方末端部が、前記側壁の後方末端部よりも広い、請求項7に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
【請求項9】
前記側壁及び前記頂部壁が、集合的にセメントポケットを画定する、請求項7に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
【請求項10】
脛骨軸受コンポーネントを更に含み、
前記脛骨コンポーネントが、脛骨トレイを含み、
前記脛骨軸受コンポーネントが、前記脛骨トレイ上に配置されている、請求項7に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
【請求項11】
前記脛骨トレイが、金属であり、前記脛骨軸受が、ポリマーである、請求項10に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
【請求項12】
前記脛骨コンポーネントの前記上位面が、
大腿骨コンポーネントの内側顆表面と関節をなすように構成された内側軸受表面と、
前記大腿骨コンポーネントの外側顆表面と関節をなすように構成された外側軸受表面と、を含む、請求項7に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
【請求項13】
前記脛骨コンポーネントが、単一のポリマーコンポーネントを含む、請求項12に記載の埋め込み型整形外科用膝プロテーゼ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−78581(P2013−78581A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−216123(P2012−216123)
【出願日】平成24年9月28日(2012.9.28)
【出願人】(501384115)デピュイ・プロダクツ・インコーポレイテッド (216)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−216123(P2012−216123)
【出願日】平成24年9月28日(2012.9.28)
【出願人】(501384115)デピュイ・プロダクツ・インコーポレイテッド (216)
【Fターム(参考)】
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