説明

角形容器の折り畳み装置

【課題】
天板部および底板部はそのままの形で胴部を無理なく変形させて、軽い力でしかも安全に折り畳むことができる角形容器の折り畳み装置を提供する。
【解決手段】
底板部103を支持する台盤10と、天板部102を押さえる押え盤20と、前側面部101Cを押し込む第1押し込み部材50と、後側面部101Dを押し込む第2押し込み部材60と、押え盤20を上下移動自在に支持する押え盤案内機構30と、台盤10と押え盤20間を締め付ける圧縮機構40と、押え盤20の圧縮動作と第1押し込み部材50による前側面部101Cの押し込み動作を連動させて圧縮と同時に天板部折り畳み位置を屈曲させる第1押し込み部材案内機構51と、押え盤20の圧縮動作と第2押し込み部材60による後側面部101Dの押し込み動作を連動させて圧縮と同時に底板部折り畳み位置を屈曲させる第2押し込み部材案内機構61と、を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば18リットル缶等の比較的大型で硬質の角形容器を手動で押し潰して減容化する角形容器の折り畳み装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の角形容器を減容化する装置としては、たとえば、特許文献1乃至特許文献3に記載のようなものが知られている。
特許文献1に記載の装置は、横置きにした廃缶の左右に打ち抜きシリンダを配置し、打ち抜きシリンダに取り付けられた切断刃によって廃缶の天板および底板を切断し、その後、廃缶の上方に配置された圧縮シリンダによって胴部を上下に圧縮して平板状にプレスするように構成されていた。
【0003】
しかし特許文献1に記載の装置は、打ち抜きシリンダおよび圧縮シリンダの設備が大掛かりなものとなり高価であった。
また、廃缶の天板と底板を切断して切り離す方式なので、切断部のエッジ部が剥き出しとなるため危険であり、さらに、缶内部に残った残留物が散らばるといった不都合があった。
【0004】
これに対して、特許文献2に記載のものは手動式で、基台に押圧レバーの一端を上下に回動自在に枢着し、基台上に載置した角形容器を押圧レバーのてこ作用によって圧潰する構成で、押圧レバーの自由端寄りに位置する第1の押圧部と、第1の押圧部より押圧レバーの支点に近い側に位置する第2の押圧部とを備えた構成となっていた。圧潰作業は、第1の押圧部で横置きにした容器胴部を上下に圧縮して上下側面に三角形状の凹部を形成し、この半圧潰状態の容器を三角形状の凹部が側方に位置するように90°回転させて第2の押圧部に配置し、第2の押圧部にて凹部を屈曲させて扁平形状になるまで上下に圧縮するようになっていた。
特許文献3に記載のものも手動式で、特許文献2と同様に基台に押圧レバーの一端を上下に回動自在に枢着したものであるが、この特許文献3では、第1の押圧部にて容器胴部の中央部を圧潰し、押し潰した中央部分の左右に残る底板部側と天板部側の部分を第2の押圧部にて圧潰するようになっていた。
【0005】
しかしながら特許文献2,3に記載の装置は、押圧部を2箇所に設ける2ステーション式となっているので、装置重量が大きく場所も取るために、個人商店や一般利用者にとっては使用しにくいものであった。
【0006】
また、圧潰する過程で容器を無理に押しつぶす構成なので、缶材が局部的に破れてエッジが剥き出しになるため、作業に危険が伴う。
さらに、角形容器を横置きで圧潰するので、内部に残留物が残っている場合、横になった天板部の開口部から残留物がこぼれて周囲が汚れるという問題もあった。
【特許文献1】特開平8−118090
【特許文献2】特開2000−197994
【特許文献3】特開2000−107897
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記した従来技術の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、天板部および底板部はそのままの形で胴部を無理なく変形させて、軽い力でしかも安全に折り畳むことができる角形容器の折り畳み装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、前後左右四つの側面部を有する容器胴部と、容器胴部の上端を閉塞する天板部と、容器胴部の下端を閉塞する底板部とを備え、容器胴部の左右側面部を縦方向に内側に折り畳み、容器胴部の前後側面部のうち一方の側面部側に天板部を折り畳むと共に他方の側面部側に底板部を折り畳んで減容化する角形容器の折り畳み装置であって、
底板部を支持する台盤と、天板部を押さえる押え盤と、容器胴部の前後側面部のうち一方の側面部の天板部折り畳み位置を容器内側に押し込むための第1押し込み部材と、容器胴部の前後側面部のうち他方の側面部の底板部折り畳み位置を容器内側に押し込むための第2押し込み部材と、押え盤を台盤に対して上下方向に移動自在に支持する押え盤案内手段と、台盤と押え盤間を締め付けて角形容器を軸方向に圧縮する圧縮手段と、第1押し込み部材と係合し、押え盤の圧縮動作と第1押し込み部材による容器胴部の側面部の押し込み動作を連動させて圧縮と同時に天板部折り畳み位置を屈曲させる第1押し込み部材案内手段と、前記第2押し込み部材と係合し、押え盤の圧縮動作と第2押し込み部材による容器胴部の側面部の押し込み動作を連動させて圧縮と同時に底板部折り畳み位置を屈曲させる第2押し込み部材案内手段と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、容器胴部の前後側面部の天板部折り畳み位置および底板部折り畳み位置の屈曲途中で、屈曲部から第1押し込み部材と第2押し込み部材を自動的に逃がす機構を備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、折り畳み操作前に胴部の左右側面部の4箇所の隅角部を容器内側に押し込んで減容誘導折り線を形成する折り線形成手段を備えていることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、折り線形成手段は、折り畳み初期段階では押し込み状態がロックされており、折り畳み途中でロックが自動的に解除される構成となっていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、押え盤を台盤から離間させる方向に付勢し、自由状態では押え盤を台盤に対して離間した状態に保持する自立手段を備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、圧縮手段はウィンチ機構を備えていることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、圧縮手段は、てこ作用によってウィンチ機構を巻き上げる操作レバーを備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明は、折り線形成手段は、ウィンチ機構を操作する操作レバーを利用して操作する構成となっていることを特徴とする。
【0014】
請求項9に係る発明は、角形容器の胴部には、折り畳み時に折り目となる折り目誘導部が設けられ、左右側面部の隅角部に向かって設けられる折り目誘導部の端部は隅角部の手前に位置し、折り目形成手段によって形成される減容化折り線によって折り目誘導部と隅角部をつなぐ構成となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の角形容器の折り畳み装置によれば、第1押し込み部材と第2押し込み部材によって胴部の前後側面部の天板部と底板部の折り畳み位置を屈曲させながら天板部と底板部間を圧縮して折り畳む構成となっているので、胴部の折り畳みが円滑に進行し、軽い力で折り畳むことができる。
また、第1押し込み部材案内手段および第2押し込み案内手段によって圧縮動作に連動して胴部の前後側面部の押し込み動作をする構成なので、圧縮手段を操作するだけで折り畳みが可能で、操作が簡単である。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、胴部の前後側面部の屈曲途中で、屈曲部から第1押し込み部材と第2押し込み部材を自動的に逃がす構成となっているので、圧縮する第1押し込み部材および第2押し込み部材を屈曲部から外す操作が不要となる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、折り線形成手段によって折り畳み操作前に胴部の左右側面部の4箇所の隅角部に減容誘導折り線を形成することにより、左右側面部を隅角部まで正確にきちんと折り畳むことができ、高減容化を図ることができる。
請求項4に係る発明によれば、折り畳み初期段階では折り線形成手段による押し込み状態がロックされているので、形成された減容誘導折り線に沿って確実に折り目を誘導することができる。折り目が形成された後はロックが自動的に解除されるようになっているので、特に操作がしやすい。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、自立手段の付勢力によって押え盤を台盤から離間した状態に保持するようになっているので、角形容器を台盤上に容易にセットすることができるし、折り畳み終了後に折り畳まれた容器を容易に取り出すことができる。
【0019】
請求項6に係る発明によれば、圧縮手段としてウィンチ機構を用いたので、小型で大きな圧縮荷重を得ることができる。したがって、省スペース,軽量、コンパクトでありながら、高減容化を実現できる。
請求項7に係る発明によれば、操作レバーのてこ作用によってウィンチ機構を回転させる構成となっているので、より小さい力でウィンチを回転させることができる。また、操作レバーを操作するだけなので、操作が分かりやすい。
【0020】
請求項8に係る発明によれば、折り線形成手段をウィンチ機構を操作する操作レバーを利用して操作する構成となっており、一つの操作レバーで押し込みと圧縮の両方の操作を連動して行うことができるので、操作が容易である。
【0021】
請求項9に係る発明によれば、左右側面部の隅角部に向かって設けられる折り目誘導部の端部を隅角部の手前までとし、折り目形成手段によって形成される減容化折り線によって折り目誘導部と隅角部をつなぐ構成となっているので、使用時の軸荷重に対する剛性を損なわずに高減容化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
図1乃至図9は本発明の実施の形態に係る角形容器の折り畳み装置を示し、図10は折り畳み対象の角形容器を示している。
角形容器100は金属製の18リットル缶で、図10に示すように、前後左右4側面を有する四角形状の胴部101と、胴部101の上端に巻締固定される天板部102と、胴部101の下端に巻締固定される底板部103とを有している。図10(A)では前側面部101Cと左側面部101Aが見えており、図10(B)では後側面部101Dと右側面部101Bが見えている。折り畳む際には、図10(D)に示すように、胴部101の左右側面部101A,101Bを縦方向に内側に折り込み、天板部102を前側面部101C側に、底板部103を後側面部101D側にZ字形状に折り畳んで減容化する構成となっている。
【0023】
この角形容器100には、折り畳み時の折り目となる折り目誘導部が形成されている。左右側面部101A,101Bに形成される折り目誘導部は、縦方向に延びる縦方向谷折り誘導部F1と、縦方向谷折り誘導部F1の上端の分岐点P1から上辺の前後隅角部C2,C3に向けて2方向に分岐して延びる上分岐谷折り誘導部F2,F3と、縦方向谷折り誘導部F1の下端の分岐点P2から下辺の前後隅角部C4,C5に向けて2方向に分岐して延びる下分岐谷折り誘導部F4,F5とが設けられている。また、分岐点P1からは前方に向かって天板部102と平行に延びる山折り誘導部F8が、分岐点P2からは後方に向かって底板部103と平行に延びる山折り誘導部F9が設けられている。
分岐点P1は幾何学的に決定されるもので、天板部102から下方に胴部101の前後方向の長さの略半分だけ離れた位置、分岐点P2は底板部103から上方に胴部101の前後方向の長さの略半分だけ離れた位置に位置している。
【0024】
前側面部101Cには、天板部102を折り畳む際の折り目となる横方向谷折り誘導部F6が設けられている。この横方向谷折り誘導部F6は、左右の分岐点P1に対応して、天板部102から下方に胴部101の前後方向の長さの略半分だけ離れた位置に天板部102と平行に設けられている。
後側面部101Dには、底板部103を折り畳む際の折り目となる横方向谷折り誘導部F7が設けられている。この横方向谷折り誘導部F7は、左右の分岐点P2に対応して、底板部103から上方に胴部101の前後方向の長さの略半分だけ離れた位置に底板部103と平行に設けられている。
【0025】
左右側面部101A,101Bの上辺および下辺の隅角部C2〜C5は剛性が大きく折れにくいので、高減容化のためには上分岐谷折り誘導部F2,F3及び下分岐谷折り誘導部F4,F5を隅角部C2,C3,C4,C5まで延ばしておくことが望ましい。しかし、隅角部まで延ばすと軸荷重強度が弱くなって積載時等の常用使用時に変形するおそれがある。
そこで、この実施の形態では、上分岐谷折り誘導部F2,F3及び下分岐谷折り誘導部F4,F5の端部を所定寸法だけ隅角部C2,C3,C4,C5の手前までとしたインターロック構造とし、折り畳み装置による初期動作で、図10(C)に二点鎖線で示すように、上分岐谷折り誘導部F2,F3と下分岐谷折り誘導部F4,F5と隅角部C2,C3,C4,C5をつなぐ誘導折り線F12,F13,F14,F15を入れるようになっている。
このようにすれば、積載運搬使用時の軸荷重に対する剛性を損なわずに高減容化を図ることができる。
【0026】
図示例では、左右側面部101A,101Bには、4側辺との間に余白を残した状態で中央部に、角形容器の剛性向上のために容器外側に向かって凸状に形成されたビード部112で囲まれた四角形状のフレーム領域110を形成し、このフレーム領域110内に縦方向谷折り誘導部F1、上分岐谷折り誘導部F2,F3、下分岐谷折誘導部F4,F5及び山折り誘導部F8,F9を形成している。フレーム領域110は平坦面であり、角部111とは面高さがほぼ同一となっている。また、横方向谷折り誘導部F6,F7も、前後側面部101C,101Dの4側辺との間に余白を残して形成される四角形状のフレーム領域110に設けられている。
したがって、角形容器100に作用する軸荷重は、フレーム領域110が形成されていない左右側面部101A,101Bおよび前後側面部101C,101Dの間の4つの角部111が軸荷重強度を保つ柱として機能する。
【0027】
折り目誘導部の構成は、図示例では折り目を誘導する誘導ラインに沿って連続的に延びる所定幅の凹凸線条によって構成されているが(谷折りの部分は凹条、山折りの部分は凸条)、連続的な構成に限らず、誘導ラインに沿って点状凹凸を不連続に多数設けた構成でもよい。
【0028】
折り畳み装置1は、図1及び図2に示すように、角形容器の底板部103を支持する台盤10と、角形容器の天板部102を支持する押え盤20と、容器胴部101の前側面部101Cの天板部折り畳み位置を容器内側に押し込むための第1押し込み部材50と、容器胴部101の後側面部101Dの底板部折り畳み位置を容器内側に押し込むための第2押し込み部材60と、押え盤20を台盤10に対して上下方向に移動自在に支持する押え盤案内手段としての押え盤案内機構30と、台盤10と押え盤20間を締め付けて角形容器を軸方向に圧縮する圧縮手段としての圧縮機構40と、第1押し込み部材50と係合し押え盤20の圧縮動作と第1押し込み部材50による前側面部101Aの押し込み動作を連動させて圧縮と同時に天板部折り畳み位置を屈曲させる第1押し込み部材案内機構51と、第2押し込み部材60と係合し押え盤20の圧縮動作と第2押し込み部材60による容器胴部101の後側面部101Dの押し込み動作を連動させて圧縮と同時に底板部折り畳み位置を屈曲させる第2押し込み部材案内機構61とを備えた構成となっている。
【0029】
また、圧縮操作前に胴部100の左右側面部101A,101Bの各4箇所の隅角部C1,C2,C3,C4を押し込んで減容誘導折り線F12,F13,F14,F15を形成する折り線形成手段としての折り線形成機構70と、押え盤20を台盤10から離間させる方向に付勢し、圧縮機構40による圧縮力を解放した状態では押え盤20を台盤10に対して離間した状態に保持する自立機構80を備えている。
【0030】
台盤10は、角形容器100の底板部103が載置される四角形状の台本体11と、台本体11を所定高さに支持する支持脚12とを備え、台本体11上には角形容器100の底板部103の前端縁が当接するストッパ部材13が突設されている。また、図示していないが、角形容器100の左右の位置決めをするガイド部が設けられる。
【0031】
押え盤20は、台盤10の台本体11と対向して平行に配置される四角形状の板状部材で、角形容器100の天板部102を押さえるようになっている。
【0032】
押え盤案内機構30は、台盤10に支持された角形容器100の左右に一対配置され、台盤10に対して押え盤20を平行に保持した状態で上下方向に案内するもので、台盤10および押え盤20の中間に平行に配置された中間連結部材31と、中間連結部材31と台盤10間を連結する下段リンク機構32と、連結リンク部材34と押え盤20間を連結する上段リンク機構33とを備えている。
【0033】
下段リンク機構32および上段リンク機構33は、それぞれ互いに平行の複数のリンク部材321,331を有している。図示例では下段リンク機構32のリンク部材321は前後に2つ、上段リンク機構33のリンク部材331は前後に2つおよび中間に一つ、計3つ配置されている。
【0034】
また、上段リンク機構33と下段リンク機構32を一定の比率で伸縮させるために、上段リンク機構33の3つのリンク部材331のうち中間のリンク部材331と、下段リンク機構32の前後2つのリンク部材321のうち前方のリンク部材321が、連結リンク部材34によって枢支連結されている。各リンク部材に対する連結リンク部材34の枢支位置によって、上段リンク機構33と下段リンク機構32の伸縮比率が決定される。
上段リンク機構33の長さと下段リンク機構32の長さの比率は、角形容器の後側面部101Cの高さを天板部折り畳み位置(天板部102から胴部の前後方向長さの半分の距離)で分割した比率に設定され、中間連結部材31の位置は前側面部101Cの天板部折り畳み位置に合致している。押え盤20が下方に移動すると、上段リンク機構33と下段リンク機構32は中間連結部材31を介してくの字形状に屈曲し、中間連結部材31は後方に移動する。
また、折り畳みが進行するにつれて、前側面部101Cが前方に倒れ、天板部20は底板部10に対して前方に平行に変位するが、この天板部20の変位に追随して押え盤20が前方に変位する。
【0035】
第1押し込み部材案内機構51は、図4に示すように、押え盤案内機構30を構成する下段リンク機構32と上段リンク機構33を連結する中間連結部材31の動きを利用する構成で、押え盤案内機構30の中間連結部材31の前端部に第1押し込み部材50が係脱自在の係合ピン52を設けている。この実施の形態では係合ピン52は上段リンク機構33と下段リンク機構32のリンク部材331,332を連結する連結ピンとしても用いられている。もちろん、係合ピン52を連結ピンとは別に設けてもよい。
【0036】
第1押し込み部材50は、胴部101の前側面部101Cに沿って左右に直線状に延びる第1押し込みバー54と、この第1押し込みバー54を押え盤20に対して支軸55aを介して前後方向に揺動自在に支持するアーム55と、第1押し込みバー50を前側面部101Cから離間させる方向(図中時計回り方向)に常時付勢力を作用させる逃がしばね機構56と、第1押し込みバー54を前側面部101Cに接近させる方向(図中反時計回り方向)に付勢する戻しばね機構57とが設けられている。
【0037】
第1押し込みバー54には、中間連結部材31の係合ピン52に係脱自在の逆L字形状の係合爪53が固定されている。係合爪53は係合ピン52に対して胴部側に係合するもので、係合爪53には反胴部側に開いたピン保持部53aが設けられている。第1押し込みバー54は、アーム55に対してヒンジ部541を介して反胴部側(前方)に反転自在に支持されており、係合爪53が係合ピン52に対して反胴部側から胴部側に相対移動する際には、係合爪53の背面が係合ピン52に押されて反胴部側に反転し、係合ピン52を乗り越えて胴部側に移動し、反胴部側に開いたピン保持部53aに係合ピン52が係合するようになっている(図4(B),(C)参照)。
ヒンジ部541は、アーム55の反胴部側側面の先端部から所定寸法だけ上方に離間した位置で枢支連結され、アームの反胴部側側面に当接した閉位置から反胴部側へは回転自在で、閉位置から胴部側へは回転不能となっており、このアーム55の先端部に第1押し込みバー54が係止されている。アーム55と第1押し込みバー54の間には、第1押し込みバー54を常時前方へ回転付勢する戻しばね542が設けられ、ヒンジ部541をアーム55の反胴部側側面に当接させる方向(図中反時計回り方向)に常時付勢している。
【0038】
逃がしばね機構56は、図示例では押え盤20とアーム55間を連結するコイルばねによって構成され、常時、第1押し込みバー54を胴部の前側面部101Cから離間させる方向に付勢している。
戻しばね機構57は、押え盤案内機構30が最伸張状態では逃がしばね機構56の付勢力より大きい付勢力を作用させ、折り畳みが進行して押え盤20と台盤10間の間隔が小さくなると付勢力が小さく、あるいはゼロとする構成で、図1,図2および図4に示すように、アーム55の枢支軸55aに固定されるレバー571と、レバー571と台盤10間に介装されるコイルばね等のばね部材572とを備えている。この例では、ばね部材572にワイヤ等の紐体573が直列に連結されされており、折り畳み前はばね部材572が引っ張り状態で、その弾性復元力によってレバー571を下方に引張っている。折り畳みが、ある程度進行して第1押し込みバー54が前側面部101Cの屈曲部から逃げる時点でばね部材572は自由状態に戻り、レバー571に作用する付勢力はゼロとなるようになっている。
【0039】
第1押し込み部材50の係合爪53は、前側面部101Cの天板部折り畳み位置の屈曲途中で、第1押し込み部材案内機構51の係合ピン52から自動的に逃げる構成となっている。すなわち、折り畳み前の初期状態から所定量折り畳むまでの間は係合爪53が係合ピン52に係合しており、上段リンク機構33と下段リンク機構32の屈曲が所定量に達すると、係合爪53が係合ピン52から外れるようになっている。
この実施の形態では、第1押し込み部材50のアーム55の長さを上段リンク機構33のリンク部材331より長くして係合爪53の移動軌跡Yを係合ピン52の移動軌跡Xと異ならせ、押え盤案内機構30が伸張状態の一点で係合ピン52と係合爪53の移動軌跡が一致するように設定している(図中、Q位置)。
【0040】
図示例では、上段リンク機構33の最前端のリンク部材331の連結部が係合ピン52となっているので、係合ピン52の移動軌跡Xはリンク部材331の連結部の移動軌跡と一致しており、この場合には、第1押し込み部材50の支軸55aの位置をリンク部材331の押え盤20に対する支軸331aの位置より前方に所定量オフセットさせた位置関係となる。
押え盤20が下方に移動し押え盤案内機構30が伸張状態から屈曲するにつれて係合爪53の位置が係合ピン52に対して徐々に上方にずれていき、所定量に達した時点で外れる(図中、R位置)。係合ピン52から外れると、逃がしばね機構56のばね力によって前方に大きく逃がされる(図中、S位置)。
【0041】
一方、第2押し込み部材案内機構61は、図5に示すように、押え盤案内機構30の屈曲方向と反対側(前方)にくの字形状に屈曲するように連結された上段リンク611と下段リンク612によって構成され、この上段リンク611と下段リンク612の連結部に、上段リンク611と下段リンク612を連結すると共に第2押し込み部材60に係合する係合ピン62が設けられている。
上段リンク611の長さと下段リンク612の長さの比率は、角形容器の後側面部101Dの高さを底板部折り畳み位置(底板部103から胴部101の前後方向長さの半分の距離)で分割した比率に設定され、押え盤20が下方に移動すると、上段リンク611と下段リンク612が胴部101の後側面部101Dの屈曲形状と同じ屈曲角度で屈曲し、係合ピン62が前方に移動する。
【0042】
第2押し込み部材60は、胴部101の後側面部101Dに沿って左右に直線状に延びる第2押し込みバー64と、この第2押し込みバー64を押え盤20に対して支軸65aを介して前後方向に揺動自在に支持するアーム65と、第2押し込みバー64を後側面部101Dから離間させる方向(図中反時計回り方向)に常時付勢力を作用させる逃がしばね機構66とが設けられている。
第2押し込みバー64には、第2押し込み部材案内機構61の係合ピン52に係脱自在の逆L字形状の係合爪63が固定されている。係合爪63は係合ピン62に対して胴部側に係合するもので、係合爪63には反胴部側に開いたピン保持部63aが設けられている。第2押し込みバー64は、アーム65に対してヒンジ部641を介して反胴部側(前方)に反転自在に支持されており、係合爪63が係合ピン62に対して反胴部側から胴部側に相対移動する際には、係合爪63の背面が係合ピン62に押されて反胴部側に反転し、係合ピン62を乗り越えて胴部側に移動し、反胴部側に開いたピン保持部63aに係合ピン62が係合するようになっている(図4(B),(C)参照)。
【0043】
ヒンジ部641は、アーム65の反胴部側側面の先端部から所定寸法だけ上方に離間した位置で枢支連結され、アーム65の反胴部側側面に当接した閉位置から反胴部側へは回転自在で、閉位置から胴部側へは回転不能となっており、このアーム65の先端部に第2押し込みバー64が係止されている。アーム65と第2押し込みバー64の間には、第2押し込みバー64を常時前方へ回転付勢する戻しばね642が設けられ、ヒンジ部641をアーム65の反胴部側側面に当接させる方向(図中反時計回り方向)に常時付勢している。
逃がしばね機構66は、アーム65に常時付勢力を作用させるもので、たとえば押え盤20とアーム65間に介装されるコイルばねによって構成される。
【0044】
第2押し込み部材60の係合爪63は、後側面部101Dの底板部折り畳み位置の屈曲途中で、第2押し込み部材案内機構61の係合爪62から自動的に逃げる構成となっている。すなわち、折り畳み前の初期状態から所定量折り畳むまでの間は係合爪63が係合ピン62に係合しており、上段リンク611と下段リンク612間の屈曲が所定量に達すると、係合爪63が係合ピン62から外れるようになっている。
この実施の形態では、第2押し込み部材60のアーム65の長さを上段リンク611より長くして係合爪63の揺動軌跡Y′を係合ピン62の揺動軌跡X′と異ならせ、押え盤案内機構30が伸張状態の一点で係合ピン62と係合爪63の揺動軌跡が一致するように設定している(図中、Q′位置)。
押え盤案内機構30が伸張状態から屈曲が進行するにつれて係合爪63の位置が係合ピン62に対して徐々に上方にずれていき、所定量に達した時点で外れる(図中、R′位置)。係合ピン62から外れると、逃がしばね機構66のばね力によって後方に大きく逃がされる(図中、S′位置)。
【0045】
圧縮機構40は、図1,図2及び図3に示すように、台盤10と押え盤20間を締め付ける左右一対のウィンチ機構41と、ウィンチ機構41の巻胴44をてこ作用によって回転させる操作レバー42と、を備えている。
ウィンチ機構41は、押え盤20の前端部に左右方向に回転自在に支持された上シャフト43と、上シャフト43の左右両端部に上シャフト43に対して相対回転不能に取り付けられた巻胴44と、巻胴44に巻き掛けられる巻き掛け部材としてのワイヤ45と、操作レバー42からの回転トルクを選択的に巻胴44に伝達させるトルク伝達切換え機構46と、巻胴44の逆転を防止する逆転防止機構47とを備えている。
【0046】
操作レバー42は、巻胴44が固定された上シャフト43に対して相対回転自在に支持された一対の支持腕421と、支持腕421の自由端に架け渡された横方向の握りバー422とを備えた構造となっている。
ワイヤ45は、一端が巻胴44に巻き付けられ、下端が台盤10側に取り付けられた伝達レバー91に固定されている。
【0047】
トルク伝達切換え機構46は、シャフト43に相対回転不能に固定されたラチェット461と、操作レバー42に取り付けられラチェット461に対して係合離脱自在に設けられるロック爪462とを備えている。ラチェット461は、操作レバー42の一対の支持腕421の間に配置され、ロック爪462はラチェット461の位置に対応して操作レバー42の支持腕421間に架設された爪支持板463に揺動自在に取り付けられている。このロック爪462はラチェット461の歯に対して、操作レバー42を下方に押し下げる方向に移動させた場合には係合し、上シャフト43を介して巻胴44に巻き上げ方向のトルクを伝達し、操作レバー42を上方に引き上げる方向に移動させた場合にはロック爪462はラチェット461の歯には係合しないで、操作レバー42は空回りするようになっている。
【0048】
逆転防止機構47は、トルク伝達切換え機構46と共通のラチェット461と、ラチェット461に対して係合する逆転防止爪471とによって構成される。この逆転防止爪471は押え盤20の前壁に揺動自在に支持され、ラチェット461に係合することで、巻胴44の巻き上げ方向の回転を許容し、巻胴44の巻き上げ方向と反対の巻き戻し方向の回転を阻止するようになっている。また、逆転防止爪471はラチェット461から離間させるロック解除位置をとることも可能である。
【0049】
また、この実施の形態では、ウィンチ機構41による締め付け力を第1,第2押し込み部材案内機構51,61を介して第1押し込み部材50と第2押し込み部材60に伝達する締め付け力伝達機構90が設けられている。
この締め付け力伝達機構90は、台盤10に揺動自在に取り付けられ一端にウィンチ機構41のワイヤ45が固定される伝達レバー91と、伝達レバー91の他端と押え盤案内機構30の下段リンク機構32の前端に位置するリンク部材321および第2押し込み部材案内機構60の係合ピン60に枢支されるY字形状の伝達リンク機構92とを備えている。
伝達レバー91は、前記ウィンチ機構41が支持される上シャフト43と平行に台盤10に回転自在に支持された下シャフト93に相対回転不能に固定され、台盤10に対して下シャフト93を介して相対回転自在に支持されている。この伝達レバー91の前端にウィンチ機構41のワイヤ45の下端が伝達レバー91の前端に固定され、後端に伝達リンク機構92が連結される。
【0050】
伝達リンク機構92は、第1押し込み部材案内機構51を構成する下段リンク機構32の前下段リンク321の中間部に連結される第1リンク921と、第2押し込み部材案内機構61の上段リンク611と下段リンク612の連結部に係合ピン62によって枢支連結された第2リンク922と、第1リンク921と第2リンク922の他端とまとめて一つに連結される第3リンク923と、第3リンク923に枢支連結される第4リンク924とを備え、第4リンク924が伝達レバー91のワイヤ45が固定されるワイヤ固定端とは反対の端部に枢支連結されている。
【0051】
折り線形成機構70は、図1に示すように、押え盤20の左右両側縁に設けられ胴部101の左右両側面101A,101Bの上隅角部C2,C3に減容誘導折り線F12,F13を形成するためのブレード712を備えた左右一対の上部折り線形成具71と、台盤10の左右両側縁に設けられ胴部の左右両側面部の下隅角部C4,C5に減容誘導折り線F14,F15を形成するためのブレード722を備えた左右一対の下部折り線形成具72と、押え盤20上に配置され上部折り線形成具71のブレード712を押し込むための押し込み操作機構73と、下部折り線形成具72を上部折り線形成具71と同期して動作させる運動伝達機構74と、を備えている。
上部折り線形成具71は、押え盤20の左右側縁に沿って前後方向に胴部の左右側面と平行に延び押え盤20の側面に回転自在に支持される軸711と、容器胴部101の左右側面部101Aの上部隅角部C2,C3に対応して軸711にハの字形状に固定される前後一対のブレード712と、ブレード712の中間に固定される作動レバー713とを有し、軸711を回転させることによってブレード712を容器胴部の左右側面部101A,101Bに向かって押し込み、左右側面部101A,101Bの上辺側の隅角部C2,C3に減容誘導折り線F12,F13を形成するようになっている。
【0052】
下部折り線形成具72は、台盤10の左右側縁に沿って前後方向に胴部の左右側面部101A,101Bと平行に延び、台盤10の側面に回転自在に支持される軸721と、容器胴部の左右側面部101A,101Bの下部偶隅角部C4,C5に対応して軸721に固定される前後一対のブレード722と、を有し、軸721を介してブレード722を左右側面部101A,101Bの下辺側の隅角部に押し込んで減容誘導折り線F14,F15を形成する構成となっている。
【0053】
押し込み操作機構73はトグルリンク機構で、図3,図6に示すように、一端が押え盤20上に突設されたブラケット735に枢支連結される第1リンク731と、第1リンク731の他端に一端が枢支連結され他端が上部折り線形成具71の軸711の作動レバー713に枢支連結される第2リンク732とを備えている。第1リンク731と第2リンク732の連結部733と押え盤20との間には、ばね734が収縮状態で介装されている。自由状態では連結部733が上方にくの字状に屈曲して収縮状態にあり、上部折り線形成具71のブレード712を胴部側面部101A,101Bから離間させている。
【0054】
一方、操作レバー42の左右の支持腕421は、押し込み操作機構73を構成する第1,第2リンク731,732の連結部733に係合する位置関係にあり、操作レバー42によってばね734の付勢力に抗して連結部733を下方に押し込むことにより、第1リンク731と第2リンク732を直線状に伸ばし、上部折り線形成具71の作動レバー713を外側に向かって押して、軸711を介してブレード712を回転させる構成となっている。
この例では、図7(A)に示すように、連結部733を直線状態の思案点を越えてさらに下方に屈曲させることによって、押し込んだ側面部101A,101Bからの押し込み反力とばね734の付勢力がバランスしてロックされる構成となっている。折り畳みが進行して押し込み反力が作用しなくなると、図7(B)に示すように、ばね734の弾性復元力によって、第1リンク731と第2リンク732の連結部733が思案点を超えて再び上方に屈曲する。
【0055】
上部折り線形成具71から下部折り線形成具72への運動伝達機構74は、上部折り線形成具71の軸711の端部に設けられた伝達レバー741と、下部折り線形成具72の軸721の端部に設けられた従動レバー742とをワイヤ743で連結した構成となっている。また、左右の下部折り線形成具72の軸721には戻しレバー745が固定され、左右の戻しレバー745間に、左右の下部折り線形成具72のブレード722を左右側面部101A,101Bから逃がす方向に付勢する戻しばね744が介装されている。
押し込み操作機構73を介して上部折り線形成具71に加えられた回転トルクは、伝達レバー741,ワイヤ743及び従動レバー742を介して下部折り線形成具72に伝達され、下部折り線形成具72の軸721が上部折り線形成具71と反対方向に回転してブレード722を左右側面部101A,101Bの下部隅角部C4,C5に押し込むようになっている。
折り畳みが進行して運動伝達機構74のワイヤ743がたるむと、戻しばね744のばね力によって、ブレード722は胴部の左右側面部101A,101Bから離間させる方向に戻される。
【0056】
自立機構80は、図1に示すように、一端が押え盤20に枢支された上部リンク81と、一端が台盤10に枢支された下部リンク82と、上部リンク81と下部リンク82の自由端同士を連結する中間リンク83と、上部リンク81と下部リンク82の間に配置され常時上部リンク81と下部リンク82間を開く方向に付勢する付勢部材としてのガススプリング84とによって構成されている。ガススプリング84によって常に押え盤20が台盤10に対して離間する方向、押え盤案内機構30を上下に伸張させる方向に付勢している。ガススプリング84は、伸縮長さに関わらず常に一定の付勢力で押え盤20を上方に付勢する。
【0057】
次に、本実施の形態の角形容器の折り畳み装置の操作方法について説明する。
自由状態では、自立機構80によって押え盤20が上方に付勢され、押え盤案内機構30が伸張状態に保持されている。この状態で角形容器100を台盤10に載置し、角形容器100の前側面部101Cがストッパ13に当接するまで前方に押し込む。
【0058】
次いで、トルク伝達切換え機構46のロック爪462をラチェット461から外し、操作レバー42を回転自在とし、操作レバー42によって、押し込み操作機構73の第1押し込みリンク731と第2押し込みリンク732の連結部733を押し下げる。初期状態では、押し込み操作機構73の第1,第2リンク731,732は、図7(C)に示すように、最収縮状態で連結部733が操作レバー42の支持腕421の位置から離れているので、連結部733を手で押し下げて操作レバー42の支持腕421の下方位置に調整する。
操作レバー42で連結部733を押し下げることにより、図7(A)に示すように、第1,第2押し込みリンク731,732が左右に伸張し、作動レバー713を容器側方に押して軸711を回転させ、軸711に固定されたブレード712を容器の左右側面部101A,101Bの隅角部C2,C3に押し付け、隅角部に減容誘導折り線F12,F13を形成する(図7(D)参照)。同時に運動伝達機構74の伝達レバー741,ワイヤ742及び従動レバー742を介して下部折り線形成具72が上部折り線形成具71と反対方向に回転し、軸721に固定されたブレード722を左右側面部101A,101Bの下辺側の隅角部C4,C5に押し付け、隅角部に減容誘導折り線F14,F15を形成する。
【0059】
連結部733が思案点を越えて下方に位置するまで操作レバー42を押し下げることにより、左右側面部101A,101Bからの押し込み反力が戻しばね743のばね力とつり合ってロックされ、ブレード712,722の押し込み状態を維持する(図7(A)参照)。
【0060】
次に、トルク伝達切換え機構46のラチェット461にロック爪462を係合し、操作レバー42を上げ下げして、図2および図9(A)に示すように、ウィンチ機構41の巻胴44を回転させ、ワイヤ45を巻き上げていく。操作レバー42の操作範囲は任意であり、使用者が最も力が入る高さに任意に設定することができる。
巻き上げられたワイヤ45によって、締め付け力伝達機構90のレバー91の前端が持ち上げられ、レバー91の後端に連結された伝達リンク機構92の第3,第4リンク923,924が下方に引っ張られる。伝達リンク機構92は折り畳み操作の開始時点では若干緩んでおり、伝達リンク機構92の緩みが無くなると、第1リンク921および第2リンク922を介して第1および第2押し込み部材案内機構51,61の前下段リンク321および下段リンク612を容器内側に向けて回転させ、第1押し込み部材案内機構51に係合している第1押し込み部材50と第2押し込み部材案内機構61に係合している第2押し込み部材60によって、容器の前後側面部101A,101Bを容器内側に向けて押し込み、容器を前後に絞り始める。
【0061】
この第1,第2押し込み部材50,60の運動と同時に押え盤案内機構30が屈曲し、押え盤20が下方に移動して容器100を軸方向に圧縮する。
左右側面部101A,101Bは、折り線形成機構70の上部折り線形成具71および下部折り線形成具72の各ブレード712,722によって内側に押し込まれた状態に維持されているので、後側面部101Cおよび前側面部101Dが横方向谷折り誘導部F6,F7に沿って容器内側に屈曲すると同時に、山折り誘導部F8,F9が山折り状態に屈曲し、縦方向谷折り誘導部F1,上分岐谷折り誘導部F2,F3,上部減容誘導折り線F12,F13,下分岐谷折り誘導部F4,F5および下部減容誘導折り線F14,F15に沿って容器内側に屈曲し折り畳みの折り目が形成される(図9(D)参照)。
【0062】
このように第1押し込み部材50と第2押し込み部材60によって、容器の前後側面部101A,101Bを屈曲させながら容器を圧縮するので、きわめて小さい力で折り畳み初期の折り目を形成することができる。
さらにワイヤ45を巻き上げていくと、折り畳みが進行し、図8(B)に示すように、第1押し込み部材50の係合爪53が第1押し込み部材案内機構51を構成する中間連結部材31の係合ピン52から外れると共に、第2押し込み部材60の係合爪63が第2押し込み部材案内機構61の係合ピン62から外れ、それぞれ逃がしばね機構56,66によって屈曲部から逃がされる。また、伝達リンク機構92が緩んで、第1,第2押し込み部材案内機構51,61に対して力を伝達しない。
【0063】
また、折り線形成機構70についても、左右側面部からの押し込み反力が作用しなくなり、図7(B)に示すように、ばね734の弾性復元力によって第1リンク731と第2リンク732の連結部733が思案点を超えて上方に屈曲して原位置に復帰し、上部折り線形成具71および下部折り線形成具72の各ブレード712,722が左右側面部101A,101Bから離間する。
【0064】
さらに、図8(C)に示すように、操作レバー72によってワイヤ45を巻き上げ、天板部102と底板部103間を締め付けることにより、角形容器100は図8(E),(F)に示すようにZ字形状に折り畳みが進行し、図9(A)に示すように、折り畳みを完了する。
本発明では、胴部101の左右側面部101A,101Bの4隅角部C2〜C5まで減容誘導折り線F12〜F15を入れたので、隅角部まで隙間なく折り畳むことができ、高減容化を実現することができる。試作機で折り畳み試験をした結果、図9(B)に示すように、元の高さH0が350mmに対して、折り畳み後の高さH1が60mm程度まで減容化することができた。
また、左右側面部101A,101Bを正確に折り込むことができるので、図9(C)に示すように、折り込んだ左右側面部101A,101Bが前後側面部101C,101Dの間に完全に隠れ、前後側面部101C,101Dの幅の範囲内に折り畳むことができる。このように幅が大きくならないので、角形容器が収納されていた梱包箱を利用して折り畳んだ容器を収納することができる。
【0065】
折り畳みが終了すると、ラチェット461の逆転防止爪471を外す。すると、自立機構80のガススプリング84の付勢力によって押え盤20が上方に持ち上がり、押え盤案内機構30が伸張状態に復帰する。
この押え盤20が上方に移動する過程で、戻しばね機構57のばね部材572が伸びてレバー571を図中反時計回りに付勢し、逃がしばね機構56のばね力に抗してアーム55を反時計回りに回転させる。押え盤案内機構30が最伸張状態近くなると、係合爪53が第1押し込み部材案内機構を構成する押え盤案内機構30の中間連結部材31に設けられた係合ピン52に自動的に係合する。
【0066】
また、押え盤案内機構30が伸張状態に復帰すると、図7(C)に示すように、折り線形成機構70の運動伝達機構74の戻しばね機構744のばね力によって、従動レバー742,ワイヤ743,伝達レバー741を介して、上部折り線形成具71をブレード712が左右側面部101A,101Bから離間させる方向に回転させる。
一方、第2押し込み部材60については、手で押し込めば、係合爪63が第2押し込み部材案内機構61の係合ピン62に自動的に係合する。
【0067】
なお、逆転防止爪471は、操作者の前方に離れた位置にあるので、手元で操作する機構を設けてもよいし、自動化するようにしてもよい。
図11は自動係合機構の一例を示している。
図示例では、折り線形成機構70の押し込み操作機構73のロック操作時に、逆転防止爪471がラチェット461から離れた離脱位置からラチェット461との係合位置に移動させるようにしたもので、押え盤20上にベルクランク481を揺動自在に設け、ベルクランク481の一端481aを逆転防止爪押し込み操作機構73と係合させ、ベルクランク481の他端481bと逆転防止爪471を紐等の連結部材482によって連結する構成としたものである。
【0068】
一方、逆転防止爪471を離脱させる機構としては、押え盤20を貫通し上下方向に移動自在の逃がし軸49を設けたものである。逃がし軸49の下端が折り畳み終了時の容器の前側面部101Cによって持ち上げられると、上端が逆転防止爪471に係合して上方に押し上げ、逃がし位置に回転させるようになっている。逃がし軸49の中途部には押え盤20の上面に係合して下方への抜け止めを防止するフランジ部491が設けられている。
このようにすれば、所定の厚みまで折り畳みが進行すると、前側面部101Cによって逃がし軸49が押し上げられるので、自動的に逆転防止爪471が解放されてラチェットが巻き戻し方向に回転自由となり、自立機構80の付勢力によって押え盤20が自動的に上方に移動することなる。
【0069】
なお、上記実施の形態では金属製の角形容器について説明したが、金属容器に限らず、プラスチック容器についても適用可能である。また、折り目誘導部が設けられた角形容器を折り畳む場合について説明したが、折り目誘導部については、その一部、あるいはすべてが無くても折り畳み可能である。
また、押え盤案内機構、前後側面部の第1,第2押し込み部材案内機構、左右側面部の折り線形成機構については、本実施の形態に限定されるものではなく種々の構成が適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は本発明の実施の形態に係る角形容器の折り畳み装置の折り畳み前の状態の側面図である。
【図2】図2は図1の折り畳み装置の折り畳み初期状態における第1押し込み部材および第2押し込み部材を示す一部破断側面図である。
【図3】図3(A)は図1の装置の上面図、同図(B)は同図(A)のラチェット部の断面図である。
【図4】図4(A)は図2の第1押し込み部材の屈曲部からの離脱状態を説明するための第1押し込み部材近傍の要部側面図、同図(B),(C)は第1押し込み部材が係合ピンに係合する状態を説明するための部分拡大図である。
【図5】図5(A)は図2の第2押し込み部材の屈曲部からの離脱状態を説明するための第2押し込み部材近傍の要部側面図、同図(B),(C)は第2押し込み部材が係合ピンに係合する状態を説明するための要部拡大図である。
【図6】図6は胴部左右側面部の折り線形成機構を示す全体構成図である。
【図7】図7(A)乃至(D)は図6の折り線形成工程を示す図である。
【図8】図8は図1の装置の折り畳み途中における折り畳み装置の変形状態と容器の変形状態を概略的に示す図である。
【図9】図9(A)は図1の装置の折り畳み終了状態の側面図、同図(B)は折り畳まれた角形容器の概略側面図、同図(C)は同図(B)の平面図である。
【図10】図10は図1の本発明の折り畳み装置によって折り畳まれる角形容器を示すもので、同図(A)は折り畳まれる前の斜視図、同図(B)は同図(A)の別方向から見た斜視図、同図(C)は左側面部の折り目誘導部のパターンを示す図、同図(D)は前後側面部を屈曲させた状態の斜視図である。
【図11】図11は逆転防止爪の自動係脱機構の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1 折り畳み装置
10 台盤
11 台本体、12 支持脚、13 ストッパ部材
20 押え盤
30 押え盤案内機構
31 中間連結部材
32 下段リンク機構
321 下段揺動リンク部材
33 上段リンク機構
331 上段揺動リンク部材
34 連結リンク部材
40 圧縮機構
41 ウィンチ機構
42 操作レバー
421 支持腕、422 握りバー
43 シャフト
44 巻胴
45 ワイヤ45
46 トルク伝達切換機構
461 ラチェット、462 ロック爪、463 爪支持板
47 逆転防止機構
471 逆転防止爪
48 自動係合機構
481 ベルクランク、482 ワイヤ
49 逃がし軸
50 第1押し込み部材
51 第1押し込み部材案内機構
52 係合ピン
53 係合爪
54 第1押し込みバー
541 ヒンジ部、542 戻しばね
55 アーム
55a 支軸
56 逃がしばね機構
57 戻しばね機構
571 レバー、572 ばね部材、573 紐体
60 第2押し込み部材
61 第2押し込み部材案内機構
611 上段リンク、612 下段リンク
62 係合ピン
63 係合爪
64 第2押し込みバー
641 ヒンジ部、642 戻しばね
65 アーム
65a 支軸
66 逃がしばね機構
70 折り線形成機構
71 上部折り線形成具
711 軸
712 ブレード
713 作動レバー
72 下部折り線形成具
721 軸
722 ブレード
73 押し込み操作機構
731 第1リンク、732 第2リンク、733 連結部
734 ばね、735 ブラケット
74 運動伝達機構
741 伝達レバー、742 従動レバー、743 ワイヤ
744 戻しばね、745 戻しレバー
80 自立機構
81 上部リンク、82 下部リンク、83 中間リンク、
84 ガススプリング
90 締め付け力伝達機構
91 レバー、
92 伝達リンク機構
921〜924 第1〜第4リンク
100 角形容器
101 胴部
101A 左側面部 101B 右側面部
101C 前側面部、101D 後側面部
102 天板部
103 底板部
110 フレーム領域
111 角部
112 ビード部
F1 縦方向谷折り誘導部
F2,F3 上分岐谷折り誘導部
F4,F5 下分岐谷折り誘導部
F6 横方向谷折り誘導部
F7 横方向谷折り誘導部
F8,F9 山折り誘導部
F12,F13,F14,F15 減容誘導折り線
P1,P2 分岐点
C2,C3 隅角部(上辺側)
C4,C5 隅角部(下辺側)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後左右の側面部を有する四角筒形状の容器胴部と、該容器胴部の上端を閉塞する天板部と、容器胴部の下端を閉塞する底板部とを備え、容器胴部の左右側面部を縦方向に内側に折り畳み、容器胴部の前後側面部のうち一方の側面部側に天板部を折り畳むと共に他方の側面部側に底板部を折り畳んで減容化する角形容器の折り畳み装置であって、
底板部を支持する台盤と、
天板部を押さえる押え盤と、
容器胴部の前後側面部のうち一方の側面部の天板部折り畳み位置を容器内側に押し込むための第1押し込み部材と、
容器胴部の前後側面部のうち他方の側面部の底板部折り畳み位置を容器内側に押し込むための第2押し込み部材と、
押え盤を台盤に対して上下方向に移動自在に支持する押え盤案内手段と、
台盤と押え盤間を締め付けて角形容器を軸方向に圧縮する圧縮手段と、
前記第1押し込み部材と係合し、押え盤の圧縮動作と第1押し込み部材による容器胴部の側面部の押し込み動作を連動させて圧縮と同時に天板部折り畳み位置を屈曲させる第1押し込み部材案内手段と、
前記第2押し込み部材と係合し、押え盤の圧縮動作と第2押し込み部材による容器胴部の側面部の押し込み動作を連動させて圧縮と同時に底板部折り畳み位置を屈曲させる第2押し込み部材案内手段と、を備えていることを特徴とする角形容器の折り畳み装置。
【請求項2】
第1押し込み部材案内手段および第2押し込み部材案内手段は、容器胴部の前後側面部の天板部折り畳み位置および底板部折り畳み位置の屈曲途中で、第1押し込み部材および第2押し込み部材を離脱させ、第1押し込み部材と第2押し込み部材を容器胴部の前後側面部から自動的に逃がす構成となっていることを特徴とする請求項1に記載の角形容器の折り畳み装置。
【請求項3】
折り畳み操作前に胴部の左右側面部の各4箇所の隅角部を容器内側に押し込んで減容誘導折り線を形成する折り線形成手段を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の角形容器の折り畳み装置。
【請求項4】
折り線形成手段は、折り畳み初期段階では押し込み状態がロック、折り畳み途中でロックが自動的に解除される構成となっている請求項3に記載の角形容器の折り畳み装置。
【請求項5】
押え盤を台盤から離間させる方向に付勢し、自由状態では押え盤を台盤に対して離間した状態に保持する自立手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項に記載の角形容器の折り畳み装置。
【請求項6】
圧縮手段はウィンチ機構を備えている請求項1乃至5のいずれかの項に記載の角形容器の折り畳み装置。
【請求項7】
圧縮手段は、てこ作用によってウィンチ機構を巻き上げる操作レバーを備えている請求項6に記載の角形容器の折り畳み装置。
【請求項8】
折り線形成手段は、ウィンチ機構を操作する操作レバーを利用して操作する構成となっている請求項7に記載の角形容器の折り畳み装置。
【請求項9】
角形容器の胴部には、折り畳み時に折り目となる折り目誘導部が設けられ、左右側面部の隅角部に向かって設けられる折り目誘導部の端部は隅角部の手前に位置し、折り目形成手段によって形成される減容化折り線によって折り目誘導部と隅角部をつなぐ構成となっている請求項3に記載の角型容器の折り畳み装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate