説明

角形蛇篭

【課題】菱形金網を形成する列線の緊張度を緩めることなく前面網又は後面網の長さを調整することが可能な角形蛇篭を得る。
【解決手段】菱形金網からなる角形蛇篭1Aの前面網3を、菱形金網の列線10を縦向きに配設して形成し、該前面網3内の互いに異なる位置にある引寄用列線10A,10A同士を相互間の間隔が狭まる方向に引き寄せて連結金具14で互いに連結することにより、該前面網3の長さを後面網4の長さより短く形成し、それによって角形蛇篭1Aの平面視形状を台形又は扇紙形に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前面網又は後面網の長さを調整することによって平面視形状が台形あるいは扇紙形をなすように形成した角形蛇篭に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、海岸、河岸、湖岸等の岸辺に護岸壁を構築したり、傾斜地の法面に補強壁を構築したりする場合に、角形蛇篭が使用される。この角形蛇篭は、菱形金網によって容器形に形成され、内部に栗石を詰めた状態で現場に設置されるもので、複数の蛇篭を岸辺や法面に沿って横に並べると共に、上下に複数段段積することにより、前記護岸壁や補強壁が構築される。その際、岸辺や法面が湾曲していると、前記護岸壁や補強壁もそれに倣って湾曲した形に形成しなければならない。
【0003】
ところが、前記蛇篭は、通常、直方体状をしているため、それを左右に並べて湾曲する護岸壁や補強壁を形成しようとすると、隣接する蛇篭の側面網間に後方広がりあるいは前方広がりの隙間が形成されてしまう。
【0004】
そこで、隣接する蛇篭の側面網間にこのような隙間が形成されないようにするため、特許第3354134号により、前面網の寸法を調整することによって角形蛇篭を平面視形状が台形をなすように形成する技術が、本出願人により提案されている。この技術を用いれば、蛇篭を隙間無く並べて湾曲した護岸壁や補強壁を構築することができる。
【0005】
ところが、前記従来の技術は、菱形金網を形成する列線の緊張度を緩めることによって前面網の長さを短くするものであるため、充填した栗石の荷重が該前面網に強く作用した場合、列線の変形によって該前面網が外側に膨れることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3354134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の技術的課題は、菱形金網を形成する列線の緊張度を緩めることなく前面網又は後面網の長さを調整することが可能な角形蛇篭を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明によれば、前辺が後辺より短い平面視形状が台形又は扇紙形の底面網と、該底面網の前辺及び後辺に連結された正面視形状が矩形の前面網及び後面網と、前記底面網の左右の側辺に連結された側面視形状が矩形の左右の側面網と、平面視形状が台形又は扇紙形の上面網とからなる角形蛇篭において、前記底面網と、前面網及び後面網と、左右の側面網と、上面網とは、偏平な螺旋状に折曲された複数の列線を折曲部で順次連繋してなる菱形金網により形成され、前記前面網及び後面網のうち一方の面網は、横方向長さが調整された調整網であり、この調整網においては、前記列線が縦向きに配設され、該列線の上下端にはそれぞれ環が形成されていて、該環内を調整網の上辺及び下辺に取り付けられた枠線が貫通し、それによって前記列線が前記枠線に取り付けられると共に該枠線に沿って移動自在であり、また、該調整網の互いに異なる位置にある引寄用列線同士が相互間の間隔が狭まる方向に引き寄せられて互いに連結されることにより、該調整網の長さが他方の面網の長さより短く形成されていることを特徴とする角形蛇篭が提供される。
【0009】
本発明の1つの構成態様によれば、前記調整網が1枚の金網板により形成され、該金網板の異なる位置にある引寄用列線同士が相互に引き寄せられて互いに連結されている。
本発明の他の構成態様によれば、前記調整網が、複数の金網板を互いに重なり合わないように間隔をおいて配置することにより形成され、隣接する金網板の端部に位置する引寄用列線同士が相互に引き寄せられて互いに連結されている。
【0010】
前記引寄用列線は、該引寄用列線内に縦向きに挿通した骨線を介して相互に引き寄せられ、該骨線同士を相互に連結することにより互いに連結されていても、あるいは、互いが直接引き寄せられて折曲部において連結金具で直接連結されていても良い。
本発明において、前記底面網及び上面網は、互いに異なる位置にある引寄用列線内にそれぞれ骨線を挿入し、これらの骨線を前端側ほど相互間の間隔が次第に狭まるように引き寄せて相互に連結することで台形又は扇紙形に形成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、菱形金網を形成する列線の緊張度を緩めることなく、前面網又は後面網の長さを調整することが可能な角形蛇篭を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る角形蛇篭の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の角形蛇篭を分解して示す平面図である。
【図3】長さ調整された前面網の拡大正面図である。
【図4】長さ調整途中の前面網の正面図である。
【図5】本発明に係る角形蛇篭の第2実施形態を示す平面図である。
【図6】底面網又は上面網を台形又は扇紙形に変形させる方法を示す変形前の平面図である。
【図7】底面網又は上面網を台形又は扇紙形に変形させた状態の平面図である。
【図8】前面網の他例を示す正面図である。
【図9】図8の前面網の長さ調整前の正面図である。
【図10】図1に示す平面視台形の蛇篭で形成された護岸壁の平面図である。
【図11】図5に示す平面視扇紙形の蛇篭で形成された護岸壁の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1には本発明に係る角形蛇篭の第1実施形態が示されている。この角形蛇篭1Aは、平面視形状が台形の容器形をしたもので、その内部に栗石を充填した状態で岸辺や法面等に沿って設置され、図10に示すような湾曲した護岸壁あるいは補強壁等を構築するものである。
【0014】
前記角形蛇篭1Aは、図2に示すように、前辺2aが後辺2bより短い平面視形状が台形の底面網2と、該底面網2の前辺2a及び後辺2bに連結される平面視形状(図1では正面視形状)が矩形の前面網3及び後面網4と、前記底面網2の左右の側辺2cに連結される平面視形状(図1では側面視形状)が矩形の左右の側面網5と、平面視形状が台形の上面網6とで形成されている。
【0015】
前記底面網2と、前面網3及び後面網4と、左右の側面網5と、上面網6とは、偏平な螺旋形に折曲された複数の列線10の折曲部10a同士を順次連繋させてなる菱形金網によって別々に形成され、各面網の周囲には、針金からなる枠線11a,11b,11c,11dが、各列線10の端部に形成された環12と面網の端部に位置する列線10の折曲部10aとに挿通されることにより取り付けられ、隣接する面網の相対する枠線11a,11b,11c,11d同士を適宜構造の連結金具13で相互に連結することにより、前記角形蛇篭1Aが形成されている。図1の例では、前記連結金具13として、針金を螺旋状に曲げて形成したスクリューストッパが用いられている。
【0016】
前記底面網2と上面網6とは、菱形金網の列線10を前後方向即ち前辺2a,6aと後辺2b,6bとを結ぶ方向に配設することにより形成されていて、前辺2a,6aに取り付けられた枠線11aの長さを後辺2b,6bに取り付けられた枠線11bの長さより短く形成することにより、該前辺2a,6aの横方向の長さが後辺2b,6bの横方向の長さより短く形成され、それによって該底面網2及び上面網6が平面視台形状に形成されている。このとき、該底面網2及び上面網6における各列線10は、前辺2a,6a側に行くに従って次第に列線10相互の緊張の度合いが緩んだ状態になり、列線10同士の重なる割合が増加している。
【0017】
前記前面網3及び後面網4は、菱形金網の列線10を縦向き(図1の上下方向)に配設することにより形成されていて、各列線10の上下端に形成された環12内を上下の枠線11a,11bが遊挿状態に貫通しており、それによって各列線10が前記枠線11a,11bに取り付けられると共に、該枠線11a,11bに沿って移動自在となっている。
【0018】
前記前面網3は、最初は前記後面網4と同一構成及び同一大きさに形成されていたものを、長さ調整することにより、横方向の長さLが前記後面網4の横方向の長さより小さく且つ前記底面網2の前辺2aの長さと同じ長さになるように形成されたものである。これに対して前記後面網4は、長さ調整することなく、その長さが前記底面網2の後辺2bと同じ長さに形成されている。従って、この実施形態において、前記前面網3は長さ調整された調整網であり、後面網4は長さ調整されていない非調整網であると言い換えることができる。
【0019】
前記前面網3の長さ調整は次のようにして行われている。即ち、図4に示すように、該前面網3内の互いに異なる位置にある2つの列線10,10(以下、「引寄用列線」と称して符号「10A」を付すものとする。)の内部にそれぞれ針金等からなる骨線17が縦向きに挿入され、該骨線17の上下端にはそれぞれ環17aが形成されていて、該環17a内に上下の枠線11a,11bが移動自在に挿通されている。そして、図3に示すように、前記2本の骨線17を相互間の間隔が均等に狭まる方向に引き寄せ、それらを適宜の連結金具14で相互に連結することにより、長さ調整が行われている。
【0020】
この場合、該前面網3の上下に横向きに取り付けられた上下の枠線11a,11bの長さも同時に縮小されるように、図4に鎖線で示すように、これら上下の枠線11a,11bの左右何れか一方又は両方の端部を、前面網3の左右に縦向きに取り付けられた左右の枠線11c,11dの一方又は両方に対して固定させることなく、左右方向に相対的に移動できるようにフリーの状態にしておき、長さ調整後にそれらを互いに係合させて固定するようにするのが望ましい。
【0021】
図示の例では、上下の枠線11a,11bの右側端が右側の枠線11dの上下端に形成された環15内を移動自在となっていて、前記2つの引寄用列線10A,10Aを互いに引き寄せたとき、右側の引寄用列線10Aに順次連なる他の列線10と右端の列線10に係止する前記枠線11dとが、上下の枠線11a,11bに沿って長さ調整後の位置まで一体となって移動し、それによって該上下の枠線11a,11bの長さも必要な長さに縮小されるようになっている。
【0022】
前記2つの引寄用列線10A,10Aとしては、少なくとも1つの列線10を介して互いに離れた位置にある列線同士が選択されるが、これら2つの引寄用列線10A,10A間に介在する列線10(以下、「中間介在列線」と称して符号「10B」を付すものとする。)の数が多いほど、調整できる長さは長くなる。
前記中間介在列線10Bの数は、金網の網目の大きさや調整すべき長さ等にもよるが、通常は1本から3本程度が目安となる。しかし、4本以上であっても構わない。
【0023】
前記中間介在列線10Bの数が図示したように偶数本の場合、前記2本の引寄用列線10A,10Aは、螺旋における折曲部10aのピッチが互いに1/2ピッチずれた位置関係になるので、それらが互いに引き寄せられたとき、折曲部10a同士が相互に近接した状態になるが、前記中間介在列線10Bの数が奇数本の場合、前記2本の引寄用列線10A,10Aは、螺旋における折曲部10aのピッチが互いに同ピッチになるので、それらが引き寄せられたとき、一方の引寄用列線10Aの折曲部10aと折曲部10aとの間に他方の引寄用列線10Aの折曲部10aが位置することになる。
【0024】
なお、前面網3の縮小すべき長さが大きい場合には、該前面網3の複数箇所において前記方法で長さ調整を行うことも可能である。
【0025】
このような方法で前面網3の長さ調整を行うことにより、列線10同士の連繋の度合いを緩めることなく、むしろ列線10の緊張度をより高めた状態で必要な長さの前面網3を得ることができ、その結果、前面網3の強度が増大し、栗石による大きな作用力が作用しても該前面網3が外側に向けて膨らむのが防止される。
【0026】
なお、前記2つの引寄用列線10A,10Aを引き寄せたとき、それらの間に介在する前記中間介在列線10Bは緩んだ状態になるが、列線相互の連繋状態が解除されることはないので、該中間介在列線10Bが前面網3から外れて脱落したり変形したりすることはなく、蛇篭1Aの使用に支障を来すことはない。
【0027】
このようにして形成された角形蛇篭1Aは、図10に示すように、岸辺や法面に沿って湾曲する護岸壁や補強壁等を形成する場合に使用される。即ち、台形状をした角形蛇篭1Aを、左右及び上下に並べて設置し、隣接するもの同士を適宜連結することにより、前記湾曲する護岸壁や補強壁等を形成ことができる。このとき、左右に隣接する蛇篭1A,1Aの側面網5,5同士は相互に密着し、相互間に隙間が形成されない。
【0028】
なお、前記護岸壁や補強壁が逆向きに湾曲する部分では、前記蛇篭1Aを前後逆向きにして使用するか、あるいは、前面網3の代わりに後面網4を同様の方法で長さ調整して使用する。この場合、該後面網4が調整網となり、前面網3は非調整網となる。このように後面網4を長さ調整する場合、底面網2及び上面網6は、それに見合った台形形状に形成される。
【0029】
前記第1実施形態の角形蛇篭1Aでは、前面網3及び後面網4が平坦に形成されているため、該角形蛇篭1Aの平面視形状は台形である。
しかし、図5に示すように、前面網3を蛇篭の内側に向けて凹状に湾曲させると共に、後面網4をそれと同じ方向即ち外側に向けて凸状に湾曲させることにより、平面視形状が扇紙形をした角形蛇篭1Bを得ることができる。このとき、底面網2及び上面網6の前辺2a,6a及び後辺2b,6bも、前記前面網3及び後面網4に合わせて凹状と凸状とに湾曲される。
このような扇紙形の角形蛇篭1Bを使用することにより、図11に示すような全体が滑らかに湾曲する護岸壁又は補強壁を形成することが可能になる。
なお、後面網4を長さ調整する場合には、該後面網4を蛇篭の内側に向けて凹状に湾曲させ、長さ調整しない前面網3を蛇篭の外側に向けて凸状に湾曲させても良い。
【0030】
図6及び図7には、底面網2と上面網6とを台形状に変形させるための他の方法が示されている。この方法は、前記前面網3の場合と同様に、少なくとも1つの中間介在列線10Bを介して互いに離れた位置にある2つの引寄用列線10A,10Aの内部にそれぞれ骨線17を挿入し、該骨線17を介して前記2つの引寄用列線10A,10Aを相互に引き寄せるものである。
図中の符号17aは前記骨線17の両端に形成された環で、その内部を枠線11a,11bが貫通している。
【0031】
しかし、前記前面網3の場合と違うのは、2つの骨線10A,10Aを全体として均等な間隔に引き寄せるのではなく、図7から明らかなように、該骨線17の後端側即ち底面網2(又は上面網6)の後辺2b(又は6b)側の端部は引き寄せ前の間隔のままに保持し、該骨線17の前端側即ち底面網2(又は上面網6)の前辺2a(又は6a)側の端部を相互に引き寄せるようにし、それによって2つの骨線17,17の間隔を前端側に向けて次第に狭くなるようにするものである。
これにより、前記中間介在列線10B以外は列線10同士の連繋の度合いを緩めることなく、前記底面網2(又は上面網6)を台形状に形成することができる。
【0032】
なお、引き寄せられた前記2つの骨線17,17は、前端同士を連結金具14で相互に連結するだけでも良いが、それ以外に、中間部分の何カ所かを相互に連結しても、あるいは、全体をスクリューストッパのような連結金具で相互に連結しても良い。
【0033】
また、前記底面網2(又は上面網6)の前辺2a(又は6a)に取り付けられた枠線11aの長さも同時に縮小されるように、該枠線11aの左右何れか一方又は両方の端部を左右の枠線11c,11dの一方又は両方に対して固定させることなく、左右方向に相対的に移動できるようにフリーの状態にしておき、長さ調整後にそれらを互いに係合させて固定することは、前記前面網3の長さ調整を行う場合と同じである。
更に、図5に示すような平面視形状が扇紙形の蛇篭を形成する場合には、図7に鎖線で示すように、底面網2(又は上面網6)の前辺2a(又は6a)を蛇篭の内側に向けて凹状に湾曲させ、後辺2b(又は6b)を蛇篭の外側に向けて凸状に湾曲させれば良い。
【0034】
図8及び図9には、前記図3及び図4に示す例とは異なる方法で前面網3の長さ調整を行う場合について示されている。
前記図3及び図4に示す例では、前面網3が1枚の金網板により形成されていて、該金網板内の異なる位置にある2つの引寄用列線10A,10A内にそれぞれ骨線17を挿通し、これらの骨線17同士を相互に引き寄せて互いに連結することにより長さ調整しているが、図8及び図9に示す例では、前面網3が複数の金網板により形成されていて、隣接する金網板の端部に位置する引寄用列線10A,10A同士を相互に引き寄せて互いに連結することにより長さ調整を行っている。
【0035】
具体的に説明すると、図9には、2つの金網板16A,16Bを互いに重なり合わないように間隔Sをおいて枠線11a,11b,11c,11dに取り付けることにより、後面網4と同じ大きさを有するように形成された長さ調整前の前面網3が示されている。前記2つの金網板16A,16Bの長さの和は、後面網4の長さより前記間隔Sの分だけ小さい。
また、前記2つの金網板16A,16Bの前記間隔Sを挟んで相対する側端部に位置する引寄用列線10A,10Aの内部には、それぞれ骨線17が縦向きに挿入され、該骨線17の上下端にはそれぞれ環17aが形成され、該環17a内を上下の枠線11a,11bが通っている。
【0036】
前記前面網3の長さ調整は、図8に示すように、前記骨線17を介して2つの金網板16A,16Bを前記間隔Sが狭まる方向に引き寄せ、2本の骨線17を適宜の連結金具14で相互に連結することにより行われる。これにより、前記間隔S分だけ前面網3の長さが縮小されることになる。
このとき、図8に鎖線で示すように、上下の枠線11a,11bの少なくとも左右何れか一端を左右の枠線11c,11dの一方に対して固定せずにフリーの状態にしておき、長さ調整を行ったあとそれらを固定するようにすれば、長さ調整を簡単に行うことができる。
【0037】
前記2つの金網板16A,16Bの長さは互いに同じである必要はなく、違っていても良い。
また、金網板の数は3枚以上であっても良く、この場合には、2箇所以上で上述した長さ調整が行われることになる。
前面網3の代わりに後面網4の長さ調整を行う場合には、前記前面網3の場合と同様の方法でその長さ調整を行うことができる。
【0038】
なお、前記各実施形態においては、前面網3又は後面網4の長さ調整を行う場合、引寄用列線10Aに挿通した骨線17を相互に引き寄せて連結金具14で互いに連結するようにしているが、前記骨線17を使用することなく、2つの前記引寄用列線10A,10Aを直接引き寄せて折曲部10a同士を連結金具14で直接連結しても良い。
【0039】
また、長さ調整されない前記左右の側面網5は、列線10の向きが必ずしも図示したように縦向きである必要はなく、横向きであっても構わない。
【符号の説明】
【0040】
1A,1B 角形蛇篭
2 底面網
2a 前辺
2b 後辺
2c 側辺
3 前面網
4 後面網
5 側面網
6 上面網
10 列線
10A 引寄用列線
10B 中間介在列線
10a 折曲部
11a,11b,11c,11d 枠線
12 環
16A,16B 金網板
17 骨線
17a 環
L 長さ
S 間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前辺が後辺より短い平面視形状が台形又は扇紙形の底面網と、該底面網の前辺及び後辺に連結された正面視形状が矩形の前面網及び後面網と、前記底面網の左右の側辺に連結された側面視形状が矩形の左右の側面網と、平面視形状が台形又は扇紙形の上面網とからなる角形蛇篭において、
前記底面網と、前面網及び後面網と、左右の側面網と、上面網とは、偏平な螺旋状に折曲された複数の列線を折曲部で順次連繋してなる菱形金網により形成され、
前記前面網及び後面網のうち一方の面網は、横方向長さが調整された調整網であり、この調整網においては、前記列線が縦向きに配設され、該列線の上下端にはそれぞれ環が形成されていて、該環内を調整網の上辺及び下辺に取り付けられた枠線が貫通し、それによって前記列線が前記枠線に取り付けられると共に該枠線に沿って移動自在であり、また、該調整網の互いに異なる位置にある引寄用列線同士が相互間の間隔が狭まる方向に引き寄せられて互いに連結されることにより、該調整網の長さが他方の面網の長さより短く形成されている、
ことを特徴とする角形蛇篭。
【請求項2】
前記調整網は1枚の金網板により形成され、該金網板の異なる位置にある引寄用列線同士が相互に引き寄せられて互いに連結されていることを特徴とする請求項1に記載の角形蛇篭。
【請求項3】
前記調整網は、複数の金網板を互いに重なり合わないように間隔をおいて配置することにより形成され、隣接する金網板の端部に位置する引寄用列線同士が相互に引き寄せられて互いに連結されていることを特徴とする請求項1に記載の角形蛇篭。
【請求項4】
前記引寄用列線は、該引寄用列線内に縦向きに挿通した骨線を介して相互に引き寄せられ、該骨線同士を連結することにより互いに連結されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の角形蛇篭。
【請求項5】
前記引寄用列線は、互いが直接引き寄せられると共に、折曲部において連結金具で直接連結されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の角形蛇篭。
【請求項6】
前記底面網及び上面網は、互いに異なる位置にある引寄用列線内にそれぞれ骨線を挿入し、これらの骨線を前端側ほど相互間の間隔が次第に狭まるように引き寄せて相互に連結することにより台形又は扇紙形に形成されていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の角形蛇篭。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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