説明

触媒再生方法

【課題】使用済みモレキュラーシーブ触媒上のコーク堆積物は、本質において黒鉛であり、低いH/C比を有することによって特性付けられることができ、標準的な再生条件下の再生の間に除くことがしばしば困難である。
【解決手段】触媒組成物を再生する方法であって、該触媒組成物がモレキュラーシーブおよび0.26〜5の範囲のC/H比を有する少なくとも10重量%のコークを含んでおり、(a)該触媒組成物を、酸素および水を有する第一の酸化性媒体に、該触媒組成物よりも少なくとも50重量%少ないコークを有する第一の再生された触媒組成物を形成するのに十分な第一の条件において接触させる段階、そして次に(b)該第一の再生された触媒組成物の少なくとも一部を、酸素および任意的な水を有する第二の酸化性媒体に、該第一の再生された触媒組成物よりも少なくとも50重量%少ないコークを有する第二の再生された触媒組成物を形成するのに十分な第二の条件において接触させる段階を含み、段階(a)における触媒組成物および段階(b)における第一の再生された触媒組成物が、第二の再生された触媒組成物の1重量当たり1〜50の重量の水の範囲にある水の合計量との接触を済ませた方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示発明は、コーキングした炭化水素転化プロセス触媒を、制御された量の酸素および制御された量の水の存在において2段階で接触させることによる触媒再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モレキュラーシーブ、とりわけゼオライトは多数の商業プロセスで使用されている。たとえば、C9+芳香族をC〜C芳香族とトランスアルキル化してキシレンを製造することによるキシレンの製造は、モルデナイト、ZSM−12、MCM−22族物質およびこれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1を含んでいるゼオライトに基づいた触媒を使用している。典型的には、モレキュラーシーブは様々な失活機構を通して性能、たとえば活性、選択性、および容量を失う。モレキュラーシーブ触媒または吸着剤はオンストリーム時間の増加とともに経時劣化するので、より厳しい条件、たとえばより高い温度および/または低い通油量が、同等の活性および/または選択性を維持するために通常、要求される。最大反応器温度に達すると、モレキュラーシーブ触媒または吸着剤は取替えられまたは再生される必要がある。使用済み触媒は、その有用寿命の最後には有意の量のコークを、しばしば35重量%を超え、時には50重量%さえもの高さのコークを含有することがあり得る。コーク堆積物は、本質において黒鉛であり、低いH/C比を有することによって特性付けられることができ、標準的な再生条件下の再生の間に除くことがしばしば困難である。1の普通の再生手法は、酸化雰囲気、たとえば空気または酸素中でモレキュラーシーブからコークを燃焼除去することである。しかし、モレキュラーシーブへの深刻な損傷を生じさせるモレキュラーシーブ骨格へのスチーム損傷、たとえばゼオライトのスチーム脱アルミニウム化を防ぐために、酸化的か焼方法は通常、乾燥空気を用いて制御される必要がある。他のより低度に普通の再生手法は、還元雰囲気、たとえば水素中で使用済み触媒を再生することである。しかし、触媒が適切に再生されないと、第二のサイクルの間の経時劣化速度が非常に高くて、第一のサイクルの長さの10%未満という短さの第二のサイクル長をもたらすことがある。
【0003】
他の再生手法は、スチームまたは他の溶液を加熱またはか焼と組み組み合わせて使用することを含む。たとえば、特許文献1は、ゼオライトLからコークおよび他の汚染物質を除くためにスチームを使用することを開示している。特許文献2は、使用済み触媒を水酸化アンモニウム溶液で処理し、引き続いて500°F〜950°Fでか焼することによって、第VIII族金属を含有する水素化分解触媒が再生されることを開示している。該工程が第VIII族金属を再分配し一価および二価金属カチオンを除くことが述べられている。
【0004】
特許文献3は、水酸化処理触媒から炭素質堆積物を除くための2段階加熱方法を開示している。特許文献4は、使用済み触媒をアルカリもしくはアルカリ土類金属カチオン源またはアンモニアで処理し、そして次に抽出性窒素化合物を液状有機溶媒で抽出することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,093,293号明細書
【特許文献2】米国特許第4,139,433号明細書
【特許文献3】米国特許第4,957,399号明細書
【特許文献4】米国特許第4,550,009号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
使用済みモレキュラーシーブ触媒上のコーク堆積物は、本質において黒鉛であり、低いH/C比を有することによって特性付けられることができ、標準的な再生条件下の再生の間に除くことがしばしば困難である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは驚いたことに、再生の間の水の制御された添加が、段階的な制御された温度の燃焼と組み合わされて、モレキュラーシーブ構造のスチーム損傷を最小限に抑えて、激しくコーキングされた触媒を成功裡に再生することができることを発見した。
【発明の効果】
【0008】
実際、再生された触媒の経時劣化速度は、再生の間の水曝露量の増加とともに減少する。水添加の恩恵は意外であり、かつ水熱失活が水の添加量とともに増加する他のゼオライト触媒系の再生の間の水添加の効果と正反対である。加えて、本発明者らはコーク除去速度が水の分圧の増加とともに増加し、それによって所要の再生時間が短くなることを発見した。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ある実施態様では、本開示発明は触媒組成物を再生する方法であって、該触媒組成物がモレキュラーシーブおよび0.26〜5の範囲のC/H比を有する少なくとも10重量%のコークを含んでおり、
a. 該触媒組成物を、酸素および水を有する第一の酸化性媒体に、該触媒組成物よりも少なくとも50重量%少ないコークを有する第一の再生された触媒組成物を形成するのに十分な第一の条件において接触させる段階、そして次に
b. 該第一の再生された触媒組成物の少なくとも一部を、酸素および任意的な水を有する第二の酸化性媒体に、該第一の再生された触媒組成物よりも少なくとも50重量%少ないコークを有する第二の再生された触媒組成物を形成するのに十分な第二の条件において接触させる段階
を含み、段階(a)における触媒組成物および段階(b)における第一の再生された触媒組成物が、第二の再生された触媒組成物の1重量当たり1〜50の重量の水の範囲、あるいは5〜40の重量の水の範囲にある水の合計量との接触を済ませた方法に関する。
【0010】
本開示発明のある態様では、モレキュラーシーブは、M41S族モレキュラーシーブ、MCM−22族モレキュラーシーブ、ETS−10、ETAS−10、ETGS−10、ならびにABW、AET、AFG、AFI、AFX、ANA、AST、ASV、BCT、BEA、BEC、BIK、BOG、BPH、BRE、CAN、CAS、CDO、CFI、CGS、CHA、−CHI、CON、DAC、DDR、DFT、DOH、DON、EAB、EDI、EMT、EON、EPI、ERI、ESV、ETR、EUO、EZT、FAR、FAU、FER、FRA、GIS、GIU、GME、GON、GOO、HEU、IFR、IHW、IMF、ISV、ITE、ITH、ITW、IWR、IWV、IWW、JBW、KFI、LAU、LEV、LIO、−LIT、LOS、LOV、LTA、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MER、MFI、MFS、MON、MOR、MOZ、MSE、MSO、MTF、MTN、MTT、MTW、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、NSI、OBW、OFF、OSO、OWE、−PAR、PAU、PHI、PON、RHO、−RON、RRO、RSN、RTE、RTH、RUT、RWR、RWY、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SGT、SIV、SOD、SOS、SSY、STF、STI、STT、SZR、TER、THO、TOL、TON、TSC、TUN、UEI、UFI、UOZ、USI、UTL、VET、VNI、VSV、−WENおよびYUGのうちの少なくとも1を含んでいるゼオライト骨格タイプを有するモレキュラーシーブのうちの少なくとも1を含んでいる。
【0011】
他の態様では、コークは0.5〜1.5の範囲のC/H比を有し、かつ段階(a)における触媒組成物および段階(b)における第一の再生された触媒組成物は、第二の再生された触媒組成物の1重量当たり1〜10の重量の水の範囲にある水の合計量との接触を済ませている。
【0012】
さらに他の態様では、コークは1.5〜3.3の範囲のC/H比を有し、かつ段階(a)における触媒組成物および段階(b)における第一の再生された触媒組成物は、第二の再生された触媒組成物の1重量当たり10〜50の重量の水の範囲にある水の合計量との接触を済ませている。
【0013】
好まれる実施態様では、触媒組成物は20〜50重量%のコークを含んでおり、かつ触媒組成物は、コークを除いた触媒組成物の合計重量基準で少なくとも50重量%の、MTWのゼオライト構造タイプを有するモレキュラーシーブを含んでいる。
【0014】
他の好まれる実施態様では、触媒組成物は、コークを除いた触媒組成物の合計重量基準で0.01〜10重量%の、6〜10族の金属元素のうちの少なくとも1、好ましくはPt、Pd、IrおよびReのうちの少なくとも1を含んでいる。
【0015】
ある実施態様では、第一の条件は250〜425℃の範囲の温度、100〜2070kPa(絶対圧)の範囲の圧力、0.1〜10Nm/時/触媒組成物kgの範囲のガス流量および7〜207kPa(絶対圧)の範囲の水分圧を含む。好ましくは、第一の条件は触媒組成物上のコークの量を少なくとも80重量%低減するのに十分な再生時間をさらに含む。
【0016】
他の実施態様では、第二の条件は350〜500℃の範囲の温度、100〜2070kPa(絶対圧)の範囲の圧力、0.1〜10Nm/時/触媒組成物kgの範囲のガス流量および3〜35kPa(絶対圧)の範囲の水分圧を含む。好ましくは、第二の条件は第一の再生された触媒組成物上のコークの量を少なくとも80重量%低減するのに十分な再生時間をさらに含む。
【0017】
他の実施態様では、第二の再生された触媒組成物は、対応する未使用の触媒組成物の70%〜120%の範囲のトランスアルキル化活性を有し、ここで該トランスアルキル化活性は、CおよびC芳香族炭化水素とのトランスアルキル化条件下におけるCおよびC10芳香族炭化水素の転化率を測定することによって測定され、該トランスアルキル化条件は375〜500℃の範囲の温度、1500kPa(絶対圧)〜3500kPa(絶対圧)の範囲の圧力、2〜20の範囲のWHSVおよび1〜10の範囲のH:HC比を含む。
【0018】
他の実施態様では、第二の再生された触媒組成物は、対応する未使用の触媒組成物の60%〜110%の範囲のトランスアルキル化経時劣化速度を有し、ここで該トランスアルキル化経時劣化速度は、CおよびC芳香族炭化水素とのトランスアルキル化条件下におけるCおよびC10芳香族炭化水素の一定の転化率を維持するのに要求される温度の変化速度を測定することによって測定され、該トランスアルキル化条件は375〜475℃の範囲の温度、2000kPa(絶対圧)〜3000kPa(絶対圧)の範囲の圧力、2〜10の範囲のWHSVおよび1〜8の範囲のH:HC比を含む。
【0019】
1の実施態様では、本開示発明は、本開示発明の再生方法によってつくられた触媒組成物に関する。
【0020】
本明細書で使用される「骨格タイプ」の語は、「ゼオライト骨格タイプの図譜(Atlas of Zeolite Framework Types)」、2001年に記載された意味で使用される。
【0021】
本明細書で使用される周期表の族の付番方式は、Chemical and Engineering News、1985年、第63巻(第5号)、27ページにおけるように用いられる。
【0022】
本明細書で使用される「重量ppm」の語は、百万分の重量部と定義される。
【0023】
本明細書で使用される「芳香族」の語は、アルキル置換および非置換の単核および多核化合物を含んでいる、当該技術分野において認識されている範囲に従って理解されなければならない。本明細書で使用される「1の非芳香族」または「複数の非芳香族」の語は、芳香族環を含んでいない1または複数の炭化水素を意味する。
【0024】
M41S族のメソポーラスモレキュラーシーブはJ.Amer.Chem.Soc.、1992年、第114巻、10834ページに記載されている。M41S族メソポーラスモレキュラーシーブの構成員はMCM−41、MCM−48およびMCM−50を含む。この部類の1の構成員はMCM−41であり、この調製方法は米国特許第5,098,684号に記載されている。MCM−41は、13オングストロームより大きい胞直径を有する一次元配列の空孔を持つ六方構造を有することによって特性付けられる。MCM−41の物理的構造はストロ−の束に似ており、ストロ−の開口部(空孔の胞直径)は13〜200オングストロームの範囲にある。MCM−48は立方体対称を有し、たとえば米国特許第5,198,203号に記載されている。MCM−50は層状またはラメラ構造を有し、米国特許第5,246,689号に記載されている。
【0025】
本明細書で使用される「MCM−22族物質」(または「MCM−22族の物質」または「MCM−22族のモレキュラーシーブ」)の語は、以下のうちの1以上を包含する。すなわち、
(i) 共通の一次結晶構成ブロックの単位胞からつくられたモレキュラーシーブであって、該単位胞がMWW骨格トポロジーを有するもの(単位胞とは原子の空間配置であり、三次元空間に配列されると結晶構造を記述する。かかる結晶構造は「ゼオライト骨格タイプの図譜」、第5版、2001年において検討されている。)。
(ii) 共通の二次構成ブロックからつくられたモレキュラーシーブであって、かかるMWW骨格トポロジー単位胞の二次元配列であり、1の単位胞厚さ、好ましくは1のc軸方向単位胞厚さの単層を形成するもの。
(iii) 共通の二次構成ブロックからつくられたモレキュラーシーブであって、1または2以上の単位胞の厚さの層であり、該2以上の単位胞厚さの層が、該1の単位胞厚さの少なくとも2の単層の積層、充填、または結合によってつくられているもの。かかる二次構成ブロックの積層は、規則的な様式、不規則的な様式、ランダムな様式またはこれらの任意の組み合わせであることができる。および
(iv) MWW骨格トポロジーを有する単位胞のいずれかの規則的なもしくはランダムな二次元または三次元の組み合わせによってつくられたモレキュラーシーブ。
【0026】
MCM−22族物質は、12.4±0.25、3.57±0.07および3.42±0.07オングストロームにおける面間隔(d−スペーシング)の極大値を含むX線回折パターンを有することによって特性付けられる(焼成されたものか、あるいは合成されたままのもの)。MCM−22族物質は、また12.4±0.25、6.9±0.15、3.57±0.07および3.42±0.07オングストロームにおける面間隔の極大値を含むX線回折パターンを有することによっても特性付けられる(焼成されたものか、あるいは合成されたままのもの)。モレキュラーシーブを特性付けるために使用されるX線回折データは、入射線として銅のK−アルファ二重項および計数管を備えた回折計ならびに集計システムとして付設されたコンピュータを用いる標準的手法によって得られる。MCM−22族に属する物質は、(米国特許第4,954,325号および米国特許出願公開第11/823,722号に記載された)MCM−22、(米国特許第4,439,409号に記載された)PSH−3、(米国特許第4,826,667号に記載された)SSZ−25、(欧州特許第0293032号に記載された)ERB−1、(米国特許第6,077,498号に記載された)ITQ−1、(国際公開第97/17290号に記載された)ITQ−2、(国際公開第2005118476号に記載された)ITQ−30、(米国特許第5,250,277号に記載された)MCM−36、(米国特許第5,236,575号に記載された)MCM−49、(米国特許第6,756,030号に記載された)UZM−8、(米国特許第5,362,697号に記載された)MCM−56、(米国特許出願公開第11/823,129号に記載された)EMM−10−P、ならびに(米国特許出願公開第11/824,742号および第11/827,953号に記載された)EMM−10を含む。
【0027】
上記のMCM−22族モレキュラーシーブは、該MCM−22物質が該モレキュラーシーブの10員環の内部空孔系と連通していない12員環の表面の孔を有する点において、従来の大孔径ゼオライトアルキル化触媒、たとえばモルデナイトと区別されることが理解されなければならない。
【0028】
MWWトポロジーを有するものとしてIZA−SCと表記されるゼオライト物質は、10および12員環の双方の存在から生じる二つの空孔系を有する多層物質である。「ゼオライト骨格タイプの図譜」は、五つの別々に命名された物質、すなわちMCM−22、ERB−1、ITQ−1、PSH−3およびSSZ−25をこの同じトポロジーを有するものとして分類している
【0029】
MCM−22族モレキュラーシーブは、多様な炭化水素転化プロセスに有用であることが発見された。MCM−22族モレキュラーシーブの例はMCM−22、MCM−49、MCM−56、ITQ−1、PSH−3、SSZ−25およびERB−1である。かかるモレキュラーシーブは芳香族化合物のアルキル化に有用である。たとえば、米国特許第6,936,744号はモノアルキル化芳香族化合物、とりわけキュメンを製造する方法であって、少なくとも部分的な液相条件下におよびトランスアルキル化触媒の存在下にポリアルキル化芳香族化合物とアルキル化可能芳香族化合物とを接触させて、モノアルキル化芳香族化合物を製造する段階を含む方法を開示しており、その場合に該トランスアルキル化触媒は少なくとも2の異なった結晶性モレキュラーシーブの混合物を含んでおり、当該モレキュラーシーブのそれぞれは、ゼオライトベータ、ゼオライトY、モルデナイトならびに12.4±0.25、6.9±0.15、3.57±0.07および3.42±0.07オングストローム(Å)における面間隔の極大値を含むX線回折パターンを有する物質から選択される。
【0030】
MCM−22、MCM−49およびMCM−56を含むMCM−22族モレキュラーシーブは、炭化水素転化プロセスにおいて様々な用途を有する。残念なことに、ゼオライト触媒の工業的利用は、これらの触媒の大規模製造を複雑化し従って高コストにする現行の合成技術に付随したいくつかの大きな不利点の故に妨げられてきた。現在、結晶性ゼオライト触媒は、主に伝統的な液相水熱処理、たとえば現場(in−situ)結晶化およびシーディング法ならびに液相輸送法によって合成されている。
【0031】
本明細書で使用される「C」炭化水素の語は、nが正の整数、たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12であり、1分子当たりnの数の炭素原子を有する炭化水素を意味する。たとえば、C芳香族とは1分子当たりnの数の炭素原子を有する芳香族炭化水素を意味する。本明細書で使用される「Cn+」炭化水素の語は、nが正の整数、たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12であり、1分子当たり少なくともnの数の炭素原子を有する炭化水素を意味する。本明細書で使用される「Cn−」炭化水素の語は、nが正の整数、たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12であり、1分子当たりn以下の数の炭素原子を有する炭化水素を意味する。
【0032】
本明細書で使用される「C供給原料」の語は、nが正の整数、たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12であり、該C供給原料が1分子当たりnの数の炭素原子を有する炭化水素50重量%超を含んでいることを意味する。本明細書で使用される「Cn+供給原料」の語は、nが正の整数、たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12であり、該Cn+供給原料が1分子当たり少なくともnの数の炭素原子を有する炭化水素50重量%超を含んでいることを意味する。本明細書で使用される「Cn−供給原料」の語は、nが正の整数、たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12であり、該Cn−供給原料が1分子当たりn以下の数の炭素原子を有する炭化水素50重量%超を含んでいることを意味する。本明細書で使用される「C芳香族供給原料」の語は、nが正の整数、たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12であり、該C芳香族供給原料が1分子当たりnの数の炭素原子を有する芳香族炭化水素50重量%超を含んでいることを意味する。本明細書で使用される「Cn+芳香族供給原料」の語は、nが正の整数、たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12であり、該Cn+芳香族供給原料が1分子当たり少なくともnの数の炭素原子を有する芳香族炭化水素50重量%超を含んでいることを意味する。本明細書で使用される「Cn−芳香族供給原料」の語は、nが正の整数、たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12であり、該Cn−芳香族供給原料が1分子当たりn以下の数の炭素原子を有する芳香族炭化水素50重量%超を含んでいることを意味する。
【0033】
本開示発明のある実施態様では、本開示発明の再生方法はモレキュラーシーブを有する触媒組成物を再生するのに有用であり、該モレキュラーシーブは、M41S族モレキュラーシーブ、MCM−22族モレキュラーシーブ、ETS−10、ETAS−10、ETGS−10、ならびにABW、AET、AFG、AFI、AFX、ANA、AST、ASV、BCT、BEA、BEC、BIK、BOG、BPH、BRE、CAN、CAS、CDO、CFI、CGS、CHA、−CHI、CON、DAC、DDR、DFT、DOH、DON、EAB、EDI、EMT、EON、EPI、ERI、ESV、ETR、EUO、EZT、FAR、FAU、FER、FRA、GIS、GIU、GME、GON、GOO、HEU、IFR、IHW、IMF、ISV、ITE、ITH、ITW、IWR、IWV、IWW、JBW、KFI、LAU、LEV、LIO、−LIT、LOS、LOV、LTA、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MER、MFI、MFS、MON、MOR、MOZ、MSE、MSO、MTF、MTN、MTT、MTW、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、NSI、OBW、OFF、OSO、OWE、−PAR、PAU、PHI、PON、RHO、−RON、RRO、RSN、RTE、RTH、RUT、RWR、RWY、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SGT、SIV、SOD、SOS、SSY、STF、STI、STT、SZR、TER、THO、TOL、TON、TSC、TUN、UEI、UFI、UOZ、USI、UTL、VET、VNI、VSV、−WENおよびYUGのうちの少なくとも1を含んでいるゼオライト骨格タイプを有するモレキュラーシーブのうちの少なくとも1を含んでいる。好まれる実施態様では、本開示発明に有用なモレキュラーシーブは、モルデナイト、ZSM−12、MCM−22族物質、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−22、ZSM−23、ゼオライトベータおよびゼオライトYのうちの少なくとも1を含んでいる。本開示発明の組成物はさらにバインダーを含んでいてもよい。本開示発明のさらなる実施態様では、本開示発明の組成物は、元素の周期表の1〜17族、好ましくは3〜12族、より好ましくは6〜10族から選択された少なくとも1の金属を含んでいることもできる。
【0034】
触媒組成物を調製するのに使用されるバインダーはクレイ、シリカ、アルミナおよびこれらの混合物を包含する。クレイの具体的な例はアタパルジャイト、ベントナイト、セピオライト、ハロイサイトおよびカオリナイトを含む。ゼオライトとバインダーとは様々な割合で一緒にされることができるが、普通、触媒組成物の10〜90重量%のバインダーが存在する。
【0035】
触媒組成物は、従来技術で周知の手段によって様々な形へと形成されることができる。一般に、モレキュラーシーブとバインダーとは、水とともにおよび押出助剤、分散助剤、空孔率調整剤、素練り促進剤等から選択された1以上の任意的な添加剤とともに一緒にされる。これらの添加剤の例はカルボキシメチルセルロース(押出助剤)、ポリアクリル酸のナトリウム塩(分散助剤)、ポリエチレン(空孔率調整剤)、硝酸(素練り促進剤)である。モレキュラーシーブ、水および任意的な添加剤は、混練、捏和等によって均一に混合される。均一な混合物が得られた後、これは従来技術で周知の手段によって押出成型物、ペレット、錠剤、ビーズ等のような形へと形成される。これらの成形された触媒組成物は、目的とする用途に必要な物理的および化学的性質を有することになる。たとえば、破砕強度、耐摩耗性、表面積、吸着容量等。
【0036】
これらの触媒組成物は、様々な炭化水素転化プロセス、たとえばトルエン不均化、トランスアルキル化、アルキル化、接触分解および/または重合のプロセスに使用される。炭化水素転化プロセスの間に、触媒組成物はコーク堆積によって失活されることがある。
【0037】
使用済み触媒組成物は、本開示発明の方法に従って再生され、その場合に該触媒組成物はモレキュラーシーブおよび0.26〜5の範囲のC/H比を有する少なくとも10重量%のコークを含んでおり、該方法は、
a. 該触媒組成物を、酸素および水を有する第一の酸化性媒体に、該触媒組成物よりも少なくとも50重量%少ないコークを有する第一の再生された触媒組成物を形成するのに十分な第一の条件において接触させる段階、そして次に
b. 該第一の再生された触媒組成物の少なくとも一部を、酸素および任意的な水を有する第二の酸化性媒体に、該第一の再生された触媒組成物よりも少なくとも50重量%少ないコークを有する第二の再生された触媒組成物を形成するのに十分な第二の条件において接触させる段階
を含み、そこで段階(a)における触媒組成物および段階(b)における第一の再生された触媒組成物が、第二の再生された触媒組成物の1重量当たり1〜50の重量の水の範囲にある水の合計量との接触を済ませている。
【0038】
本開示発明のある態様では、モレキュラーシーブは、M41S族モレキュラーシーブ、MCM−22族モレキュラーシーブ、ETS−10、ETAS−10、ETGS−10、ならびにABW、AET、AFG、AFI、AFX、ANA、AST、ASV、BCT、BEA、BEC、BIK、BOG、BPH、BRE、CAN、CAS、CDO、CFI、CGS、CHA、−CHI、CON、DAC、DDR、DFT、DOH、DON、EAB、EDI、EMT、EON、EPI、ERI、ESV、ETR、EUO、EZT、FAR、FAU、FER、FRA、GIS、GIU、GME、GON、GOO、HEU、IFR、IHW、IMF、ISV、ITE、ITH、ITW、IWR、IWV、IWW、JBW、KFI、LAU、LEV、LIO、−LIT、LOS、LOV、LTA、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MER、MFI、MFS、MON、MOR、MOZ、MSE、MSO、MTF、MTN、MTT、MTW、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、NSI、OBW、OFF、OSO、OWE、−PAR、PAU、PHI、PON、RHO、−RON、RRO、RSN、RTE、RTH、RUT、RWR、RWY、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SGT、SIV、SOD、SOS、SSY、STF、STI、STT、SZR、TER、THO、TOL、TON、TSC、TUN、UEI、UFI、UOZ、USI、UTL、VET、VNI、VSV、−WENおよびYUGのうちの少なくとも1を含んでいるゼオライト骨格タイプを有するモレキュラーシーブのうちの少なくとも1を含んでいる。
【0039】
再生された触媒組成物は、広範なプロセス、たとえば分離プロセスおよび炭化水素転化プロセスにおける触媒組成物として有用である。本開示発明の1もしくは複数の結晶性モレキュラーシーブ単独または1以上の他の触媒活性な物質、たとえば他の結晶性モレキュラーシーブとの組み合わせによって有効に触媒される炭化水素転化プロセスの具体的な例は、以下の(i)〜(xix)を含む。
(i) 340℃〜500℃の温度、101〜20200kPa(絶対圧)の圧力、2時間−1〜2000時間−1の重量毎時空間速度および1/1〜20/1の炭化水素/オレフィンモル比を、個別にまたは任意の組み合わせで含む反応条件を用いて、芳香族炭化水素、たとえばベンゼンを長鎖オレフィン、たとえばC14オレフィンによってアルキル化して、長鎖アルキル芳香族をもたらし、これはその後スルホン化されて合成洗剤をもたらすことができること。
(ii) 10℃〜125℃の温度、101〜3030kPa(絶対圧)の圧力および5時間−1〜50時間−1の芳香族炭化水素重量毎時空間速度(WHSV)を、個別にまたは任意の組み合わせで含む反応条件を用いて、芳香族炭化水素をガス状オレフィンによってアルキル化して、短鎖アルキル芳香族化合物をもたらすこと、たとえばベンゼンをプロピレンによってアルキル化して、キュメンをもたらすこと。
(iii) 315℃〜455℃の温度、3000〜6000kPa(絶対圧)の圧力、0.4時間−1〜0.8時間−1のWHSV−オレフィン、1時間−1〜2時間−1のWHSV−改質ガソリンおよび体積比1.5〜2.5毎燃料ガス供給原料のガス循環量を、個別にまたは任意の組み合わせで含む反応条件を用いて、実質的な量のベンゼンおよびトルエンを含有する改質ガソリンを、Cオレフィンを含有する燃料ガスによってアルキル化して、とりわけモノおよびジアルキル化物をもたらすこと。
(iv) 160℃〜260℃の温度および2600〜3500kPa(絶対圧)の圧力を、個別にまたは任意の組み合わせで含む反応条件を用いて、芳香族炭化水素、たとえばベンゼン、トルエン、キシレンおよびナフタレンを、長鎖オレフィン、たとえばC14オレフィンによってアルキル化して、アルキル化芳香族潤滑油基油をもたらすこと。
(v) 200℃〜250℃の温度、1500〜2300kPa(絶対圧)の圧力および2時間−1〜10時間−1の合計WHSVを、個別にまたは任意の組み合わせで含む反応条件を用いて、フェノールをオレフィンまたは対応するアルコールによってアルキル化して、長鎖アルキルフェノールをもたらすこと。
(vi) 425℃〜760℃の温度および170〜15000kPa(絶対圧)の圧力を、個別にまたは任意の組み合わせで含む反応条件を用いて、軽質パラフィンをオレフィンおよび芳香族に転化すること。
(vii) 175℃〜375℃の温度および800〜15000kPa(絶対圧)の圧力を、個別にまたは任意の組み合わせで含む反応条件を用いて、軽質オレフィンをガソリン、蒸留物(distillate)および潤滑油の領域の炭化水素に転化すること。
(viii) 260℃超の初留点を有する炭化水素流をプレミアム蒸留物・ガソリン沸点領域の生成物に品質改善するための2段階水素化分解であって、第一段階において触媒組成物として本開示発明のMCM−22族モレキュラーシーブを第8〜10族金属と組み合わせて使用し、それからの流出物が第二段階において触媒組成物としてゼオライトベータを同様に第8〜10族金属と組み合わせて使用する反応であり、反応条件が、340℃〜455℃の温度、3000〜18000kPa(絶対圧)の圧力、176〜1760リットル/リットルの水素循環量および0.1〜10時間−1の液体毎時空間速度(LHSV)を、個別にまたは任意の組み合わせで含む2段階水素化分解。
(ix) 350℃〜400℃の温度、10000〜11000kPa(絶対圧)の圧力、0.4〜0.6のLHSVおよび528〜880リットル/リットルの水素循環量を、個別にまたは任意の組み合わせで含む反応条件を用いる、触媒組成物としての本開示発明のMCM−22族モレキュラーシーブおよび水素化成分、またはかかる触媒組成物とゼオライトベータとの混合物の存在下における水素化分解/脱ロウ組み合わせプロセス。
(x) 20℃〜200℃の温度、200〜20000kPa(絶対圧)の圧力、0.1時間−1〜200時間−1のWHSV(オレフィングラム毎時毎ゼオライトグラム)および0.1/1〜5/1のアルコールとオレフィンとのモル供給原料比を、個別にまたは任意の組み合わせで含む転化条件を用いて、アルコールをオレフィンと反応させて混合エーテルをもたらすこと、たとえばメタノールをイソブテンおよび/またはイソペンテンと反応させてメチル−t−ブチルエーテル(MTBE)および/またはt−アミルメチルエーテル(TAM)をもたらすこと。
(xi) 315℃〜595℃の温度、101〜7200kPa(絶対圧)の圧力、0(水素添加なし)〜10の水素/炭化水素モル比および0.1時間−1〜30時間−1のWHSVを、個別にまたは任意の組み合わせで含む反応条件を用いる、共供給原料であるC9+芳香族とのトルエンの不均化。
(xii) イソブチルベンゼンをプロピレンオキシドと反応させて、中間体2−(4−イソブチルフェニル)プロパノールを用意し、引き続いて該アルコールを酸化して対応するカルボン酸にすることによって、薬剤活性な化合物2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸、すなわちイブプロフェンを調製すること。
(xiii)独国特許第3,625,693号におけるように、実際上塩を含まない反応性染料含有溶液を調製する染料の調製において、アミンと繊維反応性ヘテロ環成分との反応に酸結合剤として使用する方法。
(xiv) 米国特許第4,721,807号におけるように、2,6−トルエンジイソシアネート(2,6−TDI)を該TDIの異性体から分離するための吸着剤としての使用方法であって、2,6−TDIと2,4−TDIとを含んでいる供給原料混合物が、Kイオンで予めカチオン交換された本開示発明のMCM−22族モレキュラーシーブに接触されて2,6−TDIが吸着され、引き続いてトルエンを含んでいる脱着物質を用いた脱着によって2,6−TDIが回収される使用方法。
(xv) 米国特許第4,721,806号におけるように、2,4−TDIをその異性体から分離するための吸着剤としての使用方法であって、2,4−TDIと2,6−TDIとを含んでいる供給原料混合物が、Na、Ca、Liおよび/またはMgイオンで予めカチオン交換された本開示発明のMCM−22族モレキュラーシーブに接触されて2,4−TDIが吸着され、引き続いてトルエンを含んでいる脱着物質を用いた脱着によって2,4−TDIが回収される使用方法。
(xvi) メタノールからガソリンへの接触転化から得られた90〜200℃の塔底留分のデュレン含有量を減少するプロセスにおける使用方法であって、230℃〜425℃の温度および457〜22000kPa(絶対圧)の圧力を、個別にまたは任意の組み合わせで含む反応条件において、水素化金属を有する本開示発明のMCM−22族モレキュラーシーブの触媒組成物上でデュレン含有塔底留分を水素と接触させる使用方法。
(xvii) ベンゼンをアルキル化し、引き続いてアルキルベンゼンヒドロペルオキシドを形成し、そして該アルキルベンゼンヒドロペルオキシドを開裂してフェノールおよびケトンへ、たとえばベンゼンおよびプロピレンからフェノールおよびアセトンへ、ベンゼンおよびCオレフィンからフェノールおよびメチルエチルケトンへすることによって進められるフェノールおよびケトンを同時製造するプロセスにおける使用方法、たとえば国際出願番号PCT/EP2005/008557に記載されたものであって、該プロセスは引き続いて国際出願番号PCT/EP2005/008554に記載されたようにフェノールおよびアセトンからビスフェノールAへ、たとえば国際出願番号PCT/EP2005/008551に記載されたようにベンゼンからフェノールおよびシクロヘキサノンへ、またはベンゼンおよびエチレンからフェノールおよびメチルエチルケトンへの転化を行うことができる使用方法。
(xviii) モノアルキルベンゼンへの選択性が要求されるベンゼンのアルキル化反応、たとえば国際出願番号PCT/EP2005/008557に記載されたように直鎖ブテンに富むCオレフィンとベンゼンとの供給原料から選択的にsec−ブチルベンゼンを得るプロセスにおける使用方法、好ましくは60℃〜260℃、たとえば100℃〜200℃の温度、7000kPa(絶対圧)以下の圧力および0.1〜50時間−1のCアルキル化剤基準の供給原料重量毎時空間速度(WHSV)ならびに1〜50のベンゼンとCアルキル化剤とのモル比において、本発明の触媒組成物を用いてベンゼンおよび該Cオレフィン供給原料を同時供給することによってこの転化が実施される使用方法。および
(xix) トランスアルキル化のためのプロセスにおける使用方法、たとえばトランスアルキル化反応条件下にC9+芳香族炭化水素およびトルエンを含んでいる供給原料を、0.5〜3の範囲の拘束指数を有するゼオライト、たとえばZSM−12を含んでいる第一の触媒組成物および水素化成分に接触させ、そして該第一の接触段階から得られた流出物が次に3〜12の範囲の拘束指数を有するゼオライト、たとえばZSM−5を含んでおりかつ該第一の触媒組成物とは別の床または別の反応器中にあることができる第二の触媒組成物と接触されて、ベンゼンおよびキシレンを含んでいるトランスアルキル化反応生成物が製造される使用方法。
【0040】
トランスアルキル化プロセスは、装置への新規供給原料としてC〜CおよびC9+芳香族を使用してC芳香族を製造する。トランスアルキル化プロセス用のC〜C供給原料は95重量%までの非芳香族を含有していてもよく、該非芳香族は直鎖パラフィンからナフテンまで種類は様々であることができる。C〜C流は、一般にトランスアルキル化装置で使用される前に抽出装置で処理されて、非芳香族が除かれる。ある場合には、抽出されないC〜Cの一部が直接トランスアルキル化装置に送られるように、抽出装置はバイパスされることができる。抽出されないC〜C供給原料は10〜67重量%のC非芳香族および/または6〜38重量%のC非芳香族を含有することができる。非芳香族の一部はトランスアルキル化装置中でより軽質のオレフィンへの分解のような反応によって除かれ、そしてその後飽和されまたは他の化学種によってアルキル化されてより重質の分子を形成し、または下流の回収部門にパージされることができる。転化の程度は化学種の種類に依存する。直鎖パラフィンはナフテンよりも容易に反応しやすい。C〜C供給原料中の未反応非芳香族は消滅するまでリサイクルされることになる。したがって、反応器への合計液体供給原料中の非芳香族の量のいくらかの蓄積が予想され、かかる量は新規C〜C供給原料中の非芳香族の種類に依存する。
【実施例1】
【0041】
(比較例)
50重量%のC/H=3.3のコーク、65重量%のZSM−12および35重量%のアルミナバインダーを有する使用済み触媒組成物。該使用済み触媒組成物が、恒温炉中に置かれた固定床反応器中に充填された。主燃焼の間に用いられた再生条件は以下のとおりであった。
平均反応器温度 396℃
反応器圧力 448kPa(絶対圧)
ガス流量 0.6Nm/時/触媒kg
入口O濃度 0.84%
入口ガスHO分圧 0.0kPa(絶対圧)
持続時間 18日間
合計水曝露量 0.0水重量/触媒重量
【0042】
反応器の出口における酸素濃度が、酸素分析計を用いて監視された。酸素の転化率が10重量%未満に落ちた時に、浄化(clean−up)燃焼が使用されて、触媒組成物上に残留している在り得る残留コークが除かれた。浄化燃焼の条件は以下のとおりであった。
平均反応器温度 430℃
反応器圧力 448kPa(絶対圧)
ガス流量 0.6Nm/時/触媒kg
入口O濃度 7.0%
入口ガスHO分圧 0.0kPa(絶対圧)
持続時間 6時間
【0043】
触媒組成物の再生に引き続いて、重質芳香族のトランスアルキル化についての触媒活性が固定床超小型装置で試験された。反応器圧力は2529kPa(絶対圧)、およびH:HC比は2:1であった。反応器への供給原料は、85重量%の重質芳香族および15重量%のベンゼン+トルエンを含有していた。供給原料の詳細な分析は表1に示されている。供給原料の導入前に、触媒組成物は最初に水素中427℃において還元され、それから白金1モル当たり7モル等量のHSで硫化された。反応器温度は、約57.5±0.5重量%のC+C10合計転化率を維持するように設定された。合計供給原料流量は、供給原料グラム毎触媒組成物グラム毎時(WHSV)で表されて3時間−1であった。生成物はオンラインGC−FIDを用いて分析された。経時劣化速度は、一定のC+C10転化率を維持するのに要求される温度の増加速度で表されて、乾燥条件下に再生された触媒組成物について73℃/月であった。
【表1】

【実施例2】
【0044】
50重量%のC/H=3.3のコーク、65重量%のZSM−12および35重量%のアルミナバインダーを有する使用済み触媒組成物。該使用済み触媒組成物が、恒温炉中に置かれた固定床反応器中に充填された。主燃焼の間に用いられた再生条件は以下のとおりであった。
平均反応器温度 385〜396℃
反応器圧力 448kPa(絶対圧)
ガス流量 0.6Nm/時/触媒kg
入口O濃度 0.84%
入口ガスHO分圧 6.24kPa(絶対圧)
持続時間 15日間
合計水曝露量 2.0HO重量/触媒重量
【0045】
反応器の出口における酸素濃度が、酸素分析計を用いて監視された。酸素の転化率が10重量%未満に落ちた時に、浄化燃焼が使用されて、触媒組成物上に残留している在り得る残留コークが除かれた。浄化燃焼の条件は以下のとおりであった。
平均反応器温度 430℃
反応器圧力 448kPa(絶対圧)
ガス流量 0.6Nm/時/触媒kg
入口O濃度 7.0重量%
入口ガスHO分圧 0.0kPa(絶対圧)
持続時間 6時間
【0046】
触媒組成物の再生に引き続いて、重質芳香族のトランスアルキル化についての触媒活性が、実施例1に記載されたのと同じ試験手順を用いて固定床超小型装置で試験された。経時劣化速度は、一定のC+C10転化率を維持するのに要求される温度の増加速度で表されて、主燃焼の間6.24kPa(絶対圧)のHO分圧の条件下に再生された触媒組成物について31℃/月であった。この実施例によって示されるように、主燃焼の間の少量の水の存在は、経時劣化速度を2分の1に低減した。さらに、水の存在は、主燃焼に要求される燃焼時間を約3日間低減した。
【実施例3】
【0047】
50重量%のC/H=3.3のコーク、65重量%のZSM−12および35重量%のアルミナバインダーを有する使用済み触媒組成物。該使用済み触媒組成物が、恒温炉中に置かれた固定床反応器中に充填された。主燃焼の間に用いられた再生条件は以下のとおりであった。
平均反応器温度 385〜396℃
反応器圧力 448kPa(絶対圧)
ガス流量 0.6Nm/時/触媒kg
入口O濃度 0.80%
入口ガスHO分圧 34.7kPa(絶対圧)
持続時間 14日間
合計水曝露量 12.6HO重量/触媒重量
【0048】
反応器の出口における酸素濃度が、酸素分析計を用いて監視された。酸素の転化率が10重量%未満に落ちた時に、浄化燃焼が使用されて、触媒組成物上に残留している在り得る残留コークが除かれた。浄化燃焼の条件は以下のとおりであった。
平均反応器温度 430℃
反応器圧力 448kPa(絶対圧)
ガス流量 0.6Nm/時/触媒kg
入口O濃度 7.0重量%
入口ガスHO分圧 3.47kPa(絶対圧)
持続時間 6時間
合計水曝露量 0.2HO重量/触媒重量
【0049】
触媒組成物の再生に引き続いて、重質芳香族のトランスアルキル化についての触媒活性が、実施例1に記載されたのと同じ試験手順を用いて固定床超小型装置で試験された。経時劣化速度は、一定のC+C10転化率を維持するのに要求される温度の増加速度で表されて、34.7kPa(絶対圧)のHO分圧の条件下に再生された触媒組成物について12℃/月であった。この実施例によって示されるように、34.7kPa(絶対圧)の水分圧は、経時劣化速度を約6分の1に低減した。加えて、主燃焼の持続時間はさらに1日間短かった。
【0050】
実施例2および実施例3によって例示されたように、水の存在はコークの除去速度を増加し、それによって再生速度を短縮する。加えて、触媒組成物の性能が改良され、第二のサイクルの経時劣化速度は再生の間の水曝露量の増加とともに減少する。さらなる利益として、再生の間に水を使用すると、通常操業の間に触媒組成物上に蓄積しやすい一部の汚染物質、たとえば塩化物の、触媒組成物からの除去が促進される。
【0051】
本明細書に引用された、すべての特許、特許出願、試験方法、優先権書類、論文、刊行物、取扱説明書、および他の文献は、参照によってすべて取り込まれ、かかる取込みが許されるすべての管轄領域について有効である。
【0052】
数値の下限および数値の上限が本明細書に記載されているときは、いかなる下限からもいかなる上限までもの範囲が意図されている。
【0053】
本発明の例示的実施態様は特定的に記載されてきたけれども、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な他の変形が当業者には明白であり、かつ当業者によって容易になされることができることは理解されるだろう。したがって、本明細書に添付された特許請求の範囲は、本明細書に記載された実施例および説明に限定されるべきではなくて、該特許請求の範囲は、本発明中に存在する特許を受けることができる新規なすべての特徴を、本発明がかかわる分野の当業者によってその均等物と扱われるであろうすべての特徴を含めて包含すると解釈されるべきことが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒組成物を再生する方法であって、当該触媒組成物がモレキュラーシーブおよび0.26〜5の範囲のC/H比を有する少なくとも10重量%のコークを含んでおり、
a. 当該触媒組成物を、酸素および水を有する第一の酸化性媒体に、当該触媒組成物よりも少なくとも50重量%少ないコークを有する第一の再生された触媒組成物を形成するのに十分な第一の条件において接触させる段階、そして次に
b. 当該第一の再生された触媒組成物の少なくとも一部を、酸素および任意的な水を有する第二の酸化性媒体に、当該第一の再生された触媒組成物よりも少なくとも50重量%少ないコークを有する第二の再生された触媒組成物を形成するのに十分な第二の条件において接触させる段階
を含み、段階(a)における当該触媒組成物および段階(b)における当該第一の再生された触媒組成物が、当該第二の再生された触媒組成物の1重量当たり1〜50の重量の水の範囲にある水の合計量との接触を済ませた方法。
【請求項2】
当該モレキュラーシーブが、M41S族モレキュラーシーブ、MCM−22族モレキュラーシーブ、ETS−10、ETAS−10、ETGS−10、ならびにABW、AET、AFG、AFI、AFX、ANA、AST、ASV、BCT、BEA、BEC、BIK、BOG、BPH、BRE、CAN、CAS、CDO、CFI、CGS、CHA、−CHI、CON、DAC、DDR、DFT、DOH、DON、EAB、EDI、EMT、EON、EPI、ERI、ESV、ETR、EUO、EZT、FAR、FAU、FER、FRA、GIS、GIU、GME、GON、GOO、HEU、IFR、IHW、IMF、ISV、ITE、ITH、ITW、IWR、IWV、IWW、JBW、KFI、LAU、LEV、LIO、−LIT、LOS、LOV、LTA、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MER、MFI、MFS、MON、MOR、MOZ、MSE、MSO、MTF、MTN、MTT、MTW、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、NSI、OBW、OFF、OSO、OWE、−PAR、PAU、PHI、PON、RHO、−RON、RRO、RSN、RTE、RTH、RUT、RWR、RWY、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SGT、SIV、SOD、SOS、SSY、STF、STI、STT、SZR、TER、THO、TOL、TON、TSC、TUN、UEI、UFI、UOZ、USI、UTL、VET、VNI、VSV、−WEN、およびYUGのうちの少なくとも1を含んでいるゼオライト骨格タイプを有するモレキュラーシーブのうちの少なくとも1を含んでいる、請求項1に記載された方法。
【請求項3】
当該モレキュラーシーブが、BEA、BOG、CAN、CHA、CON、EMT、EUO、FAU、FER、LEV、LTA、LTL、MAR、MAZ、MEI、MEL、MFI、MFS、MOR、MTW、MWW、RHO、SOD、およびTONのうちの少なくとも1を含んでいるゼオライト骨格タイプを有するモレキュラーシーブのうちの少なくとも1を含んでいる、請求項2に記載された方法。
【請求項4】
当該コークが、0.5〜2の範囲のC/H比を有し、かつ段階(a)における当該触媒組成物および段階(b)における当該第一の再生された触媒組成物が、当該第二の再生された触媒組成物の1重量当たり1〜20の重量の水の範囲にある水の合計量との接触を済ませた、請求項1〜3のいずれか1項に記載された方法。
【請求項5】
当該コークが、1.5〜3.3の範囲のC/H比を有し、かつ段階(a)における当該触媒組成物および段階(b)における当該第一の再生された触媒組成物が、当該第二の再生された触媒組成物の1重量当たり10〜50の重量の水の範囲にある水の合計量との接触を済ませた、請求項1〜4のいずれか1項に記載された方法。
【請求項6】
当該触媒組成物が20〜50重量%のコークを含んでおり、かつ当該触媒組成物が、コークを除いた当該触媒組成物の合計重量基準で少なくとも50重量%の、MTWのゼオライト骨格タイプを有するモレキュラーシーブを含んでいる、請求項1〜5のいずれか1項に記載された方法。
【請求項7】
当該触媒組成物が、コークを除いた当該触媒組成物の合計重量基準で0.01〜10重量%の、6〜10族の金属元素のうちの少なくとも1を含んでいる、請求項1〜6のいずれか1項に記載された方法。
【請求項8】
当該金属元素が、Pt、Re、Ir、およびPdのうちの少なくとも1である、請求項7に記載された方法。
【請求項9】
当該第一の条件が、250〜425℃の範囲の温度、100〜2070kPa(絶対圧)の範囲の圧力、0.1〜10Nm/時/触媒組成物kgの範囲のガス流量、および7〜207kPa(絶対圧)の範囲の水分圧を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載された方法。
【請求項10】
当該第一の条件が、当該触媒組成物上の当該コークの量を少なくとも80重量%低減するのに十分な再生時間をさらに含む、請求項9に記載された方法。
【請求項11】
当該第二の条件が、350〜500℃の範囲の温度、100〜2070kPa(絶対圧)の範囲の圧力、0.1〜10Nm/時/触媒組成物kgの範囲のガス流量、および3〜35kPa(絶対圧)の範囲の水分圧を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載された方法。
【請求項12】
当該第二の条件が、当該第一の再生された触媒組成物上の当該コークの量を少なくとも80重量%低減するのに十分な再生時間をさらに含む、請求項11に記載された方法。
【請求項13】
当該第二の再生された触媒組成物が、対応する未使用の触媒組成物の70%〜120%の範囲のトランスアルキル化活性を有し、当該トランスアルキル化活性が、CおよびC芳香族炭化水素とのトランスアルキル化条件下におけるCおよびC10芳香族炭化水素の転化率を測定することによって測定され、典型的なトランスアルキル化条件が375〜500℃の範囲の温度、1500kPa(絶対圧)〜3500kPa(絶対圧)の範囲の圧力、2〜20の範囲のWHSVおよび1〜10の範囲のH:HC比を含む、請求項5に記載された方法。
【請求項14】
当該第二の再生された触媒組成物が、対応する未使用の触媒組成物の60%〜110%の範囲のトランスアルキル化経時劣化速度を有し、当該トランスアルキル化経時劣化速度が、CおよびC芳香族炭化水素とのトランスアルキル化条件下におけるCおよびC10芳香族炭化水素の一定の転化率を維持するのに要求される温度の増加速度を測定することによって測定され、典型的なトランスアルキル化条件が375〜475℃の範囲の温度、2000kPa(絶対圧)〜3000kPa(絶対圧)の範囲の圧力、2〜10の範囲のWHSVおよび1〜8の範囲のH:HC比を含む、請求項5に記載された方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載された方法によってつくられている組成物。

【公表番号】特表2011−502780(P2011−502780A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534094(P2010−534094)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/082352
【国際公開番号】WO2009/067331
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】