説明

触媒及び改質ガスの製造方法

【課題】
前処理として還元処理を行わずとも高い水蒸気改質活性を示す触媒を提供すること。
【解決手段】
下記式(I):
La1−xSrAlO (I)
[式中、xは0.05〜0.5を示す。]
で表される組成を有する酸化物を含有する担体と、上記担体に担持されたニッケルと、上記担体に担持された白金、金、パラジウム及びロジウムからなる群より選ばれる金属元素と、を備え、炭化水素化合物からの一酸化炭素及び水素を含む改質ガスの製造に用いられる、触媒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素化合物類からの一酸化炭素及び水素を含む改質ガスの製造に用いられる触媒、並びに、該触媒を用いた改質ガスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、炭化水素化合物類などの有機化合物を改質して合成ガスや水素に転換する方法として、水蒸気改質法が知られており、当該水蒸気改質法に用いられる改質触媒としては、ニッケル系触媒やルテニウム系触媒が知られている(特許文献1及び2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−084410号公報
【特許文献2】特開2010−069434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の改質触媒は、担体に活性金属を担持させるための焼成処理の後、水蒸気改質反応に供する前の前処理として、還元処理を行う必要がある。これは、焼成処理の際に、活性金属(例えば、ニッケル)が酸化されて酸化物(例えば、NiO)となり、水蒸気改質活性が失われるためである。
【0005】
本発明は、前処理として還元処理を行わずとも高い水蒸気改質活性を示す触媒、並びに該触媒を用いた改質ガスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記式(I):
La1−xSrAlO (I)
[式中、xは0.05〜0.5を示す。]
で表される組成を有する酸化物を含有する担体と、上記担体に担持されたニッケルと、上記担体に担持された白金、金、パラジウム及びロジウムからなる群より選ばれる金属元素と、を備え、炭化水素化合物からの一酸化炭素及び水素を含む改質ガスの製造に用いられる触媒を提供する。
【0007】
本発明に係る触媒は、前処理として還元処理を行わずとも高い水蒸気改質活性を示すため、従来の改質触媒と比較して少ない製造工程で製造することができる。本発明に係る触媒が還元処理を行わずとも高い水蒸気改質活性を示すことの理由は、必ずしも明らかではないが、上記特定の担体上において、上記特定の金属元素が、ニッケルの酸化を抑制することができるためと考えられる。
【0008】
本発明に係る触媒はまた、上述のとおりニッケルの酸化が抑制されるため、水蒸気改質反応において高い水蒸気改質活性を長時間維持することができると考えられる。
【0009】
また、本発明は、上記本発明に係る触媒を用いて、炭化水素化合物類から一酸化炭素及び水素を含む改質ガスを製造する工程を備える、改質ガスの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、前処理として還元処理を行わずとも高い水蒸気改質活性を示す触媒、並びに該触媒を用いた改質ガスの製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る触媒の好適な実施形態について以下に説明する。
【0012】
本実施形態に係る触媒は、特定の酸化物を含有する担体と、該担体に担持されたニッケル(Ni)と、該担体に担持された白金(Pt)、金(Au)、パラジウム(Pd)及びロジウム(Rh)からなる群より選ばれる金属元素と、を備える。
【0013】
上記担体は、下記式(I)で表される組成を有する酸化物を含有する。
La1−xSrAlO (I)
[式中、xは0.05〜0.5を示す。]
【0014】
上記酸化物は、ペロブスカイト型構造を有すると考えられる。ここで、ペロブスカイト型構造とは、化学式ABO(Aは希土類元素及び/又はアルカリ土類金属元素等を示し、Bは典型金属元素及び/又は遷移金属元素等を示す。)で示される酸化物(例えば、CaTiO)が形成し得る結晶構造である。本実施形態においてLa1−xSrAlOは、例えば、LaAlOのAサイトにSrが置換した構造ということができる。
【0015】
式(I)におけるSrの置換率(x)は、0.05〜0.5であり、0.1〜0.3であることが好ましい。なお、置換率(x)は、酸化物中のLaの原子数NとSrの原子数Nとの総数に対するSrの原子数Nの比N/(N+N)ということもできる。置換率が0.5より大きいと、ペロブスカイト型構造が崩れてしまうと考えられ、本発明の効果が十分に得られない。また、置換率が0.05未満であると、水蒸気改質活性が低下して炭化水素化合物類の転化率が不十分となる場合がある。
【0016】
上記担体は、公知の方法で製造することができ、その製造方法は特に限定されない。例えば、固相反応法、加水分解法、ゾル−ゲル法、水熱法、噴霧熱分解法等の公知の方法により、式(I)で表される組成を有する酸化物を製造することができる。具体的には、例えば、上記酸化物に含まれる金属元素(La、Sr、Al)を含有する化合物(例えば、酸化物、炭酸塩、有機物等)を出発原料として用い、目的とする酸化物と同様の金属元素比となるように混合し、焼成することによって、上記酸化物を合成することができる。
【0017】
上記担体としては、上記酸化物をそのまま用いてもよく、アルミナ担体に上記酸化物を担持した担体を用いることもできる。このような担体は、例えば、アルミナ担体に、目的とする酸化物と同様の金属元素比となるように調製された硝酸塩溶液を含浸し、焼成することによって製造することができる。
【0018】
以下に、ゾル−ゲル法による、式(I)で表される組成を有する酸化物の調製方法の一例を示す。
【0019】
まず、目的とする酸化物と同様の金属元素比となるように、La(NO・6HO、Sr(NO、Al(NO・9HO、クエン酸、エチレングリコール及び純水を混合してよく撹拌した後、加熱して水分を除去する。次に、300℃〜500℃程度で約1〜5時間程度保持して硝酸塩を分解させた後、700℃〜900℃程度で5〜20時間程度保持してクエン酸、エチレングリコールを燃焼除去することにより、式(I)で表される組成を有する酸化物を得ることができる。
【0020】
本実施形態においては、ニッケル及び上記特定の金属元素を担持する前に、担体を空気雰囲気下や酸素雰囲気下で焼成処理してもよい。このときの焼成温度は、通常500℃〜1500℃であり、好ましくは700℃〜1200℃である。また、担体の機械的強度を高めることを目的として、担体にバインダー(例えば、シリカ、セメント等)を添加することもできる。
【0021】
本実施形態に係る触媒は、上記担体に、ニッケルと、白金、金、パラジウム及びロジウムからなる群より選ばれる金属元素(以下、場合により「第2の金属元素」と称する。)と、を担持させることにより得ることができる。
【0022】
本実施形態に係る触媒において、ニッケルの担持量Cは、触媒の総量基準で、0.05〜20質量%であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましい。ニッケルの担持量が20質量%より多いと、金属の凝集が生じやすくなり、表面に出る活性金属の割合が減少する傾向がある。また、ニッケル担持量が0.05質量%より少ないと、高い活性が得られにくくなる傾向がある。
【0023】
本実施形態に係る触媒において、第2の金属元素の担持量Cは、ニッケルの担持量Cを100質量部として、0.01〜40質量部であることが好ましく、0.5〜20質量部であることがより好ましい。
【0024】
従来の触媒では、活性金属としてニッケルを用いた場合には、高い水蒸気改質活性及び耐コーキング性等が得られない場合があるが、本実施形態に係る触媒では、上記特定の構成を有するため、ニッケルを用いても高い水蒸気改質活性及び高い耐コーキング性を得ることができる。
【0025】
ニッケル及び第2の金属元素(以下、場合により「担持金属」と総称する。)の担体への担持方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を適用することにより容易に行うことができる。担持方法としては、例えば、含浸法、沈着法、共沈法、混練法、イオン交換法、ポアフィリング法等が挙げられ、これらのうち含浸法、ポアフィリング法が好ましい。上記担持金属の出発物質としては、適宜選択することができるが、通常、担持金属の塩化物や硝酸塩が用いられる。
【0026】
例えば、含浸法を適用する場合、担持金属の塩の溶液(通常は水溶液)を調製し、担体に含浸させた後、乾燥、必要に応じ焼成することにより、触媒を得ることができる。焼成は、通常、空気雰囲気下や酸素雰囲気下などで行われる。また、焼成温度は、担持金属の塩の分解温度以上であれば特に限定されないが、通常200℃〜800℃、好ましくは300〜600℃程度である。また、焼成処理時間は、焼成温度との兼ね合いによるが、通常1〜30時間、好ましくは5〜20時間程度である。
【0027】
このようにして得られた触媒は、上述したとおり還元処理を行わずとも高い水蒸気改質活性を有するが、従来の触媒と同様に還元処理を行ってもよい。還元処理は、例えば、還元雰囲気下(通常は水素雰囲気下)、400〜1000℃、好ましくは400〜800℃で保持することで行うことができる。
【0028】
また、本実施形態に係る触媒の形状は、特に限定されるものではなく、触媒を使用する形態により適宜選択することができる。該形状としては、例えば、ペレット状、顆粒状、ハニカム状、スポンジ状等などの任意の形状が採用される。
【0029】
次いで、本実施形態に係る触媒を用いて、炭化水素化合物類から一酸化炭素及び水素を含む改質ガスを製造する水蒸気改質方法について説明する。
【0030】
本実施形態に係る水蒸気改質方法としては、公知の水蒸気改質反応における触媒として、本実施形態に係る触媒を用いる方法が挙げられる。
【0031】
水蒸気改質反応においては、まず、原料の炭化水素化合物類を気化させた後(原料の炭化水素化合物類が気体の場合、気化は不要)、スチームと十分に混合させ、本実施形態に係る触媒を充填した反応器へ導入する。なお、原料中に硫黄分が含まれる場合は、反応器に導入する前に脱硫処理を行うことが好ましい。
【0032】
反応温度は、触媒床入口温度として、好ましくは200℃〜800℃、より好ましくは300〜700℃であり、触媒床出口温度として、好ましくは400℃〜800℃、より好ましくは500〜700℃である。反応圧力は、好ましくは常圧〜5MPa、より好ましくは常圧〜1MPaである。また、原料とともに導入するスチームの量は、スチーム/カーボン比(モル比)で、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3である。スチーム/カーボン比が1より小さいと、触媒上にコークが蓄積し易くなり、水素含有量の多い改質ガスが得られにくくなる。一方、スチーム/カーボン比が5より大きいと、改質反応は十分に進むが、過剰の未反応スチームが改質ガス中に残ることとなり、好ましくない。
【0033】
以上、炭化水素化合物類とスチームとを混合して反応器へ導入する水蒸気改質反応について説明したが、本実施形態に係る触媒は、炭化水素化合物類を反応器へ導入する際に酸素を混合する方法(オートサーマルリフォーミング法)においても適用することができる。
【0034】
炭化水素化合物類としては、飽和脂肪族炭化水素、不飽和脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。飽和脂肪族炭化水素、不飽和脂肪族炭化水素としては、鎖状、環状を問わず用いることができる。また、芳香族炭化水素としては、単環、多環を問わず用いることができる。このような炭化水素化合物類は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルカリール基、アラルキル基等が挙げられる。
【0035】
炭化水素化合物類は、酸素、窒素、ハロゲン、硫黄等のヘテロ原子を一個以上有する置換基を有していてもよく、このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br,−I)、水酸基(−OH)、アルコキシ基(−OR)、カルボキシル基(−COOH)、エステル基(−COOR)、アルデヒド基(−CHO)、アシル基(−C(=O)R)等が挙げられる。
【0036】
炭化水素化合物類の炭素数は、1以上であることが好ましく、1〜25であることがより好ましく、1〜17であることがさらに好ましい。
【0037】
炭化水素化合物類の具体例としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの芳香族炭化水素;等が挙げられる。これらの混合物も好適に使用でき、例えば、都市ガス、液化石油ガス(LPG)、ナフサ、灯油、軽油など工業的に安価に入手できる材料を用いることもできる。
【0038】
水蒸気改質方法の原料としては、炭化水素化合物類に水素、水、二酸化炭素、一酸化炭素、酸素等が混合したものを用いることもできる。例えば、原料の前処理として水素化脱硫を実施する場合に、当該水素化脱硫に用いた水素の残留分は、特に分離することなく原料に混合することができる。
【0039】
本実施形態に係る水蒸気改質方法により得られる改質ガスは、そのまま、固体酸化物形燃料電池や溶融炭酸塩形燃料電池の燃料として用いることができる。また、一酸化炭素を除去して、リン酸形燃料電池や固体高分子形燃料電池の燃料として用いることもできる。一酸化炭素を除去する方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、シフト工程を有する方法、CO選択酸化工程を有する方法、あるいはこれらを組み合わせた方法等が挙げられる。
【0040】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【実施例】
【0041】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0042】
<実施例1>
(1−1)担体の調製
La(NO・6HO、Sr(NO、Al(NO・9HO、クエン酸、エチレングリコール及び純水を混合してよく撹拌した後、加熱して水分を除去した。次に、400℃で2時間保持して硝酸塩を分解させた後、800℃で10時間保持してクエン酸、エチレングリコールを燃焼除去することにより、La0.7Sr0.3AlOで表される担体を得た。
【0043】
(1−2)触媒の製造
上記担体に、触媒の全量に対するニッケル含有量が5質量%となるように硝酸ニッケル水溶液を含浸させ、水分を蒸発させた。次に、120℃にて10時間乾燥させ、空気流通下500℃にて10時間焼成した。ついでニッケルを担持した担体に、触媒の全量に対する白金含有量が0.1質量%となるように塩化白金酸水溶液を含浸させて水分を蒸発させた。次に、120℃にて3時間乾燥させ、空気流通下800℃にて1時間焼成した。焼成した触媒を、加圧成形した後、粉砕してふるい分けし、約1〜2mmの顆粒状の触媒(触媒A1)を得た。
【0044】
(1−3)触媒の還元処理
触媒A1を、水素流通下600℃で1時間還元処理し、触媒A2を得た。
【0045】
<実施例2>
(2−1)触媒の製造
実施例1で得られた担体に、触媒の全量に対するニッケル含有量が5質量%となるように硝酸ニッケル水溶液を含浸させ、水分を蒸発させた。次に、120℃にて10時間乾燥させ、空気流通下500℃にて10時間焼成した。ついでニッケルを担持した担体に、触媒の全量に対する白金含有量が0.5質量%となるように塩化白金酸水溶液を含浸させて水分を蒸発させた。次に、120℃にて3時間乾燥させ、空気流通下800℃にて1時間焼成した。焼成した触媒を、加圧成形した後、粉砕してふるい分けし、約1〜2mmの顆粒状の触媒(触媒B1)を得た。
【0046】
(2−2)触媒の還元処理
触媒B1を、水素流通下600℃で1時間還元処理し、触媒B2を得た。
【0047】
<実施例3>
(3−1)触媒の製造
実施例1で得られた担体に、触媒の全量に対するニッケル含有量が5質量%となるように硝酸ニッケル水溶液を含浸させ、水分を蒸発させた。次に、120℃にて10時間乾燥させ、空気流通下500℃にて10時間焼成した。ついでニッケルを担持した担体に、触媒の全量に対する白金含有量が0.85質量%となるように塩化白金酸水溶液を含浸させて水分を蒸発させた。次に、120℃にて3時間乾燥させ、空気流通下800℃にて1時間焼成した。焼成した触媒を、加圧成形した後、粉砕してふるい分けし、約1〜2mmの顆粒状の触媒(触媒C1)を得た。
【0048】
(3−2)触媒の還元処理
触媒C1を、水素流通下600℃で1時間還元処理し、触媒C2を得た。
【0049】
<実施例4>
(4−1)触媒の製造
実施例1で得られた担体に、触媒の全量に対するニッケル含有量が5質量%となるように硝酸ニッケル水溶液を含浸させ、水分を蒸発させた。次に、120℃にて10時間乾燥させ、空気流通下500℃にて10時間焼成した。ついでニッケルを担持した担体に、触媒の全量に対するロジウム含有量が0.1質量%となるように硝酸ロジウム水溶液を含浸させて水分を蒸発させた。次に、120℃にて3時間乾燥させ、空気流通下800℃にて1時間焼成した。次いで、加圧成形した後、粉砕してふるい分けし、約1〜2mmの顆粒状の触媒(触媒D1)を得た。
【0050】
(4−2)触媒の還元処理
触媒D1を、水素流通下600℃で1時間還元処理し、触媒D2を得た。
【0051】
<実施例5>
(5−1)触媒の製造
実施例1で得られた担体に、触媒の全量に対するニッケル含有量が5質量%となるように硝酸ニッケル水溶液を含浸させ、水分を蒸発させた。次に、120℃にて10時間乾燥させ、空気流通下500℃にて10時間焼成した。ついでニッケルを担持した担体に、触媒の全量に対するパラジウム含有量が0.46質量%となるように酢酸パラジウム水溶液を含浸させて水分を蒸発させた。次に、120℃にて3時間乾燥させ、空気流通下800℃にて1時間焼成した。次いで、加圧成形した後、粉砕してふるい分けし、約1〜2mmの顆粒状の触媒(触媒E1)を得た。
【0052】
(5−2)触媒の還元処理
触媒E1を、水素流通下600℃で1時間還元処理し、触媒E2を得た。
【0053】
<実施例6>
(6−1)触媒の製造
実施例1で得られた担体に、触媒の全量に対するニッケル含有量が5質量%となるように硝酸ニッケル水溶液を含浸させ、水分を蒸発させた。次に、120℃にて10時間乾燥させ、空気流通下500℃にて10時間焼成した。ついでニッケルを担持した担体に、触媒の全量に対する金含有量が0.81質量%となるように塩化金酸水溶液を含浸させて水分を蒸発させた。次に、120℃にて3時間乾燥させ、空気流通下800℃にて1時間焼成した。次いで、加圧成形した後、粉砕してふるい分けし、約1〜2mmの顆粒状の触媒(触媒F1)を得た。
【0054】
(6−2)触媒の還元処理
触媒F1を、水素流通下600℃で1時間還元処理し、触媒F2を得た。
【0055】
<比較例1>
(1−1)触媒の製造
触媒の全量に対するニッケル含有量が5質量%となるように、硝酸ニッケル水溶液を実施例1で得られた担体に含浸させて水分を蒸発させた後、120℃にて10時間乾燥させ、空気流通下500℃にて10時間焼成した。次いで、加圧成形した後、粉砕してふるい分けし、約1〜2mmの顆粒状の触媒(触媒a1)を得た。
【0056】
(1−2)触媒の還元処理
触媒a1を、水素流通下600℃で1時間還元処理し、触媒a2を得た。
【0057】
<比較例2>
(2−1)触媒の製造
担体としてγ−アルミナ(γ−Al)を用い、触媒の全量に対するニッケル含有量が5質量%となるように、硝酸ニッケル水溶液を担体に含浸させて水分を蒸発させた後、120℃にて10時間乾燥させ、空気流通下500℃にて10時間焼成した。次いで、加圧成形した後、粉砕してふるい分けし、約1〜2mmの顆粒状の触媒(触媒b1)を得た。
【0058】
(2−2)触媒の還元処理
触媒b1を、水素流通下600℃で1時間還元処理し、触媒b2を得た。
【0059】
<比較例3>
(3−1)触媒の製造
担体としてγ−アルミナ(γ−Al)を用い、触媒の全量に対するロジウム含有量が0.1質量%となるように、硝酸ロジウム水溶液を担体に含浸させて水分を蒸発させた後、120℃にて3時間乾燥させ、空気流通下800℃にて1時間焼成した。次いで、加圧成形した後、粉砕してふるい分けし、約1〜2mmの顆粒状の触媒(触媒c1)を得た。
【0060】
(3−2)触媒の還元処理
触媒c1を、水素流通下600℃で1時間還元処理し、触媒c2を得た。
【0061】
<水蒸気改質反応1>
実施例及び比較例で得られた触媒を用いて、トルエンを原料として以下の条件下に水蒸気改質反応(スチームリフォーミング反応)を行った。各触媒を用いた際のトルエンの転化率を、表1に示す。なお、ここでトルエンの転化率は、下記式で定義される。
トルエン転化率=(生成ガス中のCO、CO、CHのカーボンモル数)/(トルエンのカーボンモル数)×100(%)
触媒量W:25 mg
W/F:3.4 gh/mol
(ここで、Wは触媒量(g)、Fは原料供給速度(mol/h)を示す。)
反応温度:600℃
スチーム/カーボン比(モル比):2.0
【0062】
<水蒸気改質反応2>
実施例及び比較例で得られた触媒を用いて、プロパンを原料として以下の条件下に水蒸気改質反応(スチームリフォーミング反応)を行った。各触媒を用いた際のプロパンの転化率を、表1に示す。なお、ここでプロパンの転化率は、下記式で定義される。
プロパン転化率=(生成ガス中のCO、CO、CHのカーボンモル数)/(プロパンのカーボンモル数)×100(%)
触媒量W:25 mg
W/F :1.7 gh/mol
(ここで、Wは触媒量(g)、Fは原料供給速度(mol/h)を示す。)
反応温度:400℃
スチーム/カーボン比(モル比):2.0
【0063】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I):
La1−xSrAlO (I)
[式中、xは0.05〜0.5を示す。]
で表される組成を有する酸化物を含有する担体と、
前記担体に担持されたニッケルと、
前記担体に担持された白金、金、パラジウム及びロジウムからなる群より選ばれる金属元素と、
を備え、炭化水素化合物からの一酸化炭素及び水素を含む改質ガスの製造に用いられる、触媒。
【請求項2】
請求項1に記載の触媒を用いて、炭化水素化合物類から一酸化炭素及び水素を含む改質ガスを製造する工程を備える、改質ガスの製造方法。

【公開番号】特開2012−110827(P2012−110827A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261530(P2010−261530)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000004444)JX日鉱日石エネルギー株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】