説明

触媒反応成分低減システムおよびその使用法

本発明に従って、燃料貯蔵タンクの蒸気相から反応成分を触媒によって失活させ、除去し、あるいは、そのレベルを低減させる簡易システムおよび方法が提供される。本明細書で説明される簡易装置は、市販中の複雑なOBIGGSシステムに代えて用いられることができる。簡単に言うと、本発明のある実施形態では、燃料タンクからの蒸気相は、適切な温度で稼動される触媒層を通され、燃料蒸気の酸化によって遊離酸素と燃料蒸気の間の反応を可能にし、よって、気相中の反応成分を失活させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、搭載式反応成分除去システムの技術分野、および、燃料貯蔵槽の蒸気相からの反応成分除去への反応システムおよび方法の分野に関する。特定の態様では、本発明は、燃料貯蔵槽の蒸気相からの反応成分、具体的には酸素および/または燃料、の触媒による除去を目的とするシステムおよび方法であって、それによって、かかる貯蔵槽の火災および爆発の可能性を軽減するシステムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
燃料タンク(例、航空機燃料タンク、貨物として可燃性液体を運搬する船舶など)に起こり得る火災および爆発の危険を回避するためには、液体燃料と接触する気相中の反応成分(例、酸素および/または燃料蒸気)の濃度を減少させることが必要である。この問題に取り組もうと多くの様々な手法が用いられている。例えば、ある、かかる方法は、航空機エンジンからの抽気を行い、当該空気を膜系ガスセパレーターに通し、十分量の酸素を除去し、それによって、10%よりも低い濃度まで酸素濃度を減少させることを含む。次に、この酸素濃度減少ガスは、燃料タンク中の不活性ガスブランケットとして使用される。
【0003】
本技術分野で用いられる別の方法は、空気から酸素を分離し、酸素枯渇不活性ガスを発生させる圧力スイング吸着システムの使用を含む。
【0004】
これら、ならびに、先行技術で説明されている他のシステムは、複雑な装置を必要とし、搭載式不活性ガス発生装置(on board inert gas generator system(OBIGGS))を提供するために稼動費用を著しく増加させる。従って、燃料貯蔵槽の蒸気相から反応成分(例、酸素および/または燃料蒸気)を除去する、または、当該反応成分のレベルを減少させる改良化システムおよび方法が求められている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の概要)
本発明に従って、燃料貯蔵タンクの蒸気相中の1種類以上の反応成分の濃度を触媒で低減させる簡易システムおよび方法が提供される。本明細書で説明される簡易装置は、市販中の複雑なOBIGGSシステムに代えて用いられることができる。簡単に言うと、本発明のある実施形態では、前記燃料タンクからの蒸気相は、適切な温度で稼動される触媒層を通され、当該燃料蒸気の酸化によって遊離酸素と当該燃料蒸気の間の反応を可能にし、よって、当該気相中の反応成分を失活させる。さらに、本発明で企図されているような蒸気の循環と処理は、燃料含有蒸気の大気中への放出を最小化する。
【0006】
本発明の別の実施形態では、燃料貯蔵タンクの蒸気相からの1種類以上の反応成分(酸素および/または燃料蒸気)を失活させる、当該成分濃度を低下させる、あるいは、除去するシステムが提供される。本発明のシステムは、流入口および流出口を有する反応ゾーンを含み、当該反応ゾーンは、前記反応成分を失活させるのに適した条件を提供する。本発明のシステムは、任意に、前記蒸気相からの熱および/または水分を除去する能力を含む。
【0007】
本発明のさらに別の実施形態では、輸送手段(例、航空機、貨物として可燃性液体を運搬する船舶など)中での使用を目的とした燃料貯蔵システムが提供され、かかる燃料貯蔵システムは、燃料貯蔵タンクの蒸気相中の1種類以上の反応成分の濃度レベルを十分に低いレベルで維持し、それによって、火災および当該火災による爆発のリスクを劇的に減少させることができる。さらに、本発明で企図される場合の蒸気の循環および処理は、大気への燃料含有蒸気の放出を最小限に抑える。
【0008】
本発明のなおも別の実施形態では、燃料貯蔵タンクの蒸気からの1種類以上の反応成分を失活させる、濃度低下させる、あるいは、除去する方法が提供される。本発明の方法は、燃料貯蔵タンクからの蒸気相の少なくとも一部を反応ゾーンに通し、当該反応ゾーンが、当該蒸気相が当該燃料貯蔵タンクに戻される前に前記反応成分を失活させる働きをする段階を含む。本発明の方法は、場合により、当該蒸気相からの熱および/または水分の除去能を含む。
【0009】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明に従って、燃料貯蔵タンクの蒸気相から1種類以上の反応成分濃度を(例、当該タンク中の当該反応成分の失活によって)低減させるシステムであって、前記燃料貯蔵タンクが、当該タンクからの蒸気の除去用流出口と、当該タンクへの蒸気の還流用流入口を備え、反応成分濃度低減システムが提供される。本発明のシステムは、
・反応ゾーンであって、前記反応ゾーンが、当該反応ゾーンとの接触の際に前記の1種類以上の反応成分を失活させるのに適した条件を提供する反応ゾーンと、
・前記燃料貯蔵タンクの流出口を経由して前記燃料貯蔵タンクの蒸気空間と流体交通(fluid communication)している前記反応ゾーンへの流入口と、
・前記燃料貯蔵タンクの流入口を経由して前記燃料貯蔵タンクの蒸気空間と流体交通している前記反応ゾーンからの流出口
を含む。
【0010】
当業者によって容易に認識されるように、望ましくは、燃料(ジェット燃料など)と接触する場合に除去(または濃度低減)が望まれる多様な反応成分がある。本発明に従って処理を企図されるある反応成分は、酸素である。本発明に従って処理を企図される別の反応成分は、燃料蒸気、ならびに、様々な添加剤および/または当該添加剤と結合することが一般的な不純物も含むことができる。本発明の特定の長所は、本発明で企図される場合の蒸気の循環と処理が燃料含有蒸気の大気中への放出を最小限に抑え、それによって、かかる材料の取扱いによって引き起こされる環境への影響を低減させる点である。
【0011】
本発明のシステムは、任意に、前記貯蔵槽内の圧力を、当該貯蔵槽の曝露が準大気圧条件下であるか、超大気圧条件下であるかに応じて平衡を可能にする流入口/流出口を含む。例えば、準大気圧条件に曝されると、前記システム内の圧力の平衡化にメイクアップガス源を提供するのが望ましい。別法として、超大気圧条件に曝されると、前記貯蔵槽を換気し、当該貯蔵槽内を減圧させるのが望ましい。例えば、航空機の上昇または降下時、当該航空機内の燃料貯蔵槽を含めた当該航空機内の圧力は、著しく変動する場合がある。例えば、降下の場合、当該貯蔵槽のガス量を補充するのが望ましい。逆に、航空機の上昇時、燃料貯蔵槽への過圧を軽減するのが望ましい。場合により、メイクアップガス(または放出蒸気)が、当該放出蒸気中の1種類以上の成分の失活(たとえば、当該成分濃度を低下させることによって)用として本発明の方法に供され、それによって、当該システムへの外気の導入、または、大気への蒸気の放出に伴う安全上の危険を軽減する。
【0012】
本発明のシステムは、場合により、閉鎖ループシステムとして構成されることができる。本明細書で用いられる場合、用語「閉鎖ループ」は、処理され、蒸気中の反応成分を失活した蒸気が、放出されるというよりも燃料貯蔵槽に戻される状態を表す。しかし、当然ながら、本発明の閉鎖ループシステムは、なおも、貯蔵槽内の圧力の平衡化、蒸気からの水蒸気または他の成分の除去などの目的で、1個以上の流入口/流出口の存在を企図している。本発明の実施での使用を企図される反応ゾーンは、様々に構成されることができ、例えば、当該反応ゾーンは、触媒収納槽を含むことができ、その場合、当該触媒は、前記の1種類以上の反応成分と、適切な条件下で当該反応成分と接触する際に反応する。一部の実施形態では、前記触媒収納槽は、流入端部と流出端部を有し、触媒量は、当該収納槽全体で変動することができる。特定の他の実施形態では、当該触媒量は、当該収納槽の流入端部から流出端部まで増加することができる。
【0013】
本明細書で用いられる場合、「失活する」は、酸素、燃料蒸気などの反応成分の、実質的非反応種、即ち、当該非反応種が曝露される条件下で実質的に不活性な種への転換を指す。好ましくは、失活種は、不燃性である。
【0014】
本発明の実施における使用を企図される触媒は、例えば貴金属(化合し難いnoble metals)(例、プラチナ、パラジウム、金、銀など)、貴金属(高価precious metals)、遷移金属、金属酸化物、希土類酸化物、窒化物、カーバイド、酵素などの任意担持金属触媒、ならびに、それらのいずれか2種類以上の混合物を含む。「触媒の」は、1種類以上の反応物質に関する反応または相互作用の促進を指す。触媒材料は、貴金属、遷移金属、金属酸化物(例、RuOx、LaMnOxおよびペロブスカイトなどの遷移金属酸化物)など、ならびに、それらの各種配合物を含むことができる。
【0015】
本発明での使用を企図される触媒材料は、場合により、例えば金属担持体、活性炭、カーボンブラックなどの様々な材料、ならびに、それらの混合物などで担持されることができる。無機酸化物も、担持材料として、単独または配合物で用いられることができ、例えば、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコニア、モンモリロナイトなど、または、それらの配合物、例えばシリカ−クロム、シリカ−チタニアなどである。
【0016】
反応成分の触媒処理が用いられる場合、前記の1種類以上の反応成分と前記触媒を接触させる種々の適切な条件が企図される。典型的な条件は、約25℃〜1200℃の範囲の温度での触媒との前記蒸気相材料の接触を含む。本発明での使用が企図される、現在の好ましい温度は、約50℃〜約400℃の範囲である。はるかに好ましいのは、約100℃〜約350℃の範囲の温度である。
【0017】
上記の触媒工程の制御を容易にするために、本発明のシステムは、場合により、さらに、温度モジュレーターを含むことができる。場合により、当該温度モジュレーターは、熱交換器であることができ、これは、熱交換媒体を含むことができる。当該熱交換媒体は、場合により液体または外気を含むことができる。任意に、熱交換は、蒸発冷却によって達成されることができる。当該熱交換器は、本発明のシステム内の様々な位置に配置されることができ、例えば、当該熱交換器は、触媒収納槽と連結されることができる。あるいは、当該熱交換器は、触媒収納槽から上流または下流に配置されることができる。あるいは、当該熱交換器は、触媒収納槽と一体化されることができる。
【0018】
前記温度モジュレーターが、前記触媒収納槽の上流に配置される場合、好ましくは、当該温度モジュレーターは、燃料蒸気、空気またはそれらの混合物のいずれかの予備加熱に使用される。当該温度モジュレーターが、前記触媒収納槽の下流に配置される場合、好ましくは、当該モジュレーターは、当該触媒収納槽からを出る蒸気の温度低下に使用される。当該温度モジュレーターが当該触媒収納槽と連結される場合、当該温度モジュレーターは、必要に応じて、反応槽の加熱または冷却に使用され、燃料蒸気との酸素の反応の触媒に適した条件を提供し、それによって、当該燃料蒸気および空気混合物中の反応成分(例、酸素および/または燃料蒸気)を失活させることができる。
【0019】
本発明に従って反応成分を処理する代替法は、接触時に前記の1種類以上の反応成分を失活させるのに十分な電磁波エネルギーの発生源を含む反応ゾーンの利用を含む。
【0020】
本発明に従って反応成分を処理するなおも別の代替法として、接触時に前記の1種類以上の反応成分を失活させるのに十分なプラズマエネルギーの発生源を含む反応ゾーンが用いられることができる。
【0021】
場合により、本発明のシステムは、さらに、前記燃料貯蔵タンクと前記反応ゾーンの間に逆火防止器を含み、それによって、当該燃料貯蔵タンクへの燃焼の逆流の可能性を防止することができる。別法として、当該反応ゾーンは、どの火炎発生も防止するように設計されることができる。
【0022】
本発明のシステムに含まれることができるさらなる任意の特徴は、1個以上の酸素センサーを含み、当該センサーは、前記反応ゾーンの上流および/または下流に配置され、それによって、前記燃料貯蔵タンクの流入および/または流出ガス中の酸素レベルを監視することができる。さらに、フィードバックループが提供され、それによって、前記反応ゾーンの前および/または後で検出される酸素レベルに応じて当該反応ゾーン内の接触条件を調整することができる。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「上流」は、流れの経路中の1つの要素を指し、基準点または基準要素に先行して、または、その前に位置する。本明細書で使用される場合、用語「下流」は、流れの経路中の1つの要素を指し、基準点または基準要素の後に位置する。
【0024】
本発明の特定の実施形態では、前記システムは、処理済み空気からの水分除去に適合された気体浄化モジュールも含むことができる。例えば、当該気体浄化モジュールは、処理済み蒸気の温度を露点よりも低い温度まで低下させるコンデンサーを含み、それによって、どの量の過剰水分の除去も促進することができる。特定の実施形態では、当該気体浄化モジュールは、圧力スイング吸着モジュールを含むことができる。他の実施形態では、当該浄化モジュールは、膜を含むことができる。再循環ラインが提供され、当該気体浄化モジュールから前記反応ゾーンに到る前記流入口まで流体を移動させることができる。当該気体浄化モジュールは、当該反応ゾーンの上流または下流に位置することができる。他の実施形態では、水分は、湿分トラップによって除去されることができる。
【0025】
本明細書で使用される場合、「浄化」および「浄化する」は、流体からの1種類以上の成分の除去を指す。当該除去は、部分的、完全、または望ましいレベルまでであることができ、一部のみまたは全部の成分の除去を含むことができる。
【0026】
ある実施形態では、前記システムは、前記反応ゾーンの流入口への分離機からの流体の移動に適合された再循環ラインも含むことができる。
【0027】
ある実施形態では、前記システムは、前記分離機からの流体と混合された気化液体の分離に適合された蒸気トラップも含むことができる。
【0028】
本発明のさらなる態様に従って、燃料が燃料貯蔵槽から抜き出されながら、燃料貯蔵槽に反応成分枯渇蒸気を導入するシステムが提供される。本発明のシステムは、
・流入口および流出口を有する反応ゾーンと、
・空気源であって、当該空気源が前記反応ゾーン流出口と流体交通している空気源と、
・燃料蒸気源であって、当該燃料蒸気源が前記反応ゾーン流入口と流体交通している燃料蒸気源と、
・場合により、フィルター/コンデンサーであって、当該フィルター/コンデンサーが存在すると、前記反応ゾーンが当該フィルター/コンデンサーの流入口と流体交通し、当該フィルター/コンデンサーの流出口が前記燃料貯蔵槽と流体交通しているフィルター/コンデンサー
を含み、
前記反応ゾーンは、燃料蒸気の存在下で当該反応ゾーンと接触する際に、前記空気源中の酸素を除去する、または、酸素濃度を低下させるのに適した条件下で稼動し、前記燃料貯蔵槽と流体交通する。
【0029】
本発明のなおもさらなる態様に従って、燃料貯蔵槽の燃料または蒸気空間中蒸気を、(例、当該燃料貯蔵槽の燃料または蒸気空間中蒸気が当該貯蔵槽から抜き出される場合に)反応成分枯渇蒸気で置換するシステムが提供される。本発明の素ステムは、
・流入口および流出口を有する反応ゾーンと、
・空気源であって、当該空気源が前記反応ゾーン流出口と流体交通している空気源と、
・燃料蒸気源であって、当該燃料蒸気源が前記反応ゾーン流入口と流体交通している燃料蒸気源と、
・場合により、フィルター/コンデンサーであって、当該フィルター/コンデンサーが存在する場合、前記反応ゾーンが当該フィルター/コンデンサーの流入口と流体交通し、当該フィルター/コンデンサーの流出口が前記燃料貯蔵槽と流体交通しているフィルター/コンデンサー
を含み、
前記反応ゾーンは、燃料蒸気の存在下での当該フィルター/コンデンサーとの接触時に、前記空気源中の酸素を除去する、または、酸素濃度を低下させるのに適した条件下で稼動し、当該反応ゾーンは、前記燃料貯蔵槽と流体交通する。
【0030】
本発明のなおも別の態様に従って、航空機中での使用を目的とした燃料貯蔵システムが提供される。本発明の燃料貯蔵システムは、
・燃料貯蔵タンクであって、当該タンクからの蒸気除去用流出口と、当該タンクへの蒸気の還流用流入口を有する燃料貯蔵タンクと、
・反応ゾーンであって、流入口および流出口を有し、当該反応ゾーンが、前記燃料タンクの蒸気相中の1種類以上の反応成分を、当該反応ゾーンとの接触時、失活させるのに適した条件を提供する反応ゾーン
を含み、
前記燃料貯蔵タンクの流出口は、前記反応ゾーンの流入口と流体交通し、前記燃料貯蔵タンクの流入口は、前記反応ゾーンの流出口と流体交通する。
【0031】
本発明のなおも別の態様に従って、燃料貯蔵タンクの蒸気相から1種類以上の反応成分濃度を(例えば、当該蒸気相中の反応成分の失活によって)低下させるシステムであって、前記燃料貯蔵タンクが、当該タンクからの蒸気の除去用流出口と当該タンクへの蒸気の還流用流入口を含むシステムが提供される。本発明のシステムは、
・触媒ゾーンであって、当該触媒ゾーンが場合により担持された金属触媒を含み、当該触媒が、1種類以上の反応成分の反応を、適切な条件下で当該成分と接触すると、促進することができる触媒ゾーンと、
・前記燃料貯蔵タンクの蒸気空間と、当該燃料貯蔵タンクの流出口を経由して流体交通している前記システムへの流出口と、
・前記燃料貯蔵タンクの蒸気空間と当該燃料貯蔵タンクの流入口を経由して流体交通している前記反応ゾーンからの流出口
を含む。
本発明の実施形態は、前記触媒ゾーンと連結する温度モジュレーターを含むことができる。他の実施形態では、本発明のシステムは、前記蒸気からの水分除去用トラップを含むことができる。
【0032】
本発明のなおも別の態様に従って、航空機で使用する燃料貯蔵システムが提供される。本発明のシステムは、
・燃料貯蔵タンクであって、当該タンクからの蒸気除去用流出口と、当該タンクへの蒸気の還流用流入口を有する燃料貯蔵タンクと、
・反応ゾーンであって、流入口および流出口を有し、当該反応ゾーンが、前記燃料タンクの蒸気相中の1種類以上の反応成分を、当該蒸気相との接触時に失活させるのに適した条件を提供する反応ゾーン
を含み、
前記燃料貯蔵タンクの流出口は、前記反応ゾーンの流入口と流体交通し、前記燃料貯蔵タンクの流入口は、前記反応ゾーンの流出口と流体連通(交通)する。
【0033】
本発明のなおも別の態様に従って、燃料貯蔵タンクの蒸気相から1種類以上の反応成分の濃度を(例えば、当該蒸気相中の反応成分の失活によって)低下させる方法であって、前記燃料貯蔵タンクが、当該タンクからの蒸気の除去用流出口と当該タンクへの蒸気の還流用流入口を供えている方法が提供される。本発明の方法は、
・前記燃料貯蔵タンクからの蒸気相の少なくとも一部を反応ゾーンを通過させる段階であって、当該反応ゾーンが、前記蒸気相との接触時に前記の1種類以上の反応成分を失活させ、それによって、当該蒸気中に低下した反応成分濃度を有する蒸気相を当該反応ゾーン中に生じるのに適した条件を提供し段階と、
その後、
・前記蒸気中の反応成分の濃度を低下させた前記蒸気相を前記の燃料貯蔵タンクに還流させる段階
を含む。
【0034】
本発明のさらに別の態様に従って、燃料貯蔵槽中の燃料または燃料貯蔵槽の蒸気空間中の蒸気を、(例えば、前記貯蔵槽の燃料または燃料蒸気が当該貯蔵槽から抜き出される際に)反応成分枯渇蒸気に置換する方法が提供される。本発明の方法は、
・空気を気化燃料と配合する段階と、
・反応成分枯渇蒸気を生成するのに適した条件下で、得られた配合物を反応ゾーンを通過させる段階と、
・場合により、前記反応成分枯渇蒸気からいずれかの量の水分を除去し、実質的に無水の反応成分枯渇蒸気を生成する段階と、
・得られた実質的に無水の反応成分枯渇蒸気を前記燃料貯蔵槽に導入する段階
を含む。
【0035】
燃料貯蔵槽中の燃料または燃料貯蔵槽の蒸気空間中蒸気を(例えば、前記貯蔵槽の燃料または蒸気空間燃料蒸気が当該貯蔵槽から抜き出される際に)反応成分枯渇蒸気で置換する本発明で企図されるさらなる方法は、
・反応成分枯渇空気を生成するのに適した条件下で、反応ゾーン中で空気と気化燃料の配合物を接触させる段階と、
・場合により、前記反応成分枯渇空気からいずれかの量の水分を除去し、実質的に無水の反応成分枯渇蒸気を生成する段階と、
・得られた実質的に無水の反応成分枯渇蒸気を前記燃料貯蔵槽に導入する段階
を含む。
【0036】
燃料貯蔵槽中の燃料または燃料貯蔵槽の蒸気空間中の蒸気を反応成分枯渇蒸気で置換する本発明で企図されるさらなる方法は、
・燃料貯蔵槽の燃料または蒸気空間中燃料蒸気が当該燃料貯蔵槽から抜き出される際に、当該燃料貯蔵槽へ処理済み蒸気を導入し、
当該処理済み蒸気が、反応成分枯渇空気を生成するのに適した条件下で、空気と気化燃料の配合物を反応ゾーンを通過させることによって調製される段階と、
・場合により、前記反応成分枯渇空気からいずれかの量の水分を除去する段階
を含む。
【0037】
図1は、本発明のある実施形態の概略図である。反応成分低減システム100は、空気(窒素および酸素を含有する)と燃料槽102からの燃料蒸気の混合物を供給される。当該空気/燃料蒸気混合物は、ライン104を経由して、当該空気/燃料蒸気混合物の酸素含量を低減するのに十分な条件に維持された触媒層106に供給される。任意に、空気は、(必要に応じて)ライン108を経由して触媒層106に供給され(または、当該層から除去され)、前記燃料槽中の圧力の平衡化を可能にすることができる。次に、前記空気および燃料蒸気混合物は、触媒層106からライン110を経由して燃料槽102に供給されることができる。
【0038】
図2は、図1に示される本発明の反応成分低減システムの別の実施形態の概略図である。ポンプ112が提供され、燃料槽102から触媒層106への空気燃料蒸気混合物の供給を促進する。任意の多孔質火炎防止プラグ114および116が、それぞれ、触媒層106の上流と下流に提供され、触媒層からの炎やスパークが燃料槽に拡大もしくは接触するのを防止することができる。空気と反応成分含量低減燃料蒸気混合物中に存在する水分を、当該混合物が燃料槽102に再循環される前に除去するために、水分フィルター118が触媒層106の下流に提供されることができ、火炎防止プラグ116が提供されることができる。
【0039】
図3は、本発明の別の実施形態の概略図であり、この場合、空気源202および燃料蒸気206源は、それぞれ、ライン204および208を経由してライン210に供給され、ここで、それらは配合され、燃料蒸気/空気混合物を形成し、触媒層212に供給される。別法として、空気202および燃料蒸気206は、触媒層212に直接供給され、それらは、当該触媒層で配合される。当該燃料蒸気/空気混合物は、触媒作用を受け、それによって、当該触媒が当該燃料蒸気/空気混合物の反応成分含量を低減する。本発明の実施において、多数の各種触媒のいずれも用いられることができ、例えば、使用される現在好ましい触媒は、標準貴金属触媒である。低減反応成分含量を有する燃料蒸気/空気混合物は、触媒層212を出て、ライン214を経由し、場合により、フィルター/コンデンサー216を通され、触媒処理中に形成されたいずれかの量の水分を除去し、その後、燃料が燃料貯蔵槽218から抜き出される際に、燃料貯蔵槽218に導入されることができる。
【0040】
図4は、低酸素濃度下での触媒の性能を示す。空気燃料蒸気混合物は、異なる濃度で、1.24cm x 17.78cmステンレススチール管に充填された標準貴金属触媒ペレット上を通され、当該管からの流出ガスの酸素含量が測定された。グラフは、上昇温度に応じた触媒管流出ガス中の酸素濃度を示す。図4に示されるように、温度が約290°F(143℃)まで増加するにつれ、当該触媒管流出ガス中の酸素含量は、急速に減少し、約290°F(143℃)で、約650ppmの酸素含量が測定された。温度が約290°F(143℃)からさらに400°F(204℃)まで上昇すると、当該流出ガス中の酸素含量は、徐々に減少し、5ppm未満に達する。この例は、かかる反応成分低減システムの稼動能力を明確に実証している。
【0041】
図5は、温度モジュレーターおよび触媒ゾーンを含む本発明の反応成分除去システムのある実施形態を示す。反応成分除去システム300は、燃料タンクからの蒸気を流入口302を経由して供給される(当該タンクは、燃料に溶解された酸素を含む場合がある)。流入口302は、ブロワー304を含み、当該ブロワーが、反応成分除去システム300を通過する前記蒸気の移動を促進することができる。流入口302は、一定量の流入ガスのサンプリング用のサンプルポート306も含むことができ、逆流防止バルブ308も含むことができる。流入口302から当該システムに入る蒸気は、温度モジュレーター310に供給され、当該モジュレーターは、例えば、シェルおよびチューブ型熱交換器を含むことができる。熱交換媒体は、外気もしくはガスであることができ、あるいは、液体であることができる。任意に、当該反応成分除去システムからの浄化蒸気が熱交換媒体として使用されることができる。当該システムは、触媒層314の上流にヒーター312も含むことができる。触媒層314は、例えば流動層など、様々な方法で構成されることができ、あるいは、フィンまたは円錐担持触媒を含むことができる。
【0042】
温度モジュレーター310は、熱交換器であることができ、蒸気流からの水分の除去手段を含むことができ、排水ドレーン322および自動排湿ドレーンバルブ320を含むことができる。反応成分含量低減蒸気は、酸素センサー324と逆流防止バルブ330を含むことができる流出口328を経由して前記システムを出る。
【0043】
反応成分除去システム300は、処理対象の蒸気量および当該蒸気からの望みの反応成分除去速度に基づいて適宜サイズを調整されることができる。同様に、熱交換器310は、使用熱交換媒体および温度勾配を含めた様々なパラメーターに基づいてサイズを変えることができる。
【0044】
本発明の反応成分除去システムの一例では、少なくとも50cFM(cu.ft./分、70.79m/分)の流速を有するように設計された装置が提供される。好ましくは、当該システムは、少なくとも150cFM(cu.ft./分、212.37m/分)の流速を提供する。本発明の反応成分除去システムの一例では、当該装置の寸法は、約12インチx 12インチ x 40インチ(30.48cm x 30.48cm x 101.60cm)である。かかるシステムのあるものでは、前記触媒層は、少なくとも直径5インチ(12.70cm)と長さ4.5インチ(11.43cm)の円管であることができる。
【0045】
図6は、温度モジュレーターを含む本発明のシステムのある実施形態を示す。触媒含有反応ゾーン400は、流入口404を経由して反応成分含有蒸気402を供給される。反応ゾーン400は、当該反応ゾーン中で垂直に配置された触媒コーティング管406を含む。好ましくは、触媒コーティング管406は、触媒の取替えを容易にするために取り外し可能である。反応ゾーン400は、フィンまたは通路408を含み、当該反応ゾーンの加熱または冷却用の熱交換媒体の通過を促進することができる。図6に示されるように、熱交換媒体(空気などのガス、または、水などの液体)は、反応ゾーン400の最上部410を経由して当該反応ゾーンに入り、当該反応ゾーンのフィンまたは通路408を通って流れ、底部412を出る。反応成分含量低減蒸気は、流出口414を経由して反応ゾーン400を出る。
【0046】
図7は、本発明に従った反応成分の低減用触媒管のある実施形態を示す。管500は、触媒コーティング円錐502を含み、当該円錐の先端504が、円錐506底部の上流になるように配置される。前記管を通過する気流501の流れは、すべて矢印によって示される。当該円錐が当該管内に配置されているかかる配列は、当該触媒と前記蒸気の間の最大の相互作用を促進し、下流でより高い濃度の触媒を可能にし、反応成分が抜き出された燃料蒸気と空気の混合物の流れを制御できる。反応成分含量が低減された蒸気507は、円錐506を通過して流れる。
【0047】
図8は、燃料蒸気中の反応成分の低減用の触媒管/熱交換器の実施形態を示す。触媒管/熱交換器システム600は、管602を含むことができ、当該管は、触媒粒子604を充填されることができる(○で当該図に表示)。当該管内には、任意に、不活性非触媒固体粒子(図示せず)も存在することができる。当該管は、前記触媒と非触媒粒子の保持用に、前記触媒ゾーンの入口606と出口608に配置されたスクリーン(篩)を含むことができる。当該図中に示される実施形態では、当該管中の触媒密度は、上流よりも下流が高い状態であることができる。非触媒固体粒子は、使用済み触媒、触媒を含まない担持材料、ガラスビーズなどであることができる。勾配触媒分布は、熱負荷の均一分布を促進し、供給蒸気からの反応成分濃度の緩徐な低減をもたらす。管の構造は、フィンまたはリッジ(畝)610を組み入れ、最大表面積を提供し、熱交換器として機能することができる。
【0048】
図9は、燃料蒸気流および、任意に、空気流からの反応成分の除去用触媒管/熱交換システム(それぞれ、図9Aおよび9Bに700aおよび700bとして図示)の2件の実施形態を一括して示す。当該燃料蒸気混合物の流れは、矢印で示され、処理対象の流れは、上流の位置で前記管に入り、下流の位置で出る。触媒管700aおよび700bの内部は、触媒コーティングフィン704aおよび704bを含む。当該管は、管700aに示されるように、勾配触媒密度を有するように構成されることができ、その場合、触媒コーティングフィン704aの長さは、前記蒸気流が当該管内を下流に進むにつれ増加する。別の実施形態では、当該管は、管700bで示されるように、均一な触媒密度を有するように構成されることができ、この場合、触媒コーティングフィン704bの長さは、当該触媒管の全長で均一である。図のように、当該管は、管700aおよび700bの外部上に示されるように、熱交換フィンを含むことができる。熱交換器システム中で曝される表面積が多いほど、熱伝達の促進が増強される。触媒コーティングフィン704aおよび704bは、前記燃料蒸気の当該触媒との最大接触を促進するように、幅が変動することができる。
【0049】
図10は、3種類の触媒管/熱交換器構造を一括して示す。図10Aに示されるように、触媒管は、燃料蒸気および空気の供給流からの反応成分の除去用として提供される。管800aは、管壁802aおよび内区画804aを含む。任意に、内区画804aは、スクリーン(篩)(図示せず)を含み、触媒粒子を一定の空間および体積中に保持することができる。管800aは、当該管の外面にフィン806aを含み、前記触媒管との熱伝達を促進する。
【0050】
図10Bに示されるように、熱交換器フィンを保有しない触媒管が提供される。当該触媒管は、管壁802b、内区画804bを含む、当該内区画は、触媒コーティング円錐808bを含むことができる。好ましくは、当該触媒コーティング円錐808bは、先端810bと底部812bを有し、好ましくは、円錐810bの先端は、触媒円錐底部812bの上流に配置される。
【0051】
図10Cに示されるように、触媒コーティング円錐808cおよび熱交換フィン806cを有する触媒管が提供される。当該触媒管は、管壁区画802cおよび当該管壁内に提供される内区画804を含む。内区画804cは、触媒コーティング円錐808cを含み、当該円錐は、好ましくは、先端810cと底部812cを有し、当該円錐810cの先端は、好ましくは、触媒コーティング円錐808cの底部812cの上流に配置される。フィン806cは、当該管壁外部から伸び、熱伝達を促進する。
【0052】
図11は、本発明の反応成分除去システムのある実施形態を示す。燃料蒸気902は、ライン904経由で、反応成分除去システム900aに供給され、当該ラインは、任意に制御バルブ906を含むことができる。新鮮または再循環空気908は、流入口910から供給される。空気流入口910は、任意にヒーター912を含むことができ、当該ヒーターは、当該ヒーターの内部にフィン914を含み、空気供給流を予備加熱することができる。燃料蒸気902および予備加熱空気908は、反応ゾーン918で混ざり合い、当該混合物は、触媒コーティング熱交換器フィン920に接触する。触媒コーティングフィン920は、触媒ゾーン918内部に配置されるが、フィン922は、触媒ゾーン918の外部に位置する。触媒フィン920は、様々な幅を有することができ、当該触媒ゾーン内に配置され、反応成分含有蒸気と触媒コーティングフィンの間の最大接触を容易にする。当該図に示されるように、当該触媒ゾーンは、勾配触媒密度を有するように構成されることができ、あるいは、任意に、均一な触媒密度を有することができる。反応成分含量低減の燃蒸気/空気は、流出口924から前記システムを出る。
【0053】
図12は、本発明の反応成分除去システムの別の実施形態を示す。燃料蒸気1002は、ライン1004経由で、任意にバルブ1006を含むことができる反応成分除去システム1000aに供給される。新鮮供給される空気または再循環空気であることができる空気1008は、反応成分除去システム1000の流入口1010に供給される。当該空気は、予備加熱ゾーン1011を通過するが、当該予備加熱ゾーンは、熱交換器1012およびフィン1014、または、当該空気が接触する表面積を増加させる他の手段を含むことができる。前記予備加熱空気および燃料蒸気は、触媒源を含むことができる反応ゾーン1030に入る。当該図に示されるように、当該触媒含有源は、ワイヤーメッシュもしくは蜂の巣構造1032であることができる。反応成分含量低減の燃蒸気/空気混合物は、流出口1034経由で反応成分除去システム1000を出る。
【0054】
図13は、不活性化システムのある実施形態を示すもので、当該不活性化システムは、蒸発冷却を用いて、燃料セル(図示せず)からの蒸気相を含む供給流からの湿分の除去を促進する。燃料蒸気1102は、不活性化システム1100の流入口1104に供給され、そこで、当該燃料蒸気は、任意に、ライン流入口1108から供給される例えば空気などの第二ガス源1106と混ざり合う。当該蒸気は、熱交換器であることができるヒーター1110を通過し、その後、反応ゾーン1112に入る。当該反応ゾーンは、必要に応じて触媒システムおよび加熱または冷却システムを含むことができる。反応ゾーン流出口1114から当該反応ゾーンを出る蒸気は、コンデンサー部1116を通過し、パイプの外部で、例えば水などの液体と接触することができる。コンデンサー部で処理済み蒸気から除去された水分は、配管底部で収集されることができ、コンデンサー部1116の低位置に位置する複数のバルブ1118のいずれかを経由してコンデンサー部1116から除去されることができる。ドレーンバルブ1118を経由して処理済み蒸気から除去される液体は、ポンプ1124によって蒸発冷却システム内で循環され、必要に応じて使用されることができる。不活性化システム1100は、湿分フィルターシステム1120も含むことができ、任意に、例えば酸素、炭化水素、または、処理済み蒸気流に残ったいずれかの望ましくない成分の除去用として構成された他の望ましい濾過システム1122を含むことができる。当該蒸発冷却システムは、蒸気から除去された水分を、ライン1126を経由して穴1128へ再循環させ、それによって、当該水分を前記反応成分除去システムのコンデンサー部1116に接触させ、それによって、前記蒸気からの水分の除去を一層促進することができる。
【0055】
図14は、蒸気流からの熱および湿分の除去用のシステムのある実施形態を示す。燃料蒸気供給流1202および、場合により、空気は、除去システム1200の流入口1204に供給される。流入口1204は、場合により、プレヒーター1206を含むことができる。任意に予備加熱された蒸気流は、触媒ゾーン1208に供給され、当該ゾーンは、当該蒸気と当該触媒の間の最大接触を容易にするように配置された触媒材料を含むことができる。反応成分含量が低減された処理済み蒸気は、流出口ライン1210経由で触媒ゾーン1208を出て、ロータリーインライン装置部分1212に入る。当該ロータリーインライン装置部分は、流出する蒸気流からの水分除去、熱除去またはその両方を促進するために使用されることができる。ロータリーインライン装置部分1212は、流出口1210によって画定される軸の回りを時計回りか反時計回りで回転する。蒸気は、ライン1214を経由してインライン装置部分1212を出る。
【0056】
図15は、反応成分除去システム内で冷却を制御するある方法を示す。蒸気は、ライン1302を経由して冷却装置部部分1300に入る。好ましくは、蒸気流1302は、膨張冷却によって冷却され、この場合、流入管の直径は、流出管の直径よりも小さい。体積が大きいほど、圧力を低下させ、その後、温度を下降させる。膨張加熱装置部分は、スクリーン(篩)1306を含むことができ、これが、装置部分1300を出る際に、減圧をさらに促進する。
【0057】
図で示され、また、上記で説明された典型的実施形態は、現在好ましいものであるが、これらの実施形態が、一例として提示されているにすぎないのは、当然のことである。他の実施形態は、例えば、同一の作動の実施に異なる技術を含むことができる。本発明は、特定の実施形態に制約されるものではなく、様々な変更、組合せおよび順序に拡大するが、添付特許請求の範囲の範囲と精神を逸脱するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、本発明に従った反応成分低減システムのある実施形態の概略図である。
【図2】図2は、本発明に従った反応成分低減システムの別の実施形態の概略図である。
【図3】図3は、本発明に従った反応成分低減システムのさらに別の実施形態の概略図である。
【図4】図4は、本発明の触媒反応成分除去システムの性能を示す。比較的低温で、標準貴金属触媒は、酸素レベルを0.6%の開始レベルから5ppm未満まで低減することができる。
【図5】図5は、本発明に従った反応成分低減システムの別の実施形態の概略図である。
【図6】図6は、本発明に従った、熱交換能力を備えた触媒含有反応ゾーンのある実施形態の図である。
【図7】図7は、本発明に従った、反応成分低減用の触媒収納管のある実施形態の図である。
【図8】図8は、本発明に従った、勾配密度を有する触媒管の図である。
【図9】図9Aおよび9Bは、触媒のコーティングに適した内部フィンを有する触媒管の2件の実施形態を示す。
【図10】図10は、本発明の実施での使用を企図される触媒管の3件の実施形態を一括して示す。図10Aは、外部フィンを有する触媒管の実施形態の図である。図10Bは、触媒をコートされることができる内部円錐を有する触媒管の実施形態の図である。図10Cは、触媒をコートされることができる外部フィンと内部円錐の両方を有する触媒管の実施形態の図である。
【図11】図11は、本発明に従った反応成分低減システムの実施形態の図である。
【図12】図12は、本発明に従った反応成分低減システムの別の実施形態の図である。
【図13】図13は、本発明に従った、蒸発冷却を特徴付けた反応成分低減システムの実施形態の図である。
【図14】図14は、本発明の実施での使用を企図されるロータリー水分除去システムの実施形態の図である。
【図15】図15は、本発明の実施での使用を企図される触媒管の実施形態の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料貯蔵タンクの蒸気相から1種類以上の反応成分の濃度を低減させるシステムであって、前記燃料貯蔵タンクが、前記タンクからの蒸気の除去用流出口と、前記タンクへの蒸気の還流用流入口を備え、
前記システムが:
・反応ゾーンであって、前記反応ゾーンが、前記反応ゾーンとの接触の際に前記の1種類以上の反応成分を失活させるのに適した条件を提供する反応ゾーンと;
・前記燃料貯蔵タンクの流出口を経由して前記燃料貯蔵タンクの蒸気空間と流体交通(fluid communication)している前記反応ゾーンへの流入口と;
・前記燃料貯蔵タンクの流入口を経由して前記燃料貯蔵タンクの蒸気空間と流体交通している前記反応ゾーンからの流出口
を含むシステム。
【請求項2】
前記システムが閉鎖ループシステムであることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
さらに、準大気圧または超大気圧条件に曝される際に前記システム内で圧力を平衡化する流入口/流出口を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記流入口/流出口が、準大気圧条件に曝される際に前記システム内で圧力を平衡化するメイクアップガス源を含むことを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記流入口/流出口が、超大気圧条件に曝される際に前記システム内で圧力を平衡化する通気口を含むことを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記反応成分が酸素であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記蒸気相が、さらに、燃料蒸気を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記反応ゾーンが触媒収納槽を含み、前記触媒が、適切な条件下で前記反応成分と接触する際に、前記の1種類以上の反応成分と反応することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記触媒槽が流入端部と流出端部を有し、前記触媒量が前記流入端部から前記流出端部まで変動することを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記触媒含量が前記流入端部から前記流出端部まで増加することを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記触媒が、場合により担持された金属触媒であることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記金属触媒が、貴金属、貴金属、遷移金属酸化物、希土類酸化物、および、それらのいずれか2種類以上の混合物から成る群から選択されることを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記触媒を前記の1種類以上の成分と接触させる前記の適切な条件が、約25℃〜約1200℃の範囲の温度を含むことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記反応ゾーンが温度モジュレーターと連結されていることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
前記温度モジュレーターが熱交換器であることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記熱交換器が前記触媒収納槽と一体化されていることを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記熱交換器が熱交換媒体を含むことを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記熱交換媒体が外気または液体から選択されることを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記熱交換器がヒートポンプであることを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記温度モジュレーターが蒸発冷却器であることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項21】
前記反応ゾーンが、前記の1種類以上の反応成分を電磁波エネルギーとの接触時に失活させるのに十分な電磁波エネルギー源を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記反応ゾーンが、前記の1種類以上の反応成分をプラズマエネルギーとの接触時に失活させるのに十分なプラズマエネルギー源を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
さらに、前記燃料貯蔵タンクの流入口および/または流出口上に配置された火炎防止器を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
さらに、前記反応ゾーンの前および/または後ろに酸素センサーを含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項25】
さらに、前記蒸気からの水分除去用として前記反応ゾーンの下流にトラップを含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項26】
さらに、前記蒸気からの水分除去用として前記反応ゾーンの下流にトラップを含むことを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項27】
反応成分枯渇空気を燃料貯蔵槽に、燃料が前記燃料貯蔵槽から抜き出される際に導入するシステムであって、
前記システムが:
・流入口および流出口を有する反応ゾーンと;
・空気源であって、前記空気源が前記反応ゾーン流出口と流体交通している空気源と;
・燃料蒸気源であって、前記燃料蒸気源が前記反応ゾーン流入口と流体交通している燃料蒸気源と;
・場合により、フィルター/コンデンサーであって、前記フィルター/コンデンサー存在時、前記反応ゾーンが前記フィルター/コンデンサーの流入口と流体交通し、前記フィルター/コンデンサーの流出口が前記燃料貯蔵槽と流体交通しているフィルター/コンデンサー
を含み、
前記反応ゾーンが、燃料蒸気の存在下で前記空気源と接触する際に、前記空気源中の酸素を除去する、または、酸素濃度を低下させるのに適した条件下で稼動し、前記燃料貯蔵槽と流体交通していることを特徴とするシステム。
【請求項28】
燃料貯蔵槽の燃料または蒸気空間中蒸気を、反応成分枯渇蒸気で置換するシステムであって、
前記システムが:
・流入口および流出口を有する反応ゾーンと;
・空気源であって、前記空気源が前記反応ゾーン流出口と流体交通している空気源と;
・燃料蒸気源であって、前記燃料蒸気源が前記反応ゾーン流入口と流体交通している燃料蒸気源と;
・場合により、フィルター/コンデンサーであって、前記フィルター/コンデンサーが存在すると、前記反応ゾーンが前記フィルター/コンデンサーの流入口と流体交通し、前記フィルター/コンデンサーの流出口が前記燃料貯蔵槽と流体交通するフィルター/コンデンサー
を含み、
前記反応ゾーンが、燃料蒸気の存在下での反応成分との接触時に、前記空気源中の反応成分濃度を低下させるのに適した条件を提供し、前記反応ゾーンが、前記燃料貯蔵槽と流体交通するシステム。
【請求項29】
燃料貯蔵タンクの蒸気相からの1種類以上の反応成分の濃度を低下させるシステムであって、前記燃料貯蔵タンクが、前記タンクからの蒸気の除去用流出口と、前記タンクへの蒸気の還流用流入口を含み、
前記システムが:
・触媒ゾーンであって、前記触媒ゾーンが場合により担持された金属触媒を含み、前記触媒が、1種類以上の反応成分と、適切な条件下での前記成分との接触時に、反応する触媒ゾーンと;
・前記燃料貯蔵タンクの蒸気空間と、前記燃料貯蔵タンクの流出口を経由して流体交通している前記システムへの流入口と;
・前記燃料貯蔵タンクの蒸気空間と、前記燃料貯蔵タンクの流入口を経由して流体交通している前記反応ゾーンからの流出口
を含むシステム。
【請求項30】
さらに、前記触媒ゾーンと連結された温度モジュレーターを含むことを特徴とする請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
さらに、前記蒸気から水分を除去するトラップを含むことを特徴とする請求項29に記載のシステム。
【請求項32】
航空機で使用する燃料貯蔵システムであって、前記システムが:
・燃料貯蔵タンクからの蒸気除去用流出口と、前記タンクへの蒸気の還流用流入口を有する燃料貯蔵タンクと;
・流入口および流出口を有する反応ゾーンであって、前記反応ゾーンが、前記燃料タンクの蒸気相中の1種類以上の反応成分を、前記蒸気相との接触時に失活させるのに適した条件を提供する反応ゾーン
を含み、
前記燃料貯蔵タンクの流出口が、前記反応ゾーンの流入口と流体交通し、前記燃料貯蔵タンクの流入口が、前記反応ゾーンの流出口と流体交通するシステム。
【請求項33】
前記反応ゾーンが、さらに、触媒収納槽を含み、前記触媒が、前記の1種類以上の反応成分の失活を、適切な条件下での前記反応成分との接触時に促進することができることを特徴とする請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
さらに、温度モジュレーターを含むことを特徴とする請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記温度モジュレーターが触媒収納槽に連結されていることを特徴とする請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
燃料貯蔵タンクの蒸気相から1種類以上の反応成分の濃度を低下させる方法であって、前記燃料貯蔵タンクが、前記タンクからの蒸気の除去用流出口と前記タンクへの蒸気の還流用流入口を含む方法であって、前記方法が:
・前記燃料貯蔵タンクからの蒸気相の少なくとも一部を反応ゾーンを通過させ、前記反応ゾーンが、前記蒸気相との接触時に前記の1種類以上の反応成分を失活させるのに適した条件を提供し、それによって、前記蒸気中に低下した反応成分濃度を有する蒸気相を前記反応ゾーン中に生じる段階と;その後、
・前記蒸気相中の反応成分の濃度を低下させた前記蒸気相を前記の燃料貯蔵タンクに還流させる段階
を含む方法。
【請求項37】
前記反応ゾーンが触媒収納槽を含むことを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
さらに、前記燃料貯蔵タンクからの前記蒸気相を、前記反応ゾーンの上流の温度モジュレーターと接触させる段階を含むことを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項39】
燃料貯蔵槽中の燃料または燃料貯蔵槽の蒸気空間中蒸気を、前記貯蔵槽の燃料が前記燃料貯蔵槽から抜き出される際に、反応成分枯渇空気で置換する方法であって、
前記方法が:
・空気を気化燃料と配合する段階と;
・反応成分枯渇空気を生成するのに適した条件下で、反応ゾーンを前記配合物を通過させる段階と;
・場合により、前記反応成分枯渇空気からいずれかの量の水分を除去し、実質的に無水の反応成分枯渇空気を生成する段階と;
・得られた実質的に無水の反応成分枯渇空気を、燃料が前記燃料貯蔵槽から抜き出される際に前記燃料貯蔵槽に導入する段階
を含む方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図10C】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公表番号】特表2009−501680(P2009−501680A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520426(P2008−520426)
【出願日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/026631
【国際公開番号】WO2007/008730
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(507175186)ファイア テクノロジーズ、インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】