説明

計測システム及び火災報知システム

【課題】簡単な構成で比較的正確に計測周期を制御することにより、消費電力の小さい計測システムを提供すること。
【解決手段】計測システム10は、第1のクロック122を生成する発振回路120と第1のクロック122に基づいて第3のクロック142を生成するクロック生成手段140とを含むクロック発生手段90と、第1のクロック122の周波数と第2のクロック12の周波数を比較する周波数比較手段150と、第3のクロック142に基づいて所定のタイミングをカウントし、所定のタイミングに達する毎に計測データ14の取得を開始するための計測トリガ信号162を発生させる計測トリガ発生手段160と、を含む。クロック発生手段90は、比較結果152に基づいて第3のクロック142の周波数が所定の範囲の値になるように補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測システム及び火災報知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
火災報知システムに使用される煙検知用ICは長期間(例えば10年間)継続して電池駆動される。そのため、煙検知用ICは低消費電力で動作しなければならない。このような火災報知システムに代表される計測システムでは、極めて短い時間の計測処理を一定の周期で繰り返し行うことにより低消費電力化が図られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された火災感知器では、火災データを取り込んで高速に処理する動作モードと処理を停止する停止モードを有する高速CPUと、高速CPUの動作モード又は停止モードに設定するタイミングを制御する低速CPUを備えることにより低消費電力化を図っている。
【特許文献1】特開平7−175982号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記手法では低速CPUを常時動作させる必要があり、かつ、2つのCPUを必要とするため回路規模も大きくなり、十分な低消費電力化が図れていなかった。十分な低消費電力化を実現するためには、計測周期を制御するために必要な消費電力を削減することが重要である。
【0005】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で比較的正確に計測周期を制御することにより、消費電力の小さい計測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の計測システムは、
間欠的に所定の計測データを取得する計測システムであって、
第1のクロックを生成する発振回路と、前記第1のクロックに基づいて第3のクロックを生成するクロック生成手段とを含むクロック発生手段と、
前記第1のクロックの周波数と所与の第2のクロックの周波数を比較する周波数比較手段と、
前記第3のクロックに基づいて所定のタイミングをカウントし、前記所定のタイミングに達する毎に前記計測データの取得を開始するための計測トリガ信号を発生させる計測トリガ発生手段と、を含み、
前記クロック発生手段は、
前記周波数比較手段の比較結果に基づいて、前記第3のクロックの周波数が所定の範囲の値になるように補正することを特徴とする。
【0007】
クロック発生手段は、周波数比較手段の比較結果に基づいて、第3のクロックの周波数がターゲットの周波数に対して所定の誤差の範囲内の周波数になるように補正するようにしてもよい。
【0008】
第2のクロックは、集積回路装置の外部から供給されるようにしてもよいし、集積回路装置の内部で生成させてもよい。
【0009】
また、第2のクロックは第3のクロックの周波数補正の精度に影響を与える。従って、第2のクロックは、周波数精度がより高い方が好ましく、また、環境変化(例えば、温度変化)による周波数変動が小さい方がより好ましい。第2のクロックは、例えば、水晶発振器やCR発振回路が出力するクロックであってもよい。
【0010】
本発明によれば、発振回路が出力する第1のクロックに基づいて生成される第3のクロックの周波数を第2のクロックに基づいて補正する。従って、第1のクロックの周波数精度が低い場合でも、第2のクロックの周波数精度が高ければ、第3のクロックの周波数を高い精度で補正することができる。
【0011】
また、本発明によれば、第3のクロックの周波数精度は、第2のクロックの周波数精度に大きく依存し、第1のクロックの周波数精度にはあまり依存しない。従って、第1のクロックを生成する発振回路の構成を簡単にすることができる。
【0012】
また、本発明によれば、第1のクロックに基づいて生成された第3のクロックに基づいて、計測トリガ信号を発生させる。従って、第1のクロックを生成する発振回路の消費電流が小さい場合には計測が行われない期間の消費電流を削減することができる。
【0013】
(2)本発明の計測システムは、
前記クロック生成手段は、
前記周波数比較手段の比較結果に基づいて、前記第3のクロックの周波数が前記所定の範囲の値になるように補正することを特徴とする。
【0014】
クロック生成手段は、周波数比較手段の比較結果に基づいて、第3のクロックの周波数がターゲットの周波数に対して所定の誤差の範囲内の周波数になるように補正するようにしてもよい。
【0015】
本発明によれば、発振回路が出力する第1のクロックの周波数を直接補正する必要がない。従って、発振回路の発振動作を制御するためのフィードバック制御回路が不要である。
【0016】
(3)本発明の計測システムは、
前記計測トリガ信号が発生する毎に、所定の計測期間において前記計測データを取得する計測データ取得手段を含み、
前記計測データ取得手段は、
前記第2のクロックに基づいて、前記計測期間を決定することを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、第2のクロックに基づいて、計測期間を決定する。従って、第2のクロックの周波数精度が高い場合には計測期間を正確に決定することができるので、計測の精度を向上させることができる。
【0018】
(4)本発明の計測システムは、
前記第2のクロックは間欠的に供給されることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、第2のクロックは間欠的に供給されるので、第2のクロックが必要ない期間(計測を行わない期間)は第2のクロックを停止することができる。その結果、消費電流を削減することができるので、第2のクロックの周波数が高い場合であっても、長時間の電池駆動を可能にすることができる。
【0020】
(5)本発明は、
上記記載の計測システムと、
発光素子と、
受光素子と、を含み、
前記計測トリガ発生手段は、
前記第3のクロックに基づいて、前記発光素子を発光させる所定のタイミングをカウントし、前記所定のタイミングに達する毎に前記計測トリガ信号を発生させ、
前記計測データ取得手段は、
前記第2のクロックに基づいて前記発光素子を発光させる時間を制御して前記発光素子を駆動する発光素子駆動制御手段と、前記受光素子の受光量に関するデータを取得する受光データ取得手段と、を含むことを特徴とする火災報知システムである。
【0021】
本発明によれば、第2のクロックに基づいて、発光素子を発光させる時間を制御する。従って、第2のクロックの周波数精度が高い場合には発光素子を発光させる時間を正確に制御することができるので、計測データの精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0023】
1.計測システム(集積回路装置)
図1は、本実施の形態の計測システム(集積回路装置)の機能ブロック図である。
【0024】
計測システム(集積回路装置)10は、レギュレータ100を含んで構成されていてもよい。レギュレータ100は、発振回路120を駆動するための基準電圧102を発生させる。また、レギュレータ100は、発振回路120を駆動するための基準電流104を発生させるようにしてもよい。
【0025】
計測システム(集積回路装置)10は、基準電圧制御手段110を含んで構成されていてもよい。基準電圧制御手段110は、第1のクロックの周波数の温度特性に関する温度特性情報(温度特性情報)16に基づいて、基準電圧102を制御する。
【0026】
ここで、温度特性情報16は、第1のクロック122の周波数の温度特性に関する情報であればよい。例えば、第1のクロック122の周波数の温度特性を測定した結果から得られる直接的な情報であってもよいし、発振回路120に流れる電流やレギュレータが出力する基準電圧の温度特性を測定した結果から得られる間接的な情報であってもよい。
【0027】
また、温度特性情報16は、例えば、計測システム(集積回路装置)10のテスト時に第1のクロック122の周波数の温度特性を測定し、測定結果から求められる所定の設定値(基準電圧102の温度特性を設計値等に近づけるための設定値)であってもよい。
【0028】
また、温度特性情報16は、計測システム(集積回路装置)10の外部の不揮発性メモリから供給されてもよいし、計測システム(集積回路装置)10の内部の不揮発性メモリに格納されていてもよい。
【0029】
計測システム(集積回路装置)10は、発振回路120を含んで構成されている。発振回路120は、第1のクロック122を生成する。
【0030】
計測システム(集積回路装置)10は、周波数制御手段130を含んで構成されていてもよい。周波数制御手段130は、温度特性情報16に基づいて、第1のクロック122の周波数を制御する。例えば、周波数制御手段130は、周波数制御信号132を生成し、第1のクロック122の周波数を制御するようにしてもよい。
【0031】
ここで、温度特性情報16は、例えば、計測システム(集積回路装置)10のテスト時に第1のクロック122の周波数の温度特性を測定し、測定結果から求められる所定の設定値(第1のクロック122の周波数の温度特性を設計値等に近づけるための設定値)であってもよい。
【0032】
計測システム(集積回路装置)10は、クロック発生手段90を含んで構成されている。クロック発生手段90は、クロック生成手段140と周波数比較手段150を含んで構成されている。クロック発生手段90は、周波数比較手段150の比較結果152に基づいて、第3のクロック142の周波数が所定の範囲の値になるように補正する。クロック発生手段90は、例えば、周波数比較手段150の比較結果152に基づいて、第3のクロック142の周波数がターゲットの周波数に対して所定の誤差の範囲内の周波数になるように補正するようにしてもよい。
【0033】
クロック生成手段140は、第1のクロック122に基づいて、第3のクロック142を生成する。また、クロック生成手段140は、周波数比較手段150の比較結果152に基づいて、第3のクロック142の周波数が所定の範囲の値になるように補正するようにしてもよい。例えば、クロック生成手段140は、周波数比較手段150の比較結果152に基づいて、第3のクロック142の周波数がターゲットの周波数に対して所定の誤差の範囲内の周波数になるように補正するようにしてもよい。
【0034】
周波数比較手段150は、第1のクロック122の周波数と第2のクロック12の周波数を比較する。周波数比較手段150は、第1のクロック122の周波数と第2のクロック12の周波数を直接的に比較してもよいし、間接的に比較してもよい。例えば、周波数比較手段150は、第1のクロック122に基づいて定義された期間の長さと第2のクロック12に基づいて定義された期間の長さを比較することにより、第1のクロック122の周波数と第2のクロック12の周波数を間接的に比較してもよい。
【0035】
第2のクロック12は、計測システム(集積回路装置)10の外部から供給されるようにしてもよいし、計測システム(集積回路装置)10の内部で生成させてもよい。また、第2のクロック12は間欠的に供給されるようにしてもよい。第2のクロック12は第3のクロック142の周波数補正の精度に影響を与える。従って、第2のクロック12は、周波数精度がより高い方が好ましく、また、環境変化(例えば、温度変化)による周波数変動が小さい方がより好ましい。第2のクロック12は、例えば、水晶発振器やCR発振回路が出力するクロックであってもよい。
【0036】
周波数比較手段150は、第2のクロック12に基づいて定義された所定の期間を第1のクロック122に基づいてカウントするようにしてもよい。ここで、周波数比較手段150は、第2のクロック12に基づいて定義された所定の期間を第1のクロック122で直接カウントしてもよいし、例えば、第1のクロック122の分周クロックでカウントしてもよい。第2のクロック12に基づいて定義された所定の期間は、例えば、第2のクロック12の1周期分又は半周期分の期間であってもよいし、第2のクロック12の分周クロックの1周期分又は半周期分の期間であってもよい。また、例えば、補正後の第3のクロック142の1周期分又は半周期分に相当する期間を第2のクロック12に基づいて定義してもよい。
【0037】
クロック生成手段140は、カウント結果152に基づいて、第1のクロック122を分周して第3のクロック142を生成するようにしてもよい。ここで、クロック生成手段140は、例えば、カウント結果152がn(nは1以上の整数)である場合には、第1のクロック122をn分周して第3のクロック142を生成してもよいし、第1のクロック122をm(mはnと異なる1以上の整数)分周して第3のクロック142を生成してもよい。
【0038】
また、周波数比較手段150は、第1のクロック122の周波数と第2のクロック12の周波数を間欠的に比較するようにしてもよい。例えば、周波数比較手段は、第3のクロックで所定の時間をカウントする毎に(例えば1時間に1回)、第1のクロックの周波数と第2のクロックの周波数を比較するようにしてもよい。
【0039】
また、周波数比較手段150は、第2のクロック12に基づいて定義された所定の期間を第1のクロック122に基づいて間欠的にカウントすることにより、第1のクロック122の周波数と第2のクロック12の周波数を間欠的に比較するようにしてもよい。さらに、周波数比較手段150は、カウント結果152を次回のカウントが終了するまで保持し、クロック生成手段140は、周波数比較手段150が保持するカウント結果152に基づいて、第3のクロック142を生成するようにしてもよい。
【0040】
本実施の形態の計測システム(集積回路装置)によれば、発振回路120が出力する第1のクロック122に基づいて生成される第3のクロック142の周波数を第2のクロック12に基づいて補正する。従って、第1のクロック122の周波数精度が低い場合でも、第2のクロック12の周波数精度が高ければ、第3のクロック142の周波数を高い精度で補正することができる。
【0041】
また、本実施の形態の計測システム(集積回路装置)によれば、第3のクロック142の周波数精度は、第2のクロック12の周波数精度に大きく依存し、第1のクロック122の周波数精度にはあまり依存しない。従って、第1のクロック122を生成する発振回路120の構成を簡単にすることができる。
【0042】
また、本実施の形態の計測システム(集積回路装置)によれば、発振回路120が出力する第1のクロック122の周波数を直接補正する必要がない。従って、発振回路120の発振動作を制御するためのフィードバック制御回路が不要である。
【0043】
また、本実施の形態の計測システム(集積回路装置)によれば、第2のクロック12に基づいて定義された所定の期間が、第1のクロック122の何周期分に相当するかを直接的に又は間接的にカウントし、カウント結果152に基づいて第3のクロック142を生成してもよい。従って、第3のクロック142の周波数を第2のクロック12の周波数精度で補正することができる。
【0044】
また、本実施の形態の計測システム(集積回路装置)によれば、第2のクロック12に基づいて定義された所定の期間が第1のクロック122によりカウントされるようにしてもよい。従って、第2のクロック12の周波数が第1のクロック122の周波数よりも高い場合であっても、第2のクロック12に基づいて定義された所定の期間を第1のクロック122の1周期よりも長い期間に定義すれば、第1のクロック122でカウントすることができる。
【0045】
また、本実施の形態の計測システム(集積回路装置)によれば、第2のクロック12に基づいて定義された所定の期間を長くするほどカウント数が多くなる。従って、第2のクロック12を基準とする補正後の第3のクロック142の周波数精度をより向上させることができる。
【0046】
また、本実施の形態の計測システム(集積回路装置)によれば、カウンタ回路と分周回路という簡単な構成で第3のクロックの周波数を補正することができる。
【0047】
また、本実施の形態の計測システム(集積回路装置)によれば、周波数比較手段150は間欠的に比較動作を行うようにしてもよい。従って、周波数比較手段150による比較動作の回数を減らすことができ、比較動作を行わない期間は第2のクロック12の供給を停止することができる。その結果、消費電流を大幅に削減することができるので、第2のクロック12の周波数が高い場合であっても、長時間の電池駆動が可能になる。
【0048】
また、本実施の形態の計測システム(集積回路装置)によれば、第1のクロック122の周波数の温度特性に基づいて、発振回路120が出力する第1のクロック122の周波数を制御するようにしてもよい。従って、計測システム(集積回路装置)の製造時の条件の違い等により発振回路120の温度特性がばらついても、第1のクロック122の周波数の温度特性が所定の特性値(設計値等)に近づくように調整することができる。
【0049】
また、本実施の形態の計測システム(集積回路装置)によれば、第1のクロック122の周波数の温度特性に基づいて、レギュレータ100が出力する基準電圧102を制御することができる。従って、計測システム(集積回路装置)の製造時の条件の違い等によりレギュレータ100の温度特性がばらついても、基準電圧102の温度特性が所定の特性値(設計値等)に近づくように調整することができる。その結果、第3のクロック142の周波数を補正する範囲を狭くすることができるので、クロック生成手段140の構成を簡単にすることができる。
【0050】
計測システム(集積回路装置)10は、計測トリガ発生手段160を含んで構成されている。計測トリガ発生手段160は、第3のクロック142に基づいて所定のタイミングをカウントし、所定のタイミングに達したら所定の計測トリガ信号162を発生させる。
【0051】
計測システム(集積回路装置)10は、計測データ取得手段170を含んで構成されていてもよい。計測データ取得手段170は、計測トリガ信号162が発生する毎に、所定の計測期間において計測データ14を取得する。計測データ取得手段170は、第2のクロック12に基づいて、計測期間を決定する。
【0052】
本実施の形態の計測システム(集積回路装置)によれば、第2のクロック12に基づいて計測データ14を取得する。従って、第2のクロック12の周波数の精度が高く、環境変化による周波数変動が小さければ、例えば、計測期間の誤差が測定データ14の精度に影響するような場合において第2のクロック12に基づいて計測期間を決定することにより、精度の高い計測データ14を取得することができる。
【0053】
また、本実施の形態の計測システム(集積回路装置)によれば、第3のクロック142に基づいてカウントした所定時間間隔で第2のクロック12に基づいて第3のクロック142の周波数を補正する。従って、第2のクロック12の周波数の精度が高く、環境変化による周波数変動が小さければ、第3のクロック142も所定時間間隔で比較的高い精度の一定周波数に補正される。その結果、第3のクロック142に基づいてカウントされる計測時間間隔の精度を向上することができる。
【0054】
さらに、第2のクロック12が計測期間にのみ間欠的に供給されるようにすれば、計測システム(集積回路装置)10の消費電流を大幅に削減することができる。
【0055】
なお、基準電圧制御手段110、周波数制御手段130、クロック生成手段140、周波数比較手段150、計測トリガ発生手段160、計測データ取得手段170は、専用のハードウェアで実現してもよいし、汎用CPUがソフトウェアを読み込んで各機能を実現してもよい。
【0056】
図2は、本実施の形態の計測システム(集積回路装置)に含まれる発振回路の構成例を説明するための図である。
【0057】
発振回路120は、リングオシレータ180と電流制御回路190を含んで構成されている。
【0058】
リングオシレータ180は、N段(Nは奇数)のインバータ回路180−1〜Nが直列接続され、最終段のインバータ回路180−Nの出力が初段のインバータ回路180−1の入力に接続されている。各インバータ回路180−k(kは1〜Nの整数)は、インバータ素子184−kと電流源182−k及び186−kを含んで構成されている。
【0059】
電流源182−kは、レギュレータ100が出力する基準電圧102の供給線とインバータ素子184−kを構成するPチャネルMOSトランジスタ(図示せず)のソース端子の間に接続されている。電流源186−kは、インバータ素子184−kを構成するNチャネルMOSトランジスタ(図示せず)のソース端子とグランド線の間に接続されている。電流源182−k及び電流源186−kは、インバータ素子184−kに電流(例えば、100nA)を供給する。
【0060】
電流制御回路190は、電流制御信号132に基づいて、電流源182−1〜N及び186−1〜Nが供給する電流を制御する。電流制御回路190は、例えば、レギュレータ100が出力する基準電流104から生成した所定の電流をミラーして電流源182−1〜N及び186−1〜Nに流すようにしてもよい。電流源182−1〜N及び186−1〜Nが各インバータ素子180−1〜Nに供給する電流量が多いほどリングオシレータ180の発振周波数が高くなる。すなわち、電流源182−1〜N及び186−1〜Nが供給する電流量を制御することにより、リングオシレータ180の発振周波数を制御することができる。
【0061】
ここで、図3(A)に示すように、インバータ素子184−1〜N、電流源182−1〜N及び186−1〜Nを構成するトランジスタの特性により、温度が高いほどインバータ回路180−1〜Nに流れる電流量が大きくなる。その結果、温度が高いほどリングオシレータ180の発振周波数(第1のクロック122の周波数)も高くなる。すなわち、リングオシレータ180の発振周波数(第1のクロック122の周波数)は温度により変動する。
【0062】
一方、基準電圧102が低いほど、インバータ回路180−1〜Nに流れる電流量が小さくなる。そこで、例えば図3(B)に示すような、温度が高いほど基準電圧が低くなる温度特性を有するレギュレータ100を構成することにより、インバータ回路180−1〜Nに流れる電流量の温度変動を小さくすることができる。その結果、図3(C)に示すように、リングオシレータ180の発振周波数(第1のクロック122の周波数)の温度変動を小さくすることができる。
【0063】
従って、基準電圧102の温度特性がインバータ回路180−1〜Nに流れる電流量の温度特性となるべく正反対になるように、レギュレータ100及びリングオシレータ180を設計することが望ましい。
【0064】
ここで、製造時の条件の違い等によりレギュレータ100及びリングオシレータ180の特性がばらつくが、図1で説明した基準電圧制御手段110及び周波数制御手段130により、各IC毎にリングオシレータ180の発振周波数(第1のクロック122の周波数)の温度変動が最も小さくなるように調整することができる。
【0065】
さらに、本実施の形態の計測システム(集積回路装置)によれば、第1のクロック122の周波数の温度特性に基づいて、リングオシレータ180に流れる電流を制御することにより、リングオシレータ180の発振周波数(すなわち、第1のクロック122の周波数)を簡単に制御することができる。
【0066】
しかし、リングオシレータ180の発振周波数(第1のクロック122の周波数)の温度変動を極めて小さくするためには調整の精度を細かくする等の対策が必要になり回路規模が大きくなる。そこで、調整の精度を比較的粗くしてリングオシレータ180の発振周波数(第1のクロック122の周波数)に多少の温度変動があったとしても、図1で説明したクロック生成手段140により第2のクロック12に基づいて第3のクロック142の周波数が補正される。ここで、第2のクロック12の温度等の環境要因による周波数変動量が極めて小さければ、第3のクロック142の周波数変動量も小さくすることができる。
【0067】
また、あらかじめ各IC毎に第1のクロック122の周波数の温度変動が最も小さくなるように調整しておけば、第3のクロック142の周波数を補正する範囲を狭くすることができるので、クロック生成手段140の構成を簡単にすることができる。すなわち、本実施の形態の計測システム(集積回路装置)によれば、低コストでありながら第3のクロック142の周波数変動量を極めて小さくすることができる。
【0068】
第3のクロック142の周波数変動量が小さければ、図1で説明した計測トリガ発生手段160の動作クロックとして消費電流の小さい第3のクロック142を常時供給することができる。そして、第2のクロック12は計測データ14を取得する期間及び周波数補正期間においてのみ間欠的に供給されればよいので、消費電流を大幅に削減することができる。
【0069】
すなわち、本実施の形態の計測システム(集積回路装置)によれば、消費電流の小さいリングオシレータ180により発振回路120を構成して第3のクロック142を常時生成するとともに第2のクロック12は間欠的に供給されるようにすれば、消費電力を極めて小さくすることができる。この場合、第3のクロック142の周波数補正も間欠的に行われることになるので、前回の周波数補正から今回の周波数補正までの環境変化が小さいような時間間隔で周波数補正を行うことが望ましい。
【0070】
なお、図2の構成では、最終段のインバータ回路180−Nの出力を第1のクロックとしているが、任意のインバータ回路180−kの出力を第1のクロックとすることができる。
【0071】
2.火災報知システム
図4は、本実施の形態の火災報知システムのブロック図である。
【0072】
火災報知システム20は、煙検知用IC30、発光ダイオード(LED)40(発光素子の一例)、フォトダイオード50(受光素子の一例)、マイクロコンピュータユニット(MCU)60を含んで構成されている。
【0073】
煙検知用IC30は、所定の時間間隔(例えば、8秒間隔)で所定の時間(例えば90μs)だけLED40を発光させ、フォトダイオード50に流れる電流量を検出する。フォトダイオード50には受光量に比例する電流が流れるので、火災による煙の発生等によりフォトダイオード50の受光量が減少するとフォトダイオード50に流れる電流量も減少する。煙検知用IC30は、検出した電流量をアナログ電圧値に変換して出力する。MCU60は、煙検知用IC30が出力するアナログ電圧値をA/D変換したデータを蓄積し、現在に至るまでのデータの推移等から火災発生の有無を判断する。
【0074】
煙検知用IC30として図1で説明した計測システム(集積回路装置)を適用することができる。以下、煙検知用IC30の構成について詳細に説明する。
【0075】
煙検知用IC30は、レギュレータ200、基準電圧制御回路210、発振回路220、周波数制御回路230、分周回路240、周波数計測回路250、タイマ260、タイミング制御回路280、LED駆動回路290、アナログ処理回路300、基準クロック発生回路310及び周波数計測期間生成回路320を含んで構成されている。
【0076】
レギュレータ200は、発振回路220の発振動作に必要な所定の基準電圧202及び基準電流204を発生させる。レギュレータ200は、図1で説明したレギュレータ100に対応する。
【0077】
基準電圧制御回路210は、第1のクロック222の周波数の温度特性に関する温度特性情報(温度特性情報)26に基づいて基準電圧制御信号212を生成し、レギュレータ200の特性ばらつきを調整してレギュレータ200から所定の基準電圧202が出力されるように制御する。基準電圧制御回路210は、図1で説明した基準電圧制御手段110に対応する。
【0078】
発振回路220は、レギュレータ200が出力する基準電流204をミラーして内部に所定の定電流(例えば、100nA)を流し、所定の周波数(例えば、40kHz)の原振クロック222を生成する。
【0079】
発振回路220は、例えば、インバータ素子とインバータ素子に電流を供給する少なくとも一つの電流源とを含む奇数段のインバータ回路が直列接続され、最終段のインバータ回路の出力が初段のインバータ回路の入力に接続されるリングオシレータを含んで構成されていてもよい。この場合、リングオシレータの段数にもよるが発振回路220にはわずかな電流(例えば数百nA)しか流れない。そのため、発振回路220が常時発振動作を継続するようにしても消費電流は非常に小さくて済む。発振回路220は、図1、図2で説明した発振回路120に対応する。また、原振クロック222は、図1で説明した第1のクロック122に対応する。
【0080】
周波数制御回路230は、温度特性情報26に基づいて周波数制御信号232を生成し、発振回路220の特性ばらつきを調整して所定の周波数(例えば、40kHz)の原振クロック222が生成されるように制御する。周波数制御回路230は、図1で説明した周波数制御手段130に対応する。
【0081】
基準クロック発生回路310は、基準クロックイネーブル信号282がイネーブル状態の時だけ基準クロック312を生成する。基準クロック発生回路310は、例えば、CR発振回路で構成されており、温度にほとんど依存しない一定の周波数(例えば、1MHz)の基準クロック312を生成する。基準クロック312は、図1で説明した第2のクロック12に対応する。
【0082】
周波数計測期間生成回路320は、周波数補正トリガ信号284が発生すると、基準クロック312により所定の計測期間を定義する周波数計測期間定義信号322を生成する。例えば、周波数計測期間生成回路320は、1MHzの基準クロック312を250クロック分カウントして250μsだけHレベルとなるような周波数計測期間定義信号322を生成する。周波数補正トリガ信号284はタイミング制御回路280によって生成され、分周クロック242の周波数を補正するタイミングを指示する。
【0083】
周波数計測回路250は、周波数計測期間定義信号322により定義される計測期間が原振クロック222の何クロック分に相当するかを計測して周波数計測結果252を出力する。例えば、計測期間が250μsであり、原振クロック222の発振周波数が40kHzである場合は、周波数計測結果252は10(=250μs×40kHz)となる。周波数計測回路250は、図1で説明した周波数比較手段150に対応する。
【0084】
分周回路240は、周波数計測回路250の周波数計測結果252を分周比として原振クロック222の分周クロック242を生成する。例えば、計測期間が250μsであり、原振クロック222の発振周波数が40kHzである場合は周波数計測結果252が10になるので、原振クロック222を10分周した4kHzの分周クロック242が生成される。分周回路240は、図1で説明したクロック生成手段140に対応する。また、分周クロック242は、図1で説明した第3のクロック142に対応する。
【0085】
ここで、周波数計測回路250の周波数計測結果252は、最大で原振クロック222の約1クロック分の誤差を有するので、分周クロック242の1周期も最大で原振クロック222の約1クロック分の誤差を有する。例えば、原振クロック222の発振周波数が約40kHzで計測期間を250μsとすると、周波数計測結果252は9、10又は11のいずれかとなる。この場合、分周クロック242の周期は最大で10%程度の誤差を有する。
【0086】
タイマ260は、分周クロック242で所定の時間(例えば、8秒間)をカウントし、所定の時間に達する毎に計測トリガ信号262を出力する。タイマ260は、図1で説明した計測トリガ発生手段160に対応する。
【0087】
計測データ取得回路270は、タイミング制御回路280、LED駆動回路290及びアナログ処理回路300を含んで構成されている。計測データ取得回路270は、図1で説明した計測データ取得手段170に対応する。
【0088】
タイミング制御回路280は、基準クロックイネーブル信号282、周波数補正トリガ信号284、LED駆動信号286、アナログ処理イネーブル信号288を生成する。
【0089】
LED駆動回路290は、LED駆動信号286が駆動状態(例えばHレベル)の時にLED40を発光させる。LED駆動回路290は、例えば、LED駆動信号286によりON/OFFするトランジスタスイッチ回路で実現することができる。LED駆動回路290は、発光素子駆動制御手段として機能する。
【0090】
アナログ処理回路300は、フォトダイオード50に流れる電流を電圧に変換した後増幅して計測データ302を外部に出力する。アナログ処理回路300は、受光データ取得手段として機能する。
【0091】
なお、レギュレータ200、基準電圧制御回路210、発振回路220、周波数制御回路230、分周回路240、周波数計測回路250、タイマ260、タイミング制御回路280、LED駆動回路290、アナログ処理回路300、基準クロック発生回路310及び周波数計測期間生成回路320は、必ずしも1つのIC(煙検知用IC30)に含まれている必要はなく、複数のICに任意に分割して配置されていてもよい。また、MCU60の機能が煙検知用IC30の内部で実現されていてもよい。
【0092】
本実施の形態の火災報知システムによれば、原振クロック222に基づいて生成された分周クロック242に基づいて、計測トリガ信号262を発生させる。従って、原振クロック222を生成する発振回路220の消費電流が低い場合には計測が行われない期間の消費電流を削減することができる。
【0093】
また、本実施の形態の火災報知システムによれば、基準クロック312に基づいて、LED40を発光させる時間を制御する。従って、基準クロック312の周波数精度が高い場合にはLED40を発光させる時間を正確に制御することができるので、計測データ302の精度を向上させることができる。
【0094】
また、基準クロック312は間欠的に供給されるようにしてもよい。この場合、本実施の形態の火災報知システムによれば、基準クロック312が必要ない期間(計測を行わない期間)は基準クロック312を停止することができる。その結果、消費電流を削減することができるので、第2のクロックの周波数が高い場合であっても、長時間の電池駆動を可能にすることができる。
【0095】
図5は、図4で説明した本実施の形態の火災報知システムに含まれる煙検知用IC(本実施の形態の計測システム(集積回路装置))の動作タイミングの一例を説明するためのタイミングチャートである。以下、図4を参照しながら図5のタイミングチャートについて説明する。
【0096】
原振クロック222は例えば約40kHzの周波数を有するクロックであり、発振回路220の発振動作により常時生成される。前述の通り、レギュレータ200や発振回路220の特性は温度に依存して変動するので、原振クロック222の周波数も温度に依存して変動する。
【0097】
分周クロック242は、分周回路240により、原振クロック222が周波数計測結果252(例えば10)に対応した分周比(例えば10分周)に分周されて生成される。
【0098】
計測トリガ信号262は、タイマ260により例えば約8秒に1回の割合でHパルスの信号として生成される。計測トリガ信号262が生成される周期(約8秒)は分周クロック242でカウントされる。従って、分周クロック242の周波数の誤差によって計測トリガ信号262が発生する周期も誤差を生ずる。
【0099】
例えば、計測トリガ信号262の発生周期が短くなると、計測回数が不必要に増加する。そのため、煙検知用IC30の消費電流が増大してしまう。また、例えば、計測トリガ信号262の発生周期が長くなると計測間隔が長くなるため、MCU60による火災発生の判断が遅れることにもなり得る。従って、分周クロック242の周波数は所定の許容範囲内(例えば±10%以内)の誤差であることが望ましい。
【0100】
周波数補正トリガ信号284は、タイミング制御回路280により例えば約8秒間隔で生成される計測トリガ信号262の450回に1回の割合で(約1時間毎に)Hパルスの信号として生成される。周波数補正トリガ信号284が生成される周期(約1時間)は分周クロック242でカウントされる。
【0101】
前述の通り、周波数補正トリガ信号284は分周クロック242の周波数を補正するタイミングを指示する。従って、周波数補正トリガ信号284の発生周期が短ければ周波数補正の間隔も短くなり、急激な温度変化に対しても分周クロック242の周波数を迅速に補正することができるが、消費電流が増加する。逆に、周波数補正トリガ信号284の発生周期が長ければ周波数補正の間隔も長くなり、消費電流は減少するが、急激な温度変化に対して分周クロック242の周波数を迅速に補正することができない場合が生じる。
【0102】
従って、周波数補正トリガ信号284の発生周期は、温度変化の大きさ等を考慮して適切に選択することが望ましい。例えば、定期的に周囲の温度を検出し、温度変化の大きさに応じて周波数補正トリガ信号284の発生周期を変化させるようにしてもよい。
【0103】
基準クロックイネーブル信号282は、計測トリガ信号262が発生するとタイミング制御回路280により例えば4msの間イネーブル状態(Hレベル)になるように制御される。基準クロックイネーブル信号282がイネーブル状態となる時間(4ms)はタイミング制御回路280により基準クロック312でカウントされてもよいし、分周クロック242でカウントされてもよい。
【0104】
基準クロック312は例えば1MHzの周波数を有し、基準クロック発生回路310により基準クロックイネーブル信号282がイネーブル状態の間(4ms間)生成される。また、基準クロック312は基準クロックイネーブル信号282がイネーブル状態でない間(約8秒中の約7.996秒間のLレベル期間)は例えばLレベルに固定される。ここで、基準クロック312が生成される時間、すなわち基準クロック発生回路310が発振動作をする時間は約8秒中4msのみである。従って、基準クロック発生回路310及び基準クロック312で動作する回路の消費電力を極めて小さくすることができる。
【0105】
アナログ処理イネーブル信号288は、タイミング制御回路280により、基準クロックイネーブル信号282がイネーブル状態(Hレベル)になって例えば500μs後から3.5msの間イネーブル状態(Hレベル)になるように制御される。アナログ処理イネーブル信号288がイネーブル状態になるまでの時間(500μs)及びアナログ処理イネーブル信号288がイネーブル状態となる時間(3.5ms)はタイミング制御回路280により基準クロック312でカウントされてもよいし、分周クロック242でカウントされてもよい。
【0106】
周波数計測期間定義信号322は、タイミング制御回路280により、基準クロックイネーブル信号282がイネーブル状態(Hレベル)の時に例えば250μsの間Hレベルになるように制御される。周波数計測期間定義信号322がHレベルとなる時間(250μs)はタイミング制御回路280により基準クロック312でカウントされる。
【0107】
LED駆動信号286は、タイミング制御回路280により、基準クロックイネーブル信号282がイネーブル状態(Hレベル)の時に例えば90μsの間駆動状態(Hレベル)になるように制御される。LED駆動信号286が駆動状態となる時間(90μs)はタイミング制御回路280により基準クロック312でカウントされる。
【0108】
LED40は、LED駆動信号286が駆動状態(Hレベル)となる間、すなわち、約8秒毎に1回90μsの間発光する。そして、アナログ処理部300により、LED40の発光中におけるフォトダイオード50の受光量に応じた電流が検出され、8秒毎に計測データ302が更新されて出力される。定期的に更新される計測データ302の履歴からMCU60により煙の発生の有無が判断される。
【0109】
図6は、図4の煙検知用ICにおける周波数計測回路及びタイマの動作タイミングの一例を説明するためのタイミングチャートである。以下、図4を参照しながら図6のタイミングチャートについて説明する。
【0110】
基準クロック312でカウントして生成された周波数計測期間定義信号322のHレベル期間(約250μs)が所定の周波数計測カウンタにより原振クロック222(約40kHz)でカウントされる。例えば、この周波数計測カウンタは周波数計測回路250の内部に存在する。
【0111】
周波数計測期間定義信号322がHレベルからLレベルになると原振クロック222の周波数計測が完了し、周波数計測完了信号(Hパルス)が発生する。さらに、リロードデータセット信号(Hパルス)が発生する。そして、リロードデータセット信号の発生タイミングで周波数計測カウンタの出力がリロードデータ(周波数計測結果252)として保持される。
【0112】
例えば、前回(約1時間前)の周波数計測では周波数計測結果252が8であったが、今回の周波数計測では計測カウンタが0〜9までカウントして停止しているので、周波数計測結果252は9に更新される。
【0113】
分周回路240は分周クロック242を生成するために、例えば、原振クロック222で動作する所定の分周カウンタを有している。分周カウンタは例えばダウンカウンタとして構成されており、カウント値が0になる度にリロード信号(Hパルス)が発生し、分周カウンタにリロードデータ(周波数計測結果252)がリロードされる。
【0114】
分周クロック242は、例えば、分周カウンタの出力が5の時にLレベルからHレベルに変化し、分周カウンタの出力が0の時にHレベルからLレベルに変化するように生成される。こうすることにより、分周クロック242の立ち上がりエッジ間の周期が、周波数計測期間(周波数計測期間定義信号322がHレベルの期間)と一致するように補正される。
【0115】
図6のタイミングチャートでは、例えば、前回(約1時間前)の周波数計測時と今回の周波数計測時の環境変化(例えば温度変化)により、周波数計測結果252が8から9に変化している。すなわち、前回(約1時間前)の周波数計測時は原振クロック222の9分周クロックの1周期が約250μsになっていたが、今回の周波数計測時は原振クロック222の10分周クロックの1周期が約250μsになっている。
【0116】
このように、本実施の形態の集積回路装置、計測システム、又は火災報知システムによれば、温度変化等の環境変化により原振クロック222の周波数が変動しても分周クロック242の周波数の平均値がほぼ一定に保たれるように制御がかかる。その結果、計測トリガ信号262の発生間隔の平均値もほぼ一定(例えば、約8秒)に保たれる。従って、高精度の基準クロックを生成するが消費電力の大きい基準クロック発生回路310の動作タイミングを必要最小限の期間に限定する一方、消費電力の小さい発振回路220を常時動作させてLED40の発光間隔の平均値を一定(約8秒)に保つことができる。
【0117】
また、本実施の形態の集積回路装置、計測システム又は火災報知システムによれば、基準クロック312は、例えば8秒に1回計測トリガ信号262が発生する毎に基準クロックイネーブル信号282がイネーブル状態の4ms間のみ生成される。従って、極めて低消費電流で動作することができる。
【0118】
なお、本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0119】
例えば、図5で説明したタイミングチャートにおいては、計測トリガ信号262及び周波数補正トリガ信号284はHパルスの信号であるが、Lパルスの信号であってもよい。
【0120】
また、例えば、図5で説明したタイミングチャートにおいては、基準クロックイネーブル信号282、アナログ処理イネーブル信号288、周波数計測期間定義信号322は
及びLED駆動信号286はHレベルの時にイネーブル状態又は駆動状態であるが、Lレベルの時にイネーブル状態又は駆動状態になるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本実施の形態の計測システム(集積回路装置)の機能ブロック図。
【図2】発振回路の構成例を説明するための図。
【図3】図3(A)は、リングオシレータに流れる電流の温度特性の一例を説明するための図である。図3(B)は、レギュレータが出力する基準電圧の温度特性の一例を説明するための図である。図3(C)は、リングオシレータの発振周波数の温度特性の一例を説明するための図である。
【図4】本実施の形態の火災報知システムのブロック図。
【図5】本実施の形態の計測システム(集積回路装置)の動作タイミングの一例を説明するためのタイミングチャート。
【図6】周波数計測回路及びタイマの動作タイミングの一例を説明するためのタイミングチャート。
【符号の説明】
【0122】
10 計測システム(集積回路装置)、12 第2のクロック、14 計測データ、16 温度特性情報、20 火災報知器、26 温度特性情報、30 煙検知用IC、40 発光ダイオード(LED)、50 フォトダイオード、60 マイクロコンピュータユニット(MCU)、90 クロック発生手段、100 レギュレータ、102 基準電圧、104 基準電流、110 基準電圧制御手段、112 基準電圧制御信号、120 発振回路、122 第1のクロック、130 周波数制御手段、132 周波数制御信号(電流制御信号)、140 クロック生成手段、142 第3のクロック、150 周波数比較手段、152 比較結果(カウント結果)、160 計測トリガ発生手段、162 計測トリガ信号、170 計測データ取得手段、180 リングオシレータ、180−1〜N インバータ回路、182−1〜N 電流源、184−1〜N インバータ素子、186−1〜N 電流源、190 電流制御回路、200 レギュレータ、202 基準電圧、204 基準電流、210 基準電圧制御回路、212 基準電圧制御信号、220 発振回路、222 原振クロック、230 周波数制御回路、232 周波数制御信号、240 分周回路、242 分周クロック、250 周波数計測回路、252 周波数計測結果、260 タイマ、262 計測トリガ信号、280 タイミング制御回路、282 基準クロックイネーブル信号、284 周波数補正トリガ信号、286 LED駆動信号、288 アナログ処理イネーブル信号、290 LED駆動回路、300 アナログ処理回路、302 計測データ、310 基準クロック発生回路、312 基準クロック、320 周波数計測期間生成回路、322 周波数計測期間定義信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間欠的に所定の計測データを取得する計測システムであって、
第1のクロックを生成する発振回路と、前記第1のクロックに基づいて第3のクロックを生成するクロック生成手段とを含むクロック発生手段と、
前記第1のクロックの周波数と所与の第2のクロックの周波数を比較する周波数比較手段と、
前記第3のクロックに基づいて所定のタイミングをカウントし、前記所定のタイミングに達する毎に前記計測データの取得を開始するための計測トリガ信号を発生させる計測トリガ発生手段と、を含み、
前記クロック発生手段は、
前記周波数比較手段の比較結果に基づいて、前記第3のクロックの周波数が所定の範囲の値になるように補正することを特徴とする計測システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記クロック生成手段は、
前記周波数比較手段の比較結果に基づいて、前記第3のクロックの周波数が前記所定の範囲の値になるように補正することを特徴とする計測システム。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記計測トリガ信号が発生する毎に、所定の計測期間において前記計測データを取得する計測データ取得手段を含み、
前記計測データ取得手段は、
前記第2のクロックに基づいて、前記計測期間を決定することを特徴とする計測システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記第2のクロックは間欠的に供給されることを特徴とする計測システム。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の計測システムと、
発光素子と、
受光素子と、を含み、
前記計測トリガ発生手段は、
前記第3のクロックに基づいて、前記発光素子を発光させる所定のタイミングをカウントし、前記所定のタイミングに達する毎に前記計測トリガ信号を発生させ、
前記計測データ取得手段は、
前記第2のクロックに基づいて前記発光素子を発光させる時間を制御して前記発光素子を駆動する発光素子駆動制御手段と、前記受光素子の受光量に関するデータを取得する受光データ取得手段と、を含むことを特徴とする火災報知システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−53806(P2009−53806A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−218245(P2007−218245)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】