説明

計測方法

【課題】見通しが利かず作業者が立ち入ることの困難な小口径管路であっても、その管路を計測すること。
【解決手段】本発明の計測方法では、計測区間の基点には前方を撮像する撮像手段を設置し、中間点には前方と後方とを前後方向に同軸の光軸で撮像し得る中間撮像手段を設置し、終点には後方を撮像する撮像手段を設置し、基点の撮像手段で撮像した画像と、各中間点の撮像手段で撮像した画像と、基点〜中間点〜終点間の距離と、に基づいて、基点に対する終点の位置を計測するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者が立ち入ることの困難な小口径の屈曲管路や、悪環境の屈曲管路のように、見通しの利かない区間の状況を計測する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
見通しの利かない屈曲した管路であっても、作業者が立ち入ることのできる大径の管路の場合には、測量機器を管路内に持ち込んで、当該管路の形状などを計測することができる。
しかし、見通しの利かない屈曲した管路であって、しかも、作業者が立ち入ることの困難な小口径管路や、悪環境の管路を計測することは困難であった。
また、特許文献1(特許第3787700号)においては、前方の二次元ターゲットを撮像して画像情報を出力できるCCD撮像手段と、後方の二次元ターゲットを撮像して画像情報を出力できるCCD撮像手段と、前方及び後方のCCD撮像手段によって撮像される二次元ターゲットとを有し、地中を推進する上記埋設管内に所定間隔をあけて設けられる中間計測機を用いて、上記各CCD撮像手段から得られるターゲット画像の2次元方向変位及び回転角度変位を含む画像変位情報と、距離情報とに基づいて、上記各ターゲット間又は各計測機間の3次元変位を求めるとともに、計測基点に対するシールド掘進機及び埋設管の推進軌跡、推進位置、及び推進方向を演算処理によって求める技術が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に開示された技術では、ターゲット画像の2次元方向変位及び回転角度変位を含む画像変位情報と、距離情報とに基づいて、上記各ターゲット間又は各計測機間の3次元変位を求める演算処理、及び、計測基点に対するシールド掘進機及び埋設管の推進軌跡、推進位置、及び推進方向を求める演算処理を行うので、演算量が増大し、演算処理装置に大きな負担をかけるという問題がある。そのために、高価な演算処理装置が必要になるという問題がある。また、上記演算処理に必要な距離情報を別途計測するなどの手間が必要である。
【0004】
そこで、本発明は、見通しの利かない屈曲した管路であって、しかも、作業者が立ち入ることの困難な小口径管路や、悪環境の管路であっても、撮像装置を計測区間内に設置可能であれば、汎用の小規模のコンピュータなどの演算処理装置を用いて、その計測区間を計測可能とする技術を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明にかかる計測方法では、
計測区間の基点に配置されて前方を撮像し得る基点撮像手段と、
計測区間の終点に配置されて後方の撮像手段にて撮像し得る終点ターゲット装置と、
計測区間の途中に設定された1つ以上の中間点に配置されて、前方と後方とを前後方向に同軸の光軸で撮像し得る中間撮像手段と、を使用し、
基点から前方直近の中間点までの距離と、複数の中間点間の距離と、終点から後方直近の中間点までの距離とを利用して、前記終点の位置を計測する計測方法であって、
前記基点撮像手段によって前方直近の中間点と特定位置関係の中間ターゲットを撮像して基点から前方の中間点を望む座標位置を測定し、
前記中間撮像手段によって、後方の基点と特定位置関係の基点ターゲットもしくは後方直近の別の中間点と特定位置関係の中間ターゲットを撮像して当該中間撮像手段の後方の光軸に対する前記後方の別の中間点の座標位置を測定するとともに、前方の終点と特定位置関係の終点ターゲット装置もしくは前方直近の別の中間点と特定位置関係の中間ターゲットを撮像して当該中間撮像手段の前方の光軸に対する前記前方の別の中間点の座標位置を測定し、
基点から前方直近の中間点までの距離と、複数の中間点間の距離と、終点から後方直近の中間点までの距離と、
基点から前方直近の中間点の座標位置と、
中間撮像手段の後方光軸に対する前記基点もしくは後方直近の別の中間点の座標位置と、
中間撮像手段の前方光軸に対する前記終点もしくは前方直近の別の中間点の座標位置と、
に基づいて、少なくとも前記基点に対する前記終点の位置を計測するようにした。
請求項2の発明では、
計測区間の基点に配置されて前方を撮像し得る基点撮像手段と、
計測区間の終点に配置されて後方を撮像し得る終点撮像手段と、
計測区間の途中に設定された1つ以上の中間点に配置されて、前方と後方とを前後方向に同軸の光軸で撮像し得る中間撮像手段と、を使用し、
基点から前方直近の中間点までの距離と、複数の中間点間の距離と、終点から後方直近の中間点までの距離とを利用して、前記終点の位置を計測する計測方法であって、
前記基点撮像手段によって前方直近の中間点と特定位置関係の中間ターゲットを撮像して基点から前方の中間点の座標位置を測定し、
前記中間撮像手段によって、後方の基点と特定位置関係の基点ターゲットもしくは後方直近の別の中間点と特定位置関係の中間ターゲットを撮像して当該中間撮像手段の後方の光軸に対する前記後方の別の中間点の座標位置を測定するとともに、前方の終点と特定位置関係の終点ターゲットもしくは前方直近の別の中間点と特定位置関係の中間ターゲットを撮像して当該中間撮像手段の前方の光軸に対する前記前方の別の中間点の座標位置を測定し、
前記終点撮像手段によって後方直近の中間点と特定位置関係の中間ターゲットを撮像して終点から後方の中間点の座標位置を測定し、
基点から前方直近の中間点までの距離と、複数の中間点間の距離と、終点から後方直近の中間点までの距離と、
基点から前方直近の中間点の座標位置と、
中間撮像手段の後方光軸に対する前記基点もしくは後方直近の別の中間点の座標位置と、
中間撮像手段の前方光軸に対する前記終点もしくは前方直近の別の中間点の座標位置と、
終点から後方直近の中間点の座標位置と
に基づいて、少なくとも前記基点に対する前記終点の位置を計測するようにした。
請求項3の発明では、
前記基点撮像手段として、前方直近の中間点の3次元位置を測定可能なトータルステーションを用いて、少なくとも前記基点に対する前記終点の位置を計測するようにした。
【発明の効果】
【0006】
本発明の計測方法によれば、前後方向を撮像する手段を用いて、前後のターゲットを撮像し、その撮像データから、コンピュータなどの演算手段を用いて、前記ターゲットの座標位置を算出することによって、別途得られる距離情報と合わせて、少なくとも基点に対する終点の位置を、比較的軽い負荷の演算処理で計測することができる。したがって、汎用の小規模のコンピュータなどの演算処理装置を用いて上記計測を行うことができる。
基点撮像手段として、トータルステーションを用いた計測方法によれば、必要に応じて、バック点のターゲットの位置を随時確認することができるので、高精度の計測が可能となる。また、前記基点やバック点が動いても判断が可能であるとともに、バック点を任意の位置に設置できるので、計測状況に応じた機器の設置が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明にかかる計測方法を、その方法に用いる撮像装置の構成図を示した図1を参照して説明する。
図1(a)に示した前記撮像装置1は、前方を撮像する前方撮像部11と、後方を撮像する後方撮像部12と、左右両側部に突設されたターゲット装置13(13A、13B)とを備えている。
そして、前記撮像装置1は、図1(b)に示したように、シールド機(図示せず。)の後方に敷設された走行レール2上を走行可能に構成された台3上に固定されている。
【0008】
前記台3は、走行レール2にガイドされて走行可能な走行台車31と、前記撮像装置1と電気的な接続を中継するための制御ボックス32とを備えている。前記走行台車31には複数のキャスター(図示せず。)が備えられており、走行レール2上を移動可能に構成されている。
また、隣り合う撮像装置どうしは、長さが既知であって伸縮しない棒状の連結体(図示せず。)で互いに連結されている。したがって、小口径の管路内に複数の撮像装置を設置する場合には、前記連結体で各撮像装置を順次押し込むことで容易に設置できる。また、最も基点に近い連結体を引くことによって、互いに連結された複数の撮像装置を引き出すことができるので、修理や交換やメンテナンスが容易である。
【0009】
図1(a)において一点鎖線で示したように、前記前方撮像部11の光軸と、前記後方撮像部12の光軸とは、前後方向に同じ直線上あるように、即ち同軸と見なせるように設定されている。
また、前記前方撮像部11の光軸方向から見て、前記ターゲット装置13の左右両側には、ターゲット13A、13Bが左右対象の位置に配設されている。例えば、前記ターゲット13A、13Bを結ぶ線分の中点を中心点としたとき、前記ターゲット13A、13Bを結ぶ線分と、前記前方撮像部11の対物レンズの中心と前記後方撮像部12の対物レンズの中心とを結ぶ線分とが、前記中心点で互いに他を垂直に二等分するような位置に、前記ターゲット13A、13Bが配設されている。
前記中心点が、計測区間の基点、中間点、終点に一致することとなる。即ち、本発明において「特定位置関係」とは、そのような中心点と両側のターゲットの相対的な位置関係のように、両側のターゲットの位置から中心点の位置を特定可能な構造を備えていることを示している。
【0010】
なお、前記前方撮像部11の光軸と、前記後方撮像部12の光軸とが、前後方向に同軸と見なせる状態とは、前方の光軸と後方の光軸とが若干ずれていても撮像部11でそのずれを検知できない程度の僅かなずれの場合をいい、そのずれを検知出来る場合は、そのずれ角を予め計測して、実際の計測時には前記ずれ角を用いて前後の光軸の補正し得るように校正された状態をいう。
【0011】
図1(c)に示したように、前方撮像部11のレンズ周辺に配設された前記LED照明装置14は、暗い測定環境の中で前方のターゲット装置13を、低消費電力で充分な光量で照らすために、高輝度の発光ダイオードが例えば4個配設されている。
図1(d)に示したように、後方撮像部12のレンズ周辺にも同様にLED照明装置14が配設されている。
なお、ターゲット装置13自身が光源を備えた場合には、前記LED照明装置14は不要となる。
【0012】
なお、図5に示したように、基点Aの撮像装置として、自動追尾式のトータルステーション(電子式測距測角儀)71を用いた場合には、このトータルステーション71の自動視準機能で視準するために、基点Aから直近の中間点B2に配設される撮像装置1の後方撮像部12のレンズの周囲には、前記LED照明装置14に加えて、自動視準用のLED発光部16(図1(d)参照。)が配設されている。この自動視準用のLED発光部16は、見通しをよくするために、後方撮像部12のレンズの下側に配設されている。
なお、前記トータルステーション71として、反射体などが不要なノンプリズムタイプを使用する場合には、前記自動視準用のLED発光部16を不要とすることができる。
【0013】
また、前記ターゲット装置13の枠体の角部分は、管路の形状に応じて曲線状に成形するとともに、枠体の隙間が生じた場合には充填材15で覆い、後方にある反射物からの反射を遮ることによりターゲット検出が明確にできるようにする。
【0014】
図2は、基点Aから終点Cまでを計測区間、AからB2、B2からB3、B3からCを区間とし、前記撮像装置1を、前記計測区間の基点Aと、終点Cと、途中の中間点B2、B3にそれぞれ配設した状態の平面配置図を示し、図3はその側面配置図を示している。この例は、各点A、B2、B3、Cが、同一水平面内ではあるが、直線状には並んでいない状態の例を示したものである。前記各区間は、管路を構成するヒューム管等のように真っ直ぐな円筒状に形成された管路構成部材の1本毎に対応させてもよいが、複数の管路構成部材が連結されたものを1つの区間とする場合もある。
【0015】
前記基点Aに配設された基点撮像装置W1は、前方直近の中間撮像装置W2のターゲット装置42を撮像して、撮像データを通信ユニット51を介して演算手段としてのコンピュータPCに送信するように構成されている。
前記中間点B2に配設された中間撮像装置W2は、前方直近の中間撮像装置W3のターゲット装置43と、後方の基点撮像装置W1のターゲット装置41を撮像して、これらの撮像データを通信ユニット52を介してコンピュータPCに送信するように構成されている。
前記中間点B3に配設された中間撮像装置W3は、前方の終点撮像装置W4のターゲット装置44と、後方直近の中間撮像装置W2のターゲット装置42を撮像して、これらの撮像データを通信ユニット53を介してコンピュータPCに送信するように構成されている。
シールド機上の前記終点Cに配設された終点撮像装置W4は、後方直近の中間撮像装置W3のターゲット装置43を撮像して、これらの撮像データを通信ユニット54を介してコンピュータPCに送信するように構成されている。
なお、各中間撮像装置は、一般的には、管路構成部材どうしの接続位置かその近傍に配置するが、管路の状況によっては配置場所を適宜設定することができる。
【0016】
図2、3に示したような位置関係の場合を例にとって、基点撮像装置W1、中間撮像装置W2、W3、終点撮像装置W4の位置を計測する場合を、図4を参照しつつ説明する。
コンピュータPCでは、基点撮像装置W1にて中間ターゲット装置42を撮像することによって得られた画像の中心位置(光軸上の点)を基準として、前記中間ターゲット装置42と特定位置関係にある中間点B2(中間ターゲット装置42の左右両側のダーゲットの中心を結ぶ線分の中点)の座標位置(Δx1-2,Δy1-2)を演算して計測する。ただし、図3、4の場合にはΔy1-2=0
前記基点撮像装置W1で得られた画像中における前記中間点B2の座標位置の例を図4の(a)に示した。
【0017】
次に、コンピュータPCでは、中間撮像装置W2から後方の基点撮像装置W1の基点ターゲット装置41を撮像することによって得られた画像の中心位置(光軸上の点)を基準として、前記基点ターゲット装置41と特定位置関係にある基点A(基点ターゲット装置41の左右両側のダーゲットの中心を結ぶ線分の中点)の座標位置(Δx2-1,Δy2-1)を演算して計測する。ただし、図3、4の場合にはΔy2-1=0
前記中間撮像装置W2で得られた画像中における前記基点Aの座標位置の例を図4の(b)に示した。
【0018】
次に、コンピュータPCでは、前記中間撮像装置W2から前方直近の中間撮像装置W3の中間ターゲット装置43を撮像することによって得られた画像の中心位置(光軸上の点)を基準として、前記中間ターゲット装置43と特定位置関係にある中間点B3(中間ターゲット装置43の左右両側のダーゲットの中心を結ぶ線分の中点)の座標位置(Δx2-3,Δy2-3)を演算して計測する。ただし、図3、4の場合にはΔy2-3=0
前記中間撮像装置W2で得られた画像中における前記中間点B3の座標位置の例を図4の(c)に示した。
【0019】
次に、コンピュータPCでは、前記中間撮像装置W3から後方直近の前記中間撮像装置W2の中間ターゲット装置42を撮像することによって得られた画像の中心位置(光軸上の点)を基準として、前記中間ターゲット装置42と特定位置関係にある中間点B2(中間ターゲット装置42の左右両側のダーゲットの中心を結ぶ線分の中点)の座標位置(Δx3-2,Δy3-2)を演算して計測する。ただし、図3、4の場合にはΔy3-2=0
前記中間撮像装置W3で得られた画像中における前記中間点B2の座標位置の例を図4の(d)に示した。
【0020】
次に、コンピュータPCでは、前記中間撮像装置W3から前方の終点撮像装置W4の終点ターゲット装置44を撮像することによって得られた画像の中心位置(光軸上の点)を基準として、前記終点ターゲット装置44と特定位置関係にある終点C(終点ターゲット装置44の左右両側のダーゲットを結ぶ線分の中点)の座標位置(Δx3-4,Δy3-4)を演算して計測する。ただし、図3、4の場合にはΔy3-4=0
前記中間撮像装置W3で得られた画像中における前記終点Cの座標位置の例を図4の(e)に示した。
【0021】
次に、コンピュータPCでは、前記終点撮像装置W4から後方直近の前記中間撮像装置W3の中間ターゲット装置43を撮像することによって得られた画像の中心位置(光軸上の点)を基準として、前記中間ターゲット装置43と特定位置関係にある中間点B3(中間ターゲット装置43の左右両側のダーゲットを結ぶ線分の中点)の座標位置(Δx4-3,Δy4-3)を演算して計測する。ただし、図3、4の場合にはΔy4-3=0
前記終点撮像装置W4で得られた画像中における前記中間点B3の座標位置の例を図4の(f)に示した。
【0022】
なお、基点Aから終点Cまでの計測区間における各点A、B2、B3、C間の距離、即ち、基点Aから前方直近の中間点B2までの距離、中間点B2から中間点B3までの距離(これは複数の中間点間の距離に想到する。)、終点Cから後方直近の中間点B3までの距離は、例えば、前述したように長さが既知の棒状の連結体(図示せず。)によって知ることができる。もしくは、管路構成部材の長さに基づいて決定したり、別途準備した測距手段を用いて測定することもできる。
したがって、コンピュータPCを用いて、前記基点Aを基点としたベクトル演算などの演算処理によって、前記基点Aを基点として各点B2、B3、Cの3次元的な相対位置を得ることができるのである。
【実施例1】
【0023】
図5は、小口径の管路に適用した実施例1の計測方法を説明するためのシステム概念図(側面図)である。
この図のシステムが図3のシステム配置と異なる点は、図3の基点撮像装置に代えて、図5に示したように、基点Aには自動追尾式のトータルステーション71を用い、バック点にはターゲット72を用いた点と、終点Cには、撮像装置を配置せずに、図5に示したように、シールド機に所定の前後距離を置いて固定された1対のターゲット装置81、82を用いた点である。
前記トータルステーション71は、バック点のターゲット72を基準にして基点Aの位置を計測し、前方直近の中間点の3次元位置(距離および水平方向と垂直方向の角度)を測定する機能を備えており、モータドライブ式の自動追尾機能も備えることによって、前方直近の中間点(例えば、直近の中間撮像装置1の後方撮像部12に備えられた自動視準用のLED発光部16)を自動的に追尾する。
【0024】
また、中間撮像装置Wは、図6に示したように、シールド機に接続された後続台車の特定位置にそれぞれ固定されている。これらの後続台車の大きさや前記中間撮像装置Wの固定位置は既知である。したがって、前記トータルステーション71によって、前記トータルステーション71は、バック点のターゲット72を基準にして基点Aの位置を計測し、直近の中間撮像装置Wの位置を計測することによって、その位置と各中間撮像装置間の相対的位置関係に基づいて各中間撮像装置Wの位置も算出することができ、それに基づいて後続台車の位置を算出でき、さらには、各中間撮像装置と後続台車と管路との相対的位置関係に基づいて各管路の中心軸の位置と方向も知ることができるのである。
このようにして、基点Aの3次元座標位置を基準にして、複数の中間撮像装置の位置を順次計測することによって、終点から後方直近の中間撮像装置の3次元座標位置を計測し、さらに、最終的には終点Cの3次元座標位置を計測するのである。
【0025】
図5に示した基点Aにおけるトータルステーション71とバック点ターゲット72の配置は、図7に示したように、基点の立坑内にトータルステーション71とバック点ターゲット72とを配置することも可能である。
【0026】
図4に基づいた変位角の測定工程の説明においては、各ターゲットのローリング角については考慮しなかったが、実際にローリング角がある場合には以下のように、コンピュータPCを用いて、ローリング角を算出することができる。
図8の(a)には中間撮像装置Wを管内に設置した状態の断面図を示し、図8の(b)にはローリング角が無い場合の座標位置を水平成分Δxと垂直成分Δyに分けて示した撮像画像の例を示し、図8の(c)にはローリング角Δδが有る場合の撮像画像の例を示している。
【0027】
図8の(b)には、変位角が0°の場合のターゲット画像T0と、変位角がある場合のターゲット画像T1を示し、撮像装置の仕様に基づいて、ターゲット画像T1の座標位置の水平成分Δxと垂直成分Δyを算出することができる。
【0028】
図8の(c)には、ローリング角が0°の場合のターゲット画像T2と、ローリング角がΔδである場合のターゲット画像T3を示し、ターゲット画像T2の2つのターゲット画像TA2、TB2を結ぶ線と、ターゲット画像T3の2つのターゲット画像TA3、TB3を結ぶ線との成す角Δδを計測することで、ローリング角Δδを得ることができる。このようにして得られたローリング角に基づいて中間撮像装置Wもしくは終点撮像装置もしくは終点ターゲット装置のローリング角を知ることができる。
以上のように、ローリング角を計測するためには、図1に示したように、2つのターゲット13A、13Bを両側もしくは離間させて配設したターゲット装置13を使用することが好ましいのである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明にかかる計測方法に用いる撮像装置の斜視図である。
【図2】本発明の計測方法を説明する平面配置図である。
【図3】本発明の計測方法を説明する側面配置図である。
【図4】本発明の計測方法を説明する説明図である。
【図5】本発明の実施例1のシステム概念図である。
【図6】前記実施例1における中間撮像装置の設置状態を説明する断面図である。
【図7】基点の撮像装置の設置状態の一例を示す側面断面図である。
【図8】ローリング角の算出方法を説明するための断面図および画像の例を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
1 撮像装置
11 前方撮像部
12 後方撮像部
13 ターゲット装置
13A、13B ターゲット
14 照明装置
2 走行レール
3 台
31 接続ボックス
32 走行台車
71 トータルステーション
A 基点
B2、B3 複数の中間点
B2 前方直近の中間点
B3 後方直近の中間点
C 終点
PC コンピュータ
W1 基点撮像装置
W2 中間撮像装置
W3 中間撮像装置
W4 終点撮像装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測区間の基点に配置されて前方を撮像し得る基点撮像手段と、
計測区間の終点に配置されて後方の撮像手段にて撮像し得る終点ターゲット装置と、
計測区間の途中に設定された1つ以上の中間点に配置されて、前方と後方とを前後方向に同軸の光軸で撮像し得る中間撮像手段と、を使用し、
基点から前方直近の中間点までの距離と、複数の中間点間の距離と、終点から後方直近の中間点までの距離とを利用して、前記終点の位置を計測する計測方法であって、
前記基点撮像手段によって前方直近の中間点と特定位置関係の中間ターゲットを撮像して基点から前方の中間点を望む座標位置を測定し、
前記中間撮像手段によって、後方の基点と特定位置関係の基点ターゲットもしくは後方直近の別の中間点と特定位置関係の中間ターゲットを撮像して当該中間撮像手段の後方の光軸に対する前記後方の別の中間点の座標位置を測定するとともに、前方の終点と特定位置関係の終点ターゲット装置もしくは前方直近の別の中間点と特定位置関係の中間ターゲットを撮像して当該中間撮像手段の前方の光軸に対する前記前方の別の中間点の座標位置を測定し、
基点から前方直近の中間点までの距離と、複数の中間点間の距離と、終点から後方直近の中間点までの距離と、
基点から前方直近の中間点の座標位置と、
中間撮像手段の後方光軸に対する前記基点もしくは後方直近の別の中間点の座標位置と、
中間撮像手段の前方光軸に対する前記終点もしくは前方直近の別の中間点の座標位置と、
に基づいて、少なくとも前記基点に対する前記終点の位置を計測することを特徴とする計測方法。
【請求項2】
計測区間の基点に配置されて前方を撮像し得る基点撮像手段と、
計測区間の終点に配置されて後方を撮像し得る終点撮像手段と、
計測区間の途中に設定された1つ以上の中間点に配置されて、前方と後方とを前後方向に同軸の光軸で撮像し得る中間撮像手段と、を使用し、
基点から前方直近の中間点までの距離と、複数の中間点間の距離と、終点から後方直近の中間点までの距離とを利用して、前記終点の位置を計測する計測方法であって、
前記基点撮像手段によって前方直近の中間点と特定位置関係の中間ターゲットを撮像して基点から前方の中間点の座標位置を測定し、
前記中間撮像手段によって、後方の基点と特定位置関係の基点ターゲットもしくは後方直近の別の中間点と特定位置関係の中間ターゲットを撮像して当該中間撮像手段の後方の光軸に対する前記後方の別の中間点の座標位置を測定するとともに、前方の終点と特定位置関係の終点ターゲットもしくは前方直近の別の中間点と特定位置関係の中間ターゲットを撮像して当該中間撮像手段の前方の光軸に対する前記前方の別の中間点の座標位置を測定し、
前記終点撮像手段によって後方直近の中間点と特定位置関係の中間ターゲットを撮像して終点から後方の中間点の座標位置を測定し、
基点から前方直近の中間点までの距離と、複数の中間点間の距離と、終点から後方直近の中間点までの距離と、
基点から前方直近の中間点の座標位置と、
中間撮像手段の後方光軸に対する前記基点もしくは後方直近の別の中間点の座標位置と、
中間撮像手段の前方光軸に対する前記終点もしくは前方直近の別の中間点の座標位置と、
終点から後方直近の中間点の座標位置と
に基づいて、少なくとも前記基点に対する前記終点の位置を計測することを特徴とする計測方法。
【請求項3】
前記基点撮像手段として、前方直近の中間点の3次元位置を測定可能なトータルステーションを用いて、少なくとも前記基点に対する前記終点の位置を計測することを特徴とする請求項1もしくは2の何れか1項に記載の計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−25264(P2009−25264A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191584(P2007−191584)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(000148623)株式会社 ソキア・トプコン (114)
【出願人】(599098127)株式会社ソーキ (28)