計算方法、計算プログラムおよび計算装置
【課題】入出力変数の関係の解釈を容易にできる情報を提供すること。
【解決手段】計算部1aは、複数の入力変数の値と、複数の入力変数の値を調節することで最適化された複数の出力変数の値とを備えるデータ2aに統計解析を実行して複数の入力変数の値および複数の出力変数の値それぞれの相対的な位置関係を示す中間変数の値を生成する。作成部1bは、生成した中間変数の値を用いて変数の値の大小の傾向を識別する散布図6a〜6dを入力変数および出力変数それぞれについて作成する。表示部1cは、作成した散布図6a〜6dを表示する。
【解決手段】計算部1aは、複数の入力変数の値と、複数の入力変数の値を調節することで最適化された複数の出力変数の値とを備えるデータ2aに統計解析を実行して複数の入力変数の値および複数の出力変数の値それぞれの相対的な位置関係を示す中間変数の値を生成する。作成部1bは、生成した中間変数の値を用いて変数の値の大小の傾向を識別する散布図6a〜6dを入力変数および出力変数それぞれについて作成する。表示部1cは、作成した散布図6a〜6dを表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は計算方法、計算プログラムおよび計算装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高性能の製品を低価格で開発することが要求される製品開発において、その製品の性能を向上することを第一の目的とし、価格を低く抑えることを第二の目的とする場合、第一の目的を望ましい方向に改善する(性能を高くする)と、第二の目的は望ましくない方向への改悪になり(価格が高くなる)、逆に、第二の目的を望ましい方向に改善する(価格を低くする)と、第一の目的は望ましくない方向への改悪になる(性能が低くなる)という場合がしばしばある。このように、異なる目的を望ましい方向に同時に改善することができず、両者に相反する関係があるとき、この関係のことを「トレードオフ関係」と言う。トレードオフ関係にある複数個の目的の改善を同時に行う手法として、多目的最適化手法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−70849号公報
【特許文献2】特開2011−103067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多目的最適化計算の計算結果を表示する方法として、入出力変数の全ての組み合わせについての散布図を行列状に配置した散布図行列や、入出力変数を横軸にとり、入出力変数の値を縦軸にとった並行座標プロットが知られている。
【0005】
利用者は、散布図行列や並行座標プロットを見て、利用者が期待する出力変数の値が得られそうな入力変数の値の範囲を絞り込み、絞り込んだ範囲についてシミュレーションを実行することで、絞り込んだ範囲の入力変数の値に対応する出力変数の値を求めることができる。利用者は、求めた出力変数の値を確認することで、絞り込んだ入力変数の値によって利用者が期待する出力変数の値が得られるか否かを判断することができる。
【0006】
しかしながら、入力変数と出力変数の種類が多くなるほど、散布図行列や並行座標プロットにおける入出力変数の関係の解釈が難しくなるという問題がある。
1つの側面では、本発明は、入出力変数の関係の解釈を容易にできる情報を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、開示の計算方法が提供される。この計算方法は、コンピュータが、複数の入力変数の値と、複数の入力変数の値を調節することで最適化された複数の出力変数の値とを備えるデータに統計解析を実行して複数の入力変数の値および複数の出力変数の値それぞれの相対的な位置関係を示す中間変数の値を生成する。そして、生成した中間変数の値を用いて変数の値の大小の傾向を識別する図を入力変数および出力変数それぞれについて作成する。そして、作成した図を表示する。
【発明の効果】
【0008】
1態様では、入出力変数の関係の解釈を容易にできる情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施の形態の計算装置を説明する図である。
【図2】第2の実施の形態の計算装置のハードウェア構成を示す図である。
【図3】第2の実施の形態の計算装置の機能を示すブロック図である。
【図4】データ生成部が生成したデータの一例を示す図である。
【図5】散布図作成部が作成した散布図の一例を示す図である。
【図6】比較例の散布図行列を示す図である。
【図7】比較例の折れ線グラフを示す図である。
【図8】計算装置の全体処理を示すフローチャートである。
【図9】図8の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【図10】第1の最適化処理を示すフローチャートである。
【図11】図10の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【図12】散布図作成処理を示すフローチャートである。
【図13】図12の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【図14】図12の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【図15】図12の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【図16】図12の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【図17】第2の最適化処理を示すフローチャートである。
【図18】図17の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【図19】領域の指定の一例を示す図である。
【図20】候補設定部の処理を示すフローチャートである。
【図21】図20の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【図22】図20の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【図23】第3の実施の形態の候補設定部の処理を示すフローチャートである。
【図24】図23の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【図25】第4の実施の形態の候補設定部の処理を示すフローチャートである。
【図26】図25の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【図27】図25の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【図28】第4の実施の形態の候補設定部の処理を説明する図である。
【図29】第5の実施の形態の計算装置の機能を示すブロック図である。
【図30】第5の実施の形態の統計解析計算部の処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態の計算装置を、図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態の計算装置を説明する図である。
【0011】
第1の実施の形態の計算装置(コンピュータ)1は、計算部1aと、作成部1bと、表示部1cとを有している。なお、計算部1a、作成部1bおよび表示部1cは、計算装置1が有するCPU(Central Processing Unit)が備える機能により実現することができる。
【0012】
計算部1aは、記憶部2に記憶されているデータ2aを読み込む。データ2aは、入力変数「寸法縦」、「寸法横」に関する入力変数の値と、入力変数の値を調節することで最適化された出力変数「衝突安全性」、「燃費」の値とを備えるデータである。このデータ2aは、1つのレコードが2個の入力変数の値で構成される第1のレコード3a、3b、3c、3dと、第1のレコード3a、3b、3c、3dを用いて生成した1つのレコードが2個の出力変数の値で構成される第2のレコード4a、4b、4c、4dとを備えている。なお、出力変数の値の最適化の方法は、第2の実施の形態にて詳述する。
【0013】
なお、記憶部2は、RAM(Random Access Memory)やハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)等により実現することができる。なお、本実施の形態では、計算部1aは、記憶部2に予め記憶されているデータ2aを読み込むが、計算装置1がデータ2aを生成する構成であってもよい。また、記憶部2は、計算装置1内に設けられていてもよい。
【0014】
計算部1aは、統計解析の計算を実行してデータ2aが備える入力変数の個数2と出力変数の個数2とを合計した個数4より少ない2つの変数でデータ2aの構造を再現する中間変数の値を生成する。
【0015】
統計解析の方法としては、高次元のデータを低次元に射影する方法を用いることができる。この方法として、例えば、多次元尺度法(MDS: Multi-Dimensional Scaling)、サモンマップ、特異値分解(SVD: Singular Value Decomposition)、ニューラルネットワーク(Neural Network)、カーネル主成分分析(KPCA: Kernel Principal Component Analysis)等が挙げられる。本実施の形態では、一例として多次元尺度法を用いた統計解析を実行し、中間変数の値を生成する方法を説明する。
【0016】
計算部1aは、例えばピアソン相関係数等を用いて第1のレコード3aと第2のレコード4a間の非類似度を計算する。計算した非類似度は、公知の方法を用いて距離のデータに変換することができる。次に計算部1aは、変換した距離のデータから各点の2次元空間上の座標(XA,YA)を求める。求めたX座標およびY座標は、第1のレコード3aを構成する入力変数の値および第2のレコード4aを構成する出力変数の値についての中間変数の値となる。
【0017】
計算部1aは、求めた各点のX座標およびY座標を、第1のレコード3aと第2のレコード4aと関連づけたレコード5aを作成する。計算部1aは、第1のレコード3bと第2のレコード4b、第1のレコード3cと第2のレコード4c、および第1のレコード3dと第2のレコード4dについても第1のレコード3aと第2のレコード4aと同様の処理を行いレコード5b、5c、5dを作成する。そして、計算部1aは、レコード5a、5b、5c、5dを備えるデータ3を生成する。計算部1aは、生成したデータ3を記憶する。
【0018】
作成部1bは、計算部1aが生成したデータ3を用いて入出力変数の値の大小の傾向を識別する散布図6a、6b、6c、6dを作成する。具体的には、作成部1bは、入力変数「寸法縦」、「寸法横」および出力変数「衝突安全性」、「燃費」それぞれに関する散布図のフォーマットを作成する。各散布図のフォーマットの座標系は、計算部1aが求めた2次元空間の座標系に一致させる。
【0019】
次に、作成部1bは、作成した各フォーマットのレコード5a、5b、5c、5dが示すX座標およびY座標にサンプルを配置する。例えば、1つのフォーマットのレコード5aが示す座標(XA、YA)にサンプル61aを配置する。1つのフォーマットのレコード5bが示す座標(XB、YB)にサンプル61bを配置する。1つのフォーマットのレコード5cが示す座標(XC、YC)にサンプル61cを配置する。1つのフォーマットのレコード5dが示す座標(XD、YD)にサンプル61dを配置する。次に、作成部1bは、配置した各サンプルの値の大小を示す模様を、対応する入出力変数の値に基づき決定する。色は、例えば、値が10未満であれば黒に塗りつぶし、10以上20未満であれば斜線で示し、20以上であれば白抜きに決定する。例えば図1では、サンプル61aの色を、入力変数「寸法縦」の値「A11」に基づき黒に塗りつぶす。
【0020】
表示部1cは、作成部1bが作成した散布図6a、6b、6c、6dを計算装置1に接続されている表示装置7に表示する。
この計算装置1によれば、計算部1aが多目的最適化計算の計算結果を示すデータ2aに多次元尺度法を用いて中間変数を備えるデータ3を作成した。そして、作成部1bが、データ3を用いて散布図6a、6b、6c、6dを作成した。
【0021】
利用者は、散布図6a、6b、6c、6dを見ることにより、データ2aから(データ3を作成せずに)直接散布図を作成する場合に比べ、データ2aの傾向をより分かりやすく把握することができる。具体的には、利用者は散布図6a、6b、6c、6dを見ることにより、寸法縦および寸法横の値を大きくすれば、衝突安全性の値も大きくなる(衝突安全性は高まる)が、燃費の値も大きくなる(悪化する)ことが分かる。
【0022】
なお、本実施の形態では、計算部1aは、非類似度を変換した距離のデータから2次元の座標を求めたが、3次元の座標を求めても良い。この場合、X座標、Y座標およびZ座標がそれぞれ第1のレコード3aを構成する入力変数の値および第2のレコード4aを構成する出力変数の値についての中間変数の値となる。
【0023】
また、本実施の形態では、サンプルの色を変えることによりデータの傾向を示したが、サンプルの色を変えたり、サンプルの形状を変えたりすることによりデータの傾向を示してもよい。
【0024】
以下、第2の実施の形態において、開示の計算装置をより具体的に説明する。
<第2の実施の形態>
図2は、第2の実施の形態の計算装置のハードウェア構成を示す図である。
【0025】
計算装置10は、CPU101によって装置全体が制御されている。CPU101には、バス108を介してRAM102と複数の周辺機器が接続されている。
RAM102は、計算装置10の主記憶装置として使用される。RAM102には、CPU101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM102には、CPU101による処理に使用する各種データが格納される。
【0026】
バス108には、ハードディスクドライブ103、グラフィック処理装置104、入力インタフェース105、ドライブ装置106、および通信インタフェース107が接続されている。
【0027】
ハードディスクドライブ103は、内蔵したディスクに対して、磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。ハードディスクドライブ103は、計算装置10の二次記憶装置として使用される。ハードディスクドライブ103には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、二次記憶装置としては、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置を使用することもできる。
【0028】
グラフィック処理装置104には、モニタ104aが接続されている。グラフィック処理装置104は、CPU101からの命令に従って、画像をモニタ104aの画面に表示させる。モニタ104aとしては、CRT(Cathode Ray Tube)を用いた表示装置や、液晶表示装置等が挙げられる。
【0029】
入力インタフェース105には、キーボード105aとマウス105bとが接続されている。入力インタフェース105は、キーボード105aやマウス105bから送られてくる信号をCPU101に送信する。なお、マウス105bは、ポインティングデバイスの一例であり、他のポインティングデバイスを使用することもできる。他のポインティングデバイスとしては、例えばタッチパネル、タブレット、タッチパッド、トラックボール等が挙げられる。
【0030】
ドライブ装置106は、例えば、光の反射によって読み取り可能なようにデータが記録された光ディスクや、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の持ち運び可能な記録媒体に記録されたデータの読み取りを行う。例えば、ドライブ装置106が光学ドライブ装置である場合、レーザ光等を利用して、光ディスク200に記録されたデータの読み取りを行う。光ディスク200には、Blu−ray(登録商標)、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)等が挙げられる。
【0031】
通信インタフェース107は、ネットワーク50に接続されている。通信インタフェース107は、ネットワーク50を介して、他のコンピュータまたは通信機器との間でデータを送受信する。
【0032】
以上のようなハードウェア構成によって、本実施の形態の処理機能を実現することができる。
図2に示すようなハードウェア構成の計算装置10内には、以下のような機能が設けられる。
【0033】
図3は、第2の実施の形態の計算装置の機能を示すブロック図である。
計算装置10は、変数受付部11と、変数記憶部12と、データ生成部13と、シミュレーション実行部14と、データ一時記憶部15と、統計解析計算部16と、散布図作成部17と、候補設定部18とを有している。
【0034】
変数受付部11は、計算装置10の利用者が入力する入力変数および出力変数を受け付ける。例えば自動車の製造に関する入力変数であれば、寸法縦、寸法横等が挙げられる。また、出力変数としては、例えば衝突安全性や燃費等が挙げられる。
【0035】
変数記憶部12は、変数受付部11が受け付けた入力変数および出力変数を記憶する。
データ生成部13は、変数記憶部12に記憶された入力変数と出力変数それぞれについて入力変数の値と出力変数の値を生成し、生成した入力変数の値に最適化アルゴリズムを用いて入力変数の値と出力変数の値について複数のレコードを備えるデータを生成する。なお、最適化アルゴリズムとしては、Nelder−Meadアルゴリズム、Powellアルゴリズム、遺伝的アルゴリズム、シミュレーテッドアニーリングアルゴリズム、微分進化アルゴリズム、粒子群最適化アルゴリズム等が挙げられる。
【0036】
図4は、データ生成部が生成したデータの一例を示す図である。
データ13aは、データ生成部13が生成したデータの一例を示している。図4に示すデータ13aは、2個の入力変数と2個の出力変数を備えている。データ13aは、入力変数と出力変数それぞれに対し値が異なる3個のレコードが設定されている。再び図3に戻って説明する。
【0037】
データ生成部13は、データ13aを生成する際にシミュレーション実行部14に対して指示するシミュレーション実行指示を送る。
シミュレーション実行部14は、受け取ったシミュレーション実行指示に基づきデータ生成部13が生成した入力変数に関するデータに計算機シミュレーションを実行する。そして、シミュレーション実行部14は、計算機シミュレーションを実行した結果得られる、入力変数に対応する出力変数に関するデータをデータ生成部13に返す。
【0038】
データ一時記憶部15は、データ生成部13が生成したデータ13aや、シミュレーション実行部14が生成した出力変数に関するデータ等を一時的に記憶する。
統計解析計算部16は、統計解析の計算を実行してデータ生成部13が生成したデータが備える入力変数の個数と出力変数の個数とを合計した個数より少ない変数でデータ生成部13が生成したデータの構造を再現する中間変数の値を生成する。例えば、統計解析計算部16は、データ13aが備える入力変数の個数と出力変数の個数とを合計した個数4より少ない2つの変数でデータ13aの構造を再現する中間変数の値を生成する。この中間変数は、データ生成部13が生成したデータが備える各入力変数および各出力変数を散布図に配置する際の配置位置を示す情報となる。
【0039】
統計解析の方法としては、高次元のデータを低次元に射影する方法を用いることができる。この方法として、例えば、多次元尺度法、サモンマップ、特異値分解、ニューラルネットワーク、カーネル主成分分析等が挙げられる。本実施の形態では、一例として多次元尺度法を用いた統計解析を実行する。
【0040】
散布図作成部17は、データ生成部13が生成したデータ13aと統計解析計算部16が生成した中間変数の値とを用いて散布図を作成する。
図5は、散布図作成部が作成した散布図の一例を示す図である。
【0041】
散布図17a、17b、17c、17dは、車の形に関するパラメータを入力変数とし、車の性能に関するパラメータを出力変数とした例を示している。
図5に示す散布図17aは、入力変数「寸法縦」に関する散布図であり、散布図17bは、入力変数「寸法横」に関する散布図であり、散布図17cは、出力変数「衝突安全性」に関する散布図であり、散布図17dは、出力変数「燃費」に関する散布図である。
【0042】
散布図17a、17b、17c、17dに表示されたサンプル171、172、173、174は、データ生成部13が生成した各レコードの変数の値(データの1つ)を示している。具体的には、サンプル171は、レコード1の変数の値を示している。サンプル172は、レコード2の変数の値を示している。サンプル173は、レコード3の変数の値を示している。サンプル174は、レコード4の変数の値を示している。散布図17a、17b、17c、17dの同じ符号のサンプルは、それぞれ散布図17a、17b、17c、17d内において同じ位置に配置されていることを示している。
【0043】
サンプル171、172、173、174には、変数の値の大小に応じた色が着色されている。図5では、変数の値が第1の閾値未満のサンプルは白抜きで示し、変数の値が第1の閾値以上、かつ、第2の閾値未満のサンプルは斜線で示し、変数の値が第2の閾値以上のサンプルは黒で塗りつぶして示している。なお、図5では、色の差異をデータの値の大小の識別に用いているが、色の差異の代わりに形の差異等を用いてもよい。
【0044】
入力変数と出力変数が多い場合であっても、入出力変数それぞれについての散布図17a、17b、17c、17dを作成することにより、利用者は、多目的最適化の結果の解釈、すなわち、入力変数と出力変数の関係の解釈が容易になる。
【0045】
例えば、利用者は、散布図17cおよび散布図17dを見て、散布図17cの右下の周辺のサンプルは、衝突安全性が高いことや、散布図17dの右上の周辺のサンプルは燃費が良い等を判断することができる。また、利用者は、寸法縦および寸法横を大きくすれば、衝突安全性は高まるが、燃費が悪化すること等を容易に解釈することができる。
【0046】
図6は、比較例の散布図行列を示す図であり、図7は、比較例の折れ線グラフを示す図である。
図6に示す散布図91は、図4に示すデータ13aの変数の全ての組み合わせについての散布図である。
【0047】
図7に示す折れ線グラフ92は、図4に示すデータ13aの変数の全ての組み合わせについての折れ線グラフである。
利用者は、散布図17a、17b、17c、17dを見て入力変数と出力変数の関係を解釈することで、散布図91および折れ線グラフ92を解析する場合に比べ、多目的最適化の結果の解釈が容易になる。この傾向は、入出力変数の数が多くなればなるほど顕著なものとなる。
【0048】
再び図3に戻って説明する。
候補設定部18は、散布図作成部17が作成した17c、17dのうち、利用者が興味のある領域の指定を受け付け、受け付けた領域についてサンプルを再作成するための入出力変数の値および中間変数の値を生成する。この場合、散布図作成部17は、候補設定部18が生成した入出力変数の値および中間変数の値を用いて散布図を作成する。
【0049】
次に、計算装置10の処理を説明する。
図8は、計算装置の全体処理を示すフローチャートである。図9は、図8の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【0050】
[ステップS1] データ生成部13は、変数記憶部12に記憶されているN1個の入力変数を、入力パラメータに設定する。ここで入力パラメータは、最適化アルゴリズムの入力に関する変数である。その後、ステップS2に遷移する。
【0051】
[ステップS2] データ生成部13は、変数記憶部12に記憶されているN2個の出力変数を、出力評価指標に設定する。ここで出力評価指標は、最適化アルゴリズムの出力に関する変数である。その後、ステップS3に遷移する。
【0052】
[ステップS3] データ生成部13は、最適化アルゴリズムを用いて入力パラメータおよび出力評価指標についてN4個のレコードを備える第1のデータD1を生成する。前述した図4に示すデータ13aは、第1のデータD1の一例である。データ生成部13は、生成した第1のデータD1をデータ一時記憶部15に記憶する。その後、ステップS4に遷移する。なお、当該ステップS3の処理は後に詳述する。
【0053】
[ステップS4] 統計解析計算部16は、データ一時記憶部15に記憶されている第1のデータD1に多次元尺度法の統計解析計算を実行し、N5個のレコードを備える中間変数の第2のデータD2を生成する。具体的には、統計解析計算部16は、第1のデータD1から非類似度を計算するデータD1aを生成する。そして、統計解析計算部16は、生成したデータD1aに基づいて、2次元空間上の各点の座標値を中間変数とする第2のデータD2を生成する。統計解析計算部16は、生成した第2のデータD2をデータ一時記憶部15に記憶する。その後、ステップS5に遷移する。
【0054】
[ステップS5] 散布図作成部17は、データ一時記憶部15に記憶されている第1のデータD1および第2のデータD2を用いて散布図を作成する。その後、ステップS6に遷移する。なお、散布図の作成処理は後に詳述する。
【0055】
[ステップS6] 散布図作成部17は、作成した散布図をモニタ104aに表示する。その後、図8の処理を終了する。
次に、図8のステップS3の処理(第1の最適化処理)を、図10および図11を用いて説明する。
【0056】
図10は、第1の最適化処理を示すフローチャートである。図11は、図10の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
[ステップS3a] データ生成部13は、ランダムサンプリング等を用いて図8のステップS1にて設定された入力パラメータ(N1個の入力変数)それぞれについてN12個のサンプル値を生成することで、N12個のレコードを備える第3のデータD3を生成する。その後、ステップS3bに遷移する。
【0057】
[ステップS3b] データ生成部13は、ステップS3aにて生成した第3のデータD3に対する計算機シミュレーションをシミュレーション実行部14に依頼する。シミュレーション実行部14は、第3のデータD3に対する計算機シミュレーションを実行し、N2個の出力評価指標に関するN12個のレコードを備える第4のデータD4を生成する。シミュレーション実行部14は、生成した第4のデータD4をデータ生成部13に返す。
【0058】
[ステップS3c] データ生成部13は、第3のデータD3と第4のデータD4とを統合し、N12個のレコードを備える第5のデータD5を生成する。その後、ステップS3dに遷移する。
【0059】
[ステップS3d] データ生成部13は、第1のデータD1のレコードの個数を示すN4に第5のデータD5のレコードの個数を示すN12を代入する。その後、ステップS3eに遷移する。
【0060】
[ステップS3e] データ生成部13は、利用者が予め設定した最適化アルゴリズムを繰り返し計算させる回数X1を設定する。その後、ステップS3fに遷移する。
[ステップS3f] データ生成部13は、ステップS3cにて生成した第5のデータD5に最適化アルゴリズムを用いてN1個の入力パラメータに対し出力評価指標を小さくできる可能性の高いN13個のレコードを備える第6のデータD6を生成する。その後、ステップS3gに遷移する。
【0061】
[ステップS3g] データ生成部13は、ステップS3fにて生成した第6のデータD6に対する計算機シミュレーションをシミュレーション実行部14に依頼する。シミュレーション実行部14は、第6のデータD6に対する計算機シミュレーションを実行し、N2個の出力評価指標に関するN13個のレコードを備える第7のデータD7を生成する。シミュレーション実行部14は、生成した第7のデータD7をデータ生成部13に返す。
【0062】
[ステップS3h] データ生成部13は、ステップS3fにて生成した第6のデータD6を入力パラメータに追加する。また、データ生成部13は、ステップS3gにて生成した第7のデータD7を出力評価指標に追加する。その後、ステップS3iに遷移する。
【0063】
[ステップS3i] データ生成部13は、N4の個数にN13の個数を追加したものを新たにN4の個数とする。その後、ステップS3jに遷移する。
[ステップS3j] データ生成部13は、最適化アルゴリズムを計算した回数を示す回数Y1に1を追加する。その後、ステップS3kに遷移する。
【0064】
[ステップS3k] データ生成部13は、回数Y1が回数X1に等しいか否かを判断する。回数Y1が回数X1に等しい場合(ステップS3kのYes)、ステップS3mに遷移する。回数Y1が回数X1に等しくない場合(ステップS3kのNo)、ステップS3fに遷移し、ステップS3f以降の処理を引き続き実行する。
【0065】
[ステップS3m] データ生成部13は、入力パラメータと出力評価指標についてN4個のレコードを備える第1のデータD1をデータ一時記憶部15に記憶する。その後、図10の処理を終了する。
【0066】
次に、図8のステップS5の処理(散布図作成処理)を説明する。
図12は、散布図作成処理を示すフローチャートである。図13〜図16は、図12の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【0067】
[ステップS5a] 散布図作成部17は、データ一時記憶部15に記憶されている第1のデータD1を読み込む。その後、ステップS5bに遷移する。
[ステップS5b] 散布図作成部17は、データ一時記憶部15に記憶されている第2のデータD2を読み込む。その後、ステップS5cに遷移する。
【0068】
[ステップS5c] 散布図作成部17は、第1のデータD1のレコード数N4と第2のデータD2のレコード数N5とを乗じたN14個の入力パラメータを生成する。散布図作成部17は、作成したN14個の入力パラメータに、第2のデータD2を設定した第8のデータD8を生成する。図13に示すように、第8のデータD8は、第2のデータD2のレコード1の中間変数1、レコード1の中間変数2、・・・の順にN5個のデータを並べ次に、第2のデータD2のレコード2の中間変数1、レコード2の中間変数2、・・・、レコードN4の中間変数N5を並べる。その後、ステップS5dに遷移する。
【0069】
[ステップS5d] 散布図作成部17は、第2のデータD2を用いて第1のデータD1の入力変数および出力変数それぞれを近似するN3個の第1の近似式を生成する。なお、近似式の生成方法としては、SVM(Support Vector Machine)回帰アルゴリズムや、RandomForest回帰アルゴリズム等を用いることができる。なお、後述する第2の近似式、第3の近似式、第4の近似式についても、第1の近似式と同様の方法で作成することができる。その後、ステップS5eに遷移する。
【0070】
[ステップS5e] 散布図作成部17は、ステップS5dにて生成した第1の近似式を第1のデータD1に用いてN4個のレコードを備える第9のデータD9を生成する。その後、ステップS5fに遷移する。
【0071】
[ステップS5f] 散布図作成部17は、第1のデータD1と第9のデータD9それぞれの入力変数と出力変数の差の2乗平均を計算することで1つの値を得る。そして、散布図作成部17は、得た値を出力評価指標に設定する。
【0072】
[ステップS5g] 散布図作成部17は、ステップS5cにて生成した第8のデータD8とステップS5fにて得られた1つの出力評価指標を組み合わせた第10のデータD10を生成する。その後、ステップS5hに遷移する。
【0073】
[ステップS5h] 散布図作成部17は、ステップS5gにて生成した第10のデータD10に最適化アルゴリズムを用いて出力評価指標が最小の入力パラメータで構成される第11のデータD11を生成する。その後、ステップS5iに遷移する。なお、当該ステップS5hの処理は後に詳述する。
【0074】
[ステップS5i] 散布図作成部17は、第1のデータD1と第11のデータD11とを用いて散布図を表示するための第12のデータD12を生成する。具体的には、散布図作成部17は、図16に示すように、第11のデータD11を第2のデータD2と同様のフォーマットを備えるデータに変換し、変換したデータと第1のデータD1とを組み合わせることで第12のデータD12を生成する。その後、図12の処理を終了する。
【0075】
散布図作成部17は、図16に示す第12のデータD12を用いて図5に示す散布図17a、17b、17c、17d等の散布図を作成することができる。具体的には、N5個の中間変数は、第1のデータD1の散布図における配置位置を示している。また、散布図の配置位置に配置された第1のデータD1を構成する各データは、色を設定する基準となる。
【0076】
次に、図12のステップS5hの処理(第2の最適化処理)を説明する。
図17は、第2の最適化処理を示すフローチャートである。図18は、図17の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【0077】
[ステップS51h] 散布図作成部17は、利用者が予め設定した最適化アルゴリズムを繰り返し計算させる回数X2を設定する。その後、ステップS52hに遷移する。
[ステップS52h] 散布図作成部17は、ステップS5gにて生成した第10のデータD10に最適化アルゴリズムを用いて出力評価指標を小さくできる可能性の高いN14個の入力パラメータを生成する。その後、ステップS53hに遷移する。
【0078】
[ステップS53h] 散布図作成部17は、ステップS52hにて生成したN14個の入力パラメータを元に第1のデータD1の入力変数および出力変数それぞれを近似するN3個の第2の近似式を生成する。その後、ステップS54hに遷移する。
【0079】
[ステップS54h] 散布図作成部17は、ステップS53hにて生成した第2の近似式を第1のデータD1に用いてN4個のレコードを備える第13のデータD13を生成する。その後、ステップS55hに遷移する。
【0080】
[ステップS55h] 散布図作成部17は、第1のデータD1と第13のデータD13それぞれの入力変数と出力変数について、差の2乗平均を計算することで1つの値を得る。そして、散布図作成部17は、得た値を出力評価指標に設定する。その後、ステップS56hに遷移する。
【0081】
[ステップS56h] 散布図作成部17は、ステップS52hにて生成したN14個の入力パラメータとステップS55hにて設定した出力評価指標を第10のデータD10に追加する。
【0082】
[ステップS57h] 散布図作成部17は、最適化アルゴリズムを計算した回数を示す回数Y2に1を追加する。その後、ステップS58hに遷移する。
[ステップS58h] 散布図作成部17は、回数Y2が回数X2に等しいか否かを判断する。回数Y2が回数X2に等しい場合(ステップS58hのYes)、ステップS59hに遷移する。回数Y2が回数X2に等しくない場合(ステップS58hのNo)、ステップS52hに遷移し、ステップS52h以降の処理を引き続き実行する。
【0083】
[ステップS59h] 散布図作成部17は、第10のデータD10のうち、出力評価指標が最小の入力パラメータで構成される第11のデータD11を生成する。その後、図17の処理を終了する。
【0084】
以上述べたように、計算装置10によれば、入力変数と出力変数が多い場合であっても、散布図17a、17b、17c、17dを作成し表示することにより、利用者は、多目的最適化の結果の解釈が容易になる。
【0085】
ところで、利用者は、散布図17a、17b、17c、17dを見て、興味を持つ出力変数の領域を指定し、指定した領域について計算装置10に計算機シミュレーションを追加して実行させることで、指定した領域のより詳細なデータ傾向を把握することができる。
【0086】
図19は、領域の指定の一例を示す図である。
領域R1は、利用者が、散布図17dの右上の周辺のサンプル171、172は燃費が良いことを示していることに着目して指定した領域である。
【0087】
候補設定部18は、領域R1に等間隔にサンプルの候補を設定する。領域R1内に等間隔に配置された格子の交点は、新たに計算機シミュレーションを実行させるサンプルの候補を示している。
【0088】
候補設定部18は、設定したサンプルの候補の配置をもとに、入力変数を予測する近似式を生成する。そして、生成した近似式をサンプルの候補に適用することで入力変数のデータを計算する。その後、候補設定部18は、計算した入力変数のデータに対する計算機シミュレーションをシミュレーション実行部14に依頼する。シミュレーション実行部14は、入力変数のデータに対する計算機シミュレーションを実行し、入力変数に対応する出力変数のデータを生成する。シミュレーション実行部14は、生成した出力変数のデータを候補設定部18に返す。候補設定部18は、生成した入力変数と出力変数にサンプルの候補の配置位置を示す中間変数を加えたデータを散布図作成部17に送る。散布図作成部17は、送られてきたデータに基づき散布図を作成する。この処理により、設定したサンプルの候補についての散布図を得ることができる。
【0089】
次に、候補設定部18の処理を説明する。
図20は、候補設定部の処理を示すフローチャートである。図21および図22は、図20の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【0090】
[ステップS11] 候補設定部18は、第1のデータD1と第2のデータD2を用いて第12のデータD12の入力変数のそれぞれを近似するN1個の第3の近似式を生成する。その後、ステップS12に遷移する。
【0091】
[ステップS12] 候補設定部18は、散布図作成部17が作成した散布図を等間隔に区切り、各格子の交点を1つの座標に設定する。そして、候補設定部18は、設定した座標の次元の数(例えば、散布図17aであればX座標およびY座標の2つ)をそれぞれ中間変数とし、座標の値をレコードの値とするN6個のレコードを備える第14のデータD14を生成する。その後、ステップS13に遷移する。
【0092】
[ステップS13] 候補設定部18は、ステップS12にて生成した第14のデータD14のうち、利用者が選択した領域内に位置する座標の値を抽出したN7個のレコードを備える第15のデータD15を生成する。その後、ステップS14に遷移する。
【0093】
[ステップS14] 候補設定部18は、第3の近似式を第15のデータD15に用いて入力変数に関するN7個のレコードを備える第16のデータD16を生成する。その後、ステップS15に遷移する。
【0094】
[ステップS15] 候補設定部18は、ステップS14にて生成した第16のデータD16に対する計算機シミュレーションをシミュレーション実行部14に依頼する。シミュレーション実行部14は、第16のデータD16に対する計算機シミュレーションを実行し、出力変数に関するN7個のレコードを備える第17のデータD17を生成する。シミュレーション実行部14は、生成した第17のデータD17を候補設定部18に返す。
【0095】
[ステップS16] 候補設定部18は、第15のデータD15と第16のデータD16と第17のデータD17とを組み合わせて散布図を表示するための第18のデータD18を生成する。以上で候補設定部18の処理を終了する。
【0096】
散布図作成部17は、候補設定部18が生成した第18のデータD18を用いて散布図を作成する。
この候補設定部18の処理によれば、多次元尺度法の配置を元に、入力変数の値を近似する第3の近似式を生成した。そして、サンプルの候補について、生成した近似式を用いて入力変数の値を計算した。そして、計算した入力変数に対して、計算機シミュレーションを実行し、出力変数を求めた。これにより、散布図に表示する変数の数が多い場合、散布図のデータの配置関係を保ったまま変数の数を減らすことができるため、利用者は、多目的最適化の結果の解釈がより容易になる。
【0097】
なお、本実施の形態では、散布図を等間隔に分割することによりサンプルの候補を選択したが、サンプルの候補を選択する方法としてボロノイ分割を用いてもよい。ボロノイ分割は、隣り合う座標間を結ぶ直線に垂直二等分線を引き、各座標の最近隣領域を分割する方法である。
【0098】
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態の計算装置について説明する。
以下、第3の実施の形態の計算装置について、前述した第2の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0099】
第3の実施の形態の計算装置10は、候補設定部18の機能が第2の実施の形態の計算装置と異なっている。
第3の実施の形態の候補設定部18は、利用者の領域R1の指定を受けずに、散布図の全面に等間隔のサンプルの候補を設定する。
【0100】
図23は、第3の実施の形態の候補設定部の処理を示すフローチャートである。図24は、図23の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
[ステップS21] 候補設定部18は、図20のステップS11と同様の方法で第3の近似式を生成する。その後、ステップS22に遷移する。
【0101】
[ステップS22] 候補設定部18は、図20のステップS12と同様の方法で第14のデータD14を生成する。その後、ステップS23に遷移する。
[ステップS23] 候補設定部18は、第3の近似式を第14のデータD14に用いて入力変数に関するN6個のレコードを備える第19のデータD19を生成する。その後、ステップS24に遷移する。
【0102】
[ステップS24] 候補設定部18は、ステップS23にて生成した第19のデータD19に対する計算機シミュレーションをシミュレーション実行部14に依頼する。シミュレーション実行部14は、第19のデータD19に対する計算機シミュレーションを実行し、出力変数に関するN6個のレコードを備える第20のデータD20を生成する。シミュレーション実行部14は、生成した第20のデータD20を候補設定部18に返す。
【0103】
[ステップS25] 候補設定部18は、第14のデータD14と第19のデータD19と第20のデータD20とを組み合わせて散布図を表示するための第21のデータD21を生成する。以上で候補設定部18の処理を終了する。
【0104】
第3の実施の形態の候補設定部18の処理によっても、散布図に表示する変数の数が多い場合、変数の数を減らすことができるため、利用者は、多目的最適化の結果の解釈がより容易になる。
【0105】
<第4の実施の形態>
次に、第4の実施の形態の計算装置について説明する。
以下、第4の実施の形態の計算装置について、前述した第3の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0106】
第4の実施の形態の計算装置は、候補設定部の機能が第3の実施の形態と異なっている。
第4の実施の形態の候補設定部18は、第14のデータD14の中間変数の値を用いて、出力変数の値がよいレコードを選択する。
【0107】
次に、第4の実施の形態の候補設定部18および散布図作成部17の処理を、フローチャートを用いて説明する。
図25は、第4の実施の形態の候補設定部の処理を示すフローチャートである。図26および図27は、図25の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【0108】
[ステップS31] 候補設定部18は、第1のデータD1と第2のデータD2を用いて第12のデータD12の入力変数および出力変数それぞれを近似するN3個の第4の近似式を生成する。その後、ステップS32に遷移する。
【0109】
[ステップS32] 候補設定部18は、図20のステップS12と同様の方法で第14のデータD14を生成する。その後、ステップS33に遷移する。
[ステップS33] 候補設定部18は、ステップS31にて生成した第4の近似式を第14のデータD14に用いて出力変数に関するN6個のレコードを備える第22のデータD22を生成する。その後、ステップS34に遷移する。
【0110】
[ステップS34] 候補設定部18は、第22のデータD22が備える各レコードの値から、少なくとも1つの出力変数が良いレコードを選択する。そして、選択したレコードに対応する中間変数のN8個のレコードを備える第23のデータD23を生成する。その後、ステップS35に遷移する。以下、当該ステップS34の処理を、具体例を用いて説明する。
【0111】
図28は、第4の実施の形態の候補設定部の処理を説明する図である。
図28に示すデータD1422は、第14のデータD14と第22のデータD22を統合したデータの一例である。データD1422は、2個の中間変数および2個の出力変数に関する3つのレコードを備えている。
【0112】
候補設定部18は、データD1422の出力変数の各レコードの値について、少なくとも1つの出力変数が他の出力変数のレコードの値より良いデータを選択する。ここで、データD1422において、出力変数1、出力変数2は、ともに値が小さい方が好ましいと言う条件であるものとする。
【0113】
第4の実施の形態の候補設定部18は、横軸が出力変数1の値、縦軸が出力変数2の値に該当するグラフを作成する。そして、作成したグラフ上にデータD1422の中間変数1のレコード1〜レコード3の各値をプロットする。候補設定部18は、他のレコードの値に対して良い点が存在しないレコードを削除対象のレコードに設定する。
【0114】
図28に示すように、レコード1の値は、出力変数1においてレコード2の値およびレコード3の値よりも好ましい。従って、候補設定部18は、レコード1を残す。レコード2の値は、出力変数2においてレコード1の値およびレコード3の値よりも好ましい。従って、候補設定部18は、レコード2を残す。レコード3の値は、出力変数1においてレコード2の値よりも悪く、出力変数2においてレコード1の値よりも悪い。従って、候補設定部18は、レコード3を削除対象のレコードに設定する。
【0115】
なお、残ったレコード1およびレコード2は、前述した「少なくとも1つの出力変数が良いレコード」に該当する。
[ステップS35] 候補設定部18は、第4の近似式をステップS34にて生成した第23のデータD23に用いてN1個の入力変数に関するN8個のレコードを備える第24のデータD24を生成する。その後、ステップS36に遷移する。
【0116】
[ステップS36] 候補設定部18は、ステップS35にて生成した第24のデータD24に対する計算機シミュレーションをシミュレーション実行部14に依頼する。シミュレーション実行部14は、第24のデータD24に対する計算機シミュレーションを実行し、出力変数に関するN8個のレコードを備える第25のデータD25を生成する。シミュレーション実行部14は、生成した第25のデータD25を候補設定部18に返す。
【0117】
[ステップS37] 候補設定部18は、第23のデータD23と第24のデータD24と第25のデータD25とを組み合わせて散布図を表示するための第26のデータD26を生成する。以上で候補設定部18の処理を終了する。
【0118】
第4の実施の形態の候補設定部18の処理によっても、散布図に表示する変数の数が多い場合、変数の数を減らすことができるため、利用者は、多目的最適化の結果の解釈がさらに容易になる。
【0119】
<第5の実施の形態>
次に、第5の実施の形態の計算装置について説明する。
以下、第5の実施の形態の計算装置について、前述した第2の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0120】
図29は、第5の実施の形態の計算装置の機能を示すブロック図である。
第5の実施の形態の計算装置10aは、統計解析計算の計算方法が異なっている。
統計解析計算部16aは、行列可視化(視覚化)の統計解析計算を実行する。
【0121】
図30は、第5の実施の形態の統計解析計算部の処理を説明する図である。
統計解析計算部16aは、第2の実施の形態と同様の方法を用いて第1のデータD1を生成する。次に、統計解析計算部16aは、第1のデータD1に対し行列可視化の統計解析計算を実行する。具体的には、統計解析計算部16aは、縦軸に第1のデータD1の入力変数を設定し、横軸に第1のデータD1の出力変数を設定した表G1を作成する。次に、統計解析計算部16aは、作成した表の入力変数と出力変数を、値が近い入力変数が隣り合うように、また、値が近い出力変数が隣り合うように並び替える。そして、表表示部19は、表G1をモニタ104aに表示する。
【0122】
この第5の実施の形態の計算装置10aによっても利用者は、多目的最適化の結果の解釈がより容易になる。
さらに利用者は、例えば第2の実施の形態の計算装置10が作成した散布図と第4の実施の形態の計算装置10が作成した散布図を対比する等、複数の散布図を対比することにより、計算結果を多角的に検討することができる。
【0123】
なお、計算装置10、10aが行った処理が、複数の装置によって分散処理されるようにしてもよい。例えば、管理用計算機と複数の解析用計算機が接続されたPCクラスタ、並列計算機、グリッド計算機、クラウド計算機、SMP(Symmetric Multi-Processor)計算機、マルチコア(Multi-Core)計算機、メニーコア(Many-Core)計算機等で、多目的最適化計算のプログラムを実行させることもできる。
【0124】
例えば計算装置10が行った処理を複数の装置によって分散処理されるようにする場合、管理用計算機は、計算装置10のデータ生成部13、統計解析計算部16、散布図作成部17、および候補設定部18と同様の処理を実行する。また、複数の解析用計算機のそれぞれは、シミュレーション実行部14と同様の処理を実行する。
【0125】
以上、本発明の計算方法、計算プログラムおよび計算装置を、図示の実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や工程が付加されていてもよい。
【0126】
また、本発明は、前述した各実施の形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、計算装置1、10、10aが有する機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等が挙げられる。磁気記憶装置には、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ等が挙げられる。光ディスクには、DVD、DVD−RAM、CD−ROM/RW等が挙げられる。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)等が挙げられる。
【0127】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0128】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0129】
また、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)等の電子回路で実現することもできる。
【0130】
以上の第1〜第5の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) コンピュータが、
複数の入力変数の値と、前記複数の入力変数の値を調節することで最適化された複数の出力変数の値とを備えるデータに統計解析を実行して前記複数の入力変数の値および前記複数の出力変数の値それぞれの相対的な位置関係を示す中間変数の値を生成し、
生成した前記中間変数の値を用いて変数の値の大小の傾向を識別する図を前記入力変数および前記出力変数それぞれについて作成し、
作成した前記図を表示する、
ことを特徴とする計算方法。
【0131】
(付記2) 前記データは、1つのレコードが複数の入力変数の値で構成される複数の第1のレコードと、前記複数の第1のレコードを用いて生成した1つのレコードが複数の出力変数の値で構成される複数の第2のレコードとを備えることを特徴とする付記1記載の計算方法。
【0132】
(付記3) 前記中間変数の個数は2または3であることを特徴とする付記1記載の計算方法。
(付記4) 前記入力変数および前記出力変数それぞれについて作成された図は、入力変数の値それぞれ、および前記中間変数の値に基づいて決定した配置位置に、出力変数の値それぞれを識別するサンプルを配置した散布図であることを特徴とする付記1記載の計算方法。
【0133】
(付記5) 前記統計解析の計算では、多次元尺度法を用いて前記配置位置を決定することを特徴とする付記4記載の計算方法。
(付記6) 前記散布図の領域を所定の方法で分割し、分割した各領域の交点の配置位置を示す中間変数の値を生成し、
生成した前記中間変数の値に基づき、前記複数の入力変数の値それぞれを近似する近似式を用いて複数の入力変数の近似値を生成し、
生成した前記複数の入力変数の近似値それぞれに対応する出力変数の値を生成し、
前記交点の配置位置に、生成した前記出力変数の値それぞれを識別するサンプルを配置した散布図を作成することを特徴とする付記4記載の計算方法。
【0134】
(付記7) 利用者が指定した領域について、前記中間変数の値を生成することを特徴とする付記6記載の計算方法。
(付記8) 前記散布図の領域を所定の方法で分割し、分割した各領域の交点の配置位置を示す中間変数の値を生成し、
生成した前記中間変数の値に基づき、前記複数の出力変数の値それぞれを近似する近似式を用いて複数の出力変数の近似値を生成し、
前記中間変数の値それぞれについて、前記中間変数の値に対応する出力変数の近似値が、他の出力変数の近似値よりも良い値を示す中間変数の値を選択し、
選択した前記中間変数の値に基づき、前記複数の入力変数の値それぞれを近似する近似式を用いて複数の入力変数の値を生成し、
生成した複数の入力変数の値それぞれに対応する出力変数の近似値を生成し、
前記交点の配置位置に、生成した出力変数の近似値それぞれを識別するサンプルを配置した散布図を作成することを特徴とする付記4記載の計算方法。
【0135】
(付記9) コンピュータに、
複数の入力変数の値と、前記複数の入力変数の値を調節することで最適化された複数の出力変数の値とを備えるデータに統計解析を実行して前記複数の入力変数の値および前記複数の出力変数の値それぞれの相対的な位置関係を示す中間変数の値を生成し、
生成した前記中間変数の値を用いて変数の値の大小の傾向を識別する図を前記入力変数および前記出力変数それぞれについて作成し、
作成した前記図を表示する、
処理を実行させることを特徴とする計算プログラム。
【0136】
(付記10) 複数の入力変数の値と、前記複数の入力変数の値を調節することで最適化された複数の出力変数の値とを備えるデータに統計解析を実行して前記複数の入力変数の値および前記複数の出力変数の値それぞれの相対的な位置関係を示す中間変数の値を生成する計算部と、
生成した前記中間変数の値を用いて変数の値の大小の傾向を識別する図を前記入力変数および前記出力変数それぞれについて作成する作成部と、
作成した前記図を表示する表示部と、
を有することを特徴とする計算装置。
【0137】
(付記11) 複数の入力変数の値と、前記複数の入力変数の値を調節することで最適化された複数の出力変数の値とを備えるデータに行列視覚化の統計解析の計算を実行して値が類似する入力変数および出力変数同士が隣接するように前記入力変数の値および前記出力変数の値を並び替えた表を作成する作成部と、
作成した前記表を表示する表示部と、
を有することを特徴とする計算装置。
【符号の説明】
【0138】
1、10、10a 計算装置
1a 計算部
1b 作成部
1c 表示部
2 記憶部
2a、3 データ
3a、3b、3c、3d 第1のレコード
4a、4b、4c、4d 第2のレコード
5a、5b、5c、5d レコード
6a、6b、6c、6d、17a、17b、17c、17d 散布図
7 表示装置
11 変数受付部
12 変数記憶部
13 データ生成部
14 シミュレーション実行部
15 データ一時記憶部
16、16a 統計解析計算部
17 散布図作成部
18 候補設定部
19 表表示部
61a、61b、61c、61d、171、172、173、174 サンプル
【技術分野】
【0001】
本発明は計算方法、計算プログラムおよび計算装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高性能の製品を低価格で開発することが要求される製品開発において、その製品の性能を向上することを第一の目的とし、価格を低く抑えることを第二の目的とする場合、第一の目的を望ましい方向に改善する(性能を高くする)と、第二の目的は望ましくない方向への改悪になり(価格が高くなる)、逆に、第二の目的を望ましい方向に改善する(価格を低くする)と、第一の目的は望ましくない方向への改悪になる(性能が低くなる)という場合がしばしばある。このように、異なる目的を望ましい方向に同時に改善することができず、両者に相反する関係があるとき、この関係のことを「トレードオフ関係」と言う。トレードオフ関係にある複数個の目的の改善を同時に行う手法として、多目的最適化手法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−70849号公報
【特許文献2】特開2011−103067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多目的最適化計算の計算結果を表示する方法として、入出力変数の全ての組み合わせについての散布図を行列状に配置した散布図行列や、入出力変数を横軸にとり、入出力変数の値を縦軸にとった並行座標プロットが知られている。
【0005】
利用者は、散布図行列や並行座標プロットを見て、利用者が期待する出力変数の値が得られそうな入力変数の値の範囲を絞り込み、絞り込んだ範囲についてシミュレーションを実行することで、絞り込んだ範囲の入力変数の値に対応する出力変数の値を求めることができる。利用者は、求めた出力変数の値を確認することで、絞り込んだ入力変数の値によって利用者が期待する出力変数の値が得られるか否かを判断することができる。
【0006】
しかしながら、入力変数と出力変数の種類が多くなるほど、散布図行列や並行座標プロットにおける入出力変数の関係の解釈が難しくなるという問題がある。
1つの側面では、本発明は、入出力変数の関係の解釈を容易にできる情報を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、開示の計算方法が提供される。この計算方法は、コンピュータが、複数の入力変数の値と、複数の入力変数の値を調節することで最適化された複数の出力変数の値とを備えるデータに統計解析を実行して複数の入力変数の値および複数の出力変数の値それぞれの相対的な位置関係を示す中間変数の値を生成する。そして、生成した中間変数の値を用いて変数の値の大小の傾向を識別する図を入力変数および出力変数それぞれについて作成する。そして、作成した図を表示する。
【発明の効果】
【0008】
1態様では、入出力変数の関係の解釈を容易にできる情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施の形態の計算装置を説明する図である。
【図2】第2の実施の形態の計算装置のハードウェア構成を示す図である。
【図3】第2の実施の形態の計算装置の機能を示すブロック図である。
【図4】データ生成部が生成したデータの一例を示す図である。
【図5】散布図作成部が作成した散布図の一例を示す図である。
【図6】比較例の散布図行列を示す図である。
【図7】比較例の折れ線グラフを示す図である。
【図8】計算装置の全体処理を示すフローチャートである。
【図9】図8の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【図10】第1の最適化処理を示すフローチャートである。
【図11】図10の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【図12】散布図作成処理を示すフローチャートである。
【図13】図12の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【図14】図12の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【図15】図12の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【図16】図12の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【図17】第2の最適化処理を示すフローチャートである。
【図18】図17の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【図19】領域の指定の一例を示す図である。
【図20】候補設定部の処理を示すフローチャートである。
【図21】図20の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【図22】図20の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【図23】第3の実施の形態の候補設定部の処理を示すフローチャートである。
【図24】図23の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【図25】第4の実施の形態の候補設定部の処理を示すフローチャートである。
【図26】図25の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【図27】図25の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【図28】第4の実施の形態の候補設定部の処理を説明する図である。
【図29】第5の実施の形態の計算装置の機能を示すブロック図である。
【図30】第5の実施の形態の統計解析計算部の処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態の計算装置を、図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態の計算装置を説明する図である。
【0011】
第1の実施の形態の計算装置(コンピュータ)1は、計算部1aと、作成部1bと、表示部1cとを有している。なお、計算部1a、作成部1bおよび表示部1cは、計算装置1が有するCPU(Central Processing Unit)が備える機能により実現することができる。
【0012】
計算部1aは、記憶部2に記憶されているデータ2aを読み込む。データ2aは、入力変数「寸法縦」、「寸法横」に関する入力変数の値と、入力変数の値を調節することで最適化された出力変数「衝突安全性」、「燃費」の値とを備えるデータである。このデータ2aは、1つのレコードが2個の入力変数の値で構成される第1のレコード3a、3b、3c、3dと、第1のレコード3a、3b、3c、3dを用いて生成した1つのレコードが2個の出力変数の値で構成される第2のレコード4a、4b、4c、4dとを備えている。なお、出力変数の値の最適化の方法は、第2の実施の形態にて詳述する。
【0013】
なお、記憶部2は、RAM(Random Access Memory)やハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)等により実現することができる。なお、本実施の形態では、計算部1aは、記憶部2に予め記憶されているデータ2aを読み込むが、計算装置1がデータ2aを生成する構成であってもよい。また、記憶部2は、計算装置1内に設けられていてもよい。
【0014】
計算部1aは、統計解析の計算を実行してデータ2aが備える入力変数の個数2と出力変数の個数2とを合計した個数4より少ない2つの変数でデータ2aの構造を再現する中間変数の値を生成する。
【0015】
統計解析の方法としては、高次元のデータを低次元に射影する方法を用いることができる。この方法として、例えば、多次元尺度法(MDS: Multi-Dimensional Scaling)、サモンマップ、特異値分解(SVD: Singular Value Decomposition)、ニューラルネットワーク(Neural Network)、カーネル主成分分析(KPCA: Kernel Principal Component Analysis)等が挙げられる。本実施の形態では、一例として多次元尺度法を用いた統計解析を実行し、中間変数の値を生成する方法を説明する。
【0016】
計算部1aは、例えばピアソン相関係数等を用いて第1のレコード3aと第2のレコード4a間の非類似度を計算する。計算した非類似度は、公知の方法を用いて距離のデータに変換することができる。次に計算部1aは、変換した距離のデータから各点の2次元空間上の座標(XA,YA)を求める。求めたX座標およびY座標は、第1のレコード3aを構成する入力変数の値および第2のレコード4aを構成する出力変数の値についての中間変数の値となる。
【0017】
計算部1aは、求めた各点のX座標およびY座標を、第1のレコード3aと第2のレコード4aと関連づけたレコード5aを作成する。計算部1aは、第1のレコード3bと第2のレコード4b、第1のレコード3cと第2のレコード4c、および第1のレコード3dと第2のレコード4dについても第1のレコード3aと第2のレコード4aと同様の処理を行いレコード5b、5c、5dを作成する。そして、計算部1aは、レコード5a、5b、5c、5dを備えるデータ3を生成する。計算部1aは、生成したデータ3を記憶する。
【0018】
作成部1bは、計算部1aが生成したデータ3を用いて入出力変数の値の大小の傾向を識別する散布図6a、6b、6c、6dを作成する。具体的には、作成部1bは、入力変数「寸法縦」、「寸法横」および出力変数「衝突安全性」、「燃費」それぞれに関する散布図のフォーマットを作成する。各散布図のフォーマットの座標系は、計算部1aが求めた2次元空間の座標系に一致させる。
【0019】
次に、作成部1bは、作成した各フォーマットのレコード5a、5b、5c、5dが示すX座標およびY座標にサンプルを配置する。例えば、1つのフォーマットのレコード5aが示す座標(XA、YA)にサンプル61aを配置する。1つのフォーマットのレコード5bが示す座標(XB、YB)にサンプル61bを配置する。1つのフォーマットのレコード5cが示す座標(XC、YC)にサンプル61cを配置する。1つのフォーマットのレコード5dが示す座標(XD、YD)にサンプル61dを配置する。次に、作成部1bは、配置した各サンプルの値の大小を示す模様を、対応する入出力変数の値に基づき決定する。色は、例えば、値が10未満であれば黒に塗りつぶし、10以上20未満であれば斜線で示し、20以上であれば白抜きに決定する。例えば図1では、サンプル61aの色を、入力変数「寸法縦」の値「A11」に基づき黒に塗りつぶす。
【0020】
表示部1cは、作成部1bが作成した散布図6a、6b、6c、6dを計算装置1に接続されている表示装置7に表示する。
この計算装置1によれば、計算部1aが多目的最適化計算の計算結果を示すデータ2aに多次元尺度法を用いて中間変数を備えるデータ3を作成した。そして、作成部1bが、データ3を用いて散布図6a、6b、6c、6dを作成した。
【0021】
利用者は、散布図6a、6b、6c、6dを見ることにより、データ2aから(データ3を作成せずに)直接散布図を作成する場合に比べ、データ2aの傾向をより分かりやすく把握することができる。具体的には、利用者は散布図6a、6b、6c、6dを見ることにより、寸法縦および寸法横の値を大きくすれば、衝突安全性の値も大きくなる(衝突安全性は高まる)が、燃費の値も大きくなる(悪化する)ことが分かる。
【0022】
なお、本実施の形態では、計算部1aは、非類似度を変換した距離のデータから2次元の座標を求めたが、3次元の座標を求めても良い。この場合、X座標、Y座標およびZ座標がそれぞれ第1のレコード3aを構成する入力変数の値および第2のレコード4aを構成する出力変数の値についての中間変数の値となる。
【0023】
また、本実施の形態では、サンプルの色を変えることによりデータの傾向を示したが、サンプルの色を変えたり、サンプルの形状を変えたりすることによりデータの傾向を示してもよい。
【0024】
以下、第2の実施の形態において、開示の計算装置をより具体的に説明する。
<第2の実施の形態>
図2は、第2の実施の形態の計算装置のハードウェア構成を示す図である。
【0025】
計算装置10は、CPU101によって装置全体が制御されている。CPU101には、バス108を介してRAM102と複数の周辺機器が接続されている。
RAM102は、計算装置10の主記憶装置として使用される。RAM102には、CPU101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM102には、CPU101による処理に使用する各種データが格納される。
【0026】
バス108には、ハードディスクドライブ103、グラフィック処理装置104、入力インタフェース105、ドライブ装置106、および通信インタフェース107が接続されている。
【0027】
ハードディスクドライブ103は、内蔵したディスクに対して、磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。ハードディスクドライブ103は、計算装置10の二次記憶装置として使用される。ハードディスクドライブ103には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、二次記憶装置としては、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置を使用することもできる。
【0028】
グラフィック処理装置104には、モニタ104aが接続されている。グラフィック処理装置104は、CPU101からの命令に従って、画像をモニタ104aの画面に表示させる。モニタ104aとしては、CRT(Cathode Ray Tube)を用いた表示装置や、液晶表示装置等が挙げられる。
【0029】
入力インタフェース105には、キーボード105aとマウス105bとが接続されている。入力インタフェース105は、キーボード105aやマウス105bから送られてくる信号をCPU101に送信する。なお、マウス105bは、ポインティングデバイスの一例であり、他のポインティングデバイスを使用することもできる。他のポインティングデバイスとしては、例えばタッチパネル、タブレット、タッチパッド、トラックボール等が挙げられる。
【0030】
ドライブ装置106は、例えば、光の反射によって読み取り可能なようにデータが記録された光ディスクや、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の持ち運び可能な記録媒体に記録されたデータの読み取りを行う。例えば、ドライブ装置106が光学ドライブ装置である場合、レーザ光等を利用して、光ディスク200に記録されたデータの読み取りを行う。光ディスク200には、Blu−ray(登録商標)、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)等が挙げられる。
【0031】
通信インタフェース107は、ネットワーク50に接続されている。通信インタフェース107は、ネットワーク50を介して、他のコンピュータまたは通信機器との間でデータを送受信する。
【0032】
以上のようなハードウェア構成によって、本実施の形態の処理機能を実現することができる。
図2に示すようなハードウェア構成の計算装置10内には、以下のような機能が設けられる。
【0033】
図3は、第2の実施の形態の計算装置の機能を示すブロック図である。
計算装置10は、変数受付部11と、変数記憶部12と、データ生成部13と、シミュレーション実行部14と、データ一時記憶部15と、統計解析計算部16と、散布図作成部17と、候補設定部18とを有している。
【0034】
変数受付部11は、計算装置10の利用者が入力する入力変数および出力変数を受け付ける。例えば自動車の製造に関する入力変数であれば、寸法縦、寸法横等が挙げられる。また、出力変数としては、例えば衝突安全性や燃費等が挙げられる。
【0035】
変数記憶部12は、変数受付部11が受け付けた入力変数および出力変数を記憶する。
データ生成部13は、変数記憶部12に記憶された入力変数と出力変数それぞれについて入力変数の値と出力変数の値を生成し、生成した入力変数の値に最適化アルゴリズムを用いて入力変数の値と出力変数の値について複数のレコードを備えるデータを生成する。なお、最適化アルゴリズムとしては、Nelder−Meadアルゴリズム、Powellアルゴリズム、遺伝的アルゴリズム、シミュレーテッドアニーリングアルゴリズム、微分進化アルゴリズム、粒子群最適化アルゴリズム等が挙げられる。
【0036】
図4は、データ生成部が生成したデータの一例を示す図である。
データ13aは、データ生成部13が生成したデータの一例を示している。図4に示すデータ13aは、2個の入力変数と2個の出力変数を備えている。データ13aは、入力変数と出力変数それぞれに対し値が異なる3個のレコードが設定されている。再び図3に戻って説明する。
【0037】
データ生成部13は、データ13aを生成する際にシミュレーション実行部14に対して指示するシミュレーション実行指示を送る。
シミュレーション実行部14は、受け取ったシミュレーション実行指示に基づきデータ生成部13が生成した入力変数に関するデータに計算機シミュレーションを実行する。そして、シミュレーション実行部14は、計算機シミュレーションを実行した結果得られる、入力変数に対応する出力変数に関するデータをデータ生成部13に返す。
【0038】
データ一時記憶部15は、データ生成部13が生成したデータ13aや、シミュレーション実行部14が生成した出力変数に関するデータ等を一時的に記憶する。
統計解析計算部16は、統計解析の計算を実行してデータ生成部13が生成したデータが備える入力変数の個数と出力変数の個数とを合計した個数より少ない変数でデータ生成部13が生成したデータの構造を再現する中間変数の値を生成する。例えば、統計解析計算部16は、データ13aが備える入力変数の個数と出力変数の個数とを合計した個数4より少ない2つの変数でデータ13aの構造を再現する中間変数の値を生成する。この中間変数は、データ生成部13が生成したデータが備える各入力変数および各出力変数を散布図に配置する際の配置位置を示す情報となる。
【0039】
統計解析の方法としては、高次元のデータを低次元に射影する方法を用いることができる。この方法として、例えば、多次元尺度法、サモンマップ、特異値分解、ニューラルネットワーク、カーネル主成分分析等が挙げられる。本実施の形態では、一例として多次元尺度法を用いた統計解析を実行する。
【0040】
散布図作成部17は、データ生成部13が生成したデータ13aと統計解析計算部16が生成した中間変数の値とを用いて散布図を作成する。
図5は、散布図作成部が作成した散布図の一例を示す図である。
【0041】
散布図17a、17b、17c、17dは、車の形に関するパラメータを入力変数とし、車の性能に関するパラメータを出力変数とした例を示している。
図5に示す散布図17aは、入力変数「寸法縦」に関する散布図であり、散布図17bは、入力変数「寸法横」に関する散布図であり、散布図17cは、出力変数「衝突安全性」に関する散布図であり、散布図17dは、出力変数「燃費」に関する散布図である。
【0042】
散布図17a、17b、17c、17dに表示されたサンプル171、172、173、174は、データ生成部13が生成した各レコードの変数の値(データの1つ)を示している。具体的には、サンプル171は、レコード1の変数の値を示している。サンプル172は、レコード2の変数の値を示している。サンプル173は、レコード3の変数の値を示している。サンプル174は、レコード4の変数の値を示している。散布図17a、17b、17c、17dの同じ符号のサンプルは、それぞれ散布図17a、17b、17c、17d内において同じ位置に配置されていることを示している。
【0043】
サンプル171、172、173、174には、変数の値の大小に応じた色が着色されている。図5では、変数の値が第1の閾値未満のサンプルは白抜きで示し、変数の値が第1の閾値以上、かつ、第2の閾値未満のサンプルは斜線で示し、変数の値が第2の閾値以上のサンプルは黒で塗りつぶして示している。なお、図5では、色の差異をデータの値の大小の識別に用いているが、色の差異の代わりに形の差異等を用いてもよい。
【0044】
入力変数と出力変数が多い場合であっても、入出力変数それぞれについての散布図17a、17b、17c、17dを作成することにより、利用者は、多目的最適化の結果の解釈、すなわち、入力変数と出力変数の関係の解釈が容易になる。
【0045】
例えば、利用者は、散布図17cおよび散布図17dを見て、散布図17cの右下の周辺のサンプルは、衝突安全性が高いことや、散布図17dの右上の周辺のサンプルは燃費が良い等を判断することができる。また、利用者は、寸法縦および寸法横を大きくすれば、衝突安全性は高まるが、燃費が悪化すること等を容易に解釈することができる。
【0046】
図6は、比較例の散布図行列を示す図であり、図7は、比較例の折れ線グラフを示す図である。
図6に示す散布図91は、図4に示すデータ13aの変数の全ての組み合わせについての散布図である。
【0047】
図7に示す折れ線グラフ92は、図4に示すデータ13aの変数の全ての組み合わせについての折れ線グラフである。
利用者は、散布図17a、17b、17c、17dを見て入力変数と出力変数の関係を解釈することで、散布図91および折れ線グラフ92を解析する場合に比べ、多目的最適化の結果の解釈が容易になる。この傾向は、入出力変数の数が多くなればなるほど顕著なものとなる。
【0048】
再び図3に戻って説明する。
候補設定部18は、散布図作成部17が作成した17c、17dのうち、利用者が興味のある領域の指定を受け付け、受け付けた領域についてサンプルを再作成するための入出力変数の値および中間変数の値を生成する。この場合、散布図作成部17は、候補設定部18が生成した入出力変数の値および中間変数の値を用いて散布図を作成する。
【0049】
次に、計算装置10の処理を説明する。
図8は、計算装置の全体処理を示すフローチャートである。図9は、図8の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【0050】
[ステップS1] データ生成部13は、変数記憶部12に記憶されているN1個の入力変数を、入力パラメータに設定する。ここで入力パラメータは、最適化アルゴリズムの入力に関する変数である。その後、ステップS2に遷移する。
【0051】
[ステップS2] データ生成部13は、変数記憶部12に記憶されているN2個の出力変数を、出力評価指標に設定する。ここで出力評価指標は、最適化アルゴリズムの出力に関する変数である。その後、ステップS3に遷移する。
【0052】
[ステップS3] データ生成部13は、最適化アルゴリズムを用いて入力パラメータおよび出力評価指標についてN4個のレコードを備える第1のデータD1を生成する。前述した図4に示すデータ13aは、第1のデータD1の一例である。データ生成部13は、生成した第1のデータD1をデータ一時記憶部15に記憶する。その後、ステップS4に遷移する。なお、当該ステップS3の処理は後に詳述する。
【0053】
[ステップS4] 統計解析計算部16は、データ一時記憶部15に記憶されている第1のデータD1に多次元尺度法の統計解析計算を実行し、N5個のレコードを備える中間変数の第2のデータD2を生成する。具体的には、統計解析計算部16は、第1のデータD1から非類似度を計算するデータD1aを生成する。そして、統計解析計算部16は、生成したデータD1aに基づいて、2次元空間上の各点の座標値を中間変数とする第2のデータD2を生成する。統計解析計算部16は、生成した第2のデータD2をデータ一時記憶部15に記憶する。その後、ステップS5に遷移する。
【0054】
[ステップS5] 散布図作成部17は、データ一時記憶部15に記憶されている第1のデータD1および第2のデータD2を用いて散布図を作成する。その後、ステップS6に遷移する。なお、散布図の作成処理は後に詳述する。
【0055】
[ステップS6] 散布図作成部17は、作成した散布図をモニタ104aに表示する。その後、図8の処理を終了する。
次に、図8のステップS3の処理(第1の最適化処理)を、図10および図11を用いて説明する。
【0056】
図10は、第1の最適化処理を示すフローチャートである。図11は、図10の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
[ステップS3a] データ生成部13は、ランダムサンプリング等を用いて図8のステップS1にて設定された入力パラメータ(N1個の入力変数)それぞれについてN12個のサンプル値を生成することで、N12個のレコードを備える第3のデータD3を生成する。その後、ステップS3bに遷移する。
【0057】
[ステップS3b] データ生成部13は、ステップS3aにて生成した第3のデータD3に対する計算機シミュレーションをシミュレーション実行部14に依頼する。シミュレーション実行部14は、第3のデータD3に対する計算機シミュレーションを実行し、N2個の出力評価指標に関するN12個のレコードを備える第4のデータD4を生成する。シミュレーション実行部14は、生成した第4のデータD4をデータ生成部13に返す。
【0058】
[ステップS3c] データ生成部13は、第3のデータD3と第4のデータD4とを統合し、N12個のレコードを備える第5のデータD5を生成する。その後、ステップS3dに遷移する。
【0059】
[ステップS3d] データ生成部13は、第1のデータD1のレコードの個数を示すN4に第5のデータD5のレコードの個数を示すN12を代入する。その後、ステップS3eに遷移する。
【0060】
[ステップS3e] データ生成部13は、利用者が予め設定した最適化アルゴリズムを繰り返し計算させる回数X1を設定する。その後、ステップS3fに遷移する。
[ステップS3f] データ生成部13は、ステップS3cにて生成した第5のデータD5に最適化アルゴリズムを用いてN1個の入力パラメータに対し出力評価指標を小さくできる可能性の高いN13個のレコードを備える第6のデータD6を生成する。その後、ステップS3gに遷移する。
【0061】
[ステップS3g] データ生成部13は、ステップS3fにて生成した第6のデータD6に対する計算機シミュレーションをシミュレーション実行部14に依頼する。シミュレーション実行部14は、第6のデータD6に対する計算機シミュレーションを実行し、N2個の出力評価指標に関するN13個のレコードを備える第7のデータD7を生成する。シミュレーション実行部14は、生成した第7のデータD7をデータ生成部13に返す。
【0062】
[ステップS3h] データ生成部13は、ステップS3fにて生成した第6のデータD6を入力パラメータに追加する。また、データ生成部13は、ステップS3gにて生成した第7のデータD7を出力評価指標に追加する。その後、ステップS3iに遷移する。
【0063】
[ステップS3i] データ生成部13は、N4の個数にN13の個数を追加したものを新たにN4の個数とする。その後、ステップS3jに遷移する。
[ステップS3j] データ生成部13は、最適化アルゴリズムを計算した回数を示す回数Y1に1を追加する。その後、ステップS3kに遷移する。
【0064】
[ステップS3k] データ生成部13は、回数Y1が回数X1に等しいか否かを判断する。回数Y1が回数X1に等しい場合(ステップS3kのYes)、ステップS3mに遷移する。回数Y1が回数X1に等しくない場合(ステップS3kのNo)、ステップS3fに遷移し、ステップS3f以降の処理を引き続き実行する。
【0065】
[ステップS3m] データ生成部13は、入力パラメータと出力評価指標についてN4個のレコードを備える第1のデータD1をデータ一時記憶部15に記憶する。その後、図10の処理を終了する。
【0066】
次に、図8のステップS5の処理(散布図作成処理)を説明する。
図12は、散布図作成処理を示すフローチャートである。図13〜図16は、図12の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【0067】
[ステップS5a] 散布図作成部17は、データ一時記憶部15に記憶されている第1のデータD1を読み込む。その後、ステップS5bに遷移する。
[ステップS5b] 散布図作成部17は、データ一時記憶部15に記憶されている第2のデータD2を読み込む。その後、ステップS5cに遷移する。
【0068】
[ステップS5c] 散布図作成部17は、第1のデータD1のレコード数N4と第2のデータD2のレコード数N5とを乗じたN14個の入力パラメータを生成する。散布図作成部17は、作成したN14個の入力パラメータに、第2のデータD2を設定した第8のデータD8を生成する。図13に示すように、第8のデータD8は、第2のデータD2のレコード1の中間変数1、レコード1の中間変数2、・・・の順にN5個のデータを並べ次に、第2のデータD2のレコード2の中間変数1、レコード2の中間変数2、・・・、レコードN4の中間変数N5を並べる。その後、ステップS5dに遷移する。
【0069】
[ステップS5d] 散布図作成部17は、第2のデータD2を用いて第1のデータD1の入力変数および出力変数それぞれを近似するN3個の第1の近似式を生成する。なお、近似式の生成方法としては、SVM(Support Vector Machine)回帰アルゴリズムや、RandomForest回帰アルゴリズム等を用いることができる。なお、後述する第2の近似式、第3の近似式、第4の近似式についても、第1の近似式と同様の方法で作成することができる。その後、ステップS5eに遷移する。
【0070】
[ステップS5e] 散布図作成部17は、ステップS5dにて生成した第1の近似式を第1のデータD1に用いてN4個のレコードを備える第9のデータD9を生成する。その後、ステップS5fに遷移する。
【0071】
[ステップS5f] 散布図作成部17は、第1のデータD1と第9のデータD9それぞれの入力変数と出力変数の差の2乗平均を計算することで1つの値を得る。そして、散布図作成部17は、得た値を出力評価指標に設定する。
【0072】
[ステップS5g] 散布図作成部17は、ステップS5cにて生成した第8のデータD8とステップS5fにて得られた1つの出力評価指標を組み合わせた第10のデータD10を生成する。その後、ステップS5hに遷移する。
【0073】
[ステップS5h] 散布図作成部17は、ステップS5gにて生成した第10のデータD10に最適化アルゴリズムを用いて出力評価指標が最小の入力パラメータで構成される第11のデータD11を生成する。その後、ステップS5iに遷移する。なお、当該ステップS5hの処理は後に詳述する。
【0074】
[ステップS5i] 散布図作成部17は、第1のデータD1と第11のデータD11とを用いて散布図を表示するための第12のデータD12を生成する。具体的には、散布図作成部17は、図16に示すように、第11のデータD11を第2のデータD2と同様のフォーマットを備えるデータに変換し、変換したデータと第1のデータD1とを組み合わせることで第12のデータD12を生成する。その後、図12の処理を終了する。
【0075】
散布図作成部17は、図16に示す第12のデータD12を用いて図5に示す散布図17a、17b、17c、17d等の散布図を作成することができる。具体的には、N5個の中間変数は、第1のデータD1の散布図における配置位置を示している。また、散布図の配置位置に配置された第1のデータD1を構成する各データは、色を設定する基準となる。
【0076】
次に、図12のステップS5hの処理(第2の最適化処理)を説明する。
図17は、第2の最適化処理を示すフローチャートである。図18は、図17の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【0077】
[ステップS51h] 散布図作成部17は、利用者が予め設定した最適化アルゴリズムを繰り返し計算させる回数X2を設定する。その後、ステップS52hに遷移する。
[ステップS52h] 散布図作成部17は、ステップS5gにて生成した第10のデータD10に最適化アルゴリズムを用いて出力評価指標を小さくできる可能性の高いN14個の入力パラメータを生成する。その後、ステップS53hに遷移する。
【0078】
[ステップS53h] 散布図作成部17は、ステップS52hにて生成したN14個の入力パラメータを元に第1のデータD1の入力変数および出力変数それぞれを近似するN3個の第2の近似式を生成する。その後、ステップS54hに遷移する。
【0079】
[ステップS54h] 散布図作成部17は、ステップS53hにて生成した第2の近似式を第1のデータD1に用いてN4個のレコードを備える第13のデータD13を生成する。その後、ステップS55hに遷移する。
【0080】
[ステップS55h] 散布図作成部17は、第1のデータD1と第13のデータD13それぞれの入力変数と出力変数について、差の2乗平均を計算することで1つの値を得る。そして、散布図作成部17は、得た値を出力評価指標に設定する。その後、ステップS56hに遷移する。
【0081】
[ステップS56h] 散布図作成部17は、ステップS52hにて生成したN14個の入力パラメータとステップS55hにて設定した出力評価指標を第10のデータD10に追加する。
【0082】
[ステップS57h] 散布図作成部17は、最適化アルゴリズムを計算した回数を示す回数Y2に1を追加する。その後、ステップS58hに遷移する。
[ステップS58h] 散布図作成部17は、回数Y2が回数X2に等しいか否かを判断する。回数Y2が回数X2に等しい場合(ステップS58hのYes)、ステップS59hに遷移する。回数Y2が回数X2に等しくない場合(ステップS58hのNo)、ステップS52hに遷移し、ステップS52h以降の処理を引き続き実行する。
【0083】
[ステップS59h] 散布図作成部17は、第10のデータD10のうち、出力評価指標が最小の入力パラメータで構成される第11のデータD11を生成する。その後、図17の処理を終了する。
【0084】
以上述べたように、計算装置10によれば、入力変数と出力変数が多い場合であっても、散布図17a、17b、17c、17dを作成し表示することにより、利用者は、多目的最適化の結果の解釈が容易になる。
【0085】
ところで、利用者は、散布図17a、17b、17c、17dを見て、興味を持つ出力変数の領域を指定し、指定した領域について計算装置10に計算機シミュレーションを追加して実行させることで、指定した領域のより詳細なデータ傾向を把握することができる。
【0086】
図19は、領域の指定の一例を示す図である。
領域R1は、利用者が、散布図17dの右上の周辺のサンプル171、172は燃費が良いことを示していることに着目して指定した領域である。
【0087】
候補設定部18は、領域R1に等間隔にサンプルの候補を設定する。領域R1内に等間隔に配置された格子の交点は、新たに計算機シミュレーションを実行させるサンプルの候補を示している。
【0088】
候補設定部18は、設定したサンプルの候補の配置をもとに、入力変数を予測する近似式を生成する。そして、生成した近似式をサンプルの候補に適用することで入力変数のデータを計算する。その後、候補設定部18は、計算した入力変数のデータに対する計算機シミュレーションをシミュレーション実行部14に依頼する。シミュレーション実行部14は、入力変数のデータに対する計算機シミュレーションを実行し、入力変数に対応する出力変数のデータを生成する。シミュレーション実行部14は、生成した出力変数のデータを候補設定部18に返す。候補設定部18は、生成した入力変数と出力変数にサンプルの候補の配置位置を示す中間変数を加えたデータを散布図作成部17に送る。散布図作成部17は、送られてきたデータに基づき散布図を作成する。この処理により、設定したサンプルの候補についての散布図を得ることができる。
【0089】
次に、候補設定部18の処理を説明する。
図20は、候補設定部の処理を示すフローチャートである。図21および図22は、図20の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【0090】
[ステップS11] 候補設定部18は、第1のデータD1と第2のデータD2を用いて第12のデータD12の入力変数のそれぞれを近似するN1個の第3の近似式を生成する。その後、ステップS12に遷移する。
【0091】
[ステップS12] 候補設定部18は、散布図作成部17が作成した散布図を等間隔に区切り、各格子の交点を1つの座標に設定する。そして、候補設定部18は、設定した座標の次元の数(例えば、散布図17aであればX座標およびY座標の2つ)をそれぞれ中間変数とし、座標の値をレコードの値とするN6個のレコードを備える第14のデータD14を生成する。その後、ステップS13に遷移する。
【0092】
[ステップS13] 候補設定部18は、ステップS12にて生成した第14のデータD14のうち、利用者が選択した領域内に位置する座標の値を抽出したN7個のレコードを備える第15のデータD15を生成する。その後、ステップS14に遷移する。
【0093】
[ステップS14] 候補設定部18は、第3の近似式を第15のデータD15に用いて入力変数に関するN7個のレコードを備える第16のデータD16を生成する。その後、ステップS15に遷移する。
【0094】
[ステップS15] 候補設定部18は、ステップS14にて生成した第16のデータD16に対する計算機シミュレーションをシミュレーション実行部14に依頼する。シミュレーション実行部14は、第16のデータD16に対する計算機シミュレーションを実行し、出力変数に関するN7個のレコードを備える第17のデータD17を生成する。シミュレーション実行部14は、生成した第17のデータD17を候補設定部18に返す。
【0095】
[ステップS16] 候補設定部18は、第15のデータD15と第16のデータD16と第17のデータD17とを組み合わせて散布図を表示するための第18のデータD18を生成する。以上で候補設定部18の処理を終了する。
【0096】
散布図作成部17は、候補設定部18が生成した第18のデータD18を用いて散布図を作成する。
この候補設定部18の処理によれば、多次元尺度法の配置を元に、入力変数の値を近似する第3の近似式を生成した。そして、サンプルの候補について、生成した近似式を用いて入力変数の値を計算した。そして、計算した入力変数に対して、計算機シミュレーションを実行し、出力変数を求めた。これにより、散布図に表示する変数の数が多い場合、散布図のデータの配置関係を保ったまま変数の数を減らすことができるため、利用者は、多目的最適化の結果の解釈がより容易になる。
【0097】
なお、本実施の形態では、散布図を等間隔に分割することによりサンプルの候補を選択したが、サンプルの候補を選択する方法としてボロノイ分割を用いてもよい。ボロノイ分割は、隣り合う座標間を結ぶ直線に垂直二等分線を引き、各座標の最近隣領域を分割する方法である。
【0098】
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態の計算装置について説明する。
以下、第3の実施の形態の計算装置について、前述した第2の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0099】
第3の実施の形態の計算装置10は、候補設定部18の機能が第2の実施の形態の計算装置と異なっている。
第3の実施の形態の候補設定部18は、利用者の領域R1の指定を受けずに、散布図の全面に等間隔のサンプルの候補を設定する。
【0100】
図23は、第3の実施の形態の候補設定部の処理を示すフローチャートである。図24は、図23の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
[ステップS21] 候補設定部18は、図20のステップS11と同様の方法で第3の近似式を生成する。その後、ステップS22に遷移する。
【0101】
[ステップS22] 候補設定部18は、図20のステップS12と同様の方法で第14のデータD14を生成する。その後、ステップS23に遷移する。
[ステップS23] 候補設定部18は、第3の近似式を第14のデータD14に用いて入力変数に関するN6個のレコードを備える第19のデータD19を生成する。その後、ステップS24に遷移する。
【0102】
[ステップS24] 候補設定部18は、ステップS23にて生成した第19のデータD19に対する計算機シミュレーションをシミュレーション実行部14に依頼する。シミュレーション実行部14は、第19のデータD19に対する計算機シミュレーションを実行し、出力変数に関するN6個のレコードを備える第20のデータD20を生成する。シミュレーション実行部14は、生成した第20のデータD20を候補設定部18に返す。
【0103】
[ステップS25] 候補設定部18は、第14のデータD14と第19のデータD19と第20のデータD20とを組み合わせて散布図を表示するための第21のデータD21を生成する。以上で候補設定部18の処理を終了する。
【0104】
第3の実施の形態の候補設定部18の処理によっても、散布図に表示する変数の数が多い場合、変数の数を減らすことができるため、利用者は、多目的最適化の結果の解釈がより容易になる。
【0105】
<第4の実施の形態>
次に、第4の実施の形態の計算装置について説明する。
以下、第4の実施の形態の計算装置について、前述した第3の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0106】
第4の実施の形態の計算装置は、候補設定部の機能が第3の実施の形態と異なっている。
第4の実施の形態の候補設定部18は、第14のデータD14の中間変数の値を用いて、出力変数の値がよいレコードを選択する。
【0107】
次に、第4の実施の形態の候補設定部18および散布図作成部17の処理を、フローチャートを用いて説明する。
図25は、第4の実施の形態の候補設定部の処理を示すフローチャートである。図26および図27は、図25の処理によって生成されるデータの一例を示す図である。
【0108】
[ステップS31] 候補設定部18は、第1のデータD1と第2のデータD2を用いて第12のデータD12の入力変数および出力変数それぞれを近似するN3個の第4の近似式を生成する。その後、ステップS32に遷移する。
【0109】
[ステップS32] 候補設定部18は、図20のステップS12と同様の方法で第14のデータD14を生成する。その後、ステップS33に遷移する。
[ステップS33] 候補設定部18は、ステップS31にて生成した第4の近似式を第14のデータD14に用いて出力変数に関するN6個のレコードを備える第22のデータD22を生成する。その後、ステップS34に遷移する。
【0110】
[ステップS34] 候補設定部18は、第22のデータD22が備える各レコードの値から、少なくとも1つの出力変数が良いレコードを選択する。そして、選択したレコードに対応する中間変数のN8個のレコードを備える第23のデータD23を生成する。その後、ステップS35に遷移する。以下、当該ステップS34の処理を、具体例を用いて説明する。
【0111】
図28は、第4の実施の形態の候補設定部の処理を説明する図である。
図28に示すデータD1422は、第14のデータD14と第22のデータD22を統合したデータの一例である。データD1422は、2個の中間変数および2個の出力変数に関する3つのレコードを備えている。
【0112】
候補設定部18は、データD1422の出力変数の各レコードの値について、少なくとも1つの出力変数が他の出力変数のレコードの値より良いデータを選択する。ここで、データD1422において、出力変数1、出力変数2は、ともに値が小さい方が好ましいと言う条件であるものとする。
【0113】
第4の実施の形態の候補設定部18は、横軸が出力変数1の値、縦軸が出力変数2の値に該当するグラフを作成する。そして、作成したグラフ上にデータD1422の中間変数1のレコード1〜レコード3の各値をプロットする。候補設定部18は、他のレコードの値に対して良い点が存在しないレコードを削除対象のレコードに設定する。
【0114】
図28に示すように、レコード1の値は、出力変数1においてレコード2の値およびレコード3の値よりも好ましい。従って、候補設定部18は、レコード1を残す。レコード2の値は、出力変数2においてレコード1の値およびレコード3の値よりも好ましい。従って、候補設定部18は、レコード2を残す。レコード3の値は、出力変数1においてレコード2の値よりも悪く、出力変数2においてレコード1の値よりも悪い。従って、候補設定部18は、レコード3を削除対象のレコードに設定する。
【0115】
なお、残ったレコード1およびレコード2は、前述した「少なくとも1つの出力変数が良いレコード」に該当する。
[ステップS35] 候補設定部18は、第4の近似式をステップS34にて生成した第23のデータD23に用いてN1個の入力変数に関するN8個のレコードを備える第24のデータD24を生成する。その後、ステップS36に遷移する。
【0116】
[ステップS36] 候補設定部18は、ステップS35にて生成した第24のデータD24に対する計算機シミュレーションをシミュレーション実行部14に依頼する。シミュレーション実行部14は、第24のデータD24に対する計算機シミュレーションを実行し、出力変数に関するN8個のレコードを備える第25のデータD25を生成する。シミュレーション実行部14は、生成した第25のデータD25を候補設定部18に返す。
【0117】
[ステップS37] 候補設定部18は、第23のデータD23と第24のデータD24と第25のデータD25とを組み合わせて散布図を表示するための第26のデータD26を生成する。以上で候補設定部18の処理を終了する。
【0118】
第4の実施の形態の候補設定部18の処理によっても、散布図に表示する変数の数が多い場合、変数の数を減らすことができるため、利用者は、多目的最適化の結果の解釈がさらに容易になる。
【0119】
<第5の実施の形態>
次に、第5の実施の形態の計算装置について説明する。
以下、第5の実施の形態の計算装置について、前述した第2の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0120】
図29は、第5の実施の形態の計算装置の機能を示すブロック図である。
第5の実施の形態の計算装置10aは、統計解析計算の計算方法が異なっている。
統計解析計算部16aは、行列可視化(視覚化)の統計解析計算を実行する。
【0121】
図30は、第5の実施の形態の統計解析計算部の処理を説明する図である。
統計解析計算部16aは、第2の実施の形態と同様の方法を用いて第1のデータD1を生成する。次に、統計解析計算部16aは、第1のデータD1に対し行列可視化の統計解析計算を実行する。具体的には、統計解析計算部16aは、縦軸に第1のデータD1の入力変数を設定し、横軸に第1のデータD1の出力変数を設定した表G1を作成する。次に、統計解析計算部16aは、作成した表の入力変数と出力変数を、値が近い入力変数が隣り合うように、また、値が近い出力変数が隣り合うように並び替える。そして、表表示部19は、表G1をモニタ104aに表示する。
【0122】
この第5の実施の形態の計算装置10aによっても利用者は、多目的最適化の結果の解釈がより容易になる。
さらに利用者は、例えば第2の実施の形態の計算装置10が作成した散布図と第4の実施の形態の計算装置10が作成した散布図を対比する等、複数の散布図を対比することにより、計算結果を多角的に検討することができる。
【0123】
なお、計算装置10、10aが行った処理が、複数の装置によって分散処理されるようにしてもよい。例えば、管理用計算機と複数の解析用計算機が接続されたPCクラスタ、並列計算機、グリッド計算機、クラウド計算機、SMP(Symmetric Multi-Processor)計算機、マルチコア(Multi-Core)計算機、メニーコア(Many-Core)計算機等で、多目的最適化計算のプログラムを実行させることもできる。
【0124】
例えば計算装置10が行った処理を複数の装置によって分散処理されるようにする場合、管理用計算機は、計算装置10のデータ生成部13、統計解析計算部16、散布図作成部17、および候補設定部18と同様の処理を実行する。また、複数の解析用計算機のそれぞれは、シミュレーション実行部14と同様の処理を実行する。
【0125】
以上、本発明の計算方法、計算プログラムおよび計算装置を、図示の実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や工程が付加されていてもよい。
【0126】
また、本発明は、前述した各実施の形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、計算装置1、10、10aが有する機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等が挙げられる。磁気記憶装置には、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ等が挙げられる。光ディスクには、DVD、DVD−RAM、CD−ROM/RW等が挙げられる。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)等が挙げられる。
【0127】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0128】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0129】
また、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)等の電子回路で実現することもできる。
【0130】
以上の第1〜第5の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) コンピュータが、
複数の入力変数の値と、前記複数の入力変数の値を調節することで最適化された複数の出力変数の値とを備えるデータに統計解析を実行して前記複数の入力変数の値および前記複数の出力変数の値それぞれの相対的な位置関係を示す中間変数の値を生成し、
生成した前記中間変数の値を用いて変数の値の大小の傾向を識別する図を前記入力変数および前記出力変数それぞれについて作成し、
作成した前記図を表示する、
ことを特徴とする計算方法。
【0131】
(付記2) 前記データは、1つのレコードが複数の入力変数の値で構成される複数の第1のレコードと、前記複数の第1のレコードを用いて生成した1つのレコードが複数の出力変数の値で構成される複数の第2のレコードとを備えることを特徴とする付記1記載の計算方法。
【0132】
(付記3) 前記中間変数の個数は2または3であることを特徴とする付記1記載の計算方法。
(付記4) 前記入力変数および前記出力変数それぞれについて作成された図は、入力変数の値それぞれ、および前記中間変数の値に基づいて決定した配置位置に、出力変数の値それぞれを識別するサンプルを配置した散布図であることを特徴とする付記1記載の計算方法。
【0133】
(付記5) 前記統計解析の計算では、多次元尺度法を用いて前記配置位置を決定することを特徴とする付記4記載の計算方法。
(付記6) 前記散布図の領域を所定の方法で分割し、分割した各領域の交点の配置位置を示す中間変数の値を生成し、
生成した前記中間変数の値に基づき、前記複数の入力変数の値それぞれを近似する近似式を用いて複数の入力変数の近似値を生成し、
生成した前記複数の入力変数の近似値それぞれに対応する出力変数の値を生成し、
前記交点の配置位置に、生成した前記出力変数の値それぞれを識別するサンプルを配置した散布図を作成することを特徴とする付記4記載の計算方法。
【0134】
(付記7) 利用者が指定した領域について、前記中間変数の値を生成することを特徴とする付記6記載の計算方法。
(付記8) 前記散布図の領域を所定の方法で分割し、分割した各領域の交点の配置位置を示す中間変数の値を生成し、
生成した前記中間変数の値に基づき、前記複数の出力変数の値それぞれを近似する近似式を用いて複数の出力変数の近似値を生成し、
前記中間変数の値それぞれについて、前記中間変数の値に対応する出力変数の近似値が、他の出力変数の近似値よりも良い値を示す中間変数の値を選択し、
選択した前記中間変数の値に基づき、前記複数の入力変数の値それぞれを近似する近似式を用いて複数の入力変数の値を生成し、
生成した複数の入力変数の値それぞれに対応する出力変数の近似値を生成し、
前記交点の配置位置に、生成した出力変数の近似値それぞれを識別するサンプルを配置した散布図を作成することを特徴とする付記4記載の計算方法。
【0135】
(付記9) コンピュータに、
複数の入力変数の値と、前記複数の入力変数の値を調節することで最適化された複数の出力変数の値とを備えるデータに統計解析を実行して前記複数の入力変数の値および前記複数の出力変数の値それぞれの相対的な位置関係を示す中間変数の値を生成し、
生成した前記中間変数の値を用いて変数の値の大小の傾向を識別する図を前記入力変数および前記出力変数それぞれについて作成し、
作成した前記図を表示する、
処理を実行させることを特徴とする計算プログラム。
【0136】
(付記10) 複数の入力変数の値と、前記複数の入力変数の値を調節することで最適化された複数の出力変数の値とを備えるデータに統計解析を実行して前記複数の入力変数の値および前記複数の出力変数の値それぞれの相対的な位置関係を示す中間変数の値を生成する計算部と、
生成した前記中間変数の値を用いて変数の値の大小の傾向を識別する図を前記入力変数および前記出力変数それぞれについて作成する作成部と、
作成した前記図を表示する表示部と、
を有することを特徴とする計算装置。
【0137】
(付記11) 複数の入力変数の値と、前記複数の入力変数の値を調節することで最適化された複数の出力変数の値とを備えるデータに行列視覚化の統計解析の計算を実行して値が類似する入力変数および出力変数同士が隣接するように前記入力変数の値および前記出力変数の値を並び替えた表を作成する作成部と、
作成した前記表を表示する表示部と、
を有することを特徴とする計算装置。
【符号の説明】
【0138】
1、10、10a 計算装置
1a 計算部
1b 作成部
1c 表示部
2 記憶部
2a、3 データ
3a、3b、3c、3d 第1のレコード
4a、4b、4c、4d 第2のレコード
5a、5b、5c、5d レコード
6a、6b、6c、6d、17a、17b、17c、17d 散布図
7 表示装置
11 変数受付部
12 変数記憶部
13 データ生成部
14 シミュレーション実行部
15 データ一時記憶部
16、16a 統計解析計算部
17 散布図作成部
18 候補設定部
19 表表示部
61a、61b、61c、61d、171、172、173、174 サンプル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、
複数の入力変数の値と、前記複数の入力変数の値を調節することで最適化された複数の出力変数の値とを備えるデータに統計解析を実行して前記複数の入力変数の値および前記複数の出力変数の値それぞれの相対的な位置関係を示す中間変数の値を生成し、
生成した前記中間変数の値を用いて変数の値の大小の傾向を識別する図を前記入力変数および前記出力変数それぞれについて作成し、
作成した前記図を表示する、
ことを特徴とする計算方法。
【請求項2】
前記入力変数および前記出力変数それぞれについて作成された図は、入力変数の値それぞれ、および前記中間変数の値に基づいて決定した配置位置に、出力変数の値それぞれを識別するサンプルを配置した散布図であることを特徴とする請求項1記載の計算方法。
【請求項3】
前記散布図の領域を所定の方法で分割し、分割した各領域の交点の配置位置を示す中間変数の値を生成し、
生成した前記中間変数の値に基づき、前記複数の入力変数の値それぞれを近似する近似式を用いて複数の入力変数の近似値を生成し、
生成した前記複数の入力変数の近似値それぞれに対応する出力変数の値を生成し、
前記交点の配置位置に、生成した前記出力変数の値それぞれを識別するサンプルを配置した散布図を作成することを特徴とする請求項2記載の計算方法。
【請求項4】
利用者が指定した領域について、前記中間変数の値を生成することを特徴とする請求項3記載の計算方法。
【請求項5】
前記散布図の領域を所定の方法で分割し、分割した各領域の交点の配置位置を示す中間変数の値を生成し、
生成した前記中間変数の値に基づき、前記複数の出力変数の値それぞれを近似する近似式を用いて複数の出力変数の近似値を生成し、
前記中間変数の値それぞれについて、前記中間変数の値に対応する出力変数の近似値が、他の出力変数の近似値よりも良い値を示す中間変数の値を選択し、
選択した前記中間変数の値に基づき、前記複数の入力変数の値それぞれを近似する近似式を用いて複数の入力変数の近似値を生成し、
生成した複数の入力変数の近似値それぞれに対応する出力変数の値を生成し、
前記交点の配置位置に、生成した出力変数の値それぞれを識別するサンプルを配置した散布図を作成することを特徴とする請求項2記載の計算方法。
【請求項6】
コンピュータに、
複数の入力変数の値と、前記複数の入力変数の値を調節することで最適化された複数の出力変数の値とを備えるデータに統計解析を実行して前記複数の入力変数の値および前記複数の出力変数の値それぞれの相対的な位置関係を示す中間変数の値を生成し、
生成した前記中間変数の値を用いて変数の値の大小の傾向を識別する図を前記入力変数および前記出力変数それぞれについて作成し、
作成した前記図を表示する、
処理を実行させることを特徴とする計算プログラム。
【請求項7】
複数の入力変数の値と、前記複数の入力変数の値を調節することで最適化された複数の出力変数の値とを備えるデータに統計解析を実行して前記複数の入力変数の値および前記複数の出力変数の値それぞれの相対的な位置関係を示す中間変数の値を生成する計算部と、
生成した前記中間変数の値を用いて変数の値の大小の傾向を識別する図を前記入力変数および前記出力変数それぞれについて作成する作成部と、
作成した前記図を表示する表示部と、
を有することを特徴とする計算装置。
【請求項1】
コンピュータが、
複数の入力変数の値と、前記複数の入力変数の値を調節することで最適化された複数の出力変数の値とを備えるデータに統計解析を実行して前記複数の入力変数の値および前記複数の出力変数の値それぞれの相対的な位置関係を示す中間変数の値を生成し、
生成した前記中間変数の値を用いて変数の値の大小の傾向を識別する図を前記入力変数および前記出力変数それぞれについて作成し、
作成した前記図を表示する、
ことを特徴とする計算方法。
【請求項2】
前記入力変数および前記出力変数それぞれについて作成された図は、入力変数の値それぞれ、および前記中間変数の値に基づいて決定した配置位置に、出力変数の値それぞれを識別するサンプルを配置した散布図であることを特徴とする請求項1記載の計算方法。
【請求項3】
前記散布図の領域を所定の方法で分割し、分割した各領域の交点の配置位置を示す中間変数の値を生成し、
生成した前記中間変数の値に基づき、前記複数の入力変数の値それぞれを近似する近似式を用いて複数の入力変数の近似値を生成し、
生成した前記複数の入力変数の近似値それぞれに対応する出力変数の値を生成し、
前記交点の配置位置に、生成した前記出力変数の値それぞれを識別するサンプルを配置した散布図を作成することを特徴とする請求項2記載の計算方法。
【請求項4】
利用者が指定した領域について、前記中間変数の値を生成することを特徴とする請求項3記載の計算方法。
【請求項5】
前記散布図の領域を所定の方法で分割し、分割した各領域の交点の配置位置を示す中間変数の値を生成し、
生成した前記中間変数の値に基づき、前記複数の出力変数の値それぞれを近似する近似式を用いて複数の出力変数の近似値を生成し、
前記中間変数の値それぞれについて、前記中間変数の値に対応する出力変数の近似値が、他の出力変数の近似値よりも良い値を示す中間変数の値を選択し、
選択した前記中間変数の値に基づき、前記複数の入力変数の値それぞれを近似する近似式を用いて複数の入力変数の近似値を生成し、
生成した複数の入力変数の近似値それぞれに対応する出力変数の値を生成し、
前記交点の配置位置に、生成した出力変数の値それぞれを識別するサンプルを配置した散布図を作成することを特徴とする請求項2記載の計算方法。
【請求項6】
コンピュータに、
複数の入力変数の値と、前記複数の入力変数の値を調節することで最適化された複数の出力変数の値とを備えるデータに統計解析を実行して前記複数の入力変数の値および前記複数の出力変数の値それぞれの相対的な位置関係を示す中間変数の値を生成し、
生成した前記中間変数の値を用いて変数の値の大小の傾向を識別する図を前記入力変数および前記出力変数それぞれについて作成し、
作成した前記図を表示する、
処理を実行させることを特徴とする計算プログラム。
【請求項7】
複数の入力変数の値と、前記複数の入力変数の値を調節することで最適化された複数の出力変数の値とを備えるデータに統計解析を実行して前記複数の入力変数の値および前記複数の出力変数の値それぞれの相対的な位置関係を示す中間変数の値を生成する計算部と、
生成した前記中間変数の値を用いて変数の値の大小の傾向を識別する図を前記入力変数および前記出力変数それぞれについて作成する作成部と、
作成した前記図を表示する表示部と、
を有することを特徴とする計算装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2013−73436(P2013−73436A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212263(P2011−212263)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]