説明

計量キャップ付き注出栓

【課題】 螺合最終段階まで螺合組付けされた本体キャップと計量キャップとの間の、螺合組付きの径時なじみによる緩みが発生しないようにすることにより、計量キャップにより容器体の安定した確実な密閉保持をえることを目的とする。
【解決手段】 容器体16の口筒部17に密に組付いた本体キャップ1の嵌入筒2と、本体キャッップ1に密に螺合組付きする計量キャップ11の計量筒12との間に、螺合最終段階で乗り越え係止する係止機能部分を設け、この係止機能部分の係止力により、径時なじみによる螺合組付き緩み発生を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトル状容器体の口筒部に組付いて、内容液の注出をガイドする本体キャップと、この本体キャップに螺合により着脱して、注出された内容液を計量する計量キャップとから成る計量キャップ付き注出栓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体洗剤等の内容液を収容している合成樹脂製ブローボトル等の容器体から、内容液を注出使用する際に、この注出内容液の注出量を計量することができるように、容器体の注出栓に計量機能を付与したものが利用されている。
【0003】
この計量機能付き開閉キャップである計量キャップ付き注出栓の一つとして、特開平11−124155号公報に示された、容器体の口筒部に密に組付き、容器体の口筒部内に位置した嵌入筒の底壁から、内容液をガイドして注出する注出筒片を立設した本体キャップと、この本体キャップに密に螺着し、本体キャップの注出筒片を覆って嵌入筒内に挿入される計量筒を有する計量キャップとから構成されたものが知られている。
【0004】
上記した従来技術にあっては、内容液を計量注出したい際には、計量キャップの計量筒を利用して、計量筒の目盛り等を見ながら所望する量を計量して注出することができる。
【0005】
しかしながら、上記した従来技術にあっては、計量キャップは、容器体の口筒部に組付けられる本体キャップに螺合組付けされるものであるので、計量キャップの本体キャップに対する螺合組付きに、キャッピング後の径時なじみにより緩みが発生し易く、これにより容器体のシール性が劣化するとか、場合によっては内容液の漏出が発生すると云う問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−124155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく創案されたもので、螺合最終段階まで螺合組付けされた本体キャップと計量キャップとの間の、螺合組付きの径時なじみによる緩みが発生しないようにすることを技術的課題とし、もって計量キャップにより容器体の安定した確実な密閉保持を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記技術的課題を解決するための本発明の主たる構成は、
容器体の口筒部に密にかつ不動に組付き、容器体の口筒部内に位置する嵌入筒の底壁から、注出内容液をガイドする注出筒片を立設した本体キャップを有すること、
この本体キャップに密に螺着し、本体キャップの注出筒片を覆って嵌入筒内に挿入される有頂筒状の計量筒を有する計量キャップを有すること、
本体キャップの嵌入筒の内周面に本体側係止突部を設けること、
計量キャップの計量筒の外周面に、螺合最終段階で本体側係止突部に乗り越え係止する計量側係止突部を設けること、
にある。
【0009】
本体キャップに対して計量キャップが螺合最終段階まで螺合すると、本体側係止突部に対して計量側係止突部が乗り越え係止し、この係止力は、計量キャップを本体キャップに対して螺脱方向に変位させようとする力に対して、抵抗力として作用するので、本体キャップに螺合組付きしている計量キャップの径時なじみによる緩み発生を阻止することになる。
【0010】
本体側係止突部と計量側係止突部の係止による係止力は、単に螺合組付きの自然な緩みを防止するだけのものであり、本体キャップと計量キャップの間の螺合力に比べればきわめて小さなものであるので、本体キャップと計量キャップの着脱操作の邪魔となることはない。
【0011】
本体側係止突部と計量側係止突部の係止は、乗り越え係止であるので、係止する際、すなわち螺合最終段階で乗り越え係止する際に、わずかな衝撃および衝撃音が発生し、これを感じ取ることができる。
【0012】
本発明の別の構成は、上記した主たる構成に加えて、計量キャップの計量側係止突部を、計量筒の外周面下端部に設けた、ものである。
【0013】
計量側係止突部を計量筒の外周面下端部、すなわち計量筒の下端開口部付近に設けたので、計量側係止突部を設けた計量筒部分の弾性変形が得易く、計量側係止突部と本体側係止突部との間の係脱動作が円滑となる。
【0014】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に加えて、本体側係止突部および計量側係止突部を、周突条状に設けた、ものである。
【0015】
本体側係止突部および計量側係止突部が共に周突条状であるので、嵌入筒と計量筒は、その全周に亘り係止することになり、均等な係止力が作用する。
【0016】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に加えて、本体側係止突部および計量側係止突部の少なくとも一方を、周方向に沿って断続して設けた、ものである。
【0017】
本体側係止突部および計量側係止突部の少なくとも一方を、周方向に沿って断続して設けているので、係止突部の長さや間隔を適当に設定することにより、両係止突部の係止力を簡単に変更設定することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
本発明の主たる構成にあっては、本体側係止突部と計量側係止突部の係止により、本体キャップに対する計量キャップの螺合組付きの径時の緩み発生が阻止されるので、容器本体の密閉が確保され、これにより内容液の品質劣化を起こす恐れがないと共に、内容液の不正漏出による不都合の発生を無くすことができる。
【0019】
本体側係止突部と計量側係止突部の係止は、本体キャップと計量キャップの螺合動作に殆ど影響を与えないので、円滑な螺合動作を維持することができる。
【0020】
本体側係止突部と計量側係止突部の乗り越え係脱時に、係脱によるわずかな衝撃が感触されるので、この衝撃が適度なクリック感を生じて、好ましい使用感を得ることができ、また衝撃の触感や衝撃音により、計量キャップによる密閉が確実に達成されたことを確認することができる。
【0021】
計量側係止突部を、計量筒の外周面下端部に設けたものにあっては、計量側係止突部と本体側係止突部との間の係脱動作が円滑となるので、計量側係止突部および本体側係止突部に影響されることなく、本体キャップと計量キャップの螺合による円滑な着脱動作を維持することができる。
【0022】
本体側係止突部および計量側係止突部を、周突条状に設けたものにあっては、嵌入筒と計量筒が全周に亘り係止するので、均等な係止力が作用し、これにより本体キャップと計量キャップの緩み防止のための係止力を好適に作用させることができる。
【0023】
本体側係止突部および計量側係止突部の少なくとも一方を、周方向に沿って断続して設けたものにあっては、本体側係止突部と計量側係止突部の間の係止力を簡単に変更設定することができるので、所望する係止力を簡単に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】容器体に組付いた本発明の一実施形態例の、縦断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態例の、要部縦断面図である。
【図3】本体キャップの一実施形態例の、一部破断した縦断面図である。
【図4】本体キャップの他の実施形態例の、一部破断した縦断面図である。
【図5】計量キャップの一実施形態例の、外観図である。
【図6】計量キャップの他の実施形態例の、外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
本発明による計量キャップ付き注出栓は、本体キャップ1と計量キャップ11とから構成されており、本体キャップ1は、内容液を収納するボトル状の容器体16の口筒部17に組付き、計量キャップ11は、この本体キャップ1に着脱可能に螺合して、容器体16を開閉する。
【0026】
本体キャップ1(図1参照)は、内周面に本体側係止突部6を設け、容器体16の口筒部17に密に嵌入する嵌入筒2と、この嵌入筒2の底壁3に立設された注出筒片5と、嵌入筒2の上端に外鍔状に連設され、組付け筒8を起立設した頂壁7と、この頂壁7の外周端から垂下設された装着筒9とから構成されている。
【0027】
底壁3は、やや後側に偏った箇所に下降傾斜したテーパ壁状をしており、その前側部分に開設された注出開口4の開口縁に、樋状となった注出筒片5が起立設されており、この注出筒片5の開口側部の下端が位置する底壁3の最下位の部分が、容器体16内への内容液の戻り口となっている。
【0028】
組付け筒8は、計量キャップ11を螺合組付けする部分であり、装着筒9は、本体キャップ1を容器体16に螺合組付けする部分で、その下端には回り止め片10が設けられており、この回り止め片10を、容器体16の回り止め凹部18に係合させることにより、容器体16に対する本体キャップ1の螺合の緩み発生を防止している。
【0029】
計量キャップ11(図1参照)は、本体キャップ1に組付いた状態で下半分を嵌入筒2内に挿入する有頂筒形状をし、外周面に計量側係止突部13を設けた計量筒12と、この計量筒12の略中央高さ位置から外鍔状に周設されたフランジ壁14と、このフランジ壁14の周端から垂下設されて、組付け筒8に密に螺合する螺合筒15とから構成されている。
【0030】
計量筒12は、その下半部分を、狭い隙間を形成して嵌入筒2内に挿入させ、計量側係止突部13は、計量キャップ11が本体キャップ1に最終段階まで螺合した状態で本体側係止突部6に乗り越え係止する位置に設けられている。
【0031】
図1に示した実施形態例の場合、計量側係止突部13は、計量筒12の外周面下端部、すなわち計量筒12の下端開口部間近に設けられており、計量筒12の開口部の弾性変形のし易さにより、本体側係止突部6と計量側係止突部13の係脱が行い易くなるようにしている。
【0032】
この計量側係止突部13および本体側係止突部6の設置高さ位置は、特定されることはなく、例えば図2に示すように、嵌入筒2と計量筒12が狭い隙間で対向する部分の上側寄りに設けてもよい。
【0033】
計量キャップ11を本体キャップ1に螺合させて、本体側係止突部6に計量側係止突部13を乗り越え係止させると、この係止力は、螺合の緩みに伴う計量キャップ11の本体キャップ1に対する上昇変位を阻止し、これにより計量キャップ11の径時なじみによる緩みの発生を防止する。
【0034】
本体側係止突部6および計量側係止突部13は、図3および図5の示すように、周方向に連続した周突条状の構成にしても、図4および図6に示すように、周方向に沿って断続して、複数に分割して設けてもよい。
【0035】
本体側係止突部6および計量側係止突部13共に周突条状に構成した場合は、本体側係止突部6と計量側係止突部13を、嵌入筒2および計量筒12の全周に亘って均等に係止させることができ、本体側係止突部6と計量側係止突部13が安定して係止することになる。
【0036】
また、本体側係止突部6および計量側係止突部13の一方を周突条状とし、他方を断続突片状とした場合には、断続突片状となった側の突片の長さや数を調整することにより、本体側係止突部6と計量側係止突部13の係止力を、所望する強さに設定するのが容易となる。
【0037】
さらに、本体側係止突部6と計量側係止突部13の両方を断続突片状とすることも可能ではあるが、この場合、本体キャップ1と計量キャップ11の螺合最終段階で、本体側係止突部6と計量側係止突部13とを、位置合せできる配置に構成する。
【0038】
次に、図示実施形態例の動作を説明する。
図1に示した「閉」状態から、計量キャップ11を螺脱方向に回動させると、本体キャップ1に対する計量キャップ11の螺脱動作に伴う、計量キャップ11の上昇変位により、本体側係止突部6に対して計量側係止突部13が乗り越えて係止が解除されて、計量キャップ11が螺脱されて「開」状態となる。
【0039】
この本体側係止突部6に対する計量側係止突部13の乗り越えは、本体キャップ1に対する計量キャップ11の螺脱動作に伴う引上げ力により達成されるが、この計量キャップ11の引上げ力は、本体側係止突部6と計量側係止突部13の係止力に比べてはるかに強大であるので、本体側係止突部6と計量側係止突部13の係止解除は、無理なく簡単に達成できる。
【0040】
容器体16を「閉」状態にするには、本体キャップ1に計量キャップ11を螺着させて行き、螺合最終段階で、計量側係止突部13を本体側係止突部6に乗り越え係止させることにより達成される。
【0041】
この際、本体側係止突部6に対する計量側係止突部13の乗り越えに要する力に対して、本体キャップ1に対する計量キャップ11の螺着動作に伴う押下げ力ははるかに強大であるので、本体側係止突部6に対する計量側係止突部13の乗り越え係止は、無理なく簡単に達成される。
【0042】
なお、上記説明においては、本体キャップ1の口筒部17に対する組付きが螺合組付きとなっているが、本体キャップ1の口筒部17に対する組付きは、螺合に限ることはなく、例えばアンダーカット組付きであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上説明したように、本発明における本体キャップと計量キャップとの螺合組付き構造は、着脱操作に影響しないわずかなアンダーカット結合力により、螺合結合の径時による緩み発生を確実に防止するものであり、合成樹脂製製品における螺合結合に関する技術として、幅広い利用展開が期待できる。
【符号の説明】
【0044】
1 ;本体キャップ
2 ;嵌入筒
3 ;底壁
4 ;注出開口
5 ;注出筒片
6 ;本体側係止突部
7 ;頂壁
8 ;組付け筒
9 ;装着筒
10;回り止め片
11;計量キャップ
12;計量筒
13;計量側係止突部
14;フランジ壁
15;螺合筒
16;容器体
17;口筒部
18;回り止め凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体の口筒部に密にかつ不動に組付き、前記口筒部内に位置する嵌入筒の底壁から注出内容液をガイドする注出筒片を立設した本体キャップと、該本体キャップに密に螺着し、前記注出筒片を覆って嵌入筒内に挿入される有頂筒状の計量筒を有する計量キャップとから構成され、前記嵌入筒の内周面に本体側係止突部を設けると共に、前記計量筒の外周面に、螺合最終段階で前記本体側係止突部に乗り越え係止する計量側係止突部を設けた計量キャップ付き注出栓。
【請求項2】
計量側係止突部を、計量筒の外周面下端部に設けた請求項1に記載の計量キャップ付き注出栓。
【請求項3】
本体側係止突部および計量側係止突部を、周突条状に設けた請求項1または2に記載の計量キャップ付き注出栓。
【請求項4】
本体側係止突部および計量側係止突部の少なくとも一方を、周方向に沿って断続して設けた請求項1または2に記載の計量キャップ付き注出栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−173712(P2010−173712A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20001(P2009−20001)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】