説明

計量供給装置の原料回収機構

【課題】種用自動包装機の原料切り替え作業に伴うオペレータの手間を極力省くと共に、ホッパー内に残留している種等の原料を無駄なく回収することができる種用自動包装機の原料供給装置を提供する。
【解決手段】種用自動包装機の原料供給装置において、充填する種を別の品種に切り替える際には、スライド供給盤19を左端に移動してスライド供給盤19の種回収穴15と種回収パイプ17を連結させる。次に、ホッパー取り付け板12を手操作で右方向に移動して、ホッパー10と枡切りブラシ13の中心線と種回収穴15と種回収パイプ17の中心線を一致させる。この結果、ホッパー10と枡切りブラシ13内に貯留されていた種は、種回収穴15と種回収パイプ17を経由して一気に種回収箱18へ落下し、貯留されていた種の全数が回収できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装フィルム(包材)を用いて原料(内容物)を自動的に充填包装する自動包装機の技術分野に属するものであって、具体的には、植物の種を充填包装するする自動包装機の計量供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、種等の原料(内容物)を自動的に充填包装する自動包装機は、原料(内容物)を一旦自動包装機のホッパーに貯留させており、製袋動作に合わせてこの貯留させた原料(内容物)を予め設定された充填量に計量した後、この原料(内容物)を出来上がった包装袋の投入口を経由して内部に充填し、その後、投入口を封止並びに切り離して個別包装袋にしている。
【0003】
このような従来の自動包装機でホッパー内の原料(内容物)を用いて所要数の個別包装袋を製造した後に、別の原料(内容物)を充填包装しようとする場合は、ホッパー内に残っている以前の原料を手操作で除去する必要があった。
【0004】
従来の自動包装機においては、充填する原料を別の種類の原料に切り替えるに当たってホッパー内の残留原料は、通常掃除機等を用いて吸引除去していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の自動包装機における原料切り替え作業は、以下のような問題点があった。
【0006】
(1)ホッパー内に残っている原料(内容物)を除去するために、掃除機等の機材が必要になり、また、ホッパー内に掃除機等のホースを入れて掃除する手間がかかっていた。
【0007】
(2)掃除機等で吸引した原料(内容物)は、同時に吸引された埃やゴミと一緒になり、商品として再利用できなくなる。このため、価格の高い植物の種を原料として包装する場合は、吸引された種の廃棄による損失が無視できなくなっていた。
【0008】
特に、植物の種等の小袋包装において、原料の切り替え作業おける前後2種類の種の混在問題は、種袋の商品価値が根本から問われる問題であり、残留原料の除去を確実に実施すると共に、この除去作業に伴う自動包装機のオペレータの手間を極力少なくする工夫が求められていた。
【0009】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、種用自動包装機の原料切り替え作業に伴うオペレータの手間を極力省くと共に、ホッパー内に残留している種等の原料を無駄なく回収することができる種用自動包装機の原料供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記の課題を解決するためになされた本発明の種用自動包装機は、包装フィルムを袋状に成形し、この袋内に原料である種を充填した後に投入口を封止するシール機構と、この包装袋内に充填する種を計量して投入する原料供給装置を用いて個別包装袋を作り上げる種用自動包装機であって、前記原料供給装置は、ホッパー内の種を予め設定された値に計量して包装袋内に投入する機構と、充填する種を別の品種に切り替える際に、ホッパー内に残っている種を回収する機構を備えている。
【0011】
(2)また本発明の種用自動包装機は、包装フィルムを袋状に成形し、この袋内に原料である種を充填した後に投入口を封止するシール機構と、この包装袋内に充填する種を計量して投入する原料供給装置を用いて個別包装袋を作り上げる種用自動包装機であって、前記原料供給装置は、原料である種が貯留されているホッパーと、ホッパー内の種を予め設定された値に計量するスライド供給盤と、このスライド供給盤上に落下した種の枡切り動作を行うブラシと、ホッパー並びにブラシが固定されたホッパー取り付け板と、このスライド供給盤を左右に動かして種計量動作並びに種投入動作を行う駆動機構を備え、充填する種を別の品種に切り替える際には、上記ホッパー取り付け板をスライド供給盤の種回収穴の真上に移動して、ホッパー内の残った種を種回収穴から種回収箱に全数落下させている。
【0012】
(3)また本発明の種用自動包装機は、包装フィルムを袋状に成形し、この袋内に原料である種を充填した後に投入口を封止するシール機構と、この包装袋内に充填する種を計量して投入する原料供給装置を用いて個別包装袋を作り上げる種用自動包装機であって、前記原料供給装置は、原料である種が貯留されているホッパーと、ホッパー内の種を予め設定された値に計量するスライド供給盤と、このスライド供給盤上に落下した種の枡切り動作を行うブラシと、ホッパー並びにブラシが固定されたホッパー取り付け板と、このスライド供給盤を左右に動かして種計量動作並びに種投入動作を行う駆動機構を備え、前記スライド供給盤には枡切り計量穴と種回収穴が開口され、この種回収穴の直下には種回収箱が設けられ、ホッパー取り付け板は移動可能な構造を有し、充填する種を別の品種に切り替える際には、上記ホッパー取り付け板をスライド供給盤の種回収穴の真上に移動して、ホッパー内の残った種を種回収穴から種回収箱に全数落下させて種回収作業を実施している。
【0013】
上記(1)、(2)、(3)で述べた種用自動包装機の原料供給装置において、ワンタッチでホッパー内の原料(種)を回収できる機構を付加した結果、原料切り替え作業に伴うオペレータの手間を省くことができる。さらにホッパー内に残留している種等の原料を無駄なく回収可能になった種用自動包装機の原料供給装置を提供できる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、原料供給装置のスライド供給盤において、ワンタッチでホッパー内の原料(種)を回収できる機構を付加したため、原料切り替え作業に伴うオペレータの手間を省くことができる。さらにホッパー内に残留している種等の原料を無駄なく回収可能になった種用自動包装機の原料供給装置を提供できるという顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明に係る種用自動包装機における原料供給装置の実施の形態を図面と共に説明する。図1は本発明を実施した種用自動包装機の正面図である。図1に示すように、1は種用自動包装機、2は原料(種)を包装袋内に計量して投入する原料供給装置、3は種用自動包装機の各種動作を司る制御機構、4は包装フィルムを袋状に成形し、この袋内に原料である種が充填された後に投入口を封止するシール機構、5は出来上がった個別包装袋を受け取って排出するすべり台、6は種用自動包装機の架台である。
【0016】
種用自動包装機1は、架台6に対して上記各種機構が取り付けられており、シール機構4には、包装フィルムを袋状に成形して原料である種が充填できるように投入口が設けられている。この投入口に向かって、原料供給装置2の投入パイプが取り付けられている。なお、この原料供給装置2も架台6に固定されている。
【0017】
図2は、本発明に係る種用自動包装機における原料供給装置のスライド供給盤が左端に位置している場合の種供給動作を表している正面図であり、図3は、本発明に係る種用自動包装機における原料供給装置の側面図である。図2並びに図3に示す原料供給装置2の構成について、以下に説明する。
【0018】
(1)原料である種が貯留されているホッパー10と枡切りブラシ13は、ホッパー取り付け板12に固定されている。
【0019】
(2)ホッパー内の種の分量を計量するために開口された計量穴14とホッパー内の残った種を種回収箱に落下させる種回収穴15が開口されたスライド供給盤19はホッパー取り付け板12の下に設置されている。
【0020】
(3)スライド供給盤19を正面視左右に動かして種計量動作並びに種投入動作を行う駆動機構として駆動モータ21とこの駆動モータ21の回転運動を左右運動に変換している駆動カム20がスライド供給盤19の端部に連結している。
【0021】
(4)スライド供給盤19の下には、原料供給装置の各構成部材が取り付けられた原料供給装置基台11があり、この原料供給装置基台11は種用自動包装機1の架台6に固定されている。
【0022】
(5)原料供給装置基台11の下側には、計量穴14による計量動作後の種をシール機構の包装袋内に導く投入パイプ16と、種回収穴15に連結してホッパー10内の残った種を種回収箱に導く種回収パイプ17が取り付けられており、この原料供給装置基台11の上記パイプ取り付け部分には、投入パイプ16と種回収パイプ17の内径と同じ穴が開いている。
【0023】
(6)最後に、種回収パイプ17の直下には回収した種を収納する種回収箱18が設置されている。
【0024】
次に、図2に示す原料供給装置2の種供給動作について、以下に説明する。
【0025】
(1)原料である種が貯留されているホッパー10と枡切りブラシ13が固定されているホッパー取り付け板12は、マグネットシート22によって原料供給装置基台11と接着しており、原料供給動作中においてはこの状態を維持している。
【0026】
(2)駆動モータ21と駆動カム20の駆動機構を制御することによって、スライド供給盤19は左端に位置しており、この位置にスライド供給盤19を移動させた結果、スライド供給盤19の計量穴14に充満していた種に対して、枡切りブラシ13による枡切り動作が行われることになる。
【0027】
(3)枡切りブラシ13による枡切り動作によって、スライド供給盤19に設けられた計量穴14の容積値に計量された種は、左端に位置した瞬間に、投入パイプ16に落下し、投入パイプ16を経由してシール機構の包装袋内に充填されることになる。
【0028】
図4は、本発明に係る種用自動包装機における原料供給装置のスライド供給盤が右端に位置している場合の種供給動作を表している正面図である。図4に示す原料供給装置2の構成は、図2において説明した内容と同じであるため、ここでは省略する。そして、図4に示す原料供給装置2の種供給動作について、以下に説明する。
【0029】
(1)原料である種が貯留されているホッパー10と枡切りブラシ13が固定されているホッパー取り付け板12は、マグネットシート22によって原料供給装置基台11と接着しており、原料供給動作中においてはこの状態を維持している。
【0030】
(2)駆動モータ21と駆動カム20の駆動機構を制御することによって、スライド供給盤19は左端から右端に移動しており、スライド供給盤19の計量穴14は、種が貯留されているホッパー10と枡切りブラシ13の直下に位置することになる。
【0031】
(3)左端を経由して図4に示す位置に移動した計量穴14には、ホッパー10内の種が充満し、次に投入される種が計量穴14内に入ることになる。
【0032】
(4)このように、包装袋を形成する動作に合わせて、図4並びに図2の動作を繰り返すことにより、スライド供給盤19の計量穴14には新たに投入される種が入り、その後、スライド供給盤19の移動に伴う枡切りブラシ13による枡切り動作が行われ、枡切り計量された種を包装袋内に充填する動作が連続することになる。以上が種用自動包装機に搭載された原料供給装置2の原料(種)供給動作の説明である。
【0033】
図5は、本発明に係る種用自動包装機における原料供給装置の種回収動作を表している正面図である。図5に示す原料供給装置2の構成は、図2において説明した内容と同じであるため、ここでは省略する。そして、図5に示す原料供給装置2の種回収動作について、以下に説明する。
【0034】
(1)駆動モータ21と駆動カム20の駆動機構を制御することによって、スライド供給盤19は左端に位置しており、この位置にスライド供給盤19を移動させた結果、スライド供給盤19の種回収穴15と種回収パイプ17が連結されている。
【0035】
(2)次に、マグネットシート22によって原料供給装置基台11と接着していたホッパー取り付け板12を手操作で右方向に移動させる。このホッパー取り付け板12には、原料である種が貯留されているホッパー10と枡切りブラシ13が取り付けられており、ホッパー10と枡切りブラシ13の中心線と、種回収穴15と種回収パイプ17の中心線が一致する位置までホッパー取り付け板12を移動させる。
【0036】
(3)上記の位置に移動した結果、ホッパー10と枡切りブラシ13内に貯留されていた種は、種回収穴15と種回収パイプ17を経由して一気に種回収箱18へ落下し、貯留されていた種の全数が回収できることになる。
【0037】
(4)なお、手操作で移動させるホッパー取り付け板12に対しては、ホッパー10と枡切りブラシ13の中心線と種回収穴15と種回収パイプ17の中心線が一致する位置に正しく据え付けられるようにストッパー機構が設けられており、移動し過ぎ等の据え付けミスが発生しないようになっている。
【0038】
(5)そして、ホッパー10の出口直径より枡切りブラシ13の内径の方が大きい寸法を採用しており、また、枡切りブラシ13の内径と種回収穴15の直径と種回収パイプ17の内径は同一寸法を採用しているため、ホッパー10内に貯留している種は、種回収箱18に落下するまでの途中で引っ掛かることはない。
【0039】
以上、図1乃至図5によって説明された本発明の原料供給装置には、ワンタッチでホッパー内の原料(種)を回収できる機構が付加されたため、原料切り替え作業に伴うオペレータの手間を省くことができる。さらにホッパー内に残留している種等の原料を無駄なく回収可能になった種用自動包装機の原料供給装置を提供できる。
【0040】
なお、本発明の実施の形態は本発明を具現化するための一例を示したものであり、特許請求の範囲における発明特定事項とそれぞれ対応関係を有するが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明を実施した種用自動包装機の正面図である。
【図2】本発明に係る種用自動包装機における原料供給装置のスライド供給盤が左端に位置している場合の種供給動作を表している正面図である。
【図3】本発明に係る種用自動包装機における原料供給装置の側面図である。
【図4】本発明に係る種用自動包装機における原料供給装置のスライド供給盤が右端に位置している場合の種供給動作を表している正面図である。
【図5】本発明に係る種用自動包装機における原料供給装置の種回収動作を表している正面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 種用自動包装機
2 原料供給装置
3 制御機構
4 シール機構
5 すべり台
6 架台
10 ホッパー
11 原料供給装置基台
12 ホッパー取り付け板
13 枡切りブラシ
14 計量穴
15 種回収穴
16 投入パイプ
17 種回収パイプ
18 種回収箱
19 スライド供給盤
20 駆動カム
21 駆動モータ
22 マグネットシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装フィルムを袋状に成形し、この袋内に原料である種を充填した後に投入口を封止するシール機構と、この包装袋内に充填する種を計量して投入する原料供給装置を用いて個別包装袋を作り上げる種用自動包装機であって、
前記原料供給装置は、ホッパー内の種を予め設定された値に計量して包装袋内に投入する機構と、充填する種を別の品種に切り替える際に、ホッパー内に残っている種を回収する機構を備えたことを特徴とする種用自動包装機の原料供給装置。
【請求項2】
包装フィルムを袋状に成形し、この袋内に原料である種を充填した後に投入口を封止するシール機構と、この包装袋内に充填する種を計量して投入する原料供給装置を用いて個別包装袋を作り上げる種用自動包装機であって、
前記原料供給装置は、原料である種が貯留されているホッパーと、ホッパー内の種を予め設定された値に計量するスライド供給盤と、このスライド供給盤上に落下した種の枡切り動作を行うブラシと、ホッパー並びにブラシが固定されたホッパー取り付け板と、このスライド供給盤を左右に動かして種計量動作並びに種投入動作を行う駆動機構を備え、
充填する種を別の品種に切り替える際には、上記ホッパー取り付け板をスライド供給盤の種回収穴の真上に移動して、ホッパー内の残った種を種回収穴から種回収箱に全数落下させることを特徴とした種用自動包装機の原料供給装置。
【請求項3】
包装フィルムを袋状に成形し、この袋内に原料である種を充填した後に投入口を封止するシール機構と、この包装袋内に充填する種を計量して投入する原料供給装置を用いて個別包装袋を作り上げる種用自動包装機であって、
前記原料供給装置は、原料である種が貯留されているホッパーと、ホッパー内の種を予め設定された値に計量するスライド供給盤と、このスライド供給盤上に落下した種の枡切り動作を行うブラシと、ホッパー並びにブラシが固定されたホッパー取り付け板と、このスライド供給盤を左右に動かして種計量動作並びに種投入動作を行う駆動機構を備え、
前記スライド供給盤には枡切り計量穴と種回収穴が開口され、この種回収穴の直下には種回収箱が設けられ、ホッパー取り付け板は移動可能な構造を有し、
充填する種を別の品種に切り替える際には、上記ホッパー取り付け板をスライド供給盤の種回収穴の真上に移動して、ホッパー内の残った種を種回収穴から種回収箱に全数落下させて種回収作業を実施することを特徴とした種用自動包装機の原料供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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