計量混合機及びその制御方法
【課題】計量後の複数種類の粉粒体材料を均一に混合することが出来る様な計量混合機及びその制御方法の提供。
【解決手段】供給するべき材料の種類と同数の供給ホッパ(1、2)と、供給ホッパ(1、2の下方)に取り付けられ且つ供給ホッパ(1、2)内の粉粒体材料を搬送する供給装置(フィーダー51、52)と、供給装置で搬送された粉粒体材料を貯蔵する計量ホッパ(3)と、計量ホッパ(3)に貯蔵された粉粒体材料の重量を計量する計量装置(ロードセル7)と、計量ホッパ(3)で計量された複数種類の粉粒体材料を混合する混合装置(ミキサ8)と、制御装置(10)とを備えている。
【解決手段】供給するべき材料の種類と同数の供給ホッパ(1、2)と、供給ホッパ(1、2の下方)に取り付けられ且つ供給ホッパ(1、2)内の粉粒体材料を搬送する供給装置(フィーダー51、52)と、供給装置で搬送された粉粒体材料を貯蔵する計量ホッパ(3)と、計量ホッパ(3)に貯蔵された粉粒体材料の重量を計量する計量装置(ロードセル7)と、計量ホッパ(3)で計量された複数種類の粉粒体材料を混合する混合装置(ミキサ8)と、制御装置(10)とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は計量混合機に関し、より詳細には、複数種類の粉粒体材料を計量して混合する計量混合機に関する。
【背景技術】
【0002】
図19に、従来の計量混合機の構成を示す。
図19の例では、2つの供給ホッパ1、2と計量ホッパ3が設けられている。計量ホッパ3は、混合用ケース4の内部上方に配置されている。混合用ケース4は、全体が円筒状で、下方側がテーパ状に窄まっている。混合用ケース4のテーパ状の底部には材料を排出するための排出口4oが設けられている。
【0003】
供給ホッパ1、2には、互いに異なる粉粒体の材料(例えば、プラスチックペレット)が投入される。図19の例では、供給ホッパ1、2の上端に、全体の図示を省略した輸送機の材料投入口50が接続された状態が示されている。
【0004】
供給ホッパ1、2の下端近傍には、ホッパの垂直軸に直交するように円筒状の材料排出管11、21が形成されている。材料排出管11、21の排出口11o、21oは向き合っており、計量ホッパ3の材料投入口3iの投影面の内部に位置している。材料排出管11、21の内部には、粉粒体の材料を計量ホッパ3内に供給するためのスクリューフィーダー5が介装されている。
【0005】
計量ホッパ3の下端に形成された材料排出口3oには、開閉蓋31が設けられている。開閉蓋31の開閉は、混合用ケース4側に取り付けられたエアシリンダ6の伸縮運動によってなされるように構成されている。
【0006】
計量ホッパ3の外周部には粉体材料の質量を計測するためのロードセル7が設けられている。
また、混合用ケース4のテーパ状の底部には、供給ホッパ1、2から供給された粉粒体材料を混合するためのミキサ8の混合用スクリュー81が取付けられている。混合用スクリュー81は、電動モータ82によって回転駆動される。
混合用ケース4におけるミキサ8の上方で、ミキサ8近傍には粉粒体材料の量を検知するためのレベルセンサ9が取り付けられている。
【0007】
ここで、レベルセンサ9まで粉粒体材料が充填されていない場合に、計量ホッパ3より新たな粉粒体材料が落下するように構成されている。
なお、ミキサ8を取り付けた混合用ケース4のテーパ状の底部内には、2〜3バッチ分の粉粒体材料が貯留するようにレベルセンサ9の位置が定められている。
【0008】
図19における符号Tは、外部の下流側の機器まで搬送するための輸送機器を示している。ただし、図19において、ミキサ8が計量混合機の外部にあり、ロードセル7で計量した後に、輸送機器(この場合、例えば、ライン)で外部のミキサまで搬送すると言うケースもあり得る。
【0009】
ここで、供給用ホッパ1から供給される材料量:供給用ホッパ2から供給される材料量=1:10 と仮定する。
最初に、供給用ホッパ1側の材料(例えば、105g)を、供給ホッパ1側のスクリューフィーダー5によって投入し、ロードセル7により計測する。
次に、上述した比率(1:10)に合わせて、供給用ホッパ2側の材料(例えば、1050g)を、供給ホッパ2側のスクリューフィーダー5によって投入する。
量が少ない材料における計量は、高精度で行うことが一般的には困難である。例えば、105gにおいて5gの誤差が出るよりも、1050gにおいて5gの誤差が出る方が、精度が高い。そのため、少ない方の材料から順に、計量ホッパ3内に投入し、計量した量に合わせて、上述した比率の大きい方の材料を計量ホッパ3に供給して計量することで、上述した比率に関する精度が向上する。
【0010】
ところで、材料比が1:1000であると、ミキサ8内で均一に混合することが出来ない。
図20で示すように、量が少ない方の材料M1から順に計量することは、ミキシングの観点からは、好ましくない。図20において符号M2は量が多い方の材料を示す。
図21は、計量ホッパ3から排出する際に、落下開始からの時間或いは経路長さ(時間の経過または経路の長さ:横軸)と、計量ホッパ3からの排出量(分布:横軸)との関係(特性)を示している。
図21において、特性線Lm1は配合比が少ない方の材料M1の排出特性を示し、特性線Lm2は配合比が多い方の材料M2の排出特性を示している。
【0011】
図21を参照して、少ない方の材料から順に計量することは、ミキシングの観点からは、好ましくない理由を説明する。
配合比率が少ない方の材料M1から順に計量した場合、図21から明らかな様に、配合比が少ない材料M1は、ミキシングの経路或いは時間が0の領域(図21における0点近傍)にのみ偏在している。すなわち、配合比が少ない方の材料M1の分布が偏っている。一方、配合比が多い方の材料M2については、配合比が少ない方の材料M1が概略排出され切ってから、排出が始まる。
その様に、材料M1と材料M2との分布が偏った状態でミキサにより混合しても、均一に混合することは極めて困難である。
ここで、配合比の差が大きい場合において、計量ホッパ3からミキサ8までの距離が長くても、搬送ラインにおけるラインミキシングにより均一に混合される訳ではない。
【0012】
図22は、上述の従来技術で計量した場合の少ない方の材料M1の配合率を、バッチ毎に示した計測データである。図22において、横軸はミキシング後の取り出し回数の番号(バッチ番号)を示し、縦軸は実際に計測された配合率を目盛っている。
図22では、3500g/1バッチにおいて、少ない方の材料M1の設定配合率が0.7%の場合における実測配合率を示している。
図22の結果によれば、従来技術では、配合率のばらつきが大きいことに加え、配合率の平均値が、設定値に対して、高配合率側に偏在していることが読み取れる。
【0013】
その他の従来技術としては、例えば、粉粒体搬送路の先端にシャッターを設け、撹拌機又は成形機のホッパに設けた粉粒体計量センサーからの信号により、シャッターの開閉制御を行う粉粒体計量供給フィーダーが提案されている(特許文献1参照)。
しかし、この従来技術(特許文献1)は、プラスチック等の粉粒体を正確に計量して供給し、且つ、計量後の誤供給を防止することを目的とするもので、計量後に原材料を均一に混合すると言う上述の要請に応える事は出来ない。
【特許文献1】特開平5−169450号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、複数種類の粉粒体材料を単一のロードセルにより計量して混合するタイプの計量混合機であって、計量後の複数種類の粉粒体材料を均一に混合することが出来る様な計量混合機及びその制御方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の計量混合機は、複数種類の粉粒体材料を単一のロードセル(7)により計量して混合するタイプの計量混合機において、供給するべき材料の種類と同数の供給ホッパ(1、2)と、供給ホッパ(1、2の下方)に取り付けられ且つ供給ホッパ(1、2)内の粉粒体材料を搬送する供給装置(フィーダー51、52)と、供給装置(51、52)で搬送された粉粒体材料を貯蔵する計量ホッパ(3)と、計量ホッパ(3)に貯蔵された粉粒体材料の重量を計量する計量装置(ロードセル7)と、計量ホッパ(3)で計量された複数種類の粉粒体材料を混合する混合装置(ミキサ8)と、制御装置(10)とを備え、該制御装置(10)は、配合比率が大きい粉粒体材料を所定量だけ計量ホッパ(3)内に投入した後に、配合比率が小さい粉粒体材料の全量を計量ホッパ(3)内に投入し、そして、配合比率が大きい粉粒体材料の残量(投入予定量と前記所定量との差)を計量ホッパ(3)内に投入する制御を行う様に構成されていることを特徴としている(請求項1)。
【0016】
係る計量混合機(請求項1の計量混合機)を制御するため、本発明の制御方法は、計量装置(ロードセル7)で投入量を計測しつつ、配合比率が大きい粉粒体材料を所定量だけ計量ホッパ(3)内に投入する工程(S7)と、配合比率が小さい粉粒体材料の全量を計量ホッパ(3)内に投入する工程と(S11)、そして、配合比率が大きい粉粒体材料の残量(投入予定量と前記所定量との差)を計量ホッパ(3)内に投入する工程(S15)、とを有することを特徴としている(請求項4)。
【0017】
また本発明の計量混合機は、複数種類の粉粒体材料を単一のロードセル(7)により計量して混合するタイプの計量混合機において、供給するべき材料の種類と同数の供給ホッパ(1、2)と、供給ホッパ(1、2の下方)に取り付けられ且つ供給ホッパ(1、2)内の粉粒体材料を搬送する供給装置(フィーダー51、52)と、供給装置(51、52)で搬送された粉粒体材料を貯蔵する計量ホッパ(3)と、計量ホッパ(3)に貯蔵された粉粒体材料の重量を計量する計量装置(ロードセル7)と、計量ホッパ(3)で計量された複数種類の粉粒体材料を混合する混合装置(ミキサ8)と、制御装置(10)とを備え、前記計量ホッパ(3)の内側は仕切り壁(32)により複数区画(3A、3B)に分割されており、計量ホッパ内側の区画(3A、3B)は供給するべき材料の種類と同数だけ設けられており、前記供給装置(フィーダー51、52)の各々は計量ホッパ(3)内側に設けられた複数の区画(3A、3B)の何れか1つに連通していることを特徴としている(請求項2)。
【0018】
さらに本発明の計量混合機は、複数種類の粉粒体材料を単一のロードセル(7)により計量して混合するタイプの計量混合機において、供給するべき材料の種類と同数の供給ホッパ(1、2)と、供給ホッパ(1、2の下方)に取り付けられ且つ供給ホッパ(1、2)内の粉粒体材料を搬送する供給装置(フィーダー51、52)と、供給装置(51、52)で搬送された粉粒体材料を貯蔵する計量ホッパ(3)と、計量ホッパ(3)に貯蔵された粉粒体材料の重量を計量する計量装置(ロードセル7)と、計量ホッパ(3)で計量された複数種類の粉粒体材料を混合する混合装置(ミキサ8)と、制御装置(10)とを備え、該制御装置(10)は、供給するべき材料の各々について、所定の順序にて、投入予定量近傍まで単位時間辺りの投入量が大きい状態(α1〜α3)で計量ホッパ(3)に供給し、その後、供給するべき材料の各々について、所定の順序にて、計量装置(ロードセル7)で計量しつつ、単位時間辺りの投入量が小さい状態(β1〜β3)で投入予定量まで計量ホッパ(3)に供給する制御を行う様に構成されていることを特徴としている(請求項3)。
【0019】
係る計量混合機(請求項3の計量混合機)を制御するため、本発明の制御方法は、供給するべき材料の各々について、所定の順序にて、投入予定量近傍まで単位時間辺りの投入量が大きい状態(α1〜α3)で計量ホッパ(3)に供給する工程(S28、S32、S36)と、当該工程(S28、S32、S36)の後、供給するべき材料の各々について、所定の順序にて、計量装置(ロードセル7)で計量しつつ、単位時間辺りの投入量が小さい状態(β1〜β3)で投入予定量まで計量ホッパ(3)に供給する工程(S40、S44、S47)、とを有することを特徴としている(請求項5)。
【発明の効果】
【0020】
上述する構成を具備する本発明によれば、配合比率が大きい粉粒体材料を所定量だけ計量ホッパ(3)内に投入した後に、配合比率が小さい粉粒体材料の全量を計量ホッパ(3)内に投入し、そして、配合比率が大きい粉粒体材料の残量(投入予定量と前記所定量との差)を計量ホッパ(3)内に投入するので(請求項1、請求項4)、計量ホッパ(3)から排出された複数種類の粉粒体材料が混合装置(ミキサ8)で混合される際に、配合比率が小さい粉粒体材料が排出された複数種類の粉粒体材料において偏在してしまうことはない。
すなわち、係る構成を具備することにより、計量ホッパ(3)から複数種類の粉粒体材料が排出される際に、図2で示す様に、配合比率が大きい粉粒体材料と配合比率が小さい粉粒体材料との混合が行われるため、混合装置(ミキサ8)では両者が均一に混合するのである。
【0021】
また、計量ホッパ(3)の内側は仕切り壁(32)により複数区画(3A、3B)に分割され、計量ホッパ(3)内側の区画は供給するべき材料の種類と同数だけ設けられており、前記供給装置(フィーダー51、52)の各々は計量ホッパ(3)内側に設けられた複数の区画(3A、3B)の何れか1つに連通している本発明の計量混合機(請求項2)によれば、仕切り壁(32)で分割された複数の区画(3A、3B)の各々に、それぞれ異なる粉粒体材料を充填することとなり、充填された材料が計量ホッパ(3)から排出されて混合装置(ミキサ8)内に流入する際に、異なる粉粒体材料同士が混合し、何れかの粉粒体材料のみが偏在してしまうことは防止される。そして、何れかの粉粒体材料のみが偏在しなければ、複数の異なる種類の粉粒体材料同士は、均一に撹拌されるのである。
【0022】
さらに本発明によれば、供給するべき材料の各々について、所定の順序にて、投入予定量近傍まで単位時間辺りの投入量が大きい状態(α1〜α3)で計量ホッパに供給し、その後、供給するべき材料の各々について、所定の順序にて、計量装置(ロードセル7)で計量しつつ、単位時間辺りの投入量が小さい状態(β1〜β3)で投入予定量まで計量ホッパ(3)に供給する様に構成されているので(請求項3、請求項5)、可能な限り単位時間あたりの投入量を大きくし、以って、投入及び計量時間の短縮を図ることが可能となる。
それと共に、粉粒体材料が、その種類数の2倍以上に積層された状態で計量ホッパ(3)内に貯留されるので、計量ホッパ(3)から混合装置(ミキサ8)に向って排出された際に、異なる種類の粉粒体材料同士が良く混合する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
先ず、図1〜図5を参照して、本発明の第1実施形態の計量混合機を説明する。
【0024】
図1において、全体を符号101で示す計量混合機は、2つの供給ホッパ1、2と、計量ホッパ3と、制御手段であるコントロールユニット10とを有している。
計量ホッパ3は、円筒状の排出用ケース40の上部に収容されている。
排出用ケース40は排出ラインLに接続され、排出ラインLには、ミキサ8が介装されている。
図19で示す様に、計量ホッパ3の直下にミキサ8を設けても良い。
【0025】
供給ホッパ1、2には、互いに異なる粉粒体の材料(例えば、2種類のプラスチックペレットM1、M2)が投入される。供給ホッパ1、2の下端近傍には、ホッパの垂直軸に直交するように、円筒状で水平方向へ延在する材料排出管11、21が形成されている。
材料排出管11、21の排出口11o、21oは、対面する様に配置されている。そして排出口11o、21oの水平位置は、計量ホッパ3の材料投入口3iの投影面内部となる様に設定されており、以って、排出口11o、21oから落下した材料が、確実に計量ホッパ3内に受領される様に構成されている。
【0026】
材料排出管11の内部には、粉粒体材料(M1)を押し出すためのスクリューフィーダー51が介装されており、材料排出管21の内部にはスクリューフィーダー52が介装されている。スクリューフィーダー51は駆動用モータFM51で駆動され、スクリューフィーダー52は駆動用モータFM52で駆動される。
スクリューフィーダー51は制御信号ラインSo1でコントロールユニット10と接続されており、スクリューフィーダー52は制御信号ラインSo2でコントロールユニット10と接続されている。
【0027】
計量ホッパ3の下端に形成された材料排出口3oには、開閉蓋31が設けられている。開閉蓋31の開閉は、排出用ケース40側に取り付けられたエアシリンダ6の伸縮運動によって行われる様に構成されている。エアシリンダ6は、制御信号ラインSo3によってコントロールユニット10と接続されている。
【0028】
計量ホッパ3にはロードセル7が設けられており(図1では計量ホッパ3の外周部の上方)、ロードセル7は、計量ホッパ3内に収容された粉粒体材料の質量を計測する様に構成されている。
ロードセル7は、入力信号ラインSiによってコントロールユニット10と接続されている。
【0029】
図1の第1実施形態では、材料の計量ホッパ3への供給は、以下の手順(1)〜(3)で行われる。
(1) スクリューフィーダー52を駆動させて、供給ホッパ2に貯留した配合の多い方の材料M2を一定量(下地量Q21)、計量ホッパ3内に投入する(下地量Q21の投入)。
この際に、下地量Q21はロードセル7で計量される。
(2) スクリューフィーダー51を駆動させて、供給ホッパ1に貯留した材料M1(配合の少ない方の材料)を、計量量Q1だけ投入する。
この際に、下地量Q21と計量量Q1との合計量がロードセル7で計量されるので、当該合計量から下地量Q21を減算することにより、単一のロードセル7により、配合の少ない方の材料M1の計量量が計測できる。
(3) 材料M2の残量(Q22)を投入する。
この際、下地量Q21と計量量Q1と材料M2の残量Q22との合計量がロードセル7で計量されるので、当該合計量から、下地量Q21と計量量Q1とを足した量(上記手順(2)でロードセル7により計測された量)を減算すれば、材料M2の残量Q22が計測される。
手順(3)の後、エアシリンダ6を操作して、開閉蓋31を開放して、材料M1、M2の全量Qを排出用ケース40に接続された排出ラインL側に排出する。
図2は、開閉蓋31が開放された状態を示している。
【0030】
第1実施形態では、上記(1)〜(3)の順に処理することにより、配合の少ない方の材料M1が計量ホッパ3から排出される際の分布状態は、図3において曲線Lm1で示す様になる。図3において、開閉蓋31の開放直後からの時間或いは排出経路長さ(図3における「時間の経過または経路の長さ」)が横軸であり、計量ホッパ3からの材料排出量が縦軸で示されている。
図3で示す少ない方の材料M1の含有量或いは分布は、図21と比較すれば明らかな様に、開閉蓋31が開放された後に配合の少ない方の材料M1の全量が直ちに計量ホッパ3から排出される訳ではなく、比較的長い時間(或いは排出経路上の長い距離)に亘って排出され続けている。換言すれば、図1〜図5の第1実施形態では、ミキシングの経路或いは時間について、配合の少ない方の材料M1の分布(線Lm1)は、図21で示す分布と比較して、均一な分布状態に近くなる。
図3で示す様な分布の状態であれば、計量ホッパ3の下流側において、ミキサ8による混合が容易となる。
第1実施形態において、図3で示すような分布特性を示すのは、計量ホッパ3からの排出の際に、図2で示すように、成分比率の高い材料M2の中に、成分比率の低い材料M1が包含されるように混合が行われるためと考えられる。
【0031】
次に、図4を参照して、第1実施形態の制御について説明する。
先ず、計量をスタートさせ、ステップS1ではコントロールユニット10は運転開始がOKとなるまで待機している(ステップS1がNOのループ)。
ここで、運転開始がOKの条件としては、
(1) ミキサ8の図示しない扉が閉まっている。
(2) ミキサがトリップしていない。ここで「トリップ」とは、例えば過負荷によって停止していることを意味している。
(3) スクリューフィーダー51、52の駆動用モータにおけるインバータ(計量インバータ)がトリップしていない。
(4) 搬送ラインLに介装した図示しないブロワがトリップしていない。
(5) 投入する材料がある。
(6) ロードセルが正常である。
(7) 各配合比の設定がある。
(8) ロードセルの定格重量を超えていない(オーバースケールしていない)。
等が挙げられる。
【0032】
運転開始がOKとなったなら(ステップS1がYES)、ステップS2に進み、ミキサ8内の材料が所定量まで減るまで待つ(ステップS2がNOのループ)。ミキサ8内の材料が所定量以下になったなら(ステップS2がYES)、ステップS3に進む。
【0033】
ステップS3では、計量ホッパ3内の排出を行う。そしてステップS4で、計量ホッパ3内の材料の排出が完了したか否かを判断し、排出が完了したならば(ステップS4がYES)、ステップS5にすすむ。ステップS5では、ミキサ8における材料が減ったか否かを判定し、ミキサ8における材料が減ったなら(ステップS5がYES)、ステップS6に進む。
なお、ステップS5を省略することが可能である。
【0034】
ステップS6では、下地計量量の目標値Q21C計算する。ここで、「下地計量量」とは、最初に計量ホッパ3に供給する計量するべき材料(多い方の材料)M2の量を示す。
計算方法としては、計量ホッパ3に供給する1回分(1バッチ)の全量(チャージ量)をQ、下地に用いる材料M2の成分比率をλ21、下地率をγ21とすれば、材料M2の下地計量量の目標値Q21Cは、
Q21C=Q×λ21×γ21
として求める。
下地計量量の目標値Q21Cが求まれば、スクリューフィーダー52を稼動して、材料M2を計量ホッパ3に投入する。投入された材料M2の質量は、ロードセル7によって計量される(下地計量:ステップS7)。
【0035】
ステップS8では、材料M2の下地量の投入が完了したか否かを判断し、下地量の投入が完了したなら(ステップS8がYES)、実際に投入された材料M2の計量量(下地計量量Q21)を記憶する(ステップS9)。
ここで、下地計量量Q21は、目標値Q21Cと正確に同一である必要はない。
次のステップS10では、計量順序を決定する。計量順序は、原則として、配合比の小さい順とする。図示の第1実施形態では、材料M1、材料M2の順に投入される。そしてステップS10において、配合比が小さい材料M1が、下地量投入後、最初に投入される(1番目の計量)。
1番目の計量(材料M1の計量)において、目標とするべき量(材料M1の目標値:Q1C)は、以下の計算式に基づいて計算される。
Q1C=Q×λ1 (λ1はM1の成分比率)
【0036】
1番目の計量における目標値(少ない方の材料M1の目標投入量:Q1C)が求まれば(ステップS10が完了)、スクリューフィーダー51を稼動して、材料M1を計量ホッパ3に投入する(ステップS11)。投入中は、ロードセル7によって、少ない方の材料M1の投入量を計量している。
【0037】
1番目の計量(少ない方の材料M1の投入)が完了したならば(ステップS12がYES)、1番目の計量量(実際に投入された少ない方の材料M1の量:Q1)を記憶する(ステップS13)。
ここで、ステップS12における判断(1番目の計量或いは少ない方の材料M1の投入が完了したか否か)については、ロードセルで計測された計量量Q1が目標投入量Q1Cから設定落差(供給停止しても、余分に供給されてしまう材料量)を引いた値に到達し、バランス時間(材料の供給停止から計量終了までの時間)を経過したか否かによる。
【0038】
ステップS14では、2番目の計量(材料M2の計量)における目標値Q22を、以下の計算式に基づいて計算する。
Q22=Q1×ρ−Q21
上述した通り、Q1は実測した1番目の材料(材料M1)の計量量であり、ρは材料M2の材料M1に対する比率である。例えば、材料の混合比がM1:M2=1:10であれば、ρは10である。
2番目の計量(材料M2の計量)における目標値Q22を、実測した1番目の材料(材料M1)の計量量に基いて決定しているので、材料M1と材料M2の配合比は常に正確に維持される。
【0039】
2番目の材料(M2の材料)の計量量(Q22)が求まれば、スクリューフィーダー52を稼動して、材料M2を計量ホッパ3に投入する。投入中は、ロードセル7によって投入した2番目の材料(M2の材料)を計量している(ステップS15)。
ステップS16では、2番目の材料(M2の材料)が目標値Q22だけ投入され、係る投入が完了したならば(ステップS16がYES)、次のバッチ(チャージ)における計量を行うため、ステップS2に戻り、ステップS2以降を繰り返す。
なお、ステップS2以降を繰り返すにあたって、ステップS1で説明した条件(1)〜(8)を充足しているか否かを常時監視する制御を、別のルーチンで行う様に構成することが出来る。
【0040】
図5は、3500g/1バッチにおいて、少ない方の材料M1の設定された配合率が0.7%である場合に、第1実施形態で計量を行った際の配合率を計測した結果を示している。
図5において、横軸はミキシング後の取り出し回数の番号(バッチ番号)を示しており、縦軸は実際に計測された配合率を示している。
【0041】
特に、従来技術による計量の際の配合率を計測した結果を示す図22と比較すれば明らかな様に、図5において、配合率は0.7%近傍の数値(平均値で、約0.65%)となっており、ばらつきも比較的小さく、良好なミキシングが行われたことが示されている。
換言すれば、図22と図5とを比較すれば、第1実施形態を採用した場合におけるミキシングが、非常に良好であることが理解出来る。
【0042】
次に、図6〜図9を参照して、第2実施形態について説明する。
第1実施形態は、配合比の差が大きい場合に対処するためのものであるが、第2実施形態は、配合比の差が小さい場合に対処している。
【0043】
計量ホッパ3内で、2種類の材料M1、M2が、図8で示す様に積層した状態で収容されていると、図9(a)において示すように、計量ホッパ3からの排出時には、2種類の材料M1、M2の分布(特性曲線Lm1、Lm2で示す)が完全に分離された状態となってしまうので、均一なミキシングが困難となる。
そこで、第2実施形態では、図6で示す様に、計量ホッパ3に仕切り板32を設け、仕切り板32の左右で別々の原料が投入されるように構成している。
換言すれば、第2実施形態において、計量ホッパ3の内部を仕切り板32で二つの室3A、3Bに区画している。図7は、図6の上方から第2実施形態に係る計量ホッパを見た状態を示している。
なお、図示の簡略化のため、図6ではスクリューフィーダー51、52(図7)を省略して示している。
【0044】
第2実施形態に係る計量混合機においても、ロードセルは1つのみであり、計量ホッパ3内への材料の投入(スクリューフィーダー51、52による)は、1種類の材料ずつ行われる。
なお、第2実施形態の計量ホッパ内に仕切り板32を設けた以外の構成に関しては、図1の第1実施形態と同様である。
【0045】
第2実施形態の計量混合機によれば、図6における上下方向の同一位置については、材料M1、M2の量は差異がない。そして、2種類の同一量の材料M1、M2は、計量ホッパ3から下方へ落下する際に良好に混合される。
第2実施形態の計量混合機を用いた場合において、計量ホッパ3から排出された状態における材料M1、M2の混合状態を示す図9(b)において、同一の排出経路上では、材料M1と材料M2とが、概略等しい割合で分布していることが理解出来る。そして、図9(b)で示す様な分布状態であれば、計量ホッパ3の下流側におけるミキサで、材料M1と材料M2とを、均一に混合することが可能である。
【0046】
図10は、第2実施形態の変形例を示している。
図6、図7では、計量ホッパ3内を1枚の仕切り板32によって、室3A、室3Bの2室に区画している。これに対して、図10で示す第2実施形態の変形例では、4種類の材料を混合するために、計量ホッパ3内を複数の仕切り板(33〜36)で4つの室に分割している。
なお、図示はされていないが、混合する材料の種類(数)によって、計量ホッパ3内を、複数の仕切り板により、3分割や5分割以上に分割することもできる。
図10では明示されていないが、スクリューフィーダーは、計量ホッパ3内の区画(室)と同数だけ装備されている。
上述した以外の構成と作用効果については、図10の変形例は、図6、図7で示す第2実施形態と同様である。
【0047】
次に、図11〜図18を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。
第3実施形態(図11)を説明するために、先ず図13を用いて、従来の複数種類(図11〜図18では3種類)の材料の計量について説明する。
【0048】
図13において、混合比率が概略等しい3種類の材料M1、M2、M3が、順次計量ホッパ3に供給された状態が示されている。
図13のように3種の材料を、例えば、M1、M2、M3の順に供給した場合、排出時の材料分布状態は、図14(b)で示すように、各材料M1、M2、M3が殆ど分離して計量ホッパ3から排出されてしまう。そのため、計量ホッパ3下流におけるミキサで、3種類の材料M1、M2、M3を均一に混合することは困難である。
【0049】
それに対して、排出時の材料分布状態が図14(a)で示す様になっていれば、図14(b)で示す従来技術における分布状態と比較すれば明らかな様に、図14の横軸(時間の経過または経路の長さ)上における任意の1点において、材料M1〜M3が混在している状態が多くなり、計量ホッパ3下流におけるミキサで、3種類の材料M1、M2、M3を均一に混合し易い状態となる。
そして、図14(a)で示す様な排出時の材料分布状態を達成するためには、図11及び図12で示す様に、3種類の材料を複数層(図示の例では2層)に分けて計量ホッパ3内に投入し、材料の層の数を増加すれば(図示の例では、6層M11、M21、M31、M12、M22、M32に分布させる)良い。
その様な状態では、計量ホッパ3内では、図12に示すような排出形態をとるものと予想され、均一に混合され易くなる。
【0050】
ここで、図示の実施形態では、ロードセル1個で多種類の材料を計量している。そのため、1種類の材料ずつしか計量することができず、各材料の供給及び計量はバッチ式となる。
なお、図11〜図18において、図示は省略しているが、スクリューフィーダーは3つ装備されている。
【0051】
図15は、計量ホッパ3からの排出時における分布状態が、図14(b)で示す様になる場合における、材料M1、M2、M3を計量ホッパ3へ供給する態様を示している。換言すれば、図15は、従来技術において、3種類の材料M1、M2、M3を計量ホッパ3へ供給する場合における材料の供給量と、供給した材料の計量時間との関係を示している。
【0052】
図15で示す様に、先ず、材料M1について、急激に、すなわち単位時間辺りの供給量が多い状態で、供給量Pα1まで供給する(原点0から点c1までの領域)。そして、単位時間辺りの材料供給量を2段階で減少して、目標量β1まで供給する。
そして、バランス時間TBだけ間隔を空けて、材料M2を供給量Pα2まで供給し(点c2まで供給)、単位時間辺りの材料供給量を2段階で減少して、目標量β2まで供給する。
さらに、バランス時間TBだけ間隔を空けて、材料M3を供給量Pα3まで供給し(点c3までの領域)、単位時間辺りの材料供給量を2段階で減少して、目標量β3まで供給している。
【0053】
しかし、上述したように、図15で示すような供給態様では、図14(b)で示すような排出時の分布を惹起してしまうので、ミキサにおける材料M1、M2、M3の均一な混合は困難である。
それに対して、図14(a)で示すような排出時の分布を実現して、ミキサにおいて材料M1、M2、M3を均一に混合することを可能にするため、図16で示す様な態様で、計量ホッパ3に材料M1、M2、M3する。
【0054】
図16も、図15と同様に、各材料M1、M2、M3の供給量と、供給した材料の計量時間との関係を示している。
図15と図16とを比較すれば、従来技術に係る供給の態様(図15)と、本発明の第3実施形態に係る供給の単位用(図16)との相違が明白である。
【0055】
出願人の研究によれば、図16で示す様な複数材料供給の態様を採用した場合に、図15で示す様な態様と比較して、計量ホッパ3への材料供給に必要な時間が増加しても、許容範囲内に収まることが確認されている。
そして、図16で示す様な態様で3種類の材料M1、M2、M3を計量ホッパ3へ供給すれば、計量ホッパ3からの排出時の分布状態が図14(a)で示す様になるので、ミキサにおいて3種類の材料M1、M2、M3が均一に分布される。
【0056】
第3実施形態の制御について、主として図17、図18を参照して説明する。なお、図17と図18は第3実施形態の制御を2分割して示しており、図17と図18とにより、単一の制御が表現されている。
【0057】
先ず、図17のステップS21において、運転開始がOKとなったなら(ステップS21がYES)、ステップS22で、ミキサ8内の材料が所定量まで減るまで待ち、ミキサ8内の材料が所定量以下になったなら(ステップS22がYES)、ステップS23に進む。
【0058】
ステップS23では、計量ホッパ3内の材料の排出を行う。次のステップS24では、計量ホッパ3内の材料の排出が完了したか否かを判断し、排出が完了したなら(ステップS24がYES)、ステップS25に進む。ステップS25で、ミキサ8における材料が減少したか否かを判断し、ミキサ8における材料が減ったなら(ステップS25がYES)、ステップS26に進む。
なお、ステップS25を省略することも可能である。
【0059】
ステップS26では、計量順序を決定する。ここで、計量順序としては、原則として、配合比の小さい順とする。図示の第3実施形態では、材料M1、M2、M3の順に投入している。
なお、計量順序を任意に選択することも可能である。
【0060】
次のステップS27では、1番目に投入される材料M1の下地量の目標値α1Cを計算する。
下地量の目標値α1Cの計算方法は、計量ホッパに供給する材料M1〜M3の1バッチ分の全量をQ、全量Qに対する材料M1の成分比率をλ1、分割数(図11の例では2分割)をNとすれば、
α1C=Q×λ1/N
として求められる。
1番目の下地量の目標値α1Cが求まれば、スクリューフィーダー51を稼動して、材料M1を計量ホッパ3に投入する。投入中は、ロードセル7によって投入した材料M1の下地量α1を計量している(ステップS28)。
【0061】
材料M1の下地量の投入が完了したならば(ステップS29がYES)、実際に投入された1番目の材料の下地計量量α1を記憶する(ステップS30)。
ここで、下地計量量α1は、正確に目標値α1Cと一致している必要はない。
【0062】
次のステップS31では、2番目の材料M2の下地計量量における目標値α2Cを計算する。
2番目の材料M2の下地計量量における目標値α2Cの計算方法としては、計量ホッパに供給する材料M1〜M3の1回分の全量をQ、全量Qに対する材料M2の成分比率をλ2、分割数(図11の例では3つの材料を各々2分割)をNとすれば、
α2C=Q×λ2/N
として求められる。
2番目の材料M2における下地量の目標値α2Cが求まれば、スクリューフィーダー52を稼動して、材料M2を計量ホッパ3に投入する。投入中は、ロードセル7によって投入した材料M2の下地量α2を計量している(ステップS32)。
【0063】
2番目の材料M2における下地の投入が完了したならば(ステップS33がYES)、実際に投入された2番目の材料M2の下地計量量α2を記憶する(ステップS34)。
下地計量量α2も正確に目標値α2Cと一致している必要はない。
【0064】
ステップS35では、3番目の材料M3における下地量の目標値α3Cを計算する。
3番目の材料M3における下地量の目標値α3Cの計算方法は、計量ホッパに供給する材料M1〜M3の1回分の全量をQ、全量Qに対する材料M3の成分比率をλ3、分割数(図11の例では2分割)をNとすれば、
α3C=Q×λ3/N
として求められる。
3番目の下地量α3Cが求まれば、図示しない材料M3用のスクリューフィーダーを稼動して、材料M3を計量ホッパ3に投入する。投入中は、ロードセル7によって投入した材料M3の下地量α3を計量している(ステップS36)。
【0065】
3番目の材料M3の投入が完了したならば(ステップS37がYES)、実際に投入された3番目の材料M3の下地計量量α3を記憶する(ステップS38)。
下地計量量α3も正確に目標値α3Cと一致している必要はない。
【0066】
次に、図18のステップS39に進む。図18におけるβ1、β2、β3の各量の投入は、図15における領域βにおける投入に相当する。
ステップS39では、1番目の計量量の目標値β1Cを以下の計算式に基づいて計算する。
β1C=(Q×λ1)−α1
ここで、β1Cは、ステップS29で実際に計量された材料M1の量に基いて計算されるので、図17において上述した材料の投入(図15における領域αにおける投入)が不正確であっても、材料M1、M2、M3の配合比を、設定された値に保持することが出来るのである。
【0067】
1番目の材料M1における計量量の目標値β1Cが求まれば、スクリューフィーダー51を稼動して、材料M1を計量ホッパ3に投入する。投入中は、ロードセル7によって投入した1番目の材料M1投入量を計量している(ステップS40)。
【0068】
1番目の材料M1の投入が完了したならば(ステップS41がYES)、ステップS30で記憶した下地量α1と、ステップS41で投入された1番目の材料M1の量との和を、材料M1における実際の計量量β1として記憶する(ステップS42)。
ステップS41における1番目の材料M1の投入が完了した旨の判断は、計量量(目標値)から設定落差(供給停止しても、余分に供給されてしまう材料量)を引いた値に到達し、バランス時間(材料の供給停止から計量終了までの時間)を経過したことによる。
【0069】
ステップS43では、2番目の材料M2における計量量の目標値β2Cを以下の計算式に基づいて計算する。
β2C=β1×ρ2−α2
上式で、ρ2は、材料M2の材料M1に対する比率である。例えば、材料の混合比がM1:M2=2:3であれば、ρ2は1.5である。
ここで、2番目の材料M2における計量量の目標値β2Cは、材料M1が実際に計量ホッパ3内に投入された量β1(下地量とステップS41で投入された量との和)に基いて計算されるので、材料M1の実際の計量量β1が設定値と異なっていても、材料M1、M2の配合比は正確に保たれるのである。
【0070】
2番目の材料M2の計量量目標値β2Cが求まれば、スクリューフィーダー52を稼動して、材料M2を計量ホッパ3に投入する。投入中は、ロードセル7によって投入した2番目の材料M2投入量を計量している(ステップS44)。
2番目の材料M2の投入が完了したなら(ステップS45がYES)、下地量α2と、ステップS45で投入された2番目の材料M2の量との和が、材料M2における実際の計量量β2となる。そして、ステップS46に進む。
なお、ステップS45における完了の判断としては、ステップS41と同様である。
【0071】
ステップS46では、3番目の材料M3における投入量の目標値β3Cを以下の計算式に基づいて計算する。
β3C=β1×ρ3−α3
上式で、ρ3は、材料M3の材料M1に対する比率である。例えば、M1:M3=1:2であれば、ρ3は2である。
ここで、3番目の材料M3における計量量の目標値β3Cも、材料M1が実際に計量ホッパ3内に投入された量β1(下地量とステップS41で投入された量との和)に基いて計算されるので、材料M1、M3の配合比も正確に維持される。
【0072】
3番目の材料M3における計量量目標値β3Cが求まれば、図示を省略したスクリューフィーダーを稼動して、材料M3を計量ホッパ3に投入する。投入中は、ロードセル7によって投入した3番目の材料M3の量を計量している(ステップS47)。
3番目の材料M3の投入が完了したならば(ステップS48がYES)、下地量α3と、ステップS48で投入された3番目の材料M3の量との和が、材料M3における実際の計量量β3となる。
そして、次のバッチ(チャージ)の計量を行うため、図17のステップS22に戻り、ステップS22以降を繰り返す。
ここで、ステップS48における完了の判断は、ステップS41、S45と同様である。
なお、ステップS22以降を繰り返すにあたって、図4におけるステップS1に関連して上述した条件(1)〜(8)を充足しているか否かを常時監視する制御を、別のルーチンで行う様に構成することが出来る。
【0073】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
例えば、図示の実施形態では、計量ホッパ3から排出用ケース40及び排出ラインLを経由して、計量された材料がミキサ8へ輸送されているが、図19で示す様に、計量ホッパ3の直下にミキサ8を設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1実施形態の構成を示すブロック図。
【図2】第1実施形態の計量混合機に関して、計量ホッパから材料を排出する様子を示した様態図。
【図3】第1実施形態の計量混合機から少ないほうの材料を排出(落下させた)場合の材料の分布状態を示した特性図。
【図4】第1実施形態の計量制御方法を示したフローチャート。
【図5】第1実施形態を実施した場合の、少ない方の材料の配合率を示した実験データ。
【図6】第2実施形態の要部である計量ホッパの断面図。
【図7】図6に対応する平面図。
【図8】第2実施形態の効果を示すために、引用する従来タイプの計量ホッパへの材料投入状況を示した状態図。
【図9】図8の状態から材料を排出した場合の落下時間に対する材料分布図。
【図10】第2実施形態の変形例の平面図。
【図11】第3実施形態の材料投入状態を示した計量ホッパの断面図。
【図12】図11の状態から材料を排出した場合の状態図。
【図13】第3実施形態の比較対象となる従来技術を示す図。
【図14】計量ホッパから排出時の材料分布について、第3実施形態と従来技術とを比較して示す図。
【図15】従来技術により複数種類材料を計量ホッパへ供給する場合に、時間経過と材料供給量の関係を示した図。
【図16】第3実施形態により複数種類材料を計量ホッパへ供給する場合に、時間経過と材料供給量の関係を示した図。
【図17】第3実施形態の計量制御を示すフローチャート。
【図18】第3実施形態の計量制御を示すフローチャート。
【図19】従来技術における計量混合機の構成図。
【図20】図19の計量ホッパに2つの材料を供給した状態を示した断面図。
【図21】図19の状態から材料を排出した場合の落下時間に対する材料分布図。
【図22】図19の計量混合機で計量した場合の少ない方の材料の配合率を示した実験データ。
【符号の説明】
【0075】
1、2・・・供給ホッパ
3・・・計量ホッパ
6・・・エアシリンダ
7・・・ロードセル
8・・・ミキサ
10・・・制御手段/コントロールユニット
11、12・・・材料供給管
31・・・開閉蓋
40・・・排出用ケース
51、52・・・スクリューフィーダー
【技術分野】
【0001】
本発明は計量混合機に関し、より詳細には、複数種類の粉粒体材料を計量して混合する計量混合機に関する。
【背景技術】
【0002】
図19に、従来の計量混合機の構成を示す。
図19の例では、2つの供給ホッパ1、2と計量ホッパ3が設けられている。計量ホッパ3は、混合用ケース4の内部上方に配置されている。混合用ケース4は、全体が円筒状で、下方側がテーパ状に窄まっている。混合用ケース4のテーパ状の底部には材料を排出するための排出口4oが設けられている。
【0003】
供給ホッパ1、2には、互いに異なる粉粒体の材料(例えば、プラスチックペレット)が投入される。図19の例では、供給ホッパ1、2の上端に、全体の図示を省略した輸送機の材料投入口50が接続された状態が示されている。
【0004】
供給ホッパ1、2の下端近傍には、ホッパの垂直軸に直交するように円筒状の材料排出管11、21が形成されている。材料排出管11、21の排出口11o、21oは向き合っており、計量ホッパ3の材料投入口3iの投影面の内部に位置している。材料排出管11、21の内部には、粉粒体の材料を計量ホッパ3内に供給するためのスクリューフィーダー5が介装されている。
【0005】
計量ホッパ3の下端に形成された材料排出口3oには、開閉蓋31が設けられている。開閉蓋31の開閉は、混合用ケース4側に取り付けられたエアシリンダ6の伸縮運動によってなされるように構成されている。
【0006】
計量ホッパ3の外周部には粉体材料の質量を計測するためのロードセル7が設けられている。
また、混合用ケース4のテーパ状の底部には、供給ホッパ1、2から供給された粉粒体材料を混合するためのミキサ8の混合用スクリュー81が取付けられている。混合用スクリュー81は、電動モータ82によって回転駆動される。
混合用ケース4におけるミキサ8の上方で、ミキサ8近傍には粉粒体材料の量を検知するためのレベルセンサ9が取り付けられている。
【0007】
ここで、レベルセンサ9まで粉粒体材料が充填されていない場合に、計量ホッパ3より新たな粉粒体材料が落下するように構成されている。
なお、ミキサ8を取り付けた混合用ケース4のテーパ状の底部内には、2〜3バッチ分の粉粒体材料が貯留するようにレベルセンサ9の位置が定められている。
【0008】
図19における符号Tは、外部の下流側の機器まで搬送するための輸送機器を示している。ただし、図19において、ミキサ8が計量混合機の外部にあり、ロードセル7で計量した後に、輸送機器(この場合、例えば、ライン)で外部のミキサまで搬送すると言うケースもあり得る。
【0009】
ここで、供給用ホッパ1から供給される材料量:供給用ホッパ2から供給される材料量=1:10 と仮定する。
最初に、供給用ホッパ1側の材料(例えば、105g)を、供給ホッパ1側のスクリューフィーダー5によって投入し、ロードセル7により計測する。
次に、上述した比率(1:10)に合わせて、供給用ホッパ2側の材料(例えば、1050g)を、供給ホッパ2側のスクリューフィーダー5によって投入する。
量が少ない材料における計量は、高精度で行うことが一般的には困難である。例えば、105gにおいて5gの誤差が出るよりも、1050gにおいて5gの誤差が出る方が、精度が高い。そのため、少ない方の材料から順に、計量ホッパ3内に投入し、計量した量に合わせて、上述した比率の大きい方の材料を計量ホッパ3に供給して計量することで、上述した比率に関する精度が向上する。
【0010】
ところで、材料比が1:1000であると、ミキサ8内で均一に混合することが出来ない。
図20で示すように、量が少ない方の材料M1から順に計量することは、ミキシングの観点からは、好ましくない。図20において符号M2は量が多い方の材料を示す。
図21は、計量ホッパ3から排出する際に、落下開始からの時間或いは経路長さ(時間の経過または経路の長さ:横軸)と、計量ホッパ3からの排出量(分布:横軸)との関係(特性)を示している。
図21において、特性線Lm1は配合比が少ない方の材料M1の排出特性を示し、特性線Lm2は配合比が多い方の材料M2の排出特性を示している。
【0011】
図21を参照して、少ない方の材料から順に計量することは、ミキシングの観点からは、好ましくない理由を説明する。
配合比率が少ない方の材料M1から順に計量した場合、図21から明らかな様に、配合比が少ない材料M1は、ミキシングの経路或いは時間が0の領域(図21における0点近傍)にのみ偏在している。すなわち、配合比が少ない方の材料M1の分布が偏っている。一方、配合比が多い方の材料M2については、配合比が少ない方の材料M1が概略排出され切ってから、排出が始まる。
その様に、材料M1と材料M2との分布が偏った状態でミキサにより混合しても、均一に混合することは極めて困難である。
ここで、配合比の差が大きい場合において、計量ホッパ3からミキサ8までの距離が長くても、搬送ラインにおけるラインミキシングにより均一に混合される訳ではない。
【0012】
図22は、上述の従来技術で計量した場合の少ない方の材料M1の配合率を、バッチ毎に示した計測データである。図22において、横軸はミキシング後の取り出し回数の番号(バッチ番号)を示し、縦軸は実際に計測された配合率を目盛っている。
図22では、3500g/1バッチにおいて、少ない方の材料M1の設定配合率が0.7%の場合における実測配合率を示している。
図22の結果によれば、従来技術では、配合率のばらつきが大きいことに加え、配合率の平均値が、設定値に対して、高配合率側に偏在していることが読み取れる。
【0013】
その他の従来技術としては、例えば、粉粒体搬送路の先端にシャッターを設け、撹拌機又は成形機のホッパに設けた粉粒体計量センサーからの信号により、シャッターの開閉制御を行う粉粒体計量供給フィーダーが提案されている(特許文献1参照)。
しかし、この従来技術(特許文献1)は、プラスチック等の粉粒体を正確に計量して供給し、且つ、計量後の誤供給を防止することを目的とするもので、計量後に原材料を均一に混合すると言う上述の要請に応える事は出来ない。
【特許文献1】特開平5−169450号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、複数種類の粉粒体材料を単一のロードセルにより計量して混合するタイプの計量混合機であって、計量後の複数種類の粉粒体材料を均一に混合することが出来る様な計量混合機及びその制御方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の計量混合機は、複数種類の粉粒体材料を単一のロードセル(7)により計量して混合するタイプの計量混合機において、供給するべき材料の種類と同数の供給ホッパ(1、2)と、供給ホッパ(1、2の下方)に取り付けられ且つ供給ホッパ(1、2)内の粉粒体材料を搬送する供給装置(フィーダー51、52)と、供給装置(51、52)で搬送された粉粒体材料を貯蔵する計量ホッパ(3)と、計量ホッパ(3)に貯蔵された粉粒体材料の重量を計量する計量装置(ロードセル7)と、計量ホッパ(3)で計量された複数種類の粉粒体材料を混合する混合装置(ミキサ8)と、制御装置(10)とを備え、該制御装置(10)は、配合比率が大きい粉粒体材料を所定量だけ計量ホッパ(3)内に投入した後に、配合比率が小さい粉粒体材料の全量を計量ホッパ(3)内に投入し、そして、配合比率が大きい粉粒体材料の残量(投入予定量と前記所定量との差)を計量ホッパ(3)内に投入する制御を行う様に構成されていることを特徴としている(請求項1)。
【0016】
係る計量混合機(請求項1の計量混合機)を制御するため、本発明の制御方法は、計量装置(ロードセル7)で投入量を計測しつつ、配合比率が大きい粉粒体材料を所定量だけ計量ホッパ(3)内に投入する工程(S7)と、配合比率が小さい粉粒体材料の全量を計量ホッパ(3)内に投入する工程と(S11)、そして、配合比率が大きい粉粒体材料の残量(投入予定量と前記所定量との差)を計量ホッパ(3)内に投入する工程(S15)、とを有することを特徴としている(請求項4)。
【0017】
また本発明の計量混合機は、複数種類の粉粒体材料を単一のロードセル(7)により計量して混合するタイプの計量混合機において、供給するべき材料の種類と同数の供給ホッパ(1、2)と、供給ホッパ(1、2の下方)に取り付けられ且つ供給ホッパ(1、2)内の粉粒体材料を搬送する供給装置(フィーダー51、52)と、供給装置(51、52)で搬送された粉粒体材料を貯蔵する計量ホッパ(3)と、計量ホッパ(3)に貯蔵された粉粒体材料の重量を計量する計量装置(ロードセル7)と、計量ホッパ(3)で計量された複数種類の粉粒体材料を混合する混合装置(ミキサ8)と、制御装置(10)とを備え、前記計量ホッパ(3)の内側は仕切り壁(32)により複数区画(3A、3B)に分割されており、計量ホッパ内側の区画(3A、3B)は供給するべき材料の種類と同数だけ設けられており、前記供給装置(フィーダー51、52)の各々は計量ホッパ(3)内側に設けられた複数の区画(3A、3B)の何れか1つに連通していることを特徴としている(請求項2)。
【0018】
さらに本発明の計量混合機は、複数種類の粉粒体材料を単一のロードセル(7)により計量して混合するタイプの計量混合機において、供給するべき材料の種類と同数の供給ホッパ(1、2)と、供給ホッパ(1、2の下方)に取り付けられ且つ供給ホッパ(1、2)内の粉粒体材料を搬送する供給装置(フィーダー51、52)と、供給装置(51、52)で搬送された粉粒体材料を貯蔵する計量ホッパ(3)と、計量ホッパ(3)に貯蔵された粉粒体材料の重量を計量する計量装置(ロードセル7)と、計量ホッパ(3)で計量された複数種類の粉粒体材料を混合する混合装置(ミキサ8)と、制御装置(10)とを備え、該制御装置(10)は、供給するべき材料の各々について、所定の順序にて、投入予定量近傍まで単位時間辺りの投入量が大きい状態(α1〜α3)で計量ホッパ(3)に供給し、その後、供給するべき材料の各々について、所定の順序にて、計量装置(ロードセル7)で計量しつつ、単位時間辺りの投入量が小さい状態(β1〜β3)で投入予定量まで計量ホッパ(3)に供給する制御を行う様に構成されていることを特徴としている(請求項3)。
【0019】
係る計量混合機(請求項3の計量混合機)を制御するため、本発明の制御方法は、供給するべき材料の各々について、所定の順序にて、投入予定量近傍まで単位時間辺りの投入量が大きい状態(α1〜α3)で計量ホッパ(3)に供給する工程(S28、S32、S36)と、当該工程(S28、S32、S36)の後、供給するべき材料の各々について、所定の順序にて、計量装置(ロードセル7)で計量しつつ、単位時間辺りの投入量が小さい状態(β1〜β3)で投入予定量まで計量ホッパ(3)に供給する工程(S40、S44、S47)、とを有することを特徴としている(請求項5)。
【発明の効果】
【0020】
上述する構成を具備する本発明によれば、配合比率が大きい粉粒体材料を所定量だけ計量ホッパ(3)内に投入した後に、配合比率が小さい粉粒体材料の全量を計量ホッパ(3)内に投入し、そして、配合比率が大きい粉粒体材料の残量(投入予定量と前記所定量との差)を計量ホッパ(3)内に投入するので(請求項1、請求項4)、計量ホッパ(3)から排出された複数種類の粉粒体材料が混合装置(ミキサ8)で混合される際に、配合比率が小さい粉粒体材料が排出された複数種類の粉粒体材料において偏在してしまうことはない。
すなわち、係る構成を具備することにより、計量ホッパ(3)から複数種類の粉粒体材料が排出される際に、図2で示す様に、配合比率が大きい粉粒体材料と配合比率が小さい粉粒体材料との混合が行われるため、混合装置(ミキサ8)では両者が均一に混合するのである。
【0021】
また、計量ホッパ(3)の内側は仕切り壁(32)により複数区画(3A、3B)に分割され、計量ホッパ(3)内側の区画は供給するべき材料の種類と同数だけ設けられており、前記供給装置(フィーダー51、52)の各々は計量ホッパ(3)内側に設けられた複数の区画(3A、3B)の何れか1つに連通している本発明の計量混合機(請求項2)によれば、仕切り壁(32)で分割された複数の区画(3A、3B)の各々に、それぞれ異なる粉粒体材料を充填することとなり、充填された材料が計量ホッパ(3)から排出されて混合装置(ミキサ8)内に流入する際に、異なる粉粒体材料同士が混合し、何れかの粉粒体材料のみが偏在してしまうことは防止される。そして、何れかの粉粒体材料のみが偏在しなければ、複数の異なる種類の粉粒体材料同士は、均一に撹拌されるのである。
【0022】
さらに本発明によれば、供給するべき材料の各々について、所定の順序にて、投入予定量近傍まで単位時間辺りの投入量が大きい状態(α1〜α3)で計量ホッパに供給し、その後、供給するべき材料の各々について、所定の順序にて、計量装置(ロードセル7)で計量しつつ、単位時間辺りの投入量が小さい状態(β1〜β3)で投入予定量まで計量ホッパ(3)に供給する様に構成されているので(請求項3、請求項5)、可能な限り単位時間あたりの投入量を大きくし、以って、投入及び計量時間の短縮を図ることが可能となる。
それと共に、粉粒体材料が、その種類数の2倍以上に積層された状態で計量ホッパ(3)内に貯留されるので、計量ホッパ(3)から混合装置(ミキサ8)に向って排出された際に、異なる種類の粉粒体材料同士が良く混合する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
先ず、図1〜図5を参照して、本発明の第1実施形態の計量混合機を説明する。
【0024】
図1において、全体を符号101で示す計量混合機は、2つの供給ホッパ1、2と、計量ホッパ3と、制御手段であるコントロールユニット10とを有している。
計量ホッパ3は、円筒状の排出用ケース40の上部に収容されている。
排出用ケース40は排出ラインLに接続され、排出ラインLには、ミキサ8が介装されている。
図19で示す様に、計量ホッパ3の直下にミキサ8を設けても良い。
【0025】
供給ホッパ1、2には、互いに異なる粉粒体の材料(例えば、2種類のプラスチックペレットM1、M2)が投入される。供給ホッパ1、2の下端近傍には、ホッパの垂直軸に直交するように、円筒状で水平方向へ延在する材料排出管11、21が形成されている。
材料排出管11、21の排出口11o、21oは、対面する様に配置されている。そして排出口11o、21oの水平位置は、計量ホッパ3の材料投入口3iの投影面内部となる様に設定されており、以って、排出口11o、21oから落下した材料が、確実に計量ホッパ3内に受領される様に構成されている。
【0026】
材料排出管11の内部には、粉粒体材料(M1)を押し出すためのスクリューフィーダー51が介装されており、材料排出管21の内部にはスクリューフィーダー52が介装されている。スクリューフィーダー51は駆動用モータFM51で駆動され、スクリューフィーダー52は駆動用モータFM52で駆動される。
スクリューフィーダー51は制御信号ラインSo1でコントロールユニット10と接続されており、スクリューフィーダー52は制御信号ラインSo2でコントロールユニット10と接続されている。
【0027】
計量ホッパ3の下端に形成された材料排出口3oには、開閉蓋31が設けられている。開閉蓋31の開閉は、排出用ケース40側に取り付けられたエアシリンダ6の伸縮運動によって行われる様に構成されている。エアシリンダ6は、制御信号ラインSo3によってコントロールユニット10と接続されている。
【0028】
計量ホッパ3にはロードセル7が設けられており(図1では計量ホッパ3の外周部の上方)、ロードセル7は、計量ホッパ3内に収容された粉粒体材料の質量を計測する様に構成されている。
ロードセル7は、入力信号ラインSiによってコントロールユニット10と接続されている。
【0029】
図1の第1実施形態では、材料の計量ホッパ3への供給は、以下の手順(1)〜(3)で行われる。
(1) スクリューフィーダー52を駆動させて、供給ホッパ2に貯留した配合の多い方の材料M2を一定量(下地量Q21)、計量ホッパ3内に投入する(下地量Q21の投入)。
この際に、下地量Q21はロードセル7で計量される。
(2) スクリューフィーダー51を駆動させて、供給ホッパ1に貯留した材料M1(配合の少ない方の材料)を、計量量Q1だけ投入する。
この際に、下地量Q21と計量量Q1との合計量がロードセル7で計量されるので、当該合計量から下地量Q21を減算することにより、単一のロードセル7により、配合の少ない方の材料M1の計量量が計測できる。
(3) 材料M2の残量(Q22)を投入する。
この際、下地量Q21と計量量Q1と材料M2の残量Q22との合計量がロードセル7で計量されるので、当該合計量から、下地量Q21と計量量Q1とを足した量(上記手順(2)でロードセル7により計測された量)を減算すれば、材料M2の残量Q22が計測される。
手順(3)の後、エアシリンダ6を操作して、開閉蓋31を開放して、材料M1、M2の全量Qを排出用ケース40に接続された排出ラインL側に排出する。
図2は、開閉蓋31が開放された状態を示している。
【0030】
第1実施形態では、上記(1)〜(3)の順に処理することにより、配合の少ない方の材料M1が計量ホッパ3から排出される際の分布状態は、図3において曲線Lm1で示す様になる。図3において、開閉蓋31の開放直後からの時間或いは排出経路長さ(図3における「時間の経過または経路の長さ」)が横軸であり、計量ホッパ3からの材料排出量が縦軸で示されている。
図3で示す少ない方の材料M1の含有量或いは分布は、図21と比較すれば明らかな様に、開閉蓋31が開放された後に配合の少ない方の材料M1の全量が直ちに計量ホッパ3から排出される訳ではなく、比較的長い時間(或いは排出経路上の長い距離)に亘って排出され続けている。換言すれば、図1〜図5の第1実施形態では、ミキシングの経路或いは時間について、配合の少ない方の材料M1の分布(線Lm1)は、図21で示す分布と比較して、均一な分布状態に近くなる。
図3で示す様な分布の状態であれば、計量ホッパ3の下流側において、ミキサ8による混合が容易となる。
第1実施形態において、図3で示すような分布特性を示すのは、計量ホッパ3からの排出の際に、図2で示すように、成分比率の高い材料M2の中に、成分比率の低い材料M1が包含されるように混合が行われるためと考えられる。
【0031】
次に、図4を参照して、第1実施形態の制御について説明する。
先ず、計量をスタートさせ、ステップS1ではコントロールユニット10は運転開始がOKとなるまで待機している(ステップS1がNOのループ)。
ここで、運転開始がOKの条件としては、
(1) ミキサ8の図示しない扉が閉まっている。
(2) ミキサがトリップしていない。ここで「トリップ」とは、例えば過負荷によって停止していることを意味している。
(3) スクリューフィーダー51、52の駆動用モータにおけるインバータ(計量インバータ)がトリップしていない。
(4) 搬送ラインLに介装した図示しないブロワがトリップしていない。
(5) 投入する材料がある。
(6) ロードセルが正常である。
(7) 各配合比の設定がある。
(8) ロードセルの定格重量を超えていない(オーバースケールしていない)。
等が挙げられる。
【0032】
運転開始がOKとなったなら(ステップS1がYES)、ステップS2に進み、ミキサ8内の材料が所定量まで減るまで待つ(ステップS2がNOのループ)。ミキサ8内の材料が所定量以下になったなら(ステップS2がYES)、ステップS3に進む。
【0033】
ステップS3では、計量ホッパ3内の排出を行う。そしてステップS4で、計量ホッパ3内の材料の排出が完了したか否かを判断し、排出が完了したならば(ステップS4がYES)、ステップS5にすすむ。ステップS5では、ミキサ8における材料が減ったか否かを判定し、ミキサ8における材料が減ったなら(ステップS5がYES)、ステップS6に進む。
なお、ステップS5を省略することが可能である。
【0034】
ステップS6では、下地計量量の目標値Q21C計算する。ここで、「下地計量量」とは、最初に計量ホッパ3に供給する計量するべき材料(多い方の材料)M2の量を示す。
計算方法としては、計量ホッパ3に供給する1回分(1バッチ)の全量(チャージ量)をQ、下地に用いる材料M2の成分比率をλ21、下地率をγ21とすれば、材料M2の下地計量量の目標値Q21Cは、
Q21C=Q×λ21×γ21
として求める。
下地計量量の目標値Q21Cが求まれば、スクリューフィーダー52を稼動して、材料M2を計量ホッパ3に投入する。投入された材料M2の質量は、ロードセル7によって計量される(下地計量:ステップS7)。
【0035】
ステップS8では、材料M2の下地量の投入が完了したか否かを判断し、下地量の投入が完了したなら(ステップS8がYES)、実際に投入された材料M2の計量量(下地計量量Q21)を記憶する(ステップS9)。
ここで、下地計量量Q21は、目標値Q21Cと正確に同一である必要はない。
次のステップS10では、計量順序を決定する。計量順序は、原則として、配合比の小さい順とする。図示の第1実施形態では、材料M1、材料M2の順に投入される。そしてステップS10において、配合比が小さい材料M1が、下地量投入後、最初に投入される(1番目の計量)。
1番目の計量(材料M1の計量)において、目標とするべき量(材料M1の目標値:Q1C)は、以下の計算式に基づいて計算される。
Q1C=Q×λ1 (λ1はM1の成分比率)
【0036】
1番目の計量における目標値(少ない方の材料M1の目標投入量:Q1C)が求まれば(ステップS10が完了)、スクリューフィーダー51を稼動して、材料M1を計量ホッパ3に投入する(ステップS11)。投入中は、ロードセル7によって、少ない方の材料M1の投入量を計量している。
【0037】
1番目の計量(少ない方の材料M1の投入)が完了したならば(ステップS12がYES)、1番目の計量量(実際に投入された少ない方の材料M1の量:Q1)を記憶する(ステップS13)。
ここで、ステップS12における判断(1番目の計量或いは少ない方の材料M1の投入が完了したか否か)については、ロードセルで計測された計量量Q1が目標投入量Q1Cから設定落差(供給停止しても、余分に供給されてしまう材料量)を引いた値に到達し、バランス時間(材料の供給停止から計量終了までの時間)を経過したか否かによる。
【0038】
ステップS14では、2番目の計量(材料M2の計量)における目標値Q22を、以下の計算式に基づいて計算する。
Q22=Q1×ρ−Q21
上述した通り、Q1は実測した1番目の材料(材料M1)の計量量であり、ρは材料M2の材料M1に対する比率である。例えば、材料の混合比がM1:M2=1:10であれば、ρは10である。
2番目の計量(材料M2の計量)における目標値Q22を、実測した1番目の材料(材料M1)の計量量に基いて決定しているので、材料M1と材料M2の配合比は常に正確に維持される。
【0039】
2番目の材料(M2の材料)の計量量(Q22)が求まれば、スクリューフィーダー52を稼動して、材料M2を計量ホッパ3に投入する。投入中は、ロードセル7によって投入した2番目の材料(M2の材料)を計量している(ステップS15)。
ステップS16では、2番目の材料(M2の材料)が目標値Q22だけ投入され、係る投入が完了したならば(ステップS16がYES)、次のバッチ(チャージ)における計量を行うため、ステップS2に戻り、ステップS2以降を繰り返す。
なお、ステップS2以降を繰り返すにあたって、ステップS1で説明した条件(1)〜(8)を充足しているか否かを常時監視する制御を、別のルーチンで行う様に構成することが出来る。
【0040】
図5は、3500g/1バッチにおいて、少ない方の材料M1の設定された配合率が0.7%である場合に、第1実施形態で計量を行った際の配合率を計測した結果を示している。
図5において、横軸はミキシング後の取り出し回数の番号(バッチ番号)を示しており、縦軸は実際に計測された配合率を示している。
【0041】
特に、従来技術による計量の際の配合率を計測した結果を示す図22と比較すれば明らかな様に、図5において、配合率は0.7%近傍の数値(平均値で、約0.65%)となっており、ばらつきも比較的小さく、良好なミキシングが行われたことが示されている。
換言すれば、図22と図5とを比較すれば、第1実施形態を採用した場合におけるミキシングが、非常に良好であることが理解出来る。
【0042】
次に、図6〜図9を参照して、第2実施形態について説明する。
第1実施形態は、配合比の差が大きい場合に対処するためのものであるが、第2実施形態は、配合比の差が小さい場合に対処している。
【0043】
計量ホッパ3内で、2種類の材料M1、M2が、図8で示す様に積層した状態で収容されていると、図9(a)において示すように、計量ホッパ3からの排出時には、2種類の材料M1、M2の分布(特性曲線Lm1、Lm2で示す)が完全に分離された状態となってしまうので、均一なミキシングが困難となる。
そこで、第2実施形態では、図6で示す様に、計量ホッパ3に仕切り板32を設け、仕切り板32の左右で別々の原料が投入されるように構成している。
換言すれば、第2実施形態において、計量ホッパ3の内部を仕切り板32で二つの室3A、3Bに区画している。図7は、図6の上方から第2実施形態に係る計量ホッパを見た状態を示している。
なお、図示の簡略化のため、図6ではスクリューフィーダー51、52(図7)を省略して示している。
【0044】
第2実施形態に係る計量混合機においても、ロードセルは1つのみであり、計量ホッパ3内への材料の投入(スクリューフィーダー51、52による)は、1種類の材料ずつ行われる。
なお、第2実施形態の計量ホッパ内に仕切り板32を設けた以外の構成に関しては、図1の第1実施形態と同様である。
【0045】
第2実施形態の計量混合機によれば、図6における上下方向の同一位置については、材料M1、M2の量は差異がない。そして、2種類の同一量の材料M1、M2は、計量ホッパ3から下方へ落下する際に良好に混合される。
第2実施形態の計量混合機を用いた場合において、計量ホッパ3から排出された状態における材料M1、M2の混合状態を示す図9(b)において、同一の排出経路上では、材料M1と材料M2とが、概略等しい割合で分布していることが理解出来る。そして、図9(b)で示す様な分布状態であれば、計量ホッパ3の下流側におけるミキサで、材料M1と材料M2とを、均一に混合することが可能である。
【0046】
図10は、第2実施形態の変形例を示している。
図6、図7では、計量ホッパ3内を1枚の仕切り板32によって、室3A、室3Bの2室に区画している。これに対して、図10で示す第2実施形態の変形例では、4種類の材料を混合するために、計量ホッパ3内を複数の仕切り板(33〜36)で4つの室に分割している。
なお、図示はされていないが、混合する材料の種類(数)によって、計量ホッパ3内を、複数の仕切り板により、3分割や5分割以上に分割することもできる。
図10では明示されていないが、スクリューフィーダーは、計量ホッパ3内の区画(室)と同数だけ装備されている。
上述した以外の構成と作用効果については、図10の変形例は、図6、図7で示す第2実施形態と同様である。
【0047】
次に、図11〜図18を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。
第3実施形態(図11)を説明するために、先ず図13を用いて、従来の複数種類(図11〜図18では3種類)の材料の計量について説明する。
【0048】
図13において、混合比率が概略等しい3種類の材料M1、M2、M3が、順次計量ホッパ3に供給された状態が示されている。
図13のように3種の材料を、例えば、M1、M2、M3の順に供給した場合、排出時の材料分布状態は、図14(b)で示すように、各材料M1、M2、M3が殆ど分離して計量ホッパ3から排出されてしまう。そのため、計量ホッパ3下流におけるミキサで、3種類の材料M1、M2、M3を均一に混合することは困難である。
【0049】
それに対して、排出時の材料分布状態が図14(a)で示す様になっていれば、図14(b)で示す従来技術における分布状態と比較すれば明らかな様に、図14の横軸(時間の経過または経路の長さ)上における任意の1点において、材料M1〜M3が混在している状態が多くなり、計量ホッパ3下流におけるミキサで、3種類の材料M1、M2、M3を均一に混合し易い状態となる。
そして、図14(a)で示す様な排出時の材料分布状態を達成するためには、図11及び図12で示す様に、3種類の材料を複数層(図示の例では2層)に分けて計量ホッパ3内に投入し、材料の層の数を増加すれば(図示の例では、6層M11、M21、M31、M12、M22、M32に分布させる)良い。
その様な状態では、計量ホッパ3内では、図12に示すような排出形態をとるものと予想され、均一に混合され易くなる。
【0050】
ここで、図示の実施形態では、ロードセル1個で多種類の材料を計量している。そのため、1種類の材料ずつしか計量することができず、各材料の供給及び計量はバッチ式となる。
なお、図11〜図18において、図示は省略しているが、スクリューフィーダーは3つ装備されている。
【0051】
図15は、計量ホッパ3からの排出時における分布状態が、図14(b)で示す様になる場合における、材料M1、M2、M3を計量ホッパ3へ供給する態様を示している。換言すれば、図15は、従来技術において、3種類の材料M1、M2、M3を計量ホッパ3へ供給する場合における材料の供給量と、供給した材料の計量時間との関係を示している。
【0052】
図15で示す様に、先ず、材料M1について、急激に、すなわち単位時間辺りの供給量が多い状態で、供給量Pα1まで供給する(原点0から点c1までの領域)。そして、単位時間辺りの材料供給量を2段階で減少して、目標量β1まで供給する。
そして、バランス時間TBだけ間隔を空けて、材料M2を供給量Pα2まで供給し(点c2まで供給)、単位時間辺りの材料供給量を2段階で減少して、目標量β2まで供給する。
さらに、バランス時間TBだけ間隔を空けて、材料M3を供給量Pα3まで供給し(点c3までの領域)、単位時間辺りの材料供給量を2段階で減少して、目標量β3まで供給している。
【0053】
しかし、上述したように、図15で示すような供給態様では、図14(b)で示すような排出時の分布を惹起してしまうので、ミキサにおける材料M1、M2、M3の均一な混合は困難である。
それに対して、図14(a)で示すような排出時の分布を実現して、ミキサにおいて材料M1、M2、M3を均一に混合することを可能にするため、図16で示す様な態様で、計量ホッパ3に材料M1、M2、M3する。
【0054】
図16も、図15と同様に、各材料M1、M2、M3の供給量と、供給した材料の計量時間との関係を示している。
図15と図16とを比較すれば、従来技術に係る供給の態様(図15)と、本発明の第3実施形態に係る供給の単位用(図16)との相違が明白である。
【0055】
出願人の研究によれば、図16で示す様な複数材料供給の態様を採用した場合に、図15で示す様な態様と比較して、計量ホッパ3への材料供給に必要な時間が増加しても、許容範囲内に収まることが確認されている。
そして、図16で示す様な態様で3種類の材料M1、M2、M3を計量ホッパ3へ供給すれば、計量ホッパ3からの排出時の分布状態が図14(a)で示す様になるので、ミキサにおいて3種類の材料M1、M2、M3が均一に分布される。
【0056】
第3実施形態の制御について、主として図17、図18を参照して説明する。なお、図17と図18は第3実施形態の制御を2分割して示しており、図17と図18とにより、単一の制御が表現されている。
【0057】
先ず、図17のステップS21において、運転開始がOKとなったなら(ステップS21がYES)、ステップS22で、ミキサ8内の材料が所定量まで減るまで待ち、ミキサ8内の材料が所定量以下になったなら(ステップS22がYES)、ステップS23に進む。
【0058】
ステップS23では、計量ホッパ3内の材料の排出を行う。次のステップS24では、計量ホッパ3内の材料の排出が完了したか否かを判断し、排出が完了したなら(ステップS24がYES)、ステップS25に進む。ステップS25で、ミキサ8における材料が減少したか否かを判断し、ミキサ8における材料が減ったなら(ステップS25がYES)、ステップS26に進む。
なお、ステップS25を省略することも可能である。
【0059】
ステップS26では、計量順序を決定する。ここで、計量順序としては、原則として、配合比の小さい順とする。図示の第3実施形態では、材料M1、M2、M3の順に投入している。
なお、計量順序を任意に選択することも可能である。
【0060】
次のステップS27では、1番目に投入される材料M1の下地量の目標値α1Cを計算する。
下地量の目標値α1Cの計算方法は、計量ホッパに供給する材料M1〜M3の1バッチ分の全量をQ、全量Qに対する材料M1の成分比率をλ1、分割数(図11の例では2分割)をNとすれば、
α1C=Q×λ1/N
として求められる。
1番目の下地量の目標値α1Cが求まれば、スクリューフィーダー51を稼動して、材料M1を計量ホッパ3に投入する。投入中は、ロードセル7によって投入した材料M1の下地量α1を計量している(ステップS28)。
【0061】
材料M1の下地量の投入が完了したならば(ステップS29がYES)、実際に投入された1番目の材料の下地計量量α1を記憶する(ステップS30)。
ここで、下地計量量α1は、正確に目標値α1Cと一致している必要はない。
【0062】
次のステップS31では、2番目の材料M2の下地計量量における目標値α2Cを計算する。
2番目の材料M2の下地計量量における目標値α2Cの計算方法としては、計量ホッパに供給する材料M1〜M3の1回分の全量をQ、全量Qに対する材料M2の成分比率をλ2、分割数(図11の例では3つの材料を各々2分割)をNとすれば、
α2C=Q×λ2/N
として求められる。
2番目の材料M2における下地量の目標値α2Cが求まれば、スクリューフィーダー52を稼動して、材料M2を計量ホッパ3に投入する。投入中は、ロードセル7によって投入した材料M2の下地量α2を計量している(ステップS32)。
【0063】
2番目の材料M2における下地の投入が完了したならば(ステップS33がYES)、実際に投入された2番目の材料M2の下地計量量α2を記憶する(ステップS34)。
下地計量量α2も正確に目標値α2Cと一致している必要はない。
【0064】
ステップS35では、3番目の材料M3における下地量の目標値α3Cを計算する。
3番目の材料M3における下地量の目標値α3Cの計算方法は、計量ホッパに供給する材料M1〜M3の1回分の全量をQ、全量Qに対する材料M3の成分比率をλ3、分割数(図11の例では2分割)をNとすれば、
α3C=Q×λ3/N
として求められる。
3番目の下地量α3Cが求まれば、図示しない材料M3用のスクリューフィーダーを稼動して、材料M3を計量ホッパ3に投入する。投入中は、ロードセル7によって投入した材料M3の下地量α3を計量している(ステップS36)。
【0065】
3番目の材料M3の投入が完了したならば(ステップS37がYES)、実際に投入された3番目の材料M3の下地計量量α3を記憶する(ステップS38)。
下地計量量α3も正確に目標値α3Cと一致している必要はない。
【0066】
次に、図18のステップS39に進む。図18におけるβ1、β2、β3の各量の投入は、図15における領域βにおける投入に相当する。
ステップS39では、1番目の計量量の目標値β1Cを以下の計算式に基づいて計算する。
β1C=(Q×λ1)−α1
ここで、β1Cは、ステップS29で実際に計量された材料M1の量に基いて計算されるので、図17において上述した材料の投入(図15における領域αにおける投入)が不正確であっても、材料M1、M2、M3の配合比を、設定された値に保持することが出来るのである。
【0067】
1番目の材料M1における計量量の目標値β1Cが求まれば、スクリューフィーダー51を稼動して、材料M1を計量ホッパ3に投入する。投入中は、ロードセル7によって投入した1番目の材料M1投入量を計量している(ステップS40)。
【0068】
1番目の材料M1の投入が完了したならば(ステップS41がYES)、ステップS30で記憶した下地量α1と、ステップS41で投入された1番目の材料M1の量との和を、材料M1における実際の計量量β1として記憶する(ステップS42)。
ステップS41における1番目の材料M1の投入が完了した旨の判断は、計量量(目標値)から設定落差(供給停止しても、余分に供給されてしまう材料量)を引いた値に到達し、バランス時間(材料の供給停止から計量終了までの時間)を経過したことによる。
【0069】
ステップS43では、2番目の材料M2における計量量の目標値β2Cを以下の計算式に基づいて計算する。
β2C=β1×ρ2−α2
上式で、ρ2は、材料M2の材料M1に対する比率である。例えば、材料の混合比がM1:M2=2:3であれば、ρ2は1.5である。
ここで、2番目の材料M2における計量量の目標値β2Cは、材料M1が実際に計量ホッパ3内に投入された量β1(下地量とステップS41で投入された量との和)に基いて計算されるので、材料M1の実際の計量量β1が設定値と異なっていても、材料M1、M2の配合比は正確に保たれるのである。
【0070】
2番目の材料M2の計量量目標値β2Cが求まれば、スクリューフィーダー52を稼動して、材料M2を計量ホッパ3に投入する。投入中は、ロードセル7によって投入した2番目の材料M2投入量を計量している(ステップS44)。
2番目の材料M2の投入が完了したなら(ステップS45がYES)、下地量α2と、ステップS45で投入された2番目の材料M2の量との和が、材料M2における実際の計量量β2となる。そして、ステップS46に進む。
なお、ステップS45における完了の判断としては、ステップS41と同様である。
【0071】
ステップS46では、3番目の材料M3における投入量の目標値β3Cを以下の計算式に基づいて計算する。
β3C=β1×ρ3−α3
上式で、ρ3は、材料M3の材料M1に対する比率である。例えば、M1:M3=1:2であれば、ρ3は2である。
ここで、3番目の材料M3における計量量の目標値β3Cも、材料M1が実際に計量ホッパ3内に投入された量β1(下地量とステップS41で投入された量との和)に基いて計算されるので、材料M1、M3の配合比も正確に維持される。
【0072】
3番目の材料M3における計量量目標値β3Cが求まれば、図示を省略したスクリューフィーダーを稼動して、材料M3を計量ホッパ3に投入する。投入中は、ロードセル7によって投入した3番目の材料M3の量を計量している(ステップS47)。
3番目の材料M3の投入が完了したならば(ステップS48がYES)、下地量α3と、ステップS48で投入された3番目の材料M3の量との和が、材料M3における実際の計量量β3となる。
そして、次のバッチ(チャージ)の計量を行うため、図17のステップS22に戻り、ステップS22以降を繰り返す。
ここで、ステップS48における完了の判断は、ステップS41、S45と同様である。
なお、ステップS22以降を繰り返すにあたって、図4におけるステップS1に関連して上述した条件(1)〜(8)を充足しているか否かを常時監視する制御を、別のルーチンで行う様に構成することが出来る。
【0073】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
例えば、図示の実施形態では、計量ホッパ3から排出用ケース40及び排出ラインLを経由して、計量された材料がミキサ8へ輸送されているが、図19で示す様に、計量ホッパ3の直下にミキサ8を設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1実施形態の構成を示すブロック図。
【図2】第1実施形態の計量混合機に関して、計量ホッパから材料を排出する様子を示した様態図。
【図3】第1実施形態の計量混合機から少ないほうの材料を排出(落下させた)場合の材料の分布状態を示した特性図。
【図4】第1実施形態の計量制御方法を示したフローチャート。
【図5】第1実施形態を実施した場合の、少ない方の材料の配合率を示した実験データ。
【図6】第2実施形態の要部である計量ホッパの断面図。
【図7】図6に対応する平面図。
【図8】第2実施形態の効果を示すために、引用する従来タイプの計量ホッパへの材料投入状況を示した状態図。
【図9】図8の状態から材料を排出した場合の落下時間に対する材料分布図。
【図10】第2実施形態の変形例の平面図。
【図11】第3実施形態の材料投入状態を示した計量ホッパの断面図。
【図12】図11の状態から材料を排出した場合の状態図。
【図13】第3実施形態の比較対象となる従来技術を示す図。
【図14】計量ホッパから排出時の材料分布について、第3実施形態と従来技術とを比較して示す図。
【図15】従来技術により複数種類材料を計量ホッパへ供給する場合に、時間経過と材料供給量の関係を示した図。
【図16】第3実施形態により複数種類材料を計量ホッパへ供給する場合に、時間経過と材料供給量の関係を示した図。
【図17】第3実施形態の計量制御を示すフローチャート。
【図18】第3実施形態の計量制御を示すフローチャート。
【図19】従来技術における計量混合機の構成図。
【図20】図19の計量ホッパに2つの材料を供給した状態を示した断面図。
【図21】図19の状態から材料を排出した場合の落下時間に対する材料分布図。
【図22】図19の計量混合機で計量した場合の少ない方の材料の配合率を示した実験データ。
【符号の説明】
【0075】
1、2・・・供給ホッパ
3・・・計量ホッパ
6・・・エアシリンダ
7・・・ロードセル
8・・・ミキサ
10・・・制御手段/コントロールユニット
11、12・・・材料供給管
31・・・開閉蓋
40・・・排出用ケース
51、52・・・スクリューフィーダー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の粉粒体材料を単一のロードセルにより計量して混合するタイプの計量混合機において、供給するべき材料の種類と同数の供給ホッパと、供給ホッパに取り付けられ且つ供給ホッパ内の粉粒体材料を搬送する供給装置と、供給装置で搬送された粉粒体材料を貯蔵する計量ホッパと、計量ホッパに貯蔵された粉粒体材料の重量を計量する計量装置と、計量ホッパで計量された複数種類の粉粒体材料を混合する混合装置と、制御装置とを備え、該制御装置は、配合比率が大きい粉粒体材料を所定量だけ計量ホッパ内に投入した後に、配合比率が小さい粉粒体材料の全量を計量ホッパ内に投入し、そして、配合比率が大きい粉粒体材料の残量を計量ホッパ内に投入する制御を行う様に構成されていることを特徴とする計量混合機。
【請求項2】
複数種類の粉粒体材料を単一のロードセルにより計量して混合するタイプの計量混合機において、供給するべき材料の種類と同数の供給ホッパと、供給ホッパに取り付けられ且つ供給ホッパ内の粉粒体材料を搬送する供給装置と、供給装置で搬送された粉粒体材料を貯蔵する計量ホッパと、計量ホッパに貯蔵された粉粒体材料の重量を計量する計量装置と、計量ホッパで計量された複数種類の粉粒体材料を混合する混合装置と、制御装置とを備え、前記計量ホッパの内側は仕切り壁により複数区画に分割されており、計量ホッパ内側の区画は供給するべき材料の種類と同数だけ設けられており、前記供給装置の各々は計量ホッパ内側に設けられた複数の区画の何れか1つに連通していることを特徴とする計量混合機。
【請求項3】
複数種類の粉粒体材料を単一のロードセルにより計量して混合するタイプの計量混合機において、供給するべき材料の種類と同数の供給ホッパと、供給ホッパに取り付けられ且つ供給ホッパ内の粉粒体材料を搬送する供給装置と、供給装置で搬送された粉粒体材料を貯蔵する計量ホッパと、計量ホッパに貯蔵された粉粒体材料の重量を計量する計量装置と、計量ホッパで計量された複数種類の粉粒体材料を混合する混合装置と、制御装置とを備え、該制御装置は、供給するべき材料の各々について、所定の順序にて、投入予定量近傍まで単位時間辺りの投入量が大きい状態で計量ホッパに供給し、その後、供給するべき材料の各々について、所定の順序にて、計量装置で計量しつつ、単位時間辺りの投入量が小さい状態で投入予定量まで計量ホッパに供給する制御を行う様に構成されていることを特徴とする計量混合機。
【請求項4】
請求項1の計量混合機の制御方法において、計量装置で投入量を計測しつつ、配合比率が大きい粉粒体材料を所定量だけ計量ホッパ内に投入する工程と、配合比率が小さい粉粒体材料の全量を計量ホッパ内に投入する工程と、そして、配合比率が大きい粉粒体材料の残量を計量ホッパ内に投入する工程、とを有することを特徴とする制御方法。
【請求項5】
請求項3の計量混合機を制御する制御方法において、供給するべき材料の各々について、所定の順序にて、投入予定量近傍まで単位時間辺りの投入量が大きい状態で計量ホッパに供給する工程と、当該工程の後、供給するべき材料の各々について、所定の順序にて、計量装置で計量しつつ、単位時間辺りの投入量が小さい状態で投入予定量まで計量ホッパに供給する工程、とを有することを特徴とする制御方法。
【請求項1】
複数種類の粉粒体材料を単一のロードセルにより計量して混合するタイプの計量混合機において、供給するべき材料の種類と同数の供給ホッパと、供給ホッパに取り付けられ且つ供給ホッパ内の粉粒体材料を搬送する供給装置と、供給装置で搬送された粉粒体材料を貯蔵する計量ホッパと、計量ホッパに貯蔵された粉粒体材料の重量を計量する計量装置と、計量ホッパで計量された複数種類の粉粒体材料を混合する混合装置と、制御装置とを備え、該制御装置は、配合比率が大きい粉粒体材料を所定量だけ計量ホッパ内に投入した後に、配合比率が小さい粉粒体材料の全量を計量ホッパ内に投入し、そして、配合比率が大きい粉粒体材料の残量を計量ホッパ内に投入する制御を行う様に構成されていることを特徴とする計量混合機。
【請求項2】
複数種類の粉粒体材料を単一のロードセルにより計量して混合するタイプの計量混合機において、供給するべき材料の種類と同数の供給ホッパと、供給ホッパに取り付けられ且つ供給ホッパ内の粉粒体材料を搬送する供給装置と、供給装置で搬送された粉粒体材料を貯蔵する計量ホッパと、計量ホッパに貯蔵された粉粒体材料の重量を計量する計量装置と、計量ホッパで計量された複数種類の粉粒体材料を混合する混合装置と、制御装置とを備え、前記計量ホッパの内側は仕切り壁により複数区画に分割されており、計量ホッパ内側の区画は供給するべき材料の種類と同数だけ設けられており、前記供給装置の各々は計量ホッパ内側に設けられた複数の区画の何れか1つに連通していることを特徴とする計量混合機。
【請求項3】
複数種類の粉粒体材料を単一のロードセルにより計量して混合するタイプの計量混合機において、供給するべき材料の種類と同数の供給ホッパと、供給ホッパに取り付けられ且つ供給ホッパ内の粉粒体材料を搬送する供給装置と、供給装置で搬送された粉粒体材料を貯蔵する計量ホッパと、計量ホッパに貯蔵された粉粒体材料の重量を計量する計量装置と、計量ホッパで計量された複数種類の粉粒体材料を混合する混合装置と、制御装置とを備え、該制御装置は、供給するべき材料の各々について、所定の順序にて、投入予定量近傍まで単位時間辺りの投入量が大きい状態で計量ホッパに供給し、その後、供給するべき材料の各々について、所定の順序にて、計量装置で計量しつつ、単位時間辺りの投入量が小さい状態で投入予定量まで計量ホッパに供給する制御を行う様に構成されていることを特徴とする計量混合機。
【請求項4】
請求項1の計量混合機の制御方法において、計量装置で投入量を計測しつつ、配合比率が大きい粉粒体材料を所定量だけ計量ホッパ内に投入する工程と、配合比率が小さい粉粒体材料の全量を計量ホッパ内に投入する工程と、そして、配合比率が大きい粉粒体材料の残量を計量ホッパ内に投入する工程、とを有することを特徴とする制御方法。
【請求項5】
請求項3の計量混合機を制御する制御方法において、供給するべき材料の各々について、所定の順序にて、投入予定量近傍まで単位時間辺りの投入量が大きい状態で計量ホッパに供給する工程と、当該工程の後、供給するべき材料の各々について、所定の順序にて、計量装置で計量しつつ、単位時間辺りの投入量が小さい状態で投入予定量まで計量ホッパに供給する工程、とを有することを特徴とする制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2009−23093(P2009−23093A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−185190(P2007−185190)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(392004875)クボタカラートロニック株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(392004875)クボタカラートロニック株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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