説明

記入不具合通知システム

【課題】情報を記入するための情報記入枠に情報が記入されているもののその記入状態が正常ではない場合にその旨を通知する。
【解決手段】解答シート1に光を照射してその反射光の受光量を解答シート1の情報記入枠毎に取得するスキャナ30と、スキャナ30にて取得された受光量に基づいて、情報記入枠に情報が記入されているかどうか、及び当該情報記入枠への情報の記入状態が正常であるかどうかを判断する記入状態判断40と、記入状態判断部40において情報の記入状態が正常ではないと判断された情報記入枠が存在する場合に、その旨を通知する通知部70とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記入された情報が光学的に読み取られる情報記入シートへの記入における不具合を通知する記入不具合通知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、問題用紙及び解答用紙が受講者に配布され、受講者から解答用紙が回収されて該解答用紙に対して添削が行われた添削結果が受講者に通知される通信添削システムにおいては、受講者が受講機関等に通わずにその指導を受けることができるため、地理的な制約や時間的な制約によって受講機関に通うことができない受講者にとっては便利なシステムとして利用されている。このような通信添削システムにおいては、解答として記入されたマークが光学式読取装置によって読み取られるOMR(Optical Mark Reader)用シートが用いられている。
【0003】
OMR用シートにおいては、マークを選択的に記入するための印刷が施されており、マークが記入された後、光学式読取装置にて読み取りを行うと、マークを記入するための印刷がドロップアウトしてマークのみが読み取られることになり、それにより、マークの記入による情報を効率的に収集することができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
ところが、このようにOMR用シートを用いた場合、正しい領域にマークを記入したものの、マークの濃さが所定のレベルに達していないことによりマークが記入されていないと判定されてしまうという不具合が生じる場合がある。このような場合、上述したような通信添削システムにおいては、受講者がその問題の解答をわかっているにも関わらず、不正解となってしまうことがある。
【0005】
ここで、団体保険の申込書について、記入された情報を読み取った際に、読み取った情報の内容、あるいは情報が読み取られるべき領域から情報が読み取られたかどうかに基づいて記入ミスを検出し、その記入ミスの理由とともに申込書の画像データを申込者にファクシミリ送信する技術が考えられている(例えば、特許文献2参照。)。この技術を用いれば、情報記入シートへの情報の記入において、間違った情報の記入や情報を記入すべき領域への記入漏れを情報記入者に通知することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−203212号公報
【特許文献2】特開2001−265926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したような情報の記入ミスを検出する技術においては、間違った情報の記入や情報を記入すべき領域への記入漏れを情報記入者に通知することができるものの、OMR用シート等において正しい領域にマークや情報を記入したもののその濃さが所定のレベルに達しておらずにマークや情報が記入されていないと判定されてしまうという情報の記入における不具合を通知することができないという問題点がある。
【0008】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、情報を記入するための情報記入枠に情報が記入されているもののその記入状態が正常ではない場合にその旨を通知することができる記入不具合通知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、
情報を記入するための複数の情報記入枠が印刷され、光が照射されてその反射光の受光量に基づいて前記情報記入枠に記入された情報が認識される情報記入シートへの記入における不具合を検出し、該不具合を通知する記入不具合通知システムであって、
前記情報記入シートに光を照射してその反射光の受光量を前記情報記入枠毎に取得する受光量検出手段と、
前記受光量検出手段にて取得された受光量に基づいて、前記情報記入枠に情報が記入されているかどうか、及び当該情報記入枠への情報の記入状態が正常であるかどうかを判断する記入状態判断手段と、
前記記入状態判断手段において情報の記入状態が正常ではないと判断された情報記入枠が存在する場合に、その旨を通知する通知手段とを有する。
【0010】
上記のように構成された本発明においては、情報記入シートに印刷された複数の情報記入枠のそれぞれにまたは選択的に、情報が記入された状態において、情報記入シートに対して光が照射され、受光量検出手段において、その反射光の受光量が情報記入枠毎に取得され、記入状態判断手段において、受光量検出手段にて取得された受光量に基づいて、情報記入枠に情報が記入されているかどうかが判断される。情報記入シートからの反射光の受光量は、情報が記入された情報記入枠からのものが少なく、情報が記入されていない情報記入枠からのものが多くなる。また、情報を記入した濃さが薄い場合は、情報が記入されていない場合に比べて受光量が少ないものの、正常に情報が記入された場合に比べて受光量が多くなっている。そこで、記入状態判断手段においては、受光量検出手段にて取得された受光量に基づいて、その情報記入枠への情報の記入状態が正常であるかどうかが判断され、記入状態判断手段において情報の記入状態が正常ではないと判断された情報記入枠が存在する場合に、通知手段においてその旨が通知されることになる。
【0011】
このように、情報記入シートに照射された光の反射光の受光量に基づいて、情報記入枠に情報が記入されているかどうかのみならず、情報記入枠への情報の記入状態が正常であるかどうかが判断され、情報の記入状態が正常ではないと判断された情報記入枠が存在する場合にその旨が通知されるので、情報を記入するための情報記入枠に情報が記入されているもののその記入状態が正常ではない場合にその旨が通知されることになる。
【0012】
また、記入状態判断手段においては、このような構成を実現するために、受光量検出手段にて取得された受光量が第1の閾値未満である場合にその情報記入枠に情報が正常に記入されていると判断し、受光量検出手段にて取得された受光量が第1の閾値以上でかつ、第1の閾値よりも大きな第2の閾値以下である場合にその情報記入枠に情報が記入されているもののその記入状態が正常ではないと判断することが考えられる。
【0013】
また、複数の情報記入枠のうち所定の情報記入枠に記入されるべき情報を識別可能な識別情報を情報記入シートに印刷する印刷手段と、識別情報を読み取る識別情報読取手段と、記入状態判断手段にて所定の情報記入枠に記入されていると判断された情報が、識別情報読取手段にて読み取られた識別情報によって識別される情報であるかどうかを判断する情報認識手段とを有し、通知手段が、照合手段における判断結果も通知するようにすれば、所定の情報記入枠に記入されるべき情報がその情報記入枠に正しく記入されているかどうかを通知することができる。
【0014】
また、通知手段が、情報記入シートのレイアウトイメージデータを取得し、記入状態判断手段における判断結果を、取得したレイアウトイメージデータ上にて情報記入枠毎に重ね合わせて通知すれば、記入状態判断手段における判断結果がどの情報記入枠についてのものかが認識しやすくなる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明においては、情報を記入するための複数の情報記入枠が印刷され、光が照射されてその反射光の受光量に基づいて情報記入枠に記入された情報が認識される情報記入シートへの記入における不具合を検出し、その不具合を通知する記入不具合通知システムであって、情報記入シートに光を照射してその反射光の受光量を情報記入枠毎に取得する受光量検出手段と、受光量検出手段にて取得された受光量に基づいて、情報記入枠に情報が記入されているかどうか、及びその情報記入枠への情報の記入状態が正常であるかどうかを判断する記入状態判断手段と、記入状態判断手段において情報の記入状態が正常ではないと判断された情報記入枠が存在する場合に、その旨を通知する通知手段とを有する構成としたため、情報記入シートに照射された光の反射光の受光量に基づいて、情報記入枠に情報が記入されているかどうかのみならず、情報記入枠への情報の記入状態が正常であるかどうかが判断され、情報の記入状態が正常ではないと判断された情報記入枠が存在する場合にその旨が通知されることになり、情報を記入するための情報記入枠に情報が記入されているもののその記入状態が正常ではない場合にその旨を通知することができる。
【0016】
また、複数の情報記入枠のうち所定の情報記入枠に記入されるべき情報を識別可能な識別情報を情報記入シートに印刷する印刷手段と、識別情報を読み取る識別情報読取手段と、記入状態判断手段にて所定の情報記入枠に記入されていると判断された情報が、識別情報読取手段にて読み取られた識別情報によって識別される情報であるかどうかを判断する情報認識手段とを有し、通知手段が、照合手段における判断結果も通知する構成としたものにおいては、所定の情報記入枠に記入されるべき情報がその情報記入枠に記入されているかどうかを通知することができる。
【0017】
また、通知手段が、情報記入シートのレイアウトイメージデータを取得し、記入状態判断手段における判断結果を、取得したレイアウトイメージデータ上にて情報記入枠毎に重ね合わせて通知する構成としたものにおいては、記入状態判断手段における判断結果がどの情報記入枠についてのものかを認識しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の記入不具合通知システムに用いられる情報記入シートの実施の一形態を示す図である。
【図2】本発明の記入不具合通知システムの実施の一形態を示す図である。
【図3】図2に示した記入不具合通知システムにおける処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】受講者から返送されてくる解答シートを示す図である。
【図5】図2に示したスキャナにて図4に示した解答シートに照射された光の反射光の受光量を受験番号マーク欄及び解答マーク欄毎に取得したテーブルを示す図である。
【図6】図2に示した情報認識部にて認識された解答シートのスキャンイメージデータを示す図である。
【図7】図2に示した記入状態判断部にて生成されるステータス情報を示す図である。
【図8】図2に示した記入状態判断部にて生成されるステータス情報にて示されるコードに対応するコメントが割り当てられたテーブルを示す図である。
【図9】図2に示した通知部にて重ね合わされたイメージデータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
まず、本発明の記入不具合通知システムに用いられる情報記入シートについて説明する。
【0021】
図1は、本発明の記入不具合通知システムに用いられる情報記入シートの実施の一形態を示す図である。
【0022】
本形態における情報記入シートは図1に示すように、通信添削システムに用いられる解答シート1であって、この解答シート1を識別可能なIDが数字やアルファベットで表現されたシート番号2aと、このIDがマーク情報によって表現されたシート番号2bと、マーク情報によって表現された受験番号6とが印刷されているとともに、情報記入枠である氏名記入欄3、受験番号マーク欄4及び解答マーク欄5が設けられて構成されている。氏名記入欄3は、受講者が自分の氏名を記入するための領域であり、受験番号マーク欄4は、受講者の受験番号をマークによって記入するための領域である。すなわち、解答シート1に印刷された受験番号6は、受験番号マーク欄4にマークで記入される受験番号と同一のものであって、それにより、受験番号マーク欄4にマークで記入される受験番号を識別可能な識別情報となる。また、解答マーク欄5は、解答すべき問題のそれぞれについて複数ずつ設けられており、受講者は、問題毎に設けられた複数の解答マーク欄5の中から正解と思われる番号の解答マーク欄5にマークを記入する。これらシート番号2a,2b及び受験番号6と、氏名記入欄3、受験番号マーク欄4及び解答マーク欄5とは互いに異なる色で印刷されている。これは、この解答シート1に記入された情報を読み取る際、解答シート1に光を照射してその反射光の受光量に基づいて情報を認識するためであり、そのため、シート番号2a,2b及び受験番号6は、氏名記入欄3、受験番号マーク欄4及び解答マーク欄5に氏名やマークを記入するための鉛筆等と同色である黒色で印刷され、氏名記入欄3、受験番号マーク欄4及び解答マーク欄5は、解答シート1に特定波長の光を照射した場合にドロップアウトする色で印刷されている。
【0023】
図2は、本発明の記入不具合通知システムの実施の一形態を示す図であり、図1に示した解答シート1への記入における不具合を検出して通知するものである。
【0024】
本形態は図2に示すように、解答シート編集部10と、印刷手段であるプリンタ20と、受光量検出手段であるスキャナ30と、記入状態判断部40と、情報認識部50と、通知部70とから構成されている。
【0025】
解答シート編集部10は、図1に示した解答シート1を編集し、レイアウトデータとしてプリンタ20に出力する。
【0026】
プリンタ20は、解答シート編集部10にて編集されて出力されたレイアウトデータに基づいて解答シート1を印刷する。すなわち、図1に示した解答シート1についてシート番号2a,2b、受験番号6、氏名記入欄3、受験番号マーク欄4及び解答マーク欄5を印刷する。なお、受験番号6は、受講者毎に異なる配置で印刷され、その番号に対応する受講者に渡されることとなる。
【0027】
スキャナ30は、プリンタ20にて印刷された解答シート1に印刷されたシート番号2a,2b及び受験番号6と、解答シート1の氏名記入欄3に記入された氏名情報と、解答シート1の受験番号マーク欄4及び解答マーク欄5に記入されたマークを読み取るためのものであって、解答シート1に光を照射してその反射光の受光量を受験番号マーク欄4及び解答マーク欄5毎に取得する。スキャナ30は、解答シート1に印刷された受験番号6も読み取るものであるため、識別情報読取手段ともなる。
【0028】
記入状態判断部40は、スキャナ30にて取得された受光量に基づいて、受験番号マーク欄4及び解答マーク欄5にマークが記入されているかどうか、及び受験番号マーク欄4及び解答マーク欄5へのマークの記入が正常であるかどうかを判断する。また、情報認識部50における判断結果を取得し、記入状態判断部40における判断結果と情報認識部50における判断結果とを通知部70に通知する。
【0029】
情報認識部50は、スキャナ30にて氏名記入欄3から読み取られた氏名情報や、スキャナ30にて読み取られた受験番号6を認識するとともに、記入状態判断部40にてマークが記入されていると判断された受験番号マーク欄4及び解答マーク欄5による情報を認識する。すなわち、記入状態判断部40における判断結果に基づいて、受験番号マーク欄4にマークによって記入された受験番号を認識するとともに、解答マーク欄5にマークによって記入された解答を認識する。そして、認識された解答を正解データ60と照合することにより、解答マーク欄5にマークによって記入された解答の正解/不正解を判断する。また、スキャナ30にて読み取られた受験番号6と受験番号マーク欄4にマークによって記入された受験番号とを照合し、受験番号マーク欄4にマークによって記入された受験番号が、スキャナ30にて読み取られた受験番号6であるかどうかを判断する。
【0030】
通知部70は、解答シート編集部10にて編集されたレイアウトデータによる解答シート1のレイアウトイメージデータを取得し、情報認識部50にて認識された氏名情報と、受験番号マーク欄4にマークによって記入された受験番号と、解答マーク欄5にマークによって記入された解答と、解答マーク欄5にマークによって記入された解答の正解/不正解を示す情報と、記入状態判断部40にて判断された受験番号マーク欄4及び解答マーク欄5へのマークの記入状態とを、取得したイメージデータ上に重ね合わせて通知する。
【0031】
以下に、上記のように構成された記入不具合通知システムにおける処理について説明する。
【0032】
図3は、図2に示した記入不具合通知システムにおける処理を説明するためのフローチャートである。
【0033】
まず、解答シート編集部10において、図1に示した解答シート1が編集される。解答シート編集部10においては、受講者毎に受験番号及びシート番号が紐付けされたデータベース(不図示)が参照され、この受験番号及びシート番号が記載されるように解答シート1が編集される。また、解答すべき問題が受講者の学年や学習の進捗状況に応じて設定されており、その設定が記憶されたデータベース(不図示)を用いて解答シート1を編集することも考えられる。解答シート編集部10にて編集された解答シート1は、レイアウトデータとしてプリンタ20に出力され、その後、プリンタ20にて解答シート1が印刷され、受講者に発送される(ステップS1)。
【0034】
解答シート1を受け取った受講者は、解答シート1の氏名記入欄3に自分の氏名を記入するとともに、受験番号マーク欄4に自分の受験番号をマークによって記入する。ここで、解答シート1においては、受講者毎に受験番号6が印刷されているとともにシート番号2a,2bによって識別可能になっているため、受講者の氏名を予め印刷しておくことも可能であり、また、受験番号マーク欄4を設ける必要はない。ところが、実際の試験では、受講者の氏名や受験番号を受講者自身が記入することになるため、このように、解答シート1には受講者の氏名は印刷しておらず、かつ、受講者の受験番号を受講者自身が記入するための受験番号マーク欄4を設け、受講者に実際の試験を受ける際の練習を可能としている。
【0035】
解答シート1の氏名記入欄3に氏名を記入するとともに、受験番号マーク欄4に受験番号をマークによって記入した受講者は、解答マーク欄5に解答を示すマークを記入する。解答マーク欄5は、解答すべき問題のそれぞれについて複数ずつ設けられており、受講者は、問題毎に設けられた複数の解答マーク欄5の中から正解と思われる番号の解答マーク欄5にマークを記入することになる。
【0036】
このようにして、氏名記入欄3に受講者の氏名が記入されるとともに、受験番号マーク欄4に受験番号がマークによって記入され、また、解答マーク欄5に解答がマークによって記入された解答シート1は、受講者から返信される(ステップS2)。
【0037】
図4は、受講者から返送されてくる解答シート1を示す図である。
【0038】
図4に示すように、受講者から返送されてくる解答シート1は、図1に示した解答シート1に対して、氏名記入欄3に受講者の氏名が記入されるとともに、受験番号マーク欄4に受験番号がマークによって記入され、また、解答マーク欄5に解答がマークによって記入されている。
【0039】
図4に示した解答シート1が返送されてくると、まず、スキャナ30において、解答シート1に記入された情報が読み取られる(ステップS3)。スキャナ30を用いた情報の読み取りは、解答シート1に光を照射してその反射光の受光量に基づいて行う。スキャナ30から解答シート1に光が照射されると、その光が解答シート1にて反射してスキャナ30にて受光されるが、その受光量は、解答シート1上の色によって異なるものとなる。具体的には、解答シート1上の色が黒色に近ければ、解答シート1に照射された光があまり反射せず、その反射光の受光量は少なくなる。反対に、解答シート1上の色が白色に近ければ、解答シート1に照射された光のほとんどが反射し、その反射光の受光量は多くなる。そこで、スキャナ30においては、氏名記入欄3については、解答シート1に照射した光の反射光の氏名記入欄3内における受光量の分布の状態を取得し、また、シート番号2b及び受験番号6についても、解答シート1に照射した光の反射光の受光量の分布の状態を取得し、また、受験番号マーク欄4及び解答マーク欄5においては、それぞれにおける反射光の受光量を取得する。
【0040】
図5は、図2に示したスキャナ30にて図4に示した解答シート1に照射された光の反射光の受光量を受験番号マーク欄4及び解答マーク欄5毎に取得したテーブルを示す図である。
【0041】
上述したように、解答シート1に照射された光の反射光の受光量は、解答シート1上の色によって異なるため、受験番号マーク欄4及び解答マーク欄5においては、マークが記入されている領域5とマークが記入されていない領域とではその受光量が互いに異なっており、その受光量の違いによってマークが記入されているか記入されていないかを判断することになる。そのため、スキャナ30においては、反射光の受光量に応じてレベルが設定されている。受光量が最も多い場合をレベル“0”とし、受光量が少なくなるほどレベルが大きくなる。
【0042】
スキャナ30においては、図1に示した解答シート1の受験番号マーク欄4及び解答マーク欄5毎にその受光量のレベルがテーブルとして管理される。図4に示したようにマークが記入された解答シート1においては、図5に示すように、受験番号マーク欄4及び解答マーク欄5のうちマークが記入された領域においては、その反射光の受光量が少ないため、レベルが“5”あるいは“6”となっており、また、マークが記入されていない領域においては、その反射光の受光量が多いため、レベルが“0”となっている。また、マークが記入されているもののそのマークが薄い領域においては、反射光の受光量が、マークが記入されていない領域よりも少なく、かつマークが正しく記入されている領域よりも多いためレベルが“2”となっている。一般に、このような読み取り処理においては、一定の閾値を設け、その閾値よりもレベルが大きな場合はその領域にマークが記入されていると判断され、その閾値以下の場合はその領域にマークが記入されていないと判断される。そのため、その閾値がレベル“3”に設定されている場合、レベルが“2”である領域についてはマークが記入されていないと判断されてしまう。これは、鉛筆等がマーク上で擦れてしまった場合にその跡をマークの記入として認識しないためである。
【0043】
スキャナ30における読み取り結果、すなわち、図5に示したようなテーブル上の情報は、記入状態判断部40に通知される。
【0044】
記入状態判断部40においては、スキャナ30から通知された情報に基づいて、受験番号マーク欄4及び解答マーク欄5のうちどの領域にマークが記入されているか、並びに受験番号マーク欄4及び解答マーク欄5へのマークの記入状態が正常であるかどうかが判断される(ステップS4)。例えば、図5に示したテーブルにおいては、第1の閾値としてレベル“4”に相当する受光量が設定され、受光量がレベル“4”に相当する受光量未満である場合、すなわち、レベルが“5”以上である場合に、受験番号マーク欄4及び解答マーク欄5にマークが記入され、その記入状態が正常であると判断される。また、第2の閾値としてレベル“1”に相当する受光量が設定され、受光量がレベル“4”に相当する受光量以上でかつレベル“1”に相当する受光量以下である場合、すなわち、レベルが1以上4以下である場合に、受験番号マーク欄4及び解答マーク欄5にマークが記入されているものの、その記入状態が正常ではないと判断される。また、受光量がレベル“1”に相当する受光量未満である場合、すなわち、レベルが“0”である場合に、受験番号マーク欄4及び解答マーク欄5にマークが記入されていないと判断される。
【0045】
記入状態判断部40における判断結果は、スキャナ30にて氏名記入欄3から読み取られた氏名情報やシート番号2b及び受験番号6とともに情報認識部50に通知される。
【0046】
情報認識部50においては、記入状態判断部40から通知された判断結果に基づいて、受験番号マーク記入欄4にマークとして記入された受験番号と、解答マーク欄5にマークとして記入された解答とが認識される(ステップS5)。また、スキャナ30にて氏名記入欄3から読み取られた氏名情報や、スキャナ30にて読み取られたシート番号2b及び受験番号6が認識される。
【0047】
図6は、図2に示した情報認識部50にて認識された解答シート1のスキャンイメージデータを示す図である。
【0048】
図2に示した情報認識部50においては、図6に示すように、解答シート1に印刷されたシート番号2b及び受験番号6と、解答シート1の氏名記入欄3に記入された氏名情報3aと、受験番号マーク記入欄4に記入された受験番号マーク情報4aと、解答マーク欄5に記入された解答マーク情報5aとが認識され、図4に示した解答シート1のスキャンイメージデータとして取得される。
【0049】
すると、情報認識部50においては、スキャナ30にて読み取られた受験番号6と受験番号マーク欄4に記入された受験番号マーク情報4aとが照合され、受験番号マーク欄4に記入された受験番号マーク情報4aが、スキャナ30にて読み取られた受験番号6であるかどうかが判断される(ステップS6)。
【0050】
また、正解データ60が参照され、解答マーク情報5aが正解データ60と照合されることにより、解答マーク欄5に記入された解答マーク情報5aの正解/不正解が判断される(ステップS7)。また、記入状態判断部40にてマークの記入状態が正常ではないと判断された領域について、その内容が判断される。図4に示した解答シート1においては、問題3の解答のマークが薄いため、受光量によるレベルが“2”となっており、マークの記入状態が正常ではないと判断されている。この問題3においては、他の解答マーク欄5にはマークが記入されていないため、記入されたマークが薄いものと判断される。また、問題5の解答マーク欄5においては、受光量によるレベルが“5”のものと“2”のものとが隣接して存在する。これは、レベル“5”の解答マーク欄5にマークを記入したもののそのマークがレベル“2”の解答マーク欄5まではみだしていると判断される。
【0051】
情報認識部50における判断結果は、記入状態判断部40に通知される。そして、記入状態判断部40において、この正解/不正解の判断結果とマークの記入状態が正常ではないと判断された内容とが、解答シート1に記載された問題毎にステータスとして表されたステータス情報が生成され、情報認識部50にて認識された解答シート1のスキャンイメージデータと情報認識部50における受験番号の照合結果とともに通知部70に出力される(ステップS8)。なお、ステップS6における受験番号の照合結果は、スキャナ30にて読み取られた受験番号6と受験番号マーク欄4に記入された受験番号マーク情報4aとの相違点が示されている。
【0052】
図7は、図2に示した記入状態判断部40にて生成されるステータス情報を示す図である。
【0053】
記入状態判断部40にて生成されるステータス情報は図7に示すように、解答シート1に記載された問題毎に、解答の正解/不正解を示す情報と、マークの記入状態が正常ではない場合にはその内容を特定可能なコードとが設定される。図4に示した解答シート1においては、情報認識部50において、問題1,2,6の解答が正解と判断されており、問題4の回答が不正解と判断されており、さらに、問題3の解答のマークが上述したように薄いと判断されており、問題5の解答のマークが上述したようにはみだしていると判断されている。そのため、問題1,2,6については正解を示す情報がステータスとして設定され、問題4については不正解を示す情報がステータスとして設定され、さらに、問題3については、マークが薄い旨が特定可能なコードとなるエラー1がステータスとして設定され、問題5については、マークがはみだしている旨が特定可能なコードとなるエラー2がステータスとして設定される。
【0054】
記入状態判断部40にて生成されたステータス情報が通知部70に出力されると、通知部70において、まず、記入状態判断部40から出力されたステータス情報にて示されるコードによって特定される記入状態に応じたコメントが生成される。
【0055】
図8は、図2に示した記入状態判断部40にて生成されるステータス情報にて示されるコードに対応するコメントが割り当てられたテーブルを示す図である。
【0056】
通知部70においては、図8に示すような記入状態判断部40にて生成されるステータス情報にて示されるコードに対応するコメントが割り当てられたテーブルを保持しており、記入状態判断部40にて生成されたステータス情報が出力されると、このテーブルが参照され、ステータス情報にて示されるコードによって特定される記入状態に応じたコメントが生成されることになる。すなわち、問題3については、マークが薄い旨を示すコメントが生成され、問題5については、マークがはみだしている旨を示すコメントが生成される。
【0057】
次に、通知部70においては、解答シート編集部10にて編集された解答シート1のレイアウトイメージデータと、図6に示したような情報認識部50にて認識された解答シート1のスキャンイメージデータと、情報認識部50における受験番号の照合結果と、通知部70にて生成されたコメントと、記入状態判断部40から通知されたステータス情報にて正解/不正解が示されている情報とが重ね合わされる(ステップS9)。なお、通知部70においては、解答シート編集部10にて編集された解答シート1のレイアウトイメージデータが解答シート編集部10から予め取得されているため、記入状態判断部40から、情報認識部50にて認識された解答シート1のスキャンイメージデータと、情報認識部50における受験番号の照合結果と、記入状態判断部40にて生成されたステータス情報とが通知されると、これらの情報を重ね合わせることができる。
【0058】
図9は、図2に示した通知部70にて重ね合わされたイメージデータを示す図である。
【0059】
図9に示すように、通知部70にて重ね合わされてなるイメージデータにおいては、解答シート1のレイアウトイメージデータ上に、情報認識部50にて認識された氏名情報と、受験番号マーク欄4にマークによって記入された受験番号と、解答マーク欄5にマークによって記入された解答と、情報認識部50にて判断された解答マーク欄5にマークによって記入された解答の正解/不正解を示す正解/不正解情報8と、受験番号6と受験番号マーク欄4に記入された受験番号マーク情報4aとの相違点を示すコメント7aと、問題3について解答のマークが薄い旨を示すコメント7bと、問題5について解答のマークがはみだしている旨を示すコメント7cとが重ね合わされている。
【0060】
このように重ね合わされたイメージデータは、通知部70からプリンタに与えられて印字出力されたり、通知部70から通信回線を介して送信されたりすることによって、受講者に通知されることになる(ステップS10)。
【0061】
これにより、受講者は、解答マーク欄5にマークを記入した解答の正解/不正解を知ることができるとともに、そのマークの記入状態が正常でない場合にその旨を知ることができる。また、受験番号マーク欄4にマークとして記入された受験番号がその受講者の受験番号と異なる場合も、その旨を受講者が知ることができる。なおこの際、コメント7a〜7cについては、他の情報とは異なる色(例えば、赤色)によって表示することにより、受講者は、解答シート1への記入状態が正常ではない領域及びその内容、並びに受験番号のマークミスを容易に認識することができるようになる。
【0062】
なお、本形態においては、受講者に発送される解答シート1に、受験番号マーク欄4に受講者がマークを記入した受験番号と照合するために、マーク情報によって表現された受験番号6が印刷されているが、受験番号はマーク情報によって表現されたものに限らす、バーコードによって表現されたものや、数字がそのまま表示されたものであってもよい。その場合、これらバーコードや数字を読み取る識別情報読取手段を設けることになる。
【0063】
また、本形態においては、記入不具合通知システムとして、受講者に解答シート1を配布し、この解答シート1にマークを記入させる通信添削システムを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、アンケート対象者に、アンケート対象者の性別や年齢、住所等によって異なる質問に対する回答を記入するための回答シートを配布し、この回答シートに記入された情報を収集するもの等、1枚の情報記入シートに情報を記入するものであれば、適用することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 解答シート
2a,2b シート番号
3 氏名記入欄
3a 氏名情報
4 受験番号マーク欄
4a 受験番号マーク情報
5 解答マーク欄
5a 解答マーク情報
6 受験番号
7a〜7c コメント
8 正解/不正解情報
10 解答シート編集部
20 プリンタ
30 スキャナ
40 記入状態判断部
50 情報認識部
60 正解データ
70 通知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を記入するための複数の情報記入枠が印刷され、光が照射されてその反射光の受光量に基づいて前記情報記入枠に記入された情報が認識される情報記入シートへの記入における不具合を検出し、該不具合を通知する記入不具合通知システムであって、
前記情報記入シートに光を照射してその反射光の受光量を前記情報記入枠毎に取得する受光量検出手段と、
前記受光量検出手段にて取得された受光量に基づいて、前記情報記入枠に情報が記入されているかどうか、及び当該情報記入枠への情報の記入状態が正常であるかどうかを判断する記入状態判断手段と、
前記記入状態判断手段において情報の記入状態が正常ではないと判断された情報記入枠が存在する場合に、その旨を通知する通知手段とを有する記入不具合通知システム。
【請求項2】
請求項1に記載の記入不具合通知システムにおいて、
前記記入状態判断手段は、前記受光量検出手段にて取得された受光量が第1の閾値未満である場合に当該情報記入枠に情報が正常に記入されていると判断し、前記受光量検出手段にて取得された受光量が第1の閾値以上でかつ、該第1の閾値よりも大きな第2の閾値以下である場合に当該情報記入枠に情報が記入されているもののその記入状態が正常ではないと判断する記入不具合通知システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の記入不具合通知システムにおいて、
前記複数の情報記入枠のうち所定の情報記入枠に記入されるべき情報を識別可能な識別情報を前記情報記入シートに印刷する印刷手段と、
前記識別情報を読み取る識別情報読取手段と、
前記記入状態判断手段にて前記所定の情報記入枠に記入されていると判断された情報が、前記識別情報読取手段にて読み取られた識別情報によって識別される情報であるかどうかを判断する情報認識手段とを有し、
前記通知手段は、前記情報認識手段における判断結果も通知する記入不具合通知システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の不具合通知システムにおいて、
前記通知手段は、前記情報記入シートのレイアウトイメージデータを取得し、前記記入状態判断手段における判断結果を、前記レイアウトイメージデータ上にて前記情報記入枠毎に重ね合わせて通知する記入不具合通知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−277435(P2010−277435A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130941(P2009−130941)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】