説明

記憶媒体から読み取られた信号を処理するための読み取りチャネルおよび方法(少なくとも1つのサーボ・チャネルを使用してタイミング回復およびタイミング情報をデータ・チャネルに提供すること)

【課題】 記憶媒体から読み取られた信号を処理するための読み取りチャネル、記憶ドライブ、および方法を提供することにある。
【解決手段】 少なくとも1つのデータ・チャネルは補間回路と等化器とを含み、サーボ・チャネルは補間回路を含む。タイミング回復機能は、サーボ・チャネル信号を補間するために補間回路によって使用される補間タイミング情報を計算するためにサーボ・チャネル内の補間回路からのタイミング・エラーを処理する。パスは、少なくとも1つのデータ・チャネル内の補間回路に補間タイミング情報を伝達するためにタイミング回復機能および少なくとも1つのデータ・チャネル内の補間回路に結合される。少なくとも1つのデータ・チャネル内の補間回路は、非同期データ・チャネル信号を補間するために補間タイミング情報を使用するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのサーボ・チャネルを使用してタイミング回復およびタイミング情報をデータ・チャネルに提供するためのシステムおよび装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気テープ・カートリッジは、保存すべきデータを保管し、後でリードバックするための磁気テープを含む。磁気テープ・ドライブは、典型的には1組の並列(パラレル)トラックとして、磁気テープにデータを書き込み、その後、磁気テープ・ドライブは、そのデータをリードバックする。データをリードバックするために、磁気テープ・ドライブは、典型的には、並列トラックのそれぞれを読み取るための並列読み取りヘッドと、読み取りヘッドが磁気テープ上の磁気信号を検出できるように読み取りヘッドに対して磁気テープを移動するためのドライブ・システムと、読み取りヘッドによって感知された磁気信号をデジタル方式でサンプリングし、読み取りヘッドによって感知された磁気信号のデジタル・サンプルを提供するための読み取りチャネルとを含む。次に、デジタル・サンプルはデータ・ビットにデコードされ、並列トラックからのデータ・ビットが結合されて、記憶媒体に本来書き込まれているデータを複製する。読み取りチャネルは、典型的には、数ある信号処理機能の中で、読み取りヘッドのそれぞれが、書き込みヘッド、磁気テープ、読み取りヘッドの磁気記録プロパティによる信号特性の変化を補償するために等化器を必要とする。1つのテープ・ドライブ上で書き込まれた磁気テープを他のテープ・ドライブで読み取れるように、複数のテープ・ドライブ間で磁気テープ・カートリッジを交換することができる。
【0003】
近年、テープ記憶システムの容量およびパフォーマンスはかなり増大しており、さらに成長する潜在能力はかなりあると思われる。カートリッジ容量の増加およびパフォーマンスの改善を達成するためには、いくつかの技術分野での進歩が必要である。面密度の増加、すなわち、線密度またはトラック密度あるいはその両方の増加は、記憶容量の増加を達成するための鍵である。面密度の増加の結果、隣接ビット・セル間の距離が減少し、その結果、符号間干渉(ISI:intersymbol-interference)が増加する。トラック密度の増加は、トラック幅の狭小化、書き込み/読み取りヘッドの縮小、ヘッド間隔の近接化を必要とし、その結果、信号対雑音比(SNR:signal-to-noise ratio)の損失が発生する。また、トラック間干渉の問題も重要性が増している。面密度の増加により、信頼できるデータ取り出しを達成するために、テープ操作中のすべての並列データ・チャネル上での正確なタイミング回復が重要なものになっている。
【0004】
現行のテープ・システムでは、長さ方向(縦)位置(LPOS:longitudinal position)情報ならびに幅方向(横)位置エラー信号(PES:position-error signal)を導出するために2つの専用サーボ・チャネルを設けることができる。リニア・テープ・システムに関するタイミングベースのトラックフォローイング・サーボは、リニア・テープ・オープン(LTO:linear tape open)コンソーシアムにより、いわゆるLTOテープ・ドライブ・システムの規格として採用されている。
【0005】
アナログ・データ・チャネル信号がデジタル領域に同期的に変換される読み取りチャネル・アーキテクチャでは、アナログ・デジタル変換器(ADC:analog-to-digital converter)は可変周波数発振器(VFO:variablefrequency oscillator)によって駆動され、その可変周波数発振器は、1/Tの速度で動作する書き込みクロックの境界に対して同期的にリードバック信号がサンプリングされるように、デジタル・タイミング回復ユニットによって制御することができ、Tは連続タイミング・サンプル間の名目間隔である。典型的には、書き込みクロックの速度は、所定の記録密度が達成されるように選択される。同期信号サンプルは、まず等化(イコライズ)され、次に検出回路に提供される。タイミング情報は、検出回路によって提供される等化サンプル値および判断(decision)から抽出することができる。M個の並列データ・トラックを含むテープ・システムに関連するこのアーキテクチャは、M個のアナログVFOと、それぞれに関連するフィードバック制御ループとを必要とする。
【0006】
アナログ・データ・チャネル信号がデジタル領域に非同期的に変換される読み取りチャネル・アーキテクチャでは、ADCは1/Tという速度を有する固定クロックによって駆動され、リードバック信号のサンプリングは書き込みクロック境界に対して非同期的に実行される。信号サンプルの同期は、補間タイミング回復(ITR:interpolative timing recovery)を使用してデジタル方式で達成される。アナログ・フィードバック・ループおよび関連VFOはまったく不要であり、そのため、この手法がマルチトラック・テープ・システムにとって魅力的なものになっている。
【0007】
後者のアーキテクチャでは、信号等化後または信号等化前に補間タイミング回復(ITR)機能を行うことができ、それぞれ、非同期等化方式または同期等化方式になる可能性がある。等化器(イコライザ)はタイミング・ループの外部に配置されるので、非同期等化方式は比較的短いタイミング・ループ遅延を発生することになる。同期等化方式では、等化器はタイミング・ループ内にあり、したがって、追加のタイミング・ループ遅延をもたらす。しかし、この方式では等化器は、同期が達成された信号サンプルについて機能するので、適応等化は非同期等化より達成しやすいものである可能性がある。同期等化方式の一例として、光学記憶システム内の2つの補間回路(interpolator)は、シーケンス検出前に2つの2T−間隔の同期等化器により等化された、同期偶数時間(even-time)サンプルおよび同期奇数時間(odd-time)サンプルの2つのシーケンスを生成することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現行システムでは、タイミング回復は、補間回路出力信号を使用して各データ・チャネルについてタイミング回復動作を個別に実行する、各データ・チャネル内のタイミング回復ループによって実行される。タイミング回復アルゴリズムは、典型的には、等化信号サンプルを使用して、信号サンプリングが行われる必要がある時間インスタント(time instant)を決定する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様では、記憶媒体から読み取られた信号を処理するために記憶装置内に組み込まれた読み取りチャネルにおいて、補間回路および等化器を含む少なくとも1つのデータ・チャネルと、補間回路を含むサーボ・チャネルと、サーボ・チャネル信号を補間するために補間回路によって使用される補間タイミング情報を計算するためにサーボ・チャネル内の補間回路からのタイミング・エラーを処理するためのタイミング回復機能と、少なくとも1つのデータ・チャネル内の補間回路に補間タイミング情報を伝達するためにタイミング回復機能および少なくとも1つのデータ・チャネル内の補間回路に結合されたパスであって、少なくとも1つのデータ・チャネル内の補間回路が非同期データ・チャネル信号を補間するために補間タイミング情報を使用するように構成されるパスとを有する、読み取りチャネルが提供される。
【0010】
好ましくは、各データ・チャネルおよびサーボ・チャネルは、アナログ・デジタル変換器(ADC:analog-to-digital converter)を含み、各データ・チャネルおよびサーボ・チャネル内の各ADCにクロック信号を提供するための発振器をさらに有する。
【0011】
好ましくは、タイミング回復機能はサーボ・チャネル内に実装され、非同期データ・チャネル信号は同期信号に補間される。
【0012】
好ましくは、タイミング回復機能は、補間回路によって生成された2つのサンプル間の補間間隔(interpolation interval)を調整するためのタイミング訂正を計算するためにタイミング・エラーを使用して、補間タイミング情報を計算するようにさらに構成され、サーボ・チャネル信号を補間するために補間回路によって使用される係数を決定するために新しい補間インスタント(interpolation instant)が使用される。
【0013】
好ましくは、タイミング回復機能は、タイミング・エラーからタイミング訂正を生成するために2次ループのループ・フィルタを実装する。
【0014】
好ましくは、各データ・チャネルへのパス上で伝達された補間タイミング情報はタイミング訂正を含み、各データ・チャネルは、補間回路によって使用される係数をタイミング訂正から計算するように構成される。
【0015】
好ましくは、サーボ・チャネルは第1のサーボ・チャネルを有し、サーボ・チャネル内の補間回路は第1の補間回路を有し、タイミング回復機能は第1のサーボ・チャネルに含まれる第1のタイミング回復機能を有し、パスは第1のパスを有し、第2の補間回路と、第2のサーボ・チャネルへのサーボ・チャネル信号入力を補間するために補間回路によって使用される補間タイミング情報を計算するために第2の補間回路からのタイミング・エラーを処理するための第2のタイミング回復機能と、少なくとも1つのデータ・チャネル内の補間回路に補間タイミング情報を伝達するために第2のタイミング回復機能および少なくとも1つのデータ・チャネル内の補間回路に結合された第2のパスであって、少なくとも1つのデータ・チャネル内の補間回路が非同期データ・チャネル信号を補間するために補間タイミング情報を使用するように構成される第2のパスとを含む、第2のサーボ・チャネルと、少なくとも1つのデータ・チャネルに補間時間インスタントを供給するために第1または第2のサーボ・チャネルのうちの1つを選択するためのモニター機能とをさらに有する。
【0016】
好ましくは、サーボ・チャネルは第1のサーボ・チャネルを有し、サーボ・チャネル内の補間回路は第1の補間回路を有し、パスは第1のパスを有し、第2の補間回路を含む第2のサーボ・チャネルであって、タイミング回復機能が補間タイミング情報を計算するために第1および第2のサーボ・チャネル内の第1および第2の補間回路からのタイミング・エラーを処理するように構成される、第2のサーボ・チャネルをさらに有する。
【0017】
好ましくは、タイミング回復機能は、第1および第2の補間回路からのタイミング・エラーを結合し、サーボ・チャネル内の補間回路によって生成された2つのサンプル間の補間間隔を調整するためのタイミング訂正を計算するために結合されたタイミング・エラーを使用するように構成され、少なくとも1つのデータ・チャネル内の補間回路によって使用される係数を決定するために新しい補間インスタントが使用される。
【0018】
好ましくは、タイミング・エラーは、もう一方の補間回路からのタイミング・エラーより良好な信号対雑音比を有する補間信号を提供する第1または第2の補間回路からのタイミング・エラーに対してより大きい重み(weighting)を割り当てることによって結合される。
【0019】
好ましくは、少なくとも1つのデータ・チャネルは第1および第2のデータ・チャネルを有し、第1のデータ・チャネルは、第1の補間回路と、第1の補間回路からの信号を等化する第1の適応等化器とを含み、第2のデータ・チャネルは、第2の補間回路と、第2の補間回路からの信号を等化する第2の適応等化器とを含み、補間の品質を改善するために第1および第2の補間回路にフィードバックを提供するために第1および第2の適応等化器からの等化出力信号を処理するための信号処理コンポーネントをさらに有する。
【0020】
好ましくは、信号処理コンポーネントは、等化の品質を改善し、クロストラック干渉(cross-track interference)を相殺するために第1および第2の適応等化器にフィードバックを提供するように構成される。
【0021】
好ましくは、信号処理コンポーネントは、複数入力複数出力(MIMO:multiple-inputand multiple output)システムを有する。
【0022】
好ましくは、それぞれが1つの等化器と補間回路とを含む、複数のデータ・チャネルが存在し、タイミング回復機能は、データ・チャネル内の補間回路に補間タイミング情報を提供する。
【0023】
第2の態様では、記憶ドライブ(storage drive)に結合された記憶媒体に対して入出力(I/O)動作を実行するための記憶ドライブにおいて、記憶媒体からデータを読み取るためのヘッドと、ヘッドが記憶媒体から読み取る信号を処理するためにヘッドとのデータ通信状態にある読み取りチャネルであって、補間回路および等化器を含む少なくとも1つのデータ・チャネルと、補間回路を含むサーボ・チャネルと、サーボ・チャネル信号を補間するために補間回路によって使用される補間タイミング情報を計算するためにサーボ・チャネル内の補間回路からのタイミング・エラーを処理するためのタイミング回復機能と、少なくとも1つのデータ・チャネル内の補間回路に補間タイミング情報を伝達するためにタイミング回復機能および少なくとも1つのデータ・チャネル内の補間回路に結合されたパスであって、少なくとも1つのデータ・チャネル内の補間回路が非同期データ・チャネル信号を補間するために補間タイミング情報を使用するように構成されるパスとを有する読み取りチャネルとを有する、記憶ドライブが提供される。
【0024】
好ましくは、各データ・チャネルおよびサーボ・チャネルは、アナログ・デジタル変換器(ADC)を含み、各データ・チャネルおよびサーボ・チャネル内の各ADCにクロック信号を提供するための発振器をさらに有する。
【0025】
好ましくは、タイミング回復機能はサーボ・チャネル内に実装され、非同期データ・チャネル信号は同期信号に補間される。
【0026】
好ましくは、タイミング回復機能は、補間回路によって生成された2つのサンプル間の補間間隔を調整するためのタイミング訂正を計算するためにタイミング・エラーを使用して、補間タイミング情報を計算するようにさらに構成され、サーボ・チャネル信号を補間するために補間回路によって使用される係数を決定するために新しい補間インスタントが使用される。
【0027】
好ましくは、各データ・チャネルへのパス上で伝達された補間タイミング情報はタイミング訂正を含み、各データ・チャネルは、補間回路によって使用される係数をタイミング訂正から計算するように構成される。
【0028】
好ましくは、サーボ・チャネルは第1のサーボ・チャネルを有し、サーボ・チャネル内の補間回路は第1の補間回路を有し、タイミング回復機能は第1のサーボ・チャネルに含まれる第1のタイミング回復機能を有し、パスは第1のパスを有し、読み取りチャネルは、第2の補間回路と、第2のサーボ・チャネルへのサーボ・チャネル信号入力を補間するために補間回路によって使用される補間タイミング情報を計算するために第2の補間回路からのタイミング・エラーを処理するための第2のタイミング回復機能と、少なくとも1つのデータ・チャネル内の補間回路に補間タイミング情報を伝達するために第2のタイミング回復機能および少なくとも1つのデータ・チャネル内の補間回路に結合された第2のパスであって、少なくとも1つのデータ・チャネル内の補間回路が非同期データ・チャネル信号を補間するために補間タイミング情報を使用するように構成される第2のパスとを含む、第2のサーボ・チャネルと、少なくとも1つのデータ・チャネルに補間時間インスタントを供給するために第1または第2のサーボ・チャネルのうちの1つを選択するためのモニター機能とをさらに有する。
【0029】
好ましくは、サーボ・チャネルは第1のサーボ・チャネルを有し、サーボ・チャネル内の補間回路は第1の補間回路を有し、パスは第1のパスを有し、読み取りチャネルは、第2の補間回路を含む第2のサーボ・チャネルであって、タイミング回復機能が補間タイミング情報を計算するために第1および第2のサーボ・チャネル内の第1および第2の補間回路からのタイミング・エラーを処理するように構成される、第2のサーボ・チャネルをさらに有する。
【0030】
好ましくは、タイミング回復機能は、第1および第2の補間回路からのタイミング・エラーを結合し、サーボ・チャネル内の補間回路によって生成された2つのサンプル間の補間間隔を調整するためのタイミング訂正を計算するために結合されたタイミング・エラーを使用するように構成され、少なくとも1つのデータ・チャネル内の補間回路によって使用される係数を決定するために新しい補間インスタントが使用される。
【0031】
好ましくは、少なくとも1つのデータ・チャネルは第1および第2のデータ・チャネルを有し、第1のデータ・チャネルは、第1の補間回路と、第1の補間回路からの信号を等化する第1の適応等化器とを含み、第2のデータ・チャネルは、第2の補間回路と、第2の補間回路からの信号を等化する第2の適応等化器とを含み、読み取りチャネルは、補間の品質を改善するために第1および第2の補間回路にフィードバックを提供するために第1および第2の適応等化器からの等化出力信号を処理するための信号処理コンポーネントを有する。
【0032】
好ましくは、信号処理コンポーネントは、複数入力複数出力(MIMO)システムを有する。
【0033】
好ましくは、読み取りチャネルは、それぞれが1つの等化器と補間回路とを含む、複数のデータ・チャネルを含み、タイミング回復機能は、データ・チャネル内の補間回路に補間タイミング情報を提供する。
【0034】
第3の態様では、記憶媒体から読み取られた信号を処理するための方法において、サーボ・チャネル内の補間回路からのタイミング・エラーを処理して、サーボ・チャネル信号を補間するために補間回路によって使用される補間タイミング情報を計算するステップと、少なくとも1つのデータ・チャネル内の補間回路に補間タイミング情報を伝達するステップと、補間タイミング情報を使用して、非同期データ・チャネル信号を補間するステップとを含む方法が提供される。
【0035】
この方法は、各データ・チャネルおよびサーボ・チャネルにクロック信号を提供するステップをさらに含むことができる。
【0036】
好ましくは、非同期データ・チャネル信号は同期信号に補間される。
【0037】
好ましくは、補間タイミング情報を計算するステップは、タイミング訂正を計算するためにタイミング・エラーを使用して、補間回路によって生成された2つのサンプル間の補間間隔を調整するステップであって、サーボ・チャネル信号を補間するために補間回路によって使用される係数を決定するために新しい補間インスタントが使用される、ステップをさらに含む。
【0038】
好ましくは、各データ・チャネルに伝達された補間タイミング情報はタイミング訂正を含み、各データ・チャネルは、補間回路によって使用される係数をタイミング訂正から計算するように構成される。
【0039】
好ましくは、タイミング・エラーは第1のタイミング・エラーを含み、計算された補間タイミング情報は第1の補間タイミング情報を含み、第1の補間タイミング情報を使用する補間回路は第1の補間回路を有し、サーボ・チャネルは第1のサーボ・チャネルを有し、第1のサーボ・チャネルは第1の補間回路によって補間された第1のサーボ・チャネル信号を含み、第2の補間回路からの第2のタイミング・エラーを第2のサーボ・チャネルで処理して、第2のサーボ・チャネル信号を補間するために第2の補間回路によって使用される第2の補間タイミング情報を計算するステップと、第1または第2のサーボ・チャネルのうちの1つを選択して、少なくとも1つのデータ・チャネルに補間時間インスタントを供給するステップとをさらに含む。
【0040】
上記方法において、サーボ・チャネルは第1のサーボ・チャネルを有し、サーボ・チャネル内の補間回路は第1の補間回路を有し、さらに
第1のサーボ・チャネル内の第1の補間回路および第2のサーボ・チャネル内の第2の補間回路からのタイミング・エラーを処理して、補間タイミング情報を計算するステップ
を含む。
【0041】
この方法は、第1および第2の補間回路からのタイミング・エラーを結合するステップと、タイミング訂正を計算するために結合されたタイミング・エラーを使用して、サーボ・チャネル内の補間回路によって生成された2つのサンプル間の補間間隔を調整するステップであって、少なくとも1つのデータ・チャネル内の補間回路によって使用される係数を決定するために新しい補間インスタントが使用される、ステップをさらに含むことができる。
【0042】
この方法は、第1および第2の補間回路にフィードバックを提供するために第1および第2の適応等化器からの等化出力信号を処理して、補間の品質を改善するステップをさらに含むことができる。
【0043】
好ましくは、それぞれが1つの等化器と補間回路とを含む、複数のデータ・チャネルが存在し、データ・チャネル内の補間回路に補間タイミング情報を提供するステップをさらに含む。
【0044】
したがって、記憶媒体から読み取られた信号を処理するための読み取りチャネル、記憶ドライブ、および方法が提供される。少なくとも1つのデータ・チャネルは補間回路と等化器とを含み、サーボ・チャネルは補間回路を含む。タイミング回復機能は、サーボ・チャネル信号を補間するために補間回路によって使用される補間タイミング情報を計算するためにサーボ・チャネル内の補間回路からのタイミング・エラーを処理する。パスは、少なくとも1つのデータ・チャネル内の補間回路に補間タイミング情報を伝達するためにタイミング回復機能および少なくとも1つのデータ・チャネル内の補間回路に結合される。少なくとも1つのデータ・チャネル内の補間回路は、非同期データ・チャネル信号を補間するために補間タイミング情報を使用するように構成される。
【0045】
他の一実施形態では、各データ・チャネルおよびサーボ・チャネルは、アナログ・デジタル変換器(ADC)を含む。
【0046】
他の一実施形態では、発振器は、各データ・チャネルおよびサーボ・チャネル内の各ADCにクロック信号を提供する。
【0047】
他の一実施形態では、タイミング回復機能はサーボ・チャネル内に実装され、非同期データ・チャネル信号は同期信号に補間される。
【0048】
他の一実施形態では、タイミング回復機能は、補間回路によって生成された2つのサンプル間の補間間隔を調整するためのタイミング訂正を計算するためにタイミング・エラーを使用することにより、補間タイミング情報を計算するようにさらに構成される。新しい補間インスタントは、サーボ・チャネル信号を補間するために補間回路によって使用される係数を決定するために使用される。
【0049】
他の一実施形態では、タイミング回復機能は、タイミング・エラーからタイミング訂正を生成するために2次ループのループ・フィルタを実装する。
【0050】
他の一実施形態では、各データ・チャネルへのパス上で伝達された補間タイミング情報はタイミング訂正を含む。各データ・チャネルは、補間回路によって使用される係数をタイミング訂正から計算するように構成される。
【0051】
他の一実施形態では、サーボ・チャネルは第1のサーボ・チャネルを有し、サーボ・チャネル内の補間回路は第1の補間回路を有し、タイミング回復機能は第1のサーボ・チャネルに含まれる第1のタイミング回復機能を有し、パスは第1のパスを有する。第2のサーボ・チャネルは、第2の補間回路と、第2のサーボ・チャネルへのサーボ・チャネル信号入力を補間するために補間回路によって使用される補間タイミング情報を計算するために第2の補間回路からのタイミング・エラーを処理するための第2のタイミング回復機能と、少なくとも1つのデータ・チャネル内の補間回路に補間タイミング情報を伝達するために第2のタイミング回復機能および少なくとも1つのデータ・チャネル内の補間回路に結合された第2のパスとを含む。少なくとも1つのデータ・チャネル内の補間回路は、非同期データ・チャネル信号を補間するために補間タイミング情報を使用するように構成される。モニター機能は、少なくとも1つのデータ・チャネルに補間時間インスタントを供給するために第1または第2のサーボ・チャネルのうちの1つを選択する。
【0052】
他の一実施形態では、サーボ・チャネルは第1のサーボ・チャネルを有し、サーボ・チャネル内の補間回路は第1の補間回路を有し、パスは第1のパスを有する。第2のサーボ・チャネルは第2の補間回路を含む。タイミング回復機能は、補間タイミング情報を計算するために第1および第2のサーボ・チャネル内の第1および第2の補間回路からのタイミング・エラーを処理するように構成される。
【0053】
他の一実施形態では、タイミング回復機能は、第1および第2の補間回路からのタイミング・エラーを結合し、サーボ・チャネル内の補間回路によって生成された2つのサンプル間の補間間隔を調整するためのタイミング訂正を計算するために結合されたタイミング・エラーを使用するように構成される。新しい補間インスタントは、少なくとも1つのデータ・チャネル内の補間回路によって使用される係数を決定するために使用される。
【0054】
他の一実施形態では、タイミング・エラーは、もう一方の補間回路からのタイミング・エラーより良好な信号対雑音比を有する補間信号を提供する第1または第2の補間回路からのタイミング・エラーに対してより大きい重みを割り当てることによって結合される。
【0055】
他の一実施形態では、少なくとも1つのデータ・チャネルは第1および第2のデータ・チャネルを有する。第1のデータ・チャネルは、第1の補間回路と、第1の補間回路からの信号を等化する第1の適応等化器とを含む。第2のデータ・チャネルは、第2の補間回路と、第2の補間回路からの信号を等化する第2の適応等化器とを含む。信号処理コンポーネントは、第1および第2の適応等化器からの等化された出力信号を処理し、第1および第2の補間回路にフィードバックを提供し、補間の品質を改善する。
【0056】
他の一実施形態では、信号処理コンポーネントは、等化の品質を改善し、クロストラック干渉を相殺するために第1および第2の適応等化器にフィードバックを提供するように構成される。
【0057】
他の一実施形態では、信号処理コンポーネントは、複数入力複数出力(MIMO)システムを有する。
【0058】
他の一実施形態では、それぞれが1つの等化器と補間回路とを含む、複数のデータ・チャネルが存在している。タイミング回復機能は、データ・チャネル内の補間回路に補間タイミング情報を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
図1は、磁気テープ・ドライブ10の一実施形態を例示している。磁気テープ・ドライブは、磁気テープ・カートリッジ12の磁気テープ14に対して情報を読み書きするための手段を提供する。磁気テープ・カートリッジは、後で取り出すべきデータを記録するための磁気テープ記憶媒体を含む。さらに、磁気テープ・カートリッジは、あるテープ・ドライブで書き込まれた磁気テープを他のテープ・ドライブで読み取れるように、テープ・ドライブ間で交換可能である。磁気テープ・カートリッジ12は、1つまたは2つのリール15、16に巻き付けられた、ある長さの磁気テープ14を含む。
【0060】
単一リール磁気テープ・カートリッジ12が例示されているが、その例は、リニア・テープ・オープン(LTO)フォーマットに準拠しているものである。磁気テープ・ドライブ10の一例は、LTO技術に基づくIBM 3580 Ultrium磁気テープ・ドライブである。単一リール磁気テープ・ドライブおよび関連カートリッジの他の例は、IBM 3592 TotalStorage Enterprise磁気テープ・ドライブおよび関連磁気テープ・カートリッジである。複式リール・カートリッジの一例は、IBM 3570磁気テープ・カートリッジおよび関連ドライブである。代替諸実施形態では、使用可能な追加のテープ・フォーマットとしては、デジタル・リニア・テープ(DLT:Digital Linear Tape)、デジタル・オーディオ・テープ(DAT:DigitalAudio Tape)などを含む。
【0061】
磁気テープ・ドライブ10は、インターフェース21で受け入れたホスト・システム20から受信したコマンドにより磁気テープ・ドライブを操作するための記録システムの1つまたは複数のコントローラ18を有する。コントローラは、典型的には、マイクロプロセッサ(複数も可)を操作するための情報およびプログラム情報を保管するためのメモリ19を備えた、ロジックあるいは1つまたは複数のマイクロプロセッサもしくはその両方を有する。プログラム情報は、フレキシブル・ディスクまたは光ディスクなどのコントローラ18への入力により、磁気テープ・カートリッジからの読み取りにより、あるいは任意のその他の適切な手段により、インターフェース21を介してメモリに供給することができる。磁気テープ・ドライブ10は、スタンドアロン・ユニットを含むか、あるいはテープ・ライブラリまたはその他のサブシステムの一部を含むことができる。磁気テープ・ドライブ10は、直接、ライブラリにより、あるいはネットワークにより、ホスト・システム20に結合され、インターフェース21で小型コンピュータ・システム・インターフェース(SCSI:Small Computer Systems Interface)、光ファイバ・チャネル・インターフェースなどを使用することができる。磁気テープ・カートリッジ12は、磁気テープ・ドライブ10に挿入され、磁気テープ・ドライブによってロードされ、その結果、リール15、16を回転するモータ25によって長さ方向にテープが移動されるにつれて、記録システムの1つまたは複数の読み取りまたは書き込みあるいはその両方のヘッド23が磁気テープ14に対して信号の形で情報の読み取りまたは書き込みあるいはその両方を行うことができる。磁気テープは、典型的には、複数の並列トラックまたはトラック・グループを含む。LTOフォーマットなどの特定のテープ・フォーマットでは、当業者にとって既知の通り、個別ラップの蛇行往復パターン(serpentine back and forth pattern)にトラックが配置される。同じく当業者にとって既知の通り、記録システムは、他の組の読み取りまたは書き込みあるいはその両方のヘッドに電子的に切り替えるか、シークして読み取りまたは書き込みあるいはその両方のヘッドを磁気テープの幅方向に移動するか、もしくはその両方を行って1つまたは複数の所望のラップにヘッドを位置決めし、実施形態によっては1つまたは複数の所望のラップをトラックフォローイングするために、ラップ制御システム27を含むことができる。このラップ制御システムは、いずれもコントローラ18による命令に応答して、モータ・ドライバ28を介してモータ25の動作も制御することができる。
【0062】
また、コントローラ18は、当業者にとって既知の通り、バッファ30および読み取り/書き込みチャネル32を使用して、磁気テープから読み取り、磁気テープに書き込むべきデータについて、データ・フローおよびフォーマッタも提供する。
【0063】
テープ・ドライブ・システム10は、読み取りヘッド(複数も可)23に対して磁気テープ14を移動するためにモータ25およびリール15、16をさらに含み、それによって読み取りヘッド(複数も可)23が磁気テープ上の磁気信号を検出できる。読み取り/書き込みチャネル32の読み取りチャネルは、磁気信号のデジタル・サンプルを提供してさらに処理するために、読み取りヘッド(複数も可)によって検出された磁気信号をデジタル方式でサンプリングする。
【0064】
図2は、テープ・ドライブなどのマルチトラック記憶システム用の読み取りチャネル50の一実施形態を例示している。読み取りチャネル50は、図1の読み取り/書き込みチャネル32のうちの読み取りチャネルの一部分を含むことができる。読み取りチャネル50は、複数のデータ・チャネル52a・・・52nと、1つのサーボ・チャネル54とを含む。データ・チャネル52a・・・52nおよびサーボ・チャネル54はそれぞれ、たとえば、テープなどの記憶媒体から読み取られたリードバック・データおよびサーボ信号を処理し、その信号を補間回路60a・・・60nおよび62に提供されるデジタル信号に変換する、アナログ・デジタル変換器(ADC)56a・・・56nおよび58を含む。データ・チャネル52a・・・52n内のADC56a・・・56nの出力信号は、その信号を非同期時間領域から同期領域に変換するために補間回路60a・・・60nに提供される前にデジタル・フロントエンド機能によって処理することができる。データ・チャネル52a・・・52nは、同期領域内の信号を等化するための適応等化器64a・・・64nをさらに含む。一実施形態では、単一発振器(OSC)66は、ADC56a・・・56nおよび58を駆動するためのクロック信号を提供する。
【0065】
サーボ・チャネル54は、デジタル・サンプルによって表されるサーボ情報を決定するために補間回路62から調整済み同期信号を受信する検出器69をさらに含む。検出器69からの出力は長さ方向位置(LPOS:longitudinal position)情報をさらに含むことができ、その情報はテープ内の長さ方向位置情報を含む。サーボ・チャネル54は、補間信号サンプルを処理する回路を含むタイミング回復機能68をさらに含み、その信号サンプルは、同期サンプル・シーケンスを生成するために使用するためのデータ・チャネル内の補間回路60a・・・60nに供給される補間タイミング情報を生成するために補間回路62からのタイミング・エラーと見なすことができる。
【0066】
図3は、図2に示されているサーボ・チャネル54のさらに詳細な図を示している。補間回路62からのタイミング・エラー70は、タイミング・エラー70にループ・パラメータξとγを掛ける2つの乗算器72および74に供給される。乗算器72における乗算の結果は積分器76に供給され、積分器76の出力は、タイミング訂正インスタントΔtn 80を生成するために加算器78によって乗算器74の乗算の結果に加算される。乗算器72、74、積分器76、および加算器78は、2次のループ・フィルタを構成する。計算されたタイミング訂正インスタントΔtn 80は補間間隔計算回路82に供給される。タイミング間隔Tは、Ti,n=Ti,0+Δtnになるように回路82で計算され、ここでTi,0は名目補間間隔を示し、Ti,nは、補間回路62によって補間信号サンプルが生成される連続サンプリング・インスタンスnとn+1との間の実際の間隔である。補間時間計算回路84は、入力信号サンプルのシーケンスを非同期領域から同期領域に変換するために使用するための補間回路62に提供される、整数のADCサンプリング間隔(kn+1−kn)86および小数間隔(0≦μn+1<1)88を示す。
【0067】
タイミング回復機能68は、補間に使用される整数間隔および小数間隔を計算するために使用するためのデータ・チャネルの補間回路60a・・・60nにタイミング訂正インスタントΔtn 80を提供できるか、代わって、タイミング回復機能68は、データ・チャネルの補間回路60a・・・60nに計算された整数間隔86および小数間隔88を提供することができる。
【0068】
図4は、それぞれがADC104a、104bと、補間回路106a、106bと、タイミング回復機能108a、108bと、検出器110a、110bとを含む、2つのサーボ・チャネル102aおよび102bを含む読み取りチャネル100の他の一実施形態を例示している。サーボ・チャネル102aおよび102bは、図2および図3に関して記載したタイミング回復機能68を実装することができる。読み取りチャネル100は複数のデータ・チャネル112a・・・112nをさらに含み、各データ・チャネルは、ADC114a・・・114nと、補間回路116a・・・116nと、適応等化器118a・・・118nとをそれぞれ含む。データ・チャネルの補間回路116a・・・116nは、補間に使用するためのサーボ・チャネル102a、102bのうちの1つのタイミング回復機能108a、108bからタイミング訂正インスタントΔtnnなどのタイミング情報を受信する。単一発振器(OSC)120は、ADC104a、104b、114a・・・114nにクロック信号を供給する。
【0069】
図4の実施形態では、各サーボ・チャネルは、サーボ・チャネル102aおよび102bの信頼性を決定するモニター機能122a、122bを含む。モニター機能122a、122bは、より高い信号対ひずみ比(signal-to-distortion ratio)またはより低い妨害(disturbance)あるいはその両方を有するサーボ信号によって得られるタイミング情報など、より高い信頼性を有するタイミング情報をどのサーボ・チャネル102a、102bが生成するかを決定するために通信することができる。次に、より信頼できるタイミング情報を提供するサーボ・チャネル102aまたは102bを使用して、データ・チャネルの補間回路116a・・・116nにタイミング情報を供給することができる。モニター機能122a、122bは、タイミング情報を供給するために他のタイミング回復機能108a、108bを使用するようにシステムを切り替える必要があるかどうかを判別するために、定期的に信頼性をチェックすることができる。代替一実施形態では、モニター機能122a、122bは、サーボ・チャネル102a、102bに関するLPOSエラー率を推定することができる。データ・チャネルの補間回路116a・・・116nにタイミング情報を供給するために使用されているサーボ・チャネル102aまたは102bがもう一方のサーボ・チャネルより高いLPOSエラー率を示す場合、データ・チャネルの補間回路116a・・・116nにタイミング情報を提供するために、現在タイミング情報を供給していないサーボ・チャネル102aまたは102が選択される。このようにして、タイミング情報を提供するためにより良い品質のタイミング情報を生成するサーボ・チャネル102aまたは102bが選択されるように、モニター機能122a、122bを同時に使用して、データ・チャネルの補間回路116a・・・116nにタイミング情報を供給するためにサーボ・チャネル102aおよび102bのうちの1つを選択する。
【0070】
図5は、各サーボ・チャネルがADC154a、154bと、補間回路156a、156bと、検出器158a、158bとをそれぞれ含む、2つのサーボ・チャネル152aおよび152bを含む読み取りチャネル150の追加の一実施形態を例示している。読み取りチャネル150は複数のデータ・チャネル160a・・・160nをさらに含み、各データ・チャネルは、ADC162a・・・162nと、補間回路164a・・・164nと、適応等化器166a・・・166nとをそれぞれ含む。単一発振器(OSC)168は、ADC154a、154b、162a・・・162nにクロック信号を供給する。図5の実施形態では、タイミング回復機能170はサーボ・チャネル152a、152bの外部に位置する。タイミング回復機能170は、両方のサーボ・チャネル152a、152bからのタイミング・エラーを結合し、上記の方法でタイミング訂正インスタントΔtnを計算する。タイミング回復機能170は、データ・チャネルの補間回路164a・・・164nおよびサーボ・チャネルの補間回路156a、156bにタイミング訂正を供給する。
【0071】
図6は、図5に示されているデータ/サーボ読み取りチャネル150のさらに詳細な図を示している。サーボ・チャネルの補間回路156a、156bからのタイミング・エラー170a、170bは、結合タイミング・エラー174を生成するために異なるサーボ・チャネルからのタイミング・エラー170a、170bに重み値を与える結合ユニット172に供給される。結合ユニット172は、より良好な信号対雑音比あるいは最小量のエラーまたは劣化を有する補間信号を提供する2つの補間回路156a、156bのうちの1つからのタイミング・エラーに対してより大きい重みを割り当てることができる。次に、結合タイミング・エラー174は、タイミング・エラー174にξとγをそれぞれ掛ける2つの乗算器176および178に提供される。乗算器176における乗算の結果は積分器180に供給され、積分器180の出力は、タイミング訂正インスタントΔtn n184を生成するために加算器182によって乗算器178の乗算の結果に加算される。乗算器176、178、積分器180、および加算器182は、2次のループ・フィルタを構成する。計算されたタイミング訂正インスタントΔtn 184は補間間隔計算回路186に供給される。タイミング間隔Tは、Ti,n=Ti,0+Δtnになるように回路186で計算され、ここでTi,0は名目補間間隔を示し、Ti,nは、補間回路156a、156bによって補間信号サンプルが生成される連続サンプリング・インスタンスnとn+1との間の実際の間隔である。補間時間計算回路188は、入力信号サンプルのシーケンスを非同期領域から同期領域に変換するために使用するための補間回路156a、156bに提供される、整数のADCサンプリング間隔(kn+1−kn)190および小数間隔(0≦μn+1<1)192を示す。
【0072】
結合ユニット172、2次のループ・フィルタ(すなわち、コンポーネント176、178、180、および182)、回路186、および補間回路時間計算ユニット188を実装可能なタイミング回復機能170は、補間に使用される整数間隔および小数間隔を計算するために使用するためのデータ・チャネルの補間回路164a・・・164nにタイミング訂正インスタントΔtn 184を提供できるか、代わって、タイミング回復機能170は、データ・チャネルの補間回路164a・・・164nに計算された整数間隔190および小数間隔192を提供することができる。
【0073】
図7は、複数入力複数出力(MIMO)デジタル信号プロセッサおよび検出器を含むように図6の読み取りチャネルが変更されている、読み取りチャネル200の追加の一実施形態を例示している。読み取りチャネル200のコンポーネント202a、202b、204a、204b、206a、206b、208a、208b、210a・・・210n、212a・・・212n、214a・・・214n、216a・・・216n、218、および220は、図5に関して記載した読み取りチャネル150のコンポーネント152a、152b、154a、154b、156a、156b、158a、158b、160a・・・160n、162a・・・162n、164a・・・164n、166a・・・166n、168、および170とそれぞれ同じである。さらに、タイミング回復機能220は、図6に関して記載したタイミング回復コンポーネントを実装することができる。読み取りチャネル200は、特にトラック間干渉がある状態でシステム・パフォーマンスを改善するためにMIMOシステム222をさらに含み、MIMOシステム222は適応等化器216a・・・216nからの出力を受信し、補間回路214a・・・214nおよび適応等化器216a・・・216nに提供するフィードバックを生成するためにすべての等化器出力信号を同時に処理する。MIMOフィードバックは、チャネル間の適応性を改善し、補間の品質を改善するために、干渉信号の相互等化および相殺のために提供される。データ・チャネルの補間回路214a・・・214nへのMIMOフィードバックは、タイミング訂正インスタントΔtnを使用する信号生成の品質を改善する。
【0074】
図8は、タイミング情報を入手して使用するために上記の読み取りチャネル内のコンポーネントによって実行される動作を例示している。(ブロック300で)記憶媒体から読み取られた信号を処理するための動作を開始すると、(ブロック302で)各データ・チャネルおよびサーボ・チャネルにクロック信号が提供される。(ブロック304で)サーボ・チャネル信号を補間するために補間回路によって使用される補間タイミング情報を計算するためにサーボ・チャネル内の補間回路からのタイミング・エラーが処理される。(ブロック306で)タイミング・エラーを使用して、補間回路によって生成された2つのサンプル間の補間間隔を調整するためのタイミング訂正を計算することができる。新しい補間インスタントは、サーボ・チャネル信号を補間するために補間回路によって使用される係数を決定するために使用される。(ブロック308で)少なくとも1つのデータ・チャネル内の補間回路に補間タイミング情報が伝達される。(ブロック310で)非同期データ・チャネル信号を補間するために補間タイミング情報が使用され、非同期データ・チャネル信号が同期信号に補間される。
【0075】
上記の諸実施形態は、複数のデータ・チャネルに供給された1つまたは複数のサーボ・チャネル信号からタイミング情報を入手するための技法を提供する。データ・チャネル信号は、1つまたは複数のサーボ・チャネルからのタイミング情報を使用して同期サンプル・シーケンスを生成するためにデジタル方式で補間される。上記の諸実施形態は、適応等化とタイミング回復をさらに分離することができる。
【0076】
図1〜図7に記載した読み取りチャネル32、50、100、150、および200の上記のコンポーネントは、個別ロジック、ASIC(特定用途向け集積回路)、FPGA(書き換え可能ゲート・アレイ)、カスタム・プロセッサなどを含むことができる。
【0077】
代わって、図2〜図7に関して記載した読み取りチャネル諸実施形態の上記のコンポーネントおよび読み取りチャネル・コンポーネントの動作は、プロセッサによって実行されるプログラムまたはその他のソフトウェア・インプリメンテーション内のサブルーチンとして実装することができる。図2〜図7に関して記載した読み取りチャネル・コンポーネントの動作を実装するこのようなプログラムは、磁気記憶媒体(たとえば、ハード・ディスク・ドライブ、フレキシブル・ディスク、テープなど)、光学記憶装置(CD−ROM、DVD、光ディスクなど)、揮発性および不揮発性メモリ・デバイス(たとえば、EEPROM、ROM、PROM、RAM、DRAM、SRAM、フラッシュ・メモリ、ファームウェア、プログラマブル・ロジックなど)などのコンピュータ可読媒体に実装することができる。上記の動作を実装するコードは、ハードウェア・ロジック(たとえば、集積回路チップ、プログラマブル・ゲート・アレイ(PGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)など)にさらに実装することができる。
【0078】
個別コンポーネントとして図1〜図7に示されている複数のコンポーネントが単一回路デバイスに実装される場合もあれば、例示された1つのコンポーネントの諸機能が複数の別々の回路デバイスに実装される場合もある。その上、タイミング回復など、特定のコンポーネントに関して記載した動作は、特定のタイミング回復回路の外部の読み取りチャネル内の他のコンポーネントによって実行することができる。
【0079】
当業者であれば、本明細書に例示されたコンポーネントについて変更が可能であることを理解するであろう。さらに、当業者であれば、本明細書に例示されたものとは異なる特定のコンポーネント配置を使用できることを理解するであろう。
【0080】
本発明の様々な実施形態の上記の説明は、例示および解説のために提示されたものである。網羅するためまたは開示された正確な形式に本発明を限定するためのものではない。上記の教示を考慮して、多くの変更および変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】テープ・ドライブの一実施形態を例示する図である。
【図2】タイミング回復コンポーネントを含む読み取りチャネルの諸実施形態を例示する図である。
【図3】タイミング回復コンポーネントを含む読み取りチャネルの諸実施形態を例示する図である。
【図4】タイミング回復コンポーネントを含む読み取りチャネルの諸実施形態を例示する図である。
【図5】タイミング回復コンポーネントを含む読み取りチャネルの諸実施形態を例示する図である。
【図6】タイミング回復コンポーネントを含む読み取りチャネルの諸実施形態を例示する図である。
【図7】タイミング回復コンポーネントを含む読み取りチャネルの諸実施形態を例示する図である。
【図8】信号を処理し、補間タイミング情報を計算するための動作の一実施形態を例示する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体から読み取られた信号を処理するために記憶装置内に組み込まれた読み取りチャネルであって、
補間回路および等化器を含む少なくとも1つのデータ・チャネルと、
補間回路を含むサーボ・チャネルと、
サーボ・チャネル信号を補間するために前記補間回路によって使用される補間タイミング情報を計算するために前記サーボ・チャネル内の前記補間回路からのタイミング・エラーを処理するためのタイミング回復機能と、
前記少なくとも1つのデータ・チャネル内の前記補間回路に前記補間タイミング情報を伝達するために前記タイミング回復機能および前記少なくとも1つのデータ・チャネル内の前記補間回路に結合されたパスであって、前記少なくとも1つのデータ・チャネル内の前記補間回路が非同期データ・チャネル信号を補間するために前記補間タイミング情報を使用するように構成されるパスと、
を有する、読み取りチャネル。
【請求項2】
前記補間回路によって生成された2つのサンプル間の補間間隔を調整するためのタイミング訂正を計算するためにタイミング・エラーを使用することによって、前記タイミング回復機能が補間タイミング情報を計算するようにさらに構成され、前記サーボ・チャネル信号を補間するために前記補間回路によって使用される係数を決定するために新しい補間インスタントが使用される、請求項1に記載の読み取りチャネル。
【請求項3】
前記サーボ・チャネルが第1のサーボ・チャネルを有し、前記サーボ・チャネル内の前記補間回路が第1の補間回路を有し、前記タイミング回復機能が前記第1のサーボ・チャネルに含まれる第1のタイミング回復機能を有し、前記パスが第1のパスを有し、さらに、
第2の補間回路と、
第2のサーボ・チャネルへのサーボ・チャネル信号入力を補間するために前記補間回路によって使用される補間タイミング情報を計算するために前記第2の補間回路からのタイミング・エラーを処理するための第2のタイミング回復機能と、
前記少なくとも1つのデータ・チャネル内の前記補間回路に前記補間タイミング情報を伝達するために前記第2のタイミング回復機能および前記少なくとも1つのデータ・チャネル内の前記補間回路に結合された第2のパスであって、前記少なくとも1つのデータ・チャネル内の前記補間回路が非同期データ・チャネル信号を補間するために前記補間タイミング情報を使用するように構成される第2のパスと、
を含む、第2のサーボ・チャネルと、
前記少なくとも1つのデータ・チャネルに補間時間インスタントを供給するために前記第1または第2のサーボ・チャネルのうちの1つを選択するためのモニター機能と、
を有する。請求項1または請求項2に記載の読み取りチャネル。
【請求項4】
前記サーボ・チャネルが第1のサーボ・チャネルを有し、前記サーボ・チャネル内の前記補間回路が第1の補間回路を有し、前記パスが第1のパスを有し、さらに、
第2の補間回路を含む第2のサーボ・チャネルであって、前記タイミング回復機能が前記補間タイミング情報を計算するために前記第1および第2のサーボ・チャネル内の前記第1および第2の補間回路からの前記タイミング・エラーを処理するように構成される、第2のサーボ・チャネルを有する、請求項1乃至3のいずれかに記載の読み取りチャネル。
【請求項5】
前記タイミング回復機能が、前記第1および第2の補間回路からの前記タイミング・エラーを結合し、前記サーボ・チャネル内の前記補間回路によって生成された2つのサンプル間の補間間隔を調整するためのタイミング訂正を計算するために前記結合タイミング・エラーを使用するように構成され、
前記少なくとも1つのデータ・チャネル内の前記補間回路によって使用される係数を決定するために新しい補間インスタントが使用され、
もう一方の補間回路からの前記タイミング・エラーより良好な信号対雑音比を有する補間信号を提供する前記第1または第2の補間回路からの前記タイミング・エラーに対してより大きい重みを割り当てることによって前記タイミング・エラーが結合され、
前記少なくとも1つのデータ・チャネルが第1および第2のデータ・チャネルを有し、前記第1のデータ・チャネルが、第1の補間回路と、前記第1の補間回路からの信号を等化する第1の適応等化器とを含み、前記第2のデータ・チャネルが、第2の補間回路と、前記第2の補間回路からの信号を等化する第2の適応等化器とを含み、
さらに、補間の品質を改善するために前記第1および第2の補間回路にフィードバックを提供するために前記第1および第2の適応等化器からの等化出力信号を処理するための信号処理コンポーネントを有する、請求項4に記載の読み取りチャネル。
【請求項6】
記憶媒体から読み取られた信号を処理するための方法であって、
サーボ・チャネル内の補間回路からのタイミング・エラーを処理して、サーボ・チャネル信号を補間するために前記補間回路によって使用される補間タイミング情報を計算するするステップと、
少なくとも1つのデータ・チャネル内の補間回路に前記補間タイミング情報を伝達するステップと、
前記補間タイミング情報を使用して非同期データ・チャネル信号を補間するステップと、
を含む方法。
【請求項7】
前記補間タイミング情報を計算する前記ステップが、
タイミング訂正を計算するためにタイミング・エラーを使用して、前記補間回路によって生成された2つのサンプル間の補間間隔を調整するステップであって、前記サーボ・チャネル信号を補間するために前記補間回路によって使用される係数を決定するために新しい補間インスタントが使用される、ステップ
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
各データ・チャネルに伝達された前記補間タイミング情報が前記タイミング訂正を含み、各データ・チャネルが前記補間回路によって使用される前記係数を前記タイミング訂正から計算するように構成される、請求項6または請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記タイミング・エラーが第1のタイミング・エラーを含み、前記計算された補間タイミング情報が第1の補間タイミング情報を含み、前記第1の補間タイミング情報を使用する前記補間回路が第1の補間回路を有し、前記サーボ・チャネルが第1のサーボ・チャネルを有し、前記第1のサーボ・チャネルが前記第1の補間回路によって補間された第1のサーボ・チャネル信号を含み、
第2の補間回路によって使用される第2の補間タイミング情報を計算するために第2の補間回路からの第2のタイミング・エラーを第2のサーボ・チャネルで処理して、第2のサーボ・チャネル信号を補間するステップと、
前記少なくとも1つのデータ・チャネルに補間時間インスタントを供給するために前記第1または第2のサーボ・チャネルのうちの1つを選択するステップと、
をさらに含む、請求項6乃至8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記サーボ・チャネルが第1のサーボ・チャネルを有し、前記サーボ・チャネル内の前記補間回路が第1の補間回路を有し、
前記第1のサーボ・チャネル内の前記第1の補間回路および前記第2のサーボ・チャネル内の前記第2の補間回路からのタイミング・エラーを処理して、前記補間タイミング情報を計算するステップと、
前記第1および第2の補間回路からの前記タイミング・エラーを結合し、タイミング訂正を計算するために結合された前記タイミング・エラーを使用して、前記サーボ・チャネル内の前記補間回路によって生成された2つのサンプル間の補間間隔を調整するステップであって、前記少なくとも1つのデータ・チャネル内の前記補間回路によって使用される係数を決定するために新しい補間インスタントが使用される、ステップと、
前記第1および第2の補間回路にフィードバックを提供するために第1および第2の適応等化器からの等化出力信号を処理して、補間の品質を改善するステップと、
をさらに含む、請求項6乃至9のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−525560(P2009−525560A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552786(P2008−552786)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【国際出願番号】PCT/EP2007/050772
【国際公開番号】WO2007/088139
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】