説明

記憶装置、基板、液体容器、ホスト装置及びシステム

【課題】装着検出機能を有するプリンターにおいて、使用しない液体色の液体容器を装着せずに印刷ができる記憶装置、基板、液体容器、ホスト装置及びシステム等を提供すること。
【解決手段】記憶装置100は、複数色を印刷可能なプリンターに着脱可能な液体容器300に格納される液体色に対応するID情報と、液体容器300に格納される液体色以外の液体色である非格納液体色に対応するID情報とを記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶装置、基板、液体容器、ホスト装置及びシステム等に関する。
【背景技術】
【0002】
着脱可能なインクカートリッジ(液体容器)等を用いるプリンターでは、インクカートリッジが装着されていない状態での印刷処理の実行を防止するために、インクカートリッジの装着の有無を検出することが必要である。例えば特許文献1には、プリンター及びインクカートリッジに検出端子を設けて、電気的な導通の有無を検出することで、インクカートリッジの装着の有無を検出する手法が開示されている。また、例えば特許文献2には、インク残量を検出するための端子をインクカートリッジの装着の有無の検出に兼用する手法が開示されている。
【0003】
しかしながらこれらの手法では、例えば、複数色の液体容器を備えたカラープリンターを黒単色のプリンターとして使用したい場合や、黒及びマゼンタの2色のプリンターとして使用したい場合などでも、所定の液体色の液体容器を全て装着する必要があるために、ユーザーの多様なニーズに対応することが難しいなどの問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−14870号公報
【特許文献2】特開2009−274438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の幾つかの態様によれば、装着検出機能を有するプリンターにおいて、使用しない液体色の液体容器を装着せずに印刷ができる記憶装置、基板、液体容器、ホスト装置及びシステム等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、複数色を印刷可能なプリンターに着脱可能な液体容器に格納される液体色に対応するID情報と、前記液体容器に格納される前記液体色以外の液体色である非格納液体色に対応するID情報とを記憶する記憶装置に関係する。
【0007】
本発明の一態様によれば、記憶装置は、液体容器に格納される液体色だけでなく、非格納液体色に対応するID情報も記憶することができる。このため、例えば複数色を印刷可能なプリンターにおいて、使用しない液体色の液体容器を装着しなくても、プリンター本体に変更を加えることなく、単色、2色又は3色等のプリンターとして使用することなどができる。
【0008】
また本発明の一態様では、前記非格納液体色は、前記プリンターに装着された前記液体容器以外の液体容器に格納される液体色であってもよい。
【0009】
このようにすれば、記憶装置は、例えば当該記憶装置が搭載された液体容器以外の液体容器に格納される液体色に対応するID情報を記憶することができる。このため、当該記憶装置が搭載された液体容器以外の液体容器には、記憶装置を搭載する必要がなくなる。その結果、コストを低減することなどが可能になる。
【0010】
また本発明の一態様では、前記非格納液体色は、前記プリンターに非装着の液体容器に格納される液体色であってもよい。
【0011】
このようにすれば、記憶装置は、プリンターに装着されていない液体容器に格納される液体色に対応するID情報を記憶することができる。このため、例えば複数色を印刷可能なプリンターに装着した場合に、プリンター本体に変更を加えることなく、単色、2色又は3色等のプリンターとして使用することなどができる。
【0012】
また本発明の一態様では、前記格納される液体色に対応するID情報及び前記非格納液体色に対応するID情報を記憶する記憶部と、前記記憶部のアクセスを制御する記憶制御部と、ホスト装置との通信処理を行う制御部と、データ端子と、リセット端子と、クロック端子とを含み、前記制御部は、前記クロック端子に入力されるクロックの第1のクロックサイクル〜第n(nは2以上の整数)のクロックサイクルのうちの、前記格納される液体色に対応するID情報に対応する第m(mは1≦m≦nである少なくとも1つの整数)のクロックサイクルと、前記非格納液体色に対応するID情報に対応する第p(pは1≦p≦nでかつp≠mである少なくとも1つの整数)のクロックサイクルとにおいて、前記データ端子を介して、前記ホスト装置に対して応答信号を出力してもよい。
【0013】
このようにすれば、制御部は、格納される液体色であっても、非格納液体色であっても、その液体色に対応するクロックサイクルにおいて、応答信号を出力することができる。
【0014】
また本発明の一態様では、前記制御部は、動作モードが通常通信モードであるか、接続検出モードであるかを判定するモード判定部と、前記応答信号を出力する指示を行う応答部とを含み、前記応答部は、前記動作モードが前記接続検出モードであると判定された場合に、前記第mのクロックサイクルと、前記第pのクロックサイクルとにおいて、前記応答信号を出力する指示を行ってもよい。
【0015】
このようにすれば、制御部は、接続検出モードであると判定された場合に応答信号を出力する指示を行うことができるから、通常通信モードと区別して接続検出のための制御処理を行うことができる。また、ID情報が記憶部に記憶されている場合には、通常通信モードと区別して制御処理を行うことで、記憶部へのアクセスをID情報に制限することができるから、意図しない記憶データの破壊を防止することなどが可能になる。
【0016】
また本発明の一態様では、前記モード判定部は、前記クロック端子の電圧レベルが第2の電圧レベルである期間に、前記リセット端子の電圧レベルがリセット状態を示す電圧レベルからリセット解除状態を示す電圧レベルに変化した場合に、前記動作モードが前記接続検出モードであると判定してもよい。
【0017】
このようにすれば、モード判定部は、リセット状態からリセット解除状態に変化するタイミングで、クロック端子の電圧レベルが第1の電圧レベルであるか、或いは第2の電圧レベルであるかによって動作モードを判定することができる。こうすることで、動作モードを設定するための特別の信号を不要にすることが可能になるため、端子数を低減することができる。
【0018】
また本発明の一態様では、前記モード判定部は、前記リセット端子の電圧レベルがリセット状態を示す電圧レベルである期間に、前記クロック端子の電圧レベルが第1の電圧レベルから第2の電圧レベルに変化した場合に、前記動作モードが前記接続検出モードであると判定してもよい。
【0019】
このようにすれば、モード判定部は、クロック端子の電圧レベルが第1の電圧レベルから第2の電圧レベルに変化するタイミングで、リセット状態であるか、或いはリセット解除状態であるかによって動作モードを判定することができる。こうすることで、動作モードを設定するための特別の信号を不要にすることが可能になるため、端子数を低減することができる。
【0020】
また本発明の一態様では、前記応答部は、電源投入後に、前記クロック端子の電圧レベルが第1の電圧レベルから第2の電圧レベルに変化し、次に前記第2の電圧レベルから前記第1の電圧レベルに変化するタイミングを、前記第1のクロックサイクルの開始タイミングであると判断し、前記応答部は、前記開始タイミング後の、前記第mのクロックサイクルと前記第pのクロックサイクルとにおいて、前記応答信号の出力指示を行ってもよい。
【0021】
このようにすれば、応答部は、第1のクロックサイクルの開始タイミングを確定することができるから、ID情報に対応するクロックサイクルにおいて適正なタイミングで応答信号を出力することができる。
【0022】
本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の記憶装置を含む基板に関係する。
【0023】
本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の記憶装置を含む液体容器に関係する。
【0024】
本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の少なくとも1つの記憶装置との通信処理を行う通信処理部と、監視部とを含み、前記監視部は、前記記憶装置に供給するクロックの第1のクロックサイクル〜第n(nは2以上の整数)のクロックサイクルの各クロックサイクルにおいて、前記記憶装置からの応答信号が出力されたか否かを監視するホスト装置に関係する。
【0025】
本発明の他の態様によれば、ホスト装置は、第1〜第nのクロックサイクルの各クロックサイクルにおいて、応答信号の有無を監視することで液体色を格納する液体容器が装着されているか否かを検出することができる。
【0026】
本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の記憶装置と、上記に記載のホスト装置とを含むシステムに関係する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】システムの比較例。
【図2】システムの第1の構成例。
【図3】図3(A)、図3(B)は、システムの第2、第3の構成例。
【図4】記憶装置の基本的な構成例。
【図5】記憶装置の通常通信モードのタイミングチャートの一例。
【図6】図6(A)、図6(B)は、記憶装置の接続検出モードのタイミングチャートの第1の例。
【図7】図7(A)、図7(B)は、記憶装置の接続検出モードのタイミングチャートの第2の例。
【図8】図8(A)、図8(B)は、モード判定部の第1の構成例を説明する図。
【図9】図9(A)、図9(B)は、記憶装置の接続検出モードのタイミングチャートの第3の例
【図10】図10(A)〜図10(C)は、モード判定部の第2の構成例を説明する図。
【図11】応答部の基本的な構成例。
【図12】図12(A)〜図12(C)は、液体色と応答信号が出力されるクロックサイクルとの関係の一例。
【図13】液体容器の詳細な構成例。
【図14】図14(A)、図14(B)は、回路基板の詳細な構成例。
【図15】ホスト装置の基本的な構成例。
【図16】通常通信モード及び接続検出モードの電源供給期間を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0029】
1.システム
本実施形態の記憶装置及びシステムについて説明する前に、システムの比較例について説明する。図1に示す比較例のシステム(例えばプリンター)は、第1の記憶装置100−1〜第4の記憶装置100−4、各記憶装置が実装される基板200−1〜200−4、基板を備える液体容器300−1〜300−4及びホスト装置400を含む。
【0030】
第1の記憶装置100−1〜第4の記憶装置100−4は、それぞれリセット端子XRST、クロック端子SCK、データ端子SDA、第1の電源端子VSS及び第2の電源端子VDDを含む。後述するように、これらの記憶装置100−1〜100−4は、記憶部(例えば不揮発性メモリー等)を含み、それぞれの記憶部には液体容器(例えばインクカートリッジ等)に格納される液体(例えばインク)の液体色に対応するID(Identification)情報が記憶されている。具体的には、例えば格納される液体色が黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)である場合には、それぞれの液体色に対応するID情報としてID=1(K)、ID=2(C)、ID=3(M)、ID=4(Y)とすることができる。なお、液体色に対応するID情報は、上記に限定されるものではなく、液体色を区別できるものであればよい。
【0031】
第1〜第4の記憶装置100−1〜100−4とホスト装置400とは、図1に示すように、バスを介して電気的に接続される。このバスはリセット信号線、クロック信号線及びデータ信号線を含み、このバスを介して各記憶装置100−1〜100−4とホスト装置400との間の通信が行われる。またバスは、各記憶装置に第1、第2の電源を供給するための第1、第2の電源線を含んでもよい。
【0032】
各記憶装置は、動作モードとして通常通信モード(通常動作モード)と接続検出モードとを有する。通常通信モードとは、記憶部のデータをホスト装置に送信したり、ホスト装置から受信したデータで記憶部のデータを更新するモードである。接続検出モードとは、ホスト装置が、各記憶装置がホスト装置と接続されているかを検出する際の記憶装置の動作モードである。
【0033】
各記憶装置は、接続検出モードにおいて、ホスト装置400から供給されるクロックのクロックサイクルに対応して、当該記憶装置が接続されていることを通知するための応答信号を、データ端子SDAを介してホスト装置400に対して出力する。
【0034】
クロックサイクルとは、ホスト装置400から供給されるクロック信号の物理的な周期ではなく、ホスト装置400と記憶装置100との間の通信処理を制御する論理的な周期である。従って、例えば1クロックサイクルがクロック信号の物理的な1周期であってもよいし、或いは1クロックサイクルがクロック信号の物理的な2周期であってもよい。
【0035】
ホスト装置400は、ホスト側リセット端子HRST、ホスト側クロック端子HCK、ホスト側データ端子HDA、第1のホスト側電源端子HVSS及び第2のホスト側電源端子HVDDを含む。このホスト装置400は、例えばプリンター本体などであって、後述するように記憶装置100−1〜100−4からの応答信号によって各記憶装置が接続されているか否か、すなわち液体容器300−1〜300−4が装着されているか否かを判断することができる。
【0036】
上述した比較例のシステムによれば、各記憶装置100は、当該記憶装置が接続されていることを通知するための応答信号を、データ端子SDAを介してホスト装置400に対して出力することができる。こうすることで、ホスト装置400は、必要な液体容器300−1〜300−4が全て適正に装着されているか否かをチェックすることができる。すなわち、プリンターを動作させるために必要なインク色のインクカートリッジが、全て適正に装着されているか否かをチェックすることができる。そして必要なインク色のインクカートリッジが装着されていない場合には、ディスプレイ等にエラーメッセージを表示してユーザーに知らせることができる。
【0037】
ところで、上述したような複数色を印刷可能なプリンターであっても、ユーザーによっては黒単色のプリンターとして使用したい場合や、黒及びマゼンタの2色のプリンターとして使用したい場合などもある。しかし、上述した比較例のシステムでは、プリンターに所定の液体色の液体容器が全て装着されていない場合には、プリンターは印刷処理を実行することができない。
【0038】
以下に説明するように、本実施形態の記憶装置によれば、このようなユーザーの要求に対応できるシステムを実現することができる。即ち、本実施形態の記憶装置によれば、液体容器の装着検出機能を有する複数色を印刷可能なプリンターを、プリンター本体(ホスト装置)に変更を加えることなく、単色或いは2色のプリンターとして使用することができる。
【0039】
図2に、本実施形態の記憶装置を含むシステムの第1の構成例を示す。システムの第1の構成例は、黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の液体色を格納する液体容器300−1〜300−4及びホスト装置400を含む。液体容器300−1は、記憶装置100が実装される基板200を含むが、他の液体容器300−2〜300−4は、基板200及び記憶装置100を含まない。なお、本実施形態のシステムは図2の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0040】
液体容器300−1が備える記憶装置100は、図1に示したシステムの比較例に用いられるものと同様の記憶装置であって、リセット端子XRST、クロック端子SCK、データ端子SDA、第1の電源端子VSS、第2の電源端子VDD及び記憶部(例えば不揮発性メモリー等)を含む。そして記憶部には、液体色(K、C、M、Y)に対応するID情報(ID=1、2、3、4)が記憶されている。
【0041】
即ち、記憶装置100は、液体容器300−1に格納される液体色(例えばK)に対応するID情報(例えばID=1)と、液体容器300−1に格納される液体色以外の液体色である非格納液体色(例えばC、M、Y)に対応するID情報(例えばID=2、3、4)とを記憶する。そして非格納液体色(例えばC、M、Y)は、プリンターに装着された、液体容器300−1以外の液体容器300−2〜300−4に格納される液体色である。
【0042】
一方、液体容器300−2〜300〜4は、プリンターに装着されているが、記憶装置を備えないから、記憶装置が接続されていること、即ち液体容器が装着されていることを通知するための応答信号を出力しない。
【0043】
このようにすることで、記憶装置100が、接続検出モードにおいて、各液体色(K、C、M、Y)に対応するクロックサイクルにおいて応答信号を出力することができるから、ホスト装置400(プリンター本体)は、各液体色を格納する4つの液体容器が装着されていると認識できる。そして、プリンターの設定を、プリンタードライバーなどから、ブラック(黒)のモノクロ印刷のみを許可する設定とすれば、印刷画像データはブラックのみで作成されるから、ブラックの液体容器がプリンターに装着されていることは確認できているので、プリンターは印刷処理を実行できる。その結果、記憶装置100を備える液体容器300が1個あればよく、他の3個の液体容器には記憶装置100を備える必要がなくなるから、コストの削減が可能になる。また、ユーザーがこのようなシステムでカラー印刷を希望するときには、ブラック以外の液体容器の装着をユーザーが確認の上印刷を実行することとすればよい。
【0044】
図3(A)、図3(B)に、本実施形態の記憶装置を含むシステムの第2、第3の構成例を示す。図3(A)に示す第2の構成例は、液体容器として黒(K)の液体色を格納する液体容器300のみを含み、液体容器300は、記憶装置100が実装される基板200を含む。
【0045】
記憶装置100は、図1に示したシステムの比較例に用いられるものと同様の記憶装置であって、リセット端子XRST、クロック端子SCK、データ端子SDA、第1の電源端子VSS、第2の電源端子VDD及び記憶部(例えば不揮発性メモリー等)を含む。そして記憶部には、液体色(K、C、M、Y)に対応するID情報(ID=1、2、3、4)が記憶されている。
【0046】
即ち、記憶装置100は、液体容器300に格納される液体色(例えばK)に対応するID情報(例えばID=1)と、液体容器300に格納される液体色以外の液体色である非格納液体色(例えばC、M、Y)に対応するID情報(例えばID=2、3、4)とを記憶する。そして非格納液体色(例えばC、M、Y)は、プリンターに非装着の液体容器に格納される液体色である。
【0047】
このようにすることで、記憶装置100が、接続検出モードにおいて、各液体色(K、C、M、Y)に対応するクロックサイクルにおいて応答信号を出力することができるから、実際には黒1色の液体容器しか装着されていないが、ホスト装置400(プリンター本体)は、4色の液体容器が装着されていると認識して、印刷処理を実行することができる。その結果、装着検出機能を有する複数色を印刷可能なプリンターを、プリンター本体(ホスト装置)に変更を加えることなく、単色のプリンターとして使用することが可能になる。
【0048】
図3(B)に示す第3の構成例は、黒(K)の液体色を格納する液体容器300−1とマゼンタ(M)の液体色を格納する液体容器300−2を含み、液体容器300−1、300−2は、記憶装置100−1、100−2及び基板200−1、200−2をそれぞれ含む。
【0049】
記憶装置100−1、100−2は、図1に示したシステムの比較例に用いられるものと同様の記憶装置であって、リセット端子XRST、クロック端子SCK、データ端子SDA、第1の電源端子VSS、第2の電源端子VDD及び記憶部(例えば不揮発性メモリー等)を含む。そして記憶装置100−1の記憶部には、液体色(K、M)に対応するID情報(ID=1、2)が記憶され、記憶装置100−2の記憶部には、液体色(M、Y)に対応するID情報(ID=3、4)が記憶されている。
【0050】
即ち、記憶装置100−1は、液体容器300−1に格納される液体色(例えばK)に対応するID情報(例えばID=1)と、液体容器300−1に格納される液体色以外の液体色である非格納液体色(例えばC)に対応するID情報(例えばID=2)とを記憶する。そして非格納液体色(例えばC)は、プリンターに非装着の液体容器に格納される液体色である。
【0051】
また、記憶装置100−2は、液体容器300−2に格納される液体色(例えばM)に対応するID情報(例えばID=3)と、液体容器300−2に格納される液体色以外の液体色である非格納液体色(例えばY)に対応するID情報(例えばID=4)とを記憶する。そして非格納液体色(例えばY)は、プリンターに非装着の液体容器に格納される液体色である。
【0052】
このようにすることで、接続検出モードにおいて、記憶装置100−1が液体色(K、C)に対応するクロックサイクルにおいて応答信号を出力し、また記憶装置100−2が、液体色(M、Y)に対応するクロックサイクルにおいて応答信号を出力することができる。こうすれば、実際には黒とマゼンタの2色の液体容器しか装着されていないが、ホスト装置400(プリンター本体)は、4色の液体容器が装着されていると認識して、印刷処理を実行することができる。その結果、装着検出機能を有する複数色を印刷可能なプリンターを、プリンター本体(ホスト装置)に変更を加えることなく、2色のプリンターとして使用することが可能になる。
【0053】
なお、3色の液体容器を装着して、3色(例えば、K、C、M)のプリンターとして使用することもできる。この場合には、3つの液体容器のいずれか1つ、或いは2つに記憶装置を搭載すればよい。
【0054】
以上説明したように、本実施形態の記憶装置及びシステムによれば、液体容器の装着検出機能を有する複数色を印刷可能なプリンターを、プリンター本体(ホスト装置)に変更を加えることなく、単色、2色又は3色等のプリンターとして使用することができる。その結果、プリンター本体に変更を加えることなく、ユーザーの多様なニーズに対応することなどが可能になる。また、記憶装置及び基板の個数を減らすことができるから、コストを低減することなどが可能になる。
【0055】
2.記憶装置
図4に、本実施形態の記憶装置100の基本的な構成例を示す。本実施形態の記憶装置100は、制御部110、記憶制御部120、記憶部130、データ端子SDA、リセット端子XRST、クロック端子SCKを含む。なお、本実施形態の記憶装置100は図4の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0056】
記憶部130は、製造時に書き込まれたID情報、製造情報や、ホスト装置400から書き込まれた情報を記憶する。例えばインクカートリッジの場合、記憶部130は、製造情報として製造日の情報、インクの色の情報などを記憶し、ホスト装置400から書き込まれる情報としてインクの残量の情報などを記憶する。記憶部130は、例えばFERAM(強誘電体メモリー)や、フラッシュメモリー等の不揮発性メモリーにより構成される。
【0057】
なお、記憶装置100を識別するID情報を不揮発性メモリー等の記憶部130に記憶することは、必須の構成要件ではない。例えば、ヒューズ素子を用いてID情報を記憶することが可能であり、或いはロジック回路によりID情報を出力させることもできる。
【0058】
記憶制御部120は、通常通信モード(通常動作モード)及び接続検出モードにおいて記憶部130のアクセスを制御する。
【0059】
制御部110は、通信部140、モード判定部150、応答部160を含む。通信部140はホスト装置400との通信を行う。モード判定部150は、動作モードが通常通信モード(通常動作モード)であるか、接続検出モードであるかを判定する。通常通信モードであると判定した場合には、記憶制御部120に対する制御信号SCOMをアクティブレベルにし、接続検出モードであると判定した場合には、応答部160に対する制御信号SDETをアクティブレベルにする。
【0060】
通常通信モードでは、通信部140は、ホスト装置400から送信されたID情報と自身のID情報とが一致するか否かの判定や、受信したコマンド(書き込みコマンド、読み出しコマンドなど)のコマンド解析などを行う。
【0061】
通常通信モード(通常動作モード)は、ホスト装置400と記憶装置100との間で、インク残量等のデータをやり取りするためのデータ通信を行う動作モードである。
【0062】
接続検出モードは、記憶装置100が接続されているか否かを検出するための動作モードである。
【0063】
応答部160は、動作モードが接続検出モードであると判定された場合に、通信部140に対して、記憶装置が接続されていることを通知するための応答信号を出力する指示を行う。具体的には、モード判定部150からの制御信号SDETがアクティブレベルである場合に、応答部160は、記憶部130から記憶制御部120を介して読み出されたID情報に基づいて、そのID情報に対応するクロックサイクルにおいて、通信部140に対して応答信号の出力指示を行う。
【0064】
内部発振回路170は、記憶装置100の内部クロックを生成し、制御部110、記憶制御部120、記憶部130などに供給する。
【0065】
パワーオンリセット(POR)回路180は、第2の電源電圧VDDに基づいてパワーオンリセット処理を行う。すなわち、電源が投入されるまでは記憶装置100をリセット状態にし、電源が投入されたときには記憶装置100のリセットを解除する。具体的には、パワーオンリセット回路180は、ホスト装置400から電源が投入され、第2の電源電圧VDDと第1の電源電圧VSSの差が閾値電圧(所定の電圧)以上となったとき、パワーオンリセット信号POROUTをHレベル(高電位レベル、広義には第2の電圧レベル)にする。
【0066】
以上説明したように、本実施形態の記憶装置によれば、当該記憶装置が接続されていることを通知するための応答信号を、データ端子SDAを介してホスト装置に対して出力することができる。こうすることで、液体容器の有無を検出するための端子が不要になり、端子数を低減することができる。また、ID情報が記憶部に記憶されている場合には、接続検出モードでは、記憶部からID情報のみを読み出せばよいから、他のデータへのアクセスを禁止(マスク)することで、意図しない記憶内容の破壊等を防止できる。また、1クロックサイクルの期間で1つの記憶装置(液体容器)の有無を検出することができるから、検出時間を短縮することが可能になる。
【0067】
一方、通常通信モード(通常動作モード)では、通信のタイムアウトエラーを検出することで液体容器の有無を検出することができる。しかしながら、バス接続であるためにタイムアウトエラーが発生するまでに時間がかかり、検出までの時間が長くなる。検出に要する時間が長くなると、通信中にエラーが発生するおそれが大きくなる。その結果、液体容器が装着されているにもかかわらず、非装着と判断される可能性がある。
【0068】
図5は、記憶装置100の通常通信モードのタイミングチャートの一例である。図5では、ホスト装置400から第1〜第4の記憶装置100−1〜100−4に書き込みデータを送信する際のタイミングチャートを示す。
【0069】
最初に、ホスト装置400は、第1の電源線及び第2の電源線を介して各記憶装置に電源電圧の供給を開始する。各記憶装置の第2の電源端子VDDの電圧が所定の電圧値(電圧値は、第1の電源線から供給される電位を基準とする電圧値である。)に達すると(図5のE1)、パワーオンリセット(POR)回路180によりパワーオンリセットが解除される。
【0070】
次にホスト装置400は、リセット信号レベル(広義にはリセット端子XRSTの電圧レベル)をLレベル(広義にはリセット状態を示す電圧レベル)からHレベル(広義にはリセット解除状態を示す電圧レベル)に設定する(図5のE2)。
【0071】
モード判定部150は、クロック端子SCKの電圧レベルが第1の電圧レベル(Lレベル)である期間に、リセット端子XRSTの電圧レベルがリセット状態を示す電圧レベル(Lレベル)からリセット解除状態を示す電圧レベル(Hレベル)に変化した場合に(図5のE2)、動作モードが通常通信モード(通常動作モード)であると判定する。
【0072】
続いてホスト装置400は、クロック端子SCKにクロックを供給し、このクロックに基づいて第1の記憶装置(ID=1)に対してID情報、書き込みコマンド及びデータを送信する。図5に示すように、例えばID情報はI0〜Ii(iは自然数)のi+1ビットで構成され、これにパリティビットIPが付加される。また例えば書き込みコマンドはC0〜Cj(jは自然数)のj+1ビットで構成され、これにパリティビットCPが付加される。また例えばデータはD0〜Dkのk+1ビットで構成され、これにパリティビットDPが付加される。パリティビットIP、CP、DPは、パリティチェックのために付加されるビットであって、1の個数が常に偶数若しくは奇数となるように付加されるビットである。
【0073】
第1の記憶装置(ID=1)の通信部140は、受信したID情報(ID=1)と自身のID情報とが一致することを認識し、さらに受信したコマンドが書き込みコマンドであることを認識する。そしてデータを受信し、受信したデータを記憶制御部120に出力する。記憶制御部120は、記憶部130にデータを書き込む。
【0074】
一方、第2〜第4の記憶装置(ID=2〜4)は、受信したID情報(ID=1)と自身のID情報とが不一致であることを認識し、コマンド及びデータを受信しない。
【0075】
ホスト装置400は、第1の記憶装置(ID=1)に対するデータの送信を完了すると、リセット端子XRSTの電圧レベルをHレベルからLレベルに変化させ、再びHレベルに戻す。そして第2の記憶装置(ID=2)に対してID情報、書き込みコマンド及びデータを送信する。
【0076】
第2の記憶装置(ID=2)の通信部140は、受信したID情報(ID=2)と自身のID情報とが一致することを認識し、さらに受信したコマンドが書き込みコマンドであることを認識する。そしてデータを受信し、受信したデータを記憶制御部120に出力する。記憶制御部120は、記憶部130にデータを書き込む。この時には、他の記憶装置は、受信したID情報(ID=2)と自身のID情報とが不一致であることを認識し、コマンド及びデータを受信しない。
【0077】
同様にして、ホスト装置400は、第3、第4の記憶装置(ID=3、4)に対してID情報、書き込みコマンド及びデータを順次送信する。
【0078】
このようにして、通常通信モードにおいて、ホスト装置400は、第1〜第4の記憶装置100−1〜100−4に書き込みデータを送信し、各記憶装置の記憶部130にデータを書き込むことができる。また同様にして、ホスト装置400は、各記憶装置の記憶部130から読み出しデータを受信することができる。
【0079】
なお、本実施形態の記憶装置100は、ID情報を複数記憶しているため、記憶したID情報の数に対応してインクの色情報、インク残量の情報を記憶する領域を持つ。記憶装置100は、プリンターからの指定されたID情報に対応した領域の情報の読み書きを実行する。例えば、図2のシステムの記憶装置100は、ID情報を4個持ち、4個分のインク色情報、インク残量の除法などを記憶するを持つ。プリンターからID=1〜4の読み出しを指定された場合には、1つの記憶装置100が全てのID情報分に対応した領域に記憶された情報をプリンターに出力することになる。
【0080】
図6(A)、図6(B)は、記憶装置100の接続検出モードのタイミングチャートの第1の例である。図6(A)は、第2の電源電圧VDD、リセット信号(広義にはリセット端子XRSTに入力される信号)、クロック信号(広義にはクロック端子SCKに入力される信号)、データ信号(広義にはデータ端子SDAに入出力される信号)及び応答信号ANS1〜ANS4のタイミングチャートである。また、図6(B)は、各応答信号ANSm(mは1≦m≦nである少なくとも1つの整数)がアクティブ状態ACTである期間の詳細なタイミングチャートである。
【0081】
図6(A)に従って、記憶装置100の動作を説明する。最初に第2の電源電圧VDDが立ち上がり(図6(A)のA1)、VDDが所定の電圧値に達すると、パワーオンリセット(POR)回路180がパワーオンリセット信号POROUT(図示せず)をHレベル(高電位レベル、広義には第2の電圧レベル)にして、リセットを解除する。
【0082】
次にクロック信号レベル(広義にはクロック端子SCKの電圧レベル)がLレベル(低電位レベル、広義には第1の電圧レベル)からHレベルに変化し(図6(A)のA2)、続いてリセット信号レベル(広義にはリセット端子XRSTの電圧レベル)がLレベル(広義にはリセット状態を示す電圧レベル)からHレベル(広義にはリセット解除状態を示す電圧レベル)に変化する(図6(A)のA3)。
【0083】
モード判定部150は、クロック端子SCKの電圧レベルが第2の電圧レベル(Hレベル)である期間に、リセット端子XRSTの電圧レベルがリセット状態を示す電圧レベル(Lレベル)からリセット解除状態を示す電圧レベル(Hレベル)に変化した場合に(図6(A)のA3)、動作モードが接続検出モードであると判定する。
【0084】
次にクロック端子SCKの電圧レベルがHレベルからLレベルに変化する(図6(A)のA4)。このタイミングが、第1のクロックサイクルT1の開始タイミングになる。すなわち応答部160は、電源投入後に、クロック端子SCKの電圧レベルが第1の電圧レベル(Lレベル)から第2の電圧レベル(Hレベル)に変化し、次に第2の電圧レベル(Hレベル)から第1の電圧レベル(Lレベル)に変化するタイミングを、第1のクロックサイクルT1の開始タイミングであると判断する。
【0085】
制御部110は、クロック端子SCKに入力されるクロックの第1〜第n(nは2以上の整数)のクロックサイクルのうちの、格納される液体色に対応するID情報に対応する第m(mは1≦m≦nである少なくとも1つの整数)のクロックサイクルにおいて、応答信号ANSmを、データ端子SDAを介してホスト装置400に対して出力する。
【0086】
また、制御部110は、クロック端子SCKに入力されるクロックの第1〜第nのクロックサイクルのうちの、非格納液体色に対応するID情報に対応する第p(pは1≦p≦nで、かつp≠mである少なくとも1つの整数)のクロックサイクルにおいて、応答信号ANSpを、データ端子SDAを介してホスト装置400に対して出力する。
【0087】
なお、図6(A)のタイミングチャートでは、1クロックサイクルがクロック信号の物理的な1周期になっているが、これに限定されるものではない。例えばクロック信号の物理的な2周期を1クロックサイクルとしてもよい。
【0088】
具体的には、例えば図6(A)に示すように、記憶装置100に記憶されるID情報がID=1を含む場合には、第1のクロックサイクルT1において、応答信号ANS1を出力する。そしてID情報がID=2を含む場合には、第2のクロックサイクルT2において、応答信号ANS2を出力する。同様に、ID情報がID=3、ID=4を含む場合には、第3、第4のクロックサイクルにおいて応答信号ANS3、ANS4を出力する。
【0089】
なお、各記憶装置のID情報は、接続検出モードであると判定された後、第1のクロックサイクルT1の開始タイミング前のID情報読み出し期間TRMにおいて、各記憶装置100の記憶部130から読み出される。
【0090】
図2、図3(A)、図3(B)で説明したように、記憶装置100に記憶されるID情報は、その記憶装置100が搭載された液体容器300に格納される液体色に対応するID情報及びその液体容器300に格納されない非格納液体色に対応するID情報のうちの少なくとも1つのID情報である。
【0091】
電源投入タイミング(図6(A)のA1)から第1のクロックサイクルT1の開始タイミング(図6(A)のA4)までの長さをTPとし、クロック端子SCKに入力されるクロックの各クロックサイクルの長さをTCとした場合に、TP>TCである。すなわち応答部160は、電源投入タイミングからTCよりも長い期間が経過した後に、クロック端子SCKの電圧レベルが第2の電圧レベル(Hレベル)から第1の電圧レベル(Lレベル)に変化するタイミングを開始タイミングであると判断する。
【0092】
このようにすることで、電源投入後にパワーオンリセット回路180によりリセットが解除されてから、記憶装置100の各回路が動作を開始し、次にモード判定部150が接続検出モードであると判定し、続いて記憶部130からID情報が読み出されるまでの時間を確保することができる。
【0093】
図6(B)は、応答信号ANSmのアクティブ状態ACTである期間の詳細なタイミングチャートである。第mのクロックサイクルTmの期間において、応答信号ANSmは、高インピーダンス状態(Hi−Z)からHレベルに変化し、次にHレベルからLレベルに変化し、再び高インピーダンス状態(Hi−Z)に戻る。第mのクロックサイクルTmの開始タイミング(すなわちSCKの立ち下がりタイミング)から第1の遅延時間TD1が経過した時点で、応答信号ANSmは高インピーダンス状態(Hi−Z)からHレベルに変化する。またSCKの立ち上がりタイミングから第2の遅延時間TD2が経過した時点で、HレベルからLレベルに変化する。このように第1、第2の遅延時間TD1、TD2を設けることで、隣接する2つのクロックサイクル(例えば第2、第3のクロックサイクル)において応答信号が出力された場合に、2つの応答信号が互いに干渉することを防止できる。
【0094】
なお、非格納液体色に対応するID情報に対応する応答信号である応答信号ANSpについても、図6(B)に示すタイミングチャートと同様である。
【0095】
図7(A)、図7(B)は、記憶装置100の接続検出モードのタイミングチャートの第2の例である。図7(A)は、第2の電源電圧VDD、リセット信号(広義にはリセット端子XRSTに入力される信号)、クロック信号(広義にはクロック端子SCKに入力される信号)、データ信号(広義にはデータ端子SDAに入出力される信号)及び応答信号ANS1〜ANS4のタイミングチャートである。また、図7(B)は、各応答信号ANSmがアクティブ状態ACTである期間の詳細なタイミングチャートである。図7(A)、図7(B)のタイミングチャートは、モード判定については上述した図6(A)の場合と同じであるが、応答信号の波形が異なっている。
【0096】
最初に第2の電源電圧VDDが立ち上がり(図7(A)のF1)、VDDが所定の電圧値に達すると、パワーオンリセット(POR)回路180がパワーオンリセット信号POROUT(図示せず)をHレベルに設定して、リセットを解除する。
【0097】
次にクロック信号レベル(広義にはクロック端子SCKの電圧レベル)がLレベルからHレベルに変化し(図7(A)のF2)、続いてリセット信号レベル(広義にはリセット端子XRSTの電圧レベル)がLレベルからHレベルに変化する(図7(A)のF3)。
【0098】
モード判定部150は、クロック端子SCKの電圧レベルが第2の電圧レベル(Hレベル)である期間に、リセット端子XRSTの電圧レベルがリセット状態を示す電圧レベル(Lレベル)からリセット解除状態を示す電圧レベル(Hレベル)に変化した場合に(図7(A)のF3)、動作モードが接続検出モードであると判定する。
【0099】
次にクロック端子SCKの電圧レベルがHレベルからLレベルに変化する(図7(A)のF4)。このタイミングが、第1のクロックサイクルT1の開始タイミングになる。すなわち応答部160は、電源投入後に、クロック端子SCKの電圧レベルが第1の電圧レベル(Lレベル)から第2の電圧レベル(Hレベル)に変化し、次に第2の電圧レベル(Hレベル)から第1の電圧レベル(Lレベル)に変化するタイミングを、第1のクロックサイクルT1の開始タイミングであると判断する。
【0100】
制御部110は、クロック端子SCKに入力されるクロックの第1〜第nのクロックサイクルのうちの、格納される液体色に対応するID情報に対応する第m(mは1≦m≦nである少なくとも1つの整数)のクロックサイクルにおいて、応答信号ANSmを、データ端子SDAを介してホスト装置400に対して出力する。
【0101】
また、制御部110は、クロック端子SCKに入力されるクロックの第1〜第nのクロックサイクルのうちの、非格納液体色に対応するID情報に対応する第p(pは1≦p≦nで、かつp≠mである少なくとも1つの整数)のクロックサイクルにおいて、応答信号ANSpを、データ端子SDAを介してホスト装置400に対して出力する。
【0102】
図7(A)のタイミングチャートでは、クロック信号の物理的な2周期を1クロックサイクルとしている。例えば第1〜第4のクロックサイクルT1〜T4は、それぞれクロック信号の物理的な2周期になっている。
【0103】
図7(A)に示すように、記憶装置100に記憶されるID情報がID=1を含む場合には、第1のクロックサイクルT1において、応答信号ANS1を出力する。そしてID情報がID=2を含む場合には、第2のクロックサイクルT2において、応答信号ANS2を出力する。同様に、ID情報がID=3、ID=4を含む場合には、第3、第4のクロックサイクルにおいて応答信号ANS3、ANS4を出力する。
【0104】
なお、各記憶装置のID情報は、接続検出モードであると判定された後、第1のクロックサイクルT1の開始タイミング前のID情報読み出し期間TRMにおいて、各記憶装置100の記憶部130から読み出される。
【0105】
図6(A)と同様に、電源投入タイミング(図7(A)のF1)から第1のクロックサイクルT1の開始タイミング(図7(A)のF4)までの長さをTPとし、クロック端子SCKに入力されるクロックの各クロックサイクルの長さをTCとした場合に、TP>TCである。
【0106】
図7(B)は、応答信号ANSmのアクティブ状態ACTである期間の詳細なタイミングチャートである。制御部110は、第mのクロックサイクルTmの第1の期間において、データ端子SDAの電圧レベルを第2の電圧レベル(Hレベル)に設定する。そして第mのクロックサイクルTmの第1の期間より後の第2の期間において、データ端子SDAを高インピーダンス状態Hi−Zに設定することで、応答信号ANSmを出力する。このようにクロックサイクルの第2の期間において、データ端子SDAを高インピーダンス状態Hi−Zに設定することで、次のクロックサイクルにおいて応答信号が出力された場合に、2つの応答信号が互いに干渉することを防止できる。
【0107】
ホスト装置400のデータ端子HDAと第1の電源端子HVSSとの間にはプルダウン抵抗が設けられているから、クロックサイクルの第2の期間においてデータ端子SDAが高インピーダンス状態Hi−Zに設定されると、データ端子SDAの電圧レベルはHレベルからLレベルに徐々に降下する。その結果、例えば図7(A)に示すように、各クロックサイクルT1〜T4において、第1の期間にはHレベルになり、第2の期間には徐々にLレベルに降下する信号が出力される。
【0108】
なお、非格納液体色に対応するID情報に対応する応答信号である応答信号ANSpについても、図7(B)に示すタイミングチャートと同様である。
【0109】
図8(A)は、モード判定部150の第1の構成例の動作を説明する図である。モード判定部150は、クロック端子SCKの電圧レベルが第2の電圧レベル(Hレベル)である期間に、リセット端子XRSTの電圧レベルがリセット状態を示す電圧レベル(Lレベル)からリセット解除状態を示す電圧レベル(Hレベル)に変化した場合に、動作モードが接続検出モードであると判定する。そして応答部160に対する制御信号SDETをアクティブレベル(Hレベル)にする。
【0110】
一方、クロック端子SCKの電圧レベルが第1の電圧レベル(Lレベル)である期間に、リセット端子XRSTの電圧レベルがリセット状態を示す電圧レベル(Lレベル)からリセット解除状態を示す電圧レベル(Hレベル)に変化した場合に、動作モードが通常通信モードであると判定する。そして記憶制御部120に対する制御信号SCOMをアクティブレベル(Hレベル)にする。
【0111】
図8(B)に、モード判定部150の第1の構成例を示す。この構成例では、Dフリップフロップ回路を用いてモード判定部150を構成する。この回路の動作は通常のDフリップフロップ回路の動作と同じである。すなわち、リセット端子XRSTの電圧レベルの立ち上がりエッジで、クロック端子SCKの電圧レベルが取り込まれて出力SDETとして保持され、同時にその反転出力が出力SCOMとして保持される。
【0112】
図9(A)、図9(B)は、記憶装置100の接続検出モードのタイミングチャートの第3の例である。このタイミングチャートでは、後述するモード判定部150の第2の構成例を用いる。モード判定に関する動作を除けば、上述した図6(A)、図6(B)と同様の動作である。
【0113】
図9(A)に示すように、最初に第2の電源電圧VDDが立ち上がり(図9(A)のB1)、VDDが所定の電圧値に達すると、パワーオンリセット(POR)回路180がパワーオンリセット信号POROUT(図示せず)をHレベル(高電位レベル、広義には第2の電圧レベル)にして、リセットを解除する。
【0114】
モード判定部150の第2の構成例は、リセット端子XRSTの電圧レベルがリセット状態を示す電圧レベルである期間に(図9(A)のB2)、クロック端子SCKの電圧レベルが第1の電圧レベル(Lレベル)から第2の電圧レベル(Hレベル)に変化した場合に(図9(A)のB3)、動作モードが接続検出モードであると判定する。
【0115】
次にクロック端子SCKの電圧レベルがHレベルからLレベルに変化する(図9(A)のB4)。このタイミングが、第1のクロックサイクルT1の開始タイミングになる。すなわち応答部160は、電源投入後に、クロック端子SCKの電圧レベルが第1の電圧レベル(Lレベル)から第2の電圧レベル(Hレベル)に変化し、次に第2の電圧レベル(Hレベル)から第1の電圧レベル(Lレベル)に変化するタイミングを、第1のクロックサイクルT1の開始タイミングであると判断する。
【0116】
図6(A)と同様に、電源投入タイミング(図9(A)のB1)から第1のクロックサイクルT1の開始タイミング(図9(A)のB4)までの長さをTPとし、クロック端子SCKに入力されるクロックの各クロックサイクルの長さをTCとした場合に、TP>TCである。
【0117】
制御部110は、クロック端子SCKに入力されるクロックの第1〜第n(nは2以上の整数)のクロックサイクルのうちの、格納される液体色に対応するID情報に対応する第m(mは1≦m≦nである少なくとも1つの整数)のクロックサイクルにおいて、応答信号ANSmを、データ端子SDAを介してホスト装置400に対して出力する。
【0118】
また、制御部110は、クロック端子SCKに入力されるクロックの第1〜第nのクロックサイクルのうちの、非格納液体色に対応するID情報に対応する第p(pは1≦p≦nで、かつp≠mである少なくとも1つの整数)のクロックサイクルにおいて、応答信号ANSpを、データ端子SDAを介してホスト装置400に対して出力する。
【0119】
なお、応答信号ANSm、ANSpの具体的な説明は、図6(A)、図6(B)と同様であるから、ここでは省略する。
【0120】
図10(A)〜図10(C)は、モード判定部150の第2の構成例を説明する図である。図10(A)に示すように、モード判定部150の第2の構成例は、リセット端子XRSTの電圧レベルがリセット状態を示す電圧レベル(Lレベル)である期間に、クロック端子SCKの電圧レベルが第1の電圧レベル(Lレベル)から第2の電圧レベル(Hレベル)に変化した場合に、動作モードが接続検出モードであると判定する。そして応答部160に対する制御信号SDETをアクティブレベル(Hレベル)にする。
【0121】
一方、リセット端子XRSTの電圧レベルがリセット解除状態を示す電圧レベル(Hレベル)である期間に、クロック端子SCKの電圧レベルが第1の電圧レベル(Lレベル)から第2の電圧レベル(Hレベル)に変化した場合に、動作モードが通常通信モードであると判定する。そして応答部160に対する制御信号SCOMをアクティブレベル(Hレベル)にする。
【0122】
図10(B)に、モード判定部150の第2の構成例を示す。この構成例は、ディレイ回路、ANDロジック、インバーターを含む。2つのディレイ回路を設けることで、制御信号SDETと制御信号SCOMとが同時にアクティブレベルになることを防止できる。ディレイ回路は、偶数個のインバーターを縦続接続することで実現できる。
【0123】
図10(C)は、モード判定部150の第2の構成例の動作を説明するタイミングチャートである。リセット端子XRSTの電圧レベルがリセット状態を示す電圧レベル(Lレベル)である期間に、制御信号SDETはアクティブレベル(Hレベル)になる。一方、リセット端子XRSTの電圧レベルがリセット解除状態を示す電圧レベル(Hレベル)である期間に、制御信号SCOMはアクティブレベル(Hレベル)になる。
【0124】
図11に、応答部160の基本的な構成例を示す。応答部160は、ID一致判定部161、カウンター162、ID保持部163、出力部165を含む。
【0125】
ID一致判定部161(一致判定部)は、カウンター162のカウント値と記憶部130から読み出されたID情報の値との一致を判定する。カウンター162は、第1のクロックサイクルT1の開始タイミング後のクロック端子SCKに入力されるクロックCLKのカウント処理を行う。ID保持部163は、記憶部130から読み出されたID情報の値を保持して、ID一致判定部161に出力する。出力部165は、ID一致判定部161の判定結果に基づいて、通信部140に対して応答信号ANSを出力するための出力指示RSPを出力する。
【0126】
応答部160は、カウント値とID情報の値とが一致した場合に、応答信号の出力指示を行う。具体的には、例えば前述した図6(A)のタイミングチャートに示すように、モード判定部150が動作モードを接続検出モードであると判定すると(図6(A)のA3)、モード判定部150は制御信号SDETをアクティブレベルに設定する。そうすると記憶制御部120は、ID情報読み出し期間TRMにおいて、記憶部130からID情報の値を読み出し、ID保持部163がそのID情報の値を保持する。次にカウンター162は、第1のクロックサイクルT1の開始タイミング(図6(A)のA4)後のクロックCLKのカウント処理を開始する。
【0127】
そしてID一致判定部161は、カウンター162のカウント値とID情報の値とが一致するか否かを判定し、一致する場合には出力部165から通信部140に対して応答信号ANSを出力するための出力指示RSPを出力する。例えば図6(A)に示すように、第1のクロックサイクルT1ではカウント値が1であるから、ID=1を有する記憶装置から応答信号ANS1が出力される。同様に第2のクロックサイクルT2ではカウント値が2であるから、ID=2を有する記憶装置から応答信号ANS2が出力される。このようにして、各記憶装置のID情報の値に対応するクロックサイクルにおいて、応答信号ANSが出力される。
【0128】
図12(A)〜図12(C)に、本実施形態のシステムにおける、液体色と応答信号が出力されるクロックサイクルとの関係の一例を示す。
【0129】
図12(A)には、システムの第1の構成例(図2)における液体色と応答信号が出力されるクロックサイクルとの関係の一例を示す。液体容器1〜液体容器4には、液体色(K、C、M、Y)がそれぞれ格納され、液体容器1には、ID情報としてID=1、2、3、4を有する記憶装置が搭載される。そしてこの記憶装置は、液体色(K、C、M、Y)に対応するクロックサイクル(T1、T2、T3、T4)において応答信号を出力する。
【0130】
図12(B)には、システムの第2の構成例(図3(A))における液体色と応答信号が出力されるクロックサイクルとの関係の一例を示す。第2の構成例では、1つの液体容器(K)のみが装着される。この液体容器(K)には、ID情報としてID=1、2、3、4を有する記憶装置が搭載される。そしてこの記憶装置は、液体色(K、C、M、Y)に対応するクロックサイクル(T1、T2、T3、T4)において応答信号を出力する。
【0131】
図12(C)には、システムの第3の構成例(図3(B))における液体色と応答信号が出力されるクロックサイクルとの関係の一例を示す。第3の構成例では、液体容器1(K)及び液体容器2(M)が装着される。液体容器1(K)には、ID情報としてID=1、2を有する記憶装置が搭載される。そしてこの記憶装置は、液体色(K、C)に対応するクロックサイクル(T1、T2)において応答信号を出力する。また、液体容器2(M)には、ID情報としてID=3、4を有する記憶装置が搭載される。そしてこの記憶装置は、液体色(M、Y)に対応するクロックサイクル(T3、T4)において応答信号を出力する。
【0132】
なお、液体色とID情報との対応は、上述したものに限定されない。例えば、ID=1を黒、ID=3をシアン、ID=5をマゼンタ、ID=7をイエローに対応させてもよい。或いは、ID情報としてより大きい数値(例えばID=100など)を用いてもよい。また、プリンターに使用される液体色は、上記の4色に限定されるものではなく、例えばライトシアン、ライトマゼンタ、ライトイエローなどをさらに用いてもよく、これらの各色に対応させてID情報を決めればよい。
【0133】
以上説明したように、本実施形態の記憶装置及びシステムによれば、液体容器の装着検出機能を有する複数色を印刷可能なプリンターを、プリンター本体(ホスト装置)に変更を加えることなく、単色、2色又は3色等のプリンターとして使用することができる。その結果、プリンター本体に変更を加えることなく、ユーザーの多様なニーズに対応することなどが可能になる。また、記憶装置及び基板の個数を減らすことができるから、コストを低減することなどが可能になる。
【0134】
3.基板及び液体容器
次に、上述した本実施形態の記憶装置100が設けられた液体容器300の詳細な構成例について、図13を用いて説明する。なお以下では、ホスト装置400がインクジェット方式のプリンターであり、液体容器300がインクカートリッジであり、基板200が、インクカートリッジに設けられた回路基板である場合を例に説明する。但し、本実施形態では、ホスト装置、液体容器、基板は、他の装置、容器、基板であってもよい。例えば、ホスト装置はメモリーカードのリーダー/ライターであってもよく、基板はメモリーカードに設けられた回路基板であってもよい。
【0135】
図13に示すインクカートリッジ300(広義には液体容器)の内部には、インクを収容するための図示しないインク室が形成される。また、インクカートリッジ300には、インク室に連通するインク供給口340が設けられる。このインク供給口340は、インクカートリッジ300がプリンターに装着されたときに、印刷ヘッドユニットにインクを供給するためのものである。
【0136】
インクカートリッジ300は、回路基板200(広義には基板)を含む。回路基板200には、本実施形態の記憶装置100が設けられ、データの記憶やホスト装置400とのデータ送受信を行う。回路基板200は、例えばプリント基板により実現され、インクカートリッジ300の表面に設けられる。回路基板200には、第2の電源端子VDD等の端子が設けられる。そして、インクカートリッジ300がプリンターに装着されたときに、それらの端子とプリンター側の端子が接触(電気的に接続)することで、電源やデータのやり取りが行われる。
【0137】
図14(A)、図14(B)に、本実施形態の記憶装置100が設けられた回路基板200の詳細な構成例を示す。図14(A)に示すように、回路基板200の表面(プリンターと接続される面)には、複数の端子を有する端子群が設けられる。この端子群は、第1の電源端子VSS、第2の電源端子VDD、リセット端子XRST、クロック端子SCK、データ端子SDAを含む。各端子は、例えば矩形状(略矩形状)に形成された金属端子により実現される。そして、各端子は、回路基板200に設けられた図示しない配線パターン層やスルホールを介して、記憶装置100に接続される。
【0138】
図14(B)に示すように、回路基板200の裏面(プリンターと接続される面の裏側の面)には、本実施形態の記憶装置100が設けられる。記憶装置100は、例えば、強誘電体メモリーを有する半導体記憶装置により実現できる。この記憶装置100には、インク又はインクカートリッジ300に関連する種々のデータが格納され、例えば、インクカートリッジ300を識別するためのID情報やインクの消費量等のデータが格納される。インク消費量のデータは、インクカートリッジ300内に収容されたインクについて、印刷の実行等に伴い消費されるインク量の累計を示すデータである。このインク消費量のデータは、インクカートリッジ300内のインク量を示す情報であってもよく、消費したインク量の割合を示す情報であってもよい。
【0139】
4.ホスト装置
図15に、本実施形態のホスト装置400の基本的な構成例を示す。ホスト装置400は、例えばプリンター本体であって、電源供給部410、通信処理部420、監視部430、ホスト制御部440、表示部450、表示制御部460を含む。さらにホスト装置400は、複数のホスト側端子を含む。具体的には、例えばホスト側リセット端子HRST、ホスト側クロック端子HCK、ホスト側データ端子HDA、第1のホスト側電源端子HVSS及び第2のホスト側電源端子HVDDを含む。
【0140】
電源供給部410は、少なくとも1つの記憶装置100に対して電源を供給する。通信処理部420は、例えばホスト側リセット端子HRST、ホスト側クロック端子HCK、ホスト側データ端子HDAを介して、記憶装置100との通信処理を行う。
【0141】
監視部430は、記憶装置100に供給するクロックの第1〜第nのクロックサイクルT1〜Tnの各クロックサイクルにおいて、記憶装置100からの応答信号が出力されたか否かを監視する。
【0142】
ホスト制御部440は、電源供給部410、通信処理部420、監視部430及び表示部450のそれぞれの制御処理を行う。
【0143】
表示部450は、例えばLCD(液晶ディスプレイ)等であって、ホスト装置400(プリンター)の操作画面、動作状態、エラーメッセージ等を表示する。接続検出モードにおいては、表示部450は、監視部430の監視結果に基づいて、接続検出結果を表示する。
【0144】
表示制御部460は、接続検出結果を表示部450に表示する制御を行う。この表示制御部460は、公知の表示コントローラーなどにより実現される。
【0145】
図16は、通常通信モード及び接続検出モードの電源供給期間を説明する図である。電源供給部410は、通常通信モードの電源供給期間の長さをTAとし、接続検出モードの電源供給期間の長さをTBとした場合に、TA>TBとなるように電源供給を行う。また、通常通信モードの電源供給期間と次の通常通信モードの電源供給期間との間に接続検出モードの電源供給期間を設けてもよい。なお、図示していないが、接続検出モードの電源供給期間を続けて複数回設けてもよい。
【0146】
このようにすることで、1つの通常通信モードの期間と次の通常通信モードの期間との間の短い期間に接続検出モードの期間を設けることができるから、通常のデータ通信に支障を与えることなく、インクカートリッジの接続検出を行うことができる。その結果、プリンターシステムの信頼性を向上させることが可能になる。
【0147】
さらに、短い時間でインクカートリッジの接続検出を行うことができるから、インクカートリッジの有無をリアルタイムで表示部450に表示することができる。その結果、ユーザーがインクカートリッジを交換する際のエラーを防止し、操作性を向上させることが可能になる。
【0148】
本実施形態の比較例の手法として、通常通信モード(通常動作モード)において、通信のタイムアウトエラーを検出する手法が考えられる。しかしこの手法では、バス接続であるためにタイムアウトエラーが発生するまでに時間がかかり、接続検出の時間が長くなるという問題がある。そのために、通信中にエラーが発生するおそれが大きくなり、エラーが発生した場合には、インクカートリッジが装着されているにもかかわらず、非装着と判断されるおそれがある。
【0149】
本実施形態では、通常通信モードとは別の接続検出モードを設けて、その接続検出モードにおいて例えば図6(A)、図7(A)、図9(A)に示すように、nクロックサイクルの期間で接続検出を完了できる。これにより、図16に示すように、通常通信モードとは別に接続検出モードを設けたとしても、その接続検出モードの電源供給期間の長さTBを通常通信モードの電源供給期間の長さTAより十分に小さくできる。こうすることで、1つの通常通信モードの期間と次の通常通信モードの期間との間に、短時間の接続検出モードの期間を設定して、そこで接続検出を行うことが可能になる。その結果、通常通信モードにおいて接続検出を行う必要もないし、接続検出モードを設けたことで、通常通信モードの帯域が制限されることも防止できる。また、接続検出に要する時間を短縮できるから、検出結果をリアルタイムに表示したり、検出時のエラーを低減することが可能になる。
【0150】
なお、以上のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語(第1の電圧レベル、第2の電圧レベル)と共に記載された用語(Lレベル、Hレベル)は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また記憶装置、基板、液体容器、ホスト装置及びシステムの構成、動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0151】
100 記憶装置、110 制御部、120 記憶制御部、130 記憶部、
140 通信部、150 モード判定部、160 応答部、161 ID一致判定部、
162 カウンター、163 ID保持部、165 出力部、170 内部発振回路、
180 パワーオンリセット回路、200 基板、
300 液体容器、340 インク供給口、400 ホスト装置、410 電源供給部、420 通信処理部、430 監視部、440 ホスト制御部、450 表示部、
460 表示制御部
SCK クロック端子、SDA データ端子、SCOM、SDET 制御信号、
VDD 第2の電源端子、VSS 第1の電源端子、XRST リセット端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数色を印刷可能なプリンターに着脱可能な液体容器に格納される液体色に対応するID情報と、
前記液体容器に格納される前記液体色以外の液体色である非格納液体色に対応するID情報とを記憶することを特徴とする記憶装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記非格納液体色は、
前記プリンターに装着された前記液体容器以外の液体容器に格納される液体色であることを特徴とする記憶装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記非格納液体色は、
前記プリンターに非装着の液体容器に格納される液体色であることを特徴とする記憶装置。
【請求項4】
請求項1又は3において、
前記格納される液体色に対応するID情報及び前記非格納液体色に対応するID情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部のアクセスを制御する記憶制御部と、
ホスト装置との通信処理を行う制御部と、
データ端子と、
リセット端子と、
クロック端子とを含み、
前記制御部は、
前記クロック端子に入力されるクロックの第1のクロックサイクル〜第n(nは2以上の整数)のクロックサイクルのうちの、
前記格納される液体色に対応するID情報に対応する第m(mは1≦m≦nである少なくとも1つの整数)のクロックサイクルと、
前記非格納液体色に対応するID情報に対応する第p(pは1≦p≦nでかつp≠mである少なくとも1つの整数)のクロックサイクルとにおいて、
前記データ端子を介して、前記ホスト装置に対して応答信号を出力することを特徴とする記憶装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記制御部は、
動作モードが通常通信モードであるか、接続検出モードであるかを判定するモード判定部と、
前記応答信号を出力する指示を行う応答部とを含み、
前記応答部は、前記動作モードが前記接続検出モードであると判定された場合に、前記第mのクロックサイクルと、前記第pのクロックサイクルとにおいて、前記応答信号を出力する指示を行うことを特徴とする記憶装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記モード判定部は、前記クロック端子の電圧レベルが第2の電圧レベルである期間に、前記リセット端子の電圧レベルがリセット状態を示す電圧レベルからリセット解除状態を示す電圧レベルに変化した場合に、前記動作モードが前記接続検出モードであると判定することを特徴とする記憶装置。
【請求項7】
請求項5において、
前記モード判定部は、前記リセット端子の電圧レベルがリセット状態を示す電圧レベルである期間に、前記クロック端子の電圧レベルが第1の電圧レベルから第2の電圧レベルに変化した場合に、前記動作モードが前記接続検出モードであると判定することを特徴とする記憶装置。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれかにおいて、
前記応答部は、
電源投入後に、前記クロック端子の電圧レベルが第1の電圧レベルから第2の電圧レベルに変化し、次に前記第2の電圧レベルから前記第1の電圧レベルに変化するタイミングを、前記第1のクロックサイクルの開始タイミングであると判断し、
前記応答部は、
前記開始タイミング後の、前記第mのクロックサイクルと前記第pのクロックサイクルとにおいて、前記応答信号の出力指示を行うことを特徴とする記憶装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の記憶装置を含むことを特徴とする基板。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれかに記載の記憶装置を含むことを特徴とする液体容器。
【請求項11】
請求項1乃至8のいずれかに記載の少なくとも1つの記憶装置との通信処理を行う通信処理部と、
監視部とを含み、
前記監視部は、
前記記憶装置に供給するクロックの第1のクロックサイクル〜第n(nは2以上の整数)のクロックサイクルの各クロックサイクルにおいて、前記記憶装置からの応答信号が出力されたか否かを監視することを特徴とするホスト装置。
【請求項12】
請求項1乃至8のいずれかに記載の記憶装置と、
請求項11に記載のホスト装置とを含むことを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−183807(P2012−183807A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50308(P2011−50308)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】