説明

記憶装置用のサスペンションアセンブリ、方法、および記憶装置

【課題】アクチュエータアームの回転変位および側方変位、ならびにトランスデューサヘッドの側方変位に対処する。
【解決手段】ここに記載され請求される実現化例は、トランスデューサヘッドを支持するために記憶装置で使用されるサスペンションアセンブリを提供することにより、前述の問題に対処する。サスペンションアセンブリは、アクチュエータアームに取付けるためのベースプレートと、ベースプレートに可動に取付けられた可動部とを含む。ベースプレートはアクチュエータアームに固定および/またはクランプされ、可動部は回転中心を中心として回転するよう適合されている。可動部は、その回転中心の実質的に近くにその移動質量の質量中心を有するよう適合されている。一実現化例では、サスペンション作動中のシステムへの慣性負荷を最小限に抑えるよう、その回転中心の実質的に近くにその移動質量の質量中心を動かすために、釣合い錘が可動部に取付けられる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の詳細な説明
背景
磁気ディスクドライブ記憶装置(「ディスクドライブ」)などの記憶装置は、駆動動作中、回転する磁気ディスク媒体の表面の上方近くを飛ぶよう設計された読出/書込トランスデューサ搬送ヘッドを取り入れている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
トランスデューサは、静止した旋回(pivot)軸に搭載された回転型アクチュエータのアームから片持ち梁状に突出するサスペンションアセンブリの自由端に搭載されている。サスペンションアセンブリは、アクチュエータアームに取付けられたベースプレート端部と、ベースプレートからサスペンションアセンブリの自由端へと延在するロードビームとを有しており、そこでトランスデューサ搬送ヘッドは、それが回転中心を中心として作動することを可能にするフレキシャーに搭載されている。回転する磁気ディスク媒体上のデータトラックに対するトランスデューサの位置制御は、アクチュエータアームにおいて誘導される慣性励起負荷によって制限される。なぜなら、ヘッドはサスペンションアクチュエータアセンブリによって作動されるためである。そのようなトルクおよび側方負荷はアクチュエータアームの回転変位および側方変位をそれぞれもたらし、トランスデューサヘッドの側方変位を引き起こす。そのような変位は、トランスデューサヘッドのサーボ制御にとって問題となる妨害を引き起こし得る。
【課題を解決するための手段】
【0003】
要約
ここに記載され、請求される実現化例は、トランスデューサヘッドを支持するために記憶装置で使用されるサスペンションアセンブリを提供することによって、前述の問題に対処する。サスペンションアセンブリは、アクチュエータアームに取付けるためのベースプレートと、ベースプレートに可動に取付けられた可動部とを含む。ベースプレートはアクチュエータアームに固定および/またはクランプされており、可動部は回転中心を中心として回転するよう適合されている。可動部は、その回転中心の実質的に近くにその移動質量の質量中心を有するよう適合されている。一実現化例では、その回転中心の実質的に近くにその移動質量の質量中心を動かすために、釣合い錘が可動部に取付けられる。
【0004】
これらのならびにさまざまな他の特徴および利点は、以下の詳細な説明を読めば明らかとなるであろう。
【0005】
ここに開示されるさまざまな実現化例の性質および利点のさらなる理解は、明細書の残りの部分で説明される図面を参照することによって実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】サスペンションアセンブリを含む例示的なアクチュエータアームアセンブリの上面図である。
【図2】サスペンションアセンブリを含む例示的なアクチュエータアームアセンブリの側面図である。
【図3】例示的なサスペンションアセンブリの上面図である。
【図4】例示的なサスペンションアセンブリの側面図である。
【図5】サスペンションアセンブリの例示的な微作動の上面図である。
【図6】改良された反作用の力および反作用のトルクを示す例示的なグラフである。
【図7】ここに開示されるサスペンションアセンブリの使用を示す例示的な演算の図である。
【図8】ここに開示されるサスペンションアセンブリを製造するための例示的な演算を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
詳細な説明
図1は、例示的なアクチュエータアームアセンブリ100の上面図を示す。一実現化例では、アクチュエータアームアセンブリ100は、データ記憶装置で使用される。そのようなデータ記憶装置は、たとえば、磁気データ記憶装置を含む。アクチュエータアームアセンブリ100は、アクチュエータアームアセンブリ100を作動させるために使用されるボイスコイル104を有するアクチュエータアーム102を含む。アクチュエータアーム102は、一次アクチュエータ旋回位置106を中心として旋回できるように、一次アクチュエータ旋回位置106に位置する旋回軸受を通して記憶装置アセンブリに取付けられる。アクチュエータアームアセンブリ100はまた、アクチュエータアーム102に搭載された二次サスペンションレベルアクチュエータアセンブリ110を含む。サスペンションアセンブリは、ベースプレート112とロードビーム114とを含む。ロードビーム114の一端に、トランスデューサヘッド116が取付けられる。トランスデューサヘッド116は、記憶媒体からデータを読出しおよび/または書込む、読出、書込、または読出/書込トランスデューサを保持するために使用される。一実現化例では、そのようなトランスデューサは、磁気書込素子(「書込ヘッド」と呼ばれることもある)と磁気読出素子(「読出ヘッド」と呼ばれることもある)とを含む統合装置である。書込素子は従来、誘導ヨーク構造を含んでおり、読出素子は従来、多様な種類の磁気抵抗センサのいずれかを含んでいる。
【0008】
アクチュエータアーム102と二次サスペンションアクチュエータアセンブリ110とを有するアクチュエータアームアセンブリ100を提供することは、アクチュエータアームアセンブリ100のトラック位置付け解像度の増加を可能にする。一実現化例では、アクチュエータアーム102は、アクチュエータ旋回位置106を中心として時計回りおよび反時計回りの双方108に旋回するよう適合されている。同様に、二次サスペンションアクチュエータアセンブリ110のロードビーム114も、時計回りおよび反時計回りの双方118に旋回するよう適合されている。ロードビーム114の旋回運動118は、サスペンションアセンブリ取付点122の中心を通過する中心線120上に位置する回転中心を中心とする。
【0009】
一実現化例では、任意の所与の動作に対するアクチュエータアームアセンブリ100の実際の動作中、アクチュエータアーム102が時計回りの方向に旋回すると、ロードビーム116は反時計動作で旋回する。代替的な一実現化例では、ある動作に対して、アクチュエータアーム102およびロードビーム116の双方が同じ方向に旋回し、アクチュエータアーム102およびロードビーム116の変位は互いに位相がずれている。一実現化例では、2つの二次サスペンションアクチュエータアセンブリ110がアクチュエータアームに取付けられ、上方のサスペンションアセンブリは上方のディスク面からデータを読出し/書込むよう適合されており、下方のサスペンションアセンブリは下方のディスク面からデータを読出し/書込むよう適合されている。上方のサスペンションアセンブリおよび下方のサスペンションアセンブリの各々のタイミングおよび作動方向は、互いに若干ずれていてもよい。さらに別の代替的な実現化例では、アクチュエータアーム102およびロードビーム116の旋回運動は双方とも反対方向であり、互いに位相がずれている。
【0010】
サスペンションアセンブリの作動は、アクチュエータアームアセンブリに対する並進慣性(またはオフトラック)負荷および回転慣性負荷を誘導する。位相がずれた実現化例では、慣性負荷は長手方向軸を中心とするトルクを誘導し、軸は、アクチュエータ旋回位置106の中心とサスペンションアセンブリ取付点122の中心とを通過している。同相の実現化例では、並進負荷が、アクチュエータアームアセンブリ100への並進(ストロークの方向)負荷を誘導する。アクチュエータアームアセンブリ100の一実現化例では、ロードビーム114は、二次サスペンションアクチュエータアセンブリ110の移動質量(以下、「移動質量」と呼ぶ)の質量中心を、その回転中心のより近くに有するよう適合されており、そのため、回転トルクおよび側方力の妨害による組合された負荷が、トランスデューサヘッド116の意図しない変位を引起さないようになっている。その結果、トランスデューサヘッド116の正または負の行き過ぎ量は、実質的にゼロとなり得る。たとえば、移動質量の質量中心が回転中心に実質的により近くなるように、錘がロードビーム114に、ロードビーム114の回転中心とサスペンションアセンブリ取付点122との間の位置で取付けられる。釣合い錘の位置および量は、1つ以上の軸に沿った反作用の力の要求される減少に基づいて決定される。移動質量の質量中心と回転中心とが同一配置(collocation)に近付くと、システムへの(並進または回転)慣性負荷が最小限に抑えられる。ロードビーム114に取付けられた錘による移動質量の質量中心の操作は、回転中心をトランスデューサから離すために使用され、二次サスペンションアセンブリ110の作動によるシステムへの慣性負荷の最小化という利点を利用しながら、ストロークの増加を可能にする。
【0011】
図2は、例示的なアクチュエータアームアセンブリ200の側面図を示す。アクチュエータアームアセンブリ200は、一次アクチュエータ旋回位置(図示せず)を中心として旋回できるように記憶装置アセンブリに取付けられたアクチュエータアーム202を含む。アクチュエータアームアセンブリ200を作動させるために、ボイスコイル204が使用される。アクチュエータアームアセンブリ200はまた、アクチュエータアーム202に搭載されたサスペンションアセンブリ210を含む。サスペンションアセンブリ210は、ベースプレート212とロードビーム214とを含む。ロードビーム214の一端に、トランスデューサヘッド216が取付けられる。トランスデューサヘッド216は、記憶媒体からデータを読出しおよび/または書込む、読出、書込、または読出/書込トランスデューサを保持するために使用される。
【0012】
図3は、例示的なサスペンションアセンブリ300の上面図を示す。サスペンションアセンブリ300は、サスペンションアセンブリ300をアクチュエータアームに取付けるために使用されるベースプレート302を含む。一実現化例では、ベースプレート302は、アクチュエータアームのかしめ穴に接続されるその搭載場所端部でかしめスパッド310を用いてアクチュエータアームにかしめ搭載される。
【0013】
一実現化例では、アクチュエータ312および314は、単一または多層セラミック圧電アクチュエータ材料を用いて構成された圧電アクチュエータである。しかしながら、代替的な実現化例では、単一の圧電アクチュエータが使用されてもよい。一実現化例では、アクチュエータ312および314は、それらへの電気的接続を簡略化するために、分極が逆となっている。たとえば、一実現化例では、各アクチュエータ312,314の一方側は導電性エポキシなどを用いてベースプレート302に短絡される一方、他方側は別の電力リード線に配線接続される。差動電圧が印加されると、アクチュエータ312、314のうちの一方は長手方向に伸長するよう分極される一方、他方のアクチュエータは長手方向に収縮するよう設計されている。ここで使用されるように、「長手方向に」という用語は、ベースプレート302からトランスデューサヘッド306を通って延在するサスペンションアセンブリ300の長手方向寸法を指す。図3に開示した実現化例は、アクチュエータ312、314が互いに平行ではないことを示しているが、代替的な実現化例では、アクチュエータ312、314は互いに平行である。また、図3の実現化例は、アクチュエータ312、314がサスペンションアセンブリ取付点310に長手方向に重なっていないことを示しているが、代替的な一実現化例では、アクチュエータ312、314はサスペンションアセンブリ取付点310に長手方向に重なるように位置している。言い換えれば、代替的な一実現化例では、サスペンションアセンブリ取付点310は、図3に示すものよりもロードビーム304により近い。
【0014】
一実現化例では、ロードビーム304は、4バー連結機構に従ってベースプレート302に取付けられる。4バー連結機構は、制御機構が回転中心の位置を特定することを可能にする。アクチュエータ312、314の伸長および収縮は、ロードビーム304の時計回りおよび反時計回りの回転316を提供する。ロードビーム304の回転中心は、長手方向軸318上に位置している。一実現化例では、移動質量の質量中心も長手方向軸318上に位置し、それは回転中心の実質的に近くに位置している。たとえば、図3に示す実現化例では、回転中心と移動中心の質量中心とは双方とも、同じ位置320に位置している。代替的な一実現化例では、移動質量の質量中心は、回転中心に比べ、ベースプレート302寄りに、またはトランスデューサヘッド306寄りに位置している。
【0015】
一実現化例では、ロードビーム304は、移動質量の質量中心がその回転中心の実質的に近くになるように、質量分布を考慮して設計されている。しかしながら、代替的な一実施例では、移動質量の有効質量中心がその回転中心の実質的に近くになるように、釣合い錘がロードビーム304に、その回転中心とベースプレート302との間の位置で取付けられる。釣合い錘は、回転中心320の左側で、すなわち回転中心320からベースプレート302寄りにロードビームに取付けられるため、釣合い錘は、トランスデューサヘッド306の並進方向とは反対の方向に変位するであろう。ロードビーム304に取付けられた釣合い錘(ここでは図示せず)は、ロードビーム304の上方または下方に位置していてもよい。一実現化例では、釣合い錘がロードビーム304に取付けられる位置、および釣合い錘の重量は、とりわけ、アクチュエータアームの所望の回転中心位置に基づいている。具体的には、釣合い錘の位置および重量は、釣合い錘およびロードビーム304の角加速度によって生じる力が実質的に互いを相殺するように決定される。
【0016】
代替的な一実現化例では、釣合い錘はロードビーム304に可動に取付けられる。そのような一実現化例では、釣合い錘の場所は、長手方向軸318に沿って、回転中心320とベースプレート302との間で変化してもよい。たとえば、一実現化例では、釣合い錘の位置は、探索信号がアクチュエータアセンブリによって実行されることに基づいて、軸318に沿って、回転中心寄りに、または回転中心から離れるように動かされてもよい。
【0017】
図4は、例示的なサスペンションアセンブリ400の側面図を示す。サスペンションアセンブリ400は、サスペンションアセンブリ取付点410でアクチュエータアームに取付けられるベースプレート402を含む。ベースプレート402に、ロードビーム404がサスペンションレベル作動412を介して可動に取付けられる。ロードビーム404にトランスデューサヘッド406が取付けられる。トランスデューサヘッド406は、ディスクドライブのトラックなどの記憶媒体からデータを読出/書込可能なトランスデューサ408を含む。
【0018】
サスペンションアセンブリ400は、ロードビーム404の底に取付けられた釣合い錘を含む。ロードビーム404の長さに沿った釣合い錘420の位置422は、サスペンションアセンブリ400にかかる1つ以上の慣性負荷の計算と、サスペンションアセンブリ400の回転中心および質量中心の現在の位置とに基づいて決定される。図4の実現化例は、ロードビーム404の底に取付けられた釣合い錘420を示しているが、代替的な一実施例では、釣合い錘420は、ロードビーム404の上方、側方、または他の位置に取付けられる。一実現化例では、釣合い錘420は、ベースプレート402の一部である。
【0019】
図5は、サスペンションアセンブリ500の例示的な微作動の上面図を示す。サスペンションアセンブリ500は、サスペンションアセンブリ取付点510でアクチュエータアセンブリのアクチュエータアームに取付けられるベースプレート502を含む。サスペンションアセンブリ500はまた、ロードビーム504と、第1のアクチュエータ512と、第2のアクチュエータ514とを含む。一実現化例では、アクチュエータが作動されるとベースプレート502の一部がロードビーム504とともに動くような態様で、ロードビーム504はベースプレート502に取付けられる。たとえば、図5に示す実現化例では、第1のアーム520、第2のアーム522、および接続バー524は、励起信号が第1のアクチュエータ512および第2のアクチュエータ514に印加されると、第1のアーム520、第2のアーム522、および接続バー524がロードビーム504とともに動く(または撓む)ように、ベースプレート502およびロードビーム504の一部となっている。
【0020】
ロードビーム504にトランスデューサヘッド506が取付けられ、トランスデューサヘッド506は、磁気ディスクドライブなどの記憶装置からデータを読出すおよび/または書込むトランスデューサ(図示せず)を含む。サスペンションアセンブリ500の実現化例は、ロードビーム504がその回転中心530を中心として回転するようにする作動信号に応答するサスペンションアセンブリ500の微作動を示している。図示された実施例では、回転中心530は軸532の上に位置している。微作動により、ロードビーム504は504aによって示されるような新しい位置へと回転し、トランスデューサヘッド506は506aによって示されるような新しい位置へと回転する。
【0021】
ロードビーム504の回転は、第1のアクチュエータ512の512aへの拡張、および第2のアクチュエータ514の514aへの収縮によって生じる。サスペンションアセンブリ500の反対方向への運動を引起すには、アクチュエータ512および514に、第1のアクチュエータ512が収縮し、第2のアクチュエータ514が拡張するように励起信号が与えられる。アクチュエータ512および514の励起は、サスペンションアセンブリが取付けられるアクチュエータアームの運動とともに、トランスデューサヘッド506上のトランスデューサの所望の位置への運動を引起す。環境によっては、アクチュエータアームおよびサスペンションアセンブリ500の同時運動は、長手方向軸532を中心とするトルク、および/またはトランスデューサストロークの方向の力を誘導し、それはトランスデューサヘッド506のさらなる変位をもたらす。そのような回転変位は、トランスデューサヘッド506の精密なサーボ制御にとって問題となり得る。
【0022】
サスペンションアセンブリ500の一実現化例では、移動質量の質量中心がロードビーム504の回転中心530の実質的に近くになるように、釣合い錘がロードビーム504に取付けられる。一実現化例では、釣合い錘は、長手方向軸532に沿って、回転中心530とサスペンションアセンブリ取付点510との間の位置で、ロードビーム504に取付けられる。
【0023】
図6は、回転中心を移動質量の質量中心の実質的に近くに動かすことによる改良された側方力および/または回転トルクを示す例示的なグラフを示す。グラフ601は、Y方向における、すなわち長手方向軸318、532と直交する方向に沿ったベースプレートの反作用の力を開示している。具体的には、グラフ601は、サスペンションアセンブリの回転運動のさまざまな周波数でのY方向に沿ったそのような反作用の力を示す。グラフ601の線603は、移動質量の質量中心を回転中心の実質的に近くに動かさずに作動されたサスペンションでのそのような反作用の力を示す。一方、グラフ601の線605は、移動質量の質量中心をその回転中心の実質的に近くに動かした後でのそのような反作用の力を示す。
【0024】
グラフ611は、X方向に沿った、すなわち長手方向軸318、532に沿ったベースプレート反作用のトルクを開示している。具体的には、グラフ611は、サスペンションアセンブリの回転運動のさまざまな周波数でのX方向に沿ったそのような反作用のトルクを示す。グラフ611の線613は、移動質量の質量中心を回転中心の実質的に近くに動かさずに作動された従来のサスペンションでのそのような反作用のトルクを示す。一方、グラフ611の線615は、移動質量の質量中心をその回転中心の実質的に近くに動かした後でのそのような反作用のトルクを示す。
【0025】
同様に、グラフ621は、Z方向に沿った、すなわち上述のようなX方向およびY方向の双方と直交する方向に沿ったベースプレート反作用のトルクを開示している。具体的には、グラフ621は、サスペンションアセンブリの回転運動のさまざまな周波数でのZ方向に沿ったそのような反作用のトルクを示す。グラフ621の線623は、移動質量の質量中心を回転中心の実質的に近くに動かさずに作動されたサスペンションでのそのような反作用のトルクを示す。一方、グラフ621の線625は、移動質量の質量中心をその回転中心の実質的に近くに動かした後でのそのような反作用のトルクを示す。
【0026】
上述のグラフ601、611、および621によって示すように、ここに開示されるように移動質量の質量中心を回転中心に整列させることは、反作用の力および反作用のトルクを各軸に沿って減少させ、サスペンションアセンブリに取付けられたアクチュエータアームに印加される組合された慣性負荷の減少を実質的にもたらす。そのような力の減少はトランスデューサヘッドの側方および/または回転変位の低下をもたらし、それは次にトランスデューサヘッドのサーボ制御のより良好な精度をもたらす。
【0027】
図7は、ここに開示されるサスペンション負荷アセンブリを用いるための演算を有する例示的なプログラム700を示す。プログラム700の一実現化例は、ソフトウェア、ファームウェア、または回路がプログラム700の1つ以上の演算を行なうことを可能にする。提供演算702は、釣合い錘がそのロードビームに取付けられたサスペンションアセンブリを提供する。一実現化例では、釣合い錘の位置および重量は、サスペンションアセンブリの回転中心およびサスペンションアセンブリの質量中心が互いに実質的に近くにあるようになっている。一実現化例では、釣合い錘の位置および重量は、サスペンションアセンブリの回転中心および移動質量の質量中心が互いに実質的に近くにあるようになっている。釣合い錘は、移動質量の質量中心をベースプレート寄りに動かしてストロークを増加させるよう機能する。なぜなら、回転中心がそれに従うためである。
【0028】
サスペンションアセンブリ構造全体についての情報、釣合い錘および釣合い錘の位置についての情報、ならびにサスペンションアセンブリについての慣性情報が、サスペンションアセンブリの運動を制御するサーボコントローラに提供される。決定演算704は、そのような情報を、そのような情報に基づいて励起信号を生成する構造の伝達関数とともに使用して、トランスデューサヘッドの所与の変位に必要とされる励起信号を決定する。一実現化例では、サーボコントローラはそのような情報を用いて、サスペンションアセンブリの回転中心とサスペンションアセンブリの移動質量の質量中心との間の距離を決定する。一実現化例では、釣合い錘の位置は動的に決定される。
【0029】
次に、励起演算706は、サスペンションアセンブリに取付けられたアクチュエータに励起信号を提供する。一実現化例では、励起信号は、アクチュエータのうちの一方を拡張させ、他方を収縮させる。アクチュエータのそのような協調的な拡張および収縮により、サスペンション移動質量はその回転中心を中心として回転するようになり、トランスデューサヘッドが磁気ディスクなどの回転媒体に沿って径方向に動くようになる。
【0030】
記録演算708は、1つ以上の軸に沿って生じたさまざまな反作用の力および/または反作用のトルクを記録する。一実現化例では、ベースプレートのY軸に沿って生じた力と、ベースプレートのX軸およびZ軸に沿って生じたトルクとが記録される。そのような記録された情報は、サスペンションアセンブリの次の使用中、決定演算704によって使用される。釣合い錘の位置が動的に決定される一実現化例では、記録演算中に記録された情報は、サスペンションアセンブリの次の使用中、釣合い錘の位置を決定するためにも使用される。
【0031】
図8は、ここに開示されるサスペンションアセンブリを製造するための演算を有する例示的なプログラム800を示す。プログラム800の一実現化例は、ソフトウェア、ファームウェア、または回路がプログラム800の1つ以上の演算を行なうことを可能にする。決定演算802は、サスペンションアセンブリのロードビームの回転中心を決定する。回転中心は、ロードビームの長さと、ロードビームを動かすのに使用されるアクチュエータの長さとに基づいて決定される。一実現化例では、サスペンションアセンブリの4バー連結(ここでは図示せず)実現化例のパラメータを用いたアルゴリズムを用いて、ロードビームの回転中心を決定する。代替的な一実現化例では、ロードビームの実際の運動に基づいた経験上のデータを使用して、回転中心を決定する。
【0032】
次に、決定演算804は、移動質量の質量中心の所望の位置を決定する。一実現化例では、質量中心の所望の位置は、さまざまな軸に沿った力およびトルクについての情報に基づいて決定され、そのような情報は、さまざまな周波数でのサスペンションアセンブリの運動についての多くのシミュレーションに基づいて決定される。次に、質量中心がサスペンションアセンブリの長手方向軸に沿った多くの異なる位置に位置する状態でのシミュレーションに基づいて、質量中心の所望の位置が決定される。一実現化例では、質量中心は、回転中心に位置するように決定される。
【0033】
決定演算806は、ロードビームの質量中心が演算804により決定された位置にあるように、サスペンションアセンブリのロードビームに取付けられる必要のある釣合い錘の重量および位置を決定する。一実現化例では、釣合い錘の重量および位置の多くの組合せが使用可能であり、そのような1つの組合せは、サスペンションアセンブリを動かすのに費やされるエネルギ、サスペンションアセンブリを動かす際に生じるノイズなどの代替的な基準に基づいて決定される。たとえば、一実現化例では、釣合い錘の位置および重量は、ある範囲の周波数についてある軸に沿って力/トルクの所望のプロファイルを生成するように決定される。
【0034】
取付演算808は、決定演算806によって決定された重量および位置通りに製造された釣合い錘を、サスペンションアセンブリのロードビームに取付ける。釣合い錘は、溶接、捩じ込みなどを含む多くの異なる機構のうちの1つを用いてロードビームに取付けられる。釣合い錘をロードビームに取付ける方法は、ロードビームに使用される材料、釣合い錘に使用される材料、サスペンションアセンブリに対して予想される摩耗および損傷、釣合い錘を取外すために望まれる柔軟性などに依存する。
【0035】
ここに説明されたさまざまな実現化例は、1つ以上のコンピュータシステムにおける論理ステップとして実現される。論理演算は、(1)1つ以上のコンピュータシステムにおいて実行される、プロセッサにより実現される一連のステップとして、および(2)1つ以上のコンピュータシステム内の相互接続された機械または回路モジュールとして実現される。一実現化例では、ここに開示された演算の1つ以上は、プロセッサを用いて実現される。たとえば、ここに開示されたさまざまな演算の1つ以上のステップを実現するために、サスペンションアセンブリの運動を制御するサーボコントローラに取付けられたプロセッサが使用される。実現化例は選択事項であり、実現に使用されるコンピュータシステムの性能要件に依存する。したがって、ここに説明された実現化例を作り上げる論理演算は、演算、ステップ、オブジェクト、またはモジュールとさまざまに呼ばれる。また、特に明示的に請求されない限り、または請求項の文言によって特定の順序が本質的に必要とされない限り、論理演算は任意の順序で行なわれてもよい、ということが理解されるべきである。
【0036】
上述の明細書、例、およびデータは、例示的な実現化例の構造および使用の完全な説明を提供する。この発明の多くの実現化例はこの発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ得るため、この発明は添付された請求項に存在する。また、異なる実現化例の構造的特徴を、さらに別の実現化例において、記載された請求項から逸脱することなく組合せてもよい。上述の実現化例および他の実現化例は、請求項の範囲内にある。
【符号の説明】
【0037】
102:アクチュエータアーム、110:サスペンションアセンブリ、112:ベースプレート、114:ロードビーム、420:釣合い錘。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶装置用のサスペンションアセンブリであって、
ベースプレートと、
ベースプレートに可動に取付けられ、回転中心を中心として回転するよう適合された可動部とを含み、
可動部は、ベースプレートにかかる1つ以上の慣性負荷が最小限に抑えられるように、回転中心の実質的に近くに質量中心を有するよう適合されている、サスペンションアセンブリ。
【請求項2】
可動部に取付けられた釣合い錘をさらに含む、請求項1に記載のサスペンションアセンブリ。
【請求項3】
釣合い錘は、回転中心とベースプレートとの間の位置で可動部に取付けられる、請求項2に記載のサスペンションアセンブリ。
【請求項4】
可動部の上端はトランスデューサヘッドに取付けられ、上端は、ベースプレートと比べ、回転中心の反対側にある、請求項2に記載のサスペンションアセンブリ。
【請求項5】
質量中心は、回転中心に位置している、請求項1に記載のサスペンションアセンブリ。
【請求項6】
ベースプレートは、アクチュエータアームに可動に取付けられるよう適合されている、請求項1に記載のサスペンションアセンブリ。
【請求項7】
可動部は、複数のアクチュエータによって制御される、請求項1に記載のサスペンションアセンブリ。
【請求項8】
アクチュエータは、圧電アクチュエータである、請求項7に記載のサスペンションアセンブリ。
【請求項9】
アクチュエータは、回転中心と質量中心との間に位置している、請求項7に記載のサスペンションアセンブリ。
【請求項10】
釣合い錘は、アクチュエータアームに印加される組合された慣性負荷がゼロとなるような位置で可動部に取付けられる、請求項6に記載のサスペンションアセンブリ。
【請求項11】
アクチュエータアームに取付けられたサスペンションアセンブリの回転中心を決定するステップと、
可動部の所望の質量中心を決定するステップと、
可動部に取付けられる釣合い錘の重量および位置を決定するステップと、
決定された位置で釣合い錘を可動部に取付けるステップとを含む、方法。
【請求項12】
可動部の所望の質量中心を決定するステップは、アクチュエータアームに印加される組合された慣性負荷がゼロとなるように所望の質量中心を決定するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
決定された位置で釣合い錘を可動部に取付けるステップは、決定された位置で釣合い錘を取外し可能に可動部に取付けるステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
可動部を動かすために、複数のアクチュエータに励起信号を提供するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
複数のアクチュエータの各々は、圧電材料で作られている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
アクチュエータ旋回位置を中心としてアクチュエータアームを回転させるステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
アクチュエータアームをサーボコントローラに取付けるステップと、
アクチュエータアームを変位させるために、サーボコントローラからサーボ制御信号を受信するステップとをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
アクチュエータアームの運動を制御するよう適合されたサーボコントローラと、
アクチュエータアームに取付けられたサスペンションアセンブリとを含み、
サスペンションアセンブリは、その質量中心の実質的により近くにその回転中心を有するような態様で設計される、記憶装置。
【請求項19】
サスペンションアセンブリは、サスペンションアセンブリの可動部に取付けられた釣合い錘をさらに含む、請求項18に記載の記憶装置。
【請求項20】
釣合い錘は、アクチュエータアームに印加される組合された慣性負荷がゼロとなるような位置で可動部に取付けられる、請求項19に記載の記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−89281(P2013−89281A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−224990(P2012−224990)
【出願日】平成24年10月10日(2012.10.10)
【出願人】(500373758)シーゲイト テクノロジー エルエルシー (278)
【Fターム(参考)】