説明

記憶装置

【課題】記憶部に複数のコンテンツ及び複数のパラメータが記憶されている場合であっても、コントローラの構成及び処理内容が複雑になることを回避し得る記憶装置を得る。
【解決手段】記憶装置1は、論理アドレスS2を物理アドレスS4に変換するアドレス変換部3と、複数のコンテンツ及び複数のパラメータが記憶されたメモリセルアレイ4とを備える。複数のコンテンツには、第1のコンテンツC1と第2のコンテンツC2とが含まれる。複数のパラメータには、メモリセルアレイ4から第1のコンテンツC1を読み出すための第1のパラメータP1と、メモリセルアレイ4から第2のコンテンツC2を読み出すための第2のパラメータP2とが含まれる。アドレス変換部3は、パラメータに関する論理アドレスS2を、選択信号S3に基づいて、第1のパラメータP1に対応する物理アドレス、又は第2のパラメータP2に対応する物理アドレスに変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶装置に関し、特に、複数のコンテンツが記憶された記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記憶装置においては、複数のコンテンツ及び複数のパラメータが、メモリセルアレイ等の記憶部に記憶される場合がある。ここで、各コンテンツは、それに対応するパラメータを用いた所定の処理によって、記憶部から読み出される。
【0003】
なお、複数のコンテンツが記憶された記憶装置に関連する技術は、例えば下記特許文献1に開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−225577号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
記憶装置からコンテンツを読み出す際には、外部装置から記憶装置に入力されるリードコマンドに含まれている論理アドレスを、記憶装置内のコントローラによって物理アドレスに変換する処理が必要である。ここで、上記のように複数のコンテンツ及び複数のパラメータが記憶部に記憶されている場合には、各コンテンツ及び各パラメータは、それぞれ異なる物理アドレスに格納されている。従って、リードコマンドにおいても各コンテンツ及び各パラメータごとに異なる論理アドレスを設定する必要があるため、論理アドレスが膨大となって、コントローラの構成及び処理内容が複雑となる。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、記憶部に複数のコンテンツ及び複数のパラメータが記憶されている場合であっても、コントローラの構成及び処理内容が複雑になることを回避し得る記憶装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る記憶装置は、論理アドレスを物理アドレスに変換するアドレス変換部と、複数のコンテンツ及び複数のパラメータが記憶された記憶部とを備え、前記複数のコンテンツには、第1のコンテンツと、第2のコンテンツとが含まれ、前記複数のパラメータには、前記記憶部から前記第1のコンテンツを読み出すための第1のパラメータと、前記記憶部から前記第2のコンテンツを読み出すための第2のパラメータとが含まれ、前記アドレス変換部は、パラメータに関する論理アドレスを、所定の選択信号に基づいて、前記第1のパラメータに対応する物理アドレス、又は前記第2のパラメータに対応する物理アドレスに変換することを特徴とする。
【0008】
第2の発明に係る記憶装置は、第1の発明に係る記憶装置において特に、前記アドレス変換部はさらに、コンテンツに関する論理アドレスを、所定の選択信号に基づいて、前記第1のコンテンツに対応する物理アドレス、又は前記第2のコンテンツに対応する物理アドレスに変換することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1の発明に係る記憶装置によれば、アドレス変換部は、パラメータに関する論理アドレスを、所定の選択信号に基づいて、第1のパラメータに対応する物理アドレス、又は第2のパラメータに対応する物理アドレスに変換する。従って、外部装置から記憶装置に入力されるリードコマンドにおいては、第1のパラメータ及び第2のパラメータに関して、共通の論理アドレスを設定することができる。その結果、各パラメータごとに異なる論理アドレスを設定する必要がないため、記憶装置内のコントローラの構成及び処理内容が複雑になることを回避することができる。
【0010】
第2の発明に係る記憶装置によれば、アドレス変換部は、コンテンツに関する論理アドレスを、所定の選択信号に基づいて、第1のコンテンツに対応する物理アドレス、又は第2のコンテンツに対応する物理アドレスに変換する。従って、外部装置から記憶装置に入力されるリードコマンドにおいては、第1のコンテンツ及び第2のコンテンツに関して、共通の論理アドレスを設定することができる。その結果、各コンテンツごとに異なる論理アドレスを設定する必要がないため、記憶装置内のコントローラの構成及び処理内容が複雑になることを回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係る記憶装置1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、記憶装置1は、コントローラ2、アドレス変換部3、及びメモリセルアレイ4(記憶部)を備えて構成されている。コントローラ2には、ホストコンピュータ等の外部装置から、リードコマンドS1が入力される。リードコマンドS1には、論理アドレスS2が含まれている。アドレス変換部3には、コントローラ2から、論理アドレスS2と、選択信号S3とが入力される。メモリセルアレイ4には、アドレス変換部3から、物理アドレスS4が入力される。物理アドレスS4に対応する情報(コード又はデータ)S5がメモリセルアレイ4から読み出され、コントローラ2に入力される。
【0013】
図2は、メモリセルアレイ4の記憶内容を示す図である。メモリセルアレイ4には、複数のコンテンツC1,C2と、複数のパラメータP1,P2とが記憶されている。図2に示した例では、パラメータP1が記憶されている領域の先頭アドレスは物理アドレス「B100」であり、コンテンツC1が記憶されている領域の先頭アドレスは物理アドレス「B110」であり、パラメータP2が記憶されている領域の先頭アドレスは物理アドレス「B200」であり、コンテンツC2が記憶されている領域の先頭アドレスは物理アドレス「B210」である。
【0014】
コンテンツは、任意の情報であり、例えば、任意の画像・映像データ、任意の音楽・音声データ、任意のプログラム、又はこれらの組合せである。例えばコンテンツが小説又は写真集等の電子書籍である場合、コンテンツC1はある書籍の文字・画像データであり、コンテンツC2は別の書籍の文字・画像データである。あるいは、コンテンツC1はある書籍のある章の文字・画像データであり、コンテンツC2はその書籍の別の章の文字・画像データである。例えばコンテンツが映画である場合、コンテンツC1はある映画の映像・音声データであり、コンテンツC2は別の映画の映像・音声データである。例えばコンテンツが音楽である場合、コンテンツC1はある曲の音楽データであり、コンテンツC2は別の曲の音楽データである。図2では、説明の簡単化のため、メモリセルアレイ4に2個のコンテンツC1,C2が記憶されている例を示しているが、コンテンツの個数は2個に限らず、3個以上であっても良い。
【0015】
パラメータP1は、メモリセルアレイ4からコンテンツC1を読み出すために必要な情報である。例えば、コンテンツC1に対応するリードコマンドS1が暗号化されている場合に、コントローラ2は、パラメータP1を用いて、その暗号化されたリードコマンドS1を復号することが可能である。あるいは、コンテンツC1が暗号化されたデータである場合に、コントローラ2は、パラメータP1を用いて、その暗号化されたデータを復号することが可能である。
【0016】
同様に、パラメータP2は、メモリセルアレイ4からコンテンツC2を読み出すために必要な情報である。例えば、コンテンツC2に対応するリードコマンドS1が暗号化されている場合に、コントローラ2は、パラメータP2を用いて、その暗号化されたリードコマンドS1を復号することが可能である。あるいは、コンテンツC2が暗号化されたデータである場合に、コントローラ2は、パラメータP2を用いて、その暗号化されたデータを復号することが可能である。
【0017】
図3は、アドレス変換部3の具体的な構成を示すブロック図である。図3に示すように、アドレス変換部3は、アドレス変換回路11A,11B及び選択回路12を備えて構成されている。アドレス変換回路11A,11Bには、コントローラ2から、論理アドレスS2が入力される。選択回路12には、アドレス変換回路11A,11Bから、物理アドレスS4が入力される。具体的には、アドレス変換回路11Aから物理アドレスS4Aが入力され、アドレス変換回路11Bから物理アドレスS4Bが入力される。また、選択回路12には、コントローラ2内のモード判別回路10から、選択信号S3が入力される。
【0018】
図4,5は、メモリセルアレイ4の論理イメージと物理イメージとの対応関係を示す図である。以下、図3〜5を参照して、本実施の形態に係る記憶装置1の動作について説明する。
【0019】
図3を参照して、モード判別回路10は、モードを判別する。具体的に、外部装置から記憶装置1へのリードコマンドS1の送信に先立って、外部装置から記憶装置1に、モードを示す所定のコマンド(以下「モード指定コマンド」と称す)が送信される。モード判別回路10は、そのモード指定コマンド内の特定のビットの値に基づいて、現在設定されているモードを判別する。例えば、モード判別回路10は、その特定のビットの値が「0」である場合はモードM1が設定されていると判別し、「1」である場合はモードM2が設定されていると判別する。判別したモードに関する情報は、モード判別回路10によって保持されるとともに、選択信号S3として、モード判別回路10から選択回路12に入力される。
【0020】
その後、外部装置から記憶装置1にリードコマンドS1が送信されると、コントローラ2は、リードコマンドS1内から論理アドレスS2を抽出し、その論理アドレスS2をアドレス変換回路11A,11Bに入力する。
【0021】
アドレス変換回路11Aは、論理アドレスS2を物理アドレスS4Aに変換する。アドレス変換回路11Bは、論理アドレスS2を、物理アドレスS4Aとは異なる物理アドレスS4Bに変換する。
【0022】
例えば、図4を参照して、アドレス変換回路11Aは、論理アドレス「A100」を、物理アドレス「B100」(パラメータP1が記憶されている領域の先頭アドレス)に変換し、一方、図5を参照して、アドレス変換回路11Bは、論理アドレス「A100」を、物理アドレス「B200」(パラメータP2が記憶されている領域の先頭アドレス)に変換する。また、図4を参照して、アドレス変換回路11Aは、論理アドレス「A110」を、物理アドレス「B110」(コンテンツC1が記憶されている領域の先頭アドレス)に変換し、一方、図5を参照して、アドレス変換回路11Bは、論理アドレス「A110」を、物理アドレス「B210」(コンテンツC2が記憶されている領域の先頭アドレス)に変換する。アドレス変換回路11A,11Bにおけるアドレス変換の手法としては、変換テーブルを用いた変換処理、又は演算式を用いた演算処理等、任意の手法を用いることができる。
【0023】
なお、図4,5において、論理アドレス「A200」以降の領域はミラー領域として設定されており、論理アドレスS2がミラー領域内の論理アドレス(つまり「A200」以降の論理アドレス)を示す場合には、その論理アドレスが、ミラー領域外の他の論理アドレスに変更される。例えば、論理アドレス「A210」が、論理アドレス「A110」に変更される。あるいは、論理アドレスS2がミラー領域内の論理アドレスを示す場合には、所定のダミーデータをメモリセルアレイ4から読み出して、コントローラ2に入力しても良い。
【0024】
図3を参照して、アドレス変換回路11Aから出力された物理アドレスS4Aは、選択回路4に入力される。同様に、アドレス変換回路11Bから出力された物理アドレスS4Bは、選択回路4に入力される。
【0025】
選択回路4は、選択信号S3がモードM1を示す場合には、物理アドレスS4Aを選択して出力し、一方、選択信号S3がモードM2を示す場合には、物理アドレスS4Bを選択して出力する。選択された物理アドレスS4A又は物理アドレスS4Bは、メモリセルアレイ4に入力される。
【0026】
その結果、モードM1に設定されている場合には、メモリセルアレイ4からパラメータP1及びコンテンツC1を読み出すことが可能となり、一方、モードM2に設定されている場合には、メモリセルアレイ4からパラメータP2及びコンテンツC2を読み出すことが可能となる。
【0027】
モードの設定は、コンテンツの進行に連動して切り換えることが可能である。例えば、コンテンツC1がある電子書籍の第1章のデータであり、コンテンツC2がその電子書籍の第2章のデータである場合において、ユーザが、第1章を読み終えて第2章の最初のページを開いた際に、モードの設定がモードM1からモードM2に自動的に切り換わる。
【0028】
あるいは、モードの設定は、ユーザに与えられた権限に応じて切り換えることも可能である。例えば、コンテンツC1が一の映画のデータであり、コンテンツC2が他の映画のデータである場合において、一の映画の視聴権を購入したユーザに対しては、パラメータP1(及びコンテンツC1)を取得する権限を有するものとして、モードM1が設定され、一方、他の映画の視聴権を購入したユーザに対しては、パラメータP2(及びコンテンツC2)を取得する権限を有するものとして、モードM2が設定される。
【0029】
このように本実施の形態に係る記憶装置1によれば、アドレス変換部3は、パラメータに関する論理アドレス(例えば「A100」)を、選択信号S3に基づいて、パラメータP1に対応する物理アドレス(例えば「B100」)、又はパラメータP2に対応する物理アドレス(例えば「B200」)に変換する。従って、外部装置から記憶装置1に入力されるリードコマンドS1においては、パラメータP1及びパラメータP2に関して、共通の論理アドレスS2を設定することができる。その結果、パラメータP1,P2の各々ごとに異なる論理アドレスを設定する必要がないため、コントローラ2の構成及び処理内容が複雑になることを回避することができる。
【0030】
同様に、本実施の形態に係る記憶装置1によれば、アドレス変換部3は、コンテンツに関する論理アドレス(例えば「A110」)を、選択信号S3に基づいて、コンテンツC1に対応する物理アドレス(例えば「B110」)、又はコンテンツC2に対応する物理アドレス(例えば「B210」)に変換する。従って、外部装置から記憶装置1に入力されるリードコマンドS1においては、コンテンツC1及びコンテンツC2に関して、共通の論理アドレスS2を設定することができる。その結果、コンテンツC1,C2の各々ごとに異なる論理アドレスを設定する必要がないため、コントローラ2の構成及び処理内容が複雑になることを回避することができる。
【0031】
<変形例>
図6は、図5の変形例として、メモリセルアレイ4の論理イメージと物理イメージとの対応関係を示す図である。図6を参照して、アドレス変換回路11Bは、例えば、論理アドレス「A100」を、物理アドレス「B200」(パラメータP2が記憶されている領域の先頭アドレス)に変換し、論理アドレス「A110」を、物理アドレス「B110」(コンテンツC1が記憶されている領域の先頭アドレス)に変換し、論理アドレス「A210」を、物理アドレス「B210」(コンテンツC2が記憶されている領域の先頭アドレス)に変換する。
【0032】
その結果、パラメータP2を取得する権限を有するユーザに対してはモードM2を設定することにより、メモリセルアレイ4からパラメータP2及びコンテンツC1,C2を読み出すことが可能となる。なお、この場合、パラメータP2は、メモリセルアレイ4からコンテンツC1,C2を読み出すために必要な情報となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態に係る記憶装置の構成を示すブロック図である。
【図2】メモリセルアレイの記憶内容を示す図である。
【図3】アドレス変換部の具体的な構成を示すブロック図である。
【図4】メモリセルアレイの論理イメージと物理イメージとの対応関係を示す図である。
【図5】メモリセルアレイの論理イメージと物理イメージとの対応関係を示す図である。
【図6】メモリセルアレイの論理イメージと物理イメージとの対応関係を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1 記憶装置
2 コントローラ
3 アドレス変換部
4 メモリセルアレイ
10 モード判別回路
11A,11B アドレス変換回路
12 選択回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
論理アドレスを物理アドレスに変換するアドレス変換部と、
複数のコンテンツ及び複数のパラメータが記憶された記憶部と
を備え、
前記複数のコンテンツには、第1のコンテンツと、第2のコンテンツとが含まれ、
前記複数のパラメータには、前記記憶部から前記第1のコンテンツを読み出すための第1のパラメータと、前記記憶部から前記第2のコンテンツを読み出すための第2のパラメータとが含まれ、
前記アドレス変換部は、パラメータに関する論理アドレスを、所定の選択信号に基づいて、前記第1のパラメータに対応する物理アドレス、又は前記第2のパラメータに対応する物理アドレスに変換する、記憶装置。
【請求項2】
前記アドレス変換部はさらに、コンテンツに関する論理アドレスを、所定の選択信号に基づいて、前記第1のコンテンツに対応する物理アドレス、又は前記第2のコンテンツに対応する物理アドレスに変換する、請求項1に記載の記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−187249(P2009−187249A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26027(P2008−26027)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】