説明

記録再生装置、記録再生装置の制御方法および制御プログラム

【課題】音声ファイルの記録処理に伴って再生処理が中断された場合、再生処理が中断された時点の再生条件を維持する。
【解決手段】記録媒体21に記録された音声ファイルを所定の再生条件で再生する再生処理を行う再生部25と、外部から取得された記録対象音声データを記録媒体21aに音声ファイルとして記録する記録処理を行う記録部25と、記録対象音声データの記録指示が入力される入力部23とを備え、入力部23に記録指示が入力されると、再生部25における再生処理を中断して、記録部25に記録処理を開始させる記録再生装置2に、再生処理が中断された時点の再生条件を含む音声ファイルの再生状態に関する情報を記憶する記憶部21bと、記録部25による記録処理が終了した場合、記憶部21aに記憶された音声ファイルの再生状態に関する情報に基づいて、再生部25に中断された再生処理を再開させる再生再開制御部26とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データの記録再生を行う記録再生装置、記録再生装置の制御方法および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンパクトディスクプレーヤ等を接続し、音楽CD(Compact Disc)等に記録された複数曲分の音声ファイルを記録媒体に記録し、記録媒体に記録された音声ファイルの再生を行う記録再生装置が知られている。この種の記録再生装置では、音楽CD等に記録された音声ファイル(トラック)を記録媒体に記録する際には、音声ファイルを圧縮しながら半導体メモリあるいはハードディスク等の記録媒体に倍速、4倍速等で記録するとともに、この圧縮された圧縮ファイルを復号して等倍速で再生する再生処理を行っている(例えば、特許文献1参照)。
上記のような記録再生装置では音声ファイルを圧縮して記録するため、記録媒体の記録容量によっては数千曲分の音声ファイルを記録することができるようになっている。
【特許文献1】特開2003−228907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ユーザは、記録媒体に記録された音声ファイルを再生させる際には、数千曲分の音声ファイルの中から再生させる音声ファイルを選択したり、再生順序を指定したりするなど、各種の再生条件を指定することができるようになっている。記録再生装置では、ユーザの指定した再生条件に従って、選択された音声ファイルを指定された順序で再生する。この際、ユーザは、一又は複数の音声ファイルを繰り返し再生させるリピート再生や、複数の音声ファイルをランダムな順序で再生させるランダム再生などの特殊な再生条件を指定することもできるようになっている。
一方、記録媒体に記録された音声ファイルの再生動作中に、ユーザから新たな音楽CDの記録指示が行われると、記録再生装置では音楽CDに含まれる音声ファイルを記録媒体に記録する記録処理を開始する。この際、記録再生装置では、記録指示が入力された際に再生していた音声ファイルの再生を停止し、上述したように、記録媒体に圧縮して記録された圧縮ファイルを、記録媒体に圧縮ファイルが記録された順序で復号しながら再生する。このため、記録指示入力前にユーザにより指定された再生条件は一旦無効となる場合があり、記録処理の終了後にユーザが元の状態で音声ファイルを再生させたいと考えた場合には、改めて再生すべき音声ファイルを選択したり、リピート再生やランダム再生等の再生条件を指定する必要が生じるなど、再生再開操作に手間を要していた。
本発明の課題は、音声ファイルの記録処理に伴って再生処理が中断された場合、再生処理が中断された時点の再生条件を維持することのできる記録再生装置、記録再生装置の制御方法および制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明の記録再生装置は、記録媒体に記録された音声ファイルを所定の再生条件で再生する再生処理を行う再生部と、外部から取得された記録対象音声データを前記記録媒体に前記音声ファイルとして記録する記録処理を行う記録部と、記録対象音声データの記録指示が入力される入力部とを備え、前記入力部に前記記録指示が入力されると、前記再生部における前記再生処理を中断して、前記記録部に前記記録処理を開始させる記録再生装置であって、前記再生処理が中断された時点の前記再生条件を含む前記音声ファイルの再生状態に関する情報を記憶する記憶部と、前記記録部による前記記録処理が終了した場合、前記記憶部に記憶された前記音声ファイルの再生状態に関する情報に基づいて、前記再生部に中断された前記再生処理を再開させる再生再開制御部とを備えることを特徴とする。
上記構成によれば、入力部を介して記録指示が入力された場合、再生部における再生処理が中断されて、記録部により外部から取得された記録対象音声データを記録媒体に音声ファイルとして記録する記録処理が行われる。これとともに、記憶部には、再生処理が中断された時点において、再生部において所定の再生条件により再生されていた音声ファイルの再生状態に関する情報が記憶される。そして、再生再開制御部は、記録部による記録処理が終了した場合、記憶部に記憶された音声ファイルの再生状態に関する情報に基づいて、再生部により中断された再生処理を再開させる。再生状態に関する情報には再生条件に関する情報が含まれている。したがって、音声ファイルの記録処理に伴って再生処理が中断された場合、記録処理が終了した際に、再生処理が中断された時点の再生条件を維持した状態で再生処理を再開させることができ、再生再開操作の手間を省くことができる。
【0005】
上記構成において、前記再生条件には、再生させるべき複数の音声ファイルをランダムな順序で再生させるためのランダム再生に関する条件又は、再生させるべき一又は複数の音声ファイルを所定の順序で繰り返し再生させるためのリピート再生に関する条件を含むようにしてもよい。
上記構成によれば、ランダム再生やリピート再生などの特殊な再生条件で、音声ファイルを再生している際に、再生処理が中断された場合でも、記録処理が終了した際にこれらの特殊な再生条件を維持した状態で再生処理を再開させ、再生再開操作の手間を省くことができる。
【0006】
また、上記構成において、前記再生状態に関する情報には、前記再生処理が中断された時点に再生されていた音声ファイルを特定するための再生ファイル特定情報が含まれ、前記再生再開制御部は、前記記憶部に記憶された前記再生ファイル特定情報に基づいて、前記再生処理を再開させる際に、前記再生処理が中断された時点に再生されていた音声ファイルの再生を再開させるようにしてもよい。
上記構成によれば、記憶部に記憶される再生状態に関する情報には、再生処理が中断された時点に再生されていた音声ファイルを特定するための再生ファイル特定情報が含まれている。また、再生再開制御部は、記録部における記録処理が終了した場合、記憶部に記憶された再生ファイル特定情報に基づいて、再生処理が中断された時点に再生されていた音声ファイルの再生を再開させる。このため、記録処理が終了した際に、記録処理開始時に中断された再生処理との継続性を保った状態で再生処理を再開させ、再生再開操作の手間を省くことができる。
【0007】
また、上記構成において、前記再生状態に関する情報には、前記再生処理が中断された時点に再生されていた音声ファイルの再生中断位置を特定するための再生中断位置特定情報が含まれ、前記再生再開制御部は、前記記憶部に記憶された前記再生中断位置特定情報に基づいて、前記再生処理を再開させる際に、前記再生処理が中断された時点に再生されていた音声ファイルを前記再生中断位置に対応する所定の再生開始位置から再生させるようにしてもよい。
上記構成によれば、記憶部に記憶される再生状態に関する情報には、再生ファイル特定情報の他、再生処理が中断された時点に再生されていた音声ファイルの再生中断位置を特定するための再生中断位置特定情報が含まれる。また、再生再開制御部は、記録部における記録処理が終了した場合、記憶部に記憶された再生中断位置特定情報に基づいて、再生処理が中断された時点に再生されていた音声ファイルを、再生中断位置に対応する所定の再生開始位置から再生を再開させる。したがって、音声ファイルの記録処理に伴って再生処理が中断された場合、記録処理が終了した際に、中断された再生処理との継続性をより保った状態で中断された再生処理を再開させ、再生再開操作の手間を省くことができる。
【0008】
また、本発明の記録再生装置の制御方法は、記録媒体に記録された音声ファイルを所定の再生条件で再生する再生処理を行う再生部と、外部から取得された記録対象音声データを前記記録媒体に前記音声ファイルとして記録する記録処理を行う記録部と、記録対象音声データの記録指示が入力される入力部と、前記再生条件を含む前記音声ファイルの再生状態に関する情報を記憶する記憶部とを備え、前記入力部に前記記録指示が入力されると、前記再生部における前記再生処理を中断して、前記記録部に前記記録処理を開始させる記録再生装置を制御するための記録再生装置の制御方法であって、前記再生処理が中断された場合、前記記憶部に前記再生処理が中断された時点の前記再生条件を含む前記音声ファイルの再生状態に関する情報を記憶する過程と、前記記録部による前記記録処理が終了した場合、前記記憶部に記憶された前記音声ファイルの再生状態に関する情報に基づいて、前記再生部に中断された前記再生処理を再開させる過程と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の制御プログラムは、記録媒体に記録された音声ファイルを所定の再生条件で再生する再生処理を行う再生部と、外部から取得された記録対象音声データを前記記録媒体に前記音声ファイルとして記録する記録処理を行う記録部と、記録対象音声データの記録指示が入力される入力部と、前記再生条件を含む前記音声ファイルの再生状態に関する情報を記憶する記憶部とを備え、前記入力部に前記記録指示が入力されると、前記再生部における前記再生処理を中断して、前記記録部に前記記録処理を開始させる記録再生装置を制御するための制御プログラムであって、前記再生処理が中断された場合、前記記憶部に前記再生処理が中断された時点の前記再生条件を含む前記音声ファイルの再生状態に関する情報を記憶させ、前記記録部による前記記録処理が終了した場合、前記記憶部に記憶された前記音声ファイルの再生状態に関する情報に基づいて、前記再生部に中断された前記再生処理を再開させること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、記憶部には、再生処理が中断された時点において、再生部において所定の再生条件により再生されていた音声ファイルの再生状態に関する情報が記憶される。そして、再生再開制御部は、記録部による記録処理が終了した場合、記憶部に記憶された音声ファイルの再生状態に関する情報に基づいて、再生部により中断された再生処理を再開させる。再生状態に関する情報には再生条件に関する情報が含まれている。したがって、音声ファイルの記録処理に伴って再生処理が中断された場合、記録処理が終了した際に、再生処理が中断された時点の再生条件を維持した状態で再生処理を再開させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明に係る記録再生装置を適用したオーディオ装置1の構成を示す図である。オーディオ装置1は、例えば自動車の車室内に配設され、同じく車室内に配設されたスピーカ(図示略)に対して音声信号を出力し、車室内の音響再生を行うものである。
図1に示すように、オーディオ装置1は、センターユニット2(記録再生装置)とチェンジャーユニット3とを備え、センターユニット2にディスク型記録媒体4をセット可能なドライブ20を備えるとともに、チェンジャーユニット3には複数のディスク型記録媒体4をセットすることができるようになっている。オーディオ装置1では、これらドライブ20及びチェンジャーユニット3にセットされたディスク型記録媒体4に記録された音声ファイルを再生し、車室内の音響再生を行う構成となっている。
ここで、ディスク型記録媒体4としては、音声データ(楽曲データ)を音声ファイル(トラック)として格納したもの(例えば、CD−DA規格に準じた音楽CD、ミニディスク、DVD−Audio等)や、映像データと音声データとを映像ファイルとして格納したもの(例えば、DVD−Video等)を用いることが可能であるが、本実施の形態においては音楽CDを用いた場合について説明する。
【0012】
また、本実施の形態のオーディオ装置1は、ドライブ20又はチェンジャーユニット3にセットされたディスク型記録媒体4に記録された音声ファイルが記録(録音)されるメモリ21(記録媒体)を有している。本実施の形態ではメモリ21に音声ファイルを記録する際、所定の音声圧縮技術を用いて、音声データのデータフォーマットの変換を行う。音声圧縮技術としては、MP3(MPEG-1 audio layer-3)や、WMA(windows media audio)、AAC(advanced audio coding)等、各種のものを用いることができる。
さらに、本実施の形態のオーディオ装置1は、ドライブモード、チェンジャーモードおよびメモリモードの3つの動作モードを切り換えて実行することができるようになっている。ドライブモードではドライブ20が音源として選択され、チェンジャーモードではチェンジャーユニット3が音源として選択され、メモリモードではメモリ21が音源として選択される。各動作モードではそれぞれ選択された音源から、記録指示により指定された音声ファイルを再生するようになっている。なお、これらの動作モードの詳細については後述する。
【0013】
以下、オーディオ装置1の具体的な構成を説明する。
まず、チェンジャーユニット3の構成を説明する。チェンジャーユニット3は、センターユニット2と別体に構成され、上述した通り、複数のディスク型記録媒体4(外部記録媒体)をセットすることができるようになっている。チェンジャーユニット3では、センターユニット2から送信される指示に従って、これら複数のディスク型記録媒体4のうち音声ファイルを読み出すディスク型記録媒体4を切り換え、ディスク型記録媒体4に記録された音声ファイルから音声データを読み出して、読み出した音声データをセンターユニット2に出力するように構成されている。
【0014】
センターユニット2は、上述したドライブ20およびメモリ21の他、チェンジャーユニット3と接続され、チェンジャーユニット3との間で所定の通信プロトコルに従って各種データおよび制御信号を送受信するインタフェース22と、入力部23と、表示部24と、記録再生部25(記録部、再生部)と、メモリ21と、これら各部を制御する制御部26(再生再開制御部)とを備え、これらの各部は相互に接続されている。
【0015】
まず、入力部23と表示部24について説明する。
入力部23は、ユーザにより操作される各種キー、ボタン、スイッチ等の操作部を備え、これら操作部における操作に対応した操作信号を生成し、制御部26へ出力するものである。ユーザは入力部23を介して、動作モードの切り換え操作を行うことができる。また、ユーザはそれぞれの動作モードにおいて、再生させる音声ファイルを選択するための選曲操作を行うことができる。また、ユーザは、入力部23を介して、選曲操作を行うことにより選曲された音声ファイルを特定するための情報を、選曲された順序にリストアップした再生リストを作成することができる。ユーザが再生リストを作成した場合、ユーザは再生リストを指定することにより、ユーザは選曲操作をその都度行わなくとも、再生リストにリストアップされた音声ファイルを再生させることができる。
また、ユーザは、入力部23を介して、選曲された音声ファイルを再生させる際に、選曲された複数の音声ファイルをランダムな順序で再生させるランダム再生や、選曲された一又は複数の再生を繰り返し行うリピート再生等の各種の再生条件の指定操作を行うことができる。
【0016】
表示部24は、表示部24は、LCD(液晶ディスプレイ)パネル等の表示画面を備え、制御部26から入力される表示情報に従って表示画面を駆動し、各種の情報を表示出力するものである。
【0017】
ドライブ20は、制御部26の制御の下、上述したようにドライブ20にセットされたディスク型記録媒体4に記録された音声ファイルから音声データを読み出して、読み出した音声データを記録再生部25に出力するものである。
【0018】
メモリ21は、磁気的記録媒体、光学的記録媒体、或いは半導体記憶素子を用いた記録装置を備えて構成され、ドライブモード若しくはチェンジャーモードにおいて、所定の音声圧縮技術によりデータ量が圧縮された音声ファイルが格納される音声情報格納領域21aと、記録指示に基づいて記録再生部25における再生動作が中断された場合、再生動作が中断された際の再生条件等を含む音声ファイル等の再生状態に関する情報である再生状態情報が格納される再生状態情報格納領域21bとを有している。本実施の形態では、音声ファイルをメモリ21に圧縮して記録することにより、メモリ21には数千曲分の楽曲に相当する音声データが記録されるようになっている。
【0019】
ここで、図2を参照して、音声情報格納領域21aの論理的な構成について説明する。図2に示すように、メモリ21には、音声データを格納するための音声情報格納領域21aとして上位フォルダが設けられ、この上位フォルダ内には複数のフォルダ(フォルダ1、フォルダ2、…フォルダn)が設けられ、各フォルダ内にそれぞれ一又は複数の音声ファイルが格納されるようになっている。
記録再生部25において記録処理が行われる際に、フォルダ1〜nの各フォルダは、それぞれ、アルバム等の1つのディスク型記録媒体4に対応して設けられ、ディスク型記録媒体4に格納された一又は複数曲の楽曲に対応する音声ファイル(トラック)が、対応するフォルダ内に格納されるようになっている。
例えば、図2に示す例では、フォルダ1にはあるディスク型記録媒体4に記録された音声ファイルが記録されるようになっており、当該ディスク型記録媒体4に記録された音声ファイルのうち、3曲分に相当する音声データが、音声ファイルa〜cとしてフォルダ1内に記録されたことを示している。同様に、フォルダ2には他のディスク型記録媒体4に記録された音声ファイルのうち、1曲分に相当する音声データが音声ファイルdとして格納され、フォルダ3には5曲分に相当する音声データが音声ファイルe〜iとして格納された状態を示している。
なお、図2に示す音声情報格納領域21aの構成はあくまで論理的なものであり、上位フォルダ及びフォルダ1〜nの階層構造は仮想的に構築される。従って、メモリ21のデータ格納領域が図2に示す通りに物理的に分割されている必要はない。
【0020】
次に、再生状態情報格納領域21bに格納される再生状態情報について説明する。再生状態情報には、再生が中断された時点において再生されていた音声ファイルを特定するための音声ファイル特定情報、この音声ファイルの再生を開始してから再生が中断された時点までの経過時間等の再生中断位置を特定するための再生中断位置特定情報や、選曲されていた音声ファイルを特定するための選曲ファイル特定情報(再生リストに関する情報を含む)、ランダム再生やリピート再生等の再生順序を指定するための再生条件に関する情報等の他、再生音量等の各種再生条件に関する情報が含まれる。
【0021】
記録再生部25は、上述したように、各動作モードにおいてドライブ20、チェンジャーユニット3、メモリ21のうち動作モードに応じた音源を選択して、選択した音源から音声ファイルを取得して音声ファイルを再生する再生処理を行うとともに、ドライブモードあるいはチェンジャーモードでは、ディスク型記録媒体4に記録された音声ファイルから読み出した音声データ(記録対象音声データ)を所定の音声圧縮技術を用いてデータフォーマットを変換し、データ量を圧縮した音声ファイルをメモリ21に記録する記録処理を行うものである。但し、記録再生部25では、入力部23を介して、ランダム再生やリピート再生等の各種の再生条件が指定されている場合には、この指定された再生条件に従って再生処理を行う。
【0022】
制御部26は、図示しないCPU、RAM、ROM等を備えて構成される。制御部26において、CPUは、RAMの一部を作業領域としてROM等に格納された制御プログラムに従って、これらの協働により、センターユニット2の各部の制御を行う。例えば、入力部23からの指示によりドライブモードが指定された場合には、記録再生部25を制御してドライブモードの動作を行わせ、チェンジャーモードが指定された場合には記録再生部25を制御してチェンジャーモードの動作を行わせ、メモリモードが指定された場合には記録再生部25を制御してメモリモードの動作を行わせる。
【0023】
具体的には、ドライブモードでは、制御部26は、記録再生部25により音源としてドライブ20を選択させ、ドライブ20にセットされたディスク型記録媒体4に記録された音声ファイルのうち、記録指示により指定された音声ファイルを圧縮してメモリ21に記録させる記録処理を行わせるとともに、メモリ21に記録された音声ファイルを復号して音声の再生を行わせる再生処理を行わせる。
【0024】
また、チェンジャーモードでは、制御部26は、記録再生部25により音源としてチェンジャーユニット3を選択させ、チェンジャーユニット3にセットされた複数のディスク型記録媒体4のうち記録指示により指定されたディスク型記録媒体4から、記録指示により指定された音声ファイルを圧縮してメモリ21に記録させる記録処理を行わせるとともに、メモリ21に記録された音声ファイルを復号して音声の再生を行わせる再生処理を行わせる。
【0025】
また、メモリモードでは、制御部26は、記録再生部25を制御して、記録再生部25により音源としてメモリ21を選択させ、メモリ21からユーザにより選曲された音声ファイルを復号して、ユーザにより指定された再生条件に従って、音声ファイルを再生する再生処理を行わせる。
【0026】
また、制御部26は、記録再生部25がメモリモードにおいて動作中に、入力部23を介して動作モードをドライブモード又はチェンジャーモードに切り換える操作が行われた場合、当該操作指示(記録指示)に基づいて、メモリ21における音声ファイルの再生処理を中断するとともに、動作モードの切換を行い、ディスク型記録媒体4に記録された音声ファイルの記録処理および再生処理を行う。そして、本実施の形態では、当該操作指示に基づく記録処理が終了した場合には、制御部26はこの記録処理と並行に行われている再生処理を終了して、動作モードをメモリモードに自動的に切り換え、記録処理開始時に中断された再生処理を再開するように制御する。
以下、図3を参照して、制御部26の制御の下、実行されるこの一連の処理をフローチャートを参照して説明する。但し、当該処理の前提として、オーディオ装置1はメモリモードで動作中であるとして説明する。
【0027】
図3に示すように、制御部26は、入力部23を介して動作モードがメモリモードからドライブモード又はチェンジャーモードに切り換える操作が行われたか否かを監視する(ステップS1)。ここで、メモリモードからドライブモード又はチェンジャーモードに動作モードを切り換える操作が行われたと判別した場合(ステップS1:Y)、制御部26は、当該操作指示に基づいて、記録再生部25を制御して、メモリモードにおける音声データの再生処理を中断し(ステップS2)、再生を中断した音声ファイルを特定するための再生ファイル特定情報、音声ファイルの再生中断位置を特定するための再生中断位置特定情報、選曲された音声ファイルを特定するための選曲ファイル特定情報、ランダム再生やリピート再生等の再生条件に関する情報等を含む再生状態情報をメモリ21の再生状態情報格納領域21bに格納させる(ステップS3)。
【0028】
次いで、制御部26は、メモリ21から指定された動作モードを切り換えるように記録再生部25を制御して、ドライブモードあるいはチェンジャーモードにおいてディスク型記録媒体4に記録された音声ファイルから音声データを読み出して、読み出された音声データのデータフォーマットを所定の音声圧縮技術を用いて変換してメモリ21に音声ファイルとして記録する記録処理を開始させる(ステップS4)。そして、記録処理が終了すると(ステップS5:Y)、制御部26は動作モードを再度メモリモードに切り換え(ステップS6)、メモリ21から再生状態情報を読み出し(ステップS7)、再生状態情報に基づいて再生条件等の設定を行う(ステップS8)。
【0029】
ここで、ステップS2において再生処理が中断された際に、ランダム再生やリピート再生等の特殊な再生条件に従って音声ファイルの再生が行われていた場合、再生処理を再開するに際して、ステップS8では、これらの再生条件を維持すべく、再生処理中断時と同様の再生条件を設定する。例えば、ランダム再生が行われていた場合は、ランダム再生させる音声ファイルとして選択されていた音声ファイルの選曲状態、再生処理が中断されるまでに再生された音声ファイルの数、ランダム計算の内容に基づいて、次に再生させるべき音声ファイルの算出を行う。あるいは、ランダム計算を最初から行い、音声ファイルを再生させる順序を決定してもよい。
【0030】
ステップS8において、再生条件の設定等が終了すると、次に、再生処理が中断された時点において再生されていた音声ファイルに関する情報と、再生中断位置に関する情報に基づいて、再生処理を再開する(ステップS9)。
具体的には、ステップS9では、再生が中断された時点において再生されていた音声ファイルを、再生中断位置に対応する所定の再生開始位置から再生を再開させる。ここで、所定の再生開始位置とは、この音声ファイルの再生が開始されてから再生が中断された時点までの経過時間に相当する位置とすることができる。
【0031】
以上説明した本実施の形態によれば、入力部23を介して動作モードをメモリ21からドライブモード又はチェンジャーモードに切り換える操作指示(記録指示)が入力された場合、記録再生部25ではメモリ21における再生処理を中断し、再生を中断した音声ファイル、音声ファイルの再生中断位置に関する情報、選曲された音声ファイルに関する情報、ランダム再生やリピート再生等の再生条件等を含む再生状態情報をメモリ21の再生状態情報格納領域21bに格納させる。そして、制御部26は、ドライブモード又はチェンジャーモードにおいて、記録再生部25による音声ファイルの記録処理が終了した場合、メモリ21に記憶された再生状態情報に基づいて、録音開始時に中断された再生処理を再開させる。このため、ドライブモード又はチェンジャーモードにおける音声ファイルの記録処理の開始に伴ってメモリ21における音声ファイルの再生処理が中断された場合、記録処理が終了した際に、再生処理が中断された時点の再生条件を維持した状態で再生処理を再開させることができる。
また、再生状態情報には、ランダム再生やリピート再生などの特殊な再生条件に関する情報も含まれるので、メモリ21においてランダム再生やリピート再生などの特殊な再生条件を指定して音声ファイルを再生している際に、動作モードの切り換えにより再生処理が中断された場合でも、記録処理が終了した際にこれらの特殊な再生条件を維持した状態で再生処理を再開させることができる。
【0032】
また、上記実施の形態では、メモリ21において動作モードの切り換えに伴って再生処理が中断された際に、再生状態情報として、再生処理が中断された時点に再生されていた音声ファイルを特定するための再生ファイル特定情報をメモリ21に記憶させている。このため、制御部26は、記録再生部25における記録処理が終了した場合、メモリ21に記憶された再生ファイル特定情報に基づいて、再生処理が中断された時点に再生されていた音声ファイルの再生を再開させることができる。したがって、記録処理が終了した際に、記録処理開始時に中断された再生処理との継続性を保った状態で再生処理を再開させることができる。また、ユーザは、再生処理が中断された時点に再生されていた音声ファイルを選曲するための選曲操作を再度行う必要がなく、再生再開操作の手間を省くことができる。
【0033】
また、上記実施の形態では、メモリ21において動作モードの切り換えに伴って再生処理が中断された際に、再生状態情報として、再生処理が中断された時点に再生されていた音声ファイルの再生中断位置を特定するための再生中断位置特定情報をメモリ21に記憶させている。このため、制御部26は、記録再生部25における記録処理が終了した場合、メモリ21に記憶された再生中断位置特定情報に基づいて、再生処理が中断された時点に再生されていた音声ファイルを再生中断位置に対応する所定の再生開始位置から再生させることができる。
したがって、音声ファイルの記録処理に伴って再生処理が中断された場合、記録処理が終了した際に、ユーザは特別な操作を行うことなく、中断された再生処理との継続性をより保った状態で中断された再生処理を再開させることができる。
【0034】
但し、以上説明した実施の形態は本発明の一態様であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能であるのは勿論である。
例えば、上記実施の形態では、オーディオ装置1がメモリ21において動作中に、動作モードがドライブモード又はチェンジャーモードに切り換えられたときに、自動的にドライブモード又はチェンジャーモードにおいて音声ファイルの記録指示が制御部26に入力され、記録処理が開始されるものとして説明したが、この態様に限定されるものではない。また、上記実施の形態では、ドライブモードあるいはチェンジャーモードでは、ドライブ20又はチェンジャーユニット3にセットされたディスク型記録媒体4に記録された音声ファイルを常にメモリ21に記録する記録処理が行われるものとして説明したが、この態様に限定されるものでもない。例えば、ドライブ20にセットされたディスク型記録媒体4に記録された音声ファイルの再生処理を行っている際に、チェンジャーユニット3にセットされたディスク型記録媒体4に記録された音声ファイルの記録指示が入力された場合に、上記実施の形態と同様にドライブ20にセットされたディスク型記録媒体4に記録された音声ファイルの再生処理を中断させて、この再生状態情報をメモリ21に記憶させて、記録処理が終了した際に再生状態情報に基づいてドライブ20にセットされたディスク型記録媒体4に記録された音声ファイルの再生処理を再開させるようにしてもよい。
【0035】
また、ステップS9において、再生が中断された時点において再生されていた音声ファイルを、音声ファイルの再生が開始されてから再生が中断された時点までの経過時間に相当する位置から再生を再開させるものとして説明したが、単に再生が中断された音声ファイルを改めて最初から再生させてもよい。
【0036】
また、上記実施の形態では、ドライブ20とチェンジャーユニット3とを備えるオーディオ装置1を例に挙げて説明したが、どちらか一方のみを備える構成としてもよい。また、オーディオ装置1をラジオ放送受信部を備える構成とし、ラジオ放送受信部を介して受信したラジオ放送データを記録対象音声データとしてメモリ21に所定の音声ファイル形式で記録するようにしてもよい。そして、メモリ21に所定の音声ファイル形式で記録されたラジオ放送データを所定の再生条件にしたがって再生している際に、新たにラジオ放送の録音指示が入力された場合、ラジオ放送データの再生を一度中断して、ラジオ放送データの再生条件等を含む再生状態情報をメモリ21の再生状態情報格納領域21bに格納しておき、ラジオ放送の録音処理が終了した時点で、メモリ21に記録された再生状態情報を読み出して、中断されたラジオ放送データの再生を再開させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態の記録再生装置を含むオーディオ装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態の音声情報格納領域の論理的構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態の動作を示す処理フローチャートである。
【符号の説明】
【0038】
1 オーディオ装置
2 センターユニット(記録再生装置)
3 チェンジャーユニット
4 ディスク型記録媒体
20 ドライブ
21 メモリ(記録媒体)
21a 音声情報格納領域
21b 再生状態情報格納領域
23 入力部
25 記録再生部(記録部、再生部)
26 制御部(再生再開制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録された音声ファイルを所定の再生条件で再生する再生処理を行う再生部と、外部から取得された記録対象音声データを前記記録媒体に前記音声ファイルとして記録する記録処理を行う記録部と、記録対象音声データの記録指示が入力される入力部とを備え、前記入力部に前記記録指示が入力されると、前記再生部における前記再生処理を中断して、前記記録部に前記記録処理を開始させる記録再生装置であって、
前記再生処理が中断された時点の前記再生条件を含む前記音声ファイルの再生状態に関する情報を記憶する記憶部と、
前記記録部による前記記録処理が終了した場合、前記記憶部に記憶された前記音声ファイルの再生状態に関する情報に基づいて、前記再生部に中断された前記再生処理を再開させる再生再開制御部と、
を備えることを特徴とする記録再生装置。
【請求項2】
請求項1記載の記録再生装置において、
前記再生条件には、再生させるべき複数の音声ファイルをランダムな順序で再生させるためのランダム再生に関する条件又は、再生させるべき一又は複数の音声ファイルを所定の順序で繰り返し再生させるためのリピート再生に関する条件を含むこと、
を特徴とする記録再生装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の記録再生装置において、
前記再生状態に関する情報には、前記再生処理が中断された時点に再生されていた音声ファイルを特定するための再生ファイル特定情報が含まれ、
前記再生再開制御部は、前記記憶部に記憶された前記再生ファイル特定情報に基づいて、前記再生処理を再開させる際に、前記再生処理が中断された時点に再生されていた音声ファイルの再生を再開させること、
を特徴とする記録再生装置。
【請求項4】
請求項3に記載の記録再生装置において、
前記再生状態に関する情報には、前記再生処理が中断された時点に再生されていた音声ファイルの再生中断位置を特定するための再生中断位置特定情報が含まれ、
前記再生再開制御部は、前記記憶部に記憶された前記再生中断位置特定情報に基づいて、前記再生処理を再開させる際に、前記再生処理が中断された時点に再生されていた音声ファイルを前記再生中断位置に対応する所定の再生開始位置から再生させること、
を特徴とする記録再生装置。
【請求項5】
記録媒体に記録された音声ファイルを所定の再生条件で再生する再生処理を行う再生部と、外部から取得された記録対象音声データを前記記録媒体に前記音声ファイルとして記録する記録処理を行う記録部と、記録対象音声データの記録指示が入力される入力部と、前記再生条件を含む前記音声ファイルの再生状態に関する情報を記憶する記憶部とを備え、前記入力部に前記記録指示が入力されると、前記再生部における前記再生処理を中断して、前記記録部に前記記録処理を開始させる記録再生装置を制御するための記録再生装置の制御方法であって、
前記再生処理が中断された場合、前記記憶部に前記再生処理が中断された時点の前記再生条件を含む前記音声ファイルの再生状態に関する情報を記憶する過程と、
前記記録部による前記記録処理が終了した場合、前記記憶部に記憶された前記音声ファイルの再生状態に関する情報に基づいて、前記再生部に中断された前記再生処理を再開させる過程と、
を備えることを特徴とする記録再生装置の制御方法。
【請求項6】
記録媒体に記録された音声ファイルを所定の再生条件で再生する再生処理を行う再生部と、外部から取得された記録対象音声データを前記記録媒体に前記音声ファイルとして記録する記録処理を行う記録部と、記録対象音声データの記録指示が入力される入力部と、前記再生条件を含む前記音声ファイルの再生状態に関する情報を記憶する記憶部とを備え、前記入力部に前記記録指示が入力されると、前記再生部における前記再生処理を中断して、前記記録部に前記記録処理を開始させる記録再生装置を制御するための制御プログラムであって、
前記再生処理が中断された場合、前記記憶部に前記再生処理が中断された時点の前記再生条件を含む前記音声ファイルの再生状態に関する情報を記憶させ、
前記記録部による前記記録処理が終了した場合、前記記憶部に記憶された前記音声ファイルの再生状態に関する情報に基づいて、前記再生部に中断された前記再生処理を再開させること、
を特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−140549(P2009−140549A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−314293(P2007−314293)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】