説明

記録再生装置

【課題】記録再生装置における、ユーザの使用勝手の向上。
【解決手段】撮影によって順次生成されるフレーム画像信号を1つの動画データとしてメモリに記録し、該動画データを再生する際、動画データの記録中に識別情報の割り当て指示を受け付けると、該動画データを形成する複数のフレーム画像信号のうち、所定条件を満足するフレーム画像信号に該識別情報を割り当て、メモリに記録されている動画データを再生する際に、識別情報が割り当てられたフレーム画像信号の複数フレーム前のフレーム画像信号から再生を開始することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録再生装置に関し、特に例えばデジタルカメラに適用され、メモリに記録された画像信号を再生する、記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の記録再生装置においては、メモリに記録された長時間の動画の中から、使用者の所望のシーン、例えば感動的なシーンやお笑いシーンなどを検索する際に、視聴しながら所望のシーンを検索し、再生していたため、非常に時間が掛かっていた。
【特許文献1】特開2003−32620 特許文献1には、シーンチェンジを検出してインデックスを作成し、動画に概要を付与して概要とインデックスの間のリンクを作成しておき、検索時には、検索式を与えて動画の概要を検索し、概要を読んでからリンクを用いて関連のあるインデックスを選択し、インデックスの各シーンを見ることが出来る動画管理装置が開示されている。
【0003】
しかしながら、従来の動画管理装置では、自動的にシーンチェンジを検出してしまうため、使用者の主観に基づいたシーンが再生出来なかったり、使用者が望まないシーンを再生してしまう虞があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題点を解決するもので、メモリに記録された動画データから使用者が所望するシーンを容易に再生することが出来る記録再生装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に従う記録再生装置は、撮影によってフレーム画像信号を順次生成する生成手段を備え、複数のフレーム画像信号で構成される複数のフレーム画像信号群で形成される動画データとしてメモリに記録し、該動画データを再生するものであって、動画データの記録中に識別情報の割り当て指示を受け付けると、該動画データを形成する複数のフレーム画像信号群のうち、所定条件を満足するフレーム画像信号群に該識別情報を割り当てる割り当て手段と、メモリに記録されている動画データを再生する再生手段と、記動画データを再生する際、再生手段を制御して識別情報が割り当てられたフレーム画像信号群の複数フレーム前のフレーム画像信号から再生を開始する再生制御手段を備えることを特徴とする。
【0006】
この発明によれば、動画データの記録中に識別情報の割り当て指示を受け付け、再生する際には、識別情報が割り当てられたフレーム画像信号群よりも複数フレーム前のフレーム画像信号から再生を開始する。従って、使用者からの割り当て指示が遅れた場合であっても、所望のシーンから再生することが出来る。
【0007】
好ましくは、所定条件を満足するフレーム画像信号群は、割り当て指示を受け付けたタイミング又は該タイミングの直近で生成されたフレーム画像信号が属するフレーム画像信号群又は、割り当て指示を受け付けたタイミング又は該タイミングの直近で生成されたフレーム画像信号が属するフレーム画像信号群より前のフレーム画像信号群である。
【0008】
この発明によれば、割り当て指示を受け付けたタイミング付近のフレーム画像信号群に割り当てられるため、使用者が所望するシーンをより早く検出し、再生をすることが出来る。
【0009】
更に好ましくは、フレーム画像信号群は、フレーム内符号化及びフレーム間符号化で符号化された複数のフレーム画像信号で形成され、再生制御手段において動画データを再生する際、再生手段を制御して前記識別情報が割り当てられたフレーム画像信号群の複数フレーム前のフレーム内符号化されたフレーム画像信号から再生を開始する。
【0010】
この発明によれば、フレーム内符号化されたフレーム画像信号から再生が開始されるため、使用者が所望するシーンをより早く再生することが出来る。
【0011】
更に好ましくは、識別情報が割り当てられたフレーム画像信号群に属するフレーム画像信号に基づく縮小画像をマルチ表示するマルチ表示手段と、マルチ表示された縮小画像の中から任意の縮小画像を選択する選択手段とを更に備え、再生制御手段は再生手段を制御して、選択手段によって選択された縮小画像に対応するフレーム画像信号が属するフレーム画像信号群の複数フレーム前のフレーム画像信号から再生を開始する。
【0012】
この発明によれば、マルチ表示された複数の縮小画像の中から選択された縮小画像に対応するフレーム画像信号群の複数フレーム前のフレーム画像から開始するため、使用者が所望するシーンをより早く再生することが出来る。
【0013】
更に好ましくは、メモリに記録されている複数の識別情報が割り当てられたフレーム画像信号群の代表フレーム画像信号を1フレームずつ順番に再生するフレーム再生手段を更に備える。
【0014】
この発明によれば、使用者の所望するシーンのみをスライドショーのように再生することが出来る。
【0015】
この発明に従う記録再生装置は、撮影によってフレーム画像信号を順次生成する生成手段を備え、複数のフレーム画像信号で構成される複数のフレーム画像信号群で形成される動画データとしてメモリに記録し、該動画データを再生するものであって、動画データの記録中に識別情報の割り当て指示を受け付けると、該動画データを形成する複数のフレーム画像信号群のうち、所定条件を満足するフレーム画像信号群に該識別情報を割り当てる割り当て手段と、メモリに記録されている動画データを再生する再生手段と、動画データを再生する際、再生手段を制御して識別情報が割り当てられたフレーム画像信号群に属するフレーム画像信号から再生を開始する再生制御手段を備え、所定条件を満足するフレーム画像信号群は、割り当て指示を受け付けた該タイミングの直近で生成されたフレーム画像信号が属するフレーム画像信号群より前のフレーム画像信号群である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の記録再生装置によれば、メモリに記録された動画データから使用者が所望するシーンを容易に再生することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施例に係るデジタルカメラ1の回路構成の一部を示すブロック図である。
【図2】本実施例に係るデジタルカメラ1のファイル構成の一部を示す図解図である。
【図3】本実施例に係るデジタルカメラ1におけるフレーム画像信号の生成タイミングの一部を示す図解図である。
【図4】本実施例に係るデジタルカメラ1のファイル構成の他の一部を示す図解図である。
【図5】本実施例に係るLCD32に表示されるマルチ表示の一例を示す図解図である。
【図6】本実施例に係る動画撮影タスクの手続の一例を示すフローチャートである。
【図7】本実施例に係る検出タスクの手続の一例を示すフローチャートである。
【図8】本実施例に係る再生制御タスクの手続の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の記録再生装置の一実施例として、デジタルカメラ1に実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
【0019】
図1は、本実施例のデジタルカメラ1のブロック図を示している。デジタルカメラ1は、光学レンズを含むレンズ群10及び図示しない絞りを含み、主要被写体の光学像はCPU26による指示によって、図示しないモータ駆動部に制御されたレンズ群10及び絞りを通して、CMOSイメージャユニット12に取り込まれる。
【0020】
なお、本実施例では、イメージセンサとしてCMOSイメージャユニット12を採用した形態で説明するが、CCDイメージャを採用しても良い。CCDイメージャを採用した場合は、相関2重サンプリング処理、ゲイン調整、クランプ処理、A/D変換処理を含むAFE回路が追加される。
【0021】
そして、CPU26に接続された図示しないタイミングジェネレータによって与えられる取り込みパルスによって、CMOSイメージャユニット12から1フレーム分のデジタル撮像信号が出力される。ここで、CMOSイメージャユニット12では、各画素で蓄積した電荷を増幅し、各画素から配線を使用して信号として読み出しを行い、該信号に対して、相関2重サンプリング処理、ゲイン調整、クランプ処理、A/D変換処理を施す。該処理が施されたデジタル撮像信号は、画素毎にR、G、Bのいずれかの色信号を有し、CPU26の制御によって、バス40を介してSDRAM16に一旦格納される。
【0022】
SDRAM16に一旦格納されたデジタル撮像信号は、CPU26の制御によって信号処理回路14へ入力される。信号処理回路14では、入力されたデジタル撮像信号に対して色分離処理を施し、更にYUV変換により、Y、U、V信号に変換する。そして、信号処理回路14で変換されたデジタル画像信号は、バス40を介して、再びSDRAM16へ格納される。このように、主要被写体の光学像がさまざまな処理を経てSDRAM16に格納されるまでを撮像処理と定義する。
【0023】
SDRAM16に格納されたデジタル画像信号は、CPU26の制御によりLCD32へ出力可能である。LCD32は、図示しないLCDドライバを含み、LCDドライバはY、U、V信号をRGB信号に変換して、LCD32にデジタル画像信号に基づく画像を表示させることが出来る。このように、SDRAM16に格納されたデジタル画像信号が、LCD32に画像として表示されるまでの処理を、表示処理と定義する。
【0024】
また、撮像処理及び表示処理が順次繰り返して行われることによって、LCD32にスルー画像が表示される。なお、本実施例では、モニタとしてLCD32を採用した形態を説明するが、有機ELなどの表示デバイスを採用しても良い。
【0025】
操作部24は、モード選択ボタン24a、レリーズボタン24b、カーソルキー24c、セットボタン24d、お気に入りシーンボタン24e及び表示切替ボタン24fを備えている。使用者によってモード選択ボタン24aが操作されることによって、デジタルカメラ1が備える複数モードの一部である静止画撮影モード、動画撮影モード、再生モード及びお気に入りシーン再生モードの中からいずれか1つのモードを選択することが出来る。
【0026】
モード選択ボタン24aによって静止画撮影モードが選択されると、上述した撮像処理が所定の解像度及びフレームレートに基づいて繰り返し実行され、かつ、表示処理が順次実行されることにより、LCD32にスルー画像が表示される。LCD32にスルー画像が表示されている状態で、使用者によってレリーズボタン24bが押下されると、静止画撮影用の解像度に基づいて、上述した撮像処理が実行される。SDRAM16に格納されたデジタル画像信号は、CPU26の制御によってJPEGコーデック30に入力され、JPEG方式で圧縮処理が施され、静止画圧縮画像データとしてSDRAM16に格納される。それと並行して、デジタル画像信号に基づいてサムネイル画像信号を生成し、JPEGコーデック30を制御してJPEG圧縮処理をサムネイル画像信号に対して施し、サムネイル圧縮画像データとしてSDRAM16へ格納する。SDRAM16に格納されている静止画圧縮画像データとサムネイル圧縮画像データはJPEGファイルとして、外部メモリカード18制御回路の制御により、外部メモリカード20に格納される。
【0027】
次に、モード選択ボタン24aによって動画撮影モードが選択されると、上述した撮像処理が所定の解像度及びフレームレートに基づいて繰り返し実行され、かつ、表示処理が順次実行されることにより、LCD32にスルー画像が表示される。本実施例では、動画撮影フレームレートを10fpsとして説明する。
【0028】
LCD32にスルー画像が表示されている状態で、使用者によってレリーズボタン24bが押下されると、動画撮影用の解像度に基づいて、上述した撮像処理が順次実行される。そして、SDRAM16に格納された複数のデジタル画像信号は、CPU26の制御によって、MPEGコーデック28に入力され、MPEG4方式で圧縮処理が施され、IDR(Instantaneous Decoding Refresh)フレーム及び/又はP(Predicted)フレームに基づく動画圧縮データとしてSDRAM16に格納される。また、CPU26は、レリーズボタン24bが押下されてから最初のフレームのデジタル画像信号に基づいてサムネイル画像信号を生成し、JPEGコーデック30を制御してJPEG圧縮処理をサムネイル画像信号に対して施し、サムネイル圧縮画像データとしてSDRAM16へ格納する。
【0029】
CPU26は外部メモリカード制御回路18を制御し、SDRAM16に格納されているサムネイル圧縮画像データ及び動画圧縮データを順次外部メモリカード20へMPEG4 AVC/H.264(以後、MPEG4と称す)方式に従ってMPEG4ファイルとして書き込む。図2はMPEG4ファイルの構成を簡略的に図示したものである。図2を参照して説明すると、サムネイル圧縮画像データはメタデータエリアへ書き込まれ、動画圧縮データはメディアデータエリアへ書き込まれる。ここで、本実施例においては、SDRAM16に格納されているデータを外部メモリカード20へMPEG4ファイルとして書き込むまでの処理を記録処理と定義する。なお、本実施例では、記録媒体として、外部メモリカード20を採用した形態を説明するが、デジタルカメラ1の内部にフラッシュメモリを設けたり、ハードディスクを設けても良い。
【0030】
また、データはシーケンス単位で扱われ、各シーケンスは複数のアクセスユニットで構成される。アクセスユニットは、NALユニットの集まりであり、NALユニットの種類として、SPS(シーケンス・パラメータ・セット)、PPS(ピクチャ・パラメータ・セット)、SEI(サプリメンタル・エンハンスメント情報)及びスライスがある。なお、複数のスライスでIDRフレームやPフレームが構成される。ここで、1つのIDRフレームと9つのPフレームから1つのGOP(Group Of Pictures)が形成される。動画撮影フレームレートは10fpsであるため、再生フレームレートを10fpsとすると、1GOPを再生するには1秒間を必要とする。なお、IDRフレームはイントラ符号化処理によって生成され、Pフレームはインター符号化処理によって形成される。
【0031】
SPSは、シーケンスに関する情報であり、PPSは、フレームに関する情報である。SEIには複数のSEIメッセージを格納することが可能であり、これらのSEIメッセージは符号化されたデータの復号化には必須ではない付加情報である。なお、本実施例では、使用者によって定義可能なUser data unregistered SEIを使用する。以後SEIメッセージと略す。SEIメッセージに対して、お気に入りであることを示す付加情報を格納する。
【0032】
使用者は動画撮影中に、気に入ったシーンに遭遇したとき、お気に入りシーンボタン24eを押すことによって、押したタイミングのシーンまたは押したタイミング付近のシーンがお気に入りシーンであることを示す情報が動画データに格納される。そして、お気に入りシーン再生モードを選択することによって、お気に入りシーンを中心に動画データを再生することが出来る。次に、お気に入りシーンであることを示す情報の動画データへの格納方法について説明する。
【0033】
図3は、お気に入りシーンボタン24eが押下されるタイミングを示している。Vsyncを基準として、撮像処理、表示処理や記録処理が実行される。
【0034】
図3に示すように、お気に入りシーンボタン24eがアクセスユニットaに属するIDRフレームが生成されるタイミングで押下された場合には、アクセスユニットaに属するSEIメッセージにお気に入りであることを示す付加情報を格納する。お気に入りシーンボタン24eがアクセスユニットdに属するPフレームが生成されるタイミングで押下された場合には、アクセスユニットdに属するSEIメッセージにお気に入りであることを示す付加情報を格納する。この場合、お気に入りシーンボタン24eの押下に応じてCPU26内の図示しないレジスタのフラグFoの値を“1”に設定し、1GOP分の撮像処理が終了した際に、Foの値が“1”であれば、SEIメッセージにお気に入りであることを示す付加情報を格納している。
【0035】
図4は、SEIメッセージにお気に入りであることを示す付加情報が格納されたシーケンスを示している。図4で説明したように、アクセスユニットa及びアクセスユニットdに属するSEIメッセージにお気に入りであることを示す付加情報が格納されている。図4では、お気に入りであることを示す付加情報を格納しているSEIメッセージを、“SEI ***”として表現している。更に、各アクセスユニットに属するIDRフレームをA〜Dとして表現している。また、動画撮影中にお気に入りシーンボタン24eの最初の押下に応じて、メタデータにお気に入りシーンファイルであることを示す情報を、メタデータエリアに格納する。
【0036】
こうして、再び使用者によってレリーズボタン24bが押下されると、撮像処理、表示処理及び記録処理を終了する。なお、レリーズボタン24bが押下されたとき、1GOPを形成するIDRフレーム及び/またはPフレームの総数が5フレーム分に満たない場合は、すぐに各処理を終了させるのではなく各処理を継続し、7フレーム分に満たした時点で動画撮影の終了処理を実行する。この動画撮影の終了処理には、撮像処理、表示処理及び記録処理を終了させる処理や、ファイルをクローズすることが含まれる。この場合、レリーズボタン24dの押下に応じてCPU26内の図示しないレジスタのフラグFsの値を“1”に設定し、前のフレーム撮像処理後に検出されたFsの値が“1”であれば、上記動画撮影の終了処理を実行する。次に、お気に入りシーン再生モードにおけるお気に入りシーンの再生方法について説明する。
【0037】
さて、使用者によってモード選択ボタン24aが操作されることによって、再生モードが選択されると、外部メモリカード20に格納されている複数のJPEGファイル及び/又はMPEGファイルの中から使用者が所望するファイルをSDRAM16に格納し、JPEGコーデック30又はMPEGコーデック28に入力させることによって、伸張処理が施され、バス40を介してLCDに出力される。
【0038】
また、お気に入りシーン再生モードが選択されると、CPU26は、外部メモリカード制御回路18を制御して、外部メモリカード20に記録されている全てのMPEG4ファイルのメタデータを解析して、お気に入りファイルであることを示す情報が格納されているMPEG4ファイルを特定する。特定されたMPEG4ファイルの各メタデータエリアに格納されているサムネイル圧縮画像データに基づくサムネイル画像をLCD32にマルチ表示し、使用者によって選択されることにより、これから再生したい所望のお気に入りファイルが特定される。
【0039】
再生したい所望のお気に入りファイルが特定されると、各アクセスユニットのSEIを解析して、お気に入りであることを示す情報が格納されているアクセスユニットを特定する。次に、メタデータエリアからサムネイル圧縮画像データを検出し、特定されたアクセスユニットに属するIDRフレームに基づく縮小画像とサムネイル画像を含んでマルチ表示する。
【0040】
図5はサムネイル画像とIDRフレームに基づく縮小画像がLCD32に9分割でマルチ表示されている図である。図5では、図4のシーケンスに基づいて、お気に入りファイルの先頭画像であるIDRフレームAに基づくサムネイル画像A´が左上に表示され、特定されたアクセスユニットに属するIDRフレームDに基づく縮小画像D´が、上中央に表示される。
【0041】
そして、使用者によって縮小画像D´が選択されると、縮小画像D´の基となるIDRフレームDの30フレーム前にあたるIDRフレームAから動画再生が始まる。なお、動画再生のフレームレートも、動画撮影のフレームレートと同じく10fpsである。時系列で言い換えれば、IDRフレームDを基準として3秒前のIDRフレームから再生が開始されることとなる。
【0042】
このように、お気に入りシーンが感動シーンであった場合などに、縮小画像の選択直後にお気に入りシーンが再生されるよりも、何秒間かの前置きがあったほうが使用者にとっては見やすいものとなる。また、本実施例では、選択されたIDRフレームよりも30フレーム前のIDRフレームから再生を開始しているが、使用者によって20フレーム前から再生を開始するように設定したり、30フレーム後から再生を開始するように設定することが可能である。
【0043】
次に、図6−図8に示すフローチャートを用いて、上述した動画撮影の処理及びお気に入りシーンの再生の処理について説明する。これらの処理は、CPU26がフラッシュメモリ22に格納されているプログラムを実行することにより実現される処理である。図6は動画撮影メインタスク、図7は検出タスク、図8はお気に入りシーン再生制御タスクを表している。
【0044】
CPU26は、図6に示す動画撮影メインタスクを実行することにより、動画撮影が開始され、お気に入りシーンボタン24eが押下されることによってSEIメッセージにお気に入りシーンであることを示す付加情報が格納される。
【0045】
さて、動画撮影メインタスクの具体的な手続きについての説明に入る。モード選択ボタン24aによって動画撮影モードが選択され、レリーズボタン24bが押下されると、CPU26はステップS101において、CPU26内に設けられたレジスタにカウント値Cに“0”を設定する。
【0046】
次にステップS103へ進み、動画撮影初期化処理を実行する共に、検出タスクを起動させる。なお、動画撮影初期化処理は、動画ファイル(MPEGファイル)をオープンする処理や、上述した動画撮影に必要なパラメータ(解像度やフレームレート)を設定する処理が含まれる。次にステップS105に進み、CPU26内に設けられたレジスタに格納されているフラグFsの値が“1”であるか否かを判別する。ステップS105においてYESと判別されると、ステップS106へ進み、動画撮影終了処理を実行して、本タスクを終了する。ステップS105においてNOと判別されると、ステップS107へ進み、1フレーム分の撮像処理を行う。そしてステップS109へ進み、カウント値Cをインクリメントする(C=C+1)。次にステップS111へ進み、カウント値が“10”であるか否かを判別し、NOと判断すると、ステップS105へ戻る。
【0047】
ステップS111においてYESと判別されると、ステップS112へ進み、カウント値Cを“0”に設定し、ステップS113へ進む。ステップS113では、CPU26内に設けられたレジスタに格納されているお気に入りボタン押下フラグFoの値が“1”であるか否かを判別する。ステップS113においてNOと判別されると、ステップS105へ戻る。
【0048】
ステップS113においてYESと判別されると、ステップS115へ進み、SEIメッセージにお気に入りであることを示す付加情報を格納する。そしてステップS105へ戻る。
【0049】
次に図7を示すフローチャートを用いて、検出処理を説明する。この検出タスクを実行することにより、お気に入りシーンボタン24eの押下や電源がオフされた操作などを検出し、CPU26内に設けられたレジスタに数値を設定する。
【0050】
動画撮影メインタスクのステップS103で検出タスクが起動されると、まずステップS201において終了フラグFsとお気に入りフラグFoの値を夫々リセット(Fs=0、Fo=0に設定)する。次にステップS203へ進み、お気に入りシーンボタン24eの押下が有ったか否かを判別し、NOと判別するとステップS209へ進む。ステップS203でYESと判別されると、ステップS205へ進み、お気に入りフラグFoの値が“1”であるか否かを判別し、YESと判別するとステップS209へ進み、NOと判別するとステップS207へ進む。ステップS207では、お気に入りフラグFoの値を“1”(Fo=1)に設定する。
【0051】
ステップS209では、デジタルカメラ1に対して終了操作が有ったか否かを判別する。この終了操作として、レリーズボタン24bに対する押下操作、及び図示しない電源ボタンに対する押下操作が挙げられる。ステップS209においてYESと判別するとステップS211へ進み、NOと判別するとステップS203へ進む。
【0052】
ステップS211では、カウント値Cの値が“7以上”(C≧7)であるか否かを判別し、YESと判別されるまで該判別を繰り返す。ステップS211においてYESと判別されると、ステップS213へ進み、終了フラグFsの値を“1”に設定し、本タスクを終了する。
【0053】
次に図8に示すフローチャートを用いて、再生制御処理を説明する。CPU26は、再生制御タスクを実行することにより、お気に入りシーンの再生を行う。
【0054】
モード選択ボタン24aが操作されることによってお気に入りシーン再生モードが選択されると、ステップS301において、カーソルキー24cやセットボタン24dが操作されることによって、所望の動画ファイル(MPEGファイル)が選択されたか否かを判別する。このとき、メタデータに格納されているお気に入りシーンを含むファイルであることを示す情報に該当する動画ファイル(MPEGファイル)のサムネイル画像をマルチ表示し、使用者はマルチ表示されたサムネイル画像の中から、カーソルキー24cやセットボタン24dが操作されることによって、使用者が所望する動画ファイル(MPEGファイル)が選択される。
【0055】
さて、ステップS301でYESと判別されるまで、ステップS301の判別を繰り返し、YESと判別されるとステップS303へ進む。
【0056】
ステップS303において、選択された動画ファイル(MPEGファイル)をオープンし、次のステップS305でファイル解析を行う。このファイル解析には、SEIメッセージの解析が含まれ、どのアクセスユニットにお気に入りシーンであることを示す付加情報が格納されているSEIメッセージが属しているかを検出する。
【0057】
次にステップS307へ進み、お気に入りシーンであることを示す付加情報が格納されているSEIメッセージが属する複数のアクセスユニットから、夫々IDRフレームを抽出し、間引きなどの縮小処理を施して、マルチ表示を行う。
【0058】
次にステップS309へ進み、使用者によってカーソルキー24cやセットボタン24dが操作されることによって、所望の縮小画像が選択されたか否かを判別する。ステップS309では、YESと判別されるまで該判別を行い、YESと判別されると、ステップS311へ進む。
【0059】
ステップS311では、選択された縮小画像に対応するIDRフレームが属するアクセスユニットを特定し、該アクセスユニットの時間軸上3つ前のアクセスユニットを特定する。次にステップS313へ進み、ステップS311において特定されたアクセスユニットから再生を開始し、ファイルの最終フレームまで再生されると、ステップS315へ進む。ステップS315では、モード選択ボタン24aが操作されることにより他のモードに設定されたか否かを判別し、YESと判別すると本タスクを終了し、NOと判別するとステップS301へ戻る。
【0060】
以上説明したように、本実施例におけるデジタルカメラ1は、動画撮影中に使用者によってお気に入りシーンボタン24eが押下されることにより、アクセスユニット毎のSEIメッセージにお気に入りシーンであることを示す付加情報が格納される。また、お気に入りシーンボタン24eが押下された時点で、動画ファイル(MPEGファイル)のメタデータエリアにお気に入りシーンを示す付加情報が格納される。そして、お気に入りシーン再生モードが設定されると、まず、外部メモリカード20に記録されている複数のファイルのメタデータを検索して、お気に入りシーンを示す付加情報を持つファイルを特定する。そして、複数存在する場合は、特定されたファイルのサムネイル画像をマルチ表示させる。使用者はマルチ表示されたサムネイル画像に基づき、所望の動画ファイル(MPEGファイル)を選択する。
【0061】
次に、選択された動画ファイル(MPEGファイル)内のSEIを分析することにより、お気に入りシーンを示す付加情報を持つアクセスユニットが特定され、該アクセスユニットに含まれるIDRフレームに基づく縮小画像をマルチ表示させる。使用者は、マルチ表示された縮小画像の中から所望の縮小画像を選択することにより、選択された縮小画像に対応するIDRフレームよりも時系列的に前のIDRフレームを開始フレームとして再生を行う。
【0062】
従って、撮影中にお気に入りシーン24aを押すタイミングが遅れてしまったとしても、再生時には何秒間か前から再生を開始するので、目的のシーンを見ることが出来る。また、所望するシーンが感動シーンの場合などに、再生直後に感動シーンが再生されるよりも、何秒間か前置きがあったほうが、使用者にとっては見やすいと期待出来る。更に、動画の中の使用者が見たいシーンだけを素早く検索することが出来る。これによれば、撮影したものの放置されて見直ししなかった使用者も過去の動画を見ようという気になることが期待出来る。
【0063】
また、本実施例では、お気に入りシーンを示す情報が存在するアクセスユニットに属するIDRフレームに基づく縮小画像を、1フレームずつ所定間隔でLCD32に表示させるスライドショーに適用することが出来る。また、動画編集時にお気に入りシーンを示す情報が存在するアクセスユニットから前後数秒間の映像だけを繋げて1つのファイルを生成することが出来る。更に、お気に入りシーンを示す情報が存在するアクセスユニットから前後数秒間の映像だけリピートすることも出来る。
【符号の説明】
【0064】
10 ・・・ レンズ群
12 ・・・ CMOSイメージャユニット
14 ・・・ 信号処理回路
16 ・・・ SDRAM
18 ・・・ 外部メモリカード制御回路
20 ・・・ 外部メモリカード
22 ・・・ フラッシュメモリ
24 ・・・ 操作部
26 ・・・ CPU
28 ・・・ MEPGコーデック
30 ・・・ JPEGコーデック
32 ・・・ LCD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影によってフレーム画像信号を順次生成する生成手段を備え、複数のフレーム画像信号で構成される複数のフレーム画像信号群で形成される動画データとしてメモリに記録し、該動画データを再生する記録再生装置であって、
前記動画データの記録中に識別情報の割り当て指示を受け付けると、該動画データを形成する複数のフレーム画像信号群のうち、所定条件を満足するフレーム画像信号群に該識別情報を割り当てる割り当て手段と、
前記メモリに記録されている動画データを再生する再生手段と、
前記動画データを再生する際、前記再生手段を制御して前記識別情報が割り当てられたフレーム画像信号群の複数フレーム前のフレーム画像信号から再生を開始する再生制御手段を備えることを特徴とする、記録再生装置。
【請求項2】
前記所定条件を満足するフレーム画像信号群は、前記割り当て指示を受け付けたタイミング又は該タイミングの直近で生成されたフレーム画像信号が属するフレーム画像信号群又は、前記割り当て指示を受け付けたタイミング又は該タイミングの直近で生成されたフレーム画像信号が属するフレーム画像信号群より前のフレーム画像信号群であることを特徴とする、請求項1記載の記録再生装置。
【請求項3】
前記フレーム画像信号群は、フレーム内符号化及びフレーム間符号化で符号化された複数のフレーム画像信号で形成され、
前記再生制御手段において前記動画データを再生する際、前記再生手段を制御して前記識別情報が割り当てられたフレーム画像信号群の複数フレーム前のフレーム内符号化されたフレーム画像信号から再生を開始することを特徴とする、請求項1又は2に記載の記録再生装置。
【請求項4】
前記識別情報が割り当てられたフレーム画像信号群に属するフレーム画像信号に基づく縮小画像をマルチ表示するマルチ表示手段と、
前記マルチ表示された縮小画像の中から任意の縮小画像を選択する選択手段とを更に備え、
前記再生制御手段は前記再生手段を制御して、前記選択手段によって選択された縮小画像に対応するフレーム画像信号が属するフレーム画像信号群の複数フレーム前のフレーム画像信号から再生を開始することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の記録再生装置。
【請求項5】
前記メモリに記録されている複数の前記識別情報が割り当てられたフレーム画像信号群の代表フレーム画像信号を1フレームずつ順番に再生するフレーム再生手段を更に備えることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の記録再生装置。
【請求項6】
撮影によってフレーム画像信号を順次生成する生成手段を備え、複数のフレーム画像信号で構成される複数のフレーム画像信号群で形成される動画データとしてメモリに記録し、該動画データを再生する記録再生装置であって、
前記動画データの記録中に識別情報の割り当て指示を受け付けると、該動画データを形成する複数のフレーム画像信号群のうち、所定条件を満足するフレーム画像信号群に該識別情報を割り当てる割り当て手段と、
前記メモリに記録されている動画データを再生する再生手段と、
前記動画データを再生する際、前記再生手段を制御して前記識別情報が割り当てられたフレーム画像信号群に属するフレーム画像信号から再生を開始する再生制御手段を備え、
前記所定条件を満足するフレーム画像信号群は、前記割り当て指示を受け付けた該タイミングの直近で生成されたフレーム画像信号が属するフレーム画像信号群より前のフレーム画像信号群であることを特徴とする、記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−227615(P2012−227615A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91401(P2011−91401)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】