説明

記録媒体および記録装置

【課題】簡単な構成で記録位置の精度を上げることができる記録装置を提供すること。
【解決手段】レンチキュラーレンズ3を有するレンズシート1(記録媒体)であって、レンズシート1(記録媒体)に記録を行う記録装置2にレンズシート1(記録媒体)を支持するために備えられるシートガイド4(支持手段)にレンズシート1(記録媒体)を所定の搬送方向にガイドするために設けられるガイド溝14(ガイド部)のガイドを受ける凸条部11(被ガイド部)を備えること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンチキュラーレンズを有する記録媒体およびこの記録媒体に対して記録を行うことができる記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録層に重ねてレンチキュラーレンズを有し、記録層に記録された画像をレンチキュラーレンズを介して、立体画像あるいは見る角度によって見える画像の形態等が変わる変り絵画像として見ることができる記録媒体が従来から知られている。かかる記録媒体に記録された画像を所定の立体画像あるいは変り絵画像として見ることができるようにするためには、記録層への記録位置をレンチキュラーレンズのレンズ配列に精度良く対応させて行う必要がある。そのため、例えば、特許文献1には、センサーを用いてレンチキュラーレンズの位置を検出し、この検出結果に基づいて所望の位置に記録を行う手段が開示されている。また、特許文献2には、搬送用トレイに載置された記録媒体がトレイ上で位置ずれしない対策を施し、記録位置の精度を高める手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3471930号
【特許文献2】特開2007−130769号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の手段による場合は、センサーを備える必要がありコスト高を招くと言う問題がある。また、特許文献2の手段による場合は、記録媒体の搬送用トレイに対する位置ずれを防止することはできるが、搬送用トレイが搬送方向に対して傾斜した状態で搬送されてしまう場合には、記録位置の精度を高めることができない。
【0005】
そこで、本発明は、簡単な構成で記録位置の精度を上げることができる記録媒体および記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、レンチキュラーレンズを有する記録媒体であって、記録媒体に記録を行う記録装置に備えられる記録媒体を支持するための支持手段に記録媒体を所定の搬送方向にガイドするために設けられるガイド部によりガイドされる被ガイド部を備えることとする。
【0007】
記録媒体をこのように構成することで、記録媒体が記録媒体ガイド溝に沿って搬送されるため、記録媒体の搬送方向を一定に維持することができ、記録媒体への記録位置の精度が向上する。
【0008】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、ガイド部はガイド溝であり、被ガイド部は、ガイド溝に嵌合する凸条であることとする。
【0009】
記録媒体をこのように構成することで、ガイド状態をより確実に維持することができる。
【0010】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、被ガイド部は、レンチキュラーレンズの部分に剥離可能に貼着され、貼着面は、レンチキュラーレンズと同一形状となっていることとする。
【0011】
記録媒体をこのように構成することで、記録媒体の個体差なく被ガイド部を記録媒体に対して貼着することができる。
【0012】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、被ガイド部は、複数設けられていることとする。
【0013】
記録媒体をこのように構成することで、記録媒体の搬送方向をより一定に維持することができ、記録媒体への記録位置の精度が向上する。
【0014】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、被ガイド部は、記録媒体の記録領域外に備えられ、被ガイド部と記録領域との間には切り離し構造が形成されていることとする。
【0015】
記録媒体をこのように構成することで、被ガイド部を記録領域から簡単に切り離すことができる。
【0016】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、被ガイド部は、記録媒体の搬送方向の少なくとも一方の縁部から突出していることとする。
【0017】
記録媒体をこのように構成することで、被ガイド部をガイド部に嵌合する際に、被ガイド部の記録媒体の前端部から突出した部分を目印にして、被ガイド部をガイド部に容易に位置合わせすることができる。また、被ガイド部が記録媒体の後端部から突出した部分を設けることで、記録媒体への記録が完了するまで被ガイド部をガイド部にガイドさせることができるので、ガイド状態をより確実に維持することができる。
【0018】
上記課題を解決するために、本発明は、レンチキュラーレンズを有する記録媒体を搬送すると共に記録媒体に対して記録を行う記録装置であって、記録媒体を支持する支持手段と、支持手段に設けられ、上述の記録媒体に備えられる被ガイド部をガイドするガイド部とを有することとする。
【0019】
記録装置をこのように構成することで、記録媒体が記録媒体ガイド溝に沿って搬送されるため、記録媒体の搬送方向を一定に維持することができ、記録媒体への記録位置の精度が向上する。
【0020】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、ガイド部は、支持手段に固定されていることとする。
【0021】
記録装置をこのように構成することで、ガイド部およびガイド溝による被ガイド部のガイド状態が変化することを防ぎガイドを確実に行うことができるため、記録媒体の搬送方向を一定に維持可能となり、記録媒体への記録位置の精度が向上する。
【0022】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、ガイド部の被ガイド部と摺接する部分は、耐磨耗処理が施されていることとする。
【0023】
記録装置をこのように構成することで、ガイド部の磨耗変形を防止できる。このため、記録媒体の搬送方向を一定に維持することができ、記録媒体への記録位置の精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るレンズシートおよび記録装置の後方斜視図である。
【図2】図1に示す記録装置からレンズシートを取り外した状態を示す図である。
【図3】図1および図2に示すレンズシートの構成を示す分解図である。
【図4】レンズシートの第1の変形例の構成を示す分解図である。
【図5】レンズシートの第2の変形例の構成を示す分解図である。
【図6】レンズシートの第3の変形例の構成を示す後方斜視図である。
【図7】記録装置の第1の変形例の構成を示す前方斜視図である。
【図8】レンズシートの第4の変形例および記録装置の第2の変形例を示し、記録装置からレンズシートを外した状態を示す図である。
【図9】レンズシートの第2の実施の形態の構成を示す斜視図である。
【図10】レンズシートの第5の変形例の構成を示す後方斜視図である。
【図11】図10に示すレンズシートを作成するための治具の構成を示す斜視図である。
【図12】レンズシートの第3の実施の形態および記録装置の第2の実施の形態を示し、記録装置からレンズシートを取り外した状態を示す図である。
【図13】レンズシートの第4の実施の形態および記録装置の第2の変形例を示し、記録装置からレンズシートを取り外した状態を示す図である。
【図14】検査用画像の記録内容を示す図である。
【図15】検査用画像をレンチキュラーレンズの側から見たときの画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1の実施の形態)
以下に、本発明の第1の実施の形態に係るレンズシート1および記録装置2について、図1から図3を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、記録媒体としてのレンズシート1が装填された状態の記録装置2の概略の構成を示す概略構成図であり、記録装置2を後方から見た斜視図である。図2は、図1に示す記録装置2からレンズシート1を取り外した状態を示す図である。図3は、レンズシート1の構成を示す分解斜視図である。なお、以下の説明では、図1および図2において、レンズシート1が進行する方向である矢印Xの方向を前方(前側)とし、この反対方向を後方(後側)とする。また、後方から前方に向かって右手方向となる矢印Yの方向を右方(右側)とし、この反対方向である左手方向を左方(左側)とする。そして、矢印Zの方向を上方(上側)とし、この反対方向を下方(下側)とする。
【0027】
記録装置2は、外装体である筐体3と、レンズシート1が載置され、レンズシート1の下側をガイドする支持手段としてのシートガイド4と、このシートガイド4の上に載置されたレンズシート1を後方から前方に向けて搬送する給紙ローラ5および排紙ローラ6と、レンズシート1に対して記録を行う記録ヘッド7等を有する。
【0028】
レンズシート1は、図2に示すように、透明な樹脂シート8の一方の面にレンチキュラーレンズ9が形成され、他方の面には画像形成層10が形成されている。このレンズシート1は、画像形成層10に記録された画像をレンチキュラーレンズ9を介して視認することができるように構成されている。したがって、例えば、画像形成層10に、レンチキュラーレンズ9の配設ピッチや焦点距離等に対応させて視差のある画像を記録し、この画像をレンチキュラーレンズ9の側から視認すると、立体感のある画像として、あるいは見る角度によって異なる画像として視認することができるというものである。なお、レンズシート1は画像形成層10を形成することなく、レンチキュラーレンズ9が形成される側と反対の面の樹脂部に直接記録を行う構成のものとしてもよい。
【0029】
また、レンズシート1には、レンチキュラーレンズ9が形成される側に被ガイド部としての凸条部11が設けられている。この凸条部11は、レンズシート1の左右方向の略中央に、前後方向、すなわち、レンチキュラーレンズ9を構成するレンズ要素12(例えば、シリンドリカルレンズ)の線条方向(母線方向)に沿って、レンズシート1の後端縁1Rから前端縁1Fに亘って設けられている。凸条部11の左右の側面11Sは、レンズシート1の上面、すなわち記録ヘッド7により記録が行われる記録面13に直角な面であり、かつ、レンズ要素12の線条方向に沿って伸びる互いに平行な滑らかな平面となっている。また、凸条部11の下面11Dは、上述の記録面13に平行な滑らかな平面となっている。このように構成される凸条部11は、後述する記録装置2に設けられるガイド溝14に嵌合し、このガイド溝14によるガイドを受ける。
【0030】
筐体3の後側の側面には、シートガイド4に載置されたレンズシート1を筐体3内に供給するための給紙開口部15が形成され、また、前側の側面には、給紙開口部15の側から供給されたレンズシート1を排出する排紙開口部16が形成されている。給紙開口部15から記録装置2に供給されたレンズシート1は、給紙ローラ5および排紙ローラ6により前方に向かって搬送され、搬送される間に、記録ヘッド7により記録が行われる。
【0031】
図1および図2に示すように、シートガイド4は全体として矩形の板状体を呈し、前後方向が、給紙開口部15の後方に突出した位置から給紙ローラ5の手前の位置に亘って備えられ、レンズシート1が全面に亘って載置される大きさと形状となっている。シートガイド4の上面、すなわち、載置されたレンズシート1が搬送される搬送面17は、給紙ローラ5と排紙ローラ6の上部と略同一の高さとなる位置に配設されている。このシートガイド4は、筐体3、または内部のフレーム等の構造体に対して図示を省略する構成により取り付けられている。シートガイド4の搬送面17には、凸条部11が嵌合するガイド溝14が形成されている。
【0032】
ガイド溝14は、記録装置2におけるレンズシート1の所定の搬送方向、すなわち、本実施の形態では、記録ヘッド7の移動方向である主走査方向に直交する方向に沿って形成されている。ガイド溝14は、シートガイド4の左右方向略中央に設けられ、シートガイド4の前端縁4Fから後端縁4Rに亘って貫通し、後方から見た断面形状において矩形を呈している。つまり、ガイド溝14は、その左右の内側面14Sが、レンズシート1が載置され搬送される搬送面17に直角であり、そして、左右の内側面14Sは、主走査方向に直交するように前後方向に互いに平行に伸びる滑らかな平面となっている。また、ガイド溝14の内側の底面14Bは搬送面17に平行な滑らかな平面となっている。
【0033】
レンズシート1の凸条部11とシートガイド4のガイド溝14は、凸条部11をガイド溝14に嵌合させたときに、ガイド溝14に対して凸条部11が左右方向にがたつくことなく、かつ、レンズシート1がシートガイド4に対して前後方向へ移動できる状態となるように構成されている。つまり、ガイド溝14の溝幅14Wと凸条部11の凸条幅11Wは、凸条部11をガイド溝14に嵌合させたときに、ガイド溝14に対して凸条部11が左右方向にがたつくこと無く、かつ、レンズシート1をシートガイド4に対して前後方向に移動できるように寸法公差が設定されている。
【0034】
給紙ローラ5は、給紙用モータ18により回転駆動され、また、排紙ローラ6は、排紙用モータ19により回転駆動される。給紙ローラ5の上側には、給紙ローラ5の回転に追従して回転する給紙側従動ローラ20が左右方向に例えば3つ備えられている。また、排紙ローラ6の上側には、排紙ローラ6の回転に追従して回転する排紙側側従動ローラ21が左右方向に例えば3つ備えられている。したがって、給紙開口部15から記録装置2に供給されたレンズシート1は、給紙ローラ5と給紙側従動ローラ20との間、および排紙ローラ6と排紙側側従動ローラ21との間に挟まれて、給紙ローラ5と排紙ローラ6の回転を受けて、後方から前方に向かって搬送される。そして、搬送されるレンズシート1に対して記録ヘッド7により記録が行われた後、排紙開口部16から記録装置2の外部に排出される。
【0035】
排紙ローラ6の前方には、記録ヘッド7により記録が行われ排紙開口部16から排出されるレンズシート1の下面を支持する排紙側シートガイド22が設けられている。この排紙側シートガイド22は、排紙ローラ6から送り出されたレンズシート1が下方に撓み凸条部11がガイド溝14から外れてしまったり、また、レンズシート1の凸条部11の前端縁11Fが排紙側シートガイド22の後端縁22Rに当たってしまわないように、その上面22Tの高さや前後方向の長さが設定されている。
【0036】
給紙ローラ5と排紙ローラ6との間の上方には、記録ヘッド7が配設されている。記録ヘッド7は、キャリッジ23の下面に取り付けられ、本実施の形態では、インクを吐出するインクジェット型の記録ヘッドとして構成されている。キャリッジ23は、左右方向に延設されるキャリッジガイド24に移動可能に支持され、また、キャリッジ用モータ25により駆動されるタイミングベルト26に取り付けられている。このため、キャリッジ用モータ25によりタイミングベルト26を左右方向に回転駆動すると、キャリッジ23と共に記録ヘッド7はキャリッジガイド24に沿って左右方向に移動することができる。
【0037】
したがって、給紙ローラ5と排紙ローラ6によるレンズシート1の搬送方向である副走査方向への搬送を制御すると共に、記録ヘッド7の移動方向である主走査方向、すなわち左右方向への移動を制御することで、記録ヘッド7をレンズシート1の所定位置に移動することができ、レンズシート1の所望の位置に画像を記録することができる。なお、レンズシート1は、画像形成層10の側を記録ヘッド7に対向させられ、レンチキュラーレンズ9がシートガイド4に接触するようにシートガイド4に載置させられている。つまり、記録ヘッド7により画像形成層10に対して記録が行われ、レンチキュラーレンズ9の側から画像形成層10に記録された画像を視認することができる記録物が製作されることになる。
【0038】
上述したように構成される記録装置2によりレンズシート1に対して記録を行う場合には、レンズシート1を、レンチキュラーレンズ9の側をシートガイド4の搬送面17に向け、また、凸条部11がガイド溝14に嵌合するようにして、シートガイド4の上に載置する。凸条部11とガイド溝14は、上述したように、凸条部11がガイド溝14に対して左右方向にがたつくこと無く、かつ、レンズシート1がシートガイド4に対して前後方向に移動できるように寸法公差が設定されている。したがって、レンズシート1は凸条部11のガイド溝14への嵌合により左右方向(主走査方向)の位置決めが行われた状態となる。つまり、レンズシート1は、凸条部11とガイド溝14とによりシートガイド4の上で回転してしまったり左右方向に動いてしまわないように位置決めされることになる。
【0039】
そのため、給紙ローラ5および排紙ローラ6により搬送されるレンズシート1は、主走査方向と直交する方向に沿って一定の搬送方向が維持された状態で搬送されることにより、記録ヘッド7によるレンズシート1への記録を所定の位置に行うことができる。
【0040】
ここで、レンズシート1への凸条部11の設け方について、図3を参照しながら説明する。図3に示すように、凸条部11は、レンズシート1とは別個に作成されていて、後述するようにレンズシート1に剥離可能に貼り付けることとしている。凸条部11は、例えば、レンズシート1とは別の同一構成のレンズシートをレンズ要素の線条方向に沿って一定の幅で切断し切り出すことで作成する。このようにして切り出し用のレンズシートから切り出された凸条部11は、一方の面に、レンズシート1のレンチキュラーレンズ9と同一形状のレンチキュラーレンズ部27を有し、切り出し用のレンズシートからの切断面が側面11Sとなっている。また、切り出し用のレンズシートの記録面の部分が下面11Dとなっている。なお、切り出し用のレンズシートから凸条部11を切り出す際には、凸条部11の側面11Sとなる切断面が、切り出しを行うレンズシートの記録面に直角になるように切断を行い、側面11Sと下面11Dとが互いに直角となるようにする。
【0041】
このようにして作成された凸条部11を、レンチキュラーレンズ部27の側をレンズシート1のレンチキュラーレンズ9に向け、また、レンチキュラーレンズ部27の線条方向をレンチキュラーレンズ9の線条方向に沿わせる。そして、凸条部11のレンチキュラーレンズ部27をレンズシート1のレンチキュラーレンズ9に対して剥離可能な状態で貼り付ける。例えば、シリコーン接着剤やアクリル系粘着剤等の再粘着性を有する粘着剤を使用して凸条部11とレンズシート1との貼り合わせることで、凸条部11をレンズシート1に剥離可能な貼り付けを行うことができる。このようにレンズシート1に取り付けられた凸条部11は、左右の側面11Sが、記録面13に直角であり、また、レンズ要素12の線条方向(母線方向)に沿って伸びる互いに平行な面となっている。また、凸条部11の下面11Dは、記録面13に平行となっている。
【0042】
したがって、凸条部11をガイド溝14に嵌合させ、ガイド溝14に凸条部11をガイドさせながらシートガイド4上を搬送されるレンズシート1は、主走査方向に沿って一定の搬送方向が維持された状態で搬送されることにより、記録ヘッド7によるレンズシート1への記録が所定の位置に行われることになる。
【0043】
凸条部11は上述したようにレンズシート1と同一構成のレンズシートをレンチキュラーレンズの線条方向に沿って切断して作成したものであり、レンズシート1と同じ肉厚の細長い短冊状のシート体を呈している。例えば、レンズシート1の左右の幅がA4サイズの短手方向に対応して概ね24センチであるのに対し、凸条部11は、1センチ前後の左右幅となっている。そのためレンズシート1自体は全体として大きく撓む特性を有するが、凸条部11についてはその左右方向の幅が狭いため左右方向からの応力に対して撓み量が少ないものとなっている。このように凸条部11は可撓性を有するシート体であるが、応力を受ける方向の幅を狭いものとすることで撓み量を小さくすることができ、ガイド溝14によりガイドされる際に変形が少なくレンズシート1の搬送方向を一定に維持し易いものとなっている。
【0044】
なお、ガイド溝14は、シートガイド4と一体に形成することでシートガイド4に固定された構成とする。例えば、シートガイド4を成型により作成することにより、ガイド溝14をシートガイド4と一体成型することができる。また、シートガイド4をガイド溝14に対応する部分を切削加工することによってもガイド溝14をシートガイド4に一体に形成することができ、ガイド溝14をシートガイド4に固定された構成とすることができる。
【0045】
このように、ガイド溝14をシートガイド4に一体に形成し固定することで、ガイド溝14の溝幅14Wを変化し難い固定されたものとすることができる。そのため、凸条部11のガイド状態が変化してしまうことなく確実に行うことができ、レンズシート1の搬送方向を一定に維持し易いものとなっている。
【0046】
ところで、レンズシート1の搬送が行われる際には、凸条部11とガイド溝14の内側面14Sとは互いに摺接する。そこで、ガイド溝14の内側面14Sに、金属製のテープを貼着したり、フッ素樹脂を被覆する等の手段を施すことで、内側面14Sに耐磨耗性を持たせるようにしてもよい。このように、内側面14Sに耐摩耗性を持たせることで、内側面14Sの磨耗変形を抑えることができ、レンズシート1の搬送精度を長期間あるいは多数回の搬送に亘って維持することができる。
【0047】
なお、凸条部11のレンズシート1への貼り合わせは、上述したように、凸条部11のレンチキュラーレンズ部27とレンズシート1のレンチキュラーレンズ9とが互いに線条方向に沿うように貼り合わせる必要があるが、例えば、次のように行う。
【0048】
凸条部11とレンズシート1の貼り合わせを行う粘着材は、凸条部11のレンチキュラーレンズ部27の側に塗布し、そして、レンチキュラーレンズ部27の一部に粘着材を塗布しない非接着部分を設けておく。凸条部11をレンチキュラーレンズ9に貼り合わせる際には、先ず、レンチキュラーレンズ部27の該非接着部分のみをレンチキュラーレンズ9に沿わせる。そして、この沿わせた状態で凸条部11を左右に僅かに動かしたり左右に回転し、レンチキュラーレンズ部27とレンチキュラーレンズ9が噛み合い、凸条部11が左右に動かなくなる状態とする。この状態のとき、凸条部11のレンチキュラーレンズ部27とレンズシート1のレンチキュラーレンズ9の互いの線条方向が一致している状態となっている。そうして、レンチキュラーレンズ部27の粘着材が塗布されている部分をレンチキュラーレンズ9に沿わせ貼り合わせ、凸条部11をレンズシート1に固定する。
【0049】
凸条部11のレンチキュラーレンズ部27をレンズシート1のレンチキュラーレンズ9と同一ピッチとすることで、容易に凸条部11をレンチキュラーレンズ9の線条方向に沿ってレンズシート1に設けることができる。また、レンチキュラーレンズ部27とレンチキュラーレンズ9が噛み合っている状態で、レンチキュラーレンズ部27とレンチキュラーレンズ9の互いの線条方向が一致している状態となっているので、レンズシート1の個体差なく、凸条部11をレンチキュラーレンズ9の線条方向に沿ってレンズシート1に設けることができる。
【0050】
レンズシート1と凸条部11が共に画像形成層10が備えられていない透明なものであるときは、レンチキュラーレンズ部27とレンチキュラーレンズ9の互いの線条方向が一致しているかどうかの判断は、該非粘着部をレンチキュラーレンズ9に沿わせた状態で、凸条部11からレンチキュラーレンズ9(あるいはレンチキュラーレンズ9から凸条部11)に透過する光の干渉縞を観測し、干渉縞が無くなった状態を、レンチキュラーレンズ部27とレンチキュラーレンズ9の互いの線条方向が一致しているものとしてもよい。
【0051】
(レンズシートの変形例1)
図4にレンズシート1の第1の変形例であるレンズシート30の構成を示す。なお、上述の第1の実施の形態で説明したのと同様の構成については、同一の符号を付すこととし、その説明を省略する。
【0052】
上述のレンズシート1の凸条部11は、レンチキュラーレンズ部27がレンチキュラーレンズ9と同一形状となっている。しかしながら、レンズシート30は、凸条部11に換えて、レンチキュラーレンズ9が丁度嵌る凹部31を有する凸条部32を被ガイド部としている。なお、凸条部11は、レンチキュラーレンズ部27がレンチキュラーレンズ9と同一形状であるため、上述のようにレンズシート1と同一構成の切り出し用レンズシートから切り出すことで作成することができたが、凸条部32については、レンズシート1とは別の異なる型を用いる樹脂成形等により作成することとなる。そして、凸条部32は、凹部31がレンズシート1のレンチキュラーレンズ9に嵌るようにレンズシート1に、再粘着性の粘着剤により貼り合わせられている。
【0053】
(レンズシートの変形例2)
図5にレンズシート1の第2の変形例であるレンズシート40の構成を示す。
【0054】
レンズシート40は、レンチキュラーレンズ41がその線条方向をレンズシート40の側辺に傾斜させて配設されている、いわゆる斜めレンズシートと称されるものである。このようなレンズシート40に設けられる被ガイド部としての凸条部42は、レンチキュラーレンズ部43をレンチキュラーレンズ41と同一形状としている。さらに、凸条部42は、左右の側面42Sを互いに平行としている。また、レンチキュラーレンズ部43と側面42Sとの成す角度が、レンチキュラーレンズ41とレンズシート40の側辺との成す角度と同一となっている。つまり、例えば、凸条部42は、レンズシート40と同一のレンズシートから側面42Sに相当する部分が該レンズシートの側辺に平行となるように短冊状に切り出すことで作成される。
【0055】
このようにレンチキュラーレンズ部43をレンチキュラーレンズ41と同一形状とし、かつ、レンチキュラーレンズ部43と側面42Sとの成す角度をレンチキュラーレンズ41とレンズシート40の左右(短手方向)の側辺42Sの成す角度と同一とする。これにより、レンチキュラーレンズ部43とレンチキュラーレンズ41とが互いに線条方向に沿うようにして、凸条部42をレンズシート41に貼りあわせることで、凸条部42の側面42Sをレンズシート40の側辺40Sに平行に配設することができる。
【0056】
(レンズシートの変形例3)
図6にレンズシート1の第3の変形例であるレンズシート50の構成を示す。なお、上述の第1の実施の形態で説明したのと同様の構成については、同一の符号を付すこととし、その説明を省略する。
【0057】
レンズシート50には、図6に示すように、被ガイド部としての凸条部51の先端部にレンズシート50の前端部50Fから前方に突出させた突出部52が設けられている。このように前端部50Fから前方に突出した突出部52を設けることで、レンズシート50をシートガイド4に載置する際に、突出部52をレンズシート50の上面(記録面13)側から視認することができる。そのため、凸条部51をガイド溝14に嵌める際に、凸条部51をガイド溝14に容易に位置合わせすることができる。
【0058】
また、凸条部51の後端部に、点線で示すようにレンズシート50の後端部50Rから後方に突出する突出部53を設けてもよい。このように後端部50Rから後方に突出する突出部53を設けることで、レンズシート50への記録が完了するまで凸条部51をガイド溝14にガイドさせることができる。そのため、レンズシート50のガイド状態をより確実に維持することができ、搬送方向が一定に維持され易いものとなる。
【0059】
(記録装置の変形例1)
図7に記録装置1の第1の変形例である記録装置60の構成を示す。上述の第1の実施の形態で説明したのと同様の構成については、同一の符号を付すこととし、その説明を省略する。記録装置60は、支持手段としてのシートガイド61の構成を除いて、上述の記録装置2と同様の構成となっている。
【0060】
シートガイド61は、記録装置2のシートガイド4が筐体3に対し水平に取り付けられているのに対し、上方に傾斜する構成となっている。このようにシートガイド61を構成する場合には、加重ローラ62をシートガイド4の湾曲部63の位置に備える。
【0061】
このように加重ローラ62を備えることにより、湾曲部63で凸条部11がガイド溝14から外れることを防止することができる。加重ローラ62は、軸受部64に軸部65を介して支持されている。軸部65は軸受部64に形成される上下方向に長い長孔64Aに回転自在に軸支され、加重ローラ62の下側を通過するレンズシート1により持ち上げられるように構成されている。したがって、加重ローラ62の下側を通過するレンズシート1は加重ローラ62によりシートガイド61に対して押圧され、凸条部11とガイド溝14との嵌合が維持される。
【0062】
(レンズシートの変形例4、記録装置の変形例2)
図8にレンズシート1の第4の変形例であるレンズシート70と記録装置2の第2の変形例である記録装置71の構成を示す。なお、上述の第1の実施の形態で説明したのと同様の構成については、同一の符号を付すこととし、その説明を省略する。
【0063】
レンズシート70は、図8に示すように、凸条部11と同様の構成の凸条部72が左右に設けられている。また、シートガイド73は、凸条部72に対応して、上述のガイド溝14と同様の構成のガイド溝74が左右に設けられている。なお、記録装置71は、シートガイド73の構成を除いて上述の記録装置2と同一の構成となっている。このように、レンズシート70を2箇所でガイドするようにすることで、レンズシート70のシートガイド73に対する左右方向への位置決めをより確実に行うことができ、レンズシート70の主走査方向に沿った搬送の維持をより確実に行うことができる。そのため、記録ヘッド7によるレンズシート70への記録位置の精度をより向上させることができる。
【0064】
(レンズシートの第2の実施の形態)
次に、図9を参照しながら、本発明の第2の実施の形態に係るレンズシート80の構成について説明する。なお、上述の第1の実施の形態およびその変形例で説明したのと同様の構成については、同一の符号を付すこととし、その説明を省略する。
【0065】
レンズシート80は、記録領域81とこの記録領域81の左右の外側に凸条部設置領域82が設けられている。この凸条部設置領域82には記録領域81と同様にレンチキュラーレンズ9が設けられ、また記録領域81と一体に形成されているが、両者の間には、前後方向に沿って切り離し構造としてのミシン目83が形成されている。したがって、凸条部設置領域82は記録領域81から切り取り可能になっている。なお、ミシン目83に代えてV字型の溝を形成することによっても、凸条部設置領域82を記録領域81から容易に切り離すことができる。
【0066】
各凸条部設置領域82には、それぞれ上述した凸条部11と同様の構成の凸条部84が貼り付けられ被ガイド部が構成されている。このように凸条部84が左右に備えられたレンズシート80は、図8に示す2本のガイド溝74が設けられるシートガイド73上に載置され、ガイド溝74により凸条部84がガイドされながら搬送され、記録ヘッド7により記録が行われる。そして、記録が終わった後のレンズシート80から凸条部設置領域82をミシン目83に沿って切り離し、記録領域81の部分を記録物として得ることになる。
【0067】
上述のようにレンズシート80の凸条部84は記録領域81を外れた部分に設けられている。これに対し、例えば、記録領域81に、凸条部84を貼り付け、記録が終わった後、貼り付けた凸条部84を剥がすこととした場合には、レンチキュラーレンズ9に粘着材が残ったり、剥離時にレンチキュラーレンズ9を損傷する等し、レンチキュラーレンズ9を介して見える画像が劣化する虞がある。しかしながら、本実施の形態のレンズシート80のように記録領域81を外れた部分に凸条部84を設けることで、記録領域81のレンチキュラーレンズ9を損傷してしまう等の問題の発生を防ぐことができる。なお、凸条部84の凸条部設置領域82への固定は剥離可能にする必要はなく、剥離を予定しない強固な接着としてもよい。
【0068】
なお、凸条部設置領域82は、記録領域81から切り離されてしまうため、この凸条部設置領域82には記録を行う必要がない。そのため、記録装置71に入力される画像データは、記録領域81の左右幅に対応した画像データとすることが好ましい。
【0069】
(レンズシートの変形例5)
図10にレンズシート80の変形例であるレンズシート90の構成を示す。なお、上述の第1の実施の形態等で説明したのと同様の構成については、同一の符号を付すこととし、その説明を省略する。
【0070】
レンズシート90は、上述のレンズシート80の記録領域81と同様に記録領域91とこの記録領域91の左右の外側に凸条部設置領域92が設けられ、この凸条部設置領域92に凸条部93が設けられている。しかしながら、この凸条部設置領域92には凸条部設置領域82のようにレンチキュラーレンズ9は設けられてない。また、凸条部93も凸条部84のようにレンチキュラーレンズ部27は形成されていない。つまり、凸条部93はレンチキュラーレンズ部27に相当する部分を有しない細長い矩形のシート体を呈し、凸条部設置領域92の樹脂シート8部分に直接設けられる被ガイド部として構成されている。
【0071】
凸条部93は、前後方向、すなわち、レンズ要素12の線条方向に沿って、レンズシート90の後端縁90Rから前端縁90Fに亘って設けられている。凸条部93の左右の側面93Sは、レンズシート90の上面である記録面13に直角な面であり、かつ、レンズ要素12の線条方向に沿って伸び互いに平行な滑らかな平面となっている。また、凸条部93の下面93Dは記録面13に平行な滑らかな平面となっている。このように構成される凸条部93は、図8に示す記録装置71に設けられるガイド溝74に嵌合し、このガイド溝74によるガイドを受ける。
【0072】
したがって、レンズシート90はレンズシート70と同様に、図6に示す2本のガイド溝74が設けられるシートガイド73上に載置し、ガイド溝74により凸条部93がガイドされながら搬送される。つまり、レンズシート90は、主走査方向と直交する方向に沿った搬送が維持された状態で記録が行われる。記録が終わった後のレンズシート90は、凸条部設置領域93がミシン目94に沿って切り離され、記録領域91の部分が記録物となる。レンズシート90もレンズシート80のように記録領域91を外れた部分に凸条部93が設けられているので、記録領域91のレンチキュラーレンズ9を損傷してしまう等の問題の発生を防ぐことができる。
【0073】
凸条部93は、レンチキュラーレンズ9および樹脂シート8と共に金型一体成形により設ける他、図11に示す治具95を用いてレンチキュラーレンズ9と凸条部93に樹脂シート8を貼り付けるようにして作成しても良い。治具95を用いる場合は、凹部95Aにレンチキュラーレンズ9を嵌め込み、また、凹部95Bに凸条部93となる樹脂シート体を嵌め込む。そして、その上から樹脂シート8をレンチキュラーレンズ9と凸条部93に貼り付け、凸条部93が設けられたレンズシート90を作成する。
【0074】
(レンズシートの第3の実施の形態、記録装置の第2の実施の形態)
次に、図12を参照しながら、本発明の第3の実施の形態に係るレンズシート100と第2の実施の形態に係る記録装置101の構成について説明する。なお、上述の第1の実施の形態等で説明したのと同様の構成については、同一の符号を付すこととし、その説明を省略する。
【0075】
記録装置101は、支持手段としてのシートガイド102の構成を除いて、上述の記録装置2と同様の構成となっている。シートガイド102は、レンズシート100の下面となるレンチキュラーレンズ9を支持する搬送面103と、この搬送面103の左右に設けられるガイド溝104を有している。ガイド溝104は、搬送面103となる底板部105と、この底板部105の左右の両端に備えられる側板部106と、各側板部106の上端から内側に迫り出す迫出部107とにより構成されている。つまり、ガイド溝104は、開口部104Pが左右方向で対向し、底部104Bを側板部106とする溝であって、シートガイド102の後端部102Rから前端部102Fに貫通する溝として形成されている。
【0076】
一方、レンズシート100は、記録領域108とこの記録領域108の左右の外側に延設される被ガイド部としての突出部109が設けられている。そして、レンズシート100は、シートガイド102に載置したときに、突出部109がガイド溝104に嵌るように構成されている。
【0077】
突出部109の左右の側面109Sは、レンズシート100の記録面13に直角な面であり、かつ、レンズ要素12の線条方向に沿って伸びる互いに平行な滑らかな平面となっている。突出部109の上面109Tは記録面13と面一な滑らかな面であり、また、下面109Dは上面109Tに平行な滑らかな平面となっている。
【0078】
また、レンズシート100は、突出部109がガイド溝104に嵌るようにシートガイド102に載置したときに、側板部106の内側面、すなわち底部104Bに対して左右方向にがたつくことなく、かつ、前後方向に移動できるように寸法公差が設定されている。つまり、左右のガイド溝104の底部104Bの間の間隔104Wとレンズシート100の左右の突出部109の側面109Sの間の間隔、すなわち、レンズシート100の左右の幅100Wは、突出部109がガイド溝104に嵌合するようにレンズシート100をシートガイド102に載置したときに、レンズシート100がガイド溝104に対して左右方向にがたつくこと無く、かつ、レンズシート100をシートガイド102に対して前後方向に移動できるように寸法較差が設定されている。
【0079】
したがって、レンズシート100は突出部109がガイド溝104に嵌合することにより左右方向(主走査方向)の位置決めが行われた状態となる。つまり、レンズシート100は、突出部109とガイド溝104とによりシートガイド102の上で回転してしまったり左右方向に動いてしまわないように位置決めされることになる。そのため、給紙ローラ5および排紙ローラ6により搬送されるレンズシート100は、主走査方向に直交する方向に沿って一定の搬送方向が維持された状態で搬送されることにより、記録ヘッド7によるレンズシート100への記録を所定の位置に行うことができる。なお、突出部109は、前後方向に沿って形成されているミシン目110により記録領域108から切り取り可能となっていて、レンズシート100への記録が終わった後、必要に応じて切り取ることができる。
【0080】
ガイド溝104の上下方向の幅104Tは、突出部109が上下にがたつくことなく、かつ、レンズシート100が前後方向に移動できるように寸法交差が設定されている。そのため、レンズシート100の上方への湾曲等、レンズシート100が搬送面103から離れてしまうことを防止することができる。レンズシート100が搬送面103から離れてしまうことを防止することで、記録ヘッド7とレンズシート100の記録面13との距離を常に保持することができ、記録位置を精度の高いものとすることができる。
【0081】
なお、搬送面103には、ガイド溝104の内側の下面104Dよりレンチキュラーレンズ9の突起の高さ分だけ下がった凹部111が形成されている。そのため、突出部109がガイド溝104に嵌合するようにレンズシート100をシートガイド102に載置したときに、突出部109の下面109Dが、ガイド溝104の内側の下面104Dから浮き上がることなく、突出部109がガイド溝104にガイドされることになる。
【0082】
なお、本実施の形態に係るレンズシート100と記録装置101においては、ガイド溝104の底部104Bが、レンズシート100を所定の搬送方向にガイドする機能を有し、シートガイド102においては左右の突出部109の側面109Sが被ガイド部として機能している。
【0083】
なお、側板部106は、底板部105に固定されている。つまり、底部104Bの間の間隔104Wは変化し難い固定されたものとなっている。そのため、突出部109のガイドをガイド状態が変化してしまうことなく確実に行うことができ、レンズシート100の搬送方向を一定に維持し易いものとなっている。
【0084】
ところで、レンズシート100の搬送が行われる際には、突出部109はガイド溝104の底部104Bと下面104Dとに摺接する。そこで、ガイド溝104の底部104Bと下面104Dとに、金属製のテープを貼着したり、フッ素樹脂を被覆する等の手段を施すことで、底部104Bおよび下面104Dとに耐磨耗性を持たせるようにしてもよい。このように、底部104Bおよび下面104Dに耐摩耗性を持たせることで、底部104Bおよび下面104Dの磨耗変形を抑えることができ、レンズシート100の搬送精度を長期間あるいは多数回の搬送に亘って維持することができる。
【0085】
(レンズシートの第4の実施の形態、記録装置の変形例3)
次に、図13を参照しながら、本発明の第4の実施の形態に係るレンズシート120と第2の変形例に係る記録装置121の構成について説明する。なお、上述の第1の実施の形態等で説明したのと同様の構成については、同一の符号を付すこととし、その説明を省略する。記録装置121は、支持手段としてのシートガイド122の構成を除いて、上述の記録装置2と同様の構成となっている。
【0086】
上述の各レンズシート1,30、あるいは100等は、被ガイド部として、凸条部11,32等あるいは突出部109を設けたが、レンズシート120の左右の側面120S自体を被ガイド部としてもよい。一方、シートガイド122は、レンズシート120の下面となるレンチキュラーレンズ9を支持する搬送面123と、この搬送面123の左右に設けられるガイド溝124を有している。ガイド溝124は、搬送面123となる底板部125と、この底板部125の左右の両端に備えられる側板部126と、各側板部126の上端から内側に迫り出す迫出部127とに構成されている。
【0087】
つまり、ガイド溝124は、開口部124Pが左右方向で対向し、底部124Bを側板部126とする溝であって、シートガイド122の後端部122Rから前端部122Fに貫通する溝として形成されている。そして、ガイド溝124は、レンズシート120をシートガイド122に載置したときに、レンズシート120の左右部分が嵌るように構成されている。
【0088】
つまり、左右のガイド溝124の底部124Bの間の間隔124Wとレンズシート120の左右の側面部120Sの間の間隔、すなわち、レンズシート120の左右の幅120Wは、レンズシート120の左右の部分をガイド溝124に嵌合するようにレンズシート120をシートガイド122に載置したときに、レンズシート120がガイド溝124に対して左右方向にがたつくこと無く、かつ、レンズシート120をシートガイド122に対して前後方向に移動できるように寸法公差が設定されている。
【0089】
また、レンズシート120の左右の側面120Sは、レンズシート120の記録面13に直角な面であり、かつ、レンズ要素12の線条方向に沿って伸び互いに平行な滑らかな平面となっている。したがって、レンズシート120は、その左右の部分がガイド溝124に嵌合するようにシートガイド122に載置されることにより、レンズシート120の左右の側面120Sが左右の底部124Bのガイドを受けることになる。そのため、レンズシート120は、左右方向(主走査方向)の位置決めが行われた状態となる。つまり、レンズシート120は、ガイド溝124によりシートガイド122の上で回転してしまったり左右方向に動いてしまわないように位置決めされることになる。つまり、給紙ローラ5および排紙ローラ6により搬送されるレンズシート120は、主走査方向に直交する方向に沿って一定の搬送方向が維持された状態で搬送されることになり、記録ヘッド7によるレンズシート120への記録を所定の位置に行うことができる。
【0090】
本実施の形態に係るレンズシート120と変形例に係る記録装置121においては、ガイド溝124の底部124Bが、レンズシート120を所定の搬送方向にガイドする機能を有し、レンズシート120においては左右の側面120Sが被ガイド部として機能している。
【0091】
また、ガイド溝124の上下方向の幅124Tは、レンズシート120が上下にがたつくことなく、かつ、レンズシート120が前後方向に移動できるように寸法公差が設定されている。そのため、レンズシート120の上方への湾曲等、レンズシート120が搬送面123から離れてしまうことを防止することができる。レンズシート120が搬送面123から離れてしまうことを防止することで、記録ヘッド7とレンズシート120の記録面13との距離を常に保持することができ、記録位置を精度の高いものとすることができる。
【0092】
なお、側板部126は、底板部125に固定されている。つまり、底部124Bの間の間隔124Wは変化し難い固定されたものとなっている。そのため、側面120Sのガイドをガイド状態が変化してしまうことなく確実に行うことができ、レンズシート120の搬送方向を一定に維持し易いものとなっている。
【0093】
ところで、レンズシート120の搬送が行われる際には、側面120Sはガイド溝124の底部124Bに摺接する。そこで、ガイド溝124の底部124Bに、金属製のテープを貼着したり、フッ素樹脂を被覆する等の手段を施すことで、底部124Bに耐磨耗性を持たせるようにしてもよい。このように、底部124Bに耐摩耗性を持たせることで、底部124Bの磨耗変形を抑えることができ、レンズシート120の搬送精度を長期間あるいは多数回の搬送に亘って維持することができる。
【0094】
上述した各実施の形態あるいはその変形例において、レンズシート1等のレンズシートに備えられる凸条部11等の被ガイド部の材質は、記録装置2等の記録装置に備えられるシートガイド4等のシートガイドに設けられるガイド溝14や底部104B等のガイド部の材質に比べて硬度の低い材質で形成することが好ましい。例えば、該被ガイド部を、PET(Polyethylene Terephthalate)、アクリル等の材質により形成し、他方、該ガイド部をポリカーボネイトやFRP(Fiber Reinforced Plastics) 等の材質により形成する。
【0095】
このように該被ガイド部を該ガイド部よりの硬度の小さな材質で形成することにより、該ガイド部の該被ガイド部との摺接による磨耗変形を抑えることができ、該レンズシートの搬送精度を長期間、あるいは多数回の搬送に亘って維持することができる。つまり、該被ガイド部は、該レンズシート毎に設けられる消耗品であり、少なくとも該レンズシートが搬送される間だけ磨耗変形が防止されれば足りる。一方、該ガイド部は、該レンズシートが搬送される度に繰り返し利用されるものである。そのため、該ガイド部については、長期間あるいは多数回の利用によっても容易に磨耗変形しないようにすることが要求される。そこで、上述したように、該被ガイド部を該ガイド部に比べて硬度の低い材質で形成することで、該ガイド部の耐摩耗性の向上が図られ、該レンズシートの搬送精度を、長期間、あるいは多数回の搬送に亘って維持することができる。
【0096】
上述のレンズシート1等のレンズシートは、樹脂シート8はレンチキュラーレンズ9とは別に形成されていて、この樹脂シート8をレンチキュラーレンズ9の担持部とし、レンチキュラーレンズ9を樹脂シート8に形成する構成となっている。しかしながら、レンズシート1等のレンズシートは、樹脂シート8に相当するレンチキュラーレンズ9の担持する部分とレンチキュラーレンズ9とを一体成型した構成のものとしてもよい。
【0097】
(搬送角度の検出)
ところで、シートガイド4等のシートガイドの筐体3への取り付け位置、あるいは凸条部11等の凸条部や突出部109、側面120Sの形成位置、さらにはガイド溝14,ガイド溝104等のガイド溝の形成位置等、レンズシート1,30等のレンズシートの搬送精度に関わる構成が、該レンズシートを主走査方向に対して直交するように精度高く搬送できるように設定されている場合は、該レンズシートを所定の位置に搬送することができる。そのため、該レンズシートの所定の位置に記録を行うことができる。一方、例えば、該シートガイドの筐体3への取り付け等が、該レンズシートを主走査方向に対して直交する方向に搬送できるように設定されていない場合には、該レンズシートは主走査方向に直交する方向に対して斜行して搬送されてしまう。その結果、該レンズシートは搬送されるにつれて、斜行方向に応じて左右いずれかに変位しながら搬送されることになり、該レンズシートの所定の位置に記録を行うことができない。
【0098】
しかしながら、例えば、レンズシート1は、被ガイド部である凸条部11がガイド部であるガイド溝14にガイドされた状態で搬送される。他のレンズシート(レンズシート30等)についても同様に、それぞれの被ガイド部(凸条部32等)が各被ガイド部に対応するガイド部(ガイド溝14等)にガイドされるため、一定の斜行状態が維持されたまま搬送される。つまり、該レンズシートが搬送された距離と該レンズシートが左方または右方に変位する量とは比例する。したがって、主走査方向に直交する方向に対する該レンズシートの搬送方向の傾斜角を予め測定し、記録を行うための記録用画像データを、この傾斜角に対応して補正することで、該レンズシートが斜行して搬送される場合にも、該レンズシートの所定位置に記録を行うことができる。
【0099】
傾斜角の測定の測定は次のようにして行うことができる。記録装置2(60,71,101,121)により、図14に示すように、該レンズシートに対して検査用の画像である複数本のラインRnから構成される検査用画像CMを記録する。これらのラインRnは、画像データ上では、ラインRnの中の中心のラインRAを所定の搬送方向に沿ったラインとし、このラインRAを中心に、このラインRAの左右に有るラインRnを左右で異なる方向に同一角度ずつ順に傾斜を累積させたものとする。
【0100】
例えば、ラインRAよりも右側のラインRnは、搬送方向に向かって時計回りに0.01度刻みで順に傾斜角を増すように設定し、ラインRAよりも左側のラインRnは、搬送方向に向かって反時計回りに0.01度刻みで順に傾斜角を増すように設定する。このような検査用の画像データに基づいて、該ガイド部にガイドされながら搬送される該レンズシートに検査用画像CMを記録する。そして、該レンズシートに記録された検査用画像CMをレンチキュラーレンズの側から見ると、図15に示すように、ラインRnの中でレンチキュラーレンズのレンズ要素の母線(稜線)に沿って記録されているラインRBについては、連続した1本のラインとして視認することができる。他方、レンズ要素の母線(稜線)に沿って記録されていないラインRnについては複数のレンズ要素にまたがって記録されるため、例えば、ラインRC等のように不連続に左右のいずれかの方向に分断されたラインとなる。
【0101】
したがって、ラインRnの中で、レンチキュラーレンズを介して1本のラインで見ることができるラインRBに対応するラインRnの傾斜角を、該レンズシートの搬送方向が主走査方向に直交する方向に傾斜する傾斜角として測定できる。そして、この測定された傾斜角に基づいて記録用画像データを回転させた補正画像データを生成する。該レンズシート1への画像の記録をこの補正画像データに基づいて行うことで、該レンズシートが斜行して搬送される場合も所定位置に画像を記録することができる。
【0102】
なお、上述の該レンズシートの搬送方向の傾斜角の測定は、0.01度刻みの傾斜角でラインが形成された1種類の検査用画像を用いて行ったが、傾斜角の変化量が違う2種類の検査用画像を用いて該レンズシートのガイド方向の傾斜角を測定してもよい。例えば、0.05度刻みの傾斜角でラインが形成された第1の検査用画像を該レンズシートに記録し、この検査用画像をレンチキュラーレンズを介して見たときに最も1ラインの長さが長いラインを特定する。次いで、別の該レンズシートにこのラインの傾斜角を中心にして左右に0.01度刻みの傾斜角でラインが形成される第2の検査用画像を記録する。そして、第2の検査用画像をレンチキュラーレンズを介して見たときに最も1ラインの長さが長いラインを特定する。このラインの傾斜角を、該レンズシートが搬送方される方向が、主走査方向に直交する方向に対して成す傾斜角として測定することができる。
【0103】
このように、2種類の検査用画像を用いて該レンズシートが搬送される方向の傾斜角を測定することで、測定できる傾斜角の範囲を広げるとともに、精度の高い測定を行うことができる。つまり、0.01度刻みの傾斜角でラインが形成される検査用画像だけの場合は、中心のラインの両側に0.01度刻みのラインの本数倍までしか傾斜角の測定を行うことができない。しかしながら、0.05度刻みの傾斜角でラインが形成される検査用画像を使用することで、広い範囲の傾斜角を測定でき、さらにその次に、0.01度刻みの傾斜角でラインが形成される検査用画像を使用することで、精度の高い傾斜角の測定を行うことができる。検査用画像の種類を増やすことで、さらに広い範囲でかつ精度の高い搬送傾斜角の測定を行うことができる。
【符号の説明】
【0104】
1,30,40,50,70,80,90,100,120…レンズシート(記録媒体)、2,60,71,101,121…記録装置、4,61,73,102,122…シートガイド(支持手段)、9,41…レンチキュラーレンズ、11,32,42,51,72,84,93…凸条部(被ガイド部)、14,74,104,124…ガイド部(ガイド溝)、81,91,108…記録領域、83,94,110…ミシン目、104B,124B…底部(ガイド部)、109…突出部(被ガイド部)、120S…側面(被ガイド部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンチキュラーレンズを有する記録媒体であって、
前記記録媒体に記録を行う記録装置に備えられる前記記録媒体を支持するための支持手段に前記記録媒体を所定の搬送方向にガイドするために設けられるガイド部によりガイドされる被ガイド部を備えることを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
前記ガイド部はガイド溝であり、前記被ガイド部は、上記ガイド溝に嵌合する凸条であることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項3】
前記被ガイド部は、前記レンチキュラーレンズの部分に剥離可能に貼着され、貼着面は、前記レンチキュラーレンズと同一形状となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の記録媒体。
【請求項4】
前記被ガイド部は、複数設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の記録媒体。
【請求項5】
前記被ガイド部は、前記記録媒体の記録領域外に備えられ、前記被ガイド部と前記記録領域との間には切り離し構造が形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の記録媒体。
【請求項6】
前記被ガイド部は、前記記録媒体の搬送方向の少なくとも一方の縁部から突出していることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の記録媒体。
【請求項7】
レンチキュラーレンズを有する記録媒体を搬送すると共に前記記録媒体に対して記録を行う記録装置であって、
前記記録媒体を支持する支持手段と、
前記支持手段に設けられ、請求項1から6のいずれか1項に記載の記録媒体に備えられる被ガイド部をガイドするガイド部と、
を有することを特徴とする記録装置。
【請求項8】
前記ガイド部は、前記支持手段に固定されていることを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
【請求項9】
前記ガイド部の前記被ガイド部と摺接する部分は、耐磨耗処理が施されていることを特徴とする請求項7または8に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−71618(P2012−71618A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−5187(P2012−5187)
【出願日】平成24年1月13日(2012.1.13)
【分割の表示】特願2007−270980(P2007−270980)の分割
【原出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】