説明

記録媒体の検査方法、記録媒体の検査装置、記録媒体用ドライブ装置の検査方法及び記録媒体用ドライブ装置の検査装置

【課題】検査員に過度な負担をかけることなく、少人数で、ミスなく行うことができ、しかも、様々な記録媒体にも適用させることができ、汎用性に富む記録媒体の検査方法を提供する。
【解決手段】記録媒体の異常を検出するための記録媒体の検査装置において、予め一定周波数の音声信号が記録された被検査対象である第1記録媒体12A〜第4記録媒体12Dと、第1記録媒体12A〜第4記録媒体12Dから信号を読み出して出力する適正な第1ドライブ装置14A〜第4ドライブ装置14Dと、第1ドライブ装置14A〜第4ドライブ装置14Dからの出力信号から音声信号を検波する検波器16と、検波器16から出力される信号の属性が、前記一定周波数から逸脱したことを示す場合に、異常と判定する判定手段30とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体の異常を検出するための記録媒体の検査方法及び記録媒体の検査装置、並びに記録媒体に記録された信号を読み出す記録媒体用ドライブ装置の検査方法及び記録媒体用ドライブ装置の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体として、レーザ光を用いた光情報記録媒体(DVDやCD)、光磁気ディスク、ハードディスク、フレキシブルディスク、半導体メモリ、磁気テープ等が存在する。
【0003】
これら記録媒体から読み出された信号は、映像信号であれば、モニタに供給されて該モニタの表示画面から前記映像信号による画像が表示され、音声信号であれば、スピーカに供給されて該スピーカから前記音声信号に応じた音声が出力されることになる。記録媒体から読み出された信号がコンピュータプログラムであれば、コンピュータシステムのハードディスクやメインメモリに記録されてCPUによって起動動作されることになる。
【0004】
このような使用形態において、記録媒体に正しく信号が記録されていない場合や、記録媒体には正しく信号が記録されているが、読み出し処理が適正に行われない場合、モニタに表示される画像が乱れたり、スピーカから出力される音声が途切れたりして、不良が発生することとなる。
【0005】
そこで、出荷前に記録媒体の再生データの異常を検出する検査を行うこととなるが、検査員の聴覚や視覚によって検査を行う場合、検査員が映像を見続ける、もしくは音声を聞き続けなければならず、検査員への負担が大きくなるという問題がある。
【0006】
一方、従来では、光ディスク用の再生検査方法ではあるが、特許文献1が提案されている。
【0007】
この従来の検査方法は、情報記録媒体から再生信号を読み出し、再生信号に復調処理及び誤り訂正処理を施してデコード信号を生成してデータ記憶部に格納し、データ記憶部のデコード信号を取り出して音声信号を再生するときの異常を検出する再生検査方法である。
【0008】
そして、誤り訂正処理をしたデコード信号をデータ記憶部に格納した書込回数を計測するとともに、誤り訂正できなかったデコード信号の数を計測し、データ記憶部からデコード信号を取り出した読出回数を計測し、書込回数及び読出回数から算出されたデータ記憶部に格納されたデコード信号の残量を示すデータ残量と、訂正できなかったデコード信号の数とを表示するようにしている。
【0009】
この方法によれば、検査員は、訂正できなかったデコード信号の数を確認すればよいため、検査に係る負担が軽くなるという効果がある。
【0010】
【特許文献1】特開2002−222570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した特許文献1に係る方法は、情報記録媒体から再生信号を読み出し、再生信号に変調処理及び誤り訂正処理を施してデコード信号を生成する際に、誤り訂正できなかった量を計測して異常を検出するようにしている。
【0012】
そのため、再生信号に変調処理及び誤り訂正処理を施すための専用の再生機が必要であり、汎用性がないという問題がある。例えば光ディスクに対して情報の記録再生を行うドライブ装置は、様々なメーカで製造されており、従って、ドライブ装置を変更する場合、該ドライブ装置のメーカに対して、誤り訂正できなかった量を計測するための信号処理を別途設けもらう必要があり、しかも、計測データの出力形態についても開示してもらう必要がある。このようなことから、特許文献1に係る方法は、その実現が困難であるという問題がある。
【0013】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、記録媒体の異常を検出するための記録媒体の検査において、検査員に過度な負担をかけることなく、少人数で、ミスなく行うことができ、しかも、様々な記録媒体にも適用させることができ、汎用性に富む記録媒体の検査方法及び記録媒体の検査装置を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明の他の目的は、記録媒体に記録された信号を読み出す記録媒体用ドライブ装置の検査において、検査員に過度な負担をかけることなく、少人数で、ミスなく行うことができ、しかも、様々なドライブ装置にも簡単に適用させることができ、汎用性に富む記録媒体用ドライブ装置の検査方法及び記録媒体用ドライブ装置の検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の本発明に係る記録媒体の検査方法は、記録媒体の異常を検出するための記録媒体の検査方法において、前記記録媒体に予め一定周波数の音声信号を記録しておく第1ステップと、前記記録媒体から信号を読み出す第2ステップと、読み出した前記信号から前記音声信号を検波する第3ステップと、検波した結果が前記一定周波数から逸脱したことを示す場合に、異常と判定する第4ステップとを有することを特徴とする。
【0016】
これにより、記録媒体の異常を検出するための記録媒体の検査において、検査員に過度な負担をかけることなく、少人数で、ミスなく行うことができ、しかも、様々な記録媒体の検査にも適用させることができ、汎用性に富む。
【0017】
そして、第1の本発明において、前記第4ステップは、前記検波した結果をモニタに表示しながら行うようにしてもよい。この場合、前記記録媒体に前記音声信号と共に映像信号が記録され、前記第4ステップは、前記検波した結果を前記モニタに表示すると共に、前記映像信号による画像を前記モニタに表示しながら行うようにしてもよい。
【0018】
また、前記第4ステップは、前記モニタ上に表示されている画像のうち、前記検波した結果が前記一定周波数から逸脱した時点の画像をメモリに保持するようにしてもよい。
【0019】
また、第1の本発明において、前記第3ステップは、前記音声信号の周波数に応じた電圧信号に変換し、前記第4ステップは、前記一定周波数に応じた基準電圧信号と前記電圧信号とを比較し、前記電圧信号が前記基準電圧信号から所定レベル以上逸脱したときに、異常と判定するようにしてもよい。
【0020】
この場合、前記所定レベルは、基準電圧信号の−3dB〜−20dBのうちのいずれかであってもよい。例えば−3dBであれば、前記電圧信号のレベルが基準電圧信号のレベルの約70.8%よりも下回ったときに、異常と判定されることになる。
【0021】
また、第1の本発明において、前記一定周波数は、100Hz〜15kHzのうちのいずれかであることが好ましく、400Hz〜10kHzのうちのいずれかであることがさらに好ましい。特に好ましくは、1kHz±2%の間の周波数を用いることである。
【0022】
また、第1の本発明において、前記記録媒体は、基板上にレーザ光照射による情報の記録が可能な記録層を有する光情報記録媒体であってもよい。
【0023】
次に、第2の本発明に係る記録媒体の検査装置は、記録媒体の異常を検出するための記録媒体の検査装置において、予め一定周波数の音声信号が記録された記録媒体がセットされ、該記録媒体から信号を読み出して出力する記録媒体用ドライブ装置と、前記記録媒体用ドライブ装置からの出力信号から前記音声信号を検波する検波器と、前記検波器から出力される信号の属性が、前記一定周波数から逸脱したことを示す場合に、異常と判定する判定手段とを有することを特徴とする。
【0024】
これにより、記録媒体の異常を検出するための記録媒体の検査において、検査員に過度な負担をかけることなく、少人数で、ミスなく行うことができ、しかも、様々な記録媒体の検査にも適用させることができ、汎用性に富む。
【0025】
次に、第3の本発明に係る記録媒体用ドライブ装置の検査方法は、記録媒体に記録された信号を読み出す記録媒体用ドライブ装置の検査方法において、予め一定周波数の音声信号が記録された適正な記録媒体を準備する第1ステップと、前記記録媒体用ドライブ装置を使って前記適正な記録媒体から信号を読み出す第2ステップと、読み出した前記信号から前記音声信号を検波する第3ステップと、検波した結果が前記一定周波数から逸脱したことを示す場合に、異常と判定する第4ステップとを有することを特徴とする。
【0026】
次に、第4の本発明に係る記録媒体用ドライブ装置の検査装置は、記録媒体に記録された信号を読み出す記録媒体用ドライブ装置の検査装置において、予め一定周波数の音声信号が記録された適正な記録媒体がセットされ、且つ、被検査対象である記録媒体用ドライブ装置と、前記記録媒体用ドライブ装置からの出力信号から前記音声信号を検波する検波器と、前記検波器から出力される信号の属性が、前記一定周波数から逸脱したことを示す場合に、異常と判定する判定手段とを有することを特徴とする。
【0027】
上述した第3及び第4の本発明においては、記録媒体に記録された信号を読み出す記録媒体用ドライブ装置の検査において、検査員に過度な負担をかけることなく、少人数で、ミスなく行うことができ、しかも、様々なドライブ装置の検査にも簡単に適用させることができ、汎用性に富む。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本発明に係る記録媒体の検査方法及び記録媒体の検査装置によれば、記録媒体の異常を検出するための記録媒体の検査において、検査員に過度な負担をかけることなく、少人数で、ミスなく行うことができ、しかも、様々な記録媒体の検査にも適用させることができ、汎用性に富むという効果を奏する。
【0029】
本発明に係る記録媒体用ドライブ装置の検査方法及び記録媒体用ドライブ装置の検査装置によれば、記録媒体に記録された信号を読み出す記録媒体用ドライブ装置の検査において、検査員に過度な負担をかけることなく、少人数で、ミスなく行うことができ、しかも、様々なドライブ装置の検査にも簡単に適用させることができ、汎用性に富むという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明に係る記録媒体の検査方法、記録媒体の検査装置、記録媒体用ドライブ装置の検査方法及び記録媒体用ドライブ装置の検査装置の実施の形態例を図1〜図8を参照しながら説明する。
【0031】
先ず、記録媒体の異常を検出するための記録媒体の検査方法に適用した第1の本実施の形態に係る検査システム(以下、第1検査システム10Aと記す)について図1〜図4を参照しながら説明する。
【0032】
この第1検査システム10Aは、図1に示すように、被検査対象である第1記録媒体12A〜第4記録媒体12Dと、適正な信号処理を行う4つのドライブ装置(第1ドライブ装置14A〜第4ドライブ装置14D)と、検波器16と、A/D変換器18と、フレームグラバ20と、パーソナルコンピュータ22と、リモコン24とを有する。
【0033】
ここで、第1記録媒体12A〜第4記録媒体12Dとしては、例えば記録媒体の製造工程で製造された多数の記録媒体からランダムに抽出された記録媒体を用いることができる。
【0034】
第1ドライブ装置14A〜第4ドライブ装置14Dは、予め一定周波数の音声信号が記録された第1記録媒体12A〜第4記録媒体12Dがそれぞれセットされ、第1記録媒体12A〜第4記録媒体12Dから信号をそれぞれ読み出して出力する。第1ドライブ装置14A〜第4ドライブ装置14Dは、信号が適正に記録された記録媒体から信号を読み出す際に、適正に信号処理されて読み出すことができるようになっている。第1記録媒体12A〜第4記録媒体12Dは、レーザ光を用いた光情報記録媒体(DVDやCD)、光磁気ディスク、ハードディスク、フレキシブルディスク、半導体メモリ、磁気テープ等である。従って、第1ドライブ装置14A〜第4ドライブ装置14Dは、第1記録媒体12A〜第4記録媒体12Dに対応した各種機構及び信号処理回路を有する。この例では、上述した各種記録媒体のうちでも、検査に時間がかかるとされる光情報記録媒体の検査において最適である。
【0035】
また、第1記録媒体12A〜第4記録媒体12Dへの音声信号の記録形態は、例えば第1記録媒体12A〜第4記録媒体12DがDVD等の光情報記録媒体であれば、一定周波数の音声信号がピット情報として記録されることなる。つまり、一定周波数の音声信号が第1記録媒体12A〜第4記録媒体12Dの種類に応じた記録形態で記録されることになる。
【0036】
第1記録媒体12A〜第4記録媒体12Dに記録される音声信号の一定周波数は、100Hz〜15kHzのうちのいずれかであることが好ましく、400Hz〜10kHzのうちのいずれかであることがさらに好ましい。特に好ましくは、1kHz±2%の間の周波数である。
【0037】
検波器16は、4チャネルの入出力端子を有し、第1ドライブ装置14A〜第4ドライブ装置14Dからの出力信号がそれぞれ入力され、該入力された出力信号からそれぞれ音声信号を検波する。
【0038】
ここで、検波としては、音声信号の周波数に応じた電圧レベルを有する信号(電圧信号)に変換することが挙げられる。電圧信号に変換することで、後段に接続されるA/D変換器18として安価なMOSトランジスタを主体にした回路構成を採用することができるからである。もちろん、音声信号の周波数に応じた電流レベルを有する信号(電流信号)に変換するようにしてもよいが、後段に接続されるA/D変換器の回路構成が複雑になるおそれがある。
【0039】
検波器16としては、例えばRMS−DC変換器を使用することができる。この場合、RMS−DC変換器の好ましい仕様として、周波数帯域は20Hz〜20kHzの音声周波数帯域に対応したものであって、入力レンジは各チャネルで可変であることが好ましい。第1ドライブ装置〜第4ドライブ装置の出力レンジにばらつきがある可能性があるからである。また、応答速度は10msec以下であることが好ましい。
【0040】
A/D変換器18は、4チャネルの入力端子を有し、検波器16からの出力信号をそれぞれA/D変換する。また、このA/D変換器18は、第1USBケーブル26を介してパーソナルコンピュータ22と接続される。
【0041】
フレームグラバ20は、4チャネルの入力端子を通じて第1ドライブ装置14A〜第4ドライブ装置14Dからの映像信号がそれぞれ入力される。また、フレームグラバ20はPCIバス28を介してパーソナルコンピュータ22と接続される。
【0042】
パーソナルコンピュータ22は、様々なコンピュータプログラムが起動、動作するようになっているが、この第1検査システム10Aでは、判定手段30と、推移表示手段32とがソフトウエアとして組み込まれている。
【0043】
判定手段30は、検波器16から出力される信号の属性が、一定周波数から逸脱したことを示す場合に、異常と判定する。具体的には、検波器16からの出力信号(電圧信号)と、一定周波数に応じた電圧レベル(基準電圧レベル)を有する信号(基準電圧信号)とを比較し、電圧信号の電圧レベルが基準電圧信号の基準電圧レベルから所定レベル以上逸脱したときに、異常と判定する。
【0044】
図1の例では、検波器16の出力がA/D変換器18にてデジタルデータに変換されているため、判定手段30は、検波器16からの出力信号(電圧信号)のデジタルデータによる電圧レベル値と、一定周波数に応じた電圧レベル値(基準電圧レベル値)とを比較し、電圧レベル値が基準電圧レベル値から所定レベル以上逸脱したときに、異常と判定する。なお、説明を簡単にするために、以下の説明では、電圧レベル値、基準電圧レベル値を、それぞれ電圧レベル、基準電圧レベルと記す。
【0045】
ここで、所定レベルは、異常判定を決めるためのしきい値レベルであって、基準電圧レベルの−3dB〜−20dBのうちのいずれかである。具体的には、例えば−3dB、−6dB、−10dB、−20dBが挙げられる。例えば−3dBであれば、電圧信号の電圧レベルが基準電圧信号の基準電圧レベル(例えば7V)の1/(√2)よりも下回ったときに、異常と判定されることになる。基準電圧レベルが例えば7Vであれば、電圧レベルが7×{1/(√2)}=約4.96Vよりも下回ったときに、異常と判定されることになる。
【0046】
同様に、−6dBであれば、電圧レベルが基準電圧レベルの1/2よりも下回ったときに異常と判定され、−10dBであれば、電圧レベルが基準電圧レベルの1/3よりも下回ったときに異常と判定され、−20dBであれば、電圧レベルが基準電圧レベルの1/10よりも下回ったときに異常と判定される。
【0047】
一方、推移表示手段32は、パーソナルコンピュータ22におけるモニタ34の表示画面に、図2に示すように、推移表示画面36を表示する。
【0048】
この推移表示画面36は、第1ドライブ装置14A〜第4ドライブ装置14Dに対応して4つの区画(第1区画38A〜第4区画38D)に分かれたマルチ画面表示の形態を採用している。
【0049】
第1区画38A〜第4区画38Dは、それぞれ2つの領域(第1領域40a及び第2領域40b)に分かれ、第1領域40aにはフレームグラバ20を通じて入力された映像信号による画像が表示され、第2領域40bには検波器16からの出力信号の電圧レベル(A/D変換後の電圧レベル)の変化が表示されるようになっている。
【0050】
第2領域40bの表示例は、図3に示すように、横軸に時間軸、縦軸に電圧レベルとしたグラフの形態となっており、このグラフには、検波器16からの出力信号の電圧レベルの時間経過に伴う変化が電圧波形として表示されるようになっている。また、このグラフには、基準電圧レベルを示すVbの表示、異常として判定される電圧レベル(しきい値レベル)Vthの表示がされ、さらに、電圧レベルがしきい値レベルVthを下回った時間(異常判定時点の時間情報)も表示されるようになっており、検査員が異常がどの時点で発生したかを容易に認識できるようになっている。図3の例では、例えば0:05:00(5分を示す)、0:23:00(23分を示す)、0:32:40(32分40秒を示す)、0:33:20(33分20秒を示す)、0:34:00(34分を示す)がそれぞれ枠が付されて強調表示された例を示している。
【0051】
さらに、この推移表示手段32は、第1領域40aに表示されている画像のうち、前記検波した結果が前記一定周波数から逸脱した時点の画像を、パーソナルコンピュータ22に内蔵された例えばハードディスク42に、逸脱した時点の時間情報と共に記録するようにしている。
【0052】
従って、第1記録媒体12A〜第4記録媒体12Dに対する判定が終了した後、モニタ34に表示されている推移表示画面36のうち、例えば第1区画38Aの第2領域40bに表示されている異常として判定された時点の時間を図示しない例えば座標入力装置で指定する(例えばマウスを使ってクリックする)ことにより、その時点の画像を第1領域40aに表示することができるようになり、異常の状態を画像の面(画像の乱れ具合)からも認識することができる。この場合、単に画像が乱れたという瞬時の認識ではなく、異常時点の画像を静止画として表示することができるため、異常状態の検査を画像の面からも高精度に行うことができる。
【0053】
なお、リモコン24は、第1ドライブ装置14A〜第4ドライブ装置14Dに対して再生スタート、再生ストップをパーソナルコンピュータ22から制御するための装置であり、4つの赤外線LEDと図示しない受光部が設置され、パーソナルコンピュータ22と第2USBケーブル44を介して接続されている。
【0054】
すなわち、リモコン24とパーソナルコンピュータ22を第2USBケーブル44を介して接続することにより、第1ドライブ装置14A〜第4ドライブ装置14Dに付属されているそれぞれの赤外線リモコン(図示せず)の制御コードをパーソナルコンピュータ22で読み込んだり、パーソナルコンピュータ22に記憶されている制御コードをリモコン24に内蔵されたメモリ(図示せず)にダウンロードすることができるようになっている。これにより、このリモコン24を使用することで、上述の第1ドライブ装置14A〜第4ドライブ装置14D専用の各赤外線リモコンの代わりに第1ドライブ装置14A〜第4ドライブ装置14Dを制御することができる。
【0055】
このリモコン24は、再生スタートと再生ストップ用のメモリを各4チャネル分持っており、第1ドライブ装置14A〜第4ドライブ装置14Dに対して、個別又は同時に再生スタート、再生ストップをかけることが可能となっている。
【0056】
次に、第1検査システム10Aの動作について図4のフローチャートも参照しながら説明する。
【0057】
先ず、図4のステップS1において、第1記録媒体12A〜第4記録媒体12Dに予め一定周波数の音声信号を記録しておく。
【0058】
その後、ステップS2において、第1記録媒体12A〜第4記録媒体12Dをそれぞれ第1ドライブ装置14A〜第4ドライブ装置14Dにセットし、第1記録媒体12A〜第4記録媒体12Dから信号を読み出す。第1記録媒体12A〜第4記録媒体12Dから読み出された信号は、検波器16の対応するチャネルと、フレームグラバ20の対応するチャネルにそれぞれ供給される。
【0059】
その後、ステップS3において、検波器16は、第1ドライブ装置14A〜第4ドライブ装置14Dから出力される信号からそれぞれ音声信号を検波する。すなわち、各チャネルにおいて、音声信号の周波数に応じた電圧レベルを有する信号(電圧信号)に変換する。各チャネルから出力される電圧信号は、後段のA/D変換器18に供給され、それぞれデジタル信号に変換されてパーソナルコンピュータ22に送信される。
【0060】
これと並行して、フレームグラバ20は、第1ドライブ装置14A〜第4ドライブ装置14Dから出力される信号からそれぞれ映像信号を取り出して、PCIバスを介してパーソナルコンピュータ22に送信する。
【0061】
そして、ステップS4において、パーソナルコンピュータ22における推移表示手段32は、モニタ34に、第1ドライブ装置14A〜第4ドライブ装置14Dに対応して4つの区画(第1区画38A〜第4区画38D)に分かれたマルチ画面(推移表示画面36)を表示し、第1区画38A〜第4区画38Dにおける各第1領域40aにそれぞれ現時点の映像信号による画像を表示し、各第2領域40bにそれぞれ対応する電圧信号(電圧レベル)の推移波形を表示する。
【0062】
ステップS5において、パーソナルコンピュータ22における判定手段30は、検波器16からA/D変換器18を介して送信されてくる4チャネルの電圧信号(検波した結果)の電圧レベルと、基準電圧レベルとをそれぞれ比較し、電圧レベルが基準電圧レベルから所定レベル以上逸脱したチャネルについて、異常と判定し、ステップS6に進む。
【0063】
ステップS6において、推移表示手段32は、異常と判定されたチャネルに対応した区画の第2領域40bに異常判定時点の時間情報を表示すると共に、該時間情報とチャネル情報(チャネル番号等)をハードディスク42に記録し、さらに、異常と判定されたチャネルに対応した映像信号のうち、異常判定時点の映像信号による画像をハードディスク42に記録する。これによって、異常と判定されたチャネルと、異常判定された時間情報と、異常判定時点の画像が、ハードディスク42においてデータベースとして管理できることになる。
【0064】
ステップS5において異常と判定されなかった場合、あるいはステップS6での処理が終了した段階で、ステップS7に進み、第1記録媒体12A〜第4記録媒体12Dに対する検査が終了したか否かが判別される。この判別は、第1記録媒体12A〜第4記録媒体12Dに記録された信号をすべて読み出したかどうかで行われる。
【0065】
検査が終了していなければ、前記ステップS2以降の処理に戻って次の異常を探り、検査が終了した段階で、この第1検査システム10Aでの動作が終了する。
【0066】
このように、第1検査システム10Aにおいては、第1記録媒体12A〜第4記録媒体12Dに予め一定周波数の音声信号を記録しておき、第1記録媒体12A〜第4記録媒体12Dから信号を読み出して、その読み出した信号から音声信号を検波し、検波した結果が前記一定周波数から逸脱したことを示す場合に、異常と判定するようにしたので、記録媒体の異常を検出するための記録媒体の検査において、検査員に過度な負担をかけることなく、少人数で、ミスなく行うことができ、しかも、様々な記録媒体の検査にも適用させることができ、汎用性に富むこととなる。
【0067】
上述の例では、4つの記録媒体を同時に検査する場合を示したが、その他、1つの記録媒体、2つの記録媒体、3つの記録媒体、5つ以上の記録媒体を同時に検査する場合にも容易に適用させることができる。
【0068】
次に、記録媒体に記録された信号を読み出す記録媒体用ドライブ装置の検査方法に適用した第2の本実施の形態に係る検査システム(以下、第2検査システム10Bと記す)について図5及び図6を参照しながら説明する。なお、図1に示す第1検査システム10Aと同じ部材等については同符号を付してその重複説明を省略する。
【0069】
この第2検査システム10Bは、上述した第1検査システム10Aとほぼ同様の構成を有するが、図5に示すように、被検査対象である4つのドライブ装置(第11ドライブ装置14a〜第14ドライブ装置14d)に対して、予め一定周波数の音声信号が記録された適正な第11記録媒体12a〜第14記録媒体12dが使用される点で異なる。「適正な」とは、第11記録媒体12a〜第14記録媒体12dに記録された信号を、上述した第1検査システム10Aの第1ドライブ装置14A〜第4ドライブ装置14Dで読み出した場合に、異常判定されることがないことを示す。
【0070】
なお、検波器16と、A/D変換器18と、フレームグラバ20と、パーソナルコンピュータ22と、リモコン24等の構成については、第1検査システム10Aの場合と同じである。
【0071】
ここで、第2検査システム10Bの動作について図6のフローチャートも参照しながら説明する。
【0072】
先ず、図6のステップS101において、予め一定周波数の音声信号が記録された適正な第11記録媒体12a〜第14記録媒体12dを用意する。
【0073】
その後、ステップS102において、第11記録媒体〜第14記録媒体をそれぞれ第11ドライブ装置14a〜第14ドライブ装置14dにセットし、第11記録媒体12a〜第14記録媒体12dから信号を読み出す。第11記録媒体12a〜第14記録媒体12dから読み出された信号は、検波器16の対応するチャネルと、フレームグラバ20の対応するチャネルにそれぞれ供給される。
【0074】
その後、ステップS103において、検波器16は、第11ドライブ装置14a〜第14ドライブ装置14dから出力される信号からそれぞれ音声信号を検波する。すなわち、各チャネルにおいて、音声信号の周波数に応じた電圧レベルを有する信号(電圧信号)に変換する。各チャネルから出力される電圧信号は、後段のA/D変換器18に供給され、それぞれデジタル信号に変換されてパーソナルコンピュータ22に送信される。
【0075】
これと並行して、フレームグラバ20は、第11ドライブ装置14a〜第14ドライブ装置14dから出力される信号からそれぞれ映像信号を取り出して、PCIバス28を介してパーソナルコンピュータ22に送信する。
【0076】
そして、ステップS104において、パーソナルコンピュータ22における推移表示手段32は、モニタ34に、第11ドライブ装置14a〜第14ドライブ装置14dに対応して4つの区画(第1区画38A〜第4区画38D)に分かれたマルチ画面(推移表示画面36)を表示し(図2参照)、第1区画38A〜第4区画38Dにおける各第1領域40aにそれぞれ現時点の映像信号による画像を表示し、各第2領域40bにそれぞれ対応する電圧信号(電圧レベル)の推移波形を表示する(図3参照)。
【0077】
ステップS105において、パーソナルコンピュータ22における判定手段30は、検波器16からA/D変換器18を介して送信されてくる4チャネルの電圧信号(検波した結果)の電圧レベルと、基準電圧レベルとをそれぞれ比較し、電圧レベルが基準電圧レベルから所定レベル以上逸脱したチャネルについて、異常と判定し、ステップS106に進む。
【0078】
ステップS106において、推移表示手段32は、異常と判定されたチャネルに対応した区画の第2領域40bに異常判定時点の時間情報を表示すると共に、該時間情報とチャネル情報(チャネル番号等)をハードディスク42に記録し、さらに、異常と判定されたチャネルに対応した映像信号のうち、異常判定時点の映像信号による画像をハードディスク42に記録する。これによって、異常と判定されたチャネルと、異常判定された時間情報と、異常判定時点の画像が、ハードディスク42においてデータベースとして管理できることになる。
【0079】
このように、第2検査システム10Bにおいては、予め一定周波数の音声信号が記録された適正な第11記録媒体12a〜第14記録媒体12dを準備し、被検査対象である第11ドライブ装置14a〜第14ドライブ装置14dを使って第11記録媒体12a〜第14記録媒体12dから信号を読み出し、読み出した信号から音声信号を検波し、検波した結果が前記一定周波数から逸脱したことを示す場合に、異常と判定するようにしたので、記録媒体に記録された信号を読み出す記録媒体用ドライブ装置の検査において、検査員に過度な負担をかけることなく、少人数で、ミスなく行うことができ、しかも、様々なドライブ装置の検査にも簡単に適用させることができ、汎用性に富むこととなる。
【実施例1】
【0080】
ここで、1つの実験例を示す。この実験例は、第1検査システム10Aを使って第1記録媒体12Aの異常を判定した実施例と、第1記録媒体12Aの再生異常を目視で確認した比較例とを対比したものである。
【0081】
実施例の結果を図7に示し、比較例の結果を図8に示す。
【0082】
実施例の結果を示す図7は、推移表示画面36(図2参照)のうち、第1区画38Aの第2領域40bを拡大して示したものである。図7中、0:30、0:20、10:19等の枠で囲まれた強調表示は、第1検査システム10Aにおいて異常と判定された時間を示す。なお、異常判定のしきい値レベルは−3dBを採用した。
【0083】
比較例の結果を示す図8は、目視で確認した結果を、実施例にて異常と判定された時点(異常判定時間)と対比して示す表図であり、「×」は異常を見落としたことを示し、「○」は実施例の異常判定とほぼ一致することを示す。
【0084】
図8の結果から、実施例で検知された異常が目視では検知できない場合があることが判明し、実施例の方が測定感度が高いことがわかる。なお、実施例のしきい値レベルを調整することによって、実施例の感度を比較例のレベルまで落とすことも可能である。
【0085】
なお、本発明に係る記録媒体の検査方法、記録媒体の検査装置、記録媒体用ドライブ装置の検査方法及び記録媒体用ドライブ装置の検査装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】第1検査システムを示す構成図である。
【図2】モニタに表示される推移表示画面の一表示例を示す説明図である。
【図3】推移表示画面の第2領域に表示されるグラフの一表示例を示す説明図である。
【図4】第1検査システムの処理動作を示すフローチャートである。
【図5】第2検査システムを示す構成図である。
【図6】第2検査システムの処理動作を示すフローチャートである。
【図7】実施例での結果を示すグラフである。
【図8】比較例の結果を示す表図である。
【符号の説明】
【0087】
10A…第1検査システム 10B…第2検査システム
12A〜12D…第1記録媒体〜第4記録媒体
12a〜12d…第11記録媒体〜第14記録媒体
14A〜14D…第1ドライブ装置〜第4ドライブ装置
14a〜14d…第11ドライブ装置〜第14ドライブ装置
16…検波器 18…A/D変換器
20…フレームグラバ 22…パーソナルコンピュータ
30…判定手段 32…推移表示手段
34…モニタ 36…推移表示画面
38A〜38D…第1区画〜第4区画 40a、40b…第1領域、第2領域
42…ハードディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の異常を検出するための記録媒体の検査方法において、
前記記録媒体に予め一定周波数の音声信号を記録しておく第1ステップと、
前記記録媒体から信号を読み出す第2ステップと、
読み出した前記信号から前記音声信号を検波する第3ステップと、
検波した結果が前記一定周波数から逸脱したことを示す場合に、異常と判定する第4ステップとを有することを特徴とする記録媒体の検査方法。
【請求項2】
請求項1記載の記録媒体の検査方法において、
前記第4ステップは、前記検波した結果をモニタに表示しながら行うことを特徴とする記録媒体の検査方法。
【請求項3】
請求項2記載の記録媒体の検査方法において、
前記記録媒体に前記音声信号と共に映像信号が記録され、
前記第4ステップは、前記検波した結果を前記モニタに表示すると共に、前記映像信号による画像を前記モニタに表示しながら行うことを特徴とする記録媒体の検査方法。
【請求項4】
請求項3記載の記録媒体の検査方法において、
前記第4ステップは、前記モニタ上に表示されている画像のうち、前記検波した結果が前記一定周波数から逸脱した時点の画像をメモリに保持することを特徴とする記録媒体の検査方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の記録媒体の検査方法において、
前記第3ステップは、前記音声信号の周波数に応じた電圧信号に変換し、
前記第4ステップは、前記一定周波数に応じた基準電圧信号と前記電圧信号とを比較し、前記電圧信号が前記基準電圧信号から所定レベル以上逸脱したときに、異常と判定することを特徴とする記録媒体の検査方法。
【請求項6】
請求項5記載の記録媒体の検査方法において、
前記所定レベルは、基準電圧信号の−3dB〜−20dBのうちのいずれかであることを特徴とする記録媒体の検査方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の記録媒体の検査方法において、
前記一定周波数は、100Hz〜15kHzのうちのいずれかであることを特徴とする記録媒体の検査方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の記録媒体の検査方法において、
前記記録媒体は、基板上にレーザ光照射による情報の記録が可能な記録層を有する光情報記録媒体であることを特徴とする記録媒体の検査方法。
【請求項9】
記録媒体の異常を検出するための記録媒体の検査装置において、
予め一定周波数の音声信号が記録された記録媒体がセットされ、該記録媒体から信号を読み出して出力する記録媒体用ドライブ装置と、
前記記録媒体用ドライブ装置からの出力信号から前記音声信号を検波する検波器と、
前記検波器から出力される信号の属性が、前記一定周波数から逸脱したことを示す場合に、異常と判定する判定手段とを有することを特徴とする記録媒体の検査装置。
【請求項10】
記録媒体に記録された信号を読み出す記録媒体用ドライブ装置の検査方法において、
予め一定周波数の音声信号が記録された適正な記録媒体を準備する第1ステップと、
前記記録媒体用ドライブ装置を使って前記適正な記録媒体から信号を読み出す第2ステップと、
読み出した前記信号から前記音声信号を検波する第3ステップと、
検波した結果が前記一定周波数から逸脱したことを示す場合に、異常と判定する第4ステップとを有することを特徴とする記録媒体用ドライブ装置の検査方法。
【請求項11】
記録媒体に記録された信号を読み出す記録媒体用ドライブ装置の検査装置において、
予め一定周波数の音声信号が記録された適正な記録媒体がセットされ、且つ、被検査対象である記録媒体用ドライブ装置と、
前記記録媒体用ドライブ装置からの出力信号から前記音声信号を検波する検波器と、
前記検波器から出力される信号の属性が、前記一定周波数から逸脱したことを示す場合に、異常と判定する判定手段とを有することを特徴とする記録媒体用ドライブ装置の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−16128(P2008−16128A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−186810(P2006−186810)
【出願日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】