説明

記録媒体再生装置および記録媒体再生方法

【課題】 従来技術のものより少ないリトライ回数で、記録媒体の位置ずれの解消を図ることが可能となる記録媒体再生装置および記録媒体再生方法を提供する。
【解決手段】 ディスク返却動作がタイムアウトになったとの判断で、スイングアーム3を再生位置まで引き出し処理したうえでディスク9の回転制御を行った後、ディスク返却動作を再度開始する。ディスク返却動作ができない原因がディスク9の脱落などの場合、前記ディスク9の回転制御によって、ディスク9を正規位置に復帰する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体再生装置および記録媒体再生方法に関し、たとえばCD(CD:
Compact Disk)、DVD(DVD:Digital Versatile Disk)などの記録媒体を再生するデッキに、好適に適用される技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デッキ内に複数枚の記録媒体(ディスク)を収納しておくストッカを有するデッキ(ディスクチェンジャという場合がある)が実用に供されている。前記デッキは、ストッカから指定のディスクを該ストッカと干渉しない位置まで引き出し再生する機能を有する。再生終了時は引き出したディスクを、ドライブ機構を用いてストッカの元の位置に返却(ディスク返却動作)する(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−217220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のものでは、ディスク返却動作のタイムアウト発生時、ディスク返却動作の繰返し動作しかできない。タイムアウトの原因がディスクの位置ずれ、脱落など他の要因であった場合には、何回リトライしても復帰できず、また、ディスクを傷付ける等の問題があった。このディスク返却動作が完了しないとディスクをデッキから排出することもできないので、いわゆるデッドロック状態に陥るおそれもある。
【0005】
本発明の目的は、従来技術のものより少ないリトライ回数で、記録媒体の位置ずれの解消を図ることが可能となる記録媒体再生装置および記録媒体再生方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、記録媒体を回転駆動させる駆動源と、記録媒体を回転可能に支持する支持体とを備えた記録媒体再生装置において、
前記支持体が、所望位置に移動しない旨を示す所定条件を満たした場合、駆動源を駆動して記録媒体を回転駆動させた後、支持体を前記所望位置に移動させるように制御する制御手段を含むことを特徴とする記録媒体再生装置である。
【0007】
また本発明は、前記所定条件は、所定位置への移動動作を予め定める回数実行しても、支持体が所望位置に移動しない場合であることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、前記所定条件は、所定位置への移動動作を予め定める時間実行しても、支持体が所望位置に移動しない場合であることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記記録媒体の位置ずれを検知する検知手段をさらに含み、
前記所定条件は、検知手段による検知信号に基づいて、前記記録媒体の位置ずれが検出された場合であることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、振動を検知する振動検知手段をさらに含み、
前記所定条件は、振動検知手段による検知信号に基づいて、振動が検出された場合であることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、駆動源を駆動して記録媒体を回転させることで、正規位置に位置しない状態の記録媒体の外周縁部に当接する当接片が設けられていることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記制御手段は、支持体を所望位置に移動させるリトライの回数に応じて、駆動源を回転させる角度を変化させることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記制御手段は、駆動源を回転させる角度を、支持体を所望位置に移動させるリトライ毎に、無秩序で決定することを特徴とする。
【0014】
また本発明は、記録媒体を支持する支持体を所望位置に移動させる工程と、
前記支持体が所望位置に移動できない場合に、記録媒体を回転させる工程と、
前記記録媒体を回転させた後、支持体を所望位置に移動させる移動工程と、を有することを特徴とする記録媒体再生方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、制御手段は、支持体が所望位置(ディスク取出し位置など)に移動しない旨を示す所定条件を満たすと、駆動源を駆動して記録媒体を回転駆動させた後、支持体を前記所望位置に移動させるように制御する。支持体が所望位置に移動しない原因が記録媒体の脱落などの場合、支持体を前記所望位置に移動させるリトライ回数を、従来技術のものより極力少ない回数としたうえで記録媒体の位置ずれの解消を図ることが可能となる。
【0016】
また本発明によれば、制御手段は、所定位置への移動動作を予め定める回数実行しても、支持体が所望位置に移動しない場合に、駆動源を駆動して記録媒体を回転駆動させる制御を実行できる。
【0017】
また本発明によれば、制御手段は、所定位置への移動動作を予め定める時間実行しても、支持体が所望位置に移動しない場合に、駆動源を駆動して記録媒体を回転駆動させる制御を実行できる。したがって一手法のリトライ動作よりも、記録媒体の位置ずれを早く解消することができる。
【0018】
また本発明によれば、検知手段による検知信号に基づいて、リトライ開始前に、記録媒体の位置ずれを即時に検知できるので、リトライ動作を省略して記録媒体の位置ずれを迅速に解消することができる。
【0019】
また本発明によれば、振動検知手段による検知信号に基づいて、振動などの外部要因による記録媒体の位置ずれを推定することによって、異常の状態に合ったリトライ動作を実行できる。したがって位置ずれの復帰時間の短縮を図ることが可能となる。振動検知手段によって、支持体を所望位置に移動させるタイミングを図ることも可能となる。
【0020】
また本発明によれば、駆動源を駆動して記録媒体を回転させることで、正規位置に位置しない状態の記録媒体の外周縁部に当接片が当接して、記録媒体を正規位置に復帰することができる。
【0021】
また本発明によれば、制御手段はリトライの回数に応じて、駆動源を回転させる角度を変化させるので、次のような効果を奏する。一定時間のリトライ動作で記録媒体を正規位置に復帰できなかった場合、同一時間でリトライ動作を繰り返すより、リトライ動作の時間を延ばすことによって、記録媒体を正規位置に復帰しやすくできる。
【0022】
また本発明によれば、支持体を所望位置に移動させるリトライの回数に応じて、駆動源を回転させる角度を変化させる。このように角度変化を付けることで、記録媒体を正規位置により復帰しやすくできる。
【0023】
また本発明によれば、駆動源を回転させる角度をリトライ毎に、無秩序で決定するので、記録媒体の回転角度に変化をつけることができ、記録媒体の回転角度に変化をつけないものより、記録媒体を正規位置に復帰しやすくできる。
【0024】
また本発明によれば、支持体が所望位置に移動できない場合に、記録媒体を回転させ、その後支持体を所望位置に移動させるので、支持体の移動不可能原因が記録媒体の脱落などの場合、支持体を前記所望位置に移動させるリトライ回数を、従来技術のものより極力少ない回数としたうえで記録媒体の位置ずれの解消を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。図1は、本発明の実施形態に係るディスクチェンジャ1の要部を示す斜視図である。図2は、ディスクチェンジャ1の電気的構成を示すブロックである。本実施形態では、再生装置としてのディスクチェンジャに、記録媒体の位置ずれ防止装置が設けられる一例について説明する。ただし以下の説明は記録媒体の位置ずれ防止方法の説明をも含む。
【0026】
ディスクチェンジャ1は、ケーシング2、スイングアーム3、スイングアーム3の駆動装置4、ストッカ5、ストッカ5の分離・昇降装置6、ポテンショメータ7および制御手段としてのマイクロコンピュータ8を有する。前記ケーシング2に、支持体であるスイングアーム3が支持されている。ここでケーシング2の長手方向をx方向、幅方向をy方向、xおよびy方向に直交する方向をz方向と定義する。スイングアーム3は、ディスク9を回転可能に支持するためのものである。該スイングアーム3は、フレーム10と、クランプアーム11と、クランパ12と、ターンテーブル13と、スピンドルモータ14と、光ピックアップ装置15とを有する。フレーム10の基端部にクランプアーム11が揺動可能に支持され、該クランプアーム11の先端部にクランパ12が設けられている。フレーム10には、光ピックアップ装置15が該フレーム10の長手方向に沿って移動可能に支持されている。フレーム10の先端部には、クランパ12に臨むターンテーブル13およびディスク9の駆動源としてのスピンドルモータ14が設けられている。
【0027】
前記フレーム10の基端部には、ディスク9を正規位置に復帰し得る当接片16が付設されている。当接片16は、たとえば合成樹脂によってz方向一方に所定小距離立設されている。この当接片16のz方向一方側の高さ寸法h1は、ディスク9の厚み寸法よりも大きく形成されている。当接片16のうち、z方向一方側でかつディスク9に臨む側(内側面側)の角部16aは、角面取りとなるように形成されている。ただし前記角部16aをR面取りに形成してもよい。制御手段であるマイクロコンピュータ8のCPU17によって、スピンドルモータ14を回転させることで、当接片16の内側面部16bがクランパ12から外れたディスク9の外周縁部に当接して、ディスク9を正規位置に復帰し得る構造になっている。
【0028】
ケーシング2には、複数枚のディスク9を収納しておくストッカ5、および分離・昇降装置6がそれぞれ設けられている。ストッカ5は、複数枚のディスク9をz方向に沿って一定間隔おきに収納可能に構成されている。分離・昇降装置6は、ストッカ5をスイングアーム3に対しz方向に相対的に昇降させる機能を有する。ポテンショメータ7からの検知信号を用いて分離・昇降装置6を昇降駆動させて、複数枚のディスク9のうちのいずれか一枚を指定可能に構成されている。分離・昇降装置6とスイングアーム3の駆動装置4とで協働して、ストッカ5から指定のディスク9を該ストッカ5と干渉しない位置まで引き出し可能に構成されるうえ、引き出したディスク9をストッカ5の元の位置に返却可能に構成されている。
【0029】
ケーシング2の一部にマイクロコンピュータ8(マイコン8と称す)が設けられる。マイコン8は、中央演算処理装置17(CPU:Central Processing Unit)とロム18(ROM:Read Only Memory)とラム19(RAM:Random Access Memory)と入出力インタフェース20とバス21とを備えている。入出力インタフェース20に、光ピックアップ装置15、スイングアーム3の駆動装置4、分離・昇降装置6、ポテンショメータ7がそれぞれ電気的に接続されている。入出力インタフェース20に、駆動回路22を介してスピンドルモータ14が電気的に接続されている。前記入出力インタフェース20に、光ピックアップ装置15のフォーカス信号およびトラッキング信号が入力される。フォーカス信号をフォーカスエラー信号(略称FES)と称し、トラッキング信号をトラッキングエラー信号(略称TES)と称す場合がある。前記ロム18に、ディスク9を回転制御して該ディスク9の位置ずれ防止を図るプログラムが格納されている。このプログラムはCPU17によって実行される。
【0030】
図3は、本発明の第1の実施形態に係り、ディスク返却動作のタイムアウトをもって、ディスク9を回転制御するプログラムの各ステップを示すフローチャートである。図1および図2も参照しつつ説明する。ディスク9をクランパ12で保持した状態で、ディスクをストッカ5内に収納する際にこのフローが開始する。先ずステップa1において、ディスク9をストッカ5の元の位置に返却させるべく、CPU17は分離・昇降装置6を駆動させてストッカ5をz方向に移動させる。さらに駆動装置4によってスイングアーム3がディスク取出し位置への動作、いわゆるディスク返却動作を開始する。
【0031】
次にステップa2に移行し、ディスク返却動作がタイムアウトになったか否かを判断する。具体的には、ディスク返却動作要求が予め定める時間(たとえば2秒以上3秒未満)経過したとき、その返却動作要求を強制的に終了させる。ディスク返却動作要求を強制的に終了すると、ステップa4に移行する。タイムアウトしていないならばステップa3に移行する。ステップa3でディスク返却動作が完了すると本フローを終了させて次動作へ移行する。ディスク返却動作が未完了ならばステップa2に戻り返却動作を繰り返す。
【0032】
ステップa4で、リトライ回数の最大値(たとえば3回)に達したか否かを判断し、最大値に達したとの判断でエラー停止する。つまりディスク返却動作自体を停止する。ステップa4で、最大値に達していないとの判断でステップa5に移行し、スイングアーム3を再生位置(図1参照)まで引き出し処理する。次にステップa6で、スピンドルモータ14つまりディスク9の回転制御を行う。これによって当接片16の内側面部16bがディスク9の外周縁部に当接して、そのディスク9の偏心量を次第に小さくしていくことで、ディスク9を正規位置に復帰し得る。その後ステップa1に戻る。前記ディスク9の回転制御によって、ディスク9が正規位置に復帰すれば、ステップa2でタイムアウトにならず、ステップa3でディスク返却動作が完了する。
【0033】
以上説明した第1の実施形態に係るディスクチェンジャ1によれば、ディスク返却動作がタイムアウトになったとの判断で、スイングアーム3を再生位置まで引き出し処理したうえでディスク9の回転制御を行った後、ディスク返却動作を再度開始する。ディスク返却動作ができない原因がディスク9の脱落などの場合、前記ディスク9の回転制御によって、ディスク9を正規位置に復帰することが可能となる。したがってスイングアーム3をディスク取出し位置に移動させるリトライ回数を、従来技術のものより極力少ない回数としたうえでディスク9の位置ずれの解消を図ることが可能となる。
【0034】
当接片16は金属製ではなく合成樹脂製であるので、その内側面部16bをディスク9の外周縁部に当接させたとき、ディスク9が傷付くのを防止できる。当接片16の内側面側の角部16aは角面取りされているので、ディスク9の一部が当接片16に不所望に乗り上げたとしても、その面取り形状に沿ってディスク9の乗り上げを解消できる。当接片16の角部16aをR面取りに形成した場合であっても、同様の効果を奏する。前述のタイムアウトの設定時間、リトライ回数の最大値は、それぞれ一例に過ぎず必要に応じて種々変更可能である。
【0035】
さらに、予め定める回数、ディスク返却動作のリトライを行い、その後ディスクを回転させる構成とすることも可能である。さらにまた、ディスク返却動作のリトライとディスク回転制御とを交互に行うことも可能である。また、当接片16を設けていない場合でも、ディスクの回転制御のみでディスクを正規位置に復帰させることも可能である。
【0036】
図4は、本発明の第2の実施形態に係り、フォーカスエラー信号FESまたはトラッキングエラー信号TESの検出等に基づいて、ディスク9を回転制御する方法を示すフローチャートである。第2の実施形態においてCPU17は、ディスク返却動作のタイムアウト時に、ディスク9を回転させてフォーカス信号またはトラッキング信号の状態によって、ディスク9がクランパ12から外れ位置ずれしたことを検知するようになっている。
【0037】
ディスク9をクランパ12で保持した状態で、ディスクをストッカ5に収納する際にこのフローが開始する。先ずステップb1においてディスク返却動作を開始し、ステップb2でディスク返却動作がタイムアウトになったか否かを判断する。タイムアウトしていないならばステップb3に移行し、ディスク返却動作が完了すると本フローを終了させて次動作へ移行する。ディスク返却動作が未完了ならばステップb2に戻る。
【0038】
ステップb2でディスク返却動作がタイムアウトしたとき、ステップb4に移行し、スピンドルモータ14つまりディスク9を回転させる。次にステップb5で、フォーカスエラー信号またはトラッキングエラー信号が検出されたか否かを判断する。両方のエラー信号が正常検出されれば、ディスクは正常位置にあるので、ステップb6に移行し、リトライ回数の最大値(たとえば3回)に達したか否かを判断し、最大値に達したとの判断でエラー停止する。最大値に達していないとの判断でステップb2に戻る。
【0039】
ステップb5でフォーカスエラー信号FESおよびトラッキングエラー信号TESが正常に検出されなければ(ディスクがずれている)、ステップb7に移行する。ここでリトライ回数の最大値に達したか否かを判断し、最大値に達したとの判断でエラー停止する。最大値に達していないとの判断でステップb8に移行し、スイングアーム3を再生位置まで引き出し処理する。次にステップb9に移行して前記と同様のディスク9の回転制御を行う。その後ステップb1に戻る。
【0040】
以上説明した第2の実施形態に係るディスクチェンジャによれば、ディスク返却動作のタイムアウト時(ステップb2;YES)に、ディスク9を回転させてフォーカスエラー信号FESおよびトラッキングエラー信号TESが検出されるとき、ディスク9が位置ずれしていることを検知しているので、ディスク9の位置ずれを確実に検知しうる。フォーカスエラー信号FESまたはトラッキングエラー信号TESによって、異常の状態に合ったリトライ動作を実行することが可能となり、ディスク9の位置ずれを復帰する時間を短縮することができる。その他第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0041】
図5は、本発明の第3の実施形態に係り、ディスク検知センサの検知信号等に基づいて、ディスクを回転制御する方法を示すフローチャートである。第3の実施形態においては、ターンテーブル13上またはターンテーブル13付近部に、ディスク9の有無つまりディスク9の位置ずれを検知するディスク検知センサ(検知手段に相当する)が設けられている。ディスク検知センサは、プッシュスイッチ、圧力センサなどのメカ式センサによって実現される。
【0042】
ディスク9をクランパ12で保持した状態で、ディスクをストッカ5に収納する際にこのフローが開始する。先ずステップc1においてディスク返却動作を開始し、ステップc2でディスク返却動作がタイムアウトになったか否かを判断する。タイムアウトしていないならばステップc3に移行し、ディスク返却動作が完了すると本フローを終了させて次動作へ移行する。ディスク返却動作が未完了ならばステップc2に戻る。
【0043】
ステップc2でディスク返却動作がタイムアウトしたとき、ディスク検知センサのセンサ信号があったか否かを判断する。「有」(ディスクずれなし)との判断でステップc5に移行し、リトライ回数の最大値に達したか否かを判断し、最大値に達したとの判断でエラー停止する。最大値に達していないとの判断でステップc2に戻る。ステップc4でセンサ信号なし(ディスクがずれている)と判断すると、ステップc6に移行する。ここでリトライ回数の最大値に達したか否かを判断し、最大値に達したとの判断でエラー停止する。最大値に達していないとの判断でステップc7に移行し、スイングアーム3を再生位置まで引き出し処理する。次にステップc8に移行して前記と同様のディスク9の回転制御を行う。その後ステップc1に戻る。
【0044】
以上説明した第3の実施形態に係るディスクチェンジャによれば、ディスク検知センサによって、リトライ動作開始前にディスク状態を即座に検知できる。したがってディスク9の位置ずれを復帰する時間をさらに短縮することができる。その他第2の実施形態と同様の効果を奏する。
【0045】
図6は、本発明の第4の実施形態に係り、リトライ時のディスク回転制御方法を示すフローチャートである。第4の実施形態では、ディスク9がクランパ12から外れて位置ずれしたことを検知すると、スイングアーム3を再生位置まで戻し、ディスク9を一定時間回転させた後ディスク返却動作を再度行う。ディスク返却動作がタイムアウトになる条件でこのフローが開始する。先ずステップd1において、CPU17はスピンドルモータ14を駆動させて、ディスク9の回転を開始する。次にステップd2で一定時間経過したか否かを判断する。「否」との判断でステップd2に戻る。経過したと判断すると、ステップd3に移行し、リトライ回数の最大値に達したか否かを判断する。
【0046】
「否」との判断でステップd4に移行し、ステップd2でディスクを回転させる「一定時間」を変更する。この時間は増加させる場合もあるし減少させる場合もある。変更後ステップd5に移行し、ディスク9の回転を停止する。その後ステップd1に戻る。ステップd3でリトライ回数の最大値に達したとの判断でディスク回転を停止し(ステップd6)、本フローを終了して図3〜図5のディスク返却動作開始の各ステップへ移行する。
【0047】
以上説明した第4の実施形態に係るディスクチェンジャによれば、CPU17はスピンドルモータ14を一定時間回転させるので、ディスク9をその軸線方向まわりに所望の回転角度回転させることができる。したがって一手法のリトライ動作よりも、ディスク9の位置ずれを早く解消することができる。またステップd4でその時間設定を変更しているので、ディスク9の回転角度に変化をつけて、ディスク9を正規位置に復帰しやすくできる。
【0048】
図7は、本発明の第5の実施形態に係り、スピンドルモータのFG信号をモニタしながらディスク9を回転させる角度を制御する方法を示すフローチャートである。第5の実施形態では、CPU17は、スピンドルモータ14のFG信号に基づいて、スピンドルモータ14つまりディスク9を回転させる角度を変化させる。ディスク返却動作がタイムアウトになる条件でこのフローが開始する。
【0049】
先ずステップe1でディスク回転を開始し、次にステップe2で一定時間経過したか否かを判断する。「否」との判断でステップe2に戻る。経過したと判断すると、ステップe3に移行する。ここで前記FG信号に基づいて、ディスク9が規定角度回転したか否かを判断する。規定角度回転したとの判断でステップe7に移行して、ディスク回転を停止し、本フローを終了して図3〜図5のディスク返却動作開始の各ステップへ移行する。ステップe3で「否」との判断でステップe4に移行し、リトライ回数の最大値に達したか否かを判断する。「否」との判断でステップe5に移行し、ディスク9を回転させる「一定時間」を変更する。変更後ステップe6に移行し、ディスク9の回転を停止する。その後ステップe6に戻る。
【0050】
以上説明した第5の実施形態に係るディスクチェンジャによれば、スピンドルモータ14を回転させるリトライ動作実行時において、単に時間制御の場合はスピンドルモータ14つまりディスク9が回転したかどうかは不明であるが、モータ回転数に比例したパルス出力、つまりFG信号をモニタすることによって、スピンドルモータ14が確実に回転したことを検知できる。スピンドルモータ14が回転していない場合には、リトライ動作の時間をさらに延ばす、あるいはスピンドルモータ14の回転を一度停止して再度回転させるなどの変化をつける制御を実行できる。それ故、ディスク9を正規位置により復帰しやすくできる。その他第4の実施形態と同様の効果を奏する。
【0051】
図8は、本発明の第6の実施形態に係り、ディスクの回転角度等をリトライ毎に乱数で決定する方法を示すフローチャートである。第6の実施形態では、CPU17は、スピンドルモータ14つまりディスク9を回転させる角度を、リトライ毎に乱数で決定する。この乱数はたとえばラム19にテーブルとして予め記憶されている。ディスク返却動作がタイムアウトになる条件でこのフローが開始する。
【0052】
先ずステップf1で、乱数で初期時間を設定する。この初期時間に基づいて、ディスク回転を開始する(ステップf2)。次にステップf3で一定時間経過したか否かを判断する。「否」との判断でステップf3に戻る。経過したと判断するとステップf4に移行し、CPU17は、スピンドルモータ14から乱数に応じたパルス数が出力されているか否かを判断する。出力されているとの判断で、ステップf7に移行してディスク回転を停止させ、本フローを終了して図3〜図5のディスク返却動作開始の各ステップへ移行する。「否」との判断でステップf5に移行し、リトライ回数の最大値に達したか否かを判断する。「否」との判断でステップf6に移行し、ディスク9の回転を停止する。その後ステップf1に戻る。ステップf5でリトライ回数の最大値に達したとの判断で、ステップf7に移行する。
【0053】
以上説明した第6の実施形態に係るディスクチェンジャによれば、ディスク9がクランパ12から外れて位置ずれしたことを検知した場合、スイングアーム3を再生位置まで戻し、ディスク9を回転させてリトライ動作を実行するが、その回転角度または回転数をリトライ毎に乱数で決定しているので、回転角度つまり回転時間に変化をつけることができ、ディスク9の回転角度に変化をつけないものより、ディスク9を正規位置に復帰しやすくできる。
【0054】
駆動源として、スピンドルモータ14の代わりにステッピングモータを適用することも可能である。この場合には、CPU17は、該ステッピングモータによって、ディスク9を回転させる角度を制御するので、駆動源が確実に回転したことを検知できる。駆動源が回転していない場合には、リトライ動作の時間をさらに延ばす、あるいは駆動源の回転を一度停止して再度回転させるなどの変化をつける制御を実行できる。それ故、ディスク9を正規位置により復帰しやすくできる。
【0055】
振動を検知する振動検知センサ(振動検知手段に相当)を、たとえばスイングアーム3の一部に設けておいてもよい。CPU17は、このセンサによって一定時間以上連続して振動検知している状態で、ディスク返却動作のタイムアウトが発生すると、振動によりディスク9がクランパ12から外れたもの(ディスク返却動作不可)と判断する。スイングアーム3の動作異常時に、振動などの外部要因によるディスク9の位置ずれを推定することによって、異常の状態に合ったリトライ動作を実行できる。したがって位置ずれの復帰時間の短縮を図ることが可能となる。振動検知センサによって、スイングアーム3を所望位置に移動させるタイミングを図ることも可能となる。
【0056】
第2の実施形態では、ステップb5で、フォーカスエラー信号FESまたはトラッキングエラー信号TESが検出されたか否かを判断しているが、必ずしもこの形態に限定されるものではない。たとえばフォーカスエラー信号FESおよびトラッキングエラー信号TESが検出されたとき、ステップb7に移行する形態にしてもよい。この形態によれば、ディスク姿勢情報を多くすることができ、ディスク9の不所望な位置ずれを正確に把握することが可能となる。
【0057】
第3の実施形態では、ディスク検知センサとしてメカ式センサを適用することが望ましいが、非接触式のセンサを適用することも可能である。この場合には、センサをターンテーブル上以外の場所に設置する範囲が拡大し、設計の自由度を高めることができる。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を付加した形態で実施することも可能である。さらにまた、上記第1から第6の実施形態の支持体の前記所望位置へ移動させる判断基準として、リトライの回数、リトライの経過時間、ディスク読み取り信号、記録媒体の位置ずれ検知信号、振動検知信号等を組み合わせて用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態に係るディスクチェンジャ1の要部を示す斜視図である。
【図2】ディスクチェンジャ1の電気的構成を示すブロックである。
【図3】本発明の第1の実施形態に係り、ディスク返却動作のタイムアウトをもって、ディスク9を回転制御するプログラムの各ステップを示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態に係り、フォーカスエラー信号またはトラッキングエラー信号の検出等に基づいて、ディスクを回転制御する方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第3の実施形態に係り、ディスク検知センサの検知信号等に基づいて、ディスクを回転制御する方法を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第4の実施形態に係り、リトライ時のディスク回転制御方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第5の実施形態に係り、スピンドルモータ14のFG信号をモニタしながらディスクを回転させる角度を制御する方法を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第6の実施形態に係り、ディスクの回転角度等をリトライ毎に乱数で決定する方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
1 ディスクチェンジャ
3 スイングアーム
8 マイコン
9 ディスク
14 スピンドルモータ
16 当接片
17 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を回転駆動させる駆動源と、記録媒体を回転可能に支持する支持体とを備えた記録媒体再生装置において、
前記支持体が、所望位置に移動しない旨を示す所定条件を満たした場合、駆動源を駆動して記録媒体を回転駆動させた後、支持体を前記所望位置に移動させるように制御する制御手段を含むことを特徴とする記録媒体再生装置。
【請求項2】
前記所定条件は、所定位置への移動動作を予め定める回数実行しても、支持体が所望位置に移動しない場合であることを特徴とする請求項1記載の記録媒体再生装置。
【請求項3】
前記所定条件は、所定位置への移動動作を予め定める時間実行しても、支持体が所望位置に移動しない場合であることを特徴とする請求項1または2に記載の記録媒体再生装置。
【請求項4】
前記記録媒体の位置ずれを検知する検知手段をさらに含み、
前記所定条件は、検知手段による検知信号に基づいて、前記記録媒体の位置ずれが検出された場合であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の記録媒体再生装置。
【請求項5】
振動を検知する振動検知手段をさらに含み、
前記所定条件は、振動検知手段による検知信号に基づいて、振動が検出された場合であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の記録媒体再生装置。
【請求項6】
駆動源を駆動して記録媒体を回転させることで、正規位置に位置しない状態の記録媒体の外周縁部に当接する当接片が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の記録媒体再生装置。
【請求項7】
前記制御手段は、支持体を所望位置に移動させるリトライの回数に応じて、駆動源を回転させる角度を変化させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の記録媒体再生装置。
【請求項8】
前記制御手段は、駆動源を回転させる角度を、支持体を所望位置に移動させるリトライ毎に、無秩序で決定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の記録媒体再生装置。
【請求項9】
記録媒体を支持する支持体を所望位置に移動させる工程と、
前記支持体が所望位置に移動できない場合に、記録媒体を回転させる工程と、
前記記録媒体を回転させた後、支持体を所望位置に移動させる移動工程と、を有することを特徴とする記録媒体再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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