説明

記録媒体処理装置、記録媒体処理装置の制御方法、及び、プログラム

【課題】光学的記録媒体の記録品質の判定と、記録品質が不良または劣化している場合のデータの保護とを容易に、かつ速やかに行えるようにする。
【解決手段】ディスク発行システム3は、光学的記録媒体にデータを記録し、光学的記録媒体からデータを読み取る光ディスクドライブ20と、光ディスクドライブ20による読取状態に基づいて、光学的記録媒体の記録品質の良否を判定する品質判定部91と、品質判定部91により光学的記録媒体の記録品質が不良または劣化状態であると判定された場合に、光学的記録媒体に記録されているデータを、光ディスクドライブ20によって光学的記録媒体自体または別の光学的記録媒体に記録させる記録制御部92と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的記録媒体へのデータの記録と記録されたデータの読取とが可能な記録媒体処理装置、この記録媒体処理装置の制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、保存目的でデータを記録するデータストレージとして、光学的にデータの記録及び読み出しが可能な光学的記録媒体が使われている。このような光学的記録媒体は、記録時のレーザー出力と使用されている色素の特性の不整合や、外光による劣化等によって、記録品質が低下することがあった。このため、光学的記録媒体の劣化の測定や評価を行う手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の方法では、光学的記録媒体に信号を記録し、記録した信号を再生して、この再生信号に基づいて記録膜の劣化の評価を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−311349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光学的記録媒体の劣化、或いは記録品質が低いことが判明した場合、読み取りが完全にできなくならないうちに、光学的記録媒体からデータを読み取って別の記録媒体に退避させる等の措置が必要である。しかしながら、このような作業は、光学的記録媒体を評価し、その結果を見て、必要に応じてデータを読み取って他の記録媒体に記録するという面倒な作業を、光学的記録媒体を一つずつ取り替えながら行う必要があり、非常に負担の大きい作業であった。
そこで、本発明の目的は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、光学的記録媒体の記録品質の判定と、記録品質が不良または劣化している場合のデータの保護とを容易に、かつ速やかに行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、光学的記録媒体にデータを記録する記録部と、光学的記録媒体に記録されたデータを読み取る読取部と、前記読取部による読取状態に基づいて、前記光学的記録媒体の記録品質の良否を判定する品質判定部と、前記品質判定部により前記光学的記録媒体の記録品質が不良または劣化状態であると判定された場合に、前記光学的記録媒体に記録されているデータを、前記記録部によって前記光学的記録媒体自体または別の光学的記録媒体に記録させる記録制御部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、光学的記録媒体の記録品質の良否を判定し、記録品質が不良または劣化状態であった場合は記録されているデータを、この光学的記録媒体自体または別の光学的記録媒体に記録させるので、光学的記録媒体の記録品質の判定と、記録品質が不良または劣化状態の場合のデータの保護とを容易に、かつ速やかに行うことができる。また、記録品質が不良または劣化状態の場合に、その光学的記録媒体自体にデータを記録して、新しい光学的記録媒体を消費することなくデータの保護を図ることも、新たに別の光学的記録媒体にデータを退避させることもでき、データの保護方法の自由度を高めることができる。
【0006】
また、本発明は、上記の記録媒体処理装置において、前記記録制御部は、記録品質が不良または劣化状態であると判定された前記光学的記録媒体の未記録領域の記録可能容量と、前記光学的記録媒体に記録されているデータ量とに基づいて、前記記録部によって前記光学的記録媒体自体に前記データを記録するか、別の光学的記録媒体に記録させるかを決定すること、を特徴とする。
本発明によれば、光学的記録媒体の記録品質が不良または劣化状態の場合に、この光学的記録媒体の記録可能容量が十分に残っていれば、この記録可能容量を活用してデータを保護できるので、省資源化を図りつつデータを保護できる。また、記録品質が不良または劣化状態と判定された光学的記録媒体自体を使用するか否かを自動的に決定してデータの保護を行うので、少ない作業負担でデータの保護と省資源化を両立できる。
【0007】
また、本発明は、上記の記録媒体処理装置において、前記記録制御部は、前記記録部によって前記光学的記録媒体とは別の光学的記録媒体にデータを記録させた場合に、前記記録部によって、前記光学的記録媒体に記録されているデータを読み取るためのインデックス情報を読取不能とすること、を特徴とする。
本発明によれば、記録品質が不良または劣化状態と判定された光学的記録媒体を再利用しない場合に、この光学的記録媒体を、データを読み取り不能な状態にするので、この光学的記録媒体を廃棄等した場合のデータの漏洩等を確実に防止できる。これにより、光学的記録媒体の記録品質の判定とデータの退避を容易に行うことができ、かつ、記録品質が不良または劣化状態の光学的記録媒体の管理負担を軽減できる。
【0008】
また、本発明は、上記の記録媒体処理装置において、前記光学的記録媒体の印刷用領域に印刷を行う印刷部と、前記記録制御部の制御に従って、前記光学的記録媒体に記録されているデータが前記記録部によって前記光学的記録媒体とは別の光学的記録媒体に記録された場合に、この別の前記光学的記録媒体の印刷用領域に修復された光学的記録媒体であることを示す文字または画像を前記印刷部によって印刷させる印刷制御部と、を備えたこと、を特徴とする。
本発明によれば、記録品質が不良または劣化状態と判定された光学的記録媒体から別の光学的記録媒体にデータを退避させた場合に、この別の光学的記録媒体に、光学的記録媒体の記録品質の不良または劣化状態によりデータを退避したことを示す印刷が施されるので、新しい光学的記録媒体が作成された経緯を把握しやすく、誤用を避けることができる。これにより、光学的記録媒体の管理負担を軽減できる。
【0009】
また、本発明は、上記の記録媒体処理装置において、前記記録制御部は、前記品質判定部により記録品質が不良または劣化状態であると判定された前記光学的記録媒体が書換え型の光学的記録媒体であった場合に、この前記光学的記録媒体に記録されたデータを前記記録部によって同じ前記光学的記録媒体に記録させること、を特徴とする。
本発明によれば、書換え型の光学的記録媒体の記録品質が不良または劣化状態の場合に、この光学的記録媒体を再利用してデータを退避させるので、書換え型記録媒体の特性を生かして、少ない作業負担でデータの保護と省資源化を両立できる。
【0010】
また、本発明は、上記の記録媒体処理装置において、前記品質判定部は、前記記録制御部の制御に従って、書換え型の前記光学的記録媒体に記録されたデータが前記記録部によって同じ前記光学的記録媒体に記録された場合に、この記録後の前記光学的記録媒体の記録品質の良否を判定し、前記記録制御部は、前記記録部によって同じ前記光学的記録媒体にデータを記録させた場合の前記光学的記録媒体の記録品質が、前記品質判定部により記録品質が不良または劣化状態であると判定された場合には、前記光学的記録媒体に記録されているデータを前記記録部によって前記光学的記録媒体とは別の光学的記録媒体に記録させること、を特徴とする。
本発明によれば、書換え型の光学的記録媒体の記録品質が不良または劣化状態の場合に、この光学的記録媒体を再利用してデータを退避させて、省資源化を図りつつデータを保護し、光学的記録媒体自体の劣化等により退避させたデータの記録品質が不良または劣化状態の場合は新しい光学的記録媒体を用いてデータを退避させるので、書換え型記録媒体の特性を生かしてデータの保護と省資源化を両立し、かつ、データを確実に保護できる。
【0011】
また、上記目的を達成するため、本発明は、光学的記録媒体にデータを記録する記録部と、光学的記録媒体に記録されたデータを読み取る読取部と、を備えた記録媒体処理装置を制御して、前記読取部による読取状態に基づいて、前記光学的記録媒体の記録品質の良否を判定し、前記光学的記録媒体の記録品質が不良または劣化状態であると判定した場合に、前記光学的記録媒体に記録されているデータを、前記記録部によって前記光学的記録媒体自体または別の光学的記録媒体に記録させること、を特徴とする。
本発明の制御方法を実行することにより、光学的記録媒体の記録品質の良否が判定され、記録品質が不良または劣化状態であった場合は記録されているデータが、この光学的記録媒体自体または別の光学的記録媒体に記録されるので、光学的記録媒体の記録品質の判定と、記録品質が不良または劣化状態の場合のデータの保護とを容易に、かつ速やかに行うことができる。また、記録品質が不良または劣化状態の場合に、その光学的記録媒体自体にデータを記録して、新しい光学的記録媒体を消費することなくデータの保護を図ることも、新たに別の光学的記録媒体にデータを退避させることもでき、データの保護方法の自由度を高めることができる。
【0012】
また、上記目的を達成するため、本発明は、光学的記録媒体にデータを記録する記録部と、光学的記録媒体に記録されたデータを読み取る読取部と、を備えた記録媒体処理装置を制御する制御部が実行可能なプログラムであって、前記読取部による読取状態に基づいて、前記光学的記録媒体の記録品質の良否を判定し、前記光学的記録媒体の記録品質が不良または劣化状態であると判定した場合に、前記光学的記録媒体に記録されているデータを、前記記録部によって前記光学的記録媒体自体または別の光学的記録媒体に記録させること、を特徴とする。
本発明のプログラムを実行することにより、光学的記録媒体の記録品質の良否が判定され、記録品質が不良または劣化状態であった場合は記録されているデータが、この光学的記録媒体自体または別の光学的記録媒体に記録されるので、光学的記録媒体の記録品質の判定と、記録品質が不良または劣化状態の場合のデータの保護とを容易に、かつ速やかに行うことができる。また、記録品質が不良または劣化状態の場合に、その光学的記録媒体自体にデータを記録して、新しい光学的記録媒体を消費することなくデータの保護を図ることも、新たに別の光学的記録媒体にデータを退避させることもでき、データの保護方法の自由度を高めることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光学的記録媒体の記録品質の判定と、記録品質が不良または劣化状態の場合のデータの保護とを容易に、かつ速やかに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ディスク発行システムの概略構成を示す図である。
【図2】ディスク発行装置の構成を示す図である。
【図3】ディスク発行システムの機能ブロック図である。
【図4】記録品質判定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るディスク発行システム3の構成を概略的に示す正面図であり、図2は、ディスク発行システム3が備えるディスク発行装置1の装置本体10の内部を上から見た図である。
図1に示すように、本発明の記録媒体処理装置を適用したディスク発行システム3は、ディスク発行装置1と、このディスク発行装置1を制御するホストコンピューター2とを備えて構成される。
ディスク発行装置1は、箱形に形成された装置本体10の内部に、記録ディスクDの記録面にデータを記録するデータ記録処理を施す2台の光ディスクドライブ20と、記録ディスクDのレーベル面に文字、図形、絵柄等を形成する印刷装置30とを備える。
【0016】
光学的記録媒体としての記録ディスクDは、レーザー光等を利用したデータの記録(書込)、読み取り等が可能な光学的記録媒体であり、一回のみデータを記録可能な追記型(ライトワンス型)ディスクと、記録済みのデータの消去及び繰り返しの記録が可能な書き換え可能な書換え型ディスクとがある。追記型ディスクは、いったんレーザー光を照射してデータを記録した領域に重ねてデータを記録することはできないが、データを記録した後であっても、データが記録されていない領域にデータを書き込むこと(いわゆる追記)が可能である。また、追記型ディスクにおいて既にデータが記録された領域に、記録時と同等またはこれを超える出力でレーザー光が照射されると、照射された領域に記録されていたデータが読取不能となり、いわゆるデータの破壊が可能である。これに対し、書換え型ディスクは、レーザー光によるデータの記録が可能で、かつ、既にデータが記録された領域にレーザー光を照射することで、記録前の状態に戻すこと(いわゆる消去)や、データを記録すること(いわゆる上書き)が可能である。
記録ディスクDは、CD規格、DVD規格、Blu−ray(登録商標)Disc規格等の規格に準拠した光記録型ディスクが挙げられるが、これらの後継規格として将来策定される規格に準拠した光記録型ディスクも記録ディスクDとして使用できる。追記型ディスクの具体例としては、CD−R、DVD±R、BD−R等があり、書換え型ディスクの具体例としてはCD−RW、DVD±RW、DVD−RAM、BD−RE等がある。
記録ディスクDの一方の盤面には、データの記録、読取、消去のためにレーザー光が照射される記録面が形成され、他方の盤面は、例えばインクを吸着する吸着層が形成され、文字や図形、絵柄等の画像を記録可能なレーベル面となっている。
【0017】
読取部及び記録部として機能する2台の光ディスクドライブ20は、それぞれ、光ディスクドライブ本体21と、この光ディスクドライブ本体21に引き出し自在に設けられたディスクトレイ22とを備え、ディスクトレイ22には、記録ディスクDが嵌め込まれてセットされる略円形の凹部23(図2)が形成されている。光ディスクドライブ20は、レーザー光源(図示略)及びディスクトレイ22を移送するローディング機構(図示略)を備え、ホストコンピューター2の制御に従って、後述する搬送装置60によりディスクトレイ22にセットされた記録ディスクDに対するデータの記録、追記、消去、或いはデータの読取を行う。
【0018】
印刷部としての印刷装置30は、例えば、CMYKの4色またはこれに淡色インクを加えた6色のインクを用い、記録ディスクDのレーベル面にインクを吐出することにより、記録ディスクDのレーベル面に文字、図形、画像等を印刷するインクジェット式プリンターである印刷装置30は、記録装置本体31と、この記録装置本体31に引き出し自在に設けられたディスクトレイ32とを備え、搬送装置60によりディスクトレイ32に載置された記録ディスクDを、ディスクトレイ32とともに内部にローディングして、記録ディスクDのレーベル面への印刷を行う。
ディスク発行装置1は、光ディスクドライブ20によって記録ディスクDの記録面にデータを記録し、印刷装置30によって記録ディスクDのレーベル面に画像を印刷する。
【0019】
図1に示すように、ディスク発行装置1の装置本体10は、ディスク発行装置1の土台たる装置本体下部13に、装置本体上部12を載置して構成される。装置本体上部12の内部である装置本体内部10Aには、2台の光ディスクドライブ20及び印刷装置30に加え、第1スタッカー41、第2スタッカー42、搬送装置60が配置されている。
2台の光ディスクドライブ20,20と印刷装置30は、図1に示すように上下に積層配置されている。また、図2に示すように、2台の光ディスクドライブ20、20及び印刷装置30は、装置本体上部12の背面12A側に偏って配置され、装置本体上部12の他方の側には、第1スタッカー41及び第2スタッカー42が上下に並べて配置されている。第1スタッカー41及び第2スタッカー42は、装置本体10の前面12B側に偏って配置されており、これら第1スタッカー41及び第2スタッカー42の後方には、搬送装置60のアーム部61を支持するガイド62が配置される。
【0020】
装置本体内部10Aの前面12Bには、開口部14が形成されている。開口部14は、開口部14の他端14Aに設けられたドア軸16に回動自在に支持される枠体15Aと、この枠体15Aに取り付けられた透明板15Bとを備える装置カバー15によって覆われ、装置カバー15を開くと、装置本体内部10Aに配置された各装置にアクセス可能となる。また、装置カバー15が閉状態であっても、透明板15Bを介して装置本体内部10Aの各装置を視認できる。
装置カバー15には、装置カバー15の開閉状態を検出し、開閉検出信号として出力する開閉検出センサー(図示略)が設けられ、この開閉検出センサーによって装置カバー15の閉状態が検出されているときのみ、ディスク発行装置1に設けられた光ディスクドライブ20や印刷装置30、搬送装置60等の装置が稼動し、装置カバー15が開状態とされると、ディスク発行装置1に設けられた各装置の動作が停止する構成となっている。
【0021】
第1スタッカー41は有底円筒形状に形成され、内部に数十枚(例えば、50枚)程度の記録ディスクDを積載して収納する収納部41Aが形成されている。この第1スタッカー41は、装置本体内部10Aに固定された第1スタッカーベース41Bに着脱自在に載置されている。第1スタッカー41の外壁の一部には、下方に向かって長尺に切り欠かれた切り欠き部41Cが形成されており、この切り欠き部41Cを介して搬送装置60のアーム部61が収納部41Aの下部まで進行可能に構成されている。また、第2スタッカー42は、第1スタッカー41と略同一の構成を有し、第1スタッカー41の下方に、後述する搬送装置60のアーム部61が挿入可能な間隙Kを空けて、第2スタッカーベース42Bに着脱自在に配置されている。また、第2スタッカー42の外壁には第1スタッカー41と略同様の切り欠き部42Cが形成されており、上記間隙Kに挿入されたアーム部61はこの切り欠き部42Cを介して収納部42Aの下部まで進行可能である。
【0022】
また、装置本体内部10Aの下部には、図1に二点鎖線で示すように、必要に応じて増設スタッカー57を設置可能である。以下の説明では増設スタッカー57が設置された場合について説明する。増設スタッカー57は、第1スタッカー41及び第2スタッカー42と同様に有底円筒形状に形成され、内部に数十枚(例えば、50枚)程度の記録ディスクDを積載して収納する増設ディスク収納部57Aを有する。
第1スタッカー41、第2スタッカー42及び増設スタッカー57には、装置カバー15を開いてアクセス可能であり、記録ディスクDの搬入作業や取り出し作業を行える。ディスク発行装置1では、装置本体内部10Aへの塵埃等の進入を防止するため、第1スタッカー41、第2スタッカー42、及び増設スタッカー57に対する記録ディスクDの出し入れ作業時やメンテナンス時以外は、基本的に装置カバー15を閉じることとされている。
【0023】
一方、装置本体下部13には、数枚の記録ディスクDを収納可能なディスク収納部53を有する第3スタッカー50が設けられている。装置本体内部10Aの光ディスクドライブ20や印刷装置30が配置される側には、図2に示すように、背面12Aへ向かって凹んだ状態で第3スタッカー引込部51(図2参照)が形成され、この第3スタッカー引込部51に図2中矢印Aで示す方向に引き出し/引き込み自在に第3スタッカー50が取り付けられ、装置カバー15を閉じた状態でも引出口17から第3スタッカー50を引き出して、記録ディスクDの出し入れを行うことができるよう構成されている。このため、光ディスクドライブ20、印刷装置30や搬送装置60が動作している状態でも、第3スタッカー50を引出口17から引き出して、第3スタッカー50に対して記録ディスクDの出し入れを行える。
【0024】
第1スタッカー41、第2スタッカー42及び増設スタッカー57は、光ディスクドライブ20や印刷装置30に供給される記録ディスクDを収納する供給側のスタッカーとして使用することも、光ディスクドライブ20でデータを記録する処理が行われた後または印刷装置30で印刷が行われた後の記録ディスクDを収納する排出側のスタッカーとして使用することもできる。また、光ディスクドライブ20によるデータの記録と印刷装置30による印刷との両方を連続して行う場合に、各スタッカーは、光ディスクドライブ20によるデータの記録と印刷装置30による印刷との合間に一時的に記録ディスクDを集積する用途にも使用できる。各スタッカーの用途はディスク発行装置1自体における操作またはホストコンピューター2による操作によって、予め設定できる。
これに対し、第3スタッカー50は排出側スタッカーとしてのみ使用され、第3スタッカー50に集積された記録ディスクDは、ディスク発行装置1の外に取り出される。
【0025】
ディスク発行装置1は、上記のように配置される光ディスクドライブ20、印刷装置30、第1スタッカー41、第2スタッカー42、増設スタッカー57及び第3スタッカー50の間で、搬送装置60によって記録ディスクDを搬送する。
搬送装置60は、図1に示すように、装置本体10の装置本体内部10Aに立設された棒状のガイド62と、このガイド62に支持され、このガイド62に沿って上下方向に摺動すると共に、ガイド62を中心に回動する駆動部63と、この駆動部63に支持されたアーム部61と、このアーム部61の先端に設けられ、記録ディスクDの中央部に形成されたクランプ領域をつかんで保持するハンドリング部64と、を備えている。
駆動部63には、ガイド62における駆動部63の上下方向における位置や、ガイド62の軸を中心とした駆動部63の回動位置に基づいてハンドリング部64の位置を検出する位置検出センサー(図示略)が設けられている。この位置検出センサーは、検出したハンドリング部64の位置を示す信号を位置検出信号として出力する。位置検出センサーには、例えば、駆動部63を駆動するモーターの回転角度を検出するロータリーエンコーダーや、駆動部63自体の位置を検出するリニアエンコーダーまたはガイド62の特定位置で駆動部63の有無を検出する光センサー等を適用できる。
【0026】
また、装置本体上部12の前面12Bにおいて、図1における正面視左下部にはディスク発行装置1の電源をオン/オフする電源スイッチ18が設けられ、また正面視左上部には、ディスク発行装置1が備える各部の動作状態等を報知する表示パネル70が設けられている。表示パネル70には、ディスク発行装置1の電源のオン/オフ状態を示す電源状態表示部71、印刷装置30における各色のインク残量を示すインク残量表示部72、及び、各スタッカーの状態を示すスタッカー状態表示部73等が設けられている。これらの各表示部は、例えばLED(発光ダイオード)の点灯状態によって各種状態を表示する。また、インク残量表示部72は、印刷装置30で用いられるインク色毎に設けられる。
【0027】
図3は、ディスク発行システム3の構成を示す機能ブロック図である。
ホストコンピューター2は、ホストコンピューター2の各部を中枢的に制御するホスト側制御部80、ホスト側制御部80の制御に従って、液晶表示パネル(図示略)等からなる表示画面に各種情報を表示する表示部81、キーボードやマウス等の入力デバイス(図示略)の操作を検出して操作信号をホスト側制御部80に出力する入力部82、ホスト側制御部80により実行されるプログラムや処理対象のデータあるいは処理結果のデータ等を記憶するハードディスク装置やフラッシュメモリー等を備えた記憶部83、及び、通信ケーブル等を介してディスク発行装置1との間で各種信号を送受信するインターフェイス部84を備えている。
ホスト側制御部80は、各種プログラムを実行するCPU、CPUにより実行される基本制御プログラムや、この基本制御プログラムに係るデータ等を不揮発的に記憶するROM、CPUに実行されるプログラムや処理対象のデータ等を一時的に記憶するRAM、及び、その他の周辺回路等の図示しない各部を備えている。
【0028】
ホスト側制御部80は、ROMに記憶された基本制御プログラムを読み出して実行することにより、ホストコンピューター2の各部を制御し、この基本制御プログラムまたはユーザーの入力デバイスの操作による指示に従って、ディスク発行装置制御用のプログラムを記憶部83から読み出して実行して、ディスク発行装置1を制御する。
すなわち、ホスト側制御部80は、ディスク発行装置制御用のプログラムを実行して、記録ディスクDに対するデータの記録を行わせる場合には、光ディスクドライブ20によってデータを記録させるための制御情報、及び、記録ディスクDに記録すべきデータを、インターフェイス部84を介してディスク発行装置1へ送信する。ここで送信される制御情報には、例えば、各々の光ディスクドライブ20、20により記録を行う記録ディスクDの枚数を指定する情報や、搬送装置60により記録ディスクDを搬送する搬送元の位置、搬送先の位置、搬送する枚数等を指定する情報が含まれる。
また、ホスト側制御部80は、ディスク発行装置制御用のプログラムを実行して、記録ディスクDのレーベル面の印刷を行わせる場合には、印刷装置30によって印刷を実行させるための制御情報、及び、記録ディスクDに印刷すべき文字や画像のデータを、インターフェイス部84を介してディスク発行装置1へ送信する。ここで送信される制御情報には、例えば、印刷装置30によって印刷する記録ディスクDの枚数を指定する情報や、搬送装置60により記録ディスクDを搬送する搬送元の位置、搬送先の位置、搬送する枚数等を指定する情報が含まれる。
【0029】
一方、ディスク発行装置1の制御系は、2台の光ディスクドライブ20、印刷装置30、及び搬送装置60に接続された装置側制御部86を備え、この装置側制御部86はインターフェイス部87を介してホストコンピューター2に接続されている。
装置側制御部86は、ディスク発行装置1の各部を中枢的に制御するものであり、ホスト側制御部80と同様、図示しないCPU、ROM、RAM及びその他の周辺回路を備えている。
【0030】
装置側制御部86は、ホストコンピューター2から送信される制御情報やデータを、インターフェイス部87を介して受信し、この制御情報に従って、光ディスクドライブ20、印刷装置30及び搬送装置60を制御する。装置側制御部86は、搬送装置60を制御して記録ディスクDを光ディスクドライブ20、印刷装置30、第1スタッカー41、第2スタッカー42、増設スタッカー57及び第3スタッカー50の間で搬送し、光ディスクドライブ20を制御して記録ディスクDへのデータの記録を行わせ、印刷装置30を制御して記録ディスクDのレーベル面への印刷を行わせる。
【0031】
ここで、搬送装置60が記録ディスクDを搬送する動作と、光ディスクドライブ20がデータを記録する動作、及び、印刷装置30がレーベル面に印刷する動作とのタイミングの制御は、装置側制御部86が行ってもよいし、ホストコンピューター2のホスト側制御部80が行ってもよい。例えば、光ディスクドライブ20によって記録ディスクDにデータを記録する場合、光ディスクドライブ20がディスクトレイ22を開き、搬送装置60が第1スタッカー41の記録ディスクDをピックアップしてディスクトレイ22に運び、ディスクトレイ22に載置し、その後に光ディスクドライブ20がディスクトレイ22を閉じて記録ディスクDをローディングし、光ディスクドライブ20がデータの記録を行い、記録が完了してからディスクトレイ22を開き、この開かれたディスクトレイ22の上の記録ディスクDを、搬送装置60がピックアップして第2スタッカー42、増設スタッカー57または第3スタッカー50に搬送する。この場合の光ディスクドライブ20と搬送装置60の動作タイミングは、ホスト側制御部80がディスク発行装置1に送信する制御情報に含まれる情報により規定してもよいし、ホスト側制御部80がディスク発行装置1に制御情報を送信するタイミングにより制御してもよく、装置側制御部86が搬送装置60及び光ディスクドライブ20を直接制御してもよい。また、この場合に、光ディスクドライブ20及び搬送装置60が、一つの動作を実行する毎に、現在の動作状態を装置側制御部86またはホスト側制御部80へ送信してもよい。
【0032】
また、ホスト側制御部80は、品質判定部91、記録制御部92、及び、印刷制御部93を備えている。
ホスト側制御部80は、品質判定部91の機能により、光ディスクドライブ20によって記録ディスクDに記録されたデータが読み取られた場合の読み取り信号から、ジッターエラー、C1エラー、C2エラーを検出し、このエラーの数が予め設定されたしきい値を超えるか否かに基づいて、記録ディスクDの記録品質の良否を判定する。ジッターエラーは、読取信号の時間軸方向のずれにより生じた読み取りエラーであり、C1エラーは、誤り訂正符号CIRC(Cross Interleave Reed-Solomon Code)のC1符号を使っても訂正できなかったエラーであり、C2エラーは、CIRCのC2符号を用いても訂正できなかったエラーである。本実施形態では、CD規格に準拠した記録ディスクDを想定して、記録ディスクDの記録品質(読み取り品質)の指標としてジッターエラー、C1エラー、及びC2エラーを用いる場合を例に挙げて説明するが、記録ディスクDの種類、記録フォーマット、誤り訂正方式等の仕様に合わせて、他の指標を用いることも勿論可能である。
また、エラーのしきい値は、読み取ったデータ量に対するエラー発生頻度、エラー発生率、記録ディスクDの1枚あたりのエラー発生数等として設定され、ホスト側制御部80が備えるRAMや記憶部83に記憶されている。
【0033】
そして、品質判定部91によって記録ディスクDの記録品質が不良(不良または劣化状態)と判定された場合、ホスト側制御部80は、記録制御部92の機能により、記録ディスクDから読み取ったデータを保護するため、その記録ディスクD自体に存在する空き領域や、他の新しい記録ディスクDに、光ディスクドライブ20によって記録させる。新しい記録ディスクDに記録する場合、記録制御部92は、光ディスクドライブ20とともに搬送装置60を制御して、新品の記録ディスクDを第2スタッカー42から光ディスクドライブ20へ搬送させ、もとの記録ディスクDは、印刷装置30へ搬送する。
また、印刷制御部93は、品質判定部91によって記録ディスクDの記録品質が不良と判定され、記録制御部92の機能によって新しい記録ディスクDにデータが記録された場合に、印刷装置30によって、もとの記録品質が不良と判定された記録ディスクDのレーベル面に、不要の記録ディスクであることを示す文字や画像を印刷させる。印刷制御部93は、印刷装置30を制御するとともに、印刷装置30によって印刷された記録ディスクDを、廃棄用として指定されたスタッカー、例えば第3スタッカー50に搬送させる。
以上の品質判定部91、記録制御部92及び印刷制御部93の機能による一連の処理を、記録品質判定処理と呼ぶ。以下、この記録品質判定処理について説明する。
【0034】
図4は、ディスク発行システム3により実行される記録品質判定処理を示すフローチャートである。
この記録品質判定処理に先だって、処理対象の記録ディスクDが第1スタッカー41に収容されており、搬送装置60によって第1スタッカー41から記録ディスクDが1枚ずつピックアップされ、処理される。また、第2スタッカー42には、データを退避させるための新品の、未記録の記録ディスクDが収容されている。
そして、記録品質に問題がない記録ディスクD、データを記録しなおした記録ディスクD、及び、データを退避させた新しい記録済みの記録ディスクDは、増設スタッカー57に収容される。また、第3スタッカー50は、記録品質が不良と判定され、廃棄される記録ディスクDを収容する廃棄用のスタッカーとして使用される。
【0035】
ホストコンピューター2のホスト側制御部80は、まず、品質判定部91の機能により、搬送装置60によって第1スタッカー41から記録ディスクDを光ディスクドライブ20のディスクトレイ22に搬送させ、光ディスクドライブ20によって記録ディスクDに記録されたデータを読み取らせて、読取信号をインターフェイス部87、84を介して取得し、記録品質を測定する(ステップS11)。このステップS11で、品質判定部91は、光ディスクドライブ20によって記録ディスクDに記録された全てのデータを読み取らせ、この読取信号を記憶部83に記憶するとともに、読取信号中のジッターエラー、C1エラー、C2エラーをカウントする。
【0036】
この読み取りを行う間、品質判定部91は、光ディスクドライブ20が記録ディスクDを読み取り不能となるか否かを監視する(ステップS12)。記録ディスクDの傷、汚損、劣化等により光ディスクドライブ20による読み取り動作が継続できなくなった場合(ステップS12;Yes)、品質判定部91は記録ディスクDの記録品質不良と判定し、続いて、記録制御部92の機能により光ディスクドライブ20を制御して、記録ディスクDのTOCが記録された領域に記録用またはそれ以上の出力でレーザー光を照射して、TOCを破壊する(ステップS13)。TOC(Table of Contents)は記録ディスクDに記録されたデータの読み出しに必要なインデックスであり、TOCが破壊された記録ディスクDからは、データ自体の記録領域が無傷であってもデータの読み出しが極めて困難になる。
【0037】
続いて、印刷制御部93の機能により、搬送装置60が制御され、記録ディスクDがディスクトレイ22から印刷装置30まで搬送され、印刷装置30によって記録ディスクDのレーベル面に印刷される。このステップでは、例えば、記録ディスクDのレーベル面に、「読取不能」、「無効」、「Invalid」等の文字や「×」等の記号あるいは画像が印刷される。その後、印刷制御部93の機能により搬送装置60が制御され、印刷後の記録ディスクDが印刷装置30のディスクトレイ32から第3スタッカー50に搬送され(ステップS14)、本処理が終了される。なお、未処理の記録済み記録ディスクDが第1スタッカー41に残っている場合には、ステップS11から処理が繰り返される。
【0038】
光ディスクドライブ20によって記録ディスクDの全てのデータの読み取りが完了した場合(ステップS12;No)、ホスト側制御部80は、品質判定部91の機能によって、検出したエラーがしきい値以上であるか否かを判別する(ステップS15)。品質判定部91の機能により、検出されたエラーがしきい値に満たないと判別された場合(ステップS15;No)、記録ディスクDの記録品質に問題が無いと判定され(ステップS16)、搬送装置60が制御されて、ディスクトレイ22から指定された増設スタッカー57に記録ディスクDが搬送され(ステップS17)、本処理が終了される。
【0039】
一方、品質判定部91の機能によって検出したエラーがしきい値以上であると判別された場合(ステップS15;Yes)、記録制御部92により、記録ディスクDの種類が追記型の記録媒体か書換え型の記録媒体かが判別される(ステップS18)。この判別は、例えば、ステップS11でデータを読み取る間、或いはデータの読み取りに先立って光ディスクドライブ20が記録ディスクDをローディングした際に、実行されてもよい。
記録ディスクDが追記型であった場合(ステップS18;Yes)、記録制御部92の機能により、記録ディスクDの空き領域の記録可能容量が、記録ディスクDから読み取った全てのデータを記録するのに十分か否かが判別される(ステップS19)。記録可能容量が十分な場合(ステップS19;Yes)、記録制御部92により、ステップS11で記録ディスクDから読み取られたデータが、光ディスクドライブ20によって、その記録ディスクDに書き戻される(ステップS20)。さらに、品質判定部91の機能により、光ディスクドライブ20によって書き戻された領域から再びデータが読み取られ、書き戻された領域の記録品質が測定される(ステップS21)。ここで、読取信号から検出されたエラーが記憶部83に記憶されたしきい値以上であるか否かが判別され(ステップS22)、エラーがしきい値に満たない場合は(ステップS22;No)、印刷制御部93の機能によって搬送装置60が制御されて記録ディスクDがディスクトレイ22から印刷装置30のディスクトレイ32へ搬送され、印刷装置30によって、記録ディスクDのレーベル面にデータ保護の履歴が印刷される(ステップS23)。ここでは、記録ディスクDの読取品質が不良であり、空き領域にデータが退避され、退避されたデータの記録品質が良好であること等を示す文字、記号あるいは画像がレーベル面に印刷される。その後、印刷制御部93の機能によって搬送装置60が制御され、記録ディスクDがディスクトレイ32から増設スタッカー57に搬送され、本処理が終了される。
【0040】
また、記録ディスクDの空き領域に十分な記録可能容量がない場合(ステップS19;No)、及び、記録ディスクDの空き領域に書き戻されたデータの記録品質が不良であった場合(ステップS22;Yes)には、記録制御部92の機能によって搬送装置60が制御され、新しい記録ディスクDが第1スタッカー41からディスクトレイ22に搬送されて、記録ディスクDからステップS11で読み出されたデータが、新しい記録ディスクDに記録される(ステップS25)。続いて、記録ディスクDはディスクトレイ22からディスクトレイ32に搬送されて、印刷装置30によって、記録ディスクDのレーベル面にデータ保護の履歴が印刷される(ステップS26)。ここでは、記録ディスクDの読取品質が不良であり、新しい記録ディスクDにデータが退避されたこと等を示す文字、記号あるいは画像がレーベル面に印刷される。その後、印刷制御部93の機能によって搬送装置60が制御され、新しい記録ディスクDがディスクトレイ32から増設スタッカー57に搬送される(ステップS27)。さらに、データが読み出された記録ディスクDに対し、光ディスクドライブ20によって、レーザー光によりTOCが破壊される(ステップS28)。この記録ディスクDは、印刷制御部93の制御により印刷装置30に搬送されて、不要で読み取りができない記録ディスクDであることを示す文字、記号或いは画像が印刷され、廃棄用の第3スタッカー50に搬送され(ステップS29)、本処理が終了される。
【0041】
一方、記録ディスクDが追記型でなく書換え型であった場合(ステップS18;No)、記録制御部92の機能により、ステップS11で読み取られたデータが記録ディスクDに対して再び書き込まれる(ステップS30)。この書き込みは、既に書き込まれていたデータを消去しながら書き込む、いわゆる上書きである。その後、品質判定部91の制御によって記録ディスクDの書き直された領域の記録品質が測定される(ステップS31)。ここで、読取信号から検出されたエラーが記憶部83に記憶されたしきい値以上であるか否かが判別され(ステップS32)、エラーがしきい値に満たない場合は(ステップ332;No)、搬送装置60が制御されて記録ディスクDがディスクトレイ22から増設スタッカー57に搬送され(ステップS33)、本処理が終了される。
また、記録ディスクDに書き直されたデータの記録品質が不良であった場合(ステップS32;Yes)には、記録制御部92の機能によって搬送装置60が制御され、新しい記録ディスクDが第1スタッカー41からディスクトレイ22に搬送されて、記録ディスクDからステップS11で読み出されたデータが、新しい記録ディスクDに記録される(ステップS34)。続いて、記録ディスクDはディスクトレイ22からディスクトレイ32に搬送されて、ステップS23及びS26と同様に、印刷装置30によって、記録ディスクDのレーベル面にデータ保護の履歴が印刷される(ステップS35)。その後、印刷制御部93の機能によって搬送装置60が制御され、新しい記録ディスクDがディスクトレイ32から増設スタッカー57に搬送される(ステップS36)。さらに、データが読み出された書換え型の記録ディスクDに対し、光ディスクドライブ20によってデータの消去が行われ(ステップS37)、印刷制御部93の制御により印刷装置30に搬送されて、不要な記録ディスクDであることを示す文字、記号或いは画像が印刷され、廃棄用の第3スタッカー50に搬送され(ステップS38)、本処理が終了される。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係るホストコンピューター2は、記録ディスクDにデータを記録する光ディスクドライブ20と、記録ディスクDに記録されたデータを読み取る光ディスクドライブ20と、光ディスクドライブ20による読取状態に基づいて、記録ディスクDの記録品質の良否を判定する品質判定部91と、品質判定部91により記録ディスクDの記録品質が不良であると判定された場合に、記録ディスクDに記録されているデータを、光ディスクドライブ20によって記録ディスクD自体または別の記録ディスクDに記録させる記録制御部92と、を備え、記録ディスクDの記録品質の良否を判定し、記録品質が不良であった場合は記録ディスクDに記録されているデータを、この記録ディスクDの空き領域、または、別の記録ディスクDに記録させる。これにより、記録ディスクDの記録品質の判定と、記録品質が不良の場合のデータの保護とを容易に、かつ速やかに行うことができる。また、記録ディスクDの空き領域にデータを退避させる場合に、新しい記録ディスクDを消費しないため、データの保護と省資源化を図ることができる。さらに、上記のフローチャートに示した動作において記録ディスクDの空き領域の容量に関わらず新しい記録ディスクDにデータを退避させることも勿論可能であり、データの保護方法の自由度を高めることができる。
【0043】
また、ディスク発行システム3において、記録制御部92により、記録品質が不良であると判定された記録ディスクDの空き領域の記録可能容量が、記録ディスクDに記録されているデータ量とに基づいて、記録ディスクD自体にデータを退避させるか、別の記録ディスクDに記録させるかが決定され、記録ディスクDの記録可能容量が十分であれば、この記録可能容量を活用してデータを保護できるので、省資源化を図りつつデータを保護できる。
また、記録品質が不良と判定された記録ディスクD自体を使用するか否かは自動的に判別されるので、少ない作業負担でデータの保護と省資源化を両立できる。
さらに、記録制御部92の制御により、光ディスクドライブ20によって新しい記録ディスクDにデータを記録させた場合に、記録ディスクDに記録されているデータを読み取るためのインデックス情報であるTOCを破壊して読取不能とするので、この記録ディスクDを廃棄等した場合のデータの漏洩等を確実に防止できる。これにより、記録ディスクDの記録品質の判定とデータの退避を容易に行うことができ、かつ、記録品質が不良の記録ディスクDの管理負担を軽減できる。
【0044】
ディスク発行システム3の印刷制御部93により、記録ディスクDに記録されているデータが光ディスクドライブ20によって新しい記録ディスクDに記録された場合に、この新しい記録ディスクDの印刷用領域としてのレーベル面に履歴等を印刷させるので、記録ディスクDが新しく作成された経緯等を記録ディスクD自体に表記することができ、記録ディスクDの管理に要する負担を軽減できる。
また、不要となった記録ディスクDには、不要の記録ディスクDであることを明示する文字、記号あるいは画像を印刷するので、誤用を避けることができる。これにより、記録ディスクDの記録品質の判定とデータの退避を容易に行うことができ、かつ、不良の記録ディスクDの管理負担を軽減できる。
【0045】
ディスク発行システム3は、品質判定部91により記録品質が不良であると判定された記録ディスクDが書換え型の記録ディスクDであった場合に、記録制御部92によって、この記録ディスクDにデータを書き直して再利用し、データを退避させるので、書換え型記録媒体の特性を生かして、少ない作業負担でデータの保護と省資源化を両立できる。
さらに、記録制御部92によって書換え型の記録ディスクDに記録されたデータが同じ記録ディスクDに書き直された場合に、この記録後の記録ディスクDの記録品質の良否が判定され、その記録品質が不良であると判定された場合には、記録ディスクDに記録されているデータが新しい記録ディスクDに記録されるので、書換え型記録媒体の特性を生かしてデータの保護と省資源化を両立し、かつ、データを確実に保護できる。
【0046】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形及び応用が可能である。
例えば、上述した実施形態では、ディスク発行装置1に接続された2のホスト側制御部80により、ディスク発行装置1の光ディスクドライブ20、印刷装置30及び搬送装置60を制御して、図4の記録品質判定処理を実行するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ディスク発行装置1の装置側制御部86が、品質判定部91、記録制御部92及び印刷制御部93に相当する機能および記録ディスクDから読み取ったデータを一時的に保持する記憶部を備え、記録品質判定処理を実行することも、勿論可能である。この場合、ホストコンピューター2に接続することなく、ディスク発行装置1のみによって記録品質判定処理を実行できる。
また、複数のディスク発行装置1を、一台のホストコンピューター2に接続し、このホストコンピューター2のホスト側制御部80によって各々のディスク発行装置1を制御して、同時に複数のディスク発行装置1によって記録品質判定処理を実行してもよい。
さらに、記録品質判定処理において、複数の光ディスクドライブ20を交互に使用して連続して複数の記録ディスクDを処理してもよく、その他の細部構成等についても任意に変更可能である。
また、本発明は、スタンドアロン型のディスク発行装置1とホストコンピューター2とを接続して構成されるディスク発行システム3に限定されず、他の装置にディスク発行装置1の機能を組み込んだ組み込み型の構成に適用することも可能であるし、ディスク発行装置1が備える光ディスクドライブ20、印刷装置30及び搬送装置60を個別にホストコンピューター2が制御して、ディスク発行システム3と同等の構成として、本発明を適用することも勿論可能である。
【符号の説明】
【0047】
1…ディスク発行装置、2…ホストコンピューター、3…ディスク発行システム(記録媒体処理装置)、20…光ディスクドライブ(読取部、記録部)、30…印刷装置(印刷部)、41…第1スタッカー、42…第2スタッカー、50…第3スタッカー、57…増設スタッカー、60…搬送装置、80…ホスト側制御部、86…装置側制御部、91…品質判定部、92…記録制御部、93…印刷制御部、D…記録ディスク(光学的記録媒体)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的記録媒体にデータを記録する記録部と、
光学的記録媒体に記録されたデータを読み取る読取部と、
前記読取部による読取状態に基づいて、前記光学的記録媒体の記録品質の良否を判定する品質判定部と、
前記品質判定部により前記光学的記録媒体の記録品質が不良または劣化状態であると判定された場合に、前記光学的記録媒体に記録されているデータを、前記記録部によって前記光学的記録媒体自体または別の光学的記録媒体に記録させる記録制御部と、
を備えることを特徴とする記録媒体処理装置。
【請求項2】
前記記録制御部は、記録品質が不良または劣化状態であると判定された前記光学的記録媒体の未記録領域の記録可能容量と、前記光学的記録媒体に記録されているデータ量とに基づいて、前記記録部によって前記光学的記録媒体自体に前記データを記録するか、別の光学的記録媒体に記録させるかを決定すること、
を特徴とする請求項1記載の記録媒体処理装置。
【請求項3】
前記記録制御部は、前記記録部によって前記光学的記録媒体とは別の光学的記録媒体にデータを記録させた場合に、前記記録部によって、前記光学的記録媒体に記録されているデータを読み取るためのインデックス情報を読取不能とすること、
を特徴とする請求項1または2記載の記録媒体処理装置。
【請求項4】
前記光学的記録媒体の印刷用領域に印刷を行う印刷部と、
前記記録制御部の制御に従って、前記光学的記録媒体に記録されているデータが前記記録部によって前記光学的記録媒体とは別の光学的記録媒体に記録された場合に、この別の前記光学的記録媒体の印刷用領域に、修復された光学的記録媒体であることを示す文字または画像を前記印刷部によって印刷させる印刷制御部と、を備えたこと、
を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の記録媒体処理装置。
【請求項5】
前記記録制御部は、前記品質判定部により記録品質が不良または劣化状態であると判定された前記光学的記録媒体が書換え型の光学的記録媒体であった場合に、この前記光学的記録媒体に記録されたデータを前記記録部によって同じ前記光学的記録媒体に記録させること、
を特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の記録媒体処理装置。
【請求項6】
前記品質判定部は、前記記録制御部の制御に従って、書換え型の前記光学的記録媒体に記録されたデータが前記記録部によって同じ前記光学的記録媒体に記録された場合に、この記録後の前記光学的記録媒体の記録品質の良否を判定し、
前記記録制御部は、前記記録部によって同じ前記光学的記録媒体にデータを記録させた場合の前記光学的記録媒体の記録品質が、前記品質判定部により記録品質が不良または劣化状態であると判定された場合には、前記光学的記録媒体に記録されているデータを前記記録部によって前記光学的記録媒体とは別の光学的記録媒体に記録させること、
を特徴とする請求項5記載の記録媒体処理装置。
【請求項7】
光学的記録媒体にデータを記録する記録部と、光学的記録媒体に記録されたデータを読み取る読取部と、を備えた記録媒体処理装置を制御して、
前記読取部による読取状態に基づいて、前記光学的記録媒体の記録品質の良否を判定し、前記光学的記録媒体の記録品質が不良または劣化状態であると判定した場合に、前記光学的記録媒体に記録されているデータを、前記記録部によって前記光学的記録媒体自体または別の光学的記録媒体に記録させること、
を特徴とする記録媒体処理装置の制御方法。
【請求項8】
光学的記録媒体にデータを記録する記録部と、光学的記録媒体に記録されたデータを読み取る読取部と、を備えた記録媒体処理装置を制御する制御部が実行可能なプログラムであって、
前記読取部による読取状態に基づいて、前記光学的記録媒体の記録品質の良否を判定し、前記光学的記録媒体の記録品質が不良または劣化状態であると判定した場合に、前記光学的記録媒体に記録されているデータを、前記記録部によって前記光学的記録媒体自体または別の光学的記録媒体に記録させること、
を特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−159333(P2011−159333A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17924(P2010−17924)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】